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参考人(
岡部重信君) 二十八
年度の
予算におきましては、
受信料の
対象となる
経費が六十四億四千三百五十万円でございます。それに対しまして以下述ぶるような
値上りの
要因となるものによりまして二十八億六千四百五十万円を
増加いたしまして、二十九
年度議案として提出されている
受信料の
対象となる
経費は九十三億八百万円と相成る次第でございます。昨日
大臣からも
お話がございましたように、それらの
要因が
放送費、
事業費、
管理費というふうに分れるものでありますから、いささか正確を欠くというような点もあるかと存じますので、
要因としたものの主なものにつきまして若干述べさして頂きたいと存じます。
先ず
給与関係でございますが、
給与につきましては、先ず定員におきまして
業務にも
相当の増がございますが、本
年度は前
年度を越すことなく前年
通りの人員によりましてや
つて行くということにいたしました。それで
協会の
給与は、実は二十六
年度におきましては
ベ—スが一万二千二百八円でございましたが、その後二回
ベ—スをアツプいたしまして、その率は二割九分上りまして現在一万五千八百四十円にな
つておるわけであります。
公務員は、比較としてはどうかと思いますが、二十六年の六月には
協会の大体半額の六千三百円でございましたが、その後回数にして四回、率にして
協会の二割九分が、十四割五分
公務員は
ベ—ス・アツプされたわけでございます。この点
協会といたしまして、由来できるだけのことはいたしたのでございますが、いわば取り残されて
しまつた形とも言えるかと存じます。職員の構成につきましては、お手許に差し上げた
資料にもございますように、大学、
高専出の比率は非常に多いのでございます。言い換えますと、特殊の
技能者と申しますか、これを
放送並びに
技術というようなものによりまして、その
特殊技能者というものをどういう範囲で見るかということにつきましては、又いろいろ見方があるかと存じますが、一応二千人いるというような算出をいたした次第であります。それで、
ベ—スにおきまして、この際一六%
ベ—ス・アツプをいたし、そうして
手当において
只今申上げましたような
特殊技能者の点も
考えまして五%を
引上げる、そういたしますと、大体その
引上げ方というと、一万九千三百円ぐらいになるわけでございます。それによりまして御
承知の
通り頭脳の労働というものが
相当協会の
仕事にはございますので、それらによ
つて新聞社、
商業放送に幾らかでも近付けたいという
考えでございます。その
給与の
増額が四億五千八百万円ほどあるわけでございます。
次に、昨年
電話料金が
改訂になりまして
協会は御
承知の
通り全国の各
放送局に
電電公社の
電話線をお借りしておる次第であります。これが昨年市外が一一八%となり、市内が一四七%と
なつたわけでございます。その
値上りを
放送中継線について見ますと、一億一千二百五十七万円ほどの
値上りが算出される次第でございます。それから今年の一月
公務員の
ベ—ス・アツプがございまして、
協会の
集金の
仕事と、
聴取者の契約の
仕事を
郵政省にお願いして委託しておるわけでございますが、その委託の
経費が
ベ—ス・アツプに伴いまして、何といいましようか、スライヂングといいましようか、という計算によりまして二十九
年度五千六百万円ほどの
増額をいたす次第であります。それから次には
真空管補修資材、
建築資材、それから
ベ—ス・アツプに伴います
社会保険料の
値上りという
一般資材、
事務経費などの増が二億七千九百万ほどに相成ります。次に
出演謝金、
作品委嘱料等でございますが、この
出演謝金につきましては、これは個人によ
つて相当差があることは当然でございますが、他の同種の
事業といいましようか、
商業放送に比較しますと、二分の一乃至四分の一という現状だと存じます。それで
最小限度これを
引上げるとして
謝金を二五%上げ、それから
作品を
作つて頂く
委嘱料などを五〇%上げるということにこのたびいたしたい。これはそうなるとどういうことになるかと言いますと、これによ
つて商業放送の三〇%乃至六〇%ということに相成ると存じますし、
協会といたしまして、
商業放送と同じような
謝金をや
つて行くということには非常にいろいろ問題がありますが、
出演者に対して妥当な
金額を
払つて出演者の
出演意欲というものに応ずるということは、これ又
考えなければならん問題と存ずる次第であります。それから
ニユ—スの
ソ—スといたしまして、
共同通信から
ニユ—スの提供を受けておる次第でございます。これは
一つには、
ニユ—スの公正を期するためでございます。
一つには、
外国通信を
協会だけで購入いたしましたら、その
金額というものは恐るべきものだろうと存ずる次第でございます。それで私
どもとしては、
共同通信から購入しているわけでございますが、それらの
共同通信その他報道の費用で一億六千ほどの
経費の
増額を必要とする次第でございます。
次に、
受信料の
増加というのは、現在のままですと大体来
年度五億四千の
増額でございます。これにつきましては御
承知の
通り、
受信者が
増加すると共にその
維持の
経費及びその
受信者から頂戴する
集金の
経費というものが当然増すわけでございます。それから昨
年度における
設備の
増加というような
経費の増、
放送などの
現業業務量の
増加という
経費が四億七千八百ほどに相成る次第でございます。
次に
必要経費というのもどうかと思いますが、
減価償却費でございますが、
減価償却費につきましては、従来は私
どものほうの
予算といたしましては、やはりそうたびたびの
料金の
改訂はできない。
資料にも若干掲げておきましたが、物価はその間に上
つている。そのときに
予算をどう立てるかという問題に常に逢着するわけでございます。そのときに我々として従来と
つておりました
手段の主なるものは、甚だ遺憾でございますが、
減価償却を七〇%なり七五%にして
辻棲を合せる。或いは
予備金を例えば二十六年のときには一億五千、こういうものを現在において五千万円に削るというような
操作或いは
長期借入金の
返還を繰延ばししてや
つて行くという
操作を主なる
手段としていたしたのでございます。それで
減価償却費が不足のために起
つて来る問題は、
設備の改修が行われないということに相成るわけでございます。それでそれでは
資本の
維持というもの、
経営の
健全化というものには最も困
つた問題を生ずるわけでございます。それで
経営の
健全化を図るために、このたび
減価償却費につきまして
再々評価を実施する。それから百
パ—セント減価償却をする。それと従来三ヵ年におきまして
減価償却を取りこぼされたものが一億九千五百万でございますが、それを三ヵ年で取り戻して行きたい。いわゆる
特別償却とでも申しましようか、それで昨
年度一億八千五百二十九万でございましたのが、本
年度二億四千七百万円ほど
増加となる次第でございます。
それから
支払利息などの
増加がございます。これは、社債の、
放送債券の増に対しまするところの
増加が主なるものでございます。これが二千六百万円ほどございます。それから
借入金の
返還が、昨年は乗り替えましたが、本年は期限に到来しているものをここで
返還する、それが一億二千七百万円ほど昨年に比べて
増加いたしました。
次に、減りますものとしては
放送債券を今
年度は発行いたしません。従いまして
放送債券の
償還積立金が七百万円ほど減少いたします。これは
放送法によりまして
発行残高の十分の一を積立てるということに相成
つておりますその分でございます。それから二十八
年度の
予算におきまして、やはり止むを得ざる
操作といたしまして、
退職手当が二十八
年度は四千四百万円ほど計上いたしましたが、実際は一億ほど必要の
経費なのでございます。その
増額が五千五百万円、それから先ほど触れましたが、
予備金が五千万円昨
年度ございましたがこれが圧縮されておりますので、
予備金の実績というものはどうしても二億五千万円は掛る、風水害とかその他によりましてどうしても……。それから
事業の性質上
予備金的なものが
相当ございます。それらを見越しまして二億円昨
年度より増した次第でございます。
それから
公共放送といたしまして
事業の
維持といいますか、
充実といいますか、それらについて私
どもとして或る
程度力を注がなければならんと存ずるのでありますが、それにつきまして
ロ—カル放送の時間を増すこと、文化、産業、
教育放送を
充実するということによりまして一億四千八百万ほどの
増加を計上した次第でございます。
ロ—カル放送につきましては、
只今三時間の
ロ—カル放送でございますが、一時間伸ばしたいという当初の
計画がございましたが、いろいろ
経費の
関係もありますし、準備の都合もありますので、三十分にとどめまして、そうしてその
主眼をどこにおくかと申しますと、御
承知の
通り各
府県の小学校、中学校の
教育が各
府県の
教育委員会の下に行われるわけでございますので、
学校放送は
全国の
学校放送をやると共に、各
府県に適応した
学校放送というものが必要であるということで、
学校当局、
文部省方面からもたびたび要請があるのでございますが、そういう
学校放送をや
つて行くということと、
全国放送におきまして主としてこれは
農事関係でございますが、やはり
地方地方に応ずる
農事関係の
放送というものが必要でございます。かような次第によりまして、
只今ロ—カルの
番組を組んでいる局が四十七局
全国にございますが、それの時間を三十分増して、我々の
公共放送としての
使命を達成したい、かように存じて先ほど申上げました一億四千八百万円。それから次に
国際放送でございますが、
国際放送は御
承知の
通り来
年度も全部の金はくれない。私のほうとしましてもその
国際放送というものに対して、
受信料から出すということにつきまして、は、どの
程度の
受信料を
国際放送に当てるべきかということは、
相当検討すべき問題かと存じます。それで
政府の
交付金というようなものと見合せながら、このラジオの
受信料から
国際放送に持
つて行くわけでありますが、これを一千万円ほど今
年度余分に持
つて行くという
考え方でございます。それから次には
研究部門と
受信者への
サ—ビスでございます。
研究部門につきましては、私
どものほうとして主として
技術研究でございますが、これに九千六百九十九万円、それから
受信者の
維持に三千万円、たびたび当
委員会においても御
要望がございますように、
ひとりNHKの
研究というのでなくて、
放送全体に役立つようにということに
主眼をおきまして或いは又
輸入品に頼ることなく、
国産品に移して行くということの
研究もこれ又重要な問題と思います。なお
テレビジヨン関係におきまして、特に
電子管の問題につきましては、この
研究が遅れて行くならば、将来
日本のために
相当の悪影響があるんではないか。幸いにしまして、
受信機のほうにおきましては、なお
研究を続けますが、最近の試作の結果は、大体世界の水準に近づいたという結果を得ておりますが、
テレビジヨンにつきましては、なおまだ不十分な次第でありますので、それらにつきましても
研究を進めて行きたいと、かように存ずるわけでございます。それらの
只今申上げた
金額の集計が二十八億六千四百万円ほどと相成りまして、本
年度六十七億の
予算が組まれた。
甚だまずい
説明で失礼でありますが、大体さような次第であります。