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政府委員(
福島慎太郎君)
只今議題となりました調達庁設置法の一部を改正する法
律案の提案理由及びその概要を御説明申上げます。
本法
律案は、
日本国における国際連合の
軍隊の地位に関する協定等の締結に伴いまして調達庁の任務として
日本国における国際連合の
軍隊の地位に関する協定による同
軍隊の作為又は不作為から生ずる事故に基く補償事務、
日本国における合衆国
軍隊及び国際連合の
軍隊の共同の作為又は不作為から生する請求権に関する議定書による
アメリカ合衆国
軍隊及び国際連合の
軍隊の共同の不法行為に基く事故に対する補償事務並に
日本国と
アメリカ合衆国との間の相互
防衛援助協定による軍事援助顧問団の使用に供する宿舎等の施設及び役務の調達並びに提供した施設の返還に関する事務並びに
駐留軍等による又はそのための調達に関する契約から生ずる紛争の処理を新たに調達庁の任務として附加し、これに伴いまして、調達庁の権限、総務部、不動産部、労務部の各部の所掌事務に関する規定に所要の改正を行い、併せて調達庁の業務の円滑なる処理を図るために特別な職として総務部に調停官を、不動産部に連絡調査官を設置すると共に、国際連合の
軍隊及び軍事援助顧問団のために労務に服する者で国が雇用するものの身分、勤務条件について所要の規定を設ける等の必要がありますので、今回
調達庁設置法等の一部を改正する法
律案をここに提案いたすこととしたのであります。
本法
律案の
内容につきましては、第一条におきまして、調達庁設置法の一部改正を、第二条におきまして、
日本国との平和
条約の効力発生及び
日本国と
アメリカ合衆国との間の
安全保障条約第三条に基く
行政協定の実施等に伴う国家公務員法等の一部を改正する等の法律の一部改正を、第三条におきまして、国家公務員共済組合法の一部改正をいたすこととしているのであります。
第一条の調達庁設置法の改正につきましては、同法第三条第三号の改正は、従来から調達庁の任務とな
つております日米
安全保障条約に基く
行政協定第十八条の
アメリカ合衆国
軍隊の作為若しくは不作為から生ずる事故についての請求の処理に加えて、国連軍協定第十八条に規定する国連軍の同種の行為による請求の処理と
日本国における合衆国
軍隊及び国際連合の
軍隊の共同の不法行為に基く請求の処理を併せて行うこととするためのものであります。
同条第四号におきましては、日米相互
防衛援助協定による軍事援助顧問団の使用する宿舎等の施設の提供及び返還並びにこれらの顧問団のために労務に服する者の雇入、提供等の業務等役務の調達を新たに調達庁の任務にいたしております。同条第五号におきましては、
行政協定第十八条第七項、国連軍協定第十四条第二項等に規定しております
駐留軍及び軍事援助顧問団による直接調達又はそのためにする間接調達に関する契約から生ずる紛争の処理を調達庁の任務といたしております。
第四条の改正は、調達庁に新たに附加された任務の遂行上必要な権限として第十三号におきまして国連軍の派遣国
政府との間にも物及び役務の調達に関する契約を締結できうることとし、第十四号におきまして、
アメリカ合衆国
政府との間に軍事援助顧問団の使用に供する宿舎等の施設の提供及び役務の調達に関する契約を締結する権限を附加することといたしております。又第十六号及び第十七号といたしまして
駐留軍に対して施設及び区域を提供いたします場合に、工作物等を設置し若しくは補修する工事を実施し、若しくはこれらの工事に関する役務を提供し、又はこれらの工事等を関係地方公共団体に委託し若しくはこれらの工事又は役務の補助金を当該地方公共団体に交付すること並びに
日本国に駐留する
アメリカ合衆国
軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律第一条に規定する特別損失が生じないようにする防止対策工事等を実施し、又はこれらの工事等を関係地方公共団体に委託し、若しくはこれらの工事等の補助金を当該地方公共団体に交付しうることといたしております。
第六条第三項におきまして
駐留軍又は軍事援助顧問団による又はそのための調達に基く契約から生ずる紛争の処理を円滑に行うために総務部に調停官一人を、第五項におきまして
駐留軍の使用に供する施設及び区域の決定、提供した施設及び区域の使用条件の変更又は返還並びに軍事援助顧問団の使用に供する宿舎等の施設の提供等について
駐留軍、軍事援助顧問団、利害関係人又は関係行政機関との連絡、交渉及びそれらの間の意見の調整に関する事務を円滑に処理するために不動産部に連絡調査官五人以内を置くことといたしております。
第七条におきまして、前述いたしました
駐留軍の不法行為に基く請求の処理及び
駐留軍等による又はそのための工事並びに役務及び需品の調達に関する契約から生ずる紛争の処理の事務等は総務部の所管といたすよう改正いたしております。
第八条におきまして、不動産部の所掌として新たに軍事援助顧問団の使用に供する宿舎等の施設の提供又は返還に関する事務を附加するとともに配列字句の調整を行な
つております。
第九条におきましては、
アメリカ合衆国
軍隊のため労務に服する者と同じく、国連軍及び軍事援助顧問団のために労務に服する者についてもその雇入、提供、解雇、労務管理及び給与の支給、福利厚生に関する事務は労務部の所管といたすよう改正いたしております。
第十条におきましては、
行政協定第十八条に規定しております
アメリカ合衆国
軍隊の作為又は不作為から生ずる事故についての請求の処理の業務で都道府県知事へ委任しておりました業務を事務の簡素化、迅速化を行うためにこれを廃止することといたしております。
次に本法
律案第二条の
日本国との平和
条約の効力の発生及び
日本国と
アメリカ合衆国との間の
安全保障条約第三条に基く
行政協定の実施等に伴い国家公務員法等の一部を改正する法律の改正につきましては、国連軍及び軍事援助顧問団のために労務に服する者で国が雇用するものは、
アメリカ合衆国
軍隊のために労務に服する者と同じく、その身分は国家公務員ではないこととし、給与その他の勤務条件は
調達庁長官が定めることといたしております。
最後に本法
律案第三条の国家公務員共済組合法の改正につきましては、国連軍及び軍事援助顧問団のために労務に服する者で国が雇用するものは、国家公務員共済組合法の適用を受けないこととすることとしております。
以上が本法
律案の提案の理由及び概要でございます。何とぞ慎重御審議の上速かに可決されるようお願いいたします。
なお附加えて一言お詫かた
がた御挨拶を申上げておきますが、御多忙のところを本法
律案を特に御審議を願いますようにお願い申上げましたにつきましては、
事情がございまして、それは国連軍協定ができましたので、国連軍関係の労務者一万二千数百人おるのでございますが、これをいわゆる国連軍の直接雇用から
米軍労務者と同じような
日本政府が介在いたします間接雇用に切替えるということが労務者方面からも熱心なる要求もございましたし、又
日本側といたしましても、労働三法その他適用の面から見ましても、極めて必要なんでございますが、切替えるためには現在の国連軍の直接雇用の関係を一応打切らなければならないのでございまして、国連軍の雇用を一応打切りまして、解雇いたしまして、改め
日本政府が雇用するという手続をとりますのですが、そのためには労働基準法第二十条でありますが、労働基準法によりまして三十日以前の解雇予告が要ることになるのであります。従いましてこれから解雇予告をするということになるのでありますが、解雇は現在国連軍の直用ということにな
つておりますので、国連軍のほうで解雇をしなければならない。国連軍のほうといたしましては、解雇をする際には切替えて
日本政府が雇用するという保障がなければならない、これは単純なる解雇ではないのであるから、保障が絶対に必要である。
日本政府との間に労務契約を締結しておく必要があるということを主張いたしております。これも又当然なことなのでありますが、その労務契約につきましても、あらかじめ交渉いたしまして、
内容その他定ま
つておるわけでありますが、
調達庁長官にこの契約を締結いたします権限がまだございませんので、従いまして基本労務契約を締結することができない。その保障がなければ国連軍は解雇することができない、こういうことに今な
つておるわけでございます。ところで早速に解雇いたしませんと、解雇予告が出ましてから三十日かからなければ切替ができない。そういたしますと、今日解雇予告をいたしましてから、三十日以後我々のほうで雇い入れるということになりますると、七月以後のことにどうしてもなるという傾向がございます。七月以後から我々が雇いますと、本年の年末に際しまして年末手当を払うことができない。年末手当は六カ月以上勤務した者に一律に払われるということになりますので、この一万二千人の国連軍労務者がこの際調達庁設置法の改正ができておりませんと、労務者自体には何らの責任もありませんで、ただ雇用が切替わるというために、当然得べかりし本年度末の年末手当を受けることができないということになりまするので、年末手当六カ月以前に是非とも切替を
行つておきませんと、一万数千人の労務者諸君に非常なる損害を与えるのであります。これは国連軍側からその資金は償還を受けるのでありまして、
日本側の資金で払う金ではありませんけれども、労務者諸君に非常な損害を与えるということになりますので、当
委員会御多忙の際を煩わしまして、甚だ恐縮でございますが、特に本日お願いいたしました次第でございますので、御
了解をお願いいたしたいと思います。