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1953-12-12 第19回国会 参議院 電気通信委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十八年十二月十二日(土曜日)    午前十一時二十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     左藤 義詮君    理事            久保  等君    委員            津島 壽一君            山田 節男君            三浦 義男君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君   説明員    通商産業省重工    業局電気通信機    械課長     森 雄次郎君    郵政省電波監理    局長      長谷 慎一君    日本電信電話公    社副総裁    靱   勉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電気通信事業運営状況に関する調査  の件  (マイクロ・ウエーブの建設に関す  る件) ○電波行政に関する調査の件  (テレどジヨン工業対策に関する  件)   —————————————
  2. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今より委員会を開会いたします。  電気通信事業運営状況に関する調査及び電波行政に関する調査を一括して議題といたします。  通産省森電気通信機械課長が参つておりますが、時間の関係がございますので、テレビジヨン工業につきまして、この際御質疑がございましたら御発言を願います。
  3. 三浦義男

    三浦義男君 先ず御説明をお聞きしたらどうでしようか。
  4. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それでは森課長からテレビジヨン工業について御説明を願います。
  5. 森雄次郎

    説明員森雄次郎君) テレビジヨンにつきましては、十五国会並びに十六国会にお呼出しがありまして、いろいろ申上げたのでございますが、当時はまだ我が国テレビジヨン工業というものが確立していなかつたのでございますので、その時に新谷先生を初め、各委員からこの新らしい工業に対して確固たる対策を講ずるほうがいいだろうというようなお話もございましたし、のみならずテレビジヨン産業といたしましては一番新らしい工業でございますので、この工業がスタートする時に施策を誤つてはいけないと考えまして、日夜そのほうに研究をいたしておりましたが、大体日本テレビジヨン工業が、一応特許契約の問題その他生産分野が確立いたしましたので、十二月の四日の通産省重工業局局議対策要綱がきまりましたが、今までのテレビジヨン工業につきまして、生産並びに輸入状況を御報告申上げます。  テレビジヨンの先ず生産でございますが、生産実績を申上げますと、昭和二十七年度、今年の三月まででございますが、この三月までにはまだアメリカRCA及びアメリカのウエステイング・ハウス、英国のEMI、この特許がございまして、どうしてもこの特許を契約しないと作れない。でございますからして、二十七年度はこれが販売が一応できなかつたのでございます。それで生産実績は、セツトといたしましては千二百六台、二十八年度、いわゆる今年の四月から九月までの実績が七千五百七十二台、合計いたしまして八千七百七十八台というセツト生産されております。次に、キャビネットの中のもの、いわゆるシャーシーと言われております。これはラジオでも御存じのように、箱の中の部分だけでございますが、そのシャーシー昭和二十七年度は百十二台、二十八年度の四月から九月までが三百七十四台、合計いたしまして四百八十六台、こういうふうになつております。次にキッド、これは御承知のように部品を集めたものでございまして、それを買いますと一つセツトになる。コンデンサーならコンデンサースピーカーならスピーカーヴオリユームヴオリユームというふうに部品一つセットに集めたもの、これが二十七年度は千九百七十台、組といつたほうがいいかもわかりません。それから昭和二十八年度、いわゆる四月から九月までが三千百五十八組、合計いたしまして五千百二十八組、これを一応セツトに換算をいたしましてシヤーシーとして合計いたしますと、一万四千三百九十二台のセツトが一応できておるということになつております。  これに関連いたしまして輸入のほうを申上げますと、輸入には三つ種類がございます。一般外貨、いわゆるドルの枠を頂きまして、機械その他申請がございますと割当てるのでございますが、そのチエツクは私のほうでやるのでございますが、この一般外貨で入れましたものが、千百十六台、この千百十六台の内訳は、メーカーが各国の各社の製品を入れまして研究をする、いわゆる回路の研究とか、或いはその他いろいろ研究用に使うために入れましたのと、それから学校視聴覚用教育用といたしまして、特に高等工業学校テレビ技術を今後大いにして行こうという文部省の御方針の下に、学校用、それから次に放送事業用、いわゆる日本テレビ放送網が今東京都内に大体百台ぐらいかと思いますが、大衆用に、見せるためにセツトがありますが、駅とか新聞社の前とか方々にございます。それからNHKがやはり放送事業用、こういうものがいわゆる一般外貨として千百十六台でございます。次に輸出振興といたしまして外貨を獲得したいわゆる振興外貨、現在は特別外貨と言つておりますけれども、この振興外貨によりまして輸出入業者が入れましたものが五千七百三十二台、この五千七百三十二台は二十八年の三月十四日に受付をいたしまして、アロケーシヨンを下ろしたものでございまして、四月以降からはこれは輸入禁止なつております。これはなぜこういうたくさんのものを入れたかといいますと、まだ特許契約国内メーカーがしておりませんために、電波は今年の二月一日から出ておりますために、一時非常にテレビが欲しいと言われる需要面がございましたために、この振興外貨制度によつてこれが入つたのでございます。この取扱は通商局でやつております。次は、御承知のように自動承認制度というのがございましてこれはポンド地域から入つて来るわけなんでありますが、これは銀行承認のみによつてつて来る制度でございますが、この自動承認制度によつてアロケーシヨンの下りたものが千二百台、この制度もこの四月からはこれは停止いたしております。合計いたしまして一万四十八台というものが輸入、で、先刻申上げました生産実績とこの輸入実績とを合せまして大体二万四千四百四十台ぐらいですが、これがいわゆる現在日本に保有されておると申上げましようか、普及されておると申しましようか、あるセツトでございます。  次に、それに伴います普及状況でございますが、これは日本放送協会、いわゆるNHKがいろいろとお調べなつておりますので、NHKが現在二百円の聴視料を取つておられますところの台数が、十一月三十日現在で六千九百十五台という数字NHKから頂いております。そのほか、大阪名古屋はまだ実験電波でございますので、聴視料が取れませんので、この数字がいろいろと出ておりますけれども、これをはつきりと幾台という数字は出ておりませんが、大体トータルして九千台ぐらいのものが、今NHKのお調べでは、テレビを見ておるのではなかろうかと思いますが、それ以外に届けをしておらない方もあるかも知れませんし、或いは試験用として使つておられる方もあるかも知れませんが、先ほどの数字と御比較頂ければ結構かと存じます。  次に、どうしてもテレビに一番大事なのはブラウン管でございまして、ブラウン管、御承知のように影像の出て来るところの電子管でございます。このブラウン管について申上げますと、現在でのブラウン管生産インチ別に一応申上げておきますと、七インチ国産で五千八百三十五台、十インチが五十八台、十二インチが三千百三十一台、十四インチが九百六十一台、十七インチが四百三十四台、合計一万四百十九本、これが九月までのブラウン管国内生産でございます。国内生産に対しまして今度は輸入のほうを申上げますと、先ほどセットのところで申上げましたように、一般外貨といたしまして、これは研究用並びにセットメーカーが現在主務大臣認可を得て技術提携をしておる会社が三十五社ございますが、そういう三十五社のメーカーがお作りになるもの、そういうものが一般外貨として割当になつております。そういうものが三万七千七百九十九本、次にセットと同じく振興外貨によりまして入つて参りましたものが八千五百本、これは大体今年の六月から枠がありませんのでストップしております。次に自動承認制度によりまして入つて参りましたのが、これは我々のほうもはつきり数字がつかみにくい、これは銀行承認で今作業をしておりますのではつきりわかりませんが、大体五千台、これは五月中旬に一応ストップをしております。合計いたしまして約五万本が輸入されておる状況であります。この大きさは大体十七インチが現在需要面がありますので、十七インチが大体のパーセンテージを占めておるような状況でございます。今後は今申上げましたように振興外貨自動承認制度ではもうストップをしておりますので、国内生産がだんだんと向上して参りましたからしてできる限り国産を使つて頂く、外貨の節約をして頂きたい、こう考えております。  次に、それでは通産省としてはどういうようなテレビ工業に対して対策を持つておるかということを申上げますと、御承知のように科学技術研究補助金というのが工業技術院から交付されましたけれども、これに伴いましてテレビ関係の今までの交付状況を申上げますと、応用研究として、昭和二十五年、二十六年、二十七年、二十八年度、この四カ年において取りましたが、二十五年度について申上げますと、二十五年度に応用研究といたしまして七十一万円、これが工業化用としての補助金が九百五十万円、合計千二十一万円が二十五年度にメーカー交付されております。二十六年度は、応用研究用といたしまして千百十五万円、工業化研究用として千三百五十万円、合計二千四百六十五万円二十六年度に交付されております。二十七年度は、応用研究用といたしまして一千一百二十五万円、工業化用としまして二千八百万円、合計三千九百二十五万円、二十八年度は、応用研究といたしまして千七百四十五万円、工業化研究用として千七百万円、合計三千四百四十五万円、が今までメーカー補助金として通産省が渡した金が一万八百六十五万円の補助金を渡しまして、やがて来たるべきところのテレビ工業へということで、二十五年度から今のような補助対策と申しましようか、補助金交付をいたしたのであります。なお且つ、研究用ばかりではございませんで、設備資金といたしまして二十七年度には、御承知のように、二十七年の七月三十一日に初めて日本テレビ放送網に仮免許が下りるという関係もあつて、二十七年度にテレビジヨンという言葉が自由に使えませんでしたので、超短波という名前でございましたが、ブラウン管をどうしても国産化しなければならない。開発銀行の金が、大体一億八千万円から二億円の設備資金をみたのでございますが、二十八年度は、二月一日にNHKの本放送が始まると同時に、衆参両院におかれましても、テレビ工業に対して何か対策を講ぜよというような御命令がございましたので、電気通信関係に大体七億の開発銀行融資只今申請中でありますが、そのうち三億がブラウン管、並びにテレビ受信機設備資金として、現在開発銀行メーカーと我々のほうで審査をいたしております。大体きまるやに聞いております。今申上げましたように、設備資金その他運転資金にいたしましても、長期信用銀行、或いは中小企業金融公庫、或いは中金等に、中小メーカーもございますので、そのほうにも運転資金或いは設備資金の今斡旋をいろいろといたしております。開発銀行の金は、御承知通り資本金一億円以上というような規則もございます。それ以外のメーカーに対しましては、今まで申上げましたように金融機関のほうに今我々が運転資金その他を斡旋いたしている次第でございます。これが大体金融関係の、我々といたしましてメーカと対していろいろと措置をいたした結果でございます。  そういうような状況を以ちまして、今お配りいたしましたテレビ工業確立対策要綱、これにつきまして、先般新聞でいろいろ出たというようなことを委員長から聞きましたけれども、通産省といたしましては、セツトをたくさん作つてもらう、或いは又そうでなくても十万円、二十万円もする奢侈品賛沢である、これは当然であると思います。そういうものを我々はこの経済の浅い我が国におきまして、或いは外貨のない我が国におきまして、率先してやるという気持は毛頭ございません。なぜこのテレビ工業確立対策要綱を作つたかと申しますと、一番我が国産業で遅れているのはエレクトロニックス工業でございまして、この工業なくして今後我々は輸出振興も或いは産業合理化もできない。このエレクトロニックス工業が如何に重要であるかということは、参議院の電通委員各位におかれましても、十分御理解あることと思存じます。一例を申上げますと、捕鯨船にいたしましても、今までレーダーがなかつたために漁が少なかつた。レーダーを取付けましてからは漁獲高がたくさんになつた。ところが西ドイツ、及びオランダ等におきましては、超音波の機器を用いまして、鯨が海底にねているのを、超音波によりましてこれを揺り起して海面に上つて来たものをレーダーによつてキャッチして捕える。そういうように一歩々々と南氷洋においてもこの電子管応用工業が活躍している。  次に、遠隔操縦と申しまして、各電力会社が一々その水門の高さ、或いは又ボイラーの状況を見ることもできませんので、いわゆる工業用テレビジヨンというものを今後これに取付けまして、発電所長室において水門状況を見る。或いは又最近沈没船状況、或いは海底の海流の状況、或いは又魚群状況を見るために水中テレビというものを用いまして、それを見て資源の開発をいたして行く、今度我が国にも、或る社が三重県の真珠状況水中テレビによつていろいろと研究をする、こういうように、ただ娯楽の放送が出ているために、我々はセットを部屋に置いてふんぞり返つて見ているというのではございませんでして、エレクトロニックス工業、こういうようなものに対しましては、今のところそういうものの生産単位が、いわゆる工業テレビジヨンセットが幾ら要る、或いは水中テレビジヨンが幾ら、或いはマイクロ・ウェーブがどうしたこうした、レーダーがどうという大きな問題がございますけれども、その生産対象はつきりいたしておりませんが、テレビジヨンは、国会においても先般御説明申上げましたように、五年後には百万の普及を一応はして行きたいという線を出しまして、それから一応生産対象はつきりいたしますので、このテレビジヨン工業を確立することが、我が国エレクトロニックス工業を確立する最も近道である、こう考えましたために、殊にテレビジヨン工業確立対策要綱を作つた次第でございます。  で、このテレビジヨン工業につきましては、先ほど申上げましたように、どうしても四百の特許がございまして、そのうち四十件のどうしても契約しなければならないその重要な特許RCAWH及びEMIが持つているために、その技術提携を必要といたします。現在我が国において、テレビジヨンを作りたい、現に作つている方もございますが、作りたいという方が約八十ぐらいございます。そのうち御申請がございまして、一応外資審議会において認可になりましたのが三十五社ございます。現在三十五社が認可会社なつております。ここにおいてこの技術提携を、いわゆる特許契約を何の審査もせずに誰でもやらしたほうがいいか、或いは一つの線を出して、それによつて取捨選択したほうがいいかという問題が今後起るかと思いまするけれども、この三十五社に対しまして、現在生産分野をきめて作つておりますけれども、この八月と九月との生産実績を比較いたしますと、いわゆる六大メーカーと言われるメーカーは、八月に対する生産が、九月は一五〇%というようになつておりますのに、小メーカーは、それが三〇%、或いは五〇%というように生産が落ちているということは、テレビジヨン工業、いわゆるテレビジヨンが如何にむずかしいものであるか、高度の技術を要するということと、非常にこれは金のかかる仕事でございますし、もう一つは、普及をしなくちやならない、あとのサービスを伴う、そういうような非常な問題が起きて来ているのでございます。それで中小メーカーの方も、目を、先ほど申上げました工業用テレビのほうにおかれまして、工業テレビのほうを御研究なつている方もございます。或いは又、十七インチのような非常に大きくて高価なものより、インチの少いほうへ、今の技術研究をしておられる、こう私は考えておりますが、この九月、十月は、大メーカーは先月に比して一五〇、一六〇という生産を上げておりますが、それ以外はその比率が下つている。で、先ほどたびたび申上げますように、このテレビジヨンというものは、先ほど申上げたエレクトロニツクス工業の一環でございますので、音響と映像その他いろいろとむずかしい問題がございますけれども、三十五社でいいか悪いかという問題も今後検討しなくちやいけませんが、中には今後非常に受像機品質向上、或いは又生産費を切下げ、いわゆる輸出をして行こうというような優秀な方が出て来られた場合には、この三十五社以外には、外資審議会のほうにお願いして特許契約をさしまして、輸出振興、或いは又工業テレビジヨン、或いは水中テレビのように、又その他、広く言えばエレクトロニックス工業日本産業のために寄与して頂きたい、こう考えてこの産業に関する対策というものを考えたわけでございます。  次に、先ほどからたびたび申上げますように、非常に金のかかるものでございますけれども、テレビジヨン工業というものはほかの産業と違いまして、一番新らしい、而も電波を相手にしましたところの高度の技術を要する。そういう関係からしてエレクトロニックス工業の基盤を作りたい。そのためには今のように設備資金斡旋いたしまして、それだけの力を保有しておきたい。こういうものは先ほど申上げたように捕鯨というような一つの食糧問題、或いは又電力というような大きな問題、それにも寄与いたしますために、設備資金及び運転資金をできる限り御斡旋してもらいたいというのが、この生産対策の第一項に語われているのでございまして、その金額は先ほど申上げました。今年は、セツトに関しましては三社、それからブラウン管につきましては三社、ダブりますが、全体で四社に三億の融資を見まして、エレクトロニツクス工業の基礎を、いわゆる工業力を保有してもらいたい、こう考えているわけでございます。それ以外に運転資金といたしまして、それ以外のメーカーは、長期信用銀行、或いは又中期、或いは中小企業金融公庫のほうにいろいろとお願いをして御理解を得て融資が出ていると考えております。  第二番目には、試験研究用補助金交付でございますが、これは先ほど申上げましたが、来年も工業用テレビジヨン水中テレビジヨン、又、トランスを用いますと非常に高価になりますので、トランスレス真空管を用いたセット、こういうものに対する試験研究補助金につきましていろいろ考慮を払つて行きたい、こう考えております。それからなお、こういうものを作りますのには、何分にも素材並びに部品品質を高めなくちやいけない。素材にいたしましても、純度の一番高いニッケルというのは日本でできません。その他いろいろな問題が出て参ると思います。最近、よく皆様御承知のように、トランジスター、或いはゲルマニユームなども、欧米品に比較いたしますと純度が非度に低い、こういう問題がございまして、これらの品質の確保をいたしますためには、先ず差当り今までの国内規格、いわゆるJISではとても品位が上りませんから、JISの改正をし、或いは又JISを新らしく設ける、或いは又その他いろいろな問題が起つて来るかと思いますが、これは今後我々といたしましては、各関係官庁と協議をいたしまして、これが強力に指導を推進して行きたいという考えを持つております。  第四番目は、これは工業技術生産審議会でございまして、昨年の暮の工業技術生産審議会の中に、テレビ部会というのが設けられまして、先ほど申上げましたように、RCAWH及びEMI特許の問題その他を解決して行きたいというので、その効果は現われましたけれども、来年は一つセツト品質資格審査会をやつて技術向上をして行きたい、こう考えております。  それから輸入対策でございますが、これは先ほどセツト、或いはブラウン管でも申上げましたように、輸入を絶対にとめるという方法ではございませんけれども、外貨は今非常に苦しいし、国際収支をバランスするという意味におきましても、できる限り国産品で賄う。どうしても国産品でできないというようなものにつきましては、これは輸入で補償はして行きたい、できる限り国内で使われるものは国産品を以て賄つてもらいたいという思想で、この一般外貨による輸入を考えておるのであります。この輸入につきまして、本当に御参考でございますが、衆議院からの御要求もございまして特に日本銀行為替管理局調べましたのですが、昭和二十六年、二十七年、二十八年の上期に、全産業で今まで外貨を支払つておる金額が六十五億でございます。六十五億の技術援助資金が海外に出ており、そのうち通信機関係が七億五千万円、約十一%になつております。これは先ほど申上げましたように、各社外国会社技術提携をやつており、その支払額、或いは又テレビならテレビパテント料、そういうものが全産業で六十五億、これは上期までに六十五億、そのうち通信機関係が七億五千万円、通信機関係で一番多いのはRCAでございます。これと先ほど申上げましたようにセツトなり、或いはブラウン管なりいろいろと外貨が出ております。一方、我が国の有力な会社外国会社技術提携をし、特許契約をし、設備機械を入れ、而も政府から補助金をもらい、或いは設備資金開発銀行融資をもらつてまで、それまでにしてまだ十七インチセツトを入れなければいけないということは、我々としてはもつともつと謙虚な気持で反省をして行かなければならない、こう考えますので、輸入につきましては、たびたび申上げますように、どうしても日本品質が悪くて駄目だ、或いは日本には絶対できないというようなものがある場合はともかくといたしまして、テレビに関しましては、今後できる限り国産を使つて頂きたいというのが、この輸入方針であります。  併しながら機械は入れる、或いは金はみる、生産はするが、今度は普及はどうかというような御質問があるかと存じますが、普及につきましては、日本放送協会も、或いは又我々のところも、郵政省電波監理局も、或いは工業界も、或いはメーカーも、これは打つて一丸となりましていろいろやつておりますが、ここに書いてございますのは、先ず第一に、テレビジヨンにはサービスをしなくちやならん、これは国会でもたびたび各委員から言われましたが、ただサービスというのは非常に私はむずかしいことと考えます。特にこういう高価なものをサービスしますのは、やつぱりよく早く低廉に、そうしてテレビのように特に明日の何時の野球なら野球を見たい、それに間に合うようにしなくちや意味がない。それにいたしますためには、どうしても十分優秀な測定器を備付けまして、これをやつて行く、そういう関係サービス業務運営を指導して行きたいということは書いてございますが、十二月一日に日本テレビサービス網協同組合というものが中小企業庁の御斡旋によつてできまして、これは大体会員が十二社ございます。本放送電波が関東一円だけでございますが、名古屋大阪まで電波が出るようになれば、この協同組合が大きくなる。そのためにラジオ商店がいろいろと今後は第一線で又やつて頂かなければならない。で、現在のラジオ販売店にも今度は我々といたしましても呼び掛けまして、一つ協同組合を作つて立派にサービス業務をして頂きたい。これに対するいろいろな運転資金設備資金はこれは我々のほうから中小企業庁のほうへでも連絡いたしまして、協同組合によるいわゆる中金からの御斡旋をして頂きたい、こう考えております。  次に、このラジオは非常に複雑だ、先ほど申上げましたように複雑な高度の技術を必要といたすのでございます。一例を申上げますと受像管の回路には高電圧、一万ボルトから二万ボルトの高電圧がかかるのでございます。これをちよつとわかりやすく申しますならば、電燈から取りますと、電燈からは百ボルトの電流が流れておりますが、この百ボルトを一応トランスによりまして一万ボルトに上げるのでございます。而も電燈から来ている電流は交流でございますので、ブラウン管に電子が飛ぶときは直流に直さないと飛びません。これを直流に直して、いわゆるトランス、変圧機と真空管によりましてこの百ボルトの交流の電力を一万乃至二万の直流に直しましてブラウン管に電子が至りまして影が出る、そういうような状況でございますから、さわりますとこれは人命に危険を及ぼす、而も二十個くらいの非常に高度の真空管を使つております、又部品の数にいたしましても非常にたくさんの部品を使つておりますために、これを直すためには高度の技術が要る。ラジオにつきましては、ラジオ受信機修理技術者検定を昭和二十六年度は通産省で行いまして、二十七年度は通産省並びに郵政省の共管になつておりますところの財団法人電波技術協会にやらしておりますが、このテレビ受信機修理技術者も、現在の通産省の告示を直しまして来年度からはテレビ受信機の修理技術者の検定を財団法人電波技術協会にさせて、国民全般の技術向上をして正しい修理を、サービスをしてもらいたいというのが第二項でございます。  次には月賦販売、これはラジオにつきましては、NHKの非常な御協力を得まして、現在六千万円かと存じましたが、資金が中金からこの月賦販売会社に出ておりますけれども、テレビは御承知のようにラジオと違いまして非常に高いものでざいます。又この期間も六カ月ということでは恐らくなかなか普及いたしませんので、この受信機の月賦販売方式を各関係官庁並びに関係団体と今後協議をして行きたいと考えております。  次に普及型標準受信機、これは十五、十六国会において特に参議院の電通委員のほうからお話がございましたので、現在電波技術協会へ通産省からも、郵政省からも、NHKからも、ラジオ東京及び日本テレビ放送工業界、業界代表、各関係機関がよりより集まつて研究をしておりますが、大体十二月中には一つの案が出て来るかと思います。それが出て参りましたら、通産省郵政省でこれをいろいろと検討いたしまして特に現在受信機には課税されておりませんが、先般の税制調査会でセットには三〇%の課税をするというようなこともありました。やつと立上つたこの工業に非常に多額の課税をされることも、この工業を育成するために或る点支障を来たします。併しながらそればかりを阻止するのも芸でございませんので、早くこの普及型標準受信機というものを作りまして、一般大衆へ普及し、それには免税をさせて頂きたい、こう思つてこれができましたならば、衆参両院の電通委員にお願いをいたしまして、最後はそこできめて頂きたい。国民一般へ安いセット普及して行きたい、目下これが研究をいたしておりますが、この普及型標準受信機は、それでは一体どのくらいかというようなことを聞かれますが、いろいろと家庭にありますところの文化財或いは必需品、そういうものを考えますと、十万円以上のものと申しますとピアノぐらいのものでございます。ほかにはそういうものは余り見当りません。高級な写真機も十万円くらいのはございます。そういうものでなくてラジオ、或いはテレビ、或いは電気洗濯機、或いは自転車、ミシンというように、国民にすぐに入つて行くためには、どうしても五万円以上であつてはいけない。五万円を一つの目標として、差当りは目標として行くべきである。百万の普及のときにはもつとこれを下げてもらわなくちや普及ができない。今現在十万円、十五万円というようなことでは、とても一般大衆には普及しない。ですからして価格の面では一応の目標を大体五万円としてこの普及型をきめて行きたい。  それから次に、それではサイズはどうか、サイズから検討いたしますと、建設省に聞いてみますと、国民住宅の平均間数が五・六畳ということになつておりますから、大体六畳、六畳そのものが空いておるということは殆んどありません。まあ箪笥とかいろいろなものを置きますので、六畳ヘテレビを置きましたならばどういうサイズが一番いいか、もうこれは御覧になつた方はおありと思いますが、やはり視覚の問題もございますし、それから映像がはつきりする、ぼやけるという点もございますので、それで大体十二インチ以下がいいというようなことが言われておりますが、十インチ一つの中心として、七インチとか或いは十二インチとかいろいろあると思いますが、そういうことが六畳の間にはよくはないかと、こう考えております。又電力は、非常に我が国電力事情が悪いのでございますが、現在二百ワット或いは二百五十ワット電力を食つておりますので、これではとてもいけません。電気冷蔵庫、洗濯機にいたしましても、家庭用は百ワット、業務用は三百五十ワツト、こういうことになつておりますので、電力消費量から考えますと、少くとも百五十ワット以下ということも出て参ります。又使われますところの真空管の数につきましても、その真空管もなかなか安いもので、ございませんので、これも二十個も三十個も使われてはいけませんので、やはり十五球以下というように真空管の数からは一つの線が出て来るのではなかろうか、こういうふうに各項目ごとに検討いたしまして、早くこの標準型をきめまして、普及の促進をして行きたい、こう考えておる次第でございます。  それから次に、よく受信機を見ますと妨害電波が出ておりますが、これには二十七年度に百四十万円の研究補助金電波技術協会へ工業技術院が補助しております。これは主として自動車のプラグから出ますところの妨害電波を如何に防止するかということで、大体の線が出て参りましたが、今年は七十五万円の同じく電波技術協会に補助金を出しまして、その他の電気機器から出ますところの妨害電波の防止を研究をお願いいたしておりますが、まだそれ以外にいろいろの受信機に対する雑音電波がありますので、引続いて各項目についてこれらの防止対策をして行きたい、大体こういうような線が十二月四日に局議できまりましたところの受信機対策テレビジヨン工業確立対策要綱の大綱であります。  それから次に、今普及型が出て参りましたので、ちよつと御参考までに申上げておきますが、アメリカにおきましては十九インチ以上のセットが六七%を占めております。聴視者が大体二千四百万、二千四百万の聴視者に対しまして十九インチ以上が六七%、英国におきましては大体聴視者が二百四十万ございまして、そのうちの六五%が十二インチなつております。それからフランスにおきましては、これは昨年の数字でございますが、五万五千の聴視者に対しまして十四インチが三八%、それから十二インチが二〇%、その他ということになつております。それから西ドイツにおきましては、一昨年の普及が一万でございますが、これは十四インチ、イタリアにおきましては、普及型を六インチときめておるそうでございます。ソ連におきましては一九五一年に聴視者が六万、これは六インチ普及型としておる、これが各国の受信機のサイズ別の普及状況でございます。こういうことも今後我が国テレビ普及の、或いは又普及型標準受信機をきめる場合の一つの参考になるかと考えております。  以上大体大綱だけを申上げました。
  6. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今説明に対して、御質疑のおありの方は御発言を願います。
  7. 山田節男

    ○山田節男君 テレビジヨンを含めたエレクトロニツクス工業対策要綱の中に、先ほど説明があつたように、日本は非常に技術、資材等において遅れており不便である、それで当面の問題としては、やはり特許の問題、パテントの問題が一番重要じやないかと思う。で、先ほどの説明によると、パテントについて、外資審議会において、その審議によつてパテントの購入といいますか、きめるということになつているんですが、これは一昨年、RCA、ウエステイング・ハウス、その他電信電話会社のパテント関係の問題が論議されたときに、アメリカではこの業者すべてが日本に対しては、特にパテントについては非常に犠牲的な気持を持つておられる。で、これはアメリカ気持から言えば、勿論両社で直接パテントの種類なり、或いはロイアリテイの問題をきめるということは、これは私は極めて自然だろうと思う。併し今言われたように、これは外資というものに依存しなければならん。従つてそれに含まれておる生産コストという問題について、これを通産省が十分監督しなければいかん。これは当然です。で、当面としては外資を統制するか、レギユレイトするという意味外資審議会を持つてパテントの問題を審議するんだろうと思いますが、この日本のように、これからエレクトロニツクス工業という、テレビジヨンを含んだ極めて広汎な重大な産業を発展させるということになれば、これはもうパテントというものは先決問題である。で、私はこういうことはできないかと思うんですが、パテントに関して、勿論パテントを買つた者がロイアリテイを払うんでありますけれども、一応イギリス、アメリカ、或いはドイツ、こういつたようなエレクトロニツクス工業に対して、パテントはここに四十件ということが書いてありますが、これは我々の了解する点において、エレクトロニックス工業全般から言えば、このパテントは大変な数になるというように理解しておる。これは勿論電信電話というものを含めこのエレクトロニックス、又更に今の計算機械、或いは将来兵器関係において、何といいますか、無線誘導爆弾というものはすべて電子でやる、エレクトロニツクスを利用するということになれば、これは非常に広汎なものになつて来て、パテントも八十や百五十ではなくなつて来る。そこで政府としては、これはテレビジヨンはその中の一つの小さいものであつて、もつと大きいエレクトロニツクス工業という立場から来ると、そういう広汎な数の多いテントというものを国家としてどうするか、これからもう如実に向うから入れなくては、日本工業技術の基礎ができてないという現状、そうすると現状のようなパテントの取扱方でいいかどうか。もつと具体的に言えば、これはドイツとかイギリスのパテント、これは数が少いかも知れんが、差当つてアメリカの諸会社が持つておる数多くのパテント、而も我々がこの専門雑誌で知り得る範囲においても、これほど日進月歩のものはないわけです。電話のごときも、私三日ほど前にこれを見てみても、ダイヤルを廻すのは古い、ボタンでやつておる。これはスウエーデンで実現し、アメリカも製造会社がこれをやつておる。こういうように非常に日進月歩でスピードのこれほど著しいものはない。パテントは次々できる。これを果して今日の貧弱な民間のメーカーだけに依存しておつていいかどうか。それから外資審議会のような極めて狭いチヤンネルを通じてどうしてやるかということが、そういう非常にスピイデイに発達しているエレクトロニツクス工業というものの水準に日本が追い付くためにそういうシステムがいいかどうか、私は疑念を持つているのです。そこで通産省でこういうことを考えないのですか、パテントの、例えばアメリカのたくさんのパテントというものは、これは民間が外資をどうしても政府に依存しなくては取られんという立場があるわけですから、このパテントを向うから入れる場合、ロイアリテイの問題、或いは契約の問題というものを、これを少くとも通産省或いは電波監理局、そういう電波関係のある政府の省がその間に入つて、向うに対しても保証を与えると同時に、メーカーに対しても保証を与える。外貨の面においても政府がこれに対して保証を与えるというようなこと、政府の現在どうもやつているのを見ると、パテントの問題も、この夏以来、今お話になつたように、メーカーの希望者が非常に多く、極めて僅かな、いわゆる外資審議会で言う優秀な、信頼し得るメーカーだけにこれを許す、こういうやり方が遅れているエレクトロニツクス工業を急速に発展せしむるポリシーとしてこれが妥当であるかどうかという私は疑問を持つているわけなんです。このパテントの問題を中心として、現在はこうやつているということの御説明だが、併しどうも私の部分的に聞いた範囲では、この点がどうも私はあぶなつかしく思うのですが、この点についての要綱は、こういう要綱が出ているが、併しながら果して私はこれでいいかどうかということに対してまだぴつたりいたしません。安心できないのですが、そういうことは政府が考えておられるところであるかどうかということを先ずお尋ねしたい。
  8. 森雄次郎

    説明員森雄次郎君) お答え申上げます。十六国会のときも、同じく山田先生からそういうお話がございまして、特許を取るについて、政府が特許を買う、或いは又はプール機関を設けて、これでやつたらどうかというお話がございました。現在は政府が特許を買うてやるというようなことは、私が聞いておる範囲ではできないように聞いております。現在は各メーカー外国のエレクトロニツクスに関する会社と個々に契約をいたしましたものを我々が書類を審査いたします。それが企業局のほうに廻りまして幹事会を通つて外資審議会に行く。で、今山由先生が言われましたように、いわゆるエレクトロニツクス工業ばかりでなくて、その他もつとほかのいろいろと技術的な工業が大分ございますが、それは私が考えますのは、いわゆるスタックがございますものですから、スタックでそういうことをお考えになるのが一番よくはなかろうか。通産省が特にこのエレクトロニツクスだけそうするということは、二十七年度に大蔵省の予算のときに、一応金額は忘れましたが、一億か二億ほどの金額でパテント予算を取ろうとやつたのですが、その内容を突つ込まれたときに、ちよつと十分な御返答ができなかつたということは、今先生がおつしやつたように日進月歩で、新らしいどういうようなエレクトロニツクスの機器が出て来るかわかりませんものですから、従いましてそういう科学技術、特にパテントの問題はスタックで何かお考えになるのがよくはなかろうかと思います。現在通産省としてはちよつと無理じやないかと思います。
  9. 山田節男

    ○山田節男君 僕の質問しておる点は、何も政府のプールで、パテントを政府の金で買つて民間に分け与えるという意味ではなくて、非常に数多いパテントであり、それが而もどんどん殖えて行く、これを一民間会社が各自随意契約でやつておつたならば、今日におきましても各会社が非常な競争をして、例えばRCAの或る一つのパテントを、三つも四つも五つも同じようなパテントを企業者が取つて、而も競争をしている。これは私はアメリカのそういうパテントの保有者にとつても非常に迷惑な話だと思うのです。RCAのストラウス氏が今年でしたか来たときに、社長のストラウス氏自身がそういうことを言つておる。だから私の申上げたのは、何といいますか、政府が一つ斡旋をするだけであつて向うの大きなメーカーならこれは知つておるかも知れませんが、併しこれからよくなろうとする、或いは本当に小さいけれども一生懸命にやるという、まあ天才的なメーカーになるべき素質のあるものは、金がないからそういうものは取れんというのが現在です。だから優秀な技術をやるということは、単なる大メーカーばかりを援助するのではいつまでも進歩するということはない。アメリカのような実情から見ればなお更そうだと思うのです。だから幾らアマチュアでも、そういうものを研究するという余地を与えるところに技術の進歩がある。そういうプールを作つて金を世話するということではなくて、向うに対しても通産省なら通産省がパテントを責任を持つて配分する、それから外資の問題についても、一外資審議会で五十やつて四つか五つしか取れんという、そういう窮屈なことをしないでできるような何か政府の特別の措置をとつて、スムースに、而も両方に有利のように、而もこのスピーデイな進歩しているエレクトロニツクス工業の発展のために、パテントに関しては現状止むを得んのだから、これだけは政府の金を使つても、或る一つの民間のメーカーに対して、やはりスムースに、時間をかけないで、もつとどんどんパテントの使用をやることが必要じやないか。これは過日のパテントの問題で、あのときに業者がわあわあ言つているのは、結局そこに非常な大きな隘路があるために、ああいう問題が起きて来る。だからこういう問題が起らないように、而もエレクトロニツクス工業の基幹になる方面のパテントの問題をもつとスムースに、的確に、適正にメーカーに使用し得るような補助政策なり、斡旋政策というものを考えられるかどうかということを私聞いておるのです。その点はどうですか。
  10. 森雄次郎

    説明員森雄次郎君) 今いろいろ御質問がございましたが、私は実はそういう初め考えを持つておりましたのですけれども、いろいろとほかにも、このパテントの問題は各産業にも特に関連して来ておりますが、先ほど申上げましたようにエレクトロニツクス工業というものが特にこれは遅れておりますし、又特にこれが必要である、又この技術が余りにもほかの産業と比べまして日進月歩であり過ぎるというような点もございます。今後少し勉強いたしましていろいろ研究してみたいと思います。
  11. 山田節男

    ○山田節男君 折角非常に努力されて非常にいい要綱だと思うのです。大体にプリンシプルにおいてはいいが、併し今のように実際問題として現実の問題として最も効果的に行かないと、如何に立派な要綱であつても、業者側の要求が率直にこれが容れられないということでは、本当にこういう工業で、特殊の工業であるがために時聞という問題がある、外資という問題があるということがありますから、政府はいろいろな措置があるが、殊にパテントは遺憾ながら将来も外貨に依存するということは非常にこれはますます強くなると思う。だからこのパテントの対策という問題は、根本においてはいいかも知れませんが、現実の問題では、こういうことでは非常に業者も困る。今のようなことがやはり一つの隘路になつておる。ですからこの点は一つこういう要綱に基いて、或いは新らしい構想で、パテントについては、殊にこれは通産省のただ一つ外貨という問題だけでなくて、産業政策であり、重要な将来の日本のあらゆる分野のためのこの基幹産業だというような観点から、一通産省の管掌事項とするべく余りにこれは大きな問題だ。こういう電波監理というものは、官庁と民間のメーカーとがやはり密接な有機的な連絡の下にやられないと、如何にあなたが一生懸命におやりになつても、一人で舞台を廻つているということになつてどんどんそういうことがうまく行かないで遅れて来る。殊にこの事業ではそういう点が実は憂えられるから、もう一つ新らしい構想の下に、案だけでもいいから当委員会一つ通常国会再開までにお示し願えれば非常に結構だと思います。希望を申しておきます。
  12. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) なお、只今の問題につきましていろいろ御意見があると存じますが、この際、長谷電波監理局長から、最近海外の情勢も見て来られましたし、その後の電波行政一般につきまして御説明を願いたいと思います。如何でございますか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)
  13. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) 御説明申上げます。先般政府の命によりまして、第七回の無線通信諮問委員会の総会に出席をして参わました。この無線通信諮問委員会は、御案内のように国際電気通信連合の中の一つの機関として設けられておりまして、主として無線通信についての技術上、運用上の諸問題を専門的に検討します一つの国際機関でございまして、大体今まで支障がなければ二年に一度くらいの割合で開催されて来ておつたのでありますが、今回日本が国際電気通信連合に復帰をいたし、又平和条約の締結を見ましてから後最初の総会でございましたので、日本政府から私外一名及び日本電信電話公社、国際電信電話株式会計並びに日本放送協会合計五名の者が代表団ということになりまして出席いたしました。  大体参加国は四十数カ国、その他いろいろ通信関係会社、諸団体を入れますと、参加団体が合計で五十数余になり、又参加した人は約三百人余りの大きな会合でございましたが、先ほど申上げましたように極めて技術的な専門的な会合でございますので、実際の会議が行われるに当りましても、十四の部会に分れて約一ト月の間各代表とも非常に熱心に討議をされまして、去る十月の七日に最終の総会を開きまして、今回の会合を閉じたようなわけであります。日本からは約五十件に余るレポート、調査研究の報告、或いは提案等をいたしておりまして、各国とも日本が非常に今回の会議に貢献したということを認められて来たような次第であります。日本からの報告や、それから提案等につきましても、相当多くのものが取上げられたような次第でございます。  大体、私が今回出席いたしました会合の大体の模様を申上げますと以上のようでございますが、今回の国際無線通信諮問委員会の総会の模様といたしましては、今までよりも参加国が協調をしまして、割合に結論をよく出す、今まで非常に長い間懸案であつたようなものも一つの結論を出したということは、割合に目立つたような気がいたします。これはいろいろ国際情勢の動きもございましようけれども、先ほど申上げましたように、極めて技術的な問題でございますので、もう一つの理由は、主催国であつた英国政府が非常に朝野を挙げて力を入れてくれましたこと等もありましたのではないかと思うのでありますが、予期以上の成果を挙げたように存じております。  なお、当面の日本における電波関係の問題でございますが、御案内のように去る九月に日本におきまして政府で免許をいたしました無線局の数が一万を突破する状態になりました。このように日本に、我が国における電波の利用が最近とみに盛んになつて参りましたのは、国会の諸先生初め各方面の方々が、電波の極めて国家的にも重要であり、これが正しき方向に向つて合理的に利用し発展して行くことについて、直接間接に御指導を願つて来たことの現われではないかと思いますが、この無線局の数はいわゆるアマチュア無線の数を除いて考えますと、アメリカ、イギリスに次いで世界で第三位に位する状態になつたわけであります。まあそれと共に日本においてそのようにたくさんの無線局が日夜運用されておりますので、その運用上、たとえて申上げまするならば、電波の混信とか或いは相互に妨害を及ぼさないように運用して行くということの監理、そういうような点も極めて複雑に、又量的にも質的にも仕事の分量が殖えて来ておる、こういうような実は状態にあるわけでございます。各国の電波の監理の仕事の様子を見ますと、いわゆる郵政庁と申しましようか、いわゆる通信主管庁がすべてこの監理をいたしておりまするけれども、最近各国とも無線の利用が活溌になつて来ておりますので、あらゆる無線、いわゆる電波の利用面を通じてこれを統一的に統制して行かなければならない。そういう観点から電波統制の仕事が大きく取上げられて国家的に統一された形において監理されて行こうとしておる。現在されておるところが大部分であり、又そういう線を強く出そうとしておるように思われます。例えばアメリカにおきましても、御案内のように連邦通信委員会は民間の通信だけの監理をしておるわけであります。そのほか御案内のように国、政府、陸海空等の防衛関係のものを初めといたしまして、政府関係のものは、只今申上げました連邦通信委員会の監理外にございますが、これらとの間の総合的な調整は、御案内のようにインター・デパートメント・ラジオ・アドバイザリー・コミユニテイがいわゆるその間の調整を図つておるのでありますが、なおそれだけの形ではできないので、これもなお一層考慮しなければならない、組織と申しましようか、そういう点でも一考を要するのではないかということで、大きな研究問題になつているような様子であります。と申しますのは前々からも当委員会でも申上げましたり、或いはいろいろ御意見も頂いておりますように、最近と申しましようか、一九四七年のアトランチツク・シティの会議以後、電波の国際的な監理ということが極めて具体的になつて参りました。従つて国際条約上、各国のいわゆる軍用に使う通信は条約の定めるところによつて、場合によつてはこれを何と申しますか、自由を留保する条項がはつきり語われまして自由行動が留保されておりますけれども、併しながら実際上は、使われる電波一つであります。同じことでありますので、結局各国が軍用に使うものであつても、何らかの形で、国の権益としてこれを確保する必要がございますので、軍用の祕密のような点はあるかも知れませんけれども、国として一般プライベートな電波の使用、公衆通信のような、国家としての行政上必要な通信等のものと、軍用のものとを一括した形で、先ほど申上げましたように、国全体として総合された、統一された形で対外的に当つて行かなければならない、こういう線が強く出て来ておるように存ぜられます。  そのほか日本の当面の電波の問題といたしましては、民間放送の許認可の問題もございます。今年の初めに御報告申上げましたように、無線局の免許の期限が参りましたのを機会に、電波の割当の再編成を考えまして、各方面の方々の御意見も頂きまして、いわゆるチャンネル・プランというものを作り上げまして、その線に従つて、在来のものの再編成を行うと同時に、新らしい申請の許認可の問題を片付けて参つたんでありますが、只今までまだ未解決のままで残つておるものがまだ数件ございます。それらにつきましては、最近調査並びに審査のほうも大分片付いて参りましたのがございますので、近々審査結果を得たものから許認可の問題をきめて行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。又テレビジヨンは、先ほど通産省の担当の方からもいろいろお話がありましたように、昨年から今年にかけての電波界にとつて、最も刮目すべきことの一つであつたと思いますが、これもお蔭を以ちまして多少受信機の普及等の点等におきましては、予想よりやや下廻つておる点もあつたかと思いますが、順調に進んで来ておるように存ぜられます。  なお、テレビジヨンは、単に放送という面から見ましても、御案内のように、非常に威力を持つておるものでございますので、関係者はその発展を期すると共に、東京ばかりでなくて、ほかの土地でも是非早く始めたい、こういうような意向も強うございまして、かねて御報告申上げてございます通り大阪名古屋を初めといたしまして、北は北海道から南は九州まで、各地でNHKの手により、或いは民間放送の手によつてテレビジヨンを始めたい、こういうような申請もございます。併し何と申しましてもその放送を行うのには、施設におきまして、又運営上莫大な費用を要します。これを受けて楽むと申しましようか、受けるほうのいわゆる受像機普及ということが並行的に行われなければ意味のないことでございますので、受像機生産並びにこれの普及というようなこととも睨み合せつつ許認可の仕事を進めて行かなければならないと存じておりまするが、すでに大阪名古屋等におきましては、NHKによつて相当長い期間実験的な放送も行われて来ております。その大阪名古屋につきましては、東京と共にテレビジヨンについてのチャンネル・プランもできておりますので、この方面のテレビジヨンの許認可の問題もそう長く延引はできないのじやないか。成るべく早い機会に十分検討いたしまして、各方面の御意見を十分頂いて慎重を期さなければいかん問題でございますので、今申上げましたように、各方面の方々の御意見を十分頂いて適正な処置をして行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。  なお、御質問に応じまして追加的にお話を申上げます。
  14. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 只今ラジオ及びテレびジヨンの許認可につきまして、近々解決しようというものもあり、或いは慎重を期しておるものもあるというお話ですが、もう少しその内容を具体的に、いろいろ問題がありますが、国民の代表としてよく伺つておきたいと思うのですが、もう少し具体的に御説明を願いたい。
  15. 山田節男

    ○山田節男君 今の委員長の御意見ですが、これは何ですが、大体外国状況報告を主題にして報告がございましたが、これはテレビの問題も若干聞きたいこともありますが、外国の報告の中で私一、二質問かある。私も実はほかの会合で遅刻して来たのですが、来年早々、休会中でも委員会をおやりになる意向があるかどうか。通常国会再開前にやはり今おつしやつたような問題をやらなければいかん。衆議院はやつておるが、こつちでは全然タッチしていないのですね。それらを勘案して委員会を開かなければならんと思うが、先ずその先に外国に行かれたのですから、外国のやつを質問して、それから国内問題をどの程度にやる、時期の問題等いろいろ質問もありますが、本年はこれで最終回、来年の十日以降において一回なり二回なり、今の国内問題について、電気通信行政について、国政調査とかいろいろ審査する会合に上程し得ると思う。この点一つ明らかにして頂きたいと思います。
  16. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  17. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 速記を始めて下さい。
  18. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。只今御質問の点は、主として放送関係の問題というふうに伺いますので、取りあえず放送関係について申上げたいと思います。放送関係の許認可の問題としましては、先ずNHKにつきましては、二十八年度の事業計画によりまして逐次計画を立てて私どもに申請をしておりますが、これは予算と共に国会の御承認を得た線によりまして、又先ほど申上げました、この春、放送局の電波の割当の再編成のされました線に沿うてNHKのほうでも申請を出して来ておりますし、私どももその線に沿うてこの処理をして行こうと、こういうふうに考えております。なお、その対象になつておりますのは、大部分は既設の局の増力、これも今申上げました再編成の計画の線に沿うての増力でございますが、及び中継局と申しまして小さな電力のものを、まだNHK電波の十分行届いていない所に設けようと、こういう程度のものでございますので、大体大なる問題はないと存じております。  次に、民間放送でございますが、現在まだ未処理のままで残つておりますのは、大体先ほど申上げました電波の割当の計画によつて割当があるけれども、まだ申請の処理がされていないのは、東京に一件、一件と申しますのは、電波の数が一つであります。申請者は大小を合せますと、約五社になつておりますが、そのほかに浜松、それから佐世保と山口、これだけがそのまま未処理になつておりますが、これらはいずれも競願の形になつておりますので、私どもといたしましては、最も公益の増進と申しましようか、その土地の方々の公益上の点を考えて、この点は処理をして行きたい。こういうことでそれぞれの土地についての調査を実は進めておるわけであります。所によりまして競願になつておつたのが、相互にお話をされまして、その競願の状態を解消されつつある所もございます。又そのほかに宮崎につきましては、割当量、電波一波の割当があるのでございますが、これは現在まで申請が行われておりません。そのほかに民間放送NHKと並んでできるだけ多くの人にも聞き得るようにするということで、先ほど申上げました今年の春の電波の割当の計画も作つたのでありますが、或る土地について電波及びそれの電力と結び付けて割り付けた計画以外に、補助的に民間放送が聞けるように放送局を置きたいけれども置けない、そういう所に順次補助的に置いて行きたい、こういう所が相当現実にございますし、今後も起るだろうというので、民間放送のために、中継用の電波として特に場所を指定せずに、その電波をその計画の中に入れておく、これはNHKについても同様な考えで、中継用の電波を第一放送、第二放送それぞれ三つの電波をきめてございますが、その三つの電波について、現在の民間放送が十分聞えないで、もつとそちらのほうまで聞かしたいと思うような所に補助的に置いて行くためにこれが留保してあるわけであります。その電波によりまして、これは百ワット以下の小さなものでありますが、従来まで補助的な局が全国でも数カ所、十局余りまで設けられておりますが、これによつて、例えば東京附近、或いは西日本のほうにつきまして設けたいということで出願が出ておるものがございます。これは数にいたしますと相当多数ございますが、本来、先ほど申上げましたように、民間放送が十分聞えない所に聞えるようにという補助的な意味での電波でございますので、そういう面から先ず第一に考えてみたい、こういうふうに思つております。例えば民間放送が十分現在聞えておる所ですけれども、そこに更に今申上げた補助的な電波を使つて、いわゆる小規模な放送をやりたい、こういうような御計画も中には出ておるのでありますけれども、先ほど申上げましたように、これらの電波は補助的なものである、こういう点の趣旨から割当てられた経緯等も十分考えて処置をしたい、こういうふうに実は存じております。そのほかに増力をしたいというのでは、これも計画の上で認められている範囲内での問題でありますが、東京の日本文化放送というのが五十キロに増したい、こういう希望もございますし、これらについても実は審査を進めておる状態でございます。  そのほかに私どもが今後処理をしなければ言ぬということでいろいろ検討いたしております問題は、外国による混信問題であります。これは現在相当混信の事実があると認められまして調査その他を進めておりますのは、具体的に申上げまするならば、九州のラジオ九州及び北海道の北海道放送がそれぞれ直接、或いは隣接の外国電波のために妨害を受けております。そのほかにも一、二ございますし、又前後になりましたけれども、NHK放送局についても、相当の数のものが外国電波関係で妨害を受けておるのであります。これらにつきましては、一応今年の春、先ほど申上げました電波の割当、計画の広汎な調査と、各方面の御意見を頂いて作り上げたのでありまして、これによつて従来も、又今後も、放送局の設置問題を処理して行く考えでございますけれども、今申上げたような外国電波の混信問題につきましては、これと別個にやはり或る程度の修正はしなければいかんじやないかということで、その検討も実はいたしておる次第でございます。  なお、そのほかに現在放送関係申請されておりますのは、短波の放送がございます。これは経済放送及び国際宗教放送並びに日本短波放送、こういうような名前の申請がいずれも東京を中心として、国内及び海外に向つての短波放送をしたいと、こういう申請がございますが、短波につきましては、放送用の短波は極めて国としても獲得しがたい。又一方国内的には標準周波数によりまして、NHK及び民間の放送が相当行き渡つておる点、並びに日本における国際放送の現状、こういう点から十分考えて行かなければならないと思います。尤も日本といたしましては、かねがね高周波放送会議、これは短波による放送の国際的な会議でございますが、それに対しまして、海外放送と共に、国内放送としても短波を併用したいという考えで、かねがね国際的には日本が提案をいたしております。短波によつて国内的な放送もやつたほうがいいと、或いは短波によるのが最も合理的、能率的であるし、又その可能性があるならば、これはやはり考えて行くべきではなかろうかと、こういうことで、この短波についての申請についても目下慎重に調査をいたしておる次第でございます。それからテレビジヨンでございますが、これは先ほど大体申上げたと存ずるのでございますが、大阪及び名古屋につきましては、NHKは別といたしまして、民間テレビについても、大阪においては五社、それから名古屋については二社が競願というような形になつておるわけであります。この処置を如何にするかということが、相当問題でございますので、この点につきましては、先ほど申上げましたように、いろいろ現地における御意見等も十分聞きまして、処置をして行きたい、こういうように実は思つておるのであります。一方先ほど申上げましたように、NHKの手によつて大阪及び名古屋の実験設備も相当長い間試験的に放送が続けられて来ておりますし、NHKの年度計画による準備も大分進んでおりますので、これは成るべく早い機会に決定を要するのではないかと思つておるのでございます。そのほかにもたくさん申請が、先ほど申上げましたように、テレビジヨンについてもございますけれども、これは全国的にテレビジヨンをどういう工合に置いて行くのが最も将来のためによろしいかという観点から、全国的なチャンネル・プランを作りまして、その上で処置したい。現在のところでは、東京、大阪名古屋についてだけがチャンネル・プランの案ができております。それ以外の全国的なものは、まだできておりませんので、これは早急に、そういう準備もいたしまして処置をして行きたいと思います。なお、テレビジヨンにつきましては、御案内のように、その建設には相当準備期間が必要であります。どんなに最短を考えましても一年前後はかかるわけでありますので、先ほども申上げましたように、相当多額の施設費及び運営費を要しますので、これの許認可ということについては、成るべく早くきめて準備を十分怠りなく、又無駄に準備をせずに済むようにしなくちやならん。と同時に何度も申上げて恐縮でございますが、相当慎重に考えなければならんと、そういうふうに思つているわけであります。  なおこの際、直接放送局の許認可に関連はいたしておりませんけれども、申上げたいと思いますのは、法律の改正問題であります。放送法につきましては、この前の国会で一部改正をいろいろ御審議をお願いいたしたのでありますが、国会の御注意もあつたのでありまして、今後放送法の全面的改正に向つて準備を進めるようにという御意見もございました。又私どももそうすべきではなかろうかということで、いろいろ放送法の改正につきまして、研究をいたしておりますが、これは相伴つて電波法との関連も出て参ります。電波法が占領時代にできまして、その後の時間的な経過に伴い、又いろいろな、と申しますのは、実際に日本において、数年来無線局が非常に発展して来ました。この現状等も見まして考慮しなければならん問題もあるように存じまするので、電波法につきましても、相関連して改正すべきものがあるならば、政府といたしまして調査準備を進めた上で、御審議をお願いしたい、こういうふうに実は考えている次第であります。
  19. 山田節男

    ○山田節男君 その当面の問題として、東京で出力五十キロワット、周波数千三百十かですね、これに対して出願者が五社があるやに伺つたのですが、この申請者が或いは敷地を買い、スタジオを建設するとか、いろいろなことでお互に無駄な競争をしているのですね。これはいずれ長谷電波監理局長が帰国されてから、この問題は早急に解決されるだろうということを申請者の諸君は期待しているわけなんです。この一つの割当の周波数に対する五社の競願を、これをどう処理するか。御承知のように、これはNHKを中心に、すでにラジオ東京、或いは文化放送があつて、今の残る周波数千三百十というものに対する四社か五社かの競願を、これをどう処理するかという問題について、若し電波監理審議会等の諮問を得て或る決定の段階に達せられているのかどうか、この点一つお聞きしたいのです。
  20. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。東京におきましては、先ほど名前を挙げずに抽象的に申上げたのでありますが、御指摘がありましたので申上げますと、中央放送及びラジオ経済、それから国際宗教放送、この三社が五十キロの出願をいたしております。そのほかに東京放送が三キロ、関東放送が一キロワツトの申請をいたしております。そのほかに大東京放送という名前で、百ワットの出願も出ております。この百ワットの出願につきましては、恐らく先ほど申上げました補助的ないわゆる百ワット以下の周波数によつて東京で行いたいと、こういう出願のようでありまして、いわゆる只今御指摘の千三百十の五十キロまで可能である電波を目指しての出願ではないようでありますが、それを除いての五社につきましては、結局五百ワット以下に使える電波というものは、千三百十以外にはないわけでありますから、その一波を目指しての競願ということになるのではないかと思つております。この競願の処置につきましては、まだ具体的に電波監理審議会等にも諮るところには行つてはおりません。ただ私どものほうについて、正式ではございませんけれども、御連絡がありますのは、そのうちの数社の方々がお話合いをされて合同して行こうというような気運もあるようであります。その辺の動きも近くまとまるというふうに聞いておりますので、若しもそういう動きが折角ございますものならば、その結果を見た上で処置をしたい、こういうふうに実は考えておる次第でございます。
  21. 山田節男

    ○山田節男君 そうすると電波監理審議会でもまだ審議が開始されていないということになれば、結局結論は、今長谷局長が言われたように、この一つの周波数に対する三社乃至四社の競願というものは、その出願者がお互いの協議によつて自主的にまとめるということを期待して、政府としては積極的にこれをどういうふうにまとめるということはもう全然タッチしていない、こういう御趣旨ですか。
  22. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。そのうちの、競願になつておりますものの或る特定の申請者同士だけに限りまして、政府がまとめる云々というようなことは、公平を欠くわけでもございますし、そういう動きがあることにつきましては注意をして行かなければならないと思いますけれども、政府として正式にどことどこがどういう形で合同すべきだというようなことに出るのはどうかと実は存じておるわけであります。なお審議会には全然諮つたことはないかということでありますが、正式にはまだ審議会に諮問いたしておりませんけれども、今、先ほど来申上げたようないろいろな申請者間の動き、その他私どものほうの申請書の内容を審査して来ました現在までの結果等につきましては、随時御報告はいたしております。
  23. 山田節男

    ○山田節男君 これは郵政大臣も、この問題について新聞に報ずる限りにおいては、まあ何らかの意思表示があつたというふうに聞いておるのですが、私どもの憂うるのは昨夏のこのテレビジヨン免許の問題で、電波監理委員会の決定が、これは何といつても不明朗な決定をしておる。今回これをまあ電波監理委員会が廃止されて、電波監理審議会が主管の郵政の諮問機関として設けられた。その上に郵政大臣があるという機構の上において、三つも四つもこういう出願者が一つの周波数に対しての極めて猛烈な競争をやるということは、これは何と見ても非常な浪費であり、その間には政治的な動きもいろいろあるわけなんです。これは局長が外遊中であつたから、その猛烈な面は或いは実際にタッチしておられないかも知れませんが、かなり猛烈なるものがある。これが再び昨年の電波監理委員会によるテレビジヨン放送免許の件のような醜態を再び繰返してもらつては困るから、そこで私は今いろいろ質問を申上げているのですが、このことは将来の非常に拡大される電波行政という面から見て、殊にテレびジヨンやラジオ放送という面から見て、折角機構を替えて電波監理審議会という諮問機関を利用し得る郵政大臣や電波監理局長が、この点は一つ十分過ちを再び繰返さんようにやつてもらわなければ困る。これは今言われるようにただ時を待つて彼らがまとまるのを待つて、そうしてきめるのだ。これは非常にイージーゴーイングであり、又民主的であるかも知れないが、このまま放置していて、うまくまとまるかどうかということについて、私は非常に疑問だと思う。この点はやはり政府として、将来のラジオというものが、東京のように人口が八百万になつて、更に九百万になるかも知れない世界的大都会では、五十キロワット出力の放送局が三社も併存していていいかどうかという問題、いずれにしても割当てるべきチャンネルがあるからいいじやないかということもあると思うが、今の周波数千三百十という一つの余分があるのですから、これに割当てるのは当然だが、私は昨年のテレビジヨン放送免許の場合のような不明朗な決定を再び繰返してもらつては困るという不安と希望があるのでありますから、希望になりますけれども、電波監理局長は特にこの点を留意されて自発的に仲介してやつて、妥当な、テレビの時のように、早急にきめないとますますこれはもつれるのではないかというような私は見通しを持つているから、先ほどのような御質問を申上げた。これは局長からの答弁をあえて求めませんけれども、この点はあなた御留守中起きたことであると思いますから、十分研究して頂いて、できるなら結論を至急出すという政府の態度をきめて頂きたいと思う。これは希望になりますけれども……。
  24. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。只今山田委員からのお話重々御尤もであります。いろいろ御意も有難いことと思います。御案内のように、郵政大臣の諮問機関として電波監理審議会が設けられております。無線局の許認可、特に放送局の許認可等につきましては、必要諮問事項となつておるわけでございまして、郵政大臣が行政処分をやる前に、必ず電波監理審議会に諮問いたしまして、その答申を十分尊重して行うことになつておりますので、先ほど申上げましたように、電波監理審議会におきましても、その問題の現状及び動き等についても、十分知つて頂くほうが当然であると考えまして、今までもいろいろ報告もいたしておるわけでありますが、十分只今お話の点も我々体しまして、行政の公平妥当を期して行きたい、こういうふうに存じております。
  25. 山田節男

    ○山田節男君 それではこの問題に関連して先ほど局長の御説明があつたように大阪、京都にテレビジヨンの出願があるわけです。これはラジオについてもそうですが、今日では各県に必ず一つは民間ラジオ放送局があつて、ローカル放送をやつている。而も一キロ、或いは五百ワット、或いは三キロというような極めて出力の弱いものができておるのですが、併しこの状態は日を経るにつれて必ずこれは全国のネット・ワークで連絡したいという、すでに民間放送の諸君も地方へ行つて見ると全国ネット・ワークにしなければいろんな不便があるし、それからスポンサーも一年、二年、三年たてばいろいろな欲望が出て来て、注文が出て来て、一地方だけの放送では、今日ではいいけれども、将来は必ず問題になると思います。これは民間放送事業をやつている諸君の一致した意見なのです。ですからラジオにおいても全国ネット・ワークということ、これは商業放送の全国ネット・ワークという宿命的課題、があるわけです。テレビジヨンにつきましては、NHKが漸く大阪まで中継放送をやつておりますが、更に札幌、四国に拡大して、全国のネット・ワークヘの進出、これは放送法の趣旨から当然しなければならない。それで大阪とか、名古屋にローカルの民間テレビジヨン放送の免許を与えるということになれば、少くともあらかじめ将来の全国ネット・ワークを考えなければならない。これはアメリカのように大きな国であれば、各州に一つずつあつて、これが今日のように全国ネット・ワークを自主的にやるということは、日本のように狭い所で、数多くのローカル放送をまとめた全国のネット・ワークとが数多くできるということは、経済上から見て果してこれが有利であるかどうかということは、これは私が言わないでもわかることだろうと思う。それでテレビジヨンは今からやるのですが、そういつたような商業放送の全国のネット・ワークということに対する政策の基準をきめておかないと、将来非常に禍根が残るんじやないか、というのは、すでに始まつているNTVにしましても、マイクロ・ウエーブの問題を提起しているのだ。結局何と言いましようか、これだけであつたなら、ラジオテレビジヨンを兼営しているものと、テレビジヨン・オンリーのNTVと比較したら、NTVが困るということは常識ではつきりしている。そこで私はNTVのほうにおいてもマイクロ・ウエーブの建設によつてその新らしい分野を開拓しようというのが本音であると私は信ずるのであるけれども、こういうことになつて来た場合に、これを如何に処置するか。これから大阪名古屋テレビジヨンの免許を審議する場合に、これは電波監理局としたらば、将来の商業放送の全国ネット・ワークというものを考えたところのチャンネル・プランであり、免許を許す一つの標準にならなくてはいけない。まだNHKですら、全国のネット・ワークができない今日において、甚だ多くの費用を要する、こういうテレビジヨンというもののローカル放送を免許することがよいかどうかということを考える必要があると思う。こういうような幾つかの問題が今これによつて提起されるわけですが、これは抽象的でもいいから電波監理局長は、こういう問題に対してどういう方針を持つているか、我々に示す線があるならば、それを一つ示して下さい。
  26. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。お話の通り民間放送におきましてのネット・ワーク問題というのは今後、関係者の一人としまして私どもも十分考えて行かなければならん問題だと存じておりますが、現在における放送法の何と申しましようか、精神から申しまして、いわゆる民間放送におけるネット・ワークの構成問題は、その民間放送の創意工夫を十分に活用発揮して頂くという意味からいいまして、暫らくは現状のままで参りまして、将来いわゆるネット・ワークというものが何らかの形ででき上つた場合に、若しもこれを矯めるべき弊害等が起つて来るようなことがありまするならば、国会にもお諮りをいたしまして、必要な法的な規正或いは基準等を作らなければいかんかと存じますが、まだ現在におきましてはそのような状態になつていない、そういうふうに実は存じておるのであります。  なお、日本における民間放送としましては、或る特定の一社のものが全国的なネット・ワークを構成するというような形では今まで許認可されては来ていないのであります。いわゆる放送法の精神を体しまして、電波監理委員会時代から民間放送局の許認可は、その土地に基盤をおいたものに許可をされておるのであります。その許可をされた民間放送運営者は、そういう形でありますが、実際のプログラムということになりますれば、確かに只今山田委員から御指摘がありましたような問題もありまして、民間放送を行われておる方々が自由な立場から相互に協定を結ばれ、協力態勢を以て相当の範囲において同じプログラムが実施されまして、相当多いものは、全国の民間放送の中の約七、八割と思われるような二十数局に同じ番組を流されておるのがございます。少くとも五、六局程度のものは絶えず同じネット・ワークを形成しておるというような現状でありますが、これが将来どんなような形になつて行くかということにつきましては、私どもも十分注意をして行かなければならんと思いますが、先ほど申上げましたように、番組編成の自由と申しましようか、そういう考え方から暫くは、若しも矯正すべき弊害でも起つて来る場合は別といたしまして、現状のような形で行くのがよいのではないかと思つております。  又一方テレビジヨンでございますが、或る意味におきましては、民間の一般の放送以上にネット・ワークの形式というものが必要になつて来ると思われます。これにつきましては、テレビジヨン中継を現実に行う施設、いわゆるマイクロ・ウェーヴ等が電電公社によりまして建設されて行きます計画、経緯等も十分睨み合せて、一般のNHKも含めました意味でのテレビジヨンの許認可を進めて行きたい、こういうふうに実は考えておる次第でございます。
  27. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 民間放送についてネット・ワークの御質問がございまして、これによつて暫らく現状のままで見て行くということですが、こういう民間放送が非常に殖えて行きまして、お互いにスポンサーの取合いといいますか、競争も激しくなつて来る、従つて番組の内容等も、悪く言えば大衆に迎合するというか、極端に言えば社会の公共秩序に反するものまで番組に組まれる傾向ができて来やしないか。番組の内容については、役所としては干渉なさらない建前でありましようが、併しこれを許認可をし、いろいろ見て行かれる上において、現状の民放をこのままにしておいてよいかどうか。非常な弊害が起つてしまつてからあとで、許認可等のいろいろな行政的な措置をあとからするようなことでは混乱が起るのじやないか。こういうことについて役所として、政府としてどう考えておられるか。具体的な一例を申上げますと、匿名組合或いは株式の相互的な組織で、数十の金融機関といいますか、団体が随分民間放送で宣伝をしておるが、これは又ラジオテレビ等によつて大衆には広告価値が非常に大きい。極端に申しますれば、地方に行きますと民間放送の番組は相当のパーセンテージがこういうようなもので大衆のへそくりを捲上げるお手伝いをしておる。これは私は民間放送自身としても、いろいろラジオ講座なんかでも注意しておるのだろうとは思いますが、現状のままとおつしやいましたけれども、こういうふうに競争がだんだん激しくなつて行きますと、自然にそういうことに弊害が及んで行くのじやないか。昨日まであれくらいそういう方面のスポンサーの要求に応じて大衆に宣伝をしておつた、それが今になつて潰れてしまつた。そのニュースを報道しておるのですが、これは新聞一般の広告にも関することでありますが、特に将来とも大衆に非常な説得力の強いラジオテレビに対して非常にたくさんの局を許すために、競争が激しくなつて、こういうふうに逸脱して行く傾向に対して政府はどう考えておるか。これは大臣にお尋ねすべきことかも知れませんが、当局の考え方を一つお示し願いたい。
  28. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) 只今御指摘の点は、私どもも非常に注意をしなければならない問題だと実は存じております。この点は曾つてテレビジヨンについてのいろいろ御意見におきましても出たように存ずるのでありますが、過去一年余り民間放送の歩んで来た状態を見ますと、一般の聴取者の方々の番組に対する批判が相当妥当で且つ相当旺盛であるように思います。ということは、一方スポンサーもそのスポンサーとなつておる番組の評判如何によつて、結局は廻り廻つてその効果如何にもかかるわけでありますので、一つ一つの番組に現われた個々の例につきましては、いろいろ批判の的になるような例もなかつたとは言えないと思いますが、最近までの経緯を見ますというと、いわゆるチエツクされる面が非常に出て参りまして、是正されて行くというなにを辿つているのではないかと思います。で、一方御案内のように、民間放送団体として一つの連盟組織を持つておりまして、そういう連盟の形において、又その放送事業者自体におきまして相当、何と申しましようか、みずからの立場を守るという意味におきまして、十分考慮されているように思いますので、勿論今後とも十分検討して行かなければならない点でございます。而もいわゆる番組の自由というような点からも、十分慎重に検討して行かなきやならん問題と思いますが、繰返し申上げているようになりますが、民間放送を行なつている事業者の方及びその団体による自制的な番組の規制によりまして、現在においてもそう逸脱したことは行われていないようにも存じております。尤もこのことは今までの民間放送についての各方面の方の御意見及び今後の推移等十分注意いたしまして今後放送法の改正等を行います場合には、十分その点も検討してみたいと考えておりますが、問題が問題でございますので、十分に慎重に検討して行かなきやならん問題だと実は考えている次第でございます。
  29. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 慎重は結構でございますが、局長は外遊中だつたでしようが、保全経済会が非常に問題を起しているという一方、放送をしている。そのときに、民間放送で同種類のものの……まあ前から申込があつたのでしようが、宣伝をどんどんやつている。もつと遡つて申しますれば、増力を希望している東京の代表的な局が、保全経済会がスポンサーになつたお相撲の放送をしている。これが数年に亙つて非常に多くの聴取者を持つて、恐らく保全経済会というものがあれだけの多くの人を集めた、最も大きな働きをしているというようなことを考え併せまして、慎重は無論結構です。政府として干渉はできないでありましようけれども、よほど私は深甚の考慮を以て将来の計画修正等の材料になさるというのですが、いつもそういう施策がずれませんように、私は相当この問題に対しましては、民間放送がスポンサーさえつけば、まあだんだん落語や講談なんかも専属をやつている。そうすると本来公共放送であるNHKのほうもそれに負けんようにやつて行く。やはりもう少し一国の文化を高めて行く、ただ大衆の批判だけでなしに、一歩これをもう少し国の品位、或いは国の文化というものの向上ということを考えて行くという面は、やはり私は政府としてはお持ちになるべきだと思います。そういう点が、まあ暫らくは現状のままと言つているうちに、いろいろな方面で大きな被害を国民に与えている。或いは国の文化というものの、たださえ終戦以来十二歳くらいになつてしまつた日本が立ち直つて行かなければならんその一番大事な問題が、つい当局の安易なというか、事なかれというか、まあそのうちにそのうちにということのために、大衆に非常な私は大きな影響を与えるということは、よほど私は腰を据えて一つ根本的にこの問題をお考えになる必要があると思うのです。そういうことに対して当局としては御用意があるかどうか。
  30. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。御指摘の点、私どもも御尤もと存ずるのでありまして、十分検討して行きたいと存じております。現在の放送法によりましては、我が国におきましてはNHKという公益法人と、民間放送とが並立した形になつております。この点は民間放送だけであるアメリカと或いはイギリスのように公益法人的な形だけのもの、或いは各ヨーロツパの諸国のように、国営で行われているもの等々と大分違いはあります。従つてこの広告放送の取扱方につきましても、アメリカが行なつているのと、日本での行い方というものは、勿論NHKというものが一方に存在する限りにおいては、現実の姿も違つていると思いますし、これに対する規正の仕方も当然違わなければいかんのではないかと思います。又只今お話のように、日本放送全体を考えた場合に、国の品位というような、国の品位を保つというような点から、その放送が如何にあるべきかというようなことも、これはNHK、民間放送を含めた全体で考えて行かなければならないのではないかと実は考えている次第でございます。  只今例にお引きになりました問題につきましては、私どもも聞いてはおつたことでございますけれども、国としてそういう団体を禁止しておるものでもなかつたようであります。又放送を依頼された側におきましても、国がこれを禁止しておることならば勿論やらなかつたのだろうと思いますが、そういう形でもなかつたので、あんな例が出たのではないかと思いますが、併し只今委員長からお話のように、これは放送というものは、一般聴取者、或いは大衆に対して非常に大きな影響力を持つものでございますので、そういう点も十分考慮いたしまして、対策を練りたい、こういうふうに存じております。
  31. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) もう一言だけ。国として禁じてなかつたからというお話ですが、ああいうものの広告の申込に対して、相当の気品を持つたというか、デイグニテイを持つている新聞社は、毅然としてああいうものを載せないという、新聞のほうでは例があるのでありまして、新聞以上の大衆に影響力のある民間放送といたしましては、私はやはりもう少し常識というか、一つの高い意味での道義的な責任を以て国が禁じてないから、まあ何でもスポンサーさえつけばやる、又そのスポンサーの要求するような、当相卑俗なものでも。プログラムに組入れる、併しこれは法的には禁じてないのだから、もう当局としては仕方がない……、まあ具体的には仕方ないかも知れませんが、将来の許可認可等の問題もありますし、将来の国がいろいろな施策をする上に、非常なこれは実績になると思うのでありまして、そういう意味で、すぐには今の放送法によつてどうすることもできないにしても、高い意味でそういうことが、よく役所がただ目の前の法規だけで処置しないで、一つの理想を持ち、国に対する、国民に対する大きな意味での責任を持つて、これを善処して行かれる必要があると思うのでありまして、今の答弁だけでは私は満足できないと思うのであります。これに対する何か御所見がありましたら……。
  32. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。御指摘の点御尤もでございますので、今後における法律改正等の際に十分検討して行きたいと思つております。
  33. 山田節男

    ○山田節男君 今の左藤委員長の御質問ですが、これは結局法律があつて、あるということのためにそういうことを聞くので、非常に大きな問題です。これは要するに問題は吉田政治というか、日本の政治の、放送に対する一つの政策がないからこういうことになるのでありまして、この点は我々が行政府、日本政府を責める前に、我々国会みずからを責めなくちやならない。  で、もう一つ私はこれに関連して聞きたいことは、先ほども左藤委員長が指摘された点で、これは私たちが左藤委員長と新潟でしたか行つたときに、一番いいスポンサーは保全経済会だというんです。それで私はそういうインチキなものの広告はどうだと、非常に金払いがいい。何か先払いしているということですが、これは非常にスポンサーとしていい。これは恐らく金沢でしたか、委員長が言われたように東京にも例があつた。こういうものでも現行法では、コマシヤルであるから、金をくれて、而も非常に金をくれる……
  34. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 日本テレビも出資しているそうです。
  35. 山田節男

    ○山田節男君 そういうふうなことが法律では如何ともしがたいから止むを得ないということではいけない。それからもう一つ考えなくてはならんことは、民間の一年間の経緯を聞いたら、プログラムの今度は七〇%乃至八五%、或いは九〇%まではそこの放送局で編成したものではない。まあ編成はしますけれども、内容はラジオ東京なりNCBのテープ・レコードのコピーをもらつて、それでそれにプラスアメリカから無償で提供されるヴオイス・オヴ・アメリカのフイルム、テープ・レコード・音楽、殊に音楽等はもう大半アメリカから無償提供されるヴオイス・オヴ・アメリカである。そうすると、ラジオ東京のほうも非常に安くテープ・レコードを貸してくれる。それであるから地方の放送局もまるでコストがかからない。コストはまるでただみたいなものですから、非常に金さえ入ればいい。プログラムの実際の八〇%近くのものがそういうような内容になつているということから考えて、今の民間放送が健全であるかどうか。それから放送のプログラムの編成等につきましても、これは全くNHKの百パーセント真似をしている。もうアナウンサーの口調から、口調は日本人であるから日本語でやる、これを真似るなということはできないけれども、そういうあたりのニュアンスから、すべてのものがNHKの全く百パーセントのコピーなんです。企画までコピーです。すべてNHKを真似ている。こういうようなことでは民間放送の存在の理由というものが、ただ金を儲けるということで……。この点について私は長谷局長、殊にロンドンへ行かれたんだから、私は今度の放送法の改正について特に注意をされたいことは、すべてBBCはテレビジヨンの独占をやつて公共放送オンリーだと、チヤーチルが、保守党が今度テレビの民間放送を許すという法案を出した。これは下院で通過しました。通過して今度上院に行つたとき、最近のニッポン・タイムスを見ると、下院の保守党が通過さしたテレビジヨンの民営案を、上院で以て、保守党の幹部の有名な弁護士ですが、ハリフアックス博士が主導になつて法案を潰してしまつた。その理由は、尊い伝統を持つたイギリスにおいて、商業放送というものができて、そうして国民の教養を下げるというそういう妙なことは国策に反する、これはイギリスにとつて有害だ、こういう理由で以てテレビの商業放送というものを、改正案を上院で以て通過させないという事件が起つた。不幸にして電波行政、殊にテレビジヨン乃至ラジオについては余りにアメリカの勢力が強いために、アメリカ主義に走り、商業主義に走り過ぎちやつて、そうして而もこんな狭い所でテレビジヨンは東京に二つもある。ラジオは各県に一つ乃至二つを置いている。こういうようなことでは私は将来のラジオテレビジヨンというものは、先ほど左藤委員長も言われたように、国民の教養を下げるどころじやない、気ぐらいばかり高くなつてしまつて、消費経済ばかり考えちやつて、これはもう国民の経済、風潮、思想から考えて、今のこういつたような法律だからしようがないと言われるけれども、今ある法律の中でも何かこれは規正しなければ私はとんでもないことになるんじやないかという不安を実は持つている。これは恐らく皆さんそういうふうに感じられていると思うのです。そこで私は先ほどの全国のネット・ワークの問題も質問申上げたのですが、現行法でどうにもこれはいたし方ない。これはまあ政府の行政当局としては、それは本当な言葉かも知れんが、我々立法者において法的措置を考えなければならんし、又内閣が政治的にこれを考えなくちやならんと思いますが、そういつたような投げやりつ放しで、法規だからしようがありませんということは、これは言えないと思います。幸いこれは電波監理審議会もあるし、今日そういうものの免許を取消すということは、これは放送法、電波法にもあると思いますが、こういうものも発動し得る法律の許す限りにおいては、やはりそういうことに規正を加えぬと、もういずれにしてもそういうことになつてしまう。民間放送の弊害はどんどん我々の目の前に出て来るわけです。今の左藤委員長も言われたように、今度の伊藤斗福の主催する保全経済会のあの被害は確かにラジオも一役買つていると思う。これは心ある者ひとしく憂うる点でありますので、プレスコードを改正するなり、或いは民間放送連盟に強くこの点を進言するとかいうような方法で、現行法で許す限りの一つの予防なり、対策はやはりやつてもらわんと私はいかんと思います。そこがどうも我々の責任もありますが、法が改正されるまでは、これはやはり行政当局が監督機関であるからして、現行法で許す限りの対策の措置を考える以外に、何とかするというぐらいな対策一つ考えてもらいたい。このままにしておいたならば、これは実に憂うべき状態に向いつつある、私もこういうように左藤委員と同じような観察をしているわけでございます。これは意見でございますが、現行法でどうもしようがないのですというのではいけないと思います。その許し得る範囲で民間放送一つの規正を加えるというぐらいのことをしなければ、今日のアメリカニズムの商業主義で野放図もないことをやつた日には、これは日本の文化の下落であり、結局民間放送局ができたということは、消費経済で、儲からん分はスポンサーの料金に皆転嫁する、これは消費経済の立場からみても我々はすでに注視しなければならない段階に達している。ですから我々としても法的措置をとらなければなりませんが、現行法の管理者としての電波監理局長、郵政大臣はもつとやはり積極的な態度をとつてもらわないといけないと、私は別に意見を求めませんが、併しこれは監理局長として常にイニシアチヴをとつて、何かの特別措置を考えなければならんということを私は強く発言いたしましてお願いいたします。
  36. 三浦義男

    三浦義男君 私今の問題は非常に重大な問題だと思うのですが、それで郵政大臣が見えたときに、この問題についてもう少し郵政大臣のお考えなり何なりを聞いて善処しなくちやいかん問題だと思いますが……。
  37. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) 今日郵政大臣の御出席をお願いしたのですが、どうしても都合が悪くて出られませんので次の機会に譲りますから、局長からも郵政大臣にお伝えになつて頂きたい。これは相当一つ腰を据えて現在の法律でできる範囲のことも、又将来の法律改正等についても我々の委員会でも深く、皆さんそうだろうと思いますが、非常にこの問題で心配しているということを大臣に報告すると共に、民間放送局にも何かの方法に上つてよく伝えられて、一日も早くこういう問題に対して少しでも私は弊害を少くしておくように厳重にお願いいたします。
  38. 久保等

    ○久保等君 今特に長谷局長のほうから電波法なり或いは放送法の問題についてもいろいろ慎重に検討を重ねておられるという御説明もあつたのですが、最近のように非常に民間放送の著しい発達、或いは又電波の問題が非常に脚光を浴びて来るような状況なつて参りまして、一、二年前の状況とはよほど変つて来た、いわば非常に発達して来たという状態になつていると思うのですが、別の面から一つ御質問をいたしたいと思うのですが、現在の電波行政をあずかつている電波関係の現在の従業員、或いは機構、こういつたようなものについて、今までの経験に照して、それから又今後の電波行政というようなことを考えて行つた場合に、人員の面において特別に何か人を殖やして行かなければならないというような実情にまで現在立ち至つているのか。それから又機構の面についても、特別に電波行政という観点から再検討しなければならないというふうに局長として、直接まあいわば事務というか、電波行政に携つて来られた立場から、私若干一つ参考までにお考えをお伺いしておきたいと思うのですが。
  39. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。只今放送の番組のあり方のような点をめぐりまして、山田委員三浦委員並びに委員長からお話がありました点、私ども十分検討いたしまして、又上司にも諮りまして処置して行きたいと、こういうふうに考えております。続いて電波関係の行政組織その他についての御質問でございますが、御指摘のように、最近非常に電波関係の施設が国内にも殖えて参りましたし、国際的にも非常に日本に近い範囲の周囲を見ましても、最近非常に電波の利用が盛んになつて参りまして問題が非常に複雑になつて参りました。従いましてこの電波監理の仕事を十分に処理をして行きますのには、私ももう日夜苦労いたしているところでございますが、而もこの電波監理行政の仕事の内容を見ますと、電波監理とか、或いは無線施設のいろいろな検査とか、監督というようなものは、いわゆる現業的な仕事に属するわけであります。全従業員のうちの七割から八割までは広い意味技術者でございまして、いわゆる通信技術を身にしている者、或いは工学的な意味での技術面での経験知識を持つた者等、全くのいわゆる広い意味技術、技能を持つた人々でありまして、これらの者が現業的な仕事をしているわけであります。従いまして対象となる無線局の施設が日本国内に殖え、又外国との関係が量的に、質的に殖えて参りまするならば、従業員も、例えば只今申上げましたように現業的な仕事である性質から申しましても、やはり適当な増員をして行つて頂かなければならないと存じております。これらの点は国の財政その他にも関係がございますので、毎年予算等の面を導ましていろいろ折衝をして来ておりますが、来年以降におきましても、十分に日本における電波監理行政が行えるような線を以て努力して行きたいと、そういうふうに考えております。  又、機構問題でございます。これは現在郵政省の内局に中央はなつており、地方は独立した地方電波監理局という組織になつております。中央が郵政省の中に入りまして、郵便とか、貯金、保険というような非常に違つた仕事の、いわゆる特別会計で企業的に行われている事業と一緒に内局になつておりますが、この点についてはいろいろ議論もあると思いますが、やはり電波行政只今お話のように最近非常に世の中の関心も得られ、又国としても非常に重要なものになつて来ております点からいつて、やはりそれを所管して頂く主管大臣を頂かなければ、やはり国の行政にも電波の面から見た施策を反映して行くことができないのでありますので、そういう意味からいつて、郵政大臣を頂いておるということは我々としても非常に意を強うしておるわけであります。いろいろこの電波監理の仕事をやつて行く上での機構上の問題はいろいろあると存ずるのであります。昔の逓信省のように電信電話の仕事が同じ役所の中で行われておつた時代、そういうものと、その後現在のように郵政省から分れた後における行政機構問題とはおのずから形が変つて来るようにも思います。又行政機構問題は国会体としての形からやはり国力に相当した形において考えなきやならん点もございますので、私どもの電波行政から見た点で、こうあつて欲しいという点も今後郵政大臣にもよく申上げて善処して行きたい、こういうように実は考えております。
  40. 久保等

    ○久保等君 まあいろいろ具体的な点での御質問を申上げることは又後日の機会に譲るといたしまして、まあ最近又いろいろ政府当局でも行政組織の改革というようなことも考えて来ているようですが、併しまあそういつた政治的な機構改革の問題については、これは又ここでは時期としても適当でないと考えておりますが、とにかくまあ電波行政というもの自体を最近の経過から考えて見ました場合には、相当根本的にまあ強化するというか、拡充するというか、そういう観点から再検討をむしろしなければならないというふうな段階にあるんじやないか。併しながらまあ必ずしもそれが直ちに大幅の人員の増加とか何とかいうことにはならないかも知れないですが、いずれにしても電波行政をあずかる機関としての現在の電波監理局を中心にした全国的な組織の問題について強化をして参らなければならないというような状況なつておるように判断しておられるのか。まあ特別そういうことも必要ではないのではないかというふうに考えておられるのか。極めて抽象的な質問でございますけれども、只今まあ局長の一応の大まかな考え方の程度を結論的にお伺いして置きたいと思うのです。
  41. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) お答え申上げます。この電波関係の仕事は、実は大きな観点から申しまするならば、いわゆる無線ではない有線の問題も含めました広い意味での電波通信という観点から見て行かなければ本来ではないというふうに思います。現在郵政省の中で、いわゆる電電公社の関係の監督の仕事と電波関係の仕事とが二つに中央においては分れておりますが、地方の現場におきましては、有無線関係が一緒に行われております。若しも電波関係についての組織問題を総合的に考えるという時期が参りまするならば、私どもはこれは私一個人の考えでございますけれども、個人的な考えを申上げて恐縮でございますけれども、有無線を合せた電気通信という観点から見なければならないのではないかと思います。尤も電波についての行政の実際の仕事は、相当郵政の方面とは違つた面等がございます。従つて質的に、量的にもいろいろ実際の形においては違つた面もたくさんございますけれども、やはりもとの根本的な考えは電気通信というものから考えて行かなければならないのではないか、かように考えておる次第でございます。
  42. 山田節男

    ○山田節男君 今日は納めの委員会だろうからもう一つ、靱副総裁お見えになつておりますからちよつとお伺いしたいのですけれども、すでに問題になつておるマイクロ・ウエーブの問題ですが、この問題は電電公社、それからNHK、それから問題になつておるNTVのこの三社に非常な関係のある問題ですが、これは昨年開局したときに、佐藤大臣がおられたときマイクロ・ウェーブの話をしたときに、すでに正力氏はテレビ放送会社を作るときにマイクロ・ウエーブの建設ということを企画の中に入れておつた、ところが佐藤大臣は当時の電通大臣としてこれはいろいろ政府部内において考究する、そのときにそういう話でしたが、併し、今度は電電公社がマイクロ・ウェーブの研究にかかられたという話ですが、この間問題になつたNTVの正力氏のマイクロ・ウェーブの問題ですが、正力氏は外資を導入して公社に貸すのだ、委託監理で人に委せるのだ、その料金をもらえばいいのだ、こういう言い方をしておられるわけです。これは将来の電信電話、ラジオ、それからテレビジヨンというもの、又更にあるかも知れませんが、少くともこれだけに重大な関係を持つているマイクロ・ウエーブということは、これは電電公社としてどういうようにこれを考えておるのか。大阪まで近く完成されると言いますが、併しこれはNHKを考えて見ると、NHKは今日大阪までやつており、実際大阪までマイクロ・ウエーブが完成すれば、今度は福岡までNHKテレビジヨン放送網を拡張すると思うのですが、これはNHKはそのために莫大な金を使つておるわけです。これはどうせ将来公社がマイクロ・ウエーブに関しては独占といいますか、責任を持つてやるというような方針がきまつておるならば、この建設の今プランを立てておりますが、これをもつと早めて電電公社の責任において、少くとも日本の北から南までの主要な幹線だけはこのマイクロ・ウエーブを相当、何といいますか、チャンネルの多いマイロク・ウエーブを建設するという何か計画でもお持ちになつておるか。こういう点を一つここではつきりして頂ければ結構だと思います。
  43. 靱勉

    説明員(靱勉君) お答え申上げます。電電公社といたしましては、当然の任務としまして公衆電気通信サービスを各方面の需要に対応できるように提供して行かなければならん、こういう当然の任務を持つておりますので、すでにマイクロ・ウエーブの問題につきましても、これは当然占領下当時から、外国から輸入というわけにも参りませんし、通信研究所におきまして実用化を鋭意研究しておる。そこで二十三チャンネル程度とれるものにつきましては、かなり早い時期に完成いたしまして、先般東京横須賀間に実用化いたしまして、公衆通信業務に現在提供いたしておるわけであります。これは電話として使つておる。併しながらテレビの中継等の要求、又国内の市外回線を豊富にとるというためには、更に一ルートを以て二百四十或いは四百八十の電話回線を得られるような施設をしなければならんということで、通信研究所におきましては、その方向に研究が向けられまして、すでに現在は百二十は電話として確実にとれる。勿論テレビの中継には十分能力を発揮できるというような段階にまで達しましたので、来年の二月には全部の試験も完了しまして三月から実用に供したい、こういう計画に東京、大阪聞はなつておるわけであります。更に大阪、福岡間につきましても、いろいろ調査実験を行いまして、すでに中継所の土地の選定も終りまして、来年度局舎の建設を計画いたしております。それから東京、札幌間につきましては、目下土地の選定中でございます。ほぼこれも完了いたしておりますので、やはり二十九年度におきまして局舎の建設に着工する、こういう計画になつておるのでございまして、これに機械を入れまして十分試験をして実施するということになりますと、三十年度一ぱいはかかる、こういう計画で現在進んでおるわけでございますので、東京、大阪間のNHKテレビの中継施設につきましては、現在それは実験ということになつておるわけでございますが、公社の施設が完成した上におきましては、公社の施設を利用しようという大体の了解の下に行われておるので、そこでもつと早くできないかという問題でございますが、私どもといたしましては別途外資の導入の問題、或いはアメリカ、英国におきまするところのものも是非サンプルとして欲しい、殊にできるだけ中継所におきましては人を置かない、無人化を考えて行かなければならないという点につきまして、外国の進んだ技術を導入し、我が国のマイクロ・ウエーブ技術向上を図りたい、こういう考えでそちらのほうの措置を講じつつあるのでありますが、通信研究所の研究も相当現在進んでおりまして、百二十が二百四十或いは四百八十になる時期もそう長い期間を要しない、こういう検討も最近されておるような次第であります。ただ先ほど御質問の中に公社はマイクロ・ウエーブを完全に独占してやつて行く点についてはどうかというような意味合いの御質問があつたのでございますが、マイクロ・ウエーブの施設を許すかどうかということは、これは主として郵政省の所管でありまして、私どもも波長の割当等、すべて電波法の規定に基きまして、郵政大臣の許認可を経て行かなければならん問題になつておるわけであります。公社だけの立場を申上げますれば、只今申したような計画以外に、更に国内の他のルートにつきましても、この施設を只今申しました東京から福岡まで、又東京から札幌まで、日本を縦貫する第一の幹線を第一期計画として完成いたしますと共に、更にこれを他のルートにつきましても計画いたして行く考えで、目下計画案を作成いたしておるような次第でありますので、これはテレビにいたしましても、その他一般の公衆通信需要、或いは特殊の専用の需要に対しましても、十分対応して行けるような計画を立て、これを実施して行くという考えを持つておるような次第であります
  44. 山田節男

    ○山田節男君 この正力氏は、日本の電電公社にしても、勿論他の会社にしても、全国のマイクロ・ウェーブの幹線を作るだけでも厖大な金が要る、それから技術の点においても難点がある、自分が幸いアメリカのほうでそういう了解も得られるから、金も借り技術も導入して、資材も導入して早くこれを一つ建設して、そうして電電公社にこれを貸し与えて電話にお使いなさい、電信にお使いなさい、或いはラジオにお使いなさい、テレビジヨンにもお使いなさい、こういう態度をとつている。それで先ほど申上げましたように、マイクロ・ウエーブの少くともトランク・ラインというものは、そういう一民間会社、或いは資本的にも外資が全部を占めるというようなことは、これは何といつても、日本の通信政策から行けば許すべからざる、人によつて違うかも知れませんが、私は許すべからざることだと思う。そこで今のラジオの全国放送テレビジヨンの全国放送網にしても、マイクロ・ウエーブが中心である公社法の建前から見ても、これはやはり国民の立場から言えば、電話の増設も必要であるけれども、とにかくマイクロ・ウエーブを一日も早く、例えば札幌から福岡、鹿児島までのマイクロ・ウエーブを建設するということは、これは電話のサービスの改善の上にも根本的の問題だろうと思う。そこに又若し時期を徒らにこれを長引かしておけば、例えばNHKテレビジヨンを全国放送網にしようと思えば、自費で以てマイクロ・ウエーブを建設して行かなければならない。これは資本投下から言えば二重になつて来る。非常に無駄がある。この貧しい国においては、そういうことはできるだけ避けたほうがいいと思う。そこでやはり問題はスピードの問題になつて来る。スピードを、今おつしやつたように、計画がおありになるにしても、スピードののろいところに資金の或いは技術の問題があるから、そういうことが私は隘路になるのだろうと思うが、併し一方、なに、簡単に作つて貸して上げますという者がいる。一方では、NHKが、そういう無駄なことをしているということから……これは問題はやはりスピードの問題だと思う。スピードを如何に早めるかということが、資金関係技術関係、これを如何に打開するかというのが、私は公社の当面したマイクロ・ウエーブに関しては一番解答を急がなければならんことだと思うのです。仮に総裁が欧米に行つておられて、こういう方面もいろいろ研究しておられるのだろうと思いますが、問題はスピードを如何に早めるかということが、一関係企業者のみならず、国民全体、電話電信サービスということから考えても、これは無理だろうけれども、早くやらなければならんということが、私は今日の大きな国民的な要請だろうと思うのです。そこで今あなたのおつしやつたことではどうもスピードが三十年と言いますと明後年ですが、今後二カ年もかかつて、而もそれが成し遂げられるかどうかということは、これは不安と言つちや語弊があるかも知れんけれども、併し三十年が更に昭和三十一年まで延びたということになつて来た場合、今日の日進月歩の電信電話、電波のこの技術の遅れた上に、更に又遅れるということは、私は国民的な利害から考えても、これは許すべからざるものである。この問題はやはりアメリカが、ベル・システムが大陸横断のマイクロ・ウエーブをやつてそういうサービスをしている。これは公社は、自分のイニシアチブによつて、政府の援助を借りても一刻も早くこれを完成する必要があると思う。今のお答えでは、早くても昭和三十年を目当てにしているとおつしやるが、これはもつと早くするという何か具体的な案というものは今までお立てになつたことは、少くとも十七国会に入つてからあとにそういうことを具体的に研究なさつたことはないのですか。
  45. 靱勉

    説明員(靱勉君) 実は公社といたしましては、マイクロ・ウエーブの施設につきましては、相当慎重な態度をとりまして、ただ簡単にテレビの中継ができればいいというような考えでなく、我が国の現在到達した技術と、更に外国技術とを比較いたしまして、若しも外国から器材を輸入するものであるならば、我が国で十分到達した技術のものは必要ない。我々としましては、我が国技術にプラスになるものを輸入いたしたいということで、実は前々から折衝いたしておつたのでございますが、アメリカにおきまする四百八十回線も電話をとれるような施設といたしましては、当時いろいろ軍事関係その他の関係があつたと思いますが、輸出はできないというような大体回答をいたしておつたわけであります。一方において又仮に輸出するということになりましても、決して英国におきましてもアメリカにおきましても、私どもの希望するような器材については、量産の程度になつていない。従つて日本から注文があれば、それから新たに作るのである。そうすれば最低一年、一年では到底できない、十六ヵ月或いは十八カ月もかかるというようなことも私ども確かめておつたのでございますが、それでは非常に計画も遅れるということで、只今申したような大体三十年度には必ず完成して実行に移せるという目標を立てまして、只今あらゆる処置をとつているのでありまして、これはまあどうかわからんというふうな御心配のような御意見もございましたが、私どもとしましては、その時期においては必ず完成する、こういう計画を相当確実に持つているわけなんであります。おつしやつた意味は、非常にテレビの中継に急を要するといつたようなことになつた場合に、三十年度では遅いのじやないかという御意見でございますが、この点につきまして、ただテレビの中継だけのために早くできるかどうかということは、絶対に三十年度一ぱいかからなければできないとは申上げられませんが、そこは私どもテレビの中継の計画と睨み合せまして、更に特別の措置をとれるかどうか。これはまあ総裁も近く帰つて来られますので、十分只今おつしやつた御趣旨につきましては検討いたしたい、こう考えておりますが、基本的計画としましては、先ほど申上げたような次第であります。
  46. 山田節男

    ○山田節男君 もう一つお聞きいたしますが、正力氏が今の計画を持たれて、それを実行したい、何か電電公社にこのマイクロ・ウエーブを貸したい、貸して上げましようという申入れがあつたのですか。
  47. 靱勉

    説明員(靱勉君) NTVのほうからと申しますか、正力社長からのお話の点は、当初政府のほうにお話がありまして、郵政大臣もいろいろとその点につきましては御承知なつている次第でありますが、先ず第一に、そういうことができるかどうか、電波法上の問題もありますし、又外資の導入ということになりますれば、勿論大蔵省その他の関係もあるわけであります。最終的に公社がそれを借りるか借りないかという問題でございますが、当初のお話の筋は、自分のほうで以て使う以外に余つたものは、公社にも使わせるというようなお話のようでございましたが、その後におきまして全面的に公社に提供するというようなお話も、相当承わつておるのであります。郵政省といたしましては、借りるか借りないかの問題については、なお公社と一応話合つて見たらどうかというような御趣旨もありまして正力社長もその際に直接お話になつたところが、一体具体的な計画につきましては、どういうふうに判断すべきかという問題もありましたので、先ずどういう機械を使い、どういう区間に、どの区間に計されるのか、又その使用可能の能力と申しますか、そういうものはどういうものであるか、その他私ども承知いたしたい事項につきまして、実は御質問申上げておるわけなんですが、それにつきましてまだ回答もない段階でありますので、私どものほうとしましては借りるとお約束もできない。現在のところ公社といたしましては、基本的な公社固有の計画を推進いたしておる、こういう状況なつておるわけであります。
  48. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それでは本日はこれにて散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 左藤義詮

    委員長左藤義詮君) それではこれにて散会いたします。    午後二時十一分散会