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久保等君 先ほどの御説明等を伺
つて私ちよつと感ぜられることは、なるほど防衛庁としての
要望なり、需要に対して、これを充たしてくれる何らかの施設が提供せられるならば、これは防衛庁としては直ちにでも必要なんだという気持は一応私もわからないでもないのですが、やはり
通信施設というような問題にな
つて参りますると、これが若し個人の形で提供せられたというような施設でありますといたしますならば、やはり貸借
関係は、所有権は当然提供せられたほうが持
つておられると思うのですが、先ほど言われた言葉で言うと、管理を任せる、
運営の面については無条件に全面的に任ぜるということになると私は思うのです。やはりその間いろいろ貸借
関係の問題についても今後に問題を残すだろうと思うのです。同時に
幾ら個人が提供するとい
つても、国家的に見た場合には、施設のロスといいますか、経済的に見て非常に不経済な問題も出て来ると思います。簡単な施設でなくて全国的に厖大な施設というようなことにな
つて来るならば、いろいろそういう
資金の導入の仕方がどうであろうとこうであろうと、とにかくそういうものを提供してくれさえすればそういつたものはどんどん提供してもら
つて防衛通信に利用してみるという
考え方は、私は大きな大局的な見地からするならば、
相当再
検討しなければならぬ問題だと思います。二重施設にな
つてみたり、或いは防衛庁としてはおれのほうは必要なく
なつたらいつでも返す。若しおかしな条件つけられるようならば返すと言われるかも知れませんが、私はそれでは済まされない。国家的に見た場合には、
通信施設の無駄な施設を作
つてしまつたような結果になるとするならば、これは非常に大きな問題だと思います。而も
通信施設というものが一元的に
公社によ
つて施設せられ、或いは
運営せられるという建前をと
つている以上、如何に
防衛通信という立場からの必要によりとい
つても、やはりそういう一元的な施設の無駄のない、或いは技術的にあとに問題を残さない、或いは又財政的な問題等についても、これは当然防衛庁というものは、防衛庁の立場だけで考慮せられる問題でないと思う。やはり財政的な問題、経済的な問題については国家経済の立場から
検討して行かなければならぬだろうと思う。而も後にいろいろ権利
関係の問題についてもあとに尾を引くという疑念が持たれるような問題について、長官があまり内容の具体的な
検討をされ、その上で、結論が出されない前において、何か先ほどの
お話だと、原則的に一個人に了解を与えたような
お話をされたことは、いささか軽率の感があると思うのです。もう少し具体的に当面必要とする需要、そういうものも明確にし、而も国内における今日の施設で賄い切れない、或いは又
政府関係機関の
公社としてもやり切れない事情がある、到底そういつた
要望に沿
つてもらえないんだというようなことに若し結論が
なつたとするならば、その上に立
つて、一体それならば
日本の今後の
通信政策の上からい
つて、そういつたことが果して問題がないのかどうか、或いは又
日本の
通信というものは若干でも外国なり或いは個人の意向によ
つて左右せられてみたり、又支障を来たすようなことが将来において永久にあり得ないかどうかというような問題も、私は十分に慎重に
検討せられる必要があると思う。その上に立
つてなお且つどうしても窮余の策ではどうにもならないのだということで、最終的な結論として或る
程度のものはこういう形で施設をすることもやむを得ないのじやないかというような結論を出されるとするならば、これは順序として私は一応了解できると思う。併し少くとも具体的な内容について、又将来の
計画等も十分に作
つておられないような状態の中において、而も一個人から言われたということによ
つて、防衛庁としては全く願つたりか
なつたりということで簡単にオーケーといいますか、了解を与えられるというようなことは、非常に軽々に過ぎるのじやないかというふうに
考えますし、而も又
日本の
通信の今後のあり方の問題については、私は現行法の
法律の規定そのものからい
つても、先ほどちよつと
山田委員が言つたように問題が
一つあると思う。現行法規の上からも問題があると同時に、少くとも大きな制度の上の問題としては、これは何としてでも一民間の個人が施設をする、而もその施設が
公社なり防衛庁なりに施設を貸与するというような問題は、現行制度上断じて許すことのできない問題だと思う。そういう問題があるとすると、なお更私は防衛庁長官としては、そういつた法規的な問題、制度上の問題、政策的な問題、こういつたような問題についても十分に
検討せられた上で長官としてのイエス、ノーという問題が私は最終的に決定せられなければならぬと思うのです。その問題についていきなり話が個人的に、而もそれこそ非公式にやられたというような場合に、長官として軽々の了解を与えられるというような問題は、私は非常に重大な問題だと思います。
従つて新聞等で私もちよつと拝見したのですが、
資金の問題については池田幹事長、それから
防衛通信の問題については木村長官、或いは塚田
郵政大臣、正力松太郎氏、こういつた四者会談が設けられたというようなことも報道せられているのですが、仮に少くとも今日の電気
通信の現状というようなものについての仔細な
検討なり、今後の
通信政策につきましてのあり方について十分な
検討がなされずして、そういうところで原則的に、仮に個人の立場であろうとも、非公式な立場でありましようとも、了解を与えたというようなことは、これは非常に容認しがたい問題だと思いますし、そういつた問題について少くとも長官はあまり
通信事業の問題等についての現状の把握は、これは所管外でもありましようし、十分な御認識がないのは当然だと思います。併しただ仮に、極めて素朴的な形でありましても、
通信というような
事業が、昔からよく言われておりますように、丁度人の神経とでも申しまするか、鉄道が動脈であれば
通信は神経だとよく言われますが、それだけにやはり
通信というものは、国内的には一元的に
運営せられて行かないと、
一つの身体の中に神経系統が
二つも三つも、系統が分れて
二つも三つもあるということが如何に大局的に見た場合に、
通信の
運営を阻害するかということは、常識的に
考えても判断されることだと思います。ところがこれは
日本の今の現行制度の上から言えば、明らかに
電電公社がこれを経営して行く、或いは国際的
通信については株式会社というようなことで、これは私どもはあり方としては非常におかしいと思うのですが、これはやむを得ないのですが、吉田総理の強い御意向等もあ
つて、我々は反対したのですが、国際
電信電話株式会社というのが先頃、四月頃から発足しているのですが、これ自体についても、私としてはあり方について非常にまずいと判断をしているのですが、いずれにしても今日の制度上では国際
通信については国際
電信電話株式会社、国内
通信については
日本電電公社というような形で一元的に
運営せられているわけですから、そこにも
つて来て全然資本を個人の形で出されて、個人の金とはい
つても、而もそれが実は外国から
資金を仰いで持
つて来るのだ、そうするならば、普通の常識から判断するならばどういう意図でそういう個人の方は外部から
資金を持
つて来て、それこそ献身的なというか、
自分の犠牲において、どういうお気持でやられるのか、この意図は私どももちよつと理解しにくいのです。少くとも国家のためになることだからやるのだと言われればそうかも知れませんが、何かそこに割切れない、
相当大きな希望を持
つているのではないか、悪く言えば野心を持
つているのではないかという気がいたすのであります。而もこの問題は初めからいきなり
防衛通信の問題を
考えられたというよりも、昨年あたりのいきさつを見ますと、
日本の国内の公衆電気
通信の施設そのものを、是非施設を作
つて提供しようという意図で出発いたしたようですが、この問題がなかなかうまく行かなかつたということからかどうか知りませんけれども、今度は長官のほうに話を持
つて行つたようなことを伺うのですけれども、そういう経過から見ましても、私どもにはどうしても理解できない問題がある。それから世間いろいろと昨年あたりから、誤解の面もあると思いますが、併し誤解の面というよりも、その動きをなされる真意そのものが理解しにくいのです。そこで長官としては、飽くまでも厳正な立場、而も
日本の国家的な立場から立
つて、将来の
日本の
通信事業、
通信政策の問題について真剣にお
考えを願わなければならぬ問題じやないか。
従つて軽々に一日でも二日でも早いほうがいい、それから我々の
要望に対して沿
つてもらえるなら結構じやないかという問題だけでは解決しない、あとに禍根を残すところが非常に多い、
通信事業であればあるほど。而も一旦作られた施設は
防衛通信で要らなく
なつたら、契約を解除して使わないと言えばそれつ切りではないかということでは済まされない。
従つてそういう根本的な問題について十分
検討を加えて頂かなければならぬと思うのですが、先ほどいきなり何か、何回お会いにな
つてお話を聞かれたのか知りませんけれども、原則的な了解を与えられたというような
お話を聞くことについては、当電通
委員会といたしましても、非常にまあむしろ長官のその言明からして非常に私ども驚くような次第なんでして、少くとも
通信政策の今後の問題については、十分なる連絡を私は郵政当局或いは
電電公社と、特に技術的な問題或いは現状等の問題については十分な打合せをして頂いて、
日本の国内における
通信施設が、而も
政府関係機関によ
つて持
つておられる施設が若干でもダブ
つて施設をされるとか、而も作
つてみたら
防衛通信と国内の公衆
通信とが非常に妨害し合
つて運営に非常に困るのだ、支障を来たすのだという問題があるとすれば、これは非常に由々しい問題だと思う。そのときにな
つて実は初めは比較的簡単だと思
つてし、非常に無条件で貸してやるという話だ
つたので始めてみたところが支障が出て来たということで、話がどうもうまく行かなく
なつたということでは、私はお互いの不幸だと思うし、単にお互いの不幸ということだけではなく、
日本全体のためにと
つて私は非常に大きな、而も拭うことのできない悪結果をもたらすと思う。そういう点について、特に正力さんが昨年あたりからいろいろとマイクロ・ウエーブの問題を
自分として施設したいということについて、
電電公社当局あたりに対しても折衝されたという事実もあつたようですが、そういつたような今までの経過について長官は御存じないのですか、どうですか。