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1954-04-09 第19回国会 参議院 電気通信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年四月九日(金曜日)    午後一時四十四分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            久保  等君    委員            津島 壽一君            新谷寅三郎君            三浦 義男君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    郵政政務次官  飯塚 定輔君    郵政省電波監理    局長      長谷 愼一君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   説明員    会計検査院事務    総局検査第四局    長       大澤  實君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○日本放送協会昭和二十七年度財産目  録、貸借対照表及び損益計算書並び  にこれに関する説明書内閣提出) ○参考人の出頭に関する件 ○電波行政に関する調査の件  (電波行政に関する件)   ―――――――――――――
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 委員会を開会いたします。  日本放送協会昭和二十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書議題といたします。  先ず塚田郵政大臣から提出理由説明を求めます。
  3. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 日本放送協会昭和二十七年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書について概略御説明申上げます。  日本放送協会のこれらの書類は、放送法第四十条の規定に基きまして、提出されるものでありますが、昭和二十七年度につきましては、先般会計検査院検査を経ましたので、今国会に提出して御審議願うことと相成つた次第であります。  協会から提出されました昭和二十七年度の貸借対照表等の詳細は、お手許の書類通りでありますが、その概要について御説明申上げますと、先ず、昭和二十八年三月三十一日現在における資産総額は四十七億八千余万円で、この内容は、流動資産四億六千九百余万円、固定資産三十九億五千二百余万円、繰延勘定六千二百余万円、特定資産二億九千六百余万円となつております。  固定資産ラジオ関係テレビジヨン関係に区分しますと、ラジオ関係が三十七億三百余万円、テレビジヨン関係が二億四千九百余万円となつております。負債につきましては、総額二十三億三千八百余万円でこの内容は、流動負債二億千七百余万円、固定負債二十一億二千百万円となつております。固定負債ラジオ関係テレビジヨン関係に区分しますと、ラジオ関係が十九億百万円、テレビジヨン関係が二億二千万円となつております。  損益につきましては、事業収入は、ラジオ関係が六十三億七千百余万円、テレビジヨン関係が四十六万円、事業支出は、ラジオ関係が六十二億六百余万円、テレビジヨン関係が三千九百余万円で、ラジオ関係においては、差引当期剰余金一億六千四百余万円、テレビジヨン関係においては、差引当期欠損金三千九百余万円となつており、協会事業収支全体からみると、差引当期剰余金一億二千五百余万円となつております。  以上で、概要説明を終りますが、何とぞよろしく御審査のほどをお願いいたします。
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、会計検査院検査第四局長大澤實君から説明を願います。
  5. 大澤實

    説明員大澤實君) 昭和二十七年事業年度日本放送協会検査の結果の概要を申上げます。  大体においてこれの検査は二十八年中に施行いたしましたのですが、御承知日本放送協会の全機構、即ち本部及び中央放送局七カ所、地方放送局八十六カ所のうち、実地検査いたしましたのは、本部とそれから中央放送局の七カ所のうちの五カ所、松山と名古屋はいろいろな関係で遂に実地検査をするに至りませんでしたが、ほかの大阪、札幌、仙台、広島、熊本の五中央放送局検査いたしました。地方放送局のほうはいろいろな関係で手が伸ばしきれませんので、昨年においては一カ所も施行いたしておりません。併しながら大体において地方放送局の規模は小さくありますから、中央放送局段階検査十分検査目的は達し得るのではなかろうかというように考えております。  検査しました結果は、会計検査院院長から総理大臣に提出いたしました書類には、検査の結果特に記述すべき意見はないと記述したしまして、総理大臣のほうへ回付いたしておりますが、微細の点につきましては、それぞれ実地検査の場合に注意を促した事項もありますし、そのほかに文書を以て正式に日本放送協会宛注意を促した点が二件ほどあります。  その概要を申上げますと、一つは、テレビ試験研究をいたします場合に、東京芝浦電気会社その他に委託いたしまして、相当なテレビ機械類試験製作させておる、この契約によりまして試験の結果でき上つた機械日本放送協会が取得することになつております。この取得いたしました機械類は、将来若しもこれが本格的に放送使用されれば当然固定資産に計上さるべき性質のものもそこに相当入つているわけでありますが、その間の研究費で支弁しましたものの物品整理が内部的に十分行われていない状態でありましたので、これは将来のことも考えて速かに物品としては物品出納部に計上する等の方法によつて、はつきりとこの試作品内容を明らかにすべきであるという点を一件注意を促してあります。  それからもう一つ注意を促しました事項は、二十七年の九月に日本放送協会共済会、つまり一つ厚生団体でありますが、この共済会に対しまして五千万円を受信者一千万人達成記念として交付しております。この共済会に対しまする交付金は、予算上はたしか千二百万円程度であつた思いますが、計上されておりまして、その分は経営的な交付金として交付されているのでありますが、そのほかに、先ほど申しました一千万人突破ということに基く職員の労苦を報奨するという意味におきまして、福利厚生資金としましてこの五千万円が出ているわけであります。勿論こうした五千万円の経費を出すことの当否という問題はいろいろありましようが、予算に千二百万円しか計上されていないのに、他から流用されて出したのでありますが、五千万円支出している。而も日本放送協会経理内容を見ますると、減価償却規定の額よりもまだ償却不足もあるような状態でありますので、損益面から見ても、こうした五千万円の交付金というのは多過ぎたのではなかろうか、将来においてこうした場合は予算に計上されて支出されるなり、或いは実際の利益のあつたときに支出されるというような方法をとるべきではなかろうかという意味において、注意を促したのであります。この二件を文書を以て注意書を発件した次第であります。  以上簡単でありますが、二十七年度の日本放送協会決算状況検査の結果を御報告申上げました。
  6. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今の記念交付金というのは五千万円ですか。
  7. 大澤實

    説明員大澤實君) 五千万円であります。
  8. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本件に関する質疑は次回から行うことにいたしたいと存じますが如何でございましようか。
  9. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 資料要求があるのです。
  10. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 資料要求がございましたら、この機会に……。
  11. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 放送協会のほうにお願いしたいのですが、この前の決算のときにもお願いしたことですが、この予算と比較しまして、あらましの項目について予算がこうだつた決算ではこうなつたと、多少今のような予算の食い違いもありますので、この点一覧表、一枚の表にして頂いて御提出願いたいと思います。その場合にできれば審議を簡単にするために、非常に変更が大きかつた場合にもその簡単な理由を何か備考欄にでも書いて頂きたいと思います。
  12. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それでは本件に対する質疑は次回から行うことにいたしまして、なお本件に関しては質疑が終了するまでに日本放送協会古墳会長、その他同協会責任者を随時参考人として本委員会出席を求め説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 御異議ないようですから、さよう決定いたします。   ―――――――――――――
  14. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 次に、電波行政に関する調査議題といたします。  塚田郵政大臣の御説明を願います。
  15. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) それでは私から電波行政について現下問題点及び今後の方針について述べたいと思いますが、その前に、先ず電波利用及び電波行政発展の経過を概観し、それらが今日如何なる重要性を持つに、至つているかに思いをいたしてみたいと思うのであります。  御承知のように、電波が人類の用に供せられるようになつたのは、一八九五年(明治二十八年)のことでありますが、その後きんきん半世紀の間に電波利用は真に驚くべき発展を示したのであります。  即ち、電波は、従来のように船舶通信公衆通信のみに利用せられているばかりでなく、今日においては、警察防衛海上保安、航空、気象、水防等国家事務のためを始めとし、地方行政事務のためにも利用せられ、その他日本国有鉄道日本放送協会民間放送会社新聞社電力会社各種メ―カー、銀行等のそれぞれの業務に、更にアマチュア無線のごとき個人に至るまで、広汎な分野に亘り、社会の活動と密接な繋がりを持ち、今日の国民生活は、電波の恩恵に浴しないものはないと申しましても過言ではないと存じます。我が国における電波利用の面も最近非常な発展を遂げて参り、無線局の数を以つて見ますと、世界各国のうちでも、米国、英国に次ぐ状況になつております。  このように最近電波利用が著しく伸びた理由として考えられるものは、もとより利用者において電波有効性を強く認識し、積極的にその利用を図られたことがその一つでありますが、最近における電波科学及び技術進歩発達と、従来政府専掌であつた電波利用を広く国民に解放した電波法の制定による制度の改変が、これを可能ならしめたところのものであると存ぜられます。  次に総括的に、電波行政特質、その基本的性格といつたものについて触れておきたいと思う次第でございます。  先ず第一に、電波行政必要性について申述べたいのでありますが、電波は、その利用しうる数において、誠に強い制限があることであります。勿論、電波科学及び技術発達により、逐次従来使用不可能であつた周波数帯に対して開拓の手は伸びつつありますが、その時においては利用し得る電波が、国内的及び国際的に制限のあることは申すまでもありません。このように電波には、利用し得る数に制限がありますので、誠に貴重な国家的無形資源と申すべきでございます。このような限られた貴重な資源でありますから、その利用は、国家的に最も有効に行われなければなりません。ここにどうしても、国として行政の対象としなければならぬ理由があるのであります。  御承知通り電波法は、電波利用国家独占を改めました。併しながら、国民共有電波は、決して個人所有物ではないはずであります。従いまして、電波法は私人の電波利用を認めばいたしましたが、特定人にこの貴重資源利用を認めるということは、その者に対する大きな利益、大きな特権の設定でありまして、その場合には共有者たる国民による全国民的見地からする選択の意思が働くべきは当然であります。而も、この許否の決定は、現行法律の下において、行政庁が実施すべきものとせられている次第でありますが、私は以上申述べましたような観点から、電波利用の免訴、或いは監督等について現行法律規則運用を行い、又今後改正を要しますものがあれば、これを改正することにいたしたいと考えている次第であります。  電波行政特質の第二点としましては、無限の将来性があるどいうことでございます。御承知のように、利用し得る電波の個数は極めて限られたものでありまして、そのため各国とも電波獲得のために必死となつておりますが、我が国といたしましても、国際的に電波利用権利確保のため努力いたすべきは当然であります。更に、科学技術振興により、今まで使用不可能であつた電波を使えるように開拓することが可能であります。又、通信方式の改善によつて通信使用する周波数の幅をせばめることとか、通信速度を向上することなども研究課、題であります。これらによつて電波界の将来は、誠に洋々たるものがあり、現に日に日に新たなものが生れつつあります。併しこれはすべて広大な分野に亘る科学技術研究研鑚の成果、いわばピラミットの頂点に咲いた花でありまして、我々は今後この下部構造を培うことに大いなる努力を傾けねばならぬと存ずる次第であります。  電波行政特質といたしまして第三に、私はその国際性について一言いたしたいと存じます。御承知のように、短波及びこれより長い電波は、到達距離関係上、国際的に混信の問題を生じます。従つて、どうしても国際的な統制を必要といたします。更に、船舶及び航空機は国際的に運航いたすものでありますから、使用電波通信方式通信手続等について国際的な取極めに従う要があります。その故に国際間には早くから電波に関する条約があり、我が国も、つとにこれに加入いたしておりました。太平洋戦争後も、昭和二十三年には国際電気通信条約加入手続がとられ、翌昭和二十四年には加入が完了いたしました。万国郵便条約復帰に続き、我が国として戦後条約加入した第二番目でありました。それほどに電波関係は、国際関係切つても切れぬ密接な繋がりがあるのでありまして、条約により我が国政府は、国際的に認められたところにより無線局免許監督及び監視等いろいろな権限を有し、又義務を負つているのであります。この意味におきまして、私は国際的な電気通信業務にできる限りの協力をすることが必要だと考えておりますが、各種国際会議等においても、努めて有力な代表団を派遣し、国際電波行政に有力な寄与をなすと共に、各国をして我が国電波界における実力を認識せしめ、国際的な地位においても有力な発言権のある状態に一日も早く持つて行きたいものだと念願いたしている次第でございます。  電波関係において国際問題が多いことは、以上のことや、波の争奪の交渉のことでもおわかりの通りでありますが、我が国電波関係は、他国に比して国際問題が一層複雑且つ重要となつているのであります。それは、第一に駐留軍との関係があることでありますが、これらにつきましては、行政協定に基く日米合同委員会周波数分科委員会において、その間の調整が図られております。  第二には、我が国がソ連、中共、朝鮮に隣接していることでありまして、これらの国々には、国際電気通信連合に加盟していないところ、または加盟していても、国際規則の適用について留保を行なつているところもございますし、これらの地域との間において発生する混信問題等の処理は、全く今後に残されたむずかしい問題と言わねばなりません。  電波行政特質として、第四に挙げたく思いますのは、それが全く新らしい行政であること及び極めて技術的専門的要件を帯びていることでございます。  電波行政以外の各種行政は、いずれも古くからあつたものでございます。従つて官庁としてもいずれも長い歴史を持ち、行政としての内容も、多かれ少なかれ一般によく周知されて来たものでございます。然るに、電波行政に至りましては、過去においては、その幅は極めて限られており、而もそれが最近に至つて急激に増大し、又重要となり、行政として大きな実体を備えるに至つたものであります。而もその実体についての知識は、極めて技術的専門的となりますために、一般にはなかなか了解されがたい点が多いのであります。  以上述べましたように、私は電波利用実体電波行政重要性を考え、又その特異性思いをいたしますときに、解決すべきいろいろな問題があるのでありますが、いずれもゆるがせにできないように思うのであります。これらの問題につきましては、各位の御協力によりまして、その速かな解決を期する所存であります。  以上申述べましたような基本的な考え方なり、態度なりに立ちまして、当面の二、三の問題につきまして、その方針等を少しく申述べたいと思います。  先ず第一に言及いたしたいことは、国として一貫した、統一された電波行政を確立するということであります。先ほども申上げました通り電波国家の限りある貴重な資源であり、又その利用の如何やその効果国家社会に対する影響の甚だ大きい点からいたしまして、電波法の第一条(目的)に語われておりますように、電波の公平且つ能率的な利用確保し、以て公共の福祉の増進を期すべきことは今更申上げるまでもございません。この観点から電波利用範囲拡大を期する一面、我が国として現実に利用可能な電波国家全体として、最も合理的且つ能率的に活用し得るよう図らねばならぬこととなるわけでございます。  この電波利用積極的拡大方途としては、国際的に我が国として使用可能な周波数獲得と、電波利用に関する技術発達振興であります。又、現に利用可能な電波の合理的且つ能率的な活用方途としては、国家全体としての電波使用計画の合理的な総合調整と、設備せられた電波施設の能率的な総合運用と申すようなこととなると存じます。  電波使用についての国際権益獲得等については、先ほど一言いたしましたし、又電波についての技術発達振興については、後に改めて、申述べたいと存じますので、ここでは特に電波利用総合計画及び合理的、能率的な運用ということについて言及したいと存じます。  電波利用の合理的な総合計画としては、有線通信無線通信としての相互関連から考慮するばかりでなく、日本電信電話公社公衆通信施設とその他の専用通信施設との関係国家としてのいわゆる官庁通信一般民間通信との比重、或いは防衛関係とその他の電波利用等国家全体として、種々の面から、而も常に総合的に、統一的に考慮せられるべきものと存じます。このことは、周波数合理的使用からもそうでありますし、資材資金に乏しい我が国情からもそうであり、且つ又非常災害に対処する考えからもその必要に迫られることは、必至のところと思われるのであります。この意味において私は、有無線を統合した一元的行政を今後強力に推進する必要があると痛感し、両者を統合した電気通信行政、更に又総合的な電気通信施設計画設定国家として確立する必要があるのではないかと存じておる次第であります。  一方我が国における電波監理行政が、現在国家全体として、一本に統一されていることは、誠に当を得たところでありまして、このことは、国として、対内的にも、また対外的にも利するところが極めて大きいと存じております。電波監理についての行政機構等が当を得ていないときには、その国の電波利用について、特に軍用あるいは国防用と、その他の用途との間の関係が、しばしば調整困難となつて国家全体として内外共に不利な状態となる実例が見られる。であります。我が国におきましても、曾つて陸、海、逓と電波利用が、三分されておつたこともあり、現在も欧米諸国等において、この関係が、国全体として、統一ある形態となつていないために、電波国際的権益確保及びその合理的、能率的活用に欠ける例も少くないのであります。幸い我が国においては国家全体として、電波監理の仕事は、細部の手続その他の点は別といたしましても、その根本である電波統制の面が厳として、一本に統一されている点は、今後とも保持さるべきものと信じているものであります。  次に、電波利用合理的能率的利用方策に関連いたしまして、現有設備運用についての問題でございますが、我が国経済力利用し得る電波に限りある点、又天災地変の多い事情等を勘案いたしますときに、通信施設、特に電波利用いたします通信施設の合理的、能率的な総合運用を期すべきことは、重複施設を避ける意味から只今申述べました施設計画総合調整を必要とする一面において、極めて必要なことと思うのでございます。このために設備部品類規格統一通信運用方法規準化或いは通信事従者総合訓練と申すようなことも必要になつて来るのではないかと存じます。現在非常災害時等に際して、官民各方面に亘る多数の無線局免許人又は運用者が、全く一元となつて、適時、通信網を形作り、非常時に際する救助、復旧その他の重要通信の疏通を図つて来ておりますことは、御承知通りでございます。併し、現在のところは、中央及び地方非常無線通信協議会として、各無線局運用している関係者相互援助の形をとつているだけでありまして、郵政省としては、常にこれを指導し、援助する立場だけにとどまつておりますが、殆んど例年と申しても過言でないほどに、風水害その他の災害の多い伐が国としては、なお一層効果を発揮し得るよう、この非常無線通信制度化国家的補助、平時からの訓練実施等についても早急対策の必要があると存じております。  さて、電波利用が、各方面亘つて、広く又深く普及して参りますと共に、問題となつて参りますのは、無線通信放送受信に対するいわゆる雑音障害であります。この影響は、一般電気設備高周波利用設備普及と共に、最近急激に増大の傾向を示して来ているのであります。この雑音障害、即ち電波利用に対する妨害を除去又は軽減する問題は、電波利用のための消極的発展策とでも申せると思うのでありますが、これについての法的措置も現在十分でない状態でありまして、このまま放置いたしますならば、将来に重大な禍根を残す虞れがありますので、これが除去対策を急速に樹立し、要すればその法制化についても考慮すべく、目下鋭意その成案を得べく努力している次第でございます。併しながら、本問題は何分その関係範囲が極めて広汎であるため、又その及ぼす経済上の問題も多々ありますので、通産省筆関係各省との協力の下に、施策を講ずる要がございますが、一面広く国民各位の理解と協力に期待するところが極めて多いのであります。  次に放送について申上げます。  先ず第一に私は、標準放送及びテレビジヨン放送が現在の我が国において如何なる位置を占めるものであるかについて思いをいたしてみたいと存ずるものであります。我が国現下最高命題は、国家再建にあり、而もこれを民主主義原理によつて達成するというところにあると存ずるのでございます。この民主主義原理による国家再建ということを遂行するに当つては、マスコミユニケーシヨンの手段が絶対に必要であり、この分野において放送の機能に期待するところは誠に大なるものがあります。即ち、各種の事実が正確迅速に国民全般に報道され、多方面意見が広く一般の批判の場に提供されて、これらを素材として国民の一人々々が自主的な判断を下し得るようにすること、又一旦決定した事項については、その決定至つた経緯及び理由を明らかにして全国民の納得の下に国民協力を形づくるということが根本となるわけであります。又国民に勤労の疲れをいやすために健全な娯楽を提供することも必要でありますし、一方、特に次の時代を背負うべき青少年に対しましては深い情操と教養とを涵養する機会を与えることも大切であります。かかる意味におきまして放送使命は誠に大なるものがあると存じている次第であります。  以上のように私は放送の持つ意義を理解し、それは単に個人生活の便宜のために必要であるというような小さなものではなく、まさに国家として、その最高度活用が望まれるものであります。ここにおいて、私は、放送について次の三つのことの実現を必要と考える次第であります。即ち、第一は、放送施設全国的普及であり、第二は、放送使命達成に最もふさわしい番組の提供であり、第三は、受信機の最大限の普及であります。而して、この三者の実現を図ります場合に、我が国の現状からいたしまして、最も合理的に、最も経済的に行う必要があると存ずるのであります。  以上のような基本的観念の上に立つて以下放送に関する若干の問題について意見を述べてみたいと存じます。  先ず第一は、放送法の改正問題であります。現行放送法は被占領時代に制定せられ、放送のあり方、日本放送協会使命、その業務内容等を規定すると共に、電波法とも関連していわゆる民間放送を可能ならしめた画期的なものでありましたが、かねがね申述べました通り、現状におきましては、種々改正を必要とする点が少くないように存ずるのであります。又国会におかれてもその必要性を指摘せられておりますので、政府といたしましては、この放送関係法令の改正につきまして先にも申述べましたように、特に調査委員会を設けるなどいたしまして、鋭意その準備を進めている次第でございます。  この際調査委員会において調査すべき問題と考えておりますことの二、三を申し上げたいと存じます。申すまでもなくこれらの問題点といたしましては、今後同委員会の作業が進捗するに伴いいろいろな事項が浮んで来ることとは存じますが、私といたしましては、目下次のようなことが、問題として十分調査されなければならないのではないかと考えているのであります。  第一は、放送の持つ公共性と表現の自由との関係をどう処理するかということであります。これに関連するものとしては、放送番組関係の準則として法律に掲ぐべきものは、1現行法に規定されている程度のものでよろしいかどうか、2特にテレビジヨンが生れた今日においても支障がないかどうか、8自主的な番組規律の実施を確保するための何らか有効な組織乃至手段というものを考える要があるかないか、4民間放送の場合に放送時間のすべてを商業番組としてしまつていいものかどうか、5一つ放送会社に所属してよい局数に限度を設けるかどうか、6ネツトワークを構成する場合に何らかの制限を要するかどうか、等が調査の対象となるように考えられます。  第二は、放送事業は全体として公共的性格を持つべきものでありましようが、これを実施する一般放送事業者の放送事業と特に公共的企業体として設けられている日本放送協会放送事業とは同じものであつてよいものかどうか、異なるところがあるべきものとすれば、その内容はどういうことか、例えば事業の目的、範囲、放送番組等において、それぞれ如何にあるべきであるか、こういつたことが調査を要することと考えられます。  第三には、日本放送協会機構、運営、国家との関係等が問題として考えられるべきものと存じます。この関係といたしましては、例えば、1協会の経営の責任体制は現行の経営委員会制度がよいか、或いは2他の形態がよいか、3協会に対する国の監督は現状のままでよいかどうか、予算や事業計画は国会の承認事項となつているが、現状のままがよいか、等のことが含まれるべきものと思つております。  第四には、放送受信料のことが問題点であると存じます。これにつきましては、1現行制度のままでいいかどうか、2日本放送協会との契約に基く受信料という観念を何らか他の観念に切替える必要があるかどうか、従つて、徴収の法的根拠なり、4徴収の方法協会の収入確保方法に変更を加える必要があるかどうか等のことが問題であろうと思つております。  第五には、立法の形式として、放送法を二つに分け、一つ放送全般に通ずる一般準則を規定する放送法とし、他を特に日本放送協会目的、設立、業務、組織、財務、監督等に関する事項規定する日本放送協会法とでも申すべきものとすることの要否及び適否が問題として調査されるべきであると存じます。  以上放送関係法令の改正について調査を要すると考えられるところのものを、例示的に御説明申し上げた次第でございますが、これに関連して、電波法の改正と申しましようか、その調査研究も必要となつて来るかと思われるのであります。つまり、放送局の免許の基準をも十分に調査いたすべきでないかと思つております。現在電波法第七条及び関係規則にこれらに関する規定があるわけでございますが、1何分にも重要な免許処分でありますので、法律を以てできるだけ詳細な規定を設けることが必要なのではないか、又現行法では他の要件が満されてさえおれば、電波がある限り免許を与えなければならず、国家的な価値判断或いは将来に亘る一般情勢の考慮を加える余地がないかのような形で規定が設けられておりますが、国家社会全般の利益、つまり公益の観点に立つて免許するか否かをきめる裁量権を或る程度まで、明文を以て行政庁に認めることが必要なのではなかろうか、これらの点についても慎重に調査研究を進める要があると思つております。  なお、この際言及いたしたいことは、テレビジヨンにせよ、標準放送にせよ、新たな商業放送局を設けたいとする申請が極めて多いのでありますが、私といたしましては、只今も申上げたことに関連いたしますが、今後の放送局の新設免許は、十分慎重に行うべきものではないかと考えておることであります。かく申しますのは一つには周波数の面からであり、二つには、我が国の商業放送の健全な発達を図らんとすることからであります。即ち、周波数におきましては、標準放送については現に使用可能の限界点まで利用し尽しており、今後東亜の情勢の変化によつては、場合によつて国内における現用周波数の維持すら、実際的にも極めて困難になつて来るのではないかと恐れるのであります。又事業経営の面からは、我が国経済力からいたしまして放送広告に充て得る経費にもおのずから一定の限度があり、徒らに多数の局がこれを奪い合う結果は、勢い放送内容の低下となることを恐れるのでございます。アメリカのごとく、厖大な資力を有する国と異なり、我が国においては放送の受信看たる一般国民が負担できる広告費、乃至は負担させても国家的に乃至は社会的に支障なしと認められる広告費にも一定の限度があるのではないかとも存ぜられるのであります。このような意味から、私は、最近非常に多く開設されました商業放送局の実情を暫らく注視したいと考えている次第でございます。  最後に電波関係技術振興について申上げたいと存じます。  電波利用発展は、電波に関する技術発達如何にかかつていることは、今更申上げるまでもないことでございまして、国として電波関係技術振興に力をいたすべ誉とは、しばしば本電気通信委員会においても御指摘になり、又御激励を頂いておるところでございます。よく二十世紀のシンボルは、航空と電波と原子力であると言われており、いずれもこれらの技術進歩発達は、誠に目覚ましく、文字通り日進月歩でございます。特に電波は先ほども申上げました通り国家社会万般の活動に、又国民の日常生活にも浸透している今日の実情か考えますときに、我が国における電波技術振興を図ることは、誠に緊要と存ずるのでございます。電波利用に関する技術は、他の技術においても同様でございましようが、単に電気工学の面にとどまらず、物理、化学、機械工学、光学、熱学、音響工学から、更に天文、気象方面の学問や技術とも有機的に関連を持つた、いわば近代科学の総合技術であると伺つているのでありますが、それだけにその発達振興を図るためには、国家全体の技術、工業、諸産業の総合的な発達と、その機能なり、能力なりの一体となつた発揮によつて、初めて期し得るものと存じます。而も電波は、先ほど申上げました通りに、強い国際性を持つておりますので、他の科学技術においてもそうでありましようが、一層国際的な視野と観点に立つて電波についての技術発達を図らなければならないと思うのでのであります。  翻つて我が国電波技術界の現状を見ますに、戦時中における国際的隔離並びに戦後の空白により欧米諸国に比し相当の遜色を見せていたのでありますが、その後における外国よりの技術導入並びに我が国関係者の努力により、急速にその遅れを取り戻しつつあることは慶賀に堪えません。併しながら、未だ外国技術の追随期を航しておらないのでありまして、今日我が国経済自立が科学技術振興に待つところ極めて大なるものがあるのに思いをいたしますとき、電波関係技術振興、例えば関連する諸研究機関の拡充強化に対して大いに力をいたさなければならないと存ずるのであります。又、従来我が国の研究体制といたしまして純然たる基礎研究もさることながら、むしろ生産技術の研究面において著しく欠けるところがあるように申されております。経済的な理由も大分にあることと思いますが、この点に関しましても関心が払われて然るべきだと存じます。更に電波関係技術の研究が、その発達によつて他の関連技術や関連産業の発展を招来し、単に国内の電波利用やその他の工業、産業に利するばかりでなく、又我が国として海外貿易の最も有望なものの一つとしての電気通信機器或いは電波機器の位置を考えますとき、急速に電波技術振興、その研究施設の拡充強化を図ることの必要を痛感するのであります。  電波関係技術振興或いはその研究施設の充実を図りますに当つて電波に関する技術が、極めて広範囲に亘る各方面の学問や技術に基礎をおいている点からいたしましても、一郵政省としてのみではなく、国全体として、一致協力した線に沿つて努力すべきことは申すまでもないと存じます。一般技術振興、特に生産技術に関する研究等につきましては、通産省がその所管官庁でありますので、通産省当局等とも十分に連繋、協力を図つて電波関係技術発達振興を期したいと存じております。  なお、当郵政省関係といたしましては、その附属機関として電波研究所を有し、又日本電信電話公社電気通信研究所或いは、日本放送協会放送技術研究所等の有力な研究機関があるのでございますから、今後これらの機関の拡充強化を図ると共に、場合によつては重点的に研究目標を整理調整し相協力して、急速に研究成果を挙げ得るような体制を考慮することも必要となるのではないかと存じております。  以上私は、我が国電波監理行政について、その現状、基本的な考え方並びに当面の問題等につきまして卑見を述べたのでありますが、電波行政国家として、又国民一般にとつて、如何に重要であるかを思い、又電波利用の範囲が、技術の進歩と共に日に月に発展して参りますことを考えますときに、その行政の衝に当る者といたしまして、行政運用行政機構、法令の改正、技術発達助成など、電波利用発展のために、各位の御協力と御援助によつて、時代の進退に遅れないよう最善の努力を払いたいと考えている次第であります。
  16. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 放送関係法令調整委員会の活動について説明願います。
  17. 長谷愼一

    政府委員(長谷愼一君) 只今御質問の放送関係法令調査委員会というものが、郵政省の中に大臣の諮問機関として設けられまして、特に只今大臣からお話になりましたような点につきまして、特に放送の、放送法の改正という問題を眼日として調査すべく設けられているのであります。その構成は委員長が事務次官、副委員長として私が命ぜられております。そのほかに放送関係の仕事をしている者、並びに法律……、法規関係の仕事、或いは審理官等、従来まで放送或いは電波の監理上の仕事に携わつてつた者等が、政府部内の委員として任命を見ております。このほかに、部外の有識、経験者の方々から御意見を頂いて、広く御意見を頂いた上で結論を出すという形になつておりますので、特にそういう方々には、特別委員という形で御委嘱を申上げるということになつております。  只今までの調査委員会の仕事の進捗状況でございますが、只今まで、委員会としては二回だけしか開いておりませんが、常任委員会がございまして、これは非常に頻繁に開いております。只今大臣からもお話になりましたが、論点をどういうところでこれを整理するか、論点の整理を只今やつております。例えば放送法の改正問題につきまして、国会その他各方面でいろいろの御意見がございますので、そういう論点の整理等をいたしまして、それができ上りましたならば、各方面の方々の御意見も聞き得る状態になりますので、その上で特別委員等の御委嘱をお願いしたい、こう思つております。  なお、日本放送協会並びに民間放送連盟の会長には、特に意見及び主張等がおありならばお聞かせを願いたいという御連絡もいたしているのでありますが、まだそちらの方面から具体的な御意見も只今のところは出て来ておらない状態であります。
  18. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 特別委員はもうすでに御任命になつておるのでありますか。若し御任命になつているならば、部外のどういう方面に拡げられておるかですね。
  19. 長谷愼一

    政府委員(長谷愼一君) お答え申上げます。只今申上げたような進捗状況でございますので、まだ特別委員の方を、部外の特別委員としての御委嘱は申上げておりません。おりませんが、近い将来に相当広い、各方面に亘つた方々の御意見を頂けるように、相当多数の方にお願いをするようにして頂きたい、こういうふうに私どもは考えております。
  20. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 前国会に極めて一部ですが、放送法の改正案がありまして、まあ非常に我々から見ると、不完全なために、審議未了になつた。今度の国会でNHKの予算を審議いたしますのにも放送法の不備なために、いろいろな困響いたしたわけで書ます。放送法の改正を非常にこれは急がなければならない。私どもは前国会に、この国会に至急改正案を一つ提案、して頂きたいという希望を申上げておいたのでありますが、まあこの国会に一出ませんでして、只今お話のように、調査委員会等で御研究ですが、私はお役所仕事といいますか、余りお話を聞くと進んでいない。まだ委員会も二回くらいしかお開きになつていない。委員会云々のことが出ましたが、もうすでに数カ月になるのでありますが、特別委員等もまだ御任命になつていない。非常にゆつくりし過ぎているというか、慎重過ぎるというか、甚だ私どもから見まするというと、熱が入つていないような気がするのでありますが、すでに衆議院では、放送法のために小委員会を作られまして、我々は人数が少いので、全員で一つこの問題と取組んで行こう、むしろこちらのほうが手ぐすね引いて待つているのに、政府のほうでは一向進んでいないというような感じがいたすのでありますが、かようなスピードで十分に、国会とも十分に事前に連絡もせられて、この画期的な改正案が次期国会に、いつも国会の途中で遅れて法案を出しては、国会に願つて出るというのが政府の癖なんですが、この大事な問題が次の国会に必ず提出できるだけの、役所としては心構えを持つておいでになるかどうかですね。現在の進捗状況では、初めから甚だどうも熱が入つていないように思うのでありますが、その点について一つ大臣の御意見を伺つておきたい。
  21. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 誠にどうも申訳ない次第でありまして、この私が就任直後いろいろお答え申上げた感じから行けば、この通常国会に十分間に合わして、御審議願うというつもりでおりましたのでありますけれども、私のほうもいろいろな事情で不勉強が重なつてしまつて、又事務当局の検討も十分行かなくてこのような結果になつたのであります。まあ次の国会ということになるわけでありますが、次の国会も通常国会を考えるか、臨時国会を考えるかということでありますけれども、まあ臨時国会はあるかないかもわかりませんので、今一応次の国会ということは、私といたしましては、次の通常国会、今年の十二月から行われる通常国会ということを一応頭に置きまして、又問題の性質からいつてもそういうような相当長い審議期間のある国会にお諮りするのが一番いいのじやないかと考えておりますので、次の通常国会を目指して、腰を据えて検討をするという考え方をしておるわけで、ただ又余り腰を据え過ぎて、又御指摘のようなことにならないように、今度こそは十分に注意いたしたいと存じます。
  22. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣に、これを御採用になるかならんか知りませんけれどもね、放送法の改正については、ここに述べられた通りでございまして、又内容についても大体その基本になる問題点というものを我々考えましても、今御説明になりましたところによつて大体大きな問題は含まれておると思うのですね。そこでまあ事務的にどんどん審議を進めて行くということでございますが、今伺いますと、放送法改正の審議会といいますか委員会、このメンバーを見ましても、極めて私はこれは事務的な処理しかできない委員会じやないかと思うのですね。元来まあ郵政省電波行政が付いているというのは、ほかにどうも持つて行く所がないので、今の各省のまあ何といいますか、設置法から見ますと、まあ郵政省に付けておくのが無難だろうというので付けただけで、郵政省は郵便とか貯金、保険が主でございますから、何といつてももとの逓信省なら別として、従つてこの郵政次官が会長であと事務的に局長や課長が委員のようになつて、それで一つつて行こうということは、私は無理だろうと思うのです。率直に申しますと、お考え願つて、まあこれは閣僚の中でも御関係の深い閣僚がおられる。例えば文部大臣のごとき、或いはお述べになつております中で出ておりますが、例えば通産大臣とか大蔵大臣とか、非常にこれを国家機関の一つのように考えて行きました場合には、相当にこれは閣僚の中でも関係大臣が多いのです。それから一般に新聞等に対しては今何らのこれを規制するような法律もありませんが、私はその報道の内容を規制しようということについては、賛成はできないにしても、やはり報道機関の一種である放送協会というものに対しまして、他の面からいろいろ規制をして行こうということも現われております点から見ますると、これは波及するところが相当大きいのじやないかと思うのです。それでそういう点から見ますと、単に事務的に処理をされるよりも、そういう問題点をむしろもう少し角度が違つたといいますか、程度の高いといいますか、閣僚なり或いは各界の方の意見を聞かれるにしても、もう少しそういう大きな基本的な政策を判断し得るような方々が集まつて、これはどんな形でもいいのですが、そこで基本的な態度を先におきめになつて、こういう基本線で一つ立案せいというふうに今の委員会というものを、これはもう専門委員会のようにしておやりにならないと、いつまでたつても同じ所を廻つてつて、やはり委員長の言われたように年末になつてもまだ成案ができないというところに来るのじやないかということと懸念するのですね。ですから、これはまあお考えによつておきめになることですから、とやかくは申しませんが、何か今の私は委員会委員の構成を見ますると、そういう感じが深いのですね。この点お考えになつておきめになつたことですから、十分そういうことももうお考え済みだとおつしやられればもう申しませんが、一応私の思い付きの意見としてお考え願えれば非常に結構だと思います。
  23. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 実は私もこの調査会を作りますときに、やはり御指摘のようなことを自分の頭の中でいろいろ意案してみた存なのでございます。郵政省に置くか外に置くか、それから又郵政省の内部に置くといたしましても、どの範囲からこの人を選ぶかということをまあ随分考えたわけなんでして、一番当初の案は内部の人間だけということであつたのでありますが、結局それではいけないからということで、郵政省に置くということにはいたしましたが、外部からも成るべく広い範囲に人物、経験、学織をお持ちの方を煩わすようにということにいたしたのでありまして、私もどうもこの方面のことは余り専門によく承知いたさないので、人選なども或いは十分でない点があるかも知れませんが、今の考え方は一応そういうようになつておるわけであります。併しいろいろお話を伺つてつてみると、問題も確かに重大な問題でありますので、或いはもう少し御指摘のような考え方で考え直してみるべきであるかと今考えております。なお十分相談して善処いたしたいと存じます。
  24. 久保等

    ○久保等君 先ほど大臣朗読を省略せられたわけですけれども、この内容について今後十分に検討して、これは質問いたしたいと思うのですが、当面の問題で若干質問をいたしたいと思うのですが、まあそれは恐らく電波行政についての大臣の言つておられる内容も、これはいわば電波白書というような意味で、現在の電波事業の特殊性、それから日本自体の電波行政の特殊性といつたようなことも、ちよつと何か語つておられるようにも見受けられるわけですし、非常に電波行政重要性を極めて強調せられておるわけですが、而も厖大な電波白書の内容のどこを削つてもいいという所がないほど、重点というものはすべてが重点だというようなさつきの大臣の言われることと、私は実際やつておられる一体具体的な施策というものとが、果して一貫しているかどうか、この白書の中でも特に強調しておられます一項目として、とかく従来電波行政というものの一貫した統一された体制というものが見られなかつた筋があるわけですが、非常にその点強調しておられる点で、私も同感ですが、統一的な一貫的な電波行政の確立という問題は、これは非常に重要な結構な考えだと思うのですが、今度定員の問題を捉えてみましても、約二百名余り減員を行おうというふうな結論を出されているわけなんですが、私はどういう点からそういう一体根拠が出て参つたのか。極めて抽象的ななんですけれども、当面行政整理の問題についてのお考え方を、この電波の問題について具体的に一つ一応お話を承わりたい、かように考えるわけですが。
  25. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この点は衆議院におきまして、この定員法が審議されておりましたときもいろいろな方々からいろいろな角度からお尋ねを頂いたわけであります。私といたしましては、勿論電波行政は重要であるということを考えておりますし、まあ現在の機構が必ずしもそれに十分適当なものであるということも断言いたしかねる状態でありますわけでありますが、併しそういう考え方ど、今の現実にこれらの仕事に携わつている者の中に、なお整理されても然るべき人間がないという考え方とは必ずしも一致しないのじやないだろうか。やはり現在の機構をずつと見て、この仕事をこれだけの人たちだけでやつているという所には、やはり無駄な面があるならば、その無駄は当然整理をして、そうして本当に必要の所へ必要な人間が若し要求されるならば、新らしく別の角度から審議をして、そこに又加えて行くというようにすることが一番正しい方法であるという考え方が、電波行政に対しては、こういう考え方を持ちながら、なおやはり整理をするという考え方になつ理由であります。まあ、実際問題といたしましても、仮に電波行政が非常に重要だということで、新らしくその重要な面にプラスだけを考えてみますと、恐らく私どもが今意図しておりますこの中にも、なお且つ存在すると想像される無駄な面がそのままにされて、新らしい面のプラスだけが出て来るのじやないか。そうすることは決して正しい行政整理のあり方でもないし、そこまで踏込んで行くのでなければ、やはり行政整理というものはできにくいものだということを考えましたので、私は今度は一段として、とにかく今の中から無駄なものがあるならばできるだけ整理をしてみろ、こういうような考えを事務当局にも指示し、その線から事務当局から検討してくれて、まあこの程度の数字ならば、やはり検討してそこに無駄を見出して、これを整理すべきものじやないかという数字が御指摘のような数字になつておるわけであります。
  26. 久保等

    ○久保等君 まあ、電波行政の問題については、いろいろ機構上の問題も私はあると思いますし、機構の問題について申上げますならば、私が先ほど申上げたように、機構そのものがもう少し電波行政というものの現状に適応したような機構にしなければならんと思うのですが、曾つて電波庁は、逆に今日郵政省の一内局という形になつている行き方、この面自体にも相当根本的に検討しなければならんというふうには大臣も若干考えておられるような口吻をしておられるのですが、私そういつた機構問題は、幸い当初何かしらやはりこれが縮小されるというような話も聞いておつたのですけれども、やはり今日の現状からいつて、そういう行き方には疑問があるというような考え方で、一応機構の問題については触れないという方針に何か途中から変更したというような話も聞いているのですが、その点は、私も、電波行政というものの現状に立脚して、とにかく、むしろいじらないほうが、下手ないじり方をするならいじらないほうがいいというような点については、私も同感でありますし、今度はそういつた問題は、具体的になつておりませんので触れないといたしましても、人員の整理の問題につきましては、先般もちよつと郵政省のほうから資料を出してもらつた二、三の項目について見ましても、極めて具体的な問題なんですが、無線局の数、或いは周波数の割当ての個数の問題だとか、或いは不法電波の監理に関しての資料等によつて見ましても、非常に年々歳々飛躍的に事務量が増大してしまつているという状態にあると思うのですが、而もその殖え方が何パーセント程度殖えるというのじやなくて、年々約二倍なり三倍になるといつたような、極めて顕著な殖え方をしている。そういう総体的な私は状態を眺めて見た場合、個々の細かい問題については、いろいろ或いは不合理な点、或いは人員の配置が必ずしも適正でないという点もあると思うのですが、ただ概括的に見た場合、今大臣の答弁せられたような程度の概括的な御答弁でありますならば、むしろ事業の経過を辿つて見た場合には、その結論として、行政整理をやらなければならないという結論は出て来ないとむしろ考えておるし、少くとも二百十七名という行政整理の問題については、原則論は、大臣の言われる抽象論だと一応電波の現状というものを度外視して考えた場合には、どこの官庁にも当てはまる私は一つの考え方だと思うのです。併しながら電波の問題について、二百十七名という数字を具体的にどういう点について、どういう方法で以て一体これを整理しようとしておられるのか。私は少くとも具体的な案を持つた、又具体的な点から検討せられた数が、結果的にはたまたま二百十七名という数になつて来たんだと思うのです。初めから何パーセントという形で、いわゆる天引行政整理という形で二百十七名を先ず出して、それからこれをどこに持つて行こうかという考え方は、行政整理をやる方針としてはとつておられないと私は思うのです。ですから二百十七名というのはどういう点から積み上げられて来た二百十七名なのか、或いは日本の行政官庁の人員整理という数字から見れば、或いは比較的微々たるという印象を受けるかも知れんですが、併し私は仮に、微々たる数字であつても、必ず具体的な根拠を以て出された数字だと思いますし、電波の場合については、只今申上げたようにただ単に人員がダブついているという問題ではなくて、根本的にむしろ今日の事業量の状況から判断いたしますると、私は十分検討しなければならん状態があるのじやないか。むしろ事務当局そのものが、今日の事業量に対する人員という問題については、私は今回の行政整理があろうとなかろうと、具体的にどういう案を以て一つ対処しておられたのか。まあそういつたような問題についても、更にいろいろ段階を逐つて御質問もいたしたいと思うのですが、差当つて二百十七名という数がどういうところから出て来たのか。二百十七名を、従つてどういう具体的な方法によつて咀噛をするというか、消化しようとしているのか、その点一つ、具体的に余り細かい点は電波監理局長でも結構ですけれども、併し今大臣の説明する程度の抽象論ではこの問題に対する御答弁には一向なつておりません。もう少し一つ自治庁長官、或いは今度の行政整理に対する総括的な責任者という立場もありまするが、その立場と、この電波事業について、電波行政について、一体どういう方法でこの数字を出されて来たのか、承わつておきたいと思います。
  27. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは行政整理をいたします場合に、どこの省からも出て参ります一般的な傾向は、又仕事が殖えている殖えているということであるわけなんであります。で、まあ実際に調べて見ると、仕事は殖えているということは確かにあると思うのでありますが、ただ仕事が殖える場合に人間がそのまま比例して、若しくは比例しないでも相当程度に殖えて行くかどうかということ、これはなかなか個々の問題にぶつかつて見ないとわからない。それからそういう工合に仕事が殖えるから人間が整理できないのだということになると、これは一般問題として、結局整理することはなかなかできないのでありまして、そうして整理しない場合にはいつまでも足らない所は足りない。併し無駄のある所はそのまま残してしまうと、こういう結果になるものでありますからして、今度の整理を私が行政管理庁長官として最初に考えますときには、もう整理の除外例というものを認めない。過去幾度かの整理は、こういう所は仕事の性質上整理困難である。若しくは不可能であるという考え方からして、整理の除外例というものを置いてあつたのでありますが、それを全然置かない。そういう構想でスタートしたわけであります。それで各省別の整理人員を策定いたします場合には、それぞれの業種を幾つかに分けまして、例えば一般管理事務に従事している者、若しくは研究所部門などの研究官、それからして検査部門の検査官、そういうような幾つかの種類を、皆仕事の種類に従つて分類しまして、それを五つのグループに分けまして、そしてそれぞれにやや妥当と、過去の幾度かの整理の結果から見て、妥当と考えられる整理率というものを想定して、そうして各省別の総整理人員の予定というものを第一に作つたわけであります。それを以て各省と折衝いたしまして、各省の具体的な事情を聞いて見る、その場合には各省が恐らく各部局の意見をそれぞれまとめて出しておりますのでありましよう。恐らく郵政省の場合には、電波監理局は、郵政省内部においていろいろ検討した結果が、郵政省内部の意見として長官である私のほうに伝えて、私のほうがそれを見る。更に又個別に折衝して尤もだと思われる面は、逐次或るものは整理除外にする。或るものは、整理率の高いものは率を下げるというようにして、郵政省なら郵政省の最終的な人員というものがきまつたわけであります。それがその通りに、当初行管が考えた通りに各省の部内の配分というものが必ずしもきまつているとは思わないのでありまして、その上に更に各省が最終的な数字を頭においてもう一度部内でお話合いをして、電波監理なら電波監理の部門はこれだけということにしてきめたのがこれが二百十七名という数字になつているわけであります。併し、私もその後いろいろと検討し、又国会の委員会の御意見を更に聞いて見て、恐らくこの二百十七名という電波監理部門の数字というものが相当無理があるということで、このうち約三十名程度できる可能な方法があるならば、可能な方法一つ他の部門に成るべく負担をしてもらうようにしたほうがいいのではないかということで、いろいろ現実のやりくりで以つてそういうように部内で我々今努力をいたしているわけであります。従つて大体この二百十七名という数から考え、三十名という数字を頭に置いた残りのものが二年計画であれをするならば、仕事の運営の上に無駄が起きずに整理ができて行くのじやないかという見通しを持つているわけであります。勿論それとは別に、今年の計画自体にも大蔵省側と折衝した増員の要求というものがあつたわけであります。それで一方に増員一方に減員というものを総合的に見て、そして国の全体の今年の予算の厳しさというものと併せて、今年はこの程度で一つということで、この程度の減員であるならば、この程度の増員は一つ見送つて欲しいということに、今年は増員の問題は実現しなかつたわけでありますが、併し増員の面は、私は整理が当初の予定通りで行つて、そして本当に必要な部面には必要な人員、こういうものがだんだんとはつきりして参るならば、当然次年度以降においても、やはり要求して是非とも実現しなければならない数字になるだろうというふうに見通しをしているわけであります。  なお、細かいことには局長から必要があれば補足説明をさせます。
  28. 久保等

    ○久保等君 大臣いろいろ御丁寧に御答弁になつておるようですが、もう少し私端的にお伺いするならば、一体どの部門を減らそうとしておられるのか。まあ今度の二十九年度で百三十名と言われるその数字で、三十名については何とか他の部門、例えば郵政の他の電波以外の部門で消化してもらうような方途も考えておると言われるのですが、これは私はもう絶対至上命令の二百十七名、二十九年度の百三十名という数を、ただもう何とか一つ消化しようという至上命令を前提にしたものの考え方だと思うのです。私はそうではなくて、政府の言われるいわゆる定員の合理化或いは機構改革に伴う行政整理という問題はもう少し筋の通つた理論的根拠と現状というものの把握に立つてなされておるものだと思うのです。少くとも百三十名なり二百十七名という数がどういうところを縮小し、どういう形ではじき出して来た数が百三十名、二百十七名となつたのか、そういう、御答弁には一向私はなつていないと思うのですが、別に具体的に言えばどの部門を縮小すれば縮小できないことはないというふうに判断しておられるのか。大まかな点だけで結構ですが、一体どこを、どのあたりを少し削れば削れないことはないということを判断しておられるのか、一歩前進した形で一つ御答弁を願いたいと思います。
  29. 長谷愼一

    政府委員(長谷愼一君) 私から只今の御質問に対してお答えをいたします。電波関係の人員整理につきましては、只今お話も出ましたように、二十九年度におきましては百三十名が予定されておるのでございます。これらの整理の人員といたしましては、いわゆる第一線的な業務でございますところの電波監視とか或いは観測、或いは検査検定というような業務面では、結果対象となる無線局を運営しておる側に対する支障等も考えられますので、そういう所へ支障を及ぼさないように初めから考えられておるのでありまして、整理の人員は、庶務会計等の業務の合理化及び事務手続の間葉化によりまして、大体今予定されておるような人数の整理はできると、そういうふうに考えられております。
  30. 久保等

    ○久保等君 庶務会計部門について只今の二百十七名、二十九年度で百三十名といつたような行政整理を、まあそういう面でやりたいというお話ですが、そうすると監理局長にお伺いいたしたいと思うのですが、庶務会計部門の一体総人員がどのくらいになるのか、一つお答え願いたいと思うのです。
  31. 長谷愼一

    政府委員(長谷愼一君) お答え申上げます。只今この百三十名という整理の人員につきましては、大臣からもお話がございましたように、三十名というものがいろいろほかのほうとの関係で、多少実際の数字は変るかも知れない。三十名程度の数字の変動があるかも知れないというお話もありましたのですが、それともう一つは、この百三十名のうちには庶務会計も含めましたいわゆる共通庁務要員の関係の、共通庁務要員と申しましようか、共通的な仕事でいわゆる庶務会計も含めた広い意味の監理関係も対象になつております。そういうものを差引きますというと、恐らく百名を下廻る数字になるのではないかと思いますが、それにつきまして、庶務会計要員としましては、全国的に五百四十名ばかりあるわけであります。その五百四十名のうち百名前後のものが整理の対象となる。若しも庶務会計だけで行うとしますと、そういう数字になる。
  32. 久保等

    ○久保等君 非常に数字が何といいますか、百三十名程度の二十九年度の行政整理についても、まあ三十名程度という非常にあいまいなことが言われておるのですが、その点にも問題が一つあると思うのですけれども、庶務会計部門が、全国で会計部門の人員が約五百四十名程度だと言われますが、その中で百名程度整理すると言われますが、これは一つには一カ所にまとまつて庁舎がある、或いは局所があるというようなことでありますれば、おのずから整理の人員も比較的数の多いよりは、局所が少ければ少いほど数も若干融通がつくと思うのですが、併しまあ電波の場合、比較的総人員は少い割に、まあ全国的に、いわば普辺的にばらまかれているような関係もありますが、局所が約五十局程度あると思うのですが、そういう点から考えまするというと、庶務会計、それから今言つた庁務要員すべてを含んだ人員で、この約百名程度整理するという問題は、実際問題としてなかなか非常に困難性が予想せられるのではないかと私は思うのです。それで五百四十名の人員と言われますけれども、実際問題としてほんの一人か二人程度しか庶務会計部門に人がいないというような事態もあるのではないかと思うのです。そういつたような所から、ほんの一人か二人の人員を整理するとすれば、殆んど全員に該当する部門も出て来ると思うのですが、私はその人員を局別に見た場合に一体どういう形になつておるのか。もう少し具体的に一つお答え願いたい。
  33. 長谷愼一

    政府委員(長谷愼一君) お答え申上げます。電波監理関係の局所が全国に五十数カ所というお話でございますが、これは出張所とか或いは観測所というような特殊な仕事をやつておる部門等がございます。大体局として或いは部としてまとまつた形になつておりますのは、監理局及びこれの附属機関でありますが、いわゆる電波監理部の関係だけでございます。これらを合せますと約二十カ所程度でございます。従いまして五百四十名の庶務会計の関係の者は、大部分がその二十カ所の所に分れております性質上、相当まとまつた形で仕事をいたしておりますので、先ほど申上げましたような程度の整理は私はやり得るものと考えておるのです。
  34. 久保等

    ○久保等君 まあ五百四十名程度の殆んど大多数が監理局或いは監理部といつたような所の実は人員だと言われるのですが、この点私はもう少し余り細かい数字の質問をいたしましても如何かと思いますので、この問題については細かい局所別の、私は監理局長のほうから資料一つお出し願つてですね、御説明を実は願いたいと思うのです。ただ懸念せられますことは、庶務会計部門といつても、これはいわば庁務要員的な庶務会計部門の人もおるでありましようし、それから庶務に所属しておるといつても、臨時的な実際は業務部門的な仕事をやつておる所もあると思うのです。例えば検定試験等の場合においては、こういう庶務部門からも臨時に応援をするというようなことで、本来ならば庶務会計部門に属さない仕事をしておるところの従業員も相当数実際問題としては実はあると思つておるわけです。そういう点から申しますならば、必ずしも業務部門と庶務会計部門というものと截然と区別して日常運営されておるとも思わないわけですし、それが小さい部局に行けば行くほどそういつた傾向が強いと思う。従つてただ文字の上の書いた点で言えば、庶務会計部門と言えば、直接業務には何かいわば人員を若干減らしても支障がないように思いますけれども、実際問題としてはなかなかそうは行きがたい問題もあると思うのです。従つて細かい数字を一つ具体的にどの部局からどの程度人員が削減できるのか、まあそういつた点を資料にしてお出し願いたいと私は思うのです。それでなお今日のいろいろ事業の事務量の殖えておりまする点は、私が余り細い質問するまでもない、従来出されておりまする資料から見ましても、私は非常に急激な殖え方をしておりまする実情と睨み合せた場合に、差当つて増員云々という問題は別問題といたしまして、現在ある総人員そのものが若干でも何とか切り詰められる余裕があるというふうに判断されることは、これは私は少くとも電波監理局長にしても、又郵政大臣にしても、非常に従来言明されている点から考えまして、大きな矛盾があるというように私は考えられるわけです。又、今日まあ大臣の説明せられました、或いはそのまあ朗読を省略せられました電波行政についてというこの内容を見まして、果して私は人員の問題についてそういう若干整理を行わなければならんというような部門があるという点までは恐らく言及せられているとは実は受取れないわけなんでありまして、むしろあらゆる面について事業をこの際飛躍的にむしろ増強して行かなければならん、強化して参らなければならんということが強調せられていると思うのです。そういつたような大臣の御説明と、私は少くとも今回やろうとしておられます行政整理という問題は真向から相矛盾し、相対立した問題じやないかと実は考えるのです。これは単に私は行政管理庁の長官としての今度の行政整理に対する問題の御答弁を願う意味から私は御答弁を実は願つているわけじやなくして、飽くまで郵政大臣という立場で、直接電波行政をあずかつておられる郵政大臣の立場から見ますと、一体電波行政の部面が人員の面で整理をしなければならん、又整理しようとすればできる部面と、或いは部署があるとは私には少くとも納得できないわけですし、今の庶務会計部門というものは、ただ庶務会計部門という点が他の業務部門に比較すれば、比較的やりやすい所だからという点で御答弁になつているのだろうと思うのですが、現実的に見て果してそういうことが今日当面しておりまする電波行政観点からして好ましい一体施策であるかどうかということを考えました場合に、非常に大きな疑問が実はあると思うわけであります。先ほど答弁せられておりますことは、飽くまで大臣の答弁は行政管理庁長官としての、いわば抽象的な原則論で私はあつたと思うのですが、行政整理を電波行政の部門についてやられたことについて具体的に、少くとも根拠を持ち、具体的な数字をはじき出して来た数字が二百十七名という数になつた御説明には、先ほど来の御説明を聞いておつてもなつておらないと私は思うのです。それでこの際むしろ大臣に私は率直に四囲の情勢というか、今度のまあ行政整理をやるという内閣の大き方針からいつて、或る程度まあ止むを得ない行政整理であつたというふうに考えておられるのか、それとも明確な根拠を以て当然この程度の行政整理はやり得るというふうに考えてやられたのか、その点もう一回、一つその点はつきりしてもらいたいと思うのです。
  35. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 恐らく久保委員がお考えになつてらつしやるのは、例えばこの二百十七名整理するということに、電波監理局の整理人員の予定が出た場合には、どこで何人、どこで何人、そうしてどこで何人というのは、こういう仕事がなくなつてこうということで数字が出て来ているのでなければならんのじやないか、それでなければ科学的でないじやないかというお尋ねなんだと思うのであります。私もまあそういうものの考え方をすべきものと思う。ところが現実の整理というものをやつて見ますと、どこ一つとしてそれでは一名も実は切れない。それはなぜかと申しますと、人員を或る部局に幾らというようにきめますときには、これだけの仕事だからこれだけといつて、まあだんだんと、殊にこれから新らしく増員する場合には、そういう工合に殖えて行くものらしいのであります。例えばまあ今度の場合に増員になつております。例えば大蔵省の国税局関係のものでも、入場税が新らしく国税になるために、四百何人、又繊維税が設けられるために九百何人というように一応出ているので、さていよいよ今度はそれではどこそこに幾ら整理ということになりますと、先ずどの仕事をなくするということになりましても、例えば或る部局がやつておりました競馬なら競馬というものを国営を外してしまうと、ここで競馬に好事しておつた人が全部要らなくなるしいう工合に、はつきりと仕事がなくなつて、人間が要らなくなるという繋がりは出て来るのでありますが、そうでない、或る部局は仕事はそのままにしておるが、一つみんなで今日の時局がこんな状態だから成るべく国民負担を軽くする意味においても、みんなで少し頑張つてつて、若しくは又今までやつている仕事のやり方をもう少しうまくやればこういう工合に能率的、合理的にやれるというような面もあるからというようなことでここで幾らか人間が抽象的に整理できるというようになつても、その考えられる仕事のやり方の変更と業務、事務の分量の減少と人間の間に繋がつて出て来ないのであります。従つて人間の整理の数というものが、おつしやるように科学的に出すべきでありながら実は出て来ないのです。ところがそうして出て来ないということで、現状がそのまま必要なんだという判定をしておると、一般的に官庁に人員に無駄がある、又恐らくこういう仕事の性質がありますから、私は百パーセント能率が上つて仕事が行われているということは、これは幾ら何でも国民に対して私は言えないと思うのです。そこでその間の調和をとるために、一方勿論ただ仕事をそのままにして置いて仕事の分量は少しも減さずに、人聞だけ減らせ減らせでは勿論それはなりませんが、一方仕事は成るべく減らせるものは減らす、又やり方を工夫してみる、更に一方もう少し人間を、各人がもう少し能率を上げて働いて頂くということを頭に置きながら、どれくらいまで減らしてもこの仕事はやつて行けるだろうかというように考え直してみて、この整理というものを考えたわけです。従つてまあ理窟では確かに科学的に繋がつていなければならないものが繋がつておらんわけでありまして、おらないのはこれはどうも日本の行政機構のあり方、それから行政事務とそれから人員の繋がり方、更に予算と人員の繋がり方、そういうものに必然的な繋がりというものがないので止むを得ないのでありまして、これは併し電波行政についてだけでなしに、これは国のいやしくも行政部門について皆同じ状態になつていると思うのであります。それで各部局そういうことを頭に置きながら、国の全体の行政整理方針というものに協力してやらんならんという気持でお考え下すつたのが今度の私は整理数字であると思う。従つて私は郵政大臣として、やはりそういう考え方で似て行くのが正しいし、又そういうことで行くのでなければ、この国の大きな仕事の行政整理というものはとても実現できない。だから私は決して行政管理庁長官として郵政省の整理そのものを毛頭考えておりませんので、当初の考え方は勿論行政管理庁長官として考えたものでありましても、最終的な決定までには私は郵政大臣という立場に立つて郵政省の整理人員というものはやはり考えておるわけであります。
  36. 久保等

    ○久保等君 特に私がやはり大臣の今の説明でも、これはまあ従来からよく言われている程度の説明であつて、少くとも電波のそれならば又現状はやはり先ほど大臣が厖大な白書を出されておるのでありますが、そのこと自体はどの程度御認識しておられるのか、実は逆に私は反問をしたくなるような気がするのです。従来の人員が更に従来と違つて能率を発揮して参らなければならないということはこれは当然あろうし、又そういう余地がないとも言えないと思いますが、併し現在の人員のままで一名も整理をしないという方針の上に立つても、業務量が少くとも二倍、三倍に殖えて参ります。従来の人員そのままで二倍、三倍の事務量を扱つて行かなければならんという現在電波行政の実情に置かれているわけです。そういつた実情にいながらなお且つ人員を減らすのだという飛躍した考え方、そういう結論が私はどういうところから生れて来たか。電波の場合について言うならば、少くとも経費の面なんかをちよつと拝見してみましても、年々むしろ経費が削減されておるようです、あらゆる面において。それで殖えているのは業務量の面が飛躍的に殖えておる。それから人員も従来から機会あるごとに減らされており余り殖やされておらないという実情にあつて、更に今度この重要な電波行政というものを十分に認識し、且つ又あらゆる日進月歩の勢いを以て、電波技術というものそのものも又飛躍して発展しておりまする段階で、この面も又強化して行かなければならないというように力説しておられる矢先においては、私はこういう全く逆行的な人員整理、而もそれが具体的な科学的な根拠が、まあ示せと言われてもなかなかこれは示し得るものじやないというとこは、これは私も若干行政部門の内容については承知いたしておりますし、なかなかむずかしい問題だと思いますが、併し少くとも電波のようなこういう実情のものについて、現在以上人員を減らすという問題については、少くともこの部門については、やはり余剰人員があるのだというとこを私は具体的に検討をせられて数字が出されて来なければならないと思いますし、而も電波の場合について考えてみますと、人員はそう大きな人員じやありません。僅か三千人程度の人員なんですから、これを部門ごとに私は検討を加えて行つても必ずしも検討できない問題じやないと思います。何十万というような大きな行政官庁になつて参りますと、一々細かく各職場ごとに、或いは部門ごと検討するといつても、なかなかこれはむづかしい問題だと思います。併し電波の場合については、これは非常に私はそういう点では人員が少い、それから又事務内容にいたしましても、例えば無線の技術者の検定試験を受ける受験者が何名であるとか、それから又これに対する人員が何名くらいあればいいかというようなことは、およその見当は少くとも付くと思います。併しただ単に先ほど来の御説明だと勘でやつたのだ、できるだけ能率を上げてもらうのだ、政府も緊縮予算というような形でこの際思い切つて予算を減さなければならんという段階でもあるし、人員も従つてできるだけ縮減したいのだという考え方で、大いに能率を上げてもらうのだという考え方でやつたのだというだけでは、私はどうも出されて来た結論というものは非常にあいまいなというよりも、むしろ電波行政を非常に大臣が力説せられておる基本的な考え方とは全く相容れない矛盾したやり方が、この行政整理の上に現われて来ているのじやないかという気がいたすわけであります。この点私はもう少し率直に一般的な話じやなくて、電波のこの限られた人員で、而も殆んど今のところどんどん日々限りなく殖えて行つております電波行政、これにどう私は対応して行くかという問題を考えてみた場合には、大臣の今言われたような、何とか能率を上げることによつて、人員を縮減して行くのだという考え方では乗り切れないものがあるのじやないか。これはむしろこの電波行政というプリントを私は読んでみれば恐らくその点はますます強く感ずるだろうと私は思うのですけれども、大臣の言われておりまする点は、どうも電波行政の現状からいたしまして、大きなズレがあるというふうに私考えるわけなんです。まあ具体的な整理方針電波監理局長のほうから数字をお出しを願つて、私はとくと納得の行くような御説明を伺つてからにいたしたいと思います。
  37. 長谷愼一

    政府委員(長谷愼一君) お答え申上げます。只今御要求資料は、できるだけ早く作りましてお目にかけたいと思いますが、実際問題といたしましては、庶務会計以外の部門でもこの際退職をしたいという申出の者もあるように私どもは見ております。又現実に申出ている者もございますから、或る時期的には庶務会計の者だけでなしに、そのほかの者からも整理が行われるかのごとき形が出ることもあると思いますが、私どもとしましては、仕事に影響が来ないように、合理北、事務手続等の簡素化によりましてできるだけの整理というものはそういう面でやつて行きたい、こういうふうに考えているのであります。なお只今までいろいろ無線設備、例えば無線局、或いは使用している電波周波数の数等が非常に殖えているという御指摘でございますが、確かにその通りでございまして、まだ殖える傾向にございますが、そういうものが二倍、三倍と殖えましても、それを処理する人員を必ずしも正比例して増す必要はないのでございます。又一方電波監理行政の対象になつております各無線局設備が優秀な設備になつて参りますれば、電波監理上のいろいろな仕事は省けることになりまして、終戦後におきましては、戦争中のいわゆる戦時規格によるような無線施設が非常に多かつたのでございますので、電波監視或いは検査等におきましても非常に手数を要したのでございますが、最近そういうような施設面も非常に改善されて参りましたので、従いまして昔のように手間を要しないというような点もございまして、確かに無線局その他がどんどん殖えては参りますけれども、今申上げましたように必ずしも人間はそれに正比例して増す必要は出て来ない、そういうような点もいろいろ考えて見なければならん、そういうふうに実は思つております。
  38. 久保等

    ○久保等君 まあ私ここで別にそういう反駁した意見を申上げようとは思わないのですが、ただここで問題になつているのは、増員問題を問題にしてやつているわけじやないのでして、今言われるように確かに業務の殖えるのに比例して、必ずしも人員を殖やさなければならない問題でもないと思います。又私そのようなことを御質問しているわけじやないので、必ずしも比例して殖やさなければならんどころじやなくて、現実の問題は反比例して減らそうという問題を、私は実は問題にしているわけでして、その減らすという根拠が一体どういうところから出たのか、こういうことを申上げているわけなんです。従つてまあ今の電波監理局長の答弁を、別に言葉の端をとつて申上げるわけじやないのですけれども、若干やはり業務量が殖えれば若干殖やさなければならない、併し殖やすのは必ずしも業務量に正比例した形で殖やさなくともやつて行けるのだという意味なら、御答弁としては私は納得できるのですが、今私の質問しておりますのは、そういう業務量が飛躍的に殖えている状態の中にあつて、現在の人員をやりくりをして行くとなつてもなかなかむずかしいのじやないか、にもかかわらず逆に減らそうというとこを少くとも政府が考えて提案しておられることに対して、積極的に一体どういう理由があつてつておられるのかということを御質問しておるのですから、その点は一つ勘違いといいますか、誤解のないように一つ御理解を願つて、御答弁を願いたいと思うのですが、いずれ資料をお出し願つてから、細部の点についても御質問いたしたいと思います。
  39. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十八分散会