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山下義信君 私は今度の
防衛庁設置法の中でいろいろ重要な点があると思うのでありますが、まあ
国防会議の
ようなのは、殊にまあ政治的に非常に大きな問題で、もう重大問題でありますが、内部組織の中で今度新たに統合幕僚
会議というものを新設せられたのは、これは非常に注目すべき私は相当重大な点だと思
つておるのです。それで、名前は
会議という名が使
つてありますけれ
ども、これは
一つの組織なんですね。で、まあ議長というものも、実際の運営は
会議体になされるのか。私は
会議という名が使
つてあ
つて、議長という名が使
つてあるけれ
ども、いわゆるその普通の今日問題に
なつた
ような
審議機関であるとか、諮問機関とかとい
つたような
会議体のものではなくして、
会議という名が使
つてあり、議長という名が使
つてあ
つても、これは
一つのやはり組織機構というふうに思うのです。と申しますのは、この構成員は何と言いましても自衛官でありまして、やはりこれは上下の階級というものがある。
従つて議長というものは自衛官の最上位とある。私はこれを誤解いたしまして階級が一番上かと思いましたらそうじやなくて、待遇を上位にするのだ。つまりまあそういうことでありまして、わか
つたのでありますが、併し何としても階級がある。
従つて平等な立場の者が集ま
つてそれを
会議して多数決で決するという普通の観念の
会議という
ようなものでこの事務が運営せられるものじやない。まあ第二幕僚長が陸将補で第二幕僚長が海将、そして何ですか、航空幕僚長が空将補とそれぞれ階級があり、而して議長たる自衛官は最上位ということになると、やはり職務上指揮命令の
関係もあるのでありまして、多数決で決する、こういう
ような
会議ではない。大体これは
一つのやはり内部の運営は、常時下僚という立場にもありまし
ようし、
一つの機構と私は解するのです。それでなかなかこれは重大な構想であると思うのでありますが、要するところ、命令機関というものがいわゆる外に出て、私はいつか外苑で観閲式を拝見しまして、それで今から思いますと、あれは幕僚長が指揮されたのだと思う。家の中にお
つて指揮命令を伝達されるだけでなくして、いわゆるやはり外でも部隊を指揮されるものかと思
つておりましたので、幕僚長というものは、それは直接外では管区隊長とか方面隊長というもので指揮命令するのであ
つて、号令をかけるものではないのだということをだんだん理解して参りましたですが、それにしても指揮命令権がある、こういう人たちが集ま
つてここで
一つのがちんとしたスクラムを組む相当重大な機構がここへ作られる。そういたしますと、この第二十六条にいろいろ統合という名が使
つてありますが、統合というと要するところ
自衛隊三軍ですね、統合というといわゆる三軍全部に亘
つてこういう重要なるところの諸計画をここで行うということになりますと、私は実にこれは何と申しまするか、有力なと申しまするか、殆んど
自衛隊のすべての諸計画運営の総合的なこれは大本部になるという
ような、大本部という名が悪ければ中枢になるという感じを受けるのです。それで全くそういう中枢にするのだ、そういう中心がなく
ちやならんのだから、こういう幕僚
関係の、幕僚と言
つたつて、先ほど伺
つてよくわか
つたのですが、物事の謀りごとを廻らすという仕事ばかりじやなくして、部隊の指揮、長官の
指揮権を伝達する、代行するとい
つたような機関のいわゆる首脳部が相集るという
一つの強力な機関を必要とするということで、こういう機構が新たに
考えられたものかどうか。
従つて私は今二つの、質問を申上げたんですが、
一つは
会議という名称であるが、これは立派な
一つの組織、それから第二点は、こういう指揮命令権を持
つておる人たち或いは長官の幕僚、いわゆる幕僚機関としてなお更最も有力にするこういう機関を設けられた
理由、これを承わりたいのです。そして第三には、いわゆる世間で申しまする
武官なり制服なりという、いわゆる部隊のほうの直接の人たちの非常に有力な立場になる、あらゆる
防衛行政といいますか、その中枢の線はここに移るという虞れがこれはある
ような気持もするのです。それで内部部局がいろいろ諸計画、諸事務の上において長官を補佐する
建前にな
つておるが、併し法律や制度の上では
区別ができますが、実際は実力がここに移るんじやないか。そして統合幕僚議長というものが、これがややもすると
防衛庁長官を凌ぐがごとき力がここ集中する
ような慮れというか、その集中するのが或いは至当なのか、そういうことを
考えられておるのか。言い換えると、このうちから私が伺
つております
ような
防衛庁という行政組織と、
自衛隊という行政組織と、この
自衛隊を独立の軍隊の姿になからしむるためにこの
防衛庁の屋根の下に置くがごとき形がと
つてあるから、こういう組織になるが、併し若し軍政と軍隊というもの、ひつくるめて
一つでありますけれ
ども、言い方をちよつと直しますけれ
ども、こういう
防衛行政と実際の行動する軍隊というものを戚然と分けて独立したときには、この統合幕僚議長というものが、いわゆる俗に言う統帥権の最上位に位する
ような形にな
つて統合幕僚
会議議長というものは大将に当り、元帥に当るという
ような感じがとれるのですね。今は暫らく衣を着て
防衛庁の屋根の下におる
ような形にな
つておりますが、これが若し独立したら部隊の最高指揮官になるという
ようなふうに見えるのであります。それで私はいろいろそういうふうな点に疑問を持ちますので、統合幕僚
会議の
性格といいますか、正体というもの、これを忌憚なく
一つ、又弊害があればこういう弊害があるからその点は注意して行くんだという
ような点がありましたら、この機構を置かれる狙いなり、いろいろ率直に私は一括して承わりたいと思う。