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1954-02-26 第19回国会 参議院 農林委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月二十六日(金曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            清澤 俊英君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            江田 三郎君            河合 義一君            東   隆君            松浦 定義君            鈴木  一君   政府委員    厚生省公衆衛生    局環境衛生部長 楠本 正康君    農林省農業改良    局長      塩見友之助君    食糧庁長官   前谷 重夫君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    大蔵省主計局主    計官      柏木 雄介君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○政府に対する申入れの件 ○農林政策に関する調査の件  (糖業に関する件)  (電気料金値上げ農林関係に及ぼ  す影響に関する件)  (補助金等臨時特例等に関する法  律案に関する件)  (清掃法案に関する件)  (農薬に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開会いたします。  先ず糖業に関する件を議題にいたします。前回の委員会におきまする戸叶委員動議にかかわる申出につきまして、御趣旨を忖度いたしまして、お手許にお配りいたしましたような案文を作成して見ました。かようなその取扱いにつきまして御懇談を願います。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  3. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) では速記を始めて下さい。
  4. 東隆

    東隆君 私のほうから便宜砂糖行政是正に関する申入案文を読み上げまするから、御賛成を願いたいと思います。    砂糖行政是正に関する申入   物価の低落に関する政府の期待にもかかわらず、諸物価は高騰を続け、かかる騰勢は生活必需物資に著るしく、特に甚だしきは最近砂糖において見る暴騰である。   而も、かかる情勢は、今後における外貨事情等を勘案するとき、寒心に堪えないものがある。   今日、砂糖価格暴騰は、国内における砂糖需給の逼迫に基くものであると見ているようであるが、併し、その主因が、政府における砂糖行政失当にあることを否むことができない。   即ち、外貨予算の執行よろしきを得ず、或いは精糖設備過剰投資を放任する等、真の消費者福利をわきまえず、徒らに精糖業を利得せしめる結果となつたものであるといわなければならない。   ここにおいて、政府はその失当を認識し、これを改めるにやぶさかであつてはならない。   よろしく、政府は、かねて当委員会における審査の経過に鑑み、従来の行がかりを一擲し、真の消費者大衆福利を旨として、砂糖行政外貨取扱等を含めて)を是正し民生の安定に寄与せられたい。   なお、右に関する政府方針を来る三月八日までに当委員会報告せられたい。   右当委員会の総意によつて申入れする。   昭和二十九年二月二十六日         参議院農林委員会  宛先は農林大臣通商産業大臣大蔵大臣
  5. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今東委員動議にありまする申入につきまして御異議ありませんか。
  6. 河野謙三

    河野謙三君 案文そのものには賛成いたしますけれども案文は非常に抽象的になつていますが、例えば従来の政府がとつて参りました砂糖行政失当にあると、こういう字句が使つてありますけれども、何が失当であるかということにつきましては、過日来の当委員会論議を通じてここに御出席食糧庁長官十分御存じのはずです。でありますから、この抽象的な文面でありますけれども内容は我々具体的に示しているつもりでありますから、それらの具体的の箇条につきましては十分上司に伝えて、八日までに内容の具体的な私は御答弁を願いたい。例えば割当が製糖業者本位であるとか、一部の特殊の砂糖輸入業者本位であるとか、或いは割当てられた一部の会社に非常に偏重するような能力査定であるとか、こういうようなことにつきまして、過日来の論議を通じての具体的な問題を一々論議されまして、具体的に答弁はして頂きたい。これを私は特に附加えておきます。
  7. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 御異議ないと認めまして、この通り申入れることに決定をいたしました。   —————————————
  9. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、電力料金の件の審議に入ります。  最近問題になつております電力料金値上の問題は、その影響するところ極めて重大でありまして、その取扱いは特に慎重を要するものと考えておりまするが、過般河野委員から本件につきまして質問が要求せられておりますから、先ず河野委員から質疑を願い、続いて御審議を願いたいと存じます。  なお農業改良局長通産省公益事業局長が見えております。
  10. 河野謙三

    河野謙三君 電力料金の値上の問題が発表されまして、私は腑に落ちない二、三の点がありますから、この機会に当局から御説明を頂きたい、かように思います。  先ず伺いますが、電力会社赤字だから、このままではやつて行けないから電力の値上をするんだと、こういうことでありますが、昨年度の上期、下期を通じて電力会社経理はどうなつておりますか。私が承知しておる範囲では、極く漠然たる記憶でありますけれども、かねてこの問題が国会論議されましたときに、昨年度の上期にも下期にも電力会社赤字予算であつたはずであります。然るに今日になりまして、その実績赤字であるか、黒字であるか、これを御説明頂きたい、かように思います。
  11. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 只今お話通りに、昨年と申しますか、本二十八年度の年間収支見通しを付けまして、昨年の春におきましては、二十八年度においては上期に八億の赤字が出、下期において約百億の赤字が出る、合計百八億の赤字が出る、こういう見込を立てておりました。ところが上期におきましては、上期を通じまして全国平均一五%余りの豊水でありましたために、八億の赤字が出ませんでしたことは無論、若干それに対しまして相当渇水準備金を積立てましても、なお黒字を出しております。それから下期でありますが、下期は当初の予定百億の赤字に対しまして、結論的に申上げまして、まだこれは半分しかたつておりませんから、残りの一月から三月までの分は推定によりますけれども、やはり全国的には十億かそこらが黒字になる予定であります。但し、一、二社個別の会社につきましては問題もございますが、そういうふうな見通しになつておりますが、これは上期の黒と、それから下期の前半の豊水というものと全部込みにいたしましての数字でございます。従つて当初の百八億の赤字というものは、今の見通しではほぼ十分に吸収されてしまつておると、こういうなうな見通しになつております。
  12. 河野謙三

    河野謙三君 赤字のはずであつたものが黒字である。而もその黒字というものが、今余り具体的に言われませんでしたが、非常に大きな黒字である。電力会社はこれに対して、昨年は暖冬異変で非常な豊水であつたから、それによつて事業が非常にうまく行つたんだと、こういう答弁をしておられるのですが、それは別として、あなたのほうでもこの黒字赤字かということにつきまして、例えば今御説明の昨年度の上期が黒字であつた。又下期が全部でないけれども今までのところ黒字推定される。これはどこを調査されてそういうふうなことになつておりますか、調査しておられますか。
  13. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 私どものほうでは毎月各社の、各社と申しますと九つの電力会社のことを申上げておりますが、経理状況をとつております。それによりまして過去の実績を調べ、又将来の推定をするということをいたしております。
  14. 河野謙三

    河野謙三君 報告を求めて報告数字を鵜呑みにしておられるのですか、それともあなたのほうが自主的に調査をしておられるのですか。
  15. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 法規上は毎月の月報をとることにいたしております。併しその数字は、この形式等はあらかじめきめられておりますいろんな様式によつてとるわけでありますが、会社帳簿整理もその様式に基いてやられております。そこで出されました数字が適正であるかどうか、又正確であるかどうかということにつきましては、その報告と別個に一々監査をいたしておりまして、出されておる数字の正否は別途検討はいたしておるわけであります。
  16. 河野謙三

    河野謙三君 あなたの調査される場合には電力会社が数多く持つておる現場監査もしておられますか。
  17. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 現場監査は全部やるというわけじやございませんけれども、適時一部につきましてはやつております。
  18. 河野謙三

    河野謙三君 現場監査も全部ではないけれども一部やつておる。現場監査を一部やつた結果、現場に非常に大きな含みを持つておるということは発見されませんか。今あなたの報告を求めたその結果の黒字というのは、いわゆる本社からの報告でしよう。その内容至つてあなたの現場を二、三調査した結果、本社経理に現われていないところの電力会社現場に非常に大きな含みがあるということは発見されておりませんか。
  19. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) これは現場に限らずでありますけれども、今年の上期のように、かなり水或いは石炭の関係利益が出ております場合には、会社経理といたしましては、それぞれの項目に或る程度含みはこれは持たせております。併し現場経理ということにつきましては、例えば現場の手持の在庫その他そういつたような事実につきましては、これは別に帳簿と違つておるということを今まで特に強く発見したことはないように記憶いたします。
  20. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、結論として、あなたのほうは、報告によるところの黒字以外に特に現場において含みが相当あるということは、あなたのほうは観察しておられますか、そういう判断に基いておられますか。
  21. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 現場と申しますか、例えば償却でありますとか、渇水準備金でありますとか、そういうふうな各費目の項目におきまして、従来の経理と比べて今期のごとき場合にはかなりな含みがあるということは、これは認めております。
  22. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、おもてに現われました黒字のほかに、更に含みが何分かあるということがあなたのほうの大体の御認識ですね。
  23. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) その通りでございます。
  24. 河野謙三

    河野謙三君 もう一度伺いたいのですが、今償却の話が出ましたが、電力会社が一体現在償却は基準を幾らにしております。
  25. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 電力会社償却定率償却という税法上取扱いになつております。併し普通は定率に相当する償却はできませんので、昨年までは定額ぎりぎりのところをずつと償却をいたしております。今年の上期におきましては経理上余裕が出ましたので、定率に近い程度のところまで償却をいたしております。
  26. 河野謙三

    河野謙三君 具体的には五%ですか、六%ですか、何%です。
  27. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) これは設備によつて違うのでありますが、水力につきましては、おおむね四十年の償却でございます。それから火力が十五年ぐらいですか、と思いますが。
  28. 河野謙三

    河野謙三君 それは戦前電力会社償却の率と比較した場合にどうなつておりますか、低率になつておりますか、高率になつておりますか。
  29. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 戦前どんな率でやつてつたか私もちよつと今記憶しておりませんけれども、恐らくは現在から類推いたしましても、定率ということでやりたいけれども、実際上はやつておらない。従つて現在残つております帳簿価額というものが、当初から定率償却でやつてつたならばこの程度であつたというものに比べて非常に高くなつております。
  30. 河野謙三

    河野謙三君 そこで私は伺いたいのですが、今の決算報告によつて、表面的な、向うから報告のままの決算によりましても、昨年赤字のはずであつたものが黒字なつた。上期下期を通じて……。なおそのほかにまだ何分かの含みは当然想像される。それから償却のほうも私が聞いておる範囲では戦前よりも倍以上高率の償却をしているように私は承知しております。それで私はあまり玄人じやありませんけれども電力会社なんていうのは、修繕費をうんとかければ、それが即新らしいものになるのです、大体が……。ですから修繕費はたつぷりかけておいて、そうして又償却率を高くとるというようなことは、これは非常に不正な経理だと思うのです。作為的な経理だと思うのです。そういうことを一々挙げて来ると、非常に今度の電力会社の値上の問題というものは、私は電力会社経営者が先ず第一に公益性を少しも認識していない。ただ小さな営利会社営利追求観念そのままの観念において、電力会社がこの公益性の強い電力会社を経営しているということになると思う、結論は。そういう点においてあなたのほうは値上とか、値下というようなことは結論がまだ出ないようでありますが、一体どういうようにお考えになつておりますか。
  31. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 今の点でございますが、修繕費で落す場合に、それが又償却とダブルという点はこれはないことになつておりまして、償却方法を普通の償却で行くか、或いは修繕費で落すというような取替え償却方法で行くか、どちらかを選ばしております。従つてその点においてはダブラないようになつておりますが、全般的に見まして、今度の二十八年度の決算には大分含みがあると申しておりますのは、上期の利益というものが多少そこで含みを持つてつておるということを言つておるのでありまして、下期の見通しをする場合には、それも或る程度考えての収支を出さなければならない。当初から行きますと、下期には百億の赤字が出るということは、下期は当然の渇水期でありますから当然悪いわけでございますから、今度下期に崩すというようなことをいたしまして、そういう点から含みができて来るわけでありますが、そういうのを下期に削つて出すという考えで、従つて下期の決算が今後二月、三月の水の状況によつてどうなるかわかりませんけれども、大体そういうことを考えてみれば、年間を通じまして、下期においても赤字決算はしないで済むんじやないかというのが今までの私どもの見方であります。それから将来の問題でございますが、現在までの見通しにつきまして、そういうふうなかなり材料が好転しておると申しますか、極めて経理がよくなつておりますが、そのために二十九年度の値上の基礎が崩れるか、崩れんかということにつきましては、これは一応又別の問題だと私ども考えておるのでありまして、仮に私どもが二十九年度の収支なり、或いは原価なりを検討する場合には、九年度分だけをとりまして、それについての収支考えるわけです。で、それによつて一応結論が出ることでありましようが、その場合にそれをどう動かすかということは、その前に、仮に二十八年度の持越しの黒というものが非常に多額でありました場合には、それで賄い得る程度まで値上を抑えるということは次の手段として出て来るわけですけれども、又逆に言えば、それでは八年度においてすでにもう赤字なつたという場合には、それをカバーできるだけの引上を認めるかどうかという問題になつて来るわけです。現在のところは、私どもは先ず二十八年度分だけを考えまして、一応それだけを純粋に原価検討いたしておりまして、一応それの結論が出ましてから、最終的にどういうふうに扱うか検討したいと思つております。
  32. 河野謙三

    河野謙三君 ほかの委員のかたの御質問もあると思いますから……。これはあなたの御答弁を求めるのは少し無理かも知れませんが、新聞紙上伝うるところによると、四月からの値上は一応延期することになつた、但し八月以降においてもう一遍再検討するというふうに承知しておりますが、その辺のところは、勿論これは大臣答弁に属するものじやないかと思いますけれども、一応あなたから個人の立場でも結構ですが、その場合の消息をお漏らし願えれば非常に結構だと思います。というのは、特に農林委員会におきましては、今あなたがいらつしやる前にも陳情があつたのですが、農業用電力の問題、又もつと農家の大きい負担に転嫁されるものは肥料用電力の問題、こういうものもありますので、単にこれは四月の値上が八月に延期になつたというだけでこの問題は解決しないのでありますから、それらも含めて一応私の質問いたしました以外のことでも、あなたがお気付きの点を一つ答弁願いたいと思います。
  33. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 値上の時期の問題でございますが、我々は一応電気事業者から出されております申請の内容を、二十九年度の計算につきましての計算をいたしておりますので、我々の検討も四月一日からの数字としていろいろ研究いたしているわけであります。従つて前提は飽くまで二十九年度の料金がどうなるかということでありますので、やはり四月一日からということになるわけであります。事務的にはそういう前提検討いたしておりますが、併し実際にはそれがどうなるか、これは計算上はどうしても仮に四月一日から料金改訂をしなければならんというふうになりましても、実際問題といたしまして、一日値上に間に合うか間に合わんかという、そういう手続上の問題もございます。それから政府全体の方針というものもございますので、現在までのところ私どももまだ一日に上げるかどうか、これは全然わからないのだ、結局現在検討の段階にあるので、それがきまつてから初めてこの点もはつきりするのだということを申しております。又大臣も終始一貫そういうふうな態度で国会等答弁されております。それからあとに申されました例えば農業用電力の問題でありますとか、それから肥料に対する影響でありますとか、こういうものは現在私ども原価計算をいたしております際にも、その影響ということを考えまして、仮に料金改訂をいたしましても、殊に今度の場合におきましては、料金制度そのものが変るということになつておりますので、制度の変更によりまして、そういう方面に対しましてどういうふうな影響が現われるか。又これの影響をできるだけ抑制するためには、合理的にどういうふうな制度を作るべきかという点を十分慎重に且つ個別に検討いたしておりまして、大体その点につきましての見極めが付くまで、まだ若干日数がかかると思います。
  34. 河野謙三

    河野謙三君 一言だけ附加えますが、あなたも御承知のように、特に肥料用電力の問題は、前々国会から吉田内閣硫安合理化をするために法案を出している。開発銀行の金を硫安会社に投資して、そうして五年の間に日本の硫安工業を世界の硫安工業の水準まで持つて行こう、こういうことが今我々の委員会にかけられているわけです。ところがまだ論議の途中に電力の問題が出て来て、これが若し電力会社の要求する電力値上が具体化すれば合理化どころの騒ぎじやない。とんでもないことになつちやうわけですね。こういうことも十分通産省の内部でも論議があつたと思いますけれども、これらにつきまして今までの省内の論議経過一つ知らして下さい。
  35. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) その点はもう初めから我々も言われておりますし、又自分らとしても十分念頭においているわけであります。従つて特に料金改訂、殊に制度の改正の案が出て来ましたときに、ほかにも問題がございますけれども、特別に肥料関係電気料金というものはどういうふうになるか、又それの値上率というものを抑制するために、どういうふうな方法が適当であるかということを、当初からこれはもう随分周密に検討さしておりまして、まだ最終結論は出ておりませんけれども、その点につきましては、できるだけ影響を少なく、仮に上げるといたしましても、少くなるような方法を講じなければならんと思つております。
  36. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 他に御質問はありませんか。
  37. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 今電力料金の問題については、新らしい方式検討中だというような非常に含みのある御答弁があつたのですが、私どもは非常にその点については関心を持たなければならんと思うのです。ということは、この電力料金というやつは、農業関係からすれば大きな問題になつて来ているのです。というのは、従来から電力料金の問題は、農業用電力料金というのは戦前は大体において電力会社のほうから農業用に使つてくれというような、むしろそういう意味で、電力会社でも、同時に農林省でも両方とも電力を使うことを奨励したものなんです。で、恐らく排水設備や、そういうようなものはあの時代にずんとできたものです。そうしてもう一つは戦時中のガソリンの血の一滴というようなあの考え方両方で、今日の農業用電力というものは相当大きなウエートを占めてしまつたんだ、さつきも申上げたように……。ところがその農業用電力というものは、御存じのように、この農業というものは非常に採算というか、利益の薄いものであつて、非常に細かい計算をして実は僅かなところで設備設備されたものなんです。そういつた時代に、御存じのように特殊扱いということを一時全部やめてしまつた。その後折衝によつて、お情けで特殊扱いを少し認めてもらつたというのが現状じやないかと思うのです。今度電力料金の値上が行われると、採算点にもう来でしまつて赤字になるというようなものが今度は出て来るのじやないかと思うのです、今の何と申しますか、私どもが想定される値上率によりますというと……。そういつた点について特に農林省と細かいお打合せをおやりになりましたか、今後やつてお行きになる予定でございますか。
  38. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 農業用電力につきましては、お話通りに従来いろいろな経緯があつたわけでありますが、戦後はいわゆる特殊電力という制度がなくなりまして、実際上或る程度そういうふうに取扱つておるという事実は御承知通りであります。今度の新料金制度につきましては、もとより戦前と同じような特殊、期間常時とかいうような制度を復活するというようなことも考えられておりますが、やはり現在の料金制度と申しますか、料金原価算定方式、これは公共事業令できまつておりますが、いわゆる原価主義になつておりまして、使う用途の如何を問わずに、そこに送る電力原価がどうなるかということを個別に算定して、その原価で供給するという建前をとつております関係上、例えば農事用であるからといつて安くするということは、そういうふうには参らんわけです。そこで、できるだけ合理的にその辺の辻褄を合せるためにいろいろな面で考慮するわけでありますが、農業用につきましては、幸いに丁度豊水期が農繁期に当るというわけでありますので、そういう関係からいたしまして、いわゆる特殊とか、期間常時的な考え方を取入れまして、結局払うべき料金というものが一般のあれに比べて若干安いというようになりますし、現在のベースがそれほど変らんようにということで今工夫いたしておるわけでありまして、その点につきましては、恐らくそういう結果になるのじやないかと思つております。
  39. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 改良局長に関連してお尋ねしたいのですが、これは大事な問題なんです。はつきり言えば……。戦前にデイーゼル・エンヂンなんかを特に電気に切換えたというようなものが最近非常に不安を感じておる。これが又上るということになると、恐らくもう一度モーターをデイーゼル・エンジンに変えなければならんというような事態が起つて来るじやないか、そういつた今御説明のようなお話を承わるというと、原価主義で行くと、末端の今までの既設の施設ではともかくやつて行けた。今度値上をして原価主義で行きますというと、これは農業経営は成り立たんというようなものが出て来るじやないか。こういつた場合に農林省としてはどういうお取扱いをされますか、そういう何かお考えはありますか、承わりたいと思う。
  40. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 農林省全体としての方針というわけでは、私からはちよつとお答えにくいわけでございますが、大体非常に高率な値上というふうなことになりますると、おつしやるような結果を招来しないとも限らないし、それで電動機からデイーゼルその他内燃機のほうに変えるというならば、それだけの金も又かさむわけですから、一応私のほうといたしましては、通産省に対して値上は反対というふうな申入は公文書を以ていたしてある、こういう状態で、聴聞会のほうも最近聞くところによりますると三月の上旬から各地でやるというふうな形になつておりますので、それぞれ関係の団体或いは関係の県庁その他のほうにも連絡をいたして、それで農業上の事情を十分電力会社側のほうへ伝えるように手配をしている、こういう状態でございます。
  41. 宮本邦彦

    宮本邦彦君 農業用の原動力としては、実際は私は石油系統の油のほうが余計に使われるようなのが現状じやないかと思つているのですが、調製機だとか、今申上げました排水、用水のポンプだとかいうようなものは、これは電力にすべきが本当じやないか、又日本の油というものの資源の関係からしても、当然今後はそういつた農業用でも電力というものに動力源を求めなきやならん私は国柄じやないかと思う。そういつた場合に、この電力料金の値上というような問題のたびに方式が変るというようなことは、これは全く日本の農業にとつては大きな問題ではないかと思うのです。これは単に今度の値上問題という問題ばかりでなく、もつと根本的に一つ方針ががつちり立つて行かなきやいけないものだというふうにまあ私ども考えられるのですが、そういう点について私はもう質問はこのくらいで打切りますが、今後も両省でお考えになるときに、そういつた深い考え方一つ方式をお考え頂きたいと私は思います。何か御意見があれば私承わつてもいいのですが、私からはそれだけ申上げておきます。
  42. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 農業電力の点につきましては、私先ほど申上げましたが、今度は制度改正のために、現在行われている農業用電力料金がどう変るかという問題になると思いますが、今度仮に今のような調整を加えまして新らしい電力料金というものがきまりますと、これはこの制度が根本から変らない限りは大体それで行ける、こういうことになるかと思います。将来、今の制度はこれは東北と北陸だけは今度は一本料金化いたしますが、残りのあとの地区は二段料金制度をとつておりますが、将来は一体化するという、それだけの変化はございます。この制度の根本は、若し変りましても大体その考え方は持ち続くかと思いますので、それにつきまして、又只今御意見のごとき、全体的な見地から検討を加える余地があれば勿論別問題でありますが、そうでない限り、ただ別の面から料金の変るたびに変るという御心配はないようにいたしたいと思います。
  43. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 この電力料金は勿論農業関係なり、肥料なり、用水、排水に非常に大きな問題があるのですが、農業関係のみならず、これは大きな問題で、実は委員会でなしに、別の席で、一月に経済審議庁から責任者に来てもらつて会社の案を二日に亙つて検討をいたしたのでありますが、どうも経済審議庁は上げるということを前提として説明をその場合にしたのですが、我々はその場合断然承服できない。理論も立たない。内部の合理化というようなことはちつとも考えられておらん。なお供給が増大する、人員とすべての費用を十分に見積つていないというような案で極めて承服できない案であつたのであります。で、上げないということを前提にして一つ案を作つて来いということで打切つたのですが、その後、今お話のありましたように七月から上げるとか何とかと新聞で拝見いたしたのでありますが、通産省のほうでは、経済審議庁とのその後の折衝でどういう方向に向つておりますか。
  44. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 料金問題につきましては、審議庁のほうとは根本的な考え方につきまして、大分前にいろいろ意見の交換をしたことはございますけれども、具体的な数字検討に入りましてからは余り連絡はとつておりません。通産省だけで検討いたしております。
  45. 重政庸徳

    ○重政庸徳君 そうすると、通産省はこれを上げないという案を一つつて、そうしてその方向で経済審議庁と折衝をしてもらいたいと思うのです。今仮定の下にこの農林委員会が用排水電気料をここで論議しても仕方がないと思うのです。どうしても上げねばならんということになれば、通産省のほうからも、どういう理由で上げねばならんかという案を一つお示し願いたいものである。
  46. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) まだ検討中でございますので、いつ頃になりましてそういうふうな案ができますか、ちよつと今のところは私お答えいたしかねますけれども、その時期になりましたらお示しいたしたいと思います。
  47. 上林忠次

    ○上林忠次君 先ほどもお話が出ましたが、肥料に対する供給電力の値上が影響する問題で、肥料に対しては特殊な安い電力を供給したいというようなことも聞いておりますが、それは余つた豊水期電力、余つたやつを使つてもらう。それを特に安く、小口電力のほうは値上を少くして大口のほうは上げる。併し肥料のような大口のものに対しては特殊なそういう安い電力を供給して、そうして肥料の単価を上げないというような話を聞いております。それではどの程度そういう工合に持つて行くか。勿論施設の状態と噛み合せてやらないと、遊休施設を豊水期に使うわけですから、又職員の数にも関係しますので、或る限度があると思いますが、どの程度のそういうような特殊な安い電力肥料方面に送るのか。そこらの細かいところを、大体値段は何割ぐらい安くするのか、特殊な供給量に対して何割ぐらいの安い電力をやるのか、何か腹案がありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  48. 中島征帆

    政府委員中島征帆君) 小口と大口と料金値上率が非常に違うということでなくて、仮に同じであるといたしましても、肥料におきましては、現在割当制度によつて比較的優遇された割当をもらつております。そのためにいわゆる追加料金という高い電気料金を支払わないでおりますために、電力の単価が非常に安く使われております。ところが今度の制度によりますというと、いわゆる二段料金を或る程度まで加えなければならないような仕掛けになつておりますので、そうするというと、仮に値上を全然いたしませんでも、優遇されておつた肥料等の工場は、前と比べると割合と高い電力を使わなければならん、こういう結果になると思います。そこでそれを防ぐために、今お話の出ましたような特殊その他夜間電力でありますとか、原価の安い電気を使つて、昼間のやつと込みにいたしまして、その総合したものが従来と比べてそう値上にならないというようなことになるように、一つ一つの工場につきまして検討いたしておるわけでありますが、従つてそういう安い電力と高い電力の組合せをやります場合に、仮に計算上は、それは手頃な値段が出たといたしましても、実際食う電気がとてもその工場の実態から言つて、そんなものはもらえないというようなものであれば意味がございませんので、そういうふうな点からも、電力会社の供給力と、それからそれに使われる工場の受入能力或いはその他と十分噛み合せまして、それが無理なく行けるようにということによつて案を立てております。従つて個別的な問題でありますので、全体といたしましてどの程度になるかということはちよつと手許にございませんが、そういう考え方でやつております。
  49. 上林忠次

    ○上林忠次君 理窟はそういうところへ行くかと思いますが、安い電力を廻す、それで高くしないようにするということは、表面はそうなつておりますが、実際的に経営が合理的にできないということにならないように、恐らく、肥料におきましては、五カ年計画とか、企業の合理化なんか言つておりますが、我々日本で今の単価を五カ年間のうちに十ドル下げる見込みがあるとしても、五年のうちに国際市場の価格が又下る、我々がようよう追い付いた時分には又一歩進んでおるということで、日本の肥料界が常に国際市場に頭を出すことができないというようなことになろうと思いますので、この肥料会社に対する電力料金、これについては真剣に一つ考えて頂きたいと思うのであります。   —————————————
  50. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、補助金等臨時特例等に関する法律案、この件を議題にいたします。  本法律案は、去る二十三日内閣から予備審査のため提出せられ、どの委員会に付託されるか、まだきまつていないのでありますが、その内容を見ますると、農林行政に至大な関係があり、特に例えば農業改良助長法に基く補助等の特例等は、実体的には農業改良助長法の一部改正案でありましてこれは当然当委員会審議をいたさないと理論的にもおかしいというような感じがいたすわけでありまするが、従いまして、今後どういう方式審議いたしますかは今後の御相談に任せることといたしまして、本日は取りあえずこの法律案のうち、農業関係の部分につきまして、大蔵省当局からの説明を聞きまして、続いて質疑を願い、更に今後の措置をおきめ願いたいと存じます。先ず大蔵省の柏木主計官が見えておられまするから御説明を願いたいと思います。
  51. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) 二十九年度の予算につきましては、御承知通りの経済情勢にありまして、どうしても異常な緊縮予算を編成しなければならないということになりまして、その大きな方針の下にできるだけの緊縮を図り、その際補助金等につきましてもその内容を吟味いたしまして、この際負担力の関係等で整理し得るものは整理する、或いはこの際中央並びに地方財政の総合的な調整を図ることによりまして、それによつて補助金等の整理を図るという大方針の下にいろいろやつてきた次第でございますが、農林省関係におきましては、只今委員長からお話がありました農業改良助長法の関係におきましては、改良普及員の補助率を従来の三分の二から二分の一にすることにいたそうということで予算の編成ができておりまして、これは当然に農業改良助長法の改正を要する次第でございますので、ここに法律案審議をお願いしておる次第でございます。農業改良普及員の補助率の調整ということは、何も農業改良普及員の必要性を軽く見るとか、或いは農業改良普及員の必要性が少くなつたという意味ではございませんで、全く中央並びに地方の財政の調整の意味から、この際地方において負担して頂けるものは負担して頂きたいという趣旨で、中央におきましては必要最小限というものの経費を国で補助するという考えでございます。
  52. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) その内容農業改良助長法以外にはございませんか、家畜伝染病だけ……。
  53. 柏木雄介

    説明員(柏木雄介君) 次に、家畜伝染病予防法の関係の補助率の関係におきましては、従来全額の国庫補助のありました寄生虫病の発生予防関係の経費につきましては、当分の間その補助率を二分の一に減らすということで予算を編成いたしまして、又ここに法律案の御審議をお願いしておる次第でございますが、これは寄生虫という病気は、伝染病といつても非常によくある病気でございまして、こういうものまでも国が全額補助しなければならんという性質かどうか。それから寄生虫病の予防に必要な経費というものは誠に些細な経費でございまして、こういうものに対して少額の補助金を出さなければならんということは、而も全額出すということは如何かということで、これは補助金というものは一般に補助率が二分の一でございますから、こういうものは今後は二分の一にいたそうということで予算の編成をいたし、法律案の御審議をお願いしておる次第でございます。
  54. 江田三郎

    ○江田三郎君 この扱い方はこれは一体どうなんですかね。我々のほうで農林関係だけをやつて行く。文部委員会は文部だけやるということになると、どういうことになるのでますかね、一体こういう形の法律案というものは前例があるのですか。
  55. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  56. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  只今補助金等臨時特例等に関する法律案につきましては、只今説明を聴取いたしましたが、この法律案審議方法につきましては、当委員会といたしまして別途御相談をいたしたいと思います。今日は説明聴取にとどめたいと思います。   —————————————
  57. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 次に、清掃法案を議題にいたします。  本法律案は、去る一月二十八日に内閣から予備審査のため提出せられ、同日厚生委員会に付託せられたものでありまして、本法律案は当委員会にも深い関係を持つておるものと認められますので、政府当局から説明を聞き、質疑を行い、当委員会としての措置をおきめ願いたいと存じます。厚生省の環境衛生部長。
  58. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 只今御指名によりまして極めて簡単に概要だけを御説明申上げたいと思います。  現在都市の清掃事業は汚物掃除法によつて実施をいたしておりますが、これは都市人口僅か二千万当時の明治三十三年の代物でありまして、都市人口が倍以上に膨脹いたしました現状といたしましては、どうしても時代に適し得ないいろいろな問題点がございます。これらの問題点を解決するために今回新たに清掃法を考えたわけでございます。特に農村関係等と密接な関係ある部分に重点をおいて御説明申上げますと、先ず第一に、現在都市の屎尿というもの、或いは塵芥は人口の膨脹によりまして著しく殖えております。これは申すまでもないことでございます。ところがこれを受入れるところの農村側の需要は、最近有畜農業の普及或いは化学肥料の普及というようなこと、並びに一般に農村の青年がこの屎尿のようなものを余り使いたがらんというような空気も出て参りまして、そのために都市の屎尿というものの農村還元が思うように参らなくなつたわけであります。そのためにどうも困つたことが各所に起きまして、不法投棄或いはその他いろいろな問題が起きております。そのために河川或いは東京湾等の近海が著るしく屎尿に汚染されまして、場合によりますと漁業等にも影響を来たしておるというような状況でございます。そこでこれに関しましては、私ども一応これを衛生的に処理して処分するということを今回一つ規定をいたしまして、農村に還元できない部分は勿論これは処分しなければなりませんが、これを衛生的に処理するということを規定いたしたわけであります。それから一方塵芥等につきましても、現在は焼却するという方法で行われておるわけでありますけれども、施設の関係等もありまして、余り焼却等も行われず、主として埋立てという名前におきまして、単に適当な場所に積んでおくというような状況でございまして、これが又環境衛生上悪臭その他の害があるばかりではなく、そこから漏れますところのその水が、地下水等に混入いたしまして飲料水をいためる、場合によりましては農作物等に影響を来たすというようなところもかなり出ておるのであります。従つてこれらの都市の塵芥につきましても、これを完全に処理する建前をとつて進んだわけであります。  なお、もう一つ特に関係のある点につきましては、私どもはこれらを全国的に一律に実施しようという意思もございません。そこで、都市並びに特に必要な都市的性格を持つた町村のみに限つてこれを実施する建前といたしておる次第であります。かような実施地区におきましては、生屎尿をそのまま畑に使うことは実は禁止をいたしておるのでありまして、或る一定の基準に従つて処理したもののみを、かような都市並びに都市的性格を持つたところにおいては実施するという方法とつたのでありまして、これが考えようによりますと、農村の営農形式等に非常な負担がかかるのじやないかというようなことも当然考えられますが、併しながら全国的にかようなことを実施するわけじやございませんので、単に都市だけで実施をする、こういうことでございまして、極めて稀に都市の中にある営農者が若干のこの制約を受けるということになる場合もあろうかと考えられます。  それから次に、かような都市的性格のほかに、現在観光地等季節的に人の集まる地域の衛生状態が極めて不良でございますが、例えば富士五湖にいたしましても、上高地にいたしましても、極めて不良な状況にありますので、これらに対しましても若干の規制をいたしたいと、かように考えておる次第であります。これは必ずしも農村関係等に著るしい被害はないと思います。ただこの場合にも、かような都市の実施方式を準用いたします関係で、観光地の生屎尿の使用ということは今後若干の規制を受けるという結果になると思つております。  然らば、今後対策として何を考えておるかという点が一番の問題点だろうと存じますが、私どもは現在屎尿処理は、これは理想から申しますれば、下水道による水洗便所によつて処理することが最も理想でありまするが、併しながら我が国の現状といたしましては、市の面積の一五%下水道が普及するといたしましても五千億余りの経費がかかりますので、到底これは背負い切れない負担である。そこで取りあえず私どもは消化槽というものを設けまして、消化槽に屎尿をぶち込みまして、水分と固形分とに分けて完全に衛生的に処理し、水分はきれいな水でありますから、これを川にそのまま放流する、或いは海に放流する、固形分はこれを農村に還元するという行き方をとりたいと考えております。この農村に還元ができなくなりました一つの原因は、これは輸送力に問題があるのでありまして、例えば東京都の屎尿も青森県に持つて行けば喜んで使つてくれるのでありますけれども、何分にも多量の水分の関係から、さようなことは不可能でありますので、一応水分と固形分とを分離することによつて量を減らせば、屎尿としての農村還元は容易となりますので、かような方法を仕組んで参りたいと考えております。なおこれらの消化槽の施設は、将来下水が完備した場合には、これをそのまま下水道の終末の処理場として活用することができるわけでありまして、つまりなかなか下水のパイプが普及できませんから、止むを得ずその最後の終末処理を前以て作つて、遠い将来下水道が普及した暁には、トラツクで運搬する屎尿を下水によつて運搬するという形に持つて行きたい方針でございます。  それから次に、塵芥につきましては、これは一応焼却ということを考えておりますが、併し焼却いたしましても、なかなかいろいろな雑物が含まれておりますので、必ずしも現在の日本の状況では、これを農村に肥料として還元することは不可能な状況であります。そこで一応私ども考えといたしましては、世界各国の例に倣いまして、先ず機械力によりまして塵芥を分別いたしまして、厨芥の部分を細かに刻み、これに特別な土壌バクテリアを作用させ、土地改良の資源を得たい方針であります。すでにこの方法はアメリカ或いは大陸地方におきましては、火山灰地帯の土地改良に活用されております。北欧諸国においては、干拓地帯の土地改良に使われておる現状に鑑みまして、我が国におきましても、かような方法も同時に並行的に進めておきたい。土地改良は厚生省の仕事ではございませんけれども、捨てるものを生かして行こうということを考えております。  それから次に、これ又農村との関係の問題は、現在都市の屎尿処理というものは極めて複雑な様相を呈しております。これを集収処理いたしますのは、多くはこれを請負によつて実施されております。勿論直営によつて市が実施しておるところもございますが、多くの場合請負の制度が使われております。この場合、従来はこれを営業と申しますか、この仕事を殆んど何らの規制もしていなかつたのでありますが、そこでいろいろな問題がおきております。例えば簡単に仕事をするために川へでも何でもぶつ散らかしてしまうというような事態もかなりある。又一方汲取料等も過大に要求するというようなところもありますが、今度これらの営業を許可制にいたした次第であります。許可制にいたしまして一定の制約を付して行くことに相成ります。そこで問題は、今後農業協同組合等が仮に或る市の屎尿を系統的に汲取るというような場合には、一応許可の制約を受けるということに相成ります。これらも現段階においては当然なことだろうと存じておる次第であります。  大体以上が特に農村関係の方面との関係において主な事項でございます。なお現在我が国におきまする屎尿の排泄量というものは、大体米の倍と私どもは換算をいたしております。約一億七千万石程度でありますが、一人一日五合五勺と私どもは換算いたしております。それで一億六、七千万石でありますが、これの約九〇%は農村に還元をされております。僅かに一〇%が下水、或いは浄化槽、或いは海洋等その他にまあ不法的に埋没その他の処分が講じられているわけであります。それらの農村に還元されております屎尿を大体化学肥料に換算いたしますと、約二百五十億円に該当いたしまして、大体化学肥料の四分の一余りがこれらの屎尿によつて解決されておる、こういうまあ恰好に相成ります。まあこれは参考までにちよつと申上げておきます。以上であります。
  59. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 その施設は、いわゆる最終処理の溜池なり何なりの施設は、厚生省でその処理についての予算をとつてあるのですか。
  60. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) これは消化槽は予算がとつてございます。なおこれらの経費は主として従来起債に依存いたしております。起債が大部分、一部補助と、こういう恰好になつております。
  61. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 生の人糞尿を使うことができないということについては、これはいたし方ないと私考えますが、その乾糞ですね、固めた固形のものは請負業者によつて処理されるというふうになると思いますが、こういうことになるわけですか。
  62. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) この都市の糞尿処理の施設としての消化槽におきましては、固形分と水分とに分けた場合、これらは極めて大掛りな施設でありますので、かようなものを運営いたしますのは市の直営で運営をいたします。従いまして市が責任を持つてその屎尿を農村に還元するという方式でございます。現在東京都においてもさように実施いたしております。ただ民間業者と申しましようか、請負によつてやります処理は、主として各家庭の汲取り、運搬、それから然るべき場所に持つて行く、そうして処分するということが請負によつて行われておるわけであります。それからなお固形分と申上げました処、消化槽そのものにおきましては、これは泥のような仕組に固形分がなりまして、更にこれを乾燥すれば御指摘のように乾燥肥料になりますけれども、これは乾燥するまでには又その施設がかかりますので、一応私どもは従来も、或いは今後も差当りは泥のような泥状で農村還元を図つて行く方針であります。併しこれは予算さえあれば乾燥肥料にします。なお都市或いはその周辺において、農家で生肥料を使つてはならんという場合には、これは堆肥のような形或いは腐熟させるということさえすれば、これはもう結構でありまして、別に必ずしもむずかしいことは奨励しないつもりであります。
  63. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 私はいつそのこと、それをもつと固形分にして十分に依存ができるような完全な処理をすべきだと思うのです。これはどういうふうな計画でおやりになるかわかりませんが、農村にこれが若し本当に概算して二百五十億もあるというものを、泥状のまま使わせると言つて見たところで、それからその都会の周辺のこれは輸送力から見ても、或いは現在の化学肥料の含有窒素の使いやすい、又相当に今日では安くなつておるというような現状から見て、なかなか泥状のまま使い切れまい。従つてその処理に又必ずや困つて来るであろうと私は想像するのですが、そういうふうな折角魂作つて仏を入れないというような措置は、甚しくどうも農村から見ても好ましくない処理だと私は考えるのです。何とか折角考えるならばもう少し科学的な処理をせられるように希望いたします。
  64. 関根久藏

    ○関根久藏君 この清掃法案にあるように、清掃事業の能率的な運営によつて都市の生活環境を綺麗にするということにつきましては、これは公衆衛生の見地から勿論でありますが、提案の理由にもあるようでありますが、汚い物を処理した、その汚い物のその後の利用問題については説明がないのでありますが、ところがこれは又我が国の農業には非常に重大な問題であります。古くからこれは都市を綺麗にするという要請から屎尿や塵芥の利用を図つておるのであります。例えば屎尿につきましては、農林省推定によれば、昭和二十六年中に全国において農業上利用いたしました量は約二千六百万トンであります。そのうちに含まれております屎尿の成分を化学肥料に換算いたしますと、硫安にして約十七、八万トン、過燐酸にして十六、七万トン、加里が十二、三万トン、極めて大量に達しておるのであります。これは勿論全国のことでありまして、これを本法の適用対象地域であります特殊利用地域だけについて見ても、大体一割乃至二割くらいに当ると見込まれておるのであります。極めて軽視することのできない量になつておる。そしてその肥料価値を主要肥料の価格から換算すると、屎尿一石約五十貫といたしまして、約百五十円くらいと見積られているのであります。今やその供給を前提として我が国の農業生産の、農業経済はこれは現状維持、その供給に支障を来たさない、来たすような場合には容易ならざる結果を来たすことになるのであります。特に大都市周辺の所ではさようなことは非常な大影響を及ぼし、従つて本法の適用に当りましては、かかる農業上の現実は重視しなければならないと存ずるのであります。清掃事業とかかる農業上の現実との調整につきまして、特に農林当局並びに厚生当局のお考えを承わりたいと思います。
  65. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 大体あの数字は私のほうでも作りました数字でございますが、方針といたしましては、やはり現実の経済問題として考えた場合には、只今お話のありましたように、屎尿の価値というふうなものは、成分換算で申上げますと、化学肥料に換算して大体一石当り百五十円くらいになると存じまするし、それよりも大体は安い価格で現実には農家の手に渡つておる、こういう状態から見ますると、やはりその近郊農村の需要がある限りにおいて、そういうふうなものはやはり続けて行きたい、合理的に利用させて行きたいと私のほうとしては考えておるわけであります。で、又それに必要な貯溜槽等につきましては、農林漁業金融公庫等におきまして処理施設の融資をやつておる、こういうふうな関係になつておりまして、二十八年度においては大体すでに決定したものは五百万円くらい、まだこの上相当決定するものと、こういうふうに考えております。申込全体として約一千万円、六十七カ所の申請がある、こういう状態でこれは奨励をして行きたい。で、農協その他の農業団体のほうからの共同施設については、できるだけのことを我々進めて行きたいと考えております。
  66. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 厚生省といたしましても、都市の屎尿の唯一のはけ口は、これを農村に肥料還元という建前で今後も進んで参りたいと存じております。ただ問題は、最近この数年特に都市の屎尿量の増加するに反比例いたしまして、農村の需要が激減しておりますために問題がむしろ起るのでございます。私どものほうといたしましては、農村がもつと都市の屎尿を引取つてくれれば、海洋投棄であるとか、いろいろな所にいろいろな不衛生な問題を起さずに済むわけでございます。従いまして私どもといたしましては、もつと還元しやすい形にして行こうということをしつつ、而も衛生的な処理を考えたいというのが方針でございます。
  67. 関根久藏

    ○関根久藏君 本法の第十一条におきまして、清掃地域の屎尿は所定の基準によらなければ肥料として使用してはならないということになつておりますが、省令で定める基準とは如何なるものを予定されておるのでしようか、それからその基準となる方法による場合、これに必要とする経費は如何ほどでありますか。三は、右の経費に対して国においてこれを負担する措置が講ぜられておりますか。かかる規定は政府において予算的用意が十分でなければ、肥料としての使用者に対して強いがたきを強いることになります。又都市の清掃施設の現状から言いましても、却つて処理の不合理を招来するようなことになる。只今お話にありました通り農林省のほうは使わせたい、厚生省のほうも使わせたいが、使うほうが需要がないのだ、こういうふうな、この間の調整を図らなければ両々相待つてうまく行かないと思うのでありますが、それに対しまする両御当局の御見解をお伺いしたい。
  68. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) この省令の基準、屎尿を使う場合に省令の基準によらなければならないということに相成つておりますが、その省令の基準といたしましては、まあ堆肥化するとか、或いは腐熟させる、或いは覆土、埋没覆土の方法をとり、生でも覆土すればよろしい、こういう一つ考え方を持つて進んでおります。ただこの問題は肥料価値をいうほかに、都市のことでありますので、環境衛生上或いは悪臭の問題、かような点を考慮してのことであります。だから必ずしも全部を肥料として考えておらんわけであります。次にこれらの地域は、そこにも書いてございますよう全国地域ではございません。清掃を特別に実施いたします地域、つまり都市でございまして、少くも市でございまして、従いまして市の中でも、一方におきましては第四条に示してあろうと存じますが、余り人口の稠密していないところは除いて行く方針になつております。専ら市街地だけに限るわけでございます。従いまして、さような地域にそう多くの農業経営者は先ずおらないだろうという見込みでございます。従いまして、これらに要する経費というようなものもそう多くはなかろうと存じますが、なおこれらに対する国の補助につきましては、目下厚生委員会におきましても、この補助規定、補助の問題につきまして問題が起つておりますので、この点は今後研究をいたしたいと存じます。併し現在成立いたしております範囲におきましては、かような個々の農家の使いまする貯溜槽或いは腐熟槽というようなものにつきましては補助はございませんが、この点は今後考えて参りたい所存でございます。ただ私どもといたしましては、できることならば全国的にかようなことを早くはいたしたいのでありますが、そんなことを今しても、従らに営農形式に混乱をいたしますし、又金も思うようにならないというようなことで揉めておりますが、併しながら寄生虫の蔓延或いは赤痢の流行、かような点を考えますと、将来はこれは理想ではありますけれども、できるだけ腐熟した屎尿を使うような方針に厚生省として進みたいと考えております。
  69. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この屎尿の使用方法の制限につきましては、厚生省令を定めるときに農林省も打合せして頂いて内容をきめる、こういうふうなことに申合せをしてあるわけでございまするが、その内容がきまりました上での予算的な措置、或いはその他必要が起るかもわからないと思いまするが、現在のところは提出した予算の中では組んではおりません。一部先ほど申上げましたような貯溜槽につきましては可能な部分はあると存じます。
  70. 関根久藏

    ○関根久藏君 只今の厚生省の御説明の中に生のままでも、何というか、覆土、覆土というのはどういう意味ですか。
  71. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 埋没した使用方法であります。
  72. 関根久藏

    ○関根久藏君 その第十四条に、清掃地域内における汚物収集者の許可ということがございますが、その基準はどんなことになるのでありましようか。農業者及び農業者の団体で、私のほうなどには、屎尿農業協同組合なんというものがたくさんあるのですが、従来行なつておるものが今後行う、そのような場合に関連性はどういうことになりますか。新らしいものとして許可を与えるということですか、既得権は認めるということになりますか。
  73. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 基準は別に考えてございませんが、併し法律の名文におきましては、市長が期限を附するとか、いわゆる計画を指定するとか、更にその取扱方法を指定するということにだけ相成つております。なお現在実施しております業者は、四カ月間はこれはそのまま許可のあつたものとして認められておりますが、その間に改めて許可をとつてくれればいい仕組になつております。
  74. 関根久藏

    ○関根久藏君 四カ月間は従前のことを行わせるが、四カ月後には新らしい立場においてやりたい、こういうことですか。それともそのうちに既得権は認めて継続さしてやるというのですか、どつちなんですか。
  75. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 従来やつておりますものはそのままこれを認めて行く方針でございます。ただ認められた場合に、その第一項にこういうような一つの条件というものが或いは付けられるかも知れないということだけでございます。
  76. 関根久藏

    ○関根久藏君 本法は農業に非常に関係がありまして、特にその第十一条及び第十四条はその関係が深いのでありまして、これが運用に当りましては、厚生、農林両当局におきまして十分御配慮の上、完全な了解の下に行いまして、農業上に支障を来たさないように御配慮願いたいと思います。この点は如何ですか。
  77. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今の厚生省の御答弁ですが、経過期間は四カ月ですか、法律では二カ月に……。
  78. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) どうも失礼をいたしました。取消しをいたします。二カ月です。
  79. 河野謙三

    河野謙三君 極く簡単に……。この水分と固形物を分けた場合に、固形物は東京都なら東京都が、従来の糞尿と同じように幾らか運賃の補助程度を出してやると、こういうことですか。
  80. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 現状におきましては、輸送は東京都が実施をいたしますが、引渡すときに若干極めて僅かの経費を農村側から頂いておるように記憶いたしております。
  81. 河野謙三

    河野謙三君 只今お話の、そんなことではそれこそ糞ずまりですよ。(笑声)農村の経営からみて、それがあなたのお考えになつているように、東京都が運賃を持つけれども、何ぼかの金をもらうというその何ぼかに問題があるのですよ。そこらのところは十分お考えを願わなければならない。こんなことでは本当に糞ずまりになります。それで、もう一つこの機会において大局的な見地に立つてこの事業は進めなければならん。今頃固形物と水分と言つているときじやなくて、むしろ都会全体を水洗にしなければいかんと思います。そこで今からお伺いしたいのは、あなたのはうでも研究ができておると思いますが、都市と水の関係で、私が聞いておる範囲では、或る水の権威者に聞きますと、東京都が今のままに膨脹するなら、あと三年か五年の間に多摩川の水を全部、相模川の水を全部、東京の近隣のあらゆる川の水を全部持つて来ましても、京浜間の都市の経営は水の面において参つてしまう、こういうことを聞いております。そういう観点に立つておる人々から考えますと、非常にあなたの公衆衛生の面と現実に矛盾があると思うのであります。こういう点について何か御研究がありますか。
  82. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) これは今後都市の人口の増加並びに工場の発達などと不可分の関係にあります。長期計画というものは極めて困難でございまするが、現在私ども只今御指摘の東京、横浜等におきましては、東京の場合におきましては、目下小河内のダムを建設中でありまして、これによりまして、おおむね現状においては解決の付く見込でございます。なお横浜或いは川崎等の工場地帯におきましては、殆んど完成をいたしておりまするが、山梨県から水をとりまして、これも大体見通しを付けておりますが、併しこれは飽くまで現状に即した行き方でございまして、今後都市の一層の膨脹というようなことを来たしますと、これは全く御指摘の点は私どもも非常に心配をいたしておるところであります。併し現在の程度であれば、只今申上げました二つの大きな計画によつておおむね問題は解決すると、かように考えております。
  83. 河野謙三

    河野謙三君 私は非常に都市と水の問題、特に京浜間の問題として水の問題は切迫しているように聞いております。この点については、あなたのほうでは少しく何か余裕を持つた考えでありますけれども、これはもう十分一つ研究してもらいたいと思います。どうもお説教みたいになりますけれども、役所の仕事というのは、厚生省は厚生省、通産省通産省農林省農林省で、街を歩いてみると、ガス管を入れたかと思うと、今度は掘り返えして水道管を入れる、今度は電車の軌道を直す、一年中道を引つくり返している。それと同じように、どうも各省間のそれぞれの専門の知識をお互いに交換する機会が少いと思います。水の問題につきましては、私はあなたのお考えになつておる公衆衛生の面で将来の都市の建設について非常に賛成です。それを推進するためには非常に水と関係が深いと思います。そういう面において十分私はお考えを願いたいと思います。日本の農村がいつまでも臭いものを撒いているようなことでは駄目であります。それはもう農業と糞尿の関係は、生肥料関係、これは現実の問題でありますけれども、それはそれで農林省のほうで解決すべき問題だと思います。これはお説教のようになりますけれども、もう少し水の問題等も十分御研究を頂きたいと思います。同時に最初に申上げましたように、今の固形物の場合、それを東京都が何ぼか持つてどうこうというようなことじや、これはとてもお話になりません。これは固形物でどの程度のものか知りませんけれども、臭みがあるでしよう。固形物で、而もべたべたして、いわゆる臭みがあるのは手がつけられない。(「いや泥だ」と呼ぶ者あり)水なら桶に入れて撒くという手があるかも知れない。(笑声)そういう点から本当に農業経営において百姓は一体手でつまむのか、挾むのか、桶へ入れて撒くのか、そこらのとこらまで十分研究してみないと行詰りになります。でありますから、その点は十分価格の問題と同時に、実際に農業経営に当つておる農家が使うように泥に混ぜるとか、堆肥にするとか言いますけれども、実際やつてみなければ駄目だ。そういう点であなたにやれとは言わないけれども、その点一つ十分御研究を願いたいと思います。
  84. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 固形物と申しましたのは、只今お話がございましたように、泥状でございまして、全然悪臭その他はございません。タール状の泥状と化します。なお各省の連絡につきましては全く御指摘の通りでございまして、特に私どもは屎尿問題だけでなく、非常にいろいろな問題で農林省その他と関係が深い、こういうような点につきましては、かねて十分に連絡をとつて進んでおります。なおこれらの消化槽の問題につきましても、私ども肥料のことは全くわかりませんので、農林省にもお願いをいたしまして、委員会のようなものを作りまして研究した結果でございます。なお水の問題につきましては、これ又私決してのんきなことを考えておるわけではございません。これは只今御指摘のように、農林省その他と協力いたしまして、もつと大きな視野からこの水の問題を解決する、少くも、計画を立てる時期に来ておると思います。一例を申上げますならば、甚だ一例で申訳ございませんが、利根川の水を途中まで運河のようにして持つて参りまして、東京へ来たらそれを今度は上水に切換えるというようなやり方にいたしますれば、これは農林省との協力事業ならやつてできないことはなかろうというように考えております。先ずこんなようなことをしなければ、只今御指摘のような遠い将来の都市の水の問題は解決しないのではないかと心配いたしているような次第であります。
  85. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 只今お話になりました泥状の糞尿が果してどれだけの肥料の価値があるか。私はこれが試験されているかどうか先ず第一にお聞きしたいのです。含有成分がどの程度で、恐らく相当の期間置いて、そうして発酵されて炭酸アンモニアとして発散したような単なる固形物であつて肥料価値がない泥状であるというようなものは、これを農家として受入れる余裕はないのじやないかと、こう考えるのですが、念のために、改良局長において試験をされている個所について御説明を伺いたい。
  86. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 私はこの消化槽は見ておらないのであります。処理方法等を聞きますと、大体空気を吹き込んでアンモニアを酸化させまして、硝酸として溶かして、水と一緒に排泄する、こういう形になるので、主として窒素成分についてはかなりの程度がなくなるのではないかというふうに感ぜられます。まだ試験等はよく存じません。肥料成分としましては、大体窒素が〇・五一%、燐酸が〇・一%、加里が二・三%というふうに大体今まで計算されております。それで燐酸加里の分については、泥状のものの中に相当量が残つているのではないかと考えられますが、窒素については、ちよつとここではつきり申上げられませんが、大半はロスになつておると考えております。
  87. 江田三郎

    ○江田三郎君 糞尿とは、先ほどの説明で行くと、人間の五合五勺の数字だけ出ておつたのですが、牛、豚、鶏、兎等のものは糞尿であるかどうかということ、それから魚のはらわた、残飯等は一体汚物であるかどうかということ……。
  88. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 糞尿の中には人類の糞尿のほかに御指摘のような糞尿も含まれる、動物の糞尿も考えておる次第であります。なお魚のはらわた、或いは残飯の類はこの法律ではごみという表現で現わしております。従来は塵芥或いは厨芥という言葉を使いましたが、字もありませんので、ごみと称しております。
  89. 江田三郎

    ○江田三郎君 そういう兎の小便等に至るまで浄化槽でやろうということですか。
  90. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) これは都市の清掃が目的でございまして、従いまして若し都市の市内で豚でも飼つておるところがありますれば、それは別な処理方法をとります。ここの糞尿処理というものは、都市が各家庭から汲取つて系統的に処理する、それを考えておる次第であります。
  91. 江田三郎

    ○江田三郎君 牧場等は都市の真中でもたくさんあるわけですが、そうは考えておりませんか。
  92. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 私どもはこれは清掃地域を指定いたしますると、いろいろな制約或いは経費の負担等がかかりますので、できるだけ都市の清掃という小範囲で進みたいと考えております。従つて牧場がその地域内にあるということは稀だと存じておりますが、併し稀であつたとしても、仮にあればこの清掃法の規制は受けるわけでございます。
  93. 江田三郎

    ○江田三郎君 そういうことはあなた方今質問すれば答えるけれども、余り細かくは考えていないだろうと思うので、これから考えてもらえばいいのですが、もう一つ聞きたいのは、先ほど水の問題については利根川の根本的処理に関するような大計画まで出たので、非常に敬服をしておるのですが、これは一体現実にやるということなのか、遠大な理想なんであるのか、どちらであるか。
  94. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) これは先ほどもお断わりして、例えばということで申上げておいたのでありまして、私どものほうといたしましては、まだ具体化した問題ではなく、ただ部内におきまして、今後十年、二十年の先を見通して、どうしたらいいだろうかという研究課題で取上げておる問題でございます。
  95. 江田三郎

    ○江田三郎君 利根川だけでなしに、この法案が狙わんとするところは、現実にすぐやれることを考えておるのか、大変遠大な計画なのかということなで、例えば今の浄化槽について完全に下水道をやると何ぼ予算が要るとか言われましたが、浄化槽の場合には、今目標となつた地域にはどのくらいの金が要るのか、それをどうして出すのか、そういう計画は一体どうなのか。
  96. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 現在、将来五カ年先を見越しまして、現在の糞尿の処理の行詰りを現在の状況から予想いたしまして、五カ年先を見越しまして四十八都市で行詰りが来るものと、現在も来ておりますが、四十八都市、それらの糞尿を完全に処理いたす施設に要する費用は約六十億……。
  97. 江田三郎

    ○江田三郎君 さつき改良局長の言われたような、何やらを吹込んでどうとかするというようなことが、そんなことが四十八都市で六十億、そんなことでできるのですか。それからさつき言われた完全な下水処理というものは幾ら……。
  98. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 下水等を完全に実施いたします場合、都市面積の一五%を仮にとります。そういたしますと、都市面積の一五%というと該当人口二千七百万人になります。それだけに下水道を完備して行くには五千億の経費が必要であります。それからなお先ほど申しました六十億で四十数都市の問題が解決すると申しましたのは、これは農村で取りに来てくれるのは、これはそのままにしておくわけでございます。生で持つてつて、汲取つてつてくれるのは除きまして、やり場に困る糞尿を処理して農村に還元しなければならん、それに要する費用が六十億と申上げたのです。なお現在日量約十万人分の糞尿の完全処理に要する施設は約七千万円程度でございます。
  99. 江田三郎

    ○江田三郎君 取りに来る費用が六十億、今の説明はそうでしようか。消化槽を作つて、この改良局長の言うようなアンモニアを吹込んでどうとか、何とかいうことが、そういうことをするのに六十億でできる……。
  100. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) もう少しくお答え申上げたいと存じますが、現在は屎尿を汲取つてトラツクで運んで一つの槽に入れまして、それで約三十日間放置することによつて自然に水分と固形分に分れて参りますが、その施設を作るのに、人口約十万人の日量の屎尿を処理する能力のある施設を作るのに約七千万円かかるのでございます。次に現在五年先を見越しまして、困難の予想される都市は九十六都市、先ほどの四十八都市は九十六の誤まりであります。その対象人口は千二百万人分と考えられますが、これの屎尿を完全に処理するに要する経費が約六十億である、こういうことでございます。
  101. 江田三郎

    ○江田三郎君 私は誤解しておりましたが、よくわかりました。要するに今まで通り肥溜桶を持つてうろうろするということなんですね。それはやるということなんですね。
  102. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 先ほども申上げましたように、下水道で水洗便所から直ぐに終末処理場に流しますのが最も合理的でございますが、これは差当つてはなかなか実現が困難である。従つて従来通り汲取式によつて運びまして、そうしてその消化槽に持つて行く。その消化糖が将来下水道が完備した場合には、そのトラツク輸送を下水で輸送する方法に逐次切換えて行くので、無駄になるものではないということを申上げたのであります。なお汲取の方法は、これも長くなりますから省いたのでありますが、現在いろいろ研究いたしまして、今後は若干の補助費を支出いたしまして、真空式の汲取ということを始めております。これは真空タンクをトラツクに仕組みまして、それにホースを付けまして、ホースを便所の中に入れる、これはすでに川崎その他で実施をいたしておりますから、是非一つ御覧願いたいと思います。(笑声)
  103. 江田三郎

    ○江田三郎君 九十六都市にそんなことができるかね。
  104. 上林忠次

    ○上林忠次君 都市の汚物をうまく処理したい、困つておるというような状態の救済の方法でもあり、又その屎尿をうまく利用するという両方の案でありますが、元へ返しまして、大体屎尿を使つておるというのはむしろ我が国独得で、ほかではやつていない、不衛生だということから禁止しているというような状態ですが、日本の今の経済状態としては、この大きな屎尿を捨てるわけにはいかんと思いますが、将来衛生的な見地から何とかこれは使うまいというところまで行くべきじやないか、そうすると、今の都市の屎尿の処理ももつと安い方法で、あと使うとか何とかいうことでなしに、安い方法で何とか処理できないか、そこまでお考えなつたかどうか、その点を一つ御意見を伺いたい。
  105. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 現在最も安い方法として常識的に考えられます点は、海洋投棄であります。海へ捨ててしまうことでありますが、併しこれは決して安いものではなくて輸送費にかなりの経費もかかります。これは決して安いものではない。やはり一番安いものとしては、全体的に大きな立場からみますれば消化槽によつて消化してしまうことが、最も大きな目からみれば安いことになるわけですが、なお日本の将来といたしましては、肥料に使うかどうかということは、これは農林省ともかねて相談いたしておるのでありますが、やはり将来といえども肥料として日本においてはこの屎尿を使つて参りたい、ただその使い方は完全に処理した、腐熟させた、全く衛生的に処理したものを全国的に使いたい、こういう一つ方針でございます。
  106. 上林忠次

    ○上林忠次君 又小さい話になりますけれども、先ほどのデーターの〇・五%ですか、窒素質が残つておるというお話ですが、〇・五%、もつと私は残るのじやないかと思います。普通の水分を相当含んだそのままで〇・五%じやないかと思いまするが、若し〇・五%という少い成分ならば、わざわざ高い費用をかけて処理して、それを運搬するというのも非常に金がかかるのじやないか、そんなことならもつと簡単に処理して捨ててしまつて肥料肥料として製造する、それのほうがいいのじやないかと考えられますが。
  107. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 先ほど窒素が〇・五一%と申しましたのは、それは人糞尿のことでありまして、処理したものではございません。
  108. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) この屎尿というものは厄介なんでありまして、やたらに捨てたりなんかすることもできませんもので、やはりたとえ要らないといたしましても、何らか消化処理等をしなければこれは手に負えないものというふうに考えております。
  109. 東隆

    東隆君 私はこの問題は建設省と非常に関係があると思うのですが、都市計画と……。それで水道の問題一つ見ましても、建設省とそれから厚生省と大分揉んでおります、水道条例を中心にして……。それで私は屎尿の問題を解決するのには都心の中央部が積極的にタンクをこしらえて、そうして水洗式にして流す、これが一番だろうと思います。それで問題は都市計画との関連を十分に考えて、中央部における問題はそれで片付ける、周辺のものについては今お考えになつているような点に持つて行く。そうすれば周辺の農村と関連を持つし、いろいろな問題が解決つくと思う。その考え方をやらなければ、これは過去において名古屋も神戸も大抵のところは糞攻めにあつて苦い経験をしている。それから都市近郊の農村では汲取り問題を中心にして問題を起したところはたくさんあつたのですから、だからこの問題を解決するためには、私は一番大きな問題は建設省を中心にした都市計画の問題、それからこれに関連をして厚生省がどういうふうにこの間の線を作り出すか、この問題だろうと思う。それで農林省とそれから厚生省の関係だけは今日審議されたのですが、建設省との関連、それはどんなふうになつておりますか、それを特にお聞きしたい。
  110. 楠本正康

    政府委員(楠本正康君) 下水道、それから大規模水道のごときは、御指摘のように都市計画と密接な関連がありますので、現在共管の形になつているわけでございます。ただむしろこれが問題となつておりまする点は、共管的になつているために地方が非常にやりにくいという点で、もつと行政を簡素にしてくれという点がむしろ問題ではなかろうか、かように考えております。併し今のところはとし計画に関連ありという意味で共管の扱いをいたして書類の会議をいたしております。
  111. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  112. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 速記を始めて下さい。  それでは只今清掃法案につきましては、更に私の手許で申入案等を作成いたしまして御相談いたすことにいたします。   —————————————
  113. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) もう一つ御勉強願いたいのですが、農薬の件で質疑の要求がありますので、農業薬剤の件を議題にいたします。
  114. 河野謙三

    河野謙三君 私は今日は主として農薬、日本植物防疫協会のことについて伺いたいのですが、その前に一言、この前本委員会でパラチオン剤のことを少し伺つたのですが一口にパラチオン剤といつてもたくさんあるのですが、一体その中で効力というのは皆同じですか。それとも世間で非常によく普及されているホリドールというものが特に効力試験の結果がよくて、それ以外のものとの効力についての多少の差異があるのですか、これを伺いたい。
  115. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 今年度の成績はまだきつちりしたものはまとまつておらないように思いますが、大体ホリドールであるとか、チヨホスであるとか、フオスフアーノであるとか、大体似たようなものについてはそう差はないように私は聞いております。ただホリドールのほうが割合に早くから農家のかたに使われておりますので、農家のいわゆる安心感というか、何か名前が通つているというふうな点じやないか、こう考えられます。乳剤と粉剤については幾らかの差があるように大体考えられるような状態でございます。これは価格の関係もございます。
  116. 河野謙三

    河野謙三君 そういたしますと、パラチオン剤としてはホリドールその他のものも大体同じようなものだということですね。
  117. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 大体私の承知いたしておりまするところではそうでございます。
  118. 河野謙三

    河野謙三君 それを昨年、更に一昨年あたりパラチオン剤とホリドールが一番効くのだというふうな、又その他のパラチオン剤等はホリドールと比べて非常に効力において差異があるように農林省が指導されたのは、これは過去の過ちですか。
  119. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 恐らくそういうふうなことが、特に農林省が意識してやつたということはあるかどうか私も調べて見ないとわかりませんが、むしろやはり農家なり、県庁なりというふうなところから要求して来る数字が、ホリドールが割合に早くから使用されましたので安心感というか、名前が通つているという関係でそれが欲しいと、農民のほうにもそういう傾向があつたのではないかと、こう考えておりますが、特に差別するということは適当でないと思います。
  120. 河野謙三

    河野謙三君 これは塩見局長の問題でありませんので、私はあえて追及いたしませんけれども農林省が曽つてそういうふうな非常に片寄つた指導をしたことは事実であります。私は過去を責めませんが、将来とも一つ営利会社と結んで、そういう片寄つた指導なり、行政をやらないように厳に私に監督して頂きたいと、かように存じます。次に伺いたいのは植物防疫協会、これは手許に規約その他を頂きましたが、一体この役職員の中に農林省の現職の職員が入つておりますけれども、これは局長なり、大臣の許可を受けて行くべき私は性質のものだと思つておりますが、そういうような手続きをとつておりますか、同時にこれらの職員は待遇はどういうふうになつておりますか。
  121. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この理事の中に数名農林省の職員が入つておりまするが、これはすべて大臣の承認を受けて手続きをとつておるのでございます。待遇というのは勿論無報酬でございまして、無報酬前提でなければ、こういうのはなかなか簡単に承認は出すことができない。こういうように考えております。
  122. 河野謙三

    河野謙三君 大臣の承認を得ておるとすれば、大臣は誰のときですか。大臣はそういうことを同意したのですね。
  123. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 設立されましたのが昨年の四月でございまするので、承認を受けた時期はそれからそう遠くはないと思うのでございまするが、取調べてみませんと、誰のときかということはちよつと取調べてみないとはつきりといたしません。
  124. 河野謙三

    河野謙三君 理事も常務理事を全部農林省の職員によつて埋めております。御承知でありましようけれども、上遠というのですか、それから堀、河田、岩佐、この四人の常務理事がおりますが、これは農林省の職員であります。そのほかに常務理事がいない。こういう正式の機関に農林省の現職の職員を常勤の理事として全部埋めておるということは、大臣の許可のあつたことはよし悪しは別の議論にします。現改良局長の塩見さんとして、これは適当と思いますか。
  125. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 今常務理事は私手許に持つておらないのでございまするが、この公益社団法人の仕事自体が、まあ技術的に見てそういうふうな人がやつたらいいというふうな形で以て、防疫協会のほうで内部で以て議決された場合には、それはまあそれによつたんだろうと、こう考えまするが、その植物防疫協会のやつている仕事の内容如何によつて、そこは判定しないとわからない、こう存じまするので、そういう点から言つて、私も常務理事全部今の現職の人だということですが、ちよつと調べてみないとはつきりといたしませんが、まあその点については、内容が別に支障がなければ、それでもいいのじやないかというふうに思つておりますのですが、差当り……。
  126. 河野謙三

    河野謙三君 役員のほかに職員も鈴木、石塚、長谷川、北川というのがおります。この中にもやはり農林省の現職の職員がおるはずでありますが、それも差支えありませんか。
  127. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 現職の職員はいなくて、大体職員が五名おつたと思いまするが、男が三名で女が二名で、大体主として雑誌の編集、取りまとめをやつておるのですけれども、そのうち農林省をやめた人は主事一名だけだということを聞いておるのです。
  128. 河野謙三

    河野謙三君 だから私はこの防疫協会というのは、私の結論としてこういうものは必要ないと思う。もともとこれは役所が業界に圧力を加えて作らしたものです。はつきりしておる。農薬の普及のために下から盛上つた力でできたものではないということがはつきりしているのです。私は結論としてこういうものは不必要だと、こういう結論を出しているのですが、そこで一つ伺いたいのは、この規約の目的の中にはいろいろうまいこと書いてあります。書いてありますが、この中に農薬及び防除機具の受託及び斡旋、優良農薬及び優良防除機具の普及、こういうものはこれは改良局の仕事であります、農林省本来の仕事であります。若しくはこれは業界の仕事であります。それを何でこういうものを改良局がわざわざ、この仕事に消極的であつて、こういう機関を作つておる、而もあなたのほうの部下の人がこういうものを作らした。私は全くわからない。同時にもつと不明朗なことは、これらの農薬及び防除用機具の受託及び斡旋について、例えば西ケ原の試験場に依願検査をしてもらう。こういう場合に二万円若しくは三万円とる。誰がとるか。この協会がとるということがちやんと規約にできておる。私は従来から肥料関係しておりましたから、例えば肥料の例を申上げますならば、肥料の依頼検査というものは、塩見さんも御存じのように、こういうばかなことをしておりません。農林省なり県の試験場が、民間のいろいろな肥料の試験なり農薬の試験をしてもらうのに、わざわざ防疫協会という中間機関を使つてそれが頭をはねる。こういうようなことが一体いいとお思いになりますか。又これがなくてはあなたの改良局も農薬防除の仕事が遂行できないのですか。農薬の仕事がこれがなければできない。そこで止むを得ずこういうものを作つたんだ。こういう御説明なら何ですが、私はできないと思わない。これは本来の改良局の仕事であります。どうしてこういう屋上屋を重ねるようなことをあなたは必要とされるのですか、これを納得できるように御説明願いたいと思います。
  129. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 農薬防除機具の試験の受託という項目はあるのですけれども、ちよつと今しつかりした規約と照合して見ませんとわかりませんが、若し当初或いはそういうものが或いはあつたかもわかりませんが、その規定はその後改正されているらしいし、ちよつと調べてみなければわかりませんが、そういうような農薬防除機具とか、そういうようなものを売つたり買つたりすることの斡旋ということはやつておらんと思います。多分そういうものの試験の委託を受けてやつておる。こういう形だろうと思います。これの目的としまするところは、やはり農薬がいろいろ新らしいものができる。或いは防除機具であつて新らしい農薬にふさわしいものができるといつた場合に、それはそれぞれその機能自体としましては、それは農薬検査なり或いは農機具の検査というふうな形で政府のはうで実行はできるわけでございます。併しながら、それがどういう成分のものであるか、どういう構造のものであるかというふうなことではなくて、それを或る作物について利用した場合に、どれだけの実際植物防疫上の効果があるかというふうな、圃場試験等をやはりいたしませんと、それに対するはつきりした認定ができないというふうなことになりましてそういうふうな部分につきましては、かなり昔は個々の農薬会社が各県の試験場のほうにばらばらに個別的に頼んで行つていた。そういうふうな関係からして、或る場合にはやはり特殊な農薬会社と或る試験所というものが因縁が付くとか、どうとかいうふうな形で、宣伝が非常に不公正になるというような、そういうふうな問題が始終起るようなことがございまして、そういうふうな形ではやはり面白くない。で、これは県の試験場でございますが、そういう場合には、ばらばらでそういうふうな形をとつたのでは、どうも公共性というふうな点についてしつかりした自信が持ちにくいというふうな関係から、各県の試験場、圃場も相当の面積がございまするので、そういうところでそういう圃場の試験をやりまするには、やはりどこかでまとめて、これは数カ所でやる必要がある。或いはこれはかなりの広い面積について、その箇所も例えば青酸石灰のように、西日本の連絡試験をずつとやつて見る必要がある。それで各県の試験成績を総括して見た上で、これは奨励に移してもいいかどうかというようなところをやはり見る必要があるというふうな場合に、県の試験場のほうにその委託をしてそれを斡旋してやるというふうな形態を作つておるわけでございます。その予算等につきましては、過去においては農林省としては十分なものは持ちませんし、又その新らしい農薬等もどんどんできて来るに従いまして、必ずしも予算としては間に合わない、その都度新らしいものがかなり出て参りまするので、圃場の面積等もやはり余つておる県と、それから余つていない県とある、そういうところを照し合せて、又技術者につきましても、自分の県にはそういうふうな或る病気の専門家がおれば、成るべくそこのところでやらしてもらいたいということ、いろいろな関係がございまするので、そういう関係からして、これは防疫協会で以て試験場等々の取りまとめをやつて、それでばらばらに個々の農薬会社から委託されてやられるようなことがないように調整して行きたいというふうなのが、この植物防疫協会の設立の趣旨のようでございます。
  130. 河野謙三

    河野謙三君 あなたのおつしやることよくわかります。ばらばらに各県に持つて行かれちやいかんとか、数カ所に持つて行かれちやいかんとか、そういうことは、そうだからと言つて防疫協会へ持つて行かなくちやならんという理由にならないと思います。これはあなたの御判断で、そういう指導をさせればいいという、とどのつまりは試験所で試験をする、私はこのようにとれたのであります。こういう規定がある。それは試験に要する経費、基準の内規ということがある。その一として、大規模な室内試験は一件につき五千円、二として小規模な圃場試験一件につき二万乃至三万円、三、相当大規模な圃場(応用試験)及び防除機具等特殊な場合には必要な実費、註として、右の一件とは試験種類一種、一試験所の意である。こういうことをやつておるのですよ。一体こういうことをしていいのですか。それならば、私先ほど申上げたように、農薬がこれでなければうまく行かんなら肥料でもその必要がある。私はこれは農薬だけじやないと思います。動機は極めて簡単ですよ。これは農薬に非常に補助金が付いた。農薬担当の役人に非常な権利が付いた、農薬業界に君臨するような態度になつた、風潮が起つて来た。その結果こういうものを作つて来た、そうして金を出す、全購連から百万円をとつた、農薬工業会から幾らとる、そのほかにこの規約を見るとですね、賛助会員というのがある。今政界汚職で問題になつておるのは各政党の賛助会員の問題なんです。各政党の規約と同じようなことが書いてある、「本会ノ趣旨ニ賛同スル者」と、こう書いており、一口一万円とつておる、こういうことをやつて、そして常務理事があんたのほうの現職の役人であつて、農薬の補助金をとつて、そうして農薬に対しての活殺の権力を持つておる、この権力を持つておる人がこういう協会を作れと言えば作りますよ。賛助会員にならなければひどい目に遭うから賛助会員になりますよ。農業団体の全購連でさえ百万円をとられている。あなた御存じでしよう、こういうことをして一体いいのですか。これは決して農薬業者の負担じやない。これは間接的に全部農薬を消費するところの全国の農民の負担であります。誰も負担しやしない、私はその点で憎むべき行為だと思う。これは私は単にこの防疫協会に限りません。最近の一つのはやりであります。補助金がくつ付く、役人が威張る、補助金を振廻し、団体を作れ、協会を作れ、そうしてその費用を業者から寄付させよう。補助金から幾らかの負担金をとろう、私は塩見さん御迷惑でしようけれども、最近の風潮はあんたお認めになると思う、そこで私は先ずあなたの関係の防疫協会を即日あんたは解散さして下さい。若しそれだけの、命ずるだけのあんたに勇気がないならば、私は勇気付けるだけの材料を出します。散らほらいろいろな話を聞く、農薬課の役人が家を建てたとか、どうしたとか、こうしたとか、実に忌わしいのですよ。ですから私は転ばぬ先の杖で申上げる。私はどう考えてもこの防疫協会というものはよくないから、日本の植物防疫の行政に非常に支障を来たすとか、農薬の普及が非常にうまく行かないとか、そういうことではどうしても結論が出て来ない。今やつておるのは、こうやつて試験のぴんはねをやるのだ。雑誌を出しておるだけじやありませんか。一体雑誌はどこに出しておるのですか、雑誌の原稿料はどうなつておるのです。私は先ず会員から一体会費を幾らとつておるか、雑誌は何部刷つてどういうところへ配つておるか、その雑誌がどれだけ農薬の普及に貢献しておるか、こういう点を一つ伺いたい。同時にこの防疫協会についての扱い方についての私はあなたの決意を伺いたいと思います。
  131. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 若しその役人が理事に入つてつて、その地位を利用して強権を加えて、それで団体、会社等から寄附金を出さしておる、賛助会費を出さしておるというふうなやり方であれば、それは十分取締りをやらなければならないと思いまするが、その間の事情は私必ずしもそうはつきりと、そういう点についてのはつきりした話も、それから実情も聞いておらないわけでございます。この問題は、これは昭和二十一年に社団法人農薬協会として設立いたしまして、先ほど申上げたような農薬のメーカーから、ばらばらに各県の試験場に結び付かないようなふうな趣旨で作られたものでございまして、その後農薬統制株式会社というのが一方にございましたが、それが統制がなくなると同時に、潰れまして、それで農薬クラブというふうな形になつて、それを文化団体としての部分の仕事だけを吸収しまして、二十五年に吸収したというふうな形になつておるようでございます。それが昨年の四月一日に、農薬のメーカーはメーカーとしてやはり団体を作りたい、で、自由に活動をしたいというふうなので農薬工業会というふうなのができましたわけで、従前の文化団体としての仕事だけを作りまするところの社団法人植物防疫協会というものが、前にありました農薬協会と名前が変りましたが、大体それで発足したと、こういうふうな形になつておるようでありまして、趣旨はその当時とそう変つていないのではないかという、こういうふうに存ずるわけでございます。それから全購連のほうは調べますると五十万円でございます。それから農薬工業会のほうが百万円というふうなことになつてつて、今まで納まつておるのが五十万円だというふうなことでございまして、それで雑誌、機関紙の発行がやはり相当大きい仕事になつておりまして、職員は主としてそれに携わつておる。で、機関紙のほうは、これは私も毎月号全部見ておるというわけではございませんが、やはり昨年の夏あたりの青酸石灰等につきましては、これがたしか夏前に青酸石灰の各種の資料を取りまとめて雑誌として印刷しております。私も青酸石灰がいいということになれば、それは相当補助してもいいというふうなことで、はつきりした決断を付けましたのも……、そこで西日本の各県の連絡試験の成績が全部出ております。その資料によつて大体自信を得た、こういうふうな形でありましてまあそういうふうな印刷は役所に経費が十分あれば、それは役所でやつてもいいような仕事だとは思うのでございますが、そういうふうな自由な経費が比較的少いので、それでまあそういうふうな意味では植物防疫という雑誌が相当利用されているように見受けているわけでありまして、それの経費はやはり団体としては人件費として、それが何としてもやはり一番多いと、こういうことになつております。それから発行部数ははつきりと今つかんでおりませんが、大体通常会員が相当の数がありまして約五百名余りおります。それで雑誌は二千部印刷されておるそうでございます。それで通常会員としましては一カ年の会費が百円で、そのほかに雑誌代として月六十円、七百二十円と、計八百二十円を納めるというふうな形で、この雑誌を購読しておるというのが大体通常会員の会費の使用の主体になつておる、こういうふうに大体聞いております。
  132. 河野謙三

    河野謙三君 私が一番聞きたいのは、この防疫協会というものがなければ、あなたのほうの担当の植物防疫の業務は執行できませんか、よき結果を生むことはできませんか、私はそういう理窟はどうしてもないと思う。若しそうであれば役所の怠慢であると思う。今の雑誌の問題にしても、そういうデーターは、私は予算は苦しいでありましようけれども、改良局の予算でやるべきでありましよう。紐付きの業界から賛助会員とか、何とか、インチキな名前を付けて金をもらつて、そうしてそんなことでそういう仕事をやるべきではないと思う。役所本来の仕事ではありませんよ。特に私はあなたに申上げたいのは、あなたのようにすつきりした正義感の強いかただからあなたに言うのです。これは食糧庁にもあります。林野庁にもあります。この問題はあらゆる局にあります。この種の問題は私は次から次へこれからやります。やりますけれども、先ずあなたに私は信頼しまして、先ずこういうものをあなたからとつてもらいたい。それも私は非常に誤解で、これがなければ植物防疫の普及徹底ができないというだけの理由があるならば、これは別です。若し又仮にあるとすれば、今のような会員が一年に百円で、ろくにその金も納まつていないでしよう。会員が一年に百円で賛助会員が一万円とは何事です。そういうふうな主客顛倒したところの予算の組方というものはありませんよ。そういうところにそもそも初めから堕落しているのです。私はあえて言いますけれども、これは業界誰も賛成していません。これはあなたの耳には入りません、又あなたのほうの部下の、この防疫協会に関係している役人の耳には入りません。これはこわいから入らない。誰もこれは困つたものだ、迷惑千万だ、一日も早くやめてもらいたい、私は断言して言います。これは業界の声である。業界の声はさておいて、こういう団体によつて結局は農民が中間搾取されるのです。全部これは農民の購入する農薬の中にこの負担は入つている。私はそこに重点をおいてこの問題を特に論議したい。一体この協会はなくちやいかんか。その点はつきりしてもらいたいと思います。
  133. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) こういう雑誌等の編集を役所でやつておるものもありまするが、私の今までの経験では、やはりその仕事から言いますと、これはどうしても定員も要ります。一定の雑誌を編集するとなりますと、私も一、二カ月やつてみた経験もありまするが、どうしてもそれで印刷、校正その他そういう仕事、原稿を頼みに行つたり何かという点の事務等には相当などうしても人が要つて、そういうふうな仕事をやるのが役人で必ずしも適当な人がない場合が相当あつて、やはり民間の、そういう経験のある人間がそういう点で能力のある場合もございますので、雑誌等、この内容を役所でやれるかどうかというようなことは、やはり検討してみないとはつきりお答えがちよつとしにくいと思うのです。やはりそれをやりますとすれば、どうしても一定の定員がないと雑誌の編集というものはむずかしいかと考えられるわけでございます。それからその機関がないと困るかというふうなお話でございまするが、そういうふうな各種の委託研究が、その都度割合に自由にできるというような弾力性あるような予算の組み方と経費があれば、或る程度のことは私も役所でこういう試験のようなものはできないことはないと存じます。併しそれのほうの資料の取りまとめ、その他についても、或いはやはり人員的に申しますと、人が要るかもわからないという感じは持ちます。それは現在までかなり病虫害の発生予察の仕事をやつておりますが、それのデーターの集計整理というのは必ずしもできていないような状態でございまして、やはり職員の数が十分でないために、どうしてもそれの集計、整理で部外に委嘱してもらわないと、計算その他いろいろな仕事がやりにくいというような状態になつております。それで植物防疫については、具体的にもうちよつと人の点や、その他仕事の内容等を具体的に当つて検討しないと、これがなくなつた場合に、どれだけの仕事に穴があくかというような点については的確にはお答えできないわけですけれども、今のところではなくなりつ放しであつてそういう仕事を役所がどこかでやらないということになれば、やはり植物防疫の仕事から言うと、穴は相当あくのではないかというように考えられる状態でございます。
  134. 河野謙三

    河野謙三君 部外に委嘱しなければならんとおつしやいますけれども、先ほど申上げましたように、五人の常務理事が全部農林省の職員ですよ。それから事務は先ほどあなたがおつしやつたように、女の子をまじえて五人でしよう。これが十五人も二十人も、三十人もその道の経験者を持たなければできんというなら、これは私も考え直しますけれども、もともと陣容から言つたつて、その大幹部が全部農林省の職員、あなたの部下だ。若しくはあなたの部下でないまでも農林省の職員で、事務長は僅かに女の子もまじえて五人、何もスタツフもないじやないですか。問題はこういうものを作つて業界から寄附金をとろうということなんです。とつている。そこで一体試験の二万円なり、三万円の委託費、そういうものをあなたは妥当と思いますか。それから先ほどお尋ねしましたように、賛助会員というものを一万円を単位にして賛助会員から金をとつて、会員の会費は僅かに百円である。こういう構成が常識的に妥当公正な私は構成とは思いませんけれども、これに対しての私は御意見を伺いたいと思う。
  135. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) それは会員と賛助会員の関係は、賛助会員のほうが、これは団体を賛助会員とするような形になつておると思いますが、賛助会員のかたがやはりこの植物防疫協会の趣旨に賛意を表して、その事業をやつてもらうことが自分たちにも役に立つし、公益上非常に役に立つというような意味において自由に同意して出したものであれば、私はこういうふうな仕事としては差支えはないじやないかと、こういうふうに考えられるわけでございます。それから、その人のほうの点はおつしやる通りに数は非常に少いですけれども、やはり相当雑誌の編集ということでは、人の数はあれだけ毎月出しますとすれば、やはり相当の人は殆んどそれに取りかかつておるというようなことでございますが、要ると存じます。
  136. 河野謙三

    河野謙三君 試験費の二万円、三万円というのは妥当ですか。
  137. 江田三郎

    ○江田三郎君 それは誰がとるのですか。
  138. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) この植物防疫協会が斡旋をする場合にとるんだそうでございますが、それの支出のほうは、大体どこの試験場に頼むかというようないろいろ打合せをやる場合の委員会の経費、それから通信運搬費と、それからその他印刷物その他に要するような消耗品費、そういうふうなものとしてやはり一割何分かを協会のはうで必要な経費をとつておる、こういう話でございます。
  139. 河野謙三

    河野謙三君 余り突然な話でありますから、改良局長の立場もあるでしようから、私はここで白黒を付けようとは思いません。思いませんが、私は断じて退きません。この問題は徹底的に洗います。あなたの納得の行くまで……。併しあなたも十分この問題の真相を究められて、そうしてこの協会についてあなたの扱い方を善処して頂きたい、かように思いまして一応本日はこの問題は保留しておきます。
  140. 江田三郎

    ○江田三郎君 今の河野委員質問等々でまだわからん点がありますから、これはあとから資料をもらつてもいいんですが、今言われました五千円とか、二万円とか、三万円とかいう、そういう試験の手数料ですか、そのとつておる額、それからそれのための委員会等とか何とか、そういうことに使われたと言いますが、それはどのくらい出されたか、その内訳を一つ調べて出して頂きたい。それからそういう試験の委託、何と言いますのですか、手数料というのですか、そういうものはこの経費予算で行くとどこに当つておるのか、その支出は一体支出の科目のどこに当つておるのか。或いは雑収入という節があるかもわかりませんが、およそ一つの団体の経理というものの仮に雑収入とすれば、これは一割以上ですか、そんな大きな雑収入というのは経理のあり方としても合点が行かないのですが、そういう点、今日でなくていいから、あとで出して頂きたい。それから賛助会費等につきましては、予算額で行きますというと、三百五十万円となつてつたのが一月末現在では百三十五万円と十万円となつておりますが、その三百五十万円というものはどことどこから入るという予算であつたのか、それが実際に入つたのはどこであるのか。その手数料の経理の問題と、それから只今申しました賛助会費、特別会費の内容につきまして、これはあとでよろしいから資料を頂きたいと思います。
  141. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 承知いたしました。もとより収入支出のほうは雑収入及び雑費で大体出ておるようでありまするが、なお調べまして提出いたします。
  142. 江田三郎

    ○江田三郎君 雑費ということになると、ほかの雑費もあるわけで、これだけの雑費を使うということはなかろうと思うので、ほかのものもあると思います。やはり経理としては、そういうような委託手数料なら委託手数料というものが収入の部にあつて、そうしてそれの支出もそれに見合うようなのが私は普通だと思うので、そういうものが、これだけ見たんでは……、今河野委員から聞いてみてわかつた、そういうような手数料というようなものがとられておるということは、全くこれを見ただけでは気が付かない。又そういうことはあり得べからざることと思つておりました。今聞いて初めて驚くわけです。これはあとで資料をもらいます。
  143. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それではこの問題は、なお農業改良局長も更に実態をよく御調査を頂いて、又後日審議をいたしたいと思います。
  144. 佐藤清一郎

    佐藤清一郎君 特別会員として各都道府県の区域を地区として置くようになつておりますが、現在どういう状況に都道府県の特別会員がありますか、これを一つこの次に御報告願いたいと思います。
  145. 塩見友之助

    政府委員塩見友之助君) 承知いたしました。
  146. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) それでは本日はこれにて散会します。    午後四時三十五分散会