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1954-11-12 第19回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十二日(金曜日)    午前十時五十八分開会   —————————————   委員の異動 本日委員矢嶋三義君辞任につき、その 補欠として、小笠原二三男君を議長に おいて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            植竹 春彦君    委員            白波瀬米吉君            長島 銀藏君            西田 隆男君           小笠原二三男君            岡田 宗司君            松原 一彦君            堀  眞琴君            野本 品吉君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    行政管理庁監察    部長      岡松進次郎君    行政管理庁監察    参事官     吉田 龍雄君    行政管理庁監察    参事官     大森  浩君    行政管理庁監察    参事官     山口  酋君    行政管理庁監察    参事官     柳下 昌男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○行政機構整備等に関する調査の件  (仁政監察に関する件)  (来年度行政機構改革の構想に関  する件)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。  引続いて行政機構整備等に関する調査を議題といたします。  本日の委員会における調査の問題は、行政監察に関する件でありますが、この問題に関連して次の諸点について政府の御所見を伺いたいと思います。  その第一点は本年度行政管理庁監察部及び出先機関である各監察局において行われた主要な監察とその結果についてであります。  第二点は過般実施された行政機関職員定員法の一部改正法律案によつて行政管理庁監察部とその下部機関においては、どのような程度人員整理が行われたか、又その人員整理によつて現在監察事務を行う上にどのような影響を及ぼしておるかという点であります。  その第三点は行政監察監察を受ける官公庁側において行政監察趣旨が十分徹底し、その理解が十分でないと周到な結果が得られないことは申すまでもないことでありますが、現在この点に関する趣旨徹底理解状態はどのようであるかという点であります。  第四点は今日までの行政監察実施経験に鑑み、予算機構人員権限等の面において、特に法令等改正を要望せられる点があるかどうか、以上の点について、先ず説明を受け、その後に質問をして頂くことにします。
  3. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 監察部長の岡松でございます。御指名によりまして一通り只今の御質疑に対しまして御説明を申上げたいと思います。  第一点の主な監察の結果という点につきましてはお手許に簡単な摘録を差上げてございますので、これを一番実は後に廻しまして、その他の点につきまして初めに簡単に申上げたいと思います。  行政整理の現在の進行状況及びその影響でございますが、御承知と存じますが、行政管理庁監察部は昭和二十七年八月に当時の行政管理庁監察部経済調査庁組織が合体いたしまして、全国的な組織の下に発足して参つたのでございます。地方局といたしましては都道府県に四十一の地方監察局、それから八ブロックに八管区監察局、それと中央行政管理庁監察部、こういう三段階の組織業務を運営して参つたのでございます。その後昭和二十七年に二百九十一名の整理を受けまして又昨年昭和二十八年に三十五名の整理定員減になつたのでありますが、本年即ち二十九年度におきまして更に百四十二人の定員減整理を受けたのでございます。現在既整理数は百三十三名でございまして、今後整理を要する人員が十九名でございます。この数はちよつと今申上げました百四十二名に対して十名多くなつておりますが、これは内部的に監察部から行政管理庁の官房のほうに十名定員を譲る、分けたことになりますので、実質的に監察部といたしましては百五十二名、百四十二名プラス十名、百五十二名の整理をするということになります関係上、百三十二名の整理に対しましても十九名の更に整理を要する人員が出て参つたわけであります。併し大体来年の六月末までにおきましてこの整理をいたしますので、内部的には大体整理を完了する見込を付けておるわけでございます。この整理によりまして我々監察部といたしましては従来も定員が非常に不足しておりますのに加えましてこういう定員減になりました関係上、いろいろと工夫をいたしまして例えば地方監察局におきます管理定員を成るべく軽減してこれを実施のほうに移すというような関係で、今まで支出官でございました地方局長を資金前渡官吏に移して会計事務の軽減を図る、そういうふうな面にも配慮を加えまして運用して参つておりますけれども、だんだん業務が複雑高度化して参りまして監察の計画もいろいろと専門的に、多角的に見て行かなきやならん関係上、非常に定員が、人員が少くて苦労しておる状態でございます。  次に他官庁における行政監察趣旨徹底とその理解の現状でございますが、実は監察を実施いたしましてすでに二年余になつておりますが、発足当初におきましては御承知のように政府部内におきまするこういう第三者的な監察業務と申しますものは初めての仕事でございまして、又監察と申しますのは御承知のように政府部内の監察でございますので、これはあとでも申上げたいと存じますけれども、相手官庁協力態勢がありませんとこれは実効を収め得られないのでありまして、いろいろと改善事項を勧告いたしました結果は、各官庁が誠意を以てその勧告事項を納得して頂きまして、それを改善に移すということでなくては我々のほうの勧告で自動的に改善をする権限はないのであります。いわゆる相手官庁の協力ということが非常に大切になつて参ります。従いまして相手官庁に我々の監察というものの趣旨をよく理解して頂くということが我々の仕事を円満に遂行する非常に重要な鍵になるわけでございます。発足当時におきましては今申上げましたようにいわゆる監察というものは一体どういう仕事であるかというようなことが多少理解が不足でございました。又何かこう監察というのは非違を摘発する、悪いことをあばき出すのじやないかといつたような、監察という言葉の、何と申しますか解釈の仕方によりましてそういうふうな誤解を受けた面もございましたのですが、我々の仕事のやり方、又監察の行き方等がだんだん理解を得られまして、最近におきましては非常に各官庁もよく理解してくれまして、更に各官庁行政官庁並びに自治体でございますが、非常に協力的に仕事をやつて頂くことになつて参りまして、我々としまして細かい例を挙げまするといろいろございますけれども、総体的に申しまして我々といたしましては非常に理解も深め、仕事もやりよくなつて行くという状態に立至つているのであります。例えば細かい例でございますが、あとで申上げます食糧行政で現在輸入食糧港湾荷役関係調査いたしておりますが、我々の監察部の権限といたしましては、いわゆる民間団体輸入商社、その下請の荷役業者というものに対する調査というものの調査権はないわけでございまして、協力を求めることができるということになつておりますが、まあ拒否されればできないわけでございます。従いましてそういうもののいろいろな領収書その他の帳簿の提出を求める場合におきまして、食糧事務所におきましては権限上そういうことができるわけでございます。従いまして食糧事務所としましては我々の監察趣旨を非常に理解して頂きまして間接的に食糧事務所の尽力によりましてそういう業者から自発的に資料を出して頂くというふうな処置を現在とつて頂きまして非常に支障なく監察ができるというふうなことは、やはり官庁が我々の監察趣旨をよく理解して下さつて、又我々のその監察趣旨が各官庁から業者にも伝わつて、単に非違を摘発するというふうなものではないということの理解の下に、喜んで出して頂くというふうな結果になつております。そういうふうに我々のほうも持つて行きたいというふうに考えておるわけでございます。  次にこの事務処理上特に改善を要望する事項というのでございますが、これはまあ我々言わして頂くと非常にたくさんございますのですが、特にここで申上げたいことが二、三点ございまして御理解を得たいと存ずるのであります。御承知のように監察部はまああとでも申上げたいと存じますが、監察をやりますためには旅費というものがこれが我々の役所としましては一つ事業費に当つているわけでございます。まあ人件費旅費ででき上つているような役所でございまして、この旅費がないと我々はいわゆる実証的な資料を現地について調査をすることができないわけでございます。我々の仕事は実地について、現地について実証的な資料を集めて、それを積み上げた実証的な監察資料を作るということに実は特色を持つているつもりであるのでありまして、ただ単に机上の調査、或いは文書の照複によつて資料を得るということでは正確な、又相手官庁に納得の行く資料ができないのでございます。従いまして旅費というものがどうしても必要になつて来るわけでございますが、残念ながらこの旅費が非常に僅少でございまして、例えば例を申上げますと、中央におきまして、中央は全国的に指導、監督に出かけるのでございますが、月にいたしまして千九百円、管区監察局は少い所は三つの地方局、まあ四国のような所、或いは東京のごときは五、六地方局を持つております。その指導、監督、並びに管区は地元の地方局がございませんので、東京で申しますれば東京都の仕事地方局と同様な仕事をやるわけでございます。その管区において千六百円、府県段階におきまして、地方局におきましては大体千円程度旅費しかないのでございます。従いましてこれは御想像ができると思いますが、月に一遍宿泊で出ますと、それも足が出るという程度でございます。従いましてこれは余り我々としましては望まないことでございますが、監察計画によります或る対象を選びます例えば危険校舎の改築のために補助が出ておりますが、その学校を監察いたします場合におきましても、つまり旅費と勘案いたしまして手近な所しか選べない。これはやはり監察の結果は何と申しますか、普遍的に山間僻地も入れ、或いは平坦地、ものによりましては或いは大都会地、小都会地というような普遍的な資料を得ることが大切でございますが、やむにやまれず近い所を選ぶということになつて参りまして、これが極端に申しますといろいろな監察項目によりましても同じような所にたびたび行くというふうな結果になりかねないのであります。その点につきましては来年度大体十分とは申しませんが、我々としましてはこの程度で我慢するという程度旅費の増額を要求しているのでございます。大体まあ三倍程度になれば何とか我々の考えている監察ができるんじやないかという旅費を来年度要求している次第でございます。  もう一つは研修ということでございます。これもおわかりと存じますけれども、こういうふうな監察というような特殊な仕事に従事しております者には常に新らしい知識を必要とするのであります。その監察仕方等につきましても理事、幹部或いは中堅の者、第一線に従う者というようなふうに研修をして、常に練磨しておく必要がありまして、又相手行政官庁は専門的な仕事に従事しておりますので、そこに行きまして監察する場合において見劣りのしない知識を持つているということが必要であるわけであります。こういうような特殊な業務に従事している、特殊と申しますと語弊がありますが、そういう業務に従事しております官庁におきましては、例えば法務省におきましても或いは大蔵省その他郵政省、各官庁におきまして研修の組織というものがございまして、或る程度の研修の予算を持つておるわけでございますが、私のほうの役所はそういうふうな予算が、毎年要求はしておりますけれども、どうも残念ながら認められておりません。現在予算上に諸謝金というのがございまして、これは実に微々たるものでございますが、これは講師の謝礼金に充てているわけでございます。これは例をとりますと、中央で年に二万四千円しかございませんので、四半期に分けますと六千円程度でございます。本当に講師の謝礼金にも当りません。従いまして名目的な講習しか行えない。地方におきましても全管区で七万二千円しかございません。それでは全然或いは地方から中央に集めて講習をする。或いは管内の地方局の職員を管区に集めて講習するというようなことが殆んど不可能になつておるわけでございます。これも殆んど講師の謝礼というようなのは大したことはございませんので、やはり集めます滞在旅費というもの、つまり旅費が根本になるわけでございますので、或る程度の研修の予算といたしましてやはりこれも二千万円かと思いましたが、来年度大蔵省に一応要求いたしておるのでございます。我々としましては旅費の増額と研修費用を認められるということが、ほかにもいろいろございますけれども、一番重点的に、予算的にも大蔵省に増額、或いは新設を要求しておる状態でございます。  それからもう一つは、これもいろいろお耳に入つておることでございますので、一言申上げておきたいのは、監察が重複するというようなことがたびたびあるわけでございます。現在政府部内におきまする監察と申しますのは、各官庁にいわゆる自体監察と申しますか、自分自身が内部の監察をする組織を持つているのでございます。最近いろいろと我々の監察なり、或いは会計検査院の監査の結果、各省もいわゆる自分自身監察自体監察を強化するというような方向にも進んでおるのでありまして、大分その点の、自体監察の機関の充実ということが進んでおるのでございます。もう一つ大蔵省財務部がやつております会計法上の四十六条の監査でございます。これを俗に四六監査と申しておりますが、勿論この趣旨は、御承知のように予算執行の適正を期する見地からする財務監査ということでございますけれども、行政には必ず予算を伴います関係上、当庁が行いますいわゆる行政監察と多少そこにダブる面もできて来るわけでございます。従いましてその点につきましては同じ行政部内における行政監察機構といたしましては、今後これをどういうふうにマッチさせて行くか、相手機関に重複の感を与えないようにどういうふうにやつて行くかというふうな問題もあるわけでございます。現在大蔵省財務部と私のほうといたしましては、こういう点を努めてダブらないように、或いはでき得れば時期等も重複しないようにというようなことで調整はいたしておりますけれども、実際問題といたしましていろいろ旅費制約大蔵省のほうとしてもあると思いますから、そう違つた対象を必らず選ぶというふうなことにも行き兼ねる面もあるかと思います。又そういうような監察と申しますのはいわゆるタイムリーな、時期にマツチした項目を選ばなければならんというような要請もございまして、時期的にも或いは同じときにやらなければならんというようなことにもなりかねない。今後この点をどういうふうに調整して参りますかという点について、我々もいろいろと考慮をいたしておるわけでございます。この点一言申上げておきます。  次に本年度やりました監察報告でございますが、当監察部行なつております監察計画と申しますのは、先ほど申しました地方管区中央が一体となりまして監察行なつておるのでございますが、その監察計画は大体原則といたしまして中央におきましてこれを立てて、全国的にこれを流して一律に調査しておるのが原則でございます。これは御承知のように全国的な調査表と申しますが、監察資料を普遍的に集めてそれを積み上げた一つの結果、報告に基いて相手官庁に勧告をする。一部的な資料によつて一方的な判断により、又主観的な判断によつて結論をきめるのでないという建前の下に行なつているのでございまして、現在までに監察をやりましたのは大体一昨年から六十三項目につきまして監察行なつておるのでございます。併しこれは原則でございまして地方的に特殊な事情がありますような事項につきましては特にその地方限り監察を実施するというようなことも行なつております。局地的監察言つてもいいかと存じます。例えば西日本の風水害というような九州一円の風水害、或いは和歌山県の特に風水害というような場合の災害の復旧事業につきましては、九州の管区におきまして、或いは和歌山地方局こおきまして、そういうふうな監察行なつておる。その他冷害の問題につきましては全国的の調査表ではございますけれども、特に東北の冷害対策というものの結果はどうであるかというようなことで仙台管区が各東北の府県一体監察をやつておるというふうな方法をとつておるわけでございます。それでこれは二十九年度における監察業務実施状況というのをお手許に差上げておるものと存じますが、大体御承じのように監察行政運営改善を図るということが大きな柱になつておりますけれども、我々内部的には便宜上これを大体四つぐらいの観点に分けておるのでございまして、一つ公共事業効率化と申しますか、例えば林道の補助事業とか或いは土地改良補助事業災害監察というようなものもこれに入るとして一応入れておるのであります。一つ行政運営適正化、勿論項目にすべて合致するわけでもございませんので、いろいろと重複する面もございますけれども、一応分けてみますとこれは主として生活保護行政監察或いは通運行政とか失業対策監察といつたようなところのものを一応こういう分類に入れてやつておるわけであります。  もう一つは国費の効率的使用、これはすべて国費の効率的使用にはなるわけでございますが、特に国費の効率的使用として監察をやつているというふうな建前からとりますと、これは大蔵省管財局財産管理状況とか、或いは国民健康保険監察、或いは食糧管理行政監察、その他郵便物運送事業監察というふうな分類でございます。もう一つ公共企業体監督行政監察でございまして、これは専売、電々及び国鉄の三公社に対する監督行政監察をやつておるのでございます。こういうふうな分類によりまして現在まで大体六十三項目に及びます監察を実施したのでございますが、監察も一昨年始めましてから初めての仕事でございまして、従事する職員も不馴れな点もありまして、我々としましては決して十分な成果を収めたとは自慢できないのでございますが、その後ニカ年有余の間に、大体先ほど申しました各相手官庁も非常に理解を深めて参りました。我々も監察につきまして漸次手馴れて参りましたので、漸次効果を挙げつつあると確信している次第でございます。  大体今までにやりました監察項目で国費に寄与した額といつて、あまり……寄与した額といたしまして、お手許の資料の終りにつけてございますと思いますが、大体現在までにこの数字では九十二億、ほかに現在やつておりまして、まだ結論の出ませんものがたくさんございますので、一応百億の国費の節減をしたということが言えると思います。ただこれは我々としましては非常に内輪に確信的に言える数字を挙げてございます。例えば九州の災害におきまして補助金を返還さした、相手の補助金であつたのを返還さしたといつたような額、その他相手官庁がこれを納得して処置を約束した額というものが主としてここに載つているわけでありまして、勧告の結果、今後いわゆる施策を改善されて行くにおきましては、勿論今後におきまして非常にこれに数倍する国費の節減が予想されるということは言えると存じます。  では最後に、本年度に行いました監察業務につきましてお話し申上げるのでございますが、本年度におきます業務といたしましても、ここに例挙いたしました相当多数の項目がございます。但し言い忘れましたけれども、私のほうの監察の計画は、大体四半期ごと監察計画を立てまして、これを各管区並びに地方局に流して監察をやつているわけでございます。従いましてその一四半期でございます四月から六月までを第一四半期と申しますが、第一四半期に行います計画、それによつて地方並びに管区から監察結果報告書というものが参りまして、これが中央に集まりまして、中央で全国的の監察結果をとりまとめまして、そうして一応各省とも下折衝をいたします。これはいわゆる独断的な結論というものを避けるということと、あまりに理想に走つた改善に役立たないようないわゆる研究論文なつても意味がない。いわゆる改善に役立つような結論を出すために折衝をいたしまして、結論を得て相手官庁に勧告をするわけであります。従いまして相当そのためには日時を要します関係上、現在やつております事項は勿論のこと、例えば六月に終りました監察結果におきましても現在結果を取まとめ中でありましてまだ相手官庁に勧告に至らないというような事項が相当この中に含まれておることを御承知おき願いたいと思います。大体やりました中で二、三申上げますと、一つ保安庁調達業務に関するものでありますが、細部に亙りますものは非常に煩わしくなりますし、又御質問ありますれば、担当監察官も参つておりますし、私からもお答え申上げたいと思います。一応の進み方だけを申上げておきたいと思います。大体目的は、現在は自衛隊なつておりますけれども、保安庁というものがいろいろ世論にも問題になつたと存じますが、いわゆる会計上のいろいろな不始末があるじやないかというようなことは世論のあれでございますけれども、我我のやりました監察は、保安庁組織が急に厖大な組織なつていろいろの多額な物品を調達しておる。それに応ずるような会計上のいわゆる組織というものは確立しておるかどうかという点に非常にまずい点があるんじやないかということで行なつたわけであります。その結果はここにも書いてございますように、いわゆる保安庁が急に厖大な組織なつたためにいろいろな会計上の理想的な組織を考えておるけれども、その運営が非常にまずいと申しますか、又会計上の知識と申しますか、いわゆる会計上の経験者の質が余りよくないために見積りその他会計上の手続きについて非常にへまをやつておる。又買う品物は、兵器というようなものは米国のいわゆる兵器を真似て業者に造らしたような兵器のために原価計算その他について非常に業者任せのような点がある。こういうような結果、非常に高い品物を買つている。又予算を消化しなければならん関係上、急に年度末近くになつて大量のものを買つておる。例えば乾電池のごとく時日を経過すれば使用に堪えないような、つまり分割購入しなければならんようなものも急に年度末近くになつて繰越を避けるために大量に買つておる。それがやはり時日の経過と共に使用に堪えなくなつてしまう。こういうようなことのために非常に国損をしておる。或いはジープというものも輸入価格等の勘案が非常にまずかつたので高いジープ買つて輸入業者に非常に儲けさしておる。その結果不当の利益というようなものを得さしておるということが主たる監察の結果になつておるわけでございます。この結果ここにも載せてありますように、大体二億三千万円程度の節減ができるんじやないかというふうに考えております。併し保安庁といたしましては現在自衛隊に切替えて更にこういう会計上の組織というものを非常に充実し、慎重にやる体制になつておるわけでございますが、我々の監察の途上におきましてもこのほかいろいろとここに列挙いたします勧告事項につきましては非常に誠意を以て改善に当つてくれております。何せ非常に厖大に拡張いたしました関係上、事実会計上の組織、その運営等につきましてその気持はあつてもそれが間に合わないというような点は認めざるを得ないのでありまして、今後自衛隊になりまして後の運営等につきましても、今後我々としましても機会があればその後の改善状況等につきまして監察をやつて行きたいというふうに考えております。  それからまあたくさんございますが、生活保護行政監察、これは一次、二次とございますが、第一次は特に生活保護行政予算の運用面と申しますか、特に医療扶助というような面につきまして監察をやつたのでございますが、これは非常に時局的にもいろいろと……御承知のように医療扶助のうち結核患者が殆んどその大半を占めておる関係上、非常に世論的にも問題になりました項目でございまして、これは厚生省もいわゆる目体監察として、これは時期的にはやはりそういうような関係上同じ時期に自体監察行なつておる。又大蔵省財務部も先ほど申しましたように広い監察の立場から行なつたのでございますが、我々も又独自の観点からこれを行なつたのでありまして、その結果ここに列挙します勧告事項のごとき結果を厚生省に勧告したのでありますが、最近厚生省といたしまして回答を寄越しまして、殆んど全面的に我々の意見に同意いたしまして極力今後の改善に資するというふうな回答になつておるわけでございます。申し遅れましたけれども、我々勧告をいたしまして回答を得まして、それを以て十分とは考えておりません。勧告のしつ放しということは決して改善の効果を挙げることではないのでありましてその後その改善が末端に滲透して行われておるかどうかということを、我々の言葉でトレイスと言つておりますが、推進という言葉を使つております。推進をするという処置をとつておるのでありまして、今後地方局管区を動員いたしましてこの勧告の回答の趣旨が末端に行われておるかどうか、改善が行上れておるかどうかということの跡付けをする。そうして改善が実際に行われるように督促をするという処置をとつて初めてこの勧告の効果が現われたと、これは小さいことでありましても積み重なりますと非常に大きな問題になつて来るわけであります。決して勧告のしつ放しで満足しておるものではないということを御了承願います。こういうような行政につきましては末端の改善を見守る必要が非常にあるというふうに考えておるわけであります。この二次はこれに関連いたします各生活保護の機関或いは養老その他のいわゆる保護施設の運営状況がどういうふうに行われておるかということにつきまして監察を実施したのであります。例えば養老施設、厚生施設、救護施設、医療施設、授産、宿舎提供という六種類の施設がございます、これがいわゆる法の趣旨のようにうまく運営されているかどうかというような点につきまして、又府県の監督或いは中央の厚生省の監督というような監督指導というものはどういうふうに行なわれているか、どういう点に改善すべき点があるかという点を、現在監察いたしまして、大体結論をまとめ中でございます。  次は食糧管理行政でございます。これはここにありますように、一次、二次、三次とございますがこれはその目的はいわゆる食糧費の中間マージンというものが実際にマッチしているかどうかという点に主力をおきまして、いろいろな観点からこれは検討して行くという建前をとりまして、第一次は政府所有の食糧の保管、売却操作というような点について、いわゆる保管料というようなものが無駄になつていはしないかという点、ここの二十九ページの(三)の監察結果にありますように、卸売業者に売却いたします際に、オーダーの発行日と引取日というものが月の十五日の両方に跨がりますと、保管料というものが、つまり一カ月分払わなければならない、それをよほど気をつけて前半なり後半なりにオーダーと引取をしてしまえば保管料というものが半分で済むというような点でいわゆる食糧事務所として非常に気をつけているところもありますが、それをただ単に事情に任せきりというようなこと、そういうような点を非常に気をつけて行けば、いわゆる保管料というものが非常に節約となるというようなことでございます。そういうような意味において、食糧費の中間マージン、経費というものが無駄になつていないかどうかという点、その他不適米の米麦の処理がうまく行つておるかどうか、或いは災害備蓄用の食糧に対する生産、保管、売却というようなものが、実際生産、保管されておりますけれども、実際には災害に余り利用されていないのじやないかといつたような面等につきまして、第一次は監察いたしたのであります。ここに列挙いたしますような一応の監察結果をとりまとめておりますが、これは二次、三次と関連いたします関係上、これをとりまとめまして、一つの結論を得まして勧告する手配になつておりまして、未だに食糧庁には正式には勧告はいたしておりません。  第二次は、食糧行政の適正を図るために、日通の元請運賃の支払業務、政府が日通に食糧の輸送その他を委託しておりますが、その保管料、いろいろな料金があるのでありますが、これが市場実勢と比べて或いはいろいろな観点から非常に甘いのじやないか、もつと政府のマージンが節約できるのではないかというような点を見て来たわけであります。  三次はそれに関連をいたしまして、輸入食糧港湾荷役関係、いわゆる輸入業者が外国から米を輸入いたしております。その経費を政府として支払つておるわけでございますが、輸入業者が不当な経費を請求していはしないかというような点につきまして調べておるわけでございます。これが先ほど申しましたように、輸入会社が港湾荷役との関係上必要以上のぴんはねをやつているのじやないかというようなことをよく言われておりますが、そういうような関係上、その帳簿並びにいろいろな資料を調べる必要があるわけでございますが、我々の権限といたしましては、これはただ協力を求めることができるということになつておりまして、強制的にそこへ行つて調べるわけに参りませんが、納得すれば差支えございません。そういう関係でこれは食糧事務所を通じまして資料の提供を慫慂して頂きまして、そうして出してもらつていることを申上げたわけでございます。  それから公共企業体の監査につきましては、国有鉄道と電々と専売でございますが、国有鉄道につきましてはここに載せてございますのは第二次監査でございますが、第一次には、これは国会の御要望もあつたと存じますが、当時いわゆる鉄道会館問題に端を発しまして国鉄の経理というものが問題になりました。その際にいわゆる私のほうといたしましては財産の貸付が適正に行われているかどうか、それから外郭団体の組織がどういう状態であつて、それと契約が非常に特殊的ないろいろな関連があるのじやないかというような面につきまして監察をやつたのでございますが、元来監督行政監察、いわゆる公共企業体といたしましては努めて公共的な観念に徹して、何と申しますか、できるだけ経費を節約し、能率を上げて、そうして最後には国鉄で言いますれば運賃の増額ということになるわけでありまして、安易に運賃の増額ということに走ることは企業体としての行くべき筋ではない。自分で極力節約し、能率を上げて、それでも成り立たん場合にまあ運賃の値上ということに行くべきであるというような観点から、国鉄のいわゆる企業体としての運用面というものがいろいろ改善の余地がないかという点に関連いたしまして監察をやつているわけでございますが、御承知のように厖大な国鉄の組織におきまして、なかなか全般的にこれと取組むというようなことは非常に不可能なことでございまして、従いまして二次といたしましては資材の管理、現場の機関が持つております資材がどういうふうに回転して有用に使えるか、そうして有用な資材がまだ利用されずに保管されているといつたような不経済な面、こういう面について改善の余地があるのではないかという点に着目いたしまして第二次の監察をやつたわけでございます。これは非常に詳細な数字を挙げた監察をいたしたわけでありまして、国鉄といたしましても非常にこの点は自分のほうとしてもやりたい資料であるということで、国鉄といたしましてはこれに刺戟されましてこの資料の整備と申しますか、そういつたような運動を起しまして我々に非常に協力をいたすと申しますか、我々の趣旨をとり入れまして部内におきまするそういう運動を起しまして改善の実を挙げているわけであります。この点は各地方局の推進監察の報告を見ましても、非常に我々の趣旨の通り改善をしているという点がほうほうから報告がありまして、我々の監察の効果が如実に国鉄部内に浸潤した一つの例証と我々は考えておるわけでございます。  第三次はこれはここにもありますように工場におきまする資材の管理状況というのを監察項目として取上げております。もう一つは日本国有鉄道用炭の荷役契約の実態調査、これは四十四ページに出てございますが、これは外郭団体の調査に一応ヒントを得まして、国鉄用炭を日本海陸運輸株式会社というものと契約いたしまして、昭和二十八年度に七億二千三百万円の荷役料金を用品経費で支払つておるのであります。これはいわゆる国鉄のまあ一応外郭団体と見られる会社でございます。ただこれの国鉄との契約がここにも載せてありますように非常に甘いという観点から、この契約を或る程度シヴイアにやれば相当な経費が節減になるのじやないかという点の一応の結論を得たのであります。それから第三に函館港におきます石炭の輸送荷役につきましても或る程度の考え方を変えて行けば相当な節約になるのじやないかというようなことから、ここにも節約案として一億二千万円程度の節約になるのじやないかというふうな結論を得ておるわけでございますが、まだこれを正式に勧告するまでには至つておりません。  それから現在やつております監察といたしまして、この第三四半期といたしましては五十五ページにございます失業保険行政監察、それから戻りますけれども三十五ページの開拓建設事業監察というものを重要監察項目といたしまして、その他国の出先機関の支分部局の調査その他二、三ございますけれども、主たる監察項目として現在実施中でございます失業保険は、現在の状態におきまして非常に問題になる情勢でございますので、その実情を把握して改善の効果を挙げて行きたいという意味でございますし、開拓建設、開墾干拓でございますが、これは巨額な国費を計上して開拓並びに開墾をやつておるわけでありますが、これが果して目的のような効果を挙げ、実績が上りつつあるかどうか、非常に無駄な金を場所によつては投じておるのじやないかというような意味におきまして、これも全国的な対象を選びまして、まあ県によりまして三つか四つくらいの対象を選びまして、能力を許す範囲で現在調査をやつておるわけでございます。大体二、三摘出いたしまして御説明申上げたのでありますが、実は少し口幅つたいことになりますが、我々監察をやる上におきまして一番重要なことは綱紀の粛正ということでございます。これはややもすればやはりこういうような仕事に従事いたします関係上常にこれを身に体しておりませんといろいろと弊害が起るのでありますが、この点につきましては発足以来殆んど非難を受けたことは私はないと存じます。又今後におきましても我々の役所が地味ではございますけれども、まじめな縁の下の力持ち的な気持で皆従事しております。非常に地味な庁風ができたと私は信じておりまして、この点につきましては神経質過ぎるくらい職員の頭に滲み込んでおつて仕事をやつておるのでございまして、その点は一つ御安心願いたいというふうに考えております。非常に簡単でございましておわかりにくいと存じますが、又御質問によりましてお答え申上げます。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 説明の中で少しお尋ねしたいことがあるのですが、旅費を現在の三倍くらい要求をしていると言われますが、総額にしますとどれだけになりますか、ということと、大蔵省との折衝でこれは増額の見通しがついているかどうかという点ですね、これを一つ……。
  5. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) ちよつと三倍ということは、私は少し言い違いかも存じませんから訂正いたしておきたいと思います。現在中央に要求いたしておりますが、現在二十九年度旅費を申上げますと、中央、つまり監察部中央旅費が三百六十四万六千円でございます。地方旅費、これは管区及び地方局旅費でございますが、二千六百五十万四千円でございます。細かく申しますと……。実は私のほうをもつと細かく申上げますと、そのほかに職員旅費というものが中央に十八万八千円ございます。それから地方に二百五十二万二千円ございます。これがまあ全部の旅費になるわけでございますが、職員旅費と申しますのは、殆んどいわゆる管理旅費と申しまするか、まあ総務課的なことに使うということで配付を受けておりまして、非常に微々たるものでございまして、従いまして私どものほうの監察は、先ほど申上げましたように、四半期ごとに大体原則として監察計画を立てます関係上、それから非常に監察計画がだんだんと専門的になつて参ります関係上、文書で計画をただ単に管区並びに地方に流したのではこれは意味がないのでありまして、どうしても担当の、まあ管区で申しますれば部長を全国的に、八管区でございますが、それを集めまして、担当の部長を集めまして、会議を開きまして、部長を教育すると申しますと語弊がございますが、お互いに勉強して、その監察計画を練つて、それを持ち帰つて、各管内の地方局長を集めまして、それを伝達して、監察をやると、こういうことになります関係上、四半期ごと部長を集めます。その間にまあ責任者である管区の局長も会議を開きます関係上、そういうふうな会議旅費に相当監察旅費をまあ食われております。又地方で申しますれば、地方監察局から管区に連絡に行くというような関係上、連絡旅費でございますか、そういうものに相当投じてもいるわけでございます。大体三分の一程度がそれに使われてしまうのであります。従いまして、この三百六十万円と申しますけれども、実際に監察を手がけて行くための旅費というものは、まあ中央はそういう点は割合に少いのでありますが、地方は三分の二程度が実質的な監察に使われる旅費ということになります。それが月当り先ほど申上げましたように管区で申しますと、千六百円程度、それから地方で申しますと千三百円程度になります。従いまして監察旅費全部を割りますともう少し多くなりますし、実質的にはそれは部長の上京旅費とか或いはいろいろ監察の打合せのための旅費、そういうために使われてしまいまして、計画に基きましてどこを対象に、例えば埼玉で申しますと埼玉から秩父の町にこういうことを調べに行くというような旅費管区で申しますれば新潟県に行つて調べるといつたような旅費に使われる実質的のものは三分の二程度に圧縮されておる。従いましてそれの大体三倍程度というふうに申上げたのでありまして、実質的には大体今申上げました額に対しまして、中央では二百十七万円を要求しております。三百六十四万円に対して二百十七万円、それから地方の二千六百万円に対しまして二千百七十万円、まあ大体八割程度増額を要求しておるわけでございます。それから研修旅費は、これは大体二千百万円を要求しております。これは大体今までは零でございますので新たに要求しております。これはもう大体中央に年四回、六十八人を集める旅費とか、管区が年八回程度、一回一週間として一局から二人ずつ集める。そういうふうな旅費が殆んどでございます。大蔵省との経過は御承知のように大体今年はいわゆる標準予算ということになりましたので、一応先ほど申上げました三百六十四万円、二千六百万円の旅費というものが標準予算に認められておるわけでありますので、新規要求として要求しておる形になります。計画といたしましてはまだ担当官に私のほうの係並びに会計課長から要望した程度でありまして、まだ何ともきまつておらない状態でありますが、まあ非常にこれは私のほうばかりでないと思いますが、大蔵省としてはシヴイアーに査定するのじやないか。併しまあ私のほうとしてはこのほかに実は申し遅れましたが、情報収集をやつております。これは各府県に地方局が存在いたしますことが非常にまあその点に便宜でありまして、これは監察情報と申しまして、各府県に監察上、まあ大きく申しますと行政上いろいろの問題点がある。こういうようなものが、例えば新聞に出るような問題もございますし、単に新聞記事ばかりではございません。いろいろな不合理な点がある。これが将来監察計画に参考になるような事項であるというようなもの、或いは単に監察計画ということでなくしても、各省に連絡して小さいことであつて改善してもらつたほうがいいのじやないかという事項を情報収集をやつて、これが一年に千件くらい出て参ります。現在までに二千件以上出ておりますから、一年に千件程度。その中に非常に重要な事項、大事な事項を各官庁に連絡いたしまして改善をやつている事項が多々ございますし、又監察計画にとり上げる事項についてはそれをやつている。そういうようなために非常にやはり旅費を要するのでございます。いろいろな人に会つたり、各官庁を訪ねて行く、或いはそれに基いて或る程度の掘り下げた調査をするというために旅費が要るのであります。そういうような情報収集に要する旅費とか、それから内部考査と申しまして、これはいわゆる我々の自体監察みたいなものでございますが、業務運営がうまく行つているかどうかということのために考査規程というのがございまして、年に一回は必ずやる、そういうような旅費も非常に不足しておりますので、そういうための旅費というような、いろいろの項目旅費を実は要求しているわけであります。併し重点的には今申しましたように、あまり欲ばつてもあれですが、最後の線は旅費増額研修費用の新設ということは是が非でも僅かながらでも見てもらいたいというのが今の気持でございます。
  6. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 監察の結果、御報告なつた点等で逐次質問したいのですが、まず、保安庁について御説明がありましたが、予算の適正な執行なり或いは効率化という意味で御調査監察になられるということでありますから、ここにはないことですが、お尋ねしますが、今まで保安庁経費で毎年度繰越になつている金額はいくらですか。私今記憶にありませんが、何十億という厖大な金ですが、こういうものは適正な予算の執行だ、国費の効率的な回転と申しますか、使用だとお考えになつておられますか。この点については監察もし、勧告もせられた過去の実績がありますか、併せて御答弁願いたい。
  7. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) これは私のほうは官庁全体の経費、人件費もございますし、いろいろございますから、そういうものは調査しておりませんので、大体調達ということに主眼を置きましてやりました関係上、調達費用だけの繰越は保安隊と警備隊に分かれておりますが、二十七年度から二十八年度に調達費の繰越は六十億が保安隊、警備隊は六億という程度なつております。で、保安庁全体の経費といたしましては相当厖大で調べておりませんが、例えば定員が充足できないための人件費の繰越というようなこともございましようし、その他いろいろ経費がございますが、我々の見ましたのは調達費でございますので、二十八年度の調達を見ました関係上、この繰越と二十八年度予算二百四十億が保安隊、それから警備隊が四十八億、併し警備隊のほうは手が廻りませんので、額の多い保安隊、陸上隊のほうを見たのでございますが、繰越がこうあつてはいかんというような面に、具体的には勧告いたしておりません。
  8. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたのほうの職分と申しますか、職責から言えば、国庫寄与額が五千万とか、三千万とかそういうところをつつ突くことも重要ですが、今緊縮財政として国がいろいろ努力しているこの際、調達費そのものが年内に消化し切れないで、当然繰越しになつて行くという実態を見ていながら、それが適正であるとか、不適正であるとかいうことの勧告そのものが監察部として行われないのは、私どうも合点が行かない。これはもうこれだけの繰越を持つている官庁というのはよそにないと思う。毎年度予算年度内に消化できる、これは予算を作定するに当つて六十億なり七十億なり残る金は他にもつと効率的に使えるはずの金であります。それをただ寝せておいて、市中銀行等に預託し、金融機関にこれを預けて利潤を得る、こういうことを放置しておくということは私としては考えられない。よその監察も重要ですが、これに対しての行政管理庁としての結論がもうこの際あつていいのじやないかと、私はそう思う。
  9. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 現在やりましたのは、いわゆる現在やつております調達についての何と申しますか、不合理というものを突きました関係上、そういう面にまで実はまだ何と申しますか、手が廻らんというわけでございます。
  10. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 その面にまで手が及ぶとか及ばんということではなくて……。
  11. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 担当監察官から……。
  12. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 決算の資料を見ればこれは容易ならざるものだというようなことは直覚的にも資料を見ればわかることです。
  13. 吉田龍雄

    説明員(吉田龍雄君) 私が担当の監察官でありますから、私からお答え申上げます。保安隊の調達費の繰越というのは相当多いのでございまして、只今部長から申しましたように、二十七年度から二十八年度への繰越額が約六十数億、それから二十八年度から二十九年度、本年度でありますが、これに繰越されたのがずつと少くなりまして恐らく二十四億だと思います。ところがその調達費の使い方でありますが、それが非常に不手際でありまして、二十八年について申上げますると、繰越額を合せますと約三百億くらいの調達費があるわけでございます。それの半分くらいを昨年の十一月—一月で以て使つてしまつたというようなことであつて、非常に使い途がアンバランスである、非常に年度末に行つて極力消化をするというような面が見えますので、こういうようなやり方は非常にまずいじやないか。非常にその間に調達が慎重を欠くというようなこともありますし、或いは差当つて緊急に必要でないというようなものもそのときに買つてしまうということもあるので、もつと調達全体を計画的にやる必要があるということにつきましては、私のほうから保安庁のほうにも注意いたしてあるわけであります。
  14. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 過去のそれについては、関係保安庁にも十分問い質さなければなりませんが、そういう運用がまずいという点及び繰越が他官庁に比して余りにあり過ぎる、こういう点、これは調達費ばかりでありません。保安庁経費全体としての繰越が余りにも多過ぎる、こういう点について行政監察の手が足らんから適正な措置がとられないということは私は遺憾だと思う。この点については責任者から今後やはり十分な監察の上勧告するお考えがあるかどうか伺いたい。
  15. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 先ほどもちよつと触れましたように、現在保安隊は自衛隊に切換えておりまして、まあ私のほうとしては、会計上の何と申しますか、不手際と申しますか、機構の充実が十分でない、会計組織ができておるけれども運用がうまく行かないというような点は、勧告には一応述べてあるわけでありまして、その点は保安庁といたしましても、調達実施本部というものを置きまして、いわゆる俗に言う三軍を一つにまとめてやるというような、組織としては確立しておるわけであります。現在これを人員的にも運用的にも充実してやつて行くという気構えでやつております。その推移を見まして我々の勧告の跡ずけと申しますか、そういう意味で御要望もありますし、我々のほうといたしましても、今後適当な時期に監察をするという気持でおるわけであります。又現在やりましたのは、御承知のようにいわゆる陸上自衛隊と申しますか、この場合はいわゆる保安隊でありまして、警備のほうはまだやつておらないわけでございます。一応手が廻らないし、費用の多い自衛隊ということになりましたけれども、今後は警備隊関係、海上自衛隊ですかの関係にも触れたい気持でおるわけであります。現在切替りました自衛隊としての新らしい姿の行政官庁対象として、機会があれば監察したいと、こういうふうに考えております。
  16. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 重ねてお尋ねしますが、例えば陸上自衛隊監察せられた結果から、将来の見通しとして、来年度やはり相当額の繰越があるようにお考えになりますか。適正に処理されるというふうなお見通しですか。
  17. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 現在、吉田参事官からも先ほど申上げましたように、これは想像でございますけれども、自衛隊発足いたしまして、その規模が非常に大きくなり、人員も殖える、それから会計職員も慣れていない、運用もまずいというような関係、それから新らしい外国製のアメリカ式の兵器を使へと言われる、それは日本の業者も馴れていない、こういうようなことから生産が遅れるとか、いろいろな関係があつて、非常に予算の消化が悪かつたのではないかと考えますが、まあ二十九年度への繰越が非常に少くなつております関係もあり、自衛隊も非常に又膨脹いたしました関係上、私から確言はできませんけれども、防衛庁としましても、こういう点を指摘され、その他世論、新聞紙上等にもいろいろ言われております関係上、相当誠意を持つた円滑な予算経費の運用をやるのではないかというふうに思つておりますけれども、今申上げましたように新らしく発足いたしました自衛隊としての行政機関に対しましては、前保安隊で得ました結論をトレイスする意味において、重ねて或る時期に見たいと、こういうふうに考えております。
  18. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 この点は非常に重要な問題でありますから、当委員会のみならず予算委員会その他において必らず徹底的に追及し、そうしてこの繰越が適正であるかどうか、こういう運用の仕方が適正であるかどうかということについては、我々としては十分調査しなければならんと思つております。私は今日は臨時バッターで出て参りましたので、この程度にしますけれども、次回又いろいろな場合にもつと資料を以てお尋ねしますからその際に譲りますが、今御報告なつている内容について一点だけ伺いますが、石炭調達で業者指定を多くしたということで、一割程度の国庫寄与があつた、こういうことでありますが、こうしたことは当然誰が考えてもそうなるであろうというふうに思われることが、そうではなくて運用されておつたということはどうもおかしい。大手筋十八社の指定をしたその基準はどういう基準を以て指定しておつたのですか。
  19. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 細部につきましては担当監察官から御説明申上げます。
  20. 吉田龍雄

    説明員(吉田龍雄君) 大手筋十八社を指定いたしましたところの関係につきましては、私どものほうもそこまで調査はいたしておりません。併し見ましたところ大手筋十八社だけで以てやるということは、大体において、この大手筋は基礎が非常に確実なためになかなか値引き等はいたしません。そこでほかの一般の市価というものは相当下つておるものもありますのに、その大手筋だけを相手にして調達しているために、相当全体としては高い、調達単価が高くなつておるのじやないかということで以て、もう少しやはりこういうふうにデフレの時代になりますれば、中小炭鉱等にもこの入札の機会を与え、そしてもつと市価に近いところの適正な価格で調達させる必要があるというので、私どもその点を勧告いたしましたところが、すでに昨年度年度の途中から改めまして、その指定業者の数を殖やしまして、そして中小炭鉱のほうの確実なものはそれに入れる機会を与えましたので、かなり単価の低いところで以て入札ができるようになつた。十八社の指定がどういうような関係でということは深く追及いたしませんでしたけれども、大体において保安庁業者選定は、各業者からの申請がありますると、それに基いてその業者の資産状況それから又生産設備の状況等をあらゆる角度から検討いたしまして、これならば間違いないというものだけを選定いたしまして指定しているのであります。併しものによりますと特にその業者だけを指定する、例えば自動車であるとか、或いは繊維品というようなものにつきましては、確実なところの相当基礎の大きなものを指定いたしまして、それだけと契約を結ぶというような形になつておりますものも若干ありますけれども、大部分のものは申請がありますれば調査して基礎が確実であるというものは指定しておりまして、現在でもその指定業者の数は相当数になつておるわけであります。
  21. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると従来十八社が仲間的に、独占的に入札して、一般市価より高いものを、保安隊と申しますか、それがぼんやりして、入れさしておつた、こういうことでございますか。
  22. 吉田龍雄

    説明員(吉田龍雄君) 御承知の通り大手筋十八社と契約いたしまして、大手筋としては、自分のほうとしては一応合理的な価格であるということで以て入札するのでありましようけれども、こういうデフレの時代になりますると、その正常価格を割つてでもまあ入札に応じたいというものがあるわけであります、中小企業におきましては……。でありまするから従つて市価というものが次第に下つて来ておりますけれども、一遍業者を指定いたしますとその間の競争というものがその指定業者だけの競争になりますので、当然もつと下るはずのものが下らずに入札されてしまうということになるのでございまして、決して非常に不当に高いものを買わされていたというふうには認めないのでありますけれども、市場実勢から言いますともつと自由な競争入札をさせたらば下るのじやないかという点が監察の結果といたしまして判断されますので、そういうような点を注意したわけであります。
  23. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 不当なものでもなかつたし、割高のものでもなかつたというものが競争を激しくさせて、その結果一割程度安くなつたのだというならば、これは中小炭鉱なり何なりの犠牲を強いてこの石炭を入れさせておるという結果になりますが、それならそれで、それも適正な価格である或いは不当だと、だからどつちがどつちかになつていないと話はどうもはつきりしない。で、委員長にお願いしますが、保安庁のほうから従来までの、石炭の入札価格当時の市価、これを対比したものを入札都度の価格を全部出してもらうように資料を要求して頂きたい。
  24. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 承知しました。
  25. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 保安庁の二十八年度予算の費用の問題ですがね、まあ調達関係だけお調べになつてほかはやつておらないようなので、あなたのほうから詳しいことを或いはお聞きできんかとも思うが、あそこに技術研究所というのがありますね、保安庁に。保安庁の技術研究所に委託研究費といいますか、方々へ出す金、あれがどういうふうに使われたか調べたことがありますか。
  26. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) まだそれまで調べてございません。
  27. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 調べてなければ、まあ二十八年度の使い途を今調べろというのはどうもあなたのほうの仕事の範囲と違うかも知らんけれども、二十九年度関係があるから私はちよつと申上げておくのだが、二十八年度保安庁の技術研究所の委託研究費か何かは年度末にむやみにあつちこつちにばらまいておるのですよ。而もそれを非常に押し付け的にばらまいておるという事例が幾らもある、或る大学の研究室などみたいに……。これもできもしない計画を立てて金をとつて、そして使い切れなかつたから年度末においてばらまいたという疑いが十分ある。保安庁の費用は全体についてそういうことが非常に多いのですね。資材の調達に当つてもそういう問題を二十七年度にも起しておる。二十八年度にも起しておる。あなたのほうでもそれを指摘しておる通りなんです。恐らく今年もそんな問題があるのじやないかと思います。これは十分に注意して頂きたいと思うのです。それからこれはまあ行政監察というものの重要性ですね、これはまあ会計検査院のほうは済んでしまつたことを調べることになるかも知れませんけれども、これは現に進行中のことを調べるので、私としてはこのほうが十分むしろ予算使用等については重要だと思うのですけれどもね。一体この行政監察機構なるものをどういうふうに今後持つて行こうとしておるのかということを、これはその行政管理庁の長官にお伺いしたいと思う。一つ午後でも管理庁長官を呼んで頂きたい。
  28. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 次に生活保護行政監察の御報告がありましたが、これだけで午前はやめたいと思うので一分くらいのところですが、診療報酬支払次年度繰越が国庫負担分四十一億にも達しておるという結果が出ておつて、これについての勧告が出ておりませんが、あなたのほうとしては、この繰越になつておる国庫負担の四十一億も出て、これを解消して行く方針について何か御見解がありますか。
  29. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 勧告はしてあります。
  30. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや私の申上げておるのは、勧告は医療扶助について或いはその他ここで厳重にやれという意味の勧告はありますが、現にもう四十一億というものは繰越になつて残つておる。このものは今後厳正にやつたからと言つて直ちに消えるものではない。従つてこのもの自身をどう始末せいというお考えをお持ちかお伺いするのであります。
  31. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 御質問の趣旨につきましては、一応お話のように、総体的には勧告しておるわけでございますが、我々としましても具体的にそれをどういうふうな……辻褄を合せるというような結論を得るには非常に重大な問題でありまして、早計にこの結論を得るということも非常に不可能なような状態であります。ここにありますように予備費の支出又は予算の補正を要する予定で準備中という回答が厚生省から来ておるわけであります。又一つには、ここに指摘しました、二十六ページの3という項目に、一応お話のように抽象的ではございますが勧告しておるわけでございますが、この運用という面が適正に行われていない面がたくさんありまして、例えば附添看護婦の問題で不必要に国費が使われておる。或いは医療扶助におきましてまだ非常に乱雑に医療券が出されている。非常に解決はむずかしい問題でありますけれども、個々のケースを整理、整頓して行きますれば、不必要な経費というものは非常に節減できるんじやないかという意味のことを述べてありまして、その意味において診療費が現在四十一億にもなつておるけれども、これは将来こういうふうな多額なものは節約できるんじやないか、それについて相当慎重に考えてなお現在足りない点については考慮して欲しいというふうな意味に言つておるわけでございまして、具体的にこれをやれば解決するというような結論は、早急にはちよつと私のほうとしても出しかねる……。
  32. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで結論としてはですよ、この監察の結果不適当な措置が多かつたために、四十一億の大半の金はそういう赤字繰越になつて来たんだというふうな結論になつたのですか。それとも、そういうこともあるだろうが、結局こういう四十一億残る根本の問題は初めから予算が不足だつた。初めから十分見る点を見ていないんだということにあるのですか。どつちに結論を置くのか……。
  33. 吉田龍雄

    説明員(吉田龍雄君) 医療費については、これはまあ厚生省のほうから説明すべきでありまするが、私の知つている範囲で御説明申上げます。厚生省といたしましては毎年大体の従来の実績を検討いたしまして、その翌年の医療費につきましてはその患者数、それからそれに基く診療費というものを弾き出して予算を立てておるのであります。ところが大蔵省といたしましては大体これらの保護費の算出基礎を毎年の日本の国の人口の増加に比例して、そうしてその額を増して行けばいいんじやないか、その程度でいいんじやないかというようなことで以てその見解がどうしても一致しない。若し足りない場合には後で何とか見るからというので、厚生省のほうの予算要求が容れられませんので、大体の見当で大蔵省との間で以て予算が決定されてしまつているのであります。厚生省といたしましてもそれは当然それだけの額では賄い切れない、赤字になるということは初めから予想しているのであります。ところが国家財政が非常に窮屈であります関係で以てその全額を計上することができない、赤字になればそれは後で以て見るということで、その点につきましてはもう厚生省といたしましても大蔵省に当てて、必ずこれは後で見てもらわなければならんということで書面も出ているわけであります。一応大蔵省といたしましても何とかしなくちやならんということは引受けているわけでありますけれども、その予算の編成に当りましては当然赤字になるということが厚生省の立場から言えばわかつていたわけであります。
  34. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると監察当局としては厚生省に勧告するだけではなくて、大蔵省主計局のほうにもこれは勧告すべきじやないですか。
  35. 吉田龍雄

    説明員(吉田龍雄君) それはお説の通りでありまして、勧告という形では大蔵省には言つておりませんけれども、この報告書は向うに出してありますし、又詳しくこの間の事情を説明してあるのでありまして、大蔵省のほうでも特に私のほうにまで主計官が参りまして、主計局の課長も参りまして、私のほうのところで以て詳しく私どもの見たところの監察の結果を説明いたしましたし、私どももこれに対するところの所見等も十分にあちらのほうには書面を以ても、又協議の形におきましても伝えてあるわけであります。
  36. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで行政監察は国庫へ寄与するということの建前ばかりではないので、適正な行政運営をさせるということについても積極的にお考えになる筋合だろうと私は思うんです。そういう意味においては初めからもうこういう予算が不適当に見積られている。そうして実態は常にたらい廻しでこれは次年度繰越しになるようなものについては、予算適正化という点について、大蔵省自体にも私は強硬な勧告があつていいと思う。如何ですか。
  37. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 只今のお話誠に御尤もなことでございます。私の説明が少し足りませんので或いは誤解を受けたかと存じますが、これは御参考のために寄与額もこういう程度にやつているのだということを申上げたのであつて、我々の仕事行政運営適正化でございますから、必要以上に経費を減らすだけが能ではございません。足りないところには、或いは人員不足で重要な仕事が困つているという面については、予算増額と申しますか、そういう面にタッチしなければならんのでありまして、個々の具体的な事例等につきましても申上げてもいいと思いますが、そういう面で非常に府県自治体等が感謝している面もございます。我々もそういう面は決してただ節減ということだけ一辺倒でやつているわけではございませんので、その辺は御趣旨も含めまして将来監察に当つて行きたいと思います。  それからたびたび御要望がありました保安庁の件につきましては、実は今年やりましたのは保安庁という特殊な厖大組織でございまして、又機構が、殊に経理上の機構が外国の、アメリカの機構をまねておりまして、普通の官庁の契約機構、調達機構とは非常に変つておりまして、非常に実は監察に苦労いたしましたのですが、もう一応経験を経ましたので、今まで御指示のありましたような面、いろいろな面につきまして、新らしい今までの経験といたしまして多方面に亙つて慎重な計画で機会がありましたらタッチしたい、こういうふうに考えております。御了承を願いたいと思います。
  38. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは先ほど岡田委員より行政管理庁長官の出席を要求する御意見もありましたので、質疑はまだ残つておると思いますから、午後続行いたすことにいたしまして暫時休憩いたします。    午後零時四十二分休憩    —————・—————    午後二時八分開会
  39. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは午前に引続きまして委員会を再開いたします。
  40. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほど来一応御質疑はいたしましたが、若干続けて行いたいと思います。食糧管理行政監察報告中、三十一ページの5とあるところですが、用途を指定して売り払つているものを買受受託者が委託者以外の第三者に転売しているものが若干認められた。或いは用途指定が守られておらないという点も認められるということから、結論として随意契約について或いは用途指定売却について再検討を要するというのでございますが、専門のかたから具体的に用途指定が守られておらない、或いは第三者に転売しておつたという事実をお示し願うと共に、再検討をいたしてどういう結論を得ればこういう点は解消されるとお考えになつておるか、この際御見解もお示し願いたい。
  41. 大森浩

    説明員(大森浩君) 只今の御質問にお答えをいたします。用途指定が守られていないという具体的の事例といたしましては、例えば砕米でございますか、これをまあ醤油の原料として払い下げる。或いは菓子の原料として払い下げたものが、行方が不明になつておるというふうな事例でございますとか、或いは糊の材料として払下げますと、これが例えば澱粉の材料になつているというように、いろいろ例があるのであります。具体的の事例がちよつと只今資料を持合せておりませんのでございますが、大体只今申しましたような事例なんでございます。これが取締を厳重にいたしますればいいわけでございますが、何分にも食糧庁の申しますには非常に範囲も広うございますし、現在の人員等ではなかなか十分な取締ができないというふうなことを申しておるのでございます。私たちといたしましても、その点或る程度尤もであると考えておるのでありまして、これは取締を十分にすることは勿論でございますが、払下げをいたします場合に十分にそのような横流し等をしないような信用あるものを選定して契約するというふうなことがこれが第一に必要な問題であろうと思うのでありますが、かような点について特に再考慮をしてもらいたいということを申す必要があるのではないかと思つております。ただこれは岡松監察部長が午前中に申しましたように、まだ正式の勧告としては出ておりませんが、大体今のところではさようなふうに考えておるわけでございます。
  42. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そこで抽出調査だけで結構ですが、こういう不当と申しますか、不正と申しますか、それが穏当を欠く、まあ妥当でない扱いになつたものは、金額として幾ら……。
  43. 大森浩

    説明員(大森浩君) これは先ほども申上げましたように、抽出と申しますか、調査をいたしておりますうちに見つかりましたもののみでありまして、この見つかりました合計は、私たちの調査の結果の合計でございますが、これは金額にいたしまして千七百万円と一応合計が出ております。これは併しただ調査をいたしまして見つかつたもにだけでございますのでさよう御了承願います。
  44. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 件数にすれば幾らですか。
  45. 大森浩

    説明員(大森浩君) 十七件でございます。
  46. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで全体の件数のうちから抽出して出た十七件がそれだけの金額だとなれば、推定この種のものは幾らぐらい全国的にあるとお考えになつておられますか。
  47. 大森浩

    説明員(大森浩君) この数字はちよつと私今全国の推定を申上げるだけの資料を持合せておりませんし、ちよつと申上げかねるかと思います。
  48. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 併しこういうことが重要だと考えるなら、いろいろの角度から推定もし、今後においても検討を要するというふうに御研究があつていいと思うのですが、都合が悪くてお示しにならんのですか、それともそういう全体的な考慮を払わんで、ただ個々の問題についてだけ適宜の措置をとつてしておるわけですか。全体的な行政監察の問題になるならばやはり全国的な推定というようなものもあつていいんじやないでしようか。
  49. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) お話の点につきまして私からなお補足説明いたしたいと思います。私のほうのやつております実は監察が大体一四半期、先ほど申上げましたように大体三カ月でございます一四半期が……。併し実際に当ります期間はとりまとめの期間等もありまして実際ニカ月ぐらいになる場合が多いのでありまして、で、今例えばお話のように食糧庁の加工原料としての売却操作というような項目一点だけを捉えましてやりました場合には、やはり抽出調査という意図の下にやりまして、相当まあパーセンテージも多く出ますし、それによつて全国的な推定もできるというような場合があるのでありますが、まあこの管理行政の第一義としましては、監察項目にありますように、1から4項目についての大体のやり方を見るというような意図の下にやりました関係上、一つ項目として結果に現われたわけでございまして、これだけを全国推定する意味で実はやつたのでないものですから以上のような結果が出たわけであります。
  50. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 こういう調査経験から言うと、一般的にこの種のものは予想外に多いとお考えになられましたか、まあこの程度のものはあり得るだろう、止むを得ない問題でもあろうと、こうお考えになりましたか。
  51. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 軽々に抽出調査の結果から全国的にその率で、そのパーセンテージによつて全部がこうであるということを軽々には推定できないと存じますし、結論的に非常に多いか少ないかというようなことは実際やつてみないと軽々にはできないと思いますが、まあ今調べました結果によつてもこういうようなことは得てしてありがちなことでありまするので、これをこの問題だけに重点的にやりますればお話のように成る程度のことは出て来るのじやないかとも思います。ただ食糧行政としてこれだけが、非常に私どものほうとしてはいろいろな項目がございまして、これだけがいわゆるこの意図いたしました監察の目的についての一番重要な項目として実はやつたわけではないものでありますので、一応こういう結果が現われたわけであります。
  52. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでこの調査せられた結果としてこの種の問題については何と申しますか、窓口官吏と申しますか、それと業者との間に特殊な関係があつて、暗黙のうちに看過しているとか便宜を供与したとか、そういう事実はないのですか。
  53. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 我々の調査は実は前にも申上げましたように、検察的な非違の摘発というような観点ではなく、行政運営適正化と申しますか、ここで申しますれば国費節減と申しますか、無駄の排除と申しますか、そういう点でやりました関係上、特別にそういうような観点で突つ込んで調べておりませんので、特にこの調査によつて特別に具体的にそういうような傾向がはつきりあるということを断定するまでには調査が至つてないのじやないかと思います。なお足りないところは担当監察官から御説明申上げます。
  54. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 行政監察はまあ今言つた目的もあるでしようが、併しその行政措置が適正であつたかどうかということについても当然それは調査せられるだろうと思うので、調査の過程において不当不正なる事実があつたかなかつたかということは、問題が別だから調査していないということはないと思う。ないならない、あるならある、必ず調査の過程においては出て来ると思うのです。私は今の答弁は満足しません。
  55. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 或いは言葉が足りないので誤解を受けたのかと存じますが、勿論お話のように不正不当の事案というものは調査に関連して発生して参ります。で、我々のほうの内部的な取扱いによりましても、不正不当の事案が発見された場合には、或いは重大なる事案であれば、或いは関係機関に連絡するとかいうこともしなければなりませんし、或いは不正不当の事案によつて、まあ例えば例はこれではございませんが、不当に水増の補助金を得ておるといつたような事件は、これは不正不当の事案になりますので、それは直ちに具体的の事例によつてそれを返還さすというような措置はとつております。
  56. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私はそういう抽象的なことを聞いているのじやない。この案件についてあつたかなかつたかと聞いているのです。もう私の答えを要求していることはイエス、ノーで結構なんです。簡単にお答え願いたい。
  57. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) それは具体的にあつたかどうかは私も今十分説明できませんので、担当監察官から……。
  58. 大森浩

    説明員(大森浩君) 只今申上げた事例の中では不正事案はないものと私たちは考えております。
  59. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、これは業者側の不当なると申しますか、不正な扱いであつて、食糧庁側には行政管理庁非違を糾弾され、それぞれ責任を追及されなければならん筋はなかつたと、こう了解してよろしうございますか。
  60. 大森浩

    説明員(大森浩君) この只今の御質問でございますが、不正不当の点につきましては業者側にあつたものと考えますが、ただ食糧庁側といたしましても、信用状態でありますとか、さようなことの調査が十分にできていなかつたという点については十分でなかつたのじやないかというふうに考えております。
  61. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それではそういう点で行政責任を追及された公務員はこの種の案件についてはあつたのですか、なかつたのですか。
  62. 大森浩

    説明員(大森浩君) 私が承知しておる範囲ではございません。
  63. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 行政管理庁長官にお尋ねをしたいと思います。今日出されました資料によりますというと、監察に基く国庫寄与額が二十七年度分が二十一億円、二十八年度分が五十八億円、二十九年度分が十二億円、二十七年度以降において九十二億三千九百万円、非常な大きな額に上つておるわけであります。で、これは非常に結構なことであるのでございますが、行政管理庁監察部が余り大きくない機構で、而も聞いておりますというと費用も非常に少い、そういうような不十分な機関監察した結果でもこういう大きなものが出ておるわけでございますね。そうしますというとこれは若し全体を監察したとしたなら、相当現在の予算においても浮く額が出て来るのじやないかと、こういうふうに私どもには考えられるのですが、そういうふうにお考えになりますか。
  64. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 一般的な監察というものについて感じられる考え方は私も大体同じように考えております。と申しますことは、私どもが監察をいたしました範囲からしまして想像できる要監察事項と申しますか、そういうものを十分にやるのには今の程度機構の大きさ、人員、それから予算というものでは十分でない面が確かにあると、こういうように私も感じております。
  65. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それでお伺いしたいのてすが、機構を拡充してもつと細かくやるということも必要でありましようが、これだけから見て、私は内閣の一員として、そうしてこの監察仕事の長官であるあなたが、内閣において各省に対して、その責任者である各省の大臣に対して、予算の使い方等について警告をお発しになつたことがあるかどうか。
  66. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) この監察仕事はまあ現在やり方を申上げますならばいろいろな機会に察知される一番今の場合に重要だと、そして一番問題が多いのじやないかと思われるところを重点的にやつて参るわけであります。そういうときに勿論そこで問題になつた事柄に対してこれを注意し、是正を要するものは是正させるということだけではないのでありまして、又それだけしかやらないのでは恐らく今の機構を倍にしましても三倍にしましても十分でない面が多々あると思うのであります。私どもは監察を、どこかの省の何かをやります場合にはそういう監察によつて出て来た事象からして判断、推察できる範囲の全般的な事柄について当該所管の大臣、最高責任者に注意を促して、そうして私どもが監察を手がけない部面におきましてもそういう類似の事柄があり得ると想像されるからして注意をするということを、監察本来のあり方であり、又任務であると考えておりますので、すべての場合にそのように注意、忠告、勧告を発しておるわけであります。
  67. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この監察業務は現在行なつておる行政上の監察会計検査院は前の年のつまり金の使い方を調べておるところであります。前の年に不正の支出が、或いは不当な支出が行われたということを検査をいたしまして、そうして悪い点についてまああれこれと指摘し、国会にも報告し、又それぞれ各省に対していろいろ警告も出したり、或いはいろいろなことをやつておるわけですが、それは事後に起つたことなんです。勿論事後にそういうことをやりまして、それが将来に向つて一つの戒めになるであろうということは言える。けれどもどうも今までの実績を見ておりますというと、会計検査院がいろいろなことを突つき出しましてそうして随分厳しくやつてつても、同じようなことが何遍も繰返されるのですな、甚だしいのになると会計検査院にお目玉を食つたところで又同じようなことを繰返している報告書が出ておる。そういうようなことでどうも会計検査院の仕事の効き目というものがあんまりない。で、行政監察部のほうでやる仕事が、現在の仕事振りというものを監察するということになると、会計検査院よりも私は効き目がある、こういうふうに思うのですが、その点はどうお考えになるか。
  68. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私も、少くとも国費の無駄を省くという意味におきましては、只今行政監察がやつておりますやり方のほうが遥かに効果的であると思つております。
  69. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 日本のように余り財政も豊かでない、そして経費の節約もしなければならんし、効率ある使用も行わなければならんというときに、こういうふうな無駄がたくさん出るんですから、これをやはり監察する、そしてその無駄を排除する、不当なる支出を少くするということは非常に重大なことなんですが、先ほどあなたの言われたように、現在の機構ではどうにもしようがない。これだけの無駄が節約される、ここで挙げておるだけでも。これは今の監察機構に相当な予算を出してやつても決して損のあるものじやないと思うんです。それで会計検査院とこのほうとの仕事の振り合いもいろいろありますけれども、この行政監察機構というものをもつと拡大強化するほうがいいんじやないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  70. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは今の監察機構が、恐らく要監察事項が多いと思われるにしては小さいという感じを持つておるということは、さつきも申上げた通りでありますけれども、それではこれを一つ機構を大きくしてということに考えをすぐに持つて行くかどうか。私もまあときどき考えてみることがあるんでありますが、まあもう暫くこの様子でやつてつてみようというように実は感じておるのであります。で、今ここにお手許に差上げた資料で御報告申上げております数字、これは大体監察の効果というのは数字で御報告を申上げ、又それによつて判断を願うということは、いろいろな意味において誤りを起す元になるのでありますが、併し誤りを起すから、私どもとしては最少限のぎりぎりのところを大体御報告を申上げておるわけでございます。従つて、これだけのこの監察によつて国費の節約に寄与をしたと思われる数字の裏に、そして今の一般警告で以て当該所管の大臣が更に部内の行政運営の仕方を注意願うことによつて、かなり大きな私はプラスが挙げられておると思うのであります。私はやつぱり行政監察の本来の狙いはそういうことで以ていいんではないか、全部もう非違がある、若しくは不当があるというところは、行政監察の手で以てどこまでもあばいて行くんだという考え方よりも、幾つかの殊に顕著な事象を捉えて、後はそれぞれ主管の大臣、所管の行政部面の責任者に直してもらうという考え方で行くほうがいいんじやないかと、まあこういう考え方をしておりますので、まあ要監察事象がまだたくさんあると考えられるからもつと監察を強化してというのは、もう少し情勢の推移を見てからでいいんじやないか。どうも御承知のように現在の行政監察機構としては、まだそう長い経験を持つておりませんので、私はむしろ就任の直後に、こういうものが果してうまく任務が果されるものであろうかどうかというような懸念さえ持つておつたわけであります。併し就任一年半の部内の努力の成果の跡を見て、これはすばらしいものである、まだ今後とも訓練をされることによつて、相当今の人たちでやつて頂ける面がある。ただ慾を言えばもう少し自由に動かれるように、監察旅費などの面で面倒を見て上げることができるならば、これは更にこの働きを活撥化することになるのじやないか、こういうふうに考えて、そういう面において取あえずできるだけの措置をし、あとは現在の機構人員で以て訓練によつてだんだんと今までの活動の不足を補なつて行くと、こういうようにいま暫らく機構を育てて行つてみたいと考えておるわけであります。
  71. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 まあどつちかというと、消極的なお考えのように私には受取れるのですが、現在の各省或いは出先機関、そういうものにいろいろな弊害があるのですが、その弊害というものは可なり根も深いし、広いのです。ここに出ているいろいろな事態というものは、これは氷山の一角に過ぎないと私は思う。この終戦後のいろいろな事態、特に戦後のひどいインフレーシヨンの時代のああいうような混乱ということから、全体の制度が少し弛緩をし、又官吏自身も非常に綱紀が紊れたということがまだずつと続いている。そういうようなことが事実上なかなか是正されておらん。だからこれは氷山の一角なんで、なかなかこれを摘発しただけで、各省大臣に警告しただけでは余り効果が挙るものではない。これは先ほど会計検査院の問題について私申上げたのだが、会計検査院が随分摘発をしてやかましく言つても、同じようなことがあとから繰返されておる例を見てもそういうことが言えるのじやないか。そうすると、これだけの国費の濫費を防ぐことができるというのであるならば、私はもつとこの機構を整備強化し、そうして又金ももう少し余計使つたほうが却つて全体として国のためになるじやないか。こういうふうに考える。行政整理をやります場合にも、まああなたはそのほうの担当の大臣として定員削減のことは一律におやりになつたのですが、この行政監察機構についても同じように一律に減らすということをしておられるのですね。これなんかも私どもから見るというと、やはり監察行政についてあなたの立場というものが少々お座なりじやないか、こういうふうに思われるのですが、やはりもう少しこれを強化するということについては今のところお考えになつておりませんか。
  72. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはまあこの監察というものをどういう工合に、と申しますのは、これは広い意味においての監察で、この場合に私が申上げておりますのは、会計検査院が行う機能も含めての意味でありますが、要するに行政機関がやることが必ず若しくは相当程度に不正不当があるのだという前提に立つて、そういうものがある場合には徹底的にどこまでも容赦なくやるという考え方を先ず仮りに基本に置きましてやるにいたしましても、それをそれではどういう機構にやらせるかということになると、私はこれはなかなかむつかしい問題だと実は思うのであります。今の日本のそういう広い意味の監察機構というものは、私の判断からいたしますならば、一部分会計検査院に預けてやらせるようにしてある。なお別の形で別の部分を行政管理庁監察部というようなものが引受けてやつておる、こういうことになつておる。この場合には、会計検査院では御承知のように独立の機関でありますから、相当強い法的基礎、権限を持つております。行政管理庁の中の行政監察部というものは、これは行政機構の内部のものでありまして、指揮命令の系統からいたしましても、一つ行政機関内部のものであります。私は今のような行政監察の行き方、行政管理庁がやつております行政監察の行き方も、過去の実績から見、今又申上げるように、十分存在意義があり、効果のあるものであるとは考えておりますけれども、本当に最初に申上げました意味の監察というものを徹底してやつて行くとするならば、私はむしろ会計検査院の機構というもの若しくはやり方というものを考えてあそこでやるということのほうが実は本道ではないか。それとは別個に行政機関の内部の自己反省をする機関として設けられている監察部というものは、やはり私はそうである場合には、そういう気持でその範囲においてやつて行く。従つて行き方としてはさつき申上げましたように、事前に世間から問題にされないうちに部内で調べて、そうして気づかないところは所管の大臣に注意して差上げて、所管大臣の力でこれを直して行くという趣旨に持つて行くのが私は機関内部の自己監察の形として正しい行き方ではないだろうかと考えているわけであります。そういう意味におきまして、私が最初に申上げましたように、これはどこまでも大きく、強いものにするということよりも、まだ歴史も短いわけでありますから、もう暫くこの形における監察は今の行き方で育てて行くことのほうがいいのではないかという感じでいるわけでございます。併しそれとは別個に今申上げました非常に強く監察をやつて行くという行き方も私は考え方としては一つ確かにあり得るし、まあこういうようにあちこちに問題があり、なかなか直らない、こういうときには、そういう行き方も一つの行き方であるかも知れないという考え方を持つておりますが、併し今そういう考え方で会計検査院の機能、機構というものを直すという考え方まで成熟しておらないのであります。
  73. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これはまあできて新らしいわけでありますが、できて新らしいのにかかわりませず、而も小さい機構であるにもかかわりませず、こういう仕事が行われているということは、この機関が非常に能率的によく仕事をしているということだけの問題ではなく、むしろ対象になるべきものが余りにあり過ぎるということから私は来ていると思う。だから全体の行政についての監察ということを、これはまあ会計検査院の機能についての検討、そうしてどうするかという問題もありましよう、それから今の行政監察部をどうするか、或いはこういうものを一本にして、そうして現に施行しているものに対しての監察と、それから使つたあとの監察、両方を一機関にやらせるということも或いは考えられるだろうと思うのですが、そういうようなことをいろいろやはり考えて見る段階じやないか。つまり監察機構というものは、これはどんな内閣が出ても官僚機構がだんだん厖大なつて来ますと、そういうようなことの必要が私はあると思うんで、従つて本当にこの予算がまじめに使われるかどうかということも強く検討を今して行かなければならん段階に来ている、そう思うんですが、その点はどうお考えですか。
  74. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私そういう感じが全然せないでもないのでありますが、まだそういう考え方の基本に立つて一つ監察機構というものを整備、強化をしようというところまではまだ考え方がまとまつておらないわけで、今後検討してみたいと考えております。
  75. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そうするとまあまあ今の程度で、非常に濫費が行われていても、ひどいものだけはちよいちよいと手をつけるけれども、まあまあしようがないと、この程度でございますか。
  76. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 不十分ではありますが、今の機構程度で大きな濫費というものは防がれている、そういうように、私としてはもうここで逃れているものが仮にあるとしても、そう大きなものではないはずであると、こう考えております。
  77. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 逃れているものはそう大きくないと思つているととんでもないものが出て来る、本来ならば造船利子補給の問題についてもあなたが言うようなことならば出て来ないはずなんだが、ああいうものが出て来るんですからね。若し監察機構が十分であつたならば、ああいう問題も或いは起らないで済むかも知れん。そこを考えて見ますと、あなたの考え方は少々甘過ぎるんじやないか、こう思うんですが、どうでしようか。
  78. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) まあこれは行政機関内部の一部分のものとして行政機関がやつていることが、常時而もすべての部面に眼を配つていなければ、何をしでかすかわからない、一向信用ならないということでは、これは行政機関自体において検討しなければならない問題なのでありまして、私は監察を、そういうことを前提に置いて而も今の行政機関内部の自己監察を拡げて行くという考え方は、私はまあやはり考え方としては、少しずれるのではないかと、こういうふうに私は思うわけであります。
  79. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 これ以上聞いてもそれだけのお答えしか得られないから、これはこれで止めますが、あとお伺いしたいのは、つまり県とか或いは市とか町村とかの自治団体、これけ本来独立の機関がそれぞれ自分の行政監察権を持つているわけですけれども、やつておるところを見ますというと、随分ひどいことをやつておる。殊に多額の国費がいろいろな形で以て地方公共団体に流されておる。その使いつぶりの監察が行われていない。たまたまいろいろなところではぼろが出て来ると、あわてて調べたり、何かするというのですが、一体地方自治団体のそういう金の使用ぶりに対して、何かあなたのほうで監察はしておられるのですか。
  80. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは一般的な考え方としては、地方自治団体に国が監察をして行くという考え方はないわけでありますが、ただ国からいろいろな金が、例えば補助金、負担金、そういうような形で出て行くものの当該補助金を持つており、補助金を配分する立場におります当該国の機関監察の形において、その出先を追及しておるわけです。従つて現実には自治団体のそういう面も可なり監察をいたしておりますし、又御指摘のように、自治団体はそういう監察からかなり大きな国費の無駄というものが、過去の例においては摘発されているわけであります。
  81. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それは監察の結果でなくて、たまたまいろいろな地方で起つたスキャンダルを検察当局に挙げられたりなんかしたというようなことから出て来る面が多いので、あなたのほうで以て、つまり国で以てずつと監察をして、眼を光らしている結果、摘発されたもののほうが少いのではないかと私は思うのですが、この点はどうでしよう。
  82. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは全然違います。そうでありませんで、例えば地方自治団体の監察で成果を挙げたと思われますし、又好ましくない現象であると思われますのは、昨年の大がかりな災害のあとのことであります。何にしましても、自治団体側からの厖大災害報告というものを大蔵省も建設省も、而も災害の後始末でありますために、これを非常に短期間に済まさなければならないという事情があつて、最初に査定しましたものを私どもが災害の大きかつたものを重点的に見ただけで、相当大きな、平たい言葉で申しますならばでたらめがあつた。それらを摘発して、さつき申上げましたような、今まで調べた方法でこういう傾向の水増がありはしないかということを当時注意しまして、従つて大蔵省も建設省も農林省も査定の手直しをしたことがあるのでありまして、従つて私どもこの自治団体の監察をいたします場合には、かなり監察による成果というものを挙げているわけであります。
  83. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この間のなんですね、災害のあとについては、これはあなたのほうの監察だけでなくて、いろいろな方面から火の手が上りまして、そうしてあなたのほうもあとから大騒ぎをした、こういうふうに私は見ておるのですがね、それはそれとして、あなたのほうではそうすれば今の行政監察機構で足りるのだと、そうしてただ旅費くらいちよいと面倒をみてやればよろしい、警告を発するくらいで日本の予算の使い方というものは適当に行われて行くのだと、その程度のお考えですか、改めてお伺いいたします。
  84. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) そうは思つておるわけではないのでありまして、なおやらなければならないと思うのでありますが、まあ監察の面をそれでは強化することによつてそういう面を是正して行くという方法で行くか、監察される面の事象を通じてそれぞれの行政機関の自粛自戒によつてこれを直して行くかということに考えをいたしますときに、私はむしろ監察で摘発を受けなければ直らないのだということでは、これは行政運営自体が問題になるのでありますからして、大体どういうところに誤り、欠陥があるのかということは、その一部分をやつてみればわかるのだから、あとはそこでわかつたことを推測してそれぞれの行政機関の長が日常の行政運営をやる場合に注意をしなければならない、注意をして行くべきだと、こういう考え方で問題の根絶を期して行つたほうがいいという考え方であります。
  85. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうもさつきからあなたのお話を伺つておりますと、私が先ほど言つたようなお考えしかないように思われるし、あなたのいわゆるあとのやり方じや、到底今のようにずいぶんいろいろな問題が起るときに、なかなかそのくらいでは直らないのですが、それが直るようならこんなものは要らないので、直らないからこういうものが要るのですが、あなたは飽くまでもやはりそれは直ると、あなたの力で直せる、つまりこういう機構を拡充して力を用いなくても直せる、そうお考えになつておるということですか。
  86. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 私は不十分ではあるが、今まで行政監察というものが活動し出してから相当直つておるし、又今後逐次監察をやつて行くことによつて今まで及ばなかつた部面にもそれを及ぼして行けば自然とそれが直るし、又監察によらんでも直すんだという考え方で、各行政機関が行くのでなければならないと、こういう考え方でおるわけであります。
  87. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それはそうなんです。ところがそうでないから監察機構も必要なんだし、それをやるにも監察機構がある程度つて、そうして相当こういうふうにどんどん摘発するから、その威力で以てあなたの言う警告も聞き入れられるのだ、それを今の程度でいいなんてふやけておつたら、それは聞くほうも余りこういう話は嬉しい話ではないのだし、なかなか大臣もこれで以て各省の内部の綱紀粛正をするほど、どうもあなたの言うことを聞きそうなかたもおらんようですから、だから私は申上げるので、あなたそれじや各省の大臣に対して、あなたの忠告を非常によく聞くと、そういう自信を持つてお言いになつておるのですか。
  88. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは監察ができてから間もないので、まだ恐らく行政の全面に亙つて監察はいたしておらないと思うのでありますが、少くとも監察した部面におきましては十分今後類似の問題の際に注意できるようになつておると思います。それからもう一つこの機会に申し添えておきたいのは、監察をしなければ過ちが出て来るというときには、私はやはり行政機構そのものにもどこかに欠陥があると思いますので、そういう事象が相当根強くあるというなら、これは機構にも検討を加えるべきではないかと思う。現在までいろいろ出て来ておりますいろいろな監察をされた結果明らかにされた事象というか、監察のなかつた時代に大抵出たことで、それが実施なつ監察の手にかかつてつておるわけであります。常時その程度のものならば現在の機構で以てやはり絶えず新らしい問題と取組んでやつて行けるだけの能力があるわけでありますから、これを更に非常に大きくしなければそういう程度仕事がやれないというものではないと思います。済んだことは片付いておりますから、絶えず新らしい問題を見て行かれる。従つて過去に今まで出て来た事象で以て、これをもつと監察機構を大きくし、人員も殖やさなければやれない、又それでなければ国政が立直らないというようには私は考えないわけであります。
  89. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それはあと何遍繰返しても同じになるからやめますが、この警告書なりあるいは先ほど行われました質疑応答なりから、こういうことが考えられるのですがね、例えば防衛庁ですね、これは非常にたくさん金を使うところなんです。ここから随分いろいろな問題が行政監察庁によつて摘発された。行政監察庁だけでなくて、これはいろいろなところからぼろが出て随分刑事被告人か何かも出しておるような事実、そうすると行政監察庁として今後いよいよそういう費用が増大して来るのでありますから、これはあなたのほうでも防衛庁の費用の監察ということ、防衛庁のやり方の監察についてはもつとびしびしやつて頂きたい。それから農林省のいろいろな問題、特に農業土木関係についても、地方で相当スキヤンダルが摘発されておる。一々例は挙げません。これもおやりになればまだまだ直る問題があるのじやないかと思います。各省相当問題がありましようが、特にこの公社につきましては、公社と外郭団体との関係、国鉄の外郭団体の問題はこの前の国会でも随分問題になつた。あなたもその点で御承知と思うのですが、これなんかも行政監察庁としてももつともつとメスを入れるべき問題である、こう思うのですがね。特定の官庁だけやるわけには参らんだろうけれども、大体今までの例から見て、相当伏魔殿と思われるようなところがあるのです。これらを十分にあなたのほうでもやつて頂きたいと思います。こういうふうに私は思うのですが……。  では私は大臣に対してはこれで終ります。
  90. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) この機会に大臣に。今岡田委員からもちよつと触れられたのですが、何ですか、行政機構の改革について何か構想を考えておられますか、どうですか。
  91. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 機構の改革と申しますのは、昨年やりました行政整理のうち、人員整理でない機構部面の改革と、こういうお尋ねかと思うのでありますが、機構部面の改革はこれは是非やらなければならないと考えておりますけれども、今のところまだ今度の例えば国会早々に国会に御提案を申上げて御審議を願うというような成案は実は得ているものはないのであります。それはなぜそういうことになつておるのかと申しますと、昨年御承知のようないきさつで相当骨を折つてやりましたけれども、まあ各般の事情でああいう行き方では実を結ばないという結論に到達いたしましたので、他のほうにも一つ真剣に考えてもらうということをお願いしながら審議をして、更に私が全体として感じました感じは、やはり殊に私が昨年中考えました国の出先機関整理するということが非常に大きな日本の行政機構改革のポイントなんだというふうに考えます場合に、やはり地方制度のあり方というものと併せて考えて行かないと、国のほうだけ考えてもなかなかこれはまとまらないということで、先ずそれには地方制度をどういう工合にするかということを先に考えて、その上でそれにマッチするように国の機構を考えて行く、勿論地方制度を考える場合に、ある構想を頭の中に置きながらこれがこういう工合にできれば国のほうをこういう工合にするという考え方を頭に置きながら地方制度のあり方も考えなければなりませんが、そういう構想は大ざつぱに申しますならば、私個人の意見としましては、府県も国の出先機関という形、国の出先機関を統合したものという形に持つて行くほうが機構としてはすつきりするのじやないか、こう感じておるわけでございますけれども、何といたしましても問題が非常に重大な大きな問題でありますので、やはり地方制度、殊に地方制度の場合には、自治団体の機構でありますからして、十分理を尽くして検討する必要もあるというような意味で、幸い内閣に行政制度調査会が置かれておりますものですから、そこに諮問して先ずここからきめてかかる、その上でそれに合うように国の機構を併せて再検討する、こういう考え方でおるわけであります。そういうような事情でありますので、今のところまだ成案を得たものがないわけであります。
  92. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それからもう一点ですが、行政監察の、地方調査して感じることは、やはり調査対象が幾らあつても、そこまで出て行つて調べるというだけの旅費がないということは、我々もよく分るのですが、長官もその面で活動のでき得るように取りあえずやつて行こうという方針だということですが、来年度予算ではそういう点については或る程度監察仕事のでき得るような、十分とは行かんにしても現在のようなことじやない、動き得る旅費というものを大蔵省との間で取るという御確信を持つていますか。
  93. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) そのつもりで折衝いたしております。
  94. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 先ほどに引続いて、時間もありませんから急いでお尋ねしますが、日本国有鉄道の監察報告三十九ページの(4)、(5)でありますが、「現場確認調査ケ所八六ケ所中、四二ケ所において実際には使用していないにも拘らず帳簿上決算している所謂未使用決算品が約九千二百万円確認された。これ等は帳外品として不正行為の温床となるのみならず」云々とありますが、そうしてみますと、八十六カ所で調べると、素人流に考えても二億になる、帳簿上決算済みの品が全国的にストツクされておるということになると思いまするが、この原因については過去の年度予算消化の弊害等がその原因であるということですが、結局決算においてはもう使つたことにして棚卸しをしてしまつた品だろうと思うのですが、これが摘発された以後、この品目はどういうふうにして勘定に入つたのですか、専門のかたで結構です。
  95. 山口酋

    説明員(山口酋君) 只今の御質問にお答え申上げます。最初の八十六カ所中の四十二カ所、約半分ぐらいから出たわけでございまして、まあこの率、これはランダムで調査したのでございませんので、いろいろの情勢からここはおかしいと思うところに行なつたわけでございまして、多少率は高くなるかと思いますが、まあほぼこれに近いような状況があるということは推定できますので、この点につきましては率直に具体的に国鉄のほうに連絡をしまして、そして一応決算として使つたことに処理されたものでございますけれども、実は二十八年度の決算を締める前でございましたので、本当の、決算を締める前にこれを直すという処置をとりまして結局棚卸し資産が繰越しが殖えるわけでございます、帳簿に戻しますから。そういう措置をとるようにいたしております。
  96. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうするとこれは全国的に資材事務所或いは用品庫と申しますか、その関係或いはその他の現場も、保線区等もあるでしようが、まあ違法なことを行なつたことは間違いないですから、一連の責任者が全部行政処分される筋合のものだと思うのですが、そういう責任者が出たんですか。この問題で。
  97. 山口酋

    説明員(山口酋君) 実は私どものやり方といたしましては……。
  98. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、私さつきから言つておる通り、イエス、ノーだけでいいんですから。
  99. 山口酋

    説明員(山口酋君) 実はそれはまだ確認しておりませんが、恐らくそういう責任者を具体的に出すということにはならないと思います。  その理由をちよつと申上げますと、実はこれはその品物の現物が無くなつておつたり、或いは毀損されたりしておるのではございませんので、現物はありますが、ただその決算の締め方においてまだ使つていないものを使つてしまつたとして、物は置いておいて、翌年度にそれを使うと、繰越して使うというつもりであつたわけです。併し正規の棚卸し資産から一応落ちますと、それが簿外の、ほかの帳簿に載りまして、ほかの帳簿で処理されますので、どうしても監督、管理が十分でなくなりますから、放つておきますとこれがあとの処理がうやむやになる恐れがあるというので、そういう具体的な非違の起ります前に、これを正規のものに戻すことがまあできたと私どもは認めておるわけです。それで(「おかしいな」と呼ぶ者あり)これは調査書がまだ十分でございませんので、そのほかにもこういう点があるかも知れないという点につきましては、これをこの機会に、全部国鉄のほうで一応まあ棚卸しをしまして、全部調べて、このほかにもあればこれを直すという措置を講じてもらつたわけであります。  それで(「わかつた、いいから」と呼ぶ者あり)こういうやり方は実は若し責任を追及するということになりますと、長年に亙つて国鉄がこういうふうな年度末の棚卸し資産の処理をしたというような、一つのまあ惰性になつておりますから、ここで我々が見つけたその人だけが処分されたり、責任をとつたりするということになると、非常に不均衡な問題がありますし、又事柄自体が(「何だ、馬鹿なことを言つて」と呼ぶ者あり)これはまあ経理の取扱いの問題でありますので、将来直せばまあそれほどの大きな問題にならずに、具体的な損失が生ぜずに済むんじやないか。まあこういうふうな考えを持つておりますので、私どものほうといたしましてもそういうことを強くは申しておりませんですし、向うが自発的に今起つておりますものも直しましたし、将来もそういうことができないような措置を講じておりますので、先ずその措置は妥当ではないかと思つておるわけであります。
  100. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今度は監察部長なり次長なり責任者にお尋ねしますけれども、今御答弁になつているのを聞いていると、国鉄長年に亙る惰性であつて、現在見つかつたやつが形式上いけないことははつきりしているが、それを何らか責任をとらせるということになれば、前からやつていたやつまでとらせなければいけないので、均衡を失するという話だが、これは多数がやれば無罪で少数ならば有罪で責任が追及できる、そんな馬鹿な話が大体許されるか、行政監察部の立場としてですね。そんなことを認められるか、長年に亙る惰性であるならばなおこれは根本に遡つてその惰性の起つて来た原因まで追及して、現在おる人間であるならば、これはそれぞれ責任は追及されるものだど私は思う。一般の民間会社が脱税のために二重帳簿その他によつてやることは全然違法として追及していながら、役所が、殊に公共企業体が国民の前に公開しなければならない財産を勝手に落して隠匿して勝手にこれを使う、そんなことが違法でも何でもないなんて、どこを押せばそんなことが言えるか、これは国民のものですよ、全部……。現金は残つているのだからと言つても自由自在に部内で勝手に消化ができるような形に運用されることが、それが過去の慣行だつたのだから止を得ない、今度から引戻して直させることにしたのだからそれでいいだろう、そういうことでは私は済まん問題ではないか、こう思う。ところがそれについてあなたのほうで勧告した言葉が私気に食わない。四十一頁にあります「基準保有量制度の早期実施に努め、年度末においてのみ資材保有量を制限する如き不合理な現行年度末保有制限制度の速かなる廃止を期すること。」これも手ぬるいと思いますが、特に今話しておつたのは(1)のほうだと思うのですが、「適期適量配給原則を推進し、架空の年度予算消化の弊の除去に努めること。」「努めること」とか何とかいうことでない。こういう事実が調査の上に現われたならば厳重にこれは実施させなくちやならんじやないか。お前のほうで努めろ、努力せいというのと問題の本来の趣旨が違うと思う。どうなんですか。この種問題は責任者が出なくてもいいのですか。ただイエス、ノーを聞きたい。
  101. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 一応それでは結論だけ申上げますが、これは理由をちよつと申上げないと……。
  102. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや理由は要らない。客観的にこの実態はわかつているのだから……。
  103. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) これはいわゆる悪質な不正行為ではないという判断の下に、大体それによつて責任者を公判に出すというまでは考えておりません。おらないためにこういう意味の勧告をいたしました。
  104. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 悪質でないというのは何をあなたはお考えになつてそう言われるのか。あなたがたは国の金が適正に使われるように、そういう部面についてもさつきから言う通り効率的な使用という部面について監察しておる。誰の金かというと皆これは国民の金だ、国民の金がこういう形で使われることが何ら悪質ではないということなんか言えますか。私はもう素人で全然わからないのだけれども、国民が税金として出した金或いは汽車賃、運賃として出した金、これが二重帳簿を使われて、その結果現物はあつて国の財産として保有はされているのだから、日本中のどこかにはあるはずであるのだから心配はないのだと、悪質じやないのだと、こんなことが行政運用上悪質でないのだということが言えますか、本当に。
  105. 山口酋

    説明員(山口酋君) ちよつと誤解を招いたようですから私の先ほどの言葉を訂正させて頂きます。
  106. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いやいやこれは部長の言うことを聞くと悪質でないと言明したのだから……。この種の行政運用は悪質でないが妥当でない、そういう程度のものだという御認識で今後この種問題の行政監察をやるということなら、私は、この行政監察の強化ということを岡田君が言うたけれども、ないほうがいい。どうなんですか。
  107. 山口酋

    説明員(山口酋君) ちよつと申上げます。恐らく誤解を招いたろうと思います点の惰性と申上げましたのは、従来は金銭会計でございましたから、物につきまして末端のこういう企業会計をとります前の処理をしておつた人がずつと取扱いをやつております関係上、まあその現金の出し入れについては決算をはつきりその年度内にするという感覚があるのです。併し品物につきましての取扱い、まあ年度区分は、品物を使つた場合に資産が無くなるのだというような取扱いの仕方につきましては、企業体ができましてからの、まあ年度も短い関係上まだ不馴れのものが相当末端にあつたわけです。そういうことが主たる原因で経理処理が不当になつておつたわけでございますが、それで先ほど御疑念がありましたように、その物がなくなつてしまつたり、それから私に使われてしまつたりしたわけではございませんので、翌年度にそれをやはり事業のために使うことは使うという認識はありまして、特にそういうことをはつきり申上げることができますのは、いずれも帳簿には載つておるのであります。ただ正式の帳簿ではございません。それから中には……。
  108. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 何を言つておるかさつぱりわからない。帳簿はあるが正式の帳簿じやないと……。
  109. 山口酋

    説明員(山口酋君) それは経理上は別途の経理手続がきまつておりますので、それには様式もきまつておりますが、その帳簿ではなしに別に一応決算で落しました棚卸し資産を処理するための帳簿を作つておるのであります。ですからこれを私にしようとする意図があつたとは思われません。そういうような状況から見まして状況判断で先ほど部長が申上げましたような判断になるわけでございます。
  110. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 おかしいね。
  111. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはね、確かに私は国鉄従業員一人々々は善意に基いて良的心におやりになつたであろうという、そういうことは認めておる。小笠原というものが私したのではない、けれども公共企業体が国民の財産を私しておる、そうでないですか。要するに帳簿外の資材というものを確保しておいて、それが翌年度に繰越しされたものだということではなくて、無くなつたものである、そうすれば明らかに事業年度における事業計画に基いて資材要求のための予算を新たに取つておる。そして次々現物のストックだけは、自由になるものを企業体として持つておる、表てには見えないものを持つている、そして何と申しますか、自由な操作がきくように運用しておる。そういうふうに表向きのものにしないで、隠し財源として公共企業体全体がそれを使つておるという点について、公共企業体に対してその非違を糾弾しなければならんじやないか。早い話が、長崎総裁なら長崎総裁というものは、その責任は追及されなくちやならない。政府としては当然その責任は追及しなくちやならんと思う。私はそういう意味でこの点は悪質でないなんということは断じて言えないと思う。国会において特別会計として承認されている予算ですよ。それが二重帳簿で隠し財産を公共企業体だけが持つて、それが国会にも政府にも明らかにされない。こんなことが悪質でないなんて言えますか。私のいうことは、確かに私素人だから、議論の筋が違つていたら違つているということでおつしやつて頂けばいいが。
  112. 山口酋

    説明員(山口酋君) 実はこの全体、確かに正規の取扱いはしておりません点は、悪いということは間違いないのでございまして、その点についてはこれはそういうことをしないように、今までできましたのは直して行けということは言つておるわけであります。その事実を認めているわけではありませんで、悪いということでは私どもその通りと思います。ただ先ほど申しましたような理由で、責任のとり方としましては、むしろ将来においてこういうことが起らないようにし、又末端のほうに徹底するように努力させるほうがよかろうと思つて、そういうふうな処置をしたわけでございます。  先ほどの御質問のうちにございました品物の点について、なお公共企業体としては私しておるというようなお話がございましたが、実は公共企業体予算の繰越を認められておりますが、実はそれも実質的には繰越的になるわけでございまして、つまり工事、これは主として修理に使うものなんです。修理の資材なんです。二十八年度でやるべき修理工事を二十九年度までに繰越しておるわけなんです。それに見合うものを一応正規の繰越をすれば又それでいいわけでございますが、(「当り前のことだ」と呼ぶ者あり)一応やつてしまつたのだという形でございますから、翌年度にはできる。年度区分がともかく乱されておるということが悪いということになります。
  113. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 私素人だけれども、確かに翌年度に修理事業が繰越されるという場合があることは認める。それならそれに要する資材も繰越されて何が悪い。その繰越をしないで、そうして棚卸ししてしまつて、全然無いものにしてしまつている、操作しているということそれ自身が悪いのですよ。事業のやり方がどうであろうが、こうであろうが、正規の手続を以て仕事されていないという点だけは間違いない。それが悪質でないというならば、何の行政監察だ。
  114. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 私悪質という言葉を使つたことがありましたけれども、先ほど御指摘にありました勧告事項のうちの、まあこれも弁解がましくなるかも知れませんが、四十ページの最後の(2)の基準保有量制限の制度そのものにも矛盾がある。年度末にこれこれの基準保有量を保有すべしというような規定の関係上、現場においては、みすみす余つた来年度の工事に使う予算がある、併し基準保有限度、正規の帳簿上としては、それ以上は持つちやいけないというような関係上、止むを得ず簿外に廻して一応決算済として使うというようなこと、そういうような慣行と申しますか、というようなことが行われていたんだろうと思うのであります。従いましてこれはやはりここにもありますように、年度末保有量というようなものが現場にマッチしていないというようなことにも責任があるのだという意味で、これを廃止することというような勧告も、いわゆる悪質と申しますか、そういうようなことが行われる原因が、制度そのものにもあるのじやないかというような観点から勧告しておるのでありまして、悪質という言葉が非常に強く響きますると思いまするが、これによつて関係者全部責任をとれというような意味のことを、我々のほうとしては考えていないということを申上げたわけでございまして、まあ監督上の責任は運輸大臣にあるのでございますから、運輸省としてこれをどういうふうに考えられるかということは、我々も関心はありますけれども、こうしろというふうに命令をするというような権限にもなつておりません。又それほど命令をするといいますか、勧告をするほどのことではない、いいことではないけれどもという程度に考えたのであります。
  115. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 今の後段のほうの答弁は、私非常に不可解であります。まあこれは時間がありませんから、又別な機会に別なところで問題にして追及はしますが、少くとも、「架空の年度予算消化の弊の除去に努めること。」こういう勧告は不当であると私は思う。だんだんにこういう弊害をなくして行くように努力をして行くのだという程度の問題ですか。これは「架空の年度予算消化」というものは、「弊」というのではなくて、悪質、違法、異例なものである。抜本的に一回限りでこれは是正されなければならんものである。そうお考えになりませんか。だんだんに長い時間をかけてやつて行けということですか、これは。私は監察部として誠に手ぬるい勧告だと思う。不正不当ですよ、この行為は。
  116. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) これは勧告のいろいろ体裁と申しますか、言葉のあやでこういう言葉になつたと思いますが、趣旨としては、不正なことはすぐやめてほしいという趣旨で書いたので、或いは言葉がお説のように少し何といいますか、弱過ぎると申しますか、というようなふうにとれますけれども、悪いことをだんだんやめて行け、是正しろというような意思は、毛頭持つておりません。悪いことはすぐやめて欲しいというふうに勧告しておるわけでありまして、又この勧告の結果、今後、やつたことが本当に守られておるかということは、時々いわゆる推進監察と申しますか、項目をきめまして、こういう勧告をやつたが相手官庁が直しておるかどうか、トレイスという言葉を使つておりますが、推進しろということで、各地方局なり管区に命令をしまして、常時改善を監視しております。そういう意味で、言葉が或いは多少不適当であつたかも知れません。気持としては、悪いことはだんだん直せというようなことを毛頭考えておるわけではございません。
  117. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうするとこの二十九年度末においてこの種の問題が起つたことが判明した場合には、そのときこそ政府としては公共企業体関係者に断乎たる責任を追及しますか。
  118. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 大体国鉄は我々のほうの勧告は非常に協力的に受入れてくれておりますし、この問題については制度上も改めるというふうな態度でおりますので、恐らく起らんと思います。
  119. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 だから出て来たら……。来年二十九年度末においてこの種の問題が出て来たら、来年度において行政管理庁としてではなく、いわゆる監督者である政府としてこの公共企業体の責任を追及しますか。
  120. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 運輸省としましても監督責任上若しこういうようなことが勧告をした重大なこういう問題が再発するというようなことは、運輸大臣としてもそのままでは置かないのじやないかというふうに考えております。
  121. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうするとそのままでおいた場合には運輸大臣の責任になりますね。
  122. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 恐らくこちらからも勧告しておりますし、勧告通り行われないでこういう重大な問題をそのままでおくということは運輸大臣の責任になると思います。
  123. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それだけ聞いておきます。  次に荷役の問題の日本海陸運輸株式会社の問題でお尋ねしたいのですけれども、どうも時間がありませんから国鉄はこれだけにしまして、次に直轄災害復旧事業監察でございますが、監察の結果という五十六ページで挙げられておる三点、いわゆる「被災前に補修工事を実施しておけば災害を免れ得たと認められるもの、」「建設当時工事費を切りつめたため設計施工が無理となつ災害の誘因となつたもの」、「事業費の過不足に対する処理の問題、改修工事との関連を十分考慮して施工すべきであつたと認められるもの」こうありますが、私はこの判断は誠に適切だと思います。我々も公共事業、或いは災害関係調査してこういう結論を強く持つておる。ところがこういうふうなことの反対、即ちしつかりした工事施工をさせないというものは、今の政府の考え方からも原因として起つておる、或いは会計検査院における検査の仕方からも起つておる、こういう点を私は指摘しなけりやならんと思いますが、そういう点まで考慮せられておりますか。例えば災害復旧工事は原形復旧でなけりやならんということのために、むざむざ又次回の災害の誘因となつておるというような問題は今度の十五号、或いは十三号台風における四国地方において顕著なものがある、海岸堤防などは顕著なものがある。で、総括的に先ずその点についてどういう御意見を持つておられるかお尋ねしたい。
  124. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 公共事業を私が担当しておりますので私からお答えいたします。実は今御指摘のありましたことにつきましては我々のほうも常にまあ感じておる点でありまして、特に先ほど長官から御説明のありました災害復旧事業監察をいたしております。その監察しました個々のものについてはここに書いてある通りでございますが、その結果から総合的に判断して、勿論今の査定そのもののやり方にも問題がございますが、もう一つは今の御指摘の事業効果という点で、今のやり方でいいかどうかということを十分検討いたしております。それで私のほうの監察部といたしましては、今の制度そのものに修正を要する点がある。その修正を要する点と申しますのは、今の制度では原形復旧ということを原則としております。特に原形復旧が不適当な場合及び困難な場合にのみ超過工事が認められるということになつておりますが、その点が相当裁量を要するところでございまして、どうしても検査とか監査とかいう場合になりますと、原形以上の分は不当のものと取扱われ易いのであります。又施工者の場合におきましてはできるだけいい工事をしようとするので、許された以上の超過工事をしようとする傾向があります。  それからもう一つこれは、これに関連した問題でございますが、今の災害復旧事業そのものについては被害額によつて査定されるのではなくて復旧額によつて査定されておるという点にも問題がございます。それをできるだけ適正にやるためには、被害額を査定しましてそれに今までの実績から或る率の防災的な費用というもの、これは実績から或る程度出ております。そういうものを加えたものを以て補助額として、それでその補助額の範囲で以て相当適当な事業ができるような案を実は関係各省に私のほうから出して検討してもらつております。これは非常にむずかしい問題でございまして、現在大蔵省の主計局が中心になつ災害制度研究会で以て我々も入つて検討しております。まだそれの実施に至つておりません。我々のほうとしてはその点は十分考えておるつもりであります。
  125. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 直轄事業についてこの三つの結論を出されたことは補助事業についても同じですか。補助事業費も結局私さつき四国のほうの問題を言いましたが、海岸堤防に例をとれば地盤沈下対策でやつた工事というものは企画でやつておる。ところがそれが災害でやられる。ところが二十五年以前においてやつたああいう未熟な疎漏な地盤対策事業というものを、それを原形復旧だという形は現地においては満足できない、そうでしよう。例えば二十五年以前のものであれば石の空積みだけである。ところがそれではいかんから現地のほうでは腹付けをする、或いはパラペットを付ける、それぞれ補強して改良工事を加えて仕事をしておる。それが今度は生き残つておる。それをやらんところは全面的にやられておる。こういう点からいうてどうしても原形復旧という形だけでなく、その際においてはやはり災害の起つて来る規模が予想せられるのですから、それに対抗できるだけの改良を加えた工事でこれは仕上げなければならん、そう考えられる。  それからもう一つは、工事費を切り詰められたために一律一体に或るメーターだけは確かに堤防はできた。併しその前の根固めの部分については予算が削られたために、或いは予算が廻つて来ないために半分しかやらんというようなものが、根固めをしなかつたほうの虚偽に竣工したというものそれ自身だけがもうふつとんでしまつているという場合がある。私、これからちよつと話を進めますが、この国庫寄与額調というので出ております地盤変動対策事業監察で十八億もの金を浮かしたと言つておられるけれども、こういうふうに浮かすということ、それ自身確かに内容から見ればいい点がある。けれども未着手分まで整理してしまつてやめてしまつたとか、計画計画通り行われてなかつたというようなために災害が起つておるということがありはしないか。こういう点を私は恐れる。或いはこの後のほうにあります西日本及び和歌山災害監察或いは公共土木施設災害復旧事業監察、西日本災害技術監察、こういうもので見ましても、七億、六億、二億という金で十億以上の金ですが、これが浮いたと言つておる。確かにそれは水増ししたり架空の工事であつたり、こういうものはとられていいでしようが、余り厳格な査定をして、そして原形通りやつてならん所さえも原形復旧だということで抑える。或いは検査員が厳重にこれを指摘するというようなことから、又災害が起つて来るという問題はないだろうか、こういう点が私心配なんです。従つて行政監察の立場に立つならば、ここにもある通り工事の計画設計、施工の適否、こういうことまでも監察しようというのですから、専門的な見地に立つて監察した上で、なお且つこういう金が浮いて来た。そうしてこういうことで絞り上げたために災害の原因というものが起つたのでは断じてないということがあなたがたのほうで証明できるかということをお尋ねしたい。
  126. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 今御指摘の点につきましては、我々も努めてシヴィアーにやるということによつて事業効果を失うということにつきましては特に注意している点でございまして、殊に、幸い、非常に数が少いのでございますが、今監察部には技官が十名ほどおりまして、そうして技術的な見地でむずかしい問題は検討しておるというように努めている次第でございます。
  127. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それで、あなたたちが監察の結果適正な措置をとらせ或いは金の返還、補助率の切下、こういうことをやつた所で災害が起つた所はありませんか。
  128. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 切下げたところで落ちたというのは私まだないと思いますのですが……。
  129. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それからもう一つお尋ねしたいんですが、会計検査院が工事の計画、設計、施工の適否、こう、いうことまで口を出して、そうしてああだこうだということは行政監察のほうの立場から言つて妥当であるとお考えですか、お考えでありませんか。この頃の会計検査院の検査は、大体そういう技術的な部面から何から、これが妥当であるとか妥当でないとかいろいろやり、そして地方に返還金を押しつけるということでぎゆうぎゆうやつて行く。ああいうことで余りにも締め上げて来る部分から、何と申しますか災害復旧事業ということが完璧に行かないということも地方からよく聞くんですが、そういうことについてはあなたのはうではどうお考えですか。まあどなたでも……。
  130. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 会計検査のお話が出ましたが、会計検査院は政府部内の独立した機関でございますが、我々の従来の認識と申しますか、考え方から申しますと、いわゆる事業監査、決算検査をやるのが会計検査であるというふうに理解しておるわけでございます。お話のように、今回の災害につきまして九州和歌山等において、いわゆる進行途上と申しますか、の査定段階にも入つていることは聞いております。会計検査院がこういう権限があるかどうかという問題につきましては、なかなか法上の会計検査院の権能というのはむずかしい問題でございまして、今直ちに申上げられないと思いますが、私の聞いておりますところでは、会計検査院もこれは正式の検査としてはやつているのじやなくして、検査の下準備としてやはり進行途上の問題について調査をしているのだというふうな建前を取つているように聞いております。これ以上の判断は私としてはちよつと……。
  131. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 じや次に、今までのお答えでは今後の災害復旧事業というものは原形復旧ということだけのそれ一本槍で行くことは現実において適正なものではない。何とかやはり一段と考慮をしなければならんという考えがあるというふうに私は聞き取つたのですけれども、それぞれの担当官庁勧告もあるだろうと思うんです。勧告がないにしても推進されると私は期待するのですが、金を使つているばかりが能ではない。適切な措置によつて作られたものが次々こわされて、賽の河原の石積みたいな馬鹿な事業がやられないようにお考えになることを希望しますが、ところでもう一つ出ております市町村工事についてですが、この工事については町村という弱体であればあるほどそういう町村では適当な技術者もいないというような点から、相当量の事業というものを町村の直営といいますか、町村自体がやるということには私は相当な疑義がある、問題があると思う。少なくとも県くらいのスタッフを持つたものに委託して工事を進めるというようなことでなければ不正不当なことが除去できないのでないかというふうに観測するのですが、この報告にある程度のことしか今の管理庁としてはお考えになつておりませんか。
  132. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 市町村工事の施行につきましては確かに御指摘の通りの傾向がございます。ただ今の法規上から申しますと事業主体というものはきめられておりますので、ただ農災の場合にはこれは府県が或る程度やるし、管理者がやるということで、事業一般にはできませんか、ただこれを委託してやるという方法は考え得る、そういうようなこともまだこれをどうしたらいいといつて、根本的な案を持つているわけではございません。一面又実際問題におきましては設計等は殆んど県が面倒を見ているのが事実でございまして、我々の考えからいたしますと、これはいろいろの意見がございますのですが、間接補助というようなことによつて県がもつと強力に指導できるというようなことも考えられるということで、今の制度の改革のほうの案では我々も若干そういう意見を申上げております。  それから先ほどちよつとお話がごさいました原形を超過してやるということについて積極的にやるかというお話でございますが、ただ現在の法律では原形復旧を原則としておるという点がございますので、これは原形復旧が著しく困難な場合はこれは勿論いけませんが、併しやはり今の法律が生きている範囲においてはそういう自由な復旧はできない、こういうふうにまあ考えておるし、我々の意見はやはり法律に従つての意見であるという点はございますから御了承願いたいと思います。
  133. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 法律に従つてものを考えればその通りですが、私は将来の問題として、抜本的な解決策としては、立法的にもこれを直すべきであるならば直すというふうな積極的な研究が必要だということを申上げているのです。
  134. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 私たちもそう思つております。
  135. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 或いは直せなかつたとするならば、予算面で原形復旧と改良事業とを、その金が両方からつくように、どつちかで金を十分見て並行して行けばいい。それが片ちんばになるから工事が中途半端なものに終つてしまうというのが現状だと思うのです。だからどちらにせよ抜本的な施策をこの際において考えられるというようなふうに管理庁においても推進して頂きたい、私はそういう意味で申上げているのです。  それからこの市町村工事で西日本災害の例では、一億数千万円乃至数億円の災害復旧事業費を削除されているものがあるというのですが、一例でよいのでございますが、数億円というのは何県の何村でございますか。
  136. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 今はつきりした資料を持つておりませんので……。
  137. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 多い県はどこですか。
  138. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 県で多いのは、これも今災害関係ではやはり福岡、熊本、大分、山口こういうような県がありますが、その中のちよつと今場所ははつきり資料を持ち合せませんので……。
  139. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 場所を知らないわけはない。衆議院で大いにやられたじやないか。
  140. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) 山口県の場合の……。
  141. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 山口県の場合の一例でいいのです。だんだん聞いてみるとわかつているじやないか。
  142. 柳下昌男

    説明員(柳下昌男君) ここに挙げたやつの……ちよつとあとで正確なものを……。
  143. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あとでいいが、どなたかこれはお尋ねするのだろうから……。まあ記憶にないならないでいいです。  時間がありませんから、最後にあと一点だけ。通産省はさつぱり出ていませんが、通産省の監察徹底的にやつたことがありますか。
  144. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 今期は通産省のあれが載つておりませんが、発足以来通産省関係といたしましては、これが徹底していなかつたのですが、行政運営適正化という見地から輸出振興外貨資金制度監察と、それから貿易認証業務監察、それから試験研究をやつておりますですね、学校とか民間で……。あの補助金の使途、こういう問題についてやつております。
  145. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それはいつおやりですか。
  146. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 只今申した貿易認証業務と輸出振興外貨は昨年にやつております。それから研究補助も昨年にやつております。本年は適当な題目がちよつと見当りませんのと、いろいろ監察官の事務の配分等がございまして……。
  147. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、昨年やつたのに基いて勧告した点が本年において是正せられておるかどうか、こういう点は御調査なつておられますか。
  148. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 今実は本年度ということで前の資料は持つておりませんが、輸出振興外貨制度監察、これはまあ制度上の改正問題が主でございます。貿易認証業務、これも制度上の改革で、主として行政運営改善、制度の改善という意味でやつたので、これは殆んど我々のほうの勧告いたしました点につきましては、制度上まあ勧告をいたさない前から、監察途上におきましても、逐次改正された点がございまして、殆んど改正されております。それから……。
  149. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 ようございます。結構です。じやそれはそれとして、聞いておきますが、この表に出ておる科学技術補助行政監察ということで一億百万円ばかりの国庫寄与額が出ています。その内容として光パルプ工業、これが補助対象事業を実施していないということが判明したので、九百万円返還させた。他に工業化試験補助金、これが償還になることになつているのに、ならんので、勧告の結果九千二百六十二万円ですかの償還をさした、こういうことは、私随分さつきから責任々々と言いますが、誰もこれは責任を負わなくてもいいことなんですか。あなたのほうでお調べになつたので初めて判明して、そして初めて返還させた。実際これを扱つている担当責任者が常にそういうことについては監督もし、実際を見ていなくちやならんと思うのですが、それがよそから手をつけられて初めてわかつたというようなことで、行政上から言えば怠慢であると申しますか、或いは余りに放埒であると申しますか、何か適正ではない、適当ではないと思います。こんなことを放置している者が何らの責任も追及されないで、綱紀がと申しますか、厳正な行政運用ができるとお考えなんですか、先ず光パルプ工業、この問題について何らか罰俸処分なり懲戒譴責処分なり、何らかお叱りを頂いた人があるのですか。
  150. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 私の聞いておりますところでは、このことによつて、まあ責任の追及ということはいろいろな形でございますが、まあ譴責もございましようし、始末書をとるという制度もあるし、口頭で注意をするというようにいろいろあると思いますが、具体的にどういう責任をとつたということは聞いておりません。
  151. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 責任を負わせる筋合のものでもない程度にあなたのほうではお考えになつておりますか。
  152. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) これはまあ私のほうでどの程度の責任を負へといつたように具体的に指示するようなこともどうかと思いますが、その主管官庁におきましての判断で、或いは口頭によつて注意をし、或いは始末書を取るというようなことをやつておるか知れないのでありますが、一々その結果を、どういう責任をとつたか知らすというようなことはやつておりません。恐らく放つたらかしておるというようなことはないと思います。何らかの形で責任を自覚させるということは、上司なり大きく言えば所管の大臣からやつておると思いますので、当然の形で放たらかしておるということはないと思いますが、どういうふうに責任をとらしたからという報告を取つて、こちらへ通知しておるという形にはなつておりません。
  153. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 これは行政監察で、若しもしないとすれば、会計検査院の検査で必ず判明して来る問題でございますか、やりようによつてはその責任もわからんでそのまま済むような性質のものでございますか。
  154. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 恐らくまあ非常に多いケースの場合においては、会計検査の……私のほうも大臣からも申上げましたように、一つの抽出調査でやつておりますから、それ以外推定はできたにしましても、現実にはわからんということがあり得ると思います。会計検査院もその問題にタツチしていなければわからないだろうということはあり得ると思います。
  155. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 わかるかも知れないしわからないかも知れない、そういうことで国民の血税が、これだけの、何と申しますか一民間会社に持つて行かれて、一民間会社に結果としてあり得べからざる利益を供与する結果になる、こういう重要な行政部門においてこの種の問題で責任がとられたかもとられないかもわからないというのは、私にはわからんのです。大変なことですよ、これは……。私ももらいたいね。ちよつと何か一千万円補助金をもらつて何にもやらんで。それでも済む、どうなんですか、その行政監察の態度としてこの種の問題が起つて来たら、どう措置させるという基本的な態度をあなたのほうではお持ちになつておるのですか、ただもう運用するだけのことで調べておるので、責任とか何とかいうのはよそのことだというようなことはどうもおかしいと思う。責任をとるように勧告するということはあなたがたの権限としては逸脱しておるのですか。
  156. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) お答え申上げます。行政管理庁の設置法の第四条の九項に、「長官は、監察の結果綱紀を維持するため必要と認めたときは、関係行政機関の長に対し、これに関し意見を述べることができる。」という規定になつております。長官としてそういう決意の下に責任をとるべき事案であると判断した場合は意見を述べることができますが、これは飽くまで意見でございますので、こうしろという命令ではございません。あとの判断関係主管官庁がやることだ、こういう建前なつております。
  157. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それならば通産大臣の措置は私は関係の通産大臣にお尋ねすれば判明すると思いますから、その点は聞かないが、行政管理庁の立場場として、この種の問題についてはどういう意見を持つておられるか、通産省に意見を出すとか出さんとかいうことでなくて、自発的にあなたがたの立場としてこの種の問題が起つたことについては、どういう意見を持つておられますか。
  158. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) これは個々の事案なりいろいろな……先ほども国鉄で大分御意見がございましたし、ただ表面に現われただけではない、やはりそれの個々の事案によつて……又悪質という言葉が出ますが、そういうような形であるかどうかということも判断しなければならんと思いますし、それから勧告の形といたしましても、特にこの問題で責任者が責任をとれという積極的な意見を述べて出すべき問題であるか、いわゆるこういう問題は将来注意して欲しい、又やめるべきだ、直ちに廃止すべきだというような勧告の中に含まれて、それを受けた主務官庁が、こういうことはただは置けない、責任をとれというような自発的な判断によつて責任をとる場合もあろうと思います。で積極的に、責任者の責任をとるのが妥当であるというような勧告は今までいたしておりません。    〔岡田宗司君「何てだらしがないんだ」と述ぶ〕
  159. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 部長さんは非常に親切な御答弁を下さるのですが、私はそういう勧告をせいとか或いは意見を出せとか、そういうことを聞いたのじやないのですよ。こういう問題について管理庁の態度としては、綱紀粛正という立場からどういう意見を持つておるか、その措置についてどういう意見を持つておるのかということをお尋ねしたのです。  それで只今あなたがいろいろ言われるような実際上の考慮もあるわけでしようから、今の答弁を頂く前に、もう一つ私にわからない点を答弁して頂きたいのですが、この光パルプ工業の九百万円という金はいつ出して、この会社はこの金をどれだけの期間保持しておつたか、監察されるまでどれだけの期間これが判明しないでおつたのか、その点をお尋ねします。
  160. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 初めの御質問に言葉が足りませんので申上げますが、我々のほうで事案によりましては、責任を追及した場合がないということを申上げたわけではありません。例えば茨城県で……。
  161. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 いや、よござんす。それはわかりました。わかつたから……。
  162. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 責任者を変えたり、最近は財務局の鳥取のあれを免職させたり左遷もさせております。これは我々の監察の結果、向うが受けて、責任をとつた形であります。この問題につきましては実は前にありました監察でございまして、資料が非常に多いものですから、本年度監察という関係資料だけしか持つて来ておりませんので、私からは詳しく申上げられませんが、御要求がありますれば後刻或いは書面で差上げても結構です。
  163. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 併しこれに載せて来る限りは記憶としては何年度予算で出したということぐらいはわかつておると思うのですね。
  164. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 非常にたくさん六十三項もございまして、実は詳しいことは資料がないとはつきりしたことを申上げられませんが、二十七年度か二十六年度補助かと思います。詳しいことは書面によりまして……。
  165. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 二十七年度でも……二十六年度ならばなお更のこと、それが二十八年度監察の結果判明したということであれば、相当長期に亙つてこれはわからなかつたのだ、従つてあなたのほうで幸い御調査になつたので判明したのであるが、御調査がなければこれはどこまでもわからなかつた問題である。こうなつて来れば、そういうことも勘考して、この種行政措置について、こういう事態をしでかした者に対しては、管理庁としてどういう意見をお持ちになるのか。又過去において何らかの意見を持つたことがあるのか。大したことはないと、過去において意見を持たないとすれば、現在まで管理庁の立場としては、大したことでない、個人的に責任者の責任を追及するまでのものではないという判断だろうと私存じますが、どつちでもようございますが、いずれか結論を……。
  166. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) もう御承知のように、この問題につきましては、すでに昨年にやりました監察でございますし、この問題はここに述べてありますように、一応監察部としましては、事件を終結した形になつております。この問題についてはいわゆる担当の主任と申しますか、そういう者の責任を追及する態度でなかつたと申上げてよいと思います。
  167. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 そうすると、これは監察というものが何をやろうとするのか、わたしらにはさつぱりわからない。最近聞いた事例によると、同じ責任のとり方でも、栄転の形で責任をとつた高級官吏さえ出て来ておる。こんなことで綱紀の粛正なり予算の適正な支出なり使用なりということが行えるのでしようか。もう少し厳正であつていいんじやないでしようか。まあ包括的な御意見を承わつておきたい。九百万もの金がみすみす一民間会社に入つた。そしてそれがどうにもできなくて、そして本当の技術研究の成果が上らなかつた。それだつたら、その技術なんですが、科学技術振興という目的を持つた公務員がそのことをいたずらに放置しておる。自分の職責を尽さない。而も国の金を、まあ結果とすれば、不当にその会社に取得せしめて、その国家公務員がどうにもされない。それでいいと管理庁はお考えですか。
  168. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 今までは、現在ありました監察の結果についての御批判でございますが、大臣からもお話になりましたように、いろいろこういう不正な事案が出ておると申しますことは、敗戦後のいろいろな国情、人心の弛緩ということもありますし、或いは大臣の言われた機構の不合理、複雑化といつたような事情もあると思いますが、やはりそれに携わる公務員の資質の低下と申しますか、こういう点にも非常にあるということは、我々二年間やりました監察の結果によつても或る程度判断できると思います。で、この点を我々は何ら目を塞いで横を向いている意味では決してございません。我々監察を始めまして二年間、実は非常に重大な仕事、複雑な仕事で、初めは自信がないのを極力鞭撻いたしまして、或る程度監察の機能の充実を図つて来たわけでございまして、まあ言つてみますれば、非常に事務の改善国費の節約ということに非常に頭が向いておつたと言つても差支えない。今後もそれが依然としてやはり何と申しますか、関係官と申しますか、公務員の不正な考え方に、不正と申しますと語弊がございますが、ルーズな考え方によつて繰返されるというようなことになつて参りますれば、綱紀の問題についても、決してこの点目を背ける気持はございません。或る程度その点についての意見も述べて改善に資して行きたい、こういうふうに考えております。
  169. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 あなたが只今前段に申されたような終戦後の人心の弛緩その他があつて、たびたび今の行政がいろいろ問題を起しているのじやないですか。それを今後そういうことがあるならば、というふうに置き換えた答弁なんていうのは私は聞きたくない。  それでは一つずつお尋ねしますが、国家公務員として自分の職責がこの科学技術行政を担当しておる。そうしてこの補助行政の目的は科学技術の振興、そういうものだろうと素人流に私は考える。それで光パルプ工業というものに一つのテーマを以て或いは申請によつて、適当であろうということで、それだけの金を補助として出す。そうしたら少くとも、私素人でわからんのですが、官庁機構についてはわからんのですが、その実験の、研究の中間報告を求めるとか、或いはその得られた結論については、この補助行政をやつているところに報告をさせるとか、何らかによつて、この事業が九百万円なら九百万の金を借りただけあつた。国を利益せしめたという実績をそこに何らか求めなければならんと思うのです。ところがそういうことが一切ないからこそ、やつておつたか、やつておらなかつたかもわからんでおつたのだと思う。そうしたらこの国家公務員は公務員として適切なる措置をとつておらないということだけは私は明らかでないかと思う。そういう行政目的を完遂しないような公務員は、これはその行政担当者として適任ですか。これが第一点。ただ適任か適任でないかということだけお答え下さればいい。  それから九百万円という損害を国に与えたかも知れないこの措置をとつた公務員は、適当なる公務員であるとお考えですか、お考えでありませんか。  ただこの二点だけ、イエス、ノーだけ。あなたは親切に御答弁になるけれども、内容がなくて困る。
  170. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) その事務について指導監督上の責任はあると思います。ただ責任の度合はその事態を具体的に調査して、具体的の問題についてきまる。
  171. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 それでは同じ政府部内の、同じ行政監察部内の意見としては責任がある。その程度の如何は又別だ、こういうことであるならば、恐らく通産省においてもその責任がやはりとられておるのだろうと思いますが、とられておらないことが判明した場合に、あなたのほうではそれでも黙つて放置しておきますか。
  172. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) どういう形式であるか知りませんが、恐らく担当官に対して上司から或る程度の責任を追及する処置はとられているのではないかと、これは想像でございますけれども、思います。ただそれが当然だと言つて放置しておくような官庁組織ではないのではないかというふうに、一応考えております。ただお考えのような程度というか、どういう程度にお考えか知りませんが、それは現職に置いてはいけないとか、ほかに変えるべきだとか、或いは罰俸すべきだとかいう程度の問題については御意見があると思いますけれども、何らそれについて処置してないということはあり得ないと思います。
  173. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 国会議員がその責任の程度をかれこれ言う筋合のものではない。それは行政府の責任において措置されるべきもので、私はかれこれ言うつもりで申上げておるのではない。あなたのほうで綱紀弛緩を粛正する。或いはこの種の類似問題の起ることを未然に防止するという建前に立つ限り、自発的に行政府として何らかのしめしはついておらなければ、今後やはりこういう問題は解消しないじやないかという意味合で意見を申上げたわけであります。だからその者をぶつ殺してしまへとか何とかいうことを私は申上げておるのではさらさらない。まあ時間も時間ですから私はこれで終ります。
  174. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 どうも今の問答を聞いていますとこの監察部というものは一体何をやつているんだというふうな感じを持つのですよ。成るほどお調べになつてこれだけのものを摘発された。或いは又それ以外のこともおやりになつているようでもあるし、これによつて大分予算の執行の面において寄与されるところもあつたと思う。けれどもこういうことをやる人間、これをやる公務員についてあなたがたがもつと厳格な態度をとらなければ、これは将来の見せしめというか、粛正ということにはならんと思うのですがね。そういう点将来どうするおつもりですか。依然として今までのやり方でいい。そしてこういうような問題が起つてもあと結果についてその人がどういう責任をとらされたかということについての報告も聞いておかないでそれでいいと、そういうことでいいとお考えですかな。
  175. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 非常にむずかしい御質問でございますが、今申上げましたように行政管理庁設置法にもこういう趣旨の規定がございます。我我の職務として規定がある以上はやはりこれは一つの職務になつておりますので、これも先にも申上げましたように横向いているということではございませんが、我々今までやりましたのは、さしずめやはりいろいろ制度が矛盾して、改善すべき事項がある。又その制度に基因していろいろと不合理な点も出て来る。いわゆる個人的に、何と申しますか規定というか、或いは又悪意という言葉がたびたび出ますが、そういう悪意に基かないでやる。例えば災害等においてつい暇もないし、机上査定でやつてしまう。一日に三十件も査定するということになりまして、その査定が非常に不合理でありますと査定官の責任もないとは言えないのでございますけれども、やはりこれは半面から申しますれば、やはり査定官が非常に少いとか時日を要するというようなことになりまして、従いましてそのウエイトはやはり水増しを申請した市町村のほうが悪い。まあ査定官も責任がないとは言えませんが、それを追及する前に不正に申請する、水増しをするというほうを是正して行く。やはりそれと、そういう机上査定をしないように、避けるように、制度を直して行くという点に非常に頭が行き過ぎていたんじやないかと思うのであります。従いまして今後はそういう個人的な責任において非違ができたというような問題につきましてはどしどし綱紀の粛正をやつて行くというふうに進めて行きたいと思います。
  176. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 特に私申上げるのは、下つぽの場合よりも責任を持つた高級官吏によつて多額の支出の決済がなされる場合が多いのですよ。この光工業の場合なんか恐らく下つぱの者がやつたんじやないと思うのですよ。だからあなたのほうであまり責任を追及しないだろうと思うのです。そこに問題があるのだからね。今後この問題はもつとしつかりやつてもらわなけりや困るというのが私の考えなんです。あなたのほうで行政監察の問題を、こんなふやけたやり方をしているなら、長い国会の間には十分やりますよ一つ一つの事例について。よろしゆうございますか。それでよろしゆうございますか。
  177. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 今まで述べられました御趣旨に従いまして、くどいようでございますけれども決して法に触れる問題を、管理庁として横向いているとか、或いは何か上の者が責任を負うことになるから目を蔽つているというようなことはございません。当然我々が判断して、制度上には何ら欠陥もなく、事務的に若し不合理が起つて、それがいわゆる問題が個人の責任であるという場合には、どしどし綱紀の粛正の意見を申添えてやるというつもりでございます。
  178. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 国会と一般の行政、それから予算使用ということは、重大な関係のあることです。国会自身が監察機関を持つておらんのです。それで従つて国会が、行政なり或いはその予算の執行なりについて、これを調べたい、或いはそれの結果、どういうふうに行われているかということを知るには、やはりあなた方なり、或いは又済んだことについては会計検査院なりから報告があつて、それを検討するという形でしか、どうも一般的には行われないのですね。そこで行政監察の国会に対する報告というのは、これはあなたのほうでも重大に考えてもらわなければならないのです。それでできてから間もない官庁でありますが、この行政監察業務実施年度報告ですね、国会にこれを出される場合には、十分詳しいものを出して頂きたいと思うのですが、それはどうお考えになりますか。
  179. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 今のお話の具体的の監察結果につきましては、監察計画ことに内閣委員会の専門員のかたに報告書を差上げてございます。それから今までやりました監察結果の大要を取りまとめました年次白書という言葉も少し大袈裟でございますが、大要を取りまとめましたものを、実は年に一回ずつまとめるべきでございますけれども、発足早々非常に不馴れな点もございまして、遺憾ながら二十七年度をまとめることができませんので、昨年とニカ年一緒にいたしまして、昨年の七月までにやりました大体の監察の結果を取りまとめまして、只今殆んど印刷に廻す手筈になつてございます。大体総論と各論に分けまして、五百ページぐらいの形の白書を作つて、これは国会関係その他に御送付申上げまして御理解を深めたい、こういうふうに考えているのであります。
  180. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それを出す手筈を整えておるなら結構です。私どもそれを拝見した上で、十分検討を加えたいと思いますが、一つこの報告書というものは立派なものを作つて頂きたい。成るたけ詳しく具体的な結果を出すように。あまり抽象的なものでないものを出して頂きたい。
  181. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) ちよつと附加えておきますが、今のお話の報告は、決してこんな簡単なものじやございません。もつとずつと詳しく、各論では相当詳しい具体的な事例を載せております。総論は大体の総まとめの報告的なことを載せてございます。よくおわかりになるのじやないかと考えております。
  182. 野本品吉

    ○野本品吉君 いろいろな角度から非常に詳細に検討が行われて、拝聴しておつたのですが、主として問題のよつて来たるところが制度の欠陥からということを多く答えられておる。それも無論ありましようが、制度の欠陥というのは一つで、それは行政の能率の方面に現われて来るので、質に現われて来るというふうには考えたくない。結局いろいろ不正なり不当なりという事案が現われて来るというのは、制度の欠陥というより、むしろその仕事に当る公務員の質の問題と申しますか、精神の問題、そこでこれは私が電車の中、バスの中等で、下級と申しますか、実際の事務に当つている人の囁きを耳にするのでありますが、この公務員の勤務精神の弛緩というようなことは、例の汚職とか疑獄とかという問題に対する解明がはつきり行われないというところに、日本の幾十百万の公務員に非常な精神的な影響を与えているのではないか、こういうことについて何かお感じになることはありませんか。
  183. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) ちよつとあれですが、賞罰がはつきりしていない……。
  184. 野本品吉

    ○野本品吉君 そうじやないのです。結局制度の欠陥ということをあなたが頻りに言われるから、私は制度の欠陥というのは事務の能率の而に多く現われて来る、従つて事務の質の問題には制度の欠陥というのはそう現われて来ない。事務の質の問題に現われて来るのは、根源は結局公務員の勤務精神と申しますか、精神の問題。そこで公務員の精神に例の汚職とか疑獄とかということに対する徹底的な糾明が行われておらんというようなことが、現在の幾十百万の公務員の勤務精神に何らかの影響を与えておるようなことをお感じになりますかどうかということなんです。
  185. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 決して制度だけで不正が起るというふうに申上げたつもりはなかつたのでありますが、只今の綱紀の問題で殊にそういうふうに強調した形になつておりましたが、結局公務員が戦後、偉そうなことを言うようでございますけれども、質が低下したということは争われないのであります。これはやはり公務員の何と申しますか、まあ私も随分古い役人でございますが、何と申したらいいのですか、骨惜しみをすると申したらいいのですか、昔の役人のほうがよく働いたと思うのでありますが、これもはつきりした断定はできませんが、今お話のように、公務員も勿論精神的弛緩、汚職その他の事件がそれによつてつておりますが、その相手になる国民自身も、我々の観察におきまして、非常に考え方が変つて来ておる。例えば補助金の問題にいたしましても、自分の負担においてやるのはいやだというような考え方が公私の生活に蔓延しておる。これが結局補助金だけで仕事をしたいために水増をする、或いは架空の災害を作り上げる。両方やはり相待つて精神的なあれを直して行かなければならんと思います。
  186. 野本品吉

    ○野本品吉君 わかりました。いや私のお尋ねしておりますのはそういうことでないのでして、あれだけ大きな問題になりました汚職問題とか疑獄問題といつたようなものが、公務員の精神に何らかの影響を与えているというようなことを行政監察の途上においてお感じになつたことはありませんかと言つておるのです。
  187. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) いわゆる大きな事件がうやむやになつたために、まじめにやつております公務員としましては、非常にそういう点に、何と申しますか、不満であるというような気持はあると思います。やはりまじめに仕事をやつている者が認められたいという気持が現われて、やはり大いに監察をやつて欲しい、或る意味において、というような希望を言つているのもある、お答えになるかどうか……。
  188. 野本品吉

    ○野本品吉君 大変聡明なお答えでして、追及いたしません。  これはさつき岡田さんからも出ましたが、もう一つ公務員の気持の上に、何かの事態が起りましたときに、その責任が末端においてのみ追及されて、上層部の責任が免かれておる、言わば行政責任というものの所在が明確にされずに、それをとことんまで追及して行くということの足りないことが、実際の事務その他の上において非常な欠陥を来たしておるというように思うのですけれども、そういう点もお感じになりませんか。
  189. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) そういう点も感じないわけではございません。
  190. 野本品吉

    ○野本品吉君 感じておられる。
  191. 岡松進次郎

    説明員岡松進次郎君) 確かにあると思います。
  192. 野本品吉

    ○野本品吉君 私は結局行政監察の問題は、結局の問題としてはそこへ帰着するので、それから本当に綱紀の粛正とか官紀の振粛というようなことが行われれば、行政監察という仕事はそのうちに不必要になる。そういう不必要になる時期を一日も早くするようにするのにはどうしたらいいかということを、もつと根本的に本質的に行政監察においては考えて行くべきじやないか、まあ、こういうことを感じておる。
  193. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 実は本日中央気象台の機構に関する調査をいたす予定でありましたが、大変時間も遅くなりましたので、調査は次回の委員会に譲ることにいたします。  これにて散会をいたします。    午後四時三十七分散会