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1954-10-06 第19回国会 参議院 電気通信委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十月六日(水曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————   委員の異動 九月二十二日委員左藤義詮君及び久保 等君辞任につき、その補欠として古池 信三君及び中田吉雄君を議長において 指名した。 九月二十四日委員池信三君及び中田 吉雄辞任につき、その補欠として左 藤義詮君及び久保等君を議長において 指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     島津 忠彦君    理事            久保  等君    委員            左藤 義詮君            津島 壽一君            新谷寅三郎君            山田 節男君            三浦 義男君            野村吉三郎君   国務大臣    郵 政 大 臣 塚田十一郎君   説明員    郵政省電波監理    局長      長谷 慎一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○理事補欠選任の件 ○電波行政に関する調査の件  (私設無線局に関する件)   —————————————
  2. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 只今より委員会を開会いたします。  先ず理事補欠選挙を行います。  お諮りいたします。理事の互選は、成規の手続を省略いたしまして、委員長が指名いたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 御異議ないようでありまするから、さよう決定いたします。よつて委員長理事久保委員を指名いたします。  なお他一名の理事はおつて指名いたすことにいたします。速記をやめて。    〔速記中止
  4. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 速記を始めて。  先に電波行政に関する調査を議題にいたします。放送関係について御質疑のある方は、本日は大臣もお見えになつておりまするので、御発言を願います。
  5. 山田節男

    山田節男君 これはまあ大臣にお伺いすることじやないのですが、委員長放送法ですが、私のこの前大臣がお見えにならぬので質問を保留した例の私設無線局吸収問題について長谷局長に、事務当局に一応質問をしましたが、大臣に対する質問は保留しておるわけですから、その問題からの質問を許して頂きたい、よろしうございますか。
  6. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) どうぞ。
  7. 山田節男

    山田節男君 過日の電気通信委員会で、郵政当局においても長い間の懸案になつている例の日本電電公社が申出ている私設無線局の吸収問題これについての経過並びに政府方針については、大体のところは長谷電波監理局長からお開きしておるのですが、なお郵政大臣としてこの問題の重要性に鑑みて、政府としての今後とられる御方針一つ率直にお聞きしたいと思うのです。その第一は、日本電電公社から申出ている例の私設無線局の吸収問題、政府がなかなかこの問題に対する態度を決定しないために、いろんな方面に複雑な問題を起しておることは御承知通りであります。そこで政府としては、公衆通信としての電気通信業務は、いわゆる公衆通信としての無線業務日本電電公社にやらしめるという電波法建前から申しても、私はいろいろな意味で、政府がこの際はつきりさせなくちやならぬ態度を要請されているのでないかと思うのです。これに対して先ず根本的な政府態度並びにこれを解決する方法としてどういうことをお考えになつているのか、この点を先ずお伺いしたいと思います。
  8. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この問題は先般省内においていろいろ話合いをいたした結果、一応省内意見をまとめておりましたので、恐らくこの前の機会には局長からそのような趣旨でお答え申上げたと思うのですが、これは原則として電電公社にやらせたい、又やらせるべきであるという基本考え方は勿論でございます。その方針でいるのでありまして、従つて今後新しく許しますにいたしても、私設固定無線局を許しますにいたしましても、公社がやつて然るべきもの、やれるもの、そういうものを許すという考え方はございません。それからして今までに許してあるものがありましても、それが公社にこれを吸収統合することが適当であるというように考えられる段階に到達しているものは、その方針でいるわけであります。ただまあそういう基本方針ではおりますけれども、現在の段階として、なおまだ公社にそういう準備もないし、又公社として恐らくやつて採算に乗らないというような特殊の地域のものなどにつきましては、その限りにおいてそれを暫らく許して行くという方針でやつているわけであります。従つて今後のいろいろなそういう許可申請がありました場合に、これを許す場合には、十分公社当局の意向も聞いて、以上申上げましたような方針従つて考えられるものについてだけ許して行くという考えでございます。
  9. 山田節男

    山田節男君 今の大臣のおつしやつたような、いわゆる整理統合と申しますか、電電公社にやらすべきものはやらせる、併しながら採算のとれない、公社として採算上どうしてもこれをやれないというようなのは、これは私設無線局でやらせるというようなお言葉のように拝聴するのです。そういう方針で……。それでは今問題になつている私設無線局の中で電電公社をしてやらしむるというもの、これが一体どのくらいあるのか、それから公社として今言つたように、これは国家代行機関であつて採算がとれない部面もやるというのが公社使命だと思うのですが、それでは使命を達成し得ないというようなもの、それは私設無線局にやらせざるを得ないというものがどういうものがあるのか、具体的に一つ説明を願いたい。
  10. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) やや専門的なお答えを申上げなければならぬと存じますので、私から最初にお答え申上げたいと思います。電電公社一般通信需要に対して応ずることがなかなかむずかしいと将来においても考えられますものの一つとしては、電力関係の問題がございます。御承知のように電力事業及び電源開発関係の仕事は発電所変電所間に非常にたくさんの通信回線が必要でございますが、これらは一般公衆通信系とは全くその経路等が違いますものですから、こういうものは将来とも電電公社公衆通信施設とは別個の施設従つて私設無線というような形で許可をして行くものの一つ考えられるのでございます。尤も電力事業等の中でも大都市を結ぶものとか、或いは今申上げたような通信経路において、公衆通信経路と合致するような場合もあり得ると思いますが、そういう場合にはお互いにできるだけ施設を共用して、全般的な二重、三重施設を防ぐということは考慮いたさなければなりませんけれども、公衆通信系と必ずしも一致しない場合が相当あるということが一つであります。又そのほかに気象関係、或いは建設省の関係の治水、河川関係、或いは林野庁の関係、そういうものもございまするし、又警察関係のものも必ずしも公衆通信系と一致しない場合等がありますので、今後とも或る程度電公社公衆通信施設が相当需要に応じ得る態勢に至りましても、私設無線というものはあり得る、今申上げたのが一つの例だと存じます。
  11. 山田節男

    山田節男君 で、まあ今の言われることで政府の大体具体的な御方針はわかるのですが、今述べられた公共事業と申しますか、公益事業が使用する場合においては、これは許可するのだというような御方針に聞えるのですが、公益事業というものの定義は非常に漠然としているということ、それから一方においてはやはり日本公衆電気通信法或いは電波法からの解釈からいつても、いわゆる公共通信、何といいますか、コンモン・キヤリヤーといいますか、公衆通信という意味政府解釈によつて非常に狭くなつたり広くなつたりするということの危険性というものがあると思うのです。そこで私さつきのような質問を申上げたのですが、そういうような建前でいらつしやるということならば、例えば今後無線局開設ということになれば、当然周波数割当てであるとか或いはそれに附随してやはりチヤンネル・プランというものも政府としては当然持たなければならぬと思う。ところがそういうものは何ら明らかにされておらないで、今長谷局長が言われるようなお言葉、これを悪く解釈すれば、幾らでも広義に解釈できる。際限がないと思う。狭義に解釈するというと、これ又公衆通信というものの意味が非常にあいまいになると思う。そういう意味で私は今のお言葉どうもまだ心まで納得しないのですが、そういう御方針ですと、そういう方針従つて今後、現在ある私設無線局公衆通信に吸収すべきものだというものが当然あるに違いない。それはどういうものか。現在の中でどれが公衆通信としてこれは電電公社に吸収すべきものだとお考えになつているのか。それを一つ具体的に御説明願いたい。
  12. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) 最初に私からお答えさして頂きます。先ほど申上げましたように、公共事業的な性格を持つておるものでも、公衆電気通信関係施設利用することができる場合、而もこれは適当と認められる場合には、郵政省として、現在でもさようでございますが、今後ともできるだけこれを利用するように計らつて行く考えには変つておりません。併し先ほど申上げましたように、その通信経路の上からどうしても公衆通信系と一致しない場合が非常に多いので、従つてそういう種類のものには私設無線として公衆通信施設、つまり電電公社と別個に私設無線許可をして行く場合が今後ともあり得るだろうということを申上げたのでございますが、そのほかに一般的に申上げましていろいろな会社とか、或いは工場等、そういうところのいわゆる一般産業が、通信が現在不自由であつて、自分みずから専用回線を打ちたい、こういうような計画が従来も非常に多ございましたし、最近もあとを断たないのでございますが、そういう計画公衆通信系統の、本来その中に含まるべきものでありますから、電電公社のほうの施設の拡充が予定通り進められまして、そういうものを包含し得る状態になりましたならば、殆んどそういうものの大部分は吸収せられるのではないか、吸収という言葉が適当ではないかも知れませんが、公衆電気通信、つまり電電公社施設によつて賄えるものと存じます。  なお先ほど申上げましたように、送配電関係とか或いは一般公共事業或いは官公庁のものでも、できるだけ公衆電気通信施設利用するように計らうことは当然でありますが、そのほか法令上はいわゆる保安通信というようなことで強制されておりませんけれども、いわゆるガス事業或いは水道関係事業或いは又自動車の安全運行のために必要な通信等、最近そういう方面にもいろいろ通信利用が望まれて来ておりますが、それらにつきましては、電電公社施設が直ちに活用できるものはできるだけそれによつてもらうように処置をいたしておりますが、若しも差当つて電電公社施設利用できない場合には、そういうものもやはり免許の対象にして行かざるを得ないのではないか、当分の間はそういう処置を必要と考えておる次第でございます。
  13. 山田節男

    山田節男君 これは非常に私は重大な発言だ戸思うのですが、成るほど今無線局開設申請者の中で公衆通信が主として取扱うべきものが多々ある。併しこれらの申請者言葉を聞けば、要するに今日の電電公社市外電話サービスが非常に貧弱であるから、能率が低いからこれをやらざるを得ない。こういうのも又一つの大きな事由になつておるように了解するのですが、当然公衆通信としてこれは取扱うべきものが、そういつたような電電公社市外電話サービスが悪いから、とてもかなわないからというので、そういう公衆通信私設の団体がやるというところに、今局長のお言葉を聞けば、そういうものは暫らくは許さなくちやいかんだろう、こういうような御発言のように思うのですが、その言葉は、将来その性質に鑑みて、電電公社がそういつたような市外通話サービスがよくなつて来れば、一応民間私設無線局として発足させるが、将来はこれを電電公社に統合するという意味なのか、この点ちよつとお伺いしたい。
  14. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申上げます。当然公衆電気通信施設の中に入るようなものは許してはいけないという考え方であります。ただ先ほども申上げましたように、作業場が都会から相当離れておつて、本来公衆通信系としては考えられていなかつた、或いは通信回線を十分そういうものとの間に計画していないようなところは、特定の会社だけが使うという場合が出て来るわけであります。そういうものは若しも電電公社がみずから施設作つてそのままそつくり提供するということが電電公社にできる場合は、そういうことをやつて頂くようにしておりますが、若しも電電公社として施設を作り上げて利用者に提供することが暫らくできない場合には、施設者がみずからやるか、或いは施設提供をやるか、いろいろ両者の間になおお話合いをされて、只今山田先生のおつしやつた電電公社の本来の使命達成支障を来たさないようにお話合いをしつつ現実にやつております。ただ最初から例といたしましては、電電公社施設ができたならば、私設無線をやめるという話合いで、了解の下に進めておるところもございます。将来電電公社の用意ができた場合にはそれを統合するという了解の下に進めておるところも例としてはたくさんあるわけでございまして、繰返して申上げますならば、電電公社使命達成支障のない範囲において私設無線現実に許されておる、こういうことでございます。
  15. 山田節男

    山田節男君 今電波監理局長の御発言は、これは全部郵政大臣は認められるわけですね。これは大臣言葉として我々は拝聴していいわけですか。
  16. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) さようでございます。
  17. 山田節男

    山田節男君 私設無線局開設申請を見ますと、大体超短波、極超短波、VHF、UHFの周波数を使うのであるならば、これは成るほど今日まだ日本では電波事業が他の欧米諸国のように普及発達しておりませんから、超短波、極超短波周波数バンドがまた相当あるということはこれは事実だと思う。今後電波事業が各方面発達する可能性はこれは火を見るよりも明らかである。従つて周波数需要というものは、これは殆んど無限に近い需要があるものと見なければならぬ。だからこれは顕在的なものでない、潜在的なものである。政府としては当然周波数というものはそういうような需要があるということを予想して、相当計画的に周波数割当ということも考えなくちやいけないことは申すまでもない。周波数バンドというものは、どの波であろうと、長波、中波、短波、超短波、極超短波にいたしましても、これは元来電波法から申しましても、この性質からいつても、国民共有のものである。これはただ政府が代つて割当をする、計画的にこれを国民に代つて政府がこれを割当てる。而もこれは事業者にやるのじやなくて、或る期間を限つて免許する、これが一体周波数に対する政策の根本でなくちやいけない。然るに今政府のやつておることはどうもそうじやない。もう割当てられたものはこれは既得権だ、所有権だ、こういうような観念を植えつけておることを私は非常に遺憾に思う。この点がやはり郵政省として周波数割当原則である。これをもう第一にきめなければならぬと思う。同時に、そういうような今後の潜在の需要を入れますると、殆んど無限に近いものがあるとすれば、大体この限られた周波数というものを、一つの案を作つて、これだけは公共事業用に、これだけはこういうものにやらせるのだ、こういつたような割当というものがはつきりしなくちやいかぬと思う。或いはこれまで私は本委員会において数年前からそういうことはやかましく言つておる。要求しますとプランは出されます。プランは見ております。併しながら、今政府のやつておる方策を見れば、果してそういう今まで持つておられるプランをこれを計画的に実行しておられるのかどうか、私は非常に疑わしいと思う。従いまして、今さつき私は政府として周波数割当の根本的な原則を一体どういうふうにきめるのか、そうして今のような私設無線バンドを一体どこまでは使えるのだ、その中から詮索をして、限られたものに、又本当に重要なものに対して与えるのだというようなそういう態度が私は今の政府見えないからこういうような質問を申上げておる。ですから、先ほども私申上げたのですが、こういうものに対する原則的な態度というものをはつきりしてもらいたい。チヤンネル・プランというものを一体お持ちであるならば、ここではつきりとお示し願いたいと思う。それができなければ、今長谷局長が言われても、口だけではいけない。一体どういうことに台本があるのか。これがわからなくちや具体的な話にならない。
  18. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 御意見は誠に御尤もでありまして、勿論郵政省といたしましても、まだ最終的にそういうものをきめて、それに従つてつておるということではありませんが、そういうものはきめなくちやならない。そうして又よりよりそういうものを検討中でありますが、その検討中の構想というものを頭におきながら、現在許可する範囲のものはそれに支障のない程度のものを許可して行くという方針にいたしておりますので、恐らくその周波数割当原則というものが最終的にきまりました場合にも、それに大きな支障が、現在断片的にも出しております許可によつて起るというようなことはないであろうということを確信しつつやつておるわけであります。  なお周波数割当のいろいろな考え方などにつきましては、局長から詳しくお答え申上げます。
  19. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) 只今山田委員からお話周波数割当ということについて、政府が相当将来の見通しを持つた計画というものを持つべきである、それによつて処置をして行くべきだということは、全くお話通りでございまして、実はかねて御報告を申上げたと存じますが、電波監理委員会時代周波数割当原則というものを作りまして、それに則つて従来やつて来たわけでございますが、御承知のように最近日本の国内における無線利用状況が非常に発達して参りましたのと、無線電波科学発達によりまして、電波利用面も拡がつて参りましたので、改めて周波数割当原則を練り直す必要を認めましたので、昨年の暮からその準備にかかつておるのでございます。大体電波割当原則素案というのものは、印刷物にいたしまして、各関係利用者意見もそれに基いて聞き得る形をとつておりますが、一方今後の需要というものは確かに潜在しておるもので、適格に把握することはむずかしゆうございますけれども、電波需要の見込みというものも各方面亘つて調査をいたしまして、それと電波割当可能の範囲というものをにらみ合せまして、最終的に周波数割当原則をきめたい、こういうことで只今作業を進めております。最終的にきまりますのはなお二三ヵ月かかるのではないかと思いますが、大体調査段階を終りましたので、素案となつております周波数割当原則をその調査の結果に基いて整理し直せばお目にかけ得る段階になると存じております。
  20. 山田節男

    山田節男君 そういたしますと、すでに郵政省に出されてある私設無線局申請、これはかなり多数に上つておると思うのですが、そういうものの免許に関する審議というものは、そういう具体的な政府周波数割当に対する原則というものが確定するまでは、これはもう暫時保留するということになるのですか。
  21. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) お答え申上げます。大体現在許認可を行つておりますのは、電波監理委員会時代にきめました周波数割当原則によつて行なつておるわけでございますが、先ほどお話も出ましたように、無線局の大部分ものは超短波利用するものが非常に多うございます。中短波のところは只今のところはさほど混雑しておるわけではございませんので、大体私設無線申請等の処理はできるのでございますが、私どもは今後考慮すべき問題としておりますのは、防衛庁関係で非常にたくさんの周波数需要が出て来ることが予想されます。又電電公社がマイクロ・ウエーヴの私設を始める、最近電波利用の点に非常な関心を持つて長期的な計画を持つていられますので、そういう面の点から今後におきましては相当今までの電波割当原則通り行くことに支障を来たすであろうということで、主として潜在的な需要と申しましようか、将来の計画というものを十分に取り込んだ周波数割当原則に変更しなければならないだろう、改めなければならないだろうという意味から、先ほど申上げたような作業をしておるのでございまして、ここ暫らくの間は現行の原則則つて免許をいたしましても支障はないように存じております。又先ほど大臣からもお話がありましたように将来の計画というものを、一応先ほど申上げましたように、割当原則素案は出ておりますから、その素案とにらみ合せつつ支障ないように個々の作業をいたしておる次第でございます。
  22. 山田節男

    山田節男君 これは、私は大臣に特に御注意願いたいと思いますが、大体終戦直後こういう無線通信が非常に発達した。これは私は誠に慶賀すべき状況だと思うのです。殊にラジオ発達し、テレビジヨンが出現したということも、これは国家として誠に喜ぶべきことだと思うのですが、併しこの、例えばテレビジヨンの発足ということについて、これは当時佐藤栄作君が電気通信大臣でしたが、我々ここにおられる新谷君、寺尾君あたりとアメリカへ行きまして、この電気通信関係をいろいろ視察したわけです。そうして帰りまして早々、テレビジヨン開設問題が、これは突如といいましようか、非常に大きな問題となつて、そしてああいう結果になりまして、一般テレビジヨン放送最初に許された。そうして次にNHKの公共放送に入つた。これは、私は日本電波行政という点から言えば、これは実に痛恨に堪えないやり方だと思う。これは後世が判断するでありましようが、このテレビジヨンの方式並びに免許について、自由党の政府がやつたこの政策というものは、誠に悔いを後世に残すものだと思うのです。そうして今度はラジオ商業放送というものを許すことになつて、今日全国各県に必ず一つ、県によつては二つも三つもある。その商業放送免許したというようなこと、これによつて、我々が地方の商業放送の約一年内外の経営の結果を見まして、誠に憂うべき状態である。放送文化の教育的な見地から申しましても、或いは日本の経済、社会全般から見ましても、こういう商業放送をたくさん免許したということがいいか悪いかということに関しては、私は今政府のやつていることについては、これ又後世が判断すべきものでありまするが、併し現状をもつてしましても、非常にこれは遺憾である。殊に私国会におつて見ますると、商業放送免許した、或いは中継会社、例えば浜松の放送所の問題、香川県におきまする観音寺町の中継放送の問題、それからラジオ三重の民間放送のために、名古屋中央放送局の第二放送が、混信で難聴と申しますか、聞えない、公共放送の第二放送が聞えないということも我々実際視察して見たわけです。こういうようなことは、私は政府に少くとも電波行政に対する確固たる方針がないために、こういう無政府主義的な状況になつて来たのだと思う。これは誠に遺憾な状態だと思うのです。でありますから先ほど来私しつこく周波数割当問題或いは超短波の問題は、政府はいち早く、事ここに至るまで……最初からこれを持つていなければならないと再三口をすつぱく申上げている。然るにここ数カ月を要しなくてはそういう根本的なものもできないと言う。そういう混沌たる状態で既成の事実はどんどんできる。而もこれは多分に政治的に政府が動いてそういうことをやつているということも、私たちは国会において見てよくわかる。これは私は大臣としてもいろいろ苦しい立場があるだろうと思う。殊に塚田大臣になられてからは殊にこの方面には多忙であつた大臣の苦衷とせられている点も私は重々察しますけれども、併し電波行政重要性といいますか、将来極めて健全な発達をさせるためには、これは大臣としては技術的に考えて、飽くまで計画的におやりにならぬというと、今後の電波行政が行詰つてしまうということは、私どもは特にそれを憂うるがために、こういうことを申上げているわけであります。  もう一つ私は最初に申上げましたが、やはりこの公衆通信、いわゆる外国へ行つて見ますというと、コンモン・キヤリヤーというものが、私どもが携つた公衆電気通信法であるとか、或いは電波法であるとか、或いは無線局開設の根本基準並びに規則だとか、そういうものを見ますと、これは成るほどあいまいな点がある。そのあいまいな点を盲点をついてやはり政府当局に対して働きかけがあつたのです。それが実現されているというような工合でありますから、今のような極めて不幸な事態に今日至つたと思うのであります。これは私大臣としても否定なさることはできないと思う。こういうような状態でありまして、最近私はこれはいろいろな方面から耳にするのでありますが、マイクロ・ウエーブの通信は、これを郵政省当局に何とかしてもらいたいというような申請書を出しているかどうか知りませんが、そういう動きが非常に繁くあるというようなことをしばしば耳にするのですが、大臣はそういうことを御承知なのかどうなのか、この点一つ伺いたい。
  23. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは実は私も民間放送その他いろいろな電波周波数割当の問題はよくわからないながらも、御指摘のような懸念を持つて、絶えず問題を見ておつたわけなんであります。就任以後今いろいろ御指摘の民間放送などでも幾つか許したものもあるのでありますが、割当の問題を扱いますときに、いつも郵政大臣としてはあまり大きな範囲の裁量の余地というものを与えられておらないのだということ、そういう工合に放送法電波法建前がなつているのだということで、不思議な感じを抱きながらも、そういうものなのかと、こういうふうに感じておる。現在許しましたものが、今も御指摘になりましたように、波がぶつかり合つて、お互いに非常に障害になつているということも、いろいろ私どもも調査して承知しております。国会の皆さんもいろいろ御調査の結果お聞き願つておるわけであります。私にいたしますと、要するにチヤンネル・プランというものがきまつてチヤンネル・プランがきまりますときには、そういう技術的な面を十分検討した結果、この範囲に、この土地にはこの程度の出力のものというものを許しても差支えないという工合に、こういう工合にきまつておる。そのきまつておるチヤンネル・プラン従つて、そこで例えば民間放送をやりたいという出願者がある場合に、それを許さないで放つておくということができるかどうかということになると、やはりそうは行かないような今の法の建前になつている結果、出願されたものの能力、そういうものを判断する権限はある。併し能力的に見てもこれは十分やつて行けるということであるならば、結局これは許可をしなければならないという状態になつているのだというようなことで、結局それじや仕方がない、許すべきであるかという形にして、だんだん新しい局が許可されているわけであります。私もむしろ今御指摘のような点がありまして、それからどういう関係があるか、前のチヤンネル・プランによつて許したものが、お互いに電波が障害し合うということから、もう一度チヤンネル・プランなどを考え直してみなければならんのじやないかという感じを私は持つているわけであります。それから許しましたものが、その後のいろいろな経営が困難になつているということも確かに承知しているのでありますけれども、これも実は審査をいたしますときに、十分考えに入れて考慮はして判断しているわけでありますが、情勢の見通しが十分でなかつたために、現在許されている中で経営的にかなり困難をしているものがあるということも承知いたしておりますが、こういう状態が続いて、結局そういうものが育つ見込みがないということであるならば、適当な方法を勧奨するなり、何らかの措置というものをとつて上げなければならぬのじやないだろうかという今考え方を持つているわけです。ですからして、基本的には、御指摘の点はよくわかりましたからして、今後とも十分それらの点について、法の改正を要する面があるならば、法の改正もお願いするなりして、十分誤りのないように期して行きたいと、こういうふうに考えておるわけであります。  それからして、マイクロ・ウエーヴの点について、民間からそういう希望があるということは、私も承知はしておるのであります。ただ併しいつかも申上げたかと思うのでありますが、ただそれはそういう話でありました、郵政省としまして、正式な書類の申請書類の提出を受けて、正式に審議しなければならないという形のものになつておりませんので、ただそういう話があるにつれて、そのときどきの話を事務当局検討してもらつて、こういう話があるが、これはできることなのかできないことなのかというような意見を徴しつつ、できないことはできないという、こういうような御回答を申上げておる程度のものであります。
  24. 山田節男

    山田節男君 このマイクロ・ウエーヴの開設の希望意見政府当局に述べておる、正式のまだ申請書は出ていない、併しこれはマイクロ・ウエーヴのステーシヨンを作るということによつて、何を業務とするのか私はつきりいたしませんけれども、少くともこういう超短波を使用することによつて、或る私の会社が企業体としてそういうことをやろうということに対するこれは政府当局が、それは私よく知りませんが、今大臣がおつしやつた程度のものか知りませんが、これは日本の現存の電波法から申しまして、第四条の第二項から申しまして、これはいわゆる国家のもの、これは電電公社以外、国家代行機関である電電公社以外には扱えない、これは法律にはつきりしておるわけです。然るにそういうような噂と申しますか、流言と申しますか、そういうものを我々しばしば耳にし、今大臣がおつしやるように、そういう話があるということを確認しておる。これは話すべき話題にもなり得ないものじやないかと思いますが、この点について、正式の書類が出ていないということをおつしやいますが、併しこの問題については、もうすでにこれはかなり歴史の古いものじやないかと思う。そういう点から考えて、政府はこれは現行法から見ても、当然これは問題にならない、アウト・クェスチヨンだ、初めから私はそういうように考えるのが当然だと思うのですが、政府としてはそういうようなそれほどはつきりした態度は、殊に塚田郵政大臣としては、そういう態度を、そういう申請者と申しますか、そういう希望者に対してお述べになつていないのですか。
  25. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これは何にいたしましても、公の問題になつておらぬものですからして、非公式にいろいろな機会にいろいろな意見は当事者に伝えてある。非常に長い間この問題が問題にはなつておりますが、その間に、考え方が変更になつておるのでありまして、この前衆議院の委員会でありましたか、この問題をお取上げになつた当時は、これは公社が使うものとして考えられないかと、こういうことであつたわけであります。公社自身にも御承知のように、マイクロ・ウエーブの計画を持つておりますが、その公社計画をしておるマイクロ・ウエーブの施設を作るという計画、その一部分を或る民間の業者が作るからして、従つてつた代償と申しますか、一部分一つ特殊の用途に使わしてくれ、あとは一つ公社が使つてくれ、こういう話で初め問題があつた公社当局の意向もいろいろ聞きましたし、いろいろ公社意見を聞きましたのでは、これはとても公社としては話にならないということで、結局この話はそれで立消えになつた。最近になりまして私が承知いたしておりますのでは、又全然計画が変りまして、防衛庁が独自の計画でマイクロ・ウエーブの施設を持ちたい、こういう考え方があるようであります。私は防衛庁が持つということ自体は考え方としては全然だめだというほどのものでもない。どういう工合に、どういう用途に、どういうものをどの程度施設をされたいという考え方によつて、これは郵政省として考えて然るべき問題だと思つておりますが、その計画に結びつけて前の計画考えられないであろうかということに最近話が変つてつたようであります。併し私はその話にいたしましても、防衛庁がこれを持ちたいということについては検討の余地があるけれども、それから先の世上に伝えられておるような計画でもつて行くということには、自分にはちよつと考えられない。防衛庁がやりたいというなら防衛庁が独自に施設をされたらいいじやないか、それが誰が考えても当然だ。殊に考えられますことは、アメリカの外資を入れてアメリカの技術を入れたいということであるけれども、いろいろ公社が昨年からかかつて最近完成しました東京——大阪間のマイクロ・ウエーブの実績を見ましても、その他いろいろの日本無線の技術から考えましても、そう大きなアメリカの技術を入れなければならないというほど日本の技術が遅れておるとも思えない。現にアメリカの駐留軍が独自の施設公社に委託してやつておるというくらいな状態であるからして、技術の面においても、そうアメリカから外資を入れてやらなければならないという現在の段階になつていないのではないか。そのほか外資を入れてやるといたしましても、その場合に付随して起るいろいろの問題について、どうも考えておる人たちの考え方が十分私たちにも伝えられませんし、或いは又それらの点がはつきりしておらないかも知れませんが、自分としては、的確な意見というものを申上げる基礎材料というものを全然持つておらない。併し聞く程度のことでは自分は賛成はできない、こういうふうにはつきりと申上げておるわけであります。
  26. 山田節男

    山田節男君 今の大臣の御答弁によると、私は先ほど申上げましたように、大臣みずから、或いは郵政省のそういつた点を扱う者が公衆通信というものの定義をはつきり把握していないという私は心配がある。ここに公衆電気通信法の第二条の第三号を見ますと、公衆電気通信役務電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供すること。これはいわゆる公衆通信でコモン・キヤリヤーになるわけです。アメリカの一九三四年の通信法を見ますと、第三条のH項にコモン・キヤリヤーの定義がある。その他電気通信設備を他人の通信の用に供するものもやはり公衆通信になる。アメリカの通信法を見ましてもやはりこれを貸すもの、貸与するものに対しても一つのコモン・キヤリヤーであるという定義をしている。日本の法律から申しましても、電波法の第四条の第二項「公衆通信業務を行うことを目的とする無線局日本電信電話公社又は国際電信電話株式会社でなければ、開設することができない。」と、こう謳つてある。更に公衆電気通信法の第二条の第三号にちやんと簡単ではありますが、公衆通信の意義が出ているわけなんです。そういう点からくれば、或いはおつしやつた防衛庁の通信に害与させるために、貸与させるためにそういうような施設をする、これは明らかにコモンキヤリヤーです。であれば大臣として、こういうことは問題にならないと思うと言われるのは当然である。これはそう騒がす必要はないのであつて、もう一つ申上げれば、一体これはあなたのときじやなかつたと思うが、電波監理委員会電波行政というものが、免許に際しているく司法的なもの行政的なもの或いは立法的な作業を要しますのでアメリカに真似て電波監理委員会という特別の委員会作つて、内閣の行政府から独立したものを作つて公正に監理するようなものを作るのだ、ところが御承知のようにテレビジヨンの方式、免許についても誠に遺憾なことがある。又その経過に鑑みて政府は責任の所在がはつきりしないからこれを郵政省の内局とするのだということをはつきり政府は育つて電波監理局というものを郵政大臣の管下に置いたわけなんです。そういうことになりますと、責任はもう塚田大臣の責任においてものを行うことがはつきりして来た。電波監理委員会委員長を責めたのではどうも、総理大臣の責任にもならぬというようなことじや困るからというので、政府の責任を明確にするために電波監理委員会を廃止して、その業務を電波監理局として郵政省の内局にした。これは政府方針なのである。そういうことになれば、もう大臣としてあなた権限をお持ちになるが、同時にあなたの責任においてこの権限を行使し得る。そうすればこの法祖にちやんと明示してあるものを大臣としては当然行われることなんです。ですから今のようなそういうマイクロ・ウエーブを開設して、そうしてこれを防衛庁に貸すなんということは、これは明らかに法律に抵触しておる。例えば更に、これは法律じやありませんけれども、無線局開設の根本基準になつているこの精神、これは私たちは法律じやありませんけれども、この根本の基準を作つた場合には電波監理委員会がこれを説明した要旨を読みましても、これは法の一つの行政的な規則である。こういう法の原則というものに曲げてはならない。根本法、基本法を正しく拡張解釈する規則である。法の本旨を曲げるような規則じやないわけでするそうすれば今大臣がおつしやるような事柄が若し耳に達したとすれば、これはあなた法の執行者としての行政の最高責任者として、そういう点は問題になる。これははつきりおつしやらぬから、おつしやらぬところにいういろいろな問題が、いろいろなことが出て来る。正式な書類はできていないけれども、そういうような働きかけがある。その辺がもやもやしておるというような大臣として、殊にこの電波に関する限りにおいて、あなたが最高の責任者である。そうしてこれは当然問題にならないということを私は当然あなたが態度を明確にされるべきだと思う。殊に外資を導入するなんといつていますけれども、もうすでに東海道におきましては日本の国産でもつて日本の国内の技術をもつてマイクロ・ウーエーブを開設しておる。技術的に何ら外国からこれを入れるというような必要はないわけです。どう見てもこういうことが噂に上るということすら私は常識を逸しておると思うのですけれども、大臣としてなぜこれを問題にならない……、成るほど今日の電波法なり、或いは無線局開設の根本基準から見て、これは若し申請をして周波数もあり、又能力もあり、技術的な信頼もあると言えば、これは許さざるを得ぬのだ。これは大臣、行政の最高責任者としての責任を全うしていない。そこに私はさつき申上げたように、なぜ周波数割当に対する根本基準チヤンネル・プランを仕付つて将来の潜在の利用するものと考え、その公共性に鑑みて大臣は当然の主管として割当ということをなされなかつたかということを実は申上げておるのは、私は今大臣がおつしやるようなことになるから、私はくどいほど申上げておるのである。ですから私はそういつたような極めて法的に根拠のないようなことをいつまでももやもやさすということは、私は危険である。この際大臣としては、幸いに主管の大臣であるから、そういうことは問題にならない。若し防衛庁なら防衛庁においてその需要が急速にこれが必要だということになれば、これはもうこの法律に従つて公社をして政府の資金の融通とか、或いは規則に対す援助であるとかいうような方法でもつて、国内の技術でもつてスピード・アツプしてできることじやないか。そこにやはり大臣として、どうもやはり主管大臣としてはつきりしたことをおつしやらぬところにそういつたような事態が発生するのじやないか。大臣として、そういつた法的にこれは問題にならないということをおつしやる自信がないのかどうか。
  27. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) この点は実は当初の、公社に使つてもらえないかというお話のときにも随分問題になりました。御指摘の四条も随分問題になりましたのであります。私も自分でも随分考えてみましたし、それからして事務当局にも随分考えさして考えてもらいました。それから先ほど衆議院の電通委員会で問題になつたのでありますが、ただ私はこの四条の解釈というものは、無線局開設するということ、施設を作ることだけを言うておるのではなくて、施設を作ることプラスそれに電流を通じて運用すること、そこまでを開設と言うているのであつて、そこで施設を作るという段階までを誰かが個人でやるという考え方が出て来た場合に、それまでこの四条というものはとめておるものではないと自分ではこの四条を判断をいたしております。従つてそういう構想のものが出て来たときに、私は電波法放送法を基準に置いて、電波行政事務をあずかつておるものとしては、民間からそういう考え方があつたときには、今の法で許されている範囲において考えられるものがあるかどうかということを考えるものが自分の責任であるという考え方で、いろ、検討をしたわけでありなす。あの当時の考え方は、従つて作りたいというあの希望の人たちが、アメリカから金を借りて来て作る。作つたものを全部そのまま無条件で公社に任してしまつて運用をして頂くということであれば、私は四条の建前からは法律に障害があるとは思わない。そうなると事実そういうことが適当であるかどうか、又そういうことが経理上その他で考えられるかどうかという判断をすべきであるということで、そういういろいろな検討をしたんでありますけれども、そういう考え方を持つておるものからは十分な資料も出ませんし、又いろいろ考えた見通しとしては、とてもそういうものを作つても今の公社計画のほうが遙かに採算的であるというようないろいろな考え方で、とてもその程度考え方ではこれは応じられないというので、この話は結局なくなつたわけであります。  で、私は今の防衛庁が持ちたいという考え方に関連しての問題ですが、今考えられている、今言つて来られている程度の問題では全然考えられない、こういうことをはつきり申上げているのであります。併し何かの構想で今考えられるという考え方があるならば、おつしやつて来られれば、郵政大臣はそれは職責上考えられるものなら考えてみますということになつておるのでありまして、ですからして具体的な問題としては、恐らくそういう考え方というものはあり得ないだろうと思うのでありますけれども、民間にそういう創意か何かあつて、こういう工夫ならどうかということであるならば、何か意見があるならばおつしやつていらつしやい。それでそれが正式に書類になつて来るならば、私は考える余地があるならば考えます、こういうことにお答え申上げておるわけであります。従つて何にいたしましても、考え方の線がはつきりいたしておらぬものでありますから、私としてはイエスもノーも確定的な回答というものはできない状態になつておるわけであります。
  28. 山田節男

    山田節男君 これは今の大臣のおつしやつた電波法第四条の第二項の解釈を、今おつしやつたような拡張解釈ができるかどうか。これは立法当時の委員新谷君がおられますから、新谷君から又御意見があるだろうと思うのであります。私どもがアメリカから帰つて、そうして例のテレビジヨン開設申請がありました。で、NTV日本テレビジヨンの社長の正力氏から申請が出ております。それによるとテレビジヨン放送並びにマイクロ・ウエーヴの中継によつて写真電送その他のものも大体やりたいという計画があつた。そこで当時佐藤榮作君が電気通信大臣であつた。そのとき私はマイクロ・ウエーヴというものの非常な重要性に鑑みて政府の所信を聞いたわけです。ところが佐藤大臣は、まだマイクロ・ウエーヴのリレーに対する問題が本質をあまり把握しておらない。政府は研究しているというような御答弁であつた。ところが、併し研究しておるというようなことじや困る。すでにこういう申請が出て、もうテレビジヨン免許申請をなされた。政府は速かに態度をきめなければならないということになれば、これはもう当然マイクロ・ウエーヴの開設ということは直面しておる問題であります。大臣は研究中であるというようなことではいけない。同時にこのマイクロ・ウエーヴの中継というものを、将来電信電話或いは模写伝送、こういう意味から、又電話のサービスをよくするということは、国会はすでに二回もこれは決議しておる建前から見ても、これはよほど慎重に考えてもらわなくちやいけないというようなことで、これは佐藤大臣としてもいろいろ研究されたのでしよう。御承知のように、東京—大阪間ですか、マイクロ・ウエーヴの中継も完成しているように思われる。更にこれを将来公庫の金で仙台経由札幌までのマイクロ・ウエーヴの中継私設も、もう正確なプランを立てて、現に着々と実行しているわけなんです。で、佐藤電気通信大臣は、このマイクロ・ウエーヴ中継局に対してそういう重要性を認めて、公社にこれをやらしめて、民間からの申請もこれを許さぬ、然るにもうすでにそれから数年を経た今日、同じような性質の問題が提起されて、今大臣がおつしやつたように、この電波法の第四条の第二項をそういう拡張解釈し得る余地があるのやらどうやらわからないから、まあ研究してみようというようなことをおつしやると、吉田内閣のこの問題に対する態度は、佐藤大臣の場合と塚田大臣の場合と変つて来るのじやないかというような私は不安を持つ。これはちやんと吉田内閣としての電気通信大臣としても、この問題に対する態度というものは一貫したものがなくちやならぬ。なぜ今日こういうものがすでにその既成事実ができたにかかわらず、新しくこういう問題が提起される余地があるのか。余地がないはずなんです。大臣として、先ほど申上げるように、法の趣旨に問題があるとおつしやれば、当然これは解決する問題じやないか。何か法の盲点なり或いは拡張解釈によつてどうにかできるのじやないかというようなことを印象づけるような態度大臣がお持ちになるということは、私は非常に危険だと思うんです。どうでしよう、その点大臣はそれだけの自信がお持ちになれませんか。
  29. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはいろいろ御意見でございましたけれども、私は佐藤大臣の当時のそういうような御発言とちつとも方針は変つておらないと、こういうように実は考えておるのであります。勿論この公社が公衆電信電話業務というものを独占にやらなければならないということは、これはもう四条の規定ではつきりいたしておるのでありますからして、誰が作りましても、それを開設し運営をして行くということは、ほかのものができるとは私も思つておらぬ。併し公社がいたすにいたしましても、やはり国内から金を集めるなり、又外資が適当であるならは外資を入れて施設を作らなければならない。その施設を作る段階だけが、非常に考えにくいことでありますが、抽象的に申上げますならば、公社には金を貸さない、併し民間会社ならば金を貸すというような外資の筋があつて、それでまあそれを入れたほうが適当である、そうして又早くいいものができるという場合には、その人の手で施設作つて、そうして公社に運営をしてもらうということであれで、而も施設を作つたものと公社との間の話合いが、公社が独占的にこういう業務を電波法その他でもつて権限を与えられ、義務づけられているその権限義務に何にも支障を起さないというような話合いでもつてそういう話合いができると考えられますならば、私は全然考えられないことではない。又それが電波法の規定に抵触するものでもなし、又電波法の規定が全体として考えておる日本通信政策基本の面に差し障ることでもない、こういう考え方を実はしておるわけであります。便しまあそういうことは実際抽象的には考えられることであるが、実際問題になると、恐らくなかなかそういう例にうまく当るような企画というものはあり得ないと思うので、その通り、又そういう考え方からいろいろ検討して参つたところが適当でないという結論になつたわけであります。ですからして、そこのところを最初からもうだめだと言つて断わつてしまうのが郵政大臣の立場として正しいのか、郵政大臣の立場としては、考えられる構想があるならば十分検討してみるということのほうが正しいのかということを自分として考えた結果、私は今の電波法を、行政の判断基準として当てがわれている今の郵政大臣の立場としては、この法律で考えられるという構想が民間側から出て来るならば、それはまじめに検討してみて差上げるのが、これは郵政大臣としてはむしろ正しい行き方であると、こういう考え方で問題の処理に当つておるわけであります。
  30. 山田節男

    山田節男君 これは甚だくどいようですけども、大臣先ほど申上げました公衆電気通信法の第二条第三号、これを読めばそういうことがそこにちやんと書いてあるわけです。「電気通信設備を他人の通信の用に供すること。」、これは運営することじやない、貸すことです。貸すこともこれは公衆通信の役務です。ですから今あなたがおつしやるように、施設をして運営することを任してやるならば、何ら法に抵触しないじやないかとおつしやいますが、その貸すことが公衆通信の役務であるということを電気通信法でちやんとはつきりしているわけであります。ですからどうも今大臣のおつしやる点が、私は果してこの公衆通信というものに対する定義を把握されているか否かを疑うものであります。これはもう先ほどアメリカの例を申上げましたように、国際的な共通な定義であります。これを日本だけで法に明示してあるにかかわらず、非常に広くというより、むしろ狭くお考えになつているところに今のような態度が明確化しないというそしりを免かれぬ点が私は出て来るんじやないかと思います。法律にある、貸すこともこれは公衆電気通信法に謳つてある。
  31. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その点は随分検討しましたが、ただ私はそこのところの検討の際も、貸すという形に施設作つて、それをそのまま貸してしまうのと、施設を運営できるようにして貸す、例えば今後者が専用線をお貸しになつておる形で貸す貸し方と、まあ二種類考えられるわけです。私はここのところに規定しておりますのは、やはりこれはそれを施設した者が成るべくそのまま使える形にして誰か利用者に貸す、こういうことはこれは禁止しておるのであつて施設を作つたままで誰か権限を持つておる人にそのまま施設を提供してしまう、而もその間の話合いが、その提供を受けた者が、運営する上において何ら支障のない形において行われるならば、そこまでは私はここは禁止しておらないと、こういう解釈を実はしておるわけであります。
  32. 山田節男

    山田節男君 これは私ども日本電電公社というものを作りまして、従来の国直営の電信電話事業をなぜ公社にしたか、それはその必要から、こういうことです。それから同時に従来の二十三年にできたと言いますが、これを改正いたしまして公衆電気通信法というものも制定するその当時の立法の精神、当時私もその委員会に携わつた。そのときに盛んに政府との応答を重ねたわけであり審議したわけであります。そういう経路から見まして、私は今大臣のおつしやるようなことは、どうも私は理解できない。悪く言えば牽強附会です。ですから立法の精神というものを、殊に大臣として拡張解釈じやなく、立法の精神というものを、これを厳重に行政に乗せられるのが大臣の責任であつて、今あなたがおつしやるようなことは、これは法案の審議の過程において問題にならぬ。ですからそれはこの審議の過程の議事録を御覧になればわかると思います。そういう余地は私はないと解釈しておる。更に今の問題になつている電波法の第四条第二項について、当時小澤君が大臣であつたと思いますが、これは新谷君も委員でありますが、果してそういう拡張解釈のできるような審議があつたのかどうか、私はむしろこれは新谷委員質問したいと思います。
  33. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 山田君の御質問があつたようですが、それにお答えすることは又別の機会にしますけれども、私も法律解釈山田君と同じ考えを持つております。電気通信法の審議に当りまして、大臣も御記憶があると思いますが、私は特にいわゆる専用通信の設備でさえも、これは元の電信法或いは電話法等から言いますと、通信業務というものはこれは政府が管掌しておつて、そういう専用通信を誰かに許す場合であつても、必要があつてもこれは主務大臣の認可を受けるとか、或いは専用線であれば届出をするとかいうように説明をして初めてできたものなんですが、それで今度の通信関係法規によると、専用通信ですな、自分で、今お話のような銀行会社等が、例えば電力会社が電源地帯と下のほうの営業所と結ぶというような専用通信であつても、これは一応主管大臣として、それが果して公社の行う講習通信業務と施設関係を重複するところがないかどうか、将来の公社計画とどういうふうな関連を持つかということを十分考えてやるべきじやないか。従つて許可すべきものは許可したらいいのだから許可主義をとりなさいということを、法律案の審議に当つて盛んにあなたに渡しはそういう意見を申上げたことを記憶しております。あなたはそのときにはこれは尤もだ。で、次の機会に善処しますということを最後に言われたので、実は私は専用通信についても、そういう改正法律案をお出しになることを期待しながら今日に至つておるのです。そういう意味から考えましても、公衆電気電信法の第二条に、いわゆる他人の用に供する通信設備と言いますと、あなたの言われるように運用までを含めてというようなことはこれは考えられないのですがね。ここの公衆電気通信法の二条の三号にある「他人の通信の用に供する」伝記通信設備、その他人の通信の用に供するという「役務を提供する業務」が、即ち公衆電気通信業務なんですね。第二条の五号に書いてあるその点から言いますと、少くとも法律がいいかどうかは別として、解釈問題としては、あなたが言われるように運用まで含めてその他人の通信の仕事をしてやる。それが公衆通信電気業務だというようにはどうしても考えられないのです。この点は当時のあなたの説明された内容もありましようし、委員会速記録もあるのですから、もう少し法律内容としては少くとも明瞭に割切つて頂く必要があるのではないかと思うのです。私は今聞いておりまして、山田君の考えられたような解釈に私も全面的に賛成しておるものです。そこで若し問題があるなら、又必要があるならばこの法律を改正しなければならぬと私は思いますが、又その前に必要があればあなたがたのほうでこれはこういう解釈をとつているのだ、こういう解釈をとつているのだということを書面にして出されたらいいじやないですか。我々の委員会で十二分に法律的にもこれは責任を持つて検討したいと思います。この点だけ関連して申上げると同時に大臣の御所見を伺つておきたい。
  34. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) これはこの場合には確かに二条にいたしましても四条にいたしましても、解釋の困難な問題点を含んでおることはよく私もわかるのであります。で、まあ大分法制定のときの議事録なども事務当局に調べてもらいまして検討しましたのでございますけれども、やはり問題がそこまで十分論議がされておらないような状態になつておる。それで私といたしましては結局二条、四条の規定が何を狙つておるかということを、結局法の趣旨としておるところを考えてみましてこれを公社に、要するにこの方面通信を独占的にさせるということなんだ。そこでそれに障害になるものは、勿論これはこの規定の建前上これは許されていない。ただそこでそういう工合に考えてみたときに、誰かが施設作つてそのまま又公社に提供してしまうということであるならば、そういうような、恐らくこの二条、四条、更に延いては電波法全体が意図しておるであろう日本通信政策の一貫性、統一性と申しますか、そういうものに障害にならないならば、そこまでは禁止しておらぬのじやないだろうか、又そういうふうにもこの法が読めるというのが私の考え方であるわけであります。で、或いはそういう考え方が誤まつておるか、若しこの条文ではそういうような解釈もできるということでありますならば、或いはそういう点を今後問題が起きないように御改正を願うということが又いいかも知れませんが、現に衆議院の委員会でも或いはそういう措置をしたほうがいいかも知れないということを御答弁申上げておつたと記憶するのでありますが、なおこれらの点は十分検討いたしまして、私どもの考え方を皆様方にも申上げ、なお十分御判断頂きたいと思います。
  35. 山田節男

    山田節男君 今新谷委員に対する大臣の御答弁から見ても、これは法律に明記してあることを解釈として更に拡張したお考えだと思うのですが、これは私もいろいろその後各国のそういう立法例を見まして痛感いたしますことは、確に法律があいまいなところがある。併し今大臣の御答弁、しつこいですが、初めてからの公衆通信とは何ぞや、それから殊にこの無線通信について、無線による公衆通信というものの定義が、なるほどこの法律には、これは私から見ればあいまいじやないと思いますけれども、今のように何か盲点はないかというようなことで考えれば、又解釈のしようもある。大臣のおつしやるような解釈も出て来るだろうと思います。これは有線であろうと無線であろうと、公衆通信とは何であるかということ、それから殊に無線の場合、放送業務というのはこれは公衆通信になります。これは常識的にははつきりしているが、今の大臣のように何か拡張解釈することはないかというような場合には、これは私は法律としてもそういう点において明確を欠くと思うのですが、今大臣がおつしやつたように、その施設を貸与すれば、これは公衆電気通信法に明らかに、公衆通信民間業者はできないということははつきりしている。今大臣がおつしやるそれがしのマイクロ・ウエーブ中継の設置は、これは寄附するというような意味で提供して、決してそれは使用料を得る目的じやない、作つてそれを寄附するという意味なんです。そういう意味での話なんですか。
  36. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 寄附するということは、恐らく作る人が相当金をかけておりますからできませんけれども、適当な使用量を取つてそれをお貸しする併しそれ以外には要するに借りるほうが、これは運営する上においての一切の無論障害になるような話合いというものはこれはいけませんでしようが、併し使用料を取るということでそのままお貸ししてしまうということとであるならば考えられるのじやないかという感じを持つているのであります。
  37. 山田節男

    山田節男君 使用料を取れば貸与じやないかと思うのです。どういう……。
  38. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) それは貸与なんでありますが、その場合にただ作つてそのまま公社にお任せしてしまうというのと、作つてこれを運用する形にまで持つてつてそうしてお貸しするのと、貸し方がこれは二つ考えられる、そのあとのほうの貸し方というものは勿論これは……(笑声)併し、ただこれは施設作つてそのまま渡してしまうというものまでもこの規定が禁止しているかどうかというと、そこまでは、これは禁止はしておらぬのじやないか。又そこまで禁止しなくても電波法の二条なり四条なりの規定している法の趣旨というものは貫けるのじやないか、そういう感じを持つているのであります。
  39. 山田節男

    山田節男君 私はこれで打切りますが、どうも大臣はこれは経理関係の専門家であり、法律の解釈については専門家かも知れませんが、法律というものは飽くまで文章に表わす精神をやはりまつすぐ解釈すべきである。殊に大臣としては、今のように貸与というものにも二つの形式があるんじやないかということになれば、これは悪く言えば、法を盲点はないか、何かこじつけがいかぬかというようなふうに私は解釈せざるを得ない。このことは私は立法者の立場から非常に危険だと思う。行政者がそういう考えを持つて来るというのは。いわゆる法の謳つている通り解釈する、フエイス・バリリウで私はおとりにならなくちやいかぬと思う。どうもあなたの御答弁のニユアンスからしますと、何とか法をこじつけてその目的を達する方法はないんだろううかということを大臣みずから御研究になつているように見える。誠にどうも私は遺憾なんですが、(笑声)これは大臣として、法の管理者として、あなたはもうこれは問題外です、こう言うて然るべきだと思う。どうもあなたはあまりに良心的というか、忠実なというか、それにあまり御心配にならぬでいいと思うのですね。法の盲点を探し歩くようになつて来たら政治も何もなくなつて来るので、どうかこの点は、私は我々として法の不備な点をあなたに転嫁するわけじやありませんけれども、大体法律に謳つてあるまつすぐな精神解釈でもつてつて頂くことを私は希望したいと思います。  なお附加えますが、この問題は今大臣のお言葉から聞いて問題にならぬと解釈します。又問題にすべきものではない。併し甚だ失礼ながら、今日の自由党の内閣、吉田内閣は従来の電波行政につぃて政治的に圧力を加えられる。先ほど申しましたように悔いを後世に残す、これは現に商業放送において実現させておる。これは私どもも責任の一片を負わなきやならぬけれども、政府が私は重大な責任を持つておる。このことを私は今後繰返しちやいけないと思う。そういう私は国民に代つて忠実な政治的な立場から考えております。決して字融合内閣であるからどうの、野党の立場であるからどうのということではない。殊に電波というものについては国民共有のものであります。最も民主的最も能率的、公共福祉のために使用すべきものである。そこに電波に関する基本法があるわけであります。殊に塚田大臣は最も信頼する大臣です。過去に犯した数度に亘る電波行政に対する失政を再び繰返さないように私は国民を安んぜさしてもらわなければいけないと思う。我々が仄聞するようなことをいつまでももやもやするということが、これが今日の国民の信頼を失つておる政治である。これは私どももその責任を負いますが、この政治の頽廃というものによつて電波行政が非常に歪曲された方向に行くということは、私は誠に心外に堪えない。噂に聞くと、こういうようなことは吉田総理が外遊で帰りの土産の一つになるんじやないかというような心配とも結びついておる。こういうような憂いを国民に持たすということ、これは国原並びに日本の政治というものに対して国民の信頼をますます失うという大きな私は原因だと思う。しつこいようですが、どうか、このちよつと取上げた問題でありますが、一つ純正に考えて法を曲げないようにまつすぐに電波行政というものを塚田大臣の所信によつて貫かれることを強く私は要請しまして、一応私の質問を終ります。
  40. 久保等

    久保等君 只今問題になつております点なんですが、ここで大臣から先ほどからの御答弁で、或いは結論的な御意見を伺うことは私も無理かとも思いますが、従つて十分になお考え方を再検討して頂くことも必要ではないかと思うのですが、大臣の今の御答弁ですと、マイクロ・ウエーブならマイクロ・ウエーブを設備だけする場合には、それまでも電波法の第四条第二項というものは禁止しておらないのじやないか。併し使えるような状態にしてこれを貸すとするならば、これはこの第四条第二項にやはり触れるのではないかというような答弁をせられておるのですが、私は現実には、一体その問題を考えた場合に、二つの考え方というものは成り立たないのではないか。要するに設備をするということは、これは当然使えるような状態にまで設備する場合がこれが普通のあり得る設備をする場合だろうと思うのです。従つて一切の設備をして、そうして例えばスイツチを入れて試験をやつてみるというような状態にすることもこれは設備をすることだと思うのです。これが実際に開設してしまつて、それで公衆通信の業務までやるということになるならば、これは設備するということだけでなくて、すでに業務関係にまで入つたということになるのですが、そうでなくて設備をするということの考え方の中には、当然一切の設備をしてしまつて使えるような状態にまですることだと思うのですが、大臣の言われる一体設備をすることだけであれば別に四条に触れないのじやないか。併し使えるようにするということと設備をするだけということは、私は現実的には一つでしかあり得ないと思う。その場合に何か非常に大きないわゆる全然状態が変つた状態であるかのような答弁をしておられるのですが、私はその点第四条第二項の場合においては、これは設備をしてその設備そのものが使えるような状態にして、そうして通信の用に供すること、公社なら公社に貸して通信の用に供するということ、そのことが勿論この四条の二項で禁止しておるとするならば、当然に設備をするということは、設備をすることそのものが目的であるのではなくして、公社なら公社に貸して、或いは防衛庁なら防衛庁に貸して使つてもらうということを目的にしておるのです。併しながら御本人そのものは勿論そのことをやるわけではないのですけれども設備をするということは、設備のしつ放しでなく、作るだけが最終的の目的ではなくやはり第三者の公社なり防衛庁なりに使わせるということを目的にしておるならば、当然第四条第二項に私は触れて来るというふうに考えるのです。前々から衆議院における電気通信委員会でもいろいろ御答弁になつております。私も速記録を若干拝見したのですが、事務当局で答弁しておられる答弁とやはり大臣考え方と非常な根本的な考え方に相違がある。而もそれは大臣は、大臣としてこういう解釈をしているんだから、当然事務当局としても大臣考え方に統一してもらわなければならぬのだということをあの電気通信委員会では答弁せられておるようですけれども、どうも大臣の言つておるほうに私は牽強附会があるようで、大臣が如何に法律解釈を下されたからといつて、間違つておると思われるような解釈事務当局に押付けられるということは、これはもつてのほかだと思う。特にこの問題は先ほども御説明にありましたが、そういう話があるという程度であつて、正式の申請、正式の書類が出ておるわけでもないのだから、その問題については、まあ噂というか、話程度なんだからという非常に軽い答弁がされておるのですが、今までの経過を伺うと、相当長い経過もあることですし、特に郵政大臣の手許には正力さんのほうからも具体的な資料等も出されて、この前には相当やはりこの相談があつたような経過もあつたように大臣から電気通信委員会のほうに答せられておるのです。たまたまその問題は、公衆電気通信、つまり公社で使つてもらうという考え方は立ち消えになつたとしても、先ほど大臣の答弁から伺いますと、最近更に考え方を変えて防衛庁方面でこの通信設備を使つてもらうという考え方でいろいろお話のあるような御説明があつがのです。私はそうしてみると一体公社のほうで今度は使つてもらえなくなつたから防衛庁のほうで使つてもらうということで、何とか一つこれを実現さして行きたいという非常な熱心な民間の人の気持ちというものは、私どもにはちよつと理解できない実は気持だ。なぜ使用料を取つて貸すことに、公社の法が使つてもらえなくなつたから防衛庁のほうで何とか使つてもらえないかということで非常に動いておられるその真意というものが、どうもちよつと理解できないのですが、併し真意そのものは大臣にお伺いしたところで始まらないと思う。ただ併し大臣が法律的には第四条第二項からいつて必ずしも禁止しておらないのじやないかという答弁をされることは、私は先ほど山田委員も言つておられたよに、非常に法律の抜け穴を探すことに汲々としておられるそういつた民間の人に対する一つの道筋を教えてやるような答弁をせられておるように受取れる。少くとも電気通信というものは、それから無線通信にしてもそうですが、そういつたものの一元的な設備と、更に又これに対する運用というものについては、公社なり国際電電会社に一元的にやらせるんだということは、もうこれは根本的な大方針だと思うのです。従つて先ほど大臣が適当な使用料で特別に将来の運用の面においては拘束をされないような形で民間から貸すというのなら、そういうものも受入れて結構ではないかと私は思う。所有権がないじやないかと言われるけれども、所有権は私はその場合には民間会社にはつきりあると思う、所有権は。従つて民間のものが業務を行うことは仮にできないにしても、所有権を持つておるとすれば、それが非常に安い、一般よりも。むしろ公社が設備をして使うよりも安く上るような代価で使用料を払われるという状態であつても、若し私はこれを非常に政治的に悪用しようと思えば幾らでも悪用できる。考えられることは、これは貸借関係で貸した借りたりですから、少くともこれを若し途中においてもうこれはお貸しすることはできないということで引揚げられてもこれはやむを得ないと思う。ところが攻守通信サービスを提供している公社なら公社、防衛通信はなお更のことであるが、これを少くとも永遠無限に、無条件であくまでも同じ何といいますか、使用料なら使用料で使つて行くということは最初にきめられるとは必ずしも限らない。それであくまでも、引揚げる引揚げないはこれはやはり貸主のほうの権限として残つておるのじやないか。そういう場合に非常に将来における運営があらゆる意味において、例えば途中において打切るというようなことも言われると、公社としても実際に業務の提供の面から非常に重大な支障を来たす、防衛通信の立場からもそういうことをやられては非常に困るというようなことがいろいろまあ将来において問題を残す可能性が十分出て来ると思う。従つて設備そのものの所有が民間の人の手の中にあつて、而もその設備そのものを公社が運営するのだというような場合は、少くともこの公衆電気通信法においても許しもしないし、考えもしない。又そういうことが明確に法文の上に謳われないとするならば、それはむしろ私は予想しない以上の大きな問題ではないかというふうに考えるのですが、従つて大臣解釈される解釈は、第四条の二項の問題についても、私は非常にその点については、先ほど言葉の端をとらえた質問でございますけれども、大臣のさつきの説明された説明では、どうしてもこれは普通の誰が聞いても納得できかねる。それで大臣の言われる設備だけして貸す場合、それから使えるようにして貸す場合とは違うというけれども、それは同じだと私は思う。その点一つ大臣のほうからお答えを願いたいと思います。
  41. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) その点は私はこういう考え方をしておるのでございます。設備だけして貸すというのは、貸す人間が施設所有権だけ貸す、更にそれを運用できる状態にして貸すというのは、まあ平たい例で申上げますれば、現在公社も専用線というものを提供しておるが、ああいう形のものも全部が専用線という形で誰かに提供しておる、そういう形のものを言つておる。その形のものを公社にだけやらすということも恐らく電波法が測定しておるけれども、ただ施設所有権を誰か公社以外のものが持つておるということであるならば、そこまでは私はこの法律は規定しておらぬのじやないか。それから先いろいろな御懸念の点はまさに私もその通りだと思う。果してそういう話合いができるかどうか。併し若しそれから先に懸念がありて、これを許可できないというのなら具体的な計画についての判断のことであつて、若し法律的に禁止しておるというのなら、こうなつておるのでとてもそういうことは考えられませんとびたつと断わつてしまいます。若しそうでないとするならば、具体的な計画を出してごらんなさい。それでこの法の精神に違反しないような形が考えられるならば、それは検討してみてもようございますということになるのが、まあ私は話の筋だと、こういうふうに思つておるのであります。
  42. 久保等

    久保等君 特にこの法律に触れないような杉で出されるならば考えてみようということ、私はそういう答弁をせられることそのものが、一体この現行法に触れないような形で、一体何といいますか、民間でやれるような場合があり得るかということを私は現実的に考えた場合に、今の答弁としては、やはりその専用線の場合のような場合がいけないのであつて、設備だけするという程度のものであるならば四条の二項には触れないという解釈をすることは非常に私は不可解である。ちよつと先ほども申上げましたように、スイツチ一つ入れて試験芸でやつてやはりこれは使えば使えるのだと、いつでも例えるという状態にして……、それでは一体貸す場合は、大臣解釈から行くならば、設備だけしたのか、それとも使えるようにして渡すというふうに解釈をとられるのか、どちらですか。
  43. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 設備だけしたという解釈であります、その状態ならば。
  44. 久保等

    久保等君 それならばそういう電源も入れ、試験もやつて、それでもう直ちに業務が開始できるという状態にしてそれで貸したという場合についても、これは設備だけしたと、確かにそれはそうだと私も思う。併しそのことは少くとも第四条の二項は許しておるとは私は考えられない。而も少くとも試験までしてそれを使えるような状態にしたということは、なるほど公衆電気通信法建前からいつて、そのもの業務としてはこれはやれないことはこれは法律ではつきり禁止しておる。なるほどやれないが、併しそれは人に提供して公社なら公社、或いは又防衛庁なら防衛庁に貸して、その人間がいわゆる公衆電気通信法に基きまして他人にその公衆通信の業務を提供する。その公社がそういう業務を提供するために、それぞれ設備を作つた。その民間の人が作つたのだからして、従つて私は設備を提供する業務に該当すると思う。そういうふうに大臣はお考えになりませんか。
  45. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 私はその点はこの条文の上では私の考え方のような考え方もできると思うし、又、或いは久保委員のお考えのようなこともできるかも知れません。私はむしろ私の考え方のほうがこの条文の解釈としては当つているのじやないかと思うわけです。そこで殊に私がそういう感じを持ちますのは、一体これを禁止しておるという基本考え方、法の趣旨がどこにあるかということを考えてみますならば、公社が独占的に運営して行くということが狙いなんでありますから、その狙いに合致する範囲のものは私は法律は禁止しておらぬと思う。その狙いに合致しない範囲のものはこの法律が禁止しておると解釈するのがむしろ私は正しいと思います。それは実際問題としては、そういう実際の例というものは非常にありにくいかも知れませんけれども、考え方としては、さつきも申上げましたように、誰かが施設作つて、ですから私がほんとに開設をする、そうして禁止されているというのは施設を作るだけというのでなしに、いよいよそれに電流を通じて、勿論所要の人員をそれに配置してそれを運営する形になつてつて、これを第三者に提供できる形、こういうものを私はこの法律は禁止しておると考えます。
  46. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大臣は法律家だから、一つ法律的に私はいろいろ聞きたいのですが、いずれまあこれは今日だけで済みませんから、あなた方のお考えももう少し的確に文書にでもして頂くと検討できると思うのです。ただ今大臣電波波法の四条を御覧になつての御答弁ですが、公衆電気通信法の第二条も御覧願いたい。ここではあなたの言つておられる設備というものを問題にしているのです。で、これは定義に過ぎませんが、あとに条文があります。第二条の二号を御覧になると、これは非常に明瞭に「電気通信を行うための機械、器具、線路その他の電気的設備」と書いてあるのです。これは明瞭に設備でしよう。その設備を他人の通信の用に供するということが公衆電気通信役務なんです。その役務を提供する業務が公衆電気通信業務ということになつておりますね。そういう電気的設備を他人の通信のための用に供するということが、その公衆電気通信業務だと考えております。だからあなたは今久保君との質疑応答で、設備だけ作つたつてかまわないんだと言われますが、初めから他人の用に供するために設備を作る場合は、これはやはり公衆電気通信法に触れて来るということをお考えになりませんか。
  47. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 公衆電気通信法の規定もそのときに一緒に検討しまして、随分部内でも議論しまして、部内にも皆さん方と同じ意見の者がたくさんありましたが、最終的には部内の意向は私の今申上げる考え方にまとまつておるわけです。今、新谷委員のお尋ねになりましたように、私は役務というところが非常に問題点なのてあつて、ただ施設作つておる、それを提供するというだけでは、これは役務ではないのであり、まして、その施設を軌かすという形になつておるものを他人に提供して行うことが、私はむしろ役務なんだろうと思う。
  48. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうじやなくて、ここに書いておるように役務というのは、他人にそれを楳供するということが役務なんでしよう。運用するとかしないということじやない。他人に提供するということが役務なんです。ここにちやんと書いてある。
  49. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) そこのところが私は実はそう解釈しないりでありまして、どこまでも頼まれて、ここに運搬するとか、若しくは頼まれて、これだけの施設を全部使えるだけの形にしてお使いなさいとやることが役務なんであつて、ただ持つておるものは、所有権だけであつて、それを何かの貸借契約でお使いになつたという形のものが私はここで役務になつておると、こういう考え方をしておるのであります。
  50. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 平行線ですから、これ以上申しませんですが、我々がこの公衆電気通信法を審議いたしまするからには、これはもう目明の理として考えておる。今おつしやるように役務という言葉は、これは恐らく英語でサービスでしようが、そういう言葉を使つておりますのは、結局運用とか何とかいう場合に、ここに明瞭な言葉で書いておられる、電気通信設備を他人の用に供するという、供することが役務なんです。それを役務と言つている。ほかに何も解釈のしようがない。だからあなたの御解釈は、先ほどからの議論を聞いておりますと、他の委員も大分疑念を持つております。私もあなたの御解釈には賛成できないのですが、これはまあ注律の解釈問題になりますから、あなた方のほうでお出しになつた資料によりまして、更に法律的に私は検討することにいたしますが、その点はそうはつきりとあなたのおつしやるように割切つてどこにも御説明はありませんし、今初めてそんな御意見を聞くわけです。十分御研究を願いたいと思うのです。  それから私はそういう事柄を離れまして、一体さつき山田委員が言われましたけれども、単にこの問題に限らずこの電波行政のやり方があまりに目先のことだけを考えて、安易にやり過ぎておるのじやないかという感じがする。それは先般委員会のときに、あなたおいでになりませんでしたが、長谷局長にはそういう趣旨のことを申上げた。チヤンネル・プランそのものについても、ちよつと先ほど触れましたが、もう一遍再検討する必要があるということを要望しておきます。今日の大臣お話で、これも再検討する必要があるかも知れないということですから、これも十分御検討を願いたいと思います。ともかくマイクロ・ウエーブの問題にしましても、一般商業放送の中波にしても、或いは短波にしても超短波の問題にしましても、如何にも、どんどん申請が出て来て、それで幾分か波がまだ残つており、先着順に許さなければならないというようなお考えをまだどこかにお持ちになつておるのじやないかということを私は心配するのです。で、この波の問題は国際的にきまつておる。そう百年、二百年たつまで見通すわけに参りませんけれども、少くとも、十年、二十年先を見通してこういう波はそういう方面利用するのが一番効果的だ、国の全体のためになる、国民全体のためになるというような点を十分お考えなつた上で初めてチヤンネル・プランもできるのであろうし、初めて許可もされるのだろう。そういう方法でないとちよつと先ほどお話にあつたようにどうも大臣としてはあまり許可について大きな権限を持つていないように考える。だから基準に合致しておれば自動的にも許さなければならぬというような考えをお持ちでしようが、私はそうは思つていない。これは御承知のように放送法電波法の制定のときにも私が質問したのですが、これは法規裁量か自由裁量かと言うたら、法規裁量だという話があつた。というのは、当時いろいろNHK等の関係から考えてなかなか民間施設無線局というものは認めてなかつたので、私どもも法規裁量であることを必要とするということも申したわけですが、法律にはそういう規定は全然ない。それで大臣は今もそのお考えでその御方針によつたように見受けますが、ただ一つ違いますのは波の割当なんです。これは法規裁量なんと言つても法規裁量にしようがない。ただ置局の計画ですね、いろいろな方面に局を置く。どこの局を置く、どういう規模の局であればいいという基準を示してそれに該当するならば一応適格とするということは、なるほど今のやり方はあたかも法規裁量であるかのごときやり方をしておる。併し波の問題は、これはもう郵政大臣が将来のことも考えて、あらゆる角度から波を見、友好的に使うのだという方針を持つておらなければ、今それを先着順に何でもかんでもお許して行くのだということになると、今日もその一部分が現われております。電波界は混乱してしまう。そこのところは非常に行政運用に何か欠けるところがある。もう少し考えをお変えになる必要があるということを痛感するわけです。で、具体的には山田委員お話と重複しますから申上げませんが、先般各地を回つてみましても、商業放送のごときは非常に波が混乱しております。混信を起しております。そういうこともチヤンネル・プランに当然よきしておつたんだとおつしやるならば何をかいわんやでありますが、私はそうでなかつたと思います。そういうことでないような例がたくさんあります。ですからこれらも電波行政が非常に大きな根本問題として、もう少し将来を考え基本的な方針に基づいて一番国民として有効に電波を使うにはどうすればいいかということ、根本方針として行政運用をされる必要があるということを特に大臣に申上げておきます。  それからこのマイクロ・ウエーブの問題に関しましては、時間もありませんから私からあらかじめ重ねても申しませんが、大体において私も山田委員の質疑の趣旨と同様の見解を持つております。殊に大臣の言われますように私設の設備でも、而も外国資本によつてこれを建設して防衛庁がこれをに掌るというようなことになりますと、これは将来防衛庁は困りはしないかという懸念があるのです。併しこれは電気通信委員会の問題じやない、むしろ他の委員会の問題でございましようが、一番機密を尊ばなければならないような防衛庁が外国資本を入れた場合に、恐らく通信設備が担保になる、担保になつた場合に条件如何によつて通信の秘密、通信の防衛庁による管理ということが、どこまでゆがめられて行くかという問題も考えなければなりませんし、そういう問題でありますと私仄聞するところによると、今駐留軍がマイクロ・ウエーブで全国的に、或いは札幌—東京間でありますか、建設中だという話、そういう駐留軍のマイクロ・ウエーブの施設のごときは、例えばこれは近いうちに駐留軍が引揚げて行く、防衛庁はこれを当然使う権利もある、又そういう役に立つ設備を現に建設中だと思います。だから私は国の経済から言いましても、二重投資にならないように将来を考え大臣としては決定される必要があるだろうということを痛切に感じますから、今からこの点を大臣言葉は悪いか知りませんが、警告しておきます。
  51. 山田節男

    山田節男君 大臣のさきほどの公衆電気通信法の第二条の第三号の解釈、今大臣がおつしやつてるように、大体この郵政省内の関係当局の部内の意見がまとまつた、こういうようにおつしやつたように私拝聴したのです。これはそういうことになつてもこれは国会として、立法府と行政府とのこの法的の、法律の解釈がそこへ衝突するということは、これ又更に誠に遺憾な状態に発展するようになると思いますので、先ほど新谷君が言われたように、只今あなたがおつしやつた電波法の第四条の第二項の解釈、それから公衆電気通信法の第二条の、殊に第三号の解釈として、政府としてこういうふうに思うということを一つ明確に文書で一つお出し願つて、これは我々としては立法に携わる者として、これは責任あることですから、この解釈をどうするか、どういうふうにきめるか、政府が独特の解釈でやつちや困るのです。この点は速急に今大臣のおつしやつたような状況にあるならば、なお更我々には政府としての法的の解釈としてこう思うという見解を文書によつてお出しを願いたい。委員長にお願いします。
  52. 久保等

    久保等君 それからまあ、只今の問題とも関連しますが、まあ、やはり特に我々の考えるのは、ただ単に第四条の第二項によつて、たまたま出ているところの、今の正力氏のマイクロ・ウエーブの問題のみにあらず、一体電気通信、或いは又無線局の問題をも含めてなんですが、郵政大臣としてどういう基本的な考え方を持つているのか、その点も私はまあ非常に大臣のそういう解釈からすると不安な、心許ない気持がするわけなんです。郵政大臣が今日の電気通信事業というものに対して、又通信の実態から言つて、できれば政府、或いはまあ公社あたりで資金が足りないということであるならば、一つ民間のほうでも大いに手を貸してもらいたいんだというような答弁もせられているように私承わるのですけれども、まあ勿論それが考え方として必ずしも抽象論として私は悪いとは申上げないんだけれども、併し一体みずから今の政府なり、或いは公社あたりで資金が獲得できないけれども、民間つたら資本が集められるんじやないかというようなこと、そのものを私は郵政大臣が或る程度自認されているというような態度というものは、非常に不見識だと思うのです。極論するならば、少くとも電気通信という、この日本の国全体にとつても、勿論国民にとつても重要な通信について、その設備、運用というような問題について、大臣そのものが若干お手上げしたような形で民間で、若し現行法規の上で抵触しないでやれる面があるならば考えて頂きたいと言わぬばかりの法律解釈をされていること自体考えた場合に、私はこの電気通信というものに対する最高責任者の郵政大臣態度というものについて、非常にまあ不安な気持になるので、少くとも電気通信というものは、これは何と言つて公社なり、電電会社に一元的にやらせるという基本的な考え方である以上、私はそういう考え方で、而も又通信というものが所有権そのものが民間にあるという状態において、一体一元的に運営ができるかどうかということを長い目で見た場合に、今日明日だけの問題ならば大して問題ないと思うのです。郵政大臣のお考え方でもやつて行けると思うのです。併し永い将来の電気通信というしのを考えてみた場合、所有権民間にある、而もその裏を返してみれば、これは外国資本によつて実は賄われているのだというような経営状態における通信事業の将来というものを考えた場合には、非常に重大な問題を将来に残して行くと思うのです。だからそういうような問題を、単に第四条の第二項からいつて、そういう解釈も成り立たないことはないからという程度で、そういつた問題に対して私はあいまいな答弁なり、あいまいな態度をとられるということは、非常に将来重要な問題だと思うのです。従つて私はそういう意味で若し第四条の第二項、この条文なり、公衆電気通信法の第二条の第三号なり、そういうものからいつて、果して日本の将来の通信事業の一元的な、又非常に一貫したところの運営なり或いは欠こういつた設備の面についての問題についても、一体憂いがないかどうかということを十分にお考えつて、若しそういつた面から若干法文上の不備があるということならば、この法文なるものをそういう危惧のないような形に改正するなり、何とかするようなことを同時に私はお考え願いたいと思うのです。これに対する当面の解釈というものについての問題は、これは文書で出して頂くと同時に、そういつたような問題についても、私はこの姿上若しいろいろ問題を起し、或いは疑義を生ずるという憂いがある問題については、もう少しこういう形を明確にしたらどうかというようなことも一つ参考意見として御検討つて、同時に若し出せるならば出して頂きたい。附け加えてそのことも一つ併せて要望したいと思います。
  53. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 もう時間をとりませんが、大臣に申し忘れたことがありますから申上げますが前の国会で、やはり波長の周波数の問題でありますけれども、前の国会で我々はNHKの予算の審議に当りましてどうも放送法の精神に照らして根本の第一義を忘れているのじやないかということで非常に不満足を表明したのですが、それは難聴地域の解消問題、それを第一義として、番組の内容をよくすることも必要でございましようし、ローカル放送もできれば必要でありましようが、併しそれよりも第一義は難聴地域を解消することが第一だ。今日どこの電波も入らない地域が相当まだ残つておる。人口から言いますと僅かか知れませんけれども、それはやはり一つでもいいからラジオを聞かせるようにしなければならないということを主張したのですが、大臣はそれについては全く同意見で努力をするということを言つておられた。それで努力の結果が一体どうなつておるのか、本年度の予算も差しくつて日本放送協会は或る程度難聴地域の解消のために具体的計画を進めるということを言つてつたわけです。それが本年度はどうか、私が再三要求いたしました今後の難聴地域解消のための年次計画は一体どうなつておるかということも、今日までまだ何ら資料の提出はない。これは当然次の国会では根本の問題になると思いますが、中間的にでも早くその資料を出して頂いて、そうしてこの委員会でも十分に検討をしてみたいと思います。そこで私は周波数の問題に関連して御注意までに申上げるのですが、長谷君はこの間そういう難聴地域を解消するための電波は一応とつてありますということを答弁されたのです。併し私は具体的に個々の放送所なり中継所なりというものを拾つてみたわけじやありませんが、日本全国を対象として考えました場合には、なお相当に周波数が不足すると私は考えております。それで私の考えが誤りであれば結構なんですが、併しそうでないと、今のようにただ先着順でどんどす許して行くのだというような方針をとつておられますと、結局波長の問題で難聴地域が解消できないというような事態がすぐ目の前にくるのじやないかということを心配するわけでございます。果してこの点がどうかという懸念がありますので、これは大臣に特に御注意申上げるわけなんです。十分お調べ願いたい。これは単に私は民間放送のほうを抑えろということだけを言うのじやありません。NHKの内部におきましても、現に第一或いは第二の大電力放送局の、いわゆる中央放送局の電波が全国中継で入つているところがある。入つておると、それにダブつて今度はローカル放送をやるのだからというので置いておる局が相当あると思うのです。そういう局の電波はむしろ倹約されて、私はNHKとしては既設の局を廃止するということは非常に実際上無理だということを答申されるだろうと思いますが、全国民ということを対象にして考えますと、そういう電波を倹約してでも何とかして全国に電波がたとい第一放送だけでも或いは第二放送だけでも、一つでも電波が全国民に届くような措置をされることがこれは放送法の本当に第一義としてのねらいなのじやないかと考えますので、これの処理に当つて大臣としては一つ思い切つて措置をして頂きたいということを、今日は希望だけにしておきますが、申上げておきます。
  54. 長谷慎一

    説明員長谷慎一君) 只今新谷委員からのお話につきまして私からちよつと申上げたいと思います。日本放送協会が難聴地域の救済のために適当の処置をとるようにということは前回の国会の、今年度における事業計画や予算等をお認め願うときに御決議の趣旨もありまして、協会としても鋭意進めておられます。前国会が済みましてから、直後郵政省といたしましても、協会にその趣旨のことを要望をいたしまして、又協会としては直ちに係官も派遣をしまして、全国で難聴地域と思われるところの実情調査等も改めていたしまして、目下年度計画作つている状態でございます。尤も二十九年度取りあえずやりたいという計画は、一応正式な申請書の形に全部整つておりませんけれども、これこれのところにこういう程度の局を置きたいという希望は私どものほうに呈示されてございますが、まだ年度計画まではできておりませんが、これも近々提出できる見込みだと、こういう報告も受けております。それらを受けましたならば。当省として具体的な置局計画を立てたい、こういうふうに思つております。  なお先ほどお話の出ました現在のチヤンネル・プランでは、去年の春決定をいたしたのでありますが、当時その放送協会が難聴地域の救済ということも考慮の中に入れまして、将来置局をしたいという希望の土地があります。これらを考慮に入れて一応できておりますので、その当時は十分難聴地域の救済のできるチヤンネル・プランになつているのであります。併し先ほど申上げましたように、全国的に今回国会の御要望もありましたので、改めて実情調査をした上で協会が年度計画等も具体的に立てることになつております。それが以前のものと多少違つておりまするならば、或る程度調節はしなければならぬのではないかと思つておりますが、只今まだ具体的になておりませんので、それらがわかり次第御報告を申上げたいと、こういうふうに存ずる次第であります。
  55. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そういうことを言つているのではないのですよ。放送協会から申請があつたのでそれをもとにして、放送協会としてはこの程度まで難聴地域を解消したいという希望を申出れば、それに応じての電波割当考えているという御説明ですが、私はそれでは困ると思うのです。郵政大臣放送法を提出されて、それの執行の責任を持つておられる。そういたしますと、郵政大臣がもつと進んで難聴地域の解消のために努力をしなければならぬじやないですか。放送協会の出して来た置局計画というもので難聴地域の何パーセントを解消し得るのか知りませんが、それでは足りないんじやないか、もつと全国的に難聴地域をなくするための計画を持つて来い、そのためには電波はどうするかということをチヤンネル・プランでも計画を立てなければならなかつたのではないかということを私は申上げている。勿論放送協会から一応出した暫定案といいますか、第一次案についてはお考えでしようが、それ以後の難聴地域解消のための電波は一体どうされるのか、用意しないのではないかということを申上げているのですから、誤解のないように……。
  56. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止
  57. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。明日午前十時から開会いたします。    午後零時四十五分散会