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政府委員(
塩見友之助君) 途中から参りましてですが、
只今の
河野委員からの御質問の点、病虫害の
防除費が非常に
末端において適正に
使用されてないというふうな問題につきましては、我々も非常に前から危惧をしてお
つたわけでありまするが、私として
考えまするのは、やはり病虫害の
防除のその補助というふうなものが行われるならば、一番大事なのはやはり病虫害が発生したときに適期に、
使用方法も十分技術的に見て間違いないような方法で使われるように前以て準備されているということが一番大事なんではないかと、こう
考えているわけです。それで従前においては大体前以て
農林省のほうで
予算が確保されておりまして、それを
府県或いは
防除団体のほうに補助をしておりまして、それによ
つてその病虫害の発生の模様に応じて、県が適期に適当な
使用方法を以て病虫害を
防除するように
指導して行けるというふうな形が最も望ましいわけなのでございます。ところが昨年におきましては、その経費の倍に近い額というふうなものが予備費を以て、まあ昨年は特に病虫害の
発生状態が甚しか
つたためではございますが、全部予備費で以て仕事が終
つてから後に補助される、こういう形態を
とつたわけなんであります。そうすると、どうしても使う前からこれだけの
農薬を補助してもらえるのだかう、こういうふうな
計画を以て
使用したらどうかというふうな県のほうの
指導が徹底できませんし、又その行
つたあとはすでにもう
農薬は使
つてしま
つて防除も済んでいるわけでありますから、その金を
一体どう使うかというと、きつちり計算ができてお
つたような
町村等においては、従来立替えてお
つた金のほうへ充当するとか、或いはそれがもう充当する必要がないように農民のほうで負担しているから、それでは次の
農薬を買おうかとか、或いは又農機具の整備のほうに使おうかという、そういうふうな形で以て、本来
補助金を出した
目的とはどうしても違
つた形に行くのがなかなか抑え切れないわけなんです。時間の
関係から
言つて……。我々のほうとしては、最も
希望するのはやはり病虫害の
発生状態が甚しいという予測が
かなり前に付きまするから、それが付きましたらば県のほうで適切な
指導をや
つて、それでそれに必要な補助ができるという方法でございます。で、昨年な
どもやはり七月に西日本の水害が終りました直後に東北を集めまして、場長、部長を集めまして、それで冷害の問題を打合して、そのときにも
植物防疫のほうの
関係のほうの準備はいいか、冷害と同時に「いもち」は必ず来るのだからというのを打合せをやりましたわけですけれ
ども、各
府県場長のほうも、改良
課長のほうもすべて言いますのは、もうそれは危険ではあるけれ
ども、やはり
政府のほうの
補助金のまあ当てがないと、県のほうとしてはなかなか適期に準備して、それで
防除を間違いない方法でやれるような
指導がなかなかできないというふうなことを言われましたのですけれ
ども、その当時の
予算というのは大体内示済でございまするし、それだけでは到底あれだけ大きい「いもち」の
状態を救い得ないというようなふうな
関係からして、まあどのくらいのものが
あとからとれるかわからないけれ
ども、或る
程度のものは非常な
異常発生ならば予備費その他で以て出るだろうから、大体の腹組みを持
つて県としては県のほうで以て、とにかく農民が必要と思うようなものは必要な時期に適期に補助するように
指導をしてくれという以上には言い得なか
つたわけです。それでその結果、
あとから追つかけて
補助金がもう事が済んでしま
つてから行くというようなふうな
関係からして、その使い方その他については
末端の各種の
事情によ
つて今いろいろ御
指摘のありました
通りに、その当初の
目的なりから食違
つたような方向へも使われるような形に
なつたわけであります。それで一番大きい問題としましては、やはりどうしても
植物防疫に必要な
農薬の
補助金というふうなものは、やはり発生する前に或る
程度のものが確保されてお
つて、
府県にも大体内示されてお
つて、それが最も有効に、それは倍以上有効に使えると
なつたならば適期にやれまするし、それから
使用方法についても相当な
指導ができまするが、どうしても
あとから追つかけるというふうな形になりますると、農民が十分な
指導と、その発生予察による適期というようなものに必ずしも従わないで、勝手勝手の方法でや
つてしまう。
あとからそれを穴埋めするような形で
補助金が流れて行く、こういうふうな形ではどうしても
効果は半減されるわけで、これは御
指摘の
通りに国民の非常な負担の下で与えられたところの
補助金というふうなものの
使用方法としては必ずしも適切じやない、こう
考えられるわけで、我々のほうとしては、どうしてもできるだけ先にこの
補助金のほうをはつきりともら
つておいて、県のほうに内示したい、こういう意欲は強いわけで、大蔵省にも再三それは言うわけですけれ
ども、なかなかそれが認められない、こういうふうな形にな
つておるわけでございます。そのほかにも確かにそれは現在完全な自治体にな
つておるという
関係もございましようし、十分
府県その他に対する監督等も至らない点が多々ございまして、それで
補助金というものが必ずしも当初の
目的通り、又当初説明された
通りに、有効な方法で以て能率よく使われておるというふうなことは必ずしも言えないわけでございまして、それは本当に国民の税によ
つて賄われているものであるから、最も有効に使われるというふうなことを、個々の
補助金の使い方についていろいろ検討はしておるわけですけれ
ども、
かなりむずかしい問題がたくさんございます。特に病虫害等の問題につきましては、第一の問題は、どうしてもやはり使
つてしま
つてから、
あとから
補助金が追つかけて行くというふうな形態のものは
効果は半減される、御
指摘のような結果を生みやすいので、できるだけそういうふうな形の
補助金ならば半分の額でもいいから前にもらいたいのだというふうな
考え方が強いわけでございます。それでそういうふうな点も、ほかのほうの
補助金に対しても、いろいろそういうふうな
程度で、果して国民の税を本気に
考えて、本当に有効に使
つているかどうかというふうな点については私も日夜頭を悩ましておる問題でございまするが、十分な成果の挙げ方等につきましては、個々の問題について今後とも十分検討しながら進めたいと思います。又そういうふうな点で昨年非常に厖大な
補助金が事後にとれて流れたという
関係からして、病虫害の
防除の
予算について大蔵省等においてこれを切るというふうな意欲を強めたというふうな点もあろうかと思いまするが、それらについては我々のほうも十分今後とも
考えて、もう少しいいやり方というふうなものを検討して参りたいと、こう
考えております。保温折衷苗代等につきましても、ほかのほうのあれで病虫害と同じように問題がございますので、やはりやり方をいろいろ検討して行きたい。やはり四月に大体
農家のほうは保温折衷苗代を使
つておるわけなんです。ところが昨
年度におきましても、保温折衷苗代の
予算が決定して流れて行くのは
農家が使
つたあとから県に配布されるという形態があるために、どうしても本当に必要な山間部とか、冷害地とか、そこに強力に
指導して、ここでやりなさいということを県がなかなか言いにくい。そのために結局使
つたところへ
あとから流れて行く。使
つた、使わないというふうなことは、必ずしも事前に
指導が徹底していないから、
数量的にもわからないので、それはそういう点で十分な資料と準備がないような県においては、或いは面積割とか、従来の実績とか、いろいろな形で以て流すというふうな形態にな
つてしま
つて、それで結果は面白くない。こういうふうな
状態のものですから、昨年予備費で以て特にその一年前にと
つて頂いて、それで県にしつかりした
計画を立てさせて流すと、こういうふうな形式を
とつたわけでございます。病虫害の
防除費についても、本
年度も或いは一部のかたがたには、この
あとは又病虫害は予備費でとればいいじやないか、こういうふうな御
意見等もちらほらと受けるわけですけれ
ども、私が一番懸念いたしますことは、やはりそういうふうな、
あとからもら
つた予算では非常に
使用効率が悪い。折角の国民の税の負担の下で行われる仕事が
効果が半分ぐらいにな
つてしまうというふうなことを最も恐れるわけでございます。それらの点については今後とも一県々々について最も有効なその使い方というふうなものと、その効率が上るような方法を
考えて参りたいと思います。それから農機具のほうの問題につきましては、おつしやる
通りだと思います。それで日本の農機具につきましては、やはり小
農家が使うというふうな
関係からして、又畑のみでなくて水田等に使われるというふうな
関係からして、又日本の農業が水田と、それと裏作の麦というふうな
関係或いは地帯によ
つて行わないところもありまするが、その両方の労力のピークを突き崩すというふうな
関係から相当使われて来たというふうな傾向があります。それで一番初めに大きく入
つたところの脱穀機等につきましても、やはり二毛作をやるために労力が非常にピークになる。そこを突き崩してさえやればいい。それから最近入りましたところのトラクターとか、耕耘機というふうなものにつきましても、単にピークを突き崩せばいいというふうな形で入
つて来た。そうすれば裏作が入るのじやないかというふうな形で入
つて来たわけで、非常にその
意味においては特殊な作業だけに使われるという形態から入
つて行
つたわけで、
農家のほうがそれを使い始めれば、あれだけの高い動力機具でございますから、採算からいうと、自分の耕地だけをや
つたんでは到底引合わない。どうしても賃貸でもや
つて、二十
町歩なら二十
町歩やらなければ引合わんという形にな
つておりまして、そういうふうな形態では本当の機械化が進むという性質のものではございませんので、おつしやる
通りに、どうしても汎用化というふうなことが、最も農機具の今後の方向としては大事な方向ではないかと、こう
考えておるわけでございまして、なかなか汎用化につきましては、水田等各種の作業において、アメリカその他においての畑作経営の地質と違
つたような各種の問題がございます。それから泥の抵抗その他についてもいろいろな問題がございまして、それで日本のメーカーのほうも大メーカーが最近入
つていろいろ研究を始めたという
段階であ
つて、まあ十分な科学的な検討の準備というふうなものはできていないというふうな
関係からして、汎用化の問題はまあ逐次進みつつはあるけれ
ども十分な成果はまだまだ勿論上
つておらない。それから又それに使いまするところの電動機についても、電動機等は全体の半分或いは半分以上を占めるようなものが多いわけですけれ
ども、それを移動式の各種の作業をやる電動機というふうなものと、それから定置式な各種の作業をやる電動機とは馬力数も違いますし、回転数も違うというような
関係から、
農家が同じような仕事をさせるべき電動機を二つも持
つている。できれば両方のものが兼用できるような形に持
つて行ければ
農家のほうとしては非常に便利なわけでございますが、そういうふうな点等も私のほうから商工省
関係のほうへ、又陸用内燃機関協会等にもそういう注文を出しまして、
農家としては、できるだけ電動機としても
一つのものでほかのほうの作業にも使えるような形態のものを作
つてもらいたいというふうなことを持込んでおるような
状態でございまするが、そういうふうな点について、今後の農機具の発達と動力機具の発達というふうな点については、そういう方向が一番大事な方向だと私も感じております。又そういうふうな研究についても特段の力を入れて参りたいと、こう
考えております。これはその
予算が十分でなくても、応用
研究費その他を利用してやれば、
かなりの点はやれるというふうに
考えておるので、できるだけそういう方法で今御
指摘のあ
つた欠陥を補足して参りたい、こう
考えております。