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1954-02-12 第19回国会 参議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十二日(金曜日)    午後一時二十八分開会   —————————————   委員の異動 二月十日委員河合義一君辞任につき、 その補欠として、江田三郎君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     片柳 眞吉君    理事            宮本 邦彦君            森田 豊壽君            白井  勇君            戸叶  武君    委員            雨森 常夫君            川口爲之助君            佐藤清一郎君            重政 庸徳君            関根 久藏君            横川 信夫君            上林 忠次君            北 勝太郎君            河野 謙三君            清澤 俊英君            東   隆君            江田 三郎君            鈴木 強平君   国務大臣    農 林 大 臣 保利  茂君   政府委員    農林大臣官房長 渡部 伍良君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    農林省農地局長 平川  守君    林野庁長官   柴田  栄君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君    常任委員会専門    員       中田 吉雄君   説明員    食糧庁総務部長 新沢  寧君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農林政策に関する調査の件  (農林施策に関する件)   —————————————
  2. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 只今から農林委員会を開会いたします。  前回の委員会におきまして保利農林大臣から今後における農林水産行政基本施策について説明伺つたのでありますが、この説明に対しまして各委員から質問の要求がありますので、これから逐次質問に入ることにいたします。なお、本日は農林大臣にできるだけ時間の御割愛を願つておりますが、併し各委員の御質問に際しましては時間が窮屈でありますので、できるだけ一つ相互お譲りを頂きまして、各委員からできるだけ御質問のできまするように御配慮を願いたいと思います。それではこれより質問を許します。
  3. 重政庸徳

    重政庸徳君 農林大臣は二十九年度の農林予算並びにその中で最も急務である食糧増産予算に対しましては、相当な御努力をお払いになつたということは十分了承いたしておるのでありますが、併しながら結果から見ると極めて遺憾な状況に終結いたしたのでありますが、これはどうしてこういうような結果になつたかというと、人によつて見方も違いますが、とにかく政府において食糧増産ということの認識がやや不足したのではないかというように考えざるを得ないのであります。治山治水も大切であります。道路も又大切でありますが、そういう政策に次ぐ政策としてこの食糧増産を取上げた結果ではないかと私考えるのであります。なお又これは悪い意味ではないのですが、人造米とか、或いは粉食の問題とか、相当予算の前になつて鐘や太鼓で問題になつたのでありますが、私はこれはこういうことが食糧本来である内閣食糧増産の二十九年度予算に相当影響したのではないか。勿論農林大臣はそういうお考えではないのだが、見ようによつては悪く見ればそういう問題でちよつと食糧増産の本来に対して何か国民の意向を、見解をそういうふうに引つ張つて行つたというような結果とも考えざるを得ないのであります。勿論農林大臣はさような考えではないということは十分承知いたしておるのであります。それはともかく済んだことであります。農林大臣が極めてヒツトを飛ばされたので、この問題についてどこまで進んでおるかということをお伺いいたしたいのであります。御承知のように十五日に二十九年度の予算が大体きまつたのでありますが、十六日か、七日かであつたと思うのでありますが、世界銀行外資導入によつて、今まで懸案である愛知用水、或いは印旛沼、或いは東京湾、千葉の湖というような大きな懸案であるものを外資干拓事業を施行する、或いはしたいとかというような大きな見出しで出たのであります。我々は雀躍いたしたのであります。又農民からもこれはどこまで進んでおるのか、或いは三十年度よりは着手できるようになるのかというような質問も受くるのでありますが、どのくらいまでその交渉が進んでおるか、或いは相手方があるので非常にむずかしい問題でありますが、何年度くらいからこれを着手するお考えであるかというような点について一つ御回答をお願い申上げます。
  4. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今審議を衆議院で願つております来年度の予算の中に、食糧増産関係が、私自身も極めて不満足の形を以てお願いをいたしておるわけでございますが、ただ昨年の異常な減収、凶作をきつかけとしまして、又一面食糧管理現状からいたしまして、各方面から粉食奨励或いは食生活改善ということが強く要請をされる。折からMSAによる米の買付協定ができるんじやないかというような一連の雰囲気からいたしまして、食糧増産の手を緩めても食糧関係は何とか行くのじやないかというような誤解を持たれる向きもなきにしもあらずと私も存じております。併し食糧増産我が国経済上における意義というものが極めて大切であるということは、これはもうどういう立場に立たれるかたでありましても御異論のあろうはずはございませんので、たとえ食生活改善粉食奨励等をいたしてみましたところが、食糧増産必要性はいよいよ高くなるのみであるという考えを以ちまして、当委員会の御決議等趣意もございまして、私としましては緊縮予算方針の中において何とか最善の予算を計上いたしたいということで努力払つたのでございますが、結果におきましては只今お話通りでございましたが、この御批判に対しましては十分私も又伺つて行かなきやならんと考えております。そこで食糧増産は何と申しましても基本的な増産方途としましては、いろいろ農地干拓等による新たなる造成ということも無論大切なことではございますけれども、何と申しましても、やはり既耕地三百万町歩生産力をどうして引上げて行くかというところに増産の鍵はあると存ずるのであります。増産予算の配分におきましても、土地改良重点を置きましたゆえんもそこにあるわけでございますが、そういう上からいたしまして、今日全国に大小の土地改良事業を施さなければならないという所は、殆んどもう例外なく、放置されておるということは無論ないわけですけれども、長い間耕地整理土地改良等で手を加えて今日まで来ておりますけれども取残されておる分が相当多い、そういう所に手を付けつつ、而も増産のために大変な資金を要する干拓等に今日及び今後の我が国財政力が伴つて行き得るか、なかなか伴い得ない。やらなきやならんことは一ぱい山のように溜つている。そこで財政力の許す限りはとにかく三百万町歩美田化ということがモツトーでなければならんと思いますが、それをまだやり切らないでいる現状において大規模な、例えば八郎潟の干拓でありますとか、東京湾の埋立てでありますとかといつたような、或いは有明の大干拓であるといつたようなことが、何とかほかに方途はないものか。私は大体御承知のように世界銀行等国際関係は殆んどもう実は余りよく存じませんです。けれどもこの食糧増産緊急性と、同時に大資金を要する点について何とか方途がないかどうかということを非常に総理がまあ心配をしておられまして、折角世界銀行日本も出資をして参加をしておるわけです。で、先般火力発電の四千万ドルの借入ができて、まだ日本に当て込まれる分があるはずであるから、速かにその具体的な投資計画を立てて、そしてこれに折衝をするようにしたいから立案をしてもらいたいという要請を受けておりました。そういうわけでございますから、只今これに関しまする具体的な案を東畑次官の手許でお願いをしておるわけでございます。併しそれがいつ頃一体目鼻が付くか、現実にそれじやそのために入つて来る確信があるかと申されますと、これはまあ私としてはここで河とも申上げ切れないのでありまして、世界銀行投資方針もございましようし、こちらの受入態勢の如何にもかかつて来るわけでございましようから、私としては、日本財政力でそれをやろうとすれば肝心の大資本の土地改良等がその圧迫をこうむるから、そういう大きいところは何とか一つ外資でやれる途が開かれるように努力をして行きたい。只今まあその程度のことでございます。
  5. 重政庸徳

    重政庸徳君 勿論予算関係等、十分私ども承知いたしておるのであります。併し少くともこのたび内閣はこの食糧増産重点政策に取入れなかつたということは言い得られるだろうと思う。治山治水道路を掲げて参つたのであります。これは農林大臣内閣に対する認識を勿論これ努められたことと思うのでありますが、これの結果としてよく認識しなかつたというところに帰すると私は思うのであります。なお、今の外資導入の問題ですが、関係農民は余りに喜んで今にも着手できるというように、或いは三十年度には着手できるというように受取つたのでありまして、而も御承知のように予算が済んだ時が時でありますし、これを、私はものを裏から見るのが嫌いでありますが、これがうやむやに過されるということになると、勿論農林大臣政治的ゼスチユアというようなことはお考えにならんが、一方から見ると、そういうことはあれは単に二十九年度の増産予算の削減せられたその結果に対する農林大臣政治的ゼスチユアであるというようにならんように、一つこれは急速に私は進行して、早く農民に発表して、本当に今度はそう思つているとか、何とかいうことでなしに一つ発表して頂きたいと思うのであります。なお、これは細かいことかもわかりませんが、これは細かくなく最も大きな問題でありますが、御承知のように土地改良の大きい意味土地改良の中で、干拓とか、開拓とかいうものは二十八年度予算の七割くらいにやられてしまつておるのであります。それを又補助率を三割のものを二割にするとか、或いは三分の二のものを二分の一にするとか、いろいろなことを聞き及んでおるのでありますが、これは農林大臣一つ部下に任すことなく、大蔵省とそういう補助率の削減をしないように一つつてもらいたい、そうでなければ予算は減らされた、補助率は減らされたで、全く踏んだり蹴つたりの結果になる虞れがあると思うのであります。この点を一つ切にお願いを申上げます。
  6. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 補助率の問題でございますが、大蔵省的考えを以ていたしますと、小規模土地改良等に用いられるところの費用というものは、大体その自家労力自己労働力に対しても補助をしなければならんのか、それは一つ自分の田をよくすることだから農家自分の手でやれるところは一つ補助の対象から除いて、そして実際資材であるとか、或いは人を雇入れなければできないとかという分についての補助を五割なら五割の補助をして行こうというのが、これが私は一応の計画の基礎になつていると了解をいたしておるのでございますけれども、なかなかこの関係お話のようにそう割切れるものではない。又従前やつて来ておることを一挙に変更するということはできないという関係もございますかう、只今大蔵省補助率につきましては協議をいたしまして、できるだけ御趣意に副うように努力をいたして参るつもりであります。
  7. 白井勇

    白井勇君 私は極く簡単に一、二の点につきましてお尋ねしてみたいと存じます。今農林大臣からお話がありましたように、農林行政としましてはやらなければならん仕事は数限りなく山ほどあるわけでありまして、そういうためかも知れませんが、私は現在の農林行政というものは、どういうことが重点的に運行されているのかということにつきまして非常に認識をし得なくているわけでございます。過日農林事務当局から二十九年度の予算の作成に当りましても、現在のところにおきましては、すでに農林行政としまして考えられるような重要問題はことごとく項目に載つておる。従つて二十九年度におきましては重点的に取上げられるような、特に新たに取上げられるものはないのである。むしろ従来考えられましたような事項につきまして、これを整理をしておるような予算の組み方である、こういうように私は拝承したのであります。今回農林大臣は本会議におきましても、又過日の農林委員会におきましても、これからは農林行政重点的に且つ効率的にこれを運行して行く、こういうようなお言葉を再三繰返されておるのでありますが、これは具体的に申しますると、どういうような方向に施策が運行されて行くということをお考えになつていらつしやいますかどうかということを先ず一点伺いたいと思います。
  8. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 農政上の課題としましては、我が国農村が受持つておりまする食糧供給力を強くして行くということは、国民経済の上に持つております農村の使命であると思うわけでございますが、これは又同時に国策もそれを要請いたしておるわけでございますから、総合食糧自給度を向上して行くというところには特に力を入れて行かなければならんことは、これはもう申すまでもないことでございます。なお、だからといつて農家経済がこれに伴なつて向上安定して行くということは更に又必要であるわけでございますから、両々相待つて農政を推進して行かなければならんと考えております。効率的、重点的という表現をいたしておりますのは、食糧、主として食糧増産の面でございまして、先ほど重政委員御指摘のように、今年度の食糧増産対策事業費というものが極めて不満足の状態にある、而も食糧増産要請せられる緊急性は変らないのみか、ますます高くなつて来ておる。乏しき予算を以て食糧増産要請に応えて参りますためには、こういう年度がそう続かれても困るわけなんですけれども、とにかく来年度はこういうことでやらなければなりませんから、現在手を付けております事業のうちで、最も効率的に事業を完成するところに主点を置いて予算執行上の注意を払つて参ると、こういう意味をまあ申上げておるわけでございまして、農政全般につきましては、これはもう全体のことが大事でございますから、どれをどうという意味で申上げておるわけではございません。効率的、重点的と申しますのは、食糧対策事業の面をそういうふうにやつてもらいたいということを部内も相談をいたしておるところでございます。
  9. 白井勇

    白井勇君 只今お話に関連しますのですが、増産対策の、例えば土地改良の問題の例をとつてみましても、今の大臣お話のように、増産は当然やらなければならんが、更に又農家経済を不安定にすることは考えられない。誠にこれは両方立ちますれば非常にいいわけであります。この重点的、効率的という場合におきまして、今大臣のお考えになりましたようなお話のうちの、例えば食糧増産に限つてみました場合におきまして、増産が国全体のためになるならば、開拓地の余り効率的でないものは暫らく辛抱してもらうようなところまでもお考えになつて施策を進めて行かれるというようなところまでお考えになつていらつしやいますか。私の記憶では現在の耕地復旧か何かにおきましても、平地におきまして復旧費が割合に何と申しまするか、復旧費助成いたします場合と、むしろこれから開墾をいたしまする場合と、むしろ平地におきまするところを復旧をいたしまして効率を挙げたほうがいいような場合におきましても、助成から見まするというと、むしろ新たに開墾するような場合のほうが助成が余計に行くような措置になつているように私は記憶をいたしておるのでありまするが、私たちはその重点的に、効率的というような点を徹底して参りまするというと、どうも今の施策というものは割切れないように思うのでありまするが、その点どこまで大臣はお考えになつていらつしやいますか。
  10. 保利茂

    国務大臣保利茂君) ちよつと意味を取違えているかも存じませんけれども、例えば開拓予算関係の減額に甘んじているというところ等に関連して申上げますと、これは全くお話通りだと思います。必ずしも適地でないところの開墾をやつて、いわゆる貧農をたくさん作つているということは、これは相当再検討もし、考え直さなければならん点じやなかろうか。適地規模農家がたくさんできるということは結構でございますけれども開拓に急なるの余り、貧農と申しましては語弊があるかも存じませんが、結果においてそういうものをたくさん作るということは、今後の方針としても深く気を付けなければならん。そういうことでお答えになりますかどうか、私はそう  いうふうに思つております。
  11. 白井勇

    白井勇君 その点は別といたしまして、もう一点私は食糧対策につきまして伺つてみたいと思います。この問題はこの間の大臣お話通りに、関係するところが国民生活農家経済等非常なる重大問題であるからして、食糧対策協議会というようなものを別個にお作りになつて食糧問題全般についての検討をやつている。これに対しまする対策というものは、その討議の結果に待つて措置をされるように私は伺つたのでありますが、そういうことになりまするというと、現在やつておりまする施策は別といたしまして、例えてみまするというと、特に私たちのところに今学校給食法案を通せという陳情が参つておりますが、ああいうようなものも、これは今度食糧対策協議会におきまして、その検討事項の中に入つているようでありますが、食生活改善というような大きい観点から、食糧対策協議会におきまして検討を加えた上におきまして、初めて対策が立てられる筋合のものじやなかろうかと私思います。従つてその結果が出ないうちに、そういう法案というものが今期国会におきまして論議されることは先ずなかろうと思いますが、その点はどういうことになつておりますかという点。それからもう一点は、この間の大臣お話では、極力食生活麦食への転換を促進するというお言葉がございましたが、これは一体具体的にはどういうことをお考えになつておりますか。私たち最近の情勢を見ましても、格別政府におきまして、特に麦食奨励を促進されるような措置を現在までの段階におきましてはとられているというふうに私は考えていないのでありますが、これからどういう施策をおとりになるお考えでありますか、伺いたいと思います。
  12. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 食生活改善ということを謳い出して来ている、それに対して政府は見るべき対策を持つていないというように見えるという、御尤もでございます。この食糧関係は私ごときが申上げるまでもなく、今日の特に政治社会制度の下におきましては、広く国民納得を得なければ、政府がこういう事情でこうやりたいからと言いましても、国民納得、協力が得られない形ではなかなかこれは成功しない。そこで先ず第一にそういうことを、食糧問題を考える場合において我が国食糧事情が一体どうなつているか。これは生産者消費者もよく御理解を頂かないと、大分この施策がうまく行かないじやないか。そういうこの食糧事情に対する深き理解ということが前提となつて、その上で一体どうやることが生産者のため、消費者のためであるかということで行かなければいけないのではないだろうか。そういうことが、まあこれは無論国会がございますから、国会における御論議が大事な問題でございますから、御論議の帰趨というものは私は深い期待をいたしております。同時に又何と申しましても、政府責任においてやらなければなりませんことでございますから、できるだけ広く政府部内におきましても、広く各方面の御意見伺つて、そして改善方途を見出して行きたいという以外には何も考えていないわけでございます。食生活改善と一口に申しましても、ただ米が足らんから麦を食えと言うて見たところで、何千年の習慣の上に立つている食生活というものが、そう掌を返したように動くものではない。それにはやはり夢のようなことかも知れませんけれども、相当長い辛抱強さを以て、粉食ならば粉食が自然的に行いやすくなるように、例えば脂肪、蛋白の供給力を殖やすとか、価格を安定して下げて行くというようなことが伴つて来なければ、ただ米が足らんから麦だけと言つても無理なことじやないか、そこに私は政府責任があると存じます。で、畜産の振興或いは酪農の振興に、この窮屈な予算の中で特に私申上げても又如何かと存じますけれども注意を払いましたゆえんはそこにあるわけでございまして、従つてこの食生活改善ができやすいようにとにかく持つて行く。そこの意味から行きまして、学校給食が今日私自身の家庭からの実際から見ましても、学校給食による子弟の食習慣というものは、子供たち食習慣はもう私たち子供のときと全く変つて来ておるということから、この学校給食意義というものは私は高く評価をいたしておるわけでございます。併し、さればとてこれも一挙に拡大をして行くというには相当の又財政力も要るわけでございます。可能な範囲において今日は拡大強化をして行くという方法をとつて予算措置を講じておるわけでございます。只今といたしましては、そういうところでございますが、いずれにいたしましても、日本食糧事情からして相当やはり麦類に依存しなければならないという運命に置かれておるということは、これはもう免れ得ないことでございますから、然らばやはり麦に頼り得るところの食生活を打立てるための総合的な施策がこれに伴つて行かなければならない、こういう考えでいるわけでございます。
  13. 白井勇

    白井勇君 その学校給食法案の件は、そうしますと、食糧対策協議会検討の結果を待たないで給食法案というものが論議されたということは考えられないことですか。
  14. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 法律がございましようと、なかろうと、とにかく学校給食意義というものは高く評価いたしておりますから、従いまして私どもとしましても、学校給食を強化して参るという予算措置を講じておるわけでございます。別に法律がなければやれんというものじやないと私は考えております。
  15. 白井勇

    白井勇君 今私お尋ねしておりますのは、その趣旨はよくわかりますが、一部で何か騒がれておりますような学校給食法案というものがあるようですが、これがこの食糧対策協議会の討論の結果を待たずに制定をされるというような過程になるかどうかということにつきまして農林大臣はどうお考えになつておりましようか。
  16. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 食糧対策協議会趣意先ほども申しました通りでございますし、従つてこの食糧関係法案がいつどこで御審議をされようと、これはもう私のどうこうと申上げる筋合ではなかろうと存じておるわけでございます。併し私のほうとしては、食糧対策協議会学校給食法案を作つたほうがいいかどうかというようなことは主たる私は意見を聞く頭目には考えておりません。
  17. 清澤俊英

    清澤俊英君 お伺いしたいことはたくさんありますけれども、ほかにも御顧問が非常にたくさんあると思いますが、一点だけお伺いしたいと思いますが、本年の予算が言わるれごとく輸入の逆調内地物価高騰等を是正するという建前から一兆緊縮予算をとられたことは申すまでもありませんけれども従つてその枠内において農林予算等がいろいろ今問題になつております通り食糧増産等に非常な障害を来たしておる。これはまあ先ほどから触れてもおりますので、いろいろ少しお伺いしたいこともありますが、その点はお伺いしないで、私はその情勢下において行われまするこの緊縮予算の中で農林行政を進めて参りまするとき、当然農産物価下落というもの、下落と言うよりか引下げが国の要請として考えられると、こう思うのです。それで今出ておりまする予算の上から見ますと、その農産物価値下りと、その値下りに際しまして農民の実際の生産が、その値下げをしても間に合うような方策をとつて行かなければ値下りを来たすことはできない。これはもう当然わかつていることでございますが、従つてまあ総体から見まするならば、先ず食糧という重要なものから先に増産し、同時にこれが値下りができるような態勢がとられることは最も考えらるべきことだと思うのでありますが、これは当然農林省一つだけではいろいろの点からできませんが、国全体の施策として見ましても、又農林省の中にありまする、農林省でできやせんかと思うものの中でも、それと逆行した形がとられておるものが出ておると思うのです。そうして場合によりますれば、今の要請、いわゆる逆調輸出の常態を図る、内地物価を下げるという建前から、逆にしわ寄せと無理に農民生産品の上に価格を無理に引下げるという形が今出ておるのでありますが、これらの点を農林大臣はどうお考えになつておるか。と申しますることは、具体的に申上げますると、砂糖の行政は農林省におきましてその所管はお預かりになつておると思う。ところが砂糖が非常に安く入つて来る。その砂糖が現実農民の手許に上りまするときには、この情勢下において昨年まで百万トンの粗糖輸入をやつたものが今年は七十五万トンという声を聞きますと、そういうことが中心になつて外貨ドルの割当等が困難になればなるだけ砂糖の値段がどんどん上つて来ておる。これは農林省がお扱いになつておるはずです。或いは春先になりまして肥料の安定法を作つて肥料を下げる。先日来は中日貿易の硫安の僅か五千トンや三千トンのものが出せるとか、出せないとか、農民の資本金が問題になるから、こういうので、いろいろ御親切なお取扱いを受けておつて、今日の新聞を見ますというと、十四万何千トンの肥料が朝鮮の輸出が落札しましたために、ますます肥料の情勢というものは変調を来たしつつある。下りかけたものが又上りつつある、こういう情勢を辿つておる。或いは最近の新聞を見まするというと、それと逆に養蚕問題等が非常に問題になつて来ておる。これをどうしても玉糸なり、生糸なり輸出しなければならん。砂糖とリンクするのだ、リンクするために……、まあこれもわかつておるますが、リンクと同時に、それでも間に合わんからというので、最近新聞を見まするというと、糸価安定特別措置法案とかいうものを出して、そうして一応製糸生産費と養蚕生産費を中心にしましたところの価格で以て一応抑えて行こう。これは結局しまするならば、養蚕農家に今日の輸出の生糸の高騰のために輸出の困難の点を、結局するならば農村の繭の価格を抑えて、そうして農民の上にしわ寄せして、この難関を突破しようという逆コースがとられておる。これは二つのいい例だと思います。こういうやり方をやつて、果して円滑なる農林行政というものはできるだろうかということを疑ぐるのでありまして、一つ農林大臣から、こういう具体的のものを中心にして、よくわかるように御説明願いたいと思います。
  18. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 緊縮予算の結果が目標といたしております物価の引下げ、これは最終的の目標にしておるところは大蔵大臣がしばしば申上げている通りであります。ために農林物価に直ちにしわ寄せをされて来ると私は考えておりません。今日の我が国農産物の価格の状態は大体需要と供給力との現状から出て来ているものでございますから、従つてお話のように供給力が著しく高まる見込みのない状態において価格が引下がつて、そこで農村にしわ寄せになつて行くというようには私に考えていない。従つて緊縮予算のもたらす結果は、公共事業或いは食糧増産、そういうことで地方の事業が停滞する、その結果現金還流と申しますか、収入のウエートへ響いて来る点はこれは免れ得ないと思いますけれども、但し農村生産資材が政府の見通しておりますように価格が引下つて参る、その結果農産物もだんだんお附合をして行くというようなことは、私はこれは一概に非難すべきことでなく、結構なことじやないか。つまり農村の強く要望する点も端的に肥料なら肥料に現われておりますように、米の値段もさることだけれども、米を作るために必要な資材がより安くなることを農村としては求めておるわけでございますから、そういう方向から行けば、私はそういうふうにうまく行きますならば、結構な方向だと考えております。それから砂糖の問題でございますが、こういうような国際収支の逆調からして、できるだけ外貨予算を節約をして行くという上から、砂糖のごとく内地の供給力も殆んどないものは、これは輸入を抑制せられて行きますれば、どうしてもこれは価格は上つて来ざるを得ない、来るのはこれは必然、消費が縮小しない限りは、これはもう必然のことであろうと存じます。只今外貨関係の砂糖の分につきましては、関係当局と私どもも……、これもやはり日常生活の必需物資でございますから、できるだけ安定をいたすように、この方向へ努力をいたしておりますけれども、一面強い全体の外貨節約という圧迫は免れがたいわけでございます。それが過度の思惑ということではないかも知れませんけれども、先行き外貨が節約せられるであろう、輸入が制限せられるであろう、或いは砂糖の消費税が上るというようなことからして、思惑値が今日の現状になつているのではないか、こういうように思つておるわけでございます。ただ生糸の問題につきまして、いささか清澤さんと御所見を異にせざるを得ないわけですが、成るほど目先で今の内地が消費インフレだと言われるような状態の下においては、これは輸出面のことを余り深く考えなくとも、養蚕業はむしろまあ内地市場を目当てとして見ますならば、もつと繭の値が上りそうだから上げたらどうかということですが、これが果して養蚕農家に対して親切なことであろうか。私はやはり日本の養蚕業というものは、世界のやはり生糸の供給者であつて、これを失えば養蚕業の意義というものは殆んどなくなるのじやないか。そこでどうしても国際的な日本の生糸の需要増というものを守つて行かなければならん。それは即ち将来とも日本の養蚕業を振興せしめて、この一審大事なところで、目先ばかり追駈けて、その大事なところを失うというようなことを政府が目をつぶつて行くということは、これはどうだろうか。私はそういう意味でとにかく蚕糸と申しますか、蚕糸業というものはやはり日本の最も大切な輸出産業としての方策を講じて行くべきであろうというようなことで只今検討いたしておるわけでございます。
  19. 清澤俊英

    清澤俊英君 只今の御答弁頂きましたが、余りよくわかりません。ということは、私の質問の仕方が或いは悪いかも知れませんが、今一度申上げますと、国の大方針として輸出状態を中心にして国内物価を下げて行かなければいけない。これが基準であるから、従つて農林行政としてもこの線に沿うのが当り前じやないか、こう言えば一番話がわかると思う。そういう建前がとられなければならん場合であつて、いろいろそれはほかの関連産業において、今大臣が言われた通り、或いは農村に参りますところの主物資が下れば、勿論下るというようなことではなく、現に農林省が取扱つておる肥料或いは砂糖のようなものは、行政措置においてやり方によつては下げられるのじやないか、下げて渡せられるのじやないか。それが外貨が困難になつたから砂糖が上るのは当り前じやないか。高いものを買つて安く作れ、これは駄目な話なんで、現在やれるくらいのものは何とかやれる余地があるのじやないかということを疑うのです。砂糖なら砂糖の情勢において砂糖会社に任して勝手に儲けたらよかろう。関門は閉めておいて、輸入ドルの割当は縮小さして、そして輸入量は減らしておいて、そうしてあとは勝手に儲けろというような話になつつて、関門に番をさしておいて、その関門の鍵は預けておいて、あとは勝手にしておれと言つたつて物は上つて行くにきまつておる。そういうことをやつておいて果して今この食糧増産の重要な肥料を減らしてまでかかつておるこの農林行政の中に、それがいいか悪いか、いいか悪いかじやない、そういうことはすべきものじやない、こういうことなんです。すべきことじやないことなんだ。肥料のごときものもそうではないか、非常に農民が春の需要期を見込んでこれだけの肥料を持たなければならん、中日貿易というものが今如何に国民全体の上から重要性を取上げられているかわからない。その僅かの肥料自身が到底やれない。これも日本の国内の肥料行政というものを考えまするならば無理もないと思つている。たまたま四月以降五千トンくらいのものがこれに廻るというような話も聞いておつたのでありますが、本日の新聞を見ますれば、朝鮮の落札を十四万トン幾らをやりましたために、折角下りかけた肥料が上つて来ているじやありませんか、これじや逆のことをやつているじやないか。少くとも農産物を下げなければならんとき肥料を上げる方法をとつておいて、農民生活が上る方法をとつておるじやないかということだ。そうやつて現実において輸出が困ると、こういう問題が出て来れば、生糸のごときものはあなたがおつしやる通りであります。大体系価安定法なんというものを糸価安定の審議委員会に任してしまつて、そうしてお前たちが勝手にきめろというやり方はあれは間違つておる。本当は国が輸出を中心にして糸価を安定せねばならんということなら、幾らぐらいの糸を作らなければならんからというので、蚕糸行政におけるところの経費などは九億何千万というようなけちなものでなく、もつと殖やして農民が安んじて作れる施策を講じて、安いものが作れるように導入して行かなければならん。それをやらないで、輸出が困りますからというので糸価安定特別臨時措置法というようなものを作りまして、まだその全容はわかりませんが、新聞で見まするならば、あれの構想で行きますならば、全く最後は農民にしわ寄せして、そして繭価を政府がきめてこれで買上げるものを作り出している。あんなばかなことをして日本農村行政というものはうまく行くかどうか、そこをお伺いしているのだ。全く別なことをお考えになつてつているんじやないか、これだけ大方針をとつて食糧増産もとめてかかつたものが根底から崩れているじやないか、国民の生活安定というものは又崩れているじやないか、こういうことを私はお伺いしている、具体的に私はお伺いしておる。
  20. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 肥料の問題は、朝鮮の落札があつたために肥料価格が折角下ろうとするのが又強気になつて来る。これはまあ絶対にそういうことはありませんとは、これは言えないかも知れません。併し韓国向けの肥料は四月以降の問題でございまして、三月中はこれは出さないという約束の下でやつておりますから、そういうお話のようなことは私はないと思います。生糸の問題は、それじや今のまま放つておいて輸出がぱつたりとまつたあとで、今度は市場を開拓して行こうと言つたつて容易なことじやなかろう。ですから今の間にこの国際需要市場を確保しておくという非常な危機に立つて来ておるのじやないか。それで放つておいたらこれは繭は内需がかくのごとく旺盛であれば、この緊縮予算の結果、いわゆる消費が全面的に抑制せられて来る。そうすればだんだん生糸の国内需要というものも少くなつて来るだろうということは、私は理窟としては見通しが付くと思いますけれども、今日の状態から言えば、この繭の値段を国内市場の推移に任せて放置しておくことがいいかどうかということは、私はこれは養蚕関係の全体として関心を持たなければならない問題じやないか。その点は養蚕農家におかれまして十分私は考えて頂いて、何とか措置しなければいかんのじやないかというところが、今日私は関係者の輿論だと思う。そういうことで方途がないかということで只今検討をいたしております。
  21. 清澤俊英

    清澤俊英君 それじやこれでやめますが、今の生糸の問題です。私は蚕糸局長に聞く機会があれば、そのたびごとに、今にして輸出価格に相当する糸価の養蚕ができるように施策を定めなかつたら大問題じやないか。今内地の需要が高まつて糸価の出ているうちに、その基本を付けなかつたら大問題じやないか、こういうことを申上げておるので、決してあなたのおつしやることと別なことを申上げておらない。併しながら突如として、その施策もしないで、直ちに今言いました通りに、市場のごときは野放しにして、野放しどころではない、アメリカか何かに押されて、日本の行政を嫌々ながら押付けられたと思います。肥料などはこれを落札してしまつて、いよいよこれから春肥が入り用なときに肥料が上つて来る。砂糖のごときは何とか方法を講じれば安いものが渡るのを、口元を抑えておいて、玄関番に鍵を預けておいて、あとは勝手にしたら砂糖が上る、これは止むを得ないと……。そういうことをしておいて、養蚕のごときものは輸出対象になるのだから、繭の価格だけは抑えて一つ何とか持つて行かなければならない、何とか持つて行くとするならば、何とか持つて行くだけの施策があるのかどうか、その価格で農民が作れるのか、施策をしてからそれを言うべきである。そういう施策もしないうちに、まだ内需というものがあつて、漸く繭の価格がだんだん上つている。その間において一つ根本的なものを早目に立てるぐらいのことは考えなければならんと思う。こういう目的のためだからというので無理して押付けたら、これが果して養蚕業の発展になるかどうかということは、重大な疑問があります。
  22. 江田三郎

    江田三郎君 今の清澤君の砂糖の問題ですが、これはさつき大臣の答弁で、外貨予算を節約するためには消費を縮減せん限りはどうしたところで値は上るのだ、過度の思惑とまで行かんけれども思惑が発生している、こういうことですが、さて然らばそれをどうするかということを我々は聞いているのであります。ただそれだけのことでは何も答えにならんわけで、大体砂糖の問題は、私は近頃聞いてみて、どうも私自身が調べて行けば行くほどこの問題というものは、今あなた方のやつておられる政策はわからない。昨年の五月頃の清算取引の相場が三十五円くらい、それが最近を見るというと六十円を跳ね上つている、現物で行くと八十何円というような相場が出ておる。然らば一体産地の価格が上つておるのかと言えば、多少は上つておつたところで、そういうようなものはほんの微々たるもので、これに影響があるようなものではない、そういうような非常な値上りをして、而もまだ本当の割合がはつきりしない。そしてあなた自身が認められるように、過度の思惑とまで言えんかも知れないが、思惑が発生しておるということになつて、どこまで一体上つて行くのか。一説には、砂糖が消費税の値上りを含めて市価は百円になるのじやないか、これは一体農林省としてはどう考えておるかということです。一体今あなた方が政府として一番やかましく言つておる耐乏生活というものは、私は耐乏生活の一番大事なのはやはり台所だと思うのです。そこでまあこの間の主婦連でも電気料金の値上とか、砂糖の値上を一番真先に取上げているのです。そういう一方で政府は耐乏生活を言つて、片方ですぐ毎日使う砂糖の相場がうなぎ上りに上るということで、一体何を以て国民に耐乏生活を要求することができるかと、こういうことになると思うのです。そこで私は一つもう少し大臣に具体的な答弁をお願いするわけなんです。一体政府はこの砂糖の値上りをどういうようにしようとするのか、具体的に例えば今一—三月のあと十万トンの話が残つておるならば、それについてはいつ頃までにどういう措置をとろうとしておるのかということ、或いは一体この砂糖というようなものを今清澤君が言つたように、玄関は一方的に独占資本に握らしておる、そうして片方で値を上げたとこでそれは知らん顔をしている、そういうようなやり方を依然として継続されるのか、つまり最終の家庭なり、その他の最終の需要者というものを中心に砂糖の政策考えておるのか、或いはそこへ行く間の一部の独占資本と言いますか、製糖業者、そういうものを対象に政策を立てておるのか、細かいことがいろいろありますけれども、私は先ずその点について大臣の基本的な考えを承わりたい。
  23. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 砂糖の問題は、大きくは先ほど申上げた通りでございますが、何が一体思惑の種になつておるかというと、外貨予算が節約せられるであろう、農林省は需給関係を見通して、百万トンの輸入はしてもらわなければならん、大蔵省は多分言うことを聞かんだろう、或いは通産省も言うことを聞かんだろう、そこで減るだろうというのが業者の一つの思惑であります。それから一—三月の十万トンというものはどうもあれは入らんのじやないか、結局あれも潰れるのじやないかというようなところで窮屈になつて来るのじやなかろうかというようなことが、自由取引になつておるわけですから、そういうところに思惑が入つておるのじやないかという意味を私は申上げようとしたわけであります。然らばどうするか、私どもとしては何とかこの需給の状態から見まして、そこに無論全体としての外貨節約というものもございますから、昨年の通り行きますかどうかは、只今これは明言をはばかるわけでありますが、とにかく砂糖は国民の日常生活の必需物資でありますから、従つて国民生活を安定する、耐乏はしなければならんけれども、安定はしなければならんというところが狙いであるわけですから、そこに著るしき変動を及ぼさないようにやつて行かなければならない責任が私どもに当然課せられておると、こういうふうに考えております。そこでまあお話の筋はよくわかるのですけれども、もう一度、それではこういうふうな状態であるから、砂糖の配給統制でもやるかというところまで行かなければ、私は江田君の御議論も徹底しないと思います。私は配給統制は真平これは御免こうむりたいという考えで、できるだけ需給の操作によつて安定を図つて参りたい、こういうふうに根本的には考えております。今年の一—三月の十万トンにつきましても、できる限りこれを確保して参る只今努力をいたしておるところでございます。来年度の問題につきましても、何とか前年度くらいの確保はしなければならん、こういうふうに考えておるわけであります。
  24. 江田三郎

    江田三郎君 あなたは統制は嫌だと……、私も今すぐ統制ということを言つておるわけじやない。それで需給の操作でやつて行く、ところが操作についても、なかなかやりたいと思うというだけで、今まで農林省でやつておられたところで外貨の割当はうまく行かないじやないですか。そこであなたが今認められておるように現実に大きな思惑が起きているわけです、家庭が迷惑しているわけなんです。それを一体どうするのか、このままであなたのように耐乏はしてもらわなければならんが、安定はさせなきやならん、国民の生活の必需物資だということを言つておられて、その生活の必需物資が安定しないで、家庭生活に非常に迷惑をかけている現実を一体どうするかということなんです。そこでそれなら、そのためにあなたが責任を以て、今農林省が立てておるところの計画量の輸入ができるのだということがはつきりすれば、これは安定するでしよう。そういうことが言えるのかどうか、若しそういうことが言えないとすれば、別な途を講じなければならん。    〔委員長退席、理事宮本邦彦君着席〕  私が調べて行つてどうも合点が行かないのは、例へばそういうような原糖の輸入があつても、一体今のあなた方がやつているような最終需要者を基礎においたところの方式でなしに、中間の製糖業者あたりを中心にする割当方式をとつて行つたならば、それならば仮に輸入があつても値段は下らないのじやないか、カルテルはなくてもカルテルに似たような実体はあると思うのです。これは今日私はあなたのほうから砂糖の原価計算の資料をもらいました。この資料についてもどうもなかなか出て来なかつたので非常に残念に思いましたが、やつと農林省の資料というのでなくて、製糖工業会の調べによる資料をもらいました。これは昨年の七月までであります。七月のときには需給状態はそう窮屈ではなかつた、そう思惑をしなければならんような状態ではなかつた。併しそのときでも、我々が常識で考えるというと、製糖資本というものは莫大な利益を得ているじやありませんか。清澤君の言う原料糖を統制をしないと言いながら、原料糖については割当方式をとつておいて、そうしてあと勝手なことをやらして、必需物資だから耐乏はしてもらわなければならんが、安定は図るのだ、こういつたことで現実に起きている事態はあなたの言うことと全部反対のことばかりになつておる。もう少しはつきりしたお答えを願いたいと思います。
  25. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 先ほどお断わりいたしておりまするように、来年度の外貨予算只今編成中であります。一—三月の外貨予算の実行につきましては只今話を取進めておるところでございますから、できるだけそういう方向で努力をいたしますと申上げておるわけです。
  26. 江田三郎

    江田三郎君 それだけじやないというのです。それが一つの方法であるけれども、今あなた方がやつているような製糖業者に原料を殆んど九〇何%まで一括して渡すような方式をやつたのでは、たとえ原料糖の輸入はあつても値上りは防止できないのじやないか、こういうのです。それを一体どうするのかというのです。最近のブラジル糖の輸入を見ても、私どもいろいろ内容等を聞いてみると、これはあなたが直接やつているのじやないから、食糧庁長官でも出て来られたら細かに私は徹底的にやりたいと思うけれども、合点が行かないのです。結局思惑の元を作つて行くような農林省の……(「砂糖のスキヤンダルがあるんだ」と呼ぶ者あり)やり方だと、そういうようなあなた方の基本的な建前というものは、製糖業者へ割当をするという方式をとつて行くのか、而もその根底においては最終需要者というものを考えて行くのか、どちらかということをはつきりしてもらいたい。
  27. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 砂糖の消費はいわゆる精製糖になつての消費が大部分でございましよう。従いまして製糖業者に外貨の割当をいたして行く現在の方向は、これを変えることは私はないと思います。ただそうでなくて、私は江田さんのおつしやるところがどこに割当をしろとおつしやつておられるのか、そこはよくわからないのでございますけれども、何かほかに御名案がございますか。
  28. 江田三郎

    江田三郎君 何ぼでもあります。
  29. 河野謙三

    ○河野謙三君 私はあとで又ゆつくり自分質問時間にお尋ねしますけれども農林大臣は原料糖を砂糖会社以外に割当することはできない、それを変えることはできないと言われますけれども、農林省の扱つている物資の中で最終消費者団体に割当をしているのはほかにたくさんありますよ。
  30. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 何がですか。
  31. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の江田さんのお話は、最終消費者を中心にして砂糖の行政をやつたらどうだ、それは最終消費者も割当の対象にしたらどうだというような意味もあると思うのですが、それに対してあなたは、砂糖の割当というものは製糖会社以外に割当てることは考えておりませんとおつしやいましたが……。
  32. 保利茂

    国務大臣保利茂君) いや、そうじやない、それはありますよ、輸入業者に割当てるのもあるのです。
  33. 河野謙三

    ○河野謙三君 農林物資で砂糖以外にたくさんある、あなたは製糖会社に割当てする以外に考えておりませんとおつしやつた。
  34. 保利茂

    国務大臣保利茂君) いや、それは取消します。
  35. 河野謙三

    ○河野謙三君 それならよろしいです。
  36. 江田三郎

    江田三郎君 今私の言うことが大臣はわからんと言われるのですが、私が言うのは、砂糖は家庭の必需品である、これはよろしい。これは家庭の必需品であつて耐乏生活はしてもらわなければならん。例えば輸入量が七十万トンに減つたら、お互いは乏しきをわかち合わなければならん。これはよろしい、併し安定を図らなければならんという。ところが安定ということを言つておられるが、たまたま現在の値上りはこの原料糖の窮窟さから、或いは外貨割当の今後の困難の思惑から上つておるけれども、原料が入つて来ているときでも製糖業者の利潤というものは、我々が納得できないような大きなものになつてはいないか。この点について本当に大衆の消費者というものを考えるならば、別な方式が考えられはしないか、こういうことなんです。而もあなたは砂糖というものは白砂糖でなければ、精製糖でなければ食べられんように言いますけれども、あなたは育ちはどうか知りませんが、(笑声)私たち田舎に育つたものは黒砂糖も食べて来ましたし、黄ザラも赤ザラも食べて来た、終戦後にはあなた方農林省は食糧の名において粗糖を配られた。「だに」がおつたとか、どうとかということであつたが、一体今の粗糖に「だに」がいるかどうか知りませんけれども、あれにしたつて食べ方があるわけです。一体耐乏生活というものはどういうことなのか。白砂糖が非常な思惑で高くつき、中間搾取をとられるなら、それを忍んでもう一つ品質の悪い粗糖でも我慢して安くやつて行く、これも一つの耐乏生活じやないか、そういうことまであなたはお考えになれないかということなんです。
  37. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 砂糖の問題は非常にやかましくなつておりますから、十分検討はいたしますけれども、私が只今までに検討いたしておりますところでは、例えば粗糖で入つて来る、そうすると、何かそれは私は理窟だと思うのですけれども、例えば「だに」がおるからどうしても一遍加工に入れなければいかんというようなことも聞いておりますけれども、名案があれば改善をして行くのに決してやぶさかではございませんが、只今のところはこれは結局消費が旺盛であつて、外貨の面から供給が減つて来るということになれば、経済現象としての値段の上がりはどうも免れ得ない。余りそうなつては困るというので、来年度の外貨予算でも先ほど申した通りに……。
  38. 江田三郎

    江田三郎君 来年度々々々といつたつて駄目じやないですか。一——三をどうするのだ。ほかに質問もあると思いますから、これは改めて食糧庁長官でも誰にでも専門的にやりますけれども、とにかく私たちが調べて行くと、砂糖というものについては調べれば調べるほど不可解な点が多いということなんです。例えば一つの例を言いましようか、食糧庁におられた人で現在製糖会社に勤めている人が何人おるかというのです。もう一つの例を言いましようか、食品課あたりに誰が一体ごろごろしているか、最近のブラジル糖の五万トンは一体どうなつたかということ、幾らでも例はあります。そういう例も私たちは多少調べておりますが、改めて食糧庁長官が来たときに徹底的にやりますけれども、併し大臣としてももつと砂糖のことを勉強して頂きたいと思うのです。これは食糧庁長官に聞いて、最後の仕上は大臣にいたしますから……。
  39. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 関連して……。只今いろいろ砂糖の問題につきましては御質問がありましたが、現段階におきまする需給及び割当に対する実績表を一つ是非出して頂きたい。なお、次に原価計算表を一つ、これも出して頂きたい。これによりまして十分検討をする必要があると思いますので、これだけを一つ要求しておきますからどうぞ……。
  40. 関根久藏

    ○関根久藏君 先ほど蚕糸の問題で清澤さんから御質問があり、農林大臣も今のままでは到底これは蚕糸業全体からみても、或いは農村全体からみても、国全体からみてもしようがなくなつてしまうのじやないか、何らかの処置を考えていると、かような御答弁でありましたが、私どもこれは何とかしなければならんということはよくわかつておるのであります。併し輸出振興の最大の狙いは結局増産にあると思うのです。増産の最も重大な点は結局価格にあると思うのです。養蚕家が生産意欲をなくしてしまうような価格で抑えたのでは、これは結局本末を顛倒してしまうと思うのです。そこで結局この問題を煎じ詰めてみますと、結局は価格の点になると思うのです。現在安定法によりまして最底が十八万円、最高が二十三万円、禁止価格が二十四万円となつておりますが、農林大臣はこの価格が現状に即して各種の措置をとる上において適当なものであるかどうか、どういうふうにお考えになつておりますか、その点をお尋ねしたいと思うのであります。私ども考えといたしましては、それはすべて価格を抑えるようなものを全部養蚕家にしわ寄せしてしまう、だから今までのように置け、かようなことは考えておらない、少くとも最低価格は二十万から最高は二十五万までくらいの範囲で価格が決定され、それによつて各種の処置をとられることが最も適当であろう、かように考えておるのでありますが、御意見を承わりたいと思います。
  41. 保利茂

    国務大臣保利茂君) いろいろ海外の需要状況乃至は情報の取り方によつて見方は変つて来ようかと思いますけれども、私は日本の生糸の輸出を伸ばして、そうして養蚕業の基盤を固めて参るところとしましては、今日の輸出価格というものは大体二十二、三万というところじやないか。その辺を頭において施策考えるべきじやなかろうかというように、これはほんの腰だめに過ぎないわけでございますが、無論専門家である関根さんのほうが詳しいことは間違いないと思います。私どもは腰だめでその辺から考えて行くほうが一番いいのじやなかろうかという情報を聞かされておるわけであります。
  42. 関根久藏

    ○関根久藏君 まあ二十三万円と言えば、これは或いは一時的の現象であるかも知れませんけれども現状の下においては二十七万円、輸出のほうは海外の情勢が二十二、三万、それで抑えてしまうというのでは、結局先ほど清澤さんがおつしやられたようなことに農民考えまして、これは増産の意欲を極めて沮喪するものであろう。そこでその間をいろいろ折衷をいたしまして、先ほど申上げました二十万から二十五万くらいが一番適当のところではなかろうか、かように思うのであります。それからこれは問題は違うのでありますが、生糸の原糸課税の問題につきまして、随分各種の問題がありまして、結局予算では原糸には課税せず、高級の織物に織物消費税として小売課税をする、かようなことが決定されて予算として出ておるようでありますが、又最近ちらほら各種の運動が熾烈になつて参りまして、何だかその元がぐらついているようなふうのことが伝えられておるのでありますが、さようなことがあるのですか、ないのですか、当初の方針通り進まれるのですか、どうですか、その点をお伺いします。
  43. 保利茂

    国務大臣保利茂君) これはまあ税務当局並びに財政当局者の責任を取りまとめていたすべきところであります。予算計画書としては原糸課税は取止めてお話のように繊維消費税という、高級品に対する繊維消費税ということで八十五億円の歳入見積をいたしております。これは申すまでもなく、財政当局、税務当局は当初原糸課税を主張して二百五億の歳入計画を立てておつたことは御承知通りであります。率直に申して、これは内閣を作つております与党の意見によつて、こういうふうに高級繊維消費税に変つておるのであります。それでその主張に基いて閣議決定が行われるわけでございますが、無論繊維消費税のほうはまだ閣議決定になつておりません。併しこつちを出せばこつちが叩かれ、こつちを出せばこつちが叩かれる、こういうことでは際限もないことでありますし、又党側とも十分話を付けて、できるだけ妥当な措置をするところに決定をいたして出すべく、只今折衝の過程にあると私は聞及んでおるのでありまして、まだ最終決定に至つておりません。
  44. 関根久藏

    ○関根久藏君 先ほど申上げました二十三万円というのが大臣は値頃だと、こうおつしやるのですが、いろいろの措置をとるについて到底、それではなかなかうまく参らない、実際問題は……。だから先ほど申上げました大体二十万円から二十五万円ぐらいの範囲までに何とか御配慮願うよう御心配頂きたい、と思います。
  45. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 決算委員会から廻りまして暫らく中座しておりましたから質問が重複するかも知れませんが、御了承願いたいと思います。この生糸輸出価格臨時措置法という法律案は、この間蚕糸会館で見せたものをそのまま国会に提出するおつもりでございますか。
  46. 保利茂

    国務大臣保利茂君) どういうものをお見せいたしておるか存じませんが、臨時措置としての法案を何とか提出をいたしたいと考えております。
  47. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 そうしますと、この中に生糸という字が謳つてあるが、生糸のほうは玉糸も包含しておるのか、一般に生糸と言えば玉糸を包含するが、大臣考えはどうであるか。
  48. 渡部伍良

    政府委員(渡部伍良君) 入つております。
  49. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 若し入つておるとしますと、この中では玉糸についてはまだ最高価格ができていないと思う、禁止価格はあるが……。そうしますと、政府がやるところの今回のこの出そうとする法律案の骨子と非常な違いを来たすのではないか、言換えれば玉糸はどこに行くのだ、その点について説明を願いたい。
  50. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) 鈴木委員ちよつと申しますが、今日は大臣に対する御質問事項として、詳細は又後日取上げるようになつておりますから……。
  51. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 それでは釈明しますが、御承知通り毎月の輸出額は生糸が三千五百俵なら玉糸は五百俵、従いまして玉糸は年間六千俵、多いときは一万俵輸出しております。生糸を六千俵輸出しておるときに玉糸は一万二千俵輸出しておる。そういうときに、この観点に立つて輸出確保臨時措置法の中には玉糸を全然入れていない。リンクの場合には相当の援助をして玉糸を入れてあるが、これは入れていない。入れていないということは、言換えれば玉糸の禁止価格はあるが最高価格は設定しておらない。そこに大きな違いがあるのじやないかと思うのです。それではその問題が若し具体的な問題であるとすれば、後ほど関係のかたからの御返事を頂けば結構かと思います。  さつき物価体系から御質問があつたと思いますが、今回生糸の輸出に対しまする臨時措置法案の内容を見ますと、やはり生糸を統制しなければならない、従つて繭も統制しなければならん。自由党が今まで自由生産主義によつて正当なる生産の増加を望んで来ていることが、今度の緊縮予算に当つては、農林、通産といえどもこれを統制の下にしなければ物価の体系はできない。先ずその点でお尋ねしたいと思います。
  52. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 決して生糸なり、繭なりを妙な形で統制するというようなことは私としては望まないところでございますけれども、併し我が国養蚕業の将来を案じましても、又当面の貿易状況から見ましても、とにかく生糸は輸出を確保するというところに我が養蚕業の意義があるのじやないか、それがこういうふうな状態で停滞をいたしておることは好ましくない。或いは原糸課税等の問題が起りましたのも、何とか輸出を刺激して行きたいという、そればかりではございませんけれども、そういう考えも多分に入つておつたわけでございます。私どもは原糸課税につきましては、絶対にやはり別途の輸出方策を講ずべきである。そこで自然のままに放置すれば、現在のまま、現在の通りであつて養蚕業の前途というものはどうであろうか。思い過ぎと言われるかも知れませんけれども、私はやはりそうじやないので、どこまでもやはり輸出に重点を置いた蚕糸政策をやはり考えて行かなければ、養蚕葉の持つている高い使命と意義というものは非常に薄くなつて来るのじやないか、そういう点からいたしまして、自然のままで放置すれば、輸出が困難の状態に置かれておるから、そこに、輸出に主点を置いて行きますというと、どうしても或る程度の工夫が必要となる。これは考え方としての、自由経済を否定するとか、しないとかいう問題じやなしに、必要の前に、而も何と申しましても主要輸出品でございますから、臨時的な措置として、かような手段が必要じやないか。併しその予想いたしております法律を適用しないような状況の下においては適用しないわけですから、決して統制したいために統制するというのとは趣意が違うということだけを御了解願いたいと思います。
  53. 宮本邦彦

    ○理事(宮本邦彦君) 鈴木さん、ちよつと申上げますが、質問の通告順位がございますから、関連の範囲で以て、もう一問だけ……。
  54. 鈴木強平

    ○鈴木強平君 私として考えているのは、例えば昭和二十五年の日本の物価を一〇〇といたしますと、今日の卸売物価は二七三になる。例えばフランスが一五五になつているが、他国では大体昭和二十五年の物価に余り大きな変化はない。生糸はこれは一〇〇%原料から手間から全部国内の影響を受けておるから二・七倍になつているわけです。従つてこれを今のような人為的な措置を以て繭の価格をきめてしまうと、いわゆるそのために角を矯めて牛を殺すということになつてしまつて、そうした体系になつておるのですから繭の増産ができなくなる。この臨時措置法を出すということだけで百姓は考えるのじやないか。非常なそこに原価計算に大きな考え方の違いがあると思う。例えて言えば、紡績とか、羊毛は海外から材料が六制も入つて来る。原価のうち六割は材料費です。その材料費が国際価格だからまだよい。生糸の場合は一〇〇%国内のものに置いておる。従つてこの間もフランスの新聞が言つているように、朝鮮事変で日本は火中の栗を拾つていたけれども、その手はただれたままだ。かような大きな朝鮮事変による物価体系で生糸が高いのは止むを得ないじやないか。高いからといつてこれを抑えて行けば、生糸だけ抑えて他の物価をそのままで行けば繭の生産が減るのは明らかだと思います。ですから大臣の望むような生糸を輸出する前に生糸の生産が減るということになるのじやないか。これはよほど考えなければならないのではないか。従いまして養蚕団体や何かの意見を十分に尊重して立案しませんと、恐らく農林省も輸出のために、業界のために骨を折つておると思います。併しながら結果は違つた方面に行くのではないか。今までの六月からのリンク制、これは一時的なものでありましようけれども、かようなあれを以て暫らく養蚕業の動きを見ることが必要であろうと思います。六月を機会としてかような臨時措置法に行くことは非常な危険があることを申上げておきます。
  55. 河野謙三

    ○河野謙三君 質問に入る前にちよつと資料を要求します。先ほど問題になりました砂糖の工場別の終戦後今日までの割当の詳細をこの次の委員会までに御提出願いたいと思います。  農林大臣にお尋ねしますが、去る農林委員会であなたのいろいろ農政に関する抱負、経綸を伺いまして、その方向はまさしく私はすべて現下の農政の重要問題はとらえておられると思います。土地改良をやるのだとか、粉食奨励をやるとか、それに関連して畜産の増殖をやるとか、米の管理制度を変えるのだとか、肥料の需給調整をやるとか、共済の改善をやるとか等々、それぞれ私は緊急にして重大なる問題は農林大臣はつかんでおられると思います。ところがその方向はわかりましたけれども内容が何にも御説明がない。あなは我々と違つて批判の立場でなく実行する立場です。行政府農林大臣であります。従いまして今日はそれぞれの重要問題につきまして、時間の許す限り具体的に我々にわかるように一つ説明を願いたい。ただその御説明を頂く前に、私はこれらの重要な問題を羅列されましたが、一体その前提になるものについて少しも私は触れておらないと思う。この国会農林予算が少いとか多いとかいろいろ議論があります。私は必ずしも農林予算が少いとは思わない。今のようなでたらめな農林予算が使用されておるならば私は必ずしも少いとは思わん。そこでこの農林予算は誰が一体流すか。農業団体がはつきりそれをしなければ、しつかりとできなければ、この予算というものは依然としてでたらめな方面に流れる。そこでこの予算が多いとか少いとかいう前に、当然農林大臣は現在の農業団体の姿というものについて検討しておると思う。あなたは今農業団体の現在の姿はいいとお思いになつておるか、それとも前国会に出て流産になつたあの農林省提案の農業団体の再編成の法案をもう一遍出すつもりか。聞くところによれば、あれに対して農林大臣は非常に消極的であつた。別のお考えがあると、こういうように聞いておりますが、一体農業団体をどういうふうにされるつもりか、これを先ず私は伺いたいと思う。
  56. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 前回御審議を煩わしておりましたいわゆる農業団体二法案をあのままの形で提出する考えは今日ございません。これは二度の国会に亘つて審議を願つて御賛成を頂いておらんのでございますから、およそ国会の意思がこれを拒否せられたと見ることが正しかろうと私は思います。従つてそういう意味から私は出す意思を持つておりません。それから農業団体を然らばどうするんだ、まあやはり私は一番大事なのは単位農協が健全に強化、育成せられるということが今日は何といつても一番大事なことじやないかと思います。そこで再建整備等の法策を講じて育成強化の施策をとつておるわけでございますから、もう暫らくこの推移を眺めたいという考えです。率直に申上げますと、そういうことでございます。
  57. 河野謙三

    ○河野謙三君 単協を育成しなければならんという狙いは非常にいいと思う。ところが如何にして単協を育成するかという問題です。単協の育成というものは再建整備でできるものじやありません。単協の育成というものは全農民から農業協同組合が信頼されるとき初めて単協というものは育成される。ところが現段階においてなぜ単協が育成されないか、信頼がないからだ。なぜ信頼しないか、農業協同組合本来の使命であるところの生産指導をやつていないからだ。農政をやつていないからだ。農業協同組合から生産指導なり農政を取つて残るものは購買、販売事業、売つたり買つたりだけのことをして商人のまねをしたつてうまく行きません。そこに単協の育たない原因がある。これについてどうお考えになりますか。
  58. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私の狭い見聞でございますが、単協が健全に発展をして行くかどうかは、かかつて単協を動かす役職員に人を得るかどうかということであろうと思います。それは結局組織者である農業者が自分たちの利害に繋がる団体であるという自覚を本当に持つてもらわなければ、少々再建整備で国がどうしたからといつて、これはお話通りだと思います。要は農民の自覚によつて農協が如何に農民自身の利害に影響するかという、それを高めて頂くというところに私はポイントがあると思う。それなしには少々の細工を施してみたところでなかなかうまく行くものじやない、これは私の小さい見聞の中で見ます事例から、そういうふうに結論付けるのであります。
  59. 河野謙三

    ○河野謙三君 単協に人を得なければいかん、役職員がもつと熱心にしなきやいかん、我々の常に主張するところであります。併し如何に人を得ましても、役職員が如何に熱心でありましても、単協の重大使命であるところの今申上げた農政なり生産指導をやる機関が別にあつて、具体的に言うと農業委員会というものがその使命を担つてつて、単協の使命というものは単協本来の使命である農政生産指導というものを農業委員会のほうの使命に置き替えておるところに私は問題があると思う。そこであなたは現在の農業委員会の制度というものをなぜ必要だと思いますか、どこに必要な理由がありますか、これを私は伺いたい。
  60. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 河野委員の御意見を私は否定する考えは持ちません。併し農業委員会は又農業委員会として今日相当なやはり機能を持つておりますから、これを今どうこう言つて結論を付ける段階ではなかろう、こういうふうに私は思つております。
  61. 河野謙三

    ○河野謙三君 それを私は具体的に伺いたい。農林大臣が農業委員会に二十九億もの予算を出しておる。これには相当重大な使命を負わしておるわけです。ところがその使命を負つている農業委員会が今実際の農民と接して、町村の農業委員会なり、県の農業委員会がどういうことをやつておられるか、私はその点の認識がなければ駄目だと思う。農業委員会がこれこれこういうことをやつておるから農民の機関として離すわけにいかん。これは理由がなければ二十九億の予算を出せるはずがない。農業委員会の一体どういうところに必要な理由がありますか、私はこれを伺いたいのであります。
  62. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 或いは供出の面において、生産指導の面においての機能を今日果しつつあるわけでありますから、これを今結論的に団体再編成をどうするかという問題は、現状改善して行くことには私は賛成ではございますけれども生産指導の面も直ちに農協に今日移すと、持たしめるということは現段階で果してどうであろうかということで躊躇せざるを得ないわけです。
  63. 河野謙三

    ○河野謙三君 大臣にこの際認識してもらわなければ困る。あなたのような大きな政治家は、なかなか私みたいに小さな政治家の末端のことは知らないでしようけれども、たまには私の言う話を聞いておきなさい。町村の農業委員会は何をしておるか、成るほど農業委員会に課せられた使命は供出割当である、交換分合である、村の農政である、農地の執行事務である、いろいろあります。あなたが期待されておる供出事務は一体誰がやつておるか。実情は生産組合長がすつかり仕組を立てて、それを町村長に持つてつて、町村長が大体の段取りを付けて、形式上今農業委員会という制度があるから、村の農業委員会にかけてやつておるのですよ。交換分合はどうやつているか、実績が一番物語つているじやないか。農業委員会の大きな仕事は村の交換分合です。これがなかなか進まないが、農業委員会に対する熱意がない、能力がないからです。交換分合も農業委員会じやうまく行かない。供出割当の実態は農業委員会じやなくて生産組合長がやつておる、町村長がやつておる。それを除いたあとの残りは何があります。農業委員会は何もないじやありませんか。農地の執行事務は町村役場が大体やつておる。それから大事な農政をやると言われるが、おかしいですよ。農業委員会の書記は一体誰がやるのだ。村の勧業係が農業委員会の書記ですよ。村の勧業係に農政ができますか。成るほど国からはそういう重大な使命を与えておるけれども、町村の、又は県の農業委員会の実態というものはそういうものですよ。私は極端に申上げます。農業委員会に出す二十九億というものはどぶに捨てるよりもなお悪い。農政を徒らに麻痺させる、農政を徒らに混乱さしているだけなんです。そういうものについての再編成をしなければいかんと私は思います。農林大臣、それでもあなたは農業委員会というものはまだ重大な使命を持つて使命に向つて邁進しておる。農村のために大いに裨益しておる、それだからこれは大事であると、こうおつしやいますか。別の認識をお持ちですか。
  64. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私も農村の真中に育つておりますから、農会、産業組合以来の農村の団体の模様は見ておりますが、現在の農協は経済活動の面において大きい使命を持つておる。それはお話しのように必ずしも悪く行つておる所ばかりじやない。非常によく行つておる所もあります。これはもう誰しも認めるところであります。農業委員会又然りでございまして、農業委員会が相当大きな役目を果している所もあるのです。だから一概にはこれは結論付けられないと思いますが、私の個人の考えから申しますと、いずれにいたしましても農政上或いは農村の経済活動をいたして行きます上におきましても、そう幾つも団体は要らんと個人的には私は思います。併しともかくも今日の現状にはそれぞれの背景と意義があるわけでございますから、これを現状において統合という変革をする段階では私はないと思います。もう暫らく推移を見てからでいいじやないかというのが、これも私の偽わらんところでございます。
  65. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあ聞くところによると、農業委員会というのは非常に政治勢力があるから、それを恐れられて遠慮をされておるという話を聞くのですが、大臣の口裏を察すると大体その部類だと思いますが、私ははつきり言いますが、農業委員会にサービスしても選挙の投票は殖えませんよ。むしろ農業委員会をばつさりやつたら自由党の票は殖えますよ。私ははつきり申上げる。その程度の御認識はあると思う。そこで今ちよつと触れられましたが、少くとも末端の町村におきましては、いろいろの団体を整理しなければいかん、こういうことでありましたが、私もそれを言いたい。農業委員会であるとか、農業協同組合であるとか、農業共済であるとか、その他いろいろなものを一ぱい置いて、そこに混乱があり、そこに予算の浪費があり、そこに不正が行われておる。これは元から裏まで一遍にというわけに行きませんが、どうです、あなたの大臣在任中に、末端くらいあなたの理想に向つて町村だけ一本にまとめるというようなことをおやりになる意思はございませんか、これをおやりになつたらどうです。これをおやりになつたら名農林大臣になれると思う。これをおやりになる御意思はありませんか。
  66. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 御意見は十分拝聴いたしまして検討いたして行きます。
  67. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうすると、話は戻りますが、農業団体の再編成についてはあなたの構想のごとく、農業団体再編成の方針としては、今国会にお出しになる御意見はございませんか。同時に農業共済につきましても、抜本的な改正についてこの際両院の農林委員会の小委員会検討しておりますが、農業共済についての何か大臣としてのお考えをまとめてこの国会に出される御意思はありませんか。
  68. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 冒頭に申上げましたように、いわゆる農業団体再編成案をこの国会に提出するという自信は私にはございません。農業共済制度につきましては、前々国会における両院の御決議、御趣意もございますから、これは成案を得ましたならば当然出さなければならんと存じております。只今まだ両院においても審議過程に属しておるわけでございますから、結論が出ましたら、私どもの又責任において検討を加えて成案を得たいと考えておる次第であります。
  69. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますると、先ほどあなたからの施政方針の中の共済の改善ということは、これはあなた任せであつて、両院の農林委員会が何か案を作つてくれたらそれでやろうと、こういうことであつて、あなたの施政方針の中にある農業共済の改善云々ということは、これは御自身から改善に立上るという意味じやないのですか。
  70. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私の頭で何もかも事を運べるとは私は考えておりませんで、この問題は両院の農林委員会と私どもの協力事項だと実は私は了解をしておるわけでございます。でございますから、両院におかれまして改善案が整いますためには、農林当局も協力をして参つて来ておると思います。そこで成案を得ましたならば、これを具体化いたして行きたい、こう考えておるわけであります。決してあなた任せというわけではありませんけれども、それじやもうあなた方の議論はそれぐらいにして、これでやりますというわけにも参らんだろうと思います。
  71. 河野謙三

    ○河野謙三君 いや、我々も一生懸命にやつておりますけれども政府のほうでも二つや三つ、これではどうだという保利構想でも出してもらつて、そうしてお互いに行かなけりや僕はいかんと思う。それが大臣責任だと思う。そう大してくどくは申上げません。そこで一、二項目別にお尋ねしますが、土地改良を推進するのだということを申されましたけれども予算の多いとか少いということは触れません。朝日新聞あたりで農林省が会計検査院の槍玉に上つておる現在、我々が如何に農林委員をしておりましても、この予算が多いとか少いとか議論する勇気はありません。ただ土地改良につきまして二十九年度の新規予算事業は一切取止める、過年度のものにつきましては何年以内でこれを切上げる、こういうことについての根本方針があると思うのです。これを一つお示し願いたいと思います。
  72. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 来年度の予算では一切の新規事業を取上げないというほうは、これはかちんときまつておるわけであります。然らばすでに着手しておる分を何年で仕上げて行くかというほうは何もきまつていない。与えられている、この計上せられた予算を以てできるだけ早く完成のできるものから、そうばかりも行かんところもあろうかと思いますけれども、そういうふうに重点を置いて予算を執行して参りたい、こういうことしかないのでございます。
  73. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、過年度の分で計算すると百年も百五十年も二百年もかかるやつがありますね、こういうのはどういうふうに整理して行かれますか。まあおよそ三年とか、五年とかいうことで重点的に整理して行く方針なら私はわかりますけれども、新規はやらない、過年度の分も何年で打上げるかという方針が立たないということでは私はおかしいと思う。今までの分で計算して見ると百年も百五十年もかかる分がございます。そういうものはどういうふうに整理して行かれるか、これは御方針がお立ちになつておると思います。これを伺いたい。
  74. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 今農地局で既定計画中のもので、どこに具体的にどういう予算を配分、裏付けて行くかという検討をいたしておるわけでございます。或いはお話のような極端なものはないかとは存じますけれども……。
  75. 河野謙三

    ○河野謙三君 ありますよ。
  76. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そういうところはこの予算では賄い切れんと思う。まあ仮にありとすれば……。今農地局のほうで具体的に検討いたしております。
  77. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはいずれ農地局長から細かくお尋ねすることにして、次に大臣はしばしば御熱心に粉食奨励ということを言われる。それじや何をやつているかというと学校給食をやつている。ところが私はいつかも予算委員会であなたに申上げましたが、まあ学校給食もいいのでありますけれども政治は高い理想と遠い将来を考えるのが政治でありますけれども、足下の今日、昨日のことをやるのも政治だと思う。三十円のかけの「うどん」じや粉食奨励になりませんよ。東京都が指定店等を使つて自粛をしても、それでも「うどん」のかけは二十円ですよ。二十円、三十円の価格で粉食奨励言つても、これはやつぱり食うほうはそろばんずくなんです。口に押込むわけには行かない。これについて、粉食奨励と言う以上は粉食についての価格政策というものが立てられなけりやいかんと思う。何かこれについての具体策が当然あろうと思いますが、何かお考えになつておる点をお示し願いたい。
  78. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私もその点は全然同感でございます。同感でございますが、従つてまあ昨年あたり夏頃考えておりましたのは、何とか麦の二重価格的な操作がやれないかということが絶えず頭にあつて工夫をいたしておりましたけれども、だんだん財政状態が悪化して来るという状態からいたしまして、財政上の負担をして麦の値を現状よりも下げるということは非常に困難である。併しながら何と申しましても、それはもう価格、即ちこのほうが割がいいということになつて来ないと、恐らく口だけ奨励してみたところでそれが実効を奏するわけのものではございません。併しながら又そういう財政状況とも勘案をいたしまして、大体麦につきましては現状を以て安定して行くように、これがまあ今日期待し得る最善のところじやないか。どうも名案が出て来ないわけでございますけれども、要するに麦の価格を安定して参るというところに、これを基礎としての食生活改善粉食奨励を図つて参る、こういう考えでおります。
  79. 河野謙三

    ○河野謙三君 麦の統制撤廃の際は、たまたまここにおいでの田中啓一さんあたりと僕らは衆議院においてやかましく言つたのでありますが、あの出発点は麦の統制を撤廃することによつて間接的に生産者農民の価格を保証し、一方麦類製品の消費者価格も政府責任において保証しようというのが現在内閣がやつているところの麦の統制撤廃の趣旨であります。成るほど生産者のほうに対しましては、少し変なこともありましたけれども、一応生産者価格については保証しておりますけれども消費者価格については少しも政府責任をとつていないじやありませんか。今価格の安定を何か考えるとおつしやいましたけれども、価格の安定というのは、麦の統制撤廃の趣旨に鑑みて消費者価格をよろしく、補給金も出ているときでありますから、補給金の付いている国民の血税のかかつた商品について消費者価格を保証するのは当り前のことで、特に現在のように米が非常に不足して、それにつけ込んでパン屋やうどん屋が暴利を取つている、こういう状態において政府は早く麦類消費者価格についてマル公価格を作るとか、その他指定店を作るとか、標準価格を示すとか、いろいろな方途はあると思う。なぜそれに手を染められないのかと思う。何かおやりになりますか。それとも一方において、原料が僅か「うどん」一たまで粉代が三円三十銭しかかりません。三円三十銭の粉を丸めて「うどん」にして、つゆをかけて三十円、二十五円で売つてつて、それを食わしておいて相変らず粉食奨励奨励ということを言われますか。それともこれらの不適正な価格につきまして……、何も私は財政負担を言つているのじやない。これらの価格を適正に直せということを言つているのです。又直す必要があります。麦の統制をとつている以上は、それについて何か価格政策に具体案がおありかどうかということを伺つておるのです。
  80. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 現在の麦の値段が高いからもつと安く払下げろということであればこれは又別でありますけれども、うどん屋が幾ら儲けておるからどうしろということは、これは又麦はうどん屋に行かなくても自分で粉もあれば麦もあるわけですから、(笑声)うどん屋の値段をどうということは、それは東京都なり、どこなりでやつてくれなければ、私のほうでどうこうということは、これはできないと思います。
  81. 河野謙三

    ○河野謙三君 現に東京都は食糧庁と連絡をとつて原料の裏付を保証することによつてうどん屋の指定店を作つて、大体物は東京が高くて田舎が安いわけでありますけれども、今「うどん」は東京は二十円ですよ。はつきり申上げます。私のところの平塚は三十円ですよ、「うどん」のかけは……。ちよつとした農林省と県との指導よろしきを得れば「うどん」一杯で十円違つて来る。現に東京都でやつているじやないですか。何も私は別に一々国会におつて財政負担の伴うことを要求するのが国会議員じやないと思う。現に東京都ではあなたの部下の食糧庁と連絡をとつてつている。そういうことを現にあまねく北海道から鹿児島までやつていて、そういうことで粉食奨励ということならわかります。何も私は麦を安く売つて財政負担を殖せというのじやない。麦を売つて、その買つた麦で製粉なり精麦をして、そうしてそれでパンなり「うどん」なりを作つて売る人が、流通過程において米の不作につけ込んで余り暴利を取つているこの姿について政府が何ら措置をとらないでいて、一方粉食奨励々々と言うから、これはおかしいと思うのです。これについて現に東京都が具体的にやつておるのですよ。東京都がとつておられるように全国的にやつて、「うどん」を十五円なり二十円にしたらいい。そうしたらあなたが百万遍演説するよりも遥かに徹底します。それについてあなたのお考えを伺いたい。
  82. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 東京都のみならず、大阪におきましても同様のことは強く指導をしてやらしておるわけであります。これはいわゆるこの粉食の中間流通過程において不当に値上りをして行くということを抑制して行く手段として講じておるわけでございます。併しこの農林省全体の施策といたしましては、間接統制の妙味を発揮しまして、麦の値段を上げないというところに全力を置いております。そうして何と申しましても、まあうどん屋を例にとられますけれども、それは初めにお話のように、食べるか食べないかはやつぱり価格の問題、即ち割がいいか、割が悪いかということになつて来るでしようし、家でそれをいろいろな工夫をして食べて頂いたほうが安ければ勢いそうなるでしようし、少々安くてもまあ手間が面倒だからということになれば、そういうところに行つて食べられるかたもあるでしようし、そこを一々窮屈に考えないで、できるだけ私どもとしては値段が上らないように、麦については少くとも抑えられるだけは抑えて行くという方向を強く私どもはとつて参りたい。併しお話の点につきましては、何もかも国で面倒を見るというわけに行かんでしようけれども、簡単に工夫をすればできることは厭うところではございませんから、十分検討をいたして参りたいと思います。
  83. 河野謙三

    ○河野謙三君 これ以上この問題はくどく言いませんが、ただ間接統制の妙味とおつしやいますけれども、間接統制の妙味を満喫しておるのは麦の加工業者だけです。非常にこれは間接統制のお蔭で、政府から安いものを払下げてもらつて、それで第二次製品というか、第三次製品というか、「うどん」だとか、パンだとかというようなものを野放図に値を上げて、そうしてだんだん小さくして、まあ私は意地悪い質問をするわけじやありませんが、あなたは大体コツペパンが幾らしておるか、コツペパンの目方が幾ら軽くなつたか御存じないと思う。これは知らないのが当り前だ。私はそんなことを知らないからどうこうと言うのじやない。非常に今の麦の間接統制の妙味というものを味わつているのは加工業者である。この点だけは私は十分農林大臣は意にとめて一つ行政の面に実施して頂きたいと、こう思うのです。  それから、まあいろいろ畜産の問題もありますけれども、次に私は先ほど問題に出ました肥料の問題を伺いますが、まあ我々参議院の農林委員会では、肥料は余つたものは輸出していい、併しその時期は渇水期を過ぎた四月以降にしてくれ、こういう要望をいたしましたが、それに応えて農林省も随分その筋からの輸出についての政治的の圧力もあつたようでありますけれども、よく応えてこれをまあ今日まで引つ張つてくれたと、私はこの点は農林当局に敬意を表します。併し本日発表になりましたこの輸出数量の問題で私は腑に落ちないのは、農林省の発表だと思いますけれども、今度の輸出を許可することによつて、硫安はこの肥料年度末に十五万トンの在庫だと、こういうことが書いてありますけれども、十五万トンの在庫ということは、生産数量にして十七、八日であります。而もそれだけ少いのでありますけれども、それだけでもあればいい。肥料年度末に十五、六万トンということは、どうも五月なり、六月の肥料の最盛期においての肥料工場の在庫というものは、私は殆んど空つぽじやないかという数字が出て来るのですが、一体その点につきましては、先ほど肥料の値段につきましては責任を持つかのような御答弁がありましたが、必ずこの春肥につきまして農民に肥料が高騰して、肥料がなくて買えないというような迷惑をかけないということを私は言明を頂くならばいいのでありますけれども、そうでないならば、私はこの際に少しく具体的に、一体四月なり、五月なり、六月なりに在庫がどうなるのか、在庫の上から言えば値が上つて来るのだ、併しそのときにはこういう手を打つ、こういうことについての納得の行くような御説明を頂きたいと思います。
  84. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そういう意味で私は需給安定法が早く通つたらということを希望いたしているわけでありますが、併し輸出肥料につきましては、硫安につきましては内需を圧迫せざる限り輸出には協力するという、従つて裏返しに申しますれば、内需を圧迫するようなことでは輸出には協力はできないということを建前として指導して参つておりまするが、具体的な問題については経済局長から御説明を申上げます。
  85. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはあとでいいです。肥料の需給調整法が通つたらばとおつしやいますけれども、私は今申上げるように、輸出してあとの残りが肥料年度末で十五万トンということじや、私は肥料需給調整法の実施のしようがない。あなたが出した肥料需給調整法の味噌は、常に年間需要量の一割程度のものを、これを現在の状態であるならば全購連に預けて置いて、そうして需給調整をしようというのが肥料需給調整法の第一の味噌であります。ところが一割程度のものを全購連に預けるというが、預けるものがないじやないか。肥料の需給調整法が通つて、さあこれから始めようというときにどうしますか。私はこの点に非常に矛盾があると思いますので伺いたいと思います。
  86. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 硫安肥料につきましての需給調整法の趣旨から申しましての調整数量の問題でございますが、これは法案にはお説のように年間の需要量の一割、これが需給調整の保管数量になつているのでございますが、現在まですでに秋肥を過ぎまして春肥の最盛期を迎える場合に、只今の段階において保管数量はどの程度必要かということになりますと、又現段階に即した考え方、見込が必要じやないかというふうに思います。その辺につきましては、なお数字等に亘りましていろいろ御検討願いたいと存じまするけれども、この一月までの推移を見まするというと、年間百七十万トンの硫安系の肥料の需要見込につきまして、見込よりも三万トン余り需要が増になつておりますので、今後その趨勢が続くのか、或いは年間百七十万トンということで収まるのかというようなことも、いろいろ検討を加えなければならんと思いまして、そういうことと関連いたしまして、四月以降の輸出の問題についても、春肥最盛期に支障ないような措置を講じたいと考えております。
  87. 河野謙三

    ○河野謙三君 これはいずれ法案も出て来ることですから、その法案審議の際に又御質問申上げたいと思います。ただ一言申上げますが、需給調整法にはちやんとはつきり年間需要量の一割前後のものを確保すると書いてありますが、この数字がぐらぐらするならば、これは法律は出ましてもですよ……。
  88. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 法律はまだ通つていない。
  89. 河野謙三

    ○河野謙三君 通つていないかも知れないが、今通そうとして議会に出して我々審議しているのです。我々に審議をさしているならば、それに対しての備えが当然政府はなくちやいかんじやないか。若し二月なら二月に通るならば、三月からそれを実施するだけの準備がなければならない。一体肥料需給調整法を通す熱意があるのかないのかを伺いたい。今ちよつと大臣言葉を返されましたが、我々審議しておりまして、一体どういう心構えでやつておられるのか。必ず通してもらわなければ困るというのか、どうだかわからないということでやつているのか、これを私は伺いたい。
  90. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そうして御議願が出て参りますから、できるだけ一論早く御成立を願うように御協力をおついしたいと思います。私は是非一つ農村のためにこの法律の成立を心から希望いたしているわけでございます。
  91. 河野謙三

    ○河野謙三君 まあくどくは申しませよが、大臣の熱意のあるところは私はんくわかつている。然らばその熱意に対して具体的の備えというものは、法案の味噌であるところの年間需要量の一割前後のものを貯蔵するというところなんです。ですから、それに対しての備えをして置いて、さあ審議を急げというのじやないと順序が違います。この点はいずれ私は改めて伺います。次に、もう一つ肥料の問題で、衆議院の農林委員会で修正案が出て、硫安需給調整法を肥料需給調整法と変える、その内容についても大臣のすでにお耳に入つていると思いますが、この衆議院の修正案について大臣の御見解を伺いたいと思います。
  92. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 承知しておるはずだとおつしやいますけれども、私どもまだ承知をいたしておりません。
  93. 河野謙三

    ○河野謙三君 全然御承知ないのですか。あなたのこの間の施政方針の中に、肥料需給調整云々ということが出ておる、硫安需給調整云々と言つておられない。特に肥料需給調整云々と御説明になつておる、私は当然それらの衆議院の修正等も含んで、又あなたが所属しておられる自由党におきましても、肥料需給調整をやらなければならんということをこの間の党の大会で決定しておる。であまりすから、私はその点伺うのです。
  94. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 衆議院におきましては、まだ小委員会審議されている段階だと存じております。従いまして私はまだ小委員会審議の結果というものを承知いたしておらないわけでございます。そういう場合には十分考慮しなければならんと考えております。
  95. 河野謙三

    ○河野謙三君 それでは衆議院の各党一致の修正ということになれば、この法案政府がみずから修正して出直すお考えはございませんですか、どこまでも非常に肥料情勢が変つて来て、今肥料の問題はむしろ加里、過燐酸に移つておる、流通過程の面から言うと加里、過燐酸であります。これは経済局長もよく御存じのはずです。そういうふうに一年前の、あなたのほうでお考えになつて提案されましたものと肥料情勢は変つていると思います。そういう場合にそれに応えて衆議院で修正案を作つておる、それを衆議院の修正を待たずに……衆議院とよく、先ほどの農業共済ではないけれども、両院の意見をよく尊重して、それによつて改めて肥料の法案を建直す御準備がおありになりますか、どうですか、共済の問題と同様に謙虚な気持でこの肥料の問題に臨んでもらいたい。
  96. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 需給安定法はすでに前々国会から提出をいたしまして御審議を願つておるわけで、又衆議院におきましても小委員会を設けて頂いて、御熱心に御審議を続けて頂いておるのです。これはもう政府のほうからいたしますれば、その必要を痛感いたしまして、当時の輿論の趨向から見ましても、あの法案が大切だということで提出をいたしておりますが、併しながら、すでに御審議を願つておりまする以上、これは立法権の作用でございますから、私のほうで又それを撤回して出直すという考えは今日の用意は何もございません。国会の御審議を煩わすという建前で進んで参りたいと考えております。
  97. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはまあ形式論で、衆議院なり、参議院で修正した場合、あなたのほうで飲まれるなり、又初めからあなたのほうで修正案をきめて出直すなり、これは形式論と思いますが、いずれにしてもそういうふうな修正が行われた場合には、これは欣然としてそれに同意をされますか。
  98. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 若し修正がありましたときには、これは、まあ承知をするもしないも、とにかくこれは最高の立法権が発動するのでございますから、これには従わなければならんことは申すまでもないことで、いろいろの措置につきましては、そういう結果が出ましたときに十分検討いたしたいと思います。
  99. 河野謙三

    ○河野謙三君 大分時間も長くなりますから、私又もう一度ぐらい大臣に会えると思いますから、そのときにと思いますが、最後に輸入大豆の割当につきまして資料を、先ほどの砂糖の割当と同じように、輸入大豆のメーカー別の割当を一つ終戦以来今日までのやつを頂きたい。その趣旨はちよつと大臣に申上げて置きますが、最近輸出大豆油の報償用として、大豆油を輸出しますね。そうすると、それの報償としてその次の大豆の割当のときにはその工場にそれを持つて来る。それをぐるぐる報償々々と廻して行くから、輸出大豆油をやつておる会社は、具体的に言うならば、豊年製油みたいなものはどんどん雪だるまのように太つて来る。そうしてその犠牲になるのは国内の中小の製油業者なんです。割当を全部そつちに持つて行かれる。そこで稼働率が低くなるから中小の製油業者というものは採算割れをして来る。こういう形になつておる。これに対しまして私は非常な疑いを持つておる。それは輸出について、加工貿易で輸出大豆油についての大豆の原料を別に分けてやるならばいい。国内のものは国内で過去の実績とか、その他によつて公平に大豆の割当をして置いて、そうしてそれとは全然別の枠において輸出大豆なら輸出大豆を油の報償に出すならばそれはよろしい。そうじやないと私は承知しておる。そこに砂糖と同じように臭いと思つておる。その点につきましては私も調べますけれども大臣もどうも各省で大分スキヤンダルが多いので、そろそろ農林省に廻つて来る番だというようなことを言つておる人もありますから、大臣も、そろそろ砂糖とか、大豆とか、その他農林省が物資の割当をする業種につきましては、特に私は大臣に慎重な態度で臨んで頂きたいということを私は最後にお願いします。
  100. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 農林水産行政基本施策について大臣から御説明を承わつたのでありますが、その中について食糧問題は、その増産と供出とがやはりこれは根本になる問題だと思うのでありまするが、現下の極めて困難な国家の財政の下において、而も消費者の米価はどうしても上げることができないような情勢でありますが、その下で予算の枠に嵌められておりまする点から、勢い生産者に支払われる米価、即ち米価と言つても供出契励金その他のものを含みますが、いわゆる実質米価、その実質米価を引上げるよりほかに手がないと思われるのでありますが、これは誠に重大な問題であり、又増産にも非常に影響のある問題であると思うのでありますが、果して私が心配するようなことがないのであるかどうか、農林大臣の御意見を承わりたい。なおその下において、国内産米の供出促進を図るということが狙いであるようでありますが、これは殆んど不可能の事項であるように思われるのであります。この点につきましても農相のお考えを承わりたいと思います。
  101. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話の点に今日の食糧管理の最も困難なポイントがあると存じます。そこで広く今日の我が国食糧事情に対する生産者並びに消費者の深い理解を頂かなければ、私はこの管理がうまく行かないということを痛感いたしておるわけですが、即ち朝鮮、台湾という米の大給源地を失なつております日本として、而も米食に対する伝統の習性というものが抜かれない限りは、これは当然その米というものは高いのみならず、何と申しましても日本農村の柱となつておるものがやはり米でございますから、従つて消費者もこの米に対する深い認識を頂かないと、それはまあ今日からだんだん将来に、今日傾向が現われておりまするように、国際農産物がだんだん過剰時代に入つて来る。そうすると、成るほど日本の米よりも外米が安いという事態が出て来ると思います。その場合に差しかかつているのじやないかと思うわけですが、現状から行きますというと、すべてが米に、闇米に集中しますように、消費者の米消費における負担というものは相当重いとは存じますけれども、併しその他のものから比べますと、やはり米のほうが割がいいという状態になつておることは否みがたい事実でございましようし、従つて消費者側において私は相当米に対する負担を耐えて頂くということでなければ、食糧管理は到底うまく行かない。即ち無論財政力を以てこれを補なつて行く、即ち二重価格というような制度が安易にとられるというならば、これも非常に結構かも知れませんが、今日の財政事情はそれを許さないということになりますれば、私はいわゆる実質価格を引下げるということは現状において無論できないし、ここに食糧対策協議会国会の御意見等を十分拝聴いたしまして、来たる年度の処置を講じて参りたいというところに最大の実は苦心をいたしておるわけでございます。
  102. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 私はこういう米の足らんときには、配給制度はこれはしようがない、継続しなければならんものだと思うのでありますが、政府は国内産米の強制割当をこの際やめる考えはないか、即ち割当だけでありますが、そういうお考えはないか、米穀年度においても引続きこの強制割当というものを継続されるお考えであるかどうか。これを一つ承わつてみたいのであります。実は私の見たところでは強制的な割当供出の方法というものは全く行詰りだ。先も大臣が言われたごとく全く行詰りである。こういう工合に思うのでありますが、農林大臣はどんな工合にお考えであるか、将来の御方針はどうか、これを一つ承わつてみたい。
  103. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 管理をいたしまする以上、とにかく配給をいたすということが目的でございます。そこでここらについて十分御意見を伺いたいと思いますが、仮に実質価格を据置いて割当をしなかつた。それで無制限買入でやつたと、こういう場合に実際集まりましようか、集まらなければ配給ができない。それはもう意味をなさないということになつて参りましよう。問題をとらえるのみで、まだ方針を申上げるところまで至つていないわけでございます。この点は一つ御了承願いたいと思います。先ほどの価格の点、供出の点、配給の点、この三点というのが結局は食糧管理制度の改善を要する三点であろうと思いますし、十分慎重に一つ検討を加えて参りたいという気持でおるわけであります。
  104. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 只今のお説にありましたように、配給をする以上は集荷ができなければならない、果して集荷ができるかどうかというお考えのようでありますが、それがために今度の食糧問題の対策協議会ですか、その成果に農林大臣は多大の期待をかけておられるようでありますが、政府は供出制度に自信を失つてしまつた。そうして言葉が悪いかも知れませんが、全く手を挙げて、その結果、この供出制度というものに過大の期待をかけておられるのじやないか、こういう工合に思われるのでありますが、この点一つ率直にお話を願いたい。これはその協議会に責任をかけるべきものではないのであつて、これは農林大臣の一番大事な問題である。協議会では細部についていろいろなことを聞くことがあるにしても、根本の基本政策というものは大臣がちやんと持つておられるのでなければ、ただそのまま放り出して、これをただ一つよくやつてくれというだけでは、大臣責任が相済まんと思うのであります。そこでそういうような根本的のお考えをお持ちであるかどうか、この点を伺つてみたい。
  105. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 全く御尤もでございます。私もそう考えております。併し食糧対策協議会をこしらえて、そのほうできまりませんからと言つて逃れて行ける問題でもございませんので、食糧対策協議会の討議の結果如何にかかわりませず、どうしても政府責任においてやらなければならんことでございますから、これはもう無論政府の全責任でございます。併しながら、その全責任を果して参ります上にどうやつたらいいかということを広く御意見を聞きたい、これが協議会の趣旨でございまして、これらにつきましては、私としましては来米穀年度からは新らしいと申しますか、ともかく何らかの改善措置を講じて参りたい。これは手を挙げていると言われれば全くその通りだと申上げざるを得ないのであります。と申しますのは、強権で来ている、ずつと戦争中、占領中特に占領中のごときは最も強力な強権の下にこれはやつて来ているわけです。それを手が引けなくなつて、それでなくともできないのなら、手を挙げるより本当はしようがないところじやないかと私は思う。そこでどうしてもこれはやはり社会状況全体がそういうふうに変つて来ておりますから、もう余り詳しく申上げるまでもなく、今度のような、現在のような状態では食糧管理意義を半ば極端に申しますれば失うと言つてもいいくらいじやないかと私はそう考えております。    〔理事宮本邦彦君退席、委員長着席〕
  106. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 只今お話で、大変むずかしい問題であります。だから一つ協議会の全部のいい智慧を借りたいという意味お話でありますが、私はこんな至難に近いような問題は協議会といえども名案が出ない。そこでどうしてもやつぱり農林大臣みずからが一つの基本方針を持つて、かく行くべきだというところについて協議会で御意見を聞くべきである、こうい工合に思われるのであります。実は農村に入つて見ますると、供米の割当問題をめぐつて実に農民の間にいろいろな関係から暗闘が絶えません。誠に困つたものでありますが、これはそれもそのはずなんです。割当を強度に受入れれば農家は立つて行かん。そこで成るべく割当を逃れようとするのは当然であります。併し又地方庁で以て、知事よりも町村長、或いは農業委員会、或いは農協というものも、やはり自分の村を楽にさせるためには何としても供出の量を少くさせる工作ばかりしておるのでございます。従つて農民自分らのやつていることは、地方の知事も町村長もこれを応援してやつているのだから、自分らのやることは正しいのだという工合になつて来ておりまして、これは農村の人心を非常に険悪に導いて来ております。実に私は国家の将来のために誠になげかわしいことだと思つておるのであります。若しこういうような場合に、思想的に動かされるようになりましたならば、一遍に引つくり返つてしまうというような心配もないとしないであります。そこでこういう問題に対しては、供出制度というものは、別に方法がある限りにおいて一つ速かに廃止するという決心をなさるべきだと思うのでありますが、農村のそんな状況も、これを止むを得んとしてただ放つておいてよかろうということであるならば、これは大変な問題だと私は思います。私は農村に入つて農民と共にいろいろな問題にぶつかつておりますがために、そういう心配がひしひしと胸に迫つて来るものがあるのであります。そこでどうしてもこれは根本方針としては、こういうような強制割当の方針をやめるのだというお考えを持つて頂かなければならん。それからついでですから申上げておきますが、供米制度は、実は非常な経費と非常な労力と、そうして先ほど言いますような農村のいろいろなたくさんの問題を投げかけておりながら、実は成績はうまく行つておらない。闇米の流れる点等から考えまして、せいぜい六割か、七割しか強制力は及んでおらない、こういう状況であります。非常にたくさんの金をかけながら六割や七割のことであるならば、これは私はあんな強制割当をせずに放つて置いてもそれくらいの米は黙つて集まつて来るのだ。現に去年は確保量というものをきめた。いわゆる強制供出のほかに確保量というものをきめて、政府はこれだけ希望するのだということを加えて、約二割ぐらいのものを加えられたようでありますが、これは殆んど寄つて来ておるじやないですか。だから方法の如何によつては……、私が思うのに、実は大変矛盾したことばかりやるから米が寄つて来ないのだ。言換えれば、先ず税金を対象にしておる。供米をするというと、さつきの書類にも書いて来ておりましたが、まるで税金の登録をするのと同じだ。こういうことをやるならば、実は米が寄らんのは当然なんです。そういう関係等も出て来るのでありますが、併し農村の収益というものは、そんなものによらなくても、反別は隠すことができないのですから、そこでこの村の収穫は幾らということを税務署が調べて、或いは統計調査所の意向等も参酌してきめれば、極めて私はこれは簡単にできるのじやないか。そんな商人の帳面尻から上げるような問題ではない。極めて簡単な問題であるが、別の方法で何ぼでも私は税金はとれると思う。勿論収益に応じた税金をとるということはこれは当然であります。国民としてもそういう納税をしなければならんのでありますが、ただ供米問題に絡んでやるからうまく行かん、こういう工合に考えるのでありますが、そこでそういう問題を一つ取除いてしまう。今一つは取締りの強化をやらなければいかん。出盛り期にだけ取締りをするけれども、あとはそのままに放つておく。だから成るべく一つ闇米に流してしまおうというような結果が出て来ておる。現に取締りが強化されてから、実は政府にしばしば押えられるので、みずから超過供出をして出そうというものがたくさん出て来ておる。それがために、これは税金と関係があるからといつて、匿名供出等の方法も世間で言われておるし、又農林省みずからも匿名供出の方法でやらせようというというふうにも仕向けておられるようでありますが、そういうような問題等をいろいろやつてみますならば、これは政府が心配しておるようなこともなくなつて来て米は寄るのだ。一体供米ということをすらすらやるためには、農林大臣みずからが農民を信用しなければならんのである。今ここで強制ではとても寄りそうもないかと言われる。いわゆる農民に対する信頼感がない。又信頼させるような方法がないというふうに考えられておるところに、この供米問題の非常に不成績な原因がある。言葉は悪いけれども、人はやはりおだてて行くべきである。そうしてそれがためには税金の問題も直接関係がないようにしよう、取締りも強化しよう、そうして中間経費も非常に少くして、その経費は、生産者の米価を高くしてやるなり、消費者の米価を安くするなりという方法を用いるのだ。そういうことをすれば、官民一体、心ある者は、僕はよく言つておるのですが、救国農民運動とでも言うか、そういうものをやつて、根本から一つこれは精神的にも、又実質的にもそういう工合になつて、これに協力してもらうような方法を似て行くよりほかない。どんどん納めてくれそうもないと言つて農林大臣みずから農民に対して不信を投げかけておるということが米の寄らない原因である。私はただ二つの問題だけを申上げましたが、その他にも幾らでも農民が喜んで供出に応ずる方法があるはずだと、こう考えるのでありますが、こういう問題に対して大臣はもう少し農民を信頼し、農民に信頼される政策を用いて行くというお考えがないかどうか、これを一つ承わつておきたいと思います。
  107. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 私は日本農村に対する信頼と期待は何人にも劣らないつもりで自分でおるわけでございまするが、それだからと申上げて、供出が国がこのくらい欲しいというときにさらさらと出て来る性質のものではないというようにも思つておるわけでございます。そこでまあ税金の関係農家でも心配されておるわけですけれども、税金は大体まあその年の収量によつて、収量の判定は恐らく税務署がいたしておるわけでありますから、そこで供出が幾らされたとか、されないとかいうことではなしに、幾ら農家に収穫があつたであろうということを推定して税金をかけて来ておりますから、その点は実は農家の思い過ごしになつて来ておるわけでありますけれども、やはりそれが帳面に載るというと、それがすぐ税金に変つて来るという心配が過度にあるという点は、これは十分払拭して行かなければならん点であると思つております。それから代表者供出、匿名供出の代りみたいなことも最近になつてつておりますけれども、これも県によりますと、そんなことは要らんことだ、そういう手の混んだことをする必要もないというところもありますし、併し又どうしても何かそういう方法でなければ困るというところもあるのでございますから、それぞれまあ、今日は何と言いましても公選下の知事の下でありますし、できるだけその地方々々の事情と言いますよりも、気持の済む方法でも加えるということが必要であろうと思います。いずれにいたしましても、今日只今国民生活の実情、食糧事情の全体から申しまして、野放しというわけにはすぐは無理ではないか、どうしても管理をいたして参ります以上は、双方の利益を調和した管理制度を打立てなければならんということで、まあ十分御意見の点は伺いましたから、この上とも検討を続けて参るつもりであります。
  108. 北勝太郎

    ○北勝太郎君 只今お話の中に、代表者制度で米を出す、いわゆる匿名供出をするということも必要があるというところもあるが、必要のないというところがたくさんあるというお話でありますが、併しこれはいわゆる確保量という数の範囲内ということならば、私は必要がないということもあると思う。併し本当に自分の食う以外の米を政府に全部売らなければならんということが徹底しておる県だとは私は言えないと思う。まだたくさん隠した米を持たしておる。これらの農民に対して厳重にやると知事の選挙にも影響が来るというようなことから、そういう問題が起つて来るのだと思いますが、これはよほど根本的に私は検討を加えてもらわなければ、知事がこう言つたからといつて、これでそのままよろしいというわけにはいかんのだと、こういう工合に考えます。そこで一つできるだけ、農民自分の食う以外の米は国家が一手に集めることになつておるのでありますから、国家に売るのだという方針農民考えをそこに全部持つて行かなければならん、こういう点が私は今度の審議会等で研究される大事な問題じやないか、こう思われるのでありまして、一つ考えを願つておきたいと考えます。
  109. 戸叶武

    戸叶武君 二十九年度の農政食糧増産というものに重点がおかれなければならないと思うのです。ところが保利さんの農政というものを見ますると、その焦点が極めて羅列的であつて、ぼけておるような感じがしてならないのです。事実上この内閣におけるところの財政方針からいたしましても、国際収支の均衡を図るということに力点を置かれておるようでありますが、そういう点から見てもこの食糧増産の果すべきところの役割というものは多いと思うのです。ただ輸出が十一億五千万ドルに対して輸入が二十一億ドルもあつた、特需が八億ドルあつても国際収支において一億九千万ドルの赤字があつた、こういうものを克服するために先ず槍玉に挙げられたのが食糧輸入の問題だと思います。輸入の面において確かに繊維原料に次ぐ食糧は巨額な費用を使つておるわけです。繊維における加工貿易が可能であるのと違つて、この食糧の輸入というのは削減されるのは当然でありますから、昨年度の輸入食糧価格調整費三百億円に対して二十九年度は九十億円となり、二百十億円削減されたということも、これは我々は止むを得ない処置だと思います。ところでそれではこれに代るべきところの、食糧輸入が削減された以上は食糧増産というところに非常な政府の力が注がれているかというと、事実上においてそういう形跡が現われていない。あべこべに公共事業費及び食糧増産対策費というものは一千六百九億で百四十一億減つている。食糧増産費は三百六十三億円で五億六千万円殖えておるというかも知れませんが、これに関連のある冷災害対策費は本年度総額の五割を計上し、復旧する公約があつたにもかかわらず五百三十三億円、即ち百四十三億円も減り、農業関係だけでも六十六億円減つておるのであります。この面から見ても、こういう厳然たる数字が押付けられているのに対して、これは輸入を受けなくても国内の食糧が間に合う、食糧増産も可能であるという、そういう確信をどういうところを農林大臣は基礎として持たれているか、そのことを先ず第一にお聞きしたいと思います。
  110. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 食糧はどつちにしても国民生活を営んで参ります上においては、これはどつち道確保しなければならんことは申すまでもないわけでございます。ただ一応の予算計画としては来年度どのくらい内地で米がとれようか、これは大体平年作と見て計算を立てるほかはないわけであります。それでは平年作であつたとして、一体どのくらいの供出を政府が買上をするか、これはまあ大体二千六百万から七百万石くらいと見なければなるまい、上々に行つてそのくらいだろう。その足りない分はどうするか、足りない分については外米の輸入をするよりしようがない、それでは外米の輸入の価格は一体どのくらいになるのか、大よそこのくらいになる、そこで補給金はどうなるか、補給金はそこでこのくらいならばよかろう、こういうところで予算計画は一応立つておるわけでございまして、併し何人もまだ今日では今年の作況がどう推移して参るかということは、今日からはつきり立てるわけには無論参らんわけですけれども予算はともかくも計画を立てなければならんという上で計画を立てておるわけであります。そこで食糧増産関係でございますが、私も実質的には、予算書で殖えておるように見えても実質的には食糧増産費は殖えておりません。これはもういわゆる増産対策事業なるものは決して殖えておらないわけであります。今年でいろいろ紙上計画を何しますと、計画として言えますのは、この土地改良その他によつてもたらされるであろう増産というものはおよそ百十万石前後ではないか、これも併し計画であります。ただこの食糧増産の鍵は私がここで申上げるまでもなく、如何にせば……、決して土地改良をやつたからすぐ食糧増産ができる、或いは干拓開墾をやつたからすぐ食糧増産ができる、それは成るほど新らしく殖えたところはできると思いますけれども、問題はやはり農家個々の手に増産の鍵は握られておる、既耕地三百万町歩生産力をどう高め得るか、朝日新聞あたりで米作日本一の事業をやつて頂いておりますが、四石、五石、六石というように反当から上つて来る、今日の全国平均が二石一斗台であろうかと思いますが、ここに私は増産の鍵というものは一つあるのじやないか、無論基礎的な土地条件を改善して行くということが何と言つても根本でありますが、同時にそれに伴うところの耕作技術、新らしい進歩した耕作というものが伴つて参りませんければ、増産はこれは数字の上では何とも計画のしようがなかろうと思いますが、私は相当増産の可能性というものはまだ残されておる。そこにもつと力を入れて行かなければならんじやないか、例えば土地改良のあとの試験等につきまして、所要の経費は僅かでございますけれども計上いたして、そうして耕作技術の改善ということを熱心に考えておりますのもその一つでございます。無論これは計画数字の上から行きますれば、今年度増産対策事業として行う計画は、先ほど申しますような一応これも計画でありますが、併しいずれにいたしましても、国民食糧に事欠くということは、これは政府責任において絶対にできないことでありますから、一応の予算はこの通りでございますけれども、事態に応じてこれは善処して参らなければならん、こう考えております。
  111. 戸叶武

    戸叶武君 吉田総理は一兆円の枠を固く堅持して補正予算をやらんというふうに断言しておるのですが、食糧問題は非常に重大だから、今後においてももつと融通性があるように保利農林大臣は言われておるようでありますが、いずれにしても予算面と異なり、実質的に食糧増産費は殖えていないという農林大臣の率直な言明により、而もこの食糧増産計画というものが百十万石前後しか計画としては立つていないと言われておりますが、これは非常に私はやはり問題だと思うのです。毎年耕地が失われており、人口が増加して二百万石以上の増産がなされなければならんと言われておるときに、而も農林省においては、二十九年度において二百三十万石増産を目標に農地関係で七百八十億円を要求したが、それが食糧増配費として三百六十三億円に削られておる、こういうところから悲観すべきところの計画しか出なかつたのだと思うのでありますが、そこで農林大臣が言われるところの問題は、いわゆる今日この我々の食糧確保の問題でありますが、二十九年度の供出見込量を農林省はどういうふうに見ておられるか。前谷食糧庁長官の発表によりますると、義務供出が二千三百万石、超過供出が四百二十二万石、計二千七百二十二万石というふうに言われておるようでありますが、今農林大臣は大体二千六百万石、何も百万石違つたからといつてどうこう言うのではありませんが、大体見積りとしては二千六百万石乃至二千七百万石と言われておりまするが、併しこの数字を基礎として私たちはここで考えなければならないのは、農林省は今まで二十八年の米穀年度における実質的供給力なつた昭和二十七年度の産米六千六百十五万石、供出数量二千八百万石をこの最近における最高の成績として私は誇つてつたのではないかと思うのです。平年作的な見積りとして農林大臣は二千六百万石と言われておりますが、この二千六百万石、或いは前谷食糧庁長官は二千七百二十二万石と言つておりますが、この数字は昭和二十七年度の供出数量の二千八百万石に迫るものであると思うのです。決して平年作的な遠慮深い私は数字ではないと思うのです。いろいろな改良、工夫が行われるから増産が成立つであろうと言われておりますが、農林大臣も御承知のように、昨年度受けた農民の打撃というものは非常に甚大だと思うのです。その回復力を速かに直さしめるだけの施策も十分とられないで、農民の創意工夫によつて増産が可能であろうというような投げやり的なやり方によつて、果してこれだけの数量が挙げられるかどうか。その数字を基礎として、これは見込であるからといつても、見込みにしても一応の一つの数字を基礎として農政は立たなければならないのでありますから、農林大臣のその辺に関する確信ある御答弁をお願いします。
  112. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 確信あると言われましても、先ほど申上げたように、今年の米がどのくらいとれるかということは、そう余計とれるだろうと、或いは又冷害の続きが来るだろうといろいろ意見があるわけでありますけれども計画としては一応平年作と見るのが正しいのじやなかろうか。それでなければ計画が立たないのじやないか、そう申しておるわけであります。それから無論昨年の凶作による農家の打撃は、これが地域が深刻であつた所はよほどこたえると思います。そこにまあそういうことのために救農国会というものも召集されて、そして処置を講じて参つて来ておるわけでありますが、どちらにいたしましても決して予算は多くはございませんけれども、そういう増産計画にいたしましても、或いは農家努力に待つ、耕作の向上にいたしましても、これはもう幾らかでも増産を余計期待したいわけですけれども計画といたしましては、併しやはり平年作をとつて行くほかない。これは平年作の上に立つて予算計画を立てておるわけでございます。で、先ほど申しました今日の状況からいたしまして、私は二千六百万石及至二千七百万石あたりが大体買入れ得るいいところじやなかろうか、というよりは、私これは個人の何でございますが、計画は二千七百二十万石になつておろうかと思います。
  113. 戸叶武

    戸叶武君 それは天候に支配される農作であるから平年作で見込むより仕方がないと言いますが、私の言つておるのは、平年作ということよりも、非常に楽観的数字を弄んでおるという感じが強いので、少くとも明年の農業生産高というものが明確につかめないとしても、少くともその予算書の中に現われて来るところの数字的基礎というものは、一応とにかくもつと謙虚なる数字を出さなければいけないのじやないかと思うのです。それは議論になりますから、ほかに転じて行きますが、何がゆえに食糧増産費なり、食糧増産に関連のあるところの公共事業費なり、そういうようなものが削られて来たか、即ち冷災害対策費というようなものまでああいうふうに削られて来たかというのは、政府側においては無責任な議員立法の跡始末をするんだというようなことをふてぶてしくも言つておりますが、事実上には吉田内閣の監督下にあるところの地方官僚が予算を濫費し、地方の政党ボスと組んで冷災害というものの対策というものを非常に不まじめなものにしておるのです。その一つの具体的な例として、私は手近な栃木県における県会の決算において暴露された数字を一応御紹介しますが、二十七年度の栃木県の小平知事と堤副知事の出張旅費はすべて国から交付された災害復旧費の中から支払われておることがわかつた。小平知事の出張旅費は二十四万七千十六円、堤副知事は十四万七千七百三十円に上つておる。而もそういう費用というものは決して災害のために必要な措置を講ずるための出張旅費ではない。全く他の方面の目的の出張旅費がこういうところにまで食い込んで、その弁解を下野新聞に堤副知事が述べておりますが、これは私は些細なことのようであるけれども、こんなように食われるとかないませんから、あえて速記に残すために一応朗読いたします。「堤副知事談 知事や私の旅費は成るべく事業費にしわ寄せとならないよう災害復旧費のうち一定割合できめられた事務費から支出していた。各事業ごとの予算から我々の旅費を支払うことになると、それだけ事業費に廻す純県費が少くなるので、むしろ事業費の圧縮にならないよう配慮した上の措置で、これがいけないとすればまた何をか言わんやだ。この措置は今に始まつたことでなく、二十二年以来ずつと行なつて来たものである。とにかく災害復旧費の金額は何億円という厖大なものであるから、このうち何パーセントを事務費に廻しても相当な額となり、これを全部関係職員だけで使うことになると、土木部の職員は年中出張し通しということになり、これを当り前に使えば相当額を国に返還しなければならなくなる。こういうわけで我々の旅費は県財政を考慮して災害復旧費から支出していたもので、厳密に言えば予算科目の流用ということにもなるかも知れないが、各県でも行なつていることであり、我々としても慣例として二十二年からずつと行なつて来たわけだ。」、これは県会の答弁としては県の金を使つたんではない、国家の金を我々は勝手に濫費しているのだから一向差支えないだろうという答弁になるかも知れないけれども、少くとも一国における官吏として、こんな不まじめな弁答というものはない。これは栃木県だけではないと思う。全く今日におけるところのこの行政官僚の行き過ぎというものは、国の、我々が災害復旧費なり、食糧増産なりにこの立法化して流すところの金というものは、こうやつて知事や副知事に濫費されているのである。これはもつとあとの暴露になりますけれども、本日の下野新聞によりますると、農業共済のこの濫費振りというものは全紙に挙げられております。農業団体の腐敗、官僚の腐敗、全くこれを……、而も我々はこの農業団体に対する勧告というものを相当に農林大臣なり、農林省というものに対して今まで強く要請しているが一つも実行しない。而も裁判所なり、或いは国警なりから要請されても、それに対する答弁というものは逃げ口上ばかりである。これはあとでびしびしと具体的事実を出して、とにかくこれは農林省に対しても当然砂糖の問題にしろ、いろいろな問題がとにかく私は火がつくと思いますから、その機会に追撃戦を行うつもりでありますけれども、こういう不まじめな形で、先ほど河野君が言いましたように、末端における官僚、それから農業団体というものが国の金を食い潰している。こんな濫費の方法に対して然るべく農林省というものは今まで相当の監督をやつているのだし、この資料を持つていると思うが、一応とにかく農林大臣から、如何にしてこの食糧増産に必要なるところの費用が削減されたか、削減された根底においては官僚と農業団体のボスにおいて食い潰されて来たこの部分がこういう結果にしわ寄せされて来たということを我々が理解しなければ、この食糧増産に関連するところのいろいろな諸予算が削られたということに対して納得できない面があると思う。そういう点で農林大臣としての所感を承わりたいと思います。
  114. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そういう意味から削減をされたとか、緊縮予算が編成されたとかということは全然ございません。この公共事業費の中に附帯事務費というものが三%か入つておるわけであります。栃木県の例をお話でございますが、恐らくその点をつかんでいるのじやないかと思うのでありますが、いずれにいたしましても公共事業を推進して行く上におきまして事務費が要ることは、これは事務費なしに公共事業ができるとも考えておりません。それは国で面倒をみておるわけであります。それが多かつたとか、少かつたというところは、それは若し不当に予算が出されておるとすれば、それは不当なことでございます。出すということ、そういうことについては或る程度事欠くかも知れないけれども、不足ながらも、そういう処置をとつておるということはあるのでございますから、それのことが出ておるのだろうと思います。
  115. 戸叶武

    戸叶武君 私が言うのは、事業費を全部なくしようというのではないのであります。少くとも昨年度のようにああいうふうな大災害のときに何億というような金が投げ出されるときに、そのパーセンテージでこれは事業費だから勝手に我々が出張旅費として使つてもよいというようなこと、それが当然であると思うような考え方が官僚の中に瀰漫しておるとすれば、由々しき大事だと思うのであります。少くとも自分たち事業費を少しでも削つてそれを食糧増産の方向に向けてやる、農民のためにしてやるというのが当然であつて、そういう方向に持つて行くのが、少くとも保利さんの主眼としておるところの農政の眼目でなければならないと思うのです。私は官僚上りの保利さんならばそういうことは言わないが、少くとも吉田内閣の中において比較的苦労人で通つている保利さんが官僚擁護の代弁みたいなことを言われては困る。而もその出張旅費というものはどういうふうに使われたかと言えば、災害復旧費でないところの慰霊祭や教育関係の視察というものに災害関係の事務費が使われていいのかどうか、そういう点を私は言うのであります。そういう点は保利さん、今後もあることだから、この通り二十二年からやつて来ているのですから、恐るべきもので、未だにわからないということでは困る。そういうことは些細のものでありますけれども、一般国民がそれを受取る感情というものは非常にいけないと思う。
  116. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 農林予算につきまして、予算の執行につきましては、会計検査院の検査報告を拝見いたしましても、実に当惑をせざるを得ない検査報告をもらつておるわけであります。国会で御審議になつている通りでございます。この点につきましては、予算執行につきましては最善の注意を払つて参りたいと考えております。なお、何か砂糖が食糧庁あたりで扱つているものについてかんばしくないようなお話もございますが、これは無論私としましては、何としても国民の利益のために農政を預かつて事業をいたしておるところで、若しそういうふうなことが一件でもありますことは私の責任といたしましても許されないことでありますから、十分注意をいたしておるつもりでございますが、どうかお聞き及びのことがございましたら、ほかの機会で結構でございますから、遠慮なく御注意を頂きたい。一点さようなやましいことがないことを期して責任を果して参りたいと、こういう気持でおるわけでございますから、お気付きがございましたら、どうぞ御注意頂きたい。但し私は今日におきましてはさような事態は断じてないということを確信をいたしておりますが、どうも余り大きなことを言いまして、あとで又何でございますが、御注意は十分聞いておきます。
  117. 河野謙三

    ○河野謙三君 今農林予算の削減について、大蔵省が言うところの濫給というような意味から削減を大蔵省がきつくした。私はそれに対して何ら答えることのできないような濫給の事実があるから、農林省は予算の削減について私は或る程度屈服した、かように承知しておるのですが、農林大臣はさような意味予算の削減に応じたのではない、こういうことをおつしやいましたが、私は委員長責任において、極めて近い機会に大蔵省農林予算の担当官を呼んでその問題については質したいと思うのですが、私はこの場合に大蔵省に質すものでありますが、例えば昨日も申上げましたが、農薬の予算を削られたのは当り前です。農薬の末端における補助金はどういうふうに使われておるか、農林大臣のお考えになつておるものと全く別な方面に使われておる。そういうものに対して大蔵省からメスを入れられて、それに屈服せざるを得ないで農業予算が削減されたのが大きな原因であると思います。そういう事実はないのだということでありますから、私は今日大蔵省の農林担当官を呼んで、この際そういう意味で削つたら只じや引込めない。そういう意味で呼んで、同時に会計検査院も呼んで頂きたいと思います。
  118. 戸叶武

    戸叶武君 農林大臣が非常に大きなことを断言しちや済まんがと言つて遠慮深くものを言つておるようでありますから、これは改めて農林大臣責任において、これは農林委員各自もいろいろな資料を持つておると思いますから、改めてこれは農林大臣に出席してもらい、食糧庁長官だけでなく、農林大臣の言明を裏切らないように一つ委会員の質問戦に答えてもらいたいと思いますから、それは後日に譲りますが、この食糧増産の面において米のほうであやふやである、そういうところを、とにかく外国から米が輸入できないから小麦を当てようという形も一つ考え方である。又保利さんが考えるようにもつと総合的にこの食糧問題を考えて、蛋白資源、油脂資源をもつと取入れるような形にして行かなければならないというのも一つの大きな農政としての一つ考え方と思いますが、それではどういうふうに酪農関係振興というようなものに予算が振向けられているかというと、二十九年度においては総額僅か八億九千九百万円に過ぎず、前年度の五億六百万円というものから見るならば確かに殖えてはおりますけれども、非常な私は力の入れ方ではないと思うのです。私は保利さんを別に究明するのでなくて、保利さんにお願いしたい点は、とにかくこの面でうまく行かないから、外米輸入というものは駄目だから小麦を輸入して行くんだ、又食糧増産の面においてなかなかこれは米の増産というだけでは駄目だから、こういう形において酪農を盛んにして行くんだ、それでこういうふうに我々はそこへ力を注いでこうやるのだというような、どこか力を中心に入れるものが保利農政にはない。非常に円転滑脱で苦労人で、吉田さんの側近においても或る意味においてまとめ役だから、保利個人の犠牲になつて農政が犠牲になることに対しては、我々はこれを肯んずるわけに行かない。どうも保利農政の暗影というものは、保利さん自身内閣のまとめ役になつて、結局は自分のところでいろいろなものを削つてつてしまうというような、結果的には保利農政の貧困がそこに露呈して来ているのじやないかという感じが深いのでありますが、酪農振興ということはあなたも非常に力を入れられておるようですが、なぜこのくらいの予算しか突つ張れなかつたのか、その点を承わりたいと思います。
  119. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 御事情はいろいろ承わりましたが、突つ張りましたぎりぎりのところがそこに出ておるわけであります。
  120. 戸叶武

    戸叶武君 それではここの全部に現われた農政関係予算保利農林大臣の突つ張つた最大限のものであるということを我々は了承してよろしうございますか。
  121. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その通りでございます。
  122. 上林忠次

    ○上林忠次君 食糧管理政策と、それから粉食奨励の問題ですが、簡単に一つ質問申上げたいと思います。食糧庁を中心とした農林省におきまして、この大問題に相当研究しておられるはずでありますが、先ほど大臣の話を聞いておりましても、この流通制度をどうするか、管理制度をどうするか、又この粉食奨励についてどういうふうな手を加えて行くか、いいお話を聞き得ないのであります。勿論我々まあ批判する立場でありまして、この問題は農林省において専門家がうんと検討してもらわなくちやならない問題でありますが、去年あたりから現政府考えておりましたこの食糧のコントロールを解放するというような問題もありまして、その後今年の米作の作柄は悪かつたということで一頓挫したような状態でありますが、今年の米の闇相場、又それと公定価格、これとの開きがだんだん狭ばまつておる。勿論供出制度があるためにこういうふうな闇相場がこの程度に抑えられているのかも知れませんが、この際手放したらどうなるか。案外そう上らずに、闇相場は案外低い値段で抑えられるのではないかというような気もいたすのであります。先ほど農林大臣の御意向では、なかなかスタートしにくい、大きな危険な問題であるからなかなか思い切りができないというような御意向もありましたが、この米の統制を一方解きまして、これに対する補給金を麦のほうに引つかけて行く、まあ粉食奨励従つて相当安い小麦も入つて来ましようし、これと一緒にした内地の麦の値段とプールして、而もこれは米に与えている補給金をこれに食つ付けて行く。そうして米が少々高くなつても半面安い粉食もあるぞと、例えばまあ極端な意見かも知れませんが、パン食を今の三分の一くらにする、そうしてまあ蛋白資源、又油脂資源を十分これに当てて行くということをしない限りは、粉食を如何に奨励しても、今のような奨励の程度では粉食なついて行かない。欧州におきましても、あの狭い地域で食糧の不足した時代に、小麦から馬鈴薯に転換したというような現状でありまして、我々のこの日本がいつまでたつても米に依存するならば、いつまでたつてもこの米だけでは需給安定できないという日本の将来を考えますときに、この際思い切つて麦に代えて行くということを考えましたならば、農林省では現在でも麦の増産すら考えておらない、又統制の撤廃ということも全然考えておらない。事務当局では考えておらないということも聞いておりますが、この際こそ思い切つてやらにやいかんじやないか。その方法としては、先ほど申しましたように麦は再生産ができるような値段で買うてやる。その代り売る値段は、消費価格は二重価格で三分の一ぐらいにしちやえという極端な手を講じなければならないと考えるのでありますが、それに対してもう少し農林大臣の御意向を伺いたい。
  123. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 上林委員の御意見は一方の有力な御意見だと私は傾聴いたします。かくのごとき現状の管理の状態で管理の価値ありや否やということを私は又自分で反省いたしているわけであります。お話のように闇価格と公定価格というものが食つ付いているというようなところまで若し行つているとすれば、私は問題はなかろうかと思いますが、相当の開きのあることも否めないのであります。そこで食生活改善粉食奨励ということが昨年の凶作で火がついたように要請されて、まだこれは声が立つたところだけで、台所を受持つておられる主婦のかたがたも、今日の食糧事情では、日々の食生活を家族のために営まれるのは容易は苦心じやなかろうと私は思うのであります。無論高くなり、又質も余りよくない米も相当配給されているわけでありますから、麦についてお話のようなところまで措置を講じましたならば、私はよほど又変つて来ると存じますが、そうしまするには、やはり麦の供給力を殖やすには、これに伴うやはり蛋白、脂肪の食糧を殖やして行かなければならんのじやないか。一面食生活改善粉食奨励ということが非常に強く世論の声となつて、これは相当台所を受持つておられるかたにも私は響いていると思います。これは非常に結構だと思いますが、さらばとて、それではここですつと切替えた場合にどうなるか。成るほど需給の関係から何と言つても朝鮮と台湾の米が入つて来ない。人口は二千万から殖えているというので、需給の関係がこうなつております。そして米に対する執着、購売力というものは非常に強いわけでありますから、一面三度々々米を食う人が出て来る。その半面には食べたくてもどうも食べられないというような部分が出て来るのじやないか。それが社会的にどういう状態、事態を醸し出すかということは想像するまでもないのでありますが、蹈切りが付かないのはそこでございます。そのためにはどうしても粉食奨励への基礎的な施策政府は大急ぎでやらなければいけない。先ほど戸叶委員からお叱りを受けておりますけれども、この予算の中で酪農畜産にかなり力を入れておりますのも、そういう意味でありますし、更に又マーガリンの増産も来年は五万トンぐらいの計画を立てて、それでなお且つ足りない部分につきましては、需給を睨合わして外国製の乳製品も輸入を躊躇しないという方針で行きます。とにかくもう少し私は地ならしの時間が必要じやないかというように考えているわけです。只今の御意見は非常に傾聴いたしました。
  124. 上林忠次

    ○上林忠次君 附加えまして副食物の点でありますが、副食物も合せて安い値段で提供してくれれば、そう米にばかり執着しないのじやないか。副食物を高くして置いて、さあ附いて来いと言つても、小麦も粉も高いし製品も高い。それではとてもやつて行けないと思いますから、粉食奨励言つて奨励になつておらん。そこを思い切つて粉のほうが安いのだ、生活費が安いのだと言うて米のほうの補給金を廻してやるという工合にお願いしたいのですが。
  125. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 いつもしんがりをやるほうで誠に時間が遅くなつて申訳ないのですが、殊に大臣は今日は辛抱よくおいで願いまして非常に御迷惑だと思うのですが、最も重要な問題といたしまして私が取上げんといたしますることは、肥料需給安定法に伴いまする問題であるわけであります。それは御承知通り肥料需給安定法では、私の漏れ聞くところでは衆議院の小委員会でもこれはいろいろ修正しようとしておるようでありますが、硫安を肥料に直して或いは過燐酸、或いは加里もこの中へ入れようという考え方があるようであります。今肥料の消費者といたしまして、又農民の経済の上におきまして、肥料問題として殊にこの際需給安定法も重要でありまするけれども考えなければならん問題は、配合肥料と化成肥料の問題だと思うのであります。この配合肥料と化成肥料は御承知のように二十五年に肥料の統制が撤廃されまして、その後におきまして相当の進歩をして生産販売しておるのであります。この量は初年度におきましては五万トンくらいしか売れておらなかつたのが、現在では八十万トンに化成肥料が及んでおる、而も配合肥料は二十万トンも殖えておる、即ち百万トンもこれが売れておるという状態であるのであります。先ほどお話があつたように、硫安も先ず百七十万トンから百八十万トンくらいのものであつて、而も石灰窒素を入れますると五十万トンくらい殖えるでありましようから、窒素質肥料といたしましては相当なものでありますが、過燐酸石灰が相当量あります。加里は百五、六十万トンと言われておりますから、全部の肥料はまあ四百五十万トンからせいぜい五百万トンと押えなければならんうちに、化成肥料と配合肥料で百万トン売れておるということは、これは化成肥料が全く成分的に見まして適正な価格で売れておるか、即ち保証票によりましてこの成分が成分通りの価格に幾分の利潤を加えた程度において、これが売れておるかどうかということについては頗る疑問があるのでございます。殊に地方におきまして、配合肥料或いは化成肥料を調べてみましたところが、一割くらいはその成分が不足しておるというような実情があるのであります。この肥料の取締法を読みますると、この取締法から言いますれば「肥料の品質を保全し、」ということが一番初めにもありまするが、品質の保全なき化成やら配合肥料は非常に危険である、而もその後の問題は御承知通り単肥で配給しておるところの農業団体が、この面で非常に販売上におきまして苦慮しておりますることは御承知通りであります。若しもこの化成肥料がどんどん大きくなるならば、単肥として売れる量はだんだん少くなるということは火を見るよりも明らかだと思うのであります。そういう点から行きますれば、過燐酸を作つておりまするメーカー、例えば住友とか、日産とかいうようなところにおきましては、これは過燐酸を化成肥料に配合するのでありまするからして、これによりまして単肥としてはとかく配給が少くなり勝じやないか、又そうして売るのが一番儲かるのだということによりまして、メーカーの仕事をますます助長することになるのであります。併しながら、この配合の問題につきましては、この取締法に示してあるごとく、農林大臣の登録認可を要する関係がありまして、誰でもできるわけでありまするが、これをするためには相当の日時を要し、而も一件ごとに千円か、二千円の手数料を払わなければならんというような実情になつておるのでありまして、この点から行きまして、而も農業団体、例えば単位農協というものがこの肥料の配合をしようといたしましても、登録をされておらなければ配合ができないという実情にあるのでありまして、この際肥料の施肥の合理化を図るという意味におきましては、配合肥料が最もいいのだという意味におきまして、地方におきますところのそれぞれの生産指導をしておりまする技術員が、こういう配合をするのが一番適正ということで、地方庁におりまする立派な技術者がこういうものを配合することがこの土地では一番いい、又こういう作物にはこういうものでなければいかん、又こういう地方の気候の状態では、こういう配合をするのが一番生産力を増強されることであつて安全であるというようなことは地方が一番よく知つておりますることは、今更私が申上げるまでもないのであります。これを農林大臣の登録認可を受けなければならないということは、農林大臣はどこの村、どの地所は、又どういう作物を作つておりますものに対して、どの配合がいいかということは、これは言えないのではないかと思つております。この点から見まして、地方の実情をいろいろ知つております都道府県の長官にこの認可権を与えることが最もこの際において必要ではなかろうかと、こう思うのであります。私は若しもそれがいかんということであるならば、農協自体は、これは言うまでもなく、農業団体というものは私が言うまでもなく、農民のためにする一つの団体でありまして、農協精神の上に立つところの団体であつて、これは配給者ではないのであります。従いまして農協の場合におきましては、この配合は県が監督し、それぞれの技術者が監督して、それに対して保証票を附けて配給するとか、これを許すというような方法もないのではなかろうかと、こう思うのでありますが、この点につきましては、いろいろ実例を申上げたいことはたくさんあるのでありまするけれども、時間も切迫しておりまするから、こういう点に関しまして、この際肥料需給安定法、あれを審議するに当りましては、先ず第一番に農民自体のために、農民経済のために、又農民が合理的な施肥をすることができるような、そういう指導をこの際食糧増産の上から見てもしなければならないときに当りまして、この問題は非常に重要だと私は考えておるのであります。そういう点から行きまして、この際にこの肥料取締法を改正する御意思があるかどうか、又今言つたような意味におきまして改正する御意思があるかどうか、この点を農林大臣に伺いたいと思うのであります。
  126. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 肥料に関するいろいろの行政措置を講じておりますことは、お話のように全く個々の農家の利益を考え措置をいたしておるわけでございますから、只今お話の配合肥料の生産販売の実情等につきましての御意見は御意見として誠に御尤もであると存じます。十分検討いたして力の副える限り副えたいと私は考えます。なお詳しいことは経済局長からお答えを申上げます。
  127. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 化学肥料の登録につきまして農林大臣ということになつておりますことは、特に協同組合等におきましては工合が悪いということは御承知通りであります。立法当時は、あれは府県知事にするはずであつたのでありますけれども、当時の事情で止むなく農林大臣なつたという事情もございまして、現在のようなことは必ずしも我々の趣旨としておるところではございませんのでありますし、又化成肥料に対しまして措置する一つの方策といたしましても、配合肥料、特に農協等がいたしまする配合を助長するという必要がございまするので、取締法の手続の厄介な点をできるだけ簡便にいたすように只今研究いたしております。法律はそのままで行政措置でできないかということも検討いたしておりますけれども、若干無理があるようでございまするので、できまするならば今国会でも法律の改正をお願いしたらどうか、かように考えておるのであります。
  128. 河野謙三

    ○河野謙三君 関連して……。その肥料取締法の改正案は今国会に出されますか。
  129. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 必ずしも政府提案というふうに確定いたしたいのではございませんが、丁度衆議院でも只今森田委員からお尋ねのような問題が先国会から提出されておりまして、行政的措置でできないかというのも我我は検討いたしたのでありますが、ちよつと無理なようでございますので、それでは議員立法でといつたようなお話も一部ではございまするので、場合によりましては議員立法で改正提案されるのではないかと思いまするけれども、これはまあ政府提案いたして悪いという趣旨はございませんから、そのようにいろいろ今後手続きの問題として研究したいと、かように思つております。
  130. 森田豊壽

    ○森田豊壽君 政府で提案をしてもらうことが私は一番いいと思います。これは極く些細な問題でありまして、できるようにして頂けばいいので、今の状態ではこれは実際においては非常に不合理であつて、化成肥料助長法であるとかということになる。これはもう当然最も合理的な単肥の安いものを買いまして合理的に施肥をして行くということに対して、それを奨励することこそ食糧増産、又農民が経済を向上させるゆえんだと思うのです。これは議員がこんなものをいじくつておるものでなしに、予算上の何と関係はないわけです。予算関係があることならば、議員のほうから出して来れば、おれが大蔵省と折衝するというお話もあるようでございますが、予算関係がないので、私は今日においては一番いい問題だと思うのであります。それで申上げておるわけですから、これは一つ政府から提案して頂くように農林大臣一つ考え願いたい。経済局長にも更にそういう気持になつて頂きたいというお願いを申上げます。
  131. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) これはお話通り政府提案として一向差支えないものでございまするし、そうしてもいいのでございまするが、折角御熱心に衆議院のほうでお考えになつておる議員の先生もおられますので、差出がましく政府提案にしたほうがいいかどうかちよつと私……。
  132. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 時間が過ぎておりますから、どうぞ一つ……。
  133. 東隆

    ○東隆君 私は織物消費税、これは反対なんですが、先ほどの問題もありましたが、羊毛の場合は私は原毛に課税をするほうがいいのじやないか。そして輸出に対しては戻し税をする。こういうことにすると私は国内で生産される羊毛は大変都合がいいじやないか、こう考えますが、これは閣内をまとめるという意味でなくて、農林大臣としてそういう態度がいいじやないかと、こう思いますので、特に農林大臣として今申上げたことにお答えを願いたい。
  134. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) ちよつと申上げますが、東委員は最近お変りでありますが、この問題は御承知と思いまするが、この前の農林委員会で全会一致で生糸、国内産の羊毛についてはやはり原糸課税では困るという決議をしておりますが、その点をお含み置きを願います。
  135. 保利茂

    国務大臣保利茂君) お話の点は私どもも前から心配しておる点でございます。更に努力をいたしてみます。
  136. 戸叶武

    戸叶武君 資料の問題でありますが、先ほど農林大臣お話もありましたけれども、衆議院の農林委員会会議録の第六号、昭和二十九年二月三日の中に渡部官房長の説明の中に、「災害復旧費につきましては、復旧費の使途等につきまして会計検査院、行政管理庁監察部等のいろいろな調査等がありますので、それらと突き合せまして、さらに再査定を要する分につきましては再査定をいたしまして、今後遺憾のないようにして行きたいと考えております。」という説明がありますように、相当私はいろいろな問題が起きているのだと思います。農林省関係の特に食糧増産関係があるのでありますが、今会計検査院、行政管理庁監察部等で以て取調べを受けている事件、そういうようなものの資料を一つたちのほうに提示してもらいたいと思います。なお、私らのほうから繰込むものも随分ありますから、それを併せて一つ一本やりたいと思います。
  137. 保利茂

    国務大臣保利茂君) その資料は整います限り提出いたしますが、先ほど申しておりますように、農林予算に、会計検査院の検査報告には、国会に提出されておりまする中に非常に多いということを私は当惑しているということを申上げておるところであります。先ほど来農林省のそういうふうな予算の何が会計検査院等の批難報告が多かつたが故に、この予算はこういうふうになつたのじやないかということに対しては私はお答えいたしておつたわけですが、何さま主としては災害復旧現地査定を現実にいたしますのが、昨年あたりで約二割でございましたし、あとは紙上査定でやつておるものでございますから、監督の行届きが不十分になつておるということはもう十分責任を感じておるわけであります。資料は整います限り提出いたします。
  138. 河野謙三

    ○河野謙三君 たびたび立つて恐れ入りますが、委員長から時間を制限して下さい。
  139. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) もう十分ぐらい。
  140. 河野謙三

    ○河野謙三君 農林大臣御迷惑ですが、是非この際農林大臣に伺いたいのですが、お米の配給の問題ですが、今年の五月、六月、七月頃には一体外米と内地米、例えば東京の場合どのくらいの比率になりますか。
  141. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 只今需給計画については計画中でありますが、大体一対四、内地米一に外米が四ぐらいの割合になろう。或いは今後の収穫見込によりますが、大体そんな見当じやないかと思います。
  142. 河野謙三

    ○河野謙三君 私は農林省の中から二つの意見を聞いておる。信ずべき食糧方面からの説明によると、五月、六月、七月頃になると、例えば東京のあたりの場合、又神奈川の場合、代表府県によりましては、内地米が六日乃至七日になつて外米が八日乃至九日になる、これは今から覚悟してもらわなければならんと言う。私も当然そうなると思う。そういうことはありませんか、今あなたの御説明は正しいのですか、そういう確信がありますか。これを前提にして農林大臣に一言伺いたいことがある。
  143. 新沢寧

    説明員(新沢寧君) 今私が申上げましたのは、全国的なことを申上げたのでありますが、配給率というものはできるだけ公平にやりたいと思つて今申上げたような線で努力しておるわけでありますが、集荷の状況、輸送の状況によりましては、今申上げた線が守り得ない場合も或いは起きて来ようかと思います。できるだけ生産地にも外米を食べて頂くというような方法で、今いろいろな方策を練つておるところでございます。
  144. 河野謙三

    ○河野謙三君 それはそういうふうに全国の内地米、外地米を平均にならせば六対四になるでしよう。そういうことは私は不可能だと思う。又それを突破するためには今からその施策をやらなければいかん。これは私は農林大臣に伺いたい。幾ら食糧庁で努力されましても、四囲の情勢から言つて、例えば東京の場合に五月、六月、七月頃の候になれば、内地米より外米が多くなるのです。一日なり二日なりですね。そういうふうなことまでして十五日の米の配給というものは絶対に保持しなければならん理由を私は疑うのだが、それでもそういう事態になつても、なお且つ十五日の配給というものは遮二無二これは堅持されますか、これを私は伺いたい。あなたの例えば奥さんに向つて御覧なさい。外米が八日で内地米が七日になる、それでもなお且つ米の配給は十分だというて、それで奥さんがこれはいい配給だ、政府は骨折つている、御主人のお蔭だといわれますか。私は外米と内地米が逆の配給比率になることが当然予想されると思う。そういう事態になつてもなお且つ十五日という配給をとられる理由がどうしてもわからない。そういう事態が起つた場合になお十五日を放棄しませんか。
  145. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 一応昨年は凶作ではございましたけれども、凶作だからと言つて米の配給を減らすということにも行かんだろう。併し食糧事情から言いまして、どうしても粉食麦食になじんで頂くように願わなければならんけれども、それもすぐ掌を返すような工合には行かないし、日々の食事のことでございますから、これは無論お話のように外米の配給率が高くなつて参りますれば、もうこんなものは要らん、麦のほうがいいという声が出て来ることは私はむしろ歓迎すべきだと存じますけれども、併しそういうことは皆それぞれの家庭によつて事情も違うわけでしようから、政府としては、とにかくできるだけ手当もいたしておるわけでございますから、この年度はそう家庭に打撃を与えないように配給を続けて行きたいと考えております。併し又こんなものばかりでは困るという声も起きましよう。それよりももつと麦のほうがいいという声が出て来るかも知れませんが、一応私の考えとしては、そういう考え検討いたしておるわけでございます。
  146. 河野謙三

    ○河野謙三君 時間に制限がありますので私はこれだけ伺つておきます。外米のほうが内地米よりも配給の日数が多くなつて、今の配給比率が逆になつてもなお且つ十五日というものを絶対農林大臣は堅持される方針であるか、そういう事態に直面した場合には十五日の配給というものについて根本的に考え方を改める方針なのか、それだけ簡単に答弁して下さい。
  147. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 今改める考えはありません。
  148. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、内地米が六日、七日になつて、外米が八日、九日になつても依然として今の方針で突進する、こういう考えでありますか。
  149. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 何もかも突進するとは申しませんけれども、事態に応じて善処するようにいたします。
  150. 河野謙三

    ○河野謙三君 事態に応じて善処するというのは、外米のほうを配給率が多くならざるを得なくなつた事態に善処するという意味ですか。
  151. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 外米なんか、もうこんなものは要らんということを皆様が言われれば、それはその配給を落すということも考えられると思いますが、私はそこまでの事態が起きて来ないのじやないかというふうに考えております。
  152. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、そういう事態が起つた場合にあなたのほうから御方針をお変えになるのでなく、国民がこういうふうに外米が八日、九日になつたらもう配給日数を減らしてもらつてもいい、こういう国民からの声が起つたときに農林大臣はその措置をとる、こういうわけですか。
  153. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 食べられないものを遮二無二配給するという考えは持つておりません。
  154. 河野謙三

    ○河野謙三君 そんなこと、農林大臣として食糧政策を受持つておられるのですから、食べられないものなんて、そんなひやかしは困りますよ。まじめに答弁して下さい。ひやかしては困ります。農林大臣が食べられないものを配給するわけがないですよ。そうじやなくて、今具体的に言つておるように、内地米と外地米の配給が逆比率になつてもなお且つ十五日の配給というものを続けるという御方針なのか、それともそうした事態が起つたら国民の声を聞いてあなたの方針が変つて来るというのかどうか。
  155. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そのときの事態によつて善処いたすようにいたします。
  156. 河野謙三

    ○河野謙三君 そうしますと、今のところ全くそれについてこの場合にはこういう手を打つ、あの場合にはこういう手を打つということは、今のところあなたにはないということですか。
  157. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 只今検討をいたしておるわけでございますから、只今申上げました通りでございます。
  158. 河野謙三

    ○河野謙三君 もう一つ材木の問題だけ一つ伺いたい。林野庁の材木の問題ですが、今一番困つておるのが木材の高騰の問題です。従来の林野庁の行政から行きますと、市価に徒らに追随して林野庁の手持の材木を市場に流し、その三分の一を払下げることによつて市価に追随しておる。これはむしろ市価を抑制するためにこの三分の一を有効に使うということが大事だと思う。材木の価格引下につきまして林野庁の手持の材木をどういう方針農林大臣はこれを活用されるのか、従来のような林野庁の特別会計本位で、市価に追随するような従来の方針を踏襲されるのか、それともこの三分の一という莫大な材木を持つておる林野庁の材木を、市価をコントロールするために積極的にやるという御方針なのか、これを伺いたい。
  159. 保利茂

    国務大臣保利茂君) 詳しくは林野庁長官から申上げますが、全体としましては、今政府は物価の引下に全力を挙げようとしておるわけでありますから、従つて林野庁の事業運営如何は木材の価格に相当支配的の影響を持ちますので、只今政府のとつております物価に対する基本方策に協力させる方法でやつて行きたいと考えております。
  160. 河野謙三

    ○河野謙三君 今の御説明を伺いますと、従来の方針と違つて今度は林野庁の行政を変えさせる、こういうことですか。
  161. 柴田栄

    政府委員(柴田栄君) 国有林材の売払が市価に追随しておるというふうに一概に言われますと、非常に誤解を生ずると思います。統制撤廃になりました結果、林産物については取得の機会均等を原則として購買原則ということが売払の方針になつております関係上、特定の売払が現在のところではできない恰好になつておりますのと、果して平時におきまして国有林材を以て価格の調整ができるかどうか、誤まつてこれをいたしますれば、徒らに特定のかたがたに利益を与えるという危険が出て参りますような関係で、これを調整しつつ極力価格の調整に利用いたしたい、かような考え方で従来も処理いたして参つておりますが、更に低物価政策というものが強く取上げられます二十九年度の事業に関しましては、只今河野委員のお説の通り極力価格の調整、引下のために国有林材の処理の方針を、弊害の伴わない程度において活用いたして参りたいという方針でおります。
  162. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 木材の問題はまだ非常に問題はたくさんありますから……。
  163. 清澤俊英

    清澤俊英君 供出の問題に対して随分深刻な討論がありましたが、誠に時間のないのに申訳ないと思いますが、そういう深刻さを打開するために食糧対策審議委員会というものをお作りになり、万全な対策を講じておると聞いておりますが、その名前を一つお知らせして頂きたいと思います。ということは、私をして言わしめますならば、本当に米を出す人と、一遍でも本当に米を出す人と膝を交えて、どうしたらあなた方出せるかという御相談をかけることが一番早いのじやないか。農民は何も出さんとは言うてない。納得供出ならばいつでもやります。その納得がどういう形式であるかということをいろいろむずかしい問題はありましようが、その納得するものをまとめて行けば、何らかの方法がスムーズにでき上るのじやないかと思います。片柳さんがここにおられるが、あの二十二年、二十三年時分の面倒なときに、諸君は今の情勢においてどうやつたらば、本当に君ら出せるのか、腹を割つて相談して参りますならば、これこれくらいのことをやつて頂けますならばやれるのだ、あとは何とかしてくれというのが今の二重価格制になります根底をなした一つの見解だつた。そういうことをしないで、天の上の人を集めていろいろなことをやつているから下のほうでは通らん。本当に相談する人と相談しないでやつている。片柳さんもここにおられるから御承知と思います。そのときはやりたいが、GHQが言うから皆とるのだ、こういうことで問題は崩れて参りました。農民納得供出ならやります。今納得供出というものは崩れてはおりますが、善良な農民納得供出はしなければならないのだということを皆覚悟している。やれるようにしてくれればいつでもやるのだ。だから我々が幾ら努力しても、努力したものを片端から皆持つてつて、その上で税金をかけるというのは御免こうむる、これは真実の農民の心理だと思う。本当に食糧供出というものをお考えになるならば、雲の上の人たちだけで御相談なさつても解決しない。本当に血と汗を流して米を作つている農民納得する方法を考え出すことをなぜやらないのだ、私はそう考える。そうじやないかと思うのでありますが、少くとも農林大臣はこれに対してどうお考えになつておりますか。今GHQがおりませんから、でき上つたものをこれはいかんとか、何とか言つて参らんだろうと思います。出すものを本当に出せるというように本当に相談してやるという形をおとりになるお考えがあるかどうか。
  164. 保利茂

    国務大臣保利茂君) そういう点につきましては、特に気を付けて意見を伺いたいと考えているわけであります。
  165. 片柳眞吉

    委員長片柳眞吉君) 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会