○北勝太郎君
只今の
お話で、大変むずかしい問題であります。だから
一つ協議会の全部のいい智慧を借りたいという
意味の
お話でありますが、私はこんな至難に近いような問題は
協議会といえ
ども名案が出ない。そこでどうしてもやつぱり
農林大臣みずからが
一つの基本
方針を持
つて、かく行くべきだというところについて
協議会で御
意見を聞くべきである、こうい工合に思われるのであります。実は
農村に入
つて見ますると、供米の割当問題をめぐ
つて実に
農民の間にいろいろな
関係から暗闘が絶えません。誠に困つたものでありますが、これはそれもそのはずなんです。割当を強度に受入れれば
農家は立
つて行かん。そこで成るべく割当を逃れようとするのは当然であります。併し又地方庁で以て、知事よりも町村長、或いは農業
委員会、或いは農協というものも、やはり
自分の村を楽にさせるためには何としても供出の量を少くさせる工作ばかりしておるのでございます。
従つて農民は
自分らのや
つていることは、地方の知事も町村長もこれを応援してや
つているのだから、
自分らのやることは正しいのだという工合にな
つて来ておりまして、これは
農村の人心を非常に険悪に導いて来ております。実に私は国家の将来のために誠になげかわしいことだと思
つておるのであります。若しこういうような場合に、思想的に動かされるようになりましたならば、一遍に引つくり返
つてしまうというような心配もないとしないであります。そこでこういう問題に対しては、供出制度というものは、別に方法がある限りにおいて
一つ速かに廃止するという決心をなさるべきだと思うのでありますが、
農村のそんな状況も、これを止むを得んとしてただ放
つておいてよかろうということであるならば、これは大変な問題だと私は思います。私は
農村に入
つて農民と共にいろいろな問題にぶつか
つておりますがために、そういう心配がひしひしと胸に迫
つて来るものがあるのであります。そこでどうしてもこれは根本
方針としては、こういうような強制割当の
方針をやめるのだというお
考えを持
つて頂かなければならん。それからついでですから申上げておきますが、供米制度は、実は非常な経費と非常な労力と、そうして
先ほど言いますような
農村のいろいろなたくさんの問題を投げかけておりながら、実は成績はうまく行
つておらない。闇米の流れる点等から
考えまして、せいぜい六割か、七割しか強制力は及んでおらない、こういう状況であります。非常にたくさんの金をかけながら六割や七割のことであるならば、これは私はあんな強制割当をせずに放
つて置いてもそれくらいの米は黙
つて集ま
つて来るのだ。現に去年は確保量というものをきめた。いわゆる強制供出のほかに確保量というものをきめて、
政府はこれだけ希望するのだということを加えて、約二割ぐらいのものを加えられたようでありますが、これは殆んど寄
つて来ておるじやないですか。だから方法の如何によ
つては……、私が思うのに、実は大変矛盾したことばかりやるから米が寄
つて来ないのだ。言換えれば、先ず税金を対象にしておる。供米をするというと、さつきの書類にも書いて来ておりましたが、まるで税金の登録をするのと同じだ。こういうことをやるならば、実は米が寄らんのは当然なんです。そういう
関係等も出て来るのでありますが、併し
農村の収益というものは、そんなものによらなくても、反別は隠すことができないのですから、そこでこの村の収穫は幾らということを税務署が調べて、或いは統計調査所の意向等も参酌してきめれば、極めて私はこれは簡単にできるのじやないか。そんな商人の帳面尻から上げるような問題ではない。極めて簡単な問題であるが、別の方法で何ぼでも私は税金はとれると思う。勿論収益に応じた税金をとるということはこれは当然であります。
国民としてもそういう納税をしなければならんのでありますが、ただ供米問題に絡んでやるからうまく行かん、こういう工合に
考えるのでありますが、そこでそういう問題を
一つ取除いてしまう。今
一つは取締りの強化をやらなければいかん。出盛り期にだけ取締りをするけれ
ども、あとはそのままに放
つておく。だから成るべく
一つ闇米に流してしまおうというような結果が出て来ておる。現に取締りが強化されてから、実は
政府にしばしば押えられるので、みずから超過供出をして出そうというものがたくさん出て来ておる。それがために、これは税金と
関係があるからとい
つて、匿名供出等の方法も世間で言われておるし、又農林省みずからも匿名供出の方法でやらせようというというふうにも仕向けておられるようでありますが、そういうような問題等をいろいろや
つてみますならば、これは
政府が心配しておるようなこともなくな
つて来て米は寄るのだ。一体供米ということをすらすらやるためには、
農林大臣みずからが
農民を信用しなければならんのである。今ここで強制ではとても寄りそうもないかと言われる。いわゆる
農民に対する信頼感がない。又信頼させるような方法がないというふうに
考えられておるところに、この供米問題の非常に不成績な原因がある。
言葉は悪いけれ
ども、人はやはりおだてて行くべきである。そうしてそれがためには税金の問題も直接
関係がないようにしよう、取締りも強化しよう、そうして中間経費も非常に少くして、その経費は、
生産者の米価を高くしてやるなり、
消費者の米価を安くするなりという方法を用いるのだ。そういうことをすれば、官民一体、心ある者は、僕はよく
言つておるのですが、救国
農民運動とでも言うか、そういうものをや
つて、根本から
一つこれは精神的にも、又実質的にもそういう工合にな
つて、これに協力してもらうような方法を似て行くよりほかない。どんどん納めてくれそうもないと
言つて農林大臣みずから
農民に対して不信を投げかけておるということが米の寄らない原因である。私はただ二つの問題だけを申上げましたが、その他にも幾らでも
農民が喜んで供出に応ずる方法があるはずだと、こう
考えるのでありますが、こういう問題に対して
大臣はもう少し
農民を信頼し、
農民に信頼される
政策を用いて行くというお
考えがないかどうか、これを
一つ承わ
つておきたいと思います。