○国務大臣(
加藤鐐五郎君) 今回の十五号台風等
災害連絡本部長に私が指名されまして、いろいろ皆さんに御厄介になることがあろうかと思います。
只今委員長より、いろいろ
農林及び大蔵両省の
意見が相当食い違
つておるという
お話を承わりましたのでありますが、これに対しまして、私は本部におきましてできるだけ調整をと
つてどこかに帰一いたしたいと、こう
思つておる次第であります。先般各
方面より、私に
災害の
実情を本部長たる者は親しく視察すべし、聞くと見るとは違うからという御要求がございましたので、先ず北海道へ参りました。それから引続きまして九州、
中国方面を視察して参りました。北海道を視察いたしました
あと、極く大まかな私の
考え方を北海道庁において、特殊の事情が北海道はあるものですから、その大体の大綱を示して参りました。これは本部会と申しまするか、本部の
委員会において了承を得たことであります。九州及び
中国辺のものは内地一体のものでございまするが故に、これはまだ
報告もいたしておりませんが、北海道だけの
報告は一応まとまりましたから、それをこの場合申上げてみたいと、こう思います。
丁度それは去月二十二日から二十七日までの六日間に亙
つて、
災害連絡本部長として北海道の各地の冷害と台風
災害の
状況を視察いたしまして、陳情を聞くと共に私はお見舞を申上げ、対策について
政府の意のあるところを
説明し、復旧再建を激励して参
つた次第であります。見て参りましたのは、石狩、後志、空知、上川、留萌、網走、渡島、胆振、八つの支庁であります。
被害状況と陳情事項の詳細は申上げることを略させて頂きますが、特に感じたことのみ申上げたいと存じます。
先ず第一は、昨年の冷害
不作に次ぐ今年の冷害、台風による凶作で、地理的に
程度の差はありますが、空地、留萌、上川、網走支庁管内は特に冷害の
被害が甚大でありまして、局部的には稲作等の
収穫は皆無という所があり、
予想以上の
被害に驚いた次第であります。第二に、大火のために一夜にして三千戸の住宅を焼失いたしました岩内町の復旧は、勿論容易な事業ではありませんが、区画整理事業の進捗と並んで被災者の自力による住宅建設も着々進んでおり、自力復興の意気の盛んなるに意を強くした次第でありました。小学校の教室に応急収容されておる千余の世帯、その他住宅のない
被害者の住宅問題解決と、漁業、水産加工業の再建による生活安定が最も緊要な課題であると思います。住宅としては、すでに完成した
災害救助法による応急仮設住宅の九百戸、本
年度分として道が実施する公営住宅の二百戸、岩内町が建設する町営住宅、被災者の自力建設の住宅、これは現在約三百戸、火災保険金を充用して被
災害者が建設する住宅、更に又住宅金融公庫による融資住宅等、各種の住宅建設によ
つて当面の緊急課題は大体解決できると思われるし、又解決せなければならんと思います。なお岩内町に限りませんが、漁船、漁具に
被害を受けた漁業の復旧再建のため、早急に復旧資金の融資について特別の
措置をとる必要があると思います。第三に、道、支庁、市
町村等
関係者の要望、陳情のうち最も強い主なるものを申上げますと、被災者に現金収入の途を与えるために、いわゆる救農土木事業を実施してもらいたい。営農資金、着漁資金の融通に特別
措置を講じてもらいたい。
災害対策費の緊急需要と税収減による資金の逼迫を救済するために財政経理資金の繋ぎ融資をしてもらいたい。これは取りあえず交付税、交付金見返りの繋ぎ融資としてその当時道に二億、市
町村に一億、すでに出しておりますが、更に追加融資を要望しておるわけであります。そのほかに台風に伴う住宅復旧対策、開拓入植施設の復旧対策、国有林風倒木の払下げ、その他いろいろありましたが、これは省略いたします。
そこで、私は日程を終えましたる夕刻、道庁におきまして、巧遅よりも拙速の意味で対策の大綱を次のごとく本部長の意向として発表いたしました。それを一応申上げて見たいと思います。この対策の大綱を申上げました
あとに、いろいろ又支出いたしたるものもありまするが、一応北海道において申述べたことを御参考までに申述べて見たいと思います。第一は、冷害等の
被害農家に現金収入の途を得させる必要があるので、救農土木事業を実施する、その金額についてはできるだけ努力する。それから次に、これとは別に国有林の風倒木の処理作業を実施することとし、差当り経費としては少くとも数億円を
予定いたしておる。次に、農業再
生産確保のために、いわゆる営農資金については取りあえず
農林中央金庫、信用農協連合会の融資を促進して参りたい、その資金枠については検討中である。これについては利子補給、損失補償等の必要な立法
措置を講ずることとしたい。次に、
被害農家に対しては、以上のほか農業
災害補償法による保険金の本払又は概算払を早急に実施する。次に、
政府の手持主要食糧の払下を行い、代金延納の
措置を講ずる。
災害に伴う異常発生の病虫害の防除対策のため予備費支出等の
措置を早急に講ずる。それから岩内町の大火や台風による倒壊等で住宅を失
つた罹災者のためにいわゆる公営住宅を建設する必要がある。そこで本
年度は約一千戸を早急に建設することとして国庫補助約二億円を出すが、積雪期を控えて工事を急ぐ必要があるので、この補助金を見返りとして取りあえず資金一億円を支出した。罹災者の住宅建設については、住宅金融公庫から資金貸付できるよう公庫の資金
措置を講ずるように努力したい。次に、
災害救助法の発動のあ
つた市
町村については、罹災者の住宅建設用材として国有林風倒木を
関係の市
町村長にできるだけ有利な条件で一括売払うものとし、これに必要な立法
措置を講ずるよう努力する。次に、開拓、魚田開発を含むわけでございますが、入植施設の復旧については至急対策を講ずる。つまり節約解除又は予備費支出による
方法でございます。次に、公共土木施設の
災害復旧については、北海道に対しては予備費からすでに三億三千八百万円支出しており、又三千万円の繋ぎ融資を出しておるが、更に各省の
査定が済み次第予備費を支出する。次に、
農林業施設の
被害については、
農林漁業金融公庫の融資によるものとし、資金枠及び立法については今後所要の
措置を講ずるよう努力したい。それから次に、漁船漁具等の
被害については、五月における北海道の水声
被害に対する特別立法に準じた立派
措置をとることを
予定して、
農林漁業金融公庫、
農林中央金庫、信用農協連合会等の融資
措置を講じたい。漁船損害補償法による保険金については速かに本払又は概算払を促進する。それから次に、第十次造船については北海道は選に漏れたが、来年初め連絡船の新造もあるので、それを差向けるよう努力する。それまでの問修繕を向けて幾分でも北海道を明るくしたい。右様を述べた次第でございます。
又本月一日より九州、
中国の
方面も視察して参りました。これは
只今いろいろ陳情その他を整理中でございまして、適当な機会にこれらについても申述べたいと思います。
ただ、
災害地におきまして自力復興の意気が盛んなるを見て喜ばしく存じました。私も自力復興の熱意のあるところに
政府の援助をいたしたいと思います。又
政府としては、そういう熱意のあるところに財政の許す限り復旧に援助の手を差しのべたいと
思つておる次第でございます。今後なお幾多の問題があると思いますが、皆様の御協力をお願いいたしたいと存じます。
以上極く大まかでございましたが、経過を
報告いたした次第でございます。
ただ、その後に又北海道で発表いたしました
あとに追加されて枠を殖やしましたし、又予備費及び繋ぎ資金も出してあるものがございまして、これも一括して御
報告申上げましようか。