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説明員(
柿手操六君) 先ほど来の
お話でございますが、今河野さんの御質問に結論的にお答えいたしますと、法令による原価の報告をさしておらない現状におきましては、
政府として原価の公表は私は非常に困難だろう。お約束いたされた例があるかどうか存じませんが、私の考えますのは、今のところでは公表はむずかしかろうというふうに考えております。併し先ほど、
ちよつと立
つた機会でありますから発言を許してもらいたいと思うのでありますが、一体
出血輸出がどうかわからない限り、
コストがわからん限りわからんじやないかという、一応御尤もな
お話でございまするが、実はこの
硫安の二つの
法案を提案いたした経過は、御存じの
通り一昨年の秋に非常に国際相場が急激に下りまして、一昨年の赤頃までは
国内の
価格よりも
輸出した場合には五ドル、十ドル高く売れてお
つたというような
状況が、急激に一昨年の秋から逆に五ドル乃至十ドル、ひどい場合には二十ドル近くも安くでなければ
輸出はできませんというような情勢であ
つたのでありますが、最近は
輸出についての
状況が大分好転して参りまして、一昨年四十六ドルというようなひどいのがありましたが、大体五十ドルから五十五、六ドル、特に朝鮮復興特需は五十七、八ドルというようなところまでに今回復しているのでありますが、現在の原価は国際別には
法律を以て報告を取
つておりませんから、格差別何円何銭というお示しは困難でありますけれ
ども、大体平均的に大観して見ますというと、昭和二十五年の四月、朝鮮事変勃発の直前に、
物価庁がまだありますときに、
肥料の
公定価格をきめた最後でありますが、その当時の平均の
肥料公団の工場渡し収買
価格が七百三十四円であります。それを現在のFOBと申しますか、現在の着オン・レールにいたしますというと、運賃を三十円か、四十円をみますというと、七百六、七十円というところになるのであります。それが三十五年の四月当時の平均であります。それは大体ドルに直しまして五十六、七ドルというところであります。その後二十五年八月に
肥料の統制が撤廃され、
公定価格もなくなり、配給統制もなく
なつたのでありますが、その後における
物価の高騰は、
電力のごときも六六%、
石炭等も一時よりは幾分下りましたけれ
ども、七割乃至八制、労賃その他につきましても、我々公務員のベースも六千三百円ベースであ
つたところが、今一万何千円というふうに、それぞれ
物価の高騰となりまして、増産による操業度の上昇はありましたけれ
ども、とにかく現在のマーケツト・プライス八百四、五十円というものは、大体まあ
コストから見てえらく離れたものじやないし、大体ドルにしまして六十三・五ドルという見当でありますので、一昨年の秋の
出血輸出ということはこれは当然考えられますし、現状におきましても、これは相当な
出血になるだろうと思います。今この
法案を
審議いたしまするために、通産省といたしましては
硫安の
合理化審議会を開いておるのでありますが、一体どの辺を目標に
合理化すべきかということにつきましていろいろな人の
意見を聞きました。欧米に出張していろいろ調べて来られたかたがたの御
意見も聞いたのでありますが、大体四十五ドルから五十ドル見当にまで
コストを下げなければ、将来国際競争には危かろうというような御
意見でありますので、
ちよつと最近相場が好転しているかのごとくでありますけれ
ども、長くみれば、やはりこれから十ドル乃至十五ドル、五十ドル見当までには少くとも急速に下げなければならんというふうに考えておるのであります。現状ではなお相当な
出血が予想されるのであります。