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1954-05-27 第19回国会 参議院 内閣委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十七日(木曜日)    午前十時二十九分開会   —————————————   委員の異動 本日委員戸叶武君辞任につき、その補 欠として山下義信君を議長において指 名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            植竹 春彦君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            石原幹市郎君            西郷吉之助君            白波瀬米吉君            井野 碩哉君            岡田 宗司君            矢嶋 三義君            戸叶  武君            山下 義信君            八木 幸吉君            木村禧八郎君            三浦 義男君   国務大臣    外 務 大 臣 岡崎 勝男君   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   政府委員    法制局長官   佐藤 達夫君    法制局次長   林  修三君    法制局第一部長 高辻 正己君    法制局第二部長 野木 新一君    調達庁長官   福島慎太郎君    調達庁総務部長 山内 隆一君    保安政務次官  前田 正男君    保安庁長官官房    長       上村健太郎君    保安庁人事局長 加藤 陽三君    保安庁経理局長 石原 周夫君    保安庁装備局長 久保 亀夫君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○防衛庁設置法案内閣提出衆議院  送付) ○自衛隊法案内閣提出衆議院送  付) ○調達庁設置法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。  防衛庁設置法案及び自衛隊法案、右二法案につき、一般質疑を続行いたします。
  3. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 昨日保安庁法審議当時の速記録に基いて大橋国務大臣並びに木村国務大臣発言を私は追及したわけでありますが、その際、いずれ速記録を調べてということでございましたので、本質問の終了するまでその速記録に基いて答弁を要望いたしておきまして、次の質問へ入ります。  先ず伺いたい点は、この陸士長等任期下級隊員でありますが、これらの規定を見ますというと、警察予備隊当時のように任期が二年であるが、これが一部三年の者があり、更に引続き希望があれば二年任用できる、こういうような恰好になつておりますが、これは陸士長等下級隊員任期を三年に延ばすということを私は含んでいるものではないかと思いますが、その点が一点と、これとも関連するのでありまするが、この自衛隊任期延長、更に自衛隊法の四十条によるところの退職制限、こういうものは憲法二十二条に規定してある職業選択の自由という……、憲法違反の虞れが私は多分にあると考えます。我が国憲法改正して第九条を改正して、軍隊を持ち得るようになり、更にこの憲法二十二条等に何らかの改正が行われればともかくも、現代の軍隊戦力を否定しているところの憲法九条、それに職業選択の自由を規定してある憲法二十二条からいつて、私は違憲の疑い十分であると思うのでありますが、この二点について伺います。
  4. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ず第三十六条の陸士長任期の点でございますが、これは警察予備隊当時も、保安隊当時も、保安隊隊員警察予備隊隊員は二年の任期で参つておりまして、併し実際の経験によりますると、各種の車両でありますとか、通信機でありますとか、武器等、或いは各種機械器具等の修理、操縦、操作というようなものは、修得いたしますのに相当期間がかかるのでございます。それが故に、今回はこれらの技能を有する者につきまして三年の任期を認めたい、こういう趣旨でございまして、隊員任用期間を全般的に三年に延長しようというふうなことは考えておらないのでございます。  第二点の任期延長の点でございますが、これはやはり私ども考え方といたしましては、憲法職業選択の自由は、公共の福祉のためには任期延長のようなことも許され得るような場合があると思うのでございまして、例えばお手許に参考資料としてお配りいたしておきましたけれども船員法の第四十四条でございますか、第四十四条には、船員雇契約につきましても「雇入契約が終了した時に船舶が航行中の場合には、次の港に入港してその港における荷物陸揚及び旅客上陸が終る時まで」、又「雇入契約が終了した時に船舶が停泊中の場合には、その港における荷物陸揚及び旅客上陸が終る時まで、その雇入契約は、存続するものとみなす」、こういうふうに雇入契約延長について、ほかの法律でも認めているものがあるのでございます。自衛隊は、出動等の特殊の場合に、本来の任務を果すべく平生維持されるものでございますので、かような条項を置きますことは、その本来の趣旨からいたしましても適当であり、憲法に違反するとは考えておらないのでございます。  又第四十条の退職制限の点につきましてもお尋ねが、ございましたけれども、御承知と思いますが、公務員退職につきましては、一般職国家公務員につきましても、人事院規則の八—一二に「任命権者は、職員から書面をもつて辞職の申出があつたときは、特に支障のない限り、これを承認する」というふうに、一般職についてもなつているのでございます。今回私どもが四十条で規定しておりまするのは、自衛隊隊務に著しい支障を及ぼすと認める場合についてのことで、ございまして、自衛隊隊務支障のない場合は速かに退職を承認するとしているのでございます。而も隊務に著しい支障を及ぼすと認めます場合におきましても、政令で定める特別の事由がある場合には退職を承認する。それ以外の場合には、任用期間を定めて任用いたしている者につきましては、その者の任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては、自衛隊任務を遂行するため最小限度必要とされる期間のほか、退職を承認することができる、こういうふうな規定でございまするので、憲法との関係におきましても私は許され得るものと、かように考えているのでございます。
  5. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 質問時間が答弁時間を入れてということになつておりますので、できるだけ簡単に願います。(笑声)  只今答弁でありますが、それは他の国家公務員と若干私は違うと思うのです。というのは、いつも論議になるわけですが、自衛隊というのは直接侵略に対処し、特にこの四節の「服務の本旨」に「強い責任感をもつて専心その職務の遂行にあたり」、これまではいい。ところが「事に臨んでは危険を顧みず」と、直接侵略に対処し、「事に臨んでは危険を顧みず」、こういう前提があるわけでありますから、只今の私は一般国家公務員の規矩にあるからといつて、この規定憲法二十二条と何ら抵触しないという見解は納得できません。私はその虞れ十分だ、こう考えるものであります。  これは意見になるのでありますが、次に伺いますが、これとも関連してでありますが、予備自衛官ですね。これは非常にこの私は不明確な点があると思うので、先ず    〔委員長退席理事長島銀藏君着席〕 予備自衛官を三年とする。更に引続き三年予備自衛官を延ばすことができるというような規定があり、更に一年延長するということがあるわけでして、これらを加えますと七年間ですね。従つて一年を五千人といたしますというと、予備自衛官というのは、今のこの提案された法案でも、十万五千人まで確保される、こういうことのように算術計算が出て来るわけですが、これらを更に一年延長された。予備自衛官は、その必要のある場合には招集されるわけですが、それらの武器も用意されるところの計画を立てられているのか。これが一つ。  それから予備自衛官がどの程度適当であるかということについては、検討中だということが、先般の委員会答弁があつたわけでございますが、今でも最大限七年まで延ばせるようになつていますね。で、一年の採用人員というものを多くするがいいのか、或いは年数を長くするほうがいいのか、どういうふうに考えておられるのか。この二点を私は承わつておきます。  で、答弁を受ける前に、現在のこの自衛隊の数からいつて、私はこの法に規定されている七年間、十万五千人の予備自衛官というものの規模というものは、相当大きなものだ。これは隠れた大きな数になつていると思うのでございますが、答弁を求めます。
  6. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは矢嶋委員の御理解では、一年後の採用人員が一万五千人というふうの御解釈をなすつておるようでございますが……。
  7. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、そうじやない。
  8. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは全体といたしまして、任期を延ばしましても、どういたしましても、自衛官の定員は一万五千人ということでございます。  それから七年ということなんでございますが、これは三年、志願によりまして、志願兵といたしまして三年の任期が終りました際に、本人が更に志望いたしました場合におきまして、又三年任用することができるということでございます。本人の意思に反しても延長できるのは、出動時等の場合に限りまして、一年を限つて延長できるということになつております。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その一年延長が、先ほどの陸士長等退職制限任期延長とも関連があるわけでありますが、只今答弁に関連して伺いますが、この予備自衛官制度を布くに当つて、言葉は適当でないかも知れませんが、何年除隊者を何名というように、何期生を何名という計画でなくて、或る年は非常に少く、或る年は非常に多い、こういうような形でお考えになつておるのか。私は恐らく年次計画均衡方式考えられているのじやないかと思いますが、何如ですか。
  10. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは前回増原次長からも御説明が、ございましたけれども予備自衛官を総数として幾らにすることがいいかという点については、これは慎重に検討中でございます。本年は一万五千人を予算の要求をいたし、又この法案でも出て来ておりまするが、一万五千人となつておりますが、これはこの前にも御説明いたしました通り、本年度における除隊予定者が約四万人ございます。そのうちで農山漁村出身者でありまする者が、約四割ございまするので、これらの者はおおむね志願をするであろうというふうなことからいたしまして、一万五千人という人数を弾き出したのでございます。
  11. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それはその程度にいたしまして、隊員並びに学生募集の件について伺います。長官に伺いますが、提出された資料並びに私の調べたところでは、この警察予備隊以来逐年応募者が減少いたしておりますが、これは如何なる理由に基くものとお考えになつておられるか。それから隊員のこの質的な変化というものは如何ようであるか。この点と、それから大体隊員募集するに当つて、その応募対象になる日本青年層は何人くらいとお考えになり、又あなたがたが期待するような質的隊員を確保するためには、募集人員の何倍程度応募者があれば、あなたがたが期待するところの質的隊員を確保し得るとお考えになつておられるか。その点伺います。
  12. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私から御説明いたします。御承知のごとく、警察予備隊を二十五年に募集いたしましたのでありまするが、このときは採用の条件が、年齢の十八歳から三十五歳までの者でございます。幹部の要員も、この中に含めて募集するということであつたのでございまして、これは非常にたくさんの応募者を得まして、三十八万二千名というものが応募いたしまして、第二回の隊員募集は、昭和二十六年の八月にやはり八千名の補欠採用に対しまして募集したのでありまして、このときは五万四千二百三十八名でございます。第三回の隊員募集は、昭和二十七年五月に約三万二千名の増員のために隊員募集をいたしまして、この際は九万六百三十名となつております。第二回以降は年齢を十六歳から二十四歳までに下げて募集をいたしております。それから一昨年の秋に募集いたしましたときには、約三万名の採用予定者に対しまして十万八千四百二十八名でございます。昨年の秋八千名の補欠募集に当りましては、五万六千九百九十四名であります。今回は約二万八千名ぐらい退職予定者があるだろうということで募集いたしまして、七万数百名の応募者を得ておるわけでございまして、募集人員に応じまして増減を見ております。一概に減つておるというふうな御判定は如何かと思うのであります。又隊員採用につきましては、私どもは大体採用人員の三倍欲しいと思うのでございます。  それから学生のほうについてもお述べになりましたが、保安学校は、一昨年から募集を開始いたしまて、一昨年は四百名の募集人員に対しまして、一万一千六百十九名、昨年は同じく四百名の募集人員に対しまして、五千六百八十名となつております。一昨年と比べましては人員相当減つておりまするけれども、これにつきましては、私どもはいろいろな事情があると思います。一つは、一昨年は保安学校性格そのものについて十分なる認識がなかつた。文科系統学校であるか、理科系統学校であるかということにつきましても、学生の間で判断が十分につかないような事情もあつたのではなかろうかと思うのであります。相当志願者がありましたけれども、昨年に至りましては理科系統学校であるということがはつきりいたしまして、試験のこの必須科目の中に物理と化学を両方必須といたしましたというような事情から、その方面にしつかりした決心を持つておる者のみが応募したのではなかろうかと思うのでございます。まあ学校当局の話によりましても、本年四月に入校せしめました者と、昨年四月に入校せしめました者と、質的には大差ないと、むしろ本年がいいくらいだろうというようなことを教官は申しておりました。
  13. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の懸念するところは、こういう応募状況から、市町村長募集に協力するということになつておりますが、現在でも若干の割当をやつております。これが半強制的に割当ということが行われるのではないか。で、徴兵ということは、憲法改正しなければできないわけですから、それに準ずる県の地方課あたり市町村に睨みのきく機関を通じて、半強制的な措置がとられて行くのではないか。その虞れは、例えばあなたがたが出された資料に基いても、本年陸上自衛隊だけで約七万一千人というものを更に補充するようになつておりますが、そういう懸念があるわけですが、それに対してはどうお考えになつておられますか、これは長官から承わつておきます。
  14. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 募集に当つて強制するというようなことはいたしておりませんし、又将来もいたすつもりはありません。併し募集して応募してもらわなくちやならんのでありますから、そのほうにおいては専念はいたします。併し強制するようなことは  いたしません。
  15. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの保安学校募集人員が一挙にして半分以下になつたということは、これは相当重大な要素を含んでおりはしないかと思うのです。それに関連して伺いますが、一体保安学校の生徒には、学生としての自治活動を許しているのかどうか。
  16. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 学生の校内における生活を自立的に行わせるような、自主的な気風を養成する、物事自分責任においてやるのだというような気風を養成するような意味におきまして、さような指導はいたしております。学校当局のほうでも自主委員会と申しまするか、そういうふうな委員会を設けまして、学生物事自分責任判断において、正しくやつて行くというふうな堅実な気風を養成したいというようなことは考えているようでございます。
  17. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この学生に関連してでありますが、このたびの委託学生制度というのは医学に限つているように私は法案を拝見したわけでありますが、何が故にそうなつたかということは大体想像されますから答弁は要りませんが、当分の間はこれ一本で行くのか、それとも昨日木村長官電波兵器云々というようなことも一つの重点として答弁されておりましたが、他の系統学生に対してもこういう制度を拡大されて行くつもりか、その点伺つておきます。
  18. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 将来は私はやはり技術方面においても委託学生制度をとりたいとは考えております。まだ併し決定には至つておりません。
  19. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 更にこれらに類似の問題として、この三等陸士というのは今度できたわけでありますが、他の私書面で調べたところによりますと、これは通信とか整備、施設、それらの特科方面中学校卒業の十六歳以上の少年を集めて訓練する機関が設けられるためにこうなつたのだ、いわば戦前の少年兵ですね、こういう制度が生まれるのだと、こういうふうに私は書面で見たことがあるのですが、さようでございますか。
  20. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 三等陸士につきましては、通信中学校卒業程度の者を採用いたしまして訓練することを考えているのであります。その他は若干のむずかしい技術のものにつきましても考えております。
  21. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは、いずれ近き将来、名前は適当でないかも知れませんが、少年戦車兵少年飛行兵少年通信兵、こういう恰好のものが生まれると、こういうふうに私は想像されるのですが、そういう方向にあるわけですね。
  22. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 少年通信兵とか戦車兵とかいうような名前は別といたしまして、中学校卒業程度の者を若い時からみつちり技術的に仕込みたい、そうしてそれを技術の部隊の中枢にいたしたいという考えは持つております。
  23. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これらの組織ですね、現在の組織それから将来予想している組織機構というものは、元の軍隊と何ら相違ないものであつて、元の軍隊機関、それらの再現の過程にある、そういう意味においても明確にこれは軍隊の形体を整えて来たものと、こういうふうに私は考えるものであります。  外務大臣がお見えになりましたので、外務大臣のほうの質問に移りたいと思いますが、先ず私は外務大臣に申上げたいことは、このたび自衛隊法案国会に出されて、我が国自衛隊というものが生まれて、そうして日本防衛体制というものが一大飛躍をしようとしているわけですが、これは日本国民生活とも重大な関係がありますが、我が国外務大臣責任と申しますか、これらに関するところの関与される度合というものは極めて私は大きいと考えます。と申上げますことは、自衛庁長官は、これは純軍事的な方面からいろいろの要望というものを持ち出して来るでございましよう。それから我が国自衛力漸増方針というものが、アメリカと全く関係なく進められておるわけでございませんから、外務大臣を通してアメリカ要請というものが非常に強く持込まれて来る。この二つの前に立たされるのが大蔵大臣、又大蔵大臣には後ろから国民のほうで生活の安定、生活水準の向上、こういうことが叫ばれて、大蔵大臣は全くサンドウイツチ・マンみたいな恰好に追込まれるのじやないか、従つて私は今後の防衛の問題に関する我が国外務大臣責任ですね、それから国民期待というものは、極めて私は大きいと考えるわけでございます。こういう立場から私は外務大臣にお伺いするのでございますが、現在の我が国憲法下において、MSA協定締結とか或いは艦艇の貸与協定、或いは行政協定等による共同行動の問題、それからMSAと関連いたしてこういう防衛法案が出て自衛隊を急増して行くということは、現在の憲法下ではやはり私は無理であると思うのでありますが、外務大臣はどう考えられるか。どういう気持外務大臣として対米折衝の場に立たれるのか。又ニクソン氏は日本に来てあの憲法は間違いであつたという有名な声明を発表されたわけでございますが、アメリカとしては憲法改正日本戦力を保持することをできるだけ早くして欲しいというような強い希望の下にあなたに対処されているのか。又その希望に対して外務大臣としては、どういう決意を以て臨まれているのか。それらの点について私は承わりたいと思います。
  24. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) アメリカ側日本憲法性格というものはよく知つておりまして、これはアメリカ国会における政府の要人の言においても、日本憲法制限があるから、なし得ることとなし得ないことがあるという趣旨のことをしばしば言つております。従つて現在の憲法制限というものは十分承知しておりまして、従つて戦力の保持ということについて日本側要請のあつたことは、現在までのところ一度もありません。要するに憲法下で認められる防衛力の増強ということを要望しております。これは日米安全保障条約の前文の趣旨からいつても、アメリカとしては当然期待し得べき点であろうかと考えております。我々のほうから申しましても、今お話のようなニクソン副大統領の意見意見としまして、日本憲法なるものはやはり日本国会の承認を得てできたものでありますから、ほかの人の批評批評として聞いても、とにかく現行憲法を尊重するという建前から、政府としてはそのために不便なこともたくさんあるわけでもります。不便といつては語弊があるかも知れませんが、現状においては憲法があるために、やれないことがたくさん出て来るわけであります。これは憲法を護る趣旨からいつてやれないのは当然の場合がしばしばあります。従いまして憲法制限の下においてやり得る程度のことをやる、こういう方針で私は対処いたしております。
  25. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は終戦後我が国に一切の武器を捨てさしてそうして日本曾つての軍人が使つた武器共産軍に与え、そうして今になつて我々の同僚先輩を殺戮したところの武器日本保安隊なり自衛隊に貸して事ある場合にはそれらの武器で戦闘も起り得るだろう、又共同作戦の名において参加しようという、こういうアメリカのやり方というものは、極めて我がままなものだと私は考えます。朝鮮事変が起りましたときは、ポ勅令によつて直ちに警察予備隊を作らして、安保条約締結によつて保安庁法を成立させ、このたびのMSA協定によつて自衛隊を作らせる、この一連の働きを見ますと、私は国民の一人として少しアメリカは我がまま過ぎる、こういう私は気持を持つております。こういう感じを持つている国民というものは相当に私はあると思いますので、先ほど来申上げましたように、重要な日本防衛折衝を外国とやられる外務大臣としては、そういう声を胸において入れて頂きたいと思います。  次に伺いますが、ヴアン・フリート大将日本に参りました場合には、日本軍事的強化検討である。又ウイルソン国防長官は、これはアジアにおける基地強化説を最も固執しているかたでありますが、そういう目的を持つて来られた。そうしてアメリカとしては日本の再軍備態勢進捗度合というものは非常に不十分である、こういう遺憾の意を表しているということを承わるのでございますが、その点如何でございますか。
  26. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ウイルソン国防長官ヴアン・フリート大将、これは大使の資格で来られましたが、日本における視察等はやはりされたろうとは思いますが、政府との間には実質的な話合いは一つもありませんでした。それから見ますると、恐らく他の国に対する視察が主な用件ではなかつたかと思います。今回の来朝につきましては、従つておつしやるような日本防衛計画が十分でないとか十分であるとか、そういうような種類の発言は私の承知している限りは全然ありません。実質的な話は今回は一つもありませんでした。
  27. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では次に伺いますが、資料によつてども陸上関係海上関係航空関係MSA援助期待量というものを承わつております。この交渉は順調に進んでいるのかどうか。一部は実に不十分な状況であるということを他の資料でも承わつておりますが、そういうことになると、これは木村長官答弁も承わりたい思いますが、現在の保安庁で考えているところの計画というものは支障を来たして、その計画を変更しなければならんのじやないか、これは木村長官から伺いますが、このMSA援助と関連して、岡崎外務大臣は多院において、このMSA援助は恐らく三年続くであろうということを答弁されましたが、そうなのか。それから具体的に来年のMSAの交渉というものは、我が国の来年度の予算の骨格をきめるのが八、九月頃、こういうことになりますと、すでに来年のMSAを受入の交渉は始めているのではないか。アメリカの新会計年度が七月一日から発足するわけですから、そういうことが推測されるわけですが、どういうような交渉を始めておられるか、そう言うような点について両大臣から答弁を求めます。
  28. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) MSAの援助というものは、通例ならば三年は続かないかも知れませんが、日本の場合におきましては今年初めて受けるのでありますから、防衛上増強の建前からいつて、少くとも三年くらいの援助を受けなければ十分な措置ができないと私は考えておりますので、特別な関係を含みまして、アメリカ側としてもその程度のことは当然考慮するであろうと、こう私は信じております。交渉につきましては、来年度の分はまだこちら側の計画ができておりませんので、まだ交渉に入つておりませんが、先方の予算関係も七月から発足するのでありまして、これは多少遅れましてもそう支障はないと思つております。要するに早くやつたのうがいいにしましても、日本の国内の財政その他の見地から計画が立たないでは、先方と具体的な話ができませんので、これを待つて話をいたすつもりでおります。
  29. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 二十九年度の計画については、実施に支障のないようにアメリカ側と十分話合つてその援助を得たい、こう考えております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私の伺つているのは、岡崎外務大臣には、本年度のMSAの受入の期待量というものの交渉は見通しが立つているかということで、木村長官には、この期待量がその通りに行かない場合には、あなたの防衛計画の変更を余儀なくされるのではないか、こういうことを伺つているのです。
  31. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは期待量でありますから、正確に例えば船ならば何百何十何トンまで全然期待量と同様にというわけに行かない場合がありましようけれども、大体希望する程度のものは援助を受け得るものと大体については私は考えております。ただ船につきましては今調べておりますが、先方にも必ずしも日本期待するようなものがあるかどうかちよつと疑わしい点もありますので、これは将来の交渉に待ちますが、先方としては、日本防衛力増強計画、つまり人員はこれだけ殖やす、予算はこれだけ殖やすということはよく承知しておりまして、それに見合う程度のものは何らかの形で援助をいたしたいという希望考え方も表明しておりますから、先ず予算成り人員の増加を実行しても支障ない程度のものはくれるものと私は考えております。
  32. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その通りであります。我々も計画支障のないようにできるものと考えております。
  33. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間の関係がありますから次に参りますが、只今外務大臣からの答弁がありましたように、来年度MSAの受入の期待量というものはすでにきまつていなくちやならんと思うのでありますが、きまつているのですか、きまつていないのですか、きまつていなければ、いつ頃きめるのですか。
  34. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 現在のところ研究中であります。まだ決定に至つておりません。早急にきめたいと考えております。
  35. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 決定の時期のめどは……。
  36. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) めどははつきり申上げることはできませんが、早急に決定したいと考えております。
  37. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 こういう質疑でわかることは、全く無計画のその都度計画であり、更に自主性あるところの計画をすることに非常に困難である、こういうことを私は酌み取ることができるのでございます。  次に承わりたい点は、外務大臣は現在審議中の艦艇貸与協定は、この交渉を始めた当時は無償でこれを受入れよう、こういうふうに日本側は主張しておりましたが、結果は無償となつていないのでありますが、この点と、それから予算書を見ますと、船を受取るために二億五千万円の旅費が含まれておりますが、これは四隻受取りに行くための二億五千万円でありますか。更に又貸与でありますから、向うが返して欲しいという場合に、返すときに又これだけの二億五千万円の旅費を使つて返すのでありますか。更に十七隻要求して四隻だけ貸与協定が成立いたすわけでございますが、一説によりますと、今後十七隻のうちの四隻が貸与され、次々に追加されるものは附表に附加えるだけであつて、その都度国会の承認を要しないという見解をとつているやに承わるのでありますが、これは私は相当に問題だと思います。この点どういうようにお考えになつておられるか、答弁を求めます。
  38. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 第一点につきましては、これはMSA協定に基いて受ける援助は贈与でありまして、それからMSA協定以外の、例えば艦艇貸与等によつて受けまするものはこれは貸与であります。これはアメリカの法律等においても明らかになつておりまして、当然初めからさように考えております。そこで十七隻の船でありますが、この中にはMSA協定に基いて贈与として受ける分も当然入つて参りましようし、そうでなくて、艦艇貸与の分も入つて来るのであります。その内訳につきましては、只今交渉中でありますので、どれがどうなるかということはまだ決定はいたしておりません。  旅費につきましては、これは保安長官からお答えを願いたいと思いますが、ただ将来日本のこの借りた船を返す場合には、原則としてはやはりこちらから向うに持つて行かないで、できれば向うで日本の港で受取つてもらいたいと思いますが、これはまだ先のことでありますから、まだ決定はいたしておりません。  それからこの艦艇貸与の附表でありますが、これは先般のフリゲート艦、あれは六十八隻でありましたか、その場合にも、協定の中には何隻借りるということはなくして、附表において附加えるということにいたしております。その際の説明は、六十八隻の範囲内で借りるのであつて、それ以上には借りない。それの範囲内で附表に附加、えることを国会において承認を受けて、さようにやつておりましたが、今回もその趣旨でありまして、十七隻と申しますか、その中にはMSA関係で贈与を受けるものもあり得ましようけれども、とにかく十七隻は超えない、二万七千トン以上には亙らないという範囲内で、附表に附加えて話がまとまつたに従いまして、この附表を附加えて行つて予定の通りの援助を受けよう、こういう趣旨であります。
  39. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官、旅費の問題。簡単に願います。
  40. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 予算に計上しております外国旅費は十七隻分でありまして二億五千万円。これはこの艦艇の引取りに参ります行きの旅費、その艦艇を自力で運行して参りますその必要な人間の数、今回話のまとまりました四隻分は、そのうち八千七百万円であります。性質は同じような性質であります。
  41. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これに関連して承わりますが、この貸与協定の第三条には、「アメリカ合衆国政府は、この協定に基いて貸与したいずれかの艦艇の返還を貸与期間の満了前に要請することが自国の防衛上必要とされるときは、その要請を行うことができる。」と、従つて期間をきめて借りてはおりますが、アメリカ側要請によつていつでも引揚げられることになつているわけだ。これでは日本はしよつちう御機嫌を損じないように心がけなくちやならんでしようし、又この防衛計画の樹立にも極めて不安定なものが伴うと思うのでありますが、この点保安長官はどうお考えになりますか。自律性というものがないじやありませんか。
  42. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) アメリカがその防衛上必要とすると考えたときにはその引還を請求することができる。いつでも引揚げを請求するわけではありません。自国の防衛上真に止を得ざる場合で、これは日本としても誠にアメリカの言い分は尤もであろうと考えます。併しこれがために日本の国防上差支えあるとは毫も考えておりません。
  43. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先般の北海道の災害のときにとつたフリゲート艦の態度についても、これは躊躇したではありませんか。
  44. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さようではありません。北海道の災害については、できる限りの処置はいたしております。決して巷間一部伝わるような状態では毫もないわけであります。
  45. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に伺いますが、外務大臣のほうに伺うことになりますが、保安隊警察予備隊以来武器を借りておりました。その当時大橋国務大臣は、借りてはおるが、これを返すことにはならないであろう、又その考えでもおらない、こういうことでありましたが、私の承知しておる範囲では、現在保安隊の借りておるところの武器MSA援助とは別物だ、こういうふうに聞いております。果してそうかどうかです。又保安隊の今まで借りておるところの武器の評価というものはどの程度にされておられるのか。同じ借りたこのたびの艦艇四隻、これと併せて将来はどういう形で日本の、あなたがたが希望しているような、自衛隊のものとなるのか。私は曾つて吉田総理大臣が衆議院の予算委員会でガリオア等の債務返還に関して答弁されたときに、吉田総理は、自分としては恐らく返さないで済むようにアメリカ側でしてくれるものと期待いたしております、想像いたしておりますと、こういう答弁をされておりましたが、最近の外交交渉によりますと、約二十億ドルの四分の一程度支払うようになるらしいというような記事も拝見するわけでありますが、私はこれを曾つての吉田総理の答弁から、恐らくこの二十億ドルの四分の一の支払義務の生じたものを保安隊武器、それから艦艇貸与協定によつて借りた艦艇、これらと関連を持たせるのではないかと、こういうような考えを持つておるのでございますが、如何でございますか。
  46. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 先ず二十億程度の中の四分の一とおつしやいましたが、これが新聞にも何か五億程度ということが一部出たことがありますが、誤解を避けるためにはつきり申しますと、そういうまだ額の点まで全然話をいたしておりません。これは新聞の想像記事であります。どこまでどういう額になるかは将来きまることでありますが、いずれにしましても、第一の御質問の、現在の保安隊武器はどうなるか、これは我々として希望するところは、これはアメリカの法律の関係もありましようが、若し日本においても、アメリカにおいても法律上差支えないということになれば、MSA協定に基いて保安隊武器も贈与を受けたいと考えております。併し何らかのことで別途の取扱が必要となる場合があるかも知れない。これは今後のことではつきりしたことは申上げられません。但し我々の考えとしては、いずれにしても贈与を受けたい、こう考えております。但しこれとガリオアの交渉等とは全然別でありまして、日本としましては借りたものは返す。併し必要なものは別に援助、贈与を受けるなり、借りるなりこれはいたしますが、それを一緒くたにして何だかわからないような形にするということはいたさないつもりでおります。
  47. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 木村長官はこのたびアメリカからMSA協定に基いて借りる武器の評価は独特の計算法で約五百四十五億と評価されておりますが、現在の保安隊の借りておる武器の評価はどの程度にされておりますか、大まかでよろしうございますから。
  48. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 現在までに借りておりまするものに、大体こちらのほうで考えております定数ということになりまするが、その数を基礎として考えて見ますると、武器関係におきましては五百億少々になる、かように考えております。
  49. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が迫つて参りまするので、次に質問を進めますが、外務大臣に伺います。軍事顧問団の行政費は三億五千万何がしということになつておりますが、昨日、この調達庁法の一部改正の法律案の審議に関連して調達当局に承わりますというと、宿舎等の施設及び役務の調達の提供ですね、こういうものは三億五千万円の枠内で賄うようにするつもりだ、それに努力するつもりだ、こういう答弁があつたのでありますが、これは外交折衝の面でどういうふうになつておるか。当初この軍事顧問団の費用については日本政府としては二億五千万円程度要望したようでありますが、アメリカ側との交渉で結局三億五千万何がしとなつたわけで、ございまして、更に宿舎等施設及び役務の調達提供の費用がこの枠内で行くか、枠外で行くかということは、予算支出の費目とも関連して参りまして、やはり私はちよつと問題になる点じやないかと思いますので、外務大臣に承わつておきます。
  50. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 当初の考え方は予算節約という意味から顧問団の人数をできるだけ減らそうという、その基礎において費用もできるだけ減らそうと思つてつたのでありますが、実際上保安隊に、保安庁に相談して見ますと、やはりこの程度の顧問団は当初においては必要だということでありますので、従つて予算もそれに見合つて三億何がしになつたわけであります。それで今調達庁で考えておりますように、これ以上の予算を使わずにすべての調達役務等を賄つて行きたい、こう思つていろいろ努力をいたしております。
  51. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 外務大臣に対する質問はそこで一応切りまして、時間の関係大蔵大臣のほうへ御質問を申上げます。時間が少いのでございますから、要点を簡単に御答弁願いたいと思います。先ず木村長官大蔵大臣両者に承わるわけでありますが、    〔理事長島銀藏君退席、委員長着席〕 今年度のこの自衛隊の設立に伴う増強方針を見ますというと、或いは三カ月、六カ月、九カ月、十二カ月といろいろの予算の組み方があります。従つて率直に私は数字だけ承わりますが、これを平年度化した場合に今の予算よりは幾ら殖えるかということを承わります。
  52. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 平年額の数字につきましては、先だつて資料を差上げておりますので、便宜私からその点を申上げます。
  53. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 結論だけでよろしうございます。
  54. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 陸上は四百三十七億、海上が九十五億、合計五百三十二億という数字の資料を持つております。
  55. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 航空は。
  56. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 航空につきましては、その当時に御説明申上げたのでありまするが、平年化いたしまするというと、練習の計画をどういうふうに見るかということでございますが、関係がございますので、現在のままにおきましては計算が困難であるということを申上げておる、そのついでを以ちまして十八億という本年度の数字を、当初一応月割の計算で逆に戻しますと二十七億くらいの数字になることと追加的に御説明申上げます。
  57. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつとそれ納得できないのですがね、本年度の防衛庁の予算は七百八十八億でしよう。従つてこれを平年化すれば、七百八十八億よりは多くなるはずですが、その辺はどうですか。
  58. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 本年度の防衛庁の予算七百八十八億、これも資料を以て差上げてございますが、そのうちの新規の増勢に伴いまして出ますものが二百三十二億、従いまして三十年度におきまして又新たな増勢が行われますれば、これは今申上げました数字に附加わる、従いまして新規に増加いたしました分が入つておりまするので、これを差引きますと二十九年度は、現在態勢維持の計算で行きますと五百五十六億、ちよつと附加えて申上げますが、五百五十六億の中には前年度の予算外契約系統の予算が百二十四億入つておりますが、先ほど申げました本年度の予算と同様に予算外契約の分を附加えますと更に八十億でございます。
  59. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 今年度新規増額の分があるけれども、来年度といえども同じような新規増額を要する面が出て来るわけでしようが、陸上にしても、海上にしても、航空にしても来年度の増員計画をちやんと持たれているでしよう。そういうものも含めて、平年度化したものは概算でどの程度殖える予定であるかということを承わつているのです。その前提条件として来年度の陸海空の今考えている増員計画を簡単に数的に答えて下さい。
  60. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 来年度の増加分のことにつきましては、これは政府としてはまだ申上げる数字を持つておりません。ただ二、三の機会に保安庁の長官から来年度におきまする増員の員数につきましての保安庁限りだという数字を陸二万人、海が六千人、空が八千六百人という数字を申上げておりますが、これは保安庁の限りにおいて極く大ざつぱな見当で申上げておるのでございます。それにつきましてのいろいろな構成のの内訳ついてまだ研究中でございますから、まだ従つてこの新規増加に伴いますものはどの程度くらいになるかということは只今申上げかねます。
  61. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今のに関連しまして、アメリカ側では来年度海陸おのおの五万人の増員を強く要請しているということを聞くのでありますが、外務大臣如何でありますか。
  62. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) そのようなことは現在のところ全然ありません。
  63. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 例年八月から九月には大体の予算の事務折衝が始まるのであります。それからあなたがたのこの計画アメリカMSA援助と関連があるわけですから、この段階になつて来年度どの程度の増強計画をやり、それに伴つてどの程度の予算の増額を必要とするというめどもついていないのでは、その都度計画も極まれりと申さなければならないと思います。本法案審議の最終段階まで、大体の考えでよろしいですから、印刷物によつて御提示願いたいと思います。  大蔵大臣に伺いますが、軍事費と簡単に申しましよう。それは一体国民所得の何%程度が適当であり、それを堅持するというお考えでおられますか。
  64. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これは一概に申しにくいのは、国民所得の性質が豊かな国と国民所得の貧しい国の国民所得とは非常に差があるのでありまして、これをどうもよその国との比較のみで出しにくいことはこれは申すまでもないと思いますが、ただ現在の日本といたしましては、まあ国民所得の大体、国民所得を大ざつぱに例えば五兆九千億とか、九千八百億とか、まあ六兆と押えれば、その場合まあ三%以内ぐらいのところが一番穏やかなところじやないかと、かように考えるのでありますけれども、これは一概に申上げにくいので、実は大体のことを申上げたのであります。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは外電によつて私は承知したのでありますが、アメリカ側としては、この再軍備態勢の進捗状況には、殊にこの上下両院の軍事分科委員会等では不満があり、そしてアメリカ側としては総予算の二割程度日本として出せるはずだ、負担すべきだ、こういう強い意見アメリカ国会内にあるということを私は聞いておりますが、これに対する大蔵大臣の見解を承わりたい。
  66. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) さような意見があることは私どもも聞いております。けれども昨日も申上げましたごとくに、日本の予算としては大体今一割四分強になつております。すでに千四百五十三億に実際なつておりますが、まあ今の程度が原則としては守られて行くのが一番望ましいと私は考えております。
  67. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は大蔵大臣に特に要望がありますが、先ほど大蔵大臣がおいでになる前にも私は申上げました。それは今後総理大臣に他の閣僚とは一段と違つて、総理と直結したところの防衛長官は純軍事的な要請から強く要望をするでしよう。又この自衛隊アメリカ関係があるだけに、外務大臣の果す役割というものは大きいと思うのです。これは何らかの形でやはり外務大臣としては義務的なものを押付けられる。そうなりますと外務大臣防衛長官を向うに廻して、国民の民生安定の強い要望を大蔵大臣はうしろに受けて、そうして対処しなければならないことになるわけですから、よほど私は大蔵大臣としては固い決意をしてもらわなければならんと思いますが、大蔵大臣はいつも総理大臣が言われるところの、日本の経済力増強と、それから民生安定と兼合いで自衛力の増強を図るという吉田総理の言明に基いて、自信を以て善処されるところの決意を持つておられるか御所信を簡単に承わりたい。
  68. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 私としてはいわゆる国力を超えたものが盛られても、それは実際において防衛の役割を果さんことはこれは矢嶋さん御承知通りでありまするから、従つて国力に相応したる防衛、そこに予算をとどむべきである、これは強い信念を持つております。
  69. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこの税収見込ですね、これは非常に過少に私は見ていると思うのですね。自然増収というものは相当に私はあると思うのですが、従つて私は税率を下げるべきだ、併し今の政府は自然増収というものを相当見込んだ予算書を国会に出して承認を受けているということは、その後における防衛費の増強を賄うときにうまく賄えるようにという下心があつて私は税金を下げずにそういう予算書を編成しているのではないかと、こう考えるのでありますが、大蔵大臣の所見如何でありますか。
  70. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) さような考えから出ておるのではございませんので、御承知のごとくに私どもが国際収支の均衡を合すために、財政の緊縮をやるのに三つの方法をとつたのであります、財政緊縮について。その一つは、過去の蓄積を食わないということであります。第二はどうかというと、新らしい借入金等の借金をしないということであります。第三が、従来みられておつた自然増収、これを予算化することによつて又自然増収を又予算化する。又自然増収、こういうことを来たす一種の循環的なインフレを防止する、こういう見地から自然増収を今年度は一切見込んでいないということは矢嶋さん御承知通りであります。こういう方針から出ておるのでありまして、何らこれを残して国防予算に充てるのだ、そういう考え方は毛頭持つておりません。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は国民経済力の充実と民生安定という立場から伺いますが、一つ卑近な例をとりましよう。昨年稀に見るところの大災害が日本を襲つて、そのときに臨時国会まで開いてやつたわけですが、その当時自衛力の増強と両方対に見ていずれも同じ重さで努力するということを言明されました。そうして三・五・二の比率でやるということも言明されて、金額も不足ならば百五十七億の繋ぎ融資も考慮しようということを附帯決議もし、壇上から国民にお約束をされたわけですね。ところが最近この出水期を前にして実に九州だけの災害地だけでも百五十億から当面の緊急工事に予算が不足している、こういう状況が訴えられて、出水期を前に災害地の国民は戦々兢々としているわけなんです。そういう点は国会の議政壇上から総理大臣以下約束されながら、実施されないで、当面の国際情勢からいつて、今日明日必要でもないところのこの自衛隊増強にこれだけの昨年度より多額の予算を使うということは、私は曾つてのこの国会における或いは国民に対するところの公約と背反するものじやないかと思うのですが、私は具体的に承わりますが、小笠原大蔵大臣はああいう民生安定という立場から災害復旧対策についてどういうふうにお考えになつておるか、一つの例として承りましよう。ということはですね、今後国防会議ができまして、いろいろ重要な事項を、審議するわけですが、そのときに一番問題になるのはやはり予算問題だと思うのです。その場合にこの国防会議の構成に、日本の国土を護るところの建設大臣、それから農林大臣、こういう関係の非常に密接な大臣は出席して行かないわけなんです。この国防会議に出席せられる大臣は、政府の大体の考え方によるというと、防衛長官外務大臣と、まあ勿論あなたが入りますけれども、こういう形になつておるわけで、うつかりすると国土の保全ということがないがしろにされるという虞れが多分にあると思いますので、大蔵大臣の所見を承わります。
  72. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 只今のお話につきましては私どもも、今日の日本の状況において総予算の一割四分程度であり、而もそれが昨年より増加すること百七十億程度のものは、これは日本としては自衛力漸増ということを約束した以上、これはやるべきことであると思つてこれを予算化いたしたのであります。  それから今の災害予算の点でありますが、災害予算につきましては、乏しい予算の中で十分と言えないことについては私ども誠に遺憾に思つておりまするが、御承知のごとくに、そのうちでも相当な費用を出して私どもが現に会計検査院とか或いは行政監察の方面とか、他の大蔵省で取調べた数字に基くと、あれによりまして三・五・二という比率に参らんことは誠に申訳ありません。誠に申訳ありませんが、大体六割があれでやれるということになつておるのであります。まあ乏しい予算の際で、特に緊縮財政をやることが日本に課せられたどうしても避けがたい命令なので、命令というとよその国が命令したように思われますが、そうでない要請なので、従つてどもといたしましてはどうしてもこれをやらなきやならん、その点で御辛抱願つておるのであります。  更にお話になりましたような百五十七億のあれは、当時の事情矢嶋さん御承知かも知れませんが、その後調べまして、約四億足らずの繋ぎ資金を出しましたが、繋ぎ資金がその性質上その年度でお返しを願うことになつておるので、これで年度末で一応きれいになつておるのであります。今後とも災害の防止については新らしく別のこともいたしたいという考え方から、過日来本年度予算化されたものにつきましては、御承知のごとく普通の場合でありますと四分の一、四分の一と前に予算を出しておりますが、まあ八割、ものによつては九割見当ぐらい事業の進行状況によつては早く出すというような措置もとつておる次第でありますけれども、なおいろいろ不自由な点があることについては、誠にこの国費が足らないことを遺憾に思つております。
  73. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 矢嶋さんに申上げますが、時間が終りましたから、もう一問で……。
  74. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 もうすぐ終りますから。大臣この日本の国土の状況或いは中小企業の状況、更には賠償の問題、こういうものを考えたときには随分私は問題は大きいと思うのです。それで大蔵大臣に最後に伺いますのは、日本自衛隊を作るということは、日本のためでもあると同時にですね、あなたの説明によつても、それと同時にアメリカにとつても、アメリカの私は世界政策の一環として必要なものだというようにこれは断言しても私は外れていないと思う。こういう観点から、あのガリオア等の債務、これは国民としては感謝決議までして、感謝状まで差上げて有難く頂いたつもりでおつたわけですね。従つてアメリカのためにもなる。仮に自衛隊を作るとあらば、このガリオア等の債務はそれと私は差引きにして然るべきだ、こういうように私は考えるのでありますが、我が国の財政の不如意等から、一体このガリオア等の債務に関しては、大蔵大臣はどういう御見解を持つておられますか。大蔵大臣としての御見解を承わります。
  75. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) これはしばいば言われておるガリオア、エロア等については、一応債務と心得ておることになつており、又よく総理も言われておる通り、どうもそういうものを借りつ放しにするというところはないということを言われておつて、これは独立国として私は当然のことだと思うのであります。併しながら、この支払方法、金額については、できるだけ少いことを望むのでありまして、従つて、西ドイツの例が、例えば三分の一であれば、あのガリオア、エロア等の内容について、西ドイツと日本とを比べてみると、私はなお日本のほうについて向うに減額してもらつて然るべきものがあるように考えます。(「その通り」と呼ぶ者あり)それで更に又事実問題として、例えば学童に対する給食などは、これはギフトだとその時分言われたものだから、相当差引をしてもらつて然るべきものもあるように存じます。そういうこと等で、いろいろな点についてはまあ外務省のほうともいろいろ御相談申上げておりまするが、まだ決して数字は容易にまとまらんと思いますけれども、できるだけ日本に有利に、その金額も、支払方法も是非そうしてもらう。これは又その点については、実はよその分まで立入つてなんですけれども外務大臣も同感で、そうやつておられると思います。このことははつきり申上げておきます。
  76. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これで終ります。最後に木村長官に伺いますが、木村長官は昨日木村委員の御質問に対しまして、本年は陸上自衛隊に重点をおくが、将来は海空のほうに重点をおきたい、こういう答弁をされておりました。私はここに提出されましたMSA協定に基く供与期待装備種類、数量、金額、維持費等の調というこの資料を拝見するのでありますが、資料を拝見しますと、維持費のほうをみますと、陸上のほうでは六億五千万、ところが海のほうでは実に二十一億四千万の維持費が必要だとされております。それから航空のほうに至つては、僅か百四十三機を期待しているわけでありますが、それに対して十七億九千万、これだけの維持費が必要だと資料をここに提出されております。これを見てもはつきりするように、新規に武器を備える場合は勿論そうでありますが、維持費という面から考えても、海空というものは、陸に対する数倍の費用を要するわけで、従つてあなたの主張されるところの、計画されているところのその方針と、日本只今大蔵大臣が話された財政との間で果して可能であるかどうか、それらの所見と、それからそれに関連して出て来る問題でございますが、原子兵器についてはどういうふうに考えられておるか。この現在の保安庁、それから今度生まれる自衛隊にもそれぞれ研究の機関があるようでありますが、これらの研究機関というものを将来持たれるのかどうか。外国に研究員を派遣するということをあなたのほうで答弁されておりましたが、研究員を外国に派遣するだけで、あなたの自衛隊内にはこういう研究機関並びに人員というものは確保されないのか、或いはするのか、或いはさつきあなたの言明された委託学生のような制度をお考えになつておるのかどうか。又一方、日本の学者は原子力の平和的利用については我々は今後研究して参るが、この原子力というものを軍事的に利用するところの研究には日本の学者としてはこれに協力しない、排除するということを機関で決議いたしております。これらと併せて如何ような御所見であるか承わつておきます。
  77. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は昨日木村委員の御質問に対して、将来は日本の国の与えられたるその状況、国際情勢から見て、成るべく海空に重点をおきたいと申したことは事実であります。又さように考えております。その際にも、これらを充実させるには陸上部隊を増強するより金がかかる、なかなか容易じやないということを申上げておる次第であります。従つて如何ように増強するかということについては、十分検討する要あることは論を待たないのであります。  なお、原子兵器の御質問でありまするが、只今保安庁においては原子兵器なんかを研究させようという意思はありません。又さような機関を持つておりません。昨日申上げたのは電子兵器であります。いわゆる電波兵器については、将来大いに研究いたしたい、こう申したのであります。
  78. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一秒最後に伺いますが、電子兵器だけで、原子兵器については一切お考えにならんとあらば、今後の原子時代について如何ように対処されるか、それだけ承わつて置きます。
  79. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 兵器としては私は考えておりません。
  80. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  81. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて下さい。
  82. 戸叶武

    戸叶武君 大蔵大臣質問いたします。大蔵大臣は、吉田さんもそうですが、国力に応じて自衛力を漸増すると言つておりますが、その趣旨に副うて自衛力のほうだけは漸増したようでありますが、国力のほうはそれほど漸増されておるとは思つていないので、経済力の培養なり、自立経済態勢というものが日本の自衛力を漸増するに足るだけの基盤ができているかどうか。極めて簡単ですが、確信のある御答弁を願いたい。
  83. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 日本の経済力につきましては、まあ経済回復の模様につきましては、これは皆さんが特に申上げんでも年々回復しておる実情は御承知通りであります。ただ国際収支等の関係から、ここに根本的な政策を多少転換する必要があつて、国際収支の均衡を得ることを目標として、今諸般の財政収縮、金融の引締め、その他の処置をとつていることは御承知通りであります。これは要するに、この日本の国力というものに実質を持たせるというための努力なのでありまして、私ども日本の国力というものは、この終戦以降だんだんと進みつつあることは、国民所得の増加その他から見て間違いないと考えております。
  84. 戸叶武

    戸叶武君 国際収支の均衡を保つ、それがためには貿易を振興しなければならない、これは敗戦国における、日本や西ドイツに課せられた課題だつたと思うのです。今日の朝日新聞にも表が出ておりますから、大蔵大臣も見ておられる通り、西ドイツの財政金融政策の成功は、完全にその困難にぶつかつてそれを克服して成果を挙げており、日本の財政金融政策の失敗というものは、何ものか他に依存しなければ立つて行けないような状態にまで今日国際収支を悪化させている。而も朝鮮事変の特需の段階において、これに対処する経済政策の失敗というものが余計その欠陥を深めている。結局は日本の自衛力の漸増というだけでなく、自衛力の漸増というものは表看板であつて、内容的に日本の財政金融政策が危殆に瀕したことが、MSAに頼つて軍事援助という形で、軍事援助の綱に頼りながら、実際外務大臣はさすがに聡明で、常にこの軍事援助を経済援助と言つておりましたが、軍事援助という名目でアメリカに頼つて日本の経済を復興させなければならないというところに追い込められてしまつてMSAを受けなければ立つて行けないような状態に落ち込んでしまつた。そこにこの軍需産業の面から日本の産業を復興させて行こうということになつたのだと思いますが、こういうような行き方で以て国際収支のバランスを作るために貿易を振興させると言つていた政府の当初のこの主張というものを生かすことができるでありましようか。
  85. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) その点につきましては、私が今年のこの今度の議会で勢頭の演説に申上げました通り、率直に過去を顧みたときに、この情勢下において日本がもはやこういう処置をとるべきことであるということでずつと申上げておりまするので、ここにこれを繰返しいたしません。いたしませんが、私どもはやはり日本がここまで来るのには、それ相応な理由もあり、又占領下における行政が長く続き、独立後いわばまあ解放されたような気持で又いろいろな政策が行われたということには、それぞれの理由があつたことと思うのでありますが、今日の段階では、私どもが現在とりつつある政策が一番日本の国力を強めるゆえんである、かように考えておる次第であります。
  86. 戸叶武

    戸叶武君 小笠原さんは正直で人柄も立派な人だから、我々がこの政策面における対決をしなければならないときにも、非常に躊躇しなければならない点があるのですが、これは長いことでなくて、すでに予算委員会においてその論争は済んでおりますから、ここには繰返しませんけれども、去年の国会におけるところの政府の政策発表の場合と、今年の政策発表の場合においては、百八十度の殆んど転換がなされているので、それには一つの一貫性も見通しもなければ信念もない、占領政策におけるところの財政経済政策の惰性を戦後においても信念ないままに推進めておるところの失敗があるので、今こういうこのMSA援助の紐つきによつて日本の自衛力はどしどしこれから漸増という形で実際は殖やされて行く、一度殖やされたものをなかなかこれは圧縮するということは困難であります。各国の財政家というものが常に悩むのは、軍事予算の圧迫からその国における財政政策が歪められることであつて英国の保守党におけるバトラー蔵相でも、この問題に直面して、どうやつて自国の貿易を盛んにさせるか、国民の負担を重くさせないかという苦悩に直面して喘いでいるのですが、非常に楽観論を以て大蔵大臣は対処しておるようでありますけれども、この状態の下において、日本のあなたは自立経済というものが極めて均衡な形において確立できる、こういうふうな確信が持てるでしようか。
  87. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 私どもの財政の緊縮、或いは金融の引締め、外貨予算、投資等の効果、或いは税制その他の措置、まあ各般の措置を講ずることによつて日本を自立に速やかに持つて行きたい、成るべく早く持つて行きたいということに全力を尽したいのでございまするが、これは戸叶さんも御存じのように、日本の資源の関係とか各種、又朝鮮事変後企業の合理化とか近代化等を怠つておつたこと等の点から見まして、これは私ども日本のこれは早く自立をいたして参るのには、例えばアメリカあたりの資本の力、これは単純な商業的な見地から申すのでありますが、そういうものが入つて日本の復活を助けてくれることは非常に望ましいことだと私は考えておる。この点は西ドイツあたりでも、自立になつてはおるが、当初において外国資本をいろいろ入れて産業の開発等を図つたことはこれは戸叶さん御承知通りです。従つてこれは日本でも、これは日本の自力でやるが、やはりよその資本を入れ得るものは入れてやるべきであると考えております。
  88. 戸叶武

    戸叶武君 近代国家の運営の中において一番重要なのは財政と外交と防衛の問題だと思うのです。今日は幸い大蔵大臣外務大臣防衛関係の大臣もそれぞれ有能なかたが並んでおりまするが、今後における日本の宿命的な悩みというものは、防衛面における負担というものに押されて、そうして日本の財政が歪められ、日本外交が今後において非常に苦難な道を辿らなければならない私は宿命を更に重く担わされて来たと思うのです。その場合において、先ほど矢嶋君もその点を指摘しましたが、今後この国防会議における大蔵大臣の役割というものは非常に重いのでありまして、大蔵大臣は今回の一兆億予算の圧縮におきましても、かなり勇気を振るつて蛮勇を振るつて、とにかくその健全財政維持のために努めたようでありますが、今後において漸増どころか、この防衛のための費用というものは、私は日本をとにかく死地に追込むまで追いかけて来ると思うのです。その際この財政政策の中心に立つところの大蔵大臣が去年言つたことと今年言つたことと百八十度もぐるぐる転回するような不見識な信念のないことでは私はやつて行けない。そこにはどこまでもこの国力に応じてというか、日本の自立経済、アメリカに依存して乞食経済でなくて、奴隷経済でなくてとにかく足りないものは買い、足りない資金は借りるにしても、その精神とその根本的な施策において、日本みずからの力によつて日本をこれから復興させて行くのだ、そういう信念を持つて行かなければならないと思うのですが、大蔵大臣は今後においてこの防衛関係の圧力、それからこの今までのような軟弱な外交、そういうものに押されながら、日本の真の自立経済を確立して行くために確信を持つて進むという信念を披瀝することができるでしようか。
  89. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) 予算その他の措置におきまして今後これがいわゆるバランスのとれない、国力を超えた予算が編成されることがあれば、それは日本の国力も又減ずるゆえんであつて、将来自立経済が立行くものではございませんので、この点が守るべき最後の一線がいつでもあると私は確信しております。従いまして自衛戦争も国力の点を離れて考えられない。この私は確信の下に予算の編成その他に当る所存であります。
  90. 戸叶武

    戸叶武君 丁度十二時になりましたから……。
  91. 小笠原三九郎

    国務大臣(小笠原三九郎君) それでは私は……。
  92. 戸叶武

    戸叶武君 次に外務大臣質問いたします。国民一般が一番心配しておるのは海外派兵の問題だと思うのです。海外派兵の問題といつても、吉田内閣における閣僚は、軍隊のないところに派兵はないといつて派遣という言葉を使わなければ答えないかも知れませんが、このMSA協定に伴うところの海外派兵の問題が問題になつたときに、協定そのものには義務付けられないが、又禁止条項も入つてない。そこでこの協定署名の際に、両国代表の岡崎、アリソンの間における挨拶として、その中で海外派兵が含まれないということを述べておりますが、これは協定の中には含まれてないが、協定といつても政治的な含みが走るのでありまして、含まれてないというのと含みというのは違うのでありますが、この協定によつて海外派兵を運命付けられるような線が打込まれているんじやないかという心配が国民一般の心配ですが、外務大臣はどういうふうに考えておられますか。
  93. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 協定の中にはさようなことは全然入つておりません。そうして又海外へ部隊を出すか出さんかということは、その国の政府のきめる政策でありまして、まあ外国と約束があれば別でありますが、約束がない以上はその国独自できめる政策であります。従つてMSA協定の中にはさようなことは全然ない。又あるべき性質のものではありませんから全然言及してありません。そこで念のため政府方針を挨拶の中で述べてあるのであります。
  94. 戸叶武

    戸叶武君 岡崎さんは外交専門家であつてデイプロマテイツクという言葉の中にマキヤベリズム的な権謀術策が歴史的に今まで含まれているから君子豹変何ら憚るところなしという信念を或いは持つておるのかも知れませんが、今までのとにかく吉田内閣の歩んだ途を我々が辿つて見るときに、常に朝三暮四でありまして、国民が非常に心配しているんです。その具体的な面は新聞で伝える通り自衛隊志願者が激減してしまつてとても、前には保安隊という形で、前には警察予備隊或いは保安隊という形で入つたが、国内の治安維持ということだけでなく、どうも空模様が仏印あたりに問題がこじれて来るとそこへ引ずり出される危険性があるんじやないか。MSA協定以来、非常な衝激を受けてその応募が減つてしまつた。その代りに今度はお巡りさんのほうは安全だ、待遇は少し悪いかも知れないけれども、これは巡査になつたほうがいいというのでお巡りさんのほうへ応募者が殖えて行つてしまつた。今度の二万八千人の募集に対しても、新聞の伝えるところでは三万幾らしか集らないというようなことで、当局者は少くともこの募集人員の三倍は欲しいと言つているが倍にもならないという状態、これに反して警察官のほうは二十六人に一人というような繁昌振りでありますが、こういうふうに国民に影響を与えている際でありますから、岡崎、アリソン間におけるところの声明という程度でなくて、この国民の疑惑を一掃させるような何らかの具体的な処置を政府は講ずる意思がないのでしようか、海外派兵の問題に対して。
  95. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 海外派兵という問題は、とにかく同協定などに書くべき問題ではないので、MSA協定というものは、率直に言えば武器を貸す、武器を借りようというものであつて、それ以外の何ものでもない。従つて政府の態度として将来も海外に部隊を出さん、こういうことをはつきりきめておれば、それ以上に何らする必要もないし、又する方法もないと私は考えております。
  96. 戸叶武

    戸叶武君 MSA協定そのものはあなたのおつしやる通りです。併しあなたの下で働いている外務省の下田条約局長は、自衛のために自衛隊出動させることができる、このことは憲法も安全保障条約も何ら禁じてない、一般国際法上からも認められておるというふうに国会答弁しておりますが、外務大臣も同様の見解ですか。
  97. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) そうおつしやると非常に誤解を招きます。下田条約局長の答弁も私は聞いておりますが、そうは言つておらない。自衛行為というものは国際法上一定の限界があつて、つまりこれは急迫不正なる攻撃があつた場合、而もほかの方法を以ては防ぎ得ない場合、最小限度に自衛措置を講ずることを認められる。その意味において例えば日本に攻撃するという場合でも、日本の領土に上つて来るまで手をつかねて待つておるか、それはそういうことはない。従つて海のほうへ出て行つて防ぐ場合もあり得る。併しこれは自衛という言葉から言つて、とかく自衛戦争などと言つて拡大解釈される場合もありますので、現政府としては、これを極く厳格に解釈して、できるだけこれを制限的に考えようと言つておりますから、これはもう極く特殊の場合に限るということを条約局長も申しておるわけであります。それ以外のことは考えておりません。
  98. 戸叶武

    戸叶武君 隣りに佐藤法制局長官がおいでになつておりますが、佐藤さんも軍隊としては派遣できなくても、公務員としては協力できるというふうな、一種の戦争協力可能なようなお言葉を衆議院において述べられておるようでありますが、佐藤さんはそういうような見解をお持ちですか。
  99. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) そういう趣旨のことをお答えしましたのは、海外派兵という言葉をめぐつていろいろな誤解を生ずる虞れがありますから、そういう気持を持ちつつ申述べたことで、とにかく憲法論として、いわゆる交戦権がなくして……、交戦権があるということはどこでも言つてないのでありますからして、普通の意味の海外派兵ということは、常識から言つてそういうことはあり得ないという先ず大前提を以ちまして、従つて一体この理窟の問題として言いますれば、自衛隊の人たちといえども一般公務員に違いない。一般公務員であるならば海外に留学することもありましようし、或いは土木の建設のために建設省のお役人が援助のためによそへ行くということもありましようから、そういう意味においては、一般公務員と同じ立場で外へ出るということは勿論あります。これは当り前のことを申上げたつもりであります。
  100. 戸叶武

    戸叶武君 交戦権がなくとも自衛という立場から戦争はできる、或いは戦争協力はできるという佐藤さんは御見解ですか。
  101. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 只今外務大臣からお答えいたしましたように、自衛というものは日本の国の存在を、生存を守るためのことであります。而してその自衛権の発動の限界というものは、極めて厳格にこれを見なければいけないということでありますからして、今の自衛権そのものの限界内において我が国を守るという必要最小限度の行動というものと、海外派兵の問題とは必ずしも結び付かない、かような頭でいるわけであります。
  102. 戸叶武

    戸叶武君 木村保安長官にお聞きします。緒方副総理は衆議院で、日本の部隊が海外の侵略基地の攻撃或いは国連軍及び米軍の指揮下にあつての後方勤務、又は外国軍隊に加入しての戦闘援護として海外に赴くことはあつて憲法の範囲内であるというような答弁をなされておりますが、木村保安長官も同様の御見解をお持ちですか。
  103. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 自衛隊は、今法制局長官が申上げました通り我が国防衛上真に止むを得ざる、ほかに方法がない場合において出動するものとなつておりますが、自衛隊法の建前から申しましても、海外派遣ということは考えておりません。
  104. 戸叶武

    戸叶武君 この海外派遣の問題ですが、佐藤法制局長官公務員の海外派遣の場合を引用しておりますが、この自衛隊に所属する者を海外に派遣する場合にも、いわゆる公務員の派遣と同様な形において取扱いますか。
  105. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは極くつき詰めたところの人事の問題として申上げておつたのでありまして、そういう人事の問題から言うと、建設省の役人が海外に留学することが許されるならば、自衛隊の役人は許されないという理窟はございませんでしようというような素朴な意味で申上げたわけであります。
  106. 戸叶武

    戸叶武君 例えば仏印に今問題が起きているときに、直接戦闘には参加しなくとも、後方勤務的な役割において日本自衛隊公務員並みの取扱で海外出張を命ぜられるというようなことがあり得るのですか。
  107. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 今申しました原理から言いまして普通の公務員と同じ立場において扱うことは、これは平等の建前からいつても当然のことでありましようし、これだけが特にいかんという理窟は私は出て来ないと思います。
  108. 戸叶武

    戸叶武君 そうすれば、あなたたちは俗にいう海外派兵という言葉を嫌つておりますが、新聞並びに一般国民の通念として取扱われている海外派兵は生まれて来ることになるのですね。
  109. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 恐らく一般の通念として常識的にいろいろ懸念されておりますような海外派兵というものは、これは憲法上非常に困難であり、むしろできないと申上げてよろしいと思います。
  110. 戸叶武

    戸叶武君 言葉の上はそうですけれども、先ほどの佐藤さんのお話を聞いていると、事実上において私は具体的な例を以て仏印の場合を例としてお尋ねしたのですが、そういうこともあり得るということを言つておるのでありますから、事実上においては、海外派兵じや悪ければ海外派遣はあり得るのですね。
  111. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) そうでありますから、私は曾つて衆議院でのお尋ねの際に、一般の公務員としての立場におけるいわゆる公務員の派遣ということはこれは一般の措置でございましようと、これも極く当り前なことをお答えしたつもりで、何ら問題はないと思います。
  112. 戸叶武

    戸叶武君 一つそこには問題があると思いますが、それはあとで逐条審議の場合に他の人からも掘り下げてもらうことにします。  外務大臣にお尋ねします。MSAそのものの協定の中には、海外派兵という問題は何ら触れていないけれども、今東南アジアど条約機構と申しますからSEATOの組織に関して英米が極めて積極的になり、東南アジア諸国を固めて日本にも加盟を望んでいるというようなことが伝えられておりますが、このSEATOの動きに対して外務大臣はどういうふうにお考えですか。
  113. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) これは非常に新聞に伝えられておりますが、未だ曾つて具体的な内容が出たことがない。どういうものであるかということは、例えばSEATO的なものであるか或いはそうでないものであるか、どこからも一つも具体的な内容が出ておりません。従つて実際上まだ何といいますか、具体的な形をなしていないのじやないかと思いますが、日本政府に対しては何ら正式な話も、非公式な話もありませんから我々も中身は知りません。従つてこれに対して批評する方法がないのでありますが、ただ原則を言えば、国際連合憲章の下において、地域的安全保障措置を講ずるということは、これは原則論としては結構な話だと思います。ただその中の規定の模様によつて日本としてこれに加入できるかできないか、加入できない場合も憲法等の制限によつてあり得るのは当然であります。従つて結構なものであつて日本は入れない、こういう場合もありましようし、又日本が入ることは適当でないというような組織の場合もありましようけれども、如何せん、まだ内容がはつきりしておりませんから、これに対して意見を述べる材料を持つておりません。
  114. 戸叶武

    戸叶武君 今開催せられておるジユネーヴ会議を通じても、ヨーロツパにおいて欧洲防衛協同体としてのEDCの問題がフランスの立場に微妙に影響しておりまして、ドイツ、フランスのそれにおけるEDCとNATOの問題というものが今後の外交上において極めて重要な問題となつて来ると思うのです。それでこれはヨーロツパの問題でありますが、当然太平洋に生まれて来るであろうと思われる地域的集団保障の動きとしては、俗に北太平洋同盟と言われるもの、或いはこの東南アジア防衛同盟と言われる動きがすでに入道雲のように出ておるのであつて、その入道雲のように出ている二つの動きを固める役割がMSA日本に与えた楔だと、こう考えておるのでありますが、MSAによつて日本の国の防衛体制というものが固められ、その防衛体制が固められると同時に、この地域的な集団安全保障といいますか、北太平洋同盟或いは東南アジア条約機構といいますか、そういうものが作り上げられた時に、日本に軍事的責任というようなものが負わされて来る可能性があると思いますが、外務大臣はその点をどう考えておられますか。
  115. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 軍事的責任などというものは、条約なり、協定なりに明確に書いてあるときは別でありますが、あいまいにしておいて、あとからそういう責任を負わされるなんということは、これは国際慣例上あり得ないことであります。従つて又実際上MSA協定というものは、昨年の初めにすでにもう日本に対しても援助を与えるという措置をアメリカ国会でとつて、そしてそれが漸く八カ月の交渉の後に実現したというような事情で、仏印の今の情勢というものは、前から仏印の戦争というものはありましたけれども、こういうふうに悪化したり、或いはジユネーヴ会議までに発展したというのは、それよりもずつとあとのことであります。これをあらかじめ予想しておいて日本MSAの供与を考えたということは、これはあり得ないことであります。従つてMSAの援助と仏印の問題とは何ら関連のないことである。これは事実時間的に見てもさようだと考えております。
  116. 戸叶武

    戸叶武君 我々はサンフランシスコ講和条約、安保条約締結の頃から、日本の独立自主の外交路線というものを作り上げなければならんために悩んで来たのでありますが、すでにそれからMSAに尾を引き、だんだん具体的に日本の国家性格というものが外交面から規定付けられておるのは事実でありまして、その中心に吉田・岡崎ラインというものが置かれて、日本の運命というものは今決せられておるのでありますが、今我々が東南アジアを旅行して見ても、東南アジア全体の動きとしては、曾つて国連にいたジエサツプ教授が言つたように、共産主義の防波堤は、我々が軍事的防波堤を作るのでなく、アジアの貧困を救い、アジアの産業を復興するための態勢を作ることが第一義だというこの主張と、もう一つは、マツカーサーから今日のアメリカの軍部にまで流れ込んでいるところの共産主義に対する防波堤は軍事的防波堤を作ることであり、その東南アジアから太平洋にかけての軍事的防波堤に筋金を入れる役割は日本でなければならないというような考え方が非常に強いようでありますが、これは外務大臣日本の今後におけるところの外交政策の基点となるものだと思いますが、あなたはアジアにおけるこの危機、あなたたちは共産主義の脅威ということを言いますが、共産主義の脅威は確かです。米ソ対立の軍事的脅威と共産主義の脅威と言いますが、アジアにおける一番根本的な問題は、アジアの貧困を救うことである。それから軍事的なアジアの侵略を救うことでありますが、あなたの外交政策としては、どちらかと言えば、アジアの貧困を救うということよりも、アメリカ軍部の要請するところのこの軍事的防波堤を作るほうに少し傾き過ぎてやしないかと思いますが、その点の所見を承わりたいと思います。
  117. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私もアジアの貧困を救うということについては全く御同感であつて、これが長い間の計画としては当然そこに向かなければならん。又我々は皆努力しなければならんと思つております。ただそれだけやればすべて共産主義の脅威、その他の脅威が消えてなくなるのかというと、そうその努力だけしておつてその間に軍事的に征服されてしまうというような事態もありますから、一つの問題だけで片付けられない。つまり、貧困さえ救えばいいんだと言つて、そればかりやつておれないのが実情であつて、ここに自衛力増強ということも多少なりともこれはやつて行かなければならない。実際の政治、実際の仕事というものは理論だけでは賄い切れないのでありまして、その意味ではこの八千七百万の国民を安全に保つためには、勿論経済が第一義でありますが、同時に自衛の措置も或る程度は講じなければならん。これが私の考えであります。
  118. 戸叶武

    戸叶武君 私は別に理想論という形だけで述べているのでなくて、極めて原則的な問題に対する質問を行なつているのです。それは岡崎さんがアメリカの国務省で出したあのアメリカ外交の失敗としての中国白書を見てもわかりますように、矢嶋君もこの点を引用いたしましたが、アメリカが蒋介石軍にあれだけの軍事援助をしても、その武器というものは、腐敗された政権の下においてその武器というものは逆にその腐敗政権を倒す武器として中共の勝利を導いた結果になつておるのであります。これは明らかにアメリカの外交政策の失敗です。又日本に対しても、この戦争の、日本を降服せしめる直前にやつたところのルーズヴエルト・チヤーチル・スターリンのあの会談というものは、明らかにあの謀略外交を中心として、アメリカの極東の今日の混乱を招いたような失敗の根を下したのでありまして、そういう点から私たちは非常に、この今度日本に、あなたたちは軍隊でないと言うけれども、事実上の軍隊が生れたときに、その軍隊の出所進退をきめるところの国防会議というもののでき上りということに非常な関心を持つておるのです。その国防会議において、大蔵大臣なり外務大臣の置かれている地位というものは極めて重要でありまするけれども、戦前と同じような政治形態を復活しつつある日本においては、恐らくは戦前の腰抜け外務大臣と無性格大蔵大臣が軍部に蹂躙せられたと同じような私は宿命の下に民族は引ずられるのではないかということをまあ恐れるのでありますが、而も、この国防会議については、専門家の木村長官にお伺いしたほうがよいと思いますが、まだいろいろな政界の取引で固まつていないようですが、国防会議というものはどういう形において性格付けられようとしておりますか。木村保安長官
  119. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 国防の大方針は国防会議できめる。そうして総理大臣の諮問に応ずるという形になつている次第であります。その構成は要するに国防の計画に密接な関係ある閣僚を構成員として、必要ある場合には他の大臣も出席させるのである。又総理大臣において更に必要のあると認めたときにおいては、統合幕僚会議の議長及びその他民間人関係者を出席させて意見を求めるということにしたいと考えているのであります。
  120. 戸叶武

    戸叶武君 まあ木村保安長官に聞いてもまだこの構成等は芦田さんとの会見や何か残されて未だ固まつていないようでありますから聞いても無駄だと思いますが、問題はこの国防会議というものが軍部のロボツト化する危険性が一つあることと、もう一つは吉田ワンマンみたいな性格の人があそこに座り込むと吉田幕府がここにおいて、鎌倉幕府が成立したと同じように、成立する危険性があると思うが、その二つの面に対する我々の危惧に対して木村保安長官はどうお考えですか。
  121. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 国防の大方針只今申上げましたように、国防会議がこれを諮問に応じてその補佐役を務めて総理大臣がきめるわけであります。この総理大臣がきめて一人で出て来るものではありません。閣議の決定を待つて初めて成案を得るわけであります。従いまして政府責任を全部持つ建前とすることは、これは当然の義務であり、政府国民の輿望を担つて成立したわけであります。それが責任を持つということは当然の義務であつて政府以外の一つの決定機関においてきめられるということは、これは民主主義に反すると考えております。
  122. 戸叶武

    戸叶武君 この防衛会議で総理大臣の防衛権限を或るところまでチエツクすることができるのです。
  123. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとより政府が全部決定するわけであります。総理大臣一人できめるわけではございません。閣議の決定を待つて初めてきまるわけであります。
  124. 戸叶武

    戸叶武君 文民優位を確立することができる見通しはついておりますか。
  125. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 文民優位とは私は申しません。いわゆる政治が軍事に優先するという建前をとつているのであります。
  126. 戸叶武

    戸叶武君 今までずつと長い間国会における論争を見ても、今日本防衛体制を作るとき、軍隊を作上げるときの論議として、政府側の答弁というものは極めて低調でありますが、その中にあつてやはり木村保安長官だけはさすがに筋を通して、自衛隊戦力なき軍隊であるという明確な表現をやり、これは社会一般の通念になつているようでありますが、形式はどうであつて自衛隊はやはり軍隊であるという信念に木村保安長官はお変りありませんか。
  127. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これはたびたび申上げました通り軍隊とは何ぞやという定義の如何に引つかかるのでありますが、もとより自衛隊は外部からの直接侵略に対して対処し得ることに任務性格付けられるのであります。この外部からの不当侵略に対して対処し得る実力部隊を軍隊と定義するならば、これを自衛隊軍隊と称して何ら差支えない、こう申しておるのであります。
  128. 戸叶武

    戸叶武君 この委員会で吉田総理も、国民軍隊と言うならばそれでもよいというふうに木村保安長官の見解のほうへだんだん引ずられて来たようでありますが、木村長官もこの事実をお認めですか。
  129. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 総理と私の見解は一にしておるのであります。
  130. 戸叶武

    戸叶武君 自衛隊軍隊であるかどうかの判定は、国民の輿論に託さなければならないというふうに緒方副総理もたしか言つておられますが、ここまで来てなお且つこの軍隊という言葉を非常に嫌つているのは、今我々が持つているところの憲法に遠慮してその点を遠慮しているだけですか。
  131. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 日本憲法九条第二項においては、日本は交戦権を否定されておるのであります。自衛隊は又この憲法第九条第二項の交戦国として有する権利は否定されるわけでありまするから、この交戦権を持つたものが真の軍隊であるということであれば、自衛隊は真の軍隊ではないという理窟になるわけであります。併し先刻申上げた通り、外部からの侵略に対処し得る実力部隊を軍隊と呼ぶのであるならば、軍隊と呼んで差支えないということを私は申すのであります。
  132. 戸叶武

    戸叶武君 ジヨンソン氏を委員長とするアメリカの下院の軍事分科委員会は、日本はいずれは自衛の責任をとらなければならないという点を考慮して、再軍備に対して現実的態度をとるべきであると勧告しているというような報道がアメリカからありますが、日本政府はそういうような勧告なり何なりを受けた覚えはありますか。
  133. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まださような勧告を受けておりません。
  134. 戸叶武

    戸叶武君 ハル国連軍司令官は、再軍備に対して日本が気乗り薄なのは、主として経済的理由によるとの見解を明らかにしていると伝えられておりますが、ハル国連軍司令官に対して、こういう見解を述べたのは吉田内閣における大蔵大臣ですか、それとも木村さんですか、外務大臣ですか。
  135. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はさような見解をハル司令官に述べた事実はございません。恐らく大蔵大臣もさようであろうと思つております。
  136. 戸叶武

    戸叶武君 岡崎外務大臣は。
  137. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) ハル司令官がそのようなことを、そういう意見を述べたとは私は信じられません。ハル司令官は日本憲法における制限等はよく承知しておる、経済的の理由もありますけれども憲法上の制限もあることは十分承知しておるはずであります。
  138. 戸叶武

    戸叶武君 こういう問題を幾ら問答してもこんにやく問答に終るのが通例ですから、問答はこの辺でとどめたいと思いますが、木村保安長官は先ほど白井義男君とエスピノサの世界選手権の争奪戦を見物に行かれて英雄閑日月ありの心境で、新聞であれはエスピノサの勝だと言われて、やはり剣道で鍛えた眼の狂わないところを示しておられるようでありますが、これはスポーツマン・シツプにおいてはフアイン・プレーというものが非常に大切なんで、これは岡崎さんもスポーツの選手でこの点は立派だと思いますが、一たび政治の点になつて参りますと、甚だ、(笑声)あの審判以上に歪んだ判定ばかりを下しておるので、非常に心おのずから恥ずるずところがあると思うのですけれども、これは日本のこの特殊社会においては通用する言動でありますけれども、少くとも日本が独立国家となつて国際舞台にのし上つた際に、世界の人たちがどういう言葉でそれを受取るか、どう対応するかということを考慮なしに言動はなされないと思うので、外国では全部日本の再軍備と言い、外国では全部日本軍隊の復活と言い、而も各国一般が注意しているのは、第一次欧州大戦に敗れた後のドイツの再軍備的な方向と同じ道を辿つて自衛隊だ、防衛隊だなどと言つて日本が盛上つて来る態勢というものに、濠州やニユージーランドなどというものは脅えているのが事実であります。そういう国々に対して何ら心配がないのだ、日本は海外には派兵もしないのだ、軍国主義の復活もなさないのだと納得させるだけの外交的な手が、有能な岡崎さんあたりによつて打てないものか、打てるものか、その辺のところを岡崎さんに承わりたい。
  139. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 只今のところ外国側でそういう懸念を持つておるものとは私には考えられません。尤も中共なりソ連側から放送等でそういうことをしばしば言つておるのは聞きましたが、これはためにするところある宣伝であろうと思つております。それ以外には日本只今計画を何らか自国に対しての脅威と感じておる国はないと私は信じております。
  140. 戸叶武

    戸叶武君 アメリカ側の有力な雑誌に、アメリカではドイツの軍部と日本の軍部をアメリカの意思のままに自由に使えるような確信を持つておるというようなことも書かれているようでありますが、ドイツのことは別として、アメリカ側にそういう確信を与えるような言明なり何なりを我々のわからないところで岡崎さんは今までやつておられますか。
  141. 岡崎勝男

    国務大臣岡崎勝男君) 私は勿論、日本政府からさようなことは全然ありませんし、又若しそういうことを本当にアメリカなりが考えておると仮に仮定しますれば、雑誌にそんなことを書くなんてことは、およそ意味のないことなんで、それこそぶち壊わしになるので、従つてその雑誌としては単なる雑誌としての書き方であつて、何らアメリカ政府日本政府の関知するところでないのは当然だろうと思います。
  142. 戸叶武

    戸叶武君 そういう具体的な証拠はあとで示すことにしますが、岡崎さんが考えているのと違つてアメリカの新聞なり雑誌は、必ずしも政府の統制に応じているのではなくて、やはりアメリカ側の輿論がそういう形において受入れておるような態勢をその新聞なり雑誌なりに自主的に表現しているのでしようが、私たちが最終的に一番恐れている点を質問したのですが、問題は我々の戦争に対する恐怖です。それから戦争に引ずり込まれるところの恐怖です。これは真珠湾の攻撃の際にも見られまするように、あの戦争の最中においてアメリカの内部における新聞の中でシカゴ・トリビユーンにマコーミツクはルーズヴエルト夫妻と仲が悪くて、堂々とルーズヴエルト夫妻に反対しておつた。而も戦争の最中にアメリカ日本の外務省や軍部が打つて来るところの暗号電報は全部わかつておる、又レーダーも備わつて攻めて来るとわかつている。だがとにかく向うからしかけて来てから叩くのでなければ、アメリカ全体が立上らないから、日本側に攻めさせてから立上ろうという体制を作つてつたのであつて、戦争責任はルーズヴエルトその人であるというふうにマコーミツクはシカゴ・トリビユーンにおいて、長い間、戦争中においてルーズヴエルトに食つてかかつております。そういうふうに戦争というものは、向うから攻めて来るまでこつちは出ないで待つていると言つても、戦争製造屋から言わしめるならば、そういうことはへいちやらであつて、向うに攻めさせるような形で、或いは向うが攻めなくても向うが攻めさせた形で、満洲事変が起きたときはそうでありますが、そういう形において戦争というものは誘発されるのです。そういう場合におけるところの、この出動するか出動しないか、戦争に引きずり込まれるか引ずり込まれないで、外交的手段によつて話合いで問題を片付けるか、そういうことをきめる上において国防会議というものは極めて重要でありますが、木村保安長官にそいう点を一つ尋ねたいことと、もう一つは、今すべてアメリカ側ニクソン初め、こめんなさいと言つて謝りやいいつもりでやたらに謝ることがはやつておりますけれども日本が今日の窮地に立ち、極東にこの波乱を招いたのはルーズヴエルトみずからがロシアを利用して、ヤルタ秘密協定によつて、そうして昭和二十年の二月十一日、十二日のあの協定によつて、満洲、蒙古は中国、ロシアにとにかくやる、樺太もやる、だから日本を適当な機会に出て叩きつけろという形で来て、中国の蒋介石政権がありながらも政権を無視して、国民政府を無視して戦争謀略によつて、あのヤルタ秘密協定の謀略によつて日本を終戦に追込んで行つた。戦争には背後においてこんな残虐なマキベリズム外交が民主主義国と言われるアメリカを中心として隠されておるのであつて、戦争の背後における外交謀略、これほど恐しいものはないし、又軍部の手先の策動というものによつて導かれるものほどこわいものはないのであつて、そういう意味において国防会議の実態が明らかにならない以上は、やはり防衛法案の審議というものを我々はこれ以上進めても実際に何の意味もないとまで思つているのですが、その点に対して一つ木村保安長官の見解を承わりたい。
  143. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この自衛隊法を御覧下されば極めて明瞭でありますが、一番問題になつておりまする防衛出動の可否を決するについては、これは国会できめることを原則としておるのであります。これに重点を置いております。いわゆる国家の最高機関でありまする国会において防衛出動の可否を決する、国会の承認を得なければならん。この原則が確立されておるのであります。その前においていわゆる総理大臣の補佐、諮問機関として先ず一応前提として防衛の可否をきめて、結局においては国会においてきめる、この建前をとつた。これは極めて民主的であろうと考えております。
  144. 戸叶武

    戸叶武君 その問題は大体戦争において、これから戦争へ入るから、戦争をぶつ始めるから国会が承認してくれということを求めるのは形式であつて、大体はそれができちやつてから事後において承認を求むる場合が多いので、それだけにその国防会議というものの置かれているところの地位というものが重要なんであつて国会に承認を求めるということが原則であつても、戦争というものはなかなか原則というものを守れない場合が多い。特に今のような吉田内閣のような性格では、原則を置いたつてその原則を踏みにじつて行く、そういう不信を招いているところの政治家によつて構成せられておるところの日本の運命を決するような重大な法案でありますが、事後に承認を求める場合に、その責任の一番の中心点はどこにありますか。総理大臣にあるのですか、国防会議にあるのですか。
  145. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとより政府であります。政府が全責任を持つてやる、これは日本憲法の建前であります。民主主義の原則であります。
  146. 戸叶武

    戸叶武君 それでは政府の全責任においてという形で、国防会議は政府の閣僚だけで構成してそれ以外の者を入れないつもりですか。
  147. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 保安庁において考えておる構想はそれであります。但し、総理大臣が必要ありと認めた場合においては、統合幕僚会議の議長が関係者の出席を求めて、その意見を求めることがよかろうと、こう考えております。
  148. 戸叶武

    戸叶武君 その国防会議というものの構成なり何なりを明確にしないうちに、政府防衛法案国会に通過を求めるつもりですか。これは衆議院でそれを行なつたことが世間の非難を招いております。せめて参議院においてはそのめどをはつきりさせないうちにこの法案を通すべきでないというまで声援が社会から送られておりますが、長官はどういうふうに考えておられますか。
  149. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この国防会議の構成内容は重大でありますから、更に法律を以て国会の審議を仰いで決定いたしたいと、こう考えた次第であります。
  150. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 簡単に木村長官に御質問申上げたいと思います。  第一は、自衛隊法には、内閣総理大臣が自衛隊の最高の指揮監督権を有する規定になつておりますが、この防衛法案を通じて総理の職務としては、一方に諮問機関としての国防会議を持ち、他方におきましては防衛長官を指揮監督することになつておりますので、総理といたしましては、国防会議の結果を防衛長官に伝えることのほかに、命令権としては防衛出動以外には一体何があるか、それを承わつてみたいと思います。
  151. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 総理大臣はすべての最高の指揮監督権を持つておるのでありまして、諸般のことに関して防衛長官に対して全部命令指揮ができるわけであります。
  152. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 具体的には何がございましようか。
  153. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いろいろ国防計画を立てる、その他のことについてもありましよう。
  154. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 さよういたしますと、この規定によりますと、総理の真のブレーンには幕僚機関というものはないのでありますが、やはりこれは数は少くても相当有能な顧問的立場にある幕僚を持つことが、最高の指揮監督をする上において必要ではないか、かように考えるのでありますが、如何でございましようか。
  155. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 防衛に関する最高の幕僚、総理の幕僚は防衛長官であります。防衛庁の長官が更に各幕僚によつて補佐され、その結果、総理が全部指揮をするという建前をとつておるのであります。
  156. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 その総理が長官に対して命令をし、或いは承認を与える場合のブレーンは全然なくてもいい、こういうお考えでございますか。
  157. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は今の建前がよろしかろうと考えております。総理の下に更に幕僚を置くということは、屋上屋を架するので、紛更を生ずる虞れがあると私は考えております。
  158. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に防衛長官の職務のことについてお伺いいたしたいと思うのでありますが、昔の制度で簡単に申しますと、長官は陸軍大臣、参謀総長、軍司令官、この三つの仕事を兼ねておられるように考えるのであります。そこでこの三者が最も能率的に運用をされなければならんのは勿論でございまして、軍政方面のことにつきましては、内局にすでに強力な権限を持つた組織があるわけでありますが、いわゆる軍令方面に携わる仕事につきましては、幕僚長があるわけでございますが、この幕僚長の職務権限が極めてあいまいであると思うのであります。と申しますのは、幕僚長は防衛計画の立案をその所管の事務ときめられておりますけれども、而も幕僚長によつて作成いたしました方針並びに実施計画は、長官の承認を要することは勿論でありますが、その承認を与えるための補佐役は内部の局長であります。又統合幕僚会議の所管事項に関する長官の指示又は承認の補佐も内部局長が当ることになつております。更に幕僚長は自衛隊隊務に関する幕僚機関となつており、隊務を監督することにはなつておりますけれども自衛隊に対する監督を行うための長官の一般的監督に関する補佐役は、これもやはり内部の局長になつております。又長官の真の補佐機関である参事官は八名中六名までが官房長及び局長でありますから、幕僚長はこれには入つておらないのであります。その結果といたしまして、幕僚長は一応の立案はするけれども、最後の決定は内部の部局の局長が実権を持つておる、こういうことになつておりまして、この制度は文民優先の履き違えではなかろうかと思うのであります。政治が軍事に優先するとは最高国策としての国防に関するものでありまして、用兵作戦のごとき純軍事的の事項につきましては、軍人としての知識と経験とを尊重すべきことは論を待たないと思うのであります。そこで私は防衛庁の組織はむしろ文民優先ということよりも官僚優先と申したいと思うのでありますが、これに対する御所見を承わりたいと思います。
  159. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り幕僚長もひとしく長官の補佐機関であります。幕僚長はすべて実施部隊についての計画方針をきめ、又部隊の出動等について立案するわけであります。それらについていわゆる幕僚長が長官を補佐して行く、一面において内部部局においてそれを大所高所から、或いは又別の面から見て、そうして長官を補佐して、そうして長官のきまつた方針は幕僚長を通じて実施部隊の部隊長に流して行こう、ここにおいて統一された一つ計画というものが実施されて行くわけでありまして、私はこの方式が極めて妥当であろうと考えておるのであります。実施部隊のいわゆる指揮官が勝手に方針を立てて勝手に部隊に流すということであつてはならない。これはすべて長官の下にあつて長官において更にこれをよく検討して実施部隊に幕僚長を通じて流して行くということが極めて妥当であろうと私はこう解釈しております。
  160. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 幕僚とか補佐機関という意味は、要するに長官のブレーンということだろうと思います。ところが先日の長官の御答弁によりますと、ブレーンは参事官である。八名の参事官が自分のプレーンである。そのうちの六名は局長である。あとの二名は技術官を以てこれに当てる方針である。こういうような御答弁があつたわけでありますが、さよういたしますと、今申されましたところの最も高い位置にあるべき幕僚長が参事官にすらも入つておらんということは、文字の上では如何にも幕僚長と申しますと、何か長官の最高の補佐機関のごとく聞えますけれども、実質的には内部の局長が最高の実権を握つておる。そうして幕僚長は極めて不明朗な地位に堕しておる、かように私は考えるのであります。と申しますのは、幕僚長の任務隊務を監督する、こういうことが一つになつております。それからもう一つは、長官の命令を執行する権限はありますが、指揮権に関する規定はありません。そういたしますと、軍司令官的な存在とするならば、指揮権はなければならんと思うのでありますけれども、部下に対する指揮権を幕僚長は持つていない。ただ漠然と隊務を監督する、長官の命令を執行する、命令の執行が如何ようであるかということを監督するだけの権限しか与えられておりません。軍令系統には入つておらないのであります。そこで私は若しも軍令系統に入らないのでありまするならば、隊務の監督と命令執行の責任を解除いたしまして、長官方面総監とを直結せしむることが系統を正す上に妥当であると思うのであります。又若し長官方面総監との間に一つの階梯として幕僚長を介在せしむるの必要がありとしまするならば、幕僚長に指揮権を与えて、自衛隊法の第十一条第二項のごときは、方面総監は、幕僚長を通じて長官の指揮監督を受け、方面隊の隊務を統括するときめるべきが妥当であると思うのでありますが、これに対しての御意見を承わりたいと思うのであります。
  161. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今お述べになりました最後のところは、私ども全く同感に思つておるのでありまして、この十一条の方面隊と長官との関係で、募僚長を通じないかのようにお述べになりましたが、これは第八条を御覧頂きますとおわかり願えると思うのでございますが、長官自衛隊隊務を統括いたしまするけれども、陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関に対する長官の指揮監督は、それぞれ当該幕僚長を通じて行う。こうなつておるのでございまして、方面総監に参りますところの長官の指揮監督というものも、必ず幕僚長を通じて参るのでございます。又幕僚長と内局との関係についてもお述べになりましたけれども、幕僚長は、隊務に関しましては長官の最高の補佐機関であります。内局の局長その他は部隊に対しましては指揮命令する等の関係はないのでございます。必ず長官から幕僚長を通じて部隊に指揮命令が行く、こういうことになるのでございます。又幕僚長は、お述べになりました通り長官の命令を執行する権限を持つております。ただこれとお述べになりましたような司令官との関係ということでございますが、司令官というものは、これは別に設けられるのであります。その司令官というものの設けられた場合に対する命令は、やはり幕僚長を通じて、幕僚長が即司令官ということではないのでございます。
  162. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 只今局長の御説明になりました八条も私はよく存じておるのであります。私の申上げるのは、幕僚長に指揮権を与えて軍令系統の一階梯とするつもりであるか。又は長官の幕僚機関にとどめて置くならば、隊務の監督とか、或いは命令の執行とか、そういう面には携わらせないほうがよい。つまり軍令系統の一階梯とするか、或いは幕僚機関を本来とするか、そこの性格が極めてあいまいであつて、かようなことでは一朝有事の際に到底敏活な命令の執行、若しくは指揮の紛更ということを招くのじやないか、そこの性格をもつとはつきりしたらいいんじやないか。条文の上で申上げますならば、若し八条の規定があるならば、何のために十一条に幕僚長を通じてという字をお抜きになつたか、入れておくほうが妥当ではないか、こういうことを私は申上げておるのであります。
  163. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 十一条に「通じて」という規定を入れるということも私ども考えたのでございまするけれども、併しこれは八条に幕僚長の監督を受ける機関に対する指揮監督は、当該幕僚長を通じて行うと書いてありますれば、八条の規定で読めるのではないかと、かように思つたのであります。  又軍令、軍政のどちらかに性格を割切れというふうなお話でございますが、この法律案自体は、幕僚長というものと両方につきまして長官を補佐する権限を持つておる機関と、かように建前を作つておるのであります。長官の補佐もいたします。同時に部隊に対する関係においては、長官の命令を執行ずる、この命令は、勿論長官の命令でございます。長官が直接に命令をお出しになるのでありますから、幕僚長が執行する補佐の面と、それから命令の執行の面と両方の性格を幕僚長に持たしておるのであります。これはいろいろお考えがあると思いますけれども、私ども警察予備隊からの経験によりまして、現在のところこういう方式がよろしいのではないかと、かように思つておるのであります。
  164. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は折角の御説明を伺いましたけれども、やはり縫え的の存在であるということの以外には納得の行く説明であつたとは考えられませんが、これ以上は意見になりますから、次に進みます。  次に、防衛庁の権限として行動するという言葉がよくありますが、この行動ということが、自衛隊の行動という意味ならば、自衛隊法規定すればよいのであつて、特に防衛庁の権限として行動を規定するのは如何かと思うのでありますが、如何でございましようか。
  165. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは防衛庁というものと自衛隊との関係にも触れて来る問題でございますが、私ども防衛庁と言いました場合におきましては、国家行政組織法上の一つの行政機関という政治的な面から考えておるのでございます。ただ行政機関ではございまするけれども、ほかの行政機構とは性格が違いまして、執行を中心とした任務を、目的を持つておる。その執行するという動的な面から見まして、これを自衛隊というふうに把握しておるのであります。そこで国家行政組織法上の役所の権限として規定いたします場合におきましては、この実態的な行動のところを据えまして、防衛庁の権限として規定をしたということでございます。
  166. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、領空侵犯のことについてお伺いいたしたいと思いますが、自衛隊法の弟八十四条には、侵犯機を着陸させというふうな言葉があるのですが、若し着陸しなかつた場合には、これは撃退するという意味でありますか。或いはその他に何らかの方法がありますか。若しくは外交折衝に移すという意味でありますならば、その外交折衝には防衛庁がお当りになるのか、或いは外務省がお当りになるのか、そこのところを伺つてみたいと思います。
  167. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この八十四条に規定しておりまするところは、先ず着陸をさせるというところに主たる狙いを置いておるのであります。これが着陸しなかつた場合にはどうするかということでございます。その着陸の命令に対しまして、相手方が何らかの攻撃的な行動をとりました場合におきましては、そこに報復的な行動がとり得るかと思うのであります。その場合のことは、この法律の直接に規定するよりも、実際問題として私は解決されるだろうと思うのであります。
  168. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 外交折衝の場合には。
  169. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 外交折衝のことは、この条文の範囲外でございまして、これは外務省においておやり願うことになると思います。
  170. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、自衛隊法第八十八条に武力行使の限界を規定しておるのでありますが、その規定の中に「事態に応じ合理的に必要と判断される限度」と、こういう言葉がありますが、先日の御答弁では、これは個々の戦闘行為を指すのではなくして、総括的に判断する、こういう御答弁であつたのでありますが、具体的に総括的にこの合理的に必要とせられる判断、その基準は一体どういうお立て方をなさるか、御腹案があれば承わつて見たいと思います。
  171. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは非常にむずかしいと思うのでございまして、或る方面における幾つかの方面から攻撃して来たという場合、中央におきまして全体の攻撃の態様というものを把握いたしまして、どの程度の武力行使をすべきかと、こういうことになるであろうと思います。ただ自衛の行使につきましては、相手方の武力に比例しなければならないというふうな説を立てておる学者もございますけれども、私どもは必ずしも相手方の武力に比例するということでなくてもよろしいのではないかと、こう思つております。
  172. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、海上自衛隊の地方隊の航空隊という規定がございますが、陸上自衛隊にも航空隊があるのですか、ないのですか。
  173. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはお手許にお配りいたしました資料の中に出ておつたところと思いますが、方面隊とか管区隊には、それぞれ連絡用の航空隊を持つております。又特科隊のほうにも観測用の航空隊を持つております。
  174. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 航空自衛隊は、航空教育隊その他の直轄部隊と、こうなつておりますが、この規定から想像いたしますと、航空自衛隊は、現在の段階においては、専ら練習及び教育を任務として完成されたものを陸海空軍部隊に配属せしめると、こういうお考えでございましようか、如何でございましようか。
  175. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今のところは、航空教育隊だけはつきりしておるのでございますが、そのほかにも、長官直轄部隊ともなろうと予想されます輸送隊というものがございます。
  176. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、日米行政協定第二十四条の規定にかかわらず、日本アメリカに協議をしなくて独力で外敵の侵入に対して行動し得るという意味の過日の長官の御答弁がありましたが、これは昨日の外務大臣の御答弁とは、何かそこに齟齬があるように思うのでありますが、いま一回詳細に長官から御説明を伺いたいと思います。
  177. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私の申上げたのは、具体的に申上げますれば、咄嗟に或る地方において攻撃が加えられたというふうな場合には、日本自衛隊は咄嗟にこれに対して行動をとつてよいのである、こう申したのであります。
  178. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 日米行政協定の第二十四条には、敵対行為の虞れのある場合にも協議しろ、まだ事態が起らん先にも協議しろということが掲げられておりますが、それにもかかわらず、問題が起つてからなお且つ協議をしないということが、この条文の解釈としては不穏当ではないかというふうに考えるのですが、如何でございましようか。
  179. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はそうは考えておりません。大きい意味において攻撃を加えられるような虞れがある場合においては、あらかじめ双方で適当な処置をとつておくことが当然であると思います。その場合においても、突如として或る地点で攻撃を加えて来た場合においては、これはどういう処置をとるかという協議をする余地はないのであります。日本自衛隊が独自で以て行動していいと、私は考えております。
  180. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 事後に連絡をおとりになりますか。
  181. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 無論そう私はいたすべきであろうと考えております。
  182. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 法制局長官意見も同意見でいらつしやいますか。
  183. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 同じように考えております。
  184. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 次に、日米協同作戦の場合に指揮をいずれがとるか。仮に米軍の指揮の下に日本自衛隊が入りましたときに、例えば北海道に問題が起り、北海道駐留の米軍指揮の下に我が方の北部方面総監部又は第二管区総監部が入つたときに、米軍指揮官と防衛長官との関係はどうなるか。防衛長官方面総監等に直接指揮命令することはできないと思いますが、その辺の調整をどういうふうに持つかということに疑問を持つわけでありますが、その点如何でございますか。
  185. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 有事の際に指揮をどうするかということについては、これは大きな問題であります。これについては、私は十分検討を加えたいと思います。まだ具体的の問題については決定いたしておりません。併しいろいろな場合が想定されるのでありまして、そういう場合を十分検討いたしまして、あらかじめ処置をつけたいと思います。日本自衛隊の中にアメリカの部隊の指揮に入る場合もありましようし、いろいろの場合があり得ると考えております。それらについては十分検討をして行きたいと考えます。
  186. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私の特に迷う点は、今申上げたように、途中のところで、例えば方面総監部のところで米軍が指揮する。その上級に位する総理大臣なり、防衛長官との関係はどんなふうな調整が考えられるかということは私見当がつきませんので、何か腹案があれば伺いたい。
  187. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まだ腹案ができておりません。十分検討いたしたいと思います。
  188. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 予備自衛隊員の予備招集命令が発せられるときは、国会の承認が必要であるかどうか。又緊急出動の場合でも、予備招集ができるかどうか、この二点を伺つておきたいと思います。
  189. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 予備自衛官の招集につきましては、国会の承認ということは予測しておらないのでございます。予備自衛官が招集されますのは、主として防衛出動がありました場合だけでございます。それ以外の場合は、ございません。
  190. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 防衛出動には原則として国会の承認を得るのは勿論でありますが、防衛出動に対する国会の承認さえ得れば、その補充としての予備自衛官の招集命令を発することには、改めて国会の承認を必要としませんか。
  191. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 御見解の通りでございます。
  192. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 緊急出動の場合にも、予備自衛隊隊員を招集することがありますか。
  193. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 緊急出動とおつしやる意味を私どうとつたらいいのかと思いますが、予備自衛官は、防衛出動の際にのみ自衛官を招集することになつております。
  194. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 緊急出動は、申すまでもなく七十六条第一項但書の出動があつた場合に、兵力が足らんので予備に招集命令を発する、そういうことがあるかどうか。
  195. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) その場合も同じく防衛出動でございますので、防衛出動の場合における出動として予備自衛官を招集するということもあり得ると思います。
  196. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 長官に伺いたいのですが、駐留軍が日本から撤退した後に、現在と同じくらいの防備力を持つには、大体日本の兵力と申しますか、隊員と申しますか、それはどれくらいの数が必要だとお考えになりますか。
  197. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 実はアメリカ駐留軍の地上部隊の実数というものは正確にはわかつておりません。従いましてアメリカ駐留軍の地上部隊が全部引揚げた場合において、日本がどれだけの数字になるかということの具体的なことは、私は只今申上げることはできません。
  198. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 統合幕僚会議議長に最高の自衛官を任命する、その最高の意味は、例えば先任の人であるというふうな先日の御答弁でありましたが、先任者は必ずしも適任と申せないので、それはその議長の職にある間は最高のランクでもいいのでありますが、必ず先任の者をそれに任命するということは妥当でないと思うのですが、この間の御答弁がその点不明確だつたと思います。
  199. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 先日そういう答弁した記憶はちよつとないのでありまして、お説の通り、必ずしも先任者を統合幕僚会議議長に据えようという考えはないのであります。
  200. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 制服の内部勤務の配置を具体的にお示し願いたいと思います。
  201. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今保安庁におきましても同様規定がありまして、この規定によりまして保安局に若干名勤務をいたしております。今後防衛庁になりました場合におきまして、どれだけのものを内局に勤務させるということにつきましては、まだ決定しておりません。
  202. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 自衛隊法第二条第五項に、隊員に関する規定がありますが、その実際的の効果を知るのに私は苦しむわけであります。なぜならば、防衛庁設置法第七条第一項で、職員の定数を十六万四千五百三十八人とし、第二項で自衛官の定数を十五万二千百十五人とし、一万二千四百二十三人という差があります。これは職員でありますから、自衛官と職員のふだんのものさえきめておけば、殊に隊員という妙なものをきめる必要はないのではないかと思います。それは一体どういう意味でそういうふうにきまつたのですか。
  203. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 御意見のようなことも考え得られると思いますが、ただ自衛隊そのものが行動を主とする実力部隊という観念を大きく打出すために、隊員の服務に関する規定でありますとか、或いはその他の権限関係規定いたしますにつきまして、隊員ということに、その主力をなす隊員を中心に書くほうが適当であろうというふうなことから、自衛隊のほうでは隊員という名前にしたのでございます。
  204. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 私は自衛隊員と言えば、特に隊員と言はなくても、これは無意味だということを申上げて次に移ります。  自衛艦旗、旗の規定がありますが、この自衛艦旗に対しては、国際的の儀礼として例えば軍艦旗に対するような外国から取扱を受けますか。
  205. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは前回も自衛艦は軍艦と同じような待遇を受けるかどうかというようなお尋ねがございましたが、国の防衛の任に当る船舶、それを任務とする船舶を軍艦というふうに考えますならば、やはり軍艦というふうな取扱を受けるものであろうと思うのでございますけれども、併しこれは外国の扱いでございまして、日本側としてこれが受けられるとか受けられないとかいうようなことはむずかしいものと考えております。
  206. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 階級旗をお作りになりますか。
  207. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 階級旗まではまだ考えておらないのでございますが、自衛艦旗というものとは別に、現在は警備隊に船隊群という編成があります。その司令の旗というようなものは考えております。
  208. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 自衛隊礼式の中に天皇旗に対する規定をおきめになりますか。
  209. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 考えておりません。
  210. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 それから空佐というようなむずかしい名称がいろいろできますが、又いずれ変るのでしようが、これは大佐というような昔の名前で一向差支えないと思うが、殊更にややつこしいように思う。例えばこれを英語に訳したら同じだと思いますが、如何ですか。
  211. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはなかなか御議論のあるところでありまして、衆議院におきましても長官から、若しいい名前があつたら教えて頂きたいという発言があつたのでございます。適当かどうかということにつきましては、御意見があろうと思います。
  212. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 先日法制局長官に文民の解釈を承わるようにお願いしておいたのですが、書いたもので一つお示しを願いたいと思います。それから長官に魂の入つた自衛隊を作るための何と申しますか、指導理念についての文章、これも一つお願いいたしておきたい。それから先ほど私もちよつと混乱した質問を申上げましたが、命令系統の図解表を頂きたいと思います。補佐機関とか命令機関とか指揮系統とかいろいろなことがあります。これもこの中には補佐と命令、つまり軍令と幕僚、いろいろな関係が大変ややこしいので、更に図解したものを一つ委員会に御提出を願いたいと思います。私の質問を終ります。
  213. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  214. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて。
  215. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この前井野委員から関税と軍艦との関係につきましてお尋ねがございまして、お答えを留保しておきました。調べて見ますると、関税法に基きまして、関税定率法の中で、軍艦でありまするとか、陸海軍において購入した兵器、弾薬及び爆発物というようなものは、関税定率法において免税しておつたようであります。今後自衛艦等につきまして、関税の扱いをどうするかということは、新らしい問題として考えさして頂きたいと思います。
  216. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは以上を以ちまして、防衛庁設置法及び自衛隊法案の二案に関する一般質疑を終了いたします。  暫時休憩いたします。    午後一時二十二分休憩    —————・—————    午後六時三十七分開会
  217. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今より委員会を再開いたします。  防衛庁設置法案及び自衛隊法案について、これより逐条質疑を開始します。先ず防衛庁設置法案につきまして質疑を行います。
  218. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 一節くらいずつまとめてやつたほうがいいのではないですか。
  219. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 承知しました。それでは第一章総則の第一条になつておりますが……。
  220. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 第三条の二項、「庁務を統括し、」とあり、その次の行の一番しまいに「これを統督する。」とありますが、統括と統督とはどういう意味の違いがありますか。
  221. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは国家行政組織法の書き方に合せたのでございまして、庁務を統括するというのは、庁務を処理するというほどの意味でございます。それから「所部の職員を任免し、且つ、その服務についてこれを統督する。」とありますのは、これは国家行政組織法の十条に書いてありますが、普通の場合には監督と書くところでございますが、国家行政組織法におきましては、殊に大臣が監督する場合には、統督という言葉を使つております。
  222. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 議事進行。節というのもそのところによりけりで、第一節は私は一条ずつやつたほうが結局は時間が早いのじやないかと思うのです。これは右、左に揺れておれば却つてひまがかかるのじやないかと思いますが、皆さん如何お考えになりますか。やはり一節ということならば、私はそれに従いますが、右に左にちよつと第一節は揺れるのじやないかと思いますが……。
  223. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  224. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて。
  225. 山下義信

    山下義信君 ちよつと関連して。八木委員、三条のところをまだ御質疑ございますか。……それでは今三条が出ましたから、三条のところで伺うのですが、「所部の職員を任免し、」とあるのですね、この職員というのはどういうのを指しますか。
  226. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) ここに職員と申しますのは、第七条の「定員」のところへ出ておりまする職員のことを申すのであります。政務次官は除かれます。次長以下を申します。
  227. 山下義信

    山下義信君 政務次官を除くということですね、私はそれを伺いたいと思つたのですが、政務次官を除くということは、第七条で初めて出て来るのであつて、第七条で「長官及び政務次官を除く。以下同じ。」とあるので、以上同じということではないのですね。そうすると第三条の職員が政務次官を除くということはどこでわかるのですか。
  228. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは第七条について私が申しましたからそういうことになつたのでありますが、長官と政務次官は別の法律で、国家行政組織法によりまして任免のことがきめてありまするので、職員でありましてもそのほうの任免の規定であるということになると思うのであります。
  229. 山下義信

    山下義信君 それでは国家行政組織法に書いてあるから、ここに書いてなくてもいいと、こういうことですね。
  230. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) その系統の職員であるということでございます。
  231. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 三条に行つたので私は二条のことをちよつと伺いたいのですが、それは自衛隊と申すなら、むしろ防衛庁というのは自衛庁とされたほうがいいのではないかと、こういうふうに私は考えるのでありますが、若し強いて自衛隊と自衛庁で工合が悪い、防衛庁をとられるのならば、むしろこれは国防庁としたほうがずつと内容からすつきりするのではないかと思うのですが、どういうわけで防衛庁とされたのか、その経緯を一つ承わりたいと思います。
  232. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 事務当局の範囲でないようでございますから……。
  233. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは御承知通り三派折衝でいろいろ名称について練つたようでありまするが、結局防衛庁に落着いたので防衛庁というふうに法案できめたわけであります。
  234. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 保安庁当局としては、やはり私の所論のように自衛庁のほうが適当だと、こういうふうにお考えになつておられるのじやないかと思いますが、保安長官としての御所見は如何ですか。
  235. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) いろいろ考え方もありましようが、まあ防衛庁でも我々はよかろうと、こう考えております。
  236. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうもしつくりしないのです。(笑声)結局これは改進党に屈したわけですな。 (笑声)
  237. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その間の事情は私は存じませんが、保安庁当局としても防衛庁でまあよかろうということであります。
  238. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは第三条が出たから第三条について承わりますが、この第三条の三項の「任免権の一部は、部内の上級の職員に委任することができる。」となつておりますが、私はこの上級の職員というのは、どの職を指しておられるのか、又私はこれからできる防衛庁の防衛長官の役割というのは非常に大きいと思うのでありますが、現実的に任免権の一部とありますが、大部を委任するような実情になつているのではないかと思いますが、先ず前者のほうからの答弁を伺いたいと思います。
  239. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは国家公務員法におきましても、一般職の職員について同様な規定を設けておるのでありまして、現在保安庁法においてもさようなやり方をいたしております。防衛庁が設置になりました後も恐らく今の保安庁におけるやり方を参考としてこの運用はきめられると思うのでございますが、現在の保安庁について申しますると、保安官及び警備官のうちで幹部、即ち三等保安士、三等警備士以上の者は、これは長官が任免をするということにいたしてあります。それ以下の者、士補級、保安士補、警備士補クラスのものは管区総監、それ以下の保査長とか警査長と申しまするものは連隊長級の者に任免権を委任いたしております。
  240. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この任免権というのは非常に大事でありますが、それでは上級の隊員の任免権は、実質的にはこれは人事局長が握つておるのでしようね。戦前でもこの人事局長というのは非常に重要なポストで、ポスト争いが行われたわけでありますが、私は例えば今の警備隊を例にとりましても、そのポストは元の或いは海軍兵学校或いは海軍機関学校、経理学校、更にこれらと対立する元の商船学校出身者の間でそのポスト争いというものは相当熾烈ではないか、それが将来部隊内の有機的な統合融和という面に非常に支障を来たして来るのじやないかと思いますが、そういうきざしはないか、それらの点について承わりたいと思います。
  241. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今申上げました長官の任免権を留保しておられます事項につきましては、人事局長が長官を補佐いたしておりまして、実質的に補佐いたしております。部内につきましては、私どもそういう動きはないと思います。ただそういうことは一番今後とも気をつけて行かなければならない問題だと思います。
  242. 山下義信

    山下義信君 今の部内の上級の職員に委任するというのは、どの程度までずつと次々に委任して行きますか。
  243. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今申上げましたけれども、幹部以上の者は長官が任免なさるし、士補級の者は、昔で言えば下士官級でありますが、これは管区総監、それから曹長以下の昔の兵隊、これに類する者は連隊長級に委任しております。
  244. 山下義信

    山下義信君 ああそうですが、大体昔の軍隊と同じですね、任免権というものは、(笑声)大体よく似ておりますね。元の軍隊の上級任免権の委任とどこか違うところがありますか。大体似ておると思うのですがね。同じと思うのですがね。
  245. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 昔はどうなつておるか私はわからないのです。(笑声)昔のことはわからない、現在のやり方は……。
  246. 山下義信

    山下義信君 わからんことはお尋ねしても問題になりませんが、しようがないのですが、そうして任免権を委任された例えば連隊長が任免しますね、それはもう一つ上の上級者に何か連絡しますか。
  247. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 上級者は何名採用するとか、どういうふうに昇進させるかという枠を示します。あとは連隊長が一人でやります。その方針従つてやります。
  248. 山下義信

    山下義信君 ああそうですが、枠があるからその枠内ではできるということですか。
  249. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなた加藤さんは人事局長でしたね。
  250. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) そうです。
  251. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 失礼ですが、前歴は……(笑声)軍籍はないのでしよう。内務畑ですか。
  252. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) そうです。
  253. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官に私はその点伺いたいのですが、先ほども私ちよつと触れましたが、内部部局の中でも、人事局長というのは一つの重要なポストだと思うのです。いろいろ個人的には立派な人が隊員になり、又機構、装備が如何に立派にできても、人の和というものが具現されなければ国内の擾乱一つ処理することはできないと思うのです。我々は先般公聴会をやつて、この三軍方式は陸、海、空の対立を再現する虞れがあるから云々という公述人の意見も聞きましたし、委員各位からそれらに関する質問があつたわけですが、私はこの人事局長の選任というものは、よほど注意しなければならん。で、むしろ陸海空という一つの流れをくむ方よりは、只今加藤人事局長のようなそういう立場の人を私は今後もずつと人事局長には任命されるのがいいのではないか、こういうように私は考えておりますが、長官の御所見と今後の方針を承わつておきたいと思います。
  254. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 誠に御尤もであります。この人事局長のポストは非常に重要性を帯びております。公正であり、廉潔の士でなくてはならんと思います。いやしくも偏見を持つたものであつてはいけません。幸いに私は加藤局長を非常に信頼しております。これは清廉公正な定評のある人物であります。将来も十分その点について注意をいたして行きますが、不公正のないようにということで進めたいと思つております。
  255. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 丁度その人事部のことが出ましたので、それに関連して承わつておきますが、ここに出された防衛庁設置法に基く政令及び総理府令に規定すべき事項案というこの幕僚監部の内部組織の陸、海、空を拝見しますと、例えば陸軍では、人事を扱うのは第一部となつて、それから海軍のほうは、人事部となつて、こういうように陸海空幕僚監部の内部組織というものは形態が違つておりますが、こういうのはやはり地方公共団体とも今後防衛庁は関連が持たれて来るわけですが、国民にわかりやすくするためには、陸軍にはないが海軍には或る課があるということはこれはいたし方がないと思いますが、こういう形態というものは、陸海空大体統一した同じ呼称にしておいたほうが国民にとつては便利じやないか、又内部においても陸海空の相互関係において便利じやないかと思うのでありますが、どうしてそうなさらないのか、これは全般に通ずる問題でありますが、この際承わつておきたいと思います。
  256. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはそういうふうなお考えもあることと思います。ただ実際の仕事のやり方等から考えまして、必ずしも合わせなくてもよいような面もあると思うのでありまして現在の第一幕僚監部と第二幕僚監部とは仕事のやり方が若干異なつておるのであります。第一幕僚監部のほうは、現在監理部から第四部までありますが、これは総括的な事項について幕僚長を補佐する、各課は必ずしも各部の下についているという課じやないのであります。それぞれ専門の課でございます。その専門的な事項については、各課が直接幕僚長を補佐することもできる、但し所管の事項については監理部及び第一部から第四部まで通じてやるというふうな仕組みをとつておりますので、その点第二幕僚監部の形態と違うのであります。今回もその点につきましては、大分検討を要する点があるかと思いますけれども、今までのやり方で余り支障もありませんので、大体同じ行き方を踏襲しようと考えておりますので、かようになつております。
  257. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私そういうことを承わつておるのじやない。例えばですね、海のほうならば人事部、こう行きますが、陸上のほうには人事部はないのだ、陸のほうは第一部だ、こういうのは内部でも困るだろうが、国民にとつては非常にまぎらわしいと思うのですよ、海のほうを人事部というのならば陸のほうも人事部と、こういう形に統一されたらいいのじやないですか。私は純軍事的な立場では陸海空に統合幕僚会議というのがあつて、議長がその会議を主宰するようになつておるが、こういう面に関しては統合的な私は連絡は非常に少いとこの案を見て感ずるのでありますが、一度こういう機構ができたならば、直ちにやはり伝統というものができて、国民に親しませなければならんわけですが、そういう形からいつて、海のほうで人事部とあれば陸も人事部となつていなければ、海が人事部ならそれに相当するのは陸軍のほうでは第一部だ、こういう私は内部機構の不統一というものは私は感心できないと思うのですが、どうしてこういうふうにやられたのか、調整できなかつたのか、その点伺つておきたいと思います。
  258. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは今申上げました通り、現在第一幕僚監部と第二幕僚監部とが部課の組織を異にいたしまして仕事を進めて来ておるわけであります。それで今日防衛庁として発足するのでありますけれども、今までの仕事のやり方から見て特に支障がございませんので、大体こういうやり方で押し通したいと思つておるのであります。
  259. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 どうも頑固ですね。(笑声)笑いごとじやないんだ。将来ずつと長く続くのですから……、このたびの保安庁法改正、これは改正とは考えていない。保安庁法が一応消えて防衛庁法というものが新たにできるように考えます。今私は人事部を言いましたが、例えば海軍では経理部というのがあるのでしよう。その経理部に相当するのは陸のほうでは第四部となつておりますが、こういうのも何か統一する方法が私はあると思うのです。例えば海軍のほうにはこれは実際ないのですが、艤装という部があつても陸軍にはないというならわかりますけれども、殊に人事部とか或いは総務部、調査部、こういうようなものは、陸海空いずれにもあるわけですから、そういうものは同じ形にしておいたほうが、国民は非常に今後自衛隊と連絡をとつて行くのに便利ですし、親しみやすくなると思うのですが、陸に行けば第一部、第二部だが、海のほうでは人事部だ、或いは経理部だというような内部組織の作り方は、私は不統一のそしりを免れないのではないか、こう考えるのですが、再考の余地はございませんか。長官如何ですか。
  260. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 実は今局長から申述べましたように、現在の保安庁において慣れて来ておるものでありますから、これで踏襲したわけであります。大体保安庁に関係のあるものはそれで現在通つておりますから、従つてそのままを踏襲して来たわけであります。
  261. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうすると新たにできる航空幕僚監部のほうは陸に見習わないで海のほうに見習つた、こういう形になつておりますね。
  262. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうであります。
  263. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それほどならば、今度新たに陸海空ができたのだから、これから何年と続くのですよ、そうだつたならば、これは私は簡単にできることだから、統一整備されて然るべきだと思う。ここにすでに陸海の自主性の確立といいますか、やはり星と錨の争いの私はめざめがあると思うのですがね。そこを防衛長官が押えて調整して行かなくちやならんと思うのですが、これを再検討されるお考えはございませんか。
  264. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お説も御尤もでありまするが、現在こう慣れて来ておりまするから、このままでやつて行きたい。又将来不都合がありますると、これは内部部局のことでありますから、十分検討して仰せのようにいたしたいと思います。
  265. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 第三条の三項「前項の任命権の一部は、部内の上級の職員に委任する」……(「済んだ済んだ、今」と呼ぶ者あり)済んだ……、僕は今ちよつと生理的な要求でよそへ行つたのです。これは上級官吏というのはどういうようなものですか。(笑声)
  266. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 先にお答えいたしましたけれども保安官、警備官について申しますると、三等保安士、三等警備士以上は長官が任命する。それから士補クラスは、保安隊について申しますと、管区長官、それ以下は連隊長、こういうふうにしております。
  267. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 第四条ですね、防衛庁の任務ですが、この四条と、それから保安庁の任務の場合の四条を見ますと、保安庁の場合は、警備が主たる任務ですね。この任務に応じて警備計画というものができるわけです。今度はこれを防衛庁の任務を見ますと、警備の任務というのはここからは何か除かれているように感じるのですよ。この保安庁の場合には、警備の任務がこれが主たるものですね。ところが防衛庁の任務を見ると、警備の任務というのは、どうもここに入つていないのです、ここの限りにおいて。それはどういう関係なんですか。
  268. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 第四条に「国の安全を保つ」ということがございますが、国の安全を保つという言葉の中には、広い意味におきまして、国内の公共の秩序の維持に当るということも含まれておるというふうに解釈しておるのでございます。
  269. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうしてもつと保安庁の任務にあるように正確に規定しないのですか。
  270. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは提案の理由の説明にもございましたごとく、今回の防衛庁設置法におきましては、国の防衛に当るということを前面に打ち出されたわけでございまするので、そういう観点から第四条の書き方も考えられましたので、このようなことになつたのであります。
  271. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この「国の安全」の中に警備というのを含めると言いますけれども、これを率直に我々読んだ限りにおいては、やはりその警備というものよりも、国の安全という場合、いわゆる直接侵略、間接侵略、そういうものが主であつて、そういうものからの安全ということが主になる。やはりどうもこれだけ見ますと、警備というもののほうが、今までのあれがここから除かれているような感じ……除かれていると言つては言い過ぎかも知れませんが、非常にこつちは警備よりも直接侵略、間接侵略のほうに非常にウエイトが大きく置かれているように見える。それで警備というのはもう従であり、そうして防衛するための戦争のほうに非常に重点を置いているというふうに、強く憲法違反的あれが非常に濃厚に出ていると思うのですよ、これね。
  272. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その点を補充して申しまするが、「防衛庁は、わが国の平和と独立を守り、」、この平和ということは国の秩序を維持することも含まれているのであります。平和と独立を守ることは国内の秩序を守り、而して外部からの攻撃に対して日本の独立を守つて行く、そうして日本の国の安全を期して行こうということを打出しておるから、この点は明瞭であろうと思います。
  273. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもそれなら保安庁の任務のほうですね。「平和と秩序を維持し、」と書いてありますよ。今度は防衛庁のほうは「平和」というところに秩序の維持も含める、こういうお話なんですね。そうしたら、はつきりとやはりそういうふうに規定したらいいと思うのですね。この直接侵略、間接侵略に非常にウエイトが置かれているわけですね。非常にはつきりと軍隊性格をここで現わしている。この点はやはり憲法九条と、この自衛隊設置は憲法九条違反であるかないかを判定する場合の重要な一つの根拠になると思う。この防衛庁の任務のところがですね、非常にそういうにおいが強く出ているのですよ。もう少しこのうちに、もつともつと保安庁の任務であつた、いわゆる警備或いは警備計画的なもの、そういうものを含める規定の仕方はどうしてできないのですか。
  274. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 「平和と独立を守り」ということでありますると、双方含まれていると我々は解釈しております。これで極めて明瞭であろうと信じております。
  275. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 関連してですが、この「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的」とする、は、自衛隊の上にかかつて自衛隊法自衛隊任務のところに「直接侵略及び間接侵略」並びに「公共の秩序」ということが書いてあるから、そういう意味での法案と私は解釈しているのですが、その解釈は違いますかしら。
  276. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは先ほど御説明いたしましたが、防衛庁というのは国家行政組織上の役所という政治的な面から見まして、自衛隊法のほうにおきましては、自衛隊という観念は、その活動の実態に着目して組立てられているのでありまして、従つてその自衛隊法のほうでは、実際に直接侵略及び間接侵略に対して防衛するのだという任務を端的に出しておるのであります。防衛庁のほうは行政機関としての任務にふさわしいような事務で、この任務のところを規定したということになつております。
  277. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 今私の申上げたのは、木村委員質問は、「公共の秩序の維持」ということが出てないから、これはどうだということを聞いておられるから、「公共の秩序」というふうな意味自衛隊法の中に入つているから、ここに書かなくてもいいのじやないか、こう私は解釈しているが、その解釈は違うかと聞いたのです。
  278. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今の八木さんのおつしやつた通りでございます。
  279. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、最も一番大事なところですよ、第四条は、(笑声)この保安庁の任務保安庁法の四条に書いてあるように、「人命及び財産を保護するため、」、こういう字句が入つているわけですね。私は自衛隊の目的、第三条から考えても、又憲法九条を改正しないで、多額の国民の負担によつて成立つところのこの法案には、やはり「人命及び財産を保護する」という言葉を保安庁法と同様に入れたらいいと思うのですが、どういうわけでこれを落したのか、その理由を一つ承わりたい。
  280. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 人命及び財産の保護は極めて重要な事柄でございまするが、これは第五条の防衛庁の権限のほうにはこの前御説明いたしました通りつておるわけでございます。従つて第四条に入れることも結構でございまするけれども、第五条と併せてお読み頂きますると、人命及び財産の保護について、防衛庁としては相当責任を持つておるということが御了解願えると思つております。
  281. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ところが防衛庁のほうの権限というところへ行くと、これはまあ最初に出ている必要度に応じて、重要度において規定されているのかどうか知りませんが、十六番目にあるのですよ。「天災地変その他の災害に際して、人命又は財産の保護のため必要がある場合において行動すること。」、それから十四以下、非常にあとになつて来ている。私はなぜしつこく質問するかというと、やつぱりおたまじやくしが蛙になつて行く過程をここで規定しているので、この規定によつてこのおたまじやくしが足が生えて来るのですね。それで憲法九条で禁じている戦力、少くとも八木委員が前から言われている陸海空軍とまあ仮に言わなくたつて、その他の戦力にはつきりとなる規定であると思うのですよ。そこで保安庁の任務の場合の人命及び財産の保護、それから警備というものを非常に薄めて、そうして蛙の任務であるところの戦争の任務というものをはつきりとここに出したところに問題があるのです。この二法案憲法違反であるかないかということを判定する場合に、やつぱり先ずこの保安庁の任務というものがそこで非常に重要になつて来ると思う。私は、ですから、そういう点からこれは侵略に対する規定であつてそうして警備に対する規定ではない。そういうふうに思うのです。警備に対するあれはもうさつき言つたように、あとのほうにちよつぴりあるだけであつて、直接侵略、或いは間接侵略に対応するもので、やはり自衛ということに目的としてはしておりますが、戦争というものにはつきりその役割を転ずる、その任務を非常にはつきり規定しておるのですから、私はこの規定は明かに憲法に違反しておる。そう思うのですが、保安長官はこの規定憲法にやつぱり違反してやしないとお考えですか。
  282. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 決して憲法に違反したものとは考えておりません。もうたびたび申上げたように、憲法戦力を否定することは当然言うを待たないのでありまするが、自衛権に基く自衛力を持つことは決して否定していないのであります。この任務のほうは「防衛庁は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、」、こう大きく謳つて、そうして権限の部においては、十三において「直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛し、」云々、十四において「公共の秩序を維持するため特別の必要がある場合において行動すること。」、十五において「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合において行動すること。」、十六において「天災地変その他の災害に際して人命又は財産の保護のため必要がある場合において行動すること。」、こうはつきり謳つておるのでありまして、決して直接侵略に対してのみ防衛庁は任務を負つているわけではない。国内の平和と秩序を維持するためにも等しくその任務を帯びているということを謳つておるから、私はこれで差支えないと、こう考えております。
  283. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 関連。さつきの答弁は満足できない。さつきの人事局長の答弁只今木村長官答弁は、私はとんでもないと思うのです。その理由は、我々が今究明しているのは、防衛庁の任務保安庁の任務の相違を究明しているわけです。保安庁の任務では、人命及び財産を保護するというのがあつたのに、そういうものは消えて、そうして防衛庁では軍隊的な任務が非常に出て来たという点を究明しているわけです。それに対してあなたがたは第五条の防衛庁の権限の十五、十六号にあるから云々と言われますが、そういうことは理由になりませんよ。ということは、第五条は権限を有することを規定している国家の機関であつて、人命、財産を保護することを権限として持つていないような国家機関なんかあり得ませんよ。更に私は申上げますれば、この防衛庁の権限の十五、十六号にある人命とか財産、こういう点に関するものは保安庁の権限にも全部あるじやありませんか。全く同じです。保安庁の権限の中にもある。防衛庁の権限、両方にある。ところがこの任務のところは大きく変つて保安庁にあつたの防衛庁になくなつた。而も防衛庁の権限の中には保安庁の権限の中になかつたのが加わつている。その加わつているのは何かというと、十三番の「直接侵略」という言葉、それから十八号の「領空侵犯に対する措置」、これが大きく保安庁にないものから入つて来ているわけなんです。ここに大きな変化がある。それが憲法九条との関連で違憲の虞れ多分にある。こういうことを申上げているわけで、第五条の十五、六番目にあるから、それでいいというようなことは、これは保安庁法との比較で理由になりませんよ。如何ですか。
  284. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これは前からも申上げておる通り保安庁の任務だけならば何も改正することを要しないのであります。今度防衛庁設置法、自衛隊法を提案したというのは、要するに直接侵略に対しても対処し得るようにいたしたいということなんでありまして、従つて直接侵略に対処する、或いは国内の平和と秩序を維持するために自衛隊が活動する。この面もはつきり打ち出すことが必要であるのであります。保安庁法における保安隊任務、この自衛隊法における自衛隊任務とは相当距離のあるということは、もうこの法案自体の性格から明瞭であろうと私は考えております。
  285. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうことは警察的なものから飛躍して、その警察的な性格というものを衣替えして軍隊的なものになつたと、こういうことを意味しているわけですね。
  286. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 繰返し申すようでありまするが、自衛隊というのは、我が国の独立を守るために外部からの不当侵略に対してもこれに対処し得るところの任務を有しているのであります。それと共に公共の秩序、人命、財産を保護することについて行動することを任務とすること、これが相待つて自衛隊任務となつておるわけであります。
  287. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その公共の秩序と治安の維持というものが一つのなすべき仕事だと、こういうことを今も申されているのですが、それであるならば、わざわざ人命及財産を保護するためにという言葉を落さないで、憲法九条との関連からいつても、入れておいたらいいじやございませんか。なぜ殊更そういう国民の最も当面期待しているこういう活字を落されるのか、その点重ねて伺います。
  288. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 前々から申しますように、我が国の平和と独立を守る、平和といううちには国内の秩序を維持することを任務とすることは明らかであります。従つて平和と独立と安全を保つということになれば、両方を包含することは明らかであろうと、こう考えております。
  289. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この任務と権限との違いですね。人命及び財産の保護は、これは保安庁法の場合には、保安庁の任務として四条に規定されておつたですね。ところがこの防衛庁のほうになると、任務の中から落して、権限の中に持つてつているわけです。ここがはつきり違うところですが、そこで任務と権限というのは、ここはどういうふうに違うのですか。先ほどの保安長官の御説明では、それは権限のほうに含まれておるからいいんだというのですけれども保安庁法の場合には、はつきりと任務のところへ規定しているのです。今度はこの防衛庁の場合には、人命及び財産の保護は任務から落して権限のほうへ譲つているのですね、そこで我々はそういうところが軍隊的な、軍隊としての性格を非常にはつきりさせるところであると思うのです。
  290. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 任務があるから、それに基いて権限が生ずるのであります。その任務はいわゆる平和と独立を守るということにおいて、極めて明瞭であると思います。
  291. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それならなぜ保安庁法においては四条に規定し、任務のところに規定し、そして防衛庁法の場合には四条から除いておるのですか。
  292. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 保安庁法のほうでも第四条に任務規定し、第六条に権限を規定しておりまして、第六条の中の十四号のほうに、やはり人命財産保護のことを規定しておるのでありまして、先ほど順序があとになつているというお話がございましたけれども、この第五条の権限の規定は、現在の保安庁法の規定に倣いまして、順序をきめたものでございますから、これはうしろのほうへ行つたのでございます。権限と任務との関係はこれは密接な関係があるのでありまして、大きな任務保安庁はどういう仕事をするかということをきめまして、その任務を遂行するについて、どういうふうな権限を持ち、どういう仕事をするかということをきめたのが、権限の規定であります。任務のほうに人命財産の規定を入れたらどうかという御意見でございますが、これは先ほど長官のおつしやつた通り我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つということを任務規定いたしますれば、人命財産の保護ということも、そこから出て来るのではあるまいか、かように考えておるのであります。
  293. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは私は非常に重大だと思う。今度のフリゲート艦が北海道に救難のために行つたと、この場合任務ですよ。若しあれを怠つたら任務を怠たることになるのですね。今度は防衛庁の場合は、権限を持つておるのですね。併しそれは奉仕しなくてもいいんでしよう。ですからいざという場合には人命保護に当らないで、戦争のほうに当る。そういうやはり軽重が、これは出て来るのじやないですか。
  294. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 先ほどから説明いたしておりまする通り、第四条で「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つ」という表現の中には、人命、財産の保護のようなことも広い意味で含まれているものと、かように解釈しておるものでありまして任務の中には広い意味で入つておるものと思います。
  295. 井野碩哉

    ○井野碩哉君 今長官は警察行動を平和のほうへお入れになりましたが、平和というのは国際関係の問題で、むしろ国の安全のほうへ警察の目的をお入れになつたほうが、いいのではないでしようか。
  296. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今井野委員の仰せになりました問題、その通りであります。先に加藤局長が、これは安全のほうに入れておるのです。同時に平和の中にその意味も含ませてお日る。双方相待つて国内の秩序維持のこともこのうちに包含されておる。そういう意味だろうと思います。
  297. 井野碩哉

    ○井野碩哉君 今矢嶋委員が言われるように、保安庁の中に抜けているからどこに入つているかと言えば、むしろ国の安全のほうに入つておるように法律にあつたほうがはつきりするのじやないか、こういうふうに思つたから伺つたのです。
  298. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 人命救助の、人命に関するお話が出ましたけれども、第五条の権限の中に、十五と十六に人命に関することが書いてございます。ところが私はこれを拝見しましたときに、例えば十五の海上における人命、財産の保護、それから十六における天災地変のための人命、財産の保護、人命、財産の保護の範囲が非常に小さくなつておる。例えば暴動の場合における人命、財産の保護ということが、この権限の中ではなくなつております。ところが先ほどからいろいろ問題になりました保安庁法の権限の第十四号には、「わが国の平和と秩序を維持し、人命及び財産を保護するため、特別の必要がある場合において行動すること。」こういうことが書いてあるわけでありまして、私の意見で言えば、権限の第十四号の「公共の秩序を維持するため特別の必要がある場合において行動すること。」、こう書いてあるのを、公共の秩序を維持し、人命及び財産を保護するため特別の必要がある場合に云々、なぜこの中から特に人命及び財産を保護するためという字をお抜きになつたか。私は抜いたということが手落ちじやなかつたかと、こう思うのですが、如何ですか。
  299. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この権限の規定は、法律案の各条文とそれぞれ対応させながら書いてあるつもりでございます。この第十五号から申しますると「海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合」の行動というのは、自衛隊法の第八十二条に規定しております海上における警備行動のことを意味しており、第十六号、これは自衛隊法の八十三条の災害派遣に対応するつもりで書いており、又この第十四号は、これは治安出動の場合に相当する規定として書いておるつもりであります。保安庁法におきましてはこの第十四号は、第六十一条の命令出動及び治安出動に合せて、この災害派遣と合せて規定したのでありまするので、これは災害派遣等の場合を含んで人命及び財産を保護するためにということを一号にまとめて書いてある、こういうことでございます。
  300. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 保安庁法のほうにまとめて書いてあるということの意味は私よくわかりますけれども防衛庁設置法の権限の十四に、特に人命及び財産の保護をわざわざ抜く必要はないじやないか、これは抜くということは人命を軽んずるわけじやありませんけれども、直接侵略にばかり百頭が行つてしまうものだから、ついうつかり抜かしたんじやないかと思うのですが、これを入れたほうが、暴動等に対する自衛隊任務としては、私はそのほうがむしろいいと思いますが、修正するお考えはありませんか。
  301. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私ども物事をただ法律的にばかり見やすいものでありますから、そういう点まで法律の字句に入れなければ、人命、財産の保護ができないというふうにも実は考えなかつたので、こういう規定でも含まれるから、こういう書き方でよろしいのではないかと実は思つたのであります。
  302. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 議論をするようでありますけれども、この人命及び財産の保護の概念は相当広くて、この防衛庁設置法の第五条の十五、十六のほうが概念が狭いのだから、その間に入るものはやはり十四の中に的確に書いておかれるほうが法律の用語としても正しい、かように私は考えます。
  303. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 法律的に解釈いたしますると、公共の秩序を維持するということの中に、人命、財産の保護も含まれるという先ほどの御答弁を繰返すほかないと思います。
  304. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 警察には国の安全を保つという目的が入つていますか、いませんか、警察というものには……。概念を承わつているわけであります。長官どうですか。
  305. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今度の警察法案によりますると、「公共の安全と秩序を維持する」ということは、はつきり入つております。
  306. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が承わつているのは、長官に承わりますが、警察というものには、国の安全を保つことを目的とするのは入りますか、入りませんか。
  307. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとより入ると思います。
  308. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 入り方が違いますか、同じですか。
  309. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 入り方が違うというのは、私ちよつと意味がわかりかねます。
  310. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点があなたがたは違憲でないというて盛んに言つているのだが、非常に不明確なんですよ。先ず加藤人事局長の所論から私は反駁いたしましよう。あなたは人命、財産の保護というものは、公共の安全と秩序維持の中に入つているということを今答弁しましたね。
  311. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) いたしました。
  312. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 警察法見てごらんなさい。「身体及び財産の保護に任じ、」云々と来てその他「公共の安全と秩序を維持」というふうにはつきりと並べて書いてある。だから今のあなたのような説明は成立たないのです。それから木村長官の言うことも不明確です。警察はもとより国の安全を保つことを目的とすると言いますが、そういうものは警察法見てごらんなさいませ。」国の安全を保つということは、表面には出て来ない。出て来ているのは個人の生命、身体及び財産の保護というものは表面に出て来、公共の安全と秩序の維持が表面に出て来る。警察には表面にはそういう目的はない。保安庁法と防衛庁法比べて見ますと、防衛庁法に入つて来たものは何かというと、一番大きな筋が「独立を守り、国の安全」と入つて来ておる。独立を守り、国の安全を維持する、これは保安庁法にはなかつたのです。もとより警察法にはそういうものはない。我が国の警察法にもないし、どこの国の警察法見たつて任務というところに独立を守り、国の安全なんかは入つて来ない。独立を守り、国の安全という活字が入るのは、これがいわゆる軍隊なんです。日本憲法九条で規定しているところの軍隊なんです。この活字が出て来ると、これを主目的として部隊を編成し、訓練し、これを維持することが憲法九条に違反している。今の加藤人事局長のこちらに対するところの答弁、それから木村長官答弁というものは全く支離滅裂であり、警察と軍隊とごつちやにした答弁をしているわけですが、如何ですか。
  313. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 決してごつちやにいたしておりません。自衛隊は普通の警察事務を行うのではないのであります。普通の警察事務は警察でやります。警察の力によつて到底対処することができないような場合に初めて自衛隊が行動をするわけであります。この行動を起す場合には、即ち国の安全を維持するために行動するのであります。決してごつちやにしておりません。
  314. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一応人事局長の答弁を求めます。間違つているでしよう。
  315. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私は先ほど国の安全を保つという言葉の中には、広い意味で公共の秩序を維持するということまで入るということを言うたのでありまして、警察法の書き方は、警察法という特別の機構を作るのでございますから、この書き方は最もこれに適応するように書かれることは当然であろうと思うのであります。併し私の言いました国の安全を保つということの中に、公共の秩序、それに含めますところの人命、財産の保護が入らないというふうには私は考えません。
  316. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この四条は一部改正なんですか。保安庁法の一部改正でありますか。
  317. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 防衛庁設置法の法案の目次の説明にありまする通り保安庁法の全部の改正でございます。
  318. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 我々に配付された防衛庁設置法案新旧対照表の見出しによりますと、第四条は三角がついている。現行法令の一部改正を行なつ規定、こうなつています。そうでしようか。
  319. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 先ほど申しました通り、国の安全を保つという言葉の中には、今まで保安庁で任務として考えております事柄も当然含まれるし、更にそれにプラスいたしまして直接侵略、間接侵略に対しまして、我が国防衛するという任務が附加わつて来たという意味で三角を附加えたのであります。
  320. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その御答弁は非常に牽強附会だと思います。一部改正じやないんですよ。はつきりと直接侵略、間接侵略に対応する規定であつて、むしろ逆じやないですか。それでむしろ前の保安庁法の任務がつけたりになつている。そのために三軍を設けるということが又ここに新らしく出て来ているわけでしよう。三軍を設ける、これが一部改正であるということはこれは本当のごまかしで、これこそが本当の再軍備の一番中心ですわ、これはね、再軍備の……。一部改正なんかというぐらいな説明ではこれは賄えないと思うのですよ。それで保安庁法の四条と、防衛庁設置法の四条の相違のもう一つの今までの議論のほかの重要な点は、国の独立を守り、安全を保つために、その手段とし三二軍を設置するということだと思う。三軍設置については、今度は新らしく航空自衛隊というものが設けられて、これはこれまでの保安隊にはないものであつたと思う。この三軍というものは、これこそ木村保安長官が言われている戦力に私はなつて来ていると思います。前には私は予算委員会木村長官憲法問題について質疑いたしましたときに、長官は前に例えば原子爆弾を持つて来ても日本にはこれを持つて運ぶ飛行機というものはないのだから、だから原子爆弾をただ持つておつただけでは、これは戦力ではない、こういう御答弁なんです。ところが今度は航空自衛隊というものができて原子爆弾を持つて、運んでこれを落すことができる。これこそが三軍バランスの近代的な戦争をし得る実力ですよ、これは。ただそれを以て戦争して勝つか敗けるかは別です。勝つか敗けるかは別ですけれども、近代戦争を遂行する能力という規定の場合に、いつでもその能力、戦力にならんければ、これは憲法違反じやないと言つておるけれども、じや戦力とは何かというと、近代的な戦争を遂行し得る能力、その能力の中には戦争して敗けるか勝つかわからんが、とにかく近代戦争を遂行できれば、これは戦力であるということになる。三軍のバランス、三軍を持てば明らかにこれはもう戦力になると思うのです。勝つか敗けるかはわかりませんよ。そういう意味でこの四条の規定は、はつきりとその一部改正ではなくて、保安庁法の場合の警察的規定が、今度は軍事的規定になつておる。それをはつきりその目的及び手段をここに規定しておることにおいてはつきりとこれは戦力になつておるのではないですか。戦力については、程度について、全然どの程度戦力であるかということが今まで何ら明らかにされていない。今度はこれに基いて二十九年度の予算によつて再軍備いたします。アメリカから兵器も借ります。立派にこれは近代的戦争を遂行し得るじやないですか。ただそれがアメリカの近代的戦争を遂行する能力と比べて劣るだけであつて程度の差であつて、質においては何ら変らない。侵略しようと思えばできますよ。もつと弱い国を侵略しようと思えばできます。我々が頂いた、各国の戦力表というのを頂きましたが、日本より遥かに装備その他兵力においては劣つておる国がまだたくさんあるのですよ。ですから二十九年度の防衛計画に基いて、三十年度の防衛計画に基いて朝鮮を攻撃しようとしたらできるでしよう。台湾を攻撃しようとしたらできるでしよう。侵略しようとしたら、そういうやはり実力を持つのであつて従つてこれは憲法九条の第一項で言うところの武力を行使する、武力によつて威嚇する。そういうことが禁じられてあつてはつきり私はこれは自衛と言おうが何と言おうが、二十九年度の防衛計画、三十年度の防衛計画によるところの自衛隊というものは、はつきりとこれは戦力であつて憲法の禁じておる戦力であつて、その禁じておる戦力をここではつきりと持つことを規定する。それがこの防衛庁設置法の四条である。これこそが最も顕著に憲法に違反しておる。違反をしようとする条項であると思うのです。私はそう解釈するのですが、これについてどうお考えですか。
  321. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 只今木村委員から現在の保安隊の持つておる装備並びに二十九年度において我々が持とうとする装備は、朝鮮或いは台湾を攻略し得る能力であるかのごとく申されましたが、断じてさような能力はありません。御承知通り我が国は四囲海に連なつておるのであります。外国に向いて侵略しようというような場合には、相当の艦船を必要とすることは言を待たないのであります。今の日本の実力においてさようなものはないことは極めて明瞭であります。又原子爆弾云々のことを申されましたが、原子爆弾を投下するのには、それを運ぶだけの大きな輸送機がなければなりません。さようなものは現在において持つておりません。又爆撃機も持つておりません。我々は又近き将来においてさような高度の航空機を持ち得ないのじやないか。従つて実質的意味において戦力に至ることまだ甚だ遠しと言わざるを得ないのであります。併し防衛庁設置法においても、この四条の規定は、我が国の平和と独立を守り、即ち外部からの不当侵略に対して対処すると同時に、警察力で以ては到底対処することができないような場合において、これを行動するということを目的として書かれたものでありまするから、決して憲法違反のものではないと私は確信しているのであります。
  322. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今木村長官の御答弁に対して私はまだ承知できないのですが、最近アメリカでは非常に小型の原子爆弾が発明されて、非常に小さい飛行機でもこれを輸送することができるようになつて来ている、こういうことが最近新聞に出ております。従つてその原子爆弾を運ぶような大きな飛行機がないと言いますけれども、こういうことはナンセンスであると思うのです。もう近代兵器は非常に発達して行くのでありますから、三軍というシステムを作れば、これは近代的な戦争遂行能力の体形をここで一つ作るわけですよ。これが一つの近代的戦争遂行のつまり戦力を持つ場合の一つの体形ですよ。三軍、陸海空、それにどれだけの装備力を持つか、どれだけの人員が要るか、これは程度の差です。朝鮮や台湾を攻略し得ないと言いますけれども、それは攻略して負けるか負けないかであつて日本がこれによつて二十九年度或いは三十年度に防衛計画する場合には、今までよりは、現在よりは朝鮮や台湾に対して日本が武力的に脅威を感ぜしめるということは、これは明らかであろうと思うのです。即ち憲法九条の一項において、武力による威嚇、武力の行使、そういうことは自衛のために日本が持つていると言つても、現在よりは威嚇的になることは明らかです。増強して来れば、現在よりは脅威になることは明らかであります。従つて私は今までの木村長官が言われた憲法に違反しないという論議には服し得ないのです。今までの政府憲法九条の解釈の仕方は、だんだん拡大して行つて、全く政府の解釈は無意味になつてしまつている。あんな今までのような解釈の仕方ならば、憲法改正をする必要があるかないかということはナンセンスに近いことを考える。憲法九条の一項で言うところの武力による威嚇、武力の行使、こういうものははつきりとこれは今度制定しようとしている防衛庁設置法の四条に規定する三軍バランス、三軍を設けるということ、これによつてはつきりと私は憲法九条一項に言うところの武力の威嚇、武力の行使の脅威というものをここで構成するのであつて、そういう立場からこれは憲法違反であるということは非常に明確ではないかと思うのですが、如何でございますか。
  323. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もうそのことについては、しばしば申上げた通りであります。憲法において武力の行使を禁止しているのは、国際紛争解決の手段として用いるためだというのでありまして、外国から不当の侵略に対処していわゆる自衛力の行使については、武力を用いてもこれは一向差支えないのであります。
  324. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 くどいようですが、木村長官衆議院の予算委員会で本間委員と論議されたときに、結局目的論から憲法違反を論ずるのではなくて、結局日本が持つ実力が戦力でなければ、目的は問わずとにかく平和憲法に反しないのだ、併し目的の如何を問わず戦力であつたならば、自衛のためでもいけないのだ、勿論侵略のためにはいけないのだ、併し裏を返せば、戦力に達しなければ、これは侵略のためでもいいというような解釈にも取れて来るのです。これまでの政府の思想統一による最終的結論は、結局戦力でなければいいという解釈でずつと来ているのですよ。戦力でなければ、又戦力でなくても武力による威嚇、或いは脅威というものは感じさせ得るのですから、それを自衛のためであると持つてつても、国際的紛争の手段として、日本よりも実力の弱い国に対しては、日本戦力を増強して、政府は近代戦争遂行能力でないからと言つてどんどん増強しています。それが暗に威嚇になつて国際紛争の手段になるわけです。実力の背景において外交問題を処置して行くというのがこれまでの常道なんでありますから、従つてこれまでの政府の目的論から実力論に移つた憲法九条の解釈は、これは私はそれでは賄えないと思うのです。もう一度よく政府はこの憲法をカンニングするためには、もう少し、又これは新らしく考え直さないと、カンニングし切れない。その後皆さんいろいろ研究して、カンニングのぼろが出て来ているのですから、私は論理的に私の言うことがどこが間違つているかも一つ解明して頂きたいと思うのです。これは本間委員木村長官との論争によつて、実ははつきりとこの点は明らかになつて来ているのです。
  325. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その点についてはしばしば繰返しおるのであります。我が憲法においては、自衛力を否定しておりません。外国からの不当侵略に対して対処し得ることはもとより国家存立上当然の事理であります。ただ国際紛争解決の手段としては、如何なる場合においても、武力の行使、武力を以て威嚇してはならんということであります。
  326. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今の木村委員のに関連して伺いますが、あなたがたが出された資料に基いて私指摘したいと思うのだが、ビルマは陸軍兵力四万、海軍はフリゲート一、小艦艇三十五、飛行機は二十機乃至三十機、こういうふうな資料を出されております。タイはたくさんでありませんが陸上三万、海軍は海防艦二、フリゲート四、水雷十、それから航空は中隊五、大韓民国にしても、陸軍のほうは四十万と出ていますが、海軍はフリゲート四、飛行機は百五十機程度と、こういうふうに出ていますが、スイスあたりまだ少いようでありますが、日本に近い諸国の例を挙げればこうです。こう挙げれば、例えば大韓民国が対馬は我が領土だという一つの国家の主張、政策を掲げて来る。それに対して我が国の三軍が出動する。そうすると、十分これは憲法九条で言うところの武力の脅威を与えるわけであつて、これはもうまがいもなく私は憲法違反だ。こういうふうに断定せざるを得ません。この具体的な例から木村長官どういうふうにお考えになるかということと、丁度これは出たから関連して伺うのでありますが、保安庁法審議のときに、あなたが参議院の内閣委員会で、直接侵略に対処するように部隊を編成し装備することは、憲法九条違反で、憲法改正をしなければできない。保安庁法は、これは日本の国内の治安維持のための警察であるから憲法に違反しない。こういう答弁をされたということについて、先般私が質問したところが、速記録を調べてということでありましたが、それに対する答弁も合せて承わりたい。あなたの前言から申しても、それから最近の他国に脅威を与える力はこれは戦力だと、こういうような答弁から言いましても、資料として出された日本近隣諸国の兵力との比較から言つても、更にここに出されているところの組織、編成、これから育つても明らかに木村委員が指摘されるように、憲法九条違反だということは疑う余地ないと思うのでありますが、御答弁を求めます。
  327. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今申されましたビルマ、タイ、韓国その他の国と日本とは地理的環境において大いに違いのあることは御承知通り、即ち日本は四面海に面しておりまして、海岸線九千マイルになんなんとしているのであります。これらを防衛することについては、日本にとつては、これらの今挙げられた国とはその趣きを異にしております。日本日本の与えられたる環境、これを基にして防衛体制を立てて行くのでありまして、それについては、現在我々考えている程度の実力は持つことは決して憲法違反でないと考えております。
  328. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この四条に返りますが、これはよく聞いておつて下さい、答弁を求めますから……。私はこの四条は、芦田理論がここに表現していると思う。即ち自衛のためにも戦力は持てる。もう少し突つ込んで言えば、今の憲法でも、再軍備ができるという改進党の主張、芦田理論がこの政府与党を圧倒して出て来ている。こういうふうに私は考えるのです。その理由を申上げますよ。自衛隊任務が第三条にある。それはそのときやるから詳しく申上げませんが、関連でちよつと引張り出すわけでありますが、この自衛隊任務が「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対し、わが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする。」、このときに、あなたがたは、これを少くとも並立したいということを主張した、政府与党は。ところがそのときに改進党は、その並立はいけない、主と従の関係にしようということを強硬に改進党は主張した。そうしてこれが出て来ているわけですね。よろしうございますか。自衛隊とは何を言うかというと、第二条に書いてあるように、「自衛隊」とは、防衛長官及び防衛政務次官並びに防衛庁の次長、参事官、内部部局、統合幕僚会議及び附属機関並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を含むものとする。」、こうなつている。そうなりますと、この防衛庁の任務のところには、当然独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、先ほどから問題になつている。人命及び財産の保護とか、公共の秩序を維持するというような文句は必ず載つて来なければならんのです。ところがそれが出て来ていないのは、この防衛庁そのものが、これは改進党の強力なる主張によつてこの二本建になつて防衛庁という法案が出て来たわけなんです。この経緯から考えて、この第四条に「独立を守り、国の安全を保つこと」、こういうように保安庁法と非常に飛躍したここに規定がされたということは、目頭に申上げたように、自衛のためには戦力を持てるという改進党の芦田理論が最も端的に出ているところであつて、この自衛隊法の第二案において、この主従の関係に並立を主張し、主従の関係に屈した政府与党としては、この防衛庁設置法の第四条にこう書かなくちやならなかつたわけなんです。ところがこれが改進党の主張して書いたものをあなた方は書き加えるのを忘れて出された、こういうことになつているんです。従つてこの防衛庁設置法第四条というものは、はつきりと警察という性格を全く拭い去つて軍隊的な性格としての任務を端的に出しているわけで、その点が非常に憲法九条違反に抵触するということを主張している。これに反駁できますか。
  329. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 政府は決して芦田理論を採用しておるわけではありません。
  330. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 実際そうなつているじやないですか。
  331. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) くれぐれも申した点であります。而して防衛庁設置法第四条の規定は、これはまさしく保安隊任務性格とは異にしておるということを私はくれぐれも申上げておるところであります。即ち、この任務、目的とするところは、我が国の平和と独立を守る。即ち外部からの不当侵略に対して対処し得ると同時に、国内の治安を維持する、これは単純に警察というわけではありません。警察力を以てしては到底対処することのできないような場合に処置するための行動を起す部隊を持つことを規定しているのであります。決して芦田理論を政府採用したというわけではありません。
  332. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 人事局長に私は伺いますが、そういう大臣の抽象的答弁は要りません。私はさつき言つたように、自衛隊法の二条と三条から類推して来た場合に、第四条の所には当然秩序とか何とかという言葉がなくちやならん。而もそれは保安庁法にもあつたわけでありますが、当然これはなくちやならんと思います。これは落ちていると思います。どうお考えになりますか。
  333. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは前に申上げました通り、私どもその点は非常に疑問にして検討したのでございますけれども、「国の安全を保つ」という言葉の中で、公共の秩序を維持するという広い意味において入り得るという法制局との打合せの結果でございますので、入れなくても済むものだと思つて入れなかつたのでございます。
  334. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今木村長官からの矢嶋委員質問に対する御答弁のうち、芦田理論を採用しているんじやない、こう言われておりますが、理論的には芦田理論と同じではないが、実質は芦田理論と同じであるということを木村長官は申されているんです。ですからそれは実質的には、実際問題としては同じである、そう考えておられませんか。
  335. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 実際問題としてでも、我が国防衛をするために実力を行使するということは、これは一国として自衛力を持つておる以上は当然のことであります。ただ自衛力といつても、戦力に至るような大きな実力を持つことを憲法は禁止している。戦力に至らない範囲において、自衛力を持ち得ることは、独立国としては当然の事実である、この理論から出発したのであります。
  336. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  337. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を付けて下さい。  暫時休憩します。    午後八時六分休憩    —————・—————    午後八時五十分開会
  338. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは只今より委員会を再開いたします。  この際お諮りいたしますが、調達庁設置法等の一部を改正する法律案を議題にすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  339. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。前回に引続いて質疑を続行いたします。
  340. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間的関係で簡単にいたしたいと思いますが、この発生事件の処理に関しての資料只今頂きましたが、今まで私が関与した若干の例によりましても、なかなかこの損害補償の処理が迅速に行かないのと、それから駐留軍関係のそういう不法行為に基く事故処理は非常に複雑なものがあるわけですが、その場合に法解釈に非常に捉われ過ぎて、非実際的な処理をされておる場合が非常に多いと思うのでありますが、もう少し実情に即した的確に迅速な処理をして頂かなくちやならないと考えて、強くそれを要望しておきますが、この資料只今もらつたので十分目を通す余裕がないわけでございますが、概してですね、それらの処理状況はどういうふうになつておるか、簡単でよろしうございますから、概要を答弁願いたいと思います。
  341. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 不法行為に対しまする事故補償の関係は、仰せの通り事務的に時間のかかる面が多々ありましたので、この法律改正案の中に、従来地方自治団体に委嘱しておりましたものを調達庁が直接やるというふうな改正をこの中に盛り入れておるわけでございまして、これによつて迅速にやろう、直接アメリカ側との交渉に、的確の資料を早く把握して交渉しよう、こういうふうにできる見込で改正案を提出した次第でございます。今日までの十八条の関係の処理状況の概況は、総務部長から御説明いたさせます。
  342. 山内隆一

    政府委員(山内隆一君) この十八条の処理状況は、お言葉のように意外に時間がかかりまして、私ども当初の予定に大分狂いが生じて、被害者に御迷惑がかかつておる。誠に残念に思つておりますが、そんな関係で迅速に処理するということを一番重点を置きまして、いろいろ工夫して手続を簡単にするとか、書類を簡単にするとか、或いは手続の期間の段階が非常に多いため、そのために非常に時間がかかるということがはつきりわかりましたので、最近府県知事に委任してその仕事の受付調査、最後の金の支払を全部調達庁で一元的に処理するということにいたしまして、最近は非常に早くなつておりますが、一番比較的時間のかかる点は公務上であるか、公務外であるかということの決定が、日本側だけできめるわけに参りません。全部米軍の陸海空それぞれの司令部と折衝いたさなければなりません。而も先方がなかなか細かに公務上、公務外の問題を検討されますので、遺憾ながら時間がかかつておりまして、従いましてこの方面について、ますます慣れた人を入れて米軍との折衝に遺憾なきを期するというような方向で今努力を続けて、漸次早くなつておるような状態でございます。今後ますますそういう意味におきまして迅速処理に全力を尽したいと考えております。
  343. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 国民が泣き寝入りにならないように十分善処されるように特に要望しておきます。  もう一点伺いますが、このたび国連軍の労務者は契約の変更に相成るわけでございますが、現在の待遇より下るようなことはないかどうかということが一点と、それから契約変更によつて、今度退職されるわけですが、退職金等は完全に、而も早急に支給できるようになつておるかどうか、その辺の事情を承わつておきます。
  344. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 今日まで国連軍関係に直接雇用されておりました労働者が間接雇用になりまして、調達庁が一応その雇用主になる関係になりまするので、その雇用条件は下るということは絶対にございません。調達庁といたいましては、国連軍関係の雇用条件が、アメリカ関係の雇用条件よりも若干見劣りのする点がありまするので、これを少くともアメリカ軍並みに向上させるということを目標といたしまして交渉をいたしておるわけででございます。雇用関係切替えの実質的目的の一つもそこにあるわけでございます。又切替えに際しまして、一応退職ということになりまするが、退職金は勿論国連軍側で支払うことになつておりまするし、又これも早急に支払うことになつております。
  345. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡単に。これは要望でもあります。実は私自身の体験から、駐留軍の自動車にはねられて、それで補償の問題についていろいろ初めて体験したのです。いろいろほうぼうから聞きますと、先ほど矢嶋委員が言われましたように泣き寝入りになつたり、それからどういう手続きで補償を求めたらいいのか知らない人が随分あるのです。それで泣き寝入りになつているので、駐留軍から損害を受けたときには、こういうふうにしたらば補償をしてもらえるのだということを、もう少し周知徹底させるような、何か方法を講じられることを要望したい。最近バスに乗りましたら、事務手続が変つたことがはつきりと広告が出ておりました。あれを見て私はこれは非常にいいことだと思うのですよ。それでもつと今度切替えになつた機会に、あれを、広告を出されたと思うのですけれども、もう少しどういうふうにして補償を求めたらいいかわからない人が大分ありますから、随分努力もされているようです。これは私も今度わかりましたけれども、もつと一般の人がわかるように周知徹底させるように努力されたいと思います。これは要望ですが、それだけです。
  346. 福島慎太郎

    政府委員福島慎太郎君) 手続も簡素化いたしますることになりまするし、今後御要望に副いましてでき得る限りの努力をするつもりでございます。
  347. 山下義信

    山下義信君 本案につきましてはなお幾多の質疑があると思いますが、この際質疑を打切つて討論を終結し、直ちに採決せられんことの動議を提出いたします。
  348. 長島銀藏

    長島銀藏君 只今山下委員の動議に賛成いたします。
  349. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは質疑を打切つて、討論を省略して採決に入ることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  350. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 御異議ないと認めます。それではこれより調達庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。本案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  351. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 全会一致、原案通り可決すべきものと決定をいたしました。  なお本会議における委員長報告の内容につきましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  352. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは議院に報告します委員長の報告書には、多数意見者の署名を要しますので、本案を可とされたかたの順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     長島 銀藏  植竹 春彦     石原幹市郎  西郷吉之助     白波瀬米吉  三浦 義勇     木村禧八郎  八木 幸吉     山下 義信  岡田 宗司     矢嶋 三義  井野 碩哉   —————————————
  353. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  354. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記を始めて。  次に防衛庁設置法案を議題といたしまして、休憩前に引続いて質疑を続行いたします。
  355. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 第四条ですね。防衛庁、その任務の四条について、MSA協定との関連を、ちよつと伺つておきたいのです。それは、非常にこれは重要な点だと思うのですが、政府はこの自主的に自衛実力を持つのである、即ち自主的に三軍を持つ、そのためにこの二法案を出して来た、こういうことになつておりますが、MSA協定の八条によりまして、MSA法の五百十一条a項のあの六つの義務を負うわけでありますが、あの六つの義務の中で特に軍事義務、それから防衛力の強化の義務、それから防衛能力の増強の義務、この三つを負うことになるわけです。従つてこのミリタリー・オブリゲーシヨンによつてデイフエンス・ホーセスを持つ、デイフエンス・ホーセスを維持するためにデフエンス・キヤパシテイーを増強しなければならん。その結果として今度二法案を出して、そうしてこの防衛庁を設けて、こういう防衛庁の任務を規制することになつた、こう解釈されるのですが、このMSA協定の中にある義務、八条に規定されているあの義務と、この防衛庁設置の目的及びこの防衛庁の任務との関係についてお伺したいのです。
  356. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) MSA協定における軍事義務というのは、要するに日本日米安全保障条約によつてつている義務なんであります。而して日米安全保障条約においては、日本は自衛力を漸増することを期待されている。その期待に応ずるように自衛力を漸増して行こう、そうしてこの自衛力の漸増は日本独自の立場においてやるわけです。今度の自衛隊もその意味からして漸増することによつて増設して行こう、そうしてこれに必要なる装備をMSA援助によつて受けよう、こういうことになつているのであります。
  357. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この日本独自としてということを言いますけれども、どうしても私は日本独自という立場に立てば、むしろ防衛力は漸増すべきでない。むしろ縮小しなければならない客観的な実情にあると思うのです。にもかかわらず、これを増強するということは、日本の自立的な以外の力によつて増強させられる、増強しなければならん義務を負うた、こういうふうに考えざるを得ないのです。なぜならば、この二法案を提出する理由の中で、内外情勢の変化ということを挙げていますが、この内外情勢の変化ということを具体的に伺いますと、国内の治安状況が悪く、対外的な日本を脅威する可能性が、公算が多くなつて来た、そういうことを挙げていますが、又これは見解の相違になるかも知れませんが、今の日本の情勢は全く逆であつてそうして特に防衛力を漸増する場合には、日本の国力、特に経済力というものと相応してこれを増強しなければならなん、こういうことをしばしば言つておるわけです。ですから経済力のほうを見れば、明らかに日本経済は国際収支のバランスを見てもはつきりしている通りに、非常に経済危機の状態にあるわけです。これは何回も私は述べましたが、ですからどうしても私は客観的な事情、この客観的事情というのは、直接侵略及び間接侵略の可能性、こういうものはむしろ少くなつている。最近共産党だつて火炎びん作戦なんてやりやしません。むしろそういう危険は少くなつた。又日本の国力から言えば、これはむしろ今後にこそ非常な経済危機が出て来るのであつて、当面としてはこの日本の今の上半期においては、政府が余り危機がはつきり出て来ないように外貨の割当なんかも加減しておりますけれども、下期に入れば相当外貨割当も又削り、金融も相当締めて行かなければならんし、相当日本の経済は深刻な様相を呈して来ると思う。そういうときに、非常な国力を消耗するところの不生産的な支出をここに増加するということは、むしろ私は当を得ていない。全く逆であつて、そういうことから考えれば、今こんなに経済危機の段階に入つてどうしてこの不生産的支出を非常に増大さしてそして防衛力を漸増しなければならんか。若しそういう漸増しなければならんのなら、アメリカからMSA協定によつて要請されているのですから、全部アメリカの負担においてやらせるぐらいならまだ話はわかるのです。日本の負担においてアメリカ防衛のために増強をさせられるというのではどうしても割り切れない。ですから日本の国力から見て一体どういうふうにお考えになつておるのですか。国力から見れば、むしろ私は本当に日本の経済自立の問題を考えれば、心を寒うしなければならんと思うのですよ。こういう際に、こういう防衛力の漸増なんということはむしろやるべきでない。防衛力は縮小すべきだと思う。この点で政府の提案の理由がどうしても私納得行かないのですが、重ねて政府の理由を明らかにして頂きたいと思うのです。
  358. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その御質問は前にもありまして、今朝ほども大蔵大臣が答えたようであります。私もはつきり聞いておりました。この日本防衛というものは、アメリカのための防衛じやありません。無論日本防衛アメリカのための利益にもなり、又自由国家群の利益にもなりましよう。併し主として日本防衛日本のためであります。殊に我々といたしましては、アメリカの駐留軍が漸次引揚げたいということでありますし、いつまでもアメリカの手によつて日本防衛するということは、国民感情からいつても忍びないのでありまして、従つて日本の財政の許す限りにおいて漸増して行こう、これが一つ、而して国際情勢、国内情勢から見て、これは木村委員と見解を我々は異にしているのであります。成るほど表面的には平静を保つているようでありますが、又我々の考え方として、何時事が起るかもわからん。そういうときに日本が狼狽するようなことがあつてはいけない。日本が徐々に防衛体制を整えて行くということは必要なりと考えて漸増方式をとつた次第でございます。
  359. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 議事進行。いずれこの逐条審議が終りましてから、総括的に政府の所信を質すことが、締括りの意味の総括質問があると思います。従いまして今の段階におきましては、成るべく条文を中心としての質疑を一応終了するというふうに議事進行をお取計らい願つたら如何かと思います。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  360. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) どうか質疑をなさるかたもそういうお立場でお願いいたします。
  361. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今八木さんの御提案御尤もと思いますから、成るべくその趣旨に副うように私も質疑をいたしたいと思います。四条については又他の機会に質問いたしますが、最後に、ただ伺つておきたいのは、具体的に一つ伺いたいことがあるのです。それはその国内の治安ですね。国内の治安が相当危険になつていると、こういうお話ですが、それは具体的にどういうふうになつているかを、具体的に私は一つお伺いしたいのです。
  362. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今具体的に資料を以て的確なことは申上げかねます。
  363. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 具体的にわからんのに、国内の間接侵略の危険があると、それだからこういう防衛法案を出すのだというのじや論拠にならんじやないですか。
  364. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今申上げた通り具体的にこれこれということは申上げかねます。
  365. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは押問答で話になりませんから、私は四条については一応この程度にしておきます。
  366. 山下義信

    山下義信君 ここで伺うのがどうかとも思うのでありますけれども、まあ一応ここへ出て来ましたから伺つて見るのですが、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊というものがここへ出て来たのですね。第四条で初めてこれが顔を出して来たわけです。これはこの陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊というものは、これはどこへ置かれるということになるのでしようか。その置かれる場所。
  367. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊というものは、自衛隊法の第二条に書いてあります。で、陸上自衛隊について申上げますと、陸上幕僚長……。
  368. 山下義信

    山下義信君 ちよつと、私の伺つているのは、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊というのは、これはどこへ設置されるのかということです。
  369. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 陸上自衛隊と申しますのは、陸上幕僚長及びその統括下にあります機関を全部含めて陸上自衛隊と申しておるのでございまして、所在地ということになりますると……、そうでは、ございませんか。
  370. 山下義信

    山下義信君 この陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊という、この役所といいますか、このものはですね、設置される場所はどこへ置かれるかということです。つまりこれは防衛庁設置法ですからね、ですからつまりこれは総理府へ置くのかどこへ置くのかという、設置の場所を聞いているんです。
  371. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは防衛庁全体が総理府の外局として置かれる陸上自衛隊で申上げますと、陸上幕僚長というものがおるわけでございます。陸上幕僚長という機関が法律で規定されております。その陸上幕僚長の下に陸上幕僚監部というものが防衛庁の機関としてある。陸上幕僚長の統括下にある部隊、学校などがありますが、場所がずつと後に書いてあるわけですそれを全部含めた防衛庁の機関陸上自衛隊、こういうふうに考えておるのであります。
  372. 山下義信

    山下義信君 それでその陸上自衛隊、海上自衛隊のことはおいておきまして、陸上自衛隊というものの組立てはわかるんですが、そのものは、何といいますか、行政組織といいますか、そういう組織の中ではどこに位置することになるか。
  373. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 只今申上げます通り防衛庁の中にそれぞれの機関がございます。その中で陸上幕僚長以下のものを含めて陸上自衛隊と、こういうふうに言うておるのでありますから、防衛庁の中の機関でございます。
  374. 山下義信

    山下義信君 防衛庁の中の機関、それでやつぱしそれはどこへ出ておりますか。防衛庁の中に置くということはどこに出ておりますか。
  375. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは自衛隊法の第二条ですね、陸上自衛隊というものは何を意味するかというところで、ここを御覧願いますと、「この法律において「陸上自衛隊」とは、陸上幕僚監部並びに陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関を含むものとする。」と、こうございますね。陸上幕僚監部というものは防衛庁の組織法のほうの幕僚監部のところに出ておるわけでございます。「陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関」と言いますのは、根拠といたしましては、防衛庁設置法の第二十九条に根拠がございまして、具体的にどういう部隊及び機関を置くかということは自衛隊法の第三章ですね、第三章に書いてあります。
  376. 山下義信

    山下義信君 わかりました。設置の場所がずつと後に書いてあるわけですね、防衛庁の。大概前に書いてあつて、それから任務なぞがまあ出て来るのですが、わかりました。私はそういうものと思つておりました。それで自衛隊の第二条のほうにありますね、それでこれはまあ向うへ行つたときのことであります。それで私の伺いたいのは、この陸上自衛隊、海上自衛隊等は防衛庁の内部組織の何に当るのですか。内部部局に当るのですか。何に当るのですか。つまりこれを、私の質問を絞つて申上げますと、国家行政組織法で言うところの部局と言いますか、機関ということになりますと、何に当るかということをお示し願いたい。
  377. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは陸上自衛隊の、今が私が申しました通り防衛庁のいろいろな機関があるのでございますね、これを集めたものをいうのでありますから、それぞれの機関について性格考えて行く必要があると思うのであります。で、幕僚監部そのものは、これは国家行政組織法上は私は内部部局になつておると思います。その部隊及び機関は国家行政組織法の第八条の機関であろうと、こういうふうに思います。
  378. 山下義信

    山下義信君 幕僚監部は内部部局に当るんだ、それはわかりました。内部部局に当るんだ。それでその幕僚監部の下に属しておるこの陸上自衛隊というのは何に当るか。第八条なら……。
  379. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 国家行政組織法第八条の附属機関、それに当るものでございます。附属機関に当るものでございます。
  380. 山下義信

    山下義信君 今のに関連して、御引用になりました自衛隊法の定義の第二条から申しますと、これはその附属擁関というようなことも別に出ておつて「並びに陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を」、附属機関とはこう別に出ておるようでありますが、これは今附属機関と言われましたけれども自衛隊の第二条で言えば、こう別に出ておるようでありますが、如何でしよう。やはり附属機関でございますか。
  381. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 国家行政組織法の第八条は御承知通りと思いますが、「第三条の各行政機関には、前条の内部部局の外、法律の定める所掌事務の範囲内で、特に必要がある場合においては、法律の定めるところにより、」「試験所、研究所、文教施設、医療施設その他の機関を置くことができる。」、こうございますが、この機関に当るのでございます。この附属機関もこの八条の機関に該当するだろうと思います。
  382. 山下義信

    山下義信君 「その他の機関」に当るということになりますか。これは先の宿題にしておきますが、結局防衛庁の内部部局並びに附属機関ということになるわけですわ。そうするとその防衛庁の内部部局並びに附属機関ということになりますと、陸上自衛隊は、即ち内部部局の中の又附属機関ということになりますと、その指揮監督権というものは、行政組織法上誰にありますか。
  383. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはこの第三条に規定してあります通り長官でございます。この建て方といたしましては、防衛庁設置法は、国家行政組織法の機関として総理府の外局として防衛庁、そして国家行政組織法によりがたいところを特別に各条文に規定しておるという考え方でございまして、例えばこの防衛庁におかれます政務次官、或いはこの防衛庁の命令規則をどういうふうにきめるかというようなところは、それは国家行政組織法によるのであります。その書いておりますところがその特則になるというようにお考え頂ければよいかと思います。
  384. 山下義信

    山下義信君 これは今お示しになりました第二十九条のところへ行つてつてもいいのですけれども、ここへ顔が出て来ましたから関連して伺うのですが、あと戻りはしませんけれども防衛庁の長官のこの権限とも関連をいたしますので、ここで一応承わつておくほうがいいかと思つて伺つたんですが、この自衛隊のですね、最高指揮官が総理大臣ということになつておるのですね、私はよくわからないのですが、教えて頂きたいのですが、国家行政組織法におきましてはですね、内部部局や附属機関のいわゆる何といいますか、指揮監督を総理大臣がするという建前にはなつていないように思うのでありますが、これはどういうことに解釈したらよろしうございますか。
  385. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは前回お話したと思いまするが。自衛隊法の第七条の総理大臣の自衛隊に対する最高の指揮監督権を有するという規定は、総理大臣が内閣の首班として内閣を代表する立場におきまして、行政各部を指揮統一するという権限を持つております、その権限に相当する規定でございまして、この規定自体によりまして、直接に自衛隊に対する指揮監督権を持つということにはならないのであります、この規定によりまして行政各部の長でありますところの総理府の長である内閣総理大臣の指揮監督するその総理府の総理大臣が、外局である防衛庁を指揮監督する、こういう恰好になるわけであります。
  386. 山下義信

    山下義信君 私の伺つておりますのは、この防衛庁の内部部局や、つまり行政機関の内部部局附属機関等は、その長、若しくは部局の長がこれが完全なる指揮命令権を行政組織法上は持つておりまして、自衛隊というものがいわゆる内部部局でもなく、附属機関でもない別個独立した機関ならば、私は総理大臣が直接それを指揮監督するということを示されても、それは特にそういう国の組織ができて、そういう機関ができて、それを総理大臣が直接これを直轄する、指揮監督するということはわかるのでありますが、一面国家行政組織法の上では、それぞれの行政組織にはそれぞれの統轄の長の権限が示され、内部部局附属機関等においてもそれぞれ示されてあつて、すべて総理大臣が内部部局や附属機関までも直轄するということは国家行政組織法の上では予想されていない、示されていないと思うのです。それでこれは異例です。今人事局長の言われるように、最高指揮権を示しているのであつて、実はそれからだんだん順々に指揮命令させるようなことになつているから、この附属機関と称している自衛隊もすぐ毎日、日々の事務を総理大臣が見るのでないのだから、ちつとも組織法の趣旨には背かないとおつしやるけれども、それはそういう言い方もありましようけれども、そんなら内閣総理大臣はもう自衛隊の指揮監督は直接にはできないかと言えば、やはり最高指揮という立場では直接なんです。号令をかけるということはそれは幕僚長がするでしよう。或いは隊長がするでしよう。管区隊長がするでしよう。それぞれの部隊指揮官がするでしよう。併し最高の指揮をするというものは、これも最高という立場では直接なんです。関接の指揮権、指揮監督をするとは書いてない。やはり最高の指揮ということになつたら、総理大臣が直接自衛隊の最高の指揮をするので、それで具体的にその命令を下しまするのは、順次ありましても、最高の指揮権ということになりますと、自衛隊に対しましては直接なんです。結局自衛隊という機関に対する最高の立場における指揮権は総理大臣がするということは、国家行政組織法の上ではそういうことが定められてないと私は思うのです。大変質疑の、質問のほうが長く、言葉数が多くて済みませんが、私のお尋ねしたいのは、そういう意味なのです。そういう意味でありますと、自衛隊というものが、一つ防衛庁の中の内部部局であるとか、附属機関であるとかという建前のものではないのであるんだという気持がするのです。そういうような小さい制度の上はそうだとおつしやるならばそれでよろしいが、そういうふうな防衛庁の中の内部部局の、その又中の小さい附属機関だというような扱い方をされるが、併しどうもこの防衛庁設置法を見ましても、又別個の自衛隊法というものを打出されたところを見ましても、そういうふうな、理窟の上では一面そういうふうな扱いもできるか知りませんけれども、私は自衛隊というこの機関というものは、そういう建前でないように見えているから伺うのです。
  387. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは自衛隊というものの考え方といたしまして私はいろいろある思うのでございます。今あなたのおつしやいました通り自衛隊一つの行政組織法上の八条の機関ならば機関を作りまして、これを別に管理する役所を作るというようなふうな考え方も成り立ち得ると思うのです。或いはそれを総理大臣が直接に指揮するという考え方も考えられ得ると思うのです。ただ併し私が申上げておりますのは、この法律案におきましては、飽くまでも国家行政組織法の今の建前と筈を合せて作つておる。そこでこの第三条を御覧頂きますと、これは自衛隊というものも防衛庁の中の機関でございますから、これはその防衛長官が庁務を統轄するということは、指揮いたしましても、その防衛長官は総理府の内局でございますから、これは分担管理大臣として総理大臣が防衛長官を指揮いたします。自衛隊法の第七条で書いておりますのは、その分担管理大臣としての内閣総理大臣が更にその上に内閣を代表する意味においての内閣総理大臣とのその関係を主として狙つて書かれておるものでございまして、いろいろお考え方はあるのでございますけれども、今の建前ではさようになつておるということを申上げるほかないのであります。
  388. 山下義信

    山下義信君 ちよつと私は少し疲かれておりまして、すぐに呑み込めんのでお許しを願いたいのですが、今度、じやこの自衛隊というものは国家行政組織法に合せておる飽くまでも行政機関じやとおつしやいますか。
  389. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今の憲法の建前からいたしますると、法制局長官がお答えになりました通り立法、司法、行政とありますれば、これは行政に属するものでございます。国家行政組織法に筈を合せて行かなければならんものではないかと考えております。
  390. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこれを最初読んだときに非常にわかり辛いと思つた。今山下委員質問を伺つてつてもやつぱり私もぴんと来ないのです。そもそもこれほどまぎらわしくした理由は、これはやはり改進党の関係じやないでしようか。(笑声)改進党は、行政組織法一本で行こうというのに、二本案を持つて来た。そこで二本案を持つて来たので防衛庁というのが出て来たから、自衛隊というものを国民は非常に取り違えると思うのですが、自衛隊陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊と、同じ自衛隊と書いてあるが、これは違うわけです。第二条の「「自衛隊」とは」というものから違うわけなんです。防衛庁には陸、海、空の自衛隊がある、その三つの自衛隊と、防衛庁の防衛長官以下内部部局まで全部引括めましたやつの自衛隊と、こういうのがあるのですから、実にわかりにくく組立てたものです。それで私は国民の諸君によくわかるようにするためには、これを行政組織法で自衛隊を、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊、これを附属機関にするわけです。それからこの中の内部部局、これは防衛庁の役所になるわけです。こういうものも内部部局とすれば一つの形ならはつきりするわけです。だからむしろ防衛庁は総理府の外局に置くとして、そうしてこれから行けば三つのそれぞれの海、陸、空自衛隊は附属機関になつてしまう。それを引括めて自衛隊と言うから、自衛隊は何かということになつて来るわけです。実にそこがわかり辛いと思うのです。むしろこの建前から行けば、自衛隊を総理府の外局としておく、こういうように現わしたほうがすつきりするんじやないですか、そこはどうですか。
  391. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはいろいち考え方があると思います。先ほど山下委員のお尋ねに対しまして答えました中にも、そういうふうな考え方もあり得るということを言つたのでございまして、どちらがいいかということにつきましては、いろいろ御意見があろうかと思います。
  392. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 率直に伺いますが、速記をとめていいが、改進党との交渉の結果こういうふうに混乱して来たのでしよう。
  393. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  394. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をつけて。
  395. 山下義信

    山下義信君 速記がとまつておる間に矢嶋委員が言われたようなこともあつて、非常にぬえ的になつておる面があり、非常に混線しておる点もあるわけなんです。それで今日まあ三権分立の建前で行政と見ざるを得ない建前でこうするのだというようなところも、これは憲法土の問題もあろうと思いますが、これは別として、今の自衛隊というものが行政組織の上に置かれてあるその置き方というものが非常に不明瞭なんで伺つておるわけなんですが、従つて防衛長官の統括するという中には、指揮命令権というものが含まれておるのでしようか。指揮命令権というものは除かれておるのでしようか。
  396. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは統括という事実の表現の中核をなすものと私は考えるのです。指揮監督は当然含まれると考えます。
  397. 山下義信

    山下義信君 指揮監督が含まれるのですね。それで今もう一度あと返りして、念を押すのでありますが、自衛隊というものを、自衛隊法とこう並べて見ますと、内部部局の附属機関だという建前をとりながら、その建前でないような面が今申したように多々あるわけなんですが、どうして内部部局の附属機関ということにしなければならんのでしようか。もう一度おつしやつてもらいしたい。
  398. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは今私が申上げた通り、国家行政組織法に照らしましてこの組織考えて行つたものでございますからして、いろんな自衛隊の実体をなす機関防衛庁の中に考えまして、その考えました機関が国家行政組織法上どういうところに位置するかということを考えますると、或るものは内部部局に当てはめるがいいし、或いは附属機関に当てはめるのがよろしい、こういう結論になるのであります。
  399. 山下義信

    山下義信君 これは自衛隊というものが附属機関でない扱いになつているところはありませんか。この二法案の中に附属機関と言わないで別の名称を用いておられるところはありませんか。例えば部隊というような名称を用いて……。
  400. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは自衛隊法の第二条に書いてあります通り自衛隊法に関する限りにおきましては、陸上自衛隊と申しますると、内部部局に相当するものである陸上幕僚監部とその他の八条の機関でありまする陸上幕僚長の監督を受ける部隊及び機関と両方を含んで言つておるのでありまして、この法律においてはそれは一貫しております。
  401. 山下義信

    山下義信君 どこかの二法案の中で第何条でしたか、見出しの中で部隊及び附属機関でありましたか、私の記憶間違いか、別に部隊という名称を用いておられるところが見出しにあつたと思いますが、第何条かの見出しでですね。
  402. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はここで断を下す。こういう法律の出し方というのはないと思うのです。この自衛隊があつてそうして陸上、海上、航空自衛隊と、こうなつているのならいい。最初そうなつていたはずなんですね。ところがこの自衛隊というのが先に生れておつて、あとで防衛庁というのが生れてその防衛庁が押売みたいに入つて来た。どうしても私はそういういきさつを辿つたに間違ないと思う。これを熟読すればするほど自衛隊なるものの考え方、防衛庁なるものの考え方が同時に生れて統一された意識の下に組立てられた私は法律じやないと思う。これは随分何ですよ。自衛隊というものは陸上自衛隊、海上自衛隊国民は間違いますよ。そうしてあとで生れた防衛庁というやつが自衛隊の中に入つて来ているんです。だからすつきりしないことおびただしいですよ。これはどの程度優秀な隊員自衛隊に入隊して来るかわからんが、自分はこの教育に非常に骨葬れるし、なかなか呑み込めないのじやないかと思うんですが、どうですか。そういう私は判定を下しているんですがね。反駁できますか。
  403. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊おのおの自衛隊任務は分れているのでありまして、併し隊員はその自覚の下に立派な教育ができると考えております。
  404. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ピントが外れている、答弁が……。加藤人事局長、防衛庁というのはあとから入れたものでしよう。
  405. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) いいえ、この法律は一緒に立案されたのであります。陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊と分れておりますけれども自衛隊と申しますこのすべてを包摂するのでございますから、その点において混淆はないだろうと思います。
  406. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 だからね、この自衛隊という名前を何か変えればよかつたんですよ。そうすると幾らかはつきりして来る。陸、海、空の自衛隊自衛隊に三つあるような形ならこれでよかつたんです。ところが防衛庁というふうなものがあつて、それが横から入つて来て、而も自衛隊と総称しているから頭に入らない。まぎらわしくなる。こういうような名称の付け方、組立て方というものは私はまずいやり方だと思うんですがね。これはベストとお考えになりますか。今からでも遅くない、改めたらどうですかね。
  407. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは私のお答えする限りでありませんから……。
  408. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 法制局長官、どうですか、こういうふうな組立て方……。
  409. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは組立て方の問題もありますけれども、呼び方の問題で、これを陸上自衛隊と総称する、これを海上自衛隊と総称する、呼び方の問題が今やり玉に上つているわけなんですが、呼び方の問題のもう一つ手前の実体の組織が一体どうなつているのかという問題がさつきお話にもちよつと出ました。先ず話はそこから来るだろうと思います。そうしますと我々まあ一つ考え方として、今お話にも出ましたが、例えば法務省というものと検察庁というものに、ぱつと切つてしまいまして、検事総長というのは法務省の下の附属機関というふうに、こう考えます。そうすると私は今までの実力部隊のほうもそれに合わせて全部本庁と切離してしまうという考え方がこの考え方に対応する一つ考え方であろう。これはそうじやないのでありまして、これは部隊のいわゆる何と申しますか、行動する部隊の新玉を本庁のほうへまぎれ込まして、そうしてそれに長官を補佐する役目もやらせる。これは先だつて木村長官からお答えした、それが又この際組織としては工合がいいのだ、又現在のやり方もそれでやつて来て経験上よろしいというところから、検事総長をこれは法務省にまぎれ込まして、そこから機構のちよつとすつきりしないという御批評が或いは出るかも知れない。併しこれはたびたび御説明申上げました通りに、こういう方法がいいということでかようなことになつて、そこで今度、先ほど御説明申上げました第二段の問題としてどことどこを包括して自衛隊といい、どこから下を包括して陸上自衛隊と呼ぶかと、呼び名の問題としてこういう話が出て来る、そういうことであろうと思います。私どもとしては、物事組織のそのものの動きの面から言えば、それでいいと、ただ呼び名がどうであるということは、これはむしろ従の問題であり、又一方から言いますと、それぞれの呼び名を付けておいたほうが便利だという面もありますから、これは一長一短で、まあいろいろ御批判があるにしても、これはこれとして立派な一つの行き方だろう、かように考えております。
  410. 山下義信

    山下義信君 長官の御説明の通りです。それは見方なり考え方、いろいろ五分々々だろうと思うのです。それでこれが軍隊でない、憲法に抵触しないという建前を貫くために飽くまでもこれは行政だというので、そういう考え方に当てはめるようにこの防衛庁設置法という中へ、国家行政組織法のシステムを持つて来て入れて行くのです。入れてありましても、今申されたように、事実自衛隊というものの実態も厖大でありまするし、それにいろんな組織が又その中にあつたりしまして、非常に複雑混淆するわけなんですが、大体人事局長の言われるように、行政組織法にこれは合わせたものだということになると、どこまでも合つていなければならないわけです。私は何も欠点を見つけてつつき出そうというわけじやないのでありますが、どこか合わんところが出て来ますると、そうするといけないのじやないかと思つて要らん心配をするわけなんです。附属機関なり、それから附属機関は別として、例えば、いろいろ幕僚会議とかというようなものが出て来るのです。ああいうものに事務局が置かれますか。置くことができますか。国家行政組織法でああいうものに事務局を置くことができますかどうか。これはこれから出ますから触れませんけれども、私は事務局などは置けないのじやないかと思うのです、ああいう機関には。組織法で許してないのじやないかと思うのですが。
  411. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは先ほど申上げましたけれども、国家行政組織法を盾といたしまして、それに準じて作つているのでありまするけれども、ここに書いておりますることは、国家行政組織法上の適用そのものでは行かないものをここに書いたのでありまして、ここに書いてない事項は、すべて国家行政組織法によつているんだ、こういうことを申上げたのでありますから、ほかの役所と必ずしも一致はしておらないのであります。建前としては、国家行政組織法に合せて書いた、こういうことであります。
  412. 山下義信

    山下義信君 ここに書いてあるのが特別法ということになると、これは念のために組織法のつまり特例だというようなことを示しておく必要はないでしようか。これは特別法だということがちつとも謳つてない。特別法だということを謳つてなければ、ここで組織法に副わないところは、組織法にこうあつてもこうするのだということがどこかに語つてなければならない。総則の中に謳つてあるか、どこかに謳つてなければならないと私は思うのですがね。私は法律のことは素人でわかりませんが、ですから長官、如何でしようか。
  413. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) どうも山下先生御承知の上で……、こそばい気がいたしますが、これはどうも釈迦に説法でありますけれども、法律と法律との関係でございますから、それはまあ当然おわかりの上でのお尋ねと思い、その程度にお答えいたしておきます、
  414. 山下義信

    山下義信君 これは先に行つて伺うことにしましよう。又よく私も見ておきます。
  415. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第五条の三号ですがね、この庁舎、営舎の施設を設置したのでありますが、今度建設本部が新設されたようでございます。従来は庁舎、営舎の施設の設置等は建設省のほうで主管していたと思うのでありますが、今後はこれらの関係は全部もう自衛隊関係で、防衛庁の権限として処置されることになつて、一切今まで建設省が取扱つている点からは離れるのでございましようか、どうでしようか。
  416. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) この関係につきましての防衛庁と建設省との関係は、附則の第七項に、建設省の設置法の一部改正をしておりますが、これが現在、第三条第二十六号中保安庁とあるのを防衛庁に改める、この号の趣旨は、この建設の関係については、今までと同じことにして行きたいという趣旨でございます。
  417. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そうなるとあとで出て参りますが、今度建設本部を新設されましたね。これが今まで以上にプラスになつて来るわけですが、そうするとこの建設本部のやられることと、従来通り建設省でやつていることとは重複してその調整などに困るようなことができませんか。それはどうなつておりますか。
  418. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 現在でも保安庁の建設工事は建設省でやつてもらつておるのでありますが、併し第一幕僚監部には、中央建設部というのがございます。今度は建設本部はこの中央建設部を母体といたしまして陸上自衛隊、海三自衛隊、航空自衛隊の建設工事を一元化しようというところにあるのでございまして、今までと建設省との関係においては、建設本部ができましたからといつても変るところはないと思います。御承知と思いますが、特殊なる建設工事は、建設省設置法で特に除いたのでございまして、これは今までは保安庁、今度はこれは防衛庁でやる、こういうことになるのでございます。
  419. 山下義信

    山下義信君 関連してお伺いしたいのですが、今の庁舎、営舎、演習場等、どなたか御質問がすでに出ておりましたらおつしやつて頂きますが、この演習場等の将来新設といいますか、増設といいますか、そういう御計画がございますか。ありましたら先ずお示しを願いたいと思いますが……。
  420. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 今ちよつと手許にございませんので調べまして申上げますが、演習場の設置の点は、二十八年度予算に相当ございまして、二十九年度には、北海道にやや小規模の演習場が二カ所ほどございます。あとは部隊所属の訓練所でございますが、大体頭に大演習場、中演習場、小演習場とございまして、大演習場と申しますのは、これは方面にございまして、管区単位であります。これは千万坪以上になります。そういう大きい土地でございますので、千万坪とか、千何百万なければならんというのでなく、大体数字のオーダーとしてその辺になります。それから中演習場というのは、これは大体百万坪か、二百万坪、これは大体管区の中での単位としています。それから小演習場というのは、これは比較的近い場合は二つぐらいのキヤンプ、非常に離れておりますればキヤンプ一つ々々のもございます。これが二十四、五万坪のオーダーになつております。これに各キヤンプには小銃の射撃場というようなものがございますので、これは三万坪とか四万坪とかいうくらいの大きさで、本当に日常の訓練というもの、大体そういうようなことを頭におきまして共用でありまするとか、そういうようなことを併せ考えながら大体の設備を考えております。
  421. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 演習場についてですがね。旧日本軍が使用しておつた演習場を再び演習場に復元するという方針か、それとも武器の装備等が変つて参つた自衛隊では、新たな角度から演習場を物色すると、こういう方針でおられるかどうか、その点伺います。
  422. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 元の演習場を復元するという一般方針はございません。ただ、今申上げましたような演習場をキヤンプに応じまして考えます際に、従来演習場でありました所で、比較的不毛の部分が多い、或いは開拓などをしておられましても、そういう重要な部分をのけてみれば、比較的所要の面積に近いものが得られるというようなことが、ございまして、そういうような所が各種の条件を勘案いたしました場合に、比較的に適当であるということはしばしばある。一般方針として元の演習場を復元しようという考え方は勿論ございません。
  423. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 武器の進歩とそれから機動化、こういうことによつて演習場というものは旧日本軍隊に比べては相当広く必要とするようになつたと思うのですが、同じ一個師団の、まあその部隊の員数編成が昔の軍隊と今度の自衛隊一個師団の程度をとつた場合に、おおむね演習場は昔の何倍程度要りますか。
  424. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 今、昔の演習場の地域を正確に承知しておりませんので、どのくらいかということについてお答えいたしがたいのでありますが、一つこういうことがあるかと思います。それは砲の関係におきまして相当目下のところは実弾を用いる場合が昔に比べて比較的多いかと思います。従いましてそういうような面におきまして従来に比べましての、何と申しまするか、インフアクト・エリア、弾が落ちます部分、そういうような面におきまして昔よりはやや広い面積が必要なことが、特科と申しますか、砲を用うる部隊の上においてあるかと思います。それ以外に機動力が多いことに伴いまする関係は、これは演習場に至りまする間の道路その他の問題いろいろございますが、演習場そのものの広さにはどういう関係がありますか、ちよつと簡単に申上げられません。
  425. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は長官に承わりたいんですが、昔の日本軍の演習場を、終戦後引揚者が、或いは戦災者がこれを譲り受けて、そうして不毛の地を開墾して漸やく作物ができる程度に耕やした、或いは些細な自己資金で住宅を建築したというような所が、最近次々に自衛隊の施設用地として、再び引揚者或いは戦災者の手から離れるような事例があつちこつちに私はあるのを現に聞いております。これは私は非常に気の毒だと思うのでありますが、こういう補償、そういう点については、如何ようにお考えになつておられるか。これは随分関係者には重大な問題でありますので、長官にその心がけを承わつておきたいと思います。
  426. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) すでに開拓し、家屋を建てておる土地については、成るたけ使わない方針でおるのでありますが、併し止むを得ずそういう場所を使わなきやならんという場合におきましても、十分にその人たちの理解を求めて穏便にやる方針をとつております。その場合において売却或いは使用権等を譲り受ける場合においては、適当な補償をして迷惑をかけないようにして現在おりますし、将来もその方針で行くつもりでおります。
  427. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 矢嶋委員にちよつと申上げますが、関係のあることだとは思つておりますが、先ほども注意がありましたように、この条章における疑義、解釈の問題点等に一つ質問をできる限り集約をして頂くように……。
  428. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長趣旨に副うてやりますが、そう無必要なことを聞いておるとは思いませんが……。
  429. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) そう思つております。
  430. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 委員長の折角の仰せでございますからそうやります。
  431. 山下義信

    山下義信君 ちよつと文字のことを伺いたいのですが、文字ならよろしうございますか。この第五条の本文ですね、防衛庁の権限、「防衛庁は、この法律に規定する所掌事務を遂行するため、」、所掌事務というのは何を指しますのですか。どこを指しますのでございますか。
  432. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 所掌事務と申しておりますのは、第四条の任務から出て来る事務を申しております。
  433. 山下義信

    山下義信君 この任務のこと全所掌事務と言いますか、つまり……。
  434. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 任務に基いて出て参ります事務を申します。
  435. 山下義信

    山下義信君 任務に基いて出て来る所掌事務というのは、つまりその内部部局やその他にずつと分掌されておるあの事務を指しますか。
  436. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) それぞれの各局等のその所掌事務が、任務に基いて出て参ります事務の分担が書いてございます。
  437. 山下義信

    山下義信君 ですから内部部局にずつと列記されてある事務以外の所掌事務というのはないわけですね。
  438. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは内部部局のほかにも附属機関等につきまして、それぞれの事務が書いてございます。防衛庁の所掌事務全部を第五条では申しておるのであります。防衛庁の各機関について書いてあります所掌事務全部であります。
  439. 山下義信

    山下義信君 そうですか。それでこの法律に規定するんですから、この法律に規定してない所掌事務はいたしませんわな。この文字を離れるとやかましうございますからね、文字に副うて。でそうしますと、この十三号の直接侵略及び間接侵略に対する行動ですね、これは所掌事務ですね。まあ所掌事務を遂行するための権限ですか、それは所掌事務遂行の権限、所掌事務、これはこの法律で申しますとどこの所掌事務になつて来るわけですか。これ事務ですね。
  440. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは内部部局といたしましては防衛局は「防衛及び警備の基本及び調整に関すること。」、第二号として「自衛隊の行動の基本に関すること。」というふうな事柄が書いてございます。部隊は自衛隊法の第三条に書いてあります通り、直接侵略及び間接侵略……。
  441. 山下義信

    山下義信君 自衛隊法のほうではないのです。この防衛庁設置法のこの法律に規定してある、私は、文字を離れてはいけませんよ、この法律に規定してある所掌事務、この法律とは、防衛庁設置法を指すのですから、この中で一つ出して頂きたい。
  442. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今申上げました第十二条のごときは当然、第十二条の防衛局の所掌事務のごときは当然これに関係するのであります。
  443. 山下義信

    山下義信君 ちよつと待つて下さい。防衛局は防衛及び警備の基本及び調整に関することの事務をつかさどるのですから、その調整の事務のために出動するのですか、自衛隊が。これは直接侵略及び間接侵略に対して行動するというのですから、これは行動するのでしよう、部隊が。率直に言いまして自衛隊が行動することなんでしよう。
  444. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 行動することは、第四条に防衛庁の任務といたしまして、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的といたしまして、これがため陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を管理し、及び運営し、並びにこれに関する事務を行うことを任務とする、この事務……。
  445. 山下義信

    山下義信君 これはですね、自分のところの事務を言うのでありまして、この事務のために自衛隊出動するのですか。
  446. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) いいえ、こういう第四条の任務から所掌事務は当然に出て来る、こういうふうに考えるのであります。
  447. 山下義信

    山下義信君 第四条は、防衛庁の仕事で、これを管理したり、運営したり、関連する事務を行う、こういうのでありまして、その人の、自分の、手前の、己れの自衛隊を管理したり、運営したり、関連する事務を行うために自衛隊出動するのですか。防衛出動するのですか。ちよつとこれはどう解釈しましたらいいのですか。
  448. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今読み上げました「わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つ」と……。
  449. 山下義信

    山下義信君 それが目的ですか。
  450. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) そういう目的から出て来ます所掌事務、それを十三号で権限的に書いたものと私は思います。
  451. 山下義信

    山下義信君 それは目的をすぐ所掌事務とは言えない。その目的を行うために所掌事務のこの分担といいますか、所在が明確になつておらなければならない。そうすると今度は事務を遂行するための権限、行動も権限としますというと、その所掌事務はこれはどこかに出ておらなければならないと私は思うが、目的を指してすぐ事務とは言わないでしよう、目的を果すために事務が分れておる、その事務を遂行するために権限と、こう段取りがついて来ないと、いきなり目的が所掌事務とおつしやると、ちよつと途中が省かれておるように思いますので……。
  452. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは法律によりましては、所掌事務というものを明瞭に書いたものもございますが、又法律によりましては、こういうふうに目的から権限と繋いで規定しておるのもありまして、現在の保安庁法におきましても第四条におきまして、保安庁の任務を書いてございます。六条におきまして、保安庁の権限を直接に規定しているのでございます。恐らくほかの法律の場合と同様に任務を書きますることによりまして、所掌事務はわざわざ書かなくても当然に読める、こういうふうな解釈であると思います。
  453. 山下義信

    山下義信君 そうすると所掌事務が四条にあつて、その所掌事務の分担はないわけですね。
  454. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは任務を書きまして、又所掌事務を別に書くという書き方もありますけれども、現在の保安庁法におけると同様、同じように任務と権限とを直接に結び合せて規定しておるのであります。別に防衛庁の所掌事務というものにつきましては、任務と離れて一カ条設けておらないわけであります。
  455. 山下義信

    山下義信君 よくわかつておるのです。その防衛庁の所掌事務ということは、この第四条でこれが全部が所掌事務というのだと、こういうことはわかりましたので、その所掌事務は結局防衛庁の内部部局等にこれが分掌されておるわけですから、どこかにこの事務を取扱う所がなければならん。防衛防衛庁と言いましても、防衛庁というものは全体を指しての防衛庁でございますから、防衛庁の中のどこでこの事務を取扱うかということさえお示し下さいましたら、もう私はそれで了承いたします。
  456. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今のお尋ねは第十三号に関連するお尋ねであると思いますが、第十三号の防衛し、行動をするということにつきましては、内部部局といたしましては、防衛の基本と自衛隊の行動という点につきましては、これは防衛局が所管をいたします。又このための必要なる装備等につきましては装備局、経理の面におきましては経理局が関係をするわけであります。
  457. 山下義信

    山下義信君 そういたしますと防衛局が、これは先に、第十二条に行つたときに承わりますが、しかとさようでございますね。そういたしますると第五条第十三号の直接侵略、間接侵略の部隊の行動は、第十二条によりまして防衛局の所掌事務であると、かように承わりました。しかとさように相違ございませんですね。
  458. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今も申上げました通り防衛及び警備の基本でありますとか、自衛隊の行動につきましては、防衛局が所管をいたします。装備等につきましては、これはやはり装備の問題とか経理の問題とかいろいろあるんでございまして、それにつきましては、各局が所管をいたします。実際に行動をいたしますのは陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊に属しておる部隊でございます。
  459. 山下義信

    山下義信君 行動する主なものはお説の通り部隊でございます。その行動の所掌事務の担当者は防衛局である、かように承わりましてよろしうございますか。
  460. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 内部部局におきましては、防衛及び警備の基本は防衛局、自衛隊の行動に関する基本は防衛局、併しこの防衛局だけが所管するというのではないのでありまして、それぞれこれに関する事務を持つておりまする各局が分担をいたします。又部隊の行動でございまするので、その部隊につきましては、自衛隊法のほうにそれぞれの任務が書いてございます。
  461. 山下義信

    山下義信君 よくわかりませんのでありますから、一晩寝てよく考えます。ただこういうことに承わつておきましようか。そうすると主たる行動に関しまする主たる所掌事務の部局は防衛局である。関連して装備その他いろいろ他局が扱う場合もあるが、主として防衛局である。従つて防衛局の行動計画に基いてこの第十三号の権限を行われる、こう解釈いたすのでございますか。
  462. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 行動計画に基いてとおつしやいますけれども、その行動計画に基くということがどういうところまでの意味を含んでおりまするものか。
  463. 山下義信

    山下義信君 それはあなたのほうから示してもらいたい。
  464. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 私としてはなかなか説明がしにくいのでありまして、行動をするのは部隊でありまして、その行動の基本を防衛局は主管をする、こういうことになるわけであります。計画を示す場合も、ございましようし、示さない場合、示さない場合と言つちやなんでありますが、実際の行動は必ずしも計画通りに行かない場合もあるだろうと思うのであります。
  465. 山下義信

    山下義信君 これは預つておきましよう。私ももつと研究いたしまして、これは防衛局の仕事、幕僚監部の仕事、私は非常に大切だと思うのです。ですからこの質疑応答を通じて、その水際を、幕僚監部関係防衛局とのこの関係を私は明確にしておく必要があると思つてくどく伺つておつたんでありますが、これは先に行つたときに又いたしましよう。
  466. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私もこの文字について伺いたいのですが、第五条の但し、この権限の行使は、法律又はこれに基く命令に従つてなされなければならない、この意味ですね、そしてこの法律による場合、命令による場合ですね、それはどういうふうにこの権限ですね、二十二までありますが、どういうふうに具体的に分れるのか、これを一つ
  467. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 例えば今の行動の話でありますけれども、第十三号について申上げますると、この十三号の権限の行使につきましては、自衛隊法案の第八十八条又は第九十二条でありますが、そういうふうな所にそれぞれの権限が書いてございます、これによつてやるという意味であります。これに基く命令とございますが、これは例えば会計関係の仕事をいたしますような場合におきましては会計法、及びこれに基く命令に基いてやる、こういうふうなわけであります。
  468. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 わかりました。
  469. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 進めまして私は十八を伺います。これは文字以外質問してはならないと言いますが……。
  470. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) そうは言いません、どうぞ。
  471. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 防衛庁の権限ですからね、十八の「領空侵犯に対する措置を講ずること。」と、これは曾つて委員会でこれに関連しての質疑もあつたわけですが、敵の飛行機が日本の領空に入つた場合に、着陸を命ずる、その着陸を命じた場合に、それに従わない場合には、これを撃退することもこの措置を講ずることの権限の中に含まれるのである、こういう意味答弁がありました。従つてですね。そのときの情勢では、撃退のために飛び立つたところの航空自衛隊の飛行機は、他国の領空までその措置を講ずるために権限を行使することはあり得るわけですね、その点は如何でありますか。
  472. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 必要なる程度を越すことはないと思います。日本の領空内から去るならば、それを追つかけて行くというようなことはやらないつもりであります。
  473. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 すると、日本の領空から出そうなときには引返すわけですか。そうすると向うは又引返したあとを又入つて来るかも知れませんが、そこで鬼ごつこするような恰好になるわけですか。
  474. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それは止むを得ません。日本の領空から追つ払えばそれでいいのであります。
  475. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは如何なる場合も日本の領空から出ることはないと、こういうように了承してよろしうございますか。
  476. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 原則としてはそうであります。
  477. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 原則としてそうだといことは、領空外に出て行く場合もあり得るということを意味するわけですね。
  478. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 例えば領空外に出ておつて、その領空外から射撃を向うがやつた場合に、これに対して対応の措置をする場合もあり得るのであります。
  479. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういうことがですねね、他国の挑発等に乗つて国際紛争に巻き込まれ、戦争を引き起す一つのきつかけになる虞れは多分に私はありやしないか。そのこと自体が、これがやはり自衛隊軍隊的な性格のものであり、憲法九条に反する虞れのあることをこの第十八号が立証しておると考えますが、その点は如何ようにお考えになりますか。
  480. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さようには考えません。そういうことになれば、あなたの御議論であれば、遂にどつかの国から飛行機が飛んで来て、日本を襲撃した場合に、そのまま手をこまねいて見ておらなければならないことになるのであります。日本の国を守る意味においてさような場合においては、敵の飛行機を追つ払うことは必要であります。
  481. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 水掛論になりますから、この十八号は、私はこの程度にとどめておきます。
  482. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 次にありませんか。
  483. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 いいですか、その先で……。十八の先。
  484. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) どうぞ。
  485. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 二十二です。「前各号に掲げるものの外、法律に基き防衛庁に属させられた権限」というのは、どういうことですか。
  486. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) たとえて申しますると、附属機関等におきまして、いろいろな試作や実験をいたします。そういう事柄が入ると思います。
  487. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつともう一度。
  488. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) たとえて申しますると、附属機関で、研究所などにおきましても、いろいろなものを試作をいたしましたり実験をいたします。そういうことが入ると思います。
  489. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この二十一の「所掌事務の遂行に必要な教育訓練を行うこと。」というのは、これは保安庁法にはないようでありますが、ここに新たに加わつたのは、第二節にこの教育局というのが設けられたので、これを加えたわけでありますか、如何ですか。
  490. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは御指摘のごとく現在の保安庁法にはないのでありまするが、保安庁といたしましても、教育訓練のことが非常に重要な事柄でありますので、これは規定すべきであつたというふうな議論もあつたのであります。今回は新たに教育局を設けられるということにもなりましたので、これとも関連いたしまして、明瞭にこれは書こうということにいたしたのであります。
  491. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第五条総括いたしまして、これは保安庁法と同じ事項もあれば、今度新たに追加された重要なる事項もあるわけでありますが、この配列は如何ようになさつたのでありますか。私はこれを一覧、通覧して、保安庁法にあつたものに、今度新たに追加するものをあとに附加したのかと思いますれば、そうでもないようです。この配列は一つの構想の下にやられたのか、如何ようなお考えで、この配列をされたのか、その点総括して承わつておきたいと思います。
  492. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは各行政機関の設置法の中に同様な規定があるのでありましてこの第五条で申上げますと、第十二号までは大体共通の事項でございます。それを先に並べまして、あとは現在の保安庁法に規定してあるものをおおむね参考といたしまして配列を考えました。
  493. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  494. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 速記をつけて下さい。
  495. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 十九です。保安庁法の場合には、「保安隊の訓練の目的に適合する場合において、国又は地方公共団体の土木工事を引き受け、及びこれを実施すること。」となつていますが、今度は自衛隊の場合には、国若しくは地方公共団体のそのほかに、その他の公法人、又は公益法人を入れたわけですが、これは新らたにこれをまあ加えられたわけですが、これはどういう目的から追加されましたか、ですね。
  496. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは現在の保安庁におきましては、御指摘のごとく国及び地方公共団体が委嘱いたした場合に限つてつたのでありますが、保安庁におきましても、その他の団体からこういうふうな要望があるやに聞いておりますし、趣旨においても結構なことであると思われますので、新らたに委託をいたしまする団体の範囲を広げますると同時に、委託を受けまする事業の範囲も、今までは土木工事だけであつたのでありますが、それを今度は通信工事も加える。その他政令で定める事業をも加えることにいたしたのでございます。これは、この政令に規定すべき事項として、お手許に配つてありまする資料の第百条の政令という所に規定してございます。
  497. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは相当やはりあれですか、そういう希望というのは相当たくさんあるのですか。
  498. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 希望相当たくさんございます。資料でこれは御要求がございまして、公共土木工事引受調書、二十八年度中のものを差上げてございますが、そこに全部詳細に二十八年度中にやつたものがございますが、地域或いは部隊の時間的な関係もございまして、御要望に応じかねたものもあるようでございます。
  499. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうするとこの仕事は、仕事という場合の、この請負の契約ですか、そういうものですね、単価とか、そういうものはどういうふうになつているのですか。
  500. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) これは総理府令、政令をお読みになるとおわかりになりまするように、経費はこういうことであります。向うが市町村、或いは今度公共団体以外のものに拡がるわけですが、そういうものがやりまする工事の計画がございます。向うが、資材なり材料なりは向うで買いまして、そうしてこちら側がそこに参りまする輸送の費用、現場で使用いたしまするいろいろな籍の原料ととかそういつたようなものをこちら側が負担をいたしまして、こちら側は機械と人間が出向いて行きまして所要の工事をいたすわけでございます。
  501. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますとそれは労力というものはただになるわけですか、ただというのはあれですが……。
  502. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 保安庁側において提供いたしまする部分は全然取りません。
  503. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 取らないんですね。
  504. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に進んでよろしうございますか。
  505. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) どうぞ。
  506. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 第六条……(笑声)どうして笑うんですか。ちよつと簡単にやりますからそうなにせんで下さい。この第六条の自衛隊というものをここに持つて来なければいけませんかということは、先ほもど山下委員質問のときに関連して伺つたのですが、何か共食いみたいな感じがするのですね。ここにぽかつと自衛隊というのを出して、「自衛隊任務自衛隊の部隊及び機関組織及び編成、」云々「自衛隊法の定めるところによる。」と、こう規定してございますが、これは自衛隊法の第二条から例えば例を挙げますと、この防衛庁法の中にある統合幕僚会議、この統合幕僚会議は自衛隊に含まれるわけなんですね。ところがその幕僚会議の所掌事務からその構成、事務局のことはこの防衛庁法にちやんと出ているわけですね。然るにこの「自衛隊」という書き出しで「自衛隊任務」とか、或いは「部隊及び機関組織及び編成」、これは「自衛隊法の定めるところによる。」というようなことが防衛庁法に書いてあるのは、先ほどのお話に返るわけですが、これは自衛隊というのは陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊でしよう。ですからね、自衛隊法二条の自衛隊なんだから、非常に私はすつきりしないものがあると思うのですが、ここに「自衛隊」というのを持つて来なければいけませんか。持つて来るにしても、何か持つて来ようがありませんか。
  507. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは自衛隊法防衛庁法との関係に返るわけでありまするが、自衛隊法の第二条に書いてありまする通り自衛隊というものは、実質的には防衛庁の全部を含むわけであります。それを役所として静的に見た場合にこれを防衛庁といいます。部隊の行動という動的な面から見ました場合にこれを自衛隊、こういう観念を立てたわけであります。こういう観念を立てることはいいか悪いかということにつきましては、いろいろな御議論があろうと思いまするが、この法案においては、そういう観念を立ててそうして行動から見た場合の自衛隊任務というものは、自衛隊の法律を作るなら別にそちらのほうに書こう。幕僚監部の任務というものは、これは防衛庁設置法の中にもありますが、併し自衛隊と言いました場合には統合幕僚会議をも含んだ、防衛庁の機関を含んだ一つの観念でありますから、その任務は別に自衛隊のほうに書く。それから自衛隊の部隊関係組織及び編成、これも防衛庁という機関組織であり、又編成である。でありますから、それを自衛隊という別の面から見まして、そういう観念を立てたものでありますから、そういう面から見ました場合の自衛隊が属するところの防衛庁の部隊及び機関というものの行動、組織、権限、編成等は、自衛隊法という法律を別に作る場合においてはそのほうにまとめようというので、この六条を規定したのであります。
  508. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 非常にわかり辛い説明だと思うのですが、まあ平易に言つてこの幕僚会議というのは自衛隊ですね、自衛隊の一構成分子ですね。従つてここに自衛隊機関組織及び編成を自衛隊法の定めるところによるとあらば、自衛隊法の中に、防衛庁法の第四節にあるようなこういう構成、事務局云々というようなものはなければおかしいと思うのですね。
  509. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 自衛隊と言いました場合におきましては、今申上げましたように統合幕僚会議なども入るのでありますが、ここで「自衛隊の部隊及び機関」というふうに書いておりまするのは、この法律の第二十九条にございまする部隊及び機関のことをここで言つておるのでありまして、これと別の法律で、自衛隊法のほうで書くという趣意を第六条に書いております。まあ複雑になるとおつしやればやや複雑になるというふうにも言えるかもわかりません。一つの法律に書けないことはないが、二つの法律に書く場合にはこういうふうになる、こういうふうにすることが適当であるというふうなことであります。
  510. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは第七条ですか……。
  511. 山下義信

    山下義信君 第七条は、これは自衛隊の定員に関するところでありまして、これはいろいろ漸増計画等についても意見があろうかと思いますが、これは総括質問に譲らして頂くことにして、皆さん御異議がなけらねば、絶対議論は今晩では行かんと思いますので、それは先に譲つて、次の八条、九条に一括して移つて頂きたい。
  512. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それは異議がありませんが、七条の一つ文字のことについて簡単に……。防衛庁は防衛長官の宿舎等に関しては一切関係ありませんね。
  513. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 誠に相済みません。今ちよつと聞き漏らしましたので……。
  514. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 念のため承わるのですが、防衛庁は防衛長官の宿舎等に関しては一切関与しないものと私は考えるのですが、そうですね。ということは、第七条で職員の定義を書いてある。ところが第五条の八号には「職員に貸与する宿舎を設置し、及び管理すること。」と権限が定められておる。昔の日本軍隊では、これはその長官の建物というものはそれぞれの陸海軍省で宿舎を設置し、それを管理することに狂奔したものです。従つてこの建前からすれば、防衛庁は国務大臣をもつて充てるところの防衛長官の宿舎等に関して指一本触れることはできんことになると思うのでありますが、さようでございますね。
  515. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 恐らく今のお尋ねは、私が山下委員のお尋ねに対しまして、第三条で、この職員の任免権に関しまして、この職員というのは第七条の職員だと、こう申しましたので、そこから出たお尋ねかと思います。私は結果を申上げて、第七条の職員と同じだと、こう言つたのでありますが、その際に申上げたごとく、第三条の関係におきましては、長官及び政務次官は国家行政組織法上の任免を受けるものであるから除かれるのだ。結果においては、第七条の職員の任免権と同じことになるという趣旨であつたのであります。そこで今のお尋ねでありまするが、「職員」と書いてありますのは、第七条で「以下同じ。」と、こうありますので、第五条におきましての「職員」の中には、長官も含めて解釈し得る余地があると思います。
  516. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 「長官及び政務次官を除く。」と明確に第七条に書いてあるじやないですか。
  517. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 今申上げました通り、第七条に「以下同じ。」とありますので、第五条の関係におきましては、長官を含めて解釈し得る余地があると思うというのであります。お尋ねは、私が第三条の際に、職員の任免権につきまして、その職員というのは第七条の職員と同じだと、こう申上げたので、第三条でもお前そういうことを言つたじやないか、こうおつしやるのだろうと思うのでありますが、結果において、任免権に関しましては、長官及び政務次官は国家行政組織法によりまして規定されておりますので、この第三条で規定されるのではないから、結果においては、第七条と同じことになるというので、第七条を引いたものであります。そこでそういうような疑問を抱かれたのではないかと思いますが、この第七条では「以下同じ。」と、こう書いてありますので、この五条の職員の中には長官を含むと解釈し得る余地があると思います。    〔矢嶋三義君「おかしいよ、それは」と述ぶ〕
  518. 山下義信

    山下義信君 関連して。そういうことが起きるから困るのですね。これは立法技術としては、殊に法制局長官がいらつしやるところで申上げるのはまずいのですけれども、立法技術としては余りに上手に体裁よくできているとは私は思わん。これは、この法律はこの法律自体のみで理解のできるように書かれていなくちやならない。大体私はそう思うのです。それでこれは国民に見せる法律ですからね。この法律は自衛隊防衛長官だけがわかつていればよいのじやなくて、これは国民をして遵法せしめる法律ですから、関係者が、防衛庁並びに自衛隊関係者が一番この法律に直接関係することはそうでありましようけれども、この法律を遵法するものは国民ですからね。ですからこの法律は読めばわかるように書いてもらわんならんわけですね。そこで初めて出て来る職員は、私は率直に申上げまして、この任免は、政務次官はこれは内閣総理大臣が、内閣が任免するのですから、これは除かれなければならんはずであるのに、職員を任免すると総括的に言つて、そうして後には必要な所に「長官及び政務次官を除く」という……、今矢嶋君が指摘せられた防衛庁の権限の下で一例を挙げて、宿舎などのことに及んで来ると、これが一般職員のことになると、長官の官舎も、政務次官の官舎も、この権限から言えば省かれてないことになるということを指摘するというと、いや、これは一切が含まれておるのだ。それで「以下同じ。」ということが第七条に書かれておれば、括弧の中に書かれておれば、これは通常の常識としてそこまでに書かれた職員は、これは長官も政務次官も含まれるものと解釈しなければならん、これが私は常識的で、妥当だと思うのです。それと同じように、第三条には国家行政組織法とあるのだから、これは除かれておるのだ。第五条には包含されているのだ。第七条には、それで初めてちやんと括弧をつけて、以下は全部職員たるの……長官以下ですか、以下は全部除くのだという書き方は、私は立法技術としてはまずいと思うのです。長官は如何でございますか。
  519. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) どうもそれは濡衣のように存じます。と申しますのは、丁度お言葉の通りにこれはなるのでありまして、条文でありますから、普通第一条からこれは順序として見て行くのが筋であろう。今のお言葉の通り、第三条からずつと見て行きますと、「職員」という言葉が第五条に出て参ります。これは何も括弧も何もございませんので、素直に読んで頂けばよいのであつて、そこで第七条に参りまして括弧書きで除かれて、「以下同じ。」と参りまするので、あとの条文のときにはそのつもりでお読みを願う。そういう素直な考え方であります。ところが今五条のそれで、頻りに人事局長が弁解をしておりましたけれども、これは木村委員から先ほど指摘された第五条の本文の「法律(これに基く命令を含む。)に従つてなされなければならない。」というようなお尋ねのことに関連しておるわけであります。何もここで初めて普通財産を処分する、こういう場合に、これからもう勝手に処分をできるのだ、そういう勝手なやり方をしてもらつては困るので、併しこれは国有財産法なり何なり、その他の法律に従つてやらなければならないというわけで、特に先ほどの木村委員から御指摘のように、特に法律に従つて、国有財産法に従つてなされなければならないものである。そうしますと、例えば職員の任免について、例えばどの法律に従つてやるかということになりますと、政務次官というものは、内閣が任免することになつておりますから、ここから出て来るはずがないわけであります。そういう意味で、ここはやはり素直な気持でできておりますし、又何ら今御懸念のようなことはない、かような結論になるわけであります。
  520. 山下義信

    山下義信君 さようですか、五条の後段の所で、ちやんとゴー・ストツプしてある、こういうことでございますね。
  521. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それについてですがね。それでは伺いますが、第五条の第六号に「職員の任免及び賞罰を行い、」とあります。そうすればここの職員は防衛長官も入るという御説明ならば、防衛長官自分を含む職員の任免及び賞罰を行うなんてのはおかしいじやないですか。そうはなりませんか。
  522. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは今申しました趣旨から申しますというと、法律に従つてこれを運用するわけでありまして何らほかのことは別にやらずに、この六号だけで、勝手な賞罰を行われては、これはとんでもないことであります。そこで同じ部内の職員については、法律の定めによつて懲戒規定もございますし、任免の基準と申しますか、そういうものもあるのでありますから、そういうことから出て来るので、従つてこの最初にあります「法律に従つてなされなければならん。」、これは大いに重要な役割を持つておる、こういうことになります。
  523. 山下義信

    山下義信君 次の八条、九条に行きたいと思いますがね、八条で伺いたいと思うのですよ。これは条文に何も不審があるわけじやないですが、私は大体今回この二法案におきましていろいろ職員の、或いは具体的には隊員の階級とか職制等が定められておる。私はこれは或いは臆測になるかもわかりませんが、アメリカ軍隊の階級とか、職制とかいうものをそのままとは申しませんが、多少参考にされましてお考えになつておられますかどうかという点を伺いたいのです。
  524. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 第八条の関係では、これは国家行政組織法の……
  525. 山下義信

    山下義信君 第八条だけではないのでありますが、すべてですね、第八条に関連して総体的にちよつと伺うのですが。
  526. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 第八条そのものは、国家行政組織法の十七条の二と同様であります。十七条の二に各省次官の権限というようなことを書いてあるのであります。ただ次官と違いますので、次官と言いませんで次長という名前を使つて規定したのであります。  それから全体的にアメリカ考えをとつたかどうかというふうなお尋ねでございまするが、これは特にアメリカ考えをとつたということでなしに、こういうふうな防衛庁というものの組織考えます際におきまして職員の階級、職階なりをどういうふうにきめたらいいかということを基にして考えたということを申上げるほかないと思います。
  527. 山下義信

    山下義信君 私はアメリカの階級というか、職制を取り入れたことをやかましく言うつもりはないのです。むしろ取り入れておかなきやいかんじやないかと思うのです。なぜかなれば、これは日米共同作戦をなさるのでしよう。日米共同行動をなさるのでしよう。その行動をなさるときに、彼我の隊員の階級やいろいろな防衛関係の職員の職階といいますか、そういうものが全然雲泥の相違があるとか、黒白の相違があつては連繋がとれんと思うのです。ですから大体似ておらなければ、日米共同をするという元来建前の自衛隊なんですから、そこに彼我匹敵するような建前になつておらなければ、こつちの中佐階級が向うの中将階級に相当してみたり、向うにないようなものがこつちにむやみやたらにあつたりというのではいかんのじやないかと思うのです。そういう点も多少相応ずるようにすべてができておるかどうか。おらなければならんはずだと思うのです。それでそういうふうに相応ずるようにしておらなければ不都合だというかと思うと、止むを得んということでは、却つて逆なんであつて、相応じておらなければならんと思う。それで私は次長のことを聞くんですが、ですからその点どうです、相応じておられますか、多少。
  528. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは只今私が申上げました通り、こういうふうな部隊というものを考える際には、やはりおのずから一定の何といいますか、考え方というものに到達するところは同じようなものがあるだろうと思うのでありますが、編成の結果におきましては、これは私は別に相応じておるとか応じないということじやありませんけれども、或る大隊なら大隊を指揮する、連隊なら連隊を指揮するものというものの格付けなり何なりを考えます場合におきましては、おのずからまあ一致するようなところに近付いて来るのでありまして、只今のこの法律にきめておりますような階級なり職階なりにおきまして不都合はないと考えております。
  529. 山下義信

    山下義信君 その程度で結構であります。そこで伺いますのは次長ですね、次長という職名ですか。これは何か工夫をされましたか。もう初めから全然工夫されずに、元次長であつたから次長という名称を使われましたか。何かいろいろ工夫されて見たことがありますか。
  530. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 工夫と申しますとあれでございますが、まあ各省ではこれは次官と言つておる。ところがこれは省でありませんから、次官という名称を使うということはどうであろうかという考え一つございます。又然らば副長官というような名前一つの案でございますが、これは副長官というような名前より、次長という名前のほうが、現在保安庁法で使つておりますからよかろう。まあこういうふうに考えたわけでございます。
  531. 山下義信

    山下義信君 私たちは再軍備に反対するものであつて、余計なお世話でございますが、併し審議のときですから遠慮なく申させて頂くのでありますが、次長という名称は率直に言つて貧弱ですね。それでこれはこれだけ規模を拡大されて、これだけの立場にあるならば、この名称は公平に見て、工夫なさるべきであつたろうと思う。次長という名称は、日本政府の行政府の格付けで申しますと、極めて低いところに次長という名称を使いますよ。部においても次長、内部部局の小さい部局に次長という名称が使われてある。増原君にお気の毒ですよ。これはこういう改正の際に、私たち反対党の立場でも、この名称は適当でないですから、アメリカのほうと相対立するのには、相当副将軍格のもつといい名をつけられて、私はアメリカと対等、匹敵するようなことも考えられるということを申したのでありますが、それはロバートソン次官補や、それらに対等するような名称をお考えなさつたかどうか、これでは保安長官がお気の毒ですよ。これは大総監とか何とかされて、それで今のは副総監などもいいと思いますが、私は本当言うと、実体で言えば、この次長というのは、これはまあ容易ならん立場にあるので、こういう名前では貧弱です。やはり名称を貧弱にしておきますというと、増原次長の影もだんだん薄くなるというふうに思いまして、私はお気の毒だと思います。やはり何も名をよくしたからといつて金がかかるわけじやないのですから、名称はただですから、将来のことも考えて同じことならば私はいい名のほうがやつぱりいいと思う。何か工夫をこらされたか。私本当のことを申し上げますと、少し貧弱ですね。これはどうも如何かと存じますが、将来これを適当な機会に考え直されたらいいのじやないかという気がするのです。如何でございますか。
  532. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御意見有難く拝聴いたしました。
  533. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 只今の次長ですね、これは八条の規定から見ましても、一切副長官的な代行権というものは認められていない。私はそういうふうにとるのですが、次長というのは、長官に事故あるときにそれに代るような幾らかの代行権が与えられておりますか、どうですか、その点を伺います。
  534. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 防衛長官国務大臣でございますので、国務大臣の代行を事務官僚がするということは、建前としても適当でないのではないかと思います。
  535. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に第九条を伺いますが、参事官制度というのは、これは初めて布かれた制度でありますが、この九条の二項に如何に参事官というものが重大なものであるかということはそこに規定されております。私丁度他の委員質問したときいなかつたのでありますが、従つてお尋ねするわけでございますが、官房と五局で六人ですね、そうして官房五局の所掌事務を拝見しますと、いずれも第九条の二項の基本的方針の策定について、これに合致するような所掌事務が規定されております。従つて私が伺いたい点は、あと二人の参事官こういう方々はどういうポストにつき、果して九条二項の「基本的方針の策定について」云々という事項に該当する役職があるのかどうか、その点承わりたいと思います。
  536. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 八人のうち六人は官房長、局長に充てられるのでありますが、あとの二人はこれはそういうふうな職はないのであります。広く自由な立場から基本的方針の策定について長官を補佐するという立場に立つて働くのであります。
  537. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは官房だとか部局のいずれかに所属するわけですか。
  538. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) いずれの所にも所属するということではないのであります。ただその事務は、その者についての給料を支払うというようなところまでは官房でやることになるであろうと思います。
  539. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 籍は官房に置くわけですか。
  540. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは内部部局の外でございますので、官房に籍があるということにはならないかと思いますが、実際に今申しましたようなところは、これは官房でやることになると思います。
  541. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 内部部局の外に置くというのはどこに置くわけですか。
  542. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 防衛庁そのものに、長官に直属するということになるだろうと思います。
  543. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちよつと不明確ですね。それならばそのようにこのポストがあり、その規定がなくちやならんのですね。官房と部局については、この所掌事務にちやんと参事官のこの二項に該当するような規定があるわけですが、その規定がなくて、ポストも明確でなくて二人余分に置いたというのは何か理由があるだろうと思うんですが、何かこう長官の高級秘書官というような感じがするのですがね、どうもその点明確でないと思うのですが、もうちよつとわかるように説明してくれませんか。
  544. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) これが機動的に長官の最高補佐をするわけであります。所掌事務は持つておりませんが、各部局に亙ることは無論のこと、いろいろな方面から長官を補佐する、機動的に補佐させるつもりであります。
  545. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これはどういう人なんですか。軍事専門家かがなるわけですか。軍事的なブレーン、そういうふうなことになるんですか。
  546. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 軍事的の役割もいたしましようが、軍事専門家は持つて来ないつもりであります。
  547. 山下義信

    山下義信君 この参事官の中には、自衛隊法のおしまいを見ますというと、何か参事官の中でも長官が区別なさつて、指定参事官といいますか、そういう制度をとるようでありますが、指定参事官というのはどういうのが指定されるということになりますか。その御予定はどういうことになりますか。
  548. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これはその参事官八人の中で、俸給の面におきまして差別をつけまして、高給の者とそうでない者と、必ずしも同じような形にしないという趣旨考えているのであります。指定参事官としてあります者が現在の局長級の俸給を取る、指定参事官にありません参事官は現在の課長級の俸給を給与するというふうに考えております。
  549. 山下義信

    山下義信君 そうすると八名の中で、局長が五名で官房長が一名、六名の参事官は指定で、あと二名の参事官は指定でない参事官と、こういうことになるのですか。
  550. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) 局長及び官房長に充てます参事官は局長級の指定の参事官にしたいと思つております。そのあとの二名につきましては、只今のところ確定的に局長級の参事官にするかどうかということについてはさまつておらないのであります。
  551. 山下義信

    山下義信君 詮索するのも如何かと存じますが、私は参事官というものは非常に高級な長官のブレーンのように受取れるのです。それで今おつしやると、かなり低い立場の参事官もお設けになるようです。それで第二項から行けば指定の参事官の任務と、それから非指定の参事官の任務と別に区別がない。なかなかこれは高度の補佐役と見える。それでどういうわけで指定しない程度の、今おつしやつた課長級の参事官がどういうわけで必要なんでございますか。
  552. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは参事官につきましては、御指摘のごとく非常に重大な職責を持つておりますので、私どもといたしましては、全部の者を指定参事官にしたいと思つております。まだ関係方面との間に話が具体的にきまつておらないのでございます。成るべくならばその職責に鑑みまして局長級の給与を支給するようにしたいと思つております。
  553. 山下義信

    山下義信君 関係方面というのは、まさかアメリカでもないでしようが、大蔵省のことでしようが、予算関係でしようが、私はこの第九条の建前から行けば、これも余計なおせつかいですが、余り低い参事官というものは私は所望の効果が乏しいと思う。これはそういうのでなしに、やはり御予定のような高度の参事官ということでなければ筋が通らんと思う。そこを一つはつきりとおつしやつて下されば、ここできまりますから。加藤人事局長、もう一度……、或いは長官からでも……。
  554. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まさにその通りであります。参事官制度を置く趣旨から申しまして、これは長官の最高ブレーンであります。相当の人材を持つて来ることを要するのであります。それで率直に申上げますると、大蔵省との間にまだ俸給その他のことについては、私はそれがどうしても指定参事官と同様に俸給を支給すべしということを主張したのであります。その間のまだ決定はいたしておりませんから、加藤局長が只今のようなことを申したのであります。趣旨といたしましては、これは立派な人材を持つて行きたい、こう考えております。
  555. 山下義信

    山下義信君 私はこれは意味深長に受取つた。この参事官制度を創設されたことを意味深長に受取つておりますから、特にそういうことを要望して長官の御賛同を得ましたから、私も大体同感であります。これは人選等はもう大体終つておりますのでございますか。あらかじめ御任命になります参事官……。
  556. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) まだ終つておりません。折角物色中であります。
  557. 八木幸吉

    ○八木幸吉君 指定参事官について、一言だけ伺いますが、十七条には「官房長及び局長は、参事官をもつて充てる。」、当然官房長と局長は参事官でありますから、指定参事官という文字をちよつと見ますと、その他の参事官が指定参事官であつて、その他でない参事官、つまり局長である参事官は当然参事官というふうに見えるのですが、言葉としては少しまずいのじやないでしようか。
  558. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは御指摘のようなこともあると思います。ただ私どもといたしては、言葉が実体を左右するほどのものではないと実は考えましたので、指定参事官を以て局長、官房長級とこの規定ではいたしており指定参事官のほうをむしろ例外的に扱うべきであつたかとも思います。
  559. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この二十九年度予算には参事官の経費が組込まれていないということは前に伺つたのですが、最初これは参事官制度を予定していなかつたわけですね、あとでこれを新らしく加えられた理由ですね。それを最初予定しておらなかつたのですね、従つて予算にこれは組んでないわけですね。それはこういう制度を新らしく加わつた経緯ですよ、どういうわけで最初は予定されておらなくて、そしてここに新らしく出て来たが、予算と法案とは違うわけですね。
  560. 加藤陽三

    政府委員加藤陽三君) これは法案の作成の過程におきまして、長官保安庁運用の実際の御経験から、かような制度を設けることにきめられたわけでございます。そこで今指定参事官とそうでない参事官との話が出ましたけれども、大蔵省との話合いにおきましては、局長給、官房長給というのは予算に載つておるわけであります。併し指定参事官としてそれに俸給を出すということにつきましては異存はないのでございますが、あとの二人の参事官につきまして、局長級の俸給を出すということにつきまして、まだ話はきまらないことになつております。
  561. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは予算の余裕の関係からまとまらないのですか。若しあと二名の参事官について、給与その他を定める場合、費用がない、こういうふうで大蔵省のほうは難色を示している、こういうものですか。
  562. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 木村委員承知のように、最初には級別定数、予算書には級別定数の表というのがございます。従来御指摘のように、予算の積算の当時におきましては、参事官を置くことは考えてございません。級別定数はこの参事官を無視したと申しますか、織り込んでない。これは長年予算総則で御存じの通りでありますけれども、これは級別定数を変更することは可能であります、実行上……。併しながら非常に特段の理由がございません限り、大蔵省といたしましては協議に応じないといいますか、それと違つた変更をすることを承認しない。こういう特別の理由があるかないかという判断にかかりますので、現在といたしましては、まだそこら辺の見通しは立つておりません。
  563. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この参事官八人ですね、このうちの六人の官房と五局とは私は明確にわかります。あとの二人というのは、これは非常に私は重大性を持つていると思うのです。ということは、この九条の二項から「基本的方針の策定について長官を補佐する。」とあります。とありますのは、長官を機動的に補佐するというこの二人の参事官は、長官に対して最も影響性の強い私は存在となつて、第八条の「次長は、長官を助け、庁務を整理し、各部局及び機関の事務を監督する。」というこの関係とから屋上屋を重ねるような形になつて、私は運営上混乱を起す場合があるのではないかと、こういう懸念を持ちますが、御所見如何ですか。
  564. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 御心配には及びません。十分にその辺の運用はいたします。
  565. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 木村長官、そんな恰好でなくて、わかるように誠心誠意答えて下さい。これは非常に大事ですよ。あなたの手許に二人こういう立派な素質を持つた人が機動的にいるということは、これはあなたとしては非常に都合がいいだろう、私は恐らくあなたに対して最も影響性の強いものになつて来ると思う。この二人の参事官と官房、部局との関係、それから次長との関係というものは、これは私は実際を運用する場合になかなか微妙なものがあると思うのです。従つて二人を選んだということ、私は今推察するに、この二人の一人は総合政策的な立場から助言するところの官房、部局の内局と、もう一つは、純軍事的な立場から長官を補佐するところの統合幕僚会議方面、こういうふうにおのおの分担させて、そうして長官の下において機動的に私は補佐させるようなお考えで置かれているんじやないか、こういうふうに二名から推察できます。そういうことを併せ考えるときに、実際に運営した場合には相当これは重大なことが私は起つて来るから、誠心誠意一つお答えを願いたい。
  566. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私の考えておるのは、将来日本防衛について最も必要なことは技術方面のことであります。これは未だ決定的ではありませんが、技術方面において長官を援助して、又一面において衛生その他についての部面を私は所管させたいと、こう考えております。
  567. 山下義信

    山下義信君 先ほど私参事官制度について伺つたときは、関係方面、即ち、大蔵省との折衝中ということは、給与というものを大蔵省がどう扱うかということについてこれはもう大体のお話が済んで、あとはただいろいろな事務的な御折衝の段階かと考えておつたところが、木村委員の御質問からいたしまして、今石原保安庁経理局長の御説明を聞きますと、大蔵省がなかなか難色を示して承知していないということなんです。それでこれは一つ大蔵省のほうを呼んで聞いて見てもいいのでありますが、そういうふうに政府部内でまだ反対意見があつてきまつていないということではこれはいけないと、こう思いますので、次回までに政府のこれに対する一決した態度をきめて頂いて、委員会一つ御報告願いたいと思うんです。やはり依然として政府部内に反対意見もあつて、これが未定のままであるかどうかということは、私はこれは審議の過程においては、このままではいけないと思いますから、一つ政府のほうでこれを法律のように実施するなら実施するというふうに意見が一致されたかどうかということを次回までにまとめてこの委員会へ御報告を願いたいと思いますから、委員長にもさように一つお願いいたします。
  568. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) ちよつとお答えを申上げておきまするが、大蔵省が先ほどのような場合におきまして級別定数を変更いたしますときには、具体的に人をきめまして、その人の経歴というような問題もございまするので、ちよつとそういうような具体的な人の決定に先立ちまして一般的な話合いをいたしますることは、従来の扱いからいたしまするとございます。
  569. 山下義信

    山下義信君 大蔵省はそういうふうな保安庁の、防衛庁といいますか、つまり今度の防衛庁の採用の人事の人選まで喙を容れますか。
  570. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 私大蔵省として答弁をいたしておるのではありませんので、その点は御了解を願つておきまするが、実は大蔵省が人事に容喙をいたすという建前ではございませんので、級別定数で予算書にきまつておりますものに対しまして例外を設けまする場合には、その人事がどうだこうだということではなくて、その人の経歴というようなものも参考にいたしまして、具体的な選考をいたすのであります。これはそういうふうに予算書の形で国会の一応御審議を経ておりまするから、それに対する例外を確保しまするには、非常に慎重な態度をとつて行くことになろうかと思います。
  571. 山下義信

    山下義信君 ともかくも政府のほうで大蔵省なりどこでも異議なくしてこの法律がこのままで実施ができるのかということの決定的なものを、次回に御報告願いたいと思います。
  572. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 予算総則には関係が出て来ませんか。
  573. 石原周夫

    政府委員石原周夫君) 濫りに変更することができないという字句がございます。従いまして従来これは永年この字句を使つておりまして、この字句の解釈は、今申上げましたように、非常に例外的な場合におきまして、例外的な事情を斟酌をいたして決定をいたすということに従来なつております。
  574. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは防衛庁設置法中、二章第一節のうち第七条の定員の項を留保いたしまして、その他の条文についての質疑は終つたことに御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  575. 山下義信

    山下義信君 私が今言いました参事官制度についての政府の決定した意見を次回に報告するということを、委員長を通じてお願いをしましたことをここでちやんとはつきりしておいて頂きたい。
  576. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) なお参事官制度についての山下委員よりの要望については、次回に御答弁を願うように、委員長よりも要望をつけておきます。  それではこれを以て本日は散会いたします。    午後十一時二十一分散会