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1954-05-25 第19回国会 参議院 電気通信委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十五日(火曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   委員の異動 五月二十二日委員片岡文重君辞任につ き、その補欠として山田節男君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            島津 忠彦君            久保  等君    委員            津島 壽一君            石黒 忠篤君            新谷寅三郎君            山田 節男君   政府委員    国家地方警察本    部警備部長   山口 喜雄君    郵政政務次官  飯塚 定輔君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君    日本電信電話公    社運用局長   田辺  正君   参考人    日本新聞学会会    長       小野 秀雄君    ラジオ東京常務    取締役     鹿倉 吉次君    日本放送協会理    事       金川 義之君    評  論  家 中野 好夫君   —————————————   本日の会議に付した事件電気通信事業運営状況に関する調査  の件  (電話盗聴に関する件) ○壱岐対馬電報料の件を廃止する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○日本国アメリカ合衆国との間の安  全保障条約第三条に基く行政協定の  実施に伴う公衆電気通信法等の特例  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○電波行政に関する調査の件  (放送法改正に関する件)   —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今より委員会を開会いたします。  先ず電話盗聴に関する件を議題といたします。十七日、ニューヨーク発UP電報によりますと、「前国連軍司令官クラーク大将は帰国、退役後、その思い出をまとめた「ダニューヴ河から鴨緑江まで」と題した本を発表した。その中で大将東京在任中、日本側大将電話盗聴していたと次の様に書いている。日本側は私の電話盗聴していた。どのくらいの期間かわからないが、米通信隊技術者が私が日本を出発する一、二カ月前にこの事実を発見した。また私の電話が近くの警察署で傍聴され、警察は私の電話でいつたことすべてを完全に記録して保管していることも判明した。私は部下のエーミス少将抗議させやつと盗聴は廃止された。」、まあ、かようなことを曾つて最高司令官であつた方が書物に発表されておるというのでございますが、このほか日本タイムス英文毎日、邦文の毎日新聞にも出たのでありまして、若しかようなことがありますれば、我が電気通信電電公社の名誉のためにも国際的に非常に重大な問題だと思いますので、当委員会といたしましては、この間の事情を明らかにしたいと思うのであります。一応関係当局からこの問題について御説明を伺いたい。
  3. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 只今お尋ねになりました件につきましては、私どもといたしましては、このクラーク大将著書に関する新聞記事を拝見いたしまして、誠に意外であつたのであります。ただ一つ、私のほうでこの記事に関連をいたしまして思い当る節がございます。それはその記事の中にあります「エーミス少将をして抗議云々という点であります。この点は、二十八年の八月二十五日頃であつたと思うのでありますが、エーミス少将から、斎藤国警長官及び田中警視総監に、極秘に話したいことがあるというので連絡があつたので、そこでこの二人の方が行かれますと、当時目黒の駒場にありましたクラーク大将屋敷と、当時のGHQの事務所との間の電話傍受されておるのを発見した。極秘捜査してもらいたい、こういう申入を受けたのであります。これが昨年、二十八年の八月二十五日頃だつたという斎藤国警長官の記憶でございます。これに対しまして斎藤長官から、捜査の手掛りといたしまして、傍受されたといわれる電話線専用線であるか、加入線でのるか、どこでいつ発見されたのか、こういうようにして発見されたのか、又これを発見したという人は何という人であるかということを知らして頂きたい。捜査を進めて行く上にどうしても必要でございますので、そういうことを要望いたしたのでありますが、その後再三再四私のほうから先般の照会に刑する回答をお願いいたしたのでありますが、何らの回答に接しておらないのであります。従いましてこれを管轄いたしております警視庁といたしましても、基本的な捜査を行うということ以上に捜査の進めようがなかつたというのが実情でございます。その当時といたしまして、恐らくこの傍受をしておつた云々ということでありますが、やつてつたとすれば、まあ当時の判断といたしまして考え得ることが、私とも通信方面専門の方にお伺いいたしましてわかりましたのが三つ考え得るわけであります。それは一つは、クラーク大将屋敷の中に交換台がありますので、その交換台傍受をするということが一つ、それからもう一つは、これは日本電話局内部で基礎的な操作をやる所で傍受をするということが技術的には考えられる。もう一点は、中間の所でケーブル工作をして傍受をすることができると、この三つが考えられ得るということであつたのであります。ところがこの電電公社のほうでお調べを頂きましたところが、クラーク大将屋敷の中の電話交換台は、これは勿論アメリカ側で全部やつておるのであります。日本側は全くタッチをいたしておらないということでございます。従つてこれはあり得るはずがないのであります。それから第二の中間において何か工作をするという点につきましては、これも電電公社のほうから御返事が何かございますと思いますが、この点につきましては、電話線渋谷の局を出まして直ちに初めは地下に入り、中間架空、そうしてクラーク大将屋敷の附近で再び地下に入つて、直接クラーク大将屋敷の中に入つておるということで、中間においてこれに工作をして傍受をするということは不可能である、こういうまあ御見解でございます。従いまして私のほうといたしましては、この電話局内部で何か工作をするということが警察がやつたとすれば考え得る唯一の場合になるわけでありますが、この点につきましては、警察側といたしましては勿論電話局の了承なしに内部に入るわけにも参りませんし、殊にそういう操作を若し仮にやるといたしますならば、電話局側に何らかの連絡をいたして行わなければやり得るはずがないのであります。この点につきまして、私のほうはそういうことは何らいたしておらないのでございますが、なおこの点につきましては、電電公社のほうからこの間の事実につきまして何かお話がございますと存ずるのでございます。で、警察といたしましては、この傍受の問題につきまして抗議と申しますか、当時のアメリカ軍側から連絡を受けましたのは、先ほど申上げましたのがただ一回であります。その後こちらから照会をして何回も催促いたしましたが、何ら御回答がなかつたのであります。まあ当時の、占領も過ぎておりまして、駐留軍となつてからでございますが、当時の事情からいたしまして、若しそういう何か事実があつたとするならば、警察側に対しては単なる一回のこの申出を以て済まされた事案であるとは私ども常識考えられないのであります。当時の司令官立場といたしまして、更にこの問題を明瞭にするために、何らか適切な措置を、もつと更に簡単に申上げますと、強硬な適切な措置をおとりになるのが先ず考え得る常識だろうと私は存ずるのでございます。  大体以上がこの問題に関しまする私どもの承知いたしております事実関係でございまして、どういうまあお考えからこういう事柄著書の中に書かれましたのか、誠に我々といたしまして残念でございますが、いきさつは以上の通りでございます。なお詳細に亘りましては御質問に応じましてお答え申上げたいと思います。
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今お話に、常識司令官立場として一回ぐらいで終らないで、若し事実があれば強く出られるべきだ、私もさよう同感するのでありますが、それにもかかわらず、かよう著書が発表せられた、而もUPでこうして電報まで打つて来ておるということでございますが、その間の経緯に対して何かお調べになつたことがあるかどうか。或いは更に、こういうようなこちらとしては身に覚えのないことが相当責任のある人の退任後といえども在任中のことを書いた著書に出ておるということに対して、何らかの措置をとつていらつしやるかどうか。どういうようなその後の経過でありますか、その点一つ伺いたいと思います。
  5. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) どういう事情でそういう記事が掲載せられましたか、私どもには全く事情が呑み込めないのでございますが、いずれにいたしましても、事柄を明らかにして頂きたいと思いまして、在日の米軍機関に対しまして、若しそういうことが過去においてあつたとすれば、そうして傍聴しておつたと言つておられますので、何らかこれを発見したという事実があつたとするならば、資料記録等が必ずこれは保存してあるだろうと存じまして、そういう資料記録等があるかどうかお調べを願いたいということを申入れておるのであります。なお只今クラーク大将著書も取寄せ中でございますが、大将自身に対しましても、斎藤長官から、どういう事情でああいうことをお書きになつたのか、誠に心当りもなく迷惑をいたしておりますので、どういう事情でお書きになつたのか、直接書簡を以ちましてお問合せをいたしておる状況でございます。これは五月二十一日頃出しておりますので、いま暫らく返事は参らない、そういう事情であります。
  6. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今の問題につきまして公社当局といたしましても、かような濡衣といいますか、噂の出ましたことは非常に御迷惑と思うのでありますが、この間の事情についてどういうふうにお考えになつており、又どういうふうの処置をおとりになつておるか。
  7. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 昨年クラーク大将のほうから警察にこういうお話がありましたということは当時我々は存じませんでした。今回こういう事実が著書の中にあるということが新聞に出まして知つたのでありますが、クラーク大将の家に行つておりまする電話は、普通の加入電話五本、そのほかに市外専用電話が一回線でありまして、この駐留軍専用交換局名としまして二十六という局があります。これが丸ノ内にありますためにそこから回線が赤坂、渋谷の局を経ましてクラーク大将の家に行つておるわけであります。これらの回線は、先ほどから警察からお話がありました通りに、全部地下ケーブル又は架空ケーブルになつておりまして、途中に一カ所もケーブルに割込むべきターミナルようなものはないのであります。従つて途中で以て盗聴するということはちよつと困難ではないだろうか、ケーブルを破らない限りできないのではないだろうかというふうに考えられるのであります。一方クラーク大将邸交換機及びクラーク大将邸内の局線等につきましては、これは運用も保守も一切米軍がやつておるのでありまして、我々としてはその点は責任がないわけであります。従つて只今お話がありました通りに、若し盗聴が可能であるとするならば、これは局内におけるターミナルの出ている部分であるということになるわけでありまするから、我々としましては十分かようなことがあつたのかどうかということにつきまして、直ちに調査をいたしました。ところがこの責任者はいずれもかようのことは曾つてないということを申しておるのでありまして、特にこの通信秘密ということにつきましては、我々責任者として十分の注意を払わなければならんのでありますから、通信秘密につきましては、二十五年の十月三日に、その当時電通省でありまするが、電気通信秘密確保対策というものを各現業局に通達いたしまして、細かく監督その他について指示をしております。更に二十九年三月二十五日に重ねて又そのことの注意を喚起しておるわけでありまして、それぞれの現業局におきましては、無用の聴話をするということは大体においてあり得ないと考えられておるわけであります。さようなわけでありまするから、かような事実が現在のところにおきましては行われたということは想像がつかないのでありまして、我々としましては、何が故にかようなことが著書に書かれておるのかということが全然わからないのであります。又その当時若し警察に御通知があつたとするならば、同時に我々のほうにもそのお話があつて、そうして直ちに調査をすべきであるのでありまするが、何らそういうお話駐留軍のほうからもなかつたのでありまして、相当時日がたつておりまするから、若しそういうことがありとしましても、調査する上においては非常な困難が伴うのではないかと思います。通信秘密に対しまする法律といたしましては、憲法にも刑法にも公衆電気通信法にもそれぞれ規定されておりまして、それに対して違反した場合においては処罰することが明らかに書いてありますですから、我々としましては、通信秘密確保ということに対しては特別の注意を払つておる次第であります。
  8. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今のお二人の御答弁を伺いまして、エーミス少将から僅か一回ではあつたが、国警長官及び警視総監お話があつた。それを調べるためにいろいろな問合せをしたのに対してはお答えがなかつた、こういうことでありまするが、一回にしましてもそういう重大な問題について申入があつたら、公社のほうにも連絡をしていろいろ調査されるべきだと思うのでありまするが、公社は今初めて、今度この問題が出て初めて伺つた警察といたしましては、警察だけで向うから何かもつと詳細なデータが来るのを待つてつたというだけで、取りあえずそういう重大な問題があつた公社にも連絡をして何らかの糸口をもらわなくても、できるだけの一つ捜査をしようというふうな手当はせられなかつたのかどうか、どうして公社連絡をされなかつたのか、その点の事情一つ伺いたいと思います。
  9. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 先ほど申上げましたように、ただ傍聴されておるというだけでは実は調査のいたしようもないわけでありまして、いろいろとこちら側から照会をしたのでありまするが、それに対する回答がない。従つて事柄がやや具体的に、どこでいつ頃とかいうよう事情が判明いたしませんと、電電公社のほうに連絡をいたして、捜査について御協力を願うというわけにも行かなかつたのであります。又この話を斎藤長官田中警視総監が受けられましたときも、極秘に話したいということでございまして、警察に対して極秘の中に捜査をしてもらいたいということであつたわけであります。そういう関係で、或る程度警察側といたしまして事情がわかります前にいろいろの方面連絡するということに、これは慎重に考えなければならない、かよう考えたのであります。以上のよう事情から御連絡はいたしておらん。その後照会を何回いたしましても一向御回答がないわけでありまして、従つて私のほうでは何かの誤解に基いてああいうことを言つたけれども、だんだん調べて見るとどうもはつきりしないというようなことで、何だか話が立消えになつてしまつたというようなことで、強いて私のほうからもその後電電公社に御連絡もいたさなかつた、こういう事情でございます。
  10. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) アメリカのFBIを初め各国で電話盗聴ということを相当警察等が行なつているように聞いておるのでありますが、今お話で我が国ではそういうことは全然ないというお話でありますが、先ほどの御説明の中にも、交換局内においてかよう傍受をする場合は公社側の了解又は警察側犯罪捜査通知を必要とするというお話でありましたが、そういうよう通知をして、実際に警察局内にお入りになつたような例があるかどうか。又今後ともそういうことをなさることができるかどうか。
  11. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 私の承知いたしておりまする範囲内では全くございません。なお今後もさようなことをいたすつもりは、通信秘密を守るという上からいたしまして、いたさないつもりでおります。
  12. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) これは郵便物のほうでありますが、警察大学でいろいろ開封等方法を授業しておるということで問題になつたのでありますが、警察大学において電話タッピングというようなことについての教科といいますか練習といいますか、さようなことをなしたことがありますかどうか。
  13. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 警察大学におきまして、或いはその他国警側といたしまして、電話タッピングについて講習をいたしたことは全然ございません。なおお話が出ました最近問題になつております郵便物調査という問題につきまして、若干お許し得まして事情お話申上げたいと思いますが、よろしうございましようか。  この問題は衆議院法務委員会におきまして猪俣委員からの御質問といたしまして、最近警察大学校で郵便物開封したり、金庫の鍵を開けたり、住居に侵入する方法を教えておるというが事実かどうか、こういう単刀直入の御質問があつたわけであります。この点に対しまして斎藤国警長官は、郵便物その他いわゆる通信に該当するものについてはさようなことをいたしておりませんとお答えを申上げたのでありますが、質問をせられました方のお話郵便物開封ということでありましたし、まあ世間には郵便物ということが非常な関心を呼びましたせいか、如何にも警察郵便物或いは通信に当るようなものを、信書警察開封しておるというような印象を与えましたことは、私どもとして誠に残念に存じておるのでございます。この真相は警察大学の中の或る教室を国警本部で借りまして警備情報専門の者に講習をいたしております。それで警察大学といたしましては、講義の内容その他この講習に関しましては何ら関係をいたしておりません。国警本部といたして警備専従職員に対して講習をいたしております。その際にいろいろと革命勢力地下活動地下組織を究明して参ります必要から、警察協力する者と接触をする場合のいろいろの心がまえ、或いは注意等について講習を行なつておるのであります。例えば革命勢力の非常に秘密にしております文書、例えて申しますと綱領、規約或いは党員の名簿であるとか、或いは極めて隠されておりますところの資金の出入の状況というよう極秘文書がある、こういうものは全く地下に隠されておるわけであります。そういうものを協力者警察側に一時提供してくれる場合もあるわけであります。そういうものが若し封をされておるというような場合にどういう措置をするか。警察に提供されます時間は極めて短時間でありまして、その間にまあ内容を知りたいという場合に止むを得ずその封を開く方法を教えております。これは併しながらその場合に我々のいたしておりますのは、要するに社会と申しますか、公共の福祉を革命勢力破壊活動から護るという点にあるわけであります。民主主義を護るという点にあるわけでありまして、従つて法律を犯し、民主主義に反するような行為をして警察が参りますならば、これは根本からその趣旨に反するわけであります。その点につきましては厳重に注意をいたしております。従つて又こういう講習に出席いたします者も、内部といたしましてその人柄なり或いはそのいろいろな信用し得るかどうかという点につきまして又厳重に身元の調査をいたしました上で講習に参加をさしておる、こういう状況でございます。それで郵便物或いは信書というよう誤解せられましたが、これは先ほど申上げましたよう極秘の秘匿せられました文書、それに限定いたしておりますし、それのみにつきまして限られた止むを得ない場合における開封講習いたしておるのでございます。この点が誤解を招きましたことは誠に残念に存じておる次第であります。  金庫の鍵ということも非常に迷惑をいたしたのでありますが、これはまあままございますが、例えばそういう重要な書類がトランクにしまつて保管されておるという場合もあるのであります。或いはその内容が武器、ピストル、ダイナマイトというようなのが保管してあるという情報があり、その可能性がある、そういう場合に勿論捜索令状押収令状を持ちましてやる方法はございますが、併しながらこれは令状を持ちましてやりますならば、警察がそこまで捜査を伸ばしたということが先方に感付かれますと、直ちに方針が変更され、それに対する対策を講ぜられるということになるわけであります。従つてそういう場合に協力者に迷惑をかけないように、即ち警察に告げたということがわかりますと、これは党内の規律の問題といたしまして、厳重な処分といいますか、死ぬようなリンチに会うわけであります。そのために迷惑をかけないようにいたしまして、内容調べるという方法があるわけであります。そういう止むを得ない場合には金庫鍵屋さんを連れて来るというわけにも参りませんし、極めて短時間にやらなければなりませんので、止むを得ずこれを開ける方法を実は講習いたしております。これは私も否定いたそうとは存じません。そういう場合に何らか金庫を開けると申しますと、よそ様の部屋の中に入りまして金庫の鍵を開けるというようなことを警察が教えておるということは誠に穴に入りたいような感じがいたすのでありますが実情はさようでございます、住居侵入方法、これは教えるはずもありませんし、又そういうことは全くいたしておりません。  以上のようなのが大体この警察大学における郵便物開封講習しておるという報道についての実際の状況でございます。
  14. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 郵便物につきましては、当委員会の所管ではございませんが、この問題を取扱いました英文毎日、或るフランスの特派員が投書をして自分の手紙がしばしば開封されておる、日本製の糊で再封されておる、ときには紛失したり一週間も遅れたりする、又他の特派員も同じような不平を言われておるということでございますので国際的に見てもそういう疑いを持たれることは私も残念だと思います。郵便物の問題は今山口部長からお話がありましたので、ちよつと申上げた程度ですが、直接今電気通信につきましては、やはりこの記事の中にラストヴオロフ、あのソ連の書記官の事件のときにどうも電話盗聴されておるというふうなことがあつたとして、この記事になつておる。名前は出ておりませんが、或る外国新聞社特派員ソ連代表部にインタヴューを申込んで非常に各社が競つたことがあつた。やつと許されたので大喜びで飛出したところ、二、三分もしないうちに通信社に私服が来て、支局長に対していろいろその事実について尋ねられた。どうもこれは電話盗聴されたとしか思われないというよう一つ記事が出ておるのでありますが、これはその名前も出ておりませんからお調べもないかも知れませんが、この英文毎日記事を書いた人の名前稲垣というスタッフ・ライターで署名も出ておるのでありますが、そういうことについてお調べになつたことがあるかどうか。
  15. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 稲垣という方は………。
  16. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 英文毎日にスタツフ・ライターのルネ・ジヨージ・稲垣という人の書いた記事で、今のソ連の問題も出ておる。どうもそういうことがいろいろ出て参りますと国民としては非常に心配をいたすわけであります。この点について、この英文毎日記事は相当責任を持つた記事だと思います。これをお調べになりその間の事情を明らかにせられたいことがあるかどうか。
  17. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) その稲垣という記者はたしか私もお会いしましたが、斎藤長官に面接の上この記事を書かれたと思います。そのときにそういう自分の友人の或る外国通信員という話をされました。私も詳細、具体的のお話は伺いませんが、極めて抽象的なお話であつたのであります。更にもう少し具体的に、そういう事実があつたかどうか、調査をいたしたいと思つておりますが、まだ十分にその友人の外国通信員云々という部分につきましては、具体的な調査を済ましておらない状況でございます。
  18. 山田節男

    山田節男君 これはまあ毎日は初めて見たのですが、ニッポン・タイムスで一週間ほど前出て、私は聞きたいと思つてつたのですが、警察傍受したと言つておるのですが、而も附近の警察署傍受したという、そうするとあそこだと、目黒の警察、それから交番所が、古い駐在所が一カ所ある。警察傍受しておつた。そうして会話は全一部レコードに取つてつたということを、出発の間際、一、二二カ月前になつて、そういうことが発見されたのだというように書いてある。これは目黒、或いはほかに最寄の警察があるかも知れないが、そこを十分調査して、警察の側で傍受したということは絶対ないということを確信を持つて言えるのかどうか、この点一つ……。
  19. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 確信を持つて申上げることができます。
  20. 山田節男

    山田節男君 その確信を持つて言うということは、証拠が全然ないというのか、或いはそういつたような、例えば目黒の警察、それからあそこの交番、それから特設の箱の交番が二カ所、正門前とそれから交番所の横とにあります。そこらを見ると、相当な人員の警官を使つているのですが、そういうようなもの、或いは中には、これもクラーク大将が見えてからは、日本人のガードを専門に使つておるようですが、そういうことから見て、証拠ということは、こういうあそこの周辺にいる日本警察官並びに目黒或いは最寄の他の警察署において傍受をするような、例えば共産系の者、こういうような意味においても絶対にないということが断言し得るのかどうか、その点。
  21. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) この点につきましては、先ほど電電公社のほうからお話がございましたように、電話局からクラーク大将屋敷に至ります中間におきまして傍受をするということは、全く不可能でないにしても、それに近い、これは技術的に考えてそれに近い、ケーブル線の関係からというお話がございました。警察がしたということでありますれば、これは内部の問題でありますから、調査をすればわかるのであります。警視総監も、先ほど申しましたように、昨年この捜査を依頼されておるのでありまして、警視庁内部につきまして、いろいろと事情調べられたのであります。勿論さような事実はないわけであります。そうしますと、まあ第三者が、そういう中間においてやるということも、これはまあ一応考え得ることは考え得ますが、先ほど申しましたような、ケーブル線の状況から申しまして、中間においてするということは、先ず不可能に近いということでございますから、あのクラーク邸の周辺には、相当の警備警察官がおりますから、第三者がそういう工作をするということは、先ず不可能であるというよう考えて差支えない、かように存じます。
  22. 山田節男

    山田節男君 そうすると、今の言葉は、警察官の中では傍受するような、例えば今日いろんな機密の漏洩から見ると、警察関係の中に相当共産分子が入つておるということは我々は思い当るところが多いのです。少くとも目黒警察、或いは渋谷警察官内に従事しておる警察官の中に、思想的にそういつた傾向を持つておる者は絶対にいないということは保証できるのかどうか。
  23. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 警察といたしましては、部内におけるそういう分子につきましては、絶えず平生から注意を払つておるのであります。勿論そういう思想上の問題のみを以て、そういう者を部内から排除するというわけには参りませんが、平生の勤務状況その他を調べまして、不適当であると思われる者は、機会を得て排除いたしておるのであります。この点国警におきましても勿論でございます。警視庁におきましても、過去におきましてそういう若干の分子がおるような形跡があつたのであります。これに対しましては、適宜な処置をとりまして、排除いたしたのでございます。現在そういう傾向の者が、このクラーク大将屋敷の周辺の警察署におつて、そういう工作をしておつたということにつきましては、警視庁におきまして捜査をいたしましても、そういうことはなかつたと、こういうことでございます。
  24. 山田節男

    山田節男君 電電公社にお聞きしますが、このクラーク大将著書の中に、どうも自分のうちの電話傍受されておるらしいというので、クラーク大将通信隊員をして、すべて電話日本のスイッチ・ボードを通じて来るようになつておるから、そのスイッチ・ボードに対して、そういう傍受されないようにいろんなことをやらなくてはならなかつたというようなことを書いておるわけです。こういう機密に対してそういう事実があれば、必ず電話交換局へ向うの通信隊の者が来て、ここはこういうふうにしろとか、機密の漏洩、傍受が不可能になるようなことをしたよう記事があるわけです。そういう事実があつたのかどうか。
  25. 梶井剛

    説明員梶井剛君) そういう事実は全然聞いておりません。従つてエーミス少将から国警に連絡されたと同じように、当方に対してやはり秘密漏洩を防ぐために、こういう措置をしてくれという要求は曾つて一回もなかつたのであります。又先ほど国警のほうからお答えがありました通りに、電電公社に対して、盗聴するためにこういうことをしてくれと言われたことも曾つて一回も今日までありません。ですからして、私ども警察秘密を漏洩するような処置は講じておらないということは言い得ると思います。
  26. 山田節男

    山田節男君 ちよつと速記をとめて頂きたいと思います。
  27. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記とめて下さい。    〔速記中止〕
  28. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。
  29. 久保等

    ○久保等君 まあ先ほどこのクラーク大将の著述の問題に関連しての事情について御説明があつたんですが、初めクラーク大将のほうから田中警視総監斎藤国警長官に一応極秘捜査をしてもらいたいという依頼があつて、いろいろまあ調べてみたけれども確たる事実も見当らなかつたということで、そういつたことについていろいろ文書の往復をされたようなことを言つておるのですが、何ですかあとの結末について直接警視総監なり或いは国警長官からは何ら報告といいますか、事情説明も行なつておらないということなんですか、その点ちよつとお聞きしたいと思います。
  30. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) この件に関しまして私のほうから文書は出しておりません、先方に。それから先ほど申上げましたように、ただ漠然と傍受されておるようだから調べろと、こういうお話があつたのですが、そのときに専用線でしようか、加入線でしようか、又発見された場所はどこでございましようか、それから発見したと言われる方はどういう方ですかと、これは捜査を進めて行く上に基本的に是非必要なことなんですから御照会したわけなんです、口頭で、長官が。ところがそのときは、あとで調べて返事するということで、暫らく待つてつたんですが、御返事がない。それから又重ねて私のほうからエーミス少将に対して、この前の照会に対して御返事がないが、私のほうでも調べておるがどうもはつきりわからんし、こちらからお聞き合わせしたことについて回答して頂きたいとお願いしたのです。又暫らく待ちましても御返事がない。更に又それを繰返すというよう状況を先方との間にはやつてつたのであります。従つてまあ再三再四に亘りましてお願いしたわけですが、そういうお話がないものですから、私のほうで調べましても事情が、まあそういう事実がないものですから、向うも一旦話してみたけれども、どうもはつきりしないというようなことで、余り話もされたくないというのかと思いまして、その後は私のほうも実は余り向うに対して催促いたすのも工合が悪かろうと思つて控えておつたところが、この本が出てびつくりしたという事情なんです。
  31. 久保等

    ○久保等君 なお、今度のUPからの報道によつて問題が非常に大きくアッピールされたような形になつたのですが、外務省を通じて正式の抗議も、抗議といいますか、どういつたようないきさつでこういつたことを公表せられたかというようなことで事情を確かめておられるようですが、それについても何ら返答がないということなんですが、勿論そういつた手続を今日やつておられると思うのですが、それもすべてこの新聞に出た以後の問題として恐らく外務省を通じて正式の抗議といいますか、経緯のもう少しはつきりした形で確かめておられると思うのですが、これはつい数日間における問題だと思うのですが、現在のところ何らそれに対して回答も来ておらないということなんですか。
  32. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 現在はそのいきさつ、アメリカ側に対しまして非公式に何か資料記録等があるかどうか知らして頂きたいということを非公式に連絡しておるわけであります。それがわかればこれは正式の外交ルートを通じていたすということでありますが、まだ正式の外交ルートを通じてはいたしておりません。事情をやはり慎重によく調べてなにしなければならん。それから先ほどクラーク大将宛に手紙でお尋ねしたというのは、これは長官個人のことでございます。
  33. 久保等

    ○久保等君 この際電電公社の総裁がお見えですから総裁にも若干希望のようなことも申上げておきたいと思うのですが、この問題については一応事情は、以上のよう事情でありますれば一応その経緯は了解できると思うのですが、ただまあ最近いろいろな意味で通信秘密確保の問題について非常に問題になつて来ておる際なんですが、電気通信の場合においてもいろいろ一般の国民にして見ると、何らかの形で盗聴はせられておらないだろうかというような一種の疑念といいますか、不安な気持を持つておるよう状況もあると思うのですが、電電公社としてはすでに一応全国的な各それぞれの部署に対しても厳重にそういつたことのないようにという方針をはつきりと通達を出されたというようお話も伺つておるのですのが、やはり電気通信の場合には途中で、自動交換の場合には勿論のことですが、従業員等を通じ、それから又機械そのものも部外から技術的に盗聴をやろうと思えば必ずしも絶対不可能ではないという電気通信の性格からいつて、この通信秘密確保の問題についてはよほど技術的な問題からも慎重な考慮を払わなければならないと思うのですが、いろいろ通信の、例えば電話の漏れるという問題、漏話の問題等を通じて非常に通信を行う利用者の立場からしますと、技術上の問題としても不安の面が全然皆無だとは言い切れないと思うわけです。こういつた問題について、やはりこの際通信秘密確保責任を持つておられます電電公社の場合には、そういう技術上の問題から考えても、相当こういう際であればあるほど、特別な何か対策考えられる必要があるのじやないかという気がするのですが、そういう通信秘密確保という観点から、技術上の問題或いは運用上の問題、そういつた総合的な立場から一段と努力をせられる必要があるのじやないかと思うわけです。その点について若干一般の利用者から投書めいたようなことで、或いは申告といいますか、そういつたようなことは全然ございませんか、どうでしようか。それを一つ事情をお聞きいたしたいと思うわけですが。
  34. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 只今お話通りに、技術的に全然盗聴を不可能にするということはなかなか困難であると思います。なぜかと申しますと、電話回線というものは絶えず試験をしまして、そうして故障のないように未然に防ぐことをしなければなりませんので、試験室におきましては、どの回線もいつでもそこに触れてそうして試験し得るような装置になつておるのであります。若しこれを不可能にしますると試験ができなくなつてしまう。或いは試験の度数が非常に少くなつてしまうということになりますから、現在のサービスを維持することすらも困難になる虞れがあるのであります。併しその他の部分につきましては、これは成るべく盗聴を防ぎ得るように試験しないでいい所はしたいと思います。又漏話の問題につきましては、これは終戦直後におきまして絶縁が低下しておつた時代においては、漏話という問題がときどき起つたようでありますが、今日においては大体そういう不良な個所は修理されておりますので、普通漏話という問題は、聞き得る程度の漏話なんというものは先ずあり得ないと私は思うのであります。ただ申告等はそういうものがあつたかなかつたかということにつきましては、私直接知りませんので、運用局長がおりますから運用局長からお答えいたします。
  35. 田辺正

    説明員(田辺正君) 電話の傍聴或いは電話内容関係のない人に漏らしたということについての申告は今日までございません。
  36. 久保等

    ○久保等君 若し、若しでなく申告がないということであれば非常に結構だと思うのですが、ただ私はこの際でありますししますので、是非そういつた面について、全国的に仮に若干の疑念でも持たれるような事実でもあると非常に遺憾なことだと思うのですが、何らかの形でそういつた問題について、特に一つ格段の御配慮をこの機会にお願いを申上げておきたいと思うのです、まあ希望意見を附しまして……。私の特別にお伺いすることはございませんが、いろいろ一般の文書による通信秘密というような問題がやかましく言われておる際でありますだけに、電気通信秘密の確保の問題について格段の一つ御努力を願いたいと思うのです。
  37. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今の久保委員の御発言に関連いたしまして、私からも先ほど山田委員お話にもございましたが、非常に国連軍当局が共産党を警戒しておられたというようなことから、私ども電気通信委員会関係いたしません以前のことでありますが、レッド・パージが相当公社でも行われた、その以前には相当、まあ噂かも知れませんが、局内においても通信か漏れる、警察関係警察は直接自分電話を持つておりますが、対共産党の問題について、或いは労働対策等についてはうつかり電話が使えないということも聞いておつたのでありますか、これはレッド・パージ以後非常に縮小されたと思うのでありますが、そういうことが私は、先ほど非常にクラーク大将が神経過敏であつたというお話から連想いたすのでありますが、過ぎたことは言う必要はないかも知れませんが、さようなことを警察として御心配になつたかどうか。又そういつたことに対して電電当局といたしましてはどうお考えになつたか、これは将来の戒めといたしますためにもその間の事情を、私はそういうところからも著書なんかも相当影響するのじやないかと思いますが、若し何かの情報等がございますれば伺いたいと思います。
  38. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 警察電話は、御承知のように前は警察業務におきまして運用いたしておつたのであります。占領中に警察電話の能率を向上させるという趣旨から専用回線は持つておりますが、外線関係は全部普通の電話と同様に電話局のコードを通ずるようになつたわけであります。お話ように二十五年頃までは、そういう局内におきまして警察関係の通話についてどうも心配があるようなことは二、三あつたことは私も聞いております。私自身も神奈川県の警察隊長をしておりまして、国鉄の人民電車事件の当時に、それではないかと思われるような経験をいたしたことはございます。併しその後お話ような部内のいろいろの処置も講ぜられまして、その後におきましては私どもは余り聞いておらないのでございます。
  39. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 只今の御趣旨に対しましては、我々は十分に今後処置を講ずるつもりであります。殊に国家の秩序を保つておられます警察通信をお預りしておるわけでありますから、重要な通話が他から盗聴せられるということのないようにいたしますためには、単なる通牒や訓示では趣旨が徹底しないと思いますから、今後ともそういう重要回線に対しては盗聴ができるだけ困難なよう措置をしたいと思います。
  40. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  41. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて。  この問題につきましては国警としても公社としても、国際的にも又国民に対しても安心を与えるために今後十分調査の上で処置をとられることと思うのでありますが、特にいろいろなことが重なりまして、先ほど申しましたラストヴオロフの事件ども、とにかく一応署名までして外人も読みます新聞に出ておるのでありますので、時と所がはつきりわからないとかいうようなことでなしに、これは積極的に一つ警察としてもその間の事情を明らかにして内外に安心を与えられ、日本電気通信というものの信用を確保せられることが非常に必要だと思うのでありまして、当委員会としても非常に心配をいたして調査をいたしたのであります。十分責任を持つて今後の処置をされたいと思うのであります。何か御意見がございましたら一つ……。
  42. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) 委員長から御指摘になりました点につきましては、でき得るならば御本人にその間の事情等をお伺いいたしまして、十分に事態の明らかになりますよう調査をいたしたいと思います。
  43. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) もう一つ事件、ラストヴオロフの事件ですが……。
  44. 山口喜雄

    政府委員山口喜雄君) ラストヴオロフの事件、その事件を今申上げたのであります。その稲垣という人の友人がこういうことを言うたことがある、その友人の外国通信社の方にも直接会つて事情調べたい、かように存じております。   —————————————
  45. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 壱岐対馬電報料の件を廃止する法律案を議題といたします。  質疑のある方は御発言願います。  別に御発言もないようですから、質疑はこれにて終局したものと認め、直ちに討論を行うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないものと認めます。  これより討論を行います。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もなければ討論は終局したものと認め、これより本案の採決を行います。壱岐対馬電報料の件を廃止ずる法律案、(内閣提出衆議院送付)本案全部を問題といたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  47. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 全会一致でございます。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告及び爾後の手続等は、慣例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に本案を可とされましたかたは、順次御署名を願います。   多数意見者署名     島津 忠彦  久保  等     石黒 忠篤  新谷寅三郎     山田 節男   —————————————
  49. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う公衆電気通信法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は御発言願います………。別に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認めます。  これより討論を行います。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べになるよう願います……。御発言もないようでございますから討論は終局したものと認めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。  これより採決を行います。日本国アメリカ合衆国との間の安全保障条約第三条に基く行政協定の実施に伴う公衆電気通信法等の特例に関する法律の一部を改正する法律案、(内閣提出衆議院送付)本案全部を問題といたします。本案を原案通り可決することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  52. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 多数でございます。よつて本案は原案の通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告及び爾後の手続等は、慣例により委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次に本案を可とされました方は順次御署名を願います。   多数意見者署名     島津 忠彦  石黒 忠篤     新谷寅三郎
  54. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) これにて休憩をいたしまして午後一時から放送法につきまして参考人の御意見を聴取することにいたします。    午後零時九分休憩    —————・—————    午後一時二十三分開会
  55. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 午前に引続き委員会を再会いたします。  最近聴取者その他において非常に発展をいたしましたラジオ、更に新らしくテレビジヨンも発足いたしまして、我が国の放送事業が各方面に非常な重要性を持つことは申すまでもございませんが、現行の放送法はこの画期的な放送事業の発展に応じて相当改廃をしなければならんという点も多いと思うのでありまして、すでに第十六国会に放送法の一部を改正する法律案が政府から提案せられましたが、もつと根本的に検討すべきだということで廃案になつた次第でございます。政府におきましても委員会を設けまして政府の部内更に一般からの御意見を聴取して、この国会には間に合いませんでしたが、次の国会には必ず法案を提出する目途で努力いたしておるのでありますが、国会といたしましても政府の出したものを審議するというだけでなしに、この重要な問題について国民を代表して十分の検討をいたしたいというので、衆議院ではそのために小委員会を設けられておるようでありますが、参議院は委員の数も少いので、全員でこの問題をできるだけ研究をしたい、かような意味で本日は参考人の方に非常にお忙しい中をお願いをいたしまして御臨席を頂いたのでありまして、私どもがこの問題に取組みまするについて有益な御示唆を受け得ることと期待をいたしまして、御出席に感謝いたしておる次第でございます。時間等も余り制限いたしませんので、できるだけ一つ放送法に対する御意見を承わりたいと存じます。  最初に日本新聞学会会長小野秀雄先生にお願いいたします。
  56. 小野秀雄

    参考人(小野秀雄君) 放送の問題は余り新聞ほどよく考えておりませんので、或いは正鵠を得ないかも知れませんが、大体先だつて頂きました議会の委員会の抜き書、そういつたものによつて考えて見たのです。  第一に、放送行政が問題になつておるようでありますが、ところが放送行政は非常に新聞行政に似ておりますので、できるだけ時の政府の考え方が影響しないようにやつて行くということが一番必要なんでありましよう。併し新聞と少し違う点が放送にあると思うのです。これは新聞には殆んど憲法で規定されておる以外の自由の制限はないのですが、放送のほうになりますと電波の制限というものが一つあります。それから放送協会に対しては特に高度の公共性に対する要求があります。  それからもう一つは中立性の要求でありますが、この中で公共性というほうは、これは程度の問題で民法のほうにも、或いは又中立性も民法のほうにあるのですが、その関係は別としまして、公共性の問題は新聞にも或る程度共通しておるのですが、新聞には中立性の要求がないのです。それから電波の制度がやはりないのです。丁度電波の制限と言いますと、新聞紙ですと紙の制限のようなものなんです。竹本政府は紙の制限で非常に困つたのですが、それで紙の制限をやるためにいろいろな苦心をしまして相当これに関するいろいろな法律を作つております。戦争が終りましてもやはりこの紙の制限がありまして、それをどうするかという問題で司令部の指令で委員会を作つてそれで一応埓を明けたのでございます。この委員会も実は弊害がありまして、私も最初の委員会委員でしたが、後になりましてからこの委員会を大臣の所管に移したのです。大臣の所管に移すということになりますとやはり自由の面に抵触して来ることであり、私どもはそれに反対をして委員会を自壊さしてしまつた。その後自由党内部のほうで自分の思うよう委員会を作つて大臣を委員長格にしてやつて来たのですが、どうもこれがやはり面白くなかつたという、そういう点がありますので、この委員会行政もいいにはいいのですが、これはよほど考慮を要するのです。併し新聞と違いまして今の電波の制限がありますというと、やはりそれに対して独自の専門的な知識が相当必要であります。それから中立性の要求はこれは非常にむずかしい問題で、今教育のほうで問題になつておりますが、従来割にうまく放送行政は行つてつたのですが、これだけが新聞と違つて非常に大きな自由の制限だと思つております。これを放送法で残して置くということになりますと、今の行政委員会なるものについて相当なその方面の公平な判断のつく人を入れなければ困ると思います。勿論そういう委員会を作つて、その委員会の権限を非常に大きくするということは問題でありますが、とにかく最初の許可をするときの判定、それから再認可の判定、その再認可の判定の際に、過去の業績を見て判断するのでしようから、その場合に今の中立性が守られているか守られていないかということを見るのは非常に重大な問題になつて来ると思います。もう一つは、いわゆる公共性が守られたかどうかということを見るのも非常に重要な問題だと思いますので、この委員会は簡単に作られては困ると思います。併しどうも委員会よりほかに持つて行きようがないと思いますが、そうなりますとやはり十分にこの構成に注意を払つて委員会を作つてそれにやらせる、そしてできるだけそれに輿論を反映させて今の電波の問題とそれから放送内容の問題に対しては、十分に公平た判断のできる人を中に入れるといつたよう考え方で委員会を構成したらいいのじやないのですか、こう思うのです。これが一つ、この文献を見ますというと出て来る一番重要な問題だと思います。それからもう一つの問題は、この公共放送と民放の区別の問題ですが、日本は二本建になつておりますので非常にやり方がむずかしいらしい。これが一つの終戦後の政策のミステイクではないかと思うのですが、併しミステイクだといつても今何とも始末はいかんわけですが、これを何とか従来の歴史をできるだけ尊重して、そうしてできるような、何とか納得の行くよう方法をとらなければならないと思うのですが、この民放とそれから公共放送の区別は、言うまでもなくこれは公共性の問題だと思います。片方に高度の公共性の要求が相当ありまして、併しこれは余りに高度な公共性を持ちますと、やはり性格が浮上つてしまいます。そうなると放送の意義がなくなつてしまう。やはりこの高度の公共性といいましても、これは限度の問題であります。まあ民放に比して高度という問題でこれをむやみと浮上らしてしまつて、そうして大衆性のある娯楽用の放送を民放のほうに皆持つて行くということになりますと、これは公共放送の 意義がなくなつてしまう。でありますからこれも大体輿論の納得の行く程度でとどめなければならん、まあこう私ども考えております。そうすれば、一体どこでどうしたらいいかという問題が起つて来るのですが、これは放送技術の問題で、私どもの深入りすべき問題ではないかと思いますが、これは番組の構成とか、そういうものに相当の苦心を払つたらできるのじやないかと思うのですが、特に運営委員会がありますので、この運営委員会の機能がしつかりしておれば、高度の公共性を保つて行くということはできるのじやないかと思うのです。これが実情は私はよく知りませんが、これは何といいますか、奉仕的な組織で余り熱意のない組織だということになりますと、これは無意味になります。ですからこの法制の上から見ますと非常によくできた法制でありますが、併し果して法制の要求するような運営が十分にこのままでできますか、できませんか、これは実際のほうの方に聞いたちと思いますが、それができておれば大体納得の行く高度の公共性は保てるのではないかと思うのです。これはまあそういうために番組の原則を作るよう委員会を作つてみたり、或いは又放送番組の審議委員会というようなものを作るというようなことも一つ方法じやないかと思いますが、新聞社の中にもやはり内容を審査する役員会を持つておる、それが絶えず新聞の反省作用をやつて行くのです。これはどうも外に設けてそうしてやらして行くということになりますと、無用の干渉になりますので、やはりこれは内部に置いて頂きたいと思うのですが、内部に置いておく代りに、運営委員会が相当強い責任を持つておらなければならんと思います。そうして民放のほうにしても、納得の行く程度の高度を保つて行く。まあ何だか今の状態を見ますと、民放と公共は対立しているようですが、この対立関係が非常に面白くないと思うのです。やはりこれはどこまでも提携して行くべきものなのです。一方はできるだけ高度の公共性を持つて、一方は一応憲法で認めている基本人権を侵害しない程度でやつて行く。できる限りそれは商業放送に徹底する、そういう行き方で行けばそう対立関係はなくなるのじやないかと思うのです。で、又一方放送以外の問題でも、できるだけ放送協会というものが公共的な見地に立つているのですから、いろいろな面で民放を助成し行くという態度を持つて頂きたい。勿論研究設備なんかも開放しているようですが、これが果して民放の了解ができる程度に開放されていますかどうか、こういうこともやはり運営委員会責任問題だと私は思うのです。  その他いろいろの問題があると思いますが、このテレビジヨンの問題にしましても、どうも民営のテレビジヨンがうまく行かないという話を聞きますが、これに対する政府の政策は余り納得が行くものではないと思いますけれども、こういう問題に対してもできるだけ公共放送のほうから協力してこれをものにして行く、助成するように助けて行く。それで放送料の問題がそこに関連があつたようですが、一方のラジオでラジオの聴取料をそのほうのテレビジヨンのほうに廻すのはよくないというような意見があつたのでありますが、そういうことは問題ないと私は思うのです。やはりテレビとそれから言葉の放送とこれは二つ一緒の公共事業なのです。ですからこれは互いに有無相通じてやつて行けばいい。放送協会はできるだけテレビジヨンのほうの発展に金をかけても、決してそれは不都合じやないと私は思うのです。そういうふうな一面番組にできるだけ高度の公共性を持たせる。それから一面は民放の発達にできるだけ協力して行く。勿論サービス、いわゆる聴取者へのサービスというものについてもできるだけ力を尽して行くというよう方法で、どうしても日本の放送界ではまだ公共放送が第一線に立つて日本の放送の発達のために進んで行かなければならんのじやないかと私は思うのです。まだこれが民放と同じ立場に立つてつて行くというところへは来ていないのじやないかと思うのでありますが、そういう意味で、やはり公共放送というものをできるだけ保護してやつて行く、政府も保護しまして、そうしてこれをものにして行くということが必要になつて来ますというと、やはり聴取料の問題というものもおのずからそれによつて判断して行くべきじやないかと思うのであります。聴取料の問題がいろいろ言われておりますけれども、聴取者の立場からみますと、これは納得が行きません。何だか片一方のほうに取られて、片一方のほらが無料だというようなので、変だと思うのですけれども、併し片一方のほうには広告がついております。やはり聴取者のほうにマイナスがそこにあるのです。聞かなくともいい広告を聞かなければならん。どうかすると相当放送の内部にまで広告が滲透しておることがあるのです。不愉快な感じをすることがあるのですが、そのマイナスとプラス・マイナスすれば聴取料は問題じやないと思うのであります。思想的にみますと、これは非常に損なように思われますけれども、又商品の売価にこれが転嫁されておるというようなことも考えられますので、深く考えれば別にこれに対してそう不平を言うべきじやないと私は思うのであります。いわんやこれを何か一部民間の放送に出すというようなことになりますと、これは民放の特殊性をまるで無視することになりまずので、そんならいつそ全部公共放送 にすればいいじやないかという結論になつてしまう、非常にその点面白くないと思うのです。やはり民放はどこまでも自由なんです。どこまでも自由な立場で、できるだけ商業性を発揮して行くということができるのでありますから、その点で思うように仕事をすればいいので、そこまで民放としては考えるべきでないと思うのです。勿論大きな民放はそういうことをお考えになりますまいが、小さな民放の中でそういつた意見があることをちよつと耳にしておりますけれども、これは運営の方法その他で何とかなるのじやないかと思うのですが、その運営方法がまずいという点で或る程度公共放送が相談に乗つてやるといつたようなこともいいのじやないかと思うのですが、そういう意味で私が一応材料を拝見しまして持ちました意見ですが、つまらん意見ですけれども、この二つでありますが、勿論衆議院のほうで委員会を作つてこの問題をやつておられるのでしようが、まあ我々としてはそう委員会内容にまで触れたくないのでありますが、併し衆議院委員会なるものもよほどこれは公平な立場で作つて頂きたいと思います。できるだけ政治色のないように、非常に放送は、前に言いましたように窮屈なので、中立性を要求されておるので非常に窮屈で、新聞と同じように行かんということだけは政府も考えてやらなければならんのじやないかと考えております。その点よほど放送はマイナスだ。若しこれが自由であれば政党の放送でも何でもできるわけです。そうなれば従つて資金の運営も楽になるのでしようが、それができないのです。自由党の放送を作るわけに行かず、共産党の放送を作るわけに行かない。ですから政府としましてもその点はよほど考慮して、新聞以上に放送に対しては同情を持つて考えるべきじやないかと思いますが、私の意見はそれだけでございます。
  57. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。  次に、日本放送協会理事金川義之さんにお願いいたします。
  58. 金川義之

    参考人(金川義之君) 放送法の改正問題につきましては非常に重要性を持つておりますので、放送協会におきましても本年の当初から特別の調査委員参作つていろいろな問題点について研究調査を続けまして、或る程度資料か集りますれば、それを理事会に移して更に仕上げをするというふうに運んではおりますものの、まだ具体的な結論というものは実はそれほど出ていないのであります。経営委員会におきましてもこの二、三回主として放送法の問題を中心に審議して頂きましたが、その結果大体放送協会として放送法改正の際希望する一般的な方向と申しますか、概括的な方向というようなものが大体出て参りましたが、それにつきましてもまだ具体的な改正点まで、是非こうして欲しいというところまでは参つていないのであります。従いまして今日は私から協会を代表して意見を申上げましても、やや抽象的になるのしやないかと存じますが、まあ悪しからず御了承願いたいと存じます。経営委員会で今まで打ち出されました一般的な方向といたしましては三つほどございます。その第一には、NHKが公共放送として真に責任と義務を負担するためにはどういうふうな放送法の改正をして頂いたらいいかという点。それに伴つて又その責任と義務を遂行するために必要な周波数或いは電力割当上のNHKの優先規定というふうなものを考えて頂けないものかどうかという点であります。第二には、NHKが国民的な基盤に立つ公共的事業体であります以上、聴取者へのサービスをもつと強化徹底する必要があるんじやないかという反省であります。そのためにいろいろな方法考えられますが、現在放送法に定められておりまするNHKの主としてサービスを中心とした業務範囲をもう一層拡充して頂く必要があるのではないかという点でございます。第三には、NHKの運営に当りましては番組の自主性を持たすことが何よりも必要かと存じますが、この番組の自主性が阻害されないように将来とも監督のあり方を規定して頂きたいこと。大体以上の三点に尽きるように存じます。まあこの三点をやや具体的な問題に当てはめて申上げますと、第一の公共放送の責任と義務をより明確にする点でございますが、私どもは今度放送法の根本改正がございましても、恐らく将来とも日本の放送事業のあり方は、日本放送協会と商業放送体系の二本建で行くほかないんじやないか。その点は恐らく変りないであろうというふうに存じますが、そういたしますと、今も小野先生のお言葉にございましたように、両方の事業体が今より以上に一層おのおのの特色を明らかにして、二つの事業体が併存して行く妙味というものを国民に感じて頂くようにしなければならんのじやないか。そう考えますと、NHKとしては今より以上に公共性を明確に打立てる。今の放送法の第七条には、NHKは、全国あまねく放送が受信せられるように設備を拡充する義務を負つておりますが、私どもは将来は施設面の拡充義務だけでなしに、今の放送法の第四十四条に、番組面につきましては、NHKは商業放送と違いまして、特に聴取者の要望を充たし、国民文化の向上に資するような番組編成方針をとり、具体的にそういう番組を組むように要請されております。施設面の拡充と、そういう高度の公共性ある番組を組むという二つの面の責任を、NHKの設立目的の中に、第七条に明定して頂くほうがいいんじやないか、そういうふうに考えるわけであります。それをやや具体的に申上げますと、NHKの番組を編成するに当りましては、権威のある機関、放送番組審議会というような形の権威ある機関を作つて、それに必ず掛けて番組編成方針をきめるというようなことを法律できめて頂くことも有効でありましようし、又NHKにつきましては、特にラジオ・コード、倫理規程を持つ、ラジオ・コードを持つよう法律で義務付けられることも、これは或る場合には必要なんじやないか、そういうふうな考えを持つておるわけであります。なお今放送協会の義務放送といたしましては、選挙放送と国際放送の二つがございます。このほかに、私どもはNHKの放送をより公共的に活かずためには、義務教育のカリキュラムに織込むよう内容の学校放送を義務放送として行うということも考えられるのではないかと思うのであります。なお義務放送として行います以上、そういうふうな種類の放送はできるだけ日本放送協会の費用、経費において実施したい。選挙放送なんかもNHKの費用で実施する。できれば国際放送についてもそういう考え方を通したいと思うのでありますが、今の受信料が中波の放送のサービスに対する代価というふうに考えられております点から見て、まあその点については若干の疑問もありますので、今後とも研究を続けたいというふうに存じております。なお今申上げました第一の問題点の後段でありますが、その義務を遂行するためのNHKの優先規定と申しますと、こういう点にあるだろうというふうに存じます。放送事業が公共の福祉を目的とするものであり、且つ周波数が限定されております関係上、必然的な結果といたしまして最も効果的と申しますか、効率的に全国あまねく放送が聴取できるような施設を完備し、且つ全体として調和がとれ、優れた内容として番組のサービスができる企業体としてNHKのような公共的事業体が置かれておる、法律の趣旨はそこにあるというふうに考えますと、やはり将来の日本の放送事業のあり方はNHKが中心的な存在と申しますか、或いは第一義的な存在であるというふうに法律で確認して頂きたいものだという希望を持つわけであります。NHKも三十年の歴史を経まして、今第一放送では大体九八%、第二放送でも九四%の電波の普及を見ておりますけれども、或いは電波がまだ普及していない山間僻地に電波を行き渡らせることがNHKの持つ使命から申しまして非常に重大であるという点から考えまして、今後できるだけ急速に聴取困難地域の絶無になるように進めたいというふうに考えて承りますか、何分国民の受信料で賄つておりますNHKといたしましては、国民の負担が最小限度にとどまるよう方法でそういう施設の拡充を図るのが当然の義務であるというふうに考えます。そういたしますると、NHKに対してできるだけいい周波数、或いはできるだけ大きい電力の割当を頂きたいものだと、これは協会側のお願いであります。  第二の点でありますが、サービスの強化のための具体的な手段といたしまして、今若干考えておりますのは、先ずテレビジヨンの普及を急速に達成するための業務の拡充であります。テレビジヨンの普及は、実は我々の計画では今の実績の倍ぐらいの予定であつたのでありますが、いろいろな都合から遅れております。その主な原因は、やはり受像機が相当高価でなかなか普及しにくいという点にあるように存じますが、そういう点を除去するためには、中波の初期においてNHKが最も安い費用で而も性能のいい受信機を作ることに研究所あたりを中心にして研究し、今その結果を有力なメーカーに渡して相提携して受信機の普及に専念した、それが当時効果的に聴取者を獲得いたした方法でありますが、テレビジヨンの創生期にある現在、そういう方法をとらして頂けないものかということを考えるのであります。今の放送法では、ラジオにつきましては勿論、テレビジヨンについても受像機をそういう低廉で優秀な受像機にいたしましても、そういうものの協会側の推薦とか或いは認定ということは一切禁じられておりますけれども、そういう点は業者の利益に相反しないで何とかできる方法があるのじやなかろうかということを考えます。なお受像機がもつと急速度に普及いたしますためには、そういう普及のための官民合同の一大機関を設置される必要があるのじやないか、そういうふうにも存じます。そういたしますると、そういう官民合同の公益的な普及事業体に対して協会も一肌脱いで応援するということができるよう方法考えられるのじやないかというふうに思つておるわけであります。  なお若干問題は小さくなりますけれども、NHKが名古屋において鉄塔を建てました場合、或いは独立の局舎を設けることが土地の関係上できない場合に、他の事業体と共同して局舎を建設するという事例もだんだん殖えて参つております。そういう場合にNHKが共同出資をする方法が、今の放送法では非常に窮屈でございますので、そういう点を何とか打開して頂けないものであろうかということも念願しておるわけであります。  その次に考えられますのは、研究の拡充という問題があります。今でも部外の団体から役所或いはメーカーその他研究団体等から、こういうものに対してこういう研究をやつて欲しいという御依頼もございますし、協会といたしましては、逆に協会のみであらゆる研究を担当いたしますのも不適当でございますので、基礎的な部分は大学の研究室にお願いしたり、実用試作化の段階になれば強力なメーカーにお願いするということが考えられます。そういうことがスムーズにできるよう法律の規定が欲しいものだというふうに考えるわけであります。  第三番目に申上げました概括的な方法、これは放送番組編集権の独立を保つために、行政監督はできるだけ少くして欲しいというお願いでございますが、これにつきましては勿論NHKが公共的な事業体である、国民の受信料によつて賄われておる事業体であるという立場から、それ相当に必要な監督は勿論あり得ると存ずるわけでございますけれども、何分言論報道機関としてNHKが存在する理由のまあ中心は、先ほどもお話がございましたように、NHKの番組が中正公平であるという一点に尽きるかと存じます。番組のそういう中正を少しでも歪めるような虞れのある監督は、これは直接であることは勿論、間接の場合でもないようにお願いしたいということであります。放送法制定当時の経緯を考えますと、できるだけ放送事業が中立であるようにと、政府権力からも一切左右されないようにという趣旨でできておるようでありますし、電波監理委員会ができましたのもそういう趣旨だろうと思うのでありますが、電波監理委員会が郵政省に代りましても、そういう言論の自主性と申しますか、中立性を保つための方法は十分お考え願いたいというふうにまあ存ずるのであります。  まあこの問題に若干関連いたしますが、受信料の問題がどうも性格的に割切れないので、何とか国民の全部の方に納得して頂けるようなすつきりした形がとれないものかという御批判は始終承わつております。我々もこの問題に対しましては虚心に今までいろいろ検討いたして参りましたが、結果的に申上げますと、現在の制度を他の方法に置換えて、まあ聴取者に対するサービスの点、コストを下げる点というような、具体的、実際的な問題につきましてもより以上の制度を考え得ませんし、又今の制度を維持することが、先ほど申上げました放送協会の番組の自主性を保つ上に一番役立つておるのじやないか。他の方法によれば多かれ少かれ影響が及んで来るという虞れが考えられますので、まあできれば今の制度を維持して頂きたいと、そういうふうな希望を持つております。  なお、今申上げました三つの基本的な方向に直接関係ございませんが、過去数年間の事例を見まして、新聞と商業放送との関連について若干の考慮が必要なときに来ているのじやないかというふうな気がいたします。まあこれは有力な新聞と有力な商業放送とが同じ経営の下に置かれて、それが非常に日本の言論の或る程度の独占まで行くような発展をいたしますと、これも一つの問題でありますし、又新聞と商業放送とのタイ・アップによつて電波行政に対する新聞の批判が少しでも歪められるようなことがあれば、これは日本の電波による文化のために不幸なことだというふうな気がいたすわけであります。それと若干似たようなことが、地方の自治体が商業放送に出資されたり、いろいろな形で応援される事例がございますが、まあNHKが国家的な要請に基いて、こういう公共的な事業体にもできるだけサービスするという精神ができているとしますれば、成るべくまあNHKを利用して頂きたいし、NHKもいい意味で公共事業体の、そういう地方自治団体の施策というものを十分その地域内の方々に徹底するようにサービスいたしたいと存じますので、そういうことも成るべくならば避けるような方向にお考え願えたら仕合せだと存じます。  まあ大体そういう点を現段階におきます協会側の意見として申上げます。
  59. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。  次に、ラジオ東京常務取締役鹿倉吉次君にお願いいたします。
  60. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 数日前に私にここに出て来いというお話を伺いまして、どういうことを申上げたらいいか、恐る恐る伺つてみたのでありますが、まあ大体論をすればいいというお話でありますから、それではというので伺つたのであります。  先ほど来座談的に申上げますように、私も放送法を拝見したのは、ラジオ東京が出発する前、約三年以前のことでありまして、今日では余り内容を存じておりません。併し、当時の感想を申上げますというと、民放というものは、ほんのNHKの放送に対する猫のしつぼ的に法律ができておる。このくらいに考えてこれは当時の行政としては止むを得ないというふうに思つてつたのでありますが、併し今日は皆さんの方におきまして放送法の改正を計画されるというようなことになつて参りましたので誠に結構なことだと思うのであります。  然らばどういうことを要求するかと言いますと、先ほど小野さんのお話にもあり、又金川さんのお話にもありましたが、ややともするというと公共放送、商業放送というふうに分離をされるのであります。内容的に申しますというと、NHKの放送も民放の、即ちラジオ東京の放送も内容には殆んど変りはないのであります。例えば選挙時におきまして、選挙放送を候補者の方にして頂く、これも勿論希望のないところの方々にはやつてもらわんのでありますが、ラジオ東京もNHKも同様にやつている。こういう点におきましても、例えばNHKは公共放送であるからこれは無料でやつていいはずだと私は考えております。然るに政府はこれに対して幾らかの放送料を払つている。民放にも同額の放送料を払う。こんなものは非常な間違いじやないかと実は思つているのであります。あえて私は人の取られることをやきもちをやくわけではありませんが、平素からそういつたようなことを言つているのであるからして、そこらのところは変つてもいいのじやないか、こういうように私はまあ一応思われる。  又放送内容を申しますというと、ラジオ東京は現在十九時間半を放送しております。これを分割して見ますというと、公共的の放送にどのくらいの時間を要するかと言いますと、例えばスポーツ放送、それから教養番組、ニュース、そういう面におきましては五一%を占めております。これはNHKと同率であります。こういうふうに考えて行きますというと、どこが民放、どこがNHKと区別の方法はないじやないか、こういうふうに思うのであります。先ほど小野さんのお話の中に、商業放送というものは如何にもスポンサーの言うままに放送しているかのように聞える節があつたが、果して小野さんはラジオ東京の放送をよく聞いておられるかどうかということを一つあとで伺つてみたいと思うほどでありますが、一例を挙げますというと、ラジオ東京は「ラジオ・スケッチ」であるとか或いは「マイクは探る」若しくは朝の「十分論評」であるとかというものはスポンサーの要求は一つもありません。無論スポンサーはついておりますが、スポンサーの言うままを放送しているわけじやない。ここにおられる中野先生には朝の「十分論評」の放送をたびたび願つているのでありますが、中野さんにこの問題はこういうふうに言つてくれという要求は一遍もしたことがありません。又「十分論評」には朝日生命がスポンサーについておりますが、朝日生命から何らの要求をして来るわけじやありません。最初からそういう約束をしてやつておりまして、講演者或いはその議論というものは、ラジオ東京の言うままにするのだというふうに契約済みであります。例えば「ラジオ・スケッチ」のごときも同様であります。「ラジオ・スケッチ」のごときは、今日は日本通運がこれにスポンサーとしてついておるのでありますが、ここから何の要求もしておるわけではないのであります。そういうふうなわけで、民放といえども何らの拘束はつけておらんのであります。ただ娯楽放送におきましては、例えば或るスポンサーは落語を放送してくれ、或いは浪曲を放送してくれ、こういう希望はありますけれども、併しそれとても放送基準というものが定まつておりまして、そうしてそれによつて番組というものが決定をいたして行きます。そこでスポンサーをつけるということ、だけのことでございますからして、スポンサーからこういう点をああしてくれということは大した要求がないというのが現状なのであります。と申しますのは、只今金川さんのお話にもありましたが、放送というものは成るべく多くの人に聞いて頂きたい、こういうわけであります。その念願におきましてはスポンサーのついておる商業放送といえども、又公共放送と言つておるところのNHKといえども目的は同じことであります。殊にこのスポンサーづきのプログラムというものは、これは成るべく多くの人に聞いてもらわなければ希望を充たすことはできない、こういうわけでありますからして、その間におかしな放送があるべきではない。一例を挙げますというと、或る鄙猥な放送をしたと仮定しますというと、一度は聞いてくれるかも知れませんけれども、その次にはこれは家族のものには聞かされないということになるにきまつておる。そういうわけでありますから、いつでもこの民放の放送内容というものは誠にどこへ持つてつても非難を受けることのないような放送をして行かなければならない、こういうのが建前であります。この席には新谷さんがおられますし、山田さんがおられる、こういう方々は放送については非常な大家でありますからして、恐らくときどき聞いて下さつて御批評もあることだろうと考えるのでありますが、そういうわけで民放とNHKとの間に私は差はない、こういうふうに確信をいたしておるものであります。  もう一つは、私はNHKのここにおられる金川さんにも相当御懇意に願つておりますし、古垣君、小松君、いずれも非常な別懇に願つておる間でありますからして、私は平素においても私の所信は始終話しておるのでありますが、NHKが一番憂慮するところは、放送料の問題だと考えております。私は放送料というものについては非常な疑問を持つている一人であります。あれは契約によつて料金を取るというのでありまするが、あれは強要された聴取料を取つておるわけであります。果してあれが憲法に違反せざるや否やということは私の常に疑問とするところであります。恐らく今後だんだんと人智が進んで来て権利義務の観念が強くなつて行きますというと、中にはおれは支払わないという人ができるに違いないと私は確信を持つておる一人であります。これはNHKの最も苦痛とするところではないか。であるからして私はこの聴取料というものは、むしろ聴取税にするほうがいいという主張者なんであります。そうして政府がこれを取上げる、そうして政府からこれをNHKに交付する、こういう形をとらなければいつかの時代には不払同盟というものが出るにきまつておる、こういうふうに私は確信を持つておるものであります。然らばその料金の一部を民間にもらうか、こういうことになりますと、これは私は非常な反対論者です。よくいろいろな人に会つて話をしますというと、お前は東京のような所でやつておるから、だから地方などのことを考えなしにそういうことを言うのだろうという人がおりますけれども、この放送というものは許可事業でありますけれども、同時に企業体であります。企業体である以上は利益のない所にできるはずはないのであります。又そういう所はやらんでもいいはずなんです。そういうわけでありますからして、而も日本にはNHKというような別の組織の放送局があるのでありますから、そういう所はNHKに任しておけばいい、こういうふうに私は考えている一人であります。そういうわけでありますからして、私はややもするというと税金にしてNHKを拘束するような手を用いることを考えているのじやないかという人がありますけれども、私はそこまでは考えておらんのであります。これはNHKに対してもちやんと自由を与えるよう法律によつて経営を定めさえすれば差支えない、これはどこまでも税金にすべきものだ、こういうふうに私は思います。そこに端を発して、先ほど小野さんの言われるようにNHKと民放とが抗争をしなければならぬような問題が起つて来ると私は思う。その一例を申しますと、NHKに或るタレントの何人かを特殊契約をしてこれを民放に出さないという手を用いられるのであります。これは民放にあつては成るべく自分の所のものを聞いてもらう、いわゆるスポンサーのために聞いてもらう、こういうことのためにタレントをフィックスするという必要はあるのでありますが、NHKがそういうことをしていることは間違いだ、こういうふろに思う一人であります。そういうふうなことはどこから来るかというと、聴取料という問題が関係しているから、そういつたようなおかしな問題が起る、これは確信を持つて申上げることができる、こう私は思うのであります。そういうわけでありますから、これはNHKのためにも民放のためにも、そこらのところは十分考慮される必要があるのじやないか。その基本は何であるかというと、聴取料の問題から起つて来るのだ、こういうふうに私は思つている一人であります。  さて、いろいろ大体論ばかりをいたしておりますが、私は放送法の内容というものは今よく覚えておりませんから、大体そういつたような方針の下に皆さんに新らしい法律を作つて頂けば結構なのです。こういうふうに思うのでありますが、同時に又民放というものには放送基準というものを定めておりますから、或いはこの基準というものを一つの法令のごとく定められるという必要もあるのではないか、こういうふうに私は思うのであります。大体先ほど座談的に申しますように、法律は成るべく少いほうがよろしい、いわゆる法三章であるべきだ、そういう工合にならなければいかんのだ、こう私は思つておりますけれども、必ずしも人間全部が高度の常識を持つているわけじやありませんからして、勿論拘束する必要はあるのでありますが、そういう放送基準というようなものをはつきりと法令によつて定め、これに準拠しなければ民放は実施はできないのだというふうに定めさえすればいいのじやないか、こう思うのであります。今日は民間放送連盟というものができておりまして、そこには放送基準というようなものがちやんときまつております。又各社はおのおのその方針によつて各社の放送基準というものが作られておるわけでありますが、その内容を御覧になれば、又日々の放送をお聞きになれば、どこにNHKと違いがあるかというところは私は殆どない、こういうふうに思うのであります。そういうわけで殊更に公共放送、民間放送というふうに分離をするということはどういうわけだか、私は大変不思議の一つだと思うのであります。殊更に民放を特別のえた村的存在に考えられるということは、私は誠に遺憾なことだ、こういうふうに思つておるわけであります。  さて、もう一方、今新聞についての金川さんのお話もありました。私もこれは疑問としている一人であります。私は左藤さんや何かも御承知でありますが、長く新聞を経営いたしておりましたが、或いは新聞というものと分離するほうがいいのじやないかというようなことは考えておるのでありますが、然らば今日どういう欠陥があるか、こう申しますというと、今日は私は何も支障はないのだ、こういうふうに考えております。同時に又新聞社が経営することが却つて便利ではないかというようなことも考えられる。併し非常に強い経営者ができて来ますというと、現在金川さんが心配されるような問題が起らないとは限らない、こういうふうに思われる一人でありますが、併し現在においては別に弊害は見えておらん、こういうふうに私は考えておるわけであります。そういつたようなことで私は昔から法律ができればその法律に従うという精神でやつて来ておりますし、殊に又ここにおられる方々には先ほど来申します通り、この法律について、或いは電波については非常に大家の方々がおられるのでありますから、私は安心して皆さんのお作りになる法律を見ておつて差支えないのじやないか、こういうふうに思うのでありますが、併し大体におきまして、先ほど申します通り民放とNHKの間に何らの差はないのであるということだけは頭において頂きたい、こう私は思うのであります。  まあ大体のことを申上げました。
  61. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。次に中野好夫先生にお願いをいたします。
  62. 中野好夫

    参考人(中野好夫君) 私は一般市民としてマス・コミュニケーシヨンの非常に今大きな力を持つているそういう放送をまあ非常に注意しているわけですが、それ以上にまあ法制上のことだとか機関上のこと、技術上のこと、そういうことは素人で知りませんし、又市民の立場として、第三者として見ておる気持、意見を申上げようと思うのですが、今日は別に法案があつてそれを具体的にやるわけじやありませんから、非常に漠然となるだろうと思うのですが、ただその漠然と私の考えておる、素人なりに考えております要点、それでもまあ五つや六つあると思うのですが、羅列的にやりましても散漫になると思いますので、私は一番心配している点を申上げようと思うのです。  それは又最初に、放送法の全面的な改正というものが今声が挙がつているということは、私はどうも当然のように思います。それは鹿倉さんからも話がありましたし、私ども現行の放送法を実は去年少し或る事で読んで、今度もう一度読み返したわけですが、何しろこれができましたときが、現実の問題としてNHKしかない時分で、まあ民放ができる機運はあつたようですが、併し現実にはできていないものですから、現行法が何といつてもNHK中心にできているのはその通りだと思うのです。で、現に今の民放に当るべきものは第三章ですか、五十一条から五十三条とたつた三条で非常に簡単に扱われておる。これは当時のそういう、吉田さんじやないが、仮定の問題だつたからこれはまあこれくらいで扱われたのは仕方がないだろうと思うが、併し現在はとにかく民放というものが全国で四十社に近いものもできて、その聴取者もそれは相当、私は正確な。パーセンテージは知りませんが、相当に聞かれておるのです。そういう現実が変つて来ておるのですから、今の現行法はNHKに有利だというふうな解釈を民放のほうでされるのは、これはどうもそう見えても仕方がないかと思うので、だからその意味でこれは何といつても、先ほどどなたかからも話がありましたように、両方が併存することが根本的にいいか悪いか、これは非常に大きい問題でしようが、現実としては、これはここに相当の将来二本建で行くよりほかないと思いますから、その意味で両方がつまり何といいますかな、対等といいますか、それぞれの特色を発揮しながら、対等の存在権を主張するというようなそういうものに改正されなくちやならん機運には来ておると思うのです。その意味で改正されることは私は賛成でありますが、ただその改正に当りまして、私は事務局のほうから、各方面からの課題というようなものを頂き、それからNHKと民放から、両方から実は資料も頂いて、ここにわか勉強したわけですが、私の一番心配しておりますのは、やはり郵政省から出ておる一つのいろいろの課題の中のNHKのあり方というところがありますが、第三に。そこに協会に対する国の監督は現状のままでよいかというこの一項、非常に漠然とした形で出ておりますが、それで私はやはり思い出しますのは、去年見ました、というのは、実は二十八年の六月ですか、一部改正法律案のあのときに私は一番、私は実は放送で反対の放送をしましたし、輿論もこれは反対したと思うのですが、それは例のやはり第四十九条の三の郵政大臣は第七条に規定する目的を達成するために特に必要があると認めるときは、協会に対し監督上必要な命令をすることができるという、この必要があるときとか、それから必要な命令、監督上必要な命令というのは、まるで空の紙袋みたいに、内容が何でも入るようなもので、命令ができるということは、これは言論の自由というものは相当大幅に妨げられると危惧する。妨げないとおつしやるでしようけれども、これさえあればやろうと思えばできるというものがある。これが恐らく今度の課題の中の国の監督は現状のままでよいかというところへ来ていると思う。私は、この問題についてはもう言うまでもなく、私は一番危険な大体いろいろな法案を出されているのとほぼ共通する大きな傾向の一つと結付いて非常に危険で、若し今度の改正の実は本当の狙いはここにあるというようなことであつたならば、私は非常に心配だと思うのです。或いはつまりそのほかの聴取料とかこれはいろいろ問題があると思うのです。聴取料、それから民放とNHKとの性格の問題とか、そういうふうな、まだまだありますが、そういう問題とつまり込みにしてこれがすらつと出されたとするならば、私は非常に重大な問題だと思う。まあ今、今日も伺つてつてもわかりますね、それから私は平生もそれに気がついておりますが、何といつてもNHKは今まで既得権を持つておられる。これは歴史的に仕方がないでしようが、それを守ろうとする立場、それから民放のほうはそれからあとから出てそれに切込んで行こうという立場で、なかなか火花を散らすような合戦、それならば大いにそれは結構でありますが、併しうつかり民放もNHKもそういうお互いの泥合戦、と言つては失礼かも知れませんが、或る場合には、と見えることもありますが、そういうことに余り狂奔する余りに、それにうまくこの監督権という、前の第四十九条の三のようなものが織込まれて、それがふくと改正案として通つてしまつたら、私は非常に憂慮するのです。これに対してはまあ鹿倉さんは国会に安心して、もうどのよう法律でも決して……待つていられると言つたが、私は少しも待つていない、安心して待つていないので、少くとも参議院などは殊にお考えを願いたいと思うのです。これは私は現在の与党、政府が監督権を持つことに危険を感ずると同じように、私は今の現政府与党がいつまでも、永久に与党とも政府とも思つておりませんから、仮に反対の、今の野党が、或いは革新政党がなつた時であつても、私はこのことは同じに申上げたいと思う。現に放送というものは中立でなくちやならんと言われておりますが、この一項が入れば、私は何と申しますか、中立というものは、この一項だけで放送の中立というものは破れて来る可能性が大きく出て来ると思つております。恐らくまあ、具体的に言えば、何でもNHKの「日曜娯楽版」ですか、「ユーモア劇場」というものが非常に問題になつておるのでありますが、それは恐らく与党或いは政府のほうから出る声のようですが、仮に今度社会党でもが政権をとつて「日曜娯楽版」が時の政府をやれば、今の自由党が野党に廻つて大いに喝采されて、あれをとめるな、けしからんと私はおつしやる、だろうと思う。この意味において、これが入れば実際上の、政治の中立と言いながら、政治の中立は失われて行く。私は実は中立ということが、中立の意見というものは余り、果してあるものか、今の社会の中であるとは考えないのですが、私は日本の殊に現在の国民というものは、長い間言論の自由を知らなかつた国民が、とにかくいろいろの意見というものがもつともつと活溌に多くなつて、自由を残して行くことが日本の何ですか、殊に民主政治というのですか、民主主義というものの発展に是非必要だと思うのでありますから、この点をこれは民放もNHKも、それから国会の方にも、特に郵政省の課題に出ておる協会に対する国の監督は現状のままでいいかということを、今度の改正法の中で、法案を作る場合に、或いは法案を上程されたあとの最も大きな重大な問題として考えて頂きたい。もう一遍繰返しますと、そのほかのたくさんの問題と込みで若しこれが通過してしまうと、成立してしまうと私どもは大変なことになると思つております。私は私たちの立場として一番申したいのは、実はそのことだけなのであります。  あとは私たち市民の立場でずつと小さくなりますが、ほぼ今までの御意見を伺つたりしましたから、多少申上げようと思いますが、NHKと民放の議論が火花を散らすときにいつでも出て来るのは公共性という問題でありますが、実は公共性というのは議論をするときは非常に便利な言葉でありますが、実際具体的にどの放送が公共性があつて、どの放送は公共性がないというか、稀薄だということになると、これは全くこの間の河野密さんのどこまで禿で、どこまでが額でどこまでが頭かわからないことと同じで、公共性というのは議論の役に立ちますが、実際問題としては役に立たないので、広い意味で言えば、公共性と言えば、鹿倉さんも言われたように、これはNHKの放送もそれから民放の放送も私はやはり公共性は持つておるのだ、公共性に立つておるのだというふうに私は考えるわけです。ただ併しNHKと民放との場合は、その公共性は私はどつちも公共性は考えてもらわなければ問題にならないと思うのですが、それぞれの特色を発揮するという点で、これは抽象的ですからつかみにくいかも知れませんが、とにかくNHKは一種の公共性、これは公社ようでもないし、一種独特の組織のようですが、とにかく一方それに対して民放は企業である、こういう点で公共性をどつちも窮極の目的としながら、おのずからあり方は違つて来るべきものだと思うのです。例えばこれは聴取料がいいか税がいいか、これは別問題でありますが、とにかくそういうものによつて経営が支えられておる。NHKというものが必ずしも聴取者の御機嫌をとるためのサービスばかりではなく、聴取者の数においては多少犠牲にしましても、これは実際必要である。つまり国の文化とか教養、これも都会中心ではなくして、むしろ放送こそ山間僻地まで行きますから、そういうものにそれを特色として出して頂きたい。これは当然のことであろうと思うのです。併し、だからといつて、私はそういう議論を言う人も表には出していないようですが、なかなか話をしているうちに口吻では出る場合があるのですが、いわゆる娯楽放送というのはNHKには要らないということは、私はそういうことはないと思います。それから民放の放送とNHKの放送は、鹿倉さんは何ら少しもと副詞を使いましたが変りないとおつしやいましたが、私は確かに民放が公共放送、NHKと近いような公共放送といいますか、私などは大体そういうところですが、そういうことを言つておられるのを私よく知つております。併し私はやはり民放もそういう公共放送をやつておられるというのは、NHKにも公共放送があるということが民放にもやはりそういう公共放送的なものを出さなくてはいかんというこれは一つの力、支えになつておるのじやないか。それから娯楽放送は一体どこまでということになると実際わからないのですが、教養放送、娯楽なんというものは、例えば音楽でも、べートーヴエンのシンフオニーは一体娯楽か公共か、スポーツは娯楽か公共かということになると非常に問題ですが、その議論は余りやれませんが、併し鹿倉さんがおつしやつたような民放の主として娯楽面ですが、NHKが少しも変らんというのは、これは私たち第三者で見ておりますと、非常にわかることは、両方が特色を出すというよりも、まるでお互いが競争で同じような、つまり商業放送として面白いぞ、こういうことをやればいいというと、それを今度はNHKが真似をする。NHKがやるようなことと同じ趣向を民放がやるというので、むしろ両方が同じことを取合いしているというところに私はたまたま、私はちつとも違わんと申しませんが、ほぼ同じような放送ができ上つておるので、これは私は二本建のあり方としては余り感心しないと思うのです。例えば、これは非常に泥合戦が行われておるので、併し大体これは鹿倉さんの意見とは違うかも知れませんが、私は本来どうも民放のほろがスポンサーつきでやるために小野さんが言われたように、時には私たちちよつと眉をしかめるような場合があるわけであります。これは実はラジオ東京で放送したのですが、一年か二年前「クイズばやり」というのがありましたが、「クイズばやり」の中で、クイズで当つた者に金を渡すのに、何か金がじやらじやらと鳴る音を聞かしたことがあるので、これは非常に、民放がクイズをやつたのですが、そのときに私はラジオ放送の十分論評でやつたのです。そのときに係の人は、これはちよつと困りますがと言つていたが、結局やらして頂いて、私はラジオ東京のむしろ公共性に感心しているのです。そういうことがあつたり、それから小野さんもちよつと言われたように思いますが、スポーツ放送とか娯楽放送にしても、スポンサーのいわゆる広告文、余り感心しない、顰蹙させるような広告文句が中に飛び出して来て、これではどうも公共性と言えるのかどうか問題であるような、そういう場合はかなりある。事例は多々ラジオなどにも相当出ておりますし、我々も耳にしたのもありますが、そういう点で私これは互いに特色を活かすよりも泥合戦、最近の落語家のお互いの引抜きなどもおかしいと思うのです。全く泥合戦だと思うのですが、鹿倉さんは民放のほうは芸人の専属は仕方がないとおつしやいましたが、私はどちらも専属というのは我々から見ればおかしいので、専属制をとることが泥合戦を起すことである。こういうことはNHKも開放すれば民放も開放する。これはいろいろな経営上の理由があるのでしようが、併しそうすると商業放送に若しそれがあるとすれば、商業放送というものの何かその点では批判されるべきものの可能性を残していると思うのです。そういうわけでこの点は性格は公共性というような言葉ではなく、もつと一々具体的に、つまりNHKはそういう経営の基盤において企業よりも安定した要素を持つているのですから、それを活かすようにする。それから民放は、私は公共性の放送がなされることはお許しにならんほうがいいと思うのですが、併しその商業放送にしても、又自由企業の長所を活かすと同時に、それだからといつて、民間放送でなければできないようなほうに進んで行くという意味で性格の区別をするのが二本建の意味を生かす点だと思うのです。  それから聴取料のことが出ましたが、現在の聴取料が、あの契約という形のものが、確かに憲法の契約の自由というものと違背する甚だ後味の悪いものであることはその通りだと思うのです。これを合理的にされるということには私は少しも不賛成でありませんが、一体それにはどうしたらその次にこれに代る方法があるかということをやはり考えてからでないと、これはちよつと困ると思うのです。鹿倉さんは税ということをおつしやいましたが、これも私はどうも政府の干渉等は非常に嫌いなもので気にするのですが、現在のような形で予算が国会の承認というだけのものでも、この間の値上げ問題としては、「ユーモア劇場」ですか、NHKが出したり引込めたりした問題ですが、これはNHKはそうじやないと公的にはおつしやいましたが、私はかなりいろいろな人、NHKの人に当つてみたが、どうもあの要素があつたようです。値上料の駈引が、そういう今の状態ですら、国会の承認という形ですら番組の自主性というのは確かに一部不自由さがあるのですから、まして私は税で、国家からの交付金というような形で予算面を国家が握るという、政府が握るというようなことになれば、これは個人の場合と一緒で、財布を握られれば必ずそれはその内容に対して力を及ぼそうと思えば幾らでも及ぼし得ることになるのですから、それに代るに私は税という形でやるということに対しては、よほど大きく重大に考えて頂きたいと思うのです。民放がそうおつしやるのはいろいろ理由もあるでしようが、併し若しそういうことがあつてNHKの言論がそのために不自由になつたとしたならば、そういう不自由さは当然いつかは私は民放にも及んで来ると思う。つまり外濠を埋めるために民間の方が力をお貸しにならんことを私は希望するわけです。そういう最後の線、一線というようなものをさえ用心すれば、聴取料というものを多少それ以外の方法で、その線を越えない点で今より合理的にする代るべき方法があれば、これは私には具体的な方法はないのでありますが、考えはないのでありますが、あれば合理化ということはあり得ていいと思うのです。  それからテレビとラジオとが両方ということも、試験時代はとにかくですが、ここ将来長くいつまでもテレビとラジオが一緒ということは私はちよつとまだ考える余地があるのじやないか。  それから新聞とラジオの問題ですが、私は新聞の資本がどういうふうに入つておるのか、そういう機構上の内幕は知りませんが、ただ我々市民として見ておりますときには、多少新聞がその自分関係の放送事業に対して何といいますか、必ずしも公平でない記事は認められるようであります。その最もひどいのは私はテレビだと思います。或る一つ新聞の或る民間テレビに対する支持の仕方というのは、或るときの新聞などというものは、殆んどそのテレビの宣伝機関であるのかと思われるよう記事があることは、今日はそれは持つて来ておりませんが、これはもう私新聞を保存しておりますからいつでもお目にかけていい。恐らくその新聞を出せば如何に、我々は新聞をテレビの宣伝機関と思つてつているわけじやないのですから、非常に精に障る場合があるのです。これはまあ勿論新聞の良識に待つべきものでありますが、良識に待つてつてよろしければいいが、併し良識というものが期待できなければ、つまり結局は新聞もそういう放送事業というよう一つ同然の形であるということはやはり危険だ、危険といいますか、その場合は望ましからん、顰蹙すべきものだというふうに持つて行かざるを得ないだろうと思うのです。  それからもう一つ、私は日本にラジオ、この放送事業の研究所というようなものは、つまり今NHKにあるようですが、これはNHKを離れてのほうがいいじやないかと思う。とにかく放送事業という、放送文化というものをもつと客観的に研究する、そういう研究所というものを、或いは別にこしらえるかそれを離すかは別問題ですが、そういうものは私は日本に是非あるべきで、そういうところから最もやはり客観的ないろんなデータが出て来るということが、日本の放送文化のために非常にいいじやないかというふうに考えております。  そのほか小さい点もありますけれども、又それはあとに譲ろうと思います。
  63. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 有難うございました。  それぞれ有益な、私どもが今後放送法を扱いまするについて非常に参考になる御意見を伺いまして感謝に堪えません。只今参考人の御意見に対して暫らくの間私ども委員のほうから質問をお許し頂きたいと思います。どなたか御質疑を願います。
  64. 山田節男

    山田節男君 これは鹿倉さんにちよつとお尋ねしたいのですが、こうして民間放送事業が、東京という中枢の場所が民間放送をおやりになつた経験からお伺いしたいのですが、放送法が改正ざれるという場合に、経営上の何といいますか、保護規定が要るのじやないか。その中で特に私たちが知りたいのは、ラジオで放送されるプログラムの著作権ですか、それから企画権、殊にこれはまあどつちかと言えば「話の泉」、これはアメリカにもヨーロツパにもそういうものがあるよりです。そういうようなことは別問題として、オリジナルなプログラムを作つてそれがポピュラーになつて来た。又それは必ずポピュラーになるだろう。こういうものに対して企画権、企画権はアメリカでは著作権と同じように見ておる。こういうことになつておるのですが、これは放送法の改正と同時に著作権の保護という、殊に放送事業における著作権とか企画権という、ラジオ、テレビジヨンによつて音において或いは目と音両方において、企画権ということは大きな問題です。こういうものについてオリジナルなものをラジオ東京でおやりになつて、それを地方の民間放送がこれを使用するのに、許可も何もしないでただ評判がいいからやる、こういうような事例があるか。それからまあそのことによつて何かトラブルが起きたような事例があるか。それがために若しそういう著作権の保護とか或いは放送上における企画権の保護というものがあれば、勿論自分の権利も擁護でき、又経営上もそれをよそに貸すということになれば権利金も取れるでしようから、こういうふうなことが、私は今日のように民放も非常に殖えますとこういうことが必要じやないかと思うのですが、今まで経営しての御経験でそういうような必要性をお感じになつたことがあるかどうか。
  65. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) それはたくさんあるのですが、今著作権協議会のほうに持出しております。そしてこれを如何にするかということを研究しつつあるわけなんです。まだ確定案にはなつておりませんけれども、そういうものは相当あるのです。これはNHKさんのほうでもそういうことを感じられるのでしようね。そういうことはあるわけです。多くは東京からのあれですが。
  66. 山田節男

    山田節男君 それでこれは地方の、私昨年の夏北陸地方を廻つて民間放送を見た場合に、そこの大体放送番組の八〇%乃至九〇%はラジオ東京のテープ・レコードとそれからアメリカのVOAのこれ又レコードかテープ・レコードか知りませんが、使つておるわけです。これなんかは今の著作権、企画権と関連してこれは問題になると思うのですが、私たちの聞いたり調べた範囲では、これはラジオ東京は非常に好意を以て安く賄つておる。これは時間と長さによるのか知りませんが、非常に安くもらつてやりますと、そのこととVOAが無料であるということによつて、ああいう小さい放送局は非常に経営はいい、採算上いいわけです。こういうような場合、ラジオ東京からそういうテープ・レコードをお貸しになるという場合に、まあ現在はノミナルというふうな、非常に好意を以てやつておるように思うのですが、併し将来いつまでもこういう状態でいいのか。これはラジオ東京として今日は非常に儲けておられるからいいと言えば、自分たちは慈善ということでもないけれども、好意を以てやるということはこれはいいけれども、これは一つ将来永続し得るかどうか。これは地方のそういう中小放送局の自立性という面からそういうあり方がいいかどうかということは、国家としては考えなければならないと、こういうふうに考えるのですが、こういつたような形態でラジオ東京から地方の民間放送局にお流しになつておる、そういつた番組が大体全国の、殆んど全部行つておるか或いは何。パーセントの放送局にお出しになつておるのですか。
  67. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 日本全部です。大阪ですら相当行つておりますから、その他の地方については全部行つていない所はないです。これは今著作権のお話ですが、タレントに対する料金、著作物に対する料金というものは払つております。それだけは取つておるわけです。
  68. 山田節男

    山田節男君 そうすると、今の例えば一本千円なら千円でお貸しになるというと、それに含まれた、例えば落語の場合にはその落語家の著作権というものは、それは一本々々についてやはり落語なら落語家にお払いになつておりますか。
  69. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 払つております。その千円の中に入つております。
  70. 山田節男

    山田節男君 それからもう一つ、これは立法上考えなければいかんのじやないかと思う点は、今民間放送が四十幾つもがばらばらになつておりますが、やはり将来はお互いに一つの全国にネット・ワークを考えなければならない。言い換えればスポンサーの立場からいつても、いわゆるアメリカでやつているチェーン・ブロードキヤスト、例えば東京と大阪、福岡同じプログラムに対して同時に放送するといういわゆるチェーン・ブロードキャストというものが必要であり、又スポンサーもこれが望ましい、又そのほうが国民にとつて非常にいいのじやないか。そういうようなことから考えて見て、殊にラジオ東京という中央におられて将来民間放送の全国ネット・ワークの出現ということが望ましい、今までの経営上の経験において望ましいと思われるか、或いは自然発生的にまだ待つべきだ、こういうお考えですか。全国のネット・ワークというものについて、どういうようなお考えを持つておりますか。
  71. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 成るべくネット・ワークのあることを希望しておるのですが、けれども地方局というものは脆弱ですからなかなか全局が持つということができない。そのために思つたことができなくて、しようがなくテープを使う、こういう状況なのです。ものによりましては、例えばこの間マニラにあつたオリンピック大会、ああいう場合に全国で十五局程度がネット・ワークで流したわけです。  それからもう一つちよつと申上げておきますが、今山田さんから一本千円という話が出ましたが、それはもつと安くなつて八百円ぐらいです。
  72. 山田節男

    山田節男君 それは長さによるのですか。
  73. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 三十分ものが一こまで、十分でも十五分でも同じになります。尤もテープは向うから提供するのですから、長さはこちらには大して影響はないのです。
  74. 山田節男

    山田節男君 もう一つ、NHKがテレビの放送を始めるということについて、テレビとそれからラジオの経理を別にしなければならんということは、要するに今日殊にテレビの視聴者が少いので、施設の拡張ということにラジオのほうの経理面の金を廻わすということは、ラジオの聴取者、これを搾取するといいますか、犠牲にすることになるのではないかというので、これをやはりはつきり区別しておる趣旨もそこらにあるやに感ずるわけです。ラジオとテレビの経理面はかれこれ流用してはいかんということをやかましく言つておる。又そういうふうに実行しておるわけであります。今度ラジオ東京がラジオとテレビ両方をおやりになるわけですが、そういう場合に多少これは民間放送ですから、彼此相融通してもいいし、そのほうがプログラムなどの経費が非常に安くつく、こういうことも考えられるのですが、この点はさつきどなたですか、ラジオとテレビは一緒にしたほうがいいという御意見があつたようですが、今日NHKにおいてはそういうことははつきりしておる。ラジオ東京の場合、例えば両方をおやりになることによつて、スポンサーの面の便宜から考えて、或いは経理の面から考えて、殊にプログラムを安くやるというようなことができ得るかどうか、この点はどうでしようか。
  75. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 私はやはり幾らか安くできるという気がするのです。人を使う点におきましても、例えば事務とかそういう方面にたくさんの人を使わないで済むので自然経済が安くつく、安く行けば結局放送するにも、すべての点において経費が安くつけばスポンサーの負担力も少くなつて行く、こういうふうに私は考えます。そういうわけですからして、ラジオと共同でやるということが一番いい手じやないか、こういうふうに私は思つております。  それからこれは何年先かわかりませんが、アメリカの例を見ますと、テレビができてラジオが消えてしまつたわけでありません。併しテレビが非常に普及する時代が来ればラジオの影が薄くなるのは当然のことである。私はそう考えております。そういう点から考えて、日本ような国柄においてラジオとテレビは共同でやるべきだということは当時から主張しております。今以てその考えは変つておらないわけです。今正力さんのところでテレビだけをやつておるが、正力さんのところよりラジオ東京でやるほうが安く上ると、私は考えております。それから同時にスポンサーも同じにやる手があるのです。一例を挙げますと、歌謡曲をやる。これはテレビにおいては或る人がそこに出てやる。これをラジオのほうに声だけ持つて来るということもでき得ると私は思つております。そういう点から言いますと、両方やらせるということが非常にスポンサーのためにも利益だ、こう私は考えております。今スポンサーの方面におきましてもそう考えておる人が多いようです。私の考えは必ず間違いないのだというふうに思つております。
  76. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 経費の点について只今お話がありましたが、その他いろいろの面を考慮いたしましてテレビ、ラジオを別にやつたほうがいいか、共同でやつたほうがいいか、この点について小野、中野両先生から御意見が若しございましたらお願いします。
  77. 小野秀雄

    参考人(小野秀雄君) 私は深いことは知りませんが、どうもテレビを発達させて来る立場から考えまして、テレビだけ独立すれば経営は非常に困難ですから、それでNHKにしましても、ラジオ東京にしても、ラジオで儲けた金をテレビのほうにかけて、そして日本のテレビを育てて行くというのがむしろ合理的じやないか、こういう気がします。
  78. 中野好夫

    参考人(中野好夫君) 私は今テレビというものが非常に創生期で、テレビがもつと発達した場合どういう条件が出て来るか予想できないから困るのですが、私は大体においては小野さんとむしろ反対じやないかと思います。つまり一方の経営がむずかしい場合に、一方で順調な経営が進んでおる。例えばラジオからそれに金を注ぎ込むということは、これは限度はありますが、これは相当大幅になることは私は余り望ましい傾向じやないと思うのです。まあ今度のラジオ東京のほうはどういうふうに、経理的に全く一体でやられるのか、つまり二身一体的な形でやられるのか知れませんが、二つの企業が一方が有利で安くつくということは確かにそうでしよう。その点でスポンサーは喜ぶでしようが、やはり両方の経営が果してうまく行くか、一方の経営の赤字を他方の経営で埋めて行くということが当然のコースになるということは私はどうも疑問に思うのです。併し非常にテレビが普及して、両方が黒字でも出して行くような条件が生れて来た場合には、私の意見も少し変るかと思いますが、とにかく今テレビというものは非常に金ばかりかかつて普及度が少いという条件にあるのだ、どれほど日本で将来テレビが伸びて行くものか私は日本の現状でかなり悲観説を考えているからかも知れませんが、私はむしろ小野さんとちよつとその点反対じやないかと思うのですが。
  79. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 中野さんに伺いますが、先ほどのお話で、昨年でしたかの政府から出た法律案、これは御心配御尤もだと思うのです。私も個人としては、その点余りに無制限に広汎な監督規定を置いておつたものですから、一番問題だと思つてはおつたのです。ところでこういう点は又一面から言うと必要であるようにも思うのですね。つまりラジオ東京のようにスポンサーとの契約によつて料金を取つて、それを財源にしておるのと違つて、今の制度がいいか悪いかは別として、とにかく相当改正するにしましても、内容的にはそうひどい変更はないと考えて、今のような受信料のような制度で行きますと、仮に税であるにしろ、手数料であるにしろ、形式的な説明は別として、ああいうふうなものを財源にして、それで経営を賄つて行くということになりますと、これは日本放送協会の経営者を全幅的に国民が信頼をして、経営も何もかも任せるということであれば、法律も何も別に要らないわけですが、まあ国民から零細な手数料或いは税を集めて、それでやつているということになりますと、少くとも経理側では相当に監督をして、そうして冗費を省いてもらう。それからできれば受信料なんかもだんだん聴取者が殖えて行くに従つて逓減する方式をとつて行くのが筋合いだと思うのです。そこで監督権の内容の問題なんですが、言論を圧迫するような結果になる監督はこれは絶対にいけない。併し経理面に相当制限を加えて、場合によつて、それを例えば監査をするとかいうような監督規定を置きますことは、他の公社なんかの例から申しましても、これは必然的に要求される事柄ではないかと思うのであります。それも御議論から行きますと、経理面の監督でもすると、勢い業務面にまで監督権が及ぶのではないかという実際御心配のあるかのごとき御意見のように拝聴したのですが、その点は如何ですか。
  80. 中野好夫

    参考人(中野好夫君) 私も先ほど原稿がなかつたものですから、言い飛ばしましたが私は民放とNHKで今日来るときに意見を聞いてそのときにも述べたのですが、経理面、それから技術面のことは詳しく知りませんが、そういう面で或る程度の監督はそれは当然だとそのときも言いましたが、私もそう思つております。というのは、聴取科にしろ、税にしろ、国民の金を消費するのですから、これが野放しであるということはこれは問題にならんと思いますが、併しそれがどういう機構でやられるか知らんが、例えば会計検査院的な、つまり時の政府と独立した立場の機関で経理面の監督ということはむしろ私はそうして欲しいと思います。国民はなかなか一々それはわかりませんから、それは了解できますが、問題は例えばこの条文で見ますと、それは決してそうじやないのです。経理面というのはどこにも出ていない、そこが問題なんです。この条文の意味しているものが経理面だと、それがどこにも出ていない、これが非常に危険だと思う。むしろ案外含みはそこにあるのじやないか、これは邪推かも知れませんが、むしろ経理面の規定というものは、例えば秘密保護法案の供与武器によるとか、せめてそういう何かはつきりした限定がないと、あとで拡大解釈の余地のないようなものにしてしまえば……。これは経理面については私は別の考えを持つております。先ほど申しましたのはその内容ですね。
  81. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 私は当事者がおきめになることに従うということを申上げた。それに対する中野さんのお話がありましたが、今の郵政大臣の監督権という問題については、これができる時分に民放も非常に反対したのです。いわゆる先ほど中野さんのおつしやるように外濠を埋めてやがては自分の身に及ぶというようなことを考えたものですから、これはやはりこういうことはおかしいことだということを言つた一人ですから、何でもかまわないのだという意味では勿論ありません。勿論皆さんの良識に訴えて、そうして間違いないものを作られると確信しておるということを申上げたのですから、参考のために……。何でもいいのだということじやないわけです。(笑声)
  82. 小野秀雄

    参考人(小野秀雄君) 鹿倉君がさつき大分野放しのということを言いましたので、私その点少し訂正したいと思います。民放を猫のしつぽ扱いされているということを盛んに鹿倉さんが言われましたが、私は猫のしつぽ扱いをしてもらつているということのほうがいいと思うのです。猫の頭のように扱われたのじや実際困る。協会のほうではいろんな問題で国家のお世話になつておるのですから、これは相当程度まで踏入られても止むを得ないのです。これ以上入られると困るけれども、この程度ならば認めなければならんと思います。民放は成るべく法律がないほうが私はいいと思うのです。現に新聞紙法がないので、新聞はよほど仕事は楽になつたのです。新聞紙法の盛んにやられている時代の政府の嘱託をやつておりましたが、新聞紙法の扱いで相当私はいろんな経験を経て来ておりますから、あの法律がなくなつてどれくらい新聞は楽になつたか知れません。成るべく猫のしつぽ以下に扱つてつて頂きたい。虫けらくらいに扱つてつて頂いたほうがいいのです。これを扱つて行く法律を作るのでしたらむしろ民放の保護ですね、民放をどこまでも保護して、鹿倉さんあたりは保護してやる必要はありませんが、民放は鹿倉さん一人じやない、相当困つておる民放があるのですから、これを何とかものにしてやつて、そうして大衆のために役立つようにしてやつて頂くのがこれは法律の精神です。成るべく猫のしつぽよりも軽く民放を扱つて頂いて、これに反して協会のほうはできるだけ一つ日本の放送事業に協力するように強制してやるのは差支えないと思いますし、言論の上の圧迫を加えるのはこれは甚だ困るわけですけれども、これは日本の放送事業の発展という面に協力させるというのは差支えないと思うのです。法律の上で、成るべく先に言われましたラジオ・コードのようなものも、民放でできておりますあれを法律に持込むなんということは以てのほかだ。これは本当に自主的な立場から作つたものなんですから、これはこれで一つできるだけ尊重してやつて頂きたい。法律のほうには絶対入れないようにしてやつて頂きたいと思います。鹿倉さんはどうも非常に立派な人ですから、政府に対しても非常に好意を持たれますけれども、私ども長い経験からいいますと、余り政府にお辞儀できないので、なんどきどういうことになるかわかりませんから……。民放はできるだけ保護方針で自由にしてやつて頂きたい。それかといつて中立性を強制しないということには私反対なんですから、中立性の問題は中野君もさつきから言われますように、非常にむずかしい問題ですが、私も長い間新聞記者をして来ておりますが、それでやはり相当中立的な立場新聞を売つて来ております。これはむずかしい問題ではない。常識の問題です。理論から考えますというと到底これは解決のつく問題ではないのです。併し常識立場から考えますというと、いわゆる新聞記者的な常識で中立性は十分にわかるのですから、現に鹿倉さんあたりでも立派な中立性を持つておりまして、協会以上の公共性を持つておられますから……。
  83. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 鹿倉さんに伺いますが、今話しておつたラジオ・コードの問題ですね、実は放送法の立案当時は、放送法には御承知の通りラジオ・コードに類するものは本当に一カ所しかないわけですが、そこでアメリカの例もあるし、今小野さんの御発言もありましたけれども、民間放送連盟でラジオ・コードを作つて自分で自主的に規制をして行くということに対して我我非常な期待を持つてつたわけです。現在もその通りです。その点から言いまして、先ず第一に、私は余りよく存じませんけれども、非常に心もとないと思うのは、見たところこれは岡目入目かも知れませんが、民間放送連盟というものは、非常に弱体なんです。で、あの恰好で果してラジオ・コードなんか守つて行けるのか、守らない場合には一体それをどうしようとするのか、そういう点について非常に心配があるのです。私はやはりこれはラジオ東京は大きいし、新日本でも、朝日放送だつて大きい会社はありますが、そういう点は問題ないにしても、非常にたくさん、これも問題だと思いますが、各府県に一つ乃至二つというふうにもう民間放送会社が氾濫しつつあるわけです。そういうところで果して民間放送連盟で作られたラジオ・コードが、これが自分たちの憲法なんだというつもりで守つて行くだけの熱意と、その能力があるかどうかということについて、今申上げたように非常に心配をしておるわけですが、民間放送連盟を更に全体の放送界のためにもつと強くしたり或いは、決定したことに対しては相当の自主的な重さを加えるというような方向には進み得ないものかどうか。  それに関連しましてもう一つ伺いたいのです。これは別問題ですが、NHKとの関係で、私は細かい点ですが二、三度委員会でも聞いたことがあります。NHKの放送を聞いたり或いはテレビを見ましたりしておりますと、成るほどNHKは広告はできない、これは民間放送会社だけなんですね。ところがそれが余りに神経質に過ぎまして、例えばテレビなんかで相撲の中継を見ておりましても、どこかの会社が懸賞を出す、そうすると懸賞の旗のようなものが出て来る。それを見せると広告になるということじやないかと思うのですが、急いで引込めて違つた所をうつす。これは一体誰がやつているのか、誰がやらしているのか。ああいうことになりますと、例えば銀座街頭なんかで街頭録音をとる、或いは街頭の実景を中継するというような場合に、店の看板があるとそこだけ外してとるというわけにいかないのです。それからどこか街頭録音にしたつて、銀座の何とかデパート前なんという名前を出すと、これも広告になるということでは、これは放送にも何にもならないのじやないかと思います。放送法に書いてあります広告ということは非常にむずかしいので、当時も広告とはかくのごときものだということを法律に書こうとしたが書けないのです。これは常識で行こうということになつたのですが、一体現在の広告というものに対する見方が、これは民間放送と公共放送の岐れ途だと言われますが、余りに神経質過ぎて実際滑稽なくらいに我我感ずるのですが、これは民間放送連盟がやらしているのか、NHKが自発的にやつているのか、どちらなんですか。
  84. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 私はその点はよく存じませんが、併しNHKが非常に御窮屈である点は察せられます。(笑声)私も相撲放送なんか見ておつて、始終これは大変なことだろうなと思うのですが、どうもその点が私わからないのですが、さればといつてラジオ東京はそんなことを一遍も持込んだこともありませんし、併し連盟においてもそういうことを抗議をしたことはないと思うのですが、その点はどういうふうにしたらいいものか、常識的に考える以外に途はないのじやないか、こういうふうに思われます。  それからついでにちよつと申上げておきたいことは、今小野さんのお話のうちに民間放送というものは猫のしつぽ的に扱われているほうがいいのだ、こういうことで監督という面から申しますというとそのほうがいいのです。私の申上げることは、すべての点においてNHKがあつて、そうしてそのほかのものは全くつけたりのものであるというような方針の下に作られる法律は困るということを申上げておるのでありまして、これ以上我々が拘束を受けようということではないのですから、どうぞ一つそれも……。(笑声)  それから一例を挙げますというと、先ほど私ちよつと聞き漏らしたのですが、小野さんのお話のうちにたしか電波委員ようなものをおけというようお話もあつたのでありますが、これらも電波割当のときに昨年もかなり問題になりましたが、こういうようなものを公平に扱われるような手を用いてもらいたい。それには併し委員というものはなかなか重大だと私ども考えております。最もいい例はテレビジヨンが許可を受けるときのあの状況、私ども考えは実を言えば、先ず第一に、NHKにおやらせになつて、そうして何年か後に民間テレビというものが出たほうがいいのだ、こういうふうに私は考えておりました。私は何でも率直にものを言つているほうでありますから、実はNHKの小松さんがたしか見えられたと思いますが、小松さんにも同じようなことを私は言つた。ところがあにはからんや許可になつたのは民間の正力さんの所、私は正力さんをとやかく言うのじやありませんけれども日本ような貧乏国では先ず以てNHKがおやりになつて、そうして何年か後に民間放送が出るほうがいいのじやないか、こういうふうに私は考えております。併し何をいつてもこれはフリクエンシイがきまつておりますから、よそに取られては我々のほうが困りますので、実は是非一つ許可をして頂きたいということを申上げたのですが、その本心から言えば、暫らくしまつておいてそうして何年か後に許可を受けたほうがよかつたのじやないか、こう私は実は考えておりました。そういうわけでありまして、そのほかにも例えば鉄塔のごとき、よく我々のほうは非難を受けるのですが、非難を受ける都度我々は弁明しなければならん。あんなものもあの当時電波監理委員会というものが、ちやんと一つのものを建てて、それにだんだんに三つのものをつければいいじやないかということをおきめになつてつたら何でもないと思うのですが、それを別々に許可したものですから、これは政府の責任です。我々のほうは一番あとから許可を受けたのですが、早速NHKに飛んで行つて一つ何とかあなたのほうと一緒にできないかということを申上げた。これは国会の議員の方々にも、電波監理委員の方々にもお骨折りを願つて、そうしてNHKは非常な好意でそれは一つ一緒にやろうじやないかという話にもなつたのでありますけれども、何をいつてもNHKは非常に進んでおりましたし、そうしてあの上にアンテナをもつと三十メートルも伸ばすということは到底できない。仕方なしに別々に作つた。これは国家の非常な損失であります。現に我々のほうで今度やりますのは約七千万円かかる、NHKさんは一億もかかつた、こういうわけであります。これは金は融通ものでいいとしましても、あの資材を使つただけでも大変な損害だと私は思うのです。こういうふうなこともあるのでありますから、今小野君のお話のうちにありましたように、電波委員というようなものが仮にできて、そうして今後そういつたようなものを処理する機関であるとすれば、相当の知識があり相当の常識がある人がいなければ駄目だ、こう私は思うのです。私のことですから、実は前の委員長網島君などに対しては、こんなものができたのは君の責任だと私はよく言つておりますが、そういうわけでこれはよほどお考えにならなければいかんのじやないか、こういうふうについでだから申上げます。
  85. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 放送連盟の話をして下さい。
  86. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 放送連盟のほうは勿論今もそう無力ではないと私は思つておりますが、更に一層強力なものにして、そうしてラジオ・コードに合うもの、それに従わないものはどうするというようなことを考えて行くということはよりより話はあります。話はありますが、幸いにして今のところでは、あのコードに牴触するような放送をしている所は先ずない。そういうわけですから、さほどの問題を起していない、こういうことであります。もう一つは、民間放送が、あれは一年々々に許可が変るわけです。でありますから、若しかこれに牴触するようなことをすれば、これは停止をされては困るという考えをみんな持つております。自然にそこに拘束を受けておりますから、私は今のままで行つても、あのコードに違反するような状態は起らない、こういうふうに思つておりますが、併し人間ですから、如何なる場合にどんなことを起すか、私はわかりません。これは民間放送連盟においても、もつと研究をして、もつと監督をして行かなければならない、こういうふうに思つておりますが、まだそこまで進んでいないということであります。
  87. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) ちよつと私そのことに関連して。先ほど公共性の問題についてNHKと民間放送とちつとも違わない。ラジオ東京なんかは非常な権威をお持ちになり、スポンサーに対しても主導権を持つていらつしやる。ところが地方へ参りますと、私は相当スポンサーの意を迎えなければ聴衆が集まらないということから、放送の内容等につきましてもラジオ東京の、あなたりようなブルジヨアの立場からおつしやつた自信のようには行かんこともあるのじやないか。プロレタリアの所ではやはりスポンサーの意向が相当入るのじやないか。前にこの委員会でも、一度問題にしたのでありますが、保全経済会とか、その他ああいうものが、特に農村の人々に非常な害毒を及ぼしたのは、新聞もございましようが、非常にラジオによる効果が大きな力があつた。相撲の放送のごときも相当保全経済会がスポンサーでやつておるのです。もう国会その他においても相当ああいうことを心配しておるときにも、どんどんやつてつたのでありまして、放送でもやつておるくらいだから大丈夫だろうというようなことで、耳から入る宣伝は、私は新聞の効力よりもつと大きな力を持つておるという点から、あの問題に対しても、私は若干の責任を持つてもらわなくちやならんと思いますが、そういう点から一つ、新谷委員からもお話がございましたが、一年ごとに更新するわけですが、併し事実上として一市町村も一府県も放送をやつておりますから、実際許したものをそう簡単にはなかなかやめさせられないのでありまして、これがやはり公共性をはつきり持つて、ラジオ・コードを厳守して行かれるのには、やはりあなた方の連盟で、特に道義的に一つそれが守られるよりに御努力頂くことがいいのじやないかと思いますが、その点について将来のお見通しを一つお聞かせ願いたい。
  88. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 私は今委員長お話ですが、例えば保全経済会の放送をした、私のほうは幸いにしなかつたのですから私は責任がありませんけれども、併しそんなことは先ずお手許拝見と申上げたいと私は思います。大蔵省なり或いはそのほかの内閣がああいうものを許可しておくことが間違いである。我々のほうはあれを断わる手はないわけです。お前の所は放送できないと断わる途はない。そんならお前はどうして断わつたかと言いますと、実は私は随分むちやなことを言つたので、君の所はおれの所ではやりたくないのだ。そのために相当脅迫を受けたりなんかした。現在でも或るものはちよつとやめたいと思うものがあります。ありますけれども断わる手がない。こいつは政府の責任だと思います。あんなものを許可しておくからいけない。許可をしておいて、而もあれはいろいろ問題になつたというお話でありますが、そのくらいならば、これは国会でも何でも決議して、あんなものをやめさせる決議をするよりほかないじやないか。現にこの間こういうことがあつた。総評がラジオ東京の時間を買つて放送したいという申込があつた。これは私のほうは断わつた。断わつたけれども、断わる手がなかなかなかつた。君のほうに売る時間がないということで断わつたが、そんなことはない。君の所は今十三時間だ、あと六時間半というものはあるのじやないか。これを売つてくれ、こういうことで、而も高野氏がわざわざやつて来て、私は会いませんでしたけれども、五、六人やつて来たそうです。そういうことがあつて、これも断わる手がないのです。仕方がないから、時間がないと言つて断わるけれども、これは空いているじやないか、そんなことはない。これは売るわけにいかん。こう言つて断わつておるわけです。これは徒らに業者をいじめておるし、私はこんなことは本当に大蔵省の責任だと思います。あんなものを早くやめさせれば問題はなかつた。そいつを商売をさしておいて、そうして放送をしちやいかんというような手はないわけです。例えば選挙時など一番先に私のほうに党としての放送をしようという申込は社会党であります。社会党でありましたから、社会党だけじやいかんからというので、自由党にも改進党にもみんな呼掛けてやつてもらつた、こういうわけです。そういうふうなことで、放送というものは一つの商売ですからして、その商売で断わるということはなかなかむずかしい。現に保全経済会のごときは、私のほうの業務の主脳者の所に、お前は家がなくて困つておるらしいから、小石川に一軒家を買つてやるというのです。これは正直な人ですから、そんなことを言つてもおれのほうはできないと言つて断わつたということがかなりあるのです。だから地方局がやつたからといつて、それを皆さんのほうでけしからんといつてもしようがないと思うのです。あれは保全経済会というものを商売として認めてやらしておる以上は、どうも止むを得ないのじやないか、こう私は考えられるのです。これはコードによつてどうこうということは、まあ内容がどうということになりますと問題になりますけれども、そうでない以上はなかなかむずかしいのじやないか、こう私は思います。けれども私のほうは相当頑固にやつておりますから、まあ私は頑固者だということで通つておりますからして、そんなことはできんというようなことで済ましておりますから、併し相当棒を持つて来られたりしまして……
  89. 小野秀雄

    参考人(小野秀雄君) 今鹿倉さんからお話ありましたけれども、やはり相手がわからなければ仕方がない。保全経済会なるものが公共の福祉に違反するような広告内容を放送させるということがわからなければしようがないですね。わかつてつて、これはどうもたとえ法律でなくても客観的にどうも広告放送をやれば公共の福祉に害がある、こう思つた場合には当然これはやめる。併し鹿倉さんの立場はそうらしいですね。やはりその点どうも受取るほうの判断によるのですから、これは何とも手のつけようはないのじやないでしようか。
  90. 山田節男

    山田節男君 さつき金川理事の受信料、視聴料に対する問題で、大体経営委員会で会議の上でそういう結論だというふうに言われましたが、成るべく現状のままにしてもらつて受信料、視聴料を確保したい、こういう希望なんでありますが、併し実際問題として民間放送、テレビ、ラジオの民間放送がますます今後は発展するということになつて来れば、これはやはりラジオが六十七円、テレビが三百円ということになると、而も民間放送、NHKと両方見たり聞いたりするのですから、まあずるく考えれば、NHKのものはテレビもラジオも見もしない、聞きもしない、だから払わない、そういつたケースが起きて来る可能性があると思うのです。これはイギリスのように、完全な公共放送であつて、民間放送という名前になつていながら、これは実質上一つの公共放送みたような、実に厳重な民間商業のテレビの放送になつております。これはやはりさつき鹿倉さんだつたか、受信料は税金のようにして、契約でなく徴収すべしというような御意見であつたように拝聴したのですが、NHKとして現状のままで、例えば今日千万を超えているラジオ受信者、それから年々殖えて来るであろうテレビジヨンの視聴者、これが金を正直に払うであろうということは、今の日本の非常に道徳の下つておる現状として、これは非常に危険だと思うのですね。だからあなたの言われることは非常にこれは希望的観測であつて現実の問題はやはり鹿倉さんの言われたように、税金によれば最低のものは入つて来るわけですね。だからそうすればレシーバーを置いているものは全部金を取らなければいかんというふうにしたほうがむしろ収入が確保できるのじやないか。そうしてまあBBCがやつておるように、これは向うでは郵政省が八割五分取つているように、八割五分をNHKへ、あとの一五形の中で、どうしてもそこで、例えばNHKが建設のために或いは不測の費用のためにその金が要りますという場合には、更に金をそのうちから出してやる、こういう行き方がBBCでやつている。これは非常に私も合理的じやないか。殊に民間放送が盛んになつて来て、公共放送も厳然として国民のために行わなくちやいかん、こういう立場になつて来ると、やはりこの公共放送も保護しなければいけない。財的な保護をするということになると、やはりむしろ税金的にしたほうがNHKとしての財源というものが確保される上において、むしろ今あなたのおつしやるような現状のままで行くというよりか、そのほうがむしろ私は確実性があるのじやないかと思うのですが、この点あたりの経営委員会でも結論がそういうことになつたということはどうなんですか、何か科学的な数字、統計的な比較、日本の道徳も非常に高いという何かそこに自信がなければそんなことは言えないと思うのですが……。
  91. 金川義之

    参考人(金川義之君) 誠に御尤もな御意見と存じますが、経営委員会でいろいろ論議されました際に出ました意見を若干御披露申上げますと、結局NHKに対して今の放送法の三十二条の形で受信料を払つて頂いておるのが、結局NHKの放送を多かれ少かれ全聴取者に聞いて頂いておるのですから、例えばまあ税金の形にたとえなつても、NHKの放送が現実に聞かれないという時代が来れば、これは受信料の徴収が、受信許可料の形であつても困難な時期が来るのじやないかと、本質的に突きつめて考えればそこまで行くので、現状から判断すれば、税金より遥かに高率といいますか、殆んど一〇〇%に近い受信料の徴収ができておるのだから、他のいろいろな影響を考えると、今の制度をもう当分維持さして頂く。今の制度が維持できなくなる時代が来れば、これは勿論変えなければならんけれども、もう少しの間現状で行けないものかというのが一つの御意見であつたようであります。まあ受信料を税金にかげた場合に考えられる一つの問題は、政府が徴収して徴収実費を引いた残りを機会的に下さればいいのですけれども、NHKで一応立てた予算原案を厳重に査定して、例えば番組編集はこれくらいでいいだろうというようなところまで来ると非常に制約が加わつて来るという虞れもある。成るべくならばまあ経営委員会を信頼して頂いて自主的に経営ができ、従つて番組編集の自由が守られるという体制がとれないものか。もう一つは、NHKの受信者が毎年数十万殖えております。六十万、七十万と殖えております。その殆んど全部が受信料を集める集金人が新規に聴取者を集めているというのが実情でございます。まあそういう新規の開発が非常に不活溌になる。又集金人は集金するだけじやなしに、放送内容や協会のいろいろな点に因する、受信機のサービスというようは点に関する質問を一手に引受けて、放送協会と受信者の間の非常に大事な仲介になつていると思いますが、そういう役割がなくなつてしまうと、NHKというのは国民的な基盤に立つ事業体と言いながら、国民からだんだん浮き上つて来はしないかという、そういう心配なんかも現実にありまして、総合的な見地から今の制度みたようなもので行けないものだろうかというのであります。なおその際にこういう意見もございました。まあ今のやつはNHKと受信契約を締結しなければならんという本当の私法上の契約のようで、実は法律で強制されている一つの公法的な義務を国民に認めている。これは国家的な必要を認めて法律がNHKを作つたのだから、そういう公法上の義務を認めるのも一つの行き方であり、それがまあ現在の法律になつているのだが、契約締結の義務というのが如何にも私法的な感じが強くてぴんと来なければ、まあNHKに対して受信料を支払わなければならないというふうなより公法的な義務という感じを出した形に変えて頂くのも一つ方法じやないかという意見も出ております。  大体そういう点であります。
  92. 中野好夫

    参考人(中野好夫君) 今のに関連して。税金という問題がやはり出たようですが、山田委員は大体税金賛成説のように拝聴いたしましたが、イギリスの例はライセンス・フイーらしいですが、これはイギリスという国に行われていること、そういう背景になつている社会条件というものを考えないで、そのまま移して来ることは非常に危険だと思うのです。イギリスのように言論の自由というようなものがもうこれは国民の全部に、七、八百年の歴史でいやというほど滲みついている国民であるし、それから又或る意味では、例えば保守党の政府になつても労働党の政策をそのまま殆んど踏襲しておるというような、そういう国家社会で行われておる問題を、それがうまく行つているからといつて、それをそのまま日本に持つて来ることは、日本の現在の状態では、私は非常に危険であると思うのです。恐らく税で抑えれば……私は経営委員会のことは全然関係ないのですが、NHKから出たような、経営委員会でもそういう懸念があつたような懸念が非常に起ると思うのです。それで私は税の問題は、五月十四日の衆議院の電波法制調査委員会で東大の法律の鵜飼君が意見を述べておりますが、やはり聴取料というものは、民法の一般的な考え方からは無理な規定だと思う、併しそのために訴訟を起せば、原告において聞かないということを立証することは不可能である。これは敗訴する。鵜飼君は法律家ですから、法律家の意見ですが、やはり鵜飼君はあとで、この形式を変えれば、言論の自由が制限されて来る虞れが大きいと思う。こういう日本の状態では鵜飼君が恐れるようなことは私は非常に当然あることだし、同時に逆に言えば、恐らく税金という方法でやろうということは一番無難な方法といいますか、攻撃を受ける直接の言論の圧迫というような形を出さないで、言論の制限というようなことと同じ効果を達するためにやつて来る非常にうまい方法一つだと思うので、実は鹿倉さんからお話が出たことは意外なんで、連盟の方と話したときには、必ずしもそうでもないようで、このほうが私は当然だと思うのですが、この点私は委員の方の意見を逆に伺つておきたいぐらいだと思います。
  93. 山田節男

    山田節男君 今中野さんのお話もあり、イギリスは実際のラジオにしても、殊にテレビジヨンで、放送については言論の自由というものは非常な統制なんです。それから御承知のように、BBCは日本で言えば公社、パブリック・コーポレーシヨンよりもつときつい、チャーターによつて三年間でライセンスを得てやつておる。会社自体そのものがもう三年ごとにステータスというものが変つて来る。ですからやはり聴取料を、受信料を税金式に取るということは、イギリスのそういう会社が、日本では特殊法人であつて公社じやないのです。そこにこのイギリスが受信料を税金的に取り、而も郵政省から徴収するという建前なんです。それからテレビジヨンの、今度BBCから別に民間放送を作つて、これも公社にして、公社の又実際放送しておる会社を作つて、而も広告放送もスポツト・アナウンスしか許さない。而もNTVでやつておるようなことは許さん、こういうことは非常に検閲がやかましい、こういうことなんですね。だからこの点は私は放送界で、NHKというものがはつきり今度公社になつてしまつて、NHKが希望しておるかのように見えますが、例えばNHK公社法、国鉄の公社法、専売公社法、電電公社法というものと同じものにしてしまえば、これは一つの公的なものとして、税金的な性質を持つたものとして取ることば可能だ、これは電話料金と同じですから……。そういう点で私はこれがいいか悪いかはまだ決定しておるわけじやないのです。先ほど言つたように、NHKの話を聞いてもこれが現在のままで一〇〇%、千幾らというものを集金人が行かないでも取れるということは一面においてあると同時に、他の面で集金人が行くために受信者と非常に何といいますか、接触して繋がりができておるということが言われておるのですが、いわゆる財政的な確固たる基盤においてコンスタントの財政運営ができるということになれば、税金的に徴収するのだと言えば、非常にNHKの財政的な基礎が固定し、安定するのじやないか、こういうことも考えられるのです。
  94. 中野好夫

    参考人(中野好夫君) イギリスの放送、BBCが或いは日本よりも政府の監督というものがきついということもわかつております。例えば私はリスナーという雑誌は遥かに戦前から、又戦後も非常に愛読の週刊雑誌の一つですが、それはなぜ私がたびたびリスナーというものを読むかというと、私は放送関係の人間じやないのですが、あれには各政党の、少くも監督といいましても時の政府の言論統制というものは少しもBBCのリスナーには現われていない。むしろそこには政府の批判もあるし、私は非常にあれは英国の言論の動向を知るのに、我々は英国で出ておる週刊誌の中で非常にいいものとして年来読んでおる。そういうことが日本にできれば非常に結構でしようが、私はその点で日本というものの今の現状は楽観できないのです。そのために先ずとにかく私たちは言論の自由、若しそれが制限されれば世論の批判というものはあると思う。世論の批判というものは現にあるのでありますから、それは無視できない。それを待てば結構やれるので、そのために、でありますから、イギリスのBBCが、それで受けておるという面だけとつて来て、BBCのような運営が日本でもできるかできないかということで、今税にすることは危ないと思う。勿論先ほど申上げましたが、今の聴取料というものの制度が決して理想的なものじやないということは、後味の非常に悪いものだということはわかつておる。それで今のような税というような形でなく、合理的な解決ができれば、これは私も先ほど申しましたように、少しも反対じやない、その方法考えてもらいたいと思うのです。今幸いにこの前から聞いておりますが、税には滞納が、道徳が落ちておるせいか多いのにかかわらず、聴取料は非常によく集まつておるということは聞いておりますが、税にするために余り不払同盟というものができてどこからか煽られないように私はして頂きたいと思います。
  95. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 今中野さんのお話で税の問題が出たことを不思議に考えるということですが、私の本心はむしろNHK擁護論なんです。これは規定を作りさえすれば何でもない、法律を。今山田さんのお話にもありました通りに、例えば全国に千七百万ある。それは幾らということははつきりわかるのです。そのうちから一五%を税の徴収費用に取る。あとのものをこれをNHKに渡してそうしてNHKで経営させる。これは幾らでも方法がある。それによつてNHKが拘束を受けるはずがない。現在でもNHKの予算というものはすべて経営委員会にかかつて出会の承認を得なければその予算というものは成立していない。それと同じ途で取りさえすれば決して大蔵省に徴収してもらうから直ちに大蔵省の監督を受けるということは私はないことだと思う。私はむしろNHKを安心して経営させる途だ、こういうふうに考えて私は言つておるのであつて、私は随分古くからこの聴取税を主張しておる一人でありまして、これはむしろNHKK擁護論だと私は思います。恐らく今そこまではおつしやいませんが、山田さんの御意見も私と同じ意見だと私は思います。そういう特殊税金を取る途はないとおつしやつた大家がありました。その人の話を聞いておりますというと、どれもこれも取るわけに行かないというようなことでありましたが、私は兵庫の一部に家庭を持つておりますが、兵庫県ではフアン・モーターに対しても税金を取つておる。女中を置いておつても税金を取つておる。地方税といつても国税といつても国のために使つておるのだから同じです。そういう点から言いましても私は取つていいと思う。私は極端な例を言いますならば、例えばテレビジヨンなどは非常に高い税金を取つてもいいじやないかと私は考えます。それで若し余つたらほかのほうに使つたらいい、こういうふうにまで私は考えておる。そういうわけでむしろ収入の安定を図る意味におきましてNHKはやはり税金の何十パーセントかをもらうというふうにきめてしまえばなんでもないと私は考える。そういう意味で税金制ということを主張しておるのです。いわゆるNHKKの外濠を埋めて自分に及ぶというようなことを考えておるのじやないのです。
  96. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 新聞とラヂオの関係ですが、アメリカなどは非常に民間放送が発達しておりまして、直接新聞との関係は薄いようですが、日本でも新聞社が大分やられ、鹿倉さんの所は一社じやないようですが、地方に参りますと特定の新聞社が民間放送を経営しておる。更にこれが又テレビを経営して参りますと非常に強力な、場合によつては言論機関として余りに強力になり過ぎるというようなことになりはせんか。選挙の場合などちよつとした筆の走り方で政党或いは候補者が非常に影響を受ける。先ほど小野先生のお話にも新聞のほうには政党の批判ということもあり、或る場合には中立性というようなことで、ラヂオなどとは少し角度が違うということもお話があつたのですが、又先ほど中野先生も、テレビに関係した新聞がテレビのことに非常に片寄つた書き方をしておるというお話もございましたが、又山田委員からだんだんと民間放送が系列化して来る傾向がありやしないか、それは場合によつては望ましいというようお話もありました。私直接新聞社関係がありませんので、新聞ニュースのことはよくわかりませんが、小さい民間放送は直接取材等に十分な力を持たないために、或る新聞のニュースを流しております。これは大新聞として地方に勢力を作る大事なことなので、民間放送を自分の傘下に収めようとするものがあるようであります。そういうことをいろいろ考えて見ますと、これまで民間テレビを先に許したことが、いろいろ将来に禍根を残したという話がございましたが、新聞社がラジオやテレビを持ち、言論機関のキー・ポイントを握つてしまうというようなことが将来になつて取返しのつかないような、余りにも強力になり過ぎて困るようなことになりはしないか。こういうことにつきまして、参考人の方々の御意見がございましたら伺いたいのであります。
  97. 中野好夫

    参考人(中野好夫君) 私はこれはラジオとの関係だけじやなしに、実は新聞全体に対する、私はまあ非常に不満なんだが、これはラジオには弊害は比較的私は多く現われてないと思うのですが、つまり日本新聞というのは、野球団は持つ、まあよその話になつてしまいますが、野球団は持つ、音楽家なんか、興行者みたいになる。又その上にラジオもテレビも加わつて来るわけですが、まあ野球団を持つたり、それからまるで競争で興行者のやるようなことをやるというのは、私は非常にけしからんと思うのです。けしからんというのは、大体新聞本来の使命をもつと我々はやつて欲しいのに、ああいうものに馬鹿な金を使つて、まるで自分の呼んで来る興行やスポーツの広告紙同様に扱つているというのは非常に不都合だと思います。それがテレビまで私ははつきり現われておる。その点ラジオのほうは、今日別にラジオの人だからお世辞を申上げるわけじやないが、比較的弊害は少いように思うのです。そういうことですから、目的は新聞というものは、やはり新聞の使命というものをやつて欲しいものですから、できることならばラジオと新聞というものも、本来ならば理想的には離れてあるべきほうが私は望ましい形で、多少小さい、程度は少い弊害にしろ、やはりそれは除かれたほうがいいと思うのです。
  98. 小野秀雄

    参考人(小野秀雄君) これは主として新聞の問題だと私は思いますが、ですからまあ何ですね、テレビの宣伝を盛んにやつたということは私もよく知つておりますが、これは新聞にあれだけの自由を認めておく以上はどうも仕方がないのですね。若しこいつを制限しようということになりますと、要するに、やはり新聞社の自主的な裁量に待つべきものであつて、実はそのために新聞協会ができておるのですが、そしてあそこに新聞のコードができておりまして、まあ最後の矜持という問題に引かかるのでしよう。ところがそのコードが実際は守られていないのですね。殊に小さな新聞になりますと、非常に近頃猥褻になつて来ております。もう殆んど害あつて益ない新聞が出ております。これは私非常に歎かわしいと思うのですが、つまり新聞はみずから自分の自由を蹂躙している。結局そういうことをやつておると、しまいにどこかから干渉が出るにきまつておるのですが、実は輿論の統制でございますね。この問題はイギリスで非常にやかましい問題でありまして、どらもイギリスの輿論というものは、大新聞がまるで輿論をなしておるというのは、例のコンツエルン、新聞の大きなコンツエルンができまして、そしてそのコンツエルンが新聞を支配しておる。まあ大して数ありませんですね。幾つかのコンツエルンがイギリスの新聞を支配しておるというのが問題になりまして、これは議会で問題になりました。そしてその禍根を調べようじやないかということで、ローヤル・コミッシヨンができました。そのローヤル・コミツシヨンが相当の期間の新聞調べて、その発表をしております。それでその発表を見ますると、大分新聞は反省すべき点が相当あると言うのであります。そんなわけで、イギリスの新聞はそれに刺戟されまして、今年ですか、今年の初め、プレス・コミッシヨンというのを作りました。それでこの七月の二十日でしたかに発足しております。プレス・コミッシヨンというのは、これはそれに一つの憲法を作りまして、そしてアングロサクソン・ジャーナリズムの伝統をどこまでも活かして行くというのが主眼になつております。それでそのコミッシヨンのメンバーを選定しまして、これは三つの新聞協会でありますが、ロンドン紙とそれからローカル・ペーパー、それからもう一つは、どこでしたか、スコットランドでしたか、三つあります。それから新聞記者の団体が三つ、その六つの団体からメンバーを選出しまして、それが会議を開いていろんな問題、そういうプレス・コントロールの問題ですね、そいつを自主的に批判して行こう。それに対する強制は別にないのですが、そこで批判される恥になるわけです。それで反省して行こうと、これはまだ二年くらいしかやつておりません会合で、どのくらいの拘束力がありますか、その点わかりませんが、とにかくそういうものを作つておりますが、日本ではアメリカが来て、アメリカの倫理綱領を持つて来たのです。それは或る程度手入れされて残して行つたのです。あれが守られればよほどいいのですが、なかなか守られていないのです。そんなわけですから、放送法を改正する場合に、新聞との関連において、何らかの問題を取上げるということになりますと、新聞界のほうから恐しい反撥が来るだろうと思うのです。これを覚悟でないとやれません。相当新聞界は我がまま勝手であるのですよ、私公平に言いましてそう思います。私は終始批判しておりますので一番嫌われております、新聞界に。併しこれは新聞のために言つているので、決して自分で苦痛とはしておりませんが、そんなわけですから、この大きな新聞のネツト・ワークが将来ラジオに及んで、そしてそれがどういう影響を及ぼすかという予想の下に、何らかのことを考えるのは少し早計ではないか。やはり事言論の自由に関する限りは、弊害が起るのはまあしようがないのですが、それを弊害を起すというのが実は間違つておるので、これは中野さんのような評論家が、終始そういう点を捕まえて輿論を喚起するということが必要なんです。できるだけ新聞に反省さして行くというのが先で、法律の面はあとに行くというのが、やはり民主主義立場から仕方ないのではないか、こう私は考えております。
  99. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 中野先生のように硬骨な方はかりならいいのですがその輿論を発表するのは新聞でありましようが、その新聞なりラジオなりが、テレビも勿論だんだんネット・ワークですか、コンツェルンというものが強くなつて行きますと、もう今ですらなかなかそんなことを扱うのは骨が折れると小野先生おつしやいますが、あとではなおのこと骨が折れると、かように心配いたすわけですが、鹿倉さん何か。
  100. 鹿倉吉次

    参考人(鹿倉吉次君) 私は今新聞関係ありませんけれども、私のほうの会社がやはり三新聞社関係がありますから、余り意見を述べたくないのですけれども、よほど考えるべき問題だとは思つております。それ以上はちよつと……。
  101. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本日は非常にお忙しい中を当委員会のために四人の方においで頂きまして有益な御意見を頂きました上に、長時間私どもの審議に対して活溌熱心な御答弁を頂きまして、放送法を将来この委員会でいろいろ取扱いますのに、非常に参考になりました。有難く御礼を申上げます。長時間御苦労さんでございました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会