○
説明員(
森雄次郎君)
テレビジヨンにつきましては、十五国会並びに十六
国会にお呼出しがありまして、いろいろ申上げたのでございますが、当時はまだ
我が国の
テレビジヨン工業というものが確立していなかつたのでございますので、その時に
新谷先生を初め、各
委員からこの新らしい
工業に対して確固たる
対策を講ずるほうがいいだろうというようなお話もございましたし、のみならず
テレビジヨンが
産業といたしましては一番新らしい
工業でございますので、この
工業がスタートする時に施策を誤つてはいけないと考えまして、日夜そのほうに
研究をいたしておりましたが、大体
日本の
テレビジヨン工業が、一応
特許契約の問題その他
生産分野が確立いたしましたので、十二月の四日の
通産省重工業局の局議で
対策要綱がきまりましたが、今までの
テレビジヨン工業につきまして、
生産並びに
輸入状況を御報告申上げます。
テレビジヨンの先ず
生産でございますが、
生産の
実績を申上げますと、
昭和二十七年度、今年の三月まででございますが、この三月までにはまだ
アメリカの
RCA及び
アメリカのウエステイング・ハウス、英国の
EMI、この
特許がございまして、どうしてもこの
特許を契約しないと作れない。でございますからして、二十七年度はこれが販売が一応できなかつたのでございます。それで
生産実績は、
セツトといたしましては千二百六台、二十八年度、いわゆる今年の四月から九月までの
実績が七千五百七十二台、
合計いたしまして八千七百七十八台という
セツトが
生産されております。次に、キャビネットの中のもの、いわゆる
シャーシーと言われております。これは
ラジオでも御存じのように、箱の中の部分だけでございますが、その
シャーシーが
昭和二十七年度は百十二台、二十八年度の四月から九月までが三百七十四台、
合計いたしまして四百八十六台、こういうふうに
なつております。次にキッド、これは御
承知のように部品を集めたものでございまして、それを買いますと
一つの
セツトになる。
コンデンサーなら
コンデンサー、
スピーカーなら
スピーカー、
ヴオリユームは
ヴオリユームというふうに部品を
一つの
セットに集めたもの、これが二十七年度は千九百七十台、組といつたほうがいいかもわかりません。それから
昭和二十八年度、いわゆる四月から九月までが三千百五十八組、
合計いたしまして五千百二十八組、これを一応
セツトに換算をいたしましてシヤーシーとして
合計いたしますと、一万四千三百九十二台の
セツトが一応できておるということに
なつております。
これに関連いたしまして
輸入のほうを申上げますと、
輸入には
三つ種類がございます。
一般外貨、いわゆるドルの枠を頂きまして、
機械その他申請がございますと割当てるのでございますが、そのチエツクは私のほうでやるのでございますが、この
一般外貨で入れましたものが、千百十六台、この千百十六台の内訳は、
メーカーが各国の各社の製品を入れまして
研究をする、いわゆる回路の
研究とか、或いはその他いろいろ
研究用に使うために入れましたのと、それから学校が
視聴覚用の
教育用といたしまして、特に
高等工業学校が
テレビ技術を今後大いにして行こうという文部省の御方針の下に、
学校用、それから次に
放送事業用、いわゆる
日本テレビ放送網が今
東京都内に大体百台ぐらいかと思いますが、
大衆用に、見せるために
セツトがありますが、駅とか
新聞社の前とか方々にございます。それから
NHKがやはり
放送事業用、こういうものがいわゆる
一般外貨として千百十六台でございます。次に
輸出振興といたしまして
外貨を獲得したいわゆる
振興外貨、現在は
特別外貨と言つておりますけれども、この
振興外貨によりまして
輸出入業者が入れましたものが五千七百三十二台、この五千七百三十二台は二十八年の三月十四日に受付をいたしまして、
アロケーシヨンを下ろしたものでございまして、四月以降からはこれは
輸入禁止と
なつております。これはなぜこういうたくさんのものを入れたかといいますと、まだ
特許契約を
国内の
メーカーがしておりませんために、
電波は今年の二月一日から出ておりますために、一時非常に
テレビが欲しいと言われる
需要面がございましたために、この
振興外貨制度によつてこれが入つたのでございます。この取扱は
通商局でやつております。次は、御
承知のように
自動承認制度というのがございましてこれは
ポンド地域から入つて来るわけなんでありますが、これは
銀行の
承認のみによつて入つて来る
制度でございますが、この
自動承認制度によ
つてアロケーシヨンの下りたものが千二百台、この
制度もこの四月からはこれは停止いたしております。
合計いたしまして一万四十八台というものが
輸入、で、先刻申上げました
生産実績とこの
輸入実績とを合せまして大体二万四千四百四十台ぐらいですが、これがいわゆる現在
日本に保有されておると申上げましようか、
普及されておると申しましようか、ある
セツトでございます。
次に、それに伴います
普及状況でございますが、これは
日本放送協会、いわゆる
NHKがいろいろとお調べに
なつておりますので、
NHKが現在二百円の
聴視料を取つておられますところの台数が、十一月三十日現在で六千九百十五台という
数字を
NHKから頂いております。そのほか、大阪、
名古屋はまだ
実験電波でございますので、
聴視料が取れませんので、この
数字がいろいろと出ておりますけれども、これをはつきりと幾台という
数字は出ておりませんが、大体トータルして九千台ぐらいのものが、今
NHKのお調べでは、
テレビを見ておるのではなかろうかと思いますが、それ以外に届けをしておらない方もあるかも知れませんし、或いは
試験用として使つておられる方もあるかも知れませんが、先ほどの
数字と御比較頂ければ結構かと存じます。
次に、どうしても
テレビに一番大事なのは
ブラウン管でございまして、
ブラウン管、御
承知のように影像の出て来るところの
電子管でございます。この
ブラウン管について申上げますと、現在での
ブラウン管の
生産を
インチ別に一応申上げておきますと、七
インチが
国産で五千八百三十五台、十
インチが五十八台、十二
インチが三千百三十一台、十四
インチが九百六十一台、十七
インチが四百三十四台、
合計一万四百十九本、これが九月までの
ブラウン管の
国内の
生産でございます。
国内の
生産に対しまして今度は
輸入のほうを申上げますと、先ほど
セットのところで申上げましたように、
一般外貨といたしまして、これは
研究用並びに
セット・
メーカーが現在
主務大臣の認可を得て
技術提携をしておる
会社が三十五社ございますが、そういう三十五社の
メーカーがお作りになるもの、そういうものが
一般外貨として割当に
なつております。そういうものが三万七千七百九十九本、次に
セットと同じく
振興外貨によりまして入つて参りましたものが八千五百本、これは大体今年の六月から枠がありませんので
ストップしております。次に
自動承認制度によりまして入つて参りましたのが、これは我々のほうもはつきり
数字がつかみにくい、これは
銀行の
承認で今作業をしておりますのではつきりわかりませんが、大体五千台、これは五月中旬に一応
ストップをしております。
合計いたしまして約五万本が
輸入されておる
状況であります。この大きさは大体十七
インチが現在
需要面がありますので、十七
インチが大体のパーセンテージを占めておるような
状況でございます。今後は今申上げましたように
振興外貨、
自動承認制度ではもう
ストップをしておりますので、
国内生産がだんだんと向上して参りましたからしてできる限り
国産を使つて頂く、
外貨の節約をして頂きたい、こう考えております。
次に、それでは
通産省としてはどういうような
テレビ工業に対して
対策を持つておるかということを申上げますと、御
承知のように
科学技術研究補助金というのが
工業技術院から交付されましたけれども、これに伴いまして
テレビ関係の今までの
交付状況を申上げますと、
応用研究として、
昭和二十五年、二十六年、二十七年、二十八年度、この四カ年において取りましたが、二十五年度について申上げますと、二十五年度に
応用研究といたしまして七十一万円、これが
工業化用としての
補助金が九百五十万円、
合計千二十一万円が二十五年度に
メーカーに交付されております。二十六年度は、
応用研究用といたしまして千百十五万円、
工業化研究用として千三百五十万円、
合計二千四百六十五万円二十六年度に交付されております。二十七年度は、
応用研究用といたしまして一千一百二十五万円、
工業化用としまして二千八百万円、
合計三千九百二十五万円、二十八年度は、
応用研究といたしまして千七百四十五万円、
工業化研究用として千七百万円、
合計三千四百四十五万円、が今まで
メーカーに
補助金として
通産省が渡した金が一万八百六十五万円の
補助金を渡しまして、やがて来たるべきところの
テレビ工業へということで、二十五年度から今のような
補助対策と申しましようか、
補助金の交付をいたしたのであります。なお且つ、
研究用ばかりではございませんで、
設備資金といたしまして二十七年度には、御
承知のように、二十七年の七月三十一日に初めて
日本テレビ放送網に仮免許が下りるという
関係もあつて、二十七年度に
テレビジヨンという言葉が自由に使えませんでしたので、超短波という名前でございましたが、
ブラウン管をどうしても
国産化しなければならない。
開発銀行の金が、大体一億八千万円から二億円の
設備資金をみたのでございますが、二十八年度は、二月一日に
NHKの本
放送が始まると同時に、
衆参両院におかれましても、
テレビ工業に対して何か
対策を講ぜよというような御命令がございましたので、
電気通信関係に大体七億の
開発銀行の融資を
只今申請中でありますが、そのうち三億が
ブラウン管、並びに
テレビ受信機の
設備資金として、現在
開発銀行と
メーカーと我々のほうで審査をいたしております。大体きまるやに聞いております。今申上げましたように、
設備資金その他
運転資金にいたしましても、
長期信用銀行、或いは
中小企業金融公庫、或いは
中金等に、
中小メーカーもございますので、そのほうにも
運転資金或いは
設備資金の今斡旋をいろいろといたしております。
開発銀行の金は、御
承知の通り今
資本金一億円以上というような規則もございます。それ以外の
メーカーに対しましては、今まで申上げましたように
金融機関のほうに今我々が
運転資金その他を斡旋いたしている次第でございます。これが大体
金融関係の、我々といたしましてメーカと対していろいろと措置をいたした結果でございます。
そういうような
状況を以ちまして、今お配りいたしました
テレビ工業確立対策要綱、これにつきまして、先般新聞でいろいろ出たというようなことを
委員長から聞きましたけれども、
通産省といたしましては、
セツトをたくさん作つてもらう、或いは又そうでなくても十万円、二十万円もする
奢侈品で賛沢である、これは当然であると思います。そういうものを我々はこの経済の浅い
我が国におきまして、或いは
外貨のない
我が国におきまして、率先してやるという気持は毛頭ございません。なぜこの
テレビ工業確立対策要綱を作つたかと申しますと、一番
我が国の
産業で遅れているのは
エレクトロニックス工業でございまして、この
工業なくして今後我々は
輸出振興も或いは
産業の
合理化もできない。この
エレクトロニックス工業が如何に重要であるかということは、参議院の
電通委員各位におかれましても、十分御理解あることと思存じます。一例を申上げますと、
捕鯨船にいたしましても、今まで
レーダーがなかつたために漁が少なかつた。
レーダーを取付けましてからは
漁獲高がたくさんに
なつた。ところが西ドイツ、及び
オランダ等におきましては、超音波の機器を用いまして、鯨が海底にねているのを、超音波によりましてこれを揺り起して海面に上つて来たものを
レーダーによつてキャッチして捕える。そういうように一歩々々と南氷洋においてもこの
電子管応用工業が活躍している。
次に、
遠隔操縦と申しまして、各
電力会社が一々その水門の高さ、或いは又ボイラーの
状況を見ることもできませんので、いわゆる
工業用テレビジヨンというものを今後これに取付けまして、
発電所長室において水門の
状況を見る。或いは又最近
沈没船の
状況、或いは海底の海流の
状況、或いは又魚群の
状況を見るために
水中テレビというものを用いまして、それを見て資源の開発をいたして行く、今度
我が国にも、或る社が三重県の
真珠状況を
水中テレビによつていろいろと
研究をする、こういうように、ただ娯楽の
放送が出ているために、我々は
セットを部屋に置いてふんぞり返つて見ているというのではございませんでして、
エレクトロニックス工業、こういうようなものに対しましては、今のところそういうものの
生産単位が、いわゆる
工業テレビジヨンが
セットが幾ら要る、或いは
水中テレビジヨンが幾ら、或いはマイクロ・ウェーブがどうしたこうした、
レーダーがどうという大きな問題がございますけれども、その
生産対象がはつきりいたしておりませんが、
テレビジヨンは、
国会においても先般御説明申上げましたように、五年後には百万の
普及を一応はして行きたいという線を出しまして、それから一応
生産対象がはつきりいたしますので、この
テレビジヨン工業を確立することが、
我が国の
エレクトロニックス工業を確立する最も近道である、こう考えましたために、殊に
テレビジヨン工業確立対策要綱を作つた次第でございます。
で、この
テレビジヨン工業につきましては、先ほど申上げましたように、どうしても四百の
特許がございまして、そのうち四十件のどうしても契約しなければならないその重要な
特許を
RCA、WH及び
EMIが持つているために、その
技術提携を必要といたします。現在
我が国において、
テレビジヨンを作りたい、現に作つている方もございますが、作りたいという方が約八十ぐらいございます。そのうち御申請がございまして、一応
外資審議会において認可になりましたのが三十五社ございます。現在三十五社が
認可会社と
なつております。ここにおいてこの
技術提携を、いわゆる
特許契約を何の審査もせずに誰でもやらしたほうがいいか、或いは
一つの線を出して、それによつて取捨選択したほうがいいかという問題が今後起るかと思いまするけれども、この三十五社に対しまして、現在
生産分野をきめて作つておりますけれども、この八月と九月との
生産実績を比較いたしますと、いわゆる六大
メーカーと言われる
メーカーは、八月に対する
生産が、九月は一五〇%というように
なつておりますのに、小
メーカーは、それが三〇%、或いは五〇%というように
生産が落ちているということは、
テレビジヨン工業、いわゆる
テレビジヨンが如何にむずかしいものであるか、高度の
技術を要するということと、非常にこれは金のかかる仕事でございますし、もう
一つは、
普及をしなくちやならない、あとの
サービスを伴う、そういうような非常な問題が起きて来ているのでございます。それで
中小メーカーの方も、目を、先ほど申上げました
工業用テレビのほうにおかれまして、
工業テレビのほうを御
研究に
なつている方もございます。或いは又、十七
インチのような非常に大きくて高価なものより、
インチの少いほうへ、今の
技術研究をしておられる、こう私は考えておりますが、この九月、十月は、大
メーカーは先月に比して一五〇、一六〇という
生産を上げておりますが、それ以外はその比率が下つている。で、先ほどたびたび申上げますように、この
テレビジヨンというものは、先ほど申上げた
エレクトロニツクス工業の一環でございますので、音響と映像その他いろいろとむずかしい問題がございますけれども、三十五社でいいか悪いかという問題も今後検討しなくちやいけませんが、中には今後非常に
受像機の
品質の向上、或いは又
生産費を切下げ、いわゆる輸出をして行こうというような優秀な方が出て来られた場合には、この三十五社以外には、
外資審議会のほうにお願いして
特許契約をさしまして、
輸出振興、或いは又
工業テレビジヨン、或いは
水中テレビのように、又その他、広く言えば
エレクトロニックス工業、
日本の
産業のために寄与して頂きたい、こう考えてこの
産業に関する
対策というものを考えたわけでございます。
次に、先ほどからたびたび申上げますように、非常に金のかかるものでございますけれども、
テレビジヨン工業というものはほかの
産業と違いまして、一番新らしい、而も
電波を相手にしましたところの高度の
技術を要する。そういう
関係からして
エレクトロニックス工業の基盤を作りたい。そのためには今のように
設備資金を斡旋いたしまして、それだけの力を保有しておきたい。こういうものは先ほど申上げたように捕鯨というような
一つの食糧問題、或いは又電力というような大きな問題、それにも寄与いたしますために、
設備資金及び
運転資金をできる限り御斡旋してもらいたいというのが、この
生産対策の第一項に語われているのでございまして、その金額は先ほど申上げました。今年は、
セツトに関しましては三社、それから
ブラウン管につきましては三社、ダブりますが、全体で四社に三億の融資を見まして、
エレクトロニツクス工業の基礎を、いわゆる
工業力を保有してもらいたい、こう考えているわけでございます。それ以外に
運転資金といたしまして、それ以外の
メーカーは、
長期信用銀行、或いは又中期、或いは
中小企業金融公庫のほうにいろいろとお願いをして御理解を得て融資が出ていると考えております。
第二番目には、
試験研究用補助金の交付でございますが、これは先ほど申上げましたが、来年も
工業用テレビジヨン、
水中テレビジヨン、又、
トランスを用いますと非常に高価になりますので、
トランスレスの
真空管を用いた
セット、こういうものに対する
試験研究補助金につきましていろいろ考慮を払つて行きたい、こう考えております。それからなお、こういうものを作りますのには、何分にも素材並びに部品の
品質を高めなくちやいけない。素材にいたしましても、純度の一番高いニッケルというのは
日本でできません。その他いろいろな問題が出て参ると思います。最近、よく皆様御
承知のように、トランジスター、或いはゲルマニユームなども、
欧米品に比較いたしますと純度が非度に低い、こういう問題がございまして、これらの
品質の確保をいたしますためには、先ず
差当り今までの
国内規格、いわゆる
JISではとても品位が上りませんから、
JISの改正をし、或いは又
JISを新らしく設ける、或いは又その他いろいろな問題が起つて来るかと思いますが、これは今後我々といたしましては、各
関係官庁と協議をいたしまして、これが強力に指導を推進して行きたいという考えを持つております。
第四番目は、これは
工業技術生産審議会でございまして、昨年の暮の
工業技術生産審議会の中に、
テレビ部会というのが設けられまして、先ほど申上げましたように、
RCA、WH及び
EMIの
特許の問題その他を解決して行きたいというので、その効果は現われましたけれども、来年は
一つ、
セツトの
品質資格審査会をやつて
技術の向上をして行きたい、こう考えております。
それから
輸入対策でございますが、これは先ほど
セツト、或いは
ブラウン管でも申上げましたように、
輸入を絶対にとめるという方法ではございませんけれども、
外貨は今非常に苦しいし、
国際収支をバランスするという意味におきましても、できる限り
国産品で賄う。どうしても
国産品でできないというようなものにつきましては、これは
輸入で補償はして行きたい、できる限り
国内で使われるものは
国産品を以て賄つてもらいたいという思想で、この
一般外貨による
輸入を考えておるのであります。この
輸入につきまして、本当に御参考でございますが、衆議院からの御要求もございまして特に
日本銀行為替管理局で調べましたのですが、
昭和二十六年、二十七年、二十八年の上期に、全
産業で今まで
外貨を支払つておる金額が六十五億でございます。六十五億の
技術援助資金が海外に出ており、そのうち
通信機関係が七億五千万円、約十一%に
なつております。これは先ほど申上げましたように、各社が外国の
会社と
技術提携をやつており、その
支払額、或いは又
テレビなら
テレビの
パテント料、そういうものが全
産業で六十五億、これは上期までに六十五億、そのうち
通信機関係が七億五千万円、
通信機関係で一番多いのは
RCAでございます。これと先ほど申上げましたように
セツトなり、或いは
ブラウン管なりいろいろと
外貨が出ております。一方、
我が国の有力な
会社は外国の
会社と
技術提携をし、
特許契約をし、
設備機械を入れ、而も政府から
補助金をもらい、或いは
設備資金の
開発銀行の融資をもらつてまで、それまでにしてまだ十七
インチの
セツトを入れなければいけないということは、我々としてはもつともつと謙虚な気持で反省をして行かなければならない、こう考えますので、
輸入につきましては、たびたび申上げますように、どうしても
日本の
品質が悪くて駄目だ、或いは
日本には絶対できないというようなものがある場合はともかくといたしまして、
テレビに関しましては、今後できる限り
国産を使つて頂きたいというのが、この
輸入方針であります。
併しながら
機械は入れる、或いは金はみる、
生産はするが、今度は
普及はどうかというような御質問があるかと存じますが、
普及につきましては、
日本放送協会も、或いは又我々のところも、
郵政省の
電波監理局も、或いは
工業界も、或いは
メーカーも、これは打つて一丸となりましていろいろやつておりますが、ここに書いてございますのは、先ず第一に、
テレビジヨンには
サービスをしなくちやならん、これは
国会でもたびたび各
委員から言われましたが、ただ
サービスというのは非常に私はむずかしいことと考えます。特にこういう高価なものを
サービスしますのは、やつぱりよく早く低廉に、そうして
テレビのように特に明日の何時の野球なら野球を見たい、それに間に合うようにしなく
ちや意味がない。それにいたしますためには、どうしても十分優秀な
測定器を備付けまして、これをやつて行く、そういう
関係で
サービス業務の運営を指導して行きたいということは書いてございますが、十二月一日に
日本テレビ・
サービス網協同組合というものが中小企業庁の御斡旋によつてできまして、これは大体会員が十二社ございます。本
放送の
電波が関東一円だけでございますが、
名古屋、大阪まで
電波が出るようになれば、この
協同組合が大きくなる。そのために
ラジオ商店がいろいろと今後は第一線で又やつて頂かなければならない。で、現在の
ラジオ販売店にも今度は我々といたしましても呼び掛けまして、
一つ協同組合を作つて立派に
サービス業務をして頂きたい。これに対するいろいろな
運転資金、
設備資金はこれは我々のほうから中小企業庁のほうへでも連絡いたしまして、
協同組合によるいわゆる中金からの御斡旋をして頂きたい、こう考えております。
次に、この
ラジオは非常に複雑だ、先ほど申上げましたように複雑な高度の
技術を必要といたすのでございます。一例を申上げますと受像管の回路には高電圧、一万ボルトから二万ボルトの高電圧がかかるのでございます。これをちよつとわかりやすく申しますならば、電燈から取りますと、電燈からは百ボルトの電流が流れておりますが、この百ボルトを一応
トランスによりまして一万ボルトに上げるのでございます。而も電燈から来ている電流は交流でございますので、
ブラウン管に電子が飛ぶときは直流に直さないと飛びません。これを直流に直して、いわゆる
トランス、変圧機と
真空管によりましてこの百ボルトの交流の電力を一万乃至二万の直流に直しまして
ブラウン管に電子が至りまして影が出る、そういうような
状況でございますから、さわりますとこれは人命に危険を及ぼす、而も二十個くらいの非常に高度の
真空管を使つております、又部品の数にいたしましても非常にたくさんの部品を使つておりますために、これを直すためには高度の
技術が要る。
ラジオにつきましては、
ラジオ受信機修理
技術者検定を
昭和二十六年度は
通産省で行いまして、二十七年度は
通産省並びに
郵政省の共管に
なつておりますところの財団法人
電波技術協会にやらしておりますが、この
テレビ受信機修理
技術者も、現在の
通産省の告示を直しまして来年度からは
テレビ受信機の修理
技術者の検定を財団法人
電波技術協会にさせて、国民全般の
技術の向上をして正しい修理を、
サービスをしてもらいたいというのが第二項でございます。
次には月賦販売、これは
ラジオにつきましては、
NHKの非常な御協力を得まして、現在六千万円かと存じましたが、資金が中金からこの月賦販売
会社に出ておりますけれども、
テレビは御
承知のように
ラジオと違いまして非常に高いものでざいます。又この期間も六カ月ということでは恐らくなかなか
普及いたしませんので、この受信機の月賦販売方式を各
関係官庁並びに
関係団体と今後協議をして行きたいと考えております。
次に
普及型標準受信機、これは十五、十六
国会において特に参議院の電通
委員のほうからお話がございましたので、現在
電波技術協会へ
通産省からも、
郵政省からも、
NHKからも、
ラジオ東京及び
日本テレビ放送、
工業界、業界代表、各
関係機関がよりより集まつて今
研究をしておりますが、大体十二月中には
一つの案が出て来るかと思います。それが出て参りましたら、
通産省と
郵政省でこれをいろいろと検討いたしまして特に現在受信機には課税されておりませんが、先般の税制
調査会で
セットには三〇%の課税をするというようなこともありました。やつと立上つたこの
工業に非常に多額の課税をされることも、この
工業を育成するために或る点支障を来たします。併しながらそればかりを阻止するのも芸でございませんので、早くこの
普及型標準受信機というものを作りまして、一般大衆へ
普及し、それには免税をさせて頂きたい、こう思つてこれができましたならば、
衆参両院の電通
委員にお願いをいたしまして、最後はそこできめて頂きたい。国民一般へ安い
セットを
普及して行きたい、目下これが
研究をいたしておりますが、この
普及型標準受信機は、それでは一体どのくらいかというようなことを聞かれますが、いろいろと家庭にありますところの文化財或いは必需品、そういうものを考えますと、十万円以上のものと申しますとピアノぐらいのものでございます。ほかにはそういうものは余り見当りません。高級な写真機も十万円くらいのはございます。そういうものでなくて
ラジオ、或いは
テレビ、或いは電気洗濯機、或いは自転車、ミシンというように、国民にすぐに入つて行くためには、どうしても五万円以上であつてはいけない。五万円を
一つの目標として、
差当りは目標として行くべきである。百万の
普及のときにはもつとこれを下げてもらわなくちや
普及ができない。今現在十万円、十五万円というようなことでは、とても一般大衆には
普及しない。ですからして価格の面では一応の目標を大体五万円としてこの
普及型をきめて行きたい。
それから次に、それではサイズはどうか、サイズから検討いたしますと、建設省に聞いてみますと、国民住宅の平均間数が五・六畳ということに
なつておりますから、大体六畳、六畳そのものが空いておるということは殆んどありません。まあ箪笥とかいろいろなものを置きますので、六畳ヘ
テレビを置きましたならばどういうサイズが一番いいか、もうこれは御覧に
なつた方はおありと思いますが、やはり視覚の問題もございますし、それから映像がはつきりする、ぼやけるという点もございますので、それで大体十二
インチ以下がいいというようなことが言われておりますが、十
インチを
一つの中心として、七
インチとか或いは十二
インチとかいろいろあると思いますが、そういうことが六畳の間にはよくはないかと、こう考えております。又電力は、非常に
我が国は電力事情が悪いのでございますが、現在二百ワット或いは二百五十ワット電力を食つておりますので、これではとてもいけません。電気冷蔵庫、洗濯機にいたしましても、家庭用は百ワット、業務用は三百五十ワツト、こういうことに
なつておりますので、電力消費量から考えますと、少くとも百五十ワット以下ということも出て参ります。又使われますところの
真空管の数につきましても、その
真空管もなかなか安いもので、ございませんので、これも二十個も三十個も使われてはいけませんので、やはり十五球以下というように
真空管の数からは
一つの線が出て来るのではなかろうか、こういうふうに各項目ごとに検討いたしまして、早くこの標準型をきめまして、
普及の促進をして行きたい、こう考えておる次第でございます。
それから次に、よく受信機を見ますと妨害
電波が出ておりますが、これには二十七年度に百四十万円の
研究補助金を
電波技術協会へ
工業技術院が補助しております。これは主として自動車のプラグから出ますところの妨害
電波を如何に防止するかということで、大体の線が出て参りましたが、今年は七十五万円の同じく
電波技術協会に
補助金を出しまして、その他の電気機器から出ますところの妨害
電波の防止を
研究をお願いいたしておりますが、まだそれ以外にいろいろの受信機に対する雑音
電波がありますので、引続いて各項目についてこれらの防止
対策をして行きたい、大体こういうような線が十二月四日に局議できまりましたところの受信機
対策、
テレビジヨン工業確立対策要綱の大綱であります。
それから次に、今
普及型が出て参りましたので、ちよつと御参考までに申上げておきますが、
アメリカにおきましては十九
インチ以上の
セットが六七%を占めております。聴視者が大体二千四百万、二千四百万の聴視者に対しまして十九
インチ以上が六七%、英国におきましては大体聴視者が二百四十万ございまして、そのうちの六五%が十二
インチに
なつております。それからフランスにおきましては、これは昨年の
数字でございますが、五万五千の聴視者に対しまして十四
インチが三八%、それから十二
インチが二〇%、その他ということに
なつております。それから西ドイツにおきましては、一昨年の
普及が一万でございますが、これは十四
インチ、イタリアにおきましては、
普及型を六
インチときめておるそうでございます。ソ連におきましては一九五一年に聴視者が六万、これは六
インチを
普及型としておる、これが各国の受信機のサイズ別の
普及状況でございます。こういうことも今後
我が国の
テレビ普及の、或いは又
普及型標準受信機をきめる場合の
一つの参考になるかと考えております。
以上大体大綱だけを申上げました。