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説明員(
昌谷孝君)
只今お話がありました最近の納入
価格の動きでありますが、私
どものほうで県を通じまして
報告をと
つております乳価の効きは、遺憾ながら多少遅れておりまして、最近私
どものほうにまとま
つておりますのか、五月分がやつとでございます。で、七月の乳価の動きにつきましては、その定期的な県からの
報告によるもの、或いは統計調査部でや
つております納入調査の数字等によ
つてはまだ把握いたしておりませんので、私
どもが現在つかんであります状況と申しますのは、お手許に届いております酪農協会の調べでございますとか、それから
あと各地の私
どもの聞取りによりまして大体総合いたしました趨勢という
ようなものしか現状においては遺憾ながらつかめておりません。で、大ざつぱにと申しますか、全国の趨勢をかいつまんで申上げますと、五月に若干手直しの下り方がありまして、五月の値下りは全国平均いたしますと、一升当り三円
程度の値下りであ
つたわけでありますが、それから更に七月に入りまして、十日前後を期しまして又更に下りました。その下り方の大体の趨勢を見ますというと、今申しました
ような経路でのつかみ方でございます。から、若干粗雑でございますが、大ざつぱに申しますと、一升当りが現在のところは五十円乃至五十五円、それから特別の都市に近いところの専業搾乳業者等につきましては六十円から六十五円とい
つたような線か、現在の基準乳価とい
つたようものかそうい
つた線で出ておる
ようであります。なお地区によりまして、牛乳を買いますと相手方の企業力と申しますか、中小企業と申しますか、或いは
経営の余りかんばしくない
農業協同組合等では、資金繰りの
関係で、今申しました数字を若干更に下廻
つて、極端に悪いところでは四十五円くらいまで行
つておる例も一、二ある
ように私
どものほうで聞いております。併し趨勢値といたしましては、非常にこれらは取引の量の少い
価格でございますので、全体の平均で申しますれば、先ほど申しました
ように、大体五十二、三円というところが現状というふうに私
どものほうでは判断いたしております。大体乳価の現状についてはそういうふうと判断いたしておりますが、
お話の
ように、昨年等の事例から見ますと、七月、八月と申しますのは牛乳の消費の、特に飲用牛乳の消費が伸びる月であります。そうい
つた意味合からいたしまして、昨年は五月−七月というのは、そうい
つた大都市周辺では、各メーカーの集乳合戦と申しますか、扱量を殖やすための競争がかなり行われまして、
相当値上りをしたのが実際の姿でございます。御参考までに申しますと、統計調査部でつかんでおりますいわゆる納入
価格と申します
農家の一升当りの販売
価格で申しますと、昨年の七月が五十三円、八月が五十四円、九月が五十四円、例年でございますと、その辺から下り出すべきものが、昨年の秋以来の需要の急増が作用いたしましたのと、夏場に必要な乳を確保できなくて苦い経験をしたものが、秋口、冬場をずつと続けて確保しておこうということで、かなり犠牲的と申しますか、需給
関係からの必然的な結果といたしまして、通念的な
考えから申しますと、下りそうな十月、十一月、十二月というのが昨年はずつと上
つております。昨年の七月の、五十三円を底といたしまして、今年四、五月の全国平均六十一円を頂上にいたしまして、五月まで毎月上りカーブを示しました。それが先ほど申しました
ように、五月の統計調査部の数字では六十一円というふうにまだ下降傾向が現われておらんのでありますが、先ほど私申しました
ように、五月に大体各地で三円
程度は下り、又更にここではほぼ五円
程度は下
つたということでございますので、これを今ここにあります五月まで持
つております統計調査部の納入
価格で当てはめてスライドさせてみますと、五月の六十一円が六月、七月で五十三円
程度まで、つまり昨年の七月の水準に戻
つたという
ような乳価の足取り、そういうふうに
考えております。従いまして、昨年の七月以来、季節的な需給
関係とやや離れた異常な動きをいたしました乳価のうなぎ上りが五月に天井を突きまして、又昨年の線に舞戻
つた、そういうのが現状の姿でございます。問題は従いまして季節的には非常に異様なときに下りましたので、シヨックも大きいわけでございますが、
価格水準そのものといたしましては、そういうことなんでございますが、問題は
あとの更に九月に又下るのじやないか、或いは又冬に下るのではないかという
一般的な不安な空気と申しますか、下り吊したについての従来の手放しの強気がにわかに崩れて、今度は急に悲観的な
見通しが強くな
つて来ておるのでありまして、その点は私
どもが今最も注目して見ておりますのは、この夏場一、二ヵ月の飲用牛乳の消費がどのくらい伸びるかということでございます。夏場の飲用牛乳は昨年は足りませんで、乳製品を崩して飲用牛乳の補いにしたと言われたまでに生牛乳の供給が追付かなか
つたのか、今年はこの季節にな
つてもまだ飲用牛乳の消化し切れないものが若干止むを得ず乳製品に廻されておるという
ようなことさえまだ聞いております。最近の四、五日の
天候の回復によりまして、東京等で例をとりますと、飲用牛乳消費の回復と申しますか、伸び工合は急速によくな
つておりまして、大体昨年の東京の例でございますから、全国をこれですぐ推し計ることも如何かと思いますが、飲用牛乳の消費を見ますというと、昨年の最高が八月の中旬に東京都で一日千七百五十石
程度あ
つたと
推定いたしております。勿論これは各メーカーからの
報告でございますので、小さなメーカーもありますので、私
どもの推計でございます。それが最近になりまして、やつとと申しますか、すでにと申しますか、千六百石
程度にこの両三日やつと来たわけでございます。で、牛乳の
生産量のほうは全国数字で申しまして、この一月乃至四月の生産統計を昨年の一月乃至四月の
生産量と比べてみますると、約四割の増産が達成されておるわけでございます。で、供給が四割殖えたのに対して、消費のほうは今一例をと
つて申しました
ように、これは多分に私
どもの勘が入りますが、昨年を一割上廻
つた程度に低迷をいたしておるというのが
実情ではないかと思
つております。これがもつと
天候回復等の
関係もありまし
ようか、伸びるということであれば、秋に又更に底なしに下るのではないかとい
つたような一部の観測は必ずも信を措くに足らないのではないかというふうにも
考えるわけでございます。その
意味では
天候との
関係と申しますか、季節的消費の問題がかなり大きな要素になると思
つて注目をいたしておる次第でございます。なお
農家からの買上
価格が五月—七月とそういうふうに仮に昨年同期の水準に戻
つたとはいいますものの、とにかく最高六十一円当時から比べまして八円乃至五円下
つておるに対しまして、最終末端
価格はどういう動きを示してお
つたか、これも私
どもとしては重大関心事として注目をいたしておるわけなのでございますが、飲用牛乳につきましては五月に小売
価格で一円大都市におきましては引下
つております。それからその後一応その線を据置いて販売をいたしております。私
どもといたしましては、これ以上消費を伸ばすためには、是が非でもここで更にもう一段の木蝋最終
価格の値下が必要と相成るのではなかろうか。又それを余儀なくする
ような情勢に持
つて参るのが
酪農振興法等を通じましての私
どもの念願でもありましたので、そういうふうな情勢が実現する
ように私
どもとしても期行をいたしておるわけなのでございますか、七月、八月というびん詰牛乳のいわば年間の書入れ時でもありますので、売るほうの側の
考え方は、これをこの時期に一円でも高く売れるものなら売
つて頑張りたいという商業意識と申しますか、
経済意識と申しますか、そういうことで七月には最終末端
価格のほうは五月に下げたまま生産者から買う
価格だけを下げております、その際の生産者側に対する
説明といたしましては、この冬以来の原料牛乳の増産、これに伴います乳製品の製造量の増加したに比較しまして、販売が思わしく行かず、例年でも乳製品の滞貨のピークに相成ります五月に予想以上のピークに相成
つて資金繰等が非常に苦しい、それで値下りは確かに統計数字を見ましても、乳製品につきましては、五月以来急速調で末端
価格を下げております。で、乳製品のほうの合理化を先にや
つております。で、その在庫が減らない状況等も統計調査部の四月までの数字においては、一応在庫率が四月で申しまして煉乳七割八分というのを取高といたしまして、脱脂煉乳の三八%というのが四月の在庫率でございます。これば一月分の
生産量で、その月の月末在庫を割
つた数字でございますが、その
ような累増をいたしております。それを理由といたしまして市乳の最終
価格引下は暫時見送るということで、生産者側へは克明をいたしておる
ように聞いております。乳製品の末端最終
価格の値下り状況が最も顕著に出ておりますのはバターでございますが、小売
価格で申しまして、これも昨年の七月からでございますか、これは銘柄物と銘柄物以外のものとございますが、大体バターで申しますと、原料用でないテーブル用と申しますか、包装して市中に売られますバターの最高が半ポンド二百二十円から最低が百八十円というのが昨年の七月の
価格で、それがずつと引続きましたのが、昨年の十二月以来、下値がだんだん上
つて参りまして、二百円乃至二戸二十円、それから一月になりまして下から押されまして、今度は最高値が二百四十円に上げられまして、三月、四月まで続いております。それが五月に最高がそのままでありますが、最低
価格かポンド二百二十円
程度から二百円
程度に下り、更に六月に十円乃至二十円下り、七月には百八十円乃至二百円に下
つております。この二百円に下りましたのがいわゆる銘柄物でありまして、そうい
つた銘柄物以外のものは百八十円というた
つた二十円の値引きしか七月には示しておりませんが、大メーカーが七月に半ポンド二百円まで値を下げた、これは最近の安値でありますが、昨年七月以来二百二十円乃至二百四十円が二百円にな
つております。この二百円になりましたのが、まだ無銘柄物が反応を示しておりませんので、一応七月の数字としては下値が百八十円と出ておりますが、恐らくは八月になりますと、上が二百円に下げた反動で下は十円乃至二十円を押下げておると予想しております。チーズについてもほぼ同様の値下り状況でございまして、昨年の七月が百八十円の品物が、やはり半ポンドでございますが、本年の七月にやつと百五十円に下りました。これは昨年の秋から冬にかけての需給の逼迫当時には二百円にな
つた品物であります。調整粉乳か同様昨年の七月が二百八十円で最近も二百八十円乃至三百円の線を続けております。これは影響が余りございません。加糖煉乳が一罐当り百十円が去年の秋百二十円まで上りましたのか又百十円にやつと元へ戻
つたようでございます。大体そういうことでありまして、市乳の末端小売
価格が僅かに一円下
つて、一円下
つたということは昨年の七月と同値にな
つたということでありますけれ
ども、私
どもの念願からいたしますと、今の七月の状況が去年の秋以来の変調子を取戻してやつと去年の七月の水準に乳価なり、取終販売
価格が下
つたのが一応の現状であるということが数字によ
つてはわかるのであります。私
どもの念願としては、この際更に末端の最終
価格にもその乳価の値下りの影響が顕著に出て来てほしいものだと
考えて、そういう方向に力をいたしたいと
考えております。大体そういう現状にな
つております。