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岡田宗司君
内閣委員会の
決定に基きまして、八月二十六日より九月一日までの一週間、
白波瀬委員、
矢嶋委員、それに私と、それから正式の
派遣議員ではございませんでしたが、これに
野本委員が加りまして、
北海道に参りまして、
北海道の
陸上自衛隊を視察
調査して参
つたのであります。
北海道は御
承知のように、
北部方面総
職部というものが設けられましてその下に第二
管区隊、それから今度
新設の第五
管区隊が置かれ、更にこれらの両
管区隊のほかに、
北部方面総監部直轄の
部隊がございます。第五
管区隊のほうはまだ漸く
総監部が
新設されたばかりで、
部隊が現在
内地から移動しつつあるような
状況でございますので、私
どもはそのほうは視察いたしませんでした。とにかく
北部方面総轄部並びにその
直属部隊、それから
旭川の第二
管区総膳部並びにその
指揮下にありますところの
部隊等を見学して参
つたのでございます。
私
どもが見ましたところ、この
陸上自衛隊というものは、
警察予備隊、それから
保安隊を経まして
自衛隊にな
つて参つたのでありますが、その
段階を経まして漸く
軍隊らしきものにな
つて参つておるのであります。で、これはいろいろ見方がございますし、立場上
自衛隊に対する賛成、反対ということもございますが、とにかく
軍隊らしきものに
なつたということは、これは事実間違いないところであろうと思います。そしてその
編成にいたしましても、
訓練の
方法にいたしましても、これは
軍隊以外の何物でもないのであります。特にこれらの
部隊を個々にと
つてみますというと、その持
つておりますところの
戦力と申しますか、
戦闘力、武器、或いは
機動力というようなものは、
戦前の
日本の
軍隊に比しますというと、これは非常に強化されておる。比較にならないほど強いものである、こう言うことができるのであります。
併しながら我々が痛感いたしましたところは、全体としてみますならば、これはいわゆる
戦力なき
軍隊ではないかということがいろいろな点から
考えられるのであります。我々が見ましてそういうような点でなぜ
戦力なき
軍隊と言わなければならんかという
理由の第一は、補給の問題でございます。
弾丸等の
保有量は、
演習には足りるけれ
ども、実際の戦争には足りないのであるということを到るところで聞かされておりますが、これが事実であるといたしますれば、これはもう明らかに実戦には役に立たない。こう断定せざるを得ないのでありますけれ
ども、まあ、おいおいそういう点が
防衛庁並びに
自衛隊の
努力によ
つて改善されて行くということになるでありましようけれ
ども、現在のところにおいてはそういう
状態である、こう申上げていいのじやないかと思います。
それから又
部隊についてそれぞれ
演習等も見ました。更に又各
部隊の隊長その他の人からもいろいろと
状況を聞きました。言わば
士気は旺盛であるということでございます。併しながらこれも我々は
はつきりと
士気は旺盛であると断定するわけには参らないのであります。その一番大きな
理由は、私が二、三の
部隊で質問いたしました。今度まあ
予備兵のような
制度が設けられることでありますが、これに対してどのくらいの
応募者があるかということを聞きしたところが、これに対する答えは殆んどどこでも得られなか
つた。そういたしてみますというと、まあ、大体或る年限が過ぎている者は殆んどやめてしまう、縁を切
つてしまう、こういうことは
部隊の内部における
士気旺盛ということと矛盾をすることでありますし、こういうような
状態では、これはいわゆる
戦力を作り上げて行くという上に大きな
支障があるように見受けられたのであります。まあ、こういうふうな点でいろいろ我々見て
参つて、
自衛隊についていろいろな点から
考えなければならんようなものを見て参
つたのであります。
一つ従来の
軍隊と違います点は、かなり
一般の
市民生活と近いものにしてゆこうというような
考え方が見られる点であります。これはまあいろいろな面であ
つたのでありますが、
一つはまあ
徴兵制度によるものでないというところからでも、そういう……。とにかく五時に
訓練が済みますというと、その後の時間はフリーであ
つて、そうしてかなり夜学の
定時制の
高等学校へ行く者が多いというようなこともありますし、それが奨励されておるというようなことは、
市民生活と非常に近いものにな
つていく
一つの途であるかと思うのでありますが、この点は
大分戦前の
軍隊と違
つているように見受けられました。又
施設部隊、即ち
戦前の
工兵隊でございますが、これらがその
演習を兼ねまして例えばその所在している町なり、或いは附近の
道路、橋梁を改修、
新設をするというようなことをや
つております。又
旭川の第二
管区の
施設部隊は、
北海道庁の要請に基きまして、大雪山の中に今道庁では
道路を作
つておりますが、それに出まして、その持
つておりますところの
機械力を利用して
道路を
新設する、こういうような面もございまして、これはまあ従来の
軍隊と違
つたものがあるというふうに見られたわけであります。
まあ、いろいろ我々見て参りましたが、詳しいことは随行して参りました吉岡君が私
どもの意を受けまして、
報告書を作
つておりますので、これを
一つ速記録に載せて頂きますから、これでごらんを願いたいと思う次第であります。
以上簡単に御
報告申上げます。
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