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1954-09-13 第19回国会 参議院 電気通信委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年九月十三日(月曜日)    午前十時三十八分開会   —————————————   委員の異動 五月二十九日委員山田節男辞任につ き、その補欠として森下政一君を議長 において指名した。 六月三日委員三好英之君、森下政一君 及び石黒忠篤辞任につき、その補欠 として三浦義男君、山田節男君及び梶 原茂嘉君を議長において指名した。 六月十四日議長において野村吉三郎君 を委員に指名した。 六月十五日委員梶原茂嘉辞任につ き、その補欠として上林忠次君を議長 において指名した。   委員長補欠 六月十五日左藤義詮委員長辞任につ き、その補欠として島津忠彦君を議長 において委員長に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     島津 忠彦君    理事            久保  等君    委員            左藤 義詮君            新谷寅三郎君            山田 節男君            三浦 義男君            野村吉三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 榮一君   説明員    郵政政務次官  松井 豊吉君    郵政省電波監理    局長      長谷 慎一君    郵政省電気通信    監理官     行廣 清美君    日本電信電話公    社副総裁    靭   勉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○派遣議員報告   —————————————
  2. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 只今より委員会を開会いたします。  議事に入ります前に一言御挨拶を申上げます。  私先般当委員会委員長の席をけがすに至りまして、もとより浅学非才のものでありまして、この重要なる委員会の運営が果して円滑に運営できるかどうか、誠に私として心配いたしておるのでありますが、幸いに皆様方の御理解のある御協力を得まして、当委員会の運営の全からんことを念願いたすものであります。どうかよろしくお願いいたします。  只今より先般派遣いたされました議員の報告を議題といたします。  先ず一班の東北班から報告をいたします。私より御報告をいたします。  一班は七月の下旬に東北地方の宮城県、青森県、秋田県の三県下におきまして電波行政の実情、電信電話業務運営状況を調査いたしたので、その主な事項につきまして御報告いたします。なお仙台秋田の両市では電波監理局電気通信局の主催によりましてその両者懇談会に出席いたしまして、地方の実情を深く認識したのでありまして、これらにつきましても申上げたいと存じます。  先ず電波関係から申上げます。東北地方は大体におきまして産業、経済文化発達状況から見まして誠に遅れておるのでありまするが、この地方も最近は電波利用について一般の関心が誠に高まつて参りました。これによつて経済文化後進性を取り戻そうとしていることは十分窺われるところでありまするが、その実例といたしまして、無線局に関して二、三の事項について概略申上げます。  一つは、海上関係でありまして、船舶数は現在一千余で、保安庁のものを除きますると殆んどすべてが漁船に設置されたものであります。二十八年には二百四十五件の増加から二十九年中には約四百の新設増加が推定されることであります。  二番目には、陸上関係では近年において新設局は年々百五十局以上に達し、現在六百四十六局となつております。増加傾向の著しいものを免許人別に列挙して見ますると、アマチユア無線電力会社、国警、海上保安庁、電電公社等の順位になつております。  三は、昨年末で東北各県に民間放送局が揃つた次第でありまするが、地形上から申しまして中継局の必要があり、ラジオ東北では湯沢に、岩手放送では前沢に申請中でありまして、又山形放送では鶴岡に、ラジオ青森では八戸、それぞれ予備免許が与えられております。  四番には、又東北電力は昨年四月若松、仙台間にマイクロウエーブの装置を完成いたしましたが、この施設は本邦において保安通信無線通信を採用したこと、無人中継を実施した最初の成功であります。マイクロウエーブ利用通信施設は当管内に十八局ありまして、全国の四十三局のうち約四割を占めており、この分野での将来の発展も十分期待し得るものと思われます。  次に放送関係について申します。当地方ラジオ普及率は六四・九%で甚だ低位であり、地方監理局別に見ますると、第八位となつております。又東北六県のうち全国普及率に達しておりますものは、僅か宮城県、一県のみでありまして、秋田青森の二県のごときは六〇%前後の低率を示しております。NHKといたしましては、極力受信者普及に努めて、低普及地域の開発につきまして先ず文化団体の結成を慫慂いたしまして協力を得ることを要件としております。二番目には、無電灯地域の解消につきまして関係団体に協力を求めることを考えており、三番目には、共同聴取を奨励する等の手段を講じまして、農村に特に重点を置いていることが挙げられます。このような努力の結果、一村百パーセントの普及率を示す村の数は全国に二十ほどありまするが、その半分の十村は当管内にあるという実情であります。又サービス改善上より見まして、ローカル放送は従来一日三時間程度のものを三十分間増加せしめるよう計画中であります。又普及上障害となる難聴地域解消策といたしましては、一、宮城県気仙沼方面新局設置を本年度内に予定いたしておる。二は、岩手の宮古放送局は四月より開始いたします。三、は青森放送局は増力をいたします。これは五月より実施いたします。百ワツトを五百ワツトに増力いたす。四、は青森秋田の両局では現施設改善いたしまして、放送出力を大きくするよう計画されております。難聴地域の解消につきましては、当委員会でもしばしば論議の対象となつた次第でもありますし、特にNHK当局の努力を期待している次第であります。なおNHK側より、難聴地域解消中継局を作つておりますが、中央局との中継用安定性のある電話線を使用したいという希望があります。現状は無線中継で我慢いたしておるような状況であります。この点は電電公社において将来の計画上御検討をお願いいたしたいのであります。  次に、民間放送関係を申します。前申上げました通り、昨年末岩手放送が開始いたしまして、東北六県におのおの一社ずつ民放が活躍することになりましたが、仙台東北放送を除いた五社は、いずれも昨年十月以降の運用開始でありまして、順調に発足はしておりまするが、最近の経済情勢から見まして、その前途は必ずしも楽観を許さないものがあるのであります。先ずその自主番組商業番組との割合を見ますと、仙台東北放送商業番組は、従来一日五、六時間で成績はいいと思われまするが、他は三時間又は二時間に達しないものがあるのでありまして、発足後未だ一カ年にも満たないのでありまするが、その経営は誠に容易でないということが窺われるのであります。従つて東北放送以外は収支は償わない現状でありまして、大体一期の決算で数百万円の赤字と想像されるのであります。又当地方では民放経営資本構成について注意を引いた点は、各社に地方公共団体の出資が意外に多いことであります。並びに各地の有力新聞のバツク・アツプも大きく、相当の資本援助があることであります。公共団体による出資状況は、東北放送は例外といたしまして、その率は二割以上四割にもなつている事実は、放送の本質的な事業性格から見て一考を要するのであります。  放送関係は、今回の視察で重点をおいて、各地で十分調査いたした次第でありまするが、現行の放送法が近く改正される機運にあることは、地方においてもしばしば論議の対象となります。我々も相当活溌な意見に接したのであります。勿論民放側NHK側、いずれも本部において主管庁にそれぞれ意見を表明していることは御存じの通りでありまするが、現在の切実な要望もありまするので、主要な事項の二、三を御報告いたします。  先ずNHK側からの意見といたしましては、  一、放送法の改正は全面的に改正しなくてもよろしい。実情に即した一部改正でよい。  二、放送事業のような文化事業言論機関に対して、言論統制は好ましいものでない。NHKとしては自律規定としてラジオ・コードがある。更に世論の調査もやり、又番組諮問委員会を持つて十分注意している。  三、全国普及という義務付けがあるから、公共性民放に比べて強い。従つて周波数、電力の割当に優先的に取扱いをしてもらいたい。  四、受信料については、現在の制度の維持を希望する。なおこれに関連して、集金人ラジオ普及に大きな役割を果しておりまして、年間百万増の実績を上げておるということを強調されております。  五、テレビ普及は困難であるから、何らかの助成策を講ずる必要がある。  六、民放は新聞と資本的つながりを持つていることから、地域的に独占的になりやすい。新聞と放送とははつきり切り離すべきものと思う。  七、NHKの労組に対して公労法の適用云々の話には絶対に反対する等が主な意見でありました。  又民放側意見を申上げますると、  一、放送法改正基本方針には、民放が発達した現実に即してやつてもらいたい。従つてNHKと平等の立場において考えるのは当然である。  二、民放はその番組を開放し、常に電波利用者の立場に立つているが、NHK側番組については民間がタツチしがたい。  三、放送法第一条第一項に、「放送が国民に最大限に普及されて、その効用をもたらすことを」とあるが、この効用を単に聞くだけでなく、利用するということに置きかえてもらいたい。民放としては、この利用という立場に置くべきで、この意味において公共性があり、従つて民放NHKも法の前には平等であると思う。  四、昨年のチヤンネル・プラン周波数空中線電力の決定にNHKを優先取扱いし、民放は継子扱いとなつている。これらを改正してもらいたい。  五、放送用専用線の確保については、民放NHK並みに優遇してもらいたい。又民放各社のネツト・ワークによる全国中継の場合、末端の料金が非常に高価となつてつている。この使用料低廉化を考慮してもらいたい。  六、NHKの第一放送、第二放送系統別目的が法的にはつきりしていない。最初第一放送地方的、第二放送全国的と聞いたが、その通り実施されていないと思う。  七、番組のバランスは民放NHKの第一、第二を通じてとれていればよいと思う。  八、無用の競争を避ける意味で、NHK芸能人等専属制をやめるよう法的に禁止してもらいたい。  九、聴取料はいわゆる受益者負担の原則より見て、現行は納得できない。税として取つて次のように使用すべきものと思われます。即ち、NHKに交付する。放送文化、技術の研究費に使う。受信機改善助長奨励費に、難聴地域救済費に、それから民放助成費に、この助成費は低金利で長期貸付を希望する。等の熱心な意見が述べられ大いに参考となつた次第であります。  なお他の利用者代表からも、  一、受信料の性格がはつきりしていないこと。  二、報道機関として新聞と放送が一緒になると独占化の虞れがあること。等について意見が述べられました。  又テレビについての要望は相当強く、東京、札幌間のマイクロウエーブ工事の完成には多大の関心を持たれていましたが、電電公社側より昭和三十一年度中には完成する旨答弁し、又これに関連して山田委員より、仙台市において、NHK民放テレビ鉄塔は名古屋のように一本で両者共用するのが合理的であると参考意見を述べられたところ、市側より、何らかの手段でその通り是非実現したい。又その候補地として大年寺山を考慮している。と答弁がありました。  以上で大体放送法改正に対する地方要望意見の概要を申上げたわけであります。  最後に、電波行政上その解決を図らなければならない混信の問題につきまして一言申しますと、当管内では現在措置を要するもの二十数件といわれておりますが、その主なるものを申上げますると、  一、放送関係では、民放ラジオ青森山形放送はそのサービスエリヤ外国系混信が相当あり、NHK平局第二放送小名浜漁業無線局混信を受け、又民放ラジオ福島の若松及び平両放送局サービスエリヤ内で同一周波数岡谷民放によつて甚だしい混信妨害を受けている。  二は、逆に放送波高調波その他によつて他系に妨害を与えている事例には、仙台第二波の第三高調波が国警の一斉放送用に対して仙台で妨害し、ラジオ青森の第二高調波青森鉄道無線に妨害を与え、又NHK盛岡の第三高調波ラジオ福島第七高調波鉄道無線を妨害し、又漁業無線に与えている妨害事例といたしましては、ラジオ青森の第二高調波によるものもあるが、大体は駐留軍通信が大部分で、これは至急解決を要するものと思われます。  以上述べました通り混信解決を困難ならしめている原因として、当地方に対して大陸電波の影響の強いこと、又その解決には駐留軍との関係あること、又チヤンネル・プランにも関係がありますので、これらの点について主管の向きで十分御検討をお願いする次第であります。  次に、電信電話公社通信事業運営状況について申します。この地方における公衆通信施設、運用、サービス面についての特異性は、電波関係で申したように産業、経済文化後進性が大きな影響を与えておることであります。  電話について例示的にその二、三を概略申上げますると、  一、先ず電話加入者普及率は一・四%で非常に低位であります。  二、加入者数方式別に見ると、自動式二〇%、共電式三一%、磁石式四九%で、約半数が磁石式であるということであります。  三、従つて業務委託局の数が多く、千五百局以上に達し、直轄局の数は八十一局に過ぎないのであります。  四、右の事情は、事業収入の面から見ますると、直轄、委託の割合は七十六対二十四となつておりますが、全国平均では八十六対十四であります。従つて地方局としての経営の自主性の見地から見ますると、その幅が窮屈であり、又事業全般的に見ましても、委託局の比重が他通信局より大きいのであります。  五、次に電話需給状況については、二十八年度は、その需要約三万に対しまして、大体その半数を販売いたしております。普及率が低位であることは前述の通りでありますが、東北地方における各種の総合開発も順調に進捗しつつありまする事実等を考慮に入れまするならば、電話需要の増嵩も将来期待し得る次第でありまして、従つて電話拡充計画には、これらの点を十分くみ入れる必要があろうと存じます。これらにつきましては、現地で民間並びに当局側から強い要請があつたことを附言しておきます。  以上で概略的なことを申上げましたが、視察中又は利用者懇談会席上等において、特に要望のあつた事項を述べまするならば、仙台方面で議題となりました事項については、最近の町村合併伴つて、それに相応した電話サービスを提供して欲しいとの要望であります。又市外通話サービス改善方については、仙台より塩釜方面へのサービス改善要望東北六県内又は北海道方面への市外通話待合時分を東京への通話程度改善してもらいたいという要請があり、又組合側から、電電公社の五カ年計画都市中心主義であつて地方の小局は閑却されておること、又経営委託局従事員は、庁舎問題で悩みが絶えないが、公社公益事業の性格から見て、これらは改善すべきものと思うとの意見がありました。次に、仙台市の加入電話の需要を充足して欲しいとの要望については、当局側より、現在の未架設数は約四千であり、今年度中には千六百程度は消化し得るも、それ以上は局舎問題の解決を要すとのことでありました。仙台局の基礎的な拡充計画は、市外関係も同時に解決すべき必要に迫られていると思われるので、本社としても十分検討の上実施計画を立てて頂きたいと存じます。次に、電話申込みの受理につきましては、中小工業者にも優先受理取扱いを受けたいとの希望もあつたのであります。  次に、青森方面では、青森電話局は、加入者収容余力が乏しく、申込積滞数は約千四百に対して収容力は百四十程度で、これの早急救済方要望しております。次に、市外通話については、青森——八戸間並び青森——所河原間の市外線不足についてその救済に対する要望があつたのであります。又青森における寒冷地手当については、昨年一人当り三千円支給されたが、少な過ぎるから今年度は是非増額方を実現したいとの希望もあつたことを附言しておきます。  次に、秋田における要望事項につきまして申上げます。秋田より東京、仙台方面への市外通話サービス改善についてであります。次は、横手——大曲間の市外線の特性が悪いからその改善方について申しております。次に、秋田——酒田間市外線ケーブル化についてであります。次は、本庄局の改式についてであります。いずれも施設改善拡充等要望があります。又町村合併伴つて電話サービス改善には施設の拡充を必要とするが、この場合所要経費の一部を政府補助とするならば促進を図り得ると思うとの意見もありました。次に、組合側より、人事管理の面で病人の多いことを指摘し、その対策考究要望があり、又県内の局舎は二、三を除いて大部分は狭隘で悪いからその改善についての要望があります。又定員不足を時間制賃金要員で補つているので、仕事の能率が上らないから、その改善方についての要望等、熱心な陳情があつたのであります。次にNHK労組より、電信がラジオの受信に妨害を与えているから公社側でこれが対策を実施して欲しいとの要望がありました。要望事項については、通信局よりもむしろ会社本部において検討を要する事項が相当多いと思われまするが、前述の総合開発関係以外で、この際二、三申しますと、  先ず第一に、東京——仙台——札幌間のマイクロウエーブ建設については、テレビ放送の期待についてすでに申上げました通りでありまするが、他面において多数の市外通話回線の得られることは、東京方面への市外通話CLR式取扱いとなるわけでありますから、東北ではその工事の完成に大きな期待をかけていることであります。  第二は、町村合併に伴う電話加入区域の整備については、実行上巨額な建設資金を要するものと思われ、容易に解決できる問題でないと思料されまするが、この合併促進法ではその第三十一条に、公共企業体の協力の要請もあり、何分の御検討を煩わしたいと思う次第であります。  第三として、デフレの影響でありまするが、政府の緊縮政策公社も協力をいたしまして経費の節約を図り、公債発行額も一部査定したのであります。地方局としてはそのサービス目標に影響するわけですから、我々も相当関心を持つていた次第であります。併し視察中には、本社の具体的な方針がなかつたようでありまして、従つて報告事項としてまとまつたものはありませんが、ただ本年度の第一・四半期における加入者開通数は千五百余でありますから、前年度に比べると大きな開きがある点は、単なるデフレの影響ばかりでないようであります。加入者増設は、いわゆるサービス重要課題であり、而も公社営業成績にもかかわるものでありますから、検討を煩わしたいと存ずるのであります。  以上で、私ども第一班の電波関係電電公社関係視察報告を終りまするが、これらの詳細につきましては、別途提出いたしまする資料によつて御覧願いたいと存じます。  なお私の報告に足りませんところは山田委員もおいでになりましたので何か御報告があるかと思います。  これを以て私の御報告を終ります。  次に第二班、四国班の御報告をお願いいたします。
  3. 久保等

    久保等君 それでは第二班の四国班報告を概略私のほうからいたしたいと思います。  七月二十六日から七月三十日まで五日間に亘つて左藤委員新谷委員と共に愛媛香川及び徳島の各県を廻りまして四国における電波行政並びに電気通信事業について調査をしたのでありますが、今回の調査放送関係重点を置いて行いましたので、放送関係から報告申上げたいと存じます。  四国は、申すまでもなく瀬戸内海によつて本土と切断されたいわゆる島国でありまして、御承知の通り中央部を山岳が横断し、これを中心として幾多の支脈が櫛比しているという地勢を成しておる関係から、電波の伝わり方は極めて不良で、従つて難聴地域の多いのがその特色であります。そのためにNHKにおいても採算を度外視して愛媛県下に五局、高知県下に二局、徳島県、香川県下に各一局、都合九局を設置しておりますが、放送法に定められた、あまねく受信できる状態にはなお遠い状態であります。このように難聴地域の多いことはラジオ普及率にも影響し、四国電波監理局調査によれば四国全体の世帯数八十五万八千有余ラジオ受信機設置数は四十六万有余であつて従つて普及率は五三・八%で、関東地区の八二%に比し、遥かに低く、又全国平均七〇・六一%にも達しない状態で、全国で最下位となつております。  次に民間放送でありますが、徳島県に昭和二十七年七月四国放送会社が生れ、愛媛県、香川県、高知県には昭和二十八年それぞれラジオ南海ラジオ香川ラジオ高知会社発足して現在に及んでおりますが、或る会社ではパチンコ屋がスポンサーになつているところもあり、各社ともその経営には相当苦労しているようであります。併し民放においてもNHKと同様、難聴地域問題解決のために、いずれも出力の増強を希望している状態であります。  先ず最初NHK状況について申上げますが、NHK地理的条件から来る電波サービスの不十分をカバーするためにローカル放送対策として、大阪、中国九州等よりの対岸放送を活用しております。併しながらこのことで一番困ることは選挙放送等の場合があり、この問題については更に十分今後検討を進める必要があると思われます。ローカル番組地方公民のための放送であるために、番組編成については特に松山放送局長諮問機関として政治、教育、経済文化の各層を代表する学識経験者委員とする番組審議会昭和二十七年以降設けて相当の成果を挙げているように見受けられました。又番組企画委員会を自主的に局内に設け、ローカル放送独善化を避けて、国民の利益になる放送をと心がけて絶えず努力しております。その他松山中央放送局では学校放送及び婦人の番組等の充実にも努力しております。対岸放送対岸放送局との同時放送によつてサービスエリヤの拡大を図るのが目的であるが、その番組としては、松山と大分とのリレー放送によつて豊予海峡を隔てて放送資料の交換を行い、対岸聴取者サービスを行なつている。又瀬戸内海の時間を設け、松山、高松、広島、防府、岡山の五つの放送局によつて瀬戸内海を囲む中国四国産業経済の動向を放送している。難聴地域は、NHK調査によれば現在愛媛県下では城辺地方で一万二千世帯、宇和、肱川地方二万世帯、新居浜、南部県境地方八千世帯徳島県下では、西部県境地方九千世帯南部県境地方一万一千世帯香川県下では丸亀地方九千四百世帯坂出地方一万三百世帯県西部及び東部地方六万九千世帯高知県下では、周辺県境地方六万三千世帯でこのように難聴地域世帯数は極めて多い実情である。現在のNHKの能力は、昼間は管内面積の三六・九%、夜間は二一・七%、世帯数については、昼間は六六・六%、夜間は四九・四%をカバーしているにすぎない。従つて目下NHKにおいては、昼間は管内面積の七三・八%、夜間は六〇・六%、世帯数については、昼間は九一%、夜間は八三・七%までカバーできるよう出力計画を立て、至急これが実現方要望いたしている実情であります。  更に、四国における放送の特質として挙げなければならない問題に混信があります。即ち徳島放送局の第一放送周波数九百二十キロサイクルで、鳥取放送局の第一放送と同一周波数であり、且つ名古屋放送局第二放送が九百十キロサイクル、熊本放送局の第一放送が九百三十キロサイクルでいずれも周波数が接近している関係混信が多い。又高松放送局の第一放送周波数は一千三百二十キロサイクルで、日本放送民間)のそれは一千三百十キロサイクル、松江放送局の第二放送は一千三百三十キロサイクルで、これ又混信が多い。又松山放送局の第一放送は七百キロサイクルで、東京放送局の第二放送の六百九十キロサイクルと混信すも一千百六十キロサイクルであるが、これがVOA沖縄の一千百八十キロサイクルと混信する。このように四国における電波混信が非常に多い。この混信解決する途は、早急にチヤンネル・プランの再編成を行うことであるが、併しながらこのチヤンネル・プランの再編は単に机上の計画でなく実地の調査に基く慎重なる準備がなされなければならず、なかなか困難な仕事ではあるが、いずれにせよこの問題の解決は急務であるから、この点強く政府に対し要望する次第である。  テレビジヨンは、NHKの大阪中央放送局の本放送開始に伴い徳島県がそのサービスエリヤに入つている関係上、受信契約者は今のところいずれも徳島県であつて、僅かに四十二件を数えるにすぎないが、本件に関しては今後中継所を設置する等によつて四国県下にあまねく普及するよう対策を立てるべきであると思う。  次に放送に関する懇談会の模様を簡単に報告いたします。松山市、高松市及び徳島市でそれぞれ県当局、県の財界、教育界、宗教界、言論界、婦人会、労働組合、商業及び農業関係等の多数の出席の下に盛会裡に行われ、そこで活発な意見の開陳がありましたが、その内容を概略申上げます。  先ず松山市の懇談会で発表された意見は概略次の通りであります。  伊予鉄道株式会社社長武知鼎君「愛媛県民には電波が行き渡らないところがあるので、地元の要望に応えて放送局の新設を図つてもらいたい。」  元大阪朝日新聞学芸部長越智二良君「一、一般聴取者の立場から申せば、政府機関としての番組審議会は如何なる形式において行われましても反対である。二、放送事業NHKが主体となるのが正しいと思う。こういう見地から周波数の割当等を行わなければならない。三、NHKの第二放送は廃止すべきでない、学生等はこれを非常に頼りにしておる。若しこれを廃止するときは、第一と第二放送でバランスのとれた放送が却つて質的に低下する虞れがある。四、聴取料を税金にすることはかなり危険が伴う。即ち税にすれば政府の干渉が更に強くなる可能性が生じて来る」。  愛媛県社会教育委員藤井あやめ君「一、いわゆる番組編成審議会の設置には反対である。二、NHK第二放送は教育上重要であるから、これを廃止することは反対である。三、聴取料を税にすることも反対である」。  愛媛県知事久松定武君「一、放送公共性を忘れず、放送関係者は努力を続けて欲しい。二、愛媛県は地形の関係電波が全県下に行き渡らないから、現在大分、広島の放送局の応援を得て放送を行われているが、中継所を設置して難聴地域解決を図られたい。三、愛媛県の公共事業費の半分は災害復旧費であるので、災害予防のため気象ニュースの迅速に行われるよう考慮せられたい」。  次に学校放送教育研究会四国連盟理事長の有馬明君「一、NHKの第二放送の廃止には反対のみならず、むしろ第三放送を設け、教育面を更に強化せられるよう取計らわれたい。二、香川徳島にはNHKの第二放送がないことは嘆かわしい。教育放送の充実をもつと考えるべきである。三、幼児向けの番組が欲しい。子供を考えての親心で十分に考え、国民全般へのサービスを望みます」。  愛媛県社会教育委員の大森利敏君「いわゆる番組審議会の設置には反対である」。  次に温泉郡の婦人会長大野智嘉子君「婦人は外出の時間が少いので、ラジオに親しみながら家事の仕事を行うものであり、ラジオはいわば教室という考え方でありますから、NHKもこういう見地に立つて主婦の指導に当つて欲しい」。  四国ガス株式会社社長滝勇君「愛媛県下放送事業が更に普及するよう考慮せられたい。聴取料を税にすることは今後特に慎重に審議して決定せられたい」。  愛媛大学学長辻田力君「一、いわゆる番組審議会なる政府機関で番組をきめることは反対である。併しながら自主的に放送事業自体で行うことは必ずしも反対でない。二、聴取料を税にすることは租税の重圧とラジオ利用率の低下を来たすことは必然であるから反対である。  愛媛県青果協同組合理事長の桐野忠兵衛君「一、NHK産業、教育関係放送時間を増して欲しい。二、いわゆる番組審議会の設置には反対である。三、聴取税の設置にも反対である。四、テレビが早く四国県下普及するようにして欲しい」。  愛媛県議会議長井部栄治君「民間放送にも楽しい番組があり、自分の子供たちはこれを聴くが、就寝するときは必ずダイヤルをNHKに戻して休んでいる。これは恐らく国民感情であろうと思う。NHKは聴取者のこのような気持をくみ取つて立派なサービス国民に与えるようにして欲しい」。  次に高松市における懇談会で発表せられた意見の概略は次の通りであります。  先ず香川県知事代理より、出力を増強し、難聴地域解消して四国後進性を取り戻すよう努力せられたいとの要望が行われ、次いで高松商運会社取締役大西林次君「一、NHKは政府の御用機関にすべきではない。二、受信料現行通りでよいと思う」。  香川県広報文書課長の坂井助次君「一、NHK民間放送は並列して発達すべきである。従つてNHK増加すれば民間放送も増力するようにすべきである。二、NHK国民全般がスポンサーであるから、いわゆる放送公共性NHK期待すべきで、民放の言う公共性とはいささか差異があるように思われる」。  文化財保護委員草薙金四郎君「番組編成審議会を設けたり、放送原稿の検閲を行うことには反対である」。  主婦の古市チヨ君「NHKが子供及び婦人の教育に貢献したのは事実である。今後も更にこの面を特に重視して欲しい」。  松島小学校校長工藤義隆君「民間放送にはもう少し自己成長の時期を与えるべきで、今ここで放送法改正して監督することは避けるべきである」。  徳島市における懇談会の主な意見は次の通りであります。  徳島県知事阿部邦一君「ローカル放送拡充してもらいたい」。  徳島委員会委員島村泰雄君「若し放送法改正する場合は、NHK公共性民放の特性をよく生かして欲しい。一般には改悪になりはせぬかと心配している」。  国鉄労組徳島県支部長木内栄一君「放送の自由と公共性を保持するようにせられたい」。  徳島県青年学校振興協議会会長山口一雄君「放送番組編成に政府が干渉することは避けられたい。」  徳島県教育会事務局長岡島幹雄君  「教育放送拡充してもらいたい」。  天理教の田村勝美君「聴取料をやめて受信税にしたほうがよい。NHKは官報のごときものとして政府機関にしたほうがよい」。  なお参考までに報告いたしまするが、聴取料受信税にせよという一般からの声は、徳島で初めて調査団が聞いた次第であります。  徳島県盲人会会長杉浦四郎君「盲人の楽しみは耳で聴くラジオである。盲人はラジオを喜んで聴いていることを忘れず放送事業努力せられたい。又盲人には貧困者が多いから、受信料値上げなどせぬようにせられたい」。  以上が懇談会において発言せられた概要でありまするが、いずれの懇談会においても民放関係者からは、  一、言論統制になるような放送法には反対。政府機関としての番組編成審議会の設置にはこの意味において反対である。  二、民放もその公共性において何らNHKと異なるところがないので、NHKの第二放送の波を整理して、民放にも有利な周波数の割当をして欲しい。  三、受信税を設置してその一部を民放育成のため還元して欲しい。  四、出力を増強せられたい。  以上が懇談会の概要であるが、これを要約すると、  一、民放関係者は別として、NHK聴取料現行通りでよい。これを受信税にすることには反対である。  二、言論統制になるような政府機関としての番組編成審議会の設置には反対である。  三、教育放送拡充。  四、難聴地域解消せられたい。  以上が懇談会における圧倒的に多かつた意見であります。  次に、四国における電気通信事業について簡単に報告いたします。  四国における電話の加入数は、四国電気通信局昭和二十八年度末の調査によれば、六万三百二十二で、その内訳は自動式六千七百六十二、共電式二万五千百八十五、磁石式二万八千三百七十五である。又市外電話の回線は、一千九百八十八回線(一般公衆回線千六百二十一、警察専用回線三百十九、一般専用回線四十八)で、キロ数は延べ七万九千百二キロであります。人口百人当りの加入数は一・四で、これは二十七年度の全国平均一・八加入数よりも低位にあつて電話普及率は悪いと言わなければなりません。四国管内の申込積滞数は昭和二十八年度で一万七百四十三件に上つています。又管内自動式局は現在高松、坂出の二局のみで、総加入数に占める自動局加入数の割合は一一%にすぎず、全国平均の四四%に比べ、甚だしく低率となつています。なお四国管内は離島が多く、人口二百人以上で電話のない島が約三十くらい数えられるという状態であります。  昭和二十八年度の事業収入は二十九億三千九百万円で、支出は二十九億二千九百万円となつています。建設工事は五カ年計画の第一年度として、昭和二十八年度直接建設工事費十六億七千万円を投じて行われましたが、昭和二十九年度はデフレ政策の影響等を受け、十一億七千万円で行うことになつています。これは昭和二十八年度の七〇%にしか当らないものであつて、五カ年計画が果して予定通り遂行できるかどうか、多大の不安を抱かざるを得ない状態であります。なおデフレ政策による電話料の収納率は約五%減で、四国全体で本年度十億の減収が見積られております。マイクロウエーブによる電話回線の施設は、四国電力会社において計画がある模様でありまするが、これは国家的に見て電電公社によつて施設することが望ましいと考えられまするので、公社は至急対策を行い、これが一日も早く実現化することを希望いたす次第です。  四国管内の電通職員は約六千名で、うち療養中の者百三十四名であります。なお全国電気通信労働組合四国地方本部の日野委員長より、  「一、四国管内に結核療養所の設置、二、住宅困窮者の救済対策、三、共済組合住宅貸付の増額と適用範囲の拡大について、早急に実現するよう努力をしてもらいたい」との要望を受けたのであります。又四国電波監理局から、職員の厚生施設、殊に住宅問題の解決方と、郵政、電電公社間の人事交流の実現方について、それぞれ要望があつたので、この際附言しておきます。  次に、懇談会における概要を簡単に報告いたします。  先ず松山市では、愛媛県青果協同組合理事長桐野忠兵衛君「自動式を早く実施して欲しい」。  更に高松市では、高松市電話協会専務理事の石垣純一君から、「懸案の高松電話局舎新築工事を早急に施行し、電話の行詰り状況の打開に努力せられたい」。  高松商運会社取締役大西林次君「電話がもつと迅速にかかるようにせられたい。同じ高松市内でも屋島局管内であると、なかなか電話の架設が困難であるが、こういうことは至急改善せられたい」。  更に徳島市では、徳島市助役市原嘉治君「道路面を掘り返すような電話の線路工事は建設省その他関係当局で行う路面工事と重複しないよう十分連絡をとつて、一括した作業をして欲しい」。  徳島商工会議所会頭の長尾義光君「一日も早く電話自動式にして欲しい」。  徳島市青年連合会会長米延保之君「町村合併による加入区域の整理統合を促進せられたい」。  大体以上が電気通信関係意見の要約であります。いずれの懇談会におきましても、電話の自動化が強く要望せられていることは大いに注目しなければならないことだろうと存じます。  以上を以ちまして四国班報告を終りたいと存じますが、左藤、新谷両委員もおいでになつておりますので、なお補足すべき点がございましたら補足を願いたいと思います。  以上を以て報告を終ります。
  4. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 以上で派遣議員報告は終りました。速記中止。    〔速記中止〕
  5. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 速記を始めて。  それでは只今東北班及び四国班報告に対しまして、政府から御答弁をお願いいたしたいと思います。
  6. 松井豊吉

    説明員(松井豊吉君) 只今一班、二班、四国東北及び各班の御報告ございまして、各地調査の結果、各班に対してそれぞれ希望要件を御報告されております。いずれも各班ともこれを実現すべき重大な問題であります。これらの問題に対しましては、予算等の関連もあり、それぞれ法規等の改正も要し、各般に慎重研究いたしまして、それらの実現方努力をいたしたいと考えております。  なお具体的内容については、事務当局を以て答弁をいたさせます。
  7. 長谷慎一

    説明員(長谷慎一君) 最初電波関係につきまして、政府の考え方の一端を御説明申上げたいと思います。最初東北関係の方面についての御視察の結果、問題点として政府に対して善処方を要望されましたことの一、二について申上げたいと思います。順序等が或いは不同であるかと存じますが、その点は御了承を願いたいと思います。  最初放送局関係でございますが、お話がございましたように、東北におきましては、各県に大体一つずつの民間放送局がございまして、新らしいものはまだ一年の経過も経ていない状態でございますが、御指摘のように最近におけるデフレ政策と申しましようか、経済界のいわゆる不況というようなことも影響があるようでございまして、必ずしもその当事者が予定しました通り経営の進捗は見ていないようであります。併し一般の民間放送局は、数年前民間放送を始めました時分を考えますというと、大体予期以上に好調の成績を辿つておつたのでありまして、そのような性格の事業が最初の年度から赤字でない、相当の黒字で行くというようなことはなかなかむずかしく思われる性質の事業でございますけれども、幸い今まで殆んどのものがひどい赤字にならずにできて参りましたものが、最近の民間放送が、先ほど申上げましたような事情もあると思いますが、最初から黒字で行くというようなことがだんだんなくなつて来ておる。従つて従来とは違つた考え方をいろんな面でしなければならないのではなかろうかというようなことが問題になつておるのでございます。これにつきましては、政府といたしましても積重に考慮をしたいと存じております。なおその際言及されました新聞放送との関係、或いは地方公共団体、自治体との関係等につきましては、私どももいろいろの観点からこれは慎重に考えなければならない問題だと存じておるのであります。特に御指摘になりました放送法改正の問題等ともかみ合せまして、今後慎重に研究いたしたいと存じております。  なお放送法改正につきまして、いろいろ懇談会等をお開き下さいまして各関係方面の意見を聴取下さり、その要点をお示しになつたのでありますが、私どものほうへも利害関係者等からほぼ御指摘になりましたような問題点等を含めましていろいろな意見を出して来ておりますので、これらを十分に考え、又只今いろいろ御教示下さいました点等を考えまして、政府としての案も成るべく早くまとめ上げたい、こういうふうに存じております。  なおこの際に蛇足でございますが、郵政省で放送法改正問題につきましてどのように進めておるかを御参考に申上げますが、かねて御報告申上げましたように、放送関係法令改正調査委員会を設けまして、本年の初めからこの問題につきまして、特に特別に委員会を作りましてこの問題の調査をいたしております。只今までのところでは各関係方面、特に日本放送協会、民間放送連盟等からいろいろ意見なり、論点と思われるところ等を提示してもらいまして、現在各詳細な点に亘つて検討を続けておる状態であります。なおその間におきまして言論方面或いは文化、教育方面の方々、或いは経営方面のこと等の問題につきまして、特に参考人の方等の御意見も頂きまして、第一段階の調査研究の結果をまとめようとして鋭意進めております。大体今日までに二十回近くの委員会を開いて行なつておる状態でございます。いろいろ今後この放送法改正の問題についても、進め方等につきましてはいろいろ御意見もございまして、それらの点も十分に考えに入れまして、今後成るべく早く適当な処置を講じて行きたい、こういうふうに存じております。  次に、東北方面におきまして放送局並びに一般の無線局間のいろいろな混信問題等も具体的に御指摘下さいましたので、私どももその点は報告を受けておりますので、只今その善後策につきまして考究を続けております。御指摘もありましたように、この混信問題は単に国内的な問題ではなくて、外国の無線局或いは放送局との混信問題等もございますので、慎重にこの点は考慮をいたしたい。併し一日も放つておけない問題でも一面ございますので、できるだけ早く検討をいたしまして、実現のできる面から順次解決をしておきたい、こういうように実は考えておる次第でございます。  次に、四国の方面につまきして、いろいろ御視察になりました結果、同様いろいろ要望なさり、或いは御教示下さいました点等についての考え方を申上げさして頂きます。先ず四国放送関係でございますが、四国の地勢、位置等の関係から、ほかの地域には見られないようないろいろ複雑な点を御指摘下され、例えば放送難聴地域救済問題につきましてもたくさんの問題が残つておるのではないかという点を御指摘下さいましたが、全くお話の通りでございます。瀬戸内海或いはいろいろな海峡を距てまして近畿、九州、中国という方面との関係も実は電波の面では切つても切れない影響を受けるわけでございます。実は私どもも問題を成るべく早く完全に救済したいと思う一方、それらの関係が複雑になつて参りますので、特に放送関係電波の割当てと申しましようか、そういう関係からは最も困難な地域の一つになつておる。併し御指摘のように難聴地域相当まだ残つておりますので、これらにつきましても、具体的に順次解決をして行きたい、こういうふうに考えておる次第であります。先ほど東北方面の御視察の結果御指摘になりましたと同様に、四国におきましても混信或いは只今放送についての電波の割当て計画の再検討等の必要性を御指摘下さいましたが、私どもも全くその点についてできるだけ早く検討すべき問題である、こういうふうに存じております。併し問題は、御指摘もありましたように、相互に利害関係相当深いもので、片一方によく処置をいたしますれば、必ずどこかに影響が参ります。又御指摘のように机上の調査だけで計画を立てるわけには参りませんので慎重に実地調査の上で見当をつけなければならない問題と存じておりますが、又一方、先ほども申上げましたように、外国との関係がどうしても否定できない問題です。特に最近日本の附近の外国が放送を含めまして電波利用の度合が非常に殖えて参りました。これが日本の電波利用影響を与えております。又御承知のように日本の国内の電波利用面も最近非常に殖えまして、昨年の九月頃に約一万に達したものが、現在は一万四千数百、約一万五千に近い状態まで殖えておるのでございます。国の内外において電波利用面が非常に急激に殖えておりますので、従つてこの混信問題或いは電波の割当て計画というものは慎重に、且つ又慎重の一途のために、日本で獲得すべき電波が外国に押されてしまつて、日本が将来電波利用面において非常に大きな制限を受けるということになつてもいけない問題でございます。その辺等も考えまして、実は放送ばかりでなくて、一般の無線局電波の割当て計画等も調査を進めておる状態でございます。  なお、四国方面ついて、いろいろ放送法改正その他につきましても懇談会等をお開きになりまして、現地のいろいろな御意見を聴取されました結果をお示し下さいましたのでありますが、これにつきましては、先ほど申上げましたように、十分それらの問題を郵政省の放送法改正調査委員会におきましても検討さして頂きまして、参考にさせて頂きたい、こういうように存じます。  なお御質問等によりまして、なお詳細に答弁させて頂きまして、一応私の答弁をこれで済ませて頂きます。
  8. 行廣清美

    説明員行廣清美君) 只今東北四国班からのお話がございましたが、公社に対しまして御答弁を要求していらつしやるような項目が相当多いのでございまして、その点につきましては、後ほど公社のほうからお話があると存じます。従つて私からは二、三の問題につきまして御答弁を申上げたいと存じます。  お話の一つは、電信電話設備の拡充計画の問題があつたのでございます。これにつきましては、御承知のように電信電話五カ年計画を立てまして、二十八年度以降整備拡充に努めて参つたのでございます。これに関連いたしまして、先ず一つ根本的な問題といたしまして御指摘のありました点は、都市に重点があるのではないかということであつたかと思うのでございます。この点につきましては、従来からしばしば検討を重ねて来た問題でございますが、御指摘のありましたような地方におきましての総合開発等の問題、その他情勢の推移によりまして、これらの点につきましても、必要に応じては検討を加えて行く必要があるというように考えております。従つて、いわゆる都市重点主義と地方におきましての必要性に応じての計画とのバランスをどのように考えて行くかということは、今後計画遂行上における一つの問題じやないかというように考えているのでございまして、先ほど申上げましたように、事態の推移に応じまして十分検討して、策を講じて行くべきであるというように考えております。  それから次に、マイクロウエーブの問題があつたのでございますが、これは御承知のように、我が国を縦断する重要幹線ルートといたしまして、有線と相呼応してマイクロウエーブの整備拡充ということは今後の重要施策であろうと存じております。御指摘のありました東北仙台札幌につきましては、すでに一応の計画の樹立を見まして、現在、東仙間においての工事に着工しておるような状況でございまして、CLRによりましての電信電話サービス改善並びにテレビ中継の急速なる実現のために、これが関係施設の整備拡充につきましての促進を図つて参りたいというように考えております。  次に、町村合併に対しての問題でございますが、現在までの、町村合併によりまして必要とするところの、電話加入区域の合併を実現すると考えた場合におきましては、数百億の資金を要するかと思うのでございます。又、今後予想される合併を考えた場合におきましては、その資金総額は相当多額を要するというように考えておりましてこれに対しまして、できるだけ速かに整備を図つて行くようになつて参りますと、公社自体の自己資金で賄つて行くということはどの程度可能であるか、相当検討を要するような問題があるのではないかというように考えたのでございまして、これらの対策につきましては、政府といたしましても検討を要するのではないかというふうに考えておるような次第でございます。  最後にデフレ政策とサービスとの関係について御指摘があつたのでございますが、デフレ政策によりまして経費の節減を図つて行くということ、又建設予算の節減をみたということでございますが、これらに対しましては御指摘のありましたように、サービスを低下させないということは非常に大事な問題でございまして、公社を設立いたしました趣旨も、サービスの向上にあると考えるのでございまして、この点は公社におかれましても、収入の確保を図ると同時に、これらサービスの低下を来さないように十分御考慮を願つているものというふうに存ずるのでありまして、今後これらの点につきましては、なお一層公社といたされましても御努力を願いますよう、私どもといたしましても十分なる関心を持つて行きたいというふうに考えているのであります。一応の私からの答弁を終ります。
  9. 靭勉

    説明員(靭勉君) 非常に暑い際に、東北及び四国におきまして、電信電話実情調査をされまして、いろいろ御意見なり御要望等拝聴いたしまして有難く存ずる次第であります。只今監理官から大体についてお答え申されましたので、私は具体的に若干只今報告のありました点につきましてお答え申上げたいと思います。  先ず第一に、五カ年計画と、或いは都市重点の問題、又デフレ政策から五カ年計画は遂行できるかというような問題でございますが、五カ年計画といたしましては、大体必ずしも都市重点に考えたわけではないのでありまして、それは設備の行詰り、或いは又需要に対する状況というものを考慮いたしまして、そこに各大都市或いは中都市或いは村落というような点を按配いたしまして計画いたしたものでありまして、徒らに都市重点をとつた計画では絶対にございません。従いまして五カ年計画完成の上におきまして、非常にアンバランスを生ずるような計画にはなつていないのでありまして、その点はすでに前に五カ年計画を御説明申上げました際に御説明いたしている次第でありますけれども、やはり地方におきまして、私も衆議院のほうの委員の方と九州方面に出張いたしましたときに、やはり地方といたしましては、非常に大都市重点主義ではないかという声が高かつたのであります。なお私ども今後第三年度、第四年度、第五年度の際におきまして、よく地方全般の御要望、事情等も参酌いたしまして、皆さん方のできるだけ御要望に応ずるような計画をいたして行きたい、こういう考えでおります。  四国及び東北につきまして、非常に普及率が悪いというお示しでございますが、確かに全体の全国平均から見まして悪い状況にあります。大体加入者数で申しますと、全国平均は、本年度末になりましても二・〇九程度あたりの普及率であります。それに対しまして九州が一番悪いのでありまして、一・二四、その次が東北の一・三九、四国が一・四八、こういう二十九年度の計画を考えている次第であります。その次に悪いのは、実は関東全体でございまして、これが一・五二に過ぎないのであります。東京、大阪は、まあ東京都市、それから大阪都市、これだけ見ますと、東京が四・九二になつておりますし、大阪は四・二八ということで非常に高位になつておりますが、全体としましてはそういうような状況であります。需要からの按分から見ますと、必ずしも地方のはうが充足されて大都市が充足されてない、或る一局において四千、五千という電話がつかないというような局所が相当あるわけであります。そういうような事態になつているような次第であります。なおデフレ政策で、今年度私ども公債を発行予定した額も四十億弱のものが一応差押えられているという形になつておりますが、これはなお私ども関係御当局にお願いしまして、できるだけこの圧縮を避けたい、のみならず弾力条項を全部発動いたしまして、何とか第二年度の五カ年計画の実行をいたしたいということで、すでに計画を作成いたしまして、実施に移つているような状況でありますが、先ほど御指摘がありました三〇%減、即ち七〇%程度であるということに対しましては、全体としましてはやはり二五%程度の前年度より縮小になつております。と申しますのは、前年度におきましては、御承知のように二十七年度の繰越が百億もありましたので、非常に二十八年度の実施計画というのは厖大なものになり、それに対しまして本年度は勿論四百六十一億の、一応の基準的な枠を五百三十一億に定めまして、それから更に弾力条項による額を加えるという形になつておりますので、予算面から見ますと決して減つているわけではないのであります。弾力条項の関係或いは前年度の繰越というような形から、高低の面におきまして、あたかも第二年度に来て忽ち減つたという感じを与えているかも知れませんが、五カ年計画の幅としては、必ずしも絶対的な、致命的な打撃を受けているのではないのでありまして、殊に五カ年計画におきましては、弾力条項というものを計算に入れないで計算いたしておりますから、実際におきまして加入者の数にいたしましても、市外回線の増加にいたしましても、五カ年計画で予定した以上に二十八年度におきましてもやつておりますし、二十九年度におきましてもその覚悟で現在やつておるような次第であります。それが拡張計画に対する一つの問題でございます。  次に、関連いたしまして、町村合併に対する対策が各方面から公社に対しまして直接の御要望が強いのであります。大体この七月一日現在におきまして同一の市町村内に二局以上の交換局を持つている市町村が全国に八百八十一あります。従いまして改善を要するその中の局数といたしますと、千六百局になつておりまして、これは大体二千局近くになるものと、今後の増加を見て考えておる次第であります。これを一挙に解決することは到底困難でありまするしいたしますが、私どもこの問題は相当重要な問題でございますし、殊に新たに発足いたしました市町村の非常な強い御要望もありまして、これに対する対策を目下設定いたしておりますが、大体の観念といたしまして、比較的近距離の局はこれは合併してしまう、その場合にどうしても新たな局を建てなければならん。或いはその際に磁石式を共電乃至自動式改式しなければならぬ、こういうような一つの問題があります。  それから行政区画によりまして、非常に現在の或る局が片隅になつておりまして、ここにこの同行政区画内にある数局を合併することが相当の遠距離に亘るものがございます。これらにつきましてはその中心局の従局というような形で、全く市内通話と同じようなサービスを与えるというようなことを考えて、必ずしも一個にする、一局にするという考えをこれらに適用するのは適当でないというふうに考えております。更にその際におきまして、私どもとしましてはできるだけ小局の自動化ということを図りまして、そういうところは無人局にする。市内通話も無人局で親局に繋がるような形をとりたい。本年度から来年度にかけまして相当これにつきましては実験、実施いたしまして、五カ年計画の後期から、第二次五カ年計画におきましてはできるだけそういう方法をとりたい。すでに欧洲各国のルーラル・テレフオンというものにつきましては、殆んど無人局でやつておるという状況もありますので、私どもは経済的比較も行いまして、そういうようなサービスを提供いたしたいと考えておる次第でございます。なおこれはそう申しましても、この二つは必ずしも急速に実施できないということでございますので、取りあえずは市外回線を相当増設するということによりまして、同一の行政区画内におきまして、自転車に乗つて行つたほうが早いというようなことは絶対にないようにいたしたいと存じます。現在の小さな局におきましては二局、或いは三局中継して行くというようなことのために非常に時間をかけている。これをできるだけ需要に応じまして直通化いたしますれば、極めて短時間に通信ができるというようなことになると思います。  そこで私ども、来年度計画としましては、比較的そういう問題はそう経費もかかりませんで解決できると考えますので、全面的に実施したいという考えでおりますが、先ほど来申上げました或いはこの第二次五カ年計画まで検討いたしますれば、三百億か四百億程度の金はかかります。併しこれはいろいろな理想態勢を考えたことでございまして、来年度以降、相当これにつきましては予算も割当てまして改善の実績を上げて行きたいというような考えを持つておるような次第であります。  なお関連いたしまして、四国の御視察の方から島嶼で二百人以上の人口があるにかかわらず電話がないというような島が、まだ四国管内におきましても三十局余りあるというような御指摘でございますが、これに対しましても、五カ年計画で一応考えておりますのは、八十八カ所につきまして連絡所を作り電話を設置するという計画になつております。併しそれは先ず第一次としましては四百から六百くらいの人口のところを先ず解決する。それから三百から四百の間、三十二年度におきまして三百人以下の島嶼につきましても実行いたしたい、こういうような計画になつております。併しながらこういうような所におきましては全然通信連絡がないということは大きな問題でありますので、更に予算の状況等を見まして、これと緊急度に応じまして、これらにつきましても御指摘によりまして再検討いたす考えでおります。  なおデフレ対策についてでございますが、皆様方の御調査の当時におきましては、本社としましても統一的なデフレ対策を示しておりませんでございましたが、これはやはり四月、五月、六月、七月という具体的実績を検討して立てなければならぬというような情勢もありましたので、その点全国から速報をとりまして状況を観取したわけでございますが、大体最小に見積りまして三十億程度の減収があるのではないか。或いは六十億くらいの減収も考えなければならぬというような状況になつております。これは電話需要デフレによつて減つたという原因だけではございません。むしろサービスがよくなつたために減収を来たしております。これはすでに五カ年計画の際、特に料金値上げの際御説明を申上げておきましたが、今まで特急通話でかけておつたものが即時通話で用を足せるということになれば、料金は三分の一に減つてしまうのであります。その際に通話が三倍に殖えますればとんとんでございますけれども、支出のほうにおきましては相当これの経費というものはかかります。でありますから、三倍以上に通話料が殖えなければ大体当時の収入のバランスというものはとれないということは当然の帰結でありまして、私どもは三倍の料金を目当にして、そこで構成されておるような状態が普通の状態であるとは決して考えていなかつたのであります。これはやはり普通通話に早く直すことに、当委員会におきましても、特急通話はいつ廃止するのだというように強い御注文があつたのでございますけれども、私どもできるだけ早くこれを解消いたしたい。そういうような事態で市外回線が非常に整備して参りまして市外通話の量は殖えております。併しながら料金収入は減つて来る、絶対額が減つて来る、こういうような形になつておる次第でございますし、電話も大都市等に電話がついて参りますと、一個の電話を一日二十回も三十回もおかけになつておつた方が、そういうような総平均で一加入当り幾ら年間にお使いになるかという計算で予算を立てるわけであります。ところが加入数が現に二十八年度は二十万近く殖えておる。これらの方々が今までと同じような利用率をお持ちになるはずがないのであります。又そんなに持つていては話し中がいつになつて解消がつかん。こういうサービス改善による減収ということは、これはどうしても計算に入れなければならぬ。  それからデフレ影響は勿論でございますが、それは電信のほうに特に顕著に現われております。併し電信の減収も、場所によりましては市外線が、或いは東京、名古屋、大阪のごときは即時通話ができたために電信相当減つた、こういうような実績を示しておるのであります。これは一方におきましては事業のサービスが非常によくなつたのであつて、減収自体は我々は更にこれに対処しまして、まだ通信の需要を充たしていない所もありますし、サービスが悪いために折角の通信も逃げておるような状態でありまして、公衆電話にしましても、まだ非常に立つてつて頂くというような状況でありますから、ここらに具体的な施策をしまして収入を挙げて行くということによりまして、五カ年計画の本当の姿を実現して行きたい、こういうような考え方を持つて、むしろ今回の減収というものに対しましては、公社全員強く今後の対策につきまして真剣な検討を加え、サービス改善施設改善ということには更に推進いたしたい、こういうような考えでおる次第でございます。  以上三つの点につきましてお答えしましたが、なお若干マイクロウエーブの問題につきましては、東京——仙台間は大体三十年度には実行できるのでございますが、札幌まで延びるのには三十一年度に入る、こういうようなことで東北通信局からお答えした通りであります。四国につきましても、これは四国電力等の御計画も聞いておりますので、私どももこれを総合的にやりたいという考えで目下これにつきましては検討中でございます。  なお秋田におきます電信ラジオ妨害をしておるという点につきましては、早速調査いたしまして対策をしたい、こういうつもりでおります。  なお市外線等につきまして具体的にいろいろ御要望があり、又自動改式の問題につきましても、具体的局所についていろいろ御要望があつたようでございますが、これらにつきましては、勿論でき得る限り早い機会に実施いたしたいという考えでございまして、これらの御要望はいずれも御尤もな点で、私どもは予算の執行に当りまして、よく地方の御要望等も勘案いたしまして、できるだけ早い機会に解決いたしたいと思いますが、先ほど来申上げます通りに、五カ年計画自体でも、決して我が国の通信事業には十分対応する計画にはなつていないのでありまして、更に第二次、第三次の五カ年計画を必要とする情勢でございますので、この点十分御同情と御了解を得たいと存ずる次第であります。簡単でありますが、以上御説明申上げました。
  10. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  11. 島津忠彦

    委員長島津忠彦君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十五分散会