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説明員(新沢寧君) 麦の価格のきめ方につきましては食糧管理法の規定があるわけでございますが、生産者価格と申しますか、
政府の買入価格と、それから売渡価格を
政府が毎年六月に定めることに
なつておるわけでございます。生産者価格につきましては、
昭和二十五年産及び
昭和二十六年産の麦の買入価格を基準といたしまして、それにパリテイ指数を乗じて得た額を基準といたしまして、生産
事情その他の経済
事情を参酌して定める、こういうことに
なつておるわけでございます。又
政府の売渡価格につきましては、家計費、米価その他の経済
事情を参酌して定めるということに
なつておるわけでございます。ところが
只今お話もございましたように、本年以降、
政府といたしましては低物価政策を強力に推進して行こうという方針をと
つておるわけでございます。ところが今申上げましたような
法律の規定に基きまして麦の価格を算出するわけでございますが、それの
基礎となりますパリテイ指数はこの一年間に約七%ほど上昇しておるわけでございます。従いましてこのパリテイ価格の上昇を麦の価格に織込んで行くという問題と、低物価政策を維持して実現して行くということの間にむずかしい問題がございまして、部内におきましても、この点に関しまして如何に結論を出して行くかということに関しまして種々論議を重ねた次第でございますが、一応
只今資料としてお
手許にお配りしましたような諮問案に両者の考え方を調整いたしまして案を取りまとめ、本日米価
審議会会を開きまして、これに諮問をいたしておるというわけでございます。米価
審議会の答申に基きまして、これによ
つて最終的には価格決定いたすという段取りに
なつておるわけでございます。そこで今回米価
審議会に諮問をいたします案につきまして、それのどういう考え方に基いて算出いたしましたかを
資料に基きまして御
説明を申上げたいと存じます。
表紙を開きまして第一頁に、諮問案としての価格が
政府買入価格、標準売渡価格と書いてございますが、買入価格につきましては、
小麦二千六十八円、裸麦二千百七十三円、大麦千六百十二円、標準売渡価格は
小麦二千百七十円、裸参矛二百七十五円、大麦千七百二十円ということで御意見を承わることにしておるわけでございます。そこで
政府の買入価格でございますが、買入価格につきましては、今申上げたような
事情で、考え方の基本といたしましては、最近麦の価格は一年間の推移を眺めますと、非常に安定した経過を辿
つておりますし、又需給
関係につきましても、大体相均衡した
状態を示しておるというふうな判断に立ちまして、且つ
政府の現在とらんとしております低物価政策に即応することといたしまして、現行の麦の価格の水準を維持して行きたいという考えで、この案ができておるわけでございます。そこで一応
法律の規定に基きまして基準年次の額にパリテイ指数を乗じましたものが価格の基準となるわけでございますが、
小麦につきましては、そのパリテイ価格そのままを採用したわけでございます。大麦、裸麦につきましては、パリテイ価格に現在の
政府買入価格を勘案いたしまして、それぞれ加算をいたしてきめておるわけでございます。昨年は大麦、裸麦につきましては、パリテイ価格を基準といたしまして、それに基準年次以降におきまして
小麦と大麦、裸麦の三者の間の需給
関係が非常に変
つております。従いまして、価格の趨勢も基準年次とは違
つた価格が現実に現出しておりましたことを勘案いたしまして、先ず第一段といたしましては、
小麦と大麦及び裸麦の実際の市場の価格の実態に即応いたしました調整を加えております。それから更に米のときと同じような考え方に基きまして、特別加算額を加えて昨年は決定したわけでございます。
小麦につきましてはパリテイ価格に特別加算額を加えた額で決定したわけでございます。本年度につきましては、低物価政策に即応するという観点から、一応今申上げましたようなことで
小麦につきましてはパリテイ価格そのものを採用いたし、大麦、裸麦につきましては、パリテイ価格に昨年の特別加算額というものと意味は異にいたしますが、加算をいたしておるわけでございます。その加算金額は大麦につきまして二十六円、裸麦につきまして二十一円、特別加算と申しますかをしておるわけでございます。その
計算の内容に入りまして、細かい数式を二頁以降に書いております。添付
資料の(二)の(1)のところに、二十九年産麦の
政府買入価格の算定
方式が掲げてございますが、上段のほうに書いてありますのは、いわゆるパリテイ指数に基いて算出いたしました価格が出ておるわけでございます。
政府買入価格と一番下のほうに書いてありますすぐ上の段に
小麦二千六十八円、裸麦二千百五十二円、大麦千五百八十六円と、こう出ておりますが、これがパリテイ価格でございます。それに
小麦はそのままパリテイ価格を採用いたし、裸麦、大麦は二十六円、二十一円を加算いたしまして、
小麦二千六十八円、裸麦二千百七十三円、大麦千六百十二円という買入価格の案を決定いたしておるのでございます。それから、ずつとその次にございます表は、パリテイ指数を算定いたします細かい各項目別の内容でございますが、これは後ほど
御覧置き願いたいと存じます。それからパリテイ価格の内容の次に、添付
資料の(二)の(3)といたしまして、生産
事情に基く参酌価格というのが出ております。これは
先ほど簡単に申上げましたように、買入価格を決定いたします場合には、パリテイ価格と、もう
一つは生産
事情に基く参酌価格が
一つの考慮の要素になるわけでございますが、いわゆる豊凶指数に基く価格でございます。これは現在までに判明いたしております六月一日現在の麦の予想収穫高に基いて出しておるわけでございますが、次の頁を見て頂きますとおわかりになりますように、裸麦、大麦いずれも基準反収量よりも殖えておりますために、この豊凶係数はマイナスの要素といたしまして、参酌価格は
先ほど申上げたパリテイ価格よりもそれぞれ低い価格で出ておるわけでございます。従いまして、現在の建前といたしましては、いわゆる豊のほうは特に参酌の要素として用いない、凶のほうを要素として用いるということで、実際上諮問案の原案を決定いたします場合には、このいわゆる豊凶指数を用いて算出いたしました価格は加味されておらないわけでございます。一応御参考としてここに添付いたしてあるわけでございます。次は添付
資料の(二)の(4)は、これは麦の銘柄及び等級間格差があるわけでございますこれが、は非常に技術的な内容になりますので御
説明は省略させて頂きます。従来の実際の実績によりまして、銘柄及び等級間の歩留り等によりまして格差を求めているわけでございます。それによりまして
政府の買入価格、諮問案として出しました価格は三等三類の価格でございますので、それを基準にいたしまして格差を出しまして、実際の銘柄別、等級別の価格ができるわけでございます。それから(二)の(5)も、実際
政府が買入れます場合には包装代込で買入れるわけでございますが、その際の包装代として加算すべき額がここに掲げてございます。包装代は昨年米価決定の際に包装代の改訂をいたしたわけでございますが、その米の際の改訂価格をそのまま麦の場合にも路襲いたしております。従
つて昨年産の麦のときと比べますると、この十四頁の表に書いてあります
通り、それぞれ
相当の値上りをしているということに
なつているわけでございます。
以上で、大ざつぱでございますが、
政府買入価格につきましての算出の
やり方の御
説明を終えまして、次に標準売渡価格のほうの御
説明に入りたいと思います。
十五頁に書いてあります価格は、諮問案として今日御
審議を願
つております標準売渡価格が、ここに第一頁に出ております
小麦二千百七十円、裸麦二千二百七十五円、大麦千七百二十円ということに
なつているわけでございます。その
基礎となりました
数字は、製品としての想定消費者価格を
小麦粉五百三十五円、精麦五百四十円、それぞれ十キロ当りでございますが、と推定いたしまして、それから加工流通経費を控除いたしまして逆算して原麦の売渡価格を出したわけでございます。ここに書いております想定消費者価格は、本来ならば本年におきます実効米価、米の実効価格とそれから実際の精麦なり、
小麦粉なりの市場価格との間の比率によりまして算出するというのが従来の
やり方であ
つたわけでございますが、それによりますと、十七頁に、添付
資料(三)の(3)、対米価比の価格の算出という
資料で
御覧頂きますように、その想定消費者価格と申しますか、本年の
資料に基きまして算出いたしますときは、精麦が五百七十四円、
小麦粉が五百三十八円になるわけでございまして、それで加工流通経費を控除いたしまして逆算すると、
小麦二千百七十八円、裸麦二千四百四十一円、大麦千八百五十二円になるわけでございますが、低物価政策に則るということで、昨年きめました際の想定消費者価格をそのまま維持して行くという建前で、今の十七頁の表で
御覧頂けるような結果を用いませんで、昨年の想定消費者価格をそのまま
基礎といたしまして、今回の標準売渡価格を算定した次第でございます。なお、標準売渡価格を算定いたします場合のもう
一つの参酌要素として家計麦価があるわけでございますが、それが十六頁に書いてあるわけでございます。家計費の上昇比率によりますれば、麦価はこれ以上超えてはならんという意味合の価格が家計費に基く上限価格でございますが、それは製品といたしましては、精麦六百二十七円、
小麦粉六百二円、これから逆算いたしました原麦価格は
小麦二千四百五十七円、裸麦二千七百円、大麦二千四十七円となるわけでございますが、
先ほども申上げましたような事由で、できるだけ消費者価格を低い水準に据置くということで、この家計費に基く上限価格というものは採用いたしませんで、十五頁の
資料にございますような、昨年において採用いたしました想定消費者価格から逆算したものを以て本年におきます標準売渡価格といたしたい、こういう考えでございます。
以下あとのほうに最近におきます米価、麦価等の動きを
資料として付けておきましたが、これはのちほど
御覧おきを願いたいと思います。大体今申上げましたような考え方の
基礎に立ちまして、本年の買入格価及び売渡価格を決定いたしたいという考えの下に、本日米価
審議会に現在諮問をして御意見を求めている次第でございます。