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1954-10-12 第19回国会 参議院 電気通信委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月十二日(火曜日)    午前十一時一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     島津 忠彦君    理事            久保  等君    委員            左藤 義詮君            津島 壽一君            上林 忠次君            新谷寅三郎君            山田 節男君            野村吉三郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君    国 務 大 臣 木村篤太郎君   説明員    郵政省電波監理    局長      長谷 慎一君    郵政省電気通信    監理官     行広 清美君    日本電信電話公    社総裁     梶井  剛君   —————————————   本日の会議に付した事件電気通信事業運営状況に関する調査  の件  (日本電信電話公社運営に関する  件)  (防衛通信に関する件)   —————————————
  2. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 只今より委員会を開きます。  大臣が見えますまでの間電波行政或いは電気通信関係につきまして御質問がございましたら御発言を願います。
  3. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 監理官にお尋ねしますが、この前の国会のときにもこういう意見を申上げて大臣の善処を要望しておいたのですが、御承知町村合併促進法伴つて相当町村合併が行われ、これに伴つて通信系統整備しなければならないことは当然のことと思いますが、法律或いは政令にそれに関する条文も入つておりますが、そこで各位の要望相当熾烈なものがあるようです。で、郵政省としても、これは単に電信電話だけでなくて郵便局統合乃至は局の移転等について考えておられると思うのです。電信電話事業につきましては、田舎電信電話局を見ますというと、こういう問題が起らなくても或る程度整備しなければならぬのも相当あつたかと思うのです。この機会に全国的に電信電話の将来を見通しての整備計画を立てられておやりになる必要があると思うのですが、但し、私はこれは自分の個人的な意見かも知れませんが、建設予算、つまり五カ年計画予算に食い込まないようにしてこれはやらなければならぬ。そうしないと地方の小さな町村電信電話局整備するために五カ年計画を又崩さなければならぬというような結果になるといかぬですから、五カ年計画の外において町村合併促進に伴う電信電話整備をしてもらいたいということを強く要望しておきたいのです。本年度においても、これは或る程度補正予算でもお出しになるときに、来年度以降においてどういうような計画で進めるのか、総額はどのくらいになりすすか、これに対して関係政府機関がどういうふうな意向でおるか等について、従来の交渉の経過を御説明願いたい。
  4. 行広清美

    説明員行広清美君) 御説明申します。町村合併促進法につきまして、電気通信サービス改善を急速に実施して行かなければならないという点につきまして只今新谷委員からのお話があつたのでございますが、この点につきましては、従来もいわゆる加入反域の合併というふうな形におきましブ或る程度の局の統合従つて通信サービス改善を行なつて参つたのでございます。ところがこのたび法律に某きまして相当大幅な町村合併が行われるようになりまして、これに伴いまして通信サービス改善についての熾烈な要望が出て参つているのでございます。只今のところで見ますると、これを仮に区域合併というふうな形でやるといたしますれば、約二百億乃至三百億程度資金が要るのではないかというふうに一応考えているのでございます。従つてこれを如何なる時期までに整備を図つて参るかということにつきましては、いろいろと考慮しなくてはならない点があるかと思うのでございます。先ほどお話のございましたように、五カ年計画の幅の中でこれをやつて行くというふうに考えた場合におきましては、まあ従来やつておりました程度区域合併ということによるサービス改善はできるかと思うのでございますが、併しそれ以上のものをやるということになりますると、相当の負担になつて来るというふうに考えているのでございます。従つてこれに如何なる方法で対処して参るかということにつきましては、例えば区域合併というふうなことでやる方法もございまするし、又市外回線関係局間において増設することによりまして、サービス改善を図つて行くというふうな方法もあるかと思いまするし、或いは又親局的なものに対しまして子局的なものを考えて、これの自動化を図つて行く、無人自動化といつた新しい技術を採用して行くというふうな方法によつてもやれるかと思うのであります。従つてこれを何カ年計画でどのような方法でやつて行くかということにつきましては、現在いろいろと検討を加えているのでございます。少くとも来年度予算編成の場合におきましては、何らかの形におきまして、而もでき得べくんば今新谷委員お話のありましたように、従来の五カ年計画の幅で賄うというふうなことでなくて、例えばまあ政府出資といつたふうな格好においてでもでき得ればというふうなことも考えているのではございまするが、まだ現在のところ、はつきりこうだといつたふうに具体的に申上げる段階ではなくて、現在それらの点についてなお検討を進めているというふうな状態でございますので、そのように御了承願いたいと思うわけでございます。
  5. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 まだ研究中のようですから、これ以上詳しく伺えないかも知れませんが、政府出資という、つまり返さなくてもいい資金を流してやるということも方法かも知れません。或る部分は或いは財政資金等によつて賄うのも方法かも知れませんが、少くとも五カ年計画予定外計画としてこれは資金的な措置を講じられないと、現在でも五カ年計画そのものがすでに非常にアンバランスになつてつて相当に全体としては拡張をしなければならぬような気運が出て来ているのではないかと思われるのです。ですから更に五カ年計画のほうに食い込むということになると、これはもう非常に大きな計画の変更になります。従つて私は如何なる措置を講ぜられましても厳守してもらいたいことは、五カ年計画外のものとして資金的措置を講ぜられる必要があるのではないか。で、これは御承知かと思いまするが、郵政大臣に言つたほうがいいかも知れませんが、公社料金改訂のときに、郵政大臣は必ず或る程度財政資金は確保して、そうしてこの五カ年計画の遂行には支障ないようにすると言つておられたにもかかわらず、今年度においてはもうすでにこの言明が裏切られているというようなこともありまして、これはよほどしつかりしてもらわないといけないと思う。特に郵政大臣に、この点はこの委員会としては初めからの経緯に鑑みましても非常に強い考えを持つているということを大臣によくお伝え願つて、今度の補正予算或いは次の来年度予算等により、それが実際に現われて来るように大臣に強くお話し願いたいと思います。  それからもう一つお尋ねしたいと思いますのは、実はこれは速記録を御覧になると、私はもう何遍も言つて、今更申上げるまでもないと自分では思つておるくらいなんですが、関係官がおかわりになつたので申上げますが、今度の国鉄洞爺丸事件等に鑑みまして、公共企業体としては、経理をして行かれる上に相当考えるべき問題が出たのじやないかと思うのです。といいますのは、洞爺丸等相当の大きな被害がありましても、これを従来の官庁事業では一切保険というものを考えないで、私は台風等についても、そういう大きな災害に対する復旧の積立金というようなものを特別考える必要があるのじやないかということを再三申上げた。又火災等についても同様に、他保険自家保険かは別としまして、保険制度的なものを考えて行く必要があるのじやないかということを再三申上げておつたのですが、最近の予算の立て方を見ますると、減価償却方面は著しく改善されてだんだんそれが企業体らしくなつていることは事実であると思いますが、保険というものについてはまだあまり考慮されていない。これはあなた方が考えが足りないのか、或いは大蔵省の方針がそうであるかよく存じませんが、この点も御説明願うと共に、洞爺丸のような大きな事件、或いは電信電話事業につきましても、中心になる大きな局が火災にあつて焼けるというようなことがいつ起るか知れません。私は必ずしも他保険がいいとは言わないのです。自家保険でも結構です。結局言い換えると保険料相当するようなものを経費としてやつぱり落して行くということが必要ではないかと思うのです。若し仮に厳格な意味原価計算をいたします場合には、当然これは経費として考えるべき問題だろうと思うのです。官庁事業だから火災もない、或いは災害もないというようなことを考えるのはおかしいので、経費として考えて行くべきものだと思います。理論的にはそうだと思います。従つて国鉄等においてもこういう問題について予算の立て方を研究する機運にあると聞いておるのですが、電信電話事業につきましても、そういう方向で予算の立て方を再検討し、いいとなればこれを実行されるというようなお考えはないでしようか。私はあつてほしいと思うのですが、今どういうふうになりておますか。
  6. 行広清美

    説明員行広清美君) 第一に新谷委員から仰せになりました点につきましては、よく大臣にその趣旨を申し伝えたいと存じます。  先ほどの第二の問題でございますが、従来までのところでは、御承知予備費で賄う建前になつてつたのでございます。只今お話の点につきましては、なおよく検討してみたいと存じております。
  7. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 監理官にもう一遍申上げておきますが、検討しますということじや因るのですね、ああいう事件が起つたの国鉄なんかはもうやはり百億近い損害だというので真剣にこの問題を考えておる。場合によつては他保険に付けようかということも議に上つておるようです。他保険がいいか自家保険がいいかということは、それほ事業の実態によつてつて来るでしよう。私はいずれとも言えないが、電信電話事業についても、やほりそういうことを考えないと事業基礎を危くするような大きな災害が起つた場合どうするか。予備費では到底賄えないと思うのですね。予備費で賄える範囲の災害ほこれは問題ないのですが、併し今年の予算を見ましても、そういう災害予備費で必ず賄えるとは考えられませんし、従来大災害があつた場合、皆いずれも予備費で賄えないで建設費を食つておるじやないですか。そういうことがあつちや困るから私は言つておるので、研究するとか考えるとかいう段階ではなくて、それはやりますとか或いはやらないとすれば、それに代る方法としてはこうしますということをあなた方としてはお考えになつておらなければ困ると思うのですが、まだお考えがまとまらなければまとまらないでいいですが、それはそう簡単にお座なりな答弁をされたのでは困るのです。私は事業基礎を確立しようと思うので申上げておるので、もう少しその問題について真剣に考えられて、早く結論を出すようにして頂きたい。
  8. 行広清美

    説明員行広清美君) 現在の予算の立て方といたしましては、予備費のほかに災害準備金というふうなことも一応考えられているわけでございます。予算科目としても一応設定されているのでございますが、従来までのところそこまでの算定をいたしまして計上するところまでは行つていないのでございます。只今お話のありました点につきましては、いろいろ見方もあるかと思いますので、その点につきましてなおいろいろ検討もしてみたい。そういう趣旨でありますので御了承願いたいと思います。
  9. 久保等

    久保等君 先ほど新谷委員の言われた町村合併の問題に伴う電信電話加入区域統合整理の問題ですが、これも当面の非常に緊急な重大な問題だと思うのですが、今いろいろ検討を加えられておるという程度の御答弁があつたのですが、すでに三十年度予算についても大綱がまあ恐らく決定を見ているのじやないかと思われます時期でありますだけに、町村合併の問題は非常に重要な当面の問題だと思うのです。先般も何か新聞の報ずるところでは、町村合併促進に関する全国協議会といいますか、そういろところでも電信電話問題を非常に大きく取上げて要望をするというような決議もなされておるということも伺つておるのですが、私が先般中国地方に参りましたときに鳥取、島根、こういう方面ではあそこの通信局管内で最大の問題は何かというと、やはり町村合併に伴うこの整理の問題だというふうなことが言われておるのですが、実情を聞いてみますと、なるほど村の二つなり三つなりが一つになつて、従来の村役場が今度は村の出張所になり、それから今度統合された役場と出張所の間の連絡一つするにしてもなかなか思うように連絡できない。いわば市外電話というような形で連絡しなければならないというように非常に困難しておりますので、是非何とかこの整理をやつてもらいたい。村としては、そういう田舎では村有林を持つておるので、村有林の木を幾らでも切り出して五百万円だろうが六百万円だろうが、若し金がかかるのであれば、是非一つ物件なり或いは資金のほうも提供しましようというようなことで、非常に熱意を持つて、この切実な問題で申出があつたのだけれども、公社のほうでもなかなかきめかねておる。予算がないのでどうにも当面できないというふうな実情にあるようですが、そうなつて参りますと、そういつた土地の人たちに言わせれば、幾らでも金がかかるということであれば金は一つ出してもいいというような気持を持つていながら、どうして電話をつけてもらえないのか、或いは整理をしてもらえないのかという非常に大きな不満があるのですが、併しやはり電話をつけるとか加入区域統合するとかいろ問題になつて参りますならば、あとの維持運営の問題を考えるならば、直ちに当面の資材なり資金なりが融通がついたからといつて、これは簡単にはきめかねる問題だと思うのですが、やはり長い目で見ての計画というものを立てなければ、直ちにそういう申出があつたからということで右から左に解決できないと思うのですが、従つて私はやはりこの際必要なのは三カ年計画なり五カ年計画なり、そういつた申出のある所についてはその要望に副えるような対策を立てておかなければならないと思うのですが、町村合併に伴う電話加入区域整理統合という問題は時局的な要請に基く重大な問題だと思うので、是非まあ補正予算でも当面考えるべき緊急性のある問題だと思うのですが、更に明年度の、昭和三十年度予算においては、これは何としてでもやはり解決すべき問題だと思います。従いまして三十年度の問題にいたしましても、すでに大綱がきめられ、予算等も一応まあ試案的なものが作られておる段階だと思うのですが、この問題がまだ検討中だということでは、非常に当面の情勢に即応できないのじやないかという点が危惧されるのですが、まあ大臣がこの席上にはお見えになりませんけれども、私はこの問題について、直ちに一つ具体的に予算等編成等にかかつて、そうして要望なり、それからこちらの又そうした情勢に即応できるような態勢を是非一つ確立してもらいたい。従来から電話加入区域整理統合ということは間々あつたわけですが、是非一つそろいつた年来の問題をも含めて、この際強力にこの問題の解決に努力してもらいたい。このことを一つ強く要望申上げたいと思います。
  10. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 只今町村合併の問題につきまして、どういう措置をとつておるかということを公社としてお答えいたします。三十年度予算につきましては、一応我々は四十億円を町村合併に対する通信統合費として出しております。併しまだこれは予算折衝が始まつておりませんので、どういうふうになるかわかりませんが、先ほど新谷委員からのお話通りに、五カ年計画のうちにそれをやるということでは、五カ年計画にすぐ齟齬を来たすという意味で、別途に要求しております。その資金もこれは政府出資によるか、或いは財政投資によるか、それは今後の予算折衝によつておのずからきまるだろうと思いますが、大体そういう措置をとつております。又町村合併によつて今後通信機関を統一する必要があるばかりでなく、過去においても、すでに合併されたところで、同一市内に二つ通信機関があるというような実例も幾多あるのでありまして、これは今日まで僅かずつでありまするが、統合をして来ておるのであります。これらのものを皆統合しまして、今後どれほどの町村合併によつて統合経費が要るかということを大体推定いたしますと、約五百億ぐらい要るだろう、従つてこれを十カ年間にやつて行こうという考え下に、三十年度において四十億の予算を出しておるわけであります。
  11. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  12. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 速記を始めて。
  13. 山田節男

    山田節男君 これはまあ電電公社のほうからの御回答を得たいと思いますが、例の現在の電話ステップバイステップシステムについて、クロスバーシステムの普及といいますか、将来電話サービス改善一つとしてクロスバーシステムを採用する。昨年来、総裁初め指導部の間でいろいろ計画を、すでに高崎クロスバーシステムの試験をやるというようなお話を聞いたのですが、その後クロスバーシステムがどういう階段に来ておるか、簡単に御説明頂ければ結構だと思います。  なお、現在のクロスバーシステムというものが若しできないとすれば、将来日本電話というものは、やはりステップバイステップで行こうという御意見なのか、この点一つお聞きしたい。
  14. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 高崎アメリカケログ・スウイツチ・カンパニーのクロスバーシステムを導入いたしまして、現在その工事をやつております。使用物品到着等が遅れましたために、本年度一ぱいに開通の見込みで進捗しております。なおクロスバーシステムそのものにつきましては、いろいろの方式があり、又いろいろの機械部分違つたのがあります。現在使われておりますものは主としてウエスタン・エレクトリツクの作つておりますシステムと、それから先ほど申しましたケログシステム、この二通りあります。ケログシステムスエーデンクロスバーシステムと非常に似ております。これはリレーそのものが似ておるのでありまして、ウェスタンリレースエーデンリレー大分違つております。それと共にクロスバーのサーキツト、回路が、ウエスタン回路スエーデン回路と又違つておるのであります。我々はそのいずれが是であるかということにつきましては十分研究し、又調査して決定したいという今考えでおります。併し大体論から申しますると、アメリカのように大規模電話設備に対してはウエスタン・エレクトリツクシステムが適当であり、且つ又経済的ではないだろうか、又それらよりも小さい程度の中都市或いは一万とか二万とかいう程度都市に対しては、むしろスエーデンクロスバーシステムのほうがいいのじやないだろうか。ウエスタン・エレクトリツクシステムは非常に巧妙にできているのですが、そのリレーの製造が非常に大量でないと経済的に行かないのであります。従つて需要供給関係からいいまして、日本のごときは或いはスエーデン・タイプのほうがいいのじやないだろうか。併し東京、大阪のような大規模なところになると、ウエスタンのタイプのリレーを使つたほうがいいのじやないか。サーキットのほうもリレーの数を少くするようにウェスタンのほうは設計されておりますが、そのためにかなり複雑になりまして、若し故障が起きた場合におきまして、それを修理するということに対して非常な困難があるということを一部の人は申しておるのであります。それらの関係上我々は両方システムを十分に研究して決定したい。最近にヨーロッパのほうへ専門の人を出しまして、スエーデン・タイプのものについて調査を今進めております。アメリカのほうは割合わかつておるのでありますが、ヨーロッパのほうはシステムは十分に日本にはわかつておらないものですから、そういうふうに調査を進めて、今後実施までの段階に持つて行きたい。若し将来クロスバーシステムを全面的に日本に採用するというふうに決定しましたならば、これらの機械を国産化して行かなければならないと考えております。全体に又各国の情勢を見て判断して見ますると、もうすでにステツプ・バイステップシステムというものは過去のものであるようであります。ドィッのでもクロスバーとは違いますけれども、プリンシプルは全くクロスバーと同じようなシステムに、モーター・ヴエラーという新しいスイツチを使つております。従つて我々日本としましても、今後新しく採用するものは、どうしても当然クロスバーシステムのものを使わなくちやいけないだろう。併し現在すでに装備されておりますストロージヤー、ジーメンス・ハルスケのシステムを増設して行くというところでは、どうしてもやはりジーメンスが当分の間生産の必要がある。漸次新しい局から切り換えて行くというような方法をとらなくちやならぬようでありますから、当分の間、若し国産化いたしましても、両方のものを生産して行くという段取りに展閉して行く。現在アメリカシステムは、昨年におきましてはストロージヤーのほうが六割生産クロスバーのほうが四割生産している。本年度はその逆になりまして、クロスバーは六割、ストロージヤーが四割というふうな、だんだんストロージヤー生産のほうが圧縮されて行つてクロスバー生産のほうが殖えて行くという段取りをとつています。一応そんなこと……。
  15. 山田節男

    山田節男君 これはまあ専門的な立場からいろいろ見解があるかも知れませんけれども、電信電話公社として、いわゆる公共企業体として、経理面から追利主義ではないけれども、併し独立採算主義で行かなければならない。こういう一つの法的な大きな枠があるわけです。そうして現在のステツプ・バイ・ステツプ・システムクロスバーに漸次切り換えて行く。これは経理面から見て補修或いは器材の購入、それから施設を入れまして、これから徐々にクロスバーシステムに移行するという場合に、経理面から考えての何と申しますか、電話料電話サービス料金、又そういうような収入面から、経理考えれば、やはりクロスバーシステムは能率は上るかも知れんけれども、経理的に考えれば、現在の料金、現在の収入でやつて行けないという問題が起きて来るのじやないかと思いますが、こういう点はどうでしよう。コストということから考えて、クロスバーにこれから移行しつつ漸次これを切り換えて行くという過程においては、経理面から言えばコスト高になる。従つて支出面が非常に多くなるというようなことについての御見解はどうですか。
  16. 梶井剛

    説明員梶井剛君) クロスバー価格ストロージヤー価格が、いずれが高いかといいますと、現在におきましてはクロスバーのほうが少し値段が高いのであります。併しこれは生産高によつて原価というものは変つてつて来るのでありまして、生産が漸次増加して来るに従つてクロスバーのほうが安くなるかも知れないということを、そういうことを現在アメリカでは言つております。併しクロスバーの特長は、ストロージヤーと違いまして非常に故障の少いということであります。従つて補修費がかなり安くなる。アテンダントの点が現在のストロージヤーよりも少くて済むということから、長い目でもつて年計費として計算しますと、クロスバーのほうがストロージヤーよりも安くなるということを申しております。そういうような経済上の事情も考えて、アメリカでは全面的にクロスバーを採用することに決定した次第でありますから、我々も勿論経済的な観点からクロスバーを将来において採用したほうが事業の経営上には有利であると考えておるわけであります。
  17. 山田節男

    山田節男君 もう一つ、これは極めて素人的な考えと思うのですが、丁度日本で今日電力を見ますと、関西、関東ではサイクルが違う。五十サイクル、六十サイクル、これで非常に不便を今感じておる。今日日本電話システムは、先ほどおつしやつたようにストロージャーとそれからジーメンスと二つの式がある。このことは私は電力の今のサイクルの差異から来るところの不便はないかも知れません。併しながら経理面から考えて、これは漸次やはり一つシステムにすべきものじやないかと思うのです。現状の二つシステムであることと、それからどつちかに一つにしてしまうというと、これはクロスバーシステムとの噛み合いにもなりますけれども、これを一元化するということは、これば資本的に、或いは技術的に考えて非常に高価なものになるからできないのか、或いは能率的に見れば将来は必ず一元化しなければならないかという、そういう点の御見解一つ
  18. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 現在日本におきまして自動交換方式としてストロージヤー、ジーメンス・ハルスケという二つの方式を使つております。併しこれは関東大震災の復旧のときにそういうような事情になつたのでありますが、両方ともプリンシプルから申しますとステツプ・バイ・ステツプのシステムでありまして、その間の差異といろものはそうひどくはないのであります。併し機械的な部分というものはかなり違つておりまして、従つてもう二つシステムを持つているということは相当不利であるということは明らかなんであります。でありまするから、将来我々としましては一つの方式に統一して行きたいという考えは依然として持つているわけであります。従つて今後クロスバーシステムを根本的に採用するということになりますれば、ストロージヤー、ジーメンス・ハルスケがだんだん少くなり、最後には日本全体がクロスバー方式で統一して行きたいという考えでいるわけであります。なおこれは市内交換の問題でありますけれども、更に市外交換は、現在におきましてはすべて交換手の手を経てやつております。併し最近の傾向におきましては、市外交換も皆自動交換にいたしまして、交換手なしに自動方式で通話するということになりつつあります。でありますからそういう場合に使ろところの市外交換の自動方式はどういろものを取上げたらいいだろうかということになるのでありまするが、これもやはり市内交換と同じ方式を使うことが必ずいいと考えております。現在ストロージヤーとジーメンスとの差異におきましては、ダイヤルのインパルスが少し違つております。これを互いに共通に同じ都市に同じシステムを置くことは非常に困難になつております。併しクロスバーを漸次ストロージヤーを持つている都市に増設して行くという場合におきましては、その間のインター・コネクシヨンを間違いなくやるということにつきましては、アメリカでも十分研究されております。又スエーデンにおきましてもその点を相当研究されておりまして、フインランドのヘルシンキも元ジーメンス・ハルスケのスイツチを持つておりましたが、今のスエーデンクロスバーを増設しております。でありますから同じ都市でありましても新しい局にクロスバーを置く場合においてのインター・コネクシヨンを十分経験を持ち、可能であるということがわかつたのであります。でありますから今後大都市においては増設に対しても漸次新局にはクロスバーを使つて行く。そうして古くなつて行つたストロージャーを置き換えるときにクロスバーに置き換えて行く、そうして全部市がクロスバーになる。この間は相当の年数、機械のライフの問題がありますから、機械がたとえ二十年としますならば、二十年は少くもかかるというようなことであります。
  19. 山田節男

    山田節男君 過日東北へ参つていろいろ視察しました印象として、実に東北地方においては磁石式のものが非常に多くて、たしか六〇数%を超えておる。この間全国的な統計を見ても約二十三県というのが依然として磁石式を採用しておるわけであります。これは新しいものについては共電式を取入れるということはいずれもわかりますけれども、依然として磁石式のものが六〇%を占めるという現状は、これは私は電電公社としてサービス改善でありますか、次第にこういうものは減らして行かれるのが当然ではないか、そういう方針でやつていらつしやいますが、こういうものに対する五カ年計画の中で、磁石式の漸次撤廃というようなこともお考えになつておると思うのでございますが、この点のお考え、どういうような印象を持つておりますか。
  20. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 現在磁石式を、今山田委員のおつしやられたように五〇%以上は占めておらないと思います。それよりも少いと思います。併し地方町村におきまして、磁石式を殆んど使つておりますから、欧米の例に徹しまして、日本における磁石式の数というものは非常に多いと思います。従つてこれらを何とか解決しなければならぬということは我々としては当然考えておるわけでありますが、磁石式に置き換えるのはどうい方法によるべきか、それには現在電話サービスというのは二十四時間サービスであります。従つてこれに従事する従業員の数というものは、常時働いている人の二倍又は三倍要るということであります。これが運営経費相当な大きな部分を占めております。でありますからこれを省くためには、やはり自動交換によるほか方法がない。幸いにしまして最近におきましては小自動交換と申しまするか、農村の電話を自動交換にして、全然人を使わないという方式が発達しつつあります。これはスエーデンにおいても、又アメリカにおいてもその例を我々は見たのでありまするが、加入者五百或いは千というような、非常に小さな局を作りまして、その中に機械を置いて、全然人がおりません。一週間に一遍ずつ巡回で調べて行くといろ程度でありまして、そういろ意味から言いますと、まあ自動の方式を使いますと、農村に実施いたしましても、経済上十分にそろばんがとれるということがわかつております。でありまするから、今後我々としましては予算の許す限り農村の電話自動化して行きたいという考えであります。而も現在農村、或いは町村における電話というものは、従来の関係上、郵便局と多くは並置されておるのであります。郵便局のほうはこちらが一緒におりまするために、郵便局としても業務の発展に対して支障を来たす場合も往々にしてあるのでありまするから、できまするならば電信電話電話のほうは別に局舎を作つて只今のように自動交換によつて人もおらぬでやれるようにするならば、よほど郵便事業との関係がよくなるんじやないだろうかといろふうに考えておりますので、是非そうしたいと思つております。これは町村におきます電信電話事業は御承知通り現在赤字であります。でありまするから、その赤字の問題を合理化する意味から言いましても、自動交換にしての、アテンダントのものにするということは必要だと考えております。
  21. 山田節男

    山田節男君 この間の私設無線局の吸収問題で、電波監理局、郵政当局も御答弁になつたのですが、電信電話公社としても、将来の電話サービス、電信も然りでありますが、無線ということの、ラジオ・テレフオンのサービスは、やはり漸次増加して行くべきものであり、又そういう趨勢にあると思うのですが、これも長谷局長にもかねて御質問申上げた電電公社としてそういつたような無線の電信電話サービスの拡張ということは必然的な問題になるだろうと思うのです。そうなつた場合に、又そういう趨勢にあるからには、郵政省としても例の周波数の割当、これはマイクロ・ウエーブ、或いは超短波という、おのおの大体の割当のプランをお持ちになつておるだろうと思う。この間も電電公社が超短波というものを含めて、私設無線局の吸収の要請ということについて、電電公社に対しては、電信電話に対する周波数の割当は、もうちやんとあるのだという工合におつしやつておるのですが、そういうような全体の周波数の割当から見て、電電公社に対してはどのくらいのバンドを各波長に応じてやつておられるのか。これは今御答弁できなければ、口では言えないならば一つ書いて御提出願いたい。現在電波監理局は、その主管者として、無線電信電話に対する公社整備、それから又民間企業、民間の事業に対してのおのおのはつきりした割当というものを持つておられるだろうと思う。この点を併せてお聞きしたいと思う。  第二に、電電公社が無線による電信電話というものに対する計画をお持ちになつて、それはやはり五カ年計画の一部として実施するという一つ計画をお持ちのことだと思うので、その点をお伺いいたしたい。
  22. 梶井剛

    説明員梶井剛君) これはこの前の委員会にお答えいたしましたように、札幌から福岡までの幹線路をマイクロ・ウエーブによつてやるということはすでに計画の中に入つております。又その一部もすでに実施しております。その以外のVHF方式によりまして全国に殆んど無線連絡を現在持つております。併しVHFは何分にも十二チヤンネルしかとれないものでありますから経済的に不利であるというので、マイクロ・ウエーブに漸次置き換えて行こうという考えでおりまして、従つてこの幹線の以外につきましては、更に五カ年計画の終り頃にPM方式によつて部分をやりたいという計画を持つております。併しこれは五カ年計画内においては全部やるわけに行きませんので、第二次五カ年計画におきましてPM方式によつて全国の重要な都市を無線によつて連絡しよう。災害等によつて通信が絶対に杜絶しないようにするためには有線と無線と両方を持つて行くより仕方がない、そういう計画は頭にあります。
  23. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。只今の御質問につきましては、前の委員会でも周波数の割当について郵政省が現在どんな準備段階にあるかということを申上げたのでございますが、現在におきましては、電電公社のほうで使用させている、或いは近々に計画を明確にして実施をされている部分についての周波数の割当は十分にございます。併し将来なお超短波或いは極超短波の面について更に拡充したい、こういう計画も持つておられるようでありますし、又電電公社以外にも短波とか、超短波或いはマイクロ・ウエーブにつきましていろいろの需要がございますので、郵政省といたしましては、この春頃に一応の案を作りまして、各関係者に今後の電波の割当の素案を掲示しまして、それに対する意見を求め、又将来の計画をはつきり持つている部面からはその計画を提出してもらいまして、最後的に割当計画の再編成をやろう、こういうことで準備を進めております。なお一、二カ月或いは二、三カ月の期間のうちには最後的な決定をみるものと存じておりますが、只今も申上げましたように、素案を持つていろいろ関係の向きと折衝、相談中でございますので、的確な面をお目にかけることはできないと思います。と申しますのは、防衛関係のほうでも非常に、単にマイクロ・ウエーブの問題ばかりじやなしに、超短波、短波面での非常な要求がございますし、又最近非常に発達をして参りました航空関係についても十分の考慮を払わなければなりませんし、具体的にどの波長の面を、波長帯をどこにということを結論は現在まだ得ておりませんので、なお一、二カ月の御猶予を頂きましたならば、具体的な結論をお目にかけることができると思います。
  24. 山田節男

    山田節男君 そうすると周波数の割当プランというものがまだ数カ月かからないと決定しないということになれば、現在かなり多くの私設無線局の開設の免許申請というものがあるやに伺うのですが、そういつたものはそれまでは決定されない、審議の対象にならないというふうな御答弁なんですか。
  25. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。現在確かにたくさんの私設無線の申請がございますが、その大部分は船舶或いは警察関係或いは電電公社の国内関係というのが大部分でございます。或いは電力関係のものもございますが、それらのものについては、大体現在準拠をいたしております周波数割当計画の範囲内で十分間に合うのでございますし、将来の計画を立てる場合、言葉を換えますと、只今準備作業中でございますところの周波数の再編成を行なつた場合にも支障がない程度のものでございます。大体先ほど申上げましたように、一応の素案はできておりますので、その素案で大きな変更を来たさない、将来に影響を来たさない範囲のものが大部分でございますので、現在でも現在の申請書を個々に処理を進めております。尤も中には将来計画に影響のあるものもないわけでもございませんので、そういうものは自然周波数割当計画ができるまでは待つて頂くということはやむを得ないと思つておりますが、現在にはそういうものは殆んどない状態でございます。
  26. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 只今郵政大臣がお見えになりましたが、大臣は党務の御都合で午後東京をお離れになる関係上、時間が制約されますので、できますならば大臣に対する御質問が若しございましたらばこの際お願いしたいと思います。
  27. 山田節男

    山田節男君 これは木村長官がお見えになつて郵政大臣と御一緒に一つお願いしたいと思いますが、木村長官まだお見えにならないのですか。
  28. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 木村長官は今御催促申上げているのですが、まだお見えになりません。間もなくお見えになるそうです。ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  29. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 速記を始めて。  只今木村長官がお見えになりましたので、会議を続行いたします。  あらかじめ申上げますが、長官のほかに防衛庁の整備局長、同じく政務次官、それから整備局の通信課長、総務局次長、これらの方々がお見えになつております。
  30. 山田節男

    山田節男君 これはもう塚田郵政大臣が時間がないそうでありますから、極めて簡単に私質問申上げたいと思います。先ず木村保安庁長官にお伺いしたいのですが、我々が仄聞するところによると、一民間会社がマイクロ・ウエーブの施設を持つ、そうしてそれを防衛庁の防衛中心にこれを貸したいというようなまあ動きがあるやに伺いまして、電気通信委員会としまして、非常にこれに対しまして関心を持つております。去る電気通信委員会において、塚田郵政大臣、それから電電公社総裁等に質問して公的な電波行政の立場の将来ということを考えまして、いろいろここで論議したわけでありますが、丁度長官が御不在であつたものですから御出席願えなかつた。で、今日は一つ木村長官に一体こういうような事柄に対しての御所見を確かめておきたいというのでおいで願つたのですが、この点に関しての木村長官の今日までの経過並びにこの問題に対しての御所見を一つつておきたいのでありますが、お願いいたします。
  31. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 私といたしましては、防衛庁において全国的のマイクロ・ウエーブを持つことが望ましいと考えております。それは申すまでもなく自衛隊の今後のあり方、通信が非常に重大性を持つておることは御承知通りであります。殊に各種の委員会で私が申上げたように、将来防衛庁といたしましてはGMの研究をやつて日本の防衛体制を極めて効果的に且つ経済的に考えれば、何としてもGMの研究をやる。GMについては、申すまでもなくマイクロ・ウエーブが必要である。全国的のマイクロ・ウエーブを防衛庁自体に持つということは、これは理想的な考え方だろうと考えます。併し現実の問題として、防衛庁自体にはさようなものは現段階においては持つことはできないことは御承知通りであります。然らばこれをどうしたらいいかということでありますが、さて民間会社でこれをやり得るのかどうかというと、私はなかなか容易なことじやなかろうと考えております。それでまあ差当つて我々考えておるのは、三十年度においてどうするか、これについては申すまでもなく現在防衛庁自体としては有線とそれから短波無線でやつておるのでありますが、これにも回線が非常に少くて困つておる状態であります。殊に北海道と東京との間には早急にやらなければならぬというので、何とかしてやりたいというので、三十年度予算に三億六千万円、これを計上しておるわけであります。それが現在のあり方として考えておるのであります。将来としては何としても全国的のマイクロ・ウェーブを持つて行きたい、こういうふうに考えております。それで今のお話の民間会社というお話であります。民間会社はどこかということは、会社自体という話はありません。併し正力君が最初に来たことは事実であります。正力君の話によると、自分のほうで全国的のマイクロ・ウエーブを持ちたいんだという話であります。その計画の詳細のことは私は存じませんが、正力君の話によれば、これはでき上れば防衛庁に保管さしてもらいたい、殊に二カ年くらいの間にでき得るんだという話であります。勿論アメリカの技術は頼るわけに行きません。金の面におきましては確信があるような話であつたのであります。それならば誠に仕合せだ、僕のほうで保管をさせるということは結構なことだ、併し将来防衛庁自体でこれを作るということになると二重設施になる、その点はどうだ。それは政府において将来必要であるということであれば買上げをきめてもよろしいというようなことで、これは誠に結構な話だ。然らば技術の点はどらだ。技術の点はこれこれだ。併し日本においてできるものであれば、日本のできるものを使う考え方である、その点もよろしいということで話はしておるわけであります。併し具体的の問題はいろいろあるのです。そういうことについては、これは海のものとなるか山のものとなるかわかりませんが、現在の段階において。併し話の筋は通つておる。これができ得るものであれば誠に結構だということで話をしたような次第であります。具体的にどこまでこれをどうするかということについてはまだ話は進んでおりません。さような次第であります。
  32. 山田節男

    山田節男君 今正力松太郎氏からそういう申出が、お話が大村長官にあつたということで、具体的に正力氏がそういう意図を持つておられたということが明瞭になつたわけでありますが、殊に自衛隊、この国家の防衛といろものは、武器においてはもとより、通信関係において将来どうしてもこの電波を使用しなければならぬ、これは大臣のおつしやる通りなんです。これは少し話が古くなりますが、昭和二十六年であつたと思いますが、これは新谷委員、それから電気通信委員会の寺尾委員、私、衆議院議員の電通関係二名、合計五名アメリカに行きました。私はもとよりずぶの素人でありますけれども、ワシントンでペンタゴンに参りまして、GHQのこちらのマツカーサー元帥の司令部の通信部長であつたバツクという少将でありますが、殊に我々を歓迎されまして、ペンタゴンの四階或いは五階でありますか、四階、五階のあそこは全部通信設備なんです。これは秘密の部分もあるけれども、国会の代表であるというので我々五名のものは特にコンラツド代将がつぶさに我々に見学を許してくれて、同時にコンラツド代将、それからバツグ少将が言うには、将来の文明、殊に戦争防衛というものについては、もうこれは通信が殆んど全部といつていいくらい重要性を持つている。現に我々もこの点で、いわゆるパリにおけるアメリカ軍の本部、それから東京におけるマツカアーサーの司令部に我々の目の前で即時電話をやつて見せるという状況で、同時にマイクロ・ウエーブの中継というものが如何に重要なものであるかということを我々は目に見て、殊に最高度マイクロ・ウエーブのリレー・ステイシヨンをやつておるベル電話会社の施設を見まして、将来日本というものは通信並びに防衛というものを考えて、マイクロ・ウエーブは如何に重要性を持つているかということを実は知つてつて来ました。帰つて来たとたんに正力氏がテレビ並びにマイクロ開設を当局に申請しておられることを発見しました。そうして正力氏のもくろみを我々はパンフレツトの形で配られましたので拝見しました。そのときに正カ氏がマイクロ・ウエーブのリレー・ステイシヨンを開設するという意図を持つていることがわかりました。当時佐藤榮作君が電気通信大臣でありましたが、我々はこの本委員会において佐藤電気通信大臣に対しまして、マイクロ・ウエーブに対する政策を聞いたところが、佐藤君はまだこの問題は研究中である、まあどうするか政府としては方針がきまつていないということであります。そこで民間からそういう申請があるということから見ても、これは当然政府がこのマイクロ・ウエーブというものをどうするかと至急にきめなくちやいかぬというので、これは佐藤大臣相当私は努力ざれたのだと思いますが、間もなく御承知日本電信電話公社、国際面におきましては国際電信電話株式会社という二法案を国会に提案されまして、我々はこれを審議いたしました。そういう過程からマイクロ・ウエーブというものは、これは電電公社をして電話改善サービス又或いは写真電送にいたしましても、その他のいろいろの面においてもマイクロ・ウエーブを至急にこれは施設する必要があるというので、政府公社をしてマイクロ・ウエーブに対する至急開設ということに対する態度を  はつきりしたわけであります。で、今日五カ年計画を作つて、着々としてこれを実行し、現に大阪までこれは開局しているわけなんです。こういうような実情と、それから先ほど申上げましたこの防衛関係通信というものは、これは将来ますます重要性を加えると同時に、ますます拡張しなければならぬ。これはたとえ如何に国費を要そうとも、防衛の機能を強化するということになりますれば、これは私は国民としてその犠牲は忍ばなくちやいかぬと思う。そこで今大臣お話になるところによると、正力松太郎氏がそういう申出をして、そうしてこれを貸してやろうという、まあ政府がこれを防衛庁でもつてこれを保管するという言葉をお使いになりましたが、このことは我々この委員会において審議しました電波法或いは公衆電気通信法の法的立場から見ましても、そういう施設を貸与するということは、これは一つの公衆電気通信役務である、これは公衆電気通信法にちやんと明記してあるわけなんであります。それから電波法の第四条並びにその電波法の第四条の解釈の範囲を定めた政令等を見ましても、貸与するということは、もう不可能だという法的見解を我々この法律の審議に携つた者としまして、そういう解釈を持つておる。ところが塚田郵政大臣はこの法的解釈を我々とは違う見解を持つておられるやに実は拝聴したのであります。これは非常に我々立法者として重大な問題であります。我々の扱つた法律が行政当局によつて違つた、或いは拡張解釈をきれるということはこれは重大問題であります。そこで若し塚田郵政大臣がこの法律に対する適用についての解釈を異にされるということになれば、その解釈を私は正式に文書によつて委員会に提出してもらいたいということを実は要求してあるわけなんであります。そこで今木村長官のお話を聞けば、そういう貸与を受けてこれを保管するということはいい話じやないかというような御意見のように伺うのでありますが、私たちから見れば、法的にはもうそういうことは許されないのだ。これはもうそういう申出が、話があつてもこれは法的に考えれば問題外であるという見解をとるのでありますが、木村長官としては、そういう法的な部面についての御検討を加えた上でかような御意見をお持ちなのか、どうか。この点を一つお聞きしたいと思います。
  33. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。法の解釈については検討を加えておりません。これは一に郵政省でその判断をされるべきだと私は考えております。研究しろということであれば、我々のほうでも十分法制局あたりと打合せして研究してもいいと思いますが、まだそこまでは私は研究しておりません。
  34. 山田節男

    山田節男君 それからこれはマイクロ・ウエーブの施設の問題でありますが、技術的にこれは日本ができるかできないかという問題、これが私は一つの大きな問題であり、第二には資本が、日本としてこういうものを作る資力が、資本があるかないかという問題と、私は二つあると思うのですが、少くとも第一の技術的部面につきましては、なるほど欧米に比べれば、非常な技術的なギヤツプはございましたけれども、今日におきましては、私が申上げたように、日本電電公社は現に国産をもつて東京—大阪間を開設いたしまして、非常な能率を上げておるわけなんです。ですから何ら外国からそういう技術を導入するという必要は私はないと思うのです。この点は私は幸い電電公社梶井総裁がおいでになりますから、この点は私は技術的にコンフアームできるかということの私は証言を得たいと思いますが、とにかく私どもが見ておる範囲では技術的にはもう学ぶ、学ぶと言つては語弊がありますが、少くとも今日の日本の技術水準でもつて不自由しないという考えであるか。それから第二の、資本の問題でありますが、これは防衛庁の、防衛の将来ということを考えれば、先ほどペンタゴンの例を申上げましたけれども、防衛庁自体がこういうものに対しては、将来如何に金がかかろうともこの重要性に鑑みて、十分のものであるということが私は究極の目的でなくちやならぬと思うのです。併しその過程において、今おつしやつたように予算上の制約というものがございますから、私は一時どこかのものを使用するということはこれはやむを得ないと思うのです。然らばどこから借りるかということになれば、一方法的に考えれば民間の団体が、民間でもつてこういう公衆通信を開設するということは、電波法から申しましても、電気通信法から申しましてもできないんだ、これは日本電電公社が開設すべきものを使用するかどうかという問題になると思うのです。私は正力氏がどういう見解を持つておるか勿論これを確かめた上ではありませんけれども、今木村長官のお話を聞けば、そういうものはすべて自明の理であり、問題はないんだというように確信を持つておられるように思うのでありますけれども、大臣としてこういう技術的面、資本的部面において外国依存ということは、こと防衛に関してはこれは機密に関することであります。機密の保持、機密の保護ということにつきましては、これは私は大臣においても十分にお考えになつての上でのお考えがあると思うのです。そういう点から私は二つの面から今大臣の御答弁、御意向を、ちよつとこれは甚だ厚かましい話ですけれども、少し認識が足りないのじやないかと思いますので、この点は一つ国内的な面に顔を向けて十分御検討の上でそういう申出に対する政府としての回答は十分に慎重にやつて頂きたい。  第一のマイクロ・ウエーブの施設には現在の日本の技術水準、日本のメーカーによつて確信を持つた良心的なものができ得るのかどうかということについて、私は電電公社梶井総裁がすでにそういう施設をお持ちでありますから、この点についての御意見を伺いたいと思います。
  35. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 公社はマイクロ・ウエーブの研究につきまして昭和二十五年頃から着手いたしました。その後その研究が或る程度完成しまして、これを日本のメーカーに製作を依頼して現在東京—大阪間にこれを使用しているわけであります。併しまだこのものが、その当時におきましては欧米のものに比較して優れておるということは到底言えないのでありまして、まだ改善すべき余地があつて従つて更に検討を加えまして、今日におきましては公社が使つておりまするところの四千メガのマイクロ・ウエーブは大体欧米のそのものと匹敵するほどに技術の進歩をいたしました。今後は国産をもつてこれを施設することができるという確信を得ております。従つて東京から札幌に向つて施設するマイクロ・ウエーブについては、国産をもつてやるつもりであります。又我々がやつておりますものは当委員会に申上げましたようにFM方式でありますが、正力さんが曾つてテレビジヨン中継をも併せてやろうとせられたものがPM方式でありまして、PM方式につきましては、日本の製造会社においてもかなり前から研究を進めており、且つ生産に入つております。現在PM方式を生産し得る会社は少くも五社乃至六社ございまして、そしてこれを電力会社が多く使用しております。又その使用した区間も十数カ所にも上つておりますので、若しPM方式を正力さんが提案せられておるとするならば、これは決して欧米のものに劣らないものが現在において生産されているということを申上げ得ると思うのです。
  36. 山田節男

    山田節男君 まあ技術的面においては、今梶井総裁も御承認があつておられますが、この大阪—東京間のマイクロ・ウエーブを電電公社が開設いたします前に、日本放送協会がテレビジヨンの中継のために協会みずからマイクロ・ウエーブの中継を実施しておつた。併し先ほど申上げました将来のマイクロ・ウエーブの中継というものの重要性に鑑みまして、これは少くとも公共企業体がやるべきものだというようなことで、電電公社がこれの開設に準備いたしまして完成すると同時に、この施設が二重になりますので、日本放送協会のマイクロ・ウエーブの中継の施設はこれを撤廃せしめて、電電公社のマイクロ・ウエーブを専用する、こういうことにそれはなつておるわけであります。聞くところによれば、電電公社とても五カ年計画をもつて少くとも今問題になつておりまする北海道の札幌—東京間は昭和三十年度内においてはこれを完成せしむるという計画を立て着々と現在もうその建設に着手しているということ、そういうことの情勢から考えまして、又防衛通信の性質から考えまして、私は当分防衛庁としてみずから経営するマイクロ・ウエーブの中継ができ得ないとすれば、これはやはり今の日本放送協会の例によりましても、又その性質から考えましても、当然やはりこういう公衆通信のマイクロ・ウエーブの一つ二つのチャンネルをお使いになれば間に合うと思うのです。間に合わなければこれはやはり防衛庁自体がやはり考える。御承知のように今東京—札幌間は、駐留軍もこのマイクロ・ウエーブの中継を建設しつつあります。で、これは日米安全保障条約の建前からいたしまして、日本の防衛に関しましては、日米の間においては私は統帥事項についてもあの安全保障条約の条約におきましてこれは秘密はあり得ないと存じます。でありまするから、そういうようにもうすでに二つのマイクロ・ウエーブの中継施設の開設の準備が行われておるわけです。そこに法的には我々立法者からいつて、この法律の立法に携つた者として問題にならないものがここに話題になるということは、我々として誠に意外なんです。でありますから少くとも当面の責任者の木村長官とされましては、こういうものは問題にならない。これは塚田大臣の法的見解が、これが正式な政府の解釈、行政府当局の解釈であるかどうかということは私存じませんが、又その解釈の意見も書面としまして私どもまだ拝見いたしませんけれども、少くとも国会がそういう法律を作り、作つたものの考えが更に拡張して政治的な解釈をつけるということは、これは我々立法者としてもう座視するわけには行かないのであります。こういう点から一つ木村長官におかれては、そういうような話、又正式にこの申請書類は政府に出されていないというようなことを解了しております。そういうようなことであれば、このことの重大性から考えまして、大臣におかれてはやはり法に従い、又防衛通信という、将来これはもう非常に重大な問題だけに独立の中継機関を持ちたいということが、これは将来の今長官としてきめておかれる根本方針ではないかと思いますので、この点について一つ大臣先ほどお話なつた御意見、これは私はわかるのでありますけれども、今私が申上げましたような事情おわかり下されば、こういう問題は一応もう問題にならないという御見解をお持ちになり得るかどうか、この点を一つお聞きいたしたい。
  37. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 山田委員お話よく私は了解できるのであります。で、先刻私が申上げましたように、防衛庁といたしましては、一日も早く全国的のマイクロ・ウエーブを持ちたい。そこで正力君とのこれは非公式の話でありますが、私に話した筋道からいうと、私の非常に魅力を感じた点は二つある。一つは、二カ年でやる。極めて短時日であること。もう一つは、こればでき上つた上においては、これを防衛庁において保管さしてよろしい。まあ機密保持その他の点から見て、これは我々としては自分の手に置してこれを保管するということは望ましいことである。この点が私が非常に魅力を感じた点であります。併し法律的の解釈はこれは私は何とも言えません。自分のほうでもまだ研究したわけではありません。進めばこの点について深く解釈的の判断を下したいと思います。これは一に郵政省の管轄に属する。只今のところではやはり言うべき筋合いではないと、こう考えております。
  38. 山田節男

    山田節男君 常常に魅力を感ぜられた一つの点が、防衛庁によつてそういう施設を保管し得るということだということをおつしやいますが、少くとも民間がそういつたようなものに対する施設を開設するということになれば、これは相当の資本が要るわけです。これをただで保管させるわけはない。勿論これに対しては使用料の、レンドというものが出て来ます。レンドを払うということになればこれは貸与する。これは公衆通信法の第二条によりまして、公衆通信の役務、それを貸与するということはすでに公衆通信の役務であるということを我々はここできめている。だからこれはできないわけです。ですからやはり非常に魅力を感ぜられたと。それは話としての魅力は私は十分わかるのでありますが、いざ大臣としてこれを正式の話として申請されて認可するかどうか、免許するかどうかということにつきましては、そういうことがあるのでありますから、そういうことがあるのに大臣がこれは非常に魅力的なものだというお考えをお持ちだと、そこに我々のいろいろ危惧するような問題が起きて来るわけです。そこは大臣として木村長官としては、一つはつきりとした態度をお示しにならぬと、私はこれは何といいますか、今日の殊に政局の不安定の折柄、私は木村長官の御人格なり御識見なりといつものを尊重、尊敬いたしまするが故に申上げる。こういうようなことで根本的な法律の建前が失われておるんじやないかという実は危惧の念を持つわけであります。どうかこういう点ほ一つ郵政大臣とも相談下すつて、要らぬ心配を抱かせないように御注意を願いたいと思います。  なお私は塚田大臣に重ねてお伺いいたしますが、過日の電波法の第四条、公衆電気通信法の第二条、並びに電波法の第四条に対する範囲と申しますか、第四条の解釈の政令というものに対する見解が我々と多少違つておつたんでありますが、今木村国務大臣お話から見ても、これは郵政大臣は重大な責任を持つておられると思うのです。  我々立法者の立場から、一つ法の拡張解釈ということも私は限度があると思う。少くとも将来のマイクロ・ウエーブという重大な、今後改革さるべき、単に電気通信という立場のみならず、このマイクロ・ウエーブというものは国民の問題であり、政府がこれを国民に代つて分配する、割当てるという根本的な建前があるのでありますから、一つこの点は十分私は厳重な、公平な又法に従う立場におきまして、只今の木村国務大臣のお考えをお聞きになると共に、私は将来過ちのないように確固たる態度を一つとられんことを希望いたします。それで過日この法的解釈につきましては、政府政府としての解釈方法があるのだというようなことを私はお伺いしたと思うのでありますが、この政府のお考えを文書によつて至急我々にお示し下さることを私は重ねてこの席よりお願い申上げておきます。
  39. 久保等

    久保等君 木村防衛庁長官にお尋ねしたいのですが、只今の極めて簡単なお話を伺いますと、果して長官がどの程度今日の通信日本国内における実態があるのか、それから又今後の通信政策というものがどうあるべきかというような基本的な問題についてどういうお考えを持つておるのか、ちよつと先ほどの御説明では理解しにくいのですが、長官は特に只今マイクロ・ウエーブの問題については、早急にこれを全国的に施設をしたいのだと、又そういう今日現状にあるのだと言われて、正力氏の話では二カ年程度あればそういつた施設ができるのだというようなところに非常に魅力を感ぜられたと言われるのですが、防衛通信の問題について、それならば当然何か具体的な計画をお持ちだと思うのですが、又今日の自衛隊の現状から考えて、通信といつてもただやたらにできるだけ大規模な、且つ又非常に便利な通信施設を持ちたいのだということは観念的にはどなたも希望することだと思うのですが、やはり今日の自衛隊の実態に即したような通信ということを当然念頭におかれてのお話だと私は思うのですが、今日の電信電話にしても、通信施設全般が政府関係機関である公社によつて、一元的に又独占的に運営せられておることは御承知通りでありますし、当然通信日本の国内における問題は、小さな島国の日本の国内の通信施設ということになつて来れば、いろいろ技術上の問題についても相当慎重に検討しなければ、通信運営上の問題についていろいろ妨害をし合うというような問題も電波の場合においては殊更にそういつた問題があるのであります。ですからそういつたような問題についても、今日公社で経営せられている通信というものの実情はどうなつておるのかというようなことについても十分に検討せられておると私は思うのです。而も長官の今日の課題は、早急に全国的なマイクロ・ウエーブを持ちたいのだということが一つの結論的な御希望だとするならば、私はそういつた問題について具体的にどういつたような検討がなされ、而もマイクロ・ウエーブの問題については、防衛通信としては是非この程度のものを何年以内に持ちたいのだというような計画を当然お持ちになつておるのじやないかと思うのです。従つてそういつた点についての計画がおありならばお聞かせ願いたいのですが、ただできるだけ早く何でも便利なものがつけばいいんだから、方法と手段は何か無条件で提供してくれるというようなものがあるならば、それは民間だろうと、或いは外国からの資本を入れてのものでも、何でもかまわないという気持ではまさか防衛庁長官のお考えではないと思つておりますが、一体御希望されておるマイクロ・ウエーブの施設といろものがどういつた程度のもので、又どういつた程度のものをどの程度の期間内には是非必要だというふうにお考えになつておるのか、その点一つお伺いをしてみたいと思います。
  40. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 私は技術上の詳細な点についてはまだ自分としては研究しておりません。素人でありますから申上げることはできません。併し大体論として防衛庁自体が、御承知通り部隊が全国的に散らばつておるのであります。この間において十分なる通信設備を持つということは、これは望ましいことであります。現に災害の派遣等について、早急に中央部と地方の部隊との間に連絡をとる、今御承知通りその通信も不十分な状態にあります。これがマイクロ・ウエーブによる全国的なものであれば一貫的に通信がとれるわけであります。かたがた非常に便利であると同時に、将来このGMの研究を進めますると、どうしても全国的なマイクロ・ウエーブによらざるを得ないのであります。通信の点から見、又現実の日本の防衛のあり方から考えてみて、早急に全国的のマイクロ・ウエーブを持ちたいという考えを持つております。併しこれを何年計画で防衛庁が今立案しておるかということは、その立案の程度までは行つておりません、率直に申上げます。ただ私といたしましては、そういう観点からして一日も早く全国的にマイクロ・ウエーブを持ちたいという希望を持つておるのであります。併しこれも予算面から見てそういうようなことは現実的に不可能であります。従つて今正力君が言うような話が出れば、それを十分検討してやつてみたいという、これは私としての希望に過ぎないのであります。この計画がどうなつておるかということについては、詳細なことは私はまだ存じおらないのであります。併し今お話の外国の資本云々ということでありまするが、私は率直に言うと、外国の資本が入つても、いいものが日本でできればこれは差支えないと思います。これは私の率直な意見です。併しそれはどういう工合にして使うかということについて問題がある。日本の技術が今梶井総裁の言われるように、十分日本でできるにかかわらず、アメリカの技術を持つて来るということであれば、これは問題でありましよう。我々といたしましては、日本の技術の向上の点から見て、日本でできるものなら日本のものを使わなくちやならぬ、これは当然のことであると思います。正力案が果してどうであるかということについては、私はまだ検討を加えていませんから何とも申上げることはできません。日本でできるむのなら日本で作る、これは当然のことであろうと、そう私は考えております。
  41. 久保等

    久保等君 差当り防衛庁として必要なことは、どの程度の必要性に基いて、どの程度通信施設が必要なのかという問題を、当面直ちに解決しなければならぬと思います。そういうような問題については、特に日本の場合ですと、電電公社というものが現実に施設を持ち、又公衆通信運営に当つておるわけですが、こういう問題に対しても私は直ちに今年なら今年、明年なら明年、これらの通信施設に対する一体防衛庁の考えておる要請に沿つて協力してもらえるかどうかというようなことについて具体案を持つて公社当局なり郵政大臣なり、そういう政府部内において十分な連絡をとり、十分にそういう具体案についての検討を加えておられるのかどうか、私その点伺つてみたいと思います。
  42. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 差当つて我々といたしましては、三十年度に少くとも北海道と東京の間にマイクロ・ウエーブの施設を利用いたしたい、そう考えているのです。現在においてはこれは有線と無線短波と両用しておりますが、これは回線の数が少く、不便甚だしい。差当つて三十年度予算について、我々は電電公社のマイクロ・ウエーブを利用してやろう、こう考えておるわけであります。
  43. 久保等

    久保等君 三十年度明年度の東京と北海道との間の問題は、これは公社当局のほうで施設をやつてもらう。又そういうことでマイクロ・ウエーブの利用をしたいというような計画をお持ちのようで、具体的にすでにそのことはやつておられるということなんだろうと思うのですが、更に全国的な問題についても、どのような規模でどういうような内容のものかというようなことについては如何ですか。
  44. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 私自体といたしましては、まだ研究いたしておりません。
  45. 久保等

    久保等君 それは防衛庁が検討しておらないということですか。どういうことですか。長官個人という意味ですか。
  46. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) そうです。個人としてはまだそこまで進んでおりません。
  47. 久保等

    久保等君 先ほどの御説明等を伺つて私ちよつと感ぜられることは、なるほど防衛庁としての要望なり、需要に対して、これを充たしてくれる何らかの施設が提供せられるならば、これは防衛庁としては直ちにでも必要なんだという気持は一応私もわからないでもないのですが、やはり通信施設というような問題になつて参りますると、これが若し個人の形で提供せられたというような施設でありますといたしますならば、やはり貸借関係は、所有権は当然提供せられたほうが持つておられると思うのですが、先ほど言われた言葉で言うと、管理を任せる、運営の面については無条件に全面的に任ぜるということになると私は思うのです。やはりその間いろいろ貸借関係の問題についても今後に問題を残すだろうと思うのです。同時に幾ら個人が提供するといつても、国家的に見た場合には、施設のロスといいますか、経済的に見て非常に不経済な問題も出て来ると思います。簡単な施設でなくて全国的に厖大な施設というようなことになつて来るならば、いろいろそういう資金の導入の仕方がどうであろうとこうであろうと、とにかくそういうものを提供してくれさえすればそういつたものはどんどん提供してもらつて防衛通信に利用してみるという考え方は、私は大きな大局的な見地からするならば、相当検討しなければならぬ問題だと思います。二重施設になつてみたり、或いは防衛庁としてはおれのほうは必要なくなつたらいつでも返す。若しおかしな条件つけられるようならば返すと言われるかも知れませんが、私はそれでは済まされない。国家的に見た場合には、通信施設の無駄な施設を作つてしまつたような結果になるとするならば、これは非常に大きな問題だと思います。而も通信施設というものが一元的に公社によつて施設せられ、或いは運営せられるという建前をとつている以上、如何に防衛通信という立場からの必要によりといつても、やはりそういう一元的な施設の無駄のない、或いは技術的にあとに問題を残さない、或いは又財政的な問題等についても、これは当然防衛庁というものは、防衛庁の立場だけで考慮せられる問題でないと思う。やはり財政的な問題、経済的な問題については国家経済の立場から検討して行かなければならぬだろうと思う。而も後にいろいろ権利関係の問題についてもあとに尾を引くという疑念が持たれるような問題について、長官があまり内容の具体的な検討をされ、その上で、結論が出されない前において、何か先ほどのお話だと、原則的に一個人に了解を与えたようなお話をされたことは、いささか軽率の感があると思うのです。もう少し具体的に当面必要とする需要、そういうものも明確にし、而も国内における今日の施設で賄い切れない、或いは又政府関係機関の公社としてもやり切れない事情がある、到底そういつた要望に沿つてもらえないんだというようなことに若し結論がなつたとするならば、その上に立つて、一体それならば日本の今後の通信政策の上からいつて、そういつたことが果して問題がないのかどうか、或いは又日本通信というものは若干でも外国なり或いは個人の意向によつて左右せられてみたり、又支障を来たすようなことが将来において永久にあり得ないかどうかというような問題も、私は十分に慎重に検討せられる必要があると思う。その上に立つてなお且つどうしても窮余の策ではどうにもならないのだということで、最終的な結論として或る程度のものはこういう形で施設をすることもやむを得ないのじやないかというような結論を出されるとするならば、これは順序として私は一応了解できると思う。併し少くとも具体的な内容について、又将来の計画等も十分に作つておられないような状態の中において、而も一個人から言われたということによつて、防衛庁としては全く願つたりかなつたりということで簡単にオーケーといいますか、了解を与えられるというようなことは、非常に軽々に過ぎるのじやないかというふうに考えますし、而も又日本通信の今後のあり方の問題については、私は現行法の法律の規定そのものからいつても、先ほどちよつと山田委員が言つたように問題が一つあると思う。現行法規の上からも問題があると同時に、少くとも大きな制度の上の問題としては、これは何としてでも一民間の個人が施設をする、而もその施設が公社なり防衛庁なりに施設を貸与するというような問題は、現行制度上断じて許すことのできない問題だと思う。そういう問題があるとすると、なお更私は防衛庁長官としては、そういつた法規的な問題、制度上の問題、政策的な問題、こういつたような問題についても十分に検討せられた上で長官としてのイエス、ノーという問題が私は最終的に決定せられなければならぬと思うのです。その問題についていきなり話が個人的に、而もそれこそ非公式にやられたというような場合に、長官として軽々の了解を与えられるというような問題は、私は非常に重大な問題だと思います。従つて新聞等で私もちよつと拝見したのですが、資金の問題については池田幹事長、それから防衛通信の問題については木村長官、或いは塚田郵政大臣、正力松太郎氏、こういつた四者会談が設けられたというようなことも報道せられているのですが、仮に少くとも今日の電気通信の現状というようなものについての仔細な検討なり、今後の通信政策につきましてのあり方について十分な検討がなされずして、そういうところで原則的に、仮に個人の立場であろうとも、非公式な立場でありましようとも、了解を与えたというようなことは、これは非常に容認しがたい問題だと思いますし、そういつた問題について少くとも長官はあまり通信事業の問題等についての現状の把握は、これは所管外でもありましようし、十分な御認識がないのは当然だと思います。併しただ仮に、極めて素朴的な形でありましても、通信というような事業が、昔からよく言われておりますように、丁度人の神経とでも申しまするか、鉄道が動脈であれば通信は神経だとよく言われますが、それだけにやはり通信というものは、国内的には一元的に運営せられて行かないと、一つの身体の中に神経系統が二つも三つも、系統が分れて二つも三つもあるということが如何に大局的に見た場合に、通信運営を阻害するかということは、常識的に考えても判断されることだと思います。ところがこれは日本の今の現行制度の上から言えば、明らかに電電公社がこれを経営して行く、或いは国際的通信については株式会社というようなことで、これは私どもはあり方としては非常におかしいと思うのですが、これはやむを得ないのですが、吉田総理の強い御意向等もあつて、我々は反対したのですが、国際電信電話株式会社というのが先頃、四月頃から発足しているのですが、これ自体についても、私としてはあり方について非常にまずいと判断をしているのですが、いずれにしても今日の制度上では国際通信については国際電信電話株式会社、国内通信については日本電電公社というような形で一元的に運営せられているわけですから、そこにもつて来て全然資本を個人の形で出されて、個人の金とはいつても、而もそれが実は外国から資金を仰いで持つて来るのだ、そうするならば、普通の常識から判断するならばどういう意図でそういう個人の方は外部から資金を持つて来て、それこそ献身的なというか、自分の犠牲において、どういうお気持でやられるのか、この意図は私どももちよつと理解しにくいのです。少くとも国家のためになることだからやるのだと言われればそうかも知れませんが、何かそこに割切れない、相当大きな希望を持つているのではないか、悪く言えば野心を持つているのではないかという気がいたすのであります。而もこの問題は初めからいきなり防衛通信の問題を考えられたというよりも、昨年あたりのいきさつを見ますと、日本の国内の公衆電気通信の施設そのものを、是非施設を作つて提供しようという意図で出発いたしたようですが、この問題がなかなかうまく行かなかつたということからかどうか知りませんけれども、今度は長官のほうに話を持つて行つたようなことを伺うのですけれども、そういう経過から見ましても、私どもにはどうしても理解できない問題がある。それから世間いろいろと昨年あたりから、誤解の面もあると思いますが、併し誤解の面というよりも、その動きをなされる真意そのものが理解しにくいのです。そこで長官としては、飽くまでも厳正な立場、而も日本の国家的な立場から立つて、将来の日本通信事業通信政策の問題について真剣にお考えを願わなければならぬ問題じやないか。従つて軽々に一日でも二日でも早いほうがいい、それから我々の要望に対して沿つてもらえるなら結構じやないかという問題だけでは解決しない、あとに禍根を残すところが非常に多い、通信事業であればあるほど。而も一旦作られた施設は防衛通信で要らなくなつたら、契約を解除して使わないと言えばそれつ切りではないかということでは済まされない。従つてそういう根本的な問題について十分検討を加えて頂かなければならぬと思うのですが、先ほどいきなり何か、何回お会いになつてお話を聞かれたのか知りませんけれども、原則的な了解を与えられたというようなお話を聞くことについては、当電通委員会といたしましても、非常にまあむしろ長官のその言明からして非常に私ども驚くような次第なんでして、少くとも通信政策の今後の問題については、十分なる連絡を私は郵政当局或いは電電公社と、特に技術的な問題或いは現状等の問題については十分な打合せをして頂いて、日本の国内における通信施設が、而も政府関係機関によつてつておられる施設が若干でもダブつて施設をされるとか、而も作つてみたら防衛通信と国内の公衆通信とが非常に妨害し合つて運営に非常に困るのだ、支障を来たすのだという問題があるとすれば、これは非常に由々しい問題だと思う。そのときになつて実は初めは比較的簡単だと思つてし、非常に無条件で貸してやるという話だつたので始めてみたところが支障が出て来たということで、話がどうもうまく行かなくなつたということでは、私はお互いの不幸だと思うし、単にお互いの不幸ということだけではなく、日本全体のためにとつて私は非常に大きな、而も拭うことのできない悪結果をもたらすと思う。そういう点について、特に正力さんが昨年あたりからいろいろとマイクロ・ウエーブの問題を自分として施設したいということについて、電電公社当局あたりに対しても折衝されたという事実もあつたようですが、そういつたような今までの経過について長官は御存じないのですか、どうですか。
  48. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 正力君が電電公社にどういう交渉をしたということ、そういうことは少しも存じません。ただ私の考えは先ほど申した通りであります。併しお話通り、これは一防衛庁だけの問題でありません。すべての問題はこれは国家的な見地から最大の考慮を払つてやるべきものと考えております。それらの点については将来我々は十分検討して行きたいと考えております。
  49. 久保等

    久保等君 それからその正力さんの作るというマイクロ・ウエーブを、作つたあとは防衛庁にその保管をお願いするということだというのですが、当然そうすればそのマイクロ・ウエーブの施設等についての一切の保守といいますか、技術屋さんの施設に対する保存、維持というようなことも一切挙げて防衛庁のほうでやつてもらうんだ、要するに施設だけ作つて人間のほうは全然、勿論出来上つてしまえばこの手を引いてしまつてそうしてあとの運営運営は勿論のことですが、施設の保守等についても防衛庁に全部やつてもらうんだというようなお話としてお聞きになつたのでしようか、どうなのでしようか。
  50. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 実は正力君の話は漠然たる話なんです。まだそういう細目の点については何らの話もしておりません。無論具体的の話になればそういう点まで突込んで話さなくちやならぬと思つておりますが、現段階においてはそこまで行つておりません。
  51. 久保等

    久保等君 そういたしまするとマイクロ・ウエーブの、もう施設された後における私はやはり保守上の人員の問題についても、これはやはり相当の問題だと思うのですよ。ただ併し作つてしまえばあとは素人でも誰でもが運用できるのだというような施設であるならば私は比較的簡単だと思うのです。ところがいざ通信の保守から運営、すべて防衛庁でやるというようなことになつて来るならば、而も先ほど言われたような全国的なマイクロ・ウエーブを二カ年程度でやつてくれるのだ、非常に短期間でやつてくれるのだということで非常にうまい話だから、何とかできれば一つ話に乗つてみたいという考え方を持たれるとするならば、私は当然そういつたマイクロ・ウエーブの施設された後における保守なり運用なりについての人員の問題等もあると思う。ところがこの人員の問題にいたしましても、そう一朝一夕に防衛庁に通信関係の優秀なエンジニアーから、或いは運用者がいるとも私には思えない。だからそういうような問題になつて来るならば、当然現在の日本の国内におけるやはり公社あたりのエンジニアーなり、或いは従業員というような問題等も考慮せられて来ると思うのです。そういうことになつて来るならば、当然そういつた公社との十分なる連絡なりそれから又公社当局、郵政当局の考え方というものを中心にしてやはり通信事業についての基本的な将来の対策というものを立てなければならぬ。そういうものを一切抜きにしまして、全くの局外者から、而も一個人の人からの口だけによつて、その問題について総括的な而も最終的な何か了解を与えられるというような言動をとられることは、非常に私は軽挙に過ぎるのじやないかという印象を強く持つのです。従つて私が今申上げることは、飽くまでも今後の将来の日本通信政策という問題を国家的な、大局的な立場から考えて非常に憂慮するから、長官に耳の痛いような非常にざつくばらんのお話を申上げたのですが、そういうような点についても、私はその話も長官ができるだけ早い機会に日本防衛通信整備したいのだ、拡充して行きたいのだという程度の話ならこれはわかるのです。ところが二年間にできるから、それに非常に魅力を持つたのだということになつて来るとすれば、もう防衛庁としては非常にはつきりした通信の将来のあり方について、又内容の具体的な問題について計画をお持ちになつてつて、而もこれをどうもあつちこつち折衝をして当つてみたけれども、どうにもならない。従つて万やむなく、できれば一つ民間ででもやつてくれる人があるならば結構じやないか、お願いしようじやないかというような段階になつてつて、先ほどのようなお話があるとするならば、これは一応内容のいい悪いは別としても、順序としては一応理解できる面もあると思うのです。ところがそういう面についてはまだこれから十分に検討して行かなければならぬのだというようなことであつてみるならば、二年間のところに魅力があつたということ、或いは又その防衛庁で何といいますか、独占的に運営ができるのだ、保管ができるのだというところに魅力があつたという魅力の感じ方というものは非常に何か私は雑駁な、第一印象がよかつたからという程度の立場で長官がオーケー、オーケーというか、納得せられるようなことを言われることは、非常に何か杜撰な印象を受けるわけです。従つて先ほど来申上げておりますのは、飽くまでも私はやはり日本の国内的の、経済的にいいましても、技術的にいつても、それから資金的にいつても、あらゆる面において不自由をしておることはあると思うのです。従つて防衛通信に関するだけは自衛隊のほうも思つたよりなかなか拡充ができないという状態の中にあつて通信はともかく、できればまあどういう、手段方法を選ばず早く完備したいのだということでは、やはり自衛隊そのものとの関連性においても私は一考を要する問題があるのではないかというような気がいたすわけです。ましてや日本の国内における通信事業の問題について、昔からやかましく当委員会でも申しているのですけれども、併しなかなかうまく行かないのですが、併しうまく行かないにいたしましても、私は日本の国内の通信で賄い切れる技術、資材、そういつたことも十分に活用して行くことはこれは当然だと思うのです。そういつた点についての現状に対する検討というものが殆んどなされていないような印象を受けるのですが、是非一つ私はそういう当面の問題についての具体的な検討を早急におやり願う必要があるのではないかというように考えるわけです。特に外国からの資本を入れ、個人の施設を防衛通信に提供してやつてもらつて行くのだという問題については、現行制度上は許せない問題だと思いますし、又現行制度上のみならず、将来のあり方としても私は正しくないと思うのです。郵政大臣もここにおいでになりますが、先般の郵政大臣の御説明でも郵政大臣は電波法の法律解釈については私どもと意見が若干異なつておるのであります。その点については私ども郵政大臣にも検討つて、確かなところを伺つてお聞きしたいと思つているのですが、それでも先般の郵政大臣お話では政策的に、言葉はこういう言葉を使つておりませんけれども、政策的には自分としてもそういう個人で提供せられる施設を防衛庁で使つて行くということについては、全般的に賛成だとか、或いは納得したという御答弁になつていないので、政策的に検討する問題があるのではないかということ、その問題についてはそうお考えになつておるならば、正力松太郎氏の具体的な案をお出しになつたらどうですかという程度の返答をしておいたというお話だつた。法律解釈の問題については、郵政大臣と我々と違つているけれども、郵政大臣通信政策という問題については、やはりその問題についで軽々にオーケーなり納得するということはできないというような心境であるような御説明を私伺つているのですが、まあそういうような点もございますし、通信政策の問題については、事極めて私は重大だと思います。これは日本が曾つての戦争中における満洲国との関係を前例にとつて考えてみましても、又或いは日本がやつと明治初年に開国後において通信という問題で如何に長い間苦汁をなめたか、即ちまあ台湾とそれから九州の間の海底ケーブルの問題について長い間のそれこそ先人が苦労をなめて何とか通信だけは独立した形にしたいということで努力せられたという長い経験があるわけです。私は、従つてそういう意味からも外国資本を入れて通信の施設を国家が使用するというような問題については、非常に慎重な検討がなされなければならないと思う。これはもら資本の一千万ドルや二千万ドル程度、私はアメリカ側にしてもそれを日本に貸す、而も貸した資金が有効なそういう公共施設に使われるというようなことであるならば、これくらい確実な貸し方というものはないと思う。従つてそういうことについては、私はむしろ向う側にしてみれば積極的な協力をするだろうと思うのだけれども、仮にそういうふうに積極的に協力をするということであつても、我々の立場からは、日本の国の立場からは十分な検討がなされなければならぬというふうに考えるわけです。従つてそういう点について、まあ私の申上げることが長官に御納得願えるかどうか、基本的な問題でありますだけに長官の一つお気持を伺つておきたいと思います。
  52. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 先刻申上げました通り、この通信という問題は、一防衛庁だけの問題ではないのです。これはよくわかります。ただ私の申したのは、防衛庁自体においても早急にこのマイクロ・ウエイブを持ちたい、この信念においては私は変りはありません。併し事はこれは重大問題であります。外国資本との関係、外国技術との関係、その他諸般の事情から十分検討を要する問題であります。正力案については、我々まだ具体的の話には少しも入つていないのであります。たださつき申上げた点から、私は一応我々としては望ましいということを申上げただけのことでありまして、詳細にこれはいよいよ問題になれば十分に検討いたしたいと、こう考えております。
  53. 左藤義詮

    左藤義詮君 只今お話にもあつておりまして、特に非常に久保委員雄弁でありますので、立ち入つたことでありますので、長官その質問の要点をおつかみになりにくいというか、お言葉の中に私は食い違いがあつちやいかぬと思いますのでお伺いしておきたいのですが、只今久保委員の御質問を伺つておりますと、長官はもうすでに正力氏にオーケーを与えられたか、了解されたかというような意味の御質問でありますが、それに対して長官は非常に魅力があるからこの話をしてみようという気持になつただけだ、要するにそこに食い違いがあるようですが、その点久保委員の御質問のごとくにすでにもう了解が与えられたとか、そのことについてもう内話ができておるということでありますと非常にこの点話が間違つて来ると思いますので、その点は一つ特にはつきりしておいて頂きたいと思います。
  54. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 了解を与えるとかどうとか、そんな問題では私はないと思つております。これは一防衛庁長官がそういう了解を直ちに与えるということはあり得ないと思います。無論やれば庁議にかけてやるという問題で、これは私との間の私的の話であります。従いまして今私が申上げたのは、木村個人で正力君と話合つて私は魅力を感じたということであるのであります。
  55. 左藤義詮

    左藤義詮君 只今の点が、久保委員の御質問が非常に立ち入つてもらすでに話ができたようなふうの当委員会の問答で印象を与えますと、報道機関等に非常に私は影響を与えると思いますので、ちよつと心配しましたのでお伺いしたのでありますが、只今の魅力を感じられたということの中に、二カ年でまあできる、而も防衛庁としてはどれくらいのものがほしいかということは、まだ十分に長官自身も庁議でも決定していらつしやらないというところに問題があると思うのですが、二カ年で今お話になつている正力案というのはどれくらいの範囲までカバーできるものか、これに対して電電公社の当局といたしましては、今防衛庁が希望しておられるような、正力案で考えておられるような二カ年間に果して技術なり資本なりが手に入りましようか。私どもとしてもやはり外国資本としては問題がありますので、公社の案と正力案と二つ並べてみて十分比較してどうしても会社案ではいけないというのであるならば又別問題であります。その点正力さんと非常に長官が意気相投合したというか、個人的に話したということは非常に結構でありますが、それに対して公社としても十分折衝をしておられるかどうか、又公社としてもそれに対する案をお出しになつておられるかどうか、その点を一つ私ははつきりしておきたいと思います。
  56. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 公社とはそこまで話合いをする段階に至つておりません。
  57. 左藤義詮

    左藤義詮君 そうしますと大体今正力さんと二年間ということなり、或いは保管のほうがいいということで非常に話がお進みになつておる。その話と相並んで、私は何もこれだけに限ることじやないと思うのですが、それと相並んで保管の問題については、公社はどういうふうに考えるかというようなことについて、両方並べて十分検討なさる御意思があるかどうか。
  58. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 無論これは具体的な話になれば、公社との間にその間の話合いはするつもりでおります。
  59. 左藤義詮

    左藤義詮君 公社が前垂れかけと言われるのですが、私ども見ておるとまだ商売が下手だといいますか、こういうような非常に大きなアメリカ資本を持ち、又非常に国家的な考えからこの問題を正力さんが長官に質されたということを開かれたら、公社としてじつとしておれないはずなんです。相当積極的に我々のほうとしても、法律の問題は別にいたしますが、又法律の上に安心しておつて公社はいかぬと思うのですが、我々これだけ技術を持ち、すでに札幌にも…二年で正力さんがおやりになるというのはその範囲はどれくらいか、こういう点について公社のほうが勉強して積極的に長官のところに売込みに行つておるかどうか、どうもこの点公社がぼんやりしておるので、こういうふうにこんがらがつて来ると思うのですが、総裁お話を伺つておきたいと思います。
  60. 梶井剛

    説明員梶井剛君) 甚だ商売気がないというお叱りを受けて恐縮します。併し私どもはマイクロ・ウエーブの計画をいたしますと同時に、将来日本の防衛に対してこのマイクロ・ウエーブが必ず必要であると我々は感じておりまして、従つて昨年、月を正確には覚えておらないのですが、九月だと思いますが、木村長官のところへお伺いいたしまして、私どものマイクロ・ウエーブの計画についてお話を申上げました。と同時に私どもは、日本の防衛というものは国家として非常に重要なんでありますから、我々でできますことならば如何なることでも御協力申上げます、具体的に申しますれば、我々が作りましたマイクロ・ウエーブの設備を防衛庁がお使いになることに対しても我々は協力いたします、又防衛庁が単独にマイクロ・ウエーブをお持ちになるという場合におきましては、我々のほうが力を合せまして建設、保守等についても御協力いたしますということを申入れました。このことにつきましては、当時木村長官は、非常にそれは好意的な申入れで、併しまだ具体的な案が自分のところにできておるわけでもない、従つて今後具体的な案をどうしても作る必要があるのであるから、公社の職員と防衛庁の幕僚との間において打合せをできるだけしてもらいたい。従つてそのことは私は公社へ帰りましてすぐ当事者に申しまして、その後防衛庁とは絶えず連絡を保つて御相談に応じておるはずであります。又防衛庁がどういう具体的な案を持つておられるかということにつきましては、まだ全面的にわかつておらないのであります。今長官が仰せられたように東京から東北並びに札幌方面に対して優先的にやらなくちやならぬというお話に対して、多少計画を伺つておるに過ぎないのであります。日本全国に対する計画については、まだ何も伺つておりません。その場合に我我としましては、防衛庁の必要とせられますところの回線は幾ばくであるか、又それに対してはどういうふうに公社の設備を御利用になつたらいいであろうか、又防衛庁としては特殊の目的がありますから、公社の設備をもつて充てることができないものもあります。そういうものに対しては、単独に作らなくちやならない、そういうものに対してはどういうふうな施設をやり、どれほどの経費がかかるであろうということについて御協力を申上げているわけであります。従つてこの正力さんの問題が最近に起りましたことは、我々も極めて最近聞いたわけでありまして、前々からすでに長官には申上げてもあり、又幕僚の方々と我々の職員とも絶えず打合せをしておるのでありますから、あえてこの問題が起きてから慌てて急に売込みをする必要も何もなかつたわけでありまして、その点御了承願います。
  61. 左藤義詮

    左藤義詮君 お話伺いますと、相当公社としても勉強をしておられて、防衛庁と連絡をとつておられた。ところが今長官のほうからおつしやいましたが、魅力がある新しい美人ができてそのほうと話が進んでいる。(笑声)まあ併し私は真に防衛の目的にかない、又国の経済にも損害を与えない、又一方私どもの立場としては、将来の日本通信全体の有機的な無駄のない運用というようなことを一つよく私は長官が頭に置かれて、公社のほうとも、今正力さんのほうはこういう案があるのだが、お前のほうはできるかできないか、期限の問題はいつになるということは十分研究されたいと思います。先ほど久保委員の御質問が非常に雄弁でありましたために、一般に私はもう何か長官が一方の美人のほうと話がきまつてしまつておるのだというような印象を与えられては困るので、長官の意図はそこにないというふうに感ずるのですが、長官がそこまで深入りしていたいとすれば、十分公社のほうと連絡をとり、公社のほうが先口なんでありますから、そういう点十分私ははつきりして頂きたい。今申上げましたいろいろの方面から検討されて……、まだ実は時間がありますと総務局長その他のお話を伺うといいと思いますが、何か長官が個人的に御折衝になつて、もうすでに今日の問答ですと話が相当きまつてしまつておるというようなことになりますと、私どもとしてもいろいろ問題があると思いますので、公社のほうとも十分御連絡をおとりになつて、過ちのないように十分慎重に一つお願いしたいと思います。今後法律の問題等もございますので、法律の問題はこれはもうどうにでもなるといえば、昔の黙れと言つて旧軍人が法律の上にやつたというようなことは決して防衛庁なさらぬと信じますけれども、そういう印象を与えぬように、その点十分一つ慎重にこの問題をお扱い願いたい、かように思います。
  62. 山田節男

    山田節男君 これは塚田郵政大臣大分時間の無理をしておいで願つて最初から伺つておるのですが、ほかに委員から御質問がなければ、私ちよつと速記をとめて頂いて、この問題をどうするかということを御協議願つてもいいのじやないかと思うのですが、大分塚田大臣もおいでになつている時間が超過しているようですから、どうでしようか、ほかに御質問のある委員があれば成るべく簡単に願いたいと思います。
  63. 久保等

    久保等君 なお尻切れとんぼの質問でもちよつと困ると思いまして、もう一つ二つつてみたいと思うのですが、二年間でやられる構想はどの程度資金を使つて、新聞等では一千万ドルというようなことが言われているのですが、果してそういうお話が先般お会いになつた際に出たのかどうか。それから大体これはどの程度の施設を二年間にやろうと言われたのか、東京と札幌間だげなのか、札幌間程度なのか、それとも札幌から東京、それから大阪、福岡程度のメイン・ルートといいますか、とにかく循環するマイクロ・ウエーブの施設をやるのだと言われたのか、更にもう少しほかの方面にも、裏日本のほうか、どつかそういつたほうを言われたのか、どの程度の、大ざつぱで結構です。勿論あまり細かいお話が出たとも思いません、どの程度のことをどの程度の金でやる、それを二カ年程度でやると言われたのか、その点をお伺いしておきたい。
  64. 木村篤太郎

    ○国務大臣木村篤太郎君) 御承知通り私もそういう点では素人であります。正力君も素人なんです。殊に正力君がそんな深い話は持つて来たわけじやありません。ただ全国的にメイン・ルートです、これだけは是非やる、こういうことであります。そうして全額の点については立ち入つた話はしませんが、大体六十億ぐらいでできるのじやないかというような話はあつたように記憶しております。さような具体的な問題はまだ何も話はなかつたのであります。
  65. 久保等

    久保等君 最後ですが、そういう程度お話だとすれば、これはまあますますもつてもう少し一つ本当に通信施設の年次計画というようなものを、当然これは防衛庁としてはお立てにならなければならぬと思うのです。そういう計画をやはり公社のほうに示して、公社の能力或いは又資金等の問題も当然出て参りますが、そういつたような問題を私はやはりそういう第三者なり外国資本の問題というようなことでなくして、国内通信との関連性においてどう防衛通信を今後考えて行くかという問題が当面慎重に審議せられなければならない段階だと考えるのです。先ほど来各委員の間からも強い意見が出ておりますが、私は是非そのことを一つ本日の当委員会での……、長官としては気持としてお持ち願いたいというふうに考えます。
  66. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 速記をとめて。    〔速記中止
  67. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) それでは速記を始めて。  大体質疑はこれで打切るものといたしまして、マイクロ・ウエーブの問題につきましては、郵政大臣、防衛庁長官におきまして、十分なる連繋をとられて、慎重に処理されることを本委員会として希望いたす次第であります。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十五分散会