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説明員(
羽田武嗣郎君) 本日は大臣がお訪ねいたしまして、詳細に御
報告を申上げるはずでございますが、丁度米の供出割当の
知事会議が昨日に引続いて目下開会をいたしておりますために、私より代りまして申上げたいと存ずるのであります。
農林省といたしましては、今回の本年度の北海道の
冷害、それから第五
号台風以後の重なる
台風被害に対しましては、非常に重大に考えまして、大臣といたしましても、
九州、並びに北海道に、
現地を親しく
調査いたしまして、なお係官をそれぞれ派しまして、県の
報告、或いは農林省出先の者を督励をいたしまして、
被害の
調査対策を願
つておるような次第であります。
そこでお手許に配付を申上げました二十九年度
災害……、
冷害を含んでおりまするが、この
対策の要綱につきまして御
説明をいたして、御了解を得たいと思うのであります。これは去る十六日の日に農林省として決定をいたしまして、加藤
対策本部長のお手許まで提出をいたし、同時に又内面的に大蔵省とも予算の折衝を開始をいたした、こういうような
状態でございます。
先ず第一に「公共
施設の
災害復旧は、三、五、二の
復旧率により速かに着手するものとし、早急にこれに必要な繋ぎ融資の予備費の支出をする」。というのがございますが、御承知のように、三、五、二の問題については、昨年も
大分問題になりましたが、何とか三、五、二の
復旧の割合でや
つて行きたいと、こう存じまして、目下大蔵省と折衝を続けておるような
状態でございます。それから早急に必要な繋ぎ融資を予備金より支出する問題でございまするが、各県から正確に出て参りましたるこの
被害の額を農林省が十分検討いたしまたしものは、まだ五
号台風だけでございまして、それ以後のものは今月の二十日頃、ですから本日を期しまして各県から数字が申達をされるというような
状態に
なつておりまして、まあ繋ぎ融資の五
号台風に対しましては、大蔵省との話合いで、一億円くらいが大体きまりつつあるような、固まりつつあるような
状態であります。それから次の第二の、農林水産業の
施設(漁船、漁具を含む)の
被害については、農林漁業金融公庫の融資によるものとし、これに必要な資金を確保するため投融資節約の中止、農林中金に対する肩替りの見送り、増資等を行うこと。」この農林水産業の
施設の内容は、言うまでもなく協同組合の倉庫とか、
建物とか、或いはこの養殖の
施設とか、先ほどの畜舎、或いはサイロ、或いは農舎、それに漁船、漁具等を含んでおりますが、こういう農林、水産の
施設の
被害に対しましては、農林金融公庫の融資によ
つてやろう、融資による方針でございまして、これに必要な資金を確保するために投融資節約の中止、本年度の四月になりまして皆さんの御協賛を得ました予算を、更に五分乃至一割くらいを節約をいたしましたことは、御承知の
通りでございまするが、そのために予定したものより約十億の節約に
なつておりまするが、この節約を中止をいたしまして、やはり資金源として確保したい、こういう
考え方で進んでおるのでございます。それから農林中金に対する肩替りの見送り、増資等をいたしまして
施設資金の確保を図りまして融資の資金を確保したい、こういう方向でおる次第でございます。「なお公庫融資の増額により、なお資金が不足するときは三に準ずる立法措置を講ずること。」という項がございまするが、右の公庫の融資の増額で、なお賄えないという場合においては、やはり系統金融機関から融資をさせるようにいたしたい。そのためにはどうしても立法措置をいたしまして利子の補給、損失の補償というような途を講じなければならない、こう考えておるのであります。それから「開拓(魚田開発を含む。)者住宅等入植
施設の
復旧については補助の特別措置を講ずること。」開拓者はまだ入植間もないかたがたでございまして、貯えもございませんし、
関係縁者も少いのでございまするから、こういうかたの住宅の
災害に対しましては特に
助成を申上げなければいかん、こういうような
考え方で、この住宅
災害の
復旧については
助成をしようという方向で大蔵省に折衝を進めておるような次第でございます。
それから第三の、「
被害農林水産業者の経営資金については、利子補給、損失補償(補償率は引上げる。)等の立法措置を講じ、系統金融機関から融資を行わせること。」これがため「必要により農林債券の資金運用部引受枠(来年度)を増大する等の措置を講ずること。」の項でございまするが、これは先ほどの
施設資金に対しまして、今度は
営農資金というべきものでありまするが、農林と水産がありまするから経営資金と、まあ大きく経営資金というておる次第でございまするが、この農林の
営農資金、水産の経常資金につきましては、利子補給系統機関から融資をする方針の下にそのために利子の補給、損失の補償というような処置を講じたい、こう考えて、このためには立法措置が必要に
なつて参ると存ずるのでございます。で、この補償率を引上げると申すのは、やつぱり開拓者に対しまして、開拓者並びに岩内の火災でやられた人たちに対しまして、従来の補償率の四割を六割
程度にまで引上げまして、そうしてこれらのお気の毒なかたがたに対する又立ち直りの力を与えるように措置して行きたい、こういう
考え方でおるのでございます。これがため必要なる農林債券の資金運用部引受枠を増大する処置をとりまして、そして資金の潤沢を期して行きたい、こう存じておるのでございます。「前年に引続き
被害甚大な地域の開拓者に対する右の融資については、三年以上の据置期間を設ける等特別措置を講ずることとし、これがため必要な資金について財政措置を講ずること。」去年も
冷害に会い、或いは災吾に会い、今度今年も又というような
被害甚大なる地域の開拓者資金に対する融資については、この
営農資金が従来据置というものがなか
つたのでありまするが、何か三年以上の据置期間を設けるような特別な方途を講じまして、そうしてこれらの力の弱い同胞に対する処置を講じて行かなきやならんというふうに考えておるのでございます。それから「二十八年
災害に関する特別措置法により融通を受けた農林漁業者で再び
災害を受けたものについては、本年度償還分について延期しうるごとく措置すること。」これは昨年の
災害の特別法によると、本年並びに来年二カ年で融資のものを返す、償還をするということに
なつておりまするが、引続いて又今年もやられたというような次第でございまするので、これを一年間延期をいたしまして、三年で今年の分を元金をもう一年延ばして来年、再来年というように三年に延期をいたしたい、こう存じておるのでございます。それから四は「
被害農家の食糧不足するものに対しては、政府手持主要食糧を払下げ、代金
延納等の特別措置を講ずること。」これは昨年度も実施いたしまして非常に
農家の安心を受けたのでございまするが、これもこのたび又このたびの
災害に対しましては同様に処置をいたして、政府のものを無担保で、無利子で以て現物をお貸しいたすという特別措置を講じて行きたい、こう存じておるのでございます。
それから第五は「
被害農家が水陸稲、雑穀種子等不足のため再生産に支障を来たすものについては、特別の措置を講ずること。」従来の例によりまして稲の、
只今も
江田さんからも御心配がありましたが、種子につきましては、稲の種子については十割の補助をいたしたい、こう考えております。それから雑穀については開拓者については三分の二、なお北海道については二分の一の補助をいたすような方途を講じたい、こういうふうに考えましておる次第でございます。なお種子、籾その他の集荷につきましては万遺憾なきを食糧庁においても期しておるような次第でございます。それから第六、「
農業災害の甚大なる地域については、
実情に応じて救農土木事業、開墾作業等を実施すること。」
農家の農産物がとれないのでございまするから、ここに何とか金銭収入の途を得まして生活の途をつけなければならんという意味におきまして、甚大なる地域については
実情に応じまして救農土木事業をやりたい。大体の予定はこれは今のところで二十八億ぐらいの予定をいたしております。北海道については十四億九千万円ぐらいのものを予定をいたしておるのでございまするが、これは内容は土地改良とか開発事業とか或いは林道、こういうような事業をいたしまして金銭収入の途を得ると共に、今後の営農に大なるプラスをなすようにという
考え方で進んでおるような次第でございます。
それから七は「
災害に伴う異常発生の病害虫防除については、特別の措置を講ずること。」ということにいたしております。それから八は「
冷害の甚だしい地域については、
耕地防風林を設置すること。」をいたしておるのでございます。それから第九は「
冷害の甚だしい地域については、水稲健苗育成、及び耕土培養事業を実施すると共に水温上昇
施設の設置を図ること。」この保温折衷苗代或いは保温の温床苗代、こういうようなものが
冷害の
対策とし又多収穫の
対策といたしましては、もう成績がわ
かつておるところでございますしいたしますので、こういう北海道、それから青森
地方の
冷害地に対しましては、特にこの施策を進めて行き、及び耕土培養事業をいたして行く。そうして今後の土地改良に資して行きたい、こういう
考え方でございます。又温水溜地の
施設の設置を図るように推進をいたして行こう、こういう
考え方でおる次第でございます。
第十の「国有林の風倒木処理等のため特別の措置を講ずると共に国有林野事業において極力
被害農家の労力を吸収すること。」今度の国有林の中で風倒木は北海道において五千万石もやられました。それから内地におきまして五百万石もやられたようなわけでありまして、非常な
被害を国有林としても受けておるのでございます。こういうような処理につきましては、
被害農家の金銭収入の途を得るという
考え方で、
農家の協力、労力によ
つてこういうものの処理をいたすことに努力いたそう、こういうふうにいたして一面に救農土木と言いますか、救農の事業としてや
つて行きたい、こういうふうに存じておる次第でございます。それから第十一の「林業者に対する伐採調整資金の増額の措置を講ずること。」森林法による老齢林を切りたいというようなかたが、どうしても
冷害が続いたりいたしますとますます多いのじやないか、こう考えておりまするが、昨年は二十五億円の伐採調整資金がございましたが、本年は二十一億円の予算に
なつております。そこでこういう
冷害或いは
台風の
被害、こういうようなことでこれを増額をいたして、もう少し本年度の予算の増額をいたしたい、こういう
考え方で進んでおるのでございます。大体三億二千万円くらいを一つ増額したいという希望を持
つておるのでございます。それから十二の「
農業災害補償法及び漁船
損害補償法による
保険金については速かに本払い又は概算払いを行うこと。」先ほどどなたからかお話がございましたのですが、この
農業災害並びに漁船の
損害補償法による
保険金についてはできるだけ本払いを早くやりたいと思いますが、ただ放
つて置きますと又来年にも
なつてし
まつて目的を達しませんので、できるだけ各府県にも、町村にも督励をいたすと共に、若し本払いのできないものに対しては概算払いの途を講じまして
関係者の自己資金の造成を期したい、こう考えておるのでございまして、目下各
地方庁に対してその督励をいたしておるような次第でございます。
被害数字を出すことを督励しておるような
状況でございます。それから「漁船
災害保険の義務加入制度の対象を現行二十トンを百トンまで引上げるよう法的措置を講ずること。」これはこの十九国会で御承知のように補助金の整理の法律において百トンを切下げて二十トンにいたしましたが、やはり今回の
災害に会いまして、やはり百トンまで引上げるように法の改正をして義務加入を百トンまでさせるというふうにいたして行きたい、こう考えておるのでございます。
それから十三の「
冷害による
災害の甚大な地域については、薪炭林の特別払下げを行うと共に炭がま設置の国庫補助を行うこと。」これは昨年もいたしたのでございまするが、薪炭林に対しては国有林の計画伐採以外に新らしくそれを殖やしまして払下げを行う、又炭がまに対しましては北海道にだけ今度はやりたい、こう考えておりますが、まあ予定としては八百七十基ぐらいの一つ補助をいたしたい、こういうふうな
考え方で進んでおるのでございます。それから十四の「畜産の飼料確保のため、特別措置を講ずること。」先ほ
ども江田さんからの御指摘にありましたように、今年北海道あたりにおいては飼料まで不作である、とれない、殊に熊笹が六十年の花が咲いて枯れてしまうというような
状態でございまして、誠にこの畜産業にと
つては由々しい
状態にございますので、こういう飼料の確保のために来年の飼料の種を一部補助をしたい、こういう
考え方でおります。青豆とか、飼料用のとうもろこし、レツド・クローバー等の種子に対する国庫補助をしたい、こういう
考え方でおるのでございます。それから先ほど北海道を御
視察の
江田さんの御
報告にもありましたが、国有林の下草の、営林署が従来の
考え方で野草もないときに如何にもむごたらしい役人根性であるというお叱りを受けましたが、実は自由党の政調会のほうで
視察をいたしました
報告がありましてすぐに林野庁長官からこれを第一線の営林署に通達をいたしまして、今年は一束幾らというようなことでなく、只で以てどんどん草を元気のあるうちに刈らせるという措置を敏速に講じているような次第でございまして、その点は御安心を頂きたいと存ずるのでございます。
それから第十五は「供出割当の適正と公平、
災害対策適正迅速を期するため
災害時における
農作物の
被害調査の
施設を整備拡充すること。」これについては随分御非難もございますが、何しろ年々行政整理のときには槍玉に上
つて非常に不安な地位におりますし、人員整理を
相当しているというような
状況でございますので、こういう
災害になりまして速かに数字を出して、そうしてどんどんと
対策を練るというような場合にはやはり人員の整理ということが
相当大きな
影響があるのでございましてやはり或る
程度の適正な、余り贅沢なことは申しませんが、或る
程度の稼働力を持つようなふうに統計
調査部の
施設を整備拡充するというようなことがやはりこういう年になるとやや痛切に感じられますので、こういうこともできるだけ今後に備えて行きたい、こういう考えを持
つてこの項を挙げた次第でございます。十六は「
農業気象観測及び
試験研究の充実化を図ること。」これは
農業気象観測とい
つて別に農林省の系統機関において観測所を設けるという意味じやございませんので、気象台に十分連絡をいたしまして、過去におけるところの気象のデータをどんどんもらいまして、そうして
冷害の予測というようなものの資料にいたして行きたい。それから又
災害の
試験研究の
施設を充実をいたして、そうして
冷害のあ
つた場合においても最小限にこれを食い止める、或いはこれを予知して
対策を講ずるようなふうに持
つて行きたい、こういういわば恒久的な
災害対策と申しますか、そういうふうなことをいたして行きたい、こう存じているのでございます。それから十七の「麦類の緊急増産を図ること。」というような以上の十七点を、項目を差当りまして農林省としては決定をいたしまして、
対策本部に提出をいたしてその実現を期したいと考えておりますが、なお又これに漏れている点につきましては又新たに検討をいたして本部のほうに出して大蔵省とも十分な連絡をいたしまして予算の措置も講じて行きたい、こういうふうに考えている次第でございます。
以上大綱につきまして御了承を頂きたいと存ずる次第でございます。