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1954-02-09 第19回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月九日(火曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     小酒井義男君    理事            上原 正吉君            長島 銀藏君            竹下 豐次君    委員            井上 知治君            松本治一郎君            矢嶋 三義君            山下 義信君            野本 品吉君   政府委員    内閣官房副長官 田中不破三君    人  事  官 入江誠一郎君   事務局側    常任委員会専門    員       杉田正三郎君    常任委員会専門    員       藤田 友作君   説明員    人事院給与局次    長       慶徳 庄意君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○行政機構整備等に関する調査の件  (新恩給制度に関する人事院勧告  に関する件)   —————————————
  2. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今より内閣委員会を開会いたします。  行政機構整備等に関する調査を議題といたします。新恩給制度に関する大綱について入江人事官より説明を承わることにいたします。
  3. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今委員長から御指名のございました通り国家公務員退職年金法につきまして大要御説明申上げます。  人事院国家公務員法規定に基きまして、新恩給制度に関する研究を続けて参つたのでございますが、先般その成果を得ましたので、御承知のごとく昨年末これに関する諸案を国会及び内閣へ提出いたしました次第でございます。只今その提出いたしました諸案につきまして概要御説明申上げます。  先ず一応の順序といたしましてこれに関する国家公務員法規定につきまして申上げたいと存じます。御承知通り国家公務員法は新恩給制度につきまして、その第百七条及び百八条におきまして基準が定められておるのでございますが、その要旨は、第一は国家公務員として相当年限忠実に勤務いたしまして退職いたしました者に対しまして恩給を与えられなければならないということ。第二には公務の傷病に基きまして退職いたしました者又は死亡いたしました者の遺族に対しましても恩給を与えることになつておりますること。但しこの場合におきましては、公務災害補償制度との間におきまして適当な調整を加えられるべきこと、第三にはこの恩給制度の目的は本人及び遺族をして、退職又は死亡当時の条件に応じて、その後において適当な生活を維持するに必要な所得を与えるべきものでありますること。第四には、恩給制度は健全な保険数理基礎として計画されまして、人事院によつて運用されるものでなければならないと申しますること。この四点でございまして、これらの基準に適合する制度を研究いたしまして、その成果を成るべく速かに国会及び内閣勧告しなければならないということを第百八条に規定しております次第でございます。  そこでこれから申上げまする新年金制度の案は、以上の国家公務員法基準に従いまして研究いたしました結果でございまして、先ず本案の基本的な方針を述べさして頂きますと次の通りでございます。  その第一点は身分差の撤廃と申す点でございます。御承知のごとく、国家公務員法制定によりまして、従前の官吏雇用人身分的差別が消滅いたしまして、ひとしく国家公務員として取扱われることになりました次第でございますが、このことは任用、給与等におきましてはすでに実現されておるのでございますが、ひとり年金制度におきましてのみ今なお官吏につきましては恩給制度がございまして、又、雇用人等につきましては共済組合制度がございまして、この二元的取扱いが行われておる次第でございます。又その相互間の在職期間通算されないということになつております欠点もございますので、新らしい年金制度につきましては、この際この差別的取扱いを撤廃いたしまして、一元化いたそうとするものでございます。  第二点は、年金制度特殊性に鑑みまして、健全な保険数理基礎といたしまするところの長期財政計画の樹立ということにしておりまする点でございます。御承知のごとく現在の恩給制度におきましては、公務員負担する国庫納金は、国の一般歳入といたしまして、恩給のための所要経費は、毎年必要に応じてその全額国庫負担するという建前なつているのでございますが、そのために所要経費のうち、真に国庫負担する額がどれだけになるかということが、必ずしも明白でないという点がございますので、これを改めまして、公務員自身負担分国庫負担分とを明確に区別できまするように、長期の収支計画基礎とする健全な制度を確立いたそうとするものでございます。  その第三点は、公務員醵出制度を立いたしまして、併せて給付内容合理化を図るという点でございます。御承知のごとく現在の恩給制度は、無醵出制度から漸次醵出制度変つて参つたのでございますが、その醵出国庫納金という形においてなされております。又その醵出率も僅少でございまして、比較的国庫に依存する度合が高いものとなつているのでございます。又給付内容につきましても改善を要する点も少くございませんので、この際一方におきましては公正妥当な醵出制度に改めまして、国庫負担合理化を図りますると共に、他方におきましては給付内容合理化を図ろうといたすものでございます。  以上が今回提案の法案の骨子でございますが、次に法案の内容につきまして簡単にあらましを御説明させて頂きたいと思います。  第一は新年金制度適用範囲でございますが、これにつきましてはすでに申上げましたごとく官吏雇用人身分差をなくいたしまして、すべての常勤の国家公務員に適用することといたしております。  第二には給付内容でございますが、先ず給付の種類につきまして申上げますと、名称は異なりまするけれども大体現行制度と同じように退職年金障害年金遺族年金退職一時金及び遺族一時金の五種となつております。  先ず退職年金現行普通恩給に相当するものでございまして、普通恩給一般の場合は在職十七年以上、警察、刑務職員等につきましては在職十年以上の者に支給することに現行法なつているのでございますが、これを一般の場合におきましては、在職期間を延長いたしまして二十年以上といたし、警察、刑務職員につきましても同じく在職年限を延長いたしまして十五年以上とすることにいたしてございます。又その額は現在、一般文官高等学校教員小中学校教員等公務員の種類によりましてそれぞれ支給額を異にしておるのでございますが、これらの差別をなくいたしまして、一律に基本額俸給年額の四〇%といたしまして、二十年を起える部分につきましては、その一年につきまして一・五%ということにいたしてございます。なお退職年金支給期につきましては、一般公務員退職年令の延長に鑑みまして、現行恩給法と同様に四十五才までは全額、五十才までは五割、五十五才までは三割をそれぞれいわゆる若年停止いたすことといたしてございます。  次に、障害年金につきましては、現行増加恩給に相当するものでございまして、公務上の傷病によりまして、公務に従事することができない程度の癈疾となつ退職いたしました者に支給することといたしております。その額は、現行増加恩給では、俸給区分及び廃疾の程度によりまして、定額で細分されておるのでございますが、その算定の基礎は、必ずしも合理的とは考えられませんので、原則として俸給年額の六〇%を支給することといたしました。ただ常時介護、いわる看護を要する程度の廃疾のときに限りまして、更に一〇%の割増を行うことにいたしております。  又、遺族年金は、現行恩給扶助料に相当するものでございます。その支給条件及び遺族範囲等につきましては多少の相違はございますが、おおむねは扶助料と同様にいたしてございます。但し、支給方法につきましては、現在のような、先ず妻に支給し、それから子、父母といつた順に、順次先順位者が失権いたしました後にその次の順位者に支給するというような、いわゆる転給の方法、これは言い換えますと、旧民法の家を中心とした考え方を改めまして、すべての遺族に同時に支給することにいたしてあります。又その額につきましても、遺族の人数にかかわりませず普通恩給の五〇%という現行恩給法のやり方を、妻につきましては退職年金の五〇%、その他の遺族につきましては、一人につきまして二五%を原則として支給することにいたしております。但し、その合算額の最高を七五%と抑えております。  次に、退職一時金でございますが、これは現行恩給の一時恩給に相当するのでございまして、又、遺族一時金は、現行恩給の一時扶助料に相当するものでございまして、その支給条件及び支給額につきましては、現行恩給と大体同様でございます。  以上、御説明申上げましたところが本案の給付内容あらましでございますが、これに要する費用の分担につきましては、現行恩給に対する国庫負担率並びに官吏恩給に対する国庫納金及び雇用人共済組合に対する負担率等を考慮いたしまして、その四分の一は、公務員醵出によることといたしまして、その四分の三を国庫負担により支弁するということを原則といたしております。その原則によりまして、公務員醵出率を計算いたしますと、約俸給の三%になります。現在の国庫納金は御承知通り百分の二でございます。  次に年金制度経過措置でございますが、何分にも恩給制度はその沿革が非常に古うございます関係上、その経過措置もなかなか複雑なものになつておりますが、従つてそのすべてを申上げますことは非常に困難でございますので、主な重要な事項につきまして、二、三の点について御説明させて頂きたいと思います。  その第一は既得権者取扱いでございます。申すまでもなく既得権は十分尊重する必要がございますので、大体従前通りとするといたしております。ただ普通恩給受給者が死亡いたしましたときにおきましては、新制度施行後に新たに権利が発生するという点に鑑みまして、新制度遺族年金を支給するようにいたしております。その二は新制度施行前の過去の期間通算をどういたすかという問題でございます。先ず過去の期間通算につきましては、新制度施行のときまで引続いている期間はすべて通算するということにいたしてございます。その通算は過去の期間の中には年金給付のための掛金を納めなかつた期間官吏に任官する際に受けた共済組合退職一時金の基礎となりました期間とございますが、これらの期間につきましてはその期間に応じて給付の減額の措置を講じまして、この期間のなかつたものとの間の均衡を保たせるようにいたしてございます。なおその措置に要する費用といたしましては全額国庫負担するということにいたしてございます。その三は新制度施行当時在職する官吏期待権をどの程度まで考えるかという問題でございます。この点につきましては新制度施行当時すでに官吏としての在職年普通恩給につきましての最短所要在職年数の三分の二以上に達しておりますものにつきましては、現行恩給程度のものを保証するということにいたしてございます。  以上今回人事院が提出いたしました退職年金の成案のあらましを御説明いたしたのでございますが、最後にこの制度給付に要しまする費用総額及びその中の国庫負担実額がどの程度に相成るかということにつきまして御説明を附加えさせて頂きたいと思います。  以下申上げまする数字は、新制度の被適用者である公務員の数を九十万人と見まして、又これに対する俸給総額を約千百四十一億という数字と見まして、これを基礎といたしまして、この人数及び俸給総額が将来に亘つて変化ないものとの仮定の下に各種の統計資料に基きまして、いわゆる保険数理による計算方法によつて算出したものでございます。  先ず給付に要します費用総額初年度百九億、第二年度百二十億、第三年度百三十二億、第五年度百五十六億、第十年度二百十九億、最終年度には四百三十五億程度となります。これを現行のまま、即ち官吏恩給を適用し、雇用人には共済組合法を適用いたしまして現在のままの場合と比較いたしましてどれだけ増額するかということにつきまして申上げますと、初年度につきまして給付に要する費用の増額は六億、第二年度は十億、第三年度十三億、第五年度二十一億、第十年度三十七億最終的には八十六億程度増加となります。以上は給付総額に対する経費の増加の問題でございますが、次に右の給付に要しまする費用総額のうちの国庫負担額はどの程度増減するかということにつきまして申上げますと、国庫負担所要額は、新年金制度におきまして、初年度から第三年度までは殆んど給付に要する総額と同様でございますが、第五年度は百四十八億、第十年度は二百三億、最終的には三百三十一億程度になる見込みでございます。これを現行制度における国庫負担と比較いたしまして、その増減を考えて見ますると、初年度はむしろ約六億の減少となりまして、以後漸次増加するということになります。第二年度は約一億、第三年度九億、第五年度十五億、第十年度四十二億、最終的には約五十九億の国庫負担増加となる見込みでございます。  なお以上申上げました新年金制度による実施に伴いまして、関係法令制定改廃の必要といたしまするところがございますので、これにつきましても意見の申出でを行なつておりますのでありますが、その第一は国家公務員法改正でございまして、年金制度の特質から一般職国家公務員のみでなく特別職公務員にも適用する必要がございますので、国家公務員法第百七条、第百八条の規定特別職職員にも適用するようにいたしてございます。第二は特別会計法制定でございます。国家公務員退職年金制度を健全な基礎の上に新制度化いたしますためには、つねにその収支を明確にいたしまして、その国家公務員掛金から生ずる積立金は他の重要な歳入と明確に区別して管理することが必要でございますので、新たに特別会計を設けることが適当と考えられます。なおこの場合その積立金はそれが公務員掛金のみによりますることに鑑みまして、もつぱら公務員及び公務員であつた者の福祉及び利益のために運用せられることを期待する旨特別会計法に明記されることを期待しております。  第三は国家公務員共済組合法の一部改正でございますが、国家公務員退職年金制度はすべての国家公務員に適用することとなりますので、同制度との調整を図りますために国家公務員共済組合法退職給付及び遺族給付に関します規定の適用を受けている公務員につきましてはそれぞれそれらの規定を適用しないことをいたすように所要改正を加えることを期待しております。  第四は国家公務員等退職手当暫定措置法の一部改正の問題でございます。国家公務員等退職手当暫定措置法国家公務員退職年金制度が実施されましたのちにおきましても退職給与の現状を参酌いたしまして所要改正を加えた上当分の間存置することを希望いたしております。  以上をもちまして今回提出いたしました国家公務員退職年金制度の概要を御説明申上げましたが、御審議のほどをお願いいたします。
  4. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) 只今恩給制度大綱につきまして説明を受けたわけですが、これについて何か御質問ありましたら質問をして頂きます。入江人事官にお伺いをいたしたいのですが、実は前の恩給法では不健康業務に対する加算をされることになつておつたのを、この勧告される場合にはどういうふうにお考えなつて取扱われたかということについて、一応人事院としての考え方をこの際お聞きしたい。
  5. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 不健康業務又は不健康地域に勤務いたしまするところの公務員に対する年金制度の問題をどういうふうに考慮いたすべきかということにつきましては、人事院といたしましてもいろいろ研究いたしましたのでございますが、この問題は御存じ通り在職中の給与調整によつて行いまするが、或いは退職年金として年限の短縮或いは金額の増加措置を講ずるかいろいろそこに考え方がありますのでございますが、人事院といたしましては、諸般の点から、在職中の給与につきまして不健康業務或いは不健康地或に勤務する職員に対しましては、適当な調整或いは特殊勤務手当等措置を講ずることといたしまして、年金制度といたしましては現在政府において考えられておりまするように、特別な措置は講じないという建前の下に今回の意見の提出をいたしておる次第であります。
  6. 竹下豐次

    竹下豐次君 御説明のうちにあつたのを私が聞き落したのかも知れませんけれども、お尋ねいたします。現在すでに恩給をとつておる者、それから現在公務員をしておる者、それから現在未だ公務員なつていない、これから就職する者、この三通りになるわけですね。既得権は尊重するというお話でありましたが、先ず現在既得権を持つておる者のこの改正後の支給額というものはどういうことになるのでしようか。これはもう従来通りであつて規定によることじやないということになるわけなんですか。
  7. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 只今お話通り、現在すでに恩給権が発生いたしまして恩給をおとりになつておる方々の恩給額その他の権利は現在と同様でございます、ただあの遺族年金につきましては、将来仮にその恩給受給者につきまして遺族年金が発生するという場合がこの新年金制度実施後に起りましたならば、これはもう新らしい権利でございますから、この新らしい制度における多少有利になつておりまするところの遺族年金が支給される。こういうことになるのであります。
  8. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますと、死んだあと、半分とか或いは三分の一とかありますね。それと今度の新らしい法律と比較いたしまして、新らしい法律のほうが支給額が多いということになれば問題はありませんが、少くなる部分があるとするとちよつとそこに問題が起りませんか。
  9. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 細かいことは別として大体の大筋といたしまして、現在は御存じ通り、約恩給額の五〇%が遺族年金として支給される。今度は妻には五〇%、それから仮に子供その他の遺族がありますときに一人について二五%、但し多勢おりますときには、それが総額七五%が分配されることになりますけれども、従来の五〇%のほかに他に権利がある遺族がありますときには、二五%が加えられるという点におきまして有利に相成る次第でございます。
  10. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると、妻が亡くなつてほかの者に行くというときに現在は幾らですか。
  11. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) 現在は五〇%というものが転給と申しまするか、奥さんがおとりになつておりまして亡くなりますと、他の遺族転給、転じて給与されます。
  12. 竹下豐次

    竹下豐次君 それは下つて行くのではありませんか、何か割合が。そういうことはありませんか。
  13. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) なお細かいことは説明員から御説明いたします。
  14. 慶徳庄意

    説明員慶徳庄意君) 現在の制度では配偶者につきましては常に五〇%が保障されるのでありますが、配偶者以外の者につきましてはむしろ最高五〇%でありますが、その等分割で支給するという仕組が現在の恩給建前でございます。従いまして子供が三人ありますときにはたしか一六・六%になるのであります。二人のときには二五%、一人のときには逆に五〇%ということになつておりますのが現在の制度でございます。
  15. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうしますと、妻の場合には今度の新改正法によれば特に有利になる場合と、少し割合がよくなる場合と両方あるということでありますか。
  16. 慶徳庄意

    説明員慶徳庄意君) 大体においては有利になる点が多いのでありますが、例えば妻がありませんで子供が一人だけというような場合には二五%にするという考えでございます。ところが現在ではその場合におきましても五〇%でございますからその場合だけは現在より低い。それ以外の場合はいつ如何なる場合におきましても具体的に言えば有利になるという案になつております。
  17. 竹下豐次

    竹下豐次君 それから、これから入る人は問題はありませんが、現在公納金を納めておる人、これは今後殖えて行くということになつておるわけですが、仮にまだ二十年たつていない、十五年勤めておるという者がこの際切換えられるということになるというと、従来の分は従来の法律によつて計算し、これから新らしい分はこれからの掛金と比例と申しますか、何と申しますか、関係して二重になつて行くわけですか。それとも何か一本におまとめになつて行くんですか。
  18. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) その点は御心配のごとく相当考慮をされておるのでございますので、こういうふうにいたしておるのでございますが、御存じのごとく現在在職いたしておりまする者は、現行法で参りますと十七年で恩給がつきます。今年は二十年に期間が延長いたしますわけでございます。そこで今お話のごとく十五年経過いたしておりまする者は、現行法で参りますればあともう二年で恩給がつきますのが、新年金制度では五年間期間が延びるわけでございます。そこで現行恩給制度に対する期待権と申しまするかこれを認めることといたしまして、恩給受給期間の約三分の二、十七年の約三分の二以上の期間を経過いたしております者につきましては、二十年たちませんでも十七年たちました場合には現在の恩給と同じような額が支給される、こういうことになりますので、併し二十年たちますと当然これは新年金制年によりまして有利な条件による年金制度によつて支給される。つまり十七年に対する期待権を約在職年数の三分の二以上を経過いたしておる者に認めておりまして、それ以下の仮に三年たつた者とか四年たつた者につきましては、これはそこまで期待権を認めることは非常に複雑になりますので、新らしい制度によつて運用される、こういうことになります。
  19. 竹下豐次

    竹下豐次君 そうすると二十年勤めるということになつた場合に、新恩給法で支給されるということになりますると、初めの十五年間は公納金は少かつたのだけれども、併し初めからやはり現行法によつて高率のものを納めておつた者と同じ待遇を受ける、こういうことになるわけですか。
  20. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) さようでございます。この点は御存じ通りの従来恩給法の新改正がございました場合にも、なかなか掛金その他につきましてまで先に遡つてこれを計算するのは非常に困難でございますので、従来の一定手数掛金の多少ということは考えませんで、新しい制度によつて支給いたす。これは例えば共済組合の現在の加入者につきましては、又新年金制度よりもたくさんの掛金を出しておるわけでございます。この辺につきましては、勿論期間通算がございますから非常に有利になるのでございます。けれども同時に掛金につきましても、やはり今の官吏の場合と同様に、従来の掛金につきましてはやはり新年金制度掛金と同じように見まして、特別な考慮をいたしておりません。
  21. 竹下豐次

    竹下豐次君 この優遇される場合は問題ありませんけれども、掛金は余計しておいたけれどもどうもすぐあとでした人たちと同じ待遇を受けるということになるというような場合があると、そこに問題が起りはしないかというふうに考えますのでお尋ねしておるわけであります。
  22. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) そういうことはございませんです。
  23. 竹下豐次

    竹下豐次君 ありませんのですね。
  24. 入江誠一郎

    政府委員入江誠一郎君) はあ。
  25. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは政府に対して少し私のほうから従来の当委員会におけるこの関連しておる問題をお尋ねをしておきたいと思いますが、人事院総裁から国家公務員法第百八条の規定に基き、昨年十一月の十七日に内閣及び国会に対して新恩給制度に関する勧告がされたのであります。この勧告には国家公務員退職年金法の案と題する新恩給制度の草案その他が添付されております。内閣委員会におきまして従来恩給制度について特に調査を進めて参りました立場から、この勧告がなされましたことに関連して、次の諸点をこの際特に明らかにいたしておく必要があろうかと思います。  その第一点は、この勧告に基いて政府現行恩給法改正する意図を持つておられるかどうか、若しその意図を持つておられるとすればその法律案はいつ頃国会に提出される見込であるかという点であります。  第二点は、新恩給制度が新たに法律により実現された場合、その所管官庁は総理府恩給局であるか、人事院であるか、尤も政府の近く行われようとする行政機構改革の構想として、人事院を解体して総理府の外局の人事委員会と総理府の内部局の人事局の給与課を設置すると伝えられております。現在のようにそのまま人事院を存続する場合に、右の問題について述べた所管の点はどうなるかという点であります。  第三点は新恩給制度が実現した場合には、国の予算の上に、現在の予算と比較してどのような増減を生じて来るのかという点であります。この際政府当局より所見を承わつておきたいと思います。  次に当内閣委員会におきましては、この問題に関連してこの機会に次の点も併せて政府の所見を承わつておきたいと思います。昨年の第十六国会政府から提出されました恩給法の一部を改正する法律案におきまして、政府は旧軍人の恩給に加算制度をこの際認めん方針をとつたので、これに伴つて文官恩給にも従来あつた加算制度を全廃することとしたのであります。その過渡的措置として附則第四条の規定を設け、改正法律施行の日の昨年八月一日より、現に在職する者の、改正法律施行後に六カ月間、即ち本年一月までの在職年の計算については従来通り加算制度を認めることとしておつたのであります。なお改正前の恩給法におきましては、第三十八条の四の規定において特に恩給法上加算を認める不健康業務種類を列挙しまして、鉄道事業における蒸気機関車の乗員としての現業勤務、炭坑内の切羽における連続的業務、肺結核等の患者を収容する病室において直接看護に従事する勤務などを挙げておつたのであります。第十六国会においてこの改正法律案が当委員会に付託され、当委員会ではこの法律案について審査を重ねました末、原案の第四条、第六条第二項及び第七条の規定の一部を修正する案が発議されまして、この修正案は成立したのであります。修正案といいますのは、今述べました原案の附則第四条等の規定に六月とあるのを八月に改める点にあつたのでありまして、即ち先に説明いたしました過渡的措置を本年三月まで延期することになつたのであります。この修正案の主な提案理由は、人事院より近く新恩給制度に関する勧告内閣及び国会に対して行われ、政府はこれに基いてこの第十九国会に提出されるのであろう。而うしてその政府案においては先に説明しました不健康業務に従事する者の加算制度についても十分考慮して立法措置を講ぜられるであろう。こういう観点から一応この過渡的措置を本年三日まで延期するのが適当であるという趣旨であつたのであります。政府人事院勧告に基き法律案を今期国会に提出されると否とにかかわらず、右述べました不健康業務に従事する者の恩給加算について、今国会中に何らかの立法措置を講ずる意図を持つておられるかどうか、以上の点について政府当局から併せて所見を明らかにして頂きたいと思います。
  26. 田中不破三

    政府委員田中不破三君) お尋ねの第一問の点でございますが、人事院が新らしい退職年金制度勧告をされまして、政府はそれを受理いたしておるわけであります。ただ私どもこの十一月にこの人事院勧告を受けましてから、数回人事院からも来て頂きまして御説明を十分に聴取いたしたのであります。ところがお伺いいたしますると、なお更この内容の複雑多岐に亘つておる点、又これに伴ういろいろの措置という点で非常に研究を要する問題が、或いは十分準備をしなくちやならないという点が多いように見受けられたのでございます。御承知通り内容につきましても、本来の退職年金そのものの内容が相当複雑でありますのはもとよりでありますが、或いは共済組合関係であるとか、或いは又これらに伴つて特別会計を設置しなくちやならないというふうななかなか複雑多岐に亘つておる、又相当の準備を要する問題であります。従いまして政府といたしましては、これはむしろ十分専門の知識を持つておられる方々に改めて政府側の立場として研究をして頂くということがよろしいかと存じまして、近く公務員制度の審議会を設けましてこれで十分検討をして頂く、こういうふうなつもりにいたしております。従いましてこの審議会で成案を得るようになりますれば、或いは又人事院勧告そのものでよろしいということになりますれば、直ちに提案いたしたい考えであります。ただ今申上げました通りに非常な準備、非常な内容の検討という点から、果して今国会に提出が間に合うかどうかという点を私ども懸念いたしておるわけであります。いずれにしましてもこの審議会で十分検討した上で成果を得ましたならば、御提案をして御審議をお願いしたい、このように考えております。  それから第二点の運用の点はどちらであろうか。人事院であろうか、或いは恩給局であろうかというふうな第二点のお尋ねでございますが、これはもとより法規に従いまして人事院の運用ということになります。  それから国の予算がどうなるであろうかという点でございまするが、この人事院勧告に基きまする退職年金制度実施せられた場合におきまして、どれくらいの支出の増大になるだろうかというふうな点でございまするが、これはすでに御配付と申しまするか、人事院から勧告として国会に出されておるその資料の中にもございまする通りに、初年度は初めのほうはさほどに経費を要しない、相当年数がたつて経費は増大して行くというふうな人事院の御計算になつております。  それから最後に第四問としまして、昨年の国会で当委員会でも御修正になりました例の加算制度でございまするが、これは政府といたしましては、もともと政府のその当時の原案で方針を決定いたしてそうして御審議をお願いしたのでありましたが、当委員会におかれて御修正になりまして、国会としては本年の三月末までという期間の延長をされたわけであります。只今丁度政府におきましても恩給法の一部改正をいたすほうがよかろうというので、恩給法の比較的速かに改正を要するような点について検討を加えております。従いまして只今の第四問の御質問の点につきましても十分御意思のあるところを考えながら検討を加えて参りたい、このように思つております。
  27. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) そういたしますと新らしく審議会を設けて検討をして行かれるということになりますと、相当期間を要するであろうと思うのですが、本国会には提出の見通しは先ずないというふうに受取つてよろしうごいますか。
  28. 田中不破三

    政府委員田中不破三君) お話通りにどうも今国会には提出は間に合いにくいのじやないかという心配をいたしておりますけれども努めて一つ勉強はしてもらいたい、このように思つております。
  29. 竹下豐次

    竹下豐次君 審議会というのは法律で以てお作りになる審議会のお考えですか。
  30. 田中不破三

    政府委員田中不破三君) 竹下委員の御質問でございますが、できるならばそういうふうに正式なものにいたして正式に審議を進めて参りたいというつもりであつたのでありますが、そういたしますと又審議会の発足が遅れますものですから、差当り内閣に置きたい、法律によらざる審議会というもので大急ぎで出発したい、このように思つております。
  31. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) ほかに御質問ございませんか。
  32. 竹下豐次

    竹下豐次君 今田中さんのお話を承わりましても、なかなか急にこの問題を改正法律案として取扱うには相当まだ時期があるのじやないかと思つております。又一面ここに頂いております原案についても質問しますればいろいろ細かいことがたくさんありますけれども、そこまで今日行くわけにも行くまいと思つておりますが、今日はこの程度でどうでございましようか。
  33. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは別に御発言がないようですから、又後日改めてこの内容等については質問することにいたしまして、本日はこの程度で散会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 小酒井義男

    委員長小酒井義男君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午前十一時二十六分散会