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1954-10-19 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十九日(火曜日)    午前十時五十七分開会   ―――――――――――――   委員の異動 九月二十四日委員松浦定義辞任につ き、その補欠として鈴木一君を議長に おいて指名した。 九月二十五日委員横川信夫辞任につ き、その補欠として鹿島守之助君を議 長において指名した。 九月二十七日委員鹿島守之助君及び江 田三郎辞任につき、その補欠として 横川信夫君及び森崎隆君を議長におい て指名した。 九月二十八日委員森崎隆辞任につ き、その補欠として江田三郎君を議長 において指名した。 十月四日議長において田中啓一君を委 員に指名した。 十月十五日委員菊田七平君辞任につ き、その補欠として石川清一君を議長 において指名した。 十月十九日委員鈴木一辞任につき、 その補欠として松浦定義君を議長にお いて指名した。   資格消滅 九月二十四日委員関根久藏君議員の資 格が消滅した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            重政 庸徳君            宮本 邦彦君            江田 三郎君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            横川 信夫君            飯島連次郎君            岸  良一君            溝口 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            石川 清一君            松浦 定義君            鈴木 強平君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       倉田 吉雄君   説明員    厚生省公衆衛生   局環境衛生部長  楠本 正康君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農業改良   局植物防疫課長  堀  正侃君    農林省畜産局経    済課長     昌谷  孝君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○農林政策に関する調査の件  (飲用乳処理基準改正の件)  (酪農振興の件)  (乳価維持の件)  (農薬の件)  (農事用等電力料金の件)   ―――――――――――――
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは、只今から委員会を開きます。  最初理事補欠互達の件についてお諮りいたします。  江田委員が先般委員辞任され、再び委員に選任されましたが、その間理事が欠員となつておりますので、その補欠互選を行いたいと存じます。その方法成規の手続を省略して、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 森八三一

    委員長(森八三一君) 御異議ないと認めますので、委員長から指名いたします。江田委員にお願いいたします。   ―――――――――――――
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、飲用乳処理基準改訂の件を議題にいたします。  現在厚生省が行なつておる牛乳取締りは、徒らに占領府政にとらわれ、殊更に無理を強制して、国情に副わないものがあり、これがために牛乳飲用普及を阻害し、牛乳生産過剰を誘発し、我が国酪農に重大な危機を招来するものであるとして、牛乳取締り緩和するため、厚生省令改正が強く要望せられておるのであります。厚生省当局におきましても、すでにその必要を認め、緩和改正方について言明されているとのことでありますが、未だ実現を見るに至つていないのでありまして、そこで本委員会におきましては、前回の委員会におきまして、即ち九月二十二日、飲用乳処理基準改訂に関して厚生大臣申入を行なつて、これが速かな実現を求められたのであります。  申入を御参考までに申上げますれば、    飲用乳処理基準改訂に関する申入   牛乳飲用普及促進のため、高温殺菌一般適用、容器の制限の緩和その他食品衛生法に基く飲用乳の製造及び保存方法基準を速急緩和改訂せられたい。   右当委員会総意を以て申入れする。   昭和二十九年九月二十二日         参議院農林委員会    厚生大臣草葉隆圓殿  なお農林大臣に対しまして    飲用乳処理基準改訂に関する申入   この件について別紙写のとおり厚生大臣申入れたから、右速かに実現するよう貴省においても尽力せられたい。   右当委員会総意を以て申入れする。   昭和二十九年九月二十二日         参議院農林委員会    農林大臣保利茂殿  というのであります。  本日は厚生省当局から右の申入に関する厚生省母体的措置について説明をお聞き取り願い、重ねて本問題の取扱い方につきまして御協議を願いたいと存じます。  最初厚生省から経過の御説明を求めることにいたします。
  5. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 只今お話経過につきまして概要を申上げます。  曾つて厚生省におきましては、昭和二十四年に省令五十三号という食品衛生法に基く厚生省令を公布いたしました。これによりまして只今指摘のような低温殺菌一本建とする方法並びに農家原料乳一定基準以下に冷やしておく問題、或いは成分中の規格というようなことを定めたわけであります。ところがこれらに関しましては、只今指摘のような日本現状、特に日本酪農との関係等においてかなりの無理がありますところから、その後私どもといたしましては、この省令改正いたしまして、先ず第一に、従来の低温殺菌一本建の方法緩和いたしまして、知事承認を得れば新興酪農地帯等においては高温殺菌を行い得る措置といたしました。  それから第二に、農家原料乳を保存いたします場合に、二十度以下に冷やしておくという点を緩和いたしまして、この点をむしろ何ら規定を設けないことといたしました。かような点を若干緩和いたしまして推移を見たわけでありますが、ところが現実にはなかなか各府県において知事許可を受けて高温殺菌を行うものは殆んど見られない現状であります。ところが昨年凶作気がまえ等から食生活改善ということが強く叫ばれるようになりましたので、又新たに私どもといたしましては、これらの省令の施行につきまして、各知事の認識を得るために特に次官通牒を出しまして、市乳地帯を積極的に育成してくれ、そのためにかような市乳地帯においては、むしろ進んで低温殺菌にこだわらず、バツク消毒等の簡易な消毒方法において市乳地帯を育成して頂きたいということを次官通牒を以て指示をいたしたわけであります。ところがその後も必ずしも十分かような方針が徹底せず、現在に至つておるわけであります。  そこで私どもといたしましては、現在これに対して如何に対処するかということが問題でありますが、これらの点に関しましては極く概要をお語いたしますと、一応農村等において、現在かなり余裕の出て参りました牛乳学校給食等によつてその消費を促進しよう、かようなふうに考えて目下研究をいたしておるわけであります。  以上従来の経過を簡単に申上げたわけであります。
  6. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今厚生省経過の御説明に関連いたしまして質疑のあるかたは御発言を願いたいと思います。
  7. 岸良一

    岸良一君 厚生省にお伺いするのですが、この前この席において具体的な案を示して頂きたいということで御要求したのですが、それはまだ準備が整わんというのですか。
  8. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 大体おおむねの方針はきまつておりますが、まだこれらの方針を具体的に省令等に現わすのに如何なる現わし方をしたらいいかという点でまだ研究が進んでおりませんので、本日資料を以てお答えすることはできませんが、併しかような含みで私どもも現在までまとまつておる点について喜んでお答えを申上げたいと思います。
  9. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私がこの前この委員会で以て御質問申上げたときに、岸委員から御要求なつたようなああいう形の要求に対しては、省令改正だけでは駄目な部分があると思う。法律改正にまで行かなければ駄目な部分が、できない部分があるのじやないかというような御答弁課長がされておつたのですが、その問題は御研究になりましたでしようか。
  10. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これは方針の立て方によりまして、場合によりますと省令改正だけでは十分でなく、法律改正を要する点もございます。例えば例を申上げますと、学校給食を実施いたします場合等に、これを許可をとらずに実施するというようなことをやろうと思うとこれは法律改正を要します。併しなから、もともとこれらの問題は仮にやるといたしましても、かなり施設をするわけでございます。どうせ行政当局指導は受けなければならんと思います。従つてこれは許可制があつたところで別にこの普及に支障はあるまい、かように考えておる次第であります。従つて現存のところは、私ども法律改正しなくても省令改正だけで問題が収まるのではなかろうか、こう考えております。
  11. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 この問題は、実は楠本部長は初めて私委員会でお目にかかるのでありまして、蛇足のようではあるけれども、少し根本的な問題から御意見を承わつておきたいと思う。ということは、戦後の日本食生活改善というような問題が取上げられて以来、酪農振興ということはその線に強く沿つてども農業政策の一環としてこれを委員会で取上げ、推進して来たように思うのです。そういつたときに、その成果が非常に現われて今日市乳が生産過剰の状態になつて来ておる。そういつたことは、これは今の日本としては何よりもよい状態生産状態が来ておるということだと私は思うのです。そういつたときにネツクになつておる問題がある。そのネツクになつておる問題は、消費拡大の面が比較的伸びていないという点じやないかと思う。根本的に私は楠木部長考え方と言いますか、基本的な考え方をここで駄目を押すというと大変御無礼な申上げ方かも知れないが、考え方を承わりつつ、この問題を進めて行きたいと思う。それで第一段階において、これは今日のこの実情において急速に消費拡大へを図る方途を講ずることは酪農振興の上からも必要であり、日本の全体の食生活改善という方向を広く基礎ずけて行く、展開する唯一の私は方法だと思うのですが、その点について御異論はございませんか。
  12. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 全く同感でございまして、私どももかねて食生活改善ということを叫びながら、僅か年間四百万石程度牛乳で、すでに消費が行詰つてしまうというようなことは誠に残念なことだと存じます。更にもつと残念なことは、折角ここまで牛の数も殖えて参りましたのに、今ここで又消費が行詰つて価格が暴落する、すでに現在しつつありますけれども、かようなことになりますと、折角伸びて来た牛が減つてしまう、こんなことをしていては価格が上り、又牛が殖えて行く、こういうようなことを繰返して行つては、日本酪農は勿論、日本食生活改善というようなことはもう百年河清を待つに近いものである、かように考えております。従つて何といたしましても、私どもは先ず牛乳を、折角伸びて来たものを更に伸ばすには、この際もつと一段と消費普及を図るということは全く同感であります。
  13. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 楠本部長考え方と言いますか、その御答弁に僕は非常に感激するものであります。そうして同感でございます。次いで私はその一つ方法として、戦後噂によればビーチウツドという人が来て低温殺菌というので殺菌する、これは消費面拡大という方向に対して一つの枠をはめてしまつたということは、これはもうゆがめない事実だと思う。承われば、低温殺菌という施設は相当設備費がかかり、余り日本のような貧弱な経済乳業者にとつては相当困難だということも承わつておりますが、高温殺菌でいけないという理由が今日なお解消されておらないでしようか、その点についてお伺いいたします。
  14. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 技術的に申上げまして、高温殺菌是か、低温殺菌是かということは、これはむずかしい問題であります。ただ比較的衛生思想も十分でないような地方におきましては、これはむしろ高温殺菌が望ましいとも言えると思います。併しながら、全体の理想から申しますれば、これは低温殺菌理想であろうと存じます。  ただこの低温殺菌の問題が一体日本現状に合うかどうか、殊に日本牛乳というものは、集約酪農地帯等から大量に出て来るという生産の形をとらずに、むしろ農村の努力によつて農村から滲み出して来るような感じのものが日本牛乳だと思います。又そうしなければ日本牛乳はたくさんにならない。してみると、ここで或る程度高温殺菌というものを積極的に奨励することがむしろ実情に即するのだというふうに考えております。従つてどもはかねてかようなことを行い得るように指導いたしておりますが、どういうものか実際にはなかなか行えない現状にございます。なお私どもは本年の当初、むしろ新らしい市乳地帯を形成する意味で、進んでバツク消毒等の簡易な消毒方法指導しろということを言つてございますが、これはむしろ今までかような実績は挙つておりません。この点は目下いろいろ研究をいたしておりますが、ただそれならなぜ一体こういう問題が非常にむずかしいかというと、これは私どもといたしましても、恐らく府県当局といたしましても、そこに何か今まで低温殺菌をやるのに非常に犠牲を払つて低温殺菌にこぎつけた人がかなりあるわけであります。むしろそういう人が今度猛烈に高温殺菌を嫌つて来るというような二つの大きな理由があろうと存じます。これは従つて余り無理なことをいたしましても、却つて混乱するだけで国民の得に余りならないのじやないか、この辺の調整をうまく図つて問題を解決しなければならないのじやないか、私どもはかように考えております。  それからもう一つ、成るほど立派な施設で立派な操作をすれば、これは勿論衛生上はいいには違いありません。併しこれもやはり実情に飽くまで即すべきものであつて、ここが私ども衛生当局のむずかしいところでありますが、一方衛生上の大きな理想を掲げますと、それがえて消費生産のほうに響く、といつて、その辺を余り線を緩めますと、今度又衛生上の危害が現われるというようなところでございまして、この辺をどこに調和点をとるかということが一つ行政上非常にむずかしいことだと、私どもはまあかように考えております。
  15. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私が聞いておるところによりますというと、大体日本の国のプラントというのは、一・五斗以下というような小さいものが五割も占めているというようなことを聞いておるのですが、こういつた小さいものの多い日本において、低温殺菌で完全な滅菌消毒なんということは、これは不可能ということのほうが本当じやないかと思うのです。現に実は私の調べました範囲においては、各県でやられた低温殺菌合格率を見ておりますと、合格率というものは非常に悪いのです。五割くらいは不合格なのです。というようなのが折々出ていると思うのです。現実的にこういつた悪い成績の低温殺菌状態があるとすれば、高温ではいけない。低温殺菌でなければならんというような、そんな理窟はすでに現実的には通用しないということが証明されているのじやないかというような実は気がするわけなのです。これは衛生当局理想としての考え方はわかります、はつきり言えば……。けれども、そういつた現状において日本の国で今何が大事かと言えば、やはり私は生産がタブついて、そうして酪農振興が逆に行きそうなときにおいて、これを放置するなんということはこれは大きな問題じやないかと思うのです。で、実はここに何と言いますか、厚生省技官恩田という人の「牛乳衛生」という本を見ますというと、こういうことが書いてある。「摂氏六十二度から六十五度というのは、従来の低温殺菌と称せられていた方法であつて、別に変りはありませんが、摂氏七十五度以上十五分間というのは従来の高温殺菌に代るものであると言えましよう。しかしいずれも殺菌後一時間以内に摂氏十度以下に冷却保存することになつているので、いままでの高温殺菌式のものは認められないことになります。」と、こう書いてあるのです。先ほど部長が、知事承認を得れば高温殺菌ができるというようなふうに省令改正はできておるんだけれどもというようなお話が実はあつたんでございますが、私が今まで申上げましたように、低温殺菌というのは何ら現実においてはその殺菌という効果に対して、そんなに現実的には的確なものじやないという実績があるんだということが一つ。この恩田というかたは厚生省技官と書いてあるのですが、このかたは高温殺菌知事承認を得ればできるということに省令改正されておるんだけれども、この人の考え方では、高温殺菌式のものは認められないことになりますと、こういう意見を持つておいでになるのです。そうしますというと、厚生省の内部に二つの一考え方があるんじやないかと思うのです。高温殺菌というのは知事承認を得ればできるんだと言いながら、実際にはそれは承認しないんだというような指導的な流れがあるんじやないかというようなふうに私どもにはとれるのです、はつきり申上げれば……。そこで私は従来府県知事承認を得て高温殺菌で現にやつておる県があるか、どうか、それからそういう出願に対して承認を与えなかつた例がおありかどうか、それを承わりたいと思います。
  16. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 第一点の牛乳製品規格の中に、必ずしも全部が規格合格しておるものでないという御意見がございましたが、私どももこれは全くその通り考えております。と申しますのは、現在の成分規格が余りにも厳格過ぎるためだと存じます。そこでこれらの点は今後若干緩和いたすことで目下省令改正を急いでおるわけであります。先ほど岸先生からもお話がありましたので具体的に申上げます。現在は大腸菌群はゼロということに相成つておりますが、今後は大腸菌群陰性と、こういうふうに書き改めたい、こういう今研究を進めております。これは大きな緩和になろうかと思います。第二点の、只今恩田技官のパンフレツトか何かの問題でございますが、恐らくこれは五十三号省令のできた当時の省令の解説ではなかろうかと存じます。できた当時は御指摘のように、これは高温殺菌は全然認めない方針で政令が作られたわけであります。ところがその後これがたびたび改正されまして、現在は、これは知事承認さえ得ればどこでも高温殺菌ができることに相成つております。而も私ども行政指導といたしまして次官通牒を以ちまして、進んで新らしい市乳地帯を育成するように簡易な消毒方法指導せよということを強く指導しております。にもかかわらず、只今指摘のように、私もこれは不思議なんですが、知事が今まで殆んど承認を与えておらない。北海道に一、二例ある程度は、知事承認を受けて高温殺菌をやつたというのは少くも内地には聞かないのです。これがどういうわけかと私にも実はわからないのです。そこでむしろかような方針謳つてつても、末端担当官等がこれを故意に抑えるのではなかろうかというような御意見のようにも伺えますが、私どもはかような点は余り承知をいたしておりませんが、今後併しさような行き過ぎの一方的な行政が行われないように十分に一つ指導をいたしたい、こう存じております。併し私ども故意に、かような申請があるにもかかわらず、それを不許可にするというような事例は具体的には聞いておらんのであります。
  17. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 部長の御説明で大体はわかつたような気がするのですが、わからない点が実はあるのです。今の部長がわからないと言つたその点がやはり私にもわからない。というのは、高温殺菌のほうが簡易である。そうしてそれはやれるんだということが省令謳つてありながら、高温殺菌承認がなされていないということ、このことなんです。これはまあ末端指導官が抑えているとは思えないけれどもという部長の御説明のように承わつたんですが、そうだとすれば、むしろ低温殺菌原則である、高温殺菌は場合によれば承認してやるという、そういう軽い意味において扱われておることに原因があるようなふうに私は思うのでございます。従つてこれはいいということになれば、何も低温殺菌原則だというふうな省令の書き方をする必要はないんじやないか。やはりいいものなら低温殺菌でもよろしい。高温殺菌でも同じようによろしいんだ。これは同格に許可の条件を、省令改正されればこれはそういう弊害が、心配が起らないという、部長の言われるような点が解消されるんじやないかというような気が実は私されるわけなんであります。いずれにしても、私どもは今日そういう細かいことは、技術的なことは私どもわかりません。けれども総論的に申上げますというと、部長の御趣旨は私どもが、期待しておるように消費拡大ということが必要であり、その方向というものを今日ここで打立てるということが緊急の問題だということはお認め頂いたわけなんです。私どももそれを第一番に要望しておるわけなんです。従つて省令改正という問題が必要になつて来るというようなお話でございますが、その改正をやるやると言つておられても、やるということはただ意思の表示であつて、十年先になつてやるのもやるのであり、明日やるのも実はやるわけなんです。明日やれといつてもなかなか事務的にもいろいろ手続きその他がおありなんでございますが、これは最小限度厚生省としてそれだけの御準備をなさるにはどのくらいかかるのでございますか。
  18. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 全く私も個人的には御意見同感でございまして、現在なるほど省令を読んでみますと、確かに低温殺菌原則であつて除外例として高温殺菌を認めておるというところが問題だと存じます。この点はよく私も了解ができます。然らば現在これを御指摘のように低温殺菌高温殺菌の二本建、いずれでもよろしいという制度にいたすことも方法かと存じます。ところが先ほどちよつとこれは触れさして頂いたんですが、現在すでに相当な資金を低温殺菌のために投入した業者もかなりあるわけです。かような人たちが仮に二本建いずれでもいいということになつたら、当然これは価格関係で圧迫を受けることになりますので、又そこで大きな問題を起して参ります。そこで私、何だいくじのないやつだとおつしやるかも知れませんが、併しやはり余り況乱を起さずに問題を解決して行きたいというのが考え方でありますから、そこで実は余り無理なことをせずに、逐次その方向に持つて行きたいと、こういう考え方で進んでおります。若しここで今強行いたしますと、必ず又すでに資本を投下したものの補償の問題等が強く要求されて参ります。まあかたがたそんな関係から、これはどの程度に実施するかということは実はなかなかむずかしい問題でありまして、おおむね二通りの考え方があろうかと存じます。一つは、地域を限りまして低温殺菌地帯高温殺菌地帯を分けて行くということならば、地域の線の引き方によつてはこれは余り大きな政治問題も起さずに解決できるんじやなかろうかとも思います。もう一つは、これはもともと酪農地帯牛乳が主として余つて来たんだから、そこでむしろかような地帯学校給食等に便宜を与えて行くというような方法でやつても或る程度行けるんじやないか。高温殺菌地帯低温殺菌地帯地域を限ることはなかなか困難だ、そこでそれなら学校給食あたり一つ積極的にやつて行つても、この辺の問題は解決するじやないか。目下私どもといたしましては、その二者のうち後者の集団給食に簡易な方法牛乳を提供するということで一応問題を解決したいというのが大体の方針でございます。それから次に、これらの改正をいつやるかという問題なんですが、これはまあ割切つてしまえばいつでも極めて簡単でありますが、やはりいろんな事態を考えますと、なかなか割切るに実は問題がむずかしいのでして、併し現状においてはそう遷延もできませんので、私どもといたしましては、多少拙速の憾あり、或いは根本的な改革に至らないという御非難を受けるかも知れませんが、只今申上げましたようなところで早急に省令改正をいたしたいと存じます。まあ今月中には間違いなくできるのじやないかと、こう考えております。これは併しさつき申しましたように根本的な改革でなくて、今言つたような次善の方法として解決して行く、こういうことで御了解を願いたいと存じます。それから次に、消費拡大方法でありますが、勿論低温殺菌高温殺菌を並列にいたしますと、つまり特に新らしい市乳地帯において高温殺菌を実施することは確かに消費普及になります。併し然らば東京のような大都市において高温殺菌を認めたからといつて、これは恐らく消費の促進にはなるまいと考えます。従つて地域的には確かに高温殺菌方式を取入れることが消費拡大になると存じます。併しむしろ消費地の中心は都会でありますが、都会の消費普及拡大方法といたしレましては、これはまあいろいろなことがございますが、一つには私どもがもう少し牛乳消費運動という面を行政当局の手によつてやることも方法だろうと存じますが、もう一つは、価格の問題をもう少し解決する方法があるのじやないかと存じます。特に現在むずかしい問題は、勿論明治、森永等の大メーカー等の利潤も、これは営業経営方式の合理化というようなものと関連いたしますが、まだ合理化すれば改善の余地があろうと存じます。それから一方今一合について五円、四円程度が中間搾収と申しましようか、小売業者の利益になつております。この点も極めて困難な問題ではありますが、何らかの方法で解決しなきやならん問題だと今研究をいたしております。差当り私どもといたしましては、直売制度或いは店頭販売を簡易に普及するというような制度というようなことも、一方価格を下げる一つ方法になるのではなかろうかというようなことで目下研究いたしております。まあかれこれ考えますと、非常に複雑な問題でありまして、必ずしも高温殺菌だけが現在の消費普及をはばんでいるとも申しかねるのです。これらの点は総合品的に目下検討を進めておるわけであります。
  19. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 大体楠本部長の非常な御努力の経過が順にはつきりいたして参りましたので、私どももその点には大いに敬意を払うのです。問題は、私どもこの問題を考え出した動機というものは、先ほど冒頭に申上げましたように、酪農というものが振興の過程に入つたばかりの今日壁にぶち当つたということなんです。従つて高温殺菌という問題は、私どもがその消費拡大という面を考えておるただ一つのことに過ぎない。それも私どもよく了解しておるわけなんです。消費拡大をするにはやはり良質なものを安くということが何より原則じやないかと私どもも思つております。その問題についても私ども少し勉強してみました。私の子供の頃は、私はもういつも田舎で飲んでいたんだから、これは高温殺菌であり、殊によるというと殺菌もしないやつを実は私どもは飲んでいたんです。そういう時代から見れば非常に衛生思想の発達した今日だから、或る程度施設は或いは規格は必要であるかも知らんけれども、その程度を今日の日本の貧乏さ、この貧しい日本の社会状態とバランスさせるような方途で以て、いろいろな面をお考え頂くということはこれは必要じやないか。そういう無理をしなくても、実は私ども価格面も少し調べてみました。私どもの推定によれば、今日の十四円とか、十五円という牛乳は高過ぎる、十円でも今日私どもつて行けるという実は計数もはじいてみたわけなんです。これは生産者五円、それから中間の扱い者が二円、末端の小売が三円というような価格で以て十分今日やれる価格じやないか、だから今日の状態でも私どもは十円で行くんじやないかというくらいなところまで、実は素人ながらはじき出してみたわけなんです。そうしますというと、総体的に価格は高いということも言えるんだ、だからこの面でもあらゆる一つ厚生省としても省令の御改正のときには考慮を払われて、ともかく安い牛乳を出して頂くというような目的が達せられるように省令改正の御努力が願いたいわけです。私はこれは質問じやございません、希望として部長さんに申上げておきます。で、なお御意見があれば、私の希望が間違つていれば、これはもう御意見を承わつておけば結構でございます。
  20. 岸良一

    岸良一君 今大体宮本委員お話で話は尽きておるだろうと思いますが、部長さんの考えは大体我々と似た線を進んでおるわけです。産業全体のことも考えられて進められて結構だと思つております。お話を承わつておると、一番我々が疑問と思つている悩みのところを解決できないという点が見受けられるのです。それは只今お話のあつたように、どうも末端一つ基準はつきりしない。こういう点で私はこの際、その点を省令はつきりさして、地方の出先機関がそれに準拠して行えるようにしてもらうということが必要じやないかと思う。お話のようにいろいろの面から、これは私は牛乳の問題は解決しなければいけませんが、ともかく早くやらなければならん問題は消毒、保存の処理のやり方だろうと思う。只今お話がありましたように、実際アメリカの考え方、アメリカの程度の文化と日本の文化とよほど違うのですね。そういう点から言いますると、前に許されたことに対して或いは補償をするといつたような問題も起きるかも知れないけれども、この段階に行つては私は踏み切つて省令改正はつきり規定して、そうしてやらすことが必要ではないか。それで消毒のやり方についてはいずれでもいいという途をとつて、そういうふうにしてこの際一応切り開くことが大切だと思う。只今宮本委員お話しになりました点につきまして、私は重ねてこの際消毒、冷却等について高温殺菌を取上げて低温と並列して御採用になるというふうに省令を直して頂く、こういうことを希望します。
  21. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 先ほど宮本先生にもお答えを申上げたわけでございますが、一応私ども事務当局考え方といたしましては、只今指摘のような点はよくわかるのですが、併しなかなかこれはむずかしいと申しますか、政治的なむずかしさも含んでおりますので、一応はこの全面的な二本建制度はとらない。これはまあ或いはお叱りを受けるところかも知れませんが、一応部分的に一つ二本建をとつて行くという方法で進みたいと、かように今考えている次第でございます。
  22. 岸良一

    岸良一君 なお先ほど、今度決定になる集団で消費する学校給食というようなものについては緩和をするというお話なのでありますが、そういうような、殊に地方でやるような場合ならばもつと緩和をしてもいいのじやないか。この前ここで新聞で取上げられたことも、むしろ農村消費を殖やすならば生乳でもいいし、簡単にそこで消費するような途を開いてもらうということが必要じやないか、と申上げたことは、私ども各地を歩いて見ると、自分のところでできた牛乳を自分のところで飲めない。それは理窟は飲めないことはないのだが、即ち処理業者等の反対があつてできない。そういうようなことでは私は日本牛乳というものが国民の生活に融け込んで米麦を並べるような、「さつまいも」を食べるような形にはなり得ないと思う。そうすると、日本の国民の大部分を占めるところの農村消費者、庶民階級が恩典を受けることができない。そういう点においてもつと簡易な方法で殆んど使用できるような方法を考えることが根本の考え方じやないか。それから今の学童給食の場合に、この前にも申上げたのですが、何も牛乳としてでなくてもいいが、今もお話のような部分的でもいいし、乱暴な言葉を借りれば生乳を鍋で煮て、そうしてそれをすぐ分けるというような途を開いて行く必要があるのじやないか、そういうような点についてはどう考えておりますか。
  23. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 今回学校で給食をいたしますような場合には、一応二通りの方法を考えております。一つは、既存の取扱業者と申しましようか、或いはそれが既存の業者であるか、或いは農協であるか、これはまあ別といたしまして、外部の取扱者が学校に納入するという場合と、もう一つは、学校が生乳を買つてこれを学校で処理して飲ませる、こういう二つ方法を考えております。学校で処理して飲ませる場合には、只今指摘のように勿論簡易な方法でなければ不可能でありますので、バツク消毒或いはもつと簡単な加熱方法をとつて飲ませるというようなことを考えておるわけでございます。これらは学校自体が生乳を買つて処理する場合でございます。ただこの場合に一応先ほどちよつと申上げたわけですが、この学校もいわゆる処理者として知事許可を受けなければならんことが現在の食品衛生法の建前である。この点は止むを得ないということを申上げた次第であります。
  24. 岸良一

    岸良一君 なお学校給食と同時に私ども乳の処分として考えなければならないのは、工場等の集団消費ですね。これらについても同じような取扱いをやる必要がある、このような点についてはどいうお考えを持つておりますか。
  25. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これは御指摘のように、私どもといたしましては学校等の集団給食という点を考えて進みたいと存じます。併しながら、私らは、ちよつとお答えがそれるかも知れませんが、学校給食或いは集団給食等においても、例えば長い暑中休暇とか、日曜とかいうような休暇の問題がございます。これらの問題をどう解決するかというようなこともございます。してみると、やはりこれらの暑中休暇、休暇中の乳というものは恐らく何らかやはり処理業者の手に渡つて、それぞれの別な形で粉乳とか、原料乳等に入つて来るのじやなかろうかというようなふうにも考えられますが、この辺にもまだ多少の問題を残しております。それからもう一つ、何と申しましても、この消費の中心は食生活改善の立場から申しましても、勿論農村も大事でありますけれども、都市にも必要であると思います。このために余り農村消費普及によつて都市の集乳を圧迫してはならないということは、これ又言えるのじやないかと思いますが、まあいろいろな点から考えまして、私どもといたしましては、できるだけ只今の御意見を十分尊重いたしまして、問題の解決に当りたい所存でございます。
  26. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私もあえて質問事項はありませんが、只今部長のお答えでお考えの所在はわかつたのですが、なお今年の二月の次官通牒を拝見すると、かなり先の例外規定の適用の制限緩和を強調しておられるのですね。強調しておられるのだけれども、さあ一旦それぞれの末端に行くとみんな県段階でつつかかつてしまつて、今お答えのように少しも下に徹底して行われておらないという現実を放置しておくことは、恐らく今の酪農全般の隘路を打開するという緊急性に基くだけでなしに、これはやはり国民消費大衆もひとしく要望しておる緊急の問題であつて、それだけに私は折角厚生省で意図しておるところが行われておらないということは、これは官庁行政としても放置できない大きな問題だと思うので、これはもう今のお答えで、今月中には省令改正されるということでありましたが、今月中というのには聞違いありませんか、時間的に……。
  27. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 今月中を目途に改正を進めておるわけでありまして、併しその改正の内容は、先ほど来申上げておるようなわけで、或いは御期待に副いかねるものじやないかということも附加えさして頂きます。
  28. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 大体の内容の骨子というのは今お答えになつた事柄に尽きておりますか、なお附加するものがありますか。
  29. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 問題は学校等の集団給食として牛乳を使用することが骨子でございまして、そのためには従来のような一々小さいびんに小分けするとか、或いは標示を行うというような煩瑣なことを除外いたします。と同時に、これらの消毒方法につきましては、これは勿論高温殺菌、こういうことになるわけでございます。なおこれに関連いたしまして、先ほどもお答えしたわけでございますが、成分規格の規定を若干緩和するということもございます。或いは現在いろいろビタ牛乳或いはホモ牛乳というような名の下に、各社が普通の牛乳のほかにかようなことをいたしておりますが、こういつたことも結構なことでありますが、これは併し本筋から言いますと、必らずしも合理的なことでもありませんので、これらを多少制限したい気持を現わして改正をいたしたいと存じます。併しこれらの問題は、何分にも国民の良識と、それから一方は商業政策のことでもありますので、やはりこれを根本的にかような問題を解決することは、やはり国民の衛生知識と申しましようか、国民の良識によつて判断する以外に方法はなかろうかと、こう存じております。まあそんなあたりが大体今回の改正の主な点でございます。
  30. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 そうすると、集団給食や集団消費の問題はわかりましたが、さつき触れられた例えば町村において次官通牒で取上げておられるように、市乳地域を新らしく拡大するという、そういつた農山村等においては、これはむしろ進んでこういつた簡易な消毒方法を進める必要が無論あると思うのですが、ですから今言う集団給食或いは集団消毒と、こういつた消費の区分だけでなしに、地域をもう少し拡大する必要があるように思うのですが、その点については既存の或いは大都市なり、或いは市の部分においては若干の既存の処理施設を利用するということも私は必要だと思うけれども、そういつた町村と農山村等の新らしい市乳を拡大する地域には、これは私は当然今の省令改正のときに高温殺菌でよろしい、簡易消毒の方法でよろしいということを加えるべきだと思うのですが、この点はどうですか。
  31. 楠本正康

    説明員楠本正康君) これらの点につきましては、御指摘のお気持はよくわかるのでございますが、併し先ほど来お答えを申上げておりますように、これらの只今指摘の点は、今後もまあ次官通牒等によつて厚生省指導方針もきまつておることでございますから、できるだけそれでこの指導の徹底に努めて参りたい所存でございます。従つて特に集団給食以外に、省令改正いたしまして高温殺菌原則或いは高温殺菌低温殺菌の並列を規定する考えには至つておらんわけでございます。
  32. 岸良一

    岸良一君 どうもその点が非常に残念ですね、折角その筋がわかつておるなら、何も二つ方法をやられるということを書かれたつて差支えないと思う。又それに伴うところの冷却の問題もある。今のその点も申入しておるのですが、私はそれだけのことは一つ厚生省は勇気を振つて、今の段階を切り開いて頂くということが必要じやないかと思います。これはもう重ねて私はお願いします。
  33. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私もちよつとその点になると、部長のその腰の弱さがはつきりして来るので、ちよつと私はもう少し附加える必要があると思うのです。それは露骨に言うと、アメリカの占領行政中における、つまり衛生行政の行過ぎ、それが牛乳処理における大資本の完備した施設を強制した、それがどうも今日の段階において、或いは国民衛生という名の下にこういつた高温処理でも、次官通牒に明記されておるように、低廉にして安全な市乳の供給ということが眼目だと思のです。安くて安全でありさえすればいい。今日本のの国民経済の段階においては、それは規格成分のむずかしいことを言つておつたつて、一合十四円の乳を飲むということではなかなか飲めない。どうしても安くて安全という見地から言えば、高温殺菌で結構なんで、昭和七年以前に返してちつとも差支えない、取締規定は……。ところが極く僅かの業者の利益或いはその施設を進めたということにこれは根拠して、飽くまで日本の国内の消費大衆が要望しておる安くて安全な乳を飲ませろという要求を拒み、他方においては折角酪農振興法という国を挙げて闘いとつて来た今日の大きな政府の方針或いは国民の要望、生産者の努力、こういうものを認めない、これを阻むということであるとすれば、我々としてはちよつとその点はどう考えても大きな政府としての矛盾であり、腰の弱さであると以う。この点を今にして直すことなくんば、いつになつて直すか、私はここらがやはり大きな目度だと思う。これは先般、御承知の通り全国酪農民大会というものが開かれて、これは生産者の立場においても是非とも国の大きな方針従つて酪農振興に努力して来た今日、一番隘路になつておるのはこれは牛乳が高過ぎるということなんです。この点についてはやはり政府としては、今の占領行政の行過ぎだけにとらわれて、大きな占領政策の是正というか、国民の生産並びに消費大衆の要望に副えないということは、これは少し我々としては、特に農林委員会としてはこういう強い申入をしておるという見地から考えても、これは再考を促がす必要がある。厚生省としては、もう少しそこのところを考え直して頂かなければ我々としては納得できない。
  34. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 御指摘の点もよくわかるのでございますが、併し何分にも厚生省は、曾つてこれは低温殺菌をむしろその当時は業界は莫大な資本を要するためにいやがつた、これをむしろ強行すらしたわけでございます。行政方針といたしまして……。従つて今直ちにこれをやるということは、非常なまあ行政上の責任を厭うわけじや毛頭ございませんが、併しながら、業界に却つて大きな混乱を来たしまして、そうでなくても、すでにこれは宿命的に日本農村と都市の資本というものが相対立する状況におきまして、却つて国民のためにならない欠陥もありやしないかというようなことを慮つておるわけでございます。私どもはあえて責任を逃れるという趣旨でもございませんし、又国民のためにいいことであるならば進んで実施もして参りますが、かような点に若干の危惧の念がございます。従つて一応は漸進主義をとつて進んで参つておるわけでございます。これはすでにたびたび省令改正し、次官通牒の趣旨等も改正しつつ、つまり漸進主義でまあ進んで参つておるわけでございます。従つて今回も従来の方針に鑑みまして、まあ一応部分的に集団給食について高温殺菌を認めて行こう。或いはこれは御批判の仕方によれば成るほど腰抜けであるかも知れませんが、まあ一応事務当局としては以上の点をお答えする以外に方法はなかろうと、かように存じます。
  35. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それではもう少し私は部長に親切なデーターを提供したいと思うのですが、大きな牛乳会社の立場を考えて、なかなか国民全体の要望に副い得ないという今の答弁だけれども、私どもの手許には全国飲用牛乳協会からの陳情が来ておる。その最後の結論的の要望は、一つ、学校や事務所等における集団消費を進めるための牛乳処理は既存の処理施設を活用されるということ。それから二つには、市部においては低温処理を、町村においてはこれは低温処理設備のないところに限り高温処理を認め云々、こういうことが要望されておるので、これはやつぱり大きなメーカーの人たちもさつき私が第二番目に追及をした学校給食のことだけに限らないので、新らしく次官通牒の言うがごとくに、農山村の消費拡大ということを考えれば、これは当然高温処理を認むべきであるということを大きなメーカーみずからも認めて、こういうことを要望して来ておるのですが、それすら取上げないで、それは集団給食だけに限つて、いわゆる部分的に二本建という省令改正方針をとろうとしておるのは、これは非常に私は狭い見解に偏しておるように思うのですが、その点はどうなんですか。
  36. 楠本正康

    説明員楠本正康君) 先ほども少しくお答え申上げたわけでございますが、勿論私どもといたしましては、従来の方針といたしまして、何も農村地帯低温殺菌普及する趣旨も別にございません。従つて原則低温殺菌謳つてはおりますが、行政指導といたしましては、できるだけ例外規定を活用して、かような地域にはどんどん高温殺菌施設を奨励して参つて来る方針で進んでおります。そこで問題は、これを単に行政指導だけでなく、省令も同町に改正して方針はつきりしてはどうか、こういうまあ御指摘でございますが、成るほど御尤もでございますが、併しながら、もつとはつきり申上げますと、この牛乳消費地域を品物によつて区域に線を引くというところに困難があるわけでございます。例えますれば、東京の郊外の或る田舎に高温殺菌地帯を作りますと、必ずそんな商品はこつちに入つてならんということは言えんわけでございます。その辺が非常に線の引きにくいところが行政上ございます。従つて一応かように特に例外規定もあつてできないわけじやないので、知事承認すればいいということからさように考えているわけであります。私どもといたしましては、省令を作つて指導いたします場合、然らばどの地域低温殺菌でいいか、どの地域高温殺菌でよろしいかということを一々個々にきめて行くことが非常に困難ではないか。こういう趣旨でありますが、これも余り筋の通つた話だとは思いませんが、まあ一応さようなふうに考えているわけでございます。
  37. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 それは幾ら言つたつて繰返しているだけで、さつぱり徹底しないのだけれども、例外規定を認めて指導している、指導していると言つているけれども、その指導はちつとも行われておらないのが現状なんですよ。だから我々は行われるようにするためには、そんな生まぬるい次官通牒ぐらいじや駄目なんだ、省令はつきり改正して低温処理と並んで高温でよろしいというような、これを謳い出さなければ今までより一歩も前進しないのだ。生産者並びに消費者の要望に副わないのだ。そこで我々が強調しているゆえんのものはそこなんです。又農林委員会として申入をしているポイントというものはそこにあるのですから、そこがぼかされたのじや我々が千万言をこの委員会で費したところで、何ら国民のために得るところはないので、そこはやはり厚生省としては大いに考え、機を失せざる速かな措置を講じて頂かなければならないと思うのであります。ですから今月いつぱいを目途にして、そうして省令改正によつてそいつた一方的な、そうして今までのように不徹底にならないようにしてもらいたい。幾ら次官通牒を出しても煙に消えてしまつて行われないのでありますので、これは通牒では駄目なんで、省令改正を是非この際やつてもらいたい。そうして一般の要望に副うようにしてもらいたいと思います。こういうことでありまして、これは私は参議院農林委員会申入の全体の趣旨だろうと思います。又我々が強調するゆえんのものはそれだけなんであります。
  38. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私はこれで質問を終るつもりだつたのだけれども部長のお考え方を承わるとちよつと私は終るわけには行かなくなつた。というのは、酪農振興ということを私どもは考えているのです。この酪農振興は、酪農協同組合というようなものが御承知のように日本酪農振興の母体になつております。それを厚生省は頭に置かずに、単なる今お話のような地域という考え方でお考えになつている。その地域というものは即ち酪農協同組合ということを私は考えておいでになるのじやないかということを思うのですが、若しそうでなかつたら、これは酪農振興とはまるつきり離れた方向で考えるということなんで、私どもの意図しているところと何ら厚生省のほうは、楠本部長のお考えはそうであつても、御意図のほうはまるつきり違つたところから考えられているというふうにしか受取れないのであります。で、今、部長お話なつたように、地域で以て何々村は、何々町は高温殺菌牛乳でよろしいということじや、これは非常に行政取締りの面で困難があると思うのです。けれども酪農振興というものが酪農協同組合によつてリードされているというその現状をお考え下されば、そうしてこの酪農振興の線と同時に消費拡大面を図るという意味で以て高温殺菌地域を考えられるということになれば、当然その地域というものは或る一つの枠という部長のお考え方であつて、その枠というものは当然酪農協同組合は自分でもう高温殺菌をやつて処理できるのだという、そういう意味に私は解釈したいと思うのですが、その御意図はないのでございますか。
  39. 楠本正康

    説明員楠本正康君) たびたび同じようなことを繰返しましても却つて失礼と存じますが、私どもは勿論、厚生省食生活改善ということを大きな一つ行政の目標にもいたしております関係もありまして、酪農こそ大いに振興して頂かなければ粉食なんかは画餅に終つてしまう問題です。従つてこれらに対しまして十分な認識、熱意を持ちますことは、これは当然でございます。併しながら、これを牛乳取締り、特に低温殺菌高温殺菌の問題とかみ合して考えますと、これは私どももいろいろなむずかしい問題にぶつかりまして、実は先ほど来、何と申しますか、甚だ妥協的なことを申上げたわけでございますが、これは併し現在までに、厚生省におきましていろいろ事務的に、この程度で漸進主義をとろうとした線を一応御紹介したわけでございます。従いまして、今後もう一応部内並びに部外ともよく意見の調整をいたしまして、できるだけこの御趣旨の点に近付くように努力はいたしたいと存じます。併しながら、これはなかなか困難な面もありますので、或いは御期待に副いかねるかも存じませんが、もう一応一つ、現在はさようなふうに考えて参りましたが、これを改めて部内及び部外で意見の調整を図つてみたい、かように考えております。
  40. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私どもとしては、農林委員会としては学校給食の問題はむしろこれは厚生省の問題のように私どもは思う、農林委員会としては消費拡大の方途としては学校給食も大事である、当然大事であるけれども、同時に酪農振興ということが農政の大きな問題である限り、酪農協同組合の高温殺菌処理という問題は農林委員会としては重大な問題であるといとことを一つお考えになつて、そうして特にこの実現一つ部内で格別の御協議を願いたいと思います。
  41. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私もこれで終ります。只今部長考え方を、私は特にもう一つこういうことを参考にしてほしい。豚を飼つて豚肉を食えなかつたのが農村実情であつた、あなたの記憶に、新たなように簡易屠殺ということが漸く認められるようになつて、豚を飼つた農民も自分の村におつて豚の肉が食えるということになつたのは僅か数年前のことです。と同時に、牛を飼い、乳をしぼつた農民が乳が飲めないというのが今日の実情なんです。それを飲み且つ求められる人に売ろうとすれば、食品衛生法というむずかしい規則に縛られて隣近所の要望にも副えないという状況にある。だからそこを一つ十分実情を考えて頂いて、簡易な消毒方法なり、今のような高温殺菌或いはそういつたところまで考えが及ぼされるならば、私は新たな消費層というものが農村地域においてもかなり殖えることを信じ、且つ又そういうことも非常に必要な一つ日本食生活改善からする大きな開拓の新らしい分野だと思のです。こういう点も考えて頂いて、どうか、牛乳と言えば都市の特別の飲物であり、病弱者の飲物であるかのごとき限られた認識を改めて頂いて、やつぱりこれは粉食を奨励する以上は、そしてあれだけ激しい労働をしておる農村においても大いに牛乳消費を殖やして項かなければならない。それがやつぱり農村の保健を向上させる大事な一つの途だと思うので、それらのことも考えて頂いて、そして乳をしぼり牛を飼つた農家或いはその農村においても豊かに乳が窮屈なしに飲めるということも一つ十分お考えを頂きたい、そう思います。
  42. 楠本正康

    説明員楠本正康君) この点も誠に私御指摘の通りだと存ずるのでありまして、特に日本食生活改善、まあこれは栄養上から見た食生活改善というようなことは、都市農村を通じて牛乳に顧るというのが最も合理的だとよくわかつております。ただ先ほども申上げましたように、むずかしい点は、これをそんなら食品衛生法をできるだけ簡易にして消費普及を図る、結構でございます。ところがそうすると、えて又一方に今度は逆に衛生上の危害もある、と言つて、これは余り守り過ぎては又消費のほうの普及を阻害するというようなことが出て参りまして、そこに私どもはやはり調和点を求めて進んで行く以外に行政当局はないわけでございます。従つてどもとしましては、やはり広い立場からものを判断して一つ行政を実施して行きたいと存じておりますが、先ほども申上げましたように、もう一応私どもは素直な気持で皆様のお気持を体して一つ考え直してみたいと、こう申上げておるわけでございます。ただ先般も、私も不幸にいたしまして黄変米問題の主管をいたしておりましたが、これなんかは私は安全率をかなり見て、私は当然あのくらいは許されるというところに線を引いてみたところが、俄然皆様方から非常な反対を受けました。どうもその辺が私どもは非常に問題を処理しにくい点でございまして、調和点というものはもともとがむじかしいのです。私は真つ白い米が食えなくなるということが常識的には考えられないと思つております。そういうような状況になつておる。これも一つ衛生上非常に神経質に考えるか、或いは一方国全体の広い立場から国民生活を考えつつ進むかという一つ調和点の線の引き方がむずかしい点じやなかろうかと、かように考えておりますが、この点は一つ行政実施の困難さを御了解願いたいと存ずる次第であります。
  43. 岸良一

    岸良一君 私最後にお伺いしたいと思います。それは困難なこともよくわかります。それから今のような問題もよくわかりますが、結局私は先ほど来論議された点を踏切るというのが、この問題を解決するゆえんであろうと思う。地域別にできないというなら方法的にやつて行くより仕方がない、今後できるだけ許して行く方針をとれば、この問題は解決するのですから、その点から言いますと、皆目先をすぐ見て、ものの取扱いによつてどう変つて行くかはわかるのですから、この点は私は割合に早く理解されるものだと思つております。今一番の問題は、勝手なところへ持つて行つて、それが戻つて来て腐るというような問題が却つて悪い影響がある。これも一つ併せて御検討をやつて頂きたい。
  44. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今議題となつておりまする飲用牛乳処理基準の改訂に関しましては、各委員からそれぞれ御質疑があり、楠本部長の回答があつたのでありますが、去る九月二十二日、当委員会が政府に申入れました要旨は、只今までの質疑でも極めて明確になつたわけでありますが、特にこの際、今月中に省令改正する目途を以て非常な努力を払つていらつしやるというわけでありますので、その努力が実現いたしまするように強く要望いたしますと共に、その実現に当りましては、殺菌処理の方法は低温高温いずれでも差支えないという基本原則を打立てて頂きますることを特に要請をいたします。なお、殺菌後における保存についても、必ずしも冷却保存を要しない、短時間に運用する場合の処置をも併せて実現をいたしまするように処置せられたいと思うのです。そうでございませんと、高温殺菌を認めたと申しましても、殺菌後における保存について非常に厳格な規定が設けられますると、実質上高温殺菌を行うことができないというような結果にもなろうと思いますので、併せてそういう点についても御考慮を望むわけであります。集団消費という意味につきまして、只今までの質疑応答を聞いておりますと、必ずしも学校給食だけという意味でもないとは思いますが、集団消費の範囲は、その字の示す通り集団的に消費するという場合を広く含めるものであるということに解釈をいたしますると同時に、その場合におきまする配給上の処置について、小分、密栓等の処置が極く簡易にでき、極端に申しますれば、そういうような厳格な取締規定を廃止するということを希望するわけであります。更に容器等につきましても、必ずしも厳格な一定の基準に拘束されることなく、輸送罐等のままでも差支えないという点まで拡大をされたいと思います。なお、お話のありましたように、省令改正に当りましては、成分規格等につきましても、現在の国情に適合するように改正をせられたいと思います。要するに、意図するところは、消費拡大を図りまして酪農振興を考えると同時に、食生活改善に資するという趣旨であり、生産者も消費者も只今申上げましたようなことの実現を強く熱望しておる、まさに国民各階層の帰一する希望であるというように考えられますので、過去における省令の態度等から考えて、極めて不徹底な微温的なことに堕することを避けまして、この際思い切つた改正をされたいと思います。これだけを要請をいたしておきます。  それでは只今議題の件は、この程度にいたしまして、午前中はまだ予定の案件はありましたが、時間はすでに十二時を経過いたしておりますので、この辺で休憩をいたしまして、午後は一時二十分から開きたいと思います。暫時休憩をいたします。    午後零時二十六分休憩    ―――――・―――――    午後一時四十三分開会
  45. 森八三一

    委員長(森八三一君) 休憩前に引続きまして只今から委員会を再開いたします。先ず酪農振興の件及び乳価維持の件を一括して議題にいたします。  最近における乳価の低落に対処して、当委員会におきまして、すでにしばしばこの問題が取上げられたのでありますが、その後乳価は依然落調を示し、第十九回国会において折角酪農振興法の成立を見たのにかかわらず、その後日ならずして、かような事態に当面して甚だ遺憾に考えられておるのであります。当委員会におきましては、かかる事態を憂慮して、前回の委員会におきまして、即ち九月二十日、乳価の適正維持に関して政府に申入を行い、酪農振興及び乳価の適正維持について政府の善処を促し、右に対する政府の具体的措置について本日の委員会までに回答を求められていたのであります。申入を御参考までに申上げますると、    乳価の適正維持に関する申入   酪農振興法に対する期待にもかかわらず、最近における生乳の生産価格は低落に次ぐ低落を示し、不測の事態を惹起するに至り、まことに遺憾に耐えない。   よろしく政府は事態の由来する根源を究明し、酪農振興法の趣旨にかんがみ、酪農農民の強力な団結を促し、その自主牲の確立を図り、酪農経営の合理化を進め、生乳取引の適正を期し、生乳及び乳製品の需給の調整に努め、以て乳価の適正維持並びに酪農振興に万全を期せられたい。   なお、右に関する政府の具体的な措置をできるだけ速かに当委員会に報告せられたい。   右当委員会総意を以て申入れする。   昭和二十九年九月二十日         参議院農林委員会    農林大臣保利茂殿  というのであります。右の申入に対する政府の回答をこの際求め、続いて本問題の取扱方法について協議をしたいと存じます。  つきましては、政府のその後の経過並びに結果について先ず御報告を求めます。
  46. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 只今委員長からお申付けのございました先般当委員会の御決議に対しまして、私どもとしてとりました具体的な措置を御説明いたすわけでございますが、先ず酪農振興法の規定によります生乳の取引の公正化ということが、この九月以来の乳価引下げの段階で、私どもとして当面先ず努力しなければならん問題と心得まして、酪農振興法の施行につきましては、次官通牒を以ちまして各知事に運用についての注意、心がまえ等の通知をいたしたわけでございますが、更に重ねまして、衆参両院の農林委員会で今回の乳価の引下問題に関連していろいろ御注意を頂きましたので、その両院の御注意を特に付けまして、更に徹底して各県で、牛乳取引の文書契約なり、或いは契約に伴う法律的な斡旋事項或いは法律以前の行政措置としての斡旋時項について、県当局としてこういう心がまえで取引問題についての調整なり、斡旋なりを積極的にやるようにという趣旨の注意を重ねて喚起いたして参りました。なお基本問題にも繋がる問題でございますが、牛乳消費拡大と申しますか、確かに現象的には供給過剰というような一応の様相を呈しているように見えますけれども、基本的には私どもといたしましては、それによつて初めて私ども酪農振興を努力いたしておりますことが緒についたと考えられますし、又これによつて消賀者価格の引下を実現し、消費拡大を図るということが酪農振興法の基本線であろうと考えまして、消費拡大ということについて特にこの際積極的に処置をとりたい、かように考えまして、午前中も議論のありましたような問題を中心といたしまして、厚生当局と数回に亘りまして相談を目下続けております。午前中も問題になりました厚生省令五十二号の所用の修正が実現することを、先ずこの際差当りの緊急策として取上げて鋭意それを実現いたして参りたい、併せまして、それが若し実現されました暁には、何らかの方法によりまして、その厚生省令で開かれました新らしい販路開拓の線を、農協等を中心といたしまして実践して参るように、裏打ちをするようた施策を、厚生省令改正に併せまして、私どもで実施いたしたい、さように考えて目下対策を練つております。それから消費拡大につきましては、そういつた一般自家消費と申しますか、高温殺菌に伴います消費拡大のみでなく、広く牛乳、乳製品の都市と農村とを問わない消費拡大、もつと牛乳を飲むということを、私どもとしても消費宣伝といつたような、啓蒙運動といつたような形で推進して参ることが必要じやないか、さように考えまして、そのようなことも今の省令改正の機をとらえて実施いたして参りたい、さように考えて、具体策を目下検討中でございます。  それから当面の乳価の問題は、先ほど申しました県当局を通ずる現地での指導と、それを受けます私どもの都道府県に対する協力、援助といつたようなことの態勢を進めて参る必要がございますので、県から逐次そういつた実情の報告を求めておるわけでございますが、今日までに酪農振興法によりまして、いわゆる仲立員の任命を終つた県は、その任命の進んだ状況の報告を求めております。県によりますと、具体的に斡旋の申請があつた場合に仲立員を任命し、それを今後の斡旋の委員としてお願いするというようなことで、全然斡旋の申請もないので、任命も従つて遅れておるというような事情の地方もあるようでありますが、今日までに委員の任命を終つたという報告を受けておりますところが数県ございます。着々法律に基きましての取引の指導態勢は、県のほうでも整いつつある状態だと思います。本省におきまする取引関係で、先ず受入態勢として私どもが急いで実施いたしましたのは、国会の御修正によりしまして入りました農林省に酪農審議会を置いて、その審議会で酪農行政全般についての主要事項の御審議を願うと同時に、県の紛争の斡旋で、なかなか片の付かないような事例が起つた場合に、農林大臣に助力、協力を求められた場合等にも、この議会を通じまして、いろいろ地方の紛争の斡旋に指導協力をするという建前になつておりますので、その審議会を成るべく速かに発足させるということを考えて、幸い本月の初めに審議会令の施行を見た次第であります。目下審議会の委員の人選をお願いいたしておりますので、正式の発令は事務手続等ございますが、今月中には少くとも実質上の顔合せができ、いろいろの関連した最近の問題についての御意見を伺い、私ども方向を定めて行く一つ方向が出て参るものと期待いたしております。で、先ほど来申しました消費拡大でございますとか、今後の納得ずくで乳価がきまつて行くということの指導を今やつておるわけでございますが、そういつた指導を更に具体的にどういうふうにやつて参るか、そういうことの御相談を早速いたして参る予定にいたしております。  それから需給調整の問題といたしましては、そのようにあらゆる面で消費拡大を図るということが根本義と考えてやつておりますが、なお経過的に今回の乳価引下の理由一つとして、各製造業者団体の滞貨と申しますか、乳製品の製造が時期的に相当経営を苦しめておるというようなことが、乳価引下の理由一つに挙げられておるようでございますので、目下その対策として、若し資金の融通等を必要とする製造業者があります場合には、個々具体的に私どもも御相談にあずかり、適当な資金の斡旋と申しますか、融資措置についても、この際積極的に御相談にあずかつて参りたい、まだ具体的に、抽象的にはいろいろ何十億というようなことが言われておりますけれども、個々の企業ごとにこういつた問題がございますので、具体的にお話を伺わして頂けませんと対策の立てようもないわけでございますが、まだそこまで具体的には参つておりませんが、特に中小メーカーと申しますか、比較的資本力の弱い乳業者につきましては、特にこういつたことが一つの乳価を急激に引下げた原因の一つになつておつたように思いますので、その方々の団体、中小企業協同組合でございますが、中小企業の段階には、特に私どもも慎重に呼びかけまして、何らかそういつた対策を講じ、合理化しつつ、この苦境を切抜けるようなことに、私どももできることなら御相談にあずかり、御協力申上げる、その線で乳価の安定を幾らかでも実現して参りたい、さように思いまして、お話合をいたしておるところでございます。  大体すべて進行途上の問題でございますので、具体的にと申しましても、一つのまとまつた対策というようなことで、紙に書いて御報告する段階にはなつておりませんが、個々に具体的に進行いたしておる状況は大体以上のようなことでございます。
  47. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今の報告は、極めて抽象的な報告でありまして、この委員会申入の趣旨が十分にまだ報告されていないように私は伺つたのでありますが、全面的に具体的な線が出ておりませんまでも、例としてお挙げになりました、どの程度にあるのか、我々も数字をつかんでおりませんが、酪農工場における製品の滞貨ということが一つネツクになつて乳価の問題にも影響しておる、それを金融措置で解決をしようというようなことで進めておるというようなお話でありますが、そういうような一つの例につきましても、どういう具体的な方法でその協議をお扱いになるのか、そういつたような総合的なものではなくても、具体的に出ておる線がありますれば、そういうような部分につきましても結構でありますので、もう少し具体的な内容を御報告願うということが必要のように思いますが、そういうような報告を願う資料はないのでございますか、そういうことまですらも協議中という程度なのか、その点如何でございますか。
  48. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 只今申上げました融資の問題に例をとつて申しますと、中小企業の組合の方々といたしましては、今まではとにかく、今後飲用牛乳消費から乳製品の製造に移る季節的な時期でございますので、今後の問題としても、今から冬場に出て来る乳製品のストツクについて、或る程度の金融的な見通しを得たいという御希望がございます。御尤もなことと存じまして、私どものほうで一応その御希望の数字を伺つたのであります。おおむね三億程度のものがその中小企業協同組合の組合員のこの冬、来年の春までの何と申しますか、ストツクとして予想されるというような数字を具体的に頂いております。従いまして、その数字と申しますか、その御趣旨で御相談を受けましたので、私どもといたしましても幸いこれは、幸いと申しますか、系統資金の関係から申しますれば、勿論形式的には員外の、系統外の需要でございますが、非常に農協そのものが酪農業に直接密接な関係のある問題でございますので、何らか打開の途がないかということで、目下農林中金、それからその当該協同組合、それから私どもと三者で具体策を検討いたしております。一例としては、その組合で乳製品の共販態勢と申しますか、中小企業としての一つの自営対策を考慮しながら、併せて金融措置を期待すると、そういつたような一試案でございますが、そういう案もその組合のほうからもどうだろうかというような御相談を受けております。勿論直接の問題といたしますと、中小企業の問題でございますので、商工中金が先ず当面する窓口と申しますか、慣例的にはそちらの問題になるかと思うのでありますが、商工中金の問題であると同時に、私どもに関連した問題でもございますので、その関係を農林関係の関連産業という意味で、私どものほうでも若し御援助ができるものならば積極的に立入つて御援助申したいと、さような趣旨で目下御相談いたしております。それで誠に抽象的と申しますと抽象的でございますが、なお先ほど申し落しましたが、農業協同組合等で乳製品の製造事業を行なつておりますものがかなりございますが、これにつきましても、同様相当現在の市場逼迫でなかなか苦しい思いをいたしております。これらにつきましても、かねてお申入れのありましたような共販機構の整備といつたような問題を根本的には考えて参らなければならんということで措置を考えておりますが、差当り現状は各農業協同組合の事業が横の関連なしに行われておるきらいがございますので、そういつた製造事業をやつておられます農業協同組合にお集まりを願いまして、現在の事業の状況を伺い、併せて今後それを改善打開して行くために必要な御措置について御相談をし、御協力申上げると、そういう線を出そうと思いまして、今月末そのような製造事業をやつておられます農協についてお集まりを願いまして、御相談をするような準備を進めております。
  49. 森八三一

    委員長(森八三一君) 今私の申上げましたのは一つの例をとつて申上げたのであります。それはこの前の委員会でも各委員からお話がありましたように、生乳を引取る各工場が金融的に非常に困難な情勢にあるために乳価の支払いが手形で行われておる、そのことは及んで酪農農家に非常に経済的な圧迫、悪影響を及ぼしておるので、そういうことを速かに改善しなければいかんのではないかという意味から、そういうような工場方面における乳受入れの金融というものを整備すべきであるということに出発をして申上げておるので、そのことが具体的にどういうように措置されたかということを一つの例として申上げたので、今の御回答ではちつとも進行しておらんというようにしか私には受取れないのでありますが、そういつたような面についてだけでなしに、もう少し具体的にきまつたものがあるのかないのか、具体的にきまつたものがなければ、今後どういうように進めて行くかという見通しの問題でもお話を願いませんと、今の極めて抽象的な方向だけでは当面する問題の解決になつていない、こういうように思われるのであります。なお各委員からもいずれ賛同があろうかと思いますので、そういうような趣旨を含めて御回答を頂くようにいたしたいと思います。  それでは只今の極めて抽象的な御説明ではありましたが、説明に関連いたしまして、御発言のかたは順次質疑もお願いいたしたいと思います。
  50. 岸良一

    岸良一君 乳価の問題で随分ごたごたを起しているのですけれども、その後話合のついたといつたようなところはあるのですか、お調べになつたものはないのですか。
  51. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 先ほど申しまたように、九月の乳価引下が言われますと同時に、私ども県のほうへ照会を出しまして、乳価のきまつて行つておる状態等を逐次報告してもらうように頼んであります。只今までに参りました報告を見まするというと、まだ解決、妥結しておらん、或いは目下実質的な指導をやつておるというようなところが、今まで報告を受けましたところでは、そういうところだけできまりましたとはつきり報告いたしておるものはございません。報告件数は約十数件ございます。私どもがこういつた報告以外に聞いております例といたしましては、北海道、それから福島等においては県の一部、県等外も関与しておおむね地方的には妥結ができたというふうな報告を受けております。その他の県につきましては、何と申しますか、それほど具体的でなく、どうも個々具体的に或る程度話がついたらしいというような抽象的な話は聞きますが、正式に県のほうからの報告としては受けておりません。そういう状態でございます。
  52. 岸良一

    岸良一君 それでそういう集乳を拒否したといつたような問題を起しているところはありませんか。
  53. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 県のほうからそういう報告は参つておりません。
  54. 岸良一

    岸良一君 審議会の委員がきまつたようなお話でございますが、審議会の顔触れがきまつたということですが、委員の名前をこちらの委員会にも出してもらいたいと思います。それからさつきの中小企業の融資の問題ですが、これは大体どのくらいをどのくらいの金利でやるか、これはまだきまつておらないのですか。
  55. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) その当該組合のほうから私どもに御相談と申しますか、陳情と申しますか、御提案のありましたのは、この十一月以降、明年の四月末までの六ヵ月の間に乳製品が相当累積してできて行くであろう。それが現在の市況ではなかなか右から左に売れるというような情勢は期待できないから、その六ヵ月間の製造予定数量に対して融資を受けたい。それが先ほど申しましたように、金額にして約三億程度と当該組合のほうでは見積つておるわけであります。それにつきまして、何分出資金が現在のところは二百万円の組合でありますし、個々の組合員の中にも、個人的に切抜けると申しますか、そういう必要がないとおつしやるかたもあるようでありますし、組合としてどの程度に絞つて、それから共販とか、何とかさつきちよつと申しましたが、どういう具体的な手段で融資を受けるか、そういつた金融に乗せる具体的な手段が非常にむずかしいわけでありますから、その辺を具体的に知恵を出し合つて相談いたしておる。積極的に何とかしようという方向で御相談にあずかる、その意味で農林中金にも一緒になつて話し合つてもらつておる、そういう状態でございまして、まだこういう方法で、こういう条件で幾ら貸すというような結論まで行つておりません。皆でこれから組合員個々の実情なり、何なりをさらけ出しながら、どうやつたらどうなるのだろうか、何とかならんだろうかというざつくばらんな相談をしながら解決の途を見出して行くという現状でございます。なお、先ほど委員長お話にもございましたが、乳代の支払について、私どもとしては農業協同組合が集乳をし、農業協同組合と乳業者が生乳の売買をするという形を酪農振興法で推進いたしたいと思つておるわけであります。乳の買い方がそういう方向に御協力を願えれば、乳代の支払面でも系統資金の動員と申しますか、系統資金による手形の割引というような形式で乳代の金融というものは付くわけであります。現にそういう方法で乳代の支払について、現金の払いからだんだん手形になつたけれども、農協が一つの集乳機関として事に当つておるために、乳代の支払等については幸い系統資金による手形割引ということで、末端農家にはまあどうにか金の支払に事を欠かんというふうに解決をするような方向で私ども指導しております。それで特に中小企業とか、そうでありませんでも、在来の取引方法が非常に恣意的と申しますか、個人の場合もあり、或いは任意組合の場合もありというようなことが相当遺憾ながらありますので、乳代の支払についても、この際酪農振興法の狙つております線を実践することが、金融の途を開いて行く一つの具体的な手段として役に立つということで、乳業者のほうにもそういう面で農協から乳を買うという線をむしろ乳業者としても利用すべきじやないか、それが両方のために安定した取引を実現して行くことになるのじやないか、そういう意味で具体的に御指導申上げておるわけであります。
  56. 江田三郎

    江田三郎君 何か聞いておると、ぬるま湯に入つたようで、ぽうつとしてしまつてわからんようになるのですが、あなた方は乳価というものは一体どのくらいが適正だと思われるのですか、斡旋するとか何とかいつても、基準がなければならんのですが、どういう乳価が適正なんですか。
  57. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) その点は先般の法律の御審議のときにもお話が出ましたように、私どもとしては再生産のできる乳価というものを酪農民に対して実現いたして参りたい、それを目途といたしておるわけであります。それで具体的に個々の場合に当てはめまして、どういう乳価を最低線として確保しなければならんかということになりますと、御承知のような酪農の経営の現状でございますので、個々の場合について十分お話を伺つた上で斡旋して行くということに斡旋の心がまえとしてはなつておると思います。
  58. 江田三郎

    江田三郎君 そういうことでもいいのかもわかりませんけれども、この前法案を審議するときにも、生産費調査ががつちりできるように統計調査のほうと協力して態勢を整えなければならんということを我々要望したのですが、そういうはつきりしたデーターなしに、ただその場その場の双方の言い分を聞いて、要するに落着きさえすればいいというやり方をやつておるところに、現在の酪農が行詰つた問題があるのじやないかと思う。どうも根本に触れていないのじやないかと思うのでして、今の農協その他中小の業者に対する資金の斡旋もよろしい、よろしいけれども、これは下手をすると、ただそういう機構が潰れるのを防止するというだけであつて末端の農民に対してそれがどういうようになつて行くかということになると、私は非常に心細いものじやないかと思うのでして、どうも私よくわからんのですが、一体乳を売るということは、これは市場で市乳として売るのでも、みなあれは畜産局のほうで指導してやられるのですか、どうなんですか、どういう販売機構を以てどの程度に売るのが適当だというようなことは、市乳の場合あれは畜産局のほうで大体一つ指導をしておられるのですか。
  59. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) ちよつと御質問の意義を取違えておるかも知れませんが、消費地の販売の問題でございますとか、乳製品の製造の問題とか、一応製造段階の問題までは畜産局のほうで所管と申しますか、指導しておるというふうに心得ております。
  60. 江田三郎

    江田三郎君 販売はどうです。
  61. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 最終の販売でございますか。
  62. 江田三郎

    江田三郎君 ええ。
  63. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 販売も同様でございます。
  64. 江田三郎

    江田三郎君 例えば今も食堂へ行つて乳を飲んでおるのを聞いてみると、あの一合の乳をちよつと温めて角砂糖を二つ入れたら二十円ですからね、二十円というと、その乳を飲む気にならんですよ、四円五十銭の乳を二十円で飲まなければならんのかとさつきも冗談に言つたのですが、そういうことについてあなた方のほうは、何か今いろんなことをやるとかと言われるけれども、一向にやつたためしがないのです。要するに今の畜産行政というもの、特に酪農問題については追つ駆けられ、追つ駆けられて、それでまあ資金の斡旋をするというような中途半端なことで、非常に消極的な対策だけで、積極的に突き進んでどうしようというような気魄も何もないと思うのです。この点がどうもあれは売ることまで畜産局のほうの管轄なら、もう少しやりようがあるのじやないか、例えば乳をもつと飲めというような運動だつて、まだそうやつたようには思わんし、まあやつたのかも知れませんけれども、その運動をやつて乳の消費量が殖えるわけじやなしに、これは値段の問題と関連することですけれども、何かなし、あれよあれよと言うておるだけのような気がするのでして、例えば餌の問題でもそうです。何遍、言うたところで飼料需給安定法の発動とか何とかということはできやしないので、誰がどう考えたところで非常識なほど高い餌を使わされて、それでただ三億円の資金を斡旋する、これも言うてみるだけで実際やつて御覧なさい、なかなかできやしません。膏薬貼りにも私は行かんと思うのです。我々が申入をしたり何かするのは、もつと抜本的な、根本的なことを聞きたいのです。けれども何遍やつてみたところでぬるま湯に入つたような中途半端なことばかりで一向埒があかんわけです。もう少し腹を据えて、何か抜本的なことをやらなければ埒があきません、何ぼやつたつて……。そう思いませんか。
  65. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 私どもが今検討しております緊急の対策といたしましては、誠に遺憾ながら、そういう個々具体的な場合に少しでも酪農民の立場を有利に展開するようにというようなことで、御指摘のように生ぬるいことに終つておる。誠に残念なことでありますが、根本的な方向としては酪農振興法で考えておりますような、最初の生乳の取引段階から、或いは製造段階についての協同態勢の整備、そういつた基本的な乳を売り、消費者につなげるまでの段階を、もつと酪農民と消費者との血の通い合つたものに育てて行くというような、そういう基本態勢が盛り上ることがやはり最も基本的なものというふうに考えて、そつちの方向へ問題の解決の方法を探しておる段階でございます。その意味で緊急対策として誠に何もないじやないかというお叱りなのでございますが、そういう状態でございます。
  66. 江田三郎

    江田三郎君 さつき言いました生産費調査、これだつてやり方によれば二年前の答えしか出んというようなやり方になつてしまうでしよう。併し又やり方によつて、もつと最近のデーターを出すことは決して不可能じやないんで、一つの基本方式というものが打出して来られれば、基本的なデーターがちやんときまれば、それからほかの要素がどう動いたということで、現状ではどうという答えが出るわけなんです。それもなしに斡旋をするとか何とか言つたところで、これは非常に力のない、ただその場の政治的な妥協というようなことになつてしまうと思うのです。そこで生産費調査が出て来ると、どうしてもそれを確保して行かなければならん。そうすると、乳価が今度は最終において幾らになる。それじや消費者が買つて行けんというのなら、今度は餌の問題でもただ生産者だけの問題でなしに、消費者まで含めて餌をどうするかということと、日本全体の食生活改善の上から取組まなければならんことになつて来る、そういうこと……。それから餌の問題でも、購入飼料でいかんということなら、もつと自給飼料を殖やして行かなければならん。自給飼料を殖やすなんということは、これは酪農にとつてはABCのその前の段階でしようけれども、こんなものだつて紙に書いた方針書だけは何遍も出しましたけれども、本当にそうなら、今の酪農振興の野草の改良なり何なり、そういうものが結び付いているかというと、一向そうじやない。酪農奨励の法律ができたけれども、この間も私は村へ帰つて叱られた、酪農奨励の法律ができたためにそうなつたのか知らんけれども、とにかく今乳牛を手放したいという人だけで、乳牛を飼いたいという人は一人もおりはせん。何を一体振興法できめたのかといつて叱られたのですが、何か非常にペーパー・プランで……、大体牛や馬を扱う畜産局が牛乳を飲むことまでやらなければならんという、商売のことまでやるところに無理があるかも知らんけれども、私どもとしては今のようなやり方を続けられて、何遍問題にしても今のような答弁だけ聞くのなら、酪農奨励なんかやめてもらつたほうがいいと思うのです。却つて迷惑です。そんなことで奨励されて牛を飼う、その責任をどこへ持つて行きますか、農民にとつては被警甚大です。やるならやるでもつと根本的にやつてもらわなければならんと思う。答弁は要りません。
  67. 松浦定義

    松浦定義君 今、江田委員が御指摘なつたようで、実はこれは新らしいケース、新らしい問題なんですが、御承知のように、今度の北海道が十五号台風その他冷害関係で非常に農民が困る。特に水田の問題はこれは非常に内地の一般と関係がありますから、いろいろこの問題は別といたしますが、畑作地帯における被害が非常に大きいというので、何とか北海道の畑作経営に対して政府は考えておるかということについて、最近農林省内部を廻つた話を聞きますと、それは牛を飼えばいいのだ、なぜ牛を飼わんのだ、こういうような話が一部に出たというのです。これは誠に結構なことだと思うのですけれども、今の問題と関連して、今そう簡単に牛を飼つたからといつて、北海道の畑作経営が成り立つというようなものじやないと思うのです。そういう意味合から酪農振興法ができましたので、全国的に非常に酪農熱が煽られて、高度集約酪農といつたような地域の選定についても、北海道だけでも二十何ヵ所申入れがある。全国的に相当大きな希望があるので、これに対しては政府はもう十二月一杯には何とか三、四ヵ所くらいは指定したいというようなお考えであるかのようなことは前回も聞いたのですが、ただ法律的に非常に内容が、あの助成、この助成、こうした施設といつたようなことで、希望は非常にたくさんあるようですけれども、実際問題としてこれに真剣に取つ組んだら、今、江田さんの言われたようなことで、結局何ら農民にプラスにならないというような結果になり得るのではないか、こういうようなことが予感されますので、私どもは当面の問題として、折角酪農振興法ができたからには、この法律に基いて、すでに法律が制定されてから相当期間になりますから、このような状態なつたときに、やはり酪農民として奮い立たなければならないくらいまでにこれは振興さるべきであるのにかかわらず、現状のようなことでは、当然酪農民として酪農振興法は自分のものだという形にならないというようなことになつてしまうのじやないか、今日のような状態では、やはり乳牛をすでに手放そうとしている農家が相当あるわけなんです。そういうものを防止することだけでも私は非常に効果があると思うにかかわらず、そんなことくらいではどうにもならない振興法なんだから、政府としてはやはりもつと積極的にこの問題をやつてもらわなければならん。そこで乳価の問題ですが、さつきもいろいろ各委員から申されたように、酪農振興法ができたとたんに、もうぐんと下つてしまつたというようなことで、今お話によりますと、まだその振興法に基いて乳価の決定等の交渉が全然なされていないというようなことでありますから、問題はそこにあると思うのですが、政府としては先ほど適正乳価をどのくらいに考えるかという江田委員の御指摘に対しても、まあ抽象的な御答弁であつたのですが、当時は五十七、八円まで上つたものが、現在では四十円台を割るといつたような地帯もある、それはそれぞれ会社の考え方もいろいろあるでしようけれども、やはりあれはそんなに遠いところまで取引はできませんから、その地帯の会社との契約をするということになりますと、どうしても三十八円何がしというような価格を出しておるという話も聞いておるのですが、いずれにしても四十円そこそこでは当然これは酪農民としてはどうにもならないのだが、これを以て適正だというようなお考えで今後指導されるのか、やはり新らしい酪農振興法に基く交渉の段階においては、そういう面も相当考えて私はやつて頂かなければいかんと、こう思つておるのです。そういう点で早くその団体交渉的な価格折衝に入れるようにしてもらわなければいかんと思うのですが、そういう点について政府の考え方としてはいつ頃軌道に乗つた価格折衝と言いますか、そういうことができ得る見通しでありますか、この点一つお伺いいたしたいと思います。
  68. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 何と申しますか、非常に形式的に申しますと、今すぐでもできるわけなんでございますが、何分問題は乳を売る側の農家の団結或いは指導の問題になりますし、又もう一つは乳を買う会社と申しますか、乳業者側の心がまえと申しますかが、そういう組織的な酪農民の団体による乳の取引ということを積極的に育てる方向に御協力を願う、そういう線と一致して行きませんというと、形式的には今直ぐでもできることでございますけれども、なかなか現地の実情としては、それが軌道に乗らないという悩みを持つておるわけだろうと思います。その意味におきまして、具体的な例で恐縮でございますが、北海道のように会社側も或る程度農民の立場と申しますか、農民自体の会社というような意識を持つており、それから乳を売ることについて多年辛酸をなめ、苦労して来た酪農家なり団体がおりますだけに、比較的北海道等についてはそういう協調と申しますか、徹底的に話合をして納得ずくで価格をきめて行く、両方の言い分を言いたいだけ言う、それで協調して行く、そういうような行き方が比較的とられやすい環境になつておつたのでありますが、内地の非常に古いと申しますか、却つて古い酪農地帯とか、或いは振興のところでも、そういう先ほど私が申しましたような、両方の意識の十分湧上らないところについては、遺憾ながらまだ法律の狙つておりますような整然とした話合というものがなかなか軌道に乗つておりません。私どもとしては県当局なり関係団体を通じまして、そういつた方向に一日も早く軌道に乗りますようにということで、差当りの指導をいたしておるわけであります。
  69. 松浦定義

    松浦定義君 今お話を聞きますと、北海道は農民資本でやつておる会社だから比較的よく行つておる、こういうお話ですが、実はそのほうが問題なんで、俗に言う雪印バターとかいうのですが、このほうはむしろ森永だとか、ほかの会社よりも安いわけなのです。この間も私いろいろ会社に行きましたら、農民側からたくさん来ておりまして、せめて他の会社と同じに買つてくれ、こういう要求をしておるのです。現在では他の会社と同じに買うとか何とか、そんなものでないのだ、自分の経営をどうするかということが主であつて、ほかの会社が高く買うから高くする、安ければ下げる、下げるというなら、安くても下げない場合もあるかも知れんし、或いは安くても買えない場合もあるというような強い意見を出しておるわけなのです。その点から行きますと、内地府県はそれ以上にみじめだということになりますと、この点は非常に問題だと思うので、この点はやはり法律の根拠に基いて、速かに政府としては措置すべきであつて、農民の団結だとか、会社の理解というようなことだけでは、私が今申しましたように、やはり農民資本の入つておる会社ですら相当強く出ておる。それは私は強く出ると思いますが、ほかのものと違つて牛乳だけは勝手にほかに売るということも地域的条件から行きませんし、都合品いいときまで持つということもできませんから、そこが非常に弱い。そういう点を十分に御考慮願わなければならんと思いますが、殊に内地府県のそういうような小さい会社或いは努めて少量しか出せない酪農民というものについては、特に政府はこの法律の効果を一日も早く実現できるようにしてもらわなければいけないと思うのですが、いずれこういう点については努力されておるというならば、私どもとしてはそれは期待はいたしますけれども、今申上げましたようなことで、なかなか団結だとか、理解ということだけに任しておいたのでは、当然まだこの法律の実体に副うようなことは私は容易でない、こういうように考えておるわけであります。
  70. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 酪農振興法を取上げておるのですが、あれですか、当面緊急した問題だけに限つてお答えの用意をして来られたわけですか、経済課長から……。
  71. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) ちよつとどういうことの御質問だかよくわかりかねますが、一応酪農問題について、私経済係長でございますから、お答えできる範囲なら、成るべくお答えしたいと思いますが……。
  72. 森八三一

    委員長(森八三一君) 今日の議題は、酪農振興の件と乳価維持の件ということになつておりますので、酪農振興に関することは御質疑頂いて結構であります。
  73. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私どもかねて有畜農家創設維持というあの新らしい立法の審議のときに、畜産局には随分協力をしてあの法律の成立を見たわけですが、併しこれを第一線の現状から見ると、乳牛の価格を二割も、或いは場所によつては三割以上も吊り上げてしまつて、そうしてその結果が必ずしも我我が期待した線に大きくは沿い得なかつた。ところが今度時たまたま酪農振興法の成立を見たら、直接これとどれだけの関連があるのか私はよくわかりませんが、時を同じうして乳価の値下りが起つたのであります。そうして現状においては、農家が乳牛を手放さなくちやならないという窮地に今追込められておる。これが私はやはり畜産行政一つの何というか、大きな問題点だと思います。それで江田委員からも質題がありましたが、当面の乳価の問題について、例えば市乳原料の価格等における、東京と大阪ではかなり大きな開きがあります。それは一体何によつてですか。お調べになつておられると思いますが、東京の市乳の原料乳価格と、大阪のそれとは一升について二十円近くの開きがありますが、一体それはどうしてそういうことになつておるのか。
  74. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 私どもの調べたもので見ましても、確かに地域的に非常な差がございます。現在の価格の決定の状況は、消費の強さと、それから売手、買手の何と申しますか、関係、そういつたもので価格がきまり、市乳のようなものについては、その消費の性質上、全国的に価格をならすということもできない商品でございますので、そういつた地方的な差がつくことは多少止むを得んかと思います。東京の場合に比較いたしまして大阪が特に高いというふうに思われますその理由として、私どもが大阪のほうが高い理由として考えられます点は、やはりそういう需給関係の地方差ということ以外には具体的には申しかねるのであります。若し強いて申しますならば、東京、大阪での違いとしては、大阪の場合に近県の酪農業の参加した牛乳の売り方がかなりの需要の中の、大阪の市乳の中に相当のウエイトを占めている、東京の場合には、逆にそういつた生産者が製造にまで参画している売られ方のウエイトがそんなに多くないといつたようなことがあることはあります。ただそれがこのような価格の差の原因であるかどうかということについて断定いたすことは如何かと思われますが、私が今御指摘を受けて思い当るとしてはそういう点がございます。
  75. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は今後の乳価の問題を公正な立場できめる場合に、このよつて起る理由というもの、これはよく調べて頂きたいと思います。これは需要供給によつて価格がきめられるということは、これは商品ですから勿論だと思うけれども、併し東京という環境と大阪という環境は、さつきの北海道のそれとは全然そのグループが違うのですから、なぜ一体こういう価格差があるか、而も価かの差でなくて、これだけ大きな開きが出ていますということについて、今後の乳価を処理される畜産局の立場において私は大いに検討して頂く必要があると思うのです。それからさつきお答えのあつた協同組合という組織の供給する乳量が非常に多いということを指摘されているが、私もその点については一つ理由であろうと思う。それらを計数的によく一つ調べて頂いて、私どもにもそのほかに理由もまだあるように思われるので、それらを一つ次の機会によく我々に知らして頂きたいということをお願いしておきます。それからさつき岸委員の質問でしたか、乳価に関して妥結を見た県の事例として北海道と福島をお挙げになつた、これは幾らにきまりましたか、それぞれの地域における価格を……。
  76. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 北海道につきましては、原料乳として工場渡し一等乳が標準脂肪量のもので四十円八十銭にきまつたように聞いております。それから福島の場合は四十二円にプラス八十銭で妥結を見たというふうに聞いております。なお正式に妥結したと伝えられておりませんあちらこちらの地方としては、私どもが耳にいたしております話といたしましては、先般会社側から申入のあつた、この値段にいたしたいという会社側の提案に対して相当の反撃反論があつて、例えば二円或いは三円、私どもが、今まで聞いた中では会社側から申入のあつた価格に三円をプラスして実質上妥結したというのがございます。そのように地方的には多少あるようでございますが、ただ団体交渉をもつと正式の形で持つて行くとか、或いは会社の今後の取引形態を理想的なものにこの際いたして行きたいとか、或いは周辺をそこまで引上げて行きたいとか、形式的に妥結というところまで行つていないというところが多いようであります。
  77. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 集荷委員を任命した県が数県ある、その名は……。
  78. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 今私が申上げますほかにもあると思いますが、私どもが照会いたしました書面に対してはつきり返答の参りましたところだけお話申上げます。きまりました県として報告いたしておりますのが、新潟、群馬、栃木、青森、それから選定中ということで近日中にきまるという意味を書面で出しておりますのが、徳島、山梨、大分、埼玉、それから大体具体的な申請があつたらこうきめたいと口頭で連絡がございましたのが、東京、そういうことでございます。
  79. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今妥結を見た乳価を見ると、いずれも全国の酪農民大会の決議等を経て、そうして全国的に公正な乳価だという動きが起つておりますが、これらの要望と、このきまつた北海道並びに福島の価格というものはかなり開きがあります。特に北海道は若干事情が違いましようが、福島等の場合にこういう、妥結を見た経過について、今は必要ありませんが、妥結の経過等についての資料等があつたら後の機会に成るべく早く頂きたいと思います。  それはそれとして、乳価の問題に関連をして、さつき乳代の支払いは成るべく農協を利用するという、そうして又そういう指導方針をとつておられるというふうな話がありましたが、或いは六十日或いはそれ以上の長い手形で渡されたのを農業協同組合を利用して割引しておるという例は全体のどのくらいありますか。
  80. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 各県別、組合別になりますので、後ほど或いは資料で差上げたほうがよろしいかと思いますので、そうさして頂きたいと思います。
  81. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 この農協を利用するということは、酪農民、生産者の立場からすれば、これは別に何ら益するところはないので、正当の利子を負担させられておるということでありますから、これは一方製酪業者の立場では乳製品を売つた場合の代価というものはこういう長い期間を許さないで、或いは現金でもつと短かい期間の取引になつておるのではないかと思うのですが、この現況はどうなんですか。
  82. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 従来何と申しますか、昨年の秋のような非常に好況期でございますと、むしろ乳の非常に争奪戦を演じたわけでございますから、そういう際には普通の状態としては乳代は一ヵ月後払いの現金払いというのが普通でございます。なお特殊のところにつきましては、原則はそれのほかにいろいろ奨励金的な要素のものがその支払期日のあとになつたり、先になつたり農家に出たと思います。建前としては翌月の十日なら十日と日をきめて、その一回に前月の分を現金で払うというのが常態のようであります。それがこの春以来乳業会社の資金繰りの困難さを加えるに従いまして、それが一ヵ月きまつた日に払うにしても、それが現金が半分の手形が半分、払うべき金の中の半分だけ手形で払うというようなことが起り、更にその手形が一ヵ月、二ヵ月というふうにだんだん延びて行く、ところによつては全額が手形になつておる。そういうことで区々でございまするし、その土地の競争状態とか、農協の強さとか、会社の強さとか、そういつたような状態で区々ばらばらでございますが、大体そういうふうな推移を辿つております。
  83. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 今の手形払いの状況も大体これはそう詳細なものは必要としませんから、特に東京を中心とする会社別、殊に手形の期間等についての資料を頂きたいと思います。それからなお我々立場を消費者に代えて考えると、消費者は今の一合について十三円五十銭、若しくは会社によつては十四円という価格を、これは六十日はおろか毎日々々かつきり現金で払つておる、一方買取る生産者の乳というものは六十日だ或いは九十日だといつて、而も手形だといつて突放されておるという現状は、これはどう考えても適正化というものとは遥かに遠くて非常にこれは不公平なんです。ですから何がそうさせたのかということについては理由もあるのでしようが、一方では現金でとつておいて、原料の乳を買取る場合には、そういつた長期の手形でやるということについては、これは経営の合理化といいますか、或いはそういつた製酪業者の経営自体にも大いに検討を要する点があろうかと思いますが、それでいいということは我々としてはこれはやはり容認できないと思う、これらについては一体農林省としてはどういうふうに考えておられますか。
  84. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 私といたしましても御指摘の通り考えております。滞貨融資の問題が最初に出ましたときも、製品の滞貨融資が行われることもそれは事情によつては止むを得ないかと思いますが、その前に原料乳代について当然に一ヵ月後払い、更に御指摘のように、それに手形払いが加わるということでございますれば、滞貨した商品についての相当部分というものは、原料乳代の生産者に滞らせないという意味合から、系統資金のほうで相当面倒を見おります。一部のまるまるの滞貨融資ということを、そう簡単に言える性質の状態じやないと私は考えております。ただそうは申しましても、現実の問題として本当に個々の企業の実態について滞貨の融資がなければという状態もあるようでございますが、それについて更に具体的に検討する。全国一律に原則的に或いは個々の企業の実態を見ずにああする、こうするという対策が非常に立てにくい実態であります。従つて非常に個々具体的な処置しかとり切れないというわけでございます。なおそういつた製造原価なり、加工原価につきましては、先ほど江田先生の御指摘農家段階の生産費の調査と合せまして、先ほど冒頭に申しましたように、両院の御決議もございましたので、関係府県なり、団体なり、思付きます成るべく広い範囲に計算方式を示しまして、アンケート的に御意見を求めております。なお明年度の問題になりましようが、統計調査部の機構の拡充によるそういつた資料の整備ということについても特段の努力をいたしたいと思つておりますので、逐次具体的なお答えができるようになつて参ると思います。
  85. 江田三郎

    江田三郎君 関連して……。今そういう答えがありましたが、例えば北海道が四十円幾ら、福島が四十二円幾らという場合に、大体あなた方にしても、北海道庁にしたところで、福島県庁にしたところで、生産費の計算というものはほぼできると思うのです。なお全然できないというならばそれでよろしい。併しできるならば、北海道でも地域によつて違うかも知れませんけれども、併し乳価というものは一本ですから、平均のものを出してもらえばいい。北海道が四十円何がしかのときに生産費は幾らであるのか。仮にこれは生産費を割つているとすれば、この生産費を割つて牛乳を出して売つている酪農家に対しては、今後どういう措置をするのか。或いは値段を上げるようにするのか、値段が上らんとするならば、飼料の問題についてはどういうことを考え、或いは処理の問題についてはどういうことを考えるかという、この答えを一つ出してもらいたいと思うのです。そういうことをしないと、これはただまあ五円下げるというのを二円くらいに食い止めた、八円下げるというのを三円に食い止めたというようなことだけをやつたのでは、これは経営の安定というものはない。又河野君の表現を以てすれば、冷蔵庫を持たぬ氷屋というのですが、酪農家のことを……。要するに牛を肉にするわけには行かんから、買わなければ何ぼでも下げられる。今ここで四十円にしたところで、この次何ぼになるかわからん、そういうように、たださつき言われた八割に止めた、五割に止めたというようなことの腰だめ的解決だけでは何をやつても仕方がないのですから、この次でよろしいから、あなたのほうでは、差当り今きまつた北海道については、これは生産原価は幾らと見ているか、若し生産原価を割つているとすれば、これに対しては今後どういうことを具体的にやろうとするのか、これを一つこの次までに示してもらいたいと思います。
  86. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) お答えになるかどうか、少しずれるかも知れませんが、北海道につきまして統計調査部が二十八年度に実施いたしております二十八年度一年間の牛乳の調査が手許にございますので、御参考までに申上げますと、第一次生産費を一升当り三十八円九十三銭、地代、資本、利子まで第二次生産費で四十四円五十七銭というような一応数字が出ております。ただ今度きまりました四十円何がしという値段が、どういう算出の基礎で妥結いたしましたか、その点につきましては事情を詳細にいたしておりませんので、早速十分御説明ができるような説期を北海道庁のほうから聴取いたして、私ども研究いたしたい、かように思つております。
  87. 江田三郎

    江田三郎君 そういうふうに言われましたから、その際に農家の労賃というものはどういう算定をしているのですか。
  88. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 御質問の御趣旨は労賃の単価だろうと存じますが、ちよつと今私手許に持つておりませんので恐縮なのでございますが、この調査をやりましたときは、一般の農林省の統計調査部の生産費調査と同じように、当該自治体の一般農業労賃というもので計算をいたしておるように思いますので、かなり低いものであることは大体御想像できることじやないかと思つております。
  89. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 先ほどの御質問の中で、今緊迫している乳価の情勢の現段階のときに、牛乳を拒否したという例はなかつた、或いは聞かなかつたというような話ですが、我々の耳にはしばしばこういうことが聞こえて来るのですが、それはあなた方の、紙でそういう報告を受けなくても、耳に入りませんか。
  90. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 具体的に牛乳を拒否したというような事実は耳に入つておりません。ただこの値段でいやならば、明日から持つて来なくてもいいというようなものの言い方をされたという忿懣声は聞いております。
  91. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 私は農林省の立場とされては、これは曾つてもこういう場合そういう例はしばしばあつたのです。それが酪農振興というか、牛乳消費拡大普及という上にかなり大きな障害になつたという例は、これは少からず繰返されて来たことです。折角今酪農振興法という法の整備まで行われて、そうして而も国民大衆が安くして安全な乳を欲する。国としても食生活改善ということを大きく掲げて今日まで進んでおる段階で、而もこの資本力だけにものを言わせて、今とは全く政治情勢の違う、曾つてやつたようなやり方を今のこの民主主義の世界でこういうことをすることは、私はまさに時代の逆行だと思うので、そういう経営者の頭が如何に今の時代に合わないかということは国民がよく知つていることなんで、少くとも先の見える経営者というものは、そういう無謀の挙をあえてしないと思うのですけれども、万が一我々の耳に触れるごとくに、そういう事例或いはそういう態度がありとすれば、我々としては聞き捨てにならないことなんです。その指導の立場にある農林省とされては、そこらの指導というものを誤まらないようによく耳をあけて頂きたいと思う。これは酪農振興の上に一つの問題であろうと思うし、而もこれから消費者がこのくらい熱心に牛乳を要望している今の時代に、そういう非民主的というか、時代に合わない態度や方針をとるということは、私は社会的に許されないと思う。それらの点については特に注意を喚起しておきたいと思う。それから次の問題は、私が或る大きな業者のかたから聞いた話でありますが、ストツクのために非常に経営上困つておいでになるだろうということに対して、いや必ずしもその問題については我々の経営上のネツクになつていない。金の問題よりもむしろ我々にとつて今一番緊急の問題は、午前中にあつた、つまり厚生省省令改正の問題であり、厚生次官通牒等をめぐるこれに対する今の強い改正の要望なんだということを私は耳にしたのでありますが、占領中の日本実情に合わざるああいつた衛生行政の行過ぎが、今の日本の国民経済上の現情勢に如何に不適合であるかということは、これはもう国民のひとしく認めておるところなんで、こういつた情勢に合うように、こういつた食品衛生の行過ぎもこれは是正して行かなくちやならない。こいつが改正等をめぐつて、我々の委員会で僅か一時間か半日の時間を費して僕らが、質問をしてみたところで、それに対する答えは、我々に対しては必ずしも十分納得が行かない。そこで一番関係の深いのはあなた方なんです。畜産局とされては、厚生省の特に環境衛生で取上げておるこの問題の改正についての経過で、どういう一体今までの関連における経過をとつて来られたか。あなた方としては、これに対してどういう考え方を以て臨んでおるのか、それらを一つ明らかにここで要点だけ聞かして下さい。
  92. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 厚生省との厚生省令五十二条改正問題につきましては、先ほど冒頭にちよつと抽象的に申上げました。午前中御審議のありましたような問題なんでございますが、私どもといたしましては、今回の乳価引下問題が起りまして以来、農家側としてこういつた要望が熾烈にございましたので、直ちに厚生省のほうと連絡すると申しますか、或いはこの問題が起る前から、昨年来と申しますか、もうずつと前から実はこの問題については、昨年修正になりましたと畜場法の改正問題と併せまして、機会あるごとに私ども厚生省にこの牛乳の取締規則について国情に合うように改正してもらいたいということを常々申しておりました。たまたま今度の乳価の問題につきましても、その一つの突破口と申しますか、問題点の解決の手段として、これが非常に各方面から要望されましたので、私どもとしては更に勇気を得まして、この問題の早急な解決を行いたいということでたびたび厚生省のほうと、私自身も勿論やつておりますし、その他あらゆる機会に会合を持ち、出かけて来ましてやつておるわけであります。私どもの期待しております線は、大体今朝午前中に各委員の皆様方から御指摘のありましたような点とほぼ一致するわけでございますが、先ず何と申しましても、殺菌方法について現在の二段がまえの例外的な規定の仕方は困るということ。それから保存の方法が現在のままでは困る。それから小売方法としての小分け、密栓ということに限定されることが困るということ。それからもう一つは、乳そのものの成分規格が余り、指導目標を掲げるという意味ではわかるのですが、現実日本でできる乳の規定としては余り上等過ぎる。害のない程度にそれを緩める。要するに衛生上実害のない範囲でどこでも誰でもが簡単に飲めるようにするという線を打出して参りたいということで交渉いたしております。
  93. 森八三一

    委員長(森八三一君) この御質疑の中途でありますが、衆議院のほうの委員会関係で、羽田政務次官からちよつと御挨拶の発言を求められておりますので、次官の御挨拶をお聞きいたします。  ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  94. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて。
  95. 飯島連次郎

    飯島連次郎君 厚生省令改正の問題については、午前中の委員会等でも更に強い当委員会としての要望があり、申入はもうすでに前回の委員会においてなされたところでありますが、これに対する厚生省の環境衛生部長の答えは、必ずしも我々の期待する線に沿うようには聞き取れなかつた。併しこれは日を急ぐ問題であるので、その点については今月末ぐらいを目途にして一応の改正の要綱を作るのだというふうなことであつたので、我々としてはできてしまつてから据膳を食わされたつて意味のことでありますから、十分これに対しては機を失せず、而もその内容等については期待し得るがごとくに、これに対しては不断の注意を怠らずに行きたいと思うのでありますが、農林省とされても、今抱いておられる骨子はわかりましたけれども、ただ幾らそういうことを希望しておつたところで、これが改正において実現されなければ、これはもう画餅に同じことなんですから、これについては日常絶えざる接触を持つておられるので、今の考えがこの中に完全に盛られて実施されることを私は強く要望したいのであります。その点については特に重ねてこれが実現が期されるように一つ骨折つてもらいたい。
  96. 松浦定義

    松浦定義君 私この際ちよつとお伺いしておきたいのですが、まあいろいろ今御質疑の中から出ておるように、酪農行政がどうしても私は軌道に乗つていないと思うのです。そういう意味からいつて酪農民の生活維持ということは、どうしてもこれは政府自体が保障しなければならんと思うのですが、そういう点から行けば乳価の最低価格を保障するといつたような点について、政府は、これは立法措置を必要とするということは一応考えられますけれども、立法措置を必要としない範囲内において、そういう点で何か一つ私は規制をする必要があるのじやないか。そういうことをしなければ、今問題になつおるように五十七、八円にもなるかと思うと、すぐ又四十円或いは四十二、三円にもなつてしまう、或いは又三十七、八円になるというようなことでは、これはほかのあれと違いまして、少くとも五年、十年継続的に飼わなければ本当に軌道に乗つた酪農経営というものはできないわけですから、そういう点から行くと、私は或る程度法的措置を講じてでも最低価格を保障するといつたようなことは必要だと思うのですが、こういう点については何らお考えになつていないかどうか、この点をちよつとお伺いいたしたいと思います。
  97. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 先ほど申しましたように、現在の乳価の出され方が買手の採算と申しますか、ということを主にしてとかく話が始まりますので、そういう点を改めまして、買手売手少くとも対等の立場で話ができるようにという線を出し、併せて再生産を確保いたしたいと念願いたしておるわけなんでございます。その意味で、具体的には差当つて措置としては滞貨に対する融資等の措置によつて乳価の低落を防止いたしたいというのが現状における私ども措置として取上げたわけでございます。なお根本的には酪農民による共販態勢といつたようなものを整備することによりまして、御指摘のような線を確保する具体的な目度を作つて参りたいと、そういう方向でございます。そういつたことをやります際に、当然私どもが再生産を確保するということを念願いたしておる以上は、そういつた今申しましたような当面の措置だけで事が足りるものであるか、或いは更に突き進んで御指摘のような法的措置にまで及ばなければ、そういつた念願は達せられないものであるか、その辺のところは今後今の当面の措置に関連いたしまして、当然私どもとしても検討いたして参らなければならんと思つております。ただ現状におきましては、御承知のような取引の実体でございますから、農民に最低価格を保障する具体的な手段として、どうしても今の現状をそのままにしたままではなかなか具体的な手段が出て参らないという悩みを持つておることは御承知の通りでありますが、今申しましたような手段を具体的につめて参れば一つ方向が出て参るということで検討はいたしております。
  98. 松浦定義

    松浦定義君 今お話のように、滞貨に対する金融措置を当面の問題としておやりになることも結構だと思うのですが、なぜ滞貨をするかということ自体が問題になると思うので、特に現在国内においてもすでにそういうように滞貨をしておるにかかわらず、国内酪農業を脅やかすような酪農製品の輸入をするというようなことを、やはり生産者或いは酪農業者がその輸入阻止をするといつたような声を起させる、又そういうようなことをさせるということ自体が私はいかんと思うので、そういう点についてはやはり政府みずからがこういうことの起らないようにするということであれば、私はこの滞貨に対する措置というようなことは、今大きな問題としてお取上げにならないでも、そんなものは当然、場合によつては止むを得んといたしましても、やはり基本的な酪農行政というものは私はそこに出て来るじやないかと、こう思うので、こういう点一つ併せて十分お考えになつてもらわないというと、滞貨をさせる原因というものがやつぱり酪農製品の輸入といつたような点にも私は非常に大きな原因があると思うので、こういう点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  99. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 滞貨の原因としては、直接の原因として私どもが考えておりますのは、昨年の秋以来御承知のように牛乳、乳製品が非常に不足いたしまして、ものすごい値上りをいたしました。その結果、有頂天と申しますと語弊がございますが、まあ足りない一方でございましたから、ぐんぐん価格を上げて争奪を演じ、同時にそれが増産に非常な効果を来たした。ところがその不足の状態を前提にして非常に強気の営業対策がとられたのが、本年の春頃から急に消費が止まつて来た。止まつて来たのではございません。伸びてはおります。やはり依然として昨年の同期に比較しまして消費も相当の伸びを示しておりますが、少くとも今までの値段では、その値段で作られるほどの量は売れなくなつたということだろうと思います。従いまして、値段を下げることによつて切抜けて行こうという対案か出て来たわけだと思います。従いまして、御指摘のような輸入というようなことは、今のところ政府はずつと、今までもそうでございますが、計画的には輸入という措置はとつておりません。従いまして、巷間一部で輸入がこの滞貨を作つたとか、或いは輸入したことで非常に市価を圧迫したとかいうようなことが言われておるのは私も耳にいたしたのでありますが、どうも私どもとしてそういう判断は必ずしも正確じやないのじやないか、さように考えます。
  100. 松浦定義

    松浦定義君 どうも今お聞きしておりますと、こういう結果は何も政府の責任でないというふうに私どもは聞けるのですが、やはり生産する限りは、消費の面を十分政府自体が考えなければいかないと思うのですね。消費の面を考えることになれば、やはりできるだけ安く広くこれが消費されるということになれば、むしろ現在の食糧事情からいつて私は当然まだ進展する余地がある。従つてその点についてお考えにならないものですから、一時いろいろな形でどんどん高くまる、売れるだろうと思つて、高く買うから牛を飼つてみよう。ところが結果において、それが逆になりますと簡単にそれが行き詰つてしまう。こういう場合に行き詰つたからというのは、先ほどからお話のように、金融措置を考えてやるだけでは酪農というものは全然振興しないと思うので、そういう点は今のお話ですと、あれは酪農業者或いは酪農民が勝手に上げたり下げたり、やつたりやめたりしたかのような印象を受けるのですが、こういうことではいかないので、こういう性格のものであるから、やはり最低価格というものを保障して、今のように五十何円にならなくても、或いは三十何円に落ちることを防ぐために、現在の四十円、四十二円が適正であるならば、こういう線でずつとこれから五年、八年、いろいろの事情もありますけれども、努めて酪農民が安定した形に入れるようにしなければならん。こういう酪農振興法ができて、去年から一年も経たんうちにこんな大きな変動を来たしておるということになりますと、一方では畜産行政という意味で、牛を飼え、牛を飼えと言いましても、片一方ではやはりこれに伴つた消費が続けられない限り、私はこの問題は非常に行き詰つてしまうのじやないか、こう思いますので、今のようなお話は、それはいろいろ事情はありますけれども、どうも私としてはもつとやつぱり政府が積極的にこの問題は取上げて、ほかの問題と違うということは十分おわかりでありましようから、あまり価格の変動が他の物価以上に動くということは非常に私は危険なことだと、こう思うので、こういう点を十分一つ御検討願いたいと思います。
  101. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 御趣旨よくわかりますので、今後とも乳価の安定ということを図りたいと思つておりますが、酪農振興法で私ども考えました根本義としては、日本牛乳、乳製品は高過ぎる、足りないんだという一つの前提と、それから今の取引機構を前提とした場合には、増産を奨励した場合に合理化が中間段階で行われないで農家の段階でだけ、その増産の結果の最終価格の低下ということが農家ばかり要請される虞れがあるということを根本の前提として、実は酪農振興法の取引の条項を考えたつもりであります。ただ何と申しますか、需給の変動と申しますか、増産の効果が非常に早く、昨年来の高値で非常に急速に出たと申しますか、売手としての農業者或いは農業者の団体の十分な態勢の整わん前に、こういつた総体的な供給の過剰という状態が出て、その値下りが農民に特に強くしわ寄せされておるという現状でございますので、私どもとしても、誠にそういうふうになつたのでは、御指摘のように酪農振興というようなことはなかなか期せられないということで、いろいろ弥縫策ではありますけれども、当面の対策を考えておるわけでありますが、その意味で乳価を安定させながら、供給が殖え、末端価格が安くなるという大理想が前提で諸種の対策を考えるということで乳価の安定を図つて参りたいと思つております。
  102. 森八三一

    委員長(森八三一君) 最後に一点お伺いしたいのでございまするが、だんだん乳価が下つて来て適正の状態を失しておる、更にその乳価が相当の手形払いで現金決済にならんというわけで、酪農家は飼料の購入にすら非常に困難を来たしておるという矢先に、最近地方で聞きまするところによりますると、政府の手持飼料の払下が行われた、ところがその払下いたしました飼料は現金で購入をして、十二月の末まででありますか、十二月の十五日までですか、それまでは農民の金利負担で持つておらなきやいけないという条件付の政府手持が放出されておるということを聞くのでありますが、これはどういう趣旨なのか。その時期になれば、例年の例によつて飼料が相当に高騰するであろう、それに備える対策とすれば、当然安定法の発動によつて始末をすべきものであるのに、非常に資金に困難をしておる農家に負担をせしめて、それは今使つちやいかんという条件を付けることになると、これは非常に矛盾をして来ているように思うのですが、どういう必要に迫られてそういう措置を講ぜられたのか、その辺の事情をお伺いしたいと思います。
  103. 昌谷孝

    説明員昌谷孝君) 私その飼料の放出の状況については実は事情を存じませんので、どういう事情か御説明は私からちよつといたしかねるのでありますが、或いは国内産の飼料を計画的に系統機関に備蓄をさせるという趣旨であつて、政府の払下分ではないように私は思うのでございますけれども、詳しい事情は局長なり飼料課長からお答えしたほうがよろしいかと思います。
  104. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今の質問は、別の機会に局長なり飼料課長に求めるこにいたしたいと思います。  只今議題になつておりまする酪農振興並びに乳価維持の件につきましては、質疑の状況から想像いたしまするのに、政府当局におきましても、まだ十分事態の由来する根源というものが究明されておらない、事態の本当の実相の把握が不十分であるというようにも思われます。こういうことからして、委員会が求めておる具体的な対策等につきましても極めて微温的であり、不十分ありいたしておりますようにも考えられまするので、本日の委員会で各委員から御質疑のありました趣旨は十分了解せられたと思いますので、次回の委員会には、現在当面しておるこの窮迫事態をどう解決して行くかということについて、もう少し具体的にはつきり政府の態度というものが表明せられますように御研究も願い、対策の取進めもいたされますように希望いたしたいと思います。この問題はこの程度にいたしまして次の問題に移りたいと思います。   ―――――――――――――
  105. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、農薬の件を議題にいたします。この件につきましては、かねて宮本委員から質問の御要求がありましたので、この際質問を願うことにいたしたいと思います。
  106. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 農薬は最近農林省の指導で以て非常に徹底しました。今回私も災害地を歩いて参りまして、物理的な台風の被害を受けた所で、茎葉の裂傷のひどい、所は農薬の効果はあまりなかつたようですが、その前の段階くらいなところの稲作に対しては非常な効果を発揮した。で、こういつた現実面を農民は最近非常によく認識しておつて、農薬の普及徹底ということは私ども想像以上に行渡つた。このことは農林省の指導行政のよろしきを得たんだということで以て私も非常に意を強うしたわけなんです。けれども、この逆に農家の農薬の指導、そういつたようなものに対して、使用のほうの指導は行き届いておるけれども農家経済に影響するほうの面に対し、あまり農林省が、まだ日も若いせいか、十分でないように私受け取れたのでございます。と申しますことは、最近御存じのように新薬で、パラチオン剤というよなものができたために、非常な効果と一緒に農薬価格農家経済に大きな負担分野を占めて来た、これは争えない事実なのでございます。本日もこうやつてこの委員会へ出て参りますというと、ここに植物防疫推進協議会或いは全購連の会長あたりから、今度の災害地の農薬に対して使用農薬の半額補助を要求するというような陳情書が出ております。全く農家の負担分としてはゆるがせにできないところの負担であるということがわかつたわけなんです。で、私鹿児島へ参りまして、鹿児島県の台風災害後における農薬の使用量を県で以て調べて参りました。その農薬の使用量というものは、一万八千町歩の水稲に対して銅製剤が一回分、それからパラチオン粉剤が一回分、この金額が、平均だそうでございますが、大体一反歩当り五百二十円くらいな増量を使用しておる。このうち相当部分は収穫皆無の地帯になつております。そうしますと、この収穫皆無の地帯はこの台風災害による当局指導によつて五百二十円というものの災害を新たにこうむつたという形も経済的には結果されるわけなんです。これは大きな問題なんです、はつきり申上げると……。これは台風前の農楽は入つておりません。で、地方のお話を聞きますというと、まあいろいろ、私話だけを聞いて来たのだからわからないけれども、一反歩当り千円を超す農薬を使つておる農家も相当あるようです。今日私ども農家の金銭支出の問題で一等大きなものは肥料だと思つておつた。ところが農薬の指導普及徹底という問題が行渡つて非常な成績を挙げると同時に、農家の金銭負担としては飛躍的に農薬というものが農家経済に及ぼす影響が大きくなつたというように私ども受取れるわけなんです。そういう事態になつたことは、これは農業政策としては非常に進歩であると同前に、この進歩した段階に私ども第一番に考えられるのは、今国際的に米価というものがそろそろ頭打ちをして来た、むしろ下降の傾向にあるのじやないかという時期に際会しておるということなんです。そうしますというと、農家経済の問題がここに強く取上げて来られなければならないのじやないか。で、第一番に私はそういつた前提の下にここで以てお伺いしたいのは、農林省のほうで以てそういつた農薬に対する経済資料を元とした何か施策をお持ちかどうか、農薬、特に価格に対しての施策をお持ちかどうかということを第一段階としてお尋ねいたしたいと思います。
  107. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 農楽の価格につきましては、特に農林省といたしましては、現在のところ法規とか、制度によつて勿論何らの何をしていないわけでありますが、まあでき得る範囲といたしましては、農薬の価格に対する専門的知識を持つた人々の意見を聞きしまして、それが現在の販売価格が妥当であるかどうかというふうな点を検討して、指導的に話を持ちかけて行くというふうな程度であり、又行政的な指導といたしましては、現在御承知のように、農薬の整備を僅かな量でありますが、そう大きな量ではありませんが、全購連でやつておりますし、又本年から県段階でもかなりの量の農薬の整備をやつております。つまり備蓄でありますが、備蓄をやつておりますので、これらを通じて幾分でも適正な方向に持つて行くように努めたい、この程度のことしかやつていない現況であります。
  108. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 まあ一例をパラチオン剤にとりますというと、今日ドイツのバイエルの専売特許によつて原液を作つておる工場は、大分県の住友化学の鶴崎の工場が原液を作つているだけなんです。ところがこのバイエルの特許によつて原液を作る権限が地域的には大分県の鶴崎にある。それをフオーミユレートするために、わざわざその原液を東京或いは大阪、岡山とか、こういつた本土に持返つて、そこで原液を倍液に稀釈し、そしてその原液を最も使用しなければならない地帯というのが「めい」虫の本場であるところの関西及び九州、こういつた地帯に実は使われているのだという話でございます。私聞いたところによりますと、パラチオン剤の四五%までは九州で使われておるということを聞いております。で、その住友化学が特殊契約によつて稀釈するところの工場が、単にそれを稀釈するだけの工場が全部本州にあつて、そして又稀釈したものをはるばる原液工場のある九州に大部分が送られておる。話によれば間に合わんときには飛行機輸送もやつておる。ドラム罐一本二万何千円もかけて、三千五、六百円くらいの輸送費で行くドラム罐を二万八千円もかけて現右送つておるという現状は、ちよつと私不可解なところがあるのじやないか。そういう点に対しては農林省は何か指導と言いますか、希望と言いますか、そういう意思表示をされたことがおありでございますか。
  109. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 現在のパラチオンの使用状況、これは今年の六月、各県の需要、希望報告から出た数字でございますが、大体九州が全国の使用量の二五・八%ということになつております。中国、四国が二六・五%でありまして、つまり九州が四分の一、中国、四国で大体四分の一、その他の地域で大体そのあとの半分というふうな使用状況になつております。で、御指摘の通りパラチオン原剤の製造は、アメリカのACCの特許権で、住友化学が大分県の鶴崎工場で作つております。なお御指摘の通りフオーミユレーター、つまりその下の段階でいろいろの加工をして、第一次の加工をするフオーミユレーターは九州にはないのでありまして、東京、大阪或いは岡山というような地方に分布をいたしております。そういう点から見ますと、一旦原液を本土のほうに持つて来て、又四分の一の需要のある九州へ更に製品を送るという点は、輸送賃金というふうな点から見ますと、かなり不都合なように考えられるのでありますが、元来フオーミユレーターの決定は、住友と今決定しておる会社の取引関係で、きまつて来たことでありまして、その決定には我我としては何ら介入していないと言えば介入していないような状態でありますし、又フオーミユレーターの数から、大体現在の需要から言えば、まあ経済的な操業度というふうな点も考えると今くらいの数が丁度いいというところで、ああいうふうな五社というふうな決定をしておるのじやないかと思うのであります。で、勿論我々といたしましては、九州地方における需要を今後の需要を十分全うする意味におきましては、一方においては国の備蓄度というふうなものによつて重点的に九州にたくさんの備蓄をするというふうな方法もとり、又県を指導して計画的な購入をやつてもらうというふうな点もあると思いますが、なお今後全国的な需要が殖えて来て、フオーミユレーターの数を殖やさなければならんというふうな事情を生じた節は、でき得る限り関係者を指導して、さつき一番初めに申上げましたような不都合のないようなふうに解決したい、こういうふうに考えております。
  110. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今お話になられたうちに、フオーミユレーターを殖やさなければならんような事情という御説明があつたのですが、その事情はどういうことを指しておられますか。
  111. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 先ほども申しましたように、現在の原体として六百トン或いはこれより若干殖えるかも知れませんが、とにかく六百トン前後の需要でありますと、原在の五つのフオーミュレーターの操業度という点から言えば、それで十分であり、又経済的であるというふうな考え方を一応いたしておるわけでありまして、需要が更にこの六百トン前後よりもずつと殖えて来るというふうな事情が生じた場合というふうに考えております。なお、今年九州でパラチオンが不足をして飛行機で輸送したという問題は、御承知のいうに、昨二十八年は原体を全部外国から輸入いたしましたために、絶対量が足らなくて不足が来たしたのでありますし、今年はまあ半分足らず外国から輸入し、半分以上を住友が国内生産をしたわけありますが、生産の時期が本年に入つて四月から本格化したというふうな事情がありまして、需要量に対しまして供給の絶対量が足らなかつたというふうな事情から全国的に不足を生じたのでありまして、まあ九州は特にほかの地方と比べると、その不足も程度が大きかつたのだと思うのでありますが、そういうふうな事情でありまして、今後我々が十分に指導をいたしまして、県の的確な防除計画と相待つて原体生産指導いたしますれば、今年或いは去年のような大きな不足を生じたり、迷惑をかけるようなことはないと、こういうようなふうに考えております。
  112. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今課長お話によりますと、効率的な経済生産と言いますか、そういう意味からというふうなふうに実は承わつたわけであります。それはまあ非常にいいことなんであります。私ども経済生産をやつてくれということを決して申しておるわけじやない。その意味ではいいのです。従つてできるだけ私どもは、そういう今の課長の言われるような線で以て経済的に生産して末端の農民に安い農薬を供給して欲しいということが実は希望なんでございます。私実は大まかに調べた数字なんでございますが、私の聞いておるところでは、原体は一トン当り百二十八万円くらいだということを聞いておるのです。これが末端に参りますというと、その稀釈したものが一〇〇CCのやつがこれが三百四十円くらいで行つておる。で、この過程には相当私は幅があり過ぎるのじやないかということを実は考えておるわけなんです。その点に対して私のはまだ大まかな調べだから自信がございません。それで私は資料して一つ希望いたしたいことは、原体が一体幾らでフォーミユレーターのところに渡つておるか、それからフオーミユレーターからそれが幾らで以て出ておるか、そのフォーミユレーターから出ておる値段がいろいろなルートがあるようです。例えば今お話のように直ちに県でそれを購入して、そしてストツクする、それから県は一切ストツクせずにただ指示書だけで以てフオ―ミユレーターから直ちに末端の農協あたりのところに品物が届いておる、そういう場合も実は本年は相当多かつたらしいのです。ところが、私承わつたところによると、大分県ではそう言つておりました。一様にやはり全購連なり県購連なりに手数料を全部納めておる。フオーミューレーターのところら出たのが恐らく単価とすれば一〇〇CCのものが二百円程度ではないか。それが、末端行つて三百四十円になつたという、そこにも何か、たつた一〇〇CCのものがそういう幅がそこに生じておる、ここらも今後の研究によつてもつと安くし得る方法があるんじやないかと、私は少し乱暴かも知れませんが、そういうことを、現実に今度向うを歩きまして多くの人たちからそういう話を聞いて来たわけなんです。だから私はそれを確信を持つて申上げるわけじやないんだけれども末端人たちがそういうことを言つておいでになるということは、やはりそこに疑惑を持たれておるということじやないか」。だから課長の言われるように、経済的な生産という意味でフオーミユレーターが五つしかないんだ、だからこの経済生産をやらせるためにはフオミュレーターがこのくらいのほうがいいんだというような意味のお考え方がちよつと御答弁の中にあつたようた気がするのです。どうもそこらに私特殊な利潤がふるんじやないか。なお、私はいろんな風評も聞いて来ました。例えば五フオーミユレーターの会社の配当だとか、或いは会社の人たちが急激に大きな住宅を購入して、今日は成金のような生活を始めたというような風評さえ実は私聞いて来たのです。これは植物防疫課長さんのほうの権限でないし、又範囲でないから、何もそういうことを申上げるのじやないけれども、少くとも高い農薬というものが、今日農薬というものの普及徹底によつて農民というものはもう使わなきやならんような状態に経営が進化して来たということなんです。そういう時代に、而も農家経済というものが今日ややもすれば、逆に悪くなつて行こうというときに、こういう問題は等閑に附しちやいけないんじやないか。何とかそこを究明して行く行政指導があつていいんじやないかというようなふうに考えますので、私としては是非今の御資料をお取り頂いて、そして、適正な価格で以てできるだけ安く農民にこの農薬を使つてもらいたい、こういう気持なんでございます。その資料を、何も急ぎませんから一つ資料としてお作り頂きたい。そして当委員会にお出しを頂きたい。それからもう一つは、最近申上げたパラチオン剤というものは非常に何と言いますか、普及徹底しています。而も一等農薬のうちでは高価なんです。たからその使用量が、どのような地書にどんなふうに使用されておるか、その数伝も二十八年の実績として実は承わりたいのです。一部の鹿児島県、大分県では極く大ざつぱながら私承わつて来たのですが、これは行来庁の農業改良課と言いますか、あそこへ御連絡下されば資料は得られるそうです。私が里の改良課長さんに承わつたところが、その資料は私のほうで楽にできます、こういうお話でした。その二つの資料を頂きたい、これによつてども又将来の問題を考えて行きたいと思つております。それから序でございますが、もう一つ承わりたいと思うことは、最近クロールチオンですか、何かそういう新薬が又考えられた、で、農林省では一部分それをどこかの農事試験場に配布して試験をしておられるそうでございますが、そういう事実がおありでございますか、どうですか。
  113. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 一番初めての価格及び使用数量のデーターにつきましては、できるだけ早く整えまして提出をいたしたいと思います。申上げるまでもなく、価格につきましては今経過的と申しますか、過渡的に各製造業者の製造技術も十分上らないというふうな点もあり、又製造設備も完全でないという点もありまして、やや高かつたということは事実でございまして、だんだんとこの点も安くなりつつあることも又事実でございます。価格につきましては、私あとで細かいものは御提出いたしますが、極く大ざつぱに申しますと、例えばエチールパラチオンの国産品は今御指摘のようにキロ千二百八十五円でありまして、輸入品が千四百十円でございます。実際に当りましては、これをプールして価格に出て来るわけでございますが、このほかに苛められるフオーミュレーターといたしましては、大体キロ当り七、八百円程度の、或いはこの七、八百円という数字は余り正確でないかも知れませんが、大体の見当から申しまして、そのくらいの乳化剤を使つて製品を作るわけであります。それで大体中間、いわゆるフォーミユレーターの中間価格といたしましては、一〇〇CC当り百五十円乃至百六十円程度で出て行つております。これはいわゆる大きなドラム管でありまして、更にこれに手を加えて小分け包装したものがいわゆる次の段階におけるミキサーの処理でありまして、これが実際には大部分は二百六十円で取引されておりますが、一部先ほど御指摘のような闇値が出た場合もあつたのじやないかというふうに考えております。使用数量につきましては、私のほうでも常に業者のほうから旬報を求めておりますし、又常に県からも使用数量をとつておりますし、又最近は災害対策の補助金等の関係もありまして、目下集めておる最中でありますが、これは決定的な数字の出るまでは恐らく来月の上旬ぐらいはかかるのじやないかというふうに考えておりますが、でき次第御提出を申上げます。なおクロールチオンのお話がございましたが、御承知のように、パラチオン剤は非常によく効く薬である半面、毒性が強くてかなり扱いにくいというふうな点もありまして、これを解決するためには各国とも非常な……、各国の農薬研究機関はかなり熱心な努力をいたしておるわけであります。従つて試製品の段階におきましてはかなりたくさん出ておりますし、すでに製品になつたものもあるようであります。今クロールチオンは御指摘のように、バイエルがまだ多分試験研究程度の製品であろうと思うのでありますが、一部極く少量日本に輸入されておりますし、又スイスのガイギイあたりからも他のやはり燐剤で非常に毒性が少いというものが輸入されて来ております。いずれもこれらにつきましては直接輸入業者が県に依頼し、或いは農林省の連絡試験に輸入業者が材料を提供して試験をしておるという状態でありまして、まだこれらにつきましては十分な結論が出ていない状態であります。
  114. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 まあ課長の御説明じや、大体妥当な価格で、幾らか高いだろうというようなお話ですが、この問題は資料を頂いてから又私検討さしてもらいます。  それからクロールチオンの問題については、これはここで以て私の希望として申上げることは、仮にバイエルあたりの専売特許による農薬を農林省で御指導になるときに、やはり私は製造メーカー、それから下の段階というようなところもお考えになつて、今の五つのフオーミユレーターのような独占的な形体をとることは、これはものを決して安くする方法でないということをお考えになつて指導頂きたいということを私は希望として申上げておきます。それからもう一つ、九州に参りましたところが、有明の沿岸漁民が、パラチオン剤の影響によつて有明海の浅海漁業が大打撃を受けたということを大々的に問題に取上げておるようでございますが、農林省としてはそれに対して何か御調査か何かおありでございますか。
  115. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) まだ私のほうといたしましては、水産庁と連繋をとりまして、水産庁の水産試験場或いは佐賀県の水産武験場或いは九州大学等で調査の結果を待つておる状態でありまして、現在のところ果して非常に薄められたパラチオンが本当にそんな大きな影響があるかどうかという問題については結論が出ていないのじやないか、こういうふうに考えております。
  116. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私はちよつと遡りますけれども、このフオーミユレーターのお作りになつたパラチオンを、それを遍当なルートで以てお流しになるときに、農林省はこの配付と言いますか、割当と言いますか、そういつたものに指導的な意向を差挾んでおいでになるかどうか。
  117. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) フオーミユレーターからその次の段階のいわゆるダスト・ミキサーに亘る段階につきましては、全く取引上の問題でありまして、私どもといたしましては何ら干渉をいたしておりません。
  118. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 そうしますと、それは全く自由経済だ、自由経済原則だということに過ぎないのでございますね。
  119. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) まあそういうことでやつております。
  120. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 そういうことによつて指導されておらない。そういうことは全くかまわないのだというような点は、私は農薬の価格を安くするという線からすれば、農林省は一切タツチしないのだということと一緒なんですか、価格に対しては……。
  121. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 御質問の趣旨私よく了解をしていないかも知れませんが、価格につきましても、何と申しますか、まあ指導的には先ほども申しましたように、多くの人の、多くの人と申しますか、そういつた価格計算に明るい人の意見を聞いて我々の意思を製造業者に伝えて、成るべく適正な価格で売つてもらうような要望もいたしますし、又先ほど申しましたように、かなりの多量が全購或いは県段階の団体等で購入されておりますので、それらの購入が適正な価格で行われるように要望をし、希望をいたしまして、或る程度は余り大きく本筋からはずれないように指導はやつておるわけでございますが、まあそれ以上の価格に対する何らの権限も持つておりませんしいたしますので、まあ製造に対して自由な取引に任してあるというのとその点においては同じような状態になつておると言われても仕方がないと、こういうふうに考えております。
  122. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 私はその点が大事なんです。はつきり申上げると……。もうすでに所長はフオーミユレーターの地域配分が偏在しておるということはお認めなんでしよう……。そうしてそれが、フオーミユレーターがもう偏在しておると、而もこのパラチオン剤を毎年使用しなきやならんという地域も、少くとも防疫課長のほうには大体の地域はもうはつきりしているわけなんです。そうしますというと、今度はフオーミユレーターからミツクスするところの、ミキサーのところに行くそのルートもかなりはつきりしているわけなんです。どの辺ではどのくらい使われるということはもうはつきりしているわけなんです。で、そういうものは一切おれのほうは知らないのだということを言われることは、農薬の価格というものに対しては、おれたちはもう指道的な立場をとらないのだ、農薬は自由経済なんだから、幾ら高くてもしようがないのだということと同じなんじやないかと私は申上げているのです。だからやはりそういうことも今日の段階においてはもはや農林省としては何らかの意思表示をしなきやならん事態になつて来ているのじやないかということを私は申上げているのです。そういう事態に来ているのだが、なかなか従来の業界の敢行で農林省の言う通りにはなつていないのだというならば私はわかるのですは、はつきり申上げると……。農林省は全くそういうことはタツチしないのだということになると私は問題があるのじやないかと思うのです。ということは、現にここへこの農薬の半額補助を国がやつてくれというようなことを言わなきやならんように、農薬の問題もすでに大きな問題に農家経済としてはなつて来ているのです。だからそこまで私は本当言うと親切な御指導というか、行政をやつて頂いたほうがいいんじやないかということを申上げているだけなんです。で、そういう意思は今後ともちつともないとおつしやるならばそれで結構なんです。
  123. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 価格の問題は御指摘のように非常に重要な問題でありまして、或いは私先ほどから郷説明申上げることが舌足らずと申しますか、或は又実際に我々が今までとつて来た方法が手ぬるかつたのかも知れませんが、私どもも十分にお言葉の趣旨はよくわかるのでありまして、今後行政指導的には今まで以上に十分な検討をいたしまして、価格の問題につきましては指導を加えて行きたいと、こういうふうに考えております。なお一方需給の関係は如何にも全く自由な取引に放任されておつて、そのために農家の需要に非常に大きな影響があるように私の説明が或いはなつたかも存じませんが、実を申しますと、我々は農薬の需給につきましては、本年の何月であつたかちよつと忘れましたが、初めの頃次官通牒によりまして病虫害防除指導要綱というものを作りまして、まあそれまでも大体そういつた考えで、需給については努力して来たのでありますが、大体前の年の十二月までに市町村の大体の農薬の需要量を防除計画その他から決定をいたしまして、その上積みといたしまして県が市町村間の調整用に使う農薬、これは今年から金利、倉敷等は国から補助金を出すことになつたのでありますが、県の需給調整用の農薬の量を計画いたしまして、更に国がそれ以上の異常発生部分に対して全購連に備蓄をしてもらうという制度をとつて来ているのであります。従つて県はかなり早くからこの備蓄、県自体において調整用に使う農薬は整備をいたしているのでありまするし、一方農家のいわゆる計画量につきましては、全購連その他販売業者の団体等と連絡をいたしまして、成るべく早期に、而も適期前にかなり早く整備ができるように、その流通につきましてはできる限りの指導をして来ているのでありまして、今後ともそういうふうな形態を以て農家の需要に対しましては十分に間に合わすように努力して行きたいと、こういうふうに考えております。
  124. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 どうもはつきりわからないのだけれども課長お話ではそういつた行政指導はやるということなんですね、それならわかるのです。やらないというなら私も実は異議がある。ということは、こうやつて国が利子補給をしたり、或いは災害の場合には補助金を出したり、又農林省自体が非常に御奨励になつたその結果、農薬というものは非常に農民が余計使い出した、これ非常にいい傾向にどんどん進んでいるときに価格の問題がとかく不明朗だということになるのであります。というのは、皆さんの系統のあの県の農業改良課の人に行つて聞いて御覧なさい。県のこれはお役人さんですよ、みんな県の……。この人たちが一人として農薬というものは適正な価格だということを言つている人はありません。末端では農楽は高過ぎるということを皆言つております。これは必ずしも私は正しい言葉だとは思つていませんけれども、そこらには皆さんとしてまだ御研究の余地があるのじやないかということを、ただ私参考までに申上げておくだけなんです。今日は私はこれだけにいたしまして、又資料を頂いてから私も勉強さして頂きます。
  125. 松永義雄

    ○松永義雄君 この補助費の分配方法についてちよつとお尋ねしたいのですけれども只今お話のように、農薬の必要なことは農民一般が感じておることなんですが、ところが貧富の差によつて投薬量に相違がある。ところが肥料と違つて、肥料をやらなければ米がとれない、とれないものはその肥料を施さなかつた人だけなんです。ところが農薬をやらないと病虫害がよそへ伝播する、だから共同防除もやるでしようし、やや公益性を帯びているというか、そういう感じがするのです。ところがこの間、静岡県へ第十四号台風の被害地の調査に出たときに飯米をもらいたい、こういう話です。農薬費をどうしたらいいか、そこまでも考えておらない、察するに協同組合なんか立替えてどうするかということなんでしよう、営農資金の問題にもなるのでしよう。そのように割合に小さい百姓は必要を感じても、経済の上から高いという話もあります。投薬量はどうしても少くなるし、やらないものもあり、怠けるものもある、併し勢いそれがよそへ伝播する慮れがある。そういうものに対してどういう方法をとつて行かれるか、今のところはそれは小さい問題かも知れませんが、だんだんそういうことが拡大して行くと僕は考えているのです。そういう傾向を帯びているのですが、やや公益性を帯びているこの投薬ということについて、一般農民に対して補助金の分配とか何とかいうことについて何か考えていることはないかと、こういうことなんです。
  126. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 従来の補助費の分配に当りましては、今御指摘のような点につきましては、貧富の差というようなことにつきましては何ら考慮をしていなかつたわけでありまして、大体市町村なり或いは防除班というふうな団体に対して一括交付されているような恰好になつております。従つて団体が例えばその村として農薬費が百万円かかつたのに対して、国から十万円行つたとなれば、その地方のその地域内の農家の防除面積割か何かで差引いているというような恰好をとつているのじやないかと、こういうふうに考えております。私どもよく今までそういう問題があろうかと思つて調査を、調査というほどの調査でもないのでありますが、県の人たちに聞き取りをしてみますと、やはり御指摘のように一〇%なり十五%くらいの農薬費を十分に支弁できない農家があるということを聞いておりまして、その対策としてはやはりその地域の部落なら部落或いは市町村の共同負担というような恰好で出しておる場合もある、一升供出運動というような工合に、反当り一升の供出をして、それを目的に貯金をしておいて、それで全額農薬の購入費に充てるとかいうような、そういう方法で解決しておる場合もあるというふうなことを聞いておるのでありますが、その他の場合には我々まだ十分の検討をしておりません。
  127. 松永義雄

    ○松永義雄君 大体それでお話がおわかりになつたらよろしいのですけれども、例えば肥料を農協が立替えてやる、一度か二度は立替えてやる、併し三度になるとそう農協も立替えてやることができないということで、農薬についても同様な事情が起きて来る。最初は村が共同負担でやつておるけれども農家経済只今お話になつておるようにだんだん苦しくなつて来るとそうは行かなくなる。どうも投薬量が少くなつて来る、くどいようですが、公益性を帯びているから、こういうものに対しては堪えず配慮をする必要がある、小さいものは潰してしまえというような考えなら別でしよう。とにかく問題はそういうふうに波及しますから、この点そういうことを絞つて、お考えになる必要があるんじやないかと思います。
  128. 江田三郎

    江田三郎君 さつきから宮本さんの質問に対する答弁を聞いておりましたが、どうも農薬の問題については我々かねがね堀さんは一課長という以上に非常な力を持つておられるように聞いておりますので、今の宮本君の、委員のほうから要望がある点の答えは、日頃天下に鳴り響いておる課長の答えにしては極めて割切れんような答えになつているのですが、もう少し、まああなたの名前は非常に有名ですから、(笑声)もつときつぱりやつてもらいたいということをちよつとお願いしておきます。それからこの間私のほうの国のほうへ帰ると、あれを「いちじく」へかけまして、それを子供が食つて死んだりしたんですが、これは自分の家の子供だから仕方がないのですが、将来どういうことになるか、偶然、故意でなしに、例えば野菜へかかつておつたのを買つてそれを食べたとか、いろいろな問題が出てくるんじやないかと思いますが、使用方法を聞違えていろいろ又事故も起していますが、そういう問題についてはこれはもう全部不可抗力ということになるのですか、どうなるのでございましようか。
  129. 堀正侃

    説明員(堀正侃君) 現在御承知と思いますが、毒物及び劇物取締法の第十六条の指定を受けまして、その使用については一定の政令で以て使用基準を作つております。その基準の極く概要を申しますと、使用する場合は共同防除でなければいけないということが最も大きな眼目でありまして、その次は使用には一定の別にきめた指導者があるわけでありますが、それによつて指導を受けなければ使用してはならんというのが第二点の大きな眼目であります。そのほか使用後のびんとか、或いは袋とかいうふうなものの処理を厳重にしなければならんとか、或いはしつかりとした保管をしなければならんというふうな規定もあるわけでありますが、だんだんと昨年から比べますと、まだ私どものほうとしては十分な資料の準備はできていないのでありますが、九州あたりでは若干事故を生じておるのでありますが、本土のほうでは比較的昨年と比べると事故数がかなりつて来ております。まあ事故の中にはかなり十分な注意をして起つた事故もあるんだと思うのでありますが、今御指摘のような、いわば不注意による事故もあつたんじやないかというふうに思うのでありまして、この点につきましては、若し今出ておりまする十六条の指定に基く政令による使用基準になお研究すべき余地がありますかどうかという点を厚生省と十分研究いたしまして、今後の対策を立てたいと思いますし、又それが我々のと申しますか、関係者の指導或いは普及の不徹底に基くというふうなものにつきましては、今後十分な、なお本年もかなり普及徹底に努力はしたつもりでありますが、今後なお普及徹底に努力いたしたいと、こういうふうに考えております。
  130. 江田三郎

    江田三郎君 まあ一つこれはよく徹底さして頂きたいと思うのでして、「いちじく」を食つて死んだりする話を聞くと、それはどういうわけで「いちじく」にかけたか知らんのですけれども、一体我々毎日食う野菜なんか何を食わされるかもわからん。放射能よりもつとひどいのじやないかという心配をする向きが多いんですから、これを一つお願いいたします。
  131. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  132. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは速記を始めて下さい。  次に、農事用等の、電力料金の件を議題にいたします。電力料金の改訂につきましては、かねて当委員会は重大な関心を払い、特に農事用及び肥料製造用電力料金の値上が農業経済に及ぼす影響を憂慮して、前回の委員会におきまして、即ち九月二十二日政府に対して電力料金に関し申入を行なつて政府の再考が促され、本日の委員会までに政府の回答が求められておりました。申入を御参考までに申上げますれば、    電力料金に関する申入   電力料金の値上げは我が国経済の基盤を破壊する暴挙というべきであつて真に遺憾とするところである。   而して、経済力の最も脆弱な我が国農業及び農家を擁護し農業生産力の増強に資するため、農事用電力料金及び肥料製造用電力料金については、現行を据置くよう改めて特別の措置を講ずることとせられたい。  なお、右の特別措置についてできるだけ速かに、遅くも次回委員会までに当委員会に報告せられたい。   右当委員会総意を以て申入れする。   昭和二十九年九月二十二日         衆議院農林委員会    緒方国務大臣    保利農林大臣    愛知通産大臣  宛てであります。本日は右の申入に対する政府の回答をお聞取り願い、続いて本問題の取扱方につきまして協議を願いたいと存じます。  つきましては、先ず政府の回答を御説明願うことにいたします。
  133. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 先般当委員会から農事用並びに肥料用電力料金についての申入がありました。かねてこの趣旨につきましては、政府当局といたしまして、料金改訂の当時から十分この趣旨をできるだけ生かすようなつもりでやつて来たわけであります。料金はすでに九月の六日付でございましたか、認可になりまして、十一月一日から一部実施をいたしておりまして、この農事用の電力の取扱い並びに硫安用の電力料金につきましては、具体的な取扱方法によりまして更に又影響を及ぼしますので、実施面におきまして、更に又こういうふうな趣旨に副いますように十分考慮することを考えておるわけでございます。で、硫安用につきましては、すでにきまつております。レートは一般のものがございますが、いずれも特約によりまして別個の料金になるわけでございます。つまり自分の持つております火力或いは豊水時におきます余剰電力或いは特殊電力というものと組合せまして、電力会社と特約を結ぶことによりまして、一般の単価よりできるだけ安い電力を供給したい、こういう趣旨で先ず優先的に硫安に関しましての特約案を進めておるのであります。現在までにほぼこの特約の内容がきまつておりまして、これによりますというと、一般の大口電力料金に比べまして、一般のものが大体二円七十銭ぐらいの平均であります。大体一円ぐらい安くなる見当でおります。従つてそれだけ硫安の製造用に及ぼします影響というものは極めて軽くなるということははつきり申上げられると思います。それから農事用の電力につきましては、先般来の資料等によりましても御説明いたしております。更に本日も又お配りいたしておりますけれども、これは先般お配りいたしたものと同じものでございます。重複いたしますけれども、この表の説明を簡単にいたしますというと、灌漑、排水用の電力につきましては、各契約電力別、使用時間別にどういうふうな影響が出て来るかということを見たわけであります。この中で二重丸のついておりますところが一番ケースとして多い、いわゆる通例がこういうふうなものになります。この辺が通例であるというその位置を示しております。全体的に見まして、これは算術平均でありますけれども、平均は大体三%アツプというのが全国の平均でございます。個々に又ケース別に見ますと、中には一割ぐらいのものもあります。又勿論従来より下つたものもございます。一番このケースの多いというものは、二重丸附近ではいずれも五、六%以上のものはないというふうに考えております。この使用時間の五百時間というものは一ヵ月の時間が延七百二十時間でありますから、少くとも五百時間でも相当な高負荷でありまして、灌漑排水用の電力につきましても、これだけの時間数を使うということは極めて稀なケースでございます。こういうふうにいたしまして、当初灌漑排水用につきましては、もともと電力料金が非常に安くきめられておりますので、一般の値上率が仮に一割であります場合には、今度の場合におきましては、制度の変更によりまして生で出しますというと三割、五割というふうに非常に大幅な値上りになる、こういうものを抑えようという強い希望がありました。事実そういうような傾向がございました。それで少くとも一般を一割乃至一割五、六分くらいに抑えてもいいじやないかというような気持でおつたのでありますが、その後だんだんとこの関係の方面のかたの非常に強い御希望もありまして、料金の算定の過程におきまして一割二、三分下げ、更に一割くらい下げ、更に又最終的には五%くらい下げて来たのでありますが、平均五%といたしますというと、どうしても中にはかなり大幅に影響が出て来るものもございますので、これは先般のこの委員会の御注意もございまして、こういう点も更に考えまして、全体的に見まして非常に大きく上げる場合でも一割以上のところは出ない、そうしますと、これは制度としてそういうことを考えますためには、制度として一応筋道の立つたところでやりますと、頭を抑えて全体にずつと下げて来るというような関係から、最終的には平均としまして三%ということになつた、こういうわけであります。大体この程度の影響であれば全体のコストの値上というものも或る程度需要家も一応は我慢して頂けるという趣旨から、灌漑排水用の電力にしましても我慢して頂けるのではないか、こういうふうに考えております。大体委員会のお申入の御趣旨に実際面におきまして副い得たのではないか、更にこれ以外にフアクターがあるのでありますが、これは表には載りませんが、実際の契約の電力を更改することによりまして、例えば不必要に大きな電力を契約しておりましたもので、実際にそんなに使わないものを小さい契約にやり直すことによつて安くなることもあります。又大きく直すことによつて安くなる、いろいろケースはございます。自分の有利のような契約に変える。それから従来もありましたけれども、使わない月の割引率というものを強化いたしておりますから、そういう面で更にプラスということも出て参りますので、その影響度というものは一層又好転するのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
  134. 江田三郎

    江田三郎君 只今お話を聞くというと、先ず第一に硫安用の電力問題について、本委員会申入の趣旨に大体副うて解決がついた、こういうふうに言われておりますが、先だつて私がちよつと新聞を見ましたら、今度の電気料金の改訂で更に近く肥料審議会を招集して一かます五円程度の値上をするのだというようなことが出ておつたわけであります。若しそうだとしますというと、どうも今おつしやつたことと大分違うように思うので、電気料金の問題は本委員会申入しただけでなしに、ここに九月十八日の参議院の通産委員会の速記録がございますが、これを読みましても、政務次官も、それから軽工業局長電力料金の値上りを理由として最高販売価格の引上を必要としない程度の値上りにとめたい、こういう決意でおるということを繰返し言つておられるのですが、その点は一体どういうことなのでしようか、新聞が誤報なら、これは通産省のほうからお答え願うのか、農林省からお答え願うのか知りませんが、どちらからかお答え願いたいと思います。
  135. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 肥料は私の所管ではございませんが、先ず申入の関連について御説明申上げますが、当委員会の御決議でも、農事用及び肥料用につきましては現行で据置くように、要するに上げないようにという申入でありまして、絶対に上げないということはもともと不可能であるので、できるだけその影響を抑えるようにしたいというのが我々の一貫した当初からの説明でもあり、又事実そういうようになつておるわけであります。零ではございませんが、その影響は極めて少い、潅漑排水用も三%ぐらいで我慢願いたいということを申上げておるのであります。そこで肥料でございますが、肥料も勿論そういう意味におきましては、特約等によりましてできるだけ影響を殺しましたが、成る程度の影響は勿論ございます。何パーセントになりますか、これははつきりまだ出ておりませんけれども、先ほど申しましたように、大口の平均電力料金に対しまして一円ぐらい安くなりますから、一般の値上りというものより安いということは明瞭でございます。それが今度は肥料価格に、どういうふうに出て来るかという問題でございますが、本日は軽工業局長も見えておりませんので、私の説明が或いは間違うかも知れませんが、当初肥料審議会の出しましたときの案というものは、これは政府原案として電力料金があとできまつてもいじらないという説明で出しておつたと思います。ところが後に審議会の審議途上におきまして相当削減されまして、その附け足りとして電力料金のきまつた場合には、その影響する部分については更に再考するというような申合せもあつたようであります。つまり当初の腹ずもりと、それから審議会できまつた形というものが違つたために、電力料金の影響というものが肥料の関係として出て来ざるを得ない、こういうことになつたのじやないかと思うのですが、この関係は私所管外でありますので、いささか余計なことでありますから、間違つておりましたら御訂正願います。
  136. 江田三郎

    江田三郎君 今の問題、軽工業局長のほうになると思いますので、あなたに申上げても何ですが、幸い農林省もお見えになつておりますから、農林省のほうで、一体どういうことになつておるのか、その間の経過を御説明願いたいと思います。
  137. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) 肥料の価格電力料金の値上が影響を及ぼすというようなことは原則的に好ましくございませんので、できるだけそういう影響がないように、又最小限度にしたいということは、私ども農林省といたしましても、そういう要望をかねて通産当局にいたしておつたのであります。そこでこういう趣旨の下に主として軽工業局の化学工業担当課を通じまして、ここにおいでの公益事業局といろいろ御折衝願つたのであります。その結果只今説明のありましたように、大口に対しまする一般値上率の範囲内にとどめて、できるだけ圧縮するという意味におきまして、各電力会社と硫安会社との間の特約料金の取りきめができて参つたのであります。それによりますると、全国を平均いたしまして、十月からといたしますと四円数十銭の値上の影響が及ぶのであります。従いまして、硫安化学にどのように反映させるかということが問題になるわけであります。当初政府諮問案としまして八百二十八円、一かます当りの価格を審議会に諮問いたしました折には、勿論電力料金の値上ということは織込んでございません。そのことは当委員会でもたしか御質問がございまして御説明いたしたと思いますが、従いまして、電力料金の値上如何によりましては、形式的に申しますると、政府諮問案の八百二十八円自体も再検討しなければならんということになるのでございますけれども、当初八百二十八円を諮問いたしましたときの農林、通産の腹ずもりといたしましては、できるだけ電力料値上が硫安工業に及ぼす影響を軽微にとどめ、でき得べくんば、その政府諮問案の価格の中へ吸収して行きたいというような内々のつもりであつたのでございます。恐らくそういう趣旨で当時或いは関係のほうからそういう意味の御答弁があつたかと思いますけれども、審議会の審議の経過につきまして、只今ちよつと公益事業局長からもお話がございましたように、政府諮問案の八百二十八円についていろいろ御検討になつた節に、それを八百二十二円とする、但し電力料の値上は、元々政府案も入つていなかつたようだから、これは入つていないということを審議会としても再確認しようじやないか、ついては政府の諮問案自体についてもいろいろ圧縮したい点もあるので、電力料値上は、これは当然というわけで認めるわけではないけれども、止むを得ない程度のものについては、これはさまつたならば至急委員会を開いて諮問しろ、こういう御趣旨であつたのであります。そういう趣旨に副いまして、近く只今申しましたような数字について諮問しようという段取りになつております。まだ正式に諮問はいたしておりません。
  138. 江田三郎

    江田三郎君 私は今度の電力料金の値上というものは、政府の審議会に出された原案に含まれていないのだ、今、小倉局長の言われました値上があれば、それはあとから問題が出て来るのだということを当委員会で御説明されたということですが、丁度私が欠席しておつたのか何か、そのことは聞いおりません。たまたまこの問題が通産委員会でも取上げられておつたので、その模様はどうかと思つて出来上つ議事録を読んでみますと、通産省の政務次官は、政府諮問案程度に最高価格が決定された場合には、あとに問題は残さないという方針だということを言つて、政府諮問案の八百二十八円で行くならば、それならば電気料金の値上があとで起きてもカバーできるという趣旨の説明をずつと言つておられます。それから軽工業局長のほうは、先ほど私が読みましたように、「今後の金利、税制等の施策によりまして、今後における電力料金の値上を理由として最高販売価格の引上を必要とすることのない程度に値上り率をとどめたい、こういう決意でおるわけでございます。」、こうなつております。これは今書いてある通りを読んでみたのです。そうしますというと、例えば、若干の値上りがあつても、金利、税制等の施策によつて電気料金の値上を理由にして最高販売価格の引上をしない方針だということを決意しているというように非常に強く出しておられるわけです。この軽工業局長説明から言いますと、今の中島局長説明によると、大体当委員会申入の趣旨に副うたように言われるのであるが、そういう程度であれば、吉岡局長の言われるような金利なり税制で、そういう程度はカバーでぎるのでなければ、この答弁というものはでたらめをおつしやつたということになるわけです。そこでそうではないのだ、この問題は別だというような小倉局長のように言われると、通走省と農林省で話が別々なことになつて困るのですけれども、併し一体この八百二十八円の原案というものが若干低いところできまつたというのは、これはいろいろなデーターによつてきまつたと思うのでありまして、最初加藤政務次官がこの通産委員会で育つている電力料金をカバーしている、電力料金の値上をちやんと見込んでいるのだというのだけを差引いて、つまり電力料金の値上を見込まんようにして、そうして六円だつたか何だかは下つたのではなかろうと思います。いずれにしましても、小倉局長の御答弁は私は覚えておりませんのですが、少くとも加藤政務次官なり、吉岡軽工業局長の言われている点から見ると、今更五円当りの価上を審議会へかけられるというのは、誠にこれは農民を軽視した或いはばかにしたと申上げざるを得ないわけであります。大体電気料金の問題というものは、特約というものをやつて見なければわからんと言うけれども、併しもうちやんと値上を許可されるときにはどういう工合になるか、大体のことはお考えになつてやつたのではないかと思うのでして、その後においてこの参議院の通産委員会が開かれ、或いは硫安の審議会が結論に達した、そうしてその後米価が決定し、それから供出量が今決定しようとしているが、そういうことで今年の米価なり、供出量が決定したあとで、又更に値上だというのでは、一体それで農民が納得するかどうか、金にすれば僅かだと言われるかも知れませんけれども、併しその僅かなことのために審議会があれほどもめているのです。米価が決定し、供出量が決定し、そのあとで又この審議会を開いて、何円か知りませんけれども値上をするというようなことは誠に農民を侮辱したやり方であるし、同時に少くとも通産省当局が通産委員会で申述べておつたこととは大変な食い違いを起すわけですが、それは一体どういうようにお考えになりますか。
  139. 小倉武一

    説明員(小倉武一君) そういう事情を考えますと、二つやはりいろいろ原因となつたような事情があると思いますが、一つは政府諮問案の八百二十八円を諮問いたしますとき、或いはそのときに又電力の問題についていろいろ御質疑があつたときは、まあ一般の電力料の値上はきまつておりましたけれども、硫安工業についてどういうことになるかということは、いわばきまつておらなかつたのであります。従いまして、肥料担当のものといたしまして、通産省も恐らく同意見だろうと思いますが、まだきまつていないのでありまするから、できるだけ影響を最小限度にし、でき得べくんば政府の諮問いたしておりまする価格の中で吸収できるような程度にしたいという希望を持つておつたことは当然だろうと思いまするし、又私どもも実はそう考えておつたのであります。併しながら、それは飽くまでも硫安工業の企業努力によつて吸収させる、或いはしてもらう、こういうことでございまして、八百二十八円のうちに新らしい電力料の改訂に伴うコストの増加を見込んでおつたということではこれは毛頭ございません。その点につきましては、八百二十八円の原価の基礎を御覧頂きますれば明瞭でございまするし、又審議会におきまして、いろいろ御検討願つたときにおきましても、電力料の値上を十分吸収できるといつたような意味での含みが原価計算上あつたというような御注意も、或いは御指摘もなかつたのであります。そこで電力料の値上については肥料の価格に影響させないといつたようなつもりは、やはりどうしても硫安工業の企業努力に待つという趣旨であつたと思います。ところが政府原案の八百二十八円というものをいろいろ御審議頂きまして、それはいろいろの理由があつたかと思いますが、八百二十二円にしたということになつて見まするというと、電力の問題を別にいたしまして、非常にそこで八百二十八円が特別な含みがあるとすれば別でございまするが、二十二円とすることによりまして硫安工業のほうの企業努力なり、或いは私どもが見込んでおりまする企業合理化以上の合理化を期待するということになります。そういたしますると、今回きまります特約料金によりまする四円何がしかのもの、五円近くのものを又企業努力に待つということでは余り酷ではないかということになろうかと存じます。肥料審議会におかれましても、そういう恐らく御検討の結果、電力料は今度の答申の価格に入つていないのだ、従いまして、止むを得ない引上の程度のことについては、これは至急政府で案を検討して諮問をしろ、こういつたような申合せもできておるような恰好になつたのであります。私どもといたしましても、農林省或いは通産省との見解の相違の結果そういうことになつたということではございませんし、又いろいろとこれまで御答弁申上げたことと特別違つていることを申上げようとしているのではないのであります。
  140. 江田三郎

    江田三郎君 審議会でどういう話合があつたのか、どういう経過であつたのか、私は審議会のことはわかりません。それから農林省で、どういう工合に考えておられたのか、先ほど小倉局長説明、私はまあ恐らくいなかつたと思うのでありますが、聞いておりませんのでわかりませんが、少くとも日頃肥料の問題については私どもの受けている印象は、農林省としては農民の立場に立つて極力安いようにしようとしている。通産省のほうはそうは行かない。やつぱりメーカーの立場に立つているのだという印象を今日まで持ち続けて来たわけです。ところがその通産省の、日頃私どもがメーカー側に立つているというように考えているそういう印象を受けた通産省の軽工業局長が、繰返して申しますけれども、今後の金利、税制等の施策によりまして、今後における電気料金の値上を理由として、最高販売価格の引上を必要とすることのない仕度に値上り率を止めたい、こういう決意でおるわけでございます、ということをきつぱりと、言うておられるわけです。それも半年前とか、一年前とかいうのではございません、九月十八日にそういうことを言うておられるわけです。我々がメーカーの側に立つているような印象を受けるこの軽工業局長でさえ、そういうこと言つておられるわけです。それからもう一遍読みますけれども、政務次官は、重ねてお答え申上げますが、政府諮問案の程度に最高の価格が決定されます場合は、河野委員の言う通りあとに問題を残さないという政府の方針でございますから御了承願いますと言つて、これも電気料金で上るのではないかという質問にこういう答えをしておるので、この質問と答弁とをじつと私見を交えずして読んで行きますというと、八百二十八円には電気料金の値上り分は含んでおるのだということを意味しておる。それが八百二十二円になつたというのは、私はいろいろなデーターで二十二円というのが出たと思うのでして、電気料金の値上分を棚上して二十二円にしたということとは違うのだと私は了解しているわけです。少くとも全国の農民諸君は私と同じような見解をしていると思うのです。それをきめて僅か何日経ちますか。もうすでに五円値上をしなければならんのだ、そのために審議会を開くのだということになると、私どもは全くばかにされた、ペテンにかかつたという印象を受けざるを得ないのです。而も農林省が、むしろ吉岡局長あたりとは違つてメーカーの立場を尊重されるような発言をされるということは、これも私にとつては非常に意外です。これは今日は私はこの程度にいたします。吉岡局長なり、加藤政務次官を改めて呼んでもらつて、この通産委員会でおつしやつていることは何かということを改めてお聞きしたいと思います。
  141. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 灌漑排水用の電力料金について、当委員会においては現行を据置くように、改めて特別の措置を講ずるようにしてもらいたいという申入をこの前いたしたのでありますが、只今公益事業局長の御説明を見まして、相当程度緩和をしたように説明があつたわけですが、表を拝見しますと、その中で関西と中部はこの前に比べて大幅な料金引下をやつているようでございますが、その他の地方においてはいずれも変更をしていないのでございますが、関西、中部は大幅な引下をして、ほかのほうは前と同じだというのは、これは絶対に引下ができないというような事情があつたのでございますか、その点をお伺いしたい。ただ先ほどの御説明のように、大体一割程度はそれはいいのだというような考えから、中国のほうは手をつけなかつたのだということなのか、その点をお聞きしたい。
  142. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) ほかのほうも勿論それは下げられれば下げるだけいいのでありますが、大体平均的に見まして、初めは五%ぐらいというふうに抑えていたわけです。ところがそれで開きますと、どうしても今度は料金体系上一つの姿が出て来まして、その姿の上で或る部分は更に又高くなる、或る部分は更に安くなるといういろいろな恰好になるわけであります。そこで高くなるものを少くともどんな場合でも一割以上のものは出ないようにというようなくらいの気持で、もう一遍それをやり直しまして、全体の体系を作り直しました。ところが大体平均的には三%高かつた、こういうことでございます。従つてその中途におきまして、特に高かつた中部、関西等をそういう趣旨でいじりましたが、ほかの地区は大体格好といたしましては、当初の五%程度という線に沿つておりまして、特に一番ケースの多い部分をとりますと、いずれもこれに当てはまつておりますので、もともとこういうようなレートそのものが非常に無理な、めちやくちやな割引をいたしておりますから、それ以上下げる必要はなかろう、これから一銭たりとも下げれば、会社としては耐え切れなくなるかと申しますと、これはその部分というのは極めて小さい部分ですから、それだけのその余裕はないとは言いませんけれども、全体的に見まして、大体この辺で灌漑排水用を抑えようというやり方で行きました場合には、大体この程度でいいんではなかろうか、こういう考え方をとつたわけでございます。
  143. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 引下については非常に御努力になつたことはよくわかるのでございますが、この問題につきまして、農林省と通産省で当初、春以来交渉しておられたようにお話を聞いていたのでありますが、最後的な段階では両者のほうで話合がつかんうちにこういう決定になつた。而も九月の十三日に発表されたときの電力料金の改訂前後の比較表では、大体通産省ではその当時平均分布というようなのをおとりになつてやつたので最高が五%、そうして普通のところは三%くらいというような考え方から、こういう料金表が出た、そこで私はもう少し時間を切つて、精細にやつて行けば、一割四分になるような部面が出て来るだろう、初めの考え方、平均分布という点で私は違いがあつたのではないか。そこでだんだん説明を伺いますと、どうも両省とも正確な資料がない。資料がないところでいろいろ言うても、これ困るから、将来は完全な調査資料というものを整備してやつて頂きたい。で、この際は先ほどお話があつて、五百時間というのはこれはないのだろうと、そういうのは北海道では、平均分布でやつているようなものもある。これなどもあるないということはこの際は仕方がない。この前に私希望を申したように、両方で御協議になつて、この次にはこういう料金問題が出ないように十分正確な資料を揃えて頂きたい。それからただ灘概排水用の電力につきまして、値上りがこの五、六年の間に二十数倍に上つてしまつた。而もこの値上りになつたのは米価にはそのまま織り込まれていない。而もこれは三百万町歩のうちの四分の一くらいの七十万町歩に影響しておるから非常に深刻な問題がある。今後においては十分にこの点はよくお考えになつて頂いて、絶対に将来においては、今までもほかに比べて非常に値上りになつているような事情がある、だから十分にお考えになつて頂きたいと思います。私は委員会においては現行に据置くという特別の措置をしろという申入をしたのを、特別の措置は一、二の場合はやつておりますが、全体についてはまあこの程度ということでございますが、非常に御努力の点はよくわかりますが、委員会としては私は甚だ遺憾だと思います。どうかこの点も十分御考慮になつて、今後の改訂のような場合には、少くともこの次には十分協議をやつた上で発表するようにして頂きたいと思います。
  144. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 本日今一つ資料を配つておりますので、その内容をほんの一言御説明申上げます。  「発電実績」という題をつけたものを二枚作つておりますが、これは先般宮本委員要求によりまして、或るモデルの発電所をとつて、これが大体どういうふうなカーブで分布しているかというようなものを出してくれというようなお話でありましたので、ここにありますような箱島と岩本、これはいずれも利根川の上流の渋川の上のほうの中ぐらいの発電所であります。これを昨年度一ぱいを月別に毎月どれだけ発電したかという実績を出しております。それをカーブにすればわかりやすいわけでありますが、間に合いませんので、数字の生のままを出しております。ゼロになつておりますのはこの期間だけ定期の修理で休んだということでございます。これだけ見ましても実際のロードがどうなつているかということはわかりません。水の実際の状況もこれに全然合つていないので申上げられませんが、これは水の多いとき余計発電をしている、そうでないときは下つている、それだけのことはわかります。例えば東電全体がどれだけになつているか、特殊電力はどれくらいになつたかということはこれだけではわかりかねます。一応モデル・ケースとしてこれだけ出してあります。
  145. 松永義雄

    ○松永義雄君 ただ一点ちよつと聞きたいのですけれども、まあ電力の開発はどんどん進んで行くのですが、肥料会社に対する電力量の配分ですか、配当分ですか、それは増加しているのですか、肥料会社、硫安会社に対する……。
  146. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 硫安用に使える電力量という意味でございましたら勿論殖えて参ります。今度の料金の基礎になつております来年度もやはり昨年に比べて殖えております。
  147. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  148. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。
  149. 江田三郎

    江田三郎君 一つだけお聞きしておきます。特約の場合の特約の料金というものは、やはり政府において許可されるという手続をとられるのですか。
  150. 中島征帆

    説明員(中島征帆君) 特約料金は全部本省で許可するということでございます。
  151. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは本日はこの程度にいたしまして、明日は午前十時から開会いたします。本日はこれを以て散会いたします。    午後五時八分散会