○竹下豐次君 もう
一つ、これも私の希望を申延べるわけでありますが、本
会議におきまして
総理の外遊の問題につきまして同僚の中田吉雄君から御
質問がありました。それに対して
総理はまだ
はつきりきめてないのだから、まだ
答弁はできないという
お答えであ
つたのであります。今ここで
お答え下さいと申しましても
はつきり
お答えにならないだろうと思
つております。ただ私の希望を申述べておきたいと思います。そのときの
質問によりますと、旅費に三億六千万円とかいう莫大な金をお使いになる予定と聞いておるわけでありますということでありました。それは私は少しも存じませんので、まさかそんな莫大な金は要らないだろうというふうな感じを私は持
つたわけであります。若しそういう金額或いはそれに近いような金額でも、この
日本の貧乏な際、
国民は非常に貧苦に苦しんでおる際に、お使いになるというようなことがあ
つたら、ただその金それ自体が惜しいということでありませんで、
国民の受ける感情、それに伴う思想とかいうようなことをよほど重大に
考えなければならないと私は思うのであります。実は私はサン・フランシスコの平和
会議の際に、その前にアメリカを一周いたしまして、丁度帰りがけにあの
会議の際になりましたので、一週間ばかりサン・フランシスコに滞在いたしまして平和
会議を傍聴いたしたのであります。そのときな
どもいわゆる大名行例でたくさんなお供が付いて来ておられる。それでアメリカの第二世、第三世の人などから直接何人からも聞いたのでありますが、どうも自分たちはアメリカ人に対して恥かしくてしようがない。
日本の幹部の人は自分や数人で仕事ができないだろうか、あんなにお供を付けなければ仕事ができないだろうか、
日本で貧乏している際に。自分たちはそういう
意味においてアメリカ人に対して甚だ恥かしい気持を、アメリカのみでありません、ほかの国に対して恥かしい思いをしておるという
お話をたびたび聞かされたのであります。それから
事務局に参りましても、何で
事務局の人が忙しいということを見ておりますと、
会議の直接のお仕事について忙しい日に会
つておられる人は
総理以下何人か、数えるほどの今でありまして、あとの人はもう仕事がなくてうろうろしている。そうして
事務局の人はその人たちの世話に忙しくて、本当の仕事をするに困
つておられるのであります。上官が出張されますとその随員が行き、その随員に又その随員が行く、そうして
言葉のちつともわからない人、
言葉がわからないでも有能な人がおりますからして、絶対に否認するわけではありませんが、そういうことのためにたくさんの人に迷惑をかけるような人もある。甚だ悪い
言葉でありますけれ
どもうろうろしている人が大部分でありまして、本当に忙しが
つている人は非常に少いのだということを私はあのときよく注意して見てお
つたのであります。今度は平和
会議と違いますが、どういう用を以ておいでになるかも存じませんけれ
ども、どうもそういうふうの傾向があるのじやないか。便乗して行きたい人もたくさんあるだろうと思いますが、この際若しそういう希望者がたくさんありますならば、
総理のお力でできるだけ
一つうんと抑えて下さいまして、
国民の希望するような旅行をして頂くことが必要である、かように私は
考えておる次第であります。ずつと古い話でありますけれ
ども、私はヨーロツパにおります際も国際
会議など二、三のぞいたことがありますが、その当時はそれほどでもありませんでしたが、サン・フランシスコ
会議を見まして、実際私は
内容によく私などは直接タツチしておりませんから本当の観察はできなか
つたかも知れませんが、そういう感じをいたしたのであります。その点は
総理特に御注意下さるように私の希望を申述べておきたいと思います。