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1954-08-21 第19回国会 参議院 農林委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年八月二十一日(土曜日)    午前十時二十九分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     森 八三一君    理事            宮本 邦彦君            重政 庸徳君            江田 三郎君    委員            雨森 常夫君            佐藤清一郎君            関根 久藏君            横川 信夫君            飯島連次郎君            溝口 三郎君            河合 義一君            松永 義雄君            菊田 七平君            松浦 定義君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    大蔵省主計局主    計官      高木 文雄君    農林省農林経済    局金融課長   松岡  亮君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (稲作病害虫防除徹底に関する件)  (昭和二十八年産米価追加払いに関  する件)  (米穀の国内自給増強に関する件)  (凍霜害に関する件)   ―――――――――――――
  2. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは昨日に引続きまして只今から委員会を開きます。  先ず、稲作病虫害防除徹底に関する申入の件を議題にいたします。一昨日の委員会におきまして、稲作病虫害防除徹底に関しまして、緒方国務大臣保利農林大臣小笠原大蔵大臣申入れましたところ、本日農林大臣の御出席を得ましたので、右の申入に関する政府方針及び措置について報告を伺うことにいたします。なお、大蔵大臣にも出席を求めておつたのでありますが、渉外関係で御都合がつきかねるということでありますので、主計局事務当局に重ねて出席を求めておりますので、後刻出席があろうと存じます。なお、この際申入いたしました申入を念のため朗読いたしたいと思います。    稲作病害虫防除徹底に関する申入   全国的にいもち病及びめい虫等病害虫異常激発の兆甚だ顕著であつて憂慮に堪えない。よろしく政府は、七月三十日閣議決定をみたいもち害防除促進措置全国亘つていもち病及びめい虫等防除に拡大し、これが徹底を期せられたい。しかして右に関する政府方針及び措置を来る八月二十一日の当委員会出席の上報告せられたい。 右当委員会総意を以て申入れする。  こういうのでありました。なお、先月の委員会におきまして「いもち」病の異常発生に関しまする冷害中心としての対策が講ぜられ、その際「めい虫等につきましても、あの措置が当然援用せられるであろうという当局の御発言もあつたのでありますので、この際その後における経過申入に対する結果につきまして、情勢の御報告を頂きたいと思います。
  3. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 病虫害防除に関する当委員会申入に関しましては、全く私ども同様の考えを持つておりまして、先日も申上げましたように、冷害予想地域の「いもち」の異常発生を憂慮いたしまして、それに対しましては、七月三十日の閣議によつて承知のような措置をとることにいたしたわけであります。同時にその場合に特にこの西日本一帯における「めい」虫、害虫異常激発ということも十分予想せられる状況にございましたので、同様の極点によつて害虫防除に対しても同様な措置をして行くという考えを、決定とは参りませんけれども、大体閣議了解として、この冷害地域処置を講じまする場合の審議過程におきまして、同様のことを申添えて了解を得ておつたわけでございます。爾来まあ天候の推移、作況状況等考えまして、又病虫害発生状況に鑑みまして、やはり同様の措置をとることが極めて適切であるという私ども考えを以ちまして、折角事務当局聞において折衝をいたしておるわけでございます。とることは必ずとると思います。とり得ると私は確信をいたしておりますが、申入を受けました八月十九日附、たまたま副総理もおられず、大蔵大臣不在大蔵大臣は昨夜たしか帰つて来ていると思いますけれども、そういうわけで、二十一日という今日の委員会最終的に御報告をいたし得なかつたことは誠に恐縮に存じますけれども方針といたしましては、本の「めい」虫、虫害に対しましては、大体同様の措置を講じて参りたいと考えております。ただ事務当局間の折衝を開きますというと、これはまあいろいろ事務当局間の事情もあろうかと思いますが、かなり大蔵当局は、或いはその地域をどうするとか、或いはその補助率をどうするとかいうようなことで、事務的な文句をまあつけておるということで、やること自体については異議はないと考えております。併しなかなか二分の一を三分の一に負けろとか、地域をどうとかしろというのは、ちよつと理窮にならんようなことで大分農林当局が手こずつておるのじやないか。まあ折角事務当局間の誠意ある折衝によつて速かに片付くことを期待いたしております。それが片付かなければ又政治的な扱いをいたします。
  4. 森八三一

    委員長(森八三一君) 只今報告に対しまして御発言のかたは御発言頂きます。
  5. 江田三郎

    江田三郎君 この問題はもう余り大臣を相手に議論をする必要はないと思うのでして、私どもがかれこれ言う以上に、農林当局としてもその必要を十分認められておるわけなんです。幸いこの天候が持直しまして、平年作に近いような収樺予想されて来ましたことは、お互いにこれは同慶の至りですが、併し一方におきましては、黄変米問題等が出まして、米の需給関係というものは依然として困難が予想されるわけなんです。どういたしましても、たとえ一石でも、たとえ一斗でも文句のない日本米を増産して行かなければならんということは、最近特にそういう点が痛切に感じられるわけでれります。で、先だつて冷害地の問題について政府方針決定されましたのち、私どもが当委員会から西日本のほうに作況調査に出向きましたが、そのときにも至るところで聞かされるのは、冷害だけに対して措置をとつて西日本の二化めい虫その他について何もしないというのは手落ちじやないかということをやかましく言われたわけです。それはもうその通りでして、何も冷害ということが問題なんじやなしに、自然条件の異変のためにこの災害が異常発生した、これを防止するために、農薬を特別にたくさん使わなければならん。それが問題なんであるからして、冷害に伴うところの「いもち」であろうと、或いは今年の気象条件に伴つて異常発生したところの、或いは異常発生予想されるところの二化めい虫等についての対策というものも本質的には同じであるし、我々もそう思うし、又農林大臣としても只今もおつしやつたように、或る程度この問題については了解を得ておると、こう言われておるのだからして、決して諸君のことを言つておるわけではない。ただこれにはものの順序、時期というものがあつて、もう少し時間をかしてもらえば、必ず満足行くように解決がつけられるものと我々は確信しておると、こういう工合に各地で私ども農林委員として答えて来たわけです。その点、私は先般の委員会のときにも少しくどいような質問をいたしましたが、要するに、まあ最近の保利農林大臣の要領を得たような得ないようなやり方ですけれども、まあ何がなしの結論をつけて行くということについては、大いにその政治力信頼をしているわけです。だからあんまりとことんまでお聞きしなくても、大臣のほうで西日本についても当然援用されるものと思う、こう言われるのなら、それをこの際大いに農林大臣政治力信頼を寄せようという気持で参つたわけでありますし、今のお話を聞きましても、そういう考え方で、私ども間違つていない、大いに大臣信頼しておればいい、こう思うことは間違いないのですが、今もちよつとおつしやいましたように、何しろ事務当局というものは、ものの大きな線がわからないで、妙に大勢を考えない、或いは大きな計りごとを忘れて、小さく値切りさえすれば、それでこの緊縮予算の目的を達したような、とんでもない錯覚をしておるように思うのでして、そういうことが結果においては却つて逆になつて対策の時期を誤まつたがために、折角支出をした国費というものが有効適切に使われないというような慮れは、事務当局に任しておきますというと多分にあるわけでして、残念なことに、昨日の閣議において、これが大蔵大臣等不在のために最終決定が得られないとすれば、この次の閣議は二十四日でございましようが、三十四日には是非とも一つ結論をつけて頂きたい。その時期を失しますというと、全く何日のあやめとか、菖蒲とかということを言いますけれども折角決定が誠に効力の薄い、有効適切を欠いたことになるわけです。是非二十四日の閣議では、かねぞれ大臣の今日まで言明されたような方針によつて最後的な決定をして頂きたい、こう考えるわけですが、どうでございましよう。二十四日には結論がつけて頂けるでしようか、その点をお伺いします。
  6. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 二十四日と日を切られるということは、要するにまあ早くやれということだろうということに尽きるわけですから、二十四日という日のお約束は、私だけで約束してみましたところで、それはできません。御趣意はもう私どもと全然同様の立場からのお尋ねでございまして、そういう気持で事を急いでやりたいと思います。
  7. 江田三郎

    江田三郎君 まあ保利流に言いますと、そういうこと日を切つたような、切らんようなことで、流儀のようですが、近頃はマソデス・フランスのように、ちやんと国際問題も日を切つてやるという行き方もあるようです。これは一つ、まあ農林委員会としてもたびたび申入をしますけれども中入の濫発をしているわけじやないので、必ず必要だと思うことだけを中入をしているわけなんですから、而も今度の台風が直接的には大きな被害はなかつたとしても、これがために病虫害発生条件が加重されて来ている。この台風のあと、早急に手を打たなければならんという条件も加わつておりますので、或いは二十四日に又思わざる条件が出て来て、最終的な結論に達しないということがあるかも知れませんけれども、併し私どもとしましては、もう昨日の委員会最終的決定をしてもらわなければ時期を失するのじやないか、こう考えておりましたので、幸い今度の閣議には大蔵大臣或いは副総理出席予想されることでございますから、一つ二十四日には是非結論をつける、こういうお気持を持つてつて頂きたいということを重ねてお願いをいたします。
  8. 飯島連次郎

    飯島連次郎君  一、二蛇足を加えたいと思います。二十四日という日を切ることについて多少顕著しておられるようでありますが、我々の気持というのは、二十四日は恐らく最終期限だと私ども考えております。一日早くて二十三日にきめて頂けばなおいい。二十四日は最終期限ということで、全日本の食糧の焦点に立つておる農林当局としては、最善、最大努力をして、私の知る限りでは、幸いにして、「はいもち」は強い憂延がなかつたわけでありますけれども、併しその後の天候の回復の状況等から見て、例の「ほくびいもち」が相当強く憂延ずるであろうということを技術陣予想して、それに基いて、全県下農民農家に漏れなくこれが防除対策刷り物として配付されておるのが、東京に近い関大近県実情なんです。そこまで技術的には努力し、十を廻し、農家自身もそれに対応し、或いは農協等組織を通じ、或いは改良普及等技術を動員してやつておるのが今日の状況なんでありますから、而も又出穂を間近に控えて、「ほくびいもち」を徹底的に防除するとすれば、やはり出穂直前水銀剤撒布、それから穂揃期を迎えて更に再び何様の薬剤撒布、これが技術的に見た欠くべからざる今後の「いもち」病に対する防除対策でありますから、これは釈迦に説法でありましようけれども、この二つを抜かれば、折角今日まで持直して来た病虫害被害による損害減少という問題が画竜点睛を欠くということになるわけでありまして、私は西日本の「めい虫害に対する拡大と同様に、更に「いもち」病についても一番大きな減収の癌になるのは例の「はくびいもち」でありますから、この機会に折角大きな期待をかけてこれに臨みつつあるそういつた農家組織地方自治体等を挙げての期待信頼に応えて頂くためにも、私は時期を失しては折角の親心が極めて効果が失墜するわけであります。この点は私は重ねて二十四日を最終期限にして、これが政府を挙げての決定を速かに全国に伝えて頂きたい、こう強く要望をしておきます。
  9. 松浦定義

    松浦定義君 私ちよつと出席が遅れましたので、いろいろ御意見が出たと思いますが、今のお話を聞きますと、二十四日の閣議でなければ大体今、例えば農林省考えておるような問題についても、その決定はむずかしいと、こういうようなお考えのように承わるのですが、当農林委員会としても、先般一班、二班と出まして、いろいろ地方の事情等調査したわけですが、その後の天候も非常に楽観的な空気か現在いろんな面から伝わつておるのですが、どうもこの頃の天候というのは、私どもが見ましても決して正常なものではない。すでに九州附近では相当水害その他のものが出て来ると思えば、北海道は依然として低温が続いておる、この附近にいたしましても、昨日と今日といつたように、非常に天候心配されるわけですが、従つて当初から農林省としては、本年の作況については、決してまあいい見通しではないという立場に立つていろいろ努力されておりますので、末端農民にしましても、参つて聞いてみますと、農林省け非常に積極的にやつてつてくれるのだという非常に甘い考え方を持つておると同時に、それに自信を得まして、防除等につきましてはあらゆろ努力を尽して事前にそれを実施しておる、従つてそのことにつきましても、結果前には先般の閣議決定された点については或る程度自信を持つておりますけれども、その地域内におけるこれから発生し、又現在発生しつつあるものについては、まだその方針がきまつていないというので、今いろいろ問題になつておるのですが、そういうことで今度の閣議農林省としては無論当初のお気持で以て貫かれると思うのですが、従来からの方針で行きますと、大蔵省がなかなかうんと言わない。先般の委員会でもそういう点で非常にむずかしい而がありましたけれども大臣誠心誠意な御努力によつて、一応三億何がしというものが見通しが付いたのですが、それでは当然本年の完全な防除は期し得られないという線でいろいろ問題になつておりますので、当委員会としても、この線を、或る程度政府がはつきりした方針を立ててもらわなければ、今年の今後におきまする供出とか、或いは又今問題になつておりまする米価決定等につきましても、農民が納得するというようなことにはならないと、こう私どもとしては考えておりますから、無論従来の方針として、農林省としては極力農民の味方というような立場で御努力になつておることはわかりますけれども、最近どうも大蔵省は特に予算の範囲内というような点で縛ろうとしておりまするので、農民が今年の米価或いは又供出の点についてどうなるだろう、作況のことよりもむしろ一歩前進して、そのことを心配をしておるようなことでありますから、この作況についての、すでに大きな支障になる病虫害防除等につきましては、やはりこれは政府は積極的な手を打つてもらわなければならん。私どもが見た目から判じましたところでは、そういうふうに感じておるわけでありますから、是非一つ……。この点につきましては、それぞれの委員からお話があつたと思うのですが、既定方針通りどうしても押してもらいたい。若しそれがどうしても二十四日に押せないということになりまして、今、飯鳥委員お話になりましたように、ただそのときの閣議決定を速かに報告するという程度では、その内容について責任を持たんということでは我々は困るのでありますから、若し二十四日に農林大臣の意図に反するような閣議決定が行われるとするならば、我々委員会といたしましても、すぐその次を受けて何らかの処置に出なければならんというような決意は、一昨々日からの委員会の中にも相当強く出ておりますから、こういう点を大いに参考にされまして最大一つ努力をして頂きたい、こういうふうに特に私からもお願いをしておきたいと思います。
  10. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 飯島さんからのお話もありましたが、二十四日までにどうでもこうでも持つて来い、きめてしまえということであれば、私どもが満足し得るかどうか、なかなかこれは今日の段階ではまだそう言い切れませんから、私は先ほど申上げたようなことを言つておるわけです。内容はどうあろうと、二十四日までにとにかくきめてしまえということであれば、それは又きめ方はどうでもあります。併し問題は要するに病虫害防除に如何に適切な施策をとるかということにかかつておるわけでございまして、或いは無論その適期を外せば意味のないことになりますから、そういうことは十分心得ておるつもりであります。なお単に私だけが心配しているだけでなく、自由党の政調会でも非常に心配をして頂いておりますが、これらの御協力、御努力を仰いで、一つ成るべく早く見通しをつけたいと考えております。
  11. 森八三一

    委員長(森八三一君) この際、当然御考慮を願つておると思いますが、先月三十日の大臣の御発言と、本日その後における格別な御努力経過の御報告を拝承いたしておりますると、今後とられるであろう防虫害対策が、西日本中心とする「めい」虫がその全部であるというような印象を、これは私の感じが間違つておるかも知れませんが、受けるのであります。飯高委員からも御発言がありましたように、先般の対策によつて「はいもち」につきましては時期を失せざる施策が行われましたので、心配されておつたような情勢を解消することができたように考えるのでありますが、最近における各地実情は一番惨害を極める「ほくびいもち」の発生が非常に憂慮されており、而も相当多発が予測せられておるというような現況でもありますので、今後とられるであろう対策は当然に「めい虫」の問題と、今信上げました「ほくびいもち」に関する対策とが併せ取上げられるものというように我々は理解もいたしまするし、そうでなければならんと思いますが、これに関しまする御方針、更にこの五号台風によりまして、台風そのものの直接的な被害は極めて軽微でありました。これは誠に喜ぶべき事実でございましたが、このことに基因いたしまして、「しらがれ」病が相当多発をするであろうということも、これ又常識的に技術人予想をしておるところでございますので、これ又この台風関係からいたしまして、「しらがれ」病の予防対策も急速に講じなければならんことでございますので、これも又併せて対策のうちに取上げて頂かなければならんと思いま御考究中とは存じますが、以上申上げましたかねがね御言明を頂いておる「めい」虫の問題に、「ほくびいもち」、「しらがれ病等を取上げた全面的な病虫害防除という対策が取進められるものというふうに理解してよろしいのかどうか、その点が一つ。それからくどいようでございますが、時期を失しましては、お話がありましたように折角対策もその効果が非常に薄くなるわけでありますので、時期を失しないように対策の確定を頂きたい、それは飯島委員発言のように、遅くともこの二十四日を最終考えて頂かねばならん、幸いに二十四日には閣議も持たれますので、その結果がどうなるかは別にして、大臣としましては二十四日の閣議の問題にこれを提起して、でき得る限りその結論を十分な条件においてつけたいという努力をして頂けるものと理解をしてよろしいのか、どうか。以上二点につきまして非常にくどいようでございますが、重ねてお伺いいたします。
  12. 保利茂

    国務大臣保利茂君) くどいようですが、お答えいたします。二十四日云云ということは、事務的に今話をしておりますから、話がつけば二十四日にいたします。それができない場合にはどうするかということは、そのときになつて考えたいと思います。それからもともと病虫害に関する農薬の問題につきましては、先般の委員会からの御審議過程においてもよく御承知を頂いておるわけでありますが、ともかく政府部内における意見が必ずしも一つの方向に向いていないというところに、私ども農林当局としては非常に困難を感じておるわけであります。併しながら、実際の起りました、或いは「いもち」にしましても、虫害にいたしましても、成る地域には非常に保護が手厚く加えられ、成る地域には保護が加えられないというような処置は、これはどうしても是正されなければならん。そういう上から、只今の御趣意なにつきましては、私どものほうとしてはできるだけ御趣意の線に沿つて努力をいたして行きたい、かように思つております。
  13. 森八三一

    委員長(森八三一君) 他に御発言がございませんければ、本件の今後の取扱いにつきまして、どういうように進行を促進して行きますか、勿論大臣発言通りでありまして、関係の各省もあり、政府の全体的な、総合的な財政上の関係もありますので、日限を限つて、或いは条件をきめてというようなわけに参りませんことは勿論でありますが、と申上げまして、徒らに折衝のために日を送つて行くということでは、折角対策もその効果が非常に減殺せられる、時間に関係することでもありますので、その結果がどうなるかは別にいたしまして、二十四日の閣議には是非ともこのことを議に上せて頂きまして、その結論を御報告を頂き、その結論如何によつて、更にその後の委員会としての対策を御協議頂くというような措置にいたしまするべきか、大臣の今日までの誠意のある御努力期待して、今後の取進めはそのことを見守つておるということにいたしまするべきか、その辺はどう判断をいたしたらよろしいのか、御意見がございましたら一つ……。
  14. 重政庸徳

    重政庸徳君 これはもう継々申上げませんが、結局時期の問題になるのでありまして、我々は折角この三日間に亘つてこの問題を討議して参つたのでありますが、二十四日の閣議報告を承わつて、そうして然る後、その報告によつて適当な処置を講ずる、こういうようにいたしたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 森八三一

    委員長(森八三一君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  16. 森八三一

    委員長(森八三一君) 速記を始めて下さい。  先刻来各委員から農林大臣に、本年の異常な天候に伴う病虫害多発が予測せられまして、憂慮せられておる情勢に鑑みまして、早急にこれが防除対策をとらなければならんということに関しまして、本委員会における総意申入中心に質疑が行われて参つたのであります。農林当局におきましては、極めて重要なことであり、早急にこれが解決をしたいという熱感ある努力を継続されておるのでありますが、財政的な関係等において、まだ最終的結論を得ておらないということでありました。このことは非常に遺憾に存じまするのでありますが、事務的に農林大蔵当局聞において折衝が続けられておるということでありまするのでありますので、この際、本件に関しまして大蔵省事務当局としてどういうような心がまえでおられまするのか、その辺可能な最大限度情心を承わりたいと思います。
  17. 高木文雄

    説明員高木文雄君) お答えいたします。今朝ほど大臣とも相談いたしましたのですが、大臣所用がございまして、今東京を離れておりますので、末輩で申訳ございませんが、私お話を承わりに参りました。今、委員長からお話のございました点につきましてお答えいたします。先ほど農林大臣からお話がございましたように、問題は私どものほうと農林省のほうと、農薬補助についての考え方に根本的な点で若干の食い違いがあるということをちよつとお触れになりましたが、その点につきましての私ども考え方は、何遍も本年度の当初の予算審議の際におきまして、或いは補助金整理の委員会の席上を以ちまして、大蔵省考え方を申上げておりますので、あえて繰返して申上げる必要はないかも知れませんが、なお念のために申上げますと、私どもといたしましては、農薬の散布が植物、つまり植物防除の事業が病虫害防除のために極めて有効であるということについて何らの疑念も持つておりません。ただその場合に、最近数カ年に亘りまして補助金を支出して参つたのでありますが、そのときの気持といたしましては、農薬の散布か共同作業を要する、個人の散布を以てしては工合が悪いので、共同防除をしなければならんのじやないか、更に散布の時期、又散布の方法等も、誰にでもできるというのではないので、相当いろいろな要領がむずかしいということでありましたので、これらのことが農民のかたがたに習熟されるに至りますまでは、相当必ずしも農薬を散布したから直ちに期待だけの効果が挙るかどうかわからないじやないか、場合によつては時期を失して、必ずしも所期の効果が挙げ得ないという場合もあるのじやないかということが主張されまして、数年間に亘りまして、つまり大いに防除事業を奨励し、教育的効果を期したいという点で補助金が出されたのだと私どもは解しておつたのであります。そこで今年度の予算の編成の際に当りまして、これもすでに数カ年継続され、幸いにしていろいろな普及事業等によりまして、それが米麦の生産上極めて重要であることが認識されて参りましたので、我々といたしましては、現在の段階においてはもうそういう奨励的な段階を過ぎておるのじやないか、現在の段階から言えば肥料の生産に必要な部分を農薬が占めておるのであつて、現在ではむしろ奨励的な意味というよりは、多分に生産費を補助するという恰好になるのじやないか。勿論一方では米価が統制されておりますという将殊の事情がございますので、その点を考え合せなければならんのでございますが、そういうことも考慮いたしました上で、生産費補助は現在では今の予算ではあらゆる所管のあらゆる行政につきまして原則としては認めておりません。特殊なものはございます。特殊なものはございますが、原則としてございませんので、農薬はそういう段階になつておるのじやないかという考え方であつたわけでございます。そこでその際に、但し非常に異常な状態が発生した場合にはお前たちはどうするつもりだ、又農林省のほうからも、その場合はどうしてくれるというお話もありましたが、非常に著しく異常な状態が発生いたしまして農家経済を著しく圧迫する、農薬代を十分に米価麦価に織込むことが実際問題としてはなかなか、一般的にはできますかも知れませんが、特定農家についてだけ農薬を散布した分だけ米価を高くするということはできないわけでありますから、著しく異常である場合には何か考えなくちやいがんだろうということは、そのときから考えておつたわけであります。そこで先般東北地方で著しい冷害に襲われる危険がある、特に七月頃の情勢におきましては、今年度の冷害は昨年の冷害にまさる冷害であつて昭和九年、十六年の冷害をはるかに越える危険があるというお話でございました。そこでそういう場合には、先の予算の当初に考えましたところに従いまして、これは見なくちやいかんのじやないかということで先の決定になつた次第であります。その後農林省から毎日見えまして、今私どもお話を承わつておるのでございますが、今回の御趣旨は、今年の「いもち」なり、「めい」虫なりは、最近数カ年に比べて極めて異常であるということで、冷害地域だけの問題じやないのだというふうに承わつております。そこで若干現在議論しております焦点の一つは、防除対策の当初の考え方に若干の食い違いがあるところから出て来るわけでありますが、当時の防除対策冷害なるが故にやつたのか、或いはそうではなくて病虫作防除対策として、冷害とは全然関係なく、必要だから先の措置をとつたのかということで多少考え方に違いがあるわけでございます。そこでもう一つの点は、問題は異常という状態をどういう状態から異常というかということでございます。そこで過去数カ年の例を農林省から提示されまして、今その点を検討いたしておりますが、「いもち」につきましては、確かに昨年度も、又本年度も過去数カ年の例に徹しまして、今の予察によりますところの面積は約三倍に達するということで、「めい」虫につきましては、これは多少「いもち」の場合と事情が異なりまして、昭和二十四年以来、今日に至るまで年々発生面積が増加しております。この年々発生面積の増加しております事情は私どもにはよくわかりませんおですが、昭和二十四年に比べますと、二十五年が大体八割増、二十六年、二十七年は大体二十四年に比べて倍、昨年は三倍半、今年も又その程度ということであります。そこで一体異常というのはどういう程度から考えたらいいのかというようなことについて、只今いろいろ議論をしておる次第でございます。勿論農薬によりますところの病虫害防除が、米麦の生産上極めて重要であることは私ども考えておりますが、ただやはり当初一番冒頭に申上げましたような考え方からして、どの程度に見るべきか、どの程度のものから見るべきかということについての意見がまとまつていないという状況でございます。只今委員会の御審議状況を承わつておりましたが、勿論お話のように、適期にやらなければ意味がないのでございますから、その点につきましては重ねて検討の上然るべくいたしたいと思つております。
  18. 江田三郎

    江田三郎君 今大蔵省側のお考えを聞かしてもらつたのですが、農薬補助金が奨励的な段階は過ぎて生産費の補助になるとか何とかいうような、そういう問題はこれは議論をすればいろいろありますけれども、これはこの前の冷害に伴う「いもち」病の対策決定されたときに問題はもうそこを通り過ぎていると思います。そういう議論はいろいろあるけれども、やはり異常発生については特別の措置をとらなければならん、こういう一つの原則が立つたわけでして、今おつしやつたお話の中の前のほうの部分は、私はもう問題は解決しておると思うのです。ただ、今のお話を聞きますというと、先般の七月三十一日の閣議決定というものが、これが冷害なるが故に補助金を出したのか、或いは病虫害異常発生というもので補助金を出したのか、そこが議論が分れておるという話でありましたが、これはもう強いて理窟を言えばそういうような理窟が付くかも知れませんけれども、要するに理窟に過ぎないのでありまして、若し冷害なるが故に、何か冷害を受けた農家に対して特別な助成或いは補助をして行かなければならんということになると、ただこれは農薬の問題だけでなしに、問題はたくさんあると思うのです。たまたま農薬補助金というものが問題に出て来たというのは、冷零なるが故にということでなしに、自然条件の異変のために病虫害異常発生をした。そうしてこの異常発生を防ぐためには、或いは異常発生被害を軽減するためには特別に農薬をたくさん使わなければならん。而もその農薬をたくさん使つて見たところで、現在の米価決定というものがパリティ方式で行く以上は、そういうような部分を米価によつて救済する措置がないというところから対策がとられたのだということは、これは屁理窟を、言えば幾らでもありますけれども、常職的に誰でもがそういうような考え方で受取つていると思うのです。それでそういう見地から行きますというと、病虫害というものが異常発生しておれば、これが冷害に基くものであろうと何であろうと、同じような措置を講じなければならんということはきまりきつたことでございまして、特に本年の西日本におけるところの今まで発生したところの「めい」虫なり、今後予想されるところの「めい」虫その他の被害というものは、やはり大きな意味で本年の気象が常態でない、異常である。気象異変ということが一番大きな根本原因になつているわけでして、何かあなたのお話を聞いておりますというと、近年「めい」虫被害というものは漸増している、どういうわけかわからんというようにおつしやいましたが、何かそこをずつと聞いておりますというと、私どもがあまり大蔵省というものに私どもというよりも、主として日本の農民大蔵省にいじめられ過ぎるからかどうか知りませんが、何か最近の年々「めい虫等被害が殖えるのをあなた方のほうで率直に受取られないで、そこに実情以上の何かがプラスしているのじやないかというようなことを言外に匂わされておるように私には受取られたんでして、その点は私の受取り方が間違つてつたら幸いなんですけれども、残念ながら最近の大蔵省農民に対する、或いは日本の農業に対する方針をずつと見ておりますというと、そういうひがみさえも起つて来るわけです。先般の委員会のときにも、大蔵政務次官がこの席へ来られて、自分は北陸を廻つたが、北陸で一部の人は病虫害被害をかれこれ言つてつたけれども、自分の会つた農家は大したことはないと言つてつた、こういうようなことを育つておられる。併しその後統計調査部から一昨日出た資料によりますというと、やはり北陸においても相当被害面積があつたわけで、先般の決定というものが北陸のさような病虫害異常発生を、被害を軽減するためには、誠に有効な措置つたということが現われて来た統計調査報告を見てもはつきりわかるわけですが、そういうことも何か大蔵政務次官は大したことはないのだ。篤農家に聞いてみると大したことはないのだ。何か農村の指導者と称せられる一部の連中が騒ぎ過ぎているのだ。或いは大蔵政務次官は言われませんけれども、ほかの方面から病虫害補助金なんというものはそこで使われないで妙な方向に使われているのだ。一部の政治ボスや農村ボスが何かしているのだと、こういうことをちよちよい聞かされている。我々としては誠に心外に堪えないわけです。本年の西日本における病虫害が、これが異常であるかどうかということも議論があると、こうおつしやいますけれども、少くとも昨年の病虫害が異常であつたということは、これは大蔵省としても文句がないと思う。昨年は一体異常であつたのかなかつたのか。異常でないと言われるなら又聞きますけれども、若し昨年の病虫害発生が異常であつたとするなら、昨年よりも一化期における「めい」虫が八万町歩も被害面積が多い。二化期の発生予察を見ると、昨年の異常発生よりも更に十万町歩も多い、こういうことがやはりその道の専門家によつて出ているわけなんです。それを異常埴生であるとかないとかいうのは、私はもう何を根拠にして言われるのか、若し強いてあなた方のほうに根拠があるとするならば、只今私が申しましたような、何か病虫害なんというものは、農村ボスと言われるような諸君の空騒ぎのようにあなた方は強いてこじつけようとしておられるんじやないかと思うのでして、若しあなた方のほうが、そういう農林当局の専門的な見解が間違つておるというのなら、それなら大蔵省はどういう手足を持つておるか知りませんけれども、はつきりそのことをここで立証してもらいたいと思います。要するに先だつて決定というものは、冷害に対する補助ではなくして、自然条件の異変に伴つて現われたところの病虫害異常発生に対する補助金なんです。そこから行きますというと、これが西日本にも援用されるというのは当然のことでありまして、一つの気象異変のために現われた問題について、片方では国が補助をする、片方ではしない、そんなばかげたことはないわけです。私は今のあなたのおつしやることを聞いておつて大蔵省考え方が一向にわからない。差当り今私が申しました点について、大蔵省の見解をもう少しはつきりして頂きたいと思うのです。それに基きまして更にお聞きします。
  19. 高木文雄

    説明員高木文雄君) お答えいたします。只今の御質問の中で、一つ農薬防除費の予算が予定通り予想した通り使われていない。そこで一部のまあボスと言われましたが、そのボスに使われておるんじやないかということから偏見を持つておるんじやないかというようなお話でございましたが、その点につきましては、先の会計検査院の調査その他におきまして、必ずしも全部がうまく使われていないという指摘もございました。併しながら、それは何分多数のことではございますし、非常に広範囲のことでございますから、そういうものもそれはあり得るでありましようけれども、それだからといつて、それが故に農薬補助を出すとか出さんとかそういうことに関係する問題ではないと考えております。ただそういう補助が出されましたところの目的に最も副うように使われることを期待するのは勿論のことでございますが、それがうまく使われていないということだけの理由を以て、それをもうあとは出さんとか、そういうことには考えておりません。それから昨年農薬補助をしたじやないか、その農薬補助は、それは異常発生したから出したのじやないかという御質問でございますが、その点については、昨年度につきましては勿論異常発生異常発生と言うかどうか問題でありますが、とにかく過去の数カ年よりは多く発生したということのほかに、御存じの通り昨年は六月以来、ここ数年来見ない西日本水害、十三号台風その他陸続として台風に襲われまして非常に被害を受けたわけでございます。加えて著しい冷害があつたということであつたのでございまして、私どもといたしましては、特にこれは冷害或いは水害の対策である、或いはこれを病虫害対策であると分けて問題を考えてはおりませんでしたけれども、昨年度は事実病虫害発生しましたけれども、その病虫害と同時に水害があつたのでれりまして、それを去年異常発生であつたから出したのか、或いは風水害であつたから出したのかというふうに割切ることは実際問題としてはできないんじやないかと思います。それから冷害対策としてこの前やつたのか、或いは病虫害防除対策としてやつたのかという御質問に対しましては、私どもといたしましては、冷害対策としてやつたのであるというふうにお答えできるし思います。その理由はと申しますのは、当時すでに「いもち」の発生面積というものはかなり全国的に憂慮されておつたのでございまして、その場合に私どもといたしましては、ただ予算を少くしたい、財政上金がないから予算を少くしたいというだけではなくて、当初に申上げましたような、これはいろいろ考え方があると思ういすが、私どもといたしましては、やはり生産費補助は原則としてはやめなくちやならんじやないかという考え方に立つておりますので、そこで冷害を負つたんでございますが、東北、北陸におきましては、昨年度も冷害でひどい目に分つておる、そしてかなり農家経済は切迫しておる、一部にはいろいろな批評はございますけれども、事実やられた農家相当ひどい目に会つておるのでございますから、それが又やられる非常な危険のある状態になつた、これはいかんじやないかというのが直接この前私どもが賛成いたしました理由でございます。で、勿論これは私のほうの大臣なりが政治的にどういうふうに考えたかは別でございますが。我々下のはうの事務屋といたしましては、そういう考えでやつておりますということを申上げておきたいと思います。
  20. 江田三郎

    江田三郎君 今年の七月三十一日の決定が、冷害だから出したのか、そうでなかつたかということについて、あなた方事務当局では、冷害だから冷害に対するところの補助金だと、こういう気持でやられたと言われますけれども、私はやつぱりそういうような大きな問題というものは、これは事務当局方針決定されるということではないんじやないかと思うのでして、やはりこれは大臣考え方結論付けてもらわんというと、国の政策の大きな問題が、大臣の言われることと、それから事務当局の言われることが別々であつた場合には、これは何としたところで、我々として事務当局方針が政治的見解としては正しいのだということは言えんと思うのです。事務当局というのは、大臣のほうで政治的な方針決定されて、それを事務的に執行して行くということじやなかろうかと、まあ常識的に考えるわけでして、少くとも本年の七月三十一日の決定に至る過程におきましては、農林大臣の御説明によりますというと、異常発生については別個の特別な措置をとるんだ、そういうことを大蔵大臣と話合が付いているのだと、こういうことをはつきりおつしやつているわけです。私は農林大臣が嘘を言つておられるとは思わない。それからその七月三十一日の決定をされたときの閣議においても、将来西日本その他におきまして病虫害異常発生すれば、この七月三十一日の決定を援用して行くんだという閣議了解ができているということを言われているわけです。そういう基本的な方向が閣議できまつておる。一大臣の言明でなしに、関係大臣の話合なり閣議できまつておるのを、それを事務当月が全然別個な、何を根拠にするのか知りませんけれども、全然別個な建前で物を処理して行かれるというのは、これは政治として非常に混乱して来ると思うのです。どうもそういう点は私はまあ最近痛切にずるのでして、デフレ予算外ということになつて来て、予算の大枠というものを堅持して行くという方針がきよりましてから、特に大蔵省のりこれは大臣考え方結論付けても越えた仕事をなさつているのではなかろうか。勢いそうなつて来ますというと、官僚フアツシヨというような問題も出て来ましようし、政治として正しい姿でなくなつて参ります。勿論事務当局のほうで、今の吉田政府というものが、これが国民から総スヵンを食つているんだ、だからしようなしに異常の措置として事務当局が政治的な措置もやつて行くんだというように、そこまではつきり割切つて行かれるなら別問題です。そうでなければ、どうも事務と政治とはどうなのかということがまるでこんがらがつてしまうと思うのです。そういう点について一体事務当局はどういう心がまえでやられるのかということを承わりたいのと、もう一つは、昨年異常発生であつたから出したかどうかということを私は言つているのじやない。昨年が異常発生であるということは、これは恐らくあなた方も異存はないでしようと言つている。過去の統計から見て昨年の病虫害異常発生ということは別に御異論がないでしよう。その昨年の発生面積と今年のすでに発生した面積、或いは二化めい虫として予察に現われておる面積というものは、それぞれ八万町歩なり十万町歩を超える、昨年の数字を更に八万、十万と超えるような数字が出ておるわけなんだから、これは少くとも異常発生については特別な措置をとるんだという大蔵農林大臣の話合なり、七月三十一日の閣議了解事項から行くというと、当然ここできつばりとした措置を付けなければならん問題じやなかろうか、若し本年が異常発生ではないとあなた方がおつしやるのなら、どういう根拠で異常発生でないと言われるのか、それを立証して頂きたいと、こう言つているわけです。
  21. 高木文雄

    説明員高木文雄君) お答えいたします。只今大蔵省の役人がどういう気持で仕事をしておるかということでございますが、これは私どもといたしましては、勿論大臣の手足でございますので、大臣の言われることに従つて、勿論我々の意見は申しますが大臣の言われることに従つてつておるのでございまして、私どもがそれをどうこうするということはないと思います。なお、今の異常発生の状態が起りました場合には、先の閣議決定を当然にほかの地区へ及ぼすのだという両大臣の話合があるということは、私残念ながら今聞いておりませんので、これはよく帰つて確かめてみたいと思います。それから次に、去年のが異常発生であると思うかどうかということでございますが、これはつまり別に何年度に比べて何%殖えたらどうなるということは、現在までのところはまだ確立した原則的な常職的な計算方法ができていないのじやないか。例えば米の生産高が平年作に比べて何%であるかという場合の平年作と申しますのは、これは一定の計算方式がございまして、過去二十年でございましたかの趣勢値等から出します計算方式があるわけでございます。ところが病虫害のような場合にはまだ、これは一つには非常に歴史も浅いことでございましようし、それからまだいろいろな気象条件病虫害発生条件との相関関係が必ずしも十分研究されておらないせいかわかりませんが、とにかく現在これを以て平年発生面積とするということはないのじやなかろうか。そこで今意常であるかないかと申しましても、それは何%から異常と呼ぶかという約束がない以上、まあ非常にむずかしいわけでございまして、かなり面倒な問題で、主観的と言いますか、多少そういうことで動く虞れがあるわけであります。そこで先ほど申しましたのは、その異常とか、異常でないとかということを言いますれば、過去数カ年に比べてどのくらいの、確かに予算の当初におきまして著しく病虫害発生して、どうにもならないという事態があつたときにどうするかというお話がございましたが、そういうことが起つたら、それは何とかせざるを得ないということを、私どもの局長なりが予算委員会において申しておると思います。が、その場合、それをどの程度からやるかということまでは必ずしも今までお話をしておりませんし、又お互いに話をして来なかつたものでございますから、どの程度からやるかということは、なお検討を要するのじやないかというふうに考えております。そこで昨年度につきましても、こういう議論をやつたことがなかつたのでありますから、昨年度はどのくらいのところから異常と認めるか、去年出すか出さんかということは、昨年は何しろ御存じの通りのえらい災害でありまして、一も二もなくやつたわけでありまして、そこで昨年度どういうふうにし、どういうふりな考え方に基いて異常と認めて出すかということにつきましては、残念なから昨年はそういう考え方をとつてつたということを申上げるよりほかないと思います。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 今日は涼しいからいいですけれども、まあ夏分の議論としてはどうかしていると思うのでありまして、米の平年作をきめるような方式が災害についてはないから、異常であるか、ないかはわからんというような、そんなつまらん議論はやめてもらいたいと思います。大体米の平年作にしても、シグマとか、へつたくれとか、何とかいうのは素人わかりのしない話なのです。事務当局は何か妙に変なところにこだわるのでありまして、異常発生という言葉は、日本国中、あなた方は使われんかも知れませんけれども、農業関係では常識的に使つているのです。異常発生というのは何かというと、大体過去数年間の平均を上廻つたものが異常発生であるということが常職的に使われている。学問的な定義、そんな災害の発生面積に学問的な定義というものがありましようか。そんなものがないときは常識で行くのはさまつているのです。そこで昨年の発生面積は、昨年に先立つ過去数カ年よりも異常な面積が多かつた、今年はそれよりも多い、異常発生の学問的定義や公式があろうと、なかろうと、これは平年作でないということだけははつきりしておる。そしてそれは相当過去の数字から見るというと、飛び離れた面積の増加というものが出ているわけなんです。これをそういうことに一々こだわつて、そうして一日遅れ、三日遅れでやつて、最後にあなた方は何か出すでしよう。出し方もけちな出し方をするでしようけれども、そのときには間に合わないのです。米の収獲が減つたらどうするか、又外米を入れて、黄変米の騒ぎをして、国費を無駄にしてしまわなければならんのです。私はこの前のときにも、原さんか何かお出でになつたとき申上げましたけれども、どうもこのような一刻を争う、適期を失つたら何にもならんという対策に当つて大蔵当局のやつておることをみるというと、誠に一文拒みの百失いというような、そういうことになりがちなように考えられるということを申しましたが、あなたの議論を聞いておるというと、誠に失礼ですけれども、私はやはりそういう気がするわけで、そういう議論ならもういい加減に打切つて、この両大臣の話合なり、閣議了解事項というものがあるんなら、それに基いて一日も早く、国民の税金を最後の一円に至るまで有効適切に使うために、米の足らんときに一石でもたくさんの米をとるために、速かに事務的な折衝結論に到達さすと、こういうことはできませんか。
  23. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 只今の御趣旨につきましては、よく局長、次長に伝えまして、一緒に相談いたしまして、御要望の通り、やるならば成るべく早くやるよう、御趣旨に従いたいと思います。
  24. 江田三郎

    江田三郎君 そういうときには局長或いは誰かに伝えるということだけれども、あなた万が農林省を手玉にとつているのだから、甚だよろしくないと思うのだよ。そういうときには、私の一存でもそのくらいはやつてみせると、性根はそういうことと思うのだから、そのくらいはやつてみななさいよ。
  25. 高木文雄

    説明員高木文雄君) どうも残念ながら大蔵省は古い役所でありまして、かなり封建的に上の言うことに従つてつておりますので……。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 従つてつていないじやないか。
  27. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ここで一存でやるということを申上げかねます。
  28. 松浦定義

    松浦定義君 今のは大蔵省の事務的段階の御意見だと、我々まあこういうふうに了解するより止むを得んと思うのでありますが、それにしても、先ほど農林大臣が言明され、我々委員会申入れして、二十四日の閣議是非実現してもらいたいという方針とは相当懸隔があると思うのです。無論事務的段階を経て政治的段階ということになれば、ちよつと我々が予想しないような処置が、賢明な保利農林大臣の手腕を以てすれば或いはできるかも知れんから、私は一概にはそれは否定はいたしませんが、少くとも三口に亘つて農林委員会を参議院でも開き、更に十一、十二日には衆議院のほうも農林委員会で同様の申入をしているように実は聞いておるわけなんです。そこで私は大蔵省の見解も聞きたいのですが、庫会が両院とも、少くとも農業政策の全面的な審議を担当しておる両院の農林委員会が満場一致で議決しましたそのことが、ただ申入とか、何とかいう、決議にならなければ、或いは申入にならなければ、弱いとか強いとかいうことでなしに実質問題として今食糧事情の窮迫したときに、昨年と今年も同様の事態が起きておる。処置としてそれに全力を尽せというような、こういう申入に対する両院の決定というものは、これは大蔵省としてはただ単なる申入としてやつてよろしいものかどうか、これは私はその点一回聞いて、次に二、三お聞きしたいと思う。
  29. 高木文雄

    説明員高木文雄君) お答えいたします。勿論両院のそれぞれの御担当のところで、これは非常に必要だとおつしやることにつきましては、政府の一員といたしまして御趣旨尊重と言いますか、非常に考えておるところでありまして、その点についてはこれははつきり申上げられると思うのです。
  30. 松浦定義

    松浦定義君 それは誰が答弁されてもその程度のことは……、それを若し否定されるならば問題だと思うのです。そこで今年のように非常にいろいろ食糧事情が逼迫し、更に又今問題になつておりますように、若しこれが不測の事態が起るような作況状況になつた場合には当然輸入をせなければならん。そうした場合に起る黄変米等のああいう処置が、今ですらこうした問題になつておるわけです。これが若しそういうような最悪な事態が起きたときを予想したら、政府としてはこの委員会申入をするとか、何とかいうことでなしに、もう委員会を飛び越えて、末端農民気持に即するような処置が私は当然あるべきだと思う。そこで昨年は約二十億内外の予算を計上されて、これが冷害だとか、或いは病虫害異常発生だとかいつたようなその見解は別として、本年の予算は当初予算から二億七百万円ですか、七千万円ですか、その程度しかないので、これじやどうにもならんというので、お互い委員会としては極力善処されるように要望しておるのですが、こういう事態に我々現政府の農業政策というものが本当の末端農民の意思に副うような政策が行われておるか、或いは又日本の食糧事情を本当に責任を以て解決するというような方針を以てやつておるかということについていろいろ疑惑を持たざるを得ない、こういう結果になると思うのです。そこで私は若しこれがただ休会中の農林委員会でありますから、これは農林委員会にきまつたことじやないと思うのです。どの委員会でもそうだと思いますが、休会中に行われる委員会というものは非常に私は軽視されておる。特に農林委員会というものは、全く明日の日の国民の食生活に影響する問題でありますし、場合によれば政府自体の大きな私は責任問題にもなると思う。こういうことでありますから、この申入というものが、先ほど大蔵省事務当局から、話のように、ただこの意見についてはもう全面的に尊重したいという考えでなく、私ども申入趣意よりも、実際に行われるということを希望しておるのでありまして、若しこれが逆に開会中でありますならば、こんな容易なことでは問題は解決するものじやないと思うのです。従つて若し農林委員会がこういう予算的な措置を必要とするものを要求した場合には直ちに、若し大蔵省が単独でできない場合には、予算委員会を召集してでもこれは私はやつてよろしいと思います。そんなことをしなくても、政府の権限を以てして当然行い得るというような方法が当然あると思いますので、これは大蔵省として、どうしてもこの二十四日の閣議には、農林省の要求するそういう農業政策の一環として要するものは、ただ財布の口を締めておる大蔵省考え方だけでこれを律するということは、これは国会としては非常に不満足なんです。若しそういうことがあるならば、やはりこれは正々堂々と臨時国会でも開いて、そうしてそこで以て多数の意見がこうあつても、なお政府の見解として止むを得んというならこれは別でありますが、この休会中に起きた事態を両院の国会が代表してやつたものを、尊重はするけれども、実質的には何らその効果がないというような、そういう機構の下で日本のいろいろな政策を行うということは非常に私は遺憾だと思うので、先ほどからも御意見がありましように、二十四日と断定することは非常に農林大臣としては責任か重過ぎるいうお気持はわかりますけれども、我々としては、もう二十四日でも速いぐらいでありまするからこそ、こうした大委員会を開いて要求しておるわけですから、まあ大蔵省としても、只今お話では局長に相談しなければならん問題もありましようし、或いは又大臣にお答え願う点もあると思いますが、我々の意図としては、やはりどうしても現在両院の要求しておる程度のものは少くとも直ちに実現してもらいたい、こういう強い希望を持つておるわけであります。特に若し臨時国会が例えば十一月に延びるといたしましても、その間における今回の処置というものが、我々両院のこの委員会の要求或いは又希望通りに行かなかつた場合に起るいろいろな問題としては、当然又そのときに政府としては責任を負つて、いろいろ善処して頂かなければならん点があると思いますから、そういう事態も考えて、今から一つ十分その処置をとつてもらいたい、特に大蔵省としては、今申上げましたような点で、一つ農林省が当面のそういう仕事をやつておるにもかかわらず、その内部まで入つていろいろ農林省がやつておることにけちをつけるというような考え方では、我々農林委員会としては、どうしても納得できないという点があらゆる面に現われて参りますから、こういう点はよく一つ今後事務的折衝をする場合におきましても、両省の事務関係者としては十分意を尽して一つ話合をしてもらつて、できるだけ大臣の意思に副つて問題の解決を急速にやつてもらうように、一つ今後とも善処して頂きたいということを私は特にお願いを申上げておく次第であります。
  31. 森八三一

    委員長(森八三一君) そうしますると、只今議題になつております稲作病害虫防除徹底に関する件につきましては、保利農林大臣から、すでに先月三十日の閣議における模様のお話もあり、その後の情勢に鑑みまして、急速にこれが対策決定をいたしたいという非常な熱意を持つて努力をされておるという事情もよくわかりましたのであり、大蔵当局におきましても、両院の委員会における決定については、十分その趣旨に副うように努力をすべきであるというような見解の表明もありましたので、事務当局間における折衡を速かに完結せられまして、二十四日の閣議には両事務当局折衝が妥結をみまして、最終案が案件として付議されるように努力をされたい。而してその結論を二十四日の日には報告をして頂くように義処を頂きたいという希望を申上げ、二十四日の日に更に委員会を開きまして、いずれに決しますか、そのことは保利大臣お話通りでありまして、ここで明確にするわけには参りませんが、いずれにいたしましても、その結論を聴取するということにいたしましてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 森八三一

    委員長(森八三一君) それではさように取計らいまして、本件につきましては、特に農林大臣にかねがね御努力を願つておりまして、その御誠意は十分我々も了承いたしておりますが、更に一つ二十四日には結論が得られますように御尽力を頂きたいということを重ねてお願い申上げます。   ―――――――――――――
  33. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に昭和に十八年産米価格追加払に関する申入の件を議題といたします。これ又一昨日の委員会におきまして、昭和二十八年産米価格追加払に関して、緒方国務大臣保利農林大臣及び小笠原大蔵大臣申入れましたが、本日農林大臣及び大蔵事務当局の御出席を得ましたのもで、右の申入に対する政府方針及び措置について御説明を伺いたいと存じます。一昨日当委員会におきまして決しました申入は、御了承を頂いておると思いますが、念のため朗読をいたしますれば、    昭和二十八年産米価格追加払に関する申入   昭和二十八年産米価格の追加払は既定公知の方針であるから、この方針に則り、且つ、去る六月二十九日米価審議会の答申を尊重して、昭和二十九年産米価格等の問題と切離して、速急実施せられたい。   しかして、これが支払額及び支払時期等を来る八月二十一日の当委員 会の出席の上報出品せられたい。   右当委員会総意を以て申入れする。  というのであります。問題は極めて重要なことでありますし昭和二十九年産米の供出を目睫に控えまして、本件がどう決定されまするかということは、極めて密接重大な関係のあることであり、早急に決定を要することであると思いますので、御方針をこの際承わりたいと存ずるのであります。
  34. 保利茂

    国務大臣保利茂君) どうも、農薬の問題、バツク・ペイの問題、何日までにせよ、何日までに片附けろという御鞭縫を受けて非常に恐縮をいたしております。これは二十八年産米の取扱方につきましては、二十八年産米の価格を決定いたしまする場合に、政府方針決定いたしておるわけでございますから、それを事務的にどう処理いたすべきかということについていろいろ検討いたしておるわけでございます。私どもとしては別に取上げて実は問題とすべき性質のものではない。ただ併し決定せられた方針を実施するにつきまして、実際技術的に事務的に検討いたすべきところが多々あるように考えられますので、その点につきましては、食糧庁当局大蔵当局との間に話合をしておると思いますけれども、現在の考え方としましては、これもまあ同じようなことを申して甚だ恐縮ですけれども、できるだけ早い機会に実施いたすようにいたしたいと考えております。
  35. 森八三一

    委員長(森八三一君) 本件につきましては、今主務当局として農林大臣から、既定のことであるので速かな機会に実施の取運びにいたしたいという御発言がございましたので、大臣の御発言が具体的に結果せられますように期待をして善処を頂くということにいたしましてよろしうございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 森八三一

    委員長(森八三一君) それではさようにいたします。本件につきましては特に格別の御努力を頂きまして、昭和二十九年産米の供出にいい影響が現われまするように、早急に決定頂きますることを重ねて希望いたします。   ―――――――――――――
  37. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、米穀の国内自給増強に関する申入の件を議題といたします。  最近問題となつております黄変米問題に関連して、当委員会におきましては事態を憂慮して政府の善処を促すため、米穀自給増強に対して政府申入れることになりました。申入は、    米穀の国内自給増強に関する申入   近時輿論を沸騰させている黄変米の問題は、我が国及び我が国民の悲惨な不幸である。   そもそも、かかる不幸は国民が需要する米穀を国内生産を以て賄うことができないため、歳々巨額の外米を輸入しなければならないところに由来するのであつて黄変米の不幸を脱却するための抜本的措置は米難の円内自給増強によらなければならない。   よろしく政府は、今回の黄変米問題を契機として心構えを新たにし、断固たる決意を以て米穀の国内自給増強施策を確立し、これを強力且つ計画(継続)的に敢行し、食生活改善普及と相待つて外米の輸入防湿に努め、以て禍を転じて福とせられたい。   右に対する政府方針及び措置を次回の当委員会報告せられたい。   右当委員会総意を以て甲入れする。  政府におかれましては、以上の申入の実現を図られますよう強く要望いたしまするのであります。で、申入れにもごぜいまするように、事極めて重要なことであり、各方両からの十分な検討の上に立たなければならんことでもありますので、次の委員会政府方針を御明示頂きたいというのであります。  この際本件に関しまして、農林大臣出席でございますので、具体的な問題或いは御意見等について御発言を願いまして、案をまとめて頂くために農林大臣に希望或いは要請をせられるようなこともあろうかと思いますので、本件に関しまして御発言がありますれば、この際御発言を項きたいと思います。
  38. 溝口三郎

    ○溝口三郎君 米穀の国内自給増強に関する申入につきまして、農林大臣の御所見を伺うと同時に要望をいたしたいと考えております。  黄変米の問題につきましては、先頃来各方面で議論されておりまして、十一万トンの黄変米のストツクの一掃を図るために、新らしく二・五%の基準をこしらえて配給しようとしたところが、国民殆んど総体として配給の中止を要望している。衆参両院の厚生委員会においても配給中止をすべきだという決議をしておりますし、衆議院の農林委員会においても一定基準以上の配給に絶対すべきでない、そのためには米の配給日数も減少しても止むを得ないと同時に、将来においては外米の漸減に対応して麦の増産をすべきである。面して麦の増産をするためには、差当り本年作の麦価の引下げになつたのを価格を改訂をして増産をすべきだというような決裁も衆議院においてせられておるようでございます。差当りの問題といたしまして、黄変米の混人した外米の配給については、農林大臣も二・五%の新基準ぎりぎりでは配給はしないのだ、てきるだけ混合率は引下げて国民の納得するような点で配給したいということは明言されておるようでございますが、端境期になつて、ぎりぎりになつても絶対に有毒米を配給しないのだということは割切つては明言をしていられないようでございまして、今朝の新聞等でも、まだ各所に疑わしい米が配給されたとか、しないとかいうようなことも出ておりまして、その町の問題も解決はされていないようでございますが、速かに政府としては、絶対に国民には有毒米は配給しないのだという明言をはつきりなさつて、国民の食生活に安心を与えるようにして頂きたいということは是非お願いをいたしたいと思います。将来の問題につきまし、現在までに外米に依存している分量が毎年百十万トンから百五十万トンであつたのでございますが、従来黄変米は肉眼判定をして一%以上のものは輸入はしないことにしていたんです。というのが、昨年の夏以来白い黄変米があるので、それは現地では判定することができない、ということは入港以後、培養試験をして二、三カ月経た後でないと白い黄変米は判定はできない。将来輸入する場合にも、先般来質問いたしましても的確に輸出する現地で白い黄変米の検査をするような方法は今以て見当らない、而もビルマ米等についてはすでに三年間の買付の契約もあつて、毒の入つておるのを承知の上で輸入をしなければいかんような情勢になつておるように伺つたのでございます。各方面におきましても、黄変米の混人した外米はこれは絶対に輸入をしてもらつては困るのだ、その後外米が輸入されなくなつた場合にどうするかという処置について、衆議院の農林委員会においても、これは麦の増産をすべきである、そしてそれは価格を引上げてやつたらいいというような決議もあるようでございますし、黄変米と関連はありますが、外米の輸入問題で食糧問題の協議会におきましても、内外米を引つくるめて十五日の配給ということにこだわらずに、将来は不作やその他の事情があつた場合も外米は一定限度に止めて、その不足分はアメリカの輸入農産物等で補つて行くというように答申をされているようでございます。農林省の新らしい方策のようなものは新聞でも十八日発表になつていましたがそれと同じような方向で行かれるようでございます。私どもそういう全般的の動きを見ますと、外米の依存はでざるだけ脱却をして行きたい、而もその代替になるものは、安い小麦等を輸入してやつて行くというような線が非常に多いのでございまして、外米が漸次なくなるにつれて麦食に変つて行くんだということになると、その四、五年の先には内地米というものはもう十日以内になつてしまう、あとは粉食に転換できるかどうかという問題があるのですが、私どもといたしましては、内地でまだ米の増産の余地があるならば、それはできるだけやつて行くという体制をはつきりして、そして外米の輸入は、これは毒の入つたようなものは絶対に輸入はしないんだという固い決心をこの際する必要があると思うのでございます。食糧増産の五カ年計測が農林省では二十七年に立てられて、その前提としては毎年人口の増加と潰れ地の増加で約二百四、五十万石が必要になつて来るんだから、五カ年間で土地改良、開拓による食糧増産、耕地改善等によつて千三、四百万石の増産をしようという計画を立てたのでございますが、それ以来毎年予算は三分の一くらい、一年の増産数量は六十万石程度よりか現在は行つてないのでございます。農林省では今後においても食糧増産はするんだということは始終臨つておりますが、三十年度の予算においても、新聞等で見ますと、予算要求はやはり食糧増産五カ年計画の一年分の千二、三百億の要求をしている、本年度の三倍も要求をしているようでございますが、そういうのが果してそのまま受入れられるかどうかは非常に私は疑問だと思う。食糧増産の前提として、農林省で今やつていることは、毎年の人口増加と潰れ地の増加で二百四、五十万石が不足するんだから、それだけをカバーしたいというのが前提で、食糧増産の五カ年計画を立てて、それさえも三分の一程度よりか予算決定にならないのでございます。その当時におきましても、外米はすでに百二、三十万トンを輸入していたんだが、それは持続をして行くような計算でやつていた。ところが最近になつて、外米の中にはこれは黄変米があるんだ、毒が入つているんだというようなことから外米依存は脱却したいという声はございますが、そこで私ま食糧庁の長官にお願いしているのですが、是非この際に食糧増加の目標をはつきり農林省は立てて、そして有毒米を混入した外米は、これは五カ年なら五カ年とかいう期限を切つて輸入を絶対にしないことに方針を立てる、外交問題とか、法律の問題は、これは一応農林省として食糧の上では有毒米を配給しないというような囲い決心で原案をこしらえて、その上で政府としての全体の貿易政策等も考えて頂きたいということを要望していたのでございますが、食糧増産の根本問題として、内地でできる米穀の増産というのは、外米依存の脱却と関連して必ずやつて行くべきだという具体的の措置を講じて頂きたいのが、この申入一つの根拠になつているのでございます。なお今まで非常に努力をされて、食糧増産については五カ年計画の目標通りには行きませんが、非常な努力をされていたのですが、私どもの要望したいのは、この増産になりました分を需給のベースの上に確実に増産の数量の或る一定の量は需給の、ベースに計上ができるように何らかの措置をとつて頂きたい。それについては現在までの補助金のほかに奨励金の政度等も入れて、例えば畑地洲淑をやると陸稲の増産というようなものは五カ年間に何方石の増産ができるか、そうしてこれは新たに陸稲の増産をやつて行くという場合に、予約売渡しと言いますか、そういう場合に補助金のほかにも、若しそこで増産の何%かを需給べースに確実に売渡す予約ができるなら、食管の会計から奨励金を出すということも一つ考え方としてできないものかどうか、十分に検討して頂きたいと考えるのでございます。なお食糧増産の根本方策として、食糧問題の協議会においても、食糧問題として食糧の自給促進法案の制定のようなことも答申案の中に入つていたのでございます。食糧増産について、そういう法制の立案等についても当局として考えて頂く必要もあるかと思うのでございます。なお国内の米の増産については、只今のような方針で増産の一定の部分は需給ベースに確実に乗つて来るというような考え方是非根本にやつて頂きたい、それと同時に麦の増産についても価格の問題等は衆議院でも決議しておりましたが、二毛作の拡充等について、これは電力料金等に奨励金を出すというような方法をやれば、まだ麦の増産もやれる余地は非常に多いと思うのでございます。そういう点についても米穀の国内の自給増強と同時に関連して頂いて、要は外米の輸入を絶対に防止するのだという根本方針から一つ検討して頂いて、これは政府方針並びに措置を次回の当委員会報告せられたいという申入でございますが、農林省だけの考えでなくて、政府方針として方針をきめて頂いて、そうして当委員会に同時に具体的の措置についても大綱等について方向して頂きたいという要旨でございます。  以上、この申入についての説明をいたしたのでございますが、これに対して大臣の御所見を一応伺つてみたいと考える次第でございます。
  39. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今御説明を伺い、又政府考えを求められている点は、いわゆる我が国経済の位置から申せば根本の問題であると思つておるわけであります。従いまして、今日の段階において御満足の行く御説明は私は困難かと思いますが、御説明の順序に従いまして私ども考えを率直に申上げたいと思います。  近時、世上を騒がせておりますこの黄変米の問題、当局者として誠に恐縮をいたしておるわけでございますが、一両年前からこの黄変米の問題がやかましくなり、特にこの黄変米の払下処分の問題に関連して、会計検査院等の批難事項に掲げられるに及びまして、この問題が非常に大きく取上げられて来た。それは会計検査院の批難を打つまでもなく、確かに私どもとしても当局者として考えなければならない問題があつたわけであります。即ちこの変態的な国情、国勢の下に、而も非常な食糧下足、従つてどうしても外国食糧に多量に依存しなければならない、その輸入にいたしましても、占領下の変態的な状態の下において輸入が行われておる、独立早々におきましても同様のことが続けられておるのであります。無論この数年来の黄変米の問題は、やはり国際商品でありますから、日本だけが劣悪な条件で取引を甘受しておつたとは私は考えておりませんけれども、一般的な国際的取引のそのレベルにおいて黄変米の問題が発生したので、昨年ビルマとの協定或いはタイとの輸入協定等につきまして、大方変色一%以下のものでなければ日本ではどうも問題がある、従つて一%以上のものは日本としては買うわけに参らんというようなことから、無論これは外交機関、それから関係業者の非常な努力によりまして、爾後変色一%以上のものは殆んど入つて来ていないわけであります。ところが白色の米を培養実験をすると菌がやはり発見できる、それで白い米も油断がならんと、こういうことになつて、これは何も外国米を大量に輸入するようになつたから、そういうものが入つて来ておるという性質のものじやこれは無論ないと思います。仰せの通り、百五十万トンなどという外米の輸入は、黄変米の問題があるなしにかかわらず、日本の経済がもはや許さんと、私は昨年の凶作気構えに再会して、如何にして台所を預かる私どもとして台所を守るかということに非常に深刻な悩みをいたしました結果、私の考えでは、とにかくまあ外米が一般消費者から歓迎せられないということは、これは私も率直に認めるわけでございますけれども、さればとて、その配給日数を切落して、あとは麦なり何なりでおやり下さいということが、本当にこの大衆の台所で堪えられることであるかどうかということで、本来は大量輸入については、政府部内におきましても非常に異論があつたわけですけれども、外貨が減少して行くという大外からいたしまして、併し私としてはどうも大衆の台所を預かる立場からいたしますれば、外米はまずいから、割も悪いからということはわかりつつも、併しながら、それよりも又、だからといつてうどんやパンだけにすぐ切換えて行く用意が実はないのじやないか。少くとも国民経済上非常に大きな犠牲であるけれども、この一年間をとにかくいわゆる粉食への啓蒙時期として、切換える時期として食生活の改善についても努力を払いつつ、そしてできるだけこの外米に依存して行くという考えを生活自体の中から排除して行く考えでなければいかんのじやないかというように考えまして、かなり厖大な輸入食糧を入れたわけでございます。ところが白い米に有菌米がある、これはもう皆さんよく御承知でございますから繰返し申上げません。又私が申上げると如何にも弁解がましくなるから、成るべく申上げないようにと思つておりますけれども、私は非常に割切れない気持で実はおるわけなんであります。と申しますのは、ビルマやタイの米は日本が大部分買つているのかというと、必ずしもそうではない、南方製米は世界の各国にこれが流れて行つている、而もタイなり或いはビルマなりにしては、その国の国民生活を支えるところの主要な商品である。それが何らのトラブルなしに国際的に取引が行われておつて、それがいろいろその国際取引の基準以上の条件で日本は買つておる、それについても又文句をつけられる、こういうことに現在はなつているわけであります。恐らく今日あのビルマから来ておる特使等の口吻を焼いますのに、かなりの影響を与えておる、これは当然のことだと私は思います。それは日本の大事な輸出品に毒があるとか何とかになれば、これはお騒ぎになることは当然だと思います。それは別といたしまして、私の立場からいたしまして、これは何も、そういうことは国際的に取引が行われておるということは無害だからじやないかということは言いたいところですけれども、そう言えば科学を目秘することになるのでありますから、それは結局一件、毒性があるということは、これはもう否定できないことだと思います。それで食物として有害であるか、無事であるかということは、私どもとしてはそれもどちらとも申上げ得ないわけであります。申上げ得るものは、国の保健衛生を掌つておるところの食品衛生法の管理当局者であるわけであります。従いまして、どこまでが有害であるか無害であるか、どこまでが差支えないか、差支えがあるかということは、私は絶対にその保健衛生法の当局者の判断を信頼して行くほかは私どもとしてはございません。従いまして、最高二%半という一つの新らしい基準が出ております。出ておりますが、どんなに食糧事情が悪くなりましても、それ以上のものを配給するということは、これは断じてできない、それはいたすべきものでない、ただ併し二%半だからといつて三%半ぎり分れのものでもやるか、私ども気持としましては……、とにかく今は再描精の実験をいたしておるわけでございます。どこまでこの実験の結果を生かし得ますか、とにかく手段を尽すだけ尽しまして、できるだけその有菌率を、含有率を低めて、消費者にいささかの御懸念のない状態において配給いたすつもりでおりますけれども、併しこれとて、どうも食べ物のことでございますから、それを食べれば毒だ毒だと言つておれば、食べ物でございますからいろいろ騒ぎが出て来ます。押付けて行くというわけには無論参らないことでございますし、できるだけそういうつもりで……、幸いここ当分の間、今の問題になる米をどうこうしなくても、問題になつていないものが相当量ございますから、それを以て配給いたしつつ、同時に又厚生当局においても更に研究を速かに進められるということでございますし、かたがた消費者に御迷惑をかけるような配給はいたさないで十分やつて行ける、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから申入の御趣意でございますところの食糧増産の関係、米穀の国内自給増強ということでございますが、これは先ほどお話のように、麦についても増産意欲というものはより大きいのではないか、これは私どもそう思つております。余談でございますけれども、この間両総用水を見に行きましたが、あそこに一万八千町歩の受益面積が出ております。あそこは殆んど単作でございますが、それが一万八千町歩の受益面積が二毛作田に改田されることになりますれば、それだけでも相当すでに麦の増産、米の生産力が増すことは当然ながら麦の増産ということが図られるのであります。ただ私どもとしましては、できるだけ土地改良も推進して行きたい、未墾地の開発もいたしたい、或いは干拓もしたいというような土地条件を整備する、農地条件を整備するというところに五カ年計画の重点はあるわけでございますけれども、同町に整備された農地の上に立つての営農、農業経営がやはりこれにマッチして進歩しなければならんのではないか。そういう点においてはかなり具体的に進めもいたしているわけでございます。本音を申上げますれば、農林省内部で計画しておりますところの五カ年計画が予算と歩調が合つて行かない。而も我々は五カ年計画だと言つて五カ年計画で食糧増産はこうだ、予算は五カ年計画でなくて二十カ年計画ぐらいになつてしまつているということが実際の事情と言われます。併し、いずれにいたしましても土地改良なり或いは未墾地開発なりの農地条件を改善して行く余地があまりに多く残されている。そこでどこにどう、今ずつとばらまいたような形になつおりますが、併しそれもほんの一部にしかなつていない。非常に私が参りましてからも、お話を地方々々によつて伺いましても、かなり手を入れなければならないところが残されている、それを満たして行きますためには、一面国の経済の根本的建直しという大課題の上に立つて緊縮予算が強行せられている、ここで私どもとして、この農地条件の整備に要請せられるところの要請と、財政面の要請との板狭みに実はなつているわけであります。私どもとしましては、とにかく食糧事情が改善せられない限りは、何ぼ経済自立だと言つても私は砂上の楼閣ではないか、極端に言えばそういうふうにすら私自身は考えているわけであります。申入趣意は全く私も同様に、全面的にさように考えているわけであります。皆様の御協力も併せてお願いいたして、さようにいたして参りたいと思います。
  40. 江田三郎

    江田三郎君 今の申入中入でいいのですが、それに伴いまして、黄変米のことについて大臣のほうから説明がありましたが、黄変米が有毒であるかどうかということについては、これはまあいろいろ私どもではわからんことで、いろいろ説がある患う。併しここまで発展して来るというと、この黄変米の配給辞退とか拒否とかいうことが相当長く続くのではないかと思うわけでして、我々が見ておりますというと、ただ黄変米が持つている毒物の科学的な性質というものに基いたかれこれ言う議論よりも、むしろ最近の吉田内閣の、私から申しますというと数々の失政、吉田内閣に対する国民の反感、こういうものとこんがらかつて黄変米問題というものが取扱われているのじやなかろうか、こう思えるわけでして、そこで今後仮に厚生省のほうで何かの回答を出されたところで、その厚生省の回答というものを、それならば一般国民が率直に受入れるかどうかということについて、私は恐らく受入れないのじやなかろうか。厚生省のほうで何かの回答を出すだろう。恐らくそれと並行して各民間の科学者と言われる者或いはアマチユアにいたしましたところで、こういうものについて将来は独自に個人の立場でいろいろな研究をされるでしようし、そういうところから又或いは必要以上な混乱を起すような要素も出て来るのではなかろうか、そういう点を考えますというと、ただニカ月なり三カ月の厚生省の結論が出るまでとか、或いは厚生省の結論が出る出ないにかかわらず、一つの、これは悪い現葉で言えば問題の冷却期間を置くということでは解決つかないので、相当これは長く問題が残つて行く。そういうときに、それなら外米の輸入というものをなくし、或いは拒否をされるなら拒否をされて、内地米或いは麦食で置換えて行くかというと、これも絶対量からしてなかなかそう簡単に行く問題ではない。何かこういう点については、今の厚生省で試験研究をやつてもらつているということだけでなしに、もう一つ大きな手を打つ必要があるのではないか。例えばまあ幸いにビルマのウ・チヨウ・ニェンさんが来ている。こういうところの話合によつて現地の取引の方法を変えて、今後のものについては絶対に間違いないのだというような、ただ日本の政府の部内でかれこれやるだけでなしに、もう少し日本の政府がこういつては失礼ですけれども、あまり信用がないのですから、少し外へ拡げた対策を立てんとけりがつかんように私は思うのですが、さようなことを何かお考えになつておられませんか。
  41. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 何せ食べ物のことですから、大丈夫ただと言つても、いや、それは危いという気持が支配しておつたのではお話通りだと思います。ところがそういうことは、これは或る程度もう漫談みたいになるわけですけれども、ビキニの水爆の「まぐろ」というものは、これは業者が非常な多大の損害を受けた。と申しますのは、何かそれを食べたら大変なことだというような感じが全般に不安を呼び起した結果であると思うのであります。ところが最近は殆んどそういう状態がない。併し依然としてその漁獲物の中から何ほどかの廃棄処分を出しておるものは依然としてあるというようなことも、これはもう全然問題は別でありますが、お話のような点も多分にあると思います。私はもう心底にそういうふうな意図を持つて、又とにかくこの内閣のやることは皆悪いのだというふうなことで、それがまあこういうようなところにも多少宣伝の道具に用いられていることもそれはあろうかと思います。併し私は結局はこれは大衆の叡智が解決をする。併しその大衆の叡智を暗示するものはやはり国の権威ある研究の成果をみることであると思うわけです。厚生省の研究の結果と申しますけれども、厚生省はとにかく昨年の十二月から半年以上に亘つてこの研究をして、そうして七月末に至つて、こういうことで処分するならはまあ人体に支障はないという非常に大事をとつた結論を下しておるわけでございますけれども、併し世上のこれだけの騒ぎになつておることでありますから、現実的な研究も更に加えて参るというような方針をとつておるわけであります。国内的には一つどもとして消費者のためにも最善の努力を払うつもりでおりますけれども、これは幾ら払つても、今、江田さんのお話のように信用がなければこれは止むを得ないわけでありますから、ただこの取引方法の改善等によつて心配がなくなるという性質のものであれば、私はもう恐らくタイにいたしましても、ビルマにいたしましても、何と言つても先ほど申しまするように重要な物資、商品でありますから、それは大事な商品を売るほうはおいてもその御協力を得るということは、できるだけのことは私はしてくれるものと確信をいたします。又外交当局をしてその御協力をお願いをするつもりでおりますが、仮にまあ先ほど溝口さんのお話のように、外米をできるだけ一つほかのものに切換えても、外米を減らして行くという考えで私ども行かなければならん。その通り考えておるわけですが、実際の、それじや今日本が国策的に打ち出している東南アジアとの経済提携というのがお題目でなく、実際何によつてそれじや提携して行くか、南方から何を買つて来るのだということになれば、やはりタイとか、ビルマとかいうのは米だろうと思うのでございます。それでぎりぎりのつまりそういうところで日本に受けたいというぎりぎりのところがやはり六十万トンと言い、百九十万トンと言い、いわゆる協定の中に入つて来るという可能性のあるものはその程度はある。それじやその中から今のような厳密な実験培養をしなければわからんというようなものは入れないように、することができるかどうかということは、これは非常な、私ども素人の考えてはちよつとわからんと私は思うのであります。そこでそれを、それじや現地てまあ国立衛生試験所でやつているようなものをニカ月も三カ月もかかつてつて、そうしてそれにパスしたものを買つて来るというようなことが実際取引として行われるかどうかという点にも私としてはまだ割切れないものからるわけでございます。併し折角まあ今ビルマからお見えになつておりますし、昨日も外務大臣にもお話をしまして、とにかくどういう反響が出るか知らんけれども、日本として問題になつているのはこういうわけだから、こういう問題になつているわけで、従つてこれについてあなたのほうでも一つ御協力預けるだけは一つ御協力頂きたいということを篤とお話申上げるようにいたしておる。具体的に今どうということは……。
  42. 江田三郎

    江田三郎君 今おつしやる通りと思うのですが、まあ例えばここで食糧庁から出されたものを見ましても、黄変米か混人しているのがビルマやタイだけでなしに、或いはカリフオルニアのもあるし、イタリーのもあるし、或いは南米のペルーの分についてもある。こういうことになつておれば、これはやはり世界の米食をする人全体にとつての大きな問題であるわけなんです。そういう点、一方においては国内で厚生省でもいろいろ研究するということは必要でしよう。ただそれだけでなしに、私が望みたいのは、折角ビルマから来ておられれば、現地取引についていろいろまあ具体的にどうしたらいいか、私たちによくわかりませんけれども、そういう点について、もつと安心できるような措置をとつてもらうということも一つですし、それからビルマだけでなしに、かように南米でも北米でも、或いは欧洲の木についても黄変米があるのだということになるならば、一体食糧機構あたりでも、これは当然問題にしなければならないことであつて、そういうところからの協力も得て問題を軌道に乗せるということでないと、ただ厚生省で基準をやるということだけではとても解決がつかんだろうと思う。更にもう一つ、まあこういうように黄変米あたりが問題になつているときに、これは新聞だけですから、はつきりわかりませんけれども、自由党の政調会のほうでは、来年度あたりから米の自由販売をやるのだというようなことを打出しておられますが、そうすると、国民は一体どういう感じを受けるかということですね。自由販売をへるのだ、自由販売をしてもいいほど米があるのか、こういう問題になる。米が今の黄変米というのが問題になつているのに、恐らくこんなものはどんどん拒否して行くだろうし、併し片方においては自由販売という政策を政調会あたりで出して来られるというと、本当には米というものは何かゆとりがあるのだというような気分を打つて、そこで米について、麦については別円匙として、米についての国民の受取り方が非常に違つて来ると思うのです。これが非常に、日本の食糧政策というものはまだまだ非常に困難なんだ、お互いに食糧については文句もあるけれども、そこを辛棒して行かなければならんというような空気の中で問題を解決するのだ。自由販売できるのだ、そこまでゆとりがつき出したのだ、ゆとりがついたから自由販売というわけじやありますまいけれども、併しとにかく自由販売という掛け声が出る以上は、国民としては、ゆとりができたから自由販売になるのだと思うことは当然だ。そういうところで、この問題になつている黄変米の問題が解決つけられるのだというのでは、私は解決のつけ方が違うと思いますが、そんな点、まあこれは農林省としての方針じやないですから別問題でしようけれども、これは自由党の御批判として、どうも自由販売ということを今打出しているのは私は余り当を得ているものとは思わないですが、その点はどうお考えになつておりますか。
  43. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 昨日の新聞あたりに出ておりますことにつきましては私はまだ全然開いておりません。又自由党の最終的な意見もまとまつているというようにも聞いておりませんし、無論こういう問題はあると思います。今日食糧管理は、少くとも米については全面管理をする建前になつておる、然るにまあ昨年の収穫高が五千四百万石であつたにいたしましても、配給に廻し得る政府の集荷量というものは二千万石そこそこであり、而も大都市に廻つて来てこれを配給するのは一週間そこそこ、半分は外米でやつおる、いろいろな統計資料から見て、国民はそれじやどのくらい米を食べているかというと、それだけでは済んでいない、かなり多量なものが隠れている、それがそのどういうルートかでとにかく流通をいたしているというところに、而もその量がかなり多量に上つておる、全面管理どいう建前の中から裏へ流れているものが相当に出ておるというこの実際の実態に対して、そこで食糧管理の管理制度に対して批判が集中するゆえんだと私は考えております。又弱点もここにあると考えております。然らばそれじやそれを全部ルートに乗せる、いわゆる管理強化の方向に行き得るかどうか、地方制度の関係もございましよう、或いは価格の問題もございましよう、いろいろの制度上或いは経済上の要因からいたしまして、今日以上に管理を強化して行くということは、これ又事実問題としてなかなか困難じやないか。むしろ自然の形に流通せしめることが今日よりもよくなるんじやないかという、いわゆる食管制度の弱点に対する批判から、そういう意見が出て来ることを私は率直に認めます。認めますが、それじやといつて今直ちにそれをやつて大衆生活に今日以上の便益を来たし得るかどうか、これはなかなか政治的にも判断が困難である。併し私自身としましても、少くとも昨年暮以来、いわゆる食糧対策協議会を政府部内に作り、各方面にいろいろの意見を求めて参りまして食管制度の合理化について苦心いたしておりますけれども考えれば考えるほど、これはなかなかどうも名案が出て来ない性質のものでございます。私どもといたしましては、只今昨日の新聞に出ておりますことについても心見を申上げるということは差控えたいと考えております。
  44. 江田三郎

    江田三郎君 私くどく申しませんが、今年の作況が六千二、三百万石という数字が一応出たりしておりますけれども、これはまだとつてみなければどんなことになるかわからんですし、余り軽率に軽々しく楽観にものを処理すると、事が食物の問題ですからえらいことになると思いますので、慎重にお考え願いたいと思います。
  45. 森八三一

    委員長(森八三一君) それじや只今議題になつておりまする米穀の国内自給増強に関する申入については、速かな機会に政府方針を御確定を頂くことに希望いたしまして、この程度にいたしたいと存じます。
  46. 森八三一

    委員長(森八三一君) 次に、一昨日及び昨日の委員会で御質問があり、答弁が保留になつております江田委員の食糧の需給に関する問題、佐藤委員及び私から質問いたしました麦類の保管倉庫の件、更に、佐藤委員の御質問のありました米穀の検査の問題について答弁を求める順序になつておりますが、すでに時間も一応でございますので、二十四日に委員会を開くことの御決定を頂きましたので、これらの保留されておる問題につきましては、二十四日に答弁を求めることにいたしたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今、の件につきましては二十四日に答弁か求めることにいたします。
  48. 江田三郎

    江田三郎君 一つだけ大臣に質問というか、希望というか申上げておきたいのですが、これは例の肥料の最高価格ですね、これは本月中くらいにはきまるだろうと思いますが、あの法案の審議過程においても、一体生産費が幾らかということが問題になつておる、それでなかなかわからん。そこで私一体これが法案ができたら値段は下がるのかということを申しましたときに、大臣としてこの法案が成立したら必ず硫安価格というものは最高価格は下げます。こういう言明をされたわけです。ところがその後肥料の足取りを見るというと、逆に、価格が上つて来ておるわけでありまして、どうもそういう点まだ法律に基いての最高価格の決定をしておらないから、やつてみなければ将来の問題だということになりますけれども一つ今月中に、最高価格が決定されるならば、そのときの言明を一つはつきり思い起して頂いて、この処置をして頂きたいということをお願いしておきます。
  49. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そのつもりでやります。
  50. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは只今御承認を得ましたように、答弁の保留されておる問題は二十四日に答弁を求めることにいたします。なお、二十四日は先刻決定を頂きましたように、その結論がどうなるかは別にいたしまして、農林大臣誠意ある苦処を期待しつつ午後一時に会議を開きまして、病虫防除に関する政府方針を聴取することにいたしたいと思います。   ―――――――――――――
  51. 森八三一

    委員長(森八三一君) なお、時間が非常に経過いたしておりまするが、最後に暫らく御辛抱を頂きまして、凍霜害に関する問題に関連して松浦委員から発言を求められておりますので、この際御発言を頂きたいと思います。
  52. 松浦定義

    松浦定義君 大変時間が遅くなりましたが、事が非常に重大な問題でありますのでお許しを願つて、特に大臣も御出席でありますから、一応お伺いいたしますと同時に、御善処方をお願いいたしたいと思いますが、実は去る八月の五日に、北海道の十勝支庁管内で陸別町ほか数カ町村が、今までにない、脅つてない霜害があつたわけであります。従つてこの霜害の程度につきましては、すでに衆議院の農林委員会で去る十二日の日に農林省の意向を大体発表されたかのように附いておりますが、その後、道といたしまして只今詳細な調査をいたしておるところであります。去る十二、十三日は私丁度ここに来ておりましたので、現地を見て参りましたが、大体当日降りました霜は十円硬貨大のもので、短かい所で二十分、長い所で三十分、たまりました一番厚い所では一尺五、六寸ぐらい実はたまつたわけでありまして、陽の影の所では三日間あつた、こういうような実態でありました。従つて承知通りに、その地帯は六月の九日、十日に霜害がありまして、漸く再播をして、それがどうにかなると思つたところへこう参りましたので、農家は非常にまあ混迷をいたしておるわけでありますが、大体におきまして申上げますと、総被害面積といたしましては四千七百九十三町歩ほどでありますが、そのうち収穫皆無と、これは誠に私見まして非常にまあお気の毒でありますが、御承知通りに霜に叩かれた関係から、大豆初めその他作物一切、特に野菜類までなくなつてしまつて、すでにその附近で町菜まで他の農家からもらつておるといつたような悲惨な事態であります。従つて当然収穫皆無というような事態が二千町歩ほどあるわけであります。従つてこの総被害を一応当時といたしましては一億三千万くらいに見ておりますけれども、取りあえずの問題として、どうしても再播をする場合には、御承知通りの北海道はそういう地帯でありますから、冬季の一番寒いのが旭川の零下三十三、四度でありますが、一番寒いのが今の陸別町を中心とした所でありまして、これは昨年度も三十七、八度、従つて秋の降霜が非常に早く、九月の十五日頃には必ず降るのであります。従つてもうあと一カ月しないうちに霜が降るというような事態でありますから、ほかのものを播こうとしても播けないで、秋大根を何がしか播くといつた程度でありまして、この頃は到底生活の繋ぎにもならないというので、一切挙げて本年の収穫は皆無というような事態になるわけであります。そういうような意味合で、一つどうしても現在それからの当分の間の対策として四千万円程度の融資をして頂きたい、こういう地元からの強い要請もありますので、農林省としてどういうようなお考えを持つておられますか、お伺いいたしまして、是非その後の対策につきまして、又別な機会に十分お願いをいたしたいと思いまするが、本日はわかつておりまする程度の点についてお伺いいたしたいと思います
  53. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 只今お話のございましたように、八月五日に北海道に霜の害があつたようであります。調査結果の詳細につきましては私から申上げることができませんが、農林省の統計調査部から参つております概況の報告によりますと、大体三千町歩を超える程度の面積が霜によつて相当被害を受けたようであります。面積といたしましては局部的でありまするので、余り大きい災害ではないのでございますが、深さにおいては、霜でございまするので、相当ひどい被害を与えておるようであります。災害としては比較的小さなものでございまするが、すでに五月にありました北陸地方の霜害に対しましても、凍霜害と同様の措置がとられまするように法律ができておりまするし、六月の茨城県の同様の霜害に対しましても、只今改正法律案か継続審査になつておりまするし、大体同程度の霜害でございまするから、公平の点から申しましても、同じような措置をとるのが妥当ではないかと考えておるのであります。これにつきましては、只今継続審査中であります法律の修正或いは新たな改正法律案を提出するか、どちらかの方法によりまして法規上の措置をとつて頂きますと同時に、法律が成立いたします前におきましても、できるだけ臨機の措置をとつて参りたいと考えておるのでございます。
  54. 松浦定義

    松浦定義君 只今報告によりまして、私ども考えておつたように、四月、五月の凍霜害の一部改正によつて六月の霜害を入れる、更に又その中に八月でありますけれども、この霜害も非常に局部的には甚大であるという意味合から、同様趣旨で以て含めてもらう、こういうようなことも道庁としても要望しておつたのでありますが、農林省当局としても、そういう意図のあることを非常に只今聞きまして感謝しておるわけでありますが、いずれまあ詳細なる報告調査は当然なされると思いまするが、取りあえずの問題として、四千万ぐらいの融資をしてもらいたいという希望がありまして、いろいろ道段階としても連合会を通じまして強力にその手順を運んでおりますけれども、何としても今の時期でありますから急速に実現ができないというので、いろいろ問題を残しておるわけでありますが、今農林省としては、取りあえずの額としての四千万の要求に対しましては、大体どの程度のようなお考えでありますか、この点かおわかりになりましたら一つお聞かせ願いたいと思います。
  55. 松岡亮

    説明員(松岡亮君) 被害の詳細がまだ調査結果として現われて参つておりませんので、どのくらいを融資すればよいのかということははつきりしたことを申上げかねるのでありますか、大体従来の凍霜害、霜害と同じ基準で考えるのが当然でございまするので、そのように考えておるのであります。北海道のほうから四千万円程度の融資がほしいという希望が参つておりまするが、これにつきましても、私どものほうでなお更に詳細な報告の出るのを待つて、若しもそれが遅れますようでありますと、ほかのいろいろな例をとりまして、その例と比較対照いたしまして、推定を加えてでも成る程度間違いのない数字を以て臨機の措置をとりたいと考えておりますが、只今すぐどのくらいということははつきり申上げることはちよつといたしかねるわけでおります。
  56. 森八三一

    委員長(森八三一君) それでは二十四日午後一時から、先刻申上げましたように、病虫害防除徹底に関する申入政府方針を聴取いたしますることを中心として、保留されておりまする答弁を求めまするために委員会を開くことにいたしまして、本日はこれを以て散会いたします。    午後一時九分散会