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1954-10-21 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月二十一日(木曜日)    午前十時三十八分開会  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            重政 庸徳君            宮本 邦彦君            江田 三郎君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            横川 信夫君            飯島連次郎君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            石川 清一君            松浦 定義君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君   説明員    林野庁長官   柴田  栄君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (造林促進に関する件)  (台風による被害及びその対策に関  する件) ○昭和二十九年四月及び五月における  凍霜害等被害農家に対する資金の  融通に関する特別措置法の一部を改  正する法律案衆議院提出)   ―――――――――――――
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今から委員会を開きます。  最初に造林促進法案の件を議題にいたします。本件につきましては、前回の委員会において御審議を願う予定でありましたが、時間の都合上今日まで延期されていたのであります。本件につきましては、前国会の末期六月十一日、日本林業協会から先にお配りいたしましたような法律案の草案を添えて造林促進法の制定について要望がありましたので、これが取扱上の参考に資するため、六月十四付文書を以て林野庁長官意見が求められましたところ、去る八月二十八日、これ又先にお配りいたしておきましたような回答がありましたので、本日はこの回答を中心に林野庁長官説明を聞くことにいたしたいと存じます。  先ず林野庁属官の御説明をお願いいたします。
  3. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 造林促進に関しましては、林政上の焦眉の急務といたしまして、その必要性は今更申上げるまでもないとこるでございまするが、これに関連いたしまして林業関係の諸団体におきましても多大の関心を持つて頂きまして、これに関しまする促進方法として、臨時立法をしてはどうかということで、促進法案案文等に関しても御極討を頂いた次第でございますが、更にこれを国会に御提出になりまして衆参両院農林委員会におきましても、国政調査事項として御審議、御検討を煩わしておりますることは、私どもといたしましても非常に感謝に堪えないところでございまするが、これに関連いたしまして、いわゆる造林促進法案一つの形体を以ちまして、委員会の御審議参考に供されておりまして、これに関連して私どもへの意見を求められた次第でございます。これに関しましては只今委員長お話のごとく、一応文書を以て御回答申上げておいた次第でございまするが、この促進法案に盛つて預いておりまする事項は、いずれも非常に重要な且つ適切な事項でありまして、私どもといたしましてもすでに検討いたしておつた問題等が多いのでございまするが、私どもといたしましては、一応森林総体計画、これに関連いたしまする造林併進重要度等に関連いたしまして、造林計画森林法に基きまする森林計画において、伐跡地造林予定を指定いたしまして、その計画によつて義務造林をいたしておりまするので、一応私どもといたしましては価久法基本法でありまする森林法によるということが至当ではないかと考えておる次第でございまして、更に森林法とは別途に造林促進法を持つということが必要かどうかということを実はいろいろ検討しておる次第でございますが、一面造林の最近までの経過を見てみますると、昭和二十四年度までは戦争以来の伐採跡地処理未済、その他造林意欲の後退等々からいたしまして、非常に造林実績が上つておりません時代でございまして、更に森林方等改正もみない時代でございましたので、何としても国土保全等資源維持、培養のためには特急必要な場所には計画的に造林を行わなければならないという見地から、昭和二十五年度から造林臨時措置法を制定されまして、必要な造林箇所を指定して計画造林をするという方途をとつて参つたのでございまするが、その結果と申しますか、その結果をも考え併せて山林所有者造林意欲の向上或いは森林法の施行、併せて財政的な措置等が総合されまして、昭和二十四年度におきましては造林実績といたしまして人工植栽民有林につきまして十六万七千町歩に過ぎなかつたのでございまするが、二十五年度におきましては、それが二十三万五千八百町歩、二十六年度には二十四万六千四百町歩、それから二十七年度には更に上昇しまして、二十八万二千町歩、二十八年度は三十万二千町歩、二十九年度は今計画実施中でございまするが、大体の最低見込み三十六万一千余町歩、こういう見通しが立つてつておる次第でございまして、この情勢からいたしますると、当初に造林臨時措置法において指定いたしました箇所山林所有者造林不可能な場合の措置等は、実は殆んど必要がなくなつた、実際におきましても措置法によりすする第三者浩林という案件は一件もなくて、而も大体計画通り進度これは来年の大月を以て期限完了いたしまするので、これに代るものとしての条件等も規定して頂いておりまするが、今差当りはその必要がない現状にあると私ども考えておるのでございまするが、そこで造林臨時措置法の結果を見ますと、当初に計画いたしました約九十万町歩計画的な造林必要地は殆んど計画通り臨時措置法完了と共に実紙を挙げ得るという見通しが立つて参りましたので、更にこの臨時措置法延長をも考えるという必要が今のところない。で、造林計画に関しましては森林計画における造林指定を以て十分これに代行し得る、かような考え方を一応持つておりまするので、この際特にその面におきまして造林促進法というものの特別の立法措置を必要とするというふうには考えられないような気がいたすのでございます。更に国土保全のために是非とも必要な造林計画に関しましては、保安林整備臨時措置法によりまして保安林整備と、整備せられました保安林に対しまする管理実行計画を国の責任において実施するという形をとつておりまするので、国土保全主体といたしまする造林につきましては、十分にその成果を確保いたして参る手段はとり得ると思われるので、ございまして、更にそれでも足らない場合には、重要保安林の買上によりまして国がみずから水源林造林確保をなし得るという措置もとり得るのでございまするから、まあこの面におきまして必ずしも造林促進法として特別立法をお願いする必要はないんではないかと、かように考えておる次第でございますが、ただ問題は第三者造林、まあ必要な造林業務に関しまして、義務を履行しない場合の罰則或いは代替の方法がないということで、第三者造林等を規定する問題があるのでございますが、これも若し必要があるといたしますれば、森林法の一部改正によつてその目的を達し得る。ただ私どもといたしましては、先ほど申上げましたような理由によつて今直ちにその必要があるというふうには考えられないと思うのでありまするが、若し必要の際にも森林法改正を以て足る、かように考えておる次第でございまして、一面におきましては臨時措置法期限完了機会に、同法の期間延長等目標としての措置は今差当り必要がないというふうに考えておる次第でございます。併しながら、例えば未墾地買収に対応いたしまする措置として、造林臨時措置法におきましては、造林臨時措置法によつて指定いたしまして造林したものに対しましては、その一段階の収穫完了まではその対象林地買収対象としないというような措置がとられておるのでありまして、造林者が非常に安心して造林を実行して頂けるという点があつたのでございまするが、それを更に延長するというような希望もあるかと思われまするが、農地法改正とこれに対しまする措置運営によりまして、一応人工植栽林地につきましては、直ちに未墾地買収対象にはしないという運営を農地同等と共同で措置いたしておりますので、実際問題といたしましては、それらの懸念は今のところないというふうに考えておりまするので、差当りの問題といたしましては、造林促進するためには、先ず第一段といたしまして、財政措置を強化いたせば促進必らずし特別立法を要しない。更にこれと並行いたしまして行政措置といたしまして、これ又財政措置を伴う問題ではございまするが、技術改良普及を強化するという両面から、十分にその目的を一応達し得ると私ども考えておる次第でございます。  その他種苗確保問題等に関しましても、現行の種苗法において特に不備があるというふうには考えられないのでございまするが、更にこれを徹底化するという問題に関しては、種苗法改正において考慮いたしたいということを検討いたしておりまするので、総括いたしまして、一応私どもといたしましては、ここに造林促進法案に盛つておりまする各種の項目を達成いたしまするたあの措置としては、必要があれば森林法の一部改正で参りたいということで検討を重ねておりまするが、森林法改正はいずれ保安林整備臨時措置法と並行いたしまして、是非とも保安林並びに保宏施設項目に関して一部改正をお願いいたさなければならんと思うのでありまして、その際検討すべき事項只今審議いたしておるところでございますが、未だ直ちにそれらの部面について改正を必要とするという結論に達していないということも申上げなければならん、かように考えておる次第でございます。併しながら、造林促進法案に盛られておりまする諸点に関しましては、林業行政の推進上非常に多くの有益な示唆を示しておられまするので、今後の検討のために非常に参考として利用させて頂くということを非常に有難く存じておりますが、本法案としての取扱いに関しましては、私どもとしては以上のような考えを持つておるということを一応表明さして頂きます。
  4. 横川信夫

    横川信夫君 大体只今の御説明で了承し得るのでありますが、この機会に今後の造林計画について、ちよつと年度別に御説明願えれば幸いだと思います。
  5. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 造林年次計画は、目標といたしまして戦争以来の伐跡地で、要造林箇所未済地の解消と、それから年々の森林計画に基きまする伐跡地造林予定地計画的な完了、合せまして、何と申しますか、粗悪林地優良林への転換の仕事を合けまして、大体八カ年を以ちまして、総体におきまして現在民有林造林地五百三、四十万町歩を八カ年を以て七百八十万町歩程度まで増強する、これを年次計画を以て実施する、こういう計画の下に年次計画を立てておるのでございますが、そこで要造林地未済分昭和二十五年度末において約百四十万町歩ございましたものが、二十八年度末におきましてなお残が六十九万町歩弱ございまするが、これは一応今後三カ年を以て解消いたしたい。それから毎年伐採いたしますもののうちで、造林を要するものが約百六、七十万町歩ございますので、これを必らず計画的に実施する、更にいわゆる粗悪林地優良林への切換えを主として、原野状態の所或いは薪炭林への切換え等対象といたしまして百四十万町歩切換えて参りたい、これを年次計画といたしまして、人工植栽を年間約五十万町歩前後を今後八カ年を以て完了するという計画が現在の造林計画でございます。
  6. 横川信夫

    横川信夫君 只今お話のように参りますれば、造林も大変推進されますし、従つて治山治水の上からも、森林資源の造成の上からも大変結構なことだと思います。とかく財政の面からの制約を受けまして、林野庁計画されたような数字実行面に現われて参らない、そういう事例が非常に多いのでありまして、今後一層御努力を願いたいと思うのであります。先ほどお話のうちに触れておられましたが、造林臨時措置法取扱いについて、延長の御意思もないというようなお話でありましたが、森林法改正のときに造林臨時措置法に含まれておるこれ又先ほどお話のございました第三者造林、こういう点を織込みなさる計画があるかどうか、この機会にお伺いしたい。
  7. 柴田栄

    説明員柴田栄君) その問題に関しましては、いろいろ検討いたしておる次第でございまするが、第三者造林を規定いたしますると、終局におきましては私有林に対しまする官行造林という問題を当然検討いたしたければならんことに相成ると思うのでございまするが、この問題は必ずしも森林法第三者造林を規定する必要があるか、或いはもうすでに御承知通り公有林官行造林事業は当初目標をほぼ達成する、且つ目的を達するところまで参つておりまするので、いずれ官行造林取扱いに関して検討を要する時期に参つておると存じまするので、その際に公有林に限らず私有林の一定の限度を対象といたしまして、私有林官行造林まで拡張できる、目的を変えて拡張できるということなら、これが一番確実であるというようなふうにも考えられまするし、第三者造林という問題は臨時措置法においても規定されておりましたが、殆んどではありません、全くこの実施の例はないのでございまして、抜かざる伝家の宝刀を以て何か森林所有者を圧迫するというような感じもいたしますので、必ずしも策の得たものではない、御相談によりまして官行造林当の措置がとれれば、それで措置できるのではないかというように考えておりまするので、まだ実は第三者造林の規定を森林法改正によつて挿入すべきかどうかという結論まで達しておらないというのが現状であります。
  8. 横川信夫

    横川信夫君 只今お話の中にございました官行造林制度でありますが、すでに当初期待しておりました予定面積はおおむね完了していると承知しておるのでありますが、一部にはその機会官行造林制度をやめようというような考えもあるやに伺つております。全国を歩いてみますると、一番荒廃いたしておりまするのはやはり何といいましても公有林野である。私はこの公有林野官行造林制度を更に拡充する必要があるのではないか、さような考えさえも持つておるのでありますが、長官のお考えは如何でございますか。
  9. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 御指摘通り公有林野現状所有形態別に見ますると、最も管理の弱体を露呈いたしておりまして、一番粗放な取扱いがされておる部面が多いと存じまするので、これに対応いたしまする策は当然考えられなければならんと思われるのでございまするが、これは一面におきまして林業的な取扱いと合せて、公有財産としての管理問題等原因いたしまして、非常に荒廃する原因をなしておるというような点が多いような感じもいたしまするし、これらの点に関しましては自治庁とも御相談を申上げて参りたい、こう考えておりまするが、なお形式的に公有林野なつておりましても、共有或いは入会等関係のために、これを実質的に整理いたしませんと、実際にはいい管理はなかなかむずかしいというような原因も相当ございまするので、これらと合せて十分自治体において実行できるように、現状において而もなお財政その他の関係から林業管理経営がおろそかにされているもの等も相当あると存じまするので、御指摘のようなそれらの面をも合せて官行造林制度は一応の当初の目的を達成したためにこれで解消するということでいいとは考えておりませんので、更に進展いたしまして、先ほども申上げました公有林のみならず、必要な私有林についても官行造林可能な方向官行造林問題を進展させるべきであると、こういうふうに実は考えているのでございます。
  10. 横川信夫

    横川信夫君 これも先はどの御説明の中にあつたことなんでありますが、私有林官行造林についてでありますが、相当大面積私有林伐採したものが放置されて荒廃しているというようなことが大分あるように私ども見受けるのでありますが、それと林野庁私有林官行造林制度法案の研究をしているというお話も伺つているのでありますが、いつ頃成案を得られるのか、又実施をされる御意思があるかどうか、この機会にお伺いしたい。
  11. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 只今公有林実態調査を進めておりまするが、これは実は公有林と申しましても実に複雑な内容を持つておりますので、実態を明確にいたしまして、これらの対策考えるということと合せて、民有林実態に関しましても、森林計画等を通じまして現在調査の取りまとめをいたしておりますが、大森林所有者におきまして特に管理の面において劣るのは、不在の大山持ちというものが非常に粗放に扱われていることが一つ対象になる。それから一つは大森林所有者地方産業といたしましての製炭原木の供給というような面からいたしまして、なかなか所有者意思のごとく造林し、優良林への切換えが困難だというような所もございますので、それらにつきましては、一面において山林所有者造林意欲に対する促進を図らなければならない半面、林政上の問題といたしましては、薪炭林改良の問題を並行させなければ、ただ一方的には進められないというような問題もございまするので、今時期をいつ頃一体やるかというお話ですが、まだはつきりとその時期については申上げかねる状態でございまするが、成るべく早く実態を明確にいたしまして、これ又近い将来においてその問題を具体化いたす。こういうつもりで検討を進めているという程度でございますので、御了承を願いたいと思います。
  12. 岸良一

    岸良一君 只今林野庁長官からお話のあつた造林計画を推進されることは、私是非つて頂きたいと思うのですが、やはりそれにはどのくらいの経費が要るのか。それからその経費国有林特別会計で出すのじやなくて、一般会計から入るのだと思いますが、それらについてはお見込みがあるのですか、どうですか。
  13. 柴田栄

    説明員柴田栄君) それらの総体計画は、実は治山治水基本対策要綱によりまして総体造林計画等をも年次別計画いたしておりますので、一応の見込みは立てておりまするが、総体といたしましては、林野治山治水、林道、造林を合せまして約八千億、そのうちで造林に関連いたしまするものは総体計画完了をするということで千数百億で足るという見込みでおるわけでございますが、詳細な数字は現在持つておりませんので、若し必要がありますれば年次計画と合せて書面で提出さして頂きます。
  14. 岸良一

    岸良一君 これは一般会計から出るわけですか。
  15. 柴田栄

    説明員柴田栄君) さようでございます。公共事業費として補助資金国家投資をいたしまして所有者と分担ということになるわけであります。現在の制度では都道府県側で一割を負担、国から三割補助造林者六割、こういうことになつております。
  16. 岸良一

    岸良一君 国有林などの造林計画というものは大体伐採に見合うように進行はしておるわけですか。
  17. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 国有林に関しましては、これ又民有林とほぼ同じような傾向を辿りまして、やはり戦争以来の伐跡地造林未済が相当ございましたが、丁度三十年度を以てこれは全部完了いたすことになつておりますので、三十年度以降におきましては、伐跡地造林、而も最近は、従来国有林天然林を非常に多く持つておりまするので、天然更新主体で参つておりましたが、どうしても成長促進を急がなければならないという観点から、天然林人工植栽林切換えるという方向にありますので、急激に人工造林地の増加の方向に参つております。
  18. 森八三一

    委員長(森八三一君) そうしますると、只今議題なつておりまする造林促進法案の件に関しましては、農林当局から一応の説明があり、御質疑を頂いたのでありますが、本件取扱いにつきましては、更に今後検討を進めることにいたしまして、この程度にいたしておきたいと思います。   ―――――――――――――
  19. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案議題にいたします。本法案は、御承知のようないきさつによつて継続審査なつておるのでありますが、本日はこの法律案取扱方について御協議を願いたいと存じます。  最近五号台風から十五号台風まで全土に亙つて相当被害発生をいたしておるのでありまして、これらの対策につきましては、昨日農林省としての御方針要綱案お話を承わつたのでありますが、それらの措置只今議題にいたしました継続審査中の法律とをどういうように調整をして参るかというところに問題があろうと思いますので、これらの問題につきまして御協議を頂きたいと存じまするわけであります。一応問題が極めて複雑でありまするし、重要な問題でありまするので、懇談の形を以て御協議を願うほうが然るべきかと存じますので、そういうような取運びにいたしたいと存じます。    午前十一時十五分懇談会に移る    ―――――・―――――    午後零時一分懇談会を終る
  20. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは速記を始めて下さい。これにて懇談会を終ります。  只今懇談を頂きました昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等被害農家に対する資金融通に関する特別措置法の一部を改正する法律案取扱に関連いたしまして、その後に発生をいたしました五号台風以降十五号台風までの災害対策をどういうように取運ぶかということにつきましては、衆議院農林委員会等とも連絡をとりまして、然るへき案を得まして次回の委員会にお諮りをいたすことにいたしたいと思いますので、委員長にその取運びを御一任頂くことにいたします。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  22. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。  それでは午前中の委員会はこの程度にいたしまして、午後は大臣の出席も求めておりますので正一時に開会いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時五分休憩    ―――――・―――――    午後一時五十分開会
  23. 森八三一

    委員長(森八三一君) 休想前に続きまして会議を開きます。  林野庁長官出席を得ておりますので、午前中の質疑に継続いたしまして質疑の方は御発言を願います。
  24. 江田三郎

    江田三郎君 十五号台風による風倒木被害状況、今後の処理方針というようなことをお尋ねしたいのですが、先ず第一に、我々の手許のほうへ被害の調べが参つておりますが、こういうことについて一応長官のほうから被害状況なり今後の方針というものを、今考えておられることを、一応お承わりしたいと思います。
  25. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 十五号台風によりまする林野被害、特に風倒被害に関しましては、数字といたしましてはお手許へ簡単な資料を差上げておきましたが、この際ちよつと時間を頂きますれば概況を申上げたいと存じますが、大体北海道の林野は総面積で五百七十八万町歩余なつておりますが、そのうち国有林が三百四十万町歩余、特に私どもでお預りいたしておりまするのが三百十万余町歩ということになつておりまして、従いまして、被害に関しましても殆んど大部分が国有林である。特に民有林につきましては、面積としては或る程度ございまするが、比較的林齢の低い山が多い関係からいたしまして被害程度は多少軽いという状況でございますが、まあ国有林を一位といたしまして道有林、それから大学演習林というようなところまで及んでおる次第でございます。  地域的にプロットいたしますると、一番激しかつた所は、丁度これが旭川でございますが、大雪山系、この地域が一番激しかつたのでございまして、ここで千三百万石以上この一カ所で参つております。それからその次に比較的固まつておりますのは、この青色で塗つておりまするのが一カ所百万石から五百万石程度までの集団風倒箇所でございます。赤で塗つておりまするのは五百万石以上でございます。この茶色で塗つておりますのは百万石以下五十万石程度集団。それから緑色で塗つておりまするのは十万乃至五十万。あと点々と黄色に塗つた十万石以内の集団被害というのがこのようにばら撒かれております。最も激しいのはこの地区で、それからこの二重丸にいたしておりますのは、五月の風害によりまして風倒を起しまして合計で四百五十万程度つておりまするが、この地区がこういうふうにダブつておるわけです。最も激しかつた所を拡大いたしますと、これが層雲峡の地域でございますが、これが大雪山の一番高い所になりまして、大雪山系がこういうふうに伸びております。そこでこれが層雲峡の温泉の所在地で、最も被害をこうむつておりますのが緑色に塗りましたこの地域でございまして、これはもう殆んど全林一斉に倒れたり、挫折いたしたりしておる地域でございます。それからこの藍で塗つておりまするのは集団的にぽつりぽつりと倒れおる地域でございます。こんなふうに配置されまして、他は単木で折れたり倒れたりしておるということになりますが、ここの区域全部で四万四千余町歩でございますが、これはもう非常に高冷の地域でございまして、比較的低い樹高の木、或いは叢生地等でございます。実際に原始林が密生いたしておりまする地域は、ほぼこの赤い線で区面しておりまする内部になるわけでございまして、概算いたしましたところでは、この緑色と藍で塗つておりまする面積の合計が一万三千町歩近くなつておりまして、大体原生林、樹林地帯の半分くらいが殆んど一斉に倒れておる、こういう実情でございます。而もこれはどうもはつきりわかりませんが、大体風倒を見ますと、ここへ西南のほうからぶち当りまして、ここでこう曲がつたんではないかと思われるのでございます。こちらから吹き降した大風によりまして大体風倒を来たしておりまするので、御覧になつて頂きましても、これが川筋になるわけでございます。川筋の風向に直角の面が一斉に倒れておるわけでございます。陰になりまする所は非常に被害が少い、南斜面が一斉に倒れておるという非常に特性のある倒れ方でございますが、これが全道大体同じような状況にございます。  そこでこれはまあ第一番には、私ども特急造材搬出いたしまして、極力利用できるものは利用する態勢をとらなきやならんということで、現地の営林局署を総動員いたしまして非常態勢で調査対策を講じたわけでございますが、一応これを最小限度に年次別に利用するといたしましても、何としても三十一年度まではどうしてもかかる、三カ年間に大部分を処理する。そういたしますると、三十一年度以降におきましては、まあ残りまするものは六、七、八百万石。これは搬出施設、地形等の関係から殆んど作業不可能な地域に残留するのではないかという危惧をいたしておるのでございますが、まあその他につきましては成るべく早く処理する。而も従来計画を変更でき得る限りは変更いたしまして調整をする。まあこういう考え方で処理計画を立てたわけでございますが、二十九年度におきまして既定の伐採量が千八百六十余万石になつておりまするのに、更に風倒被害を直ちに現在伐採に着手いたしまして、二十九年度中に丸太にして搬出いたそうという量が約六百七十万石。このうちで既定計画によりまして売払い予定いたしておりましたものを風倒木に振替えるもの等がございまして究極におきまして二十九年度には二千三百五十三万石程度を処理する。こういう考え方で今実行に着手いたしております。そういたしますると、差引きいたしまして四百九十万石程度伐採量が増加いたすことになるわけでございますが、風倒木或いは挫折木になりますると生立木に比較いたしまして歩留りが大分落ちて参りまするので、大体平均いたしまして春の風倒木の処理の実績からいたしまして五〇%の利用率というのを見ておりまするので、最大計量以上に丸太の生産されまするのが二百万石程度というふうに一応考えておるわけでございます。そこで風倒木を処理するに当りましてこの風倒木全体の処理で問題になりまする点を考えてみますると、非常に、御説明申上げました通り、地域的に而も集団的に倒れておりまする関係上、仕事が大変集中して参る。そこで従来立木売りをいたしておりましたものも、立木売りをいたしますれば、対象一つとしてはなかなか困難であるというために、多くの業者が一カ所に集中いたしますれば、必ず混乱を起す。そこでその混乱を避ける意味におきましても、又実際的にも成る程度の増産ができる。資金その他の関係から早く処分しなければならんという問題等を起す、或いは気分的にも、増産するということでの需給のダブつき等からいたしまして価格の混乱を生ずるというような問題もございまするし、或いは一時的に巨大な作業資金を調達しなければならんという問題もございまするので、できる限りそれらの調整或いは対策を解決する意味におきまして直営で伐採いたしまして、それらの諸問題を処理いたすということにいたしたいということが計画一つになるわけでございます。更にこれと関連いたしまして非常に心配いたされまする問題は、風倒木への虫害の集中でございます。これは従来の小規模な風倒の例からいたしましても、局所的にも極めて集中した虫害発生を見ましてこれを放置いたしますれば、それから更に生立木に対しても虫害が蔓延して参る、これは大規模な風倒になりますると、かような今風のごとく一時に数千万石というような風倒は私ども日本における記録ではちよつと見付からんのでありますが、大正初年に樺太地区で起りました風倒で約一千万行程度風倒木ができたというふうに記録されておりまするが、その際にもそれに引続きまして風倒木以上に、概査でございますが、一千七百万石に及ぶ虫害枯損木を生じたというような例もございまするので、虫害防除の対策につきましては徹底を期さなければならん、これは先の五月の台風による風倒の対策といたしましても、約四百五十万石程度風倒木でございましたが、これを二カ年に伐り出し搬出するという計画実施いたしますると同時に、虫害防除のために約三千万円を投じて防除いたしたような実例もございまするし、これは非常に大きな問題ではあるが、是非とも処理いたさなければならん、かように考えておるのでございます。更に心配いたされまするのは、御承知のごとく北海道の春は極度な乾燥期に入りまするので、従来とも森林火災によりまする森林の災害は相当大きなものを繰返しておつたのでございますが、今回のごとく非常に集中して而も大面積に風倒を生じ、これから出まする枝或いは末木枝条等、乾燥いたして参りますると実に危険な状態になりまするので、それは徹底的に科学的な予防方法を施設と併せて講じますると同時に、地元の協力態勢を徹底いたさなければならん、かように考えておりますが、これらも風倒木処理に関連いたしま下る非常に大きな問題である、かように考えております。更にこれは治山治水、特に治水の面からいたしまして、局所に集中して倒木を生じておりますので、而も大部分が天然生の原始林で非常に輻湊いたしましたいい形の山で守つておりました地域を、一時に裸にいたすという関係からいたしまして、先ず第一番には融雪期におきまする融雪時期を極度に早める、従いまして、もうすでに融雪時におきます洪水の危険は何としても或る程度避け得られないのじやないか。これに対しましては、まあ一面におきまして、山の地帯においては極力末木枝条を排除いたしまして、末木枝条によりま下る水の停滞を防いでスムースに流してやるということは、精いつぱいやらなければならんと思いますが、非常に時間が長くかかりますので、下流に対しまする治水対策は、これは実は勿論私どもの力だけでは参らんのでございますが、全体として総合的に是非とも対策考えて参らなければならん大きな問題であると存じております。特にこの上川地区、大雪山系をめぐります旭川中心の地域は従来でも非常に水害の危険の多い所でございまして、これを考えますると恐らく融雪期には必ず水害の危険があるということを予見いたさなければならんのでございますので、これが対策については、建設省或いは地元等にも十分連絡いたしまして、最大限度の対策をしても、し過ぎにはならないと思いまするが、まあそれらが非常に大きな問題に相成ると、かように考えられます。なお御承知のように北海道は未曾有に近いような冷害をこうむつておりまするし、更に風害等によりまする災害もこうむつておりまして、地元の救済をこれ又相当徹底的に考えなければならないという時期にも際会いたしておりますので、一面におきまして極力風倒木の利用を進めまして、生産せられまする用材の冷害、災害救済の対策にも法規の許す最大限度まで御利用願うということで対策考えておるのでございますが、今一つこの末木枝条につきましては、先ほども申上げましたように、火災の面から言いましても、或いは融雪時の谷間に堆積いたしまする末木枝条の除去等によりまする水害の防除或いは虫害に対しまする餌木の除去等の面からいたしまして、事業上からも除去を必要といたすという状況にありまするので、従来末木枝条を末木枝条として御利用願う場合には、売払いというような方法をとつておりましたが、事業実行の建前から除去を必要とするというために、これらも半面におきましては地元の御協力を得て除去いたしましたものを御利用願うというような方向で、或いは御協力を願つて現金収入の資に当てて頂くというようなことも考えて頂きたいと、かように考えておるわけでございますが、それと併せまして、先ず当面この冬におきましても風倒木処理で約七百万近いものを増加事業をいたしまするので、それに要しまする事業では、金額にいたしまして、北海道を中心といたしまして約六億、千万石程度になるわけでございます。そのうちで労銀に振向けられるものが約四億余ございまして、これは従来も地元の労力を以て大部分消化したしておりましたが、この際にはこれを極力冬季間の現金収入の対象として就労を願うということで計画をいたしておる次第でございます。本年度のこれらの処理に要しまする経費は、国有林野事業特別会計におきまして予備費を或る程度現在留保いたしておりまするのと、一割節減に伴いまする節約の戻しを大蔵省と折衝いたしまして、ほぼ見通しが立ちましたので直ちに実行に着手いたしておりまするので、先ず二十九年度の事業実行には特に補正予算を必要としないで、予備費節約戻しを以て大体処理できるという見通しが立ちまして、目下すでに降雪期を控えまして伐木に着手いたしておるというのが現況でございます。災害等の救済の方法といたしましては、すでに緊急復旧の屋根用材等に関しましては、北海道の道庁を中心としまする市町村の調査によりまして、約百二十万石の直営伐採丸太の払下を実行いたしている次第でございますが、公共施設の緊急復旧或いは更に各農家の家屋復旧等に関しましても極力御相談を申上げて行くという考え方で計画を進めているのが大体の処理の方針であります。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 大体今の説明でわかりましたが、私ども素人考え考えますと、風倒木といつてもとにかく七百万石程度のものが新らしくここで処理されるということになると、その分だけは林野庁の収入が殖えるのじやないかと思いますが、それはやはりそういうものが殖えても出て行く金が多くて、予備金あたりに手をつけなければいかんということになるのですか。
  27. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 生産せられましたものを処分いたしまして、果して収支がどういうことになるかということは、売払いまする価格等の問題で今直ちに的確なことは申上げかねるのでございますが、御覧の通り従来道もないような殆んど手のついておらんようなところを大部分処理いたさなければならない。大体においてこのままで参りますれば採算点に乗らん分が大部倒れている、而も生立太にいたしますれば針葉樹のごときは七五%程度の歩留りを期待できるのでありますが、風倒木、挫折木等になりますと、特に挫折木のごときはもう五〇%の歩留りがなかなか困難であります。平均いたしまして相当強く見まして五〇という計算でやつているわけでございます。そういたしますると、作業費にかかりますのが大変なものになるわけで、大体私どもの今の見通しは材質が落ちて而も作業費が増しますので、事業といたしましては収支がちよつととれない、伐出事業だけからいたしましてもちよつと収支がとれないというところを超えはしないかということを心配いたしておりますが、まあそれらの点も極力合理的に進めたいと思つておりますが、ただそれにいたしましても、直営伐採をいたしまする場合の作業費は当然資金として準備いたさなければならない。その作業費を大体予備費で賄える、こういう見込みでおりますが、収入はいずれにいたしましても三十年度の収入に相成るわけでございます。
  28. 江田三郎

    江田三郎君 本年度どういう計算になるか知りませんが、併し将来三十年度以降においては国有林の蓄積のほうは減つて来るわけですけれども、処理数量の殖えるということから言えば、現地においてはむしろ或る程度の収入増というようなことになるのじやないかと思うのでありましてそういうものを今の法律でいろいろ制限がございますけれども、何とかできるだけ地元の罹災農民に恩典の行くように図つて頂きたいと思うのであります。只今説明を聞きますというと、いろいろ罹災農民等の救済という点をお考えなつているようですが、どうも私ども先般北海道へ参りまして受けた印象は、必ずしも今までの行き方はそういう行き方でなかつたのじやないか。或いは名前は現地の農民という名前でやられても、実のところはその現地における一部の業者ということになつてしまうのじやないか。例えば山に近い所の町村へ行つてそこの実態を開いてみましても、一部の森林関係の業者が大きな政治力を持つておる。従つて町村政にしたところで、そういう人の御意向に反するようなことはできないというような事情がありまして、私どもが心配するのは、災害を受けた農民を救済するという名の下に、実はその利益が中途で一部のところへ停滞してしまう虞れはなかろうかということなんでございまして、そういう点を一つ十分にお考えなつてやつて頂きたいと思うのです。又同時に現地の営林署の第一線の方々にしてみるというと、会計検査とか、或いは独立採算というような問題がありましてどうもやられることに弾力性を欠いておる。まあ今も屋根の柾の問題をお話がございましたが、まあ私ども現地へ参りましたときには柾の原料材の払下にしても、どうもスムースに行つていなかつたようでありまして、その点現場を扱つておられる諸君には諸君の苦労があると思いますが、そういう点一つ林野庁として相当思い切つた方針を現場へ流して頂きたいと思うのであります。何にいたしましたところで、只今の御報告によりましても火災の心配或いは虫の心配、そういうものを一体林野庁の職員だけで防げるのかどうか、やはりこれはもう広く附近の農民諸君の協力を求めなきやならんと思うわけです。或いはこの風倒木のための融雪時の危険につきましても、これ又地元の諸君の協力なくしては絶対にそういうものの障害を乗越えて行くことはできないわけでして、こういう点が先般私ども参りましたときには、どうも営林署のような態度をとるなら今後山火事が起きてもわしらは協力しないと、そういうまあこれは一時の放言ですけれども、そういう声さえも出ておつたような状態なんでして、この点はその後長官がおいでになり、或いは本庁から係官の人がおいでになつてうんと変つて来たということは私どもも承わつておりますけれども、まあその点くれぐも地元の災害を受けた農民、而もこの災害を受けた農民と林野庁国有林の仕事とは今後も多面的に繋がつて行かなきやならんということから、大きな方針を打出して頂きたいと思うのです。それから只今の報告の中に、法律の許す限度で災害地の救助を考えて行くということでありましたが、まあいろいろこの他の面におきましても、この冷害、風害の救済のためには特別立法もできるし、特別な臨時的な措置も行われるわけですが、そういう点、法律の許す範囲というその法律がどういう法律か私知りませんが、例えばこういう法律のこういう点について今回特例を行うならばそれならばもつと災害を受けた諸君のために温かい手が差伸べられるのだというような問題でもございましたら、どうも私ども素人でわかりませんから、お教え願いたいと思います。
  29. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 只今指摘の点に関しましては、私どもも常々十分地元との有機的関係については徹底を図つておりまするが、一面におきまして、まあ何と申しましても平常の場合に過誤を犯すということに対するまあ過敏さと申しまするか、極力間違いを起さんように進めるということを第一義にいたし過ぎる結果、場合によりますると、適切を欠くような問題もないとは言いかねるのでございまして、今回のような非常の場合におきまする措置といたしましては、妥当な限りにおいて現場において裁量してお役に立つようにということを徹底いたして参つた次第でございますが、当初において多少法規にとらわれておつたという傾向がないとも言いかねることを大変恐縮に存じておりますが、現状におきましては、現地の連中も十分その点は徹底いたしまして、迅速な処置をとりつつあると、かように考えておりますが、なおこの点については一層督励をいたしまして非常事態に対処いたしたいと存じまするが、それに関しましても、まあ法規の許す範囲と申しまするのは、いろいろな資材或いは原木等の売払に関しまして、地元の町村長がお引受を頂く場合には無担保延納の措置がとれる、これらも御相談いたしまして、先ず差当り資金を要しないで御利用願うという方法考える。或いは公共施設の緊急復旧に関しましては、災害救助法の適用地域につきましては減額措置も講ずることができるということになつておりますから、これは精いつぱい御利用願う、まあこういうことにいたしておるわけでございますが、ただ個人の、例えば今回のごとき冷害に加えて風水害で、特に風害で非常に痛められました農家の施設の復旧、個々の農家の施設の復旧につきましては、減額等の措置は法規の上では実はできないわけでございます。一面におきまして、この未曾有の風倒の処理と合せますと、これを通じて役立てるためには、それらの措置を新らしく立法措置を講ずるならば更に円滑に参る、なお延納期間は従来でございますと、国の所有する樹木については最長一カ年以内ということになつておりまするが、必要によりまして、いま少し据置等を考えるという措置を講じますれば、農家の復旧或いは経済復興のために相当役立て得るのじやないかという気もいたしますが、それらの点は若し必要がありとすれば立法措置を要する、こういうことになるわけでございまして、現在の限度におきましても相当御利用は願えると思いますが、もう一歩突つ込む必要がありはしないかということ等についてもいろいろ検討はいたしておりますが、それらの点、又私ども考えを御参考に書面で差上げるということにでもいたそうかと考えております。
  30. 江田三郎

    江田三郎君 町村長、町村という単位だけでなしに、例えば農業協同組合というようなものは、その際の一つの特典を受ける単位にはならんわけでございますか。
  31. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 現在におきましては、無担保延納の措置は市町村長に限られておるわけでございます。
  32. 江田三郎

    江田三郎君 只今の延納期間一カ年というのは、実際岩内であるとか、それから相当この家屋倒壊等が集中しておる所では、実際問題として一カ年でとても行かんということは常識でわかるわけでして、そういう点を、林野庁はそこまでの仕事じやなしに、今処分するのは林野庁ということで、あなたのほうから積極的にどうこうということではないかも知れませんが、それにしても何か現地の実情を御覧になり、それから災害対策連絡本部へ集まつて来る他の省からの意見も聞かれまして、あなた方のほうでこの延納期間についての特例というような臨時立法を提案されるという御意思はございますか。
  33. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 実は必要の程度というものを我々で把握しかねておりまするので、或いは必要の程度によりましては政府提案も必要がありはしないかということを想像して、現在のところでは案を練つておる、こういう程度でございますが、今直ちに提出すべきかどうかという問題を検討いたしておりまするのと、いま一つ、特別会計として実は私どもお預かりいたしておりますので、その辺の処理についていろいろ又検討を要する問題があると考えております。
  34. 江田三郎

    江田三郎君 それから融雪時なり、今後の洪水時の危険のための川の掃除やいろいろなことをして行かなければなりませんが、これは一種の救農土木的な性格を持つと思うのですが、そういう仕事はこれはどうなるのですか。特別会計の中でやつて行かなければならんのですか、それとも一般会計の行うで担当すべきことなんてすか。
  35. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 国有林内におきましては、国有林野事業として従来も実施たしてわりまするし、今回も国有林野事業特別会計で実施する計画をいたしております。
  36. 江田三郎

    江田三郎君 ところがその予定の枠内ではそういう点が非常に制約があつて、まあ特別会計の補正をやつて行けば別ですが、何かその補正を避けて今の枠内でやられようとするがために、当然必要なものが残されるということにはなりませんか。
  37. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 二十九年度につきましては、予価費、まあ現存全部予備費に入つておりまするが、節約とを合計いたしまして十二、三億ございますが、これは事業計画外に保留いたしておりまするものを、大蔵省の大体了解を得ましたので、これによりましてプラスいたして処理できる見込みでございます。
  38. 松浦定義

    ○松浦定義君 大体今の長官の御説明被害に対する対策も一応わかつたのですが、第一に五千五百万石という厖大な数字は、現在国有林が持つておられる総石数のどれぐらいに当るものですか、この点を一点伺いたいと思います。
  39. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 現在北海道の国有林で持つておりまする蓄積は十四億三千五百万石余になつておりまするので、約五千万石でございまするので、三・数%ということになるわけでございます。
  40. 松浦定義

    ○松浦定義君 それでいろいろ今年度の処理の事情等をお伺いしたのですが、大体三カ年かかる、こういうお話ですが、いろいろ現地のあれを私ども聞いてみますと、その地帯によつては五カ年も八カ年もかかるというような、特に今の大雪山系の一千五百万石というようなところは三カ年にやろうというようなことになれば、いろいろ事業別な計画等がここへ集中されなければならんのですが、そういうことがなし得るのかどうか、そういう点についてはどういう御見解を持つておられますか。
  41. 柴田栄

    説明員柴田栄君) お話通り地域によりましては、実は例えば上川の層雲峡上流地域のごときは、如何なる方法を講じましても三カ年で全部を処理するということは不可能でございましてそういう地域があと一、二残るかと存じますが、全体といたしましては、もう大部分はニカ年で処理いたしたい、三カ年に亙るものは極力少くいたしたいというつもりでおるわけでございますので、局地といたしまして、さような問題が起りますが、全体としては大体三カ年で処理できる見込みでございます。
  42. 松浦定義

    ○松浦定義君 それで私まあ小さいことのようですけれども、お伺いいたしたいと思うのですが、今度の農林省の災害対策の要綱のこれは十ですが、今国有林の風倒処理のほうで特別の処置を講ずるということは今御説明のあつた通りだと思うのですが、その事業に対して被害農家の能力を吸収するということは、先ほど説明の八十万人という中にこれは無論入ると思うのです。ところがいろいろ農家の実情によりまして、どうしても今年は、例えば不作でありましても、いろいろ圃場の整理から行きましても、十一月いつぱいぐらいにはそういうのは出られないというのが多い、或いは又本当の冷害を受けた農家は手間がなくて出られなくて、多少の余裕のある人が或る程度廻るというような実情があるわけですが、いずれにいたしましても、そういう人が出るということになりますと、自分の町村近くへ家から通うということは不可能である、従つて遠く離れていろいろな方面へ出稼ぎ的な就労をしなければならんが、その場合にただ体だけ行つていい問題と、或いは又搬出とか、いろいろな面で或る程度それに対する用意を必要とする面があると思うのですが、そういう出動に対する、稼働に対する支度金といいますか、こういうものを必要とするようた業務も当然そこにあると思うのですが、そういう場合には、事前にそういうようなお考え一つそちらのほうでお持ちになつておられるか、そういう点がどうしてもできないから、そつちでやれということになると、折角のそういうものに出られないというような農家の実情なんですが、こういう点の御配慮はどういうふうにお考えなつておりましようか。
  43. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 北海道におきまして冬季間に山仕事は大部分慣れておられるので、大体八十万人を消化できるという目標を立てておりまする中で、熟練技術を要すると思われまするものが四分の一、二十三、四万の延べになると思いますし、その他は熟練を要しない作業で就労して頂ける、こういう見込みでおりますので、実情からいたしますと、新らしく山仕事に出て頂くかたに特に道具等を御準備頂く必要は大体ないと思うわけでございますが、それで器具につきましては、伐木、造材のごとき仕事はそれぞれの技術を要しまするのと、それぞれの体質に相応する道具或いは特異の道具等がございますので、これは労務者持ちということにいたしておりまするが、その他の器具は役所持ちになつておりますので、そういう場合に大体において初めて出るかたは道具なしでおでかけ頂いても間に合うというふうに考えておるわけでございます。
  44. 松浦定義

    ○松浦定義君 まあ非常にこれは小さい問題なんですが、例えばそういうような技術的な面については、できるだけ素人でもできるようなほうへ廻すということはわかりますが、例えば寒い時期になりますので、飯場生活をやる場合には衣類或いはふとん等は当然これは相当な用意をしなければならんということで、そういうような所へ行く人は恐らくふとんもないような農家が相当あると思うのですが、そういう点は非常に心配なんですが、そういう点は何かそれは特殊な地帯においてはいろいろ施設もできるかも知れんけれども、そういう点はこれは町村等に、そういう面も十分一つそちらからも協力をするようにというようなこともしてもらわないというと、ただ単に行く者が困つた、農家だけでは私は解決がつかないと思うので、従来そういうことをおやりになつたことはないと思うのですが、こういう場合ですから、何かそういうような方法一つ講じてもらう必要があるのじやないかと、こう思つておるわけなんです。
  45. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 個人のふとん、衣類まで準備した例はないわけでございますが、それらの点はどういうことになりますか、実際にそういう問題で就労不可能だとすれば、当該町村等とも相談して、何とか就労して頂くような措置を御相談申上げなければならないかと存じておりますが、従来それまでの例は実はないわけでございます。
  46. 松浦定義

    ○松浦定義君 これはちよつと笑い話のようですけれども、北海道なら北海道の冷害対策に、何とかして冬季間に二月平均二万円ぐらいの賃金を得たい、又得させなければならんということなんですが、そうすると、その間で一万円もふとん代とか、いろいろなものでかかつてしまつたのでは行かないほうがいいのだということになつてしまうので、そういう意味で今の五千万石も、まあ国家のあれがなくなつておるときに、少しでも出すことによつて、その失われるものがそういう方面べ生きて行くなら非常に私はいいのじやないかと思うので、特段の考慮もやはりそういう面に払つてもらいたいということを、まあ頭の中だけにでも一つ置いておいてもらいたいと思うのです。
  47. 石川清一

    ○石川清一君 今長官から平面的なお話を聞いたのですが、実際今度の風倒木の処理を、現在北海道の開拓地或いは山岳地帯の深刻な冷害地帯と結付けた場合、その場合町村長がどうしても主として動かなければいかん。従つて町村長は、いわゆる救農土木事業が普遍的に山岳地帯には行われませんから、そういう所ではそういう就労者を募集する、そうして風倒木の処理に向ける。併しそういう場合に現物が欲しい、薪炭林が欲しい、薪が欲しい、或いは補修材が欲しい、或いは学校の建築材が欲しい、まあこういうようなので労力と交換をする、賃金をですね。賃金の金をもらつてその処理を町村が行う、こういうような形で労力を募集し、或いは風倒木を処理する場合に町村長が非常に動きやすいのじやないか、又それが現地に即したように行われるのでないかと思いますが、今までそういう形で労力を提供してもらつて、その代償に木材或いは立木を渡したというようなことがございますか。
  48. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 直接もので払つたという例は実は一回もないわけでございますが、まあこの際考えておりまするのは、薪炭資材等に末木枝条を御利用願う場合には、薪炭資材ということでなく、私どもの総合的な事業の支障除却ということで御利用を願うという考え方を持つておるわけでございますが、飽くまでも就労対象という解釈でなしに処理させて頂くということに相成ろうと思うわけでございます。
  49. 石川清一

    ○石川清一君 昨日政務次官が炭窯を八百六十基ぐらい作りたい、こういうようなことを言われましたが、この炭窯は風倒木の処理と相当結付けて計画的にお考えなつておるのか、それとも漠然と出ておるのか、この点お伺いしたい。
  50. 柴田栄

    説明員柴田栄君) まあ風倒木の処理も勿論でございまするが、風倒木の処理によりまして就労の機会を得られない地域を大体主体に実は考えておるわけでございまして、そういう地帯も実は相当広くあるわけでございますので、昨年実施いたしましたような冬季間の現金収入を稼ぐ途として薪炭生産事業をして行きたい、そういう地域に対しまする炭窯補助ということを実は主体考えておりますので、若し末木枝条を除去するということで製炭する場合には、或いはそれを償却するというような手段で国有林野事業としての実行も実は考えられるということなので、そこは実は対象にはいたしておらないと申上げるほうが妥当じやないかと思つております。
  51. 石川清一

    ○石川清一君 先ほど特に明春を控えて石狩川上流地域の大量な風倒木のために起きる春季の災害について御心配になられておるようでありますが、その点私も同感でありまして、特にこの点は北海道の開発局と今のうちから共同に調査をしまして十分の処置をするなり、或いは水防組合を十分今から春に待機できるようにせにやいかんと思つておりますが、その点についてお話合なり、共同で現地に調査されるようにいたされておりますか、お伺いいたします。
  52. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 北海道庁並びに開発局には、すでに先般参りましたときにそのことを申しまして、現地において具体的な対策を総合的に協議して頂くという手段をとつておりまするが、更にこちらへ参りまして、まだ実は打合せをいたしておりませんが、建設省河川局を中心といたしまして、総合的な対策を打合せるつもりでおります。
  53. 石川清一

    ○石川清一君 最後に一点お伺いしますが、昨日政務次官が、先般北海道で陳情がありました国有林の下草の処理について、何か無償で払下げるような、無償にするという通牒を出した、こういうようなお話であります。ところが現地ではすでに料金をお払いになつておるようでありますが、若し無償であれば今までお払いになつている下草の代金をお返しになるのですか、どうですか、この点についてお伺いいたします。
  54. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 払下げるという場合に、実は無償の処理はないわけでございますが、除去をお願いいたしておりますので、(笑声)除去の分については無償で御協力を願う、こういう処置に御了承を願いたいと思います。
  55. 石川清一

    ○石川清一君 それでは除去に協力をしたのに誤まつてその金を払つた、間違つてつたのがありましたら、それは除去だから頂けないのだといつてお返しになる、というよりも元へ戻す、こういう処置をおとりになるのが正しいと思いますが、そういうふうにして頂けますか。
  56. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 誤まつて収入したということになりますれば、当然これはお返しすることにたりますので、その辺一つ早急に具体的に支出を調査いたしまして処理いたします。
  57. 横川信夫

    横川信夫君 今度の風害によりまして道内に相当大量な丸太が生産されるわけですが、これは道内だけで消化し得る見込みがあるのでございますか。
  58. 柴田栄

    説明員柴田栄君) 今御指摘の点については各方面から非常に、まあ価格の調整上或いは全体の需給上どうするかという御心配を頂いておりまするが、まあ一面におきまして針葉樹等については、全体的にも、多少北海道においても現在不足をいたしておりまして、特にパルプ用材、坑木等は内地からも持込んでおるような状況にありますので、それほど大きな……、結局におき、まして最後には全体で二百万石程度の増という見込みでおりますが、半分くらいは道内で消化して、救済復旧等で丁度いつぱいになりはしないかと思つております。一部については内地のほうの、例えばパルプ用材等には特別の処理をするほうが妥当であるのではないか、こう考えておりますが、それは情勢によりまして相談をいたすということによつて混乱を避けたいと、こういうふうに考えております。
  59. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは林野庁長官に対する御質疑はこの程度にいたしまして、午前中の委員会で御協議を頂きました災害対策に関しまする申入の案を作成いたしてみました。極めて短時間の用意でありますので、問題が重要であり、複雑でありまするだけに、漏れておりまするような箇所もあろうかと存じますので、本件を御審査を頂きたいと思います。一応懇談の形式で御審査を願うことが便宜かと思いますので、さような取運びにいたします。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  60. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。  それでは今後の日程につきましてお諮りをいたします。予定いたしました議題中、予算に関する件と食糧関係が残つておるのであります。予算の関係につきましては、関係の政府当局が衆議院委員会或いは今次の災害対策に関連いたしまして緊急措置を要する問題等について、大蔵当局と折衝中のために出席困難ということであり、食糧関係につきましては、食糧庁長官は扁桃腺で病臥中であるということでございまするし、他の部長の諸君も海外出張或いは昨日までの知事会議等のために本日は欠席というようなわけでありまして、いずれも政府当局の都合によつて質疑を行うことが困難な情勢でございますので、食糧関係については更に折衝をいたしまして、明日出席を求めて質疑をお願いいたしたいと存じますが、若しさようなことが不能の場合には、いずれも次回の委員会に譲らざるを得ないということになりますので、さよう御了承を願い、農林大臣、大蔵大臣は明日閣議の終了次第出席をされるということでございますので、明日は両大臣を中心に御質疑を願うことに取運びをいたしたいと思います。なお、申上げましたように、食糧関係の審査を行い得るといたしますれば、その前に行われるわけでありますので、明日は正刻の十時から開会をすることにいたしたいと思いますので、お含みおきを頂きたいと思うのであります。  そういうような関係でございまするので、本日はこれを以て散会いたします。    午後三時三分散会