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戸叶武君 私も最後に
農林当局に注文いたしますが、外務省の小瀧次官が来たときも、私は小瀧君に相当痛烈に警告を発したのは、とにかく移民政策の重要な出発点に当
つて、移民行政を何とかしてこの外務省の外郭
団体として海外協会連合会を
成立せしめるのに当
つて、先ず第一にこの
成立の動機が不純である。とにかく移民ボスと、それから移民
関係で営利を営むところの船会社と結託し、外務省の古手官僚と結び付いて、そうしてこの
予算をむしり取
つてこれを作り上げたのが海外協会なるものであります。その第二点においては、その構成において、形式だけは一応体裁のいいようなものを作
つておるが、その中核としての実体は、いろいろ問題のある人々を含んでおる。個人的なことになると、いろいろな人に対して当りさわりがあるけれ
ども、そういう不用意な形において作り上げた、この構成メンバ—から言
つても権威がない。それからそういう
成立動機とこの構成によ
つてなされたものは実務担当の資格は当然ない。非常に疑問とするところである。それは今、
江田君が言つたように、我々は法制化をする前に、待つたをかけなければならない性格を持
つておるこの協会に三億からの
予算を与え、而も官庁を主として協議段階に入
つて来たところの移民連絡会にのし上
つて来る、こういう事績を稼いで、
農林省が今後これをコントロ—ルするなり、監督するのは、それは実力の問題だと言
つておるが、それは引かれ者の小唄だと思う。実際上においてこういう既成事実を作り上げてしま
つてから、これだけの悍馬を御するだけの力は
農林省にない。而も外務省の外郭
団体として、主務官庁としての外務省はどちらかと言えばこれは引ず
つておる形です。私はこれはもう非常に今後問題を残すと思う。これは顔を洗い直して出直してもらいたいと私は率直に考えておる。私は実際緒方さんがこの間歩いた跡をずつと細かく東南アジア方面を歩いたのですが、海外の日本に対する考え方、日本に対する期待というものは、今の古い移民ボスや、古手外務官僚が考えておる感覚とは全然違う。そういうものに対処するだけの構えのないものが、戦前におけるところの
一つ而ものが浮かび上が
つて来て、こういうものをでつち上げたということにおいては、今後における私は日本の移民政策に非常な暗影を投ずると思う。こういうのは移民行政を担当して、外務省と共管
関係にあるからという形だけの
農林省は、お役所としてはそれで済むかも知れないが、少くとも
予算に対して我々が相当の審議権を持つところの国会において、ただ非常に国会においても一種の官庁行政から影響されてセクシヨナリズムにな
つておる。そして外務
委員会等は、これにはほかに外務
関係の重大な問題が一ぱいあ
つたので、こういうものがずつとまかり通
つたのだと思うのでありますが、これは外務
委員会の問題だけではなくて、国会全体のやはり再検討しなければならん重要問題だと思う。そういう点においてとにかく
農林委員会においては相当に異論があつた。むしろ海外協会そのものに対して不信の声が強かつたことはこの前から
はつきりしておる。そういうことを何ら顧慮することもなく、聞き流す
程度でも
つて、外務省のやることは外務省が勝手にやれるのだというような思い上つた形で以て、今のようにどんどん議を作
つて行くという態度なら、作
つて行つたがいい。こつちもそれに対処するところの考え方を表示して行かなくちやならない。少くともそういう
農林委員会においての意見というものが、外務次官も出た席において十分展開せられ、又
農林省においてもその意見というものを十分聞いているはずだ。それでいろいろ悍馬に引きずられていて、やれ監督だの、やれ指導だのと言
つても、それはお飾りものに過ぎないので、問題は
農林省が持
つているところの今のこの
予算化されたところの
費用をどうや
つて使うか。軽率な使い方をしたら我々
承知しない。こういう点において、我々この
農林委員会の意思というものを十分反映して、外務省の今の持
つている無性格な行き方に引きずられて行かないように、私たちは十分警告を発する、外務省を追撃するよりも、
農林省のだらしなさを、実力によ
つてや
つてやるというけれ
ども、実力でやれない無用さがあつたなら、容赦なく私は外務省より
農林省を叩く、そういうつもりですから、十分その点を含んで善処されたいと思う。