○
説明員(
山口伝君)
只今委員長のほうより三点お話がございましたが、先ず
最初に三十年度の
予算で、
海上保安庁といたしまして、
船舶並びに
航空機の
増強整備をどのように
考えておるかという点につきまして
最初に申上げたいと思います。
先ず
巡視船についてでございまするが、現在
海上保安庁が所有いたしておりまする
船舶につきましては、お
手許に一応の統計を差上げてございます。
巡視船につきましては
只今のところ九十五隻ということに
なつております。それの
内訳は
資料を御覧になるとわかりまするが、主要なものは、千トン型の五はい、四百トン型の四はい、それから四百五十トン型、これは中型でございまするが、これが二十二隻、それから二百七十トン型が二十隻、その他は在来の船でございまして、海軍で使つたり、或いは
警察で使つたりした船を引継いだものでございまして、おおむね百トン前後、中には二百トンのものもございますが、
飛行機救難艇とか或いは駆特と申します木造の古い船でございます。ですから、九十五隻のうちの新しい船で
第一線級として使いますのは
新造の
巡視船でございまして、これは約半分でございまして、四十四はいが新しい船でございます。これらの船で
日本の
沿岸一万海里の
日常の
警備救難の
業務に対応しておるわけでございまするが、一万海里の
海岸線に対しましてこれらの九十五隻、一口に九十五隻と申しますと相当あるようではございますが、平均いたしましても、そのすべての船が仮に
出動いたしましても、
担当海域は百海里になるわけでございまして、ところが御
承知のように船は四六時中動くわけに行きません。大体三分の一が動くのでありまして、
あとはドックに
行つて修繕をいたしましたり、或いは港にお
つて補給をし、待機しておるというときもございまして、結局三分の一が
現実に
現場に
出動する船の数になります。
従つて一ぱい出ておりまして平均で行きましても三百海里の
警備救難に対しておるわけでございます。その上御
承知の二十七年の秋から
特別哨戒と申しまして、
東支那海、
朝鮮海峡、或いは
北方の水域に頻発する
漁船の拿捕問題、これらの
漁船の保護のために
出動をいたしております。その
勢力には増減がございまするが、これはシーズンとか漁場の推移或いは
日本漁船の
出動状況に応じて適宜に変更を加えられて参
つておるわけでありますが、今日現在のところを申しますると、
東支那海のほうへは、
現場に五はい出ております。それから
北方のほうは三ばい出ております。八はいが
現実に
特別哨戒に
出動いたしております。そのためにこれらの船の交代を
考えますので、我々先ほど申しました四十四隻の新鋭の
第一線級の
巡視船、これの殆んど半分、二十数隻というものがこの
業務に割かれておるわけであります。
日本沿岸の
警備からはそれが消えておるわけであります。従いまして一層
沿岸の
警備救難の
体制としては手薄に
なつておるわけであります。これらのことからいたしまして、無論
国家予算の誠に苦しい困難な際ではございまするが、
仕事のほうに
空白が生じては困りますので、せめてかような
特別哨戒に出る船の
あと埋めを少しずつでもや
つて頂きたいということを
考えまして、来年度の
予算には、お
手許に
資料もございますように、六百五十トン
型巡視船を二隻
新造、三百五十トン
型巡視船三隻
新造、次に三百五十トン
型巡視船、同じ三百五十トン
型巡視船でありまするが、三隻を
代替建造、この
代替建造と申しますのは、現に手持の老朽の古い船を廃棄してその
代りに作るという
意味のものであります。それから二十三
メーター型、十五
メーター型五隻とか十隻とかございますが、これは
小型のランチでございまして、二十
メーター型あたりは、
海上が平穏な場合には無論
沿岸にも若干出ます。これら
港内艇をそれぞれ
増強いたしております。総
経費で二十億六千四百余万円に
なつております。今日まで毎年の
予算折衝の場合に、
大蔵省では無論いろいろ
実情を聞くと、
巡視船が足らないということはわかるけれ
ども、
国家予算の苦しい際であるから、新たに
増強するということはまあ待
つてくれ、せめて古い船のほうを廃棄して、その
代りに作る、いわる
代替建造で新しいのを
作つて質的改善を図
つてくれという強い線がいつも出ておるわけであります。二十八年度におきましても、二十九度におきましても成立いたしましたのは、この
代替建造という口でできたのであります。ところが先ほど申上げますように、今日
特別哨戒に相当割かれておりまするし、
沿岸の
海難事故というものは決して減らないのでありまして、我々
日常の
実情を見ております者からすれば、何とか
勢力を
増強して頂かざるを得ないのでありまして、
従つて今回は
代替建造は無論従来
通りのような形もとりましたが、この
代替建造いたします場合に、従来の古い船の
小型のものを十隻なら十隻を廃棄してその
乗組員の、人の
増強はしないで、その人間に見合う船を作るという形で
大蔵省は来られたものでありまするから、それではだんだん一人
勢ナは同じでもりましても、
巡見船の多少いい船を作る、或いは少し大きな船を作るとなりますと、
隻数は減
つて参ります。これは非常に又我々の
仕事をする上においては痛手でありまして、
海上における
仕事の
単位である船が減るということは誠に忍びがたいので、今回は廃棄いたします
隻数を補う
意味での
新造の五隻を出してあるわけであります。
従つて九十五隻という総
隻数においては変らないという範囲で
新造、
代替建造というものを目論んだ次第であります。
次に、
航空機の
関係でありまするが、これは
海上保安業務として特に
警備救難としては、
海上における
事故に対して、
海上を走る
船艇だけでは不十分でありますし、又
スピードも、時間的な効果もないのでありまして、少くとも
海難を
救助するにいたしましても、或いは
沿岸をパトロールするにいたしましても、
海空一体で立体的な
体制を整えることが
能率的であり、的確であるわけであります。さような
考えで、
是非とも
最小限度の
航空機は持ちたいということで数年来努力して参
つたのでありまするが、幸い二十七年度の
補正予算で、取りあえず
ヘリコプター六機が認められまして、すでにこれは
第一線にも活躍いたしておりまするが、
内訳は、
小型のベル三機と、
大型の
シコルスキー五五型というのが三機とれまして、これに対応するヘリポートとしましては五カ所認められたのであります。すでに開設を終
つております。函館、館山、大村、
舞鶴、
新潟、以上五カ所でございます。すでに
第一線に活躍をいたしております。これが
五つの
基地に対して、今日僅かに六機の
ヘリコプターしか持
つておりませんが、もともと当初におきましても、十機くらいは持つことに予定しておつたわけでありますので、今回三十年度の
要求予算に
ヘリコプターとしては追加四機、
内訳は、
ベルニ機、
シコルスキー二機ということに
なつております。従来の六機と合せまして、
合計十機、これが
五つの
基地に二機ずつ配置するという形をとろうと思
つております。なお、
ヘリコプターだけでは不十分でございまして、
航続力の点、
スピードの
点等からいたしまして、
飛行機を
是非持ちたいというのが我々の悲願でございまして、今回いろいろの事情を勘案いたしまして、
ビーチクラフト二機、これは双発でございます。KATの軽
飛行機二機、これは単発で。ございます。以上四機を持ちたいと思
つております。これは
ヘリコプターの
基地と
飛行機の
基地とでは
飛行場の
様子が違いますけれ
ども、私
どもはこの
飛行機につきましては現在の
海上自衛隊の
基地である所とか、或いは又自分の
ヘリコプターの
基地であるところの
飛行機を飛ばすことのできる
飛行場を利用することにいたしまして、今回は
機械人員の
要求だけで、
飛行場の
整備というものは従来の
施設なり、よそのものを使う、併用して行くという形をと
つて、
予算の節減を図
つておる次第であります。以上の
飛行機関係、
ヘリコプター四機と
飛行機関係四機で、
経費といたしましては三億二千万円を
要求いたしております。この
航空機が
最小限度あれば、
日常の
哨戒にいたしましても、或いは万一の場合の
海難事故に対しましても、迅速果敢な非常に適切な
救助がやり得るということは火を見るよりも明らかなことであります。ただ今日かような
施設に対して相当
経費がかかりますので、我々も非常に遠慮いたしまして、かような僅かな数ではございまするが、これだけのことは
是非やらしてもらいたいという強い
考えでおるわけなんであります。
なおここで一つ附け加えておきたいことは、来年の
予算には、
巡視船ではございませんが、
大型の
測量船の
新造を
考えております。九百トン
程度の船一隻、
経費が一億九千四百万円ばかりでございまするが、これは
是非一つ実現したい。現在
水路部の
仕事のために、
測量船、
観測船として持
つておりまするものは二、三百トンのものが最大でございまして、それも古い船、誠に
貧弱そのものでございます。遠距離に出るわけに行きませんし、又しけのときには出られない。非常に弱体なものでございます。
水路部の
仕事といたしましては、戦時中
沿岸の
測量観測に
空白ができたのをとり返すべく努力をいたしておりまするが、今のような
テンポで行きますると、将来二十年、三十年もかからなければ
海図の修正はできない。随時これは適当な
テンポでや
つて参らなければならないのでありまするから、さような
測量船或いは
測量系統の弱体或いは不足というようなことで非常に遅れておるわけであります。一般的にはかような船も要るし、更は
測量観測用の
基地といたしましても、近代的な
能率的な
電波関係を利用するもので、人は成るべく使わないようにして、
機械化をして
能率を上げて行かなければならないのでありますが、どうしても代表的な
測量船の
大型の
船一ぱいだけはほしい。これがありますれば今日世界的に問題に
なつておりまする
海洋資源の研究、大陸棚の研究とい
つて喧伝されておりまするが、
日本の
沿岸の
測量並びに海底の地質の
調査というものは等閑に付せられないのでございまして、各国が
海洋資源に非常に着目をして逐次優秀な
観測船でその
仕事に手をつけておるわけでありまして、従来
日本の
水路部というものは世界的には相当よか
つたのでありまするが、戦後の
日本の姿は非常に弱体でございます。少くともこの
大型九百トン
程度のもの、これは成るべく小さくて済むなら小さいほうがいいのでありますが、いろいろ性能を
考え、
航続力を
考えて参りますると、一流の代表的な
測量船としてはどうしても九百トンぐらいのものにならざるを得ないのであります。このような船が設計されて、
日本の
沿岸で今日までのところでわか
つておりまするのに、石炭の
資源或いは
石油資源或いはその他の
金属等が或る
程度わか
つておる。これらは
水路部の
測量の
仕事に併せて、僅かなことでその目的を、
資源の
調査の
基礎資料というものが得られるわけであります。これはどうしても
国家として手をつけざるを得ないのであります。今回非常な意気込みでこの
大型測量船一ぱいだけは作
つて頂きたい、かように
考えております。
船舶並びに
航空機関係につきましての来年度の
要求予算の内容
はさようなものでございます。
それから次に御
質問の先般の
行政整理の
関係で、
海上保安業務が行詰
つておるのではないかという有難い御
質問でありまするが、
行政整理が行われました際、
海上保安庁としての当時における
定員は一万六百十九人一であ
つたのであります。それに対して御
承知のように
業務の
性質によ
つて整理率がきめられましていろいろ紆余曲折がございましたが、総計において約三・二%に当る三百三十四人の
定員の削減を終局的に受けたわけであります。これらは
海上保安庁は
現業が大
部分でございますので、大
部分というものは
管理部面に
しわ寄せに
なつているわけであります。数字として
はさように
なつておるわけであります。もともと
海上保安庁は戦後にできまして新しい組織でありますために、而も逐次
増強いたして参りました
関係で、
定員予算等は他の従来からある
官庁と比べまして非常に苦しか
つたのであります。ところが国の方針として
行政整理がございましたので、例外というわけには行かないのでありまして、いろいろ重いところも或る
程度みてもらいましたけれ
ども、結局三百三十四人というものを削減せざるを得ないことにな
つたのであります。もともと伸びて行かなければならない
機構、
官庁が、こういうような時期に際会しましたので非常に実際は苦しんでおります。でこの対策といたしまして
海上保安庁の中に
業務の
合理化委員会というものを作りまして、そこでなんとしてもこれはお
つき合いはしなければならんということで、尤もこの
影響が実際には
最小限度に済むようにというつもりでいろいろ工夫を現にしてもらいつつあるわけであります。先ず
仕事が
警備救難と
燈台と
水路とこう三つに大分けに
なつておりますので、これらに対する
影響をもう少し御
説明申上げたいと思います。
警備救難業務にいたしましては、現在全国に八十八カ所の
基地を持
つております。これは大きいところは
保安部、これが四十九カ所、
警備救難所というのが三十カ所、それから
救命艇基地、ライフ・セーヴイング・ステーシヨンと言いますが、
救命艇を二はいぐらい置いて
海難のときに出て行くという、それ
専門に当るわけであります。こういう
基地が九つあります。以上
合計で八十八カ所のいわゆる
船艇基地を擁しておる。そこに
巡視船が九十五隻、
港内艇が二百五隻ということで網を張
つておるわけであります。
従つてこの
警備救難に対する
人員整理につきましては、船それ自体の
減員は、これはまあ
第一線のこれが
仕事の中心でありまするので、極力滅さないようにいたしまして主として
内部の
管理面、要するに
陸上勤務員のほうに
しわ寄せを極力いたしまして、
仕事の
能率には殆んど
影響のない、
仕事の
単位は減らないようにと努めたのであります。ただ今後私
どもが心配いたしますのは、
巡視船の九十五隻のうち約六十隻というものに
火器を取付けます。大きいのは三インチでありまするし、四十ミリの
機銃或いは二十ミリの
機銃というものを二門、三門、小さいのは一門というのもございます。
船艇の大きさによ
つて違います。これらの
火器を
装備いたしますと、これらのために若干の
人員は乗せなければならない。そう
なつて参りますると、極力
船艇の
乗組員のほうには
しわ寄せしないようにいたしましたが、これらが取付けられまして全部完了いたしますと、
船艇の
苦労、
乗組員の
苦労というものは、従来にも増して苦しいのではないかということを恐れております。
これらによ
つて、過労に基き健康に及ぼす
影響ということを非常にまあ心配いたしておるわけであります。
海上保安庁は
仕事の
関係上、就職いたします場合に極めて厳重な
身体検査をいたしまして、
結核等の疑いのある者は全部忌避して、その点は非常に神経質にや
つておるわけであります。そういうふうにしてや
つておりまするが、
乗組員で
あとの
勤務条件から来る罹病というものもあるわけでありまして、最近の
様子では
新潟とか
舞鶴方面、
日本海方面の
船艇に割合に多いのでありまして、
船艇の
乗組員に対しては或る
程度の
予備員というものを持
つて、常に船の運航に差支えないような態勢をと
つておりますが、この
予備員の大半というものが実は病気のために上
つておる。
予備員が
予備員の用をなしておらない。療養のための
予備員ということに殆んど
なつておるのであります。誠にその点が心配に堪えないのであります。
なお先ほど申上げました
特別哨戒に十日乃至二週間くらい交替で出て参りまするが、
冬場の
東支那海の
哨戒に現在用いているような四百五十トン型の
巡視船、本日の午後乗
つて頂くのは四百五十トンで、それと同型でございます。さような船が台湾、上海近くの
海上まで。パトロールに出ております。これらが一回行
つて参りますると、
最初は一貫乃至二貫匁くらい痩せたということで、非常に心配いたしました。まあいろいろ馴れというものもございまして、今日ではどうにか切り抜けておりまするが、もともとこれは非常な、この
程度の船でああいつた
冬場の
哨戒をやらせるということは本当に
苦労なんでありまして、そういう
意味からいたしましても、ああいつた
仕事に使うためには、もう少し
大型の船でやらなければならないと、かように
考えておりまするが、十分にその点が解決できておらないのは残念であります。
次に
水路業務でございますが、先ほど申しますように、
水路業務につきましても、或る
程度の
行政整理をやりましたが、実は地方の
水路に対する
業務の
要請が最近非常に多いのでありまして、と申しますのは、
日本の
大型船も逐次殖えて、
外航へも出るようになりましたし、又
外国船の
日本への寄港も殖えて参
つております。なお
海上自衛隊の
船艇も
増強されて来て、
海図等の
水路図誌の
作製要求というものは非常に殖えつつあるわけであります。これらの
要請を満すためにはどうしても
水路業務の刷新をして
観測業務或いは
測量のための
機械等も新しいものに入れ替え、或いは近代的な
能率的なものを使うということもしなくてはならないのであります。今回の
水路部に対する
整理は極力
内部の
管理面の縮減にいたしましたが、どうしても
現場の
作業部面にまで若干の
影響があ
つたのであります。このことは如何にも私
どもとしては残念でありまして、少くとも純粋な
現場であるところの
勢力は殖やしこそすれ今日減すのはどうかと思う。併しこのたびの
行政整理では若干
作業面のほうにも縮小が及んでおることは遺憾に存じておるわけであります。
次に
燈台業務の
関係でございますが、
燈台、
航路標識の
現場員そのものにつきましては
行政整理の対象にならなか
つたのであります。
管理面のほうにお
つき合いをいたしたのでございますが、この
燈台業務のほうの
内部管理と申しましても、結局それは
航路標識の建設であるとか修理、或いは
現場の職員の
業務指導というようなものでありまして、いわば或る
程度現業に近いのでありまして、それらのほうでひつかぶりました
減員というものは、
燈台の
運営のためにはやつ
ぱり相当支障を来たさざるを得ないというものが偽らざるところであろうと思います。
最後に
内部管理業務に対する
減員の問題でありますが、主としてここでお
つき合いをいたしたわけでありますが、他の
業務と違いまして結局
現場のためにある
内部管理業務でありまして、
現場がいわゆる
現業でございまするので、普通の
管理行政をや
つておる
管理面とはいささか違うのでありまして、本庁におきましても通信の
関係、或いはオペレーシヨン、要するに日々刻々の情報をと
つて仕事をいたし指令をいたしておるわけであります。当直があ
つて、ほかの役所と
違つて四六時中一部の人は働いておる。その他その
補給、
人事等におきましても、無論どこもしておることでありましようが、その度合が
船艇の
乗組員とか、或いは
現場の
人事等につきましては迅速にやらざるを得ないのが本質でございまして、いささかほかの
監督行政の
内部管理面とは違うのでありまして、物品の
調達等におきましても、即刻手を打たなければ
現場にすぐ
影響を及ぼしますし、そういうふうに
仕事が時を争う
仕事をや
つております。それの
補給面であり
管理面でありまするので非常につらいのでありまするが、今回その
部面でかなりの
整理を受けたのでありまして、なお一方
港湾業務と
警察業務を持
つておりまして
海上における
部面を担当いたしております。こういつた
仕事のためにはどうしても手をゆるめるわけには行きません。
事件がありますると忙しいということで、非常に人が減るということにつきましては堪えられないのでありまして弱
つているのは事実でございます。
一方
最後に申上げたいのは、私
どものほうの
仕事は無論
計画をして逐次や
つて行くわけでありまするが、台風が参りまするとか、或いは水害があるとか、或いは大きな
海上における
事故がありまするとか、或いは拿捕が頻発するとか、さような不測の
業務が出て参るわけでございましてさような場合は早速それに対して手を打たなくちやならん、時間の
勝負をいたさなくちやならないのでございまして、人が足らないからどうにもならんというわけには行きません。できるだけ機動的に当面する問題を処理しなくちやならない。ぐずぐずしているとすぐ非難されるというのはこれは当り前でありまして、さような
勝負をいたすわけでございますので、非常にかような
整理は誠につらいのでありまして、そういうことをし、なお又
海上の実際の
仕事でございますので、例えば最近におきましても、名古屋港の
信号所の移管とか、或いは今日も午後御覧頂きますけれ
ども、東京港の入口にあります燈船、これはあかりをつけた
燈台であるわけですが、更にどうしてもあそこには
信号員を置いて出入港の
信号をしてくれ、それが非常に有効であるから
是非や
つてくれというようなことが起
つて来るわけであります。こういうものに対しては新たに
予算をと
つて来年度からやるというわけに行きませんので、
既定定員を差し繰
つてこれらの
要請を満たさなくちやならない、非常につらいのでございます。
現場の
仕事を持
つておるからこそこういうふうになるのだろうと思います。そういうものにつきまして
人員を捻出してや
つておる、それで翌年の
要求で
是非大蔵省から補充をしてもらうということをせざるを得ないのであります。そういう点でいわば
海上保安庁全体が非常に、
第一線は無論
現場でございますし、
内部管理面も
現場に近いような
仕事の
性質であるために、
行政整理は非常につらいのである。
従つて三十年度の
予算には、今日まで手を打ちましたことに対しての跡始末とような
要求の
部分も出て参るのでありまして、これらのことは何とかして行かないと、
業務に
支障を来たす。今までにやつたからそのままだということで見てもらわないで行きますと、本当に
現場の人はつらい勤務で解決できないで追われて行く、そういう点が非常に強いのであります。
行政整理の
海上保安
運営に及ぼしました
影響につきましては、大体かいつまんでこの
程度でございます。
次に、第三点の
海難救助等で、或いは
海上保安業務で地方民から感謝された状況を申せということでございますが、
海難救助によりまして、これはもう
海上保安庁としてのいわば
仕事の半分くらいの重みはあるわけであります。先ず
最初に統計を申上げますと、お
手許に
資料も差上げてございますが、
昭和二十八年、昨年でございます。昨年の統計では、
海上保安庁の手によ
つて救助されました
隻数は、年間千三百九十八隻ございます。
人員は一万を越しておるわけであります。なお本年の一月から六月までの半年間の実績はすでに七百三十五隻に上
つております。これらの
海難救助につきましては、当該
海難船の所有会社、或いは
漁船の場合には所属組合等から殆んど例外なしに感謝状、或いは感謝電報を受けておりまして、枚挙にいとまないのであります。更に
外国船につきましても感謝状をもらい、或いは外国の慣例として若干の謝金を、これは
海上保安庁が受けるわけでございませんが、
海上保安庁の職員の福利厚生をや
つております外郭団体の
海上保安協会等への寄附金になるわけでございます。そういうものを付けてまで礼をされておるのがあるわけであります。最近の主なものにつきまして申上げますと、お
手許に
資料を差上げてございますが、一番最近のでは、去る八月二十五日米船運航株式会社、米船運航株式会社と申しますのは、アメリカのLSTという戦時急造貨物船、これを現在三十隻ばかり持
つて、主として駐留軍の
補給業務をや
つておる会社でございます。
日本の会社でございます。これのLST五百八十一号というのがこれは二千三百十九トンであります。これが青森県の尻屋崎で坐礁いたして、早速函館の
海上保安本部から七百トンのだいおう、それから四百五十トンのおくしり、りしり、以上三隻が
出動いたし、
救助いたして釜石港に引張
つて行つたわけであります。船体もすべて安全であつた、これらに対して早速同会社から深甚な謝意が表せられました。なおこの米船運航は一年くらい前でありましたが、下津の近所でも
事故がございまして、このときも無論応急救援に行
つております。それと重なりましたので、特に今回深甚なる謝意が表せられました。
それから同じく八月十日徳島県の蒲生田崎西南方においてフィリピンのバターフイルドスワイヤー会社のドナ・アリシヤン、七千五百トン、
大型船、
乗組員六十九名、これがやはり坐礁して最寄りの田辺
海上保安部、これは和歌山県の港でありますが、そこの二百七十トンのくまの、ほか四隻の
巡視船、これは大きな船と、
港内艇も出て行つたわけであります。
出動して
救助した、これも礼状が参
つております。
なお六月二十九日小樽市のさけ・ます
漁船三笠丸、これは新聞で報道されましたから御存じだと思いますが、
北方のほうへ出漁いたしておりましたところが、濃霧のために進路を誤
つて千島の一つの島である新知島の東側の岩に坐礁したわけであります。この場合新知島はもともと無人島であつたわけであります。さようなSOSが入りましたが、これは向うの領分でございますので一時躊躇いたしたわけでありますが、無人島の
沿岸に坐礁して
乗組員の十四名の生命が気づかわれましたので、
海上保安庁としては、局地で、無線でソ連側へ保護方を依頼したのであります。これに対して何らの応答がない。いよいよこれは放
つて置くわけに行かないということになりましたので、いろいろこちらのほうの無線で放送しながら、向うの領海に入
つて調べたわけでありますが、幸い向うは無人島でございましたが、当時の模様は、向うに監視兵がおつたらしくて、
乗組員全体は、船が助からないので、てんまを降ろして、それに食料その他を持
つて陸へ上つた。そこへ向うの監視兵が来まして、
あとでわかつたことでありますが、ソ連の監視船が他へ保護して連れて行つたということがわかつたわけであります。で、当方では、でんりゆうをしてその
調査をやらしたわけでありますが、海岸に一時上つたということがわかりましたし、又その無電で全員無事で上陸したという情報がございました。一応命は大丈夫だ。そうこうしているうちに監視兵が発見いたしまして、そして山の上から、行けと言うので、余儀なくさような
実情だけを確認して帰
つて参りましたわけであります。これらのことにつきまして当該船主からは無論のこと、北海道知事、小樽市長、或いは東京の大
日本水産会等のいろいろなかたから、非常に適切な処置であつたとい
つて感謝されたのであります。
なお六月十四日の和歌山県の
漁船第十五号富佐丸、七十六トン、これはパラオ島の近所からの帰りに、サイパン島の附近でエンジン故障をやりまして航行不能となりましたので、鳥羽の
海上保安部のこうず、これは四百五十トン、これが
出動いたしまして、大体こもは距離が八百海里くらいありますが、焼津へ曳航して来た。これは無論、協業組合より非常な感謝を受けたのであります。
それから又五月十日の北海道方面の低気圧による集団遭難というのは、新聞に相当出ましたから御存じであろうと思いますが、当時は救援部隊を編成いたしまして、他管区からも応援を出しまして、捜査海面を非常に広範囲に拡げまして
活動いたしたわけであります。これらの
活動につきましては、北海道庁や地元の漁民からも非常な感謝を受けまして、水産
委員会でもそういうことが報告されたわけであります。
なおその他六、七と同じようなことがございまするが、感謝はされないのでありますが、韓国の船も対馬の附近ではたびたび
救助いたしております。これは救われた漁夫はやはり喜んでおるわけでありますが、先方からの感謝ということは遂になか
つたのであります。
なお一番
最後にございますが、これは昨年の六月の、西
日本の水害並びに七月の和歌山方面の水害のときに、即刻附近の
巡視船全部が集結いたしまして、救援物資の輸送或いは
人員並びに郵便物並びにその他の緊急輸送を十日乃至二週間、いつまでもやるわけに行きませんので、交通が或る
程度回復するまで、応急のこういつた対策には渾身の努力をいたしたのでありまして、それぞれ総理大臣或いは
関係の役所、国鉄或いは郵政大臣とか、いろいろな方面から表彰なり感謝状をたくさん受けたわけであります。
最近水産
関係では、大体この
救助船の
内訳を申しますと、半分ぐらいは
漁船でございまして、殊に最近
漁船がいろいろまあ水産
関係の事情と申しますか、遠洋漁業を奨励されますので、かつお、まぐろであるとか、或いは
東支那海の以西底引等へ、或いは又
北方の漁場へ大挙して行くようにな
つたので、
従つて我々の
仕事の対象が非常に広範囲に拡がつた、そこらで
海難の
救助のみならず、急病、例えば盲腸炎だとかいうような場合に、丁度たまたま内地へ帰る
巡視船が或る場合に、病人だけ至急運んでくれないかというようなこともあ
つて、これも
業務に差支えない限り或る
程度いたしております。或いは又南方方面では、台風の来るような場合に、委任統治区域の港に避難する、それらの手続を至急や
つてくれというようなことを、無論これは無線でやるわけであります。その都度できるだけのことはいたしている。この間の十二号台風のときにも、三十数隻がアメリカの統治区域に避難をいたしたのであります。比較的十二号が西のほうへ北上いたしたので、大したことがなくて済んだわけでありますが、さような場合にも勿論東京の本部或いは地元の組合等からも、それらのことにつきまして心からなる感謝の言葉を頂戴いたしております。我々はそれは当然の
仕事だと思
つてや
つているわけであります。大体以上であります。