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1954-05-25 第19回国会 参議院 通商産業委員会 第46号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月二十五日(火曜日)    午前十時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            井上 知治君            黒川 武雄君            小林 英三君            西川平治君            酒井 利雄君            高橋  衛君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            三輪 貞治君            武藤 常介君            白川 一雄君   衆議院議員            小笠 公韶君   政府委員    保安庁装備局長 久保 亀夫君    通商産業政務次    官       古池 信三君    通商産業省重工    業局長     徳永 久次君    通商産業省軽工    業局長     中村辰五郎君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告行政協定に基く駐留軍人等の使用に  供する自動車輸入外貨資金貸付の  請願(第一八四八号) ○日平産業株式会社再建促進に関する  請願(第二三九三号) ○中小企業に対する年末融資の請願  (第一三二号) ○身体障害者福祉資金貸付制度制定に  関する請願(第六六八号) ○クリーニング業中小企業金融公庫  の貸付特定事業に指定するの請願  (第一七三一号) ○指定薬品以外の医薬品販売業者の資  格制度に関する請願(第一九四二  号) ○中小企業金融公庫資金わく拡大に  関する陳情(第一〇〇号) ○中小企業育成強化に関する陳情  (第一四五号)(第一四六号)(第  二〇〇号)(第二五一号)(第二七  〇号)(第二八一号)(第二九四  号)  (第三二一号)(第三七二号)(第  四〇六号) ○中小企業金融対策に関する陳情(第  三二一号) ○マツチ工業に対する中小企業安定法  第二十九条命令発動陳情(第三二  〇号) ○北洋材輸入に関する陳情(第六二九  号) ○中小企業金融公庫運営改善に関す  る陳情(第五〇三号) ○自動車用石油製品輸入促進等に関  する陳情(第一三二号) ○福岡県遠賀川の鉱害等調査に関する  請願(第二三九二号) ○アルミニユーム産業危機打開に関す  る請願(第一四八二号) ○発明助成に関する請願(第二二三八  号) ○北海道室蘭市に高炉セメント工場設  置の陳情(第六二五号) ○自転車産業中小企業振興モデル  ケースに指定するの陳情(第一七四  号) ○電気料金引上げ反対に関する請願  (第四六九号) (第六七三号)  (第一一二八号)(第一三四九号)  (第一三八八号)(第一五四七号)  (第一六六〇号)(第一六六一号)  (第一六六二号)(第一六七四号)  (第一七三三号)(第一八二一号)  (第一八四一号)(第一八五〇号)  (第一八五一号)(第一八七一号)  (第一九四六号)(第一九八七号)  (第二〇六二号)(第二二二四号)  (第二二六一号) ○電気料金改訂に関する請願(第一八  〇〇号) ○電気料金引上げ反対に関する陳情  (第三三七号)(第三四七号)(第  三七三号)(第三八四号)(第四二  〇号)(第四三三号)(第四四三  号)(第四五八号)(第四八二号)  (第四八三号)(第五〇九号)(第  五一六号)(第五三三号)(第五三  四号)(第五六三号)(第五六四  号)(第五八八号)(第五九三号)  (第六〇六号) ○電気料金引上げ反対等に関する陳情  (第五九九号) ○電気料金値上げ反対に関する陳情  (第二五五号)(第二六五号)(第  二九一号)(第三二三号)(第三二  九号) ○電気料金改訂に関する陳情(第四二  一号)(第四三二号) ○電気法制定に伴う電気事業者兼業  投資に関する請願(第一二五七号) ○電気関係法制定に関する請願(第一  二五八号) ○電気事業法に関する請願(第一二九  八号) (第一八〇九号)(第一九  一五号) (第二二六一号) ○電気事業法案反対に関する請願(第  二二六四号) ○電気法制定に伴う電気事業者兼業  投資に関する陳情(第三五六号) ○電気事業法に関する陳情(第四五七  号) ○水火力調整金撤廃等に関する請願  (第六五四号) ○水火力調整金撤廃等に関する陳情  (第二〇号) ○只見川電源地帯電気料金地域差設  定の請願(第一六六三号)(第一六  六四号) (第一七五七号) ○水火力調整金制度に関する請願(第  一五九四号) ○宮崎県公営電気復元促進に関する請  願(第一〇三九号) ○公営電気事業復元に関する請願  (第二一四三号) ○電源開発工事予定計画遂行に関する  請願(第一七八九号) ○電源開発等公益事業促進特例法制定  に関する請願(第二五八七号)(第  二六四五号) ○電源開発促進に関する陳情(第五入  九号) ○福島県田子倉ダム工事費に関する陳  情(第六六四号) ○中部電力地区電力事情打開に関す  る陳情(第四九号) ○電源開発土木工事に関する陳情(第  六三七号) ○ガス事業法案に関する請願(第一四  三八号) ○ガス事業法案に関する陳情(第三十  六号) (第五四五号) ○中小企業安定法の一部を改正する法  律案衆議院提出) ○硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨  時措置法案内閣提出、衆議院送  付)  (第十八回国会継続) ○航空機製造法の一部を改正する法律 案(内閣送付)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より通商産業委員会を開きます。
  3. 西川彌平治

    西川平治君 法案審議に入ります前にちよつと御報告を申上げたいと思います。  昨日の午後は請願並びに陳情について審議をするはずでありましたが、委員の御出席が少いので委員会をやめまして、懇談会を開き、請願陳情のうち先般の委員会審議を経なかつたもの全部につき、政府側の説明をも聴取して慎重に研究いたしました。その結果について申上げます。  第一に、貿易関係については請願第千八百四十八号でこの書類の二十五号でございますが、請願趣旨そのままを現在直ちに実現することは問題であるとしても、願意にありまする貿易外ドル収入を増すための外貨資金貸付については政府に研究させる必要があると存じまして採択すべきものと結論が出ました。中小企業関係については請願二千三百九十三号、請願百三十二号を除いて、その他の全部、即ち請願四百六十八号、千七百三十一号、千九百四十七号、陳情百号同じく陳情百四十五号、百四十六号、二百号、二百五十一号、二百七十号、二百八十一号、二百九十四号、三百十一号、三百二十号、三百二十一号、三百七十二号、四百六号、四百二十九号、五百三号はこれを採択すべきものとの結論でありました。そこで残りました百三十二号は時期の関係から保留すべきものと結論が出ました。  請願二千三百九十二号は日平産業再建促進に関する問題で、これはいろいろ御議論がございまして、改めてここで御審議を要することに相成りました。  その他に関するものでは、請願千四百八十二号、二千二百三十八号、陳情六百二十五号、これは採択すべきものと決定しました。但し請願二千二百三十八号は立法すべきもので、これは採択するにしても政府に送る必要はないとの結論が出ました。  陳情百七十四号は別途、自転車競技法等特例に関する法律と並行審議すべきもので、保留するが至当との結論でありました。   次に、電力関係につきましては、電気料金に関する請願陳情五十一件につきましては委員会にて御決定を願うほうが適当であるとの結論で取扱を保留いたしました。  次に電気事業法関係請願千二百五十七、千二百五十八、千九百十五、二千二百六十一、二千二百六十四、千二百九十八、千八百九、陳情三百五十六、四百五十七の九件は電気事業法案が提出されるまで保留すべきものとの結論でありました。電気関係に関するその他の部類中の請願六百五十四及び陳情二十は水火力調整金撤廃を要望し、請願千六百六十三、千六百六十四及び千七百五十七は只見川地区地域差を設定されたいとの趣旨でありますが、請願千五百九十四は地域差調整制度運営の主体を政府に移し強化されたいとの趣旨でありまして、双方とも保留すべきものとの結論となりました。公営電気事業復元に関する請願千三十九及び二千百四十三は当委員会の従来の取扱い実績より見まして保留すべきもの、電源開発工事予定計画遂行に関する請願千七百八十九は採択すべきものと結論いたしました。電源開発に関する損失補償問題等を公正且つ迅速に解決するために特例法を制定せられたいと要望しております。請願第二千五百八十七及び第二千六百四十五は補償問題が困難を加えつつある現状に鑑みましてこれを採択し委員会にて研究すべきものと結論いたしました。電源開発促進に関する陳情五百八十九及び田子倉ダム工事費に関する陳情六百六十四号は保留、中部地区電力事情打開に関する陳情四十九号は採択すべきものと結論いたしました。電源開発土木工事に関する陳情六百三十七は意見の一致を見るに至らず委員会にて御決定を願うことになりました。終りにガス事業法案に関する請願千四百三十八、陳情三百七十六及び五百四十五は同趣旨参考人意見法案審議の際に聴取いたしましたが、取入れるに至らなかつた事情から保留すべきものと結論いたしたのであります。以上のような懇談会結論でありますから、よろしくお願い申上げたいと思います。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) お諮りを申上げます。只今西川君の御報告通り陳情請願、昨日の懇談会審議をされましたものはその通り決定をいたしますることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。それでは懇談会決定通り陳情請願のほうは決定をいたしました。   —————————————
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは中小企業安定法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続き御質疑をお願いいたします。
  7. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 総括的な質問は一応済んだのでありますが、条文的なことについて一、二質問をして見たいと思います。第二十九条の第三項の「期間を定めて」というのはどの程度期間を想定しておるのか。なお「特に必要があると認めるときは、その期間を延長する」というその期間はどの程度期間を想定せられておるのか。その点を伺いたい。
  8. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 一応三項の期間は半年を予定いたしておるのであります。更に必要があつて延長する場合はそのときの情勢によつてきめて行く。併しながら大体半年というのが一つの区切りというような考え方でおります。
  9. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 第二十九条第一項の今回改正せられた趣旨、特に当該産業及び関連産業存立に及ぼす影響とあつたのを今回は当該産業存立に及ぼす影響関連産業に及ぼす影響というか、まあ二つに書分けられてはつきり区別したわけですが、そのニユアンスはどういうふうなものか、その点をお伺いしたい。
  10. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 趣旨は前のものと大体同様であります。だが現行法におきまして「当該業種に係る産業及びその関連産業存立に及ぼす重大な悪影響」という「及び」で括つておるのであります。従いまして一つ不況事態関連産業存立に及ぼす重大な悪影響があり且つ当該業種に関して相当重大な影響があるという事態が非常に厳格な解釈をするとやりにくい場合が多々あるのであります。従いまして当該業種に係る産業存立が危うくなつておる場合であつて、なお且つそのことを放つて置きますると関連産業にも相当大きな影響を及ぼす、こういうふうに読むのが経済実態に合うから字句を整理した、こういう趣旨であります。
  11. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 今度の改正案では当該業種に係る産業存立関連産業に及ぼす重大な悪影響があればよろしい、現行法では当該業種に係る産業存立のみならず関連産業存立にまで重大な悪影響を及ぼさなければならないというので、少し現行法のほうがやかまし過ぎる、従つてそれを関連産業に関する限りは幾分緩和するという意味で今回の改正を立案したというふうに解釈してはいけないのですか。
  12. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) お説のように解釈して結構だと思うのであります。そうしなければ非常に文理解釈に「及び」をやかましく言いますと、現実事態がなかなかそういう場合に想定しにくいということは、経済実態から見てそう言えますので、そういうふうに楽になると、こういうふうに書き現わしたわけであります。
  13. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 特にその点緩和をしたというふうに考えていいかどうかという点の念を押しておきたいと思つて質問したわけですが、その点と、もう一つ勧告現行法にはあつたのですけれども、これを除いた気持を伺つておきたい。
  14. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 実は勧告をして、それから必要な命令を出すということになるのでありまするが、勧告事態を法定しなくても、行政実態から見てその段階を経ずにやらなければならん場合も起り得るというようなことから勧告を削除した、ただ行政運営上として必要があれば何どきでもやれますので、特に置くことを省略した、こういう事情であります。
  15. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 第三十一条第二項で組合の検査員補助をさせるというその補助というのは、どういう程度のことを想定せられるのですか。
  16. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 検査実態におきまする責任関係は別でありまするが、それに伴いまする帳簿の点検に際して計数を入れさせるとか、或いは又その他事務的なことを手足として補助させる、こういう趣旨でそれ自体責任立場には立たない。こういう意味補助という言葉を使つたのであります。
  17. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうすると単独にはやれんという点ははつきりしているわけですね。
  18. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 一つ検査なら検査の場合に、事前の準備行為をさせるという場合もあり得ると思うのであります。準備行為補助の一部である。それ自体責任者責任においてやるにおきましてもあり得る、こういうようなことで単独で行つて補助的な事務的な、アシスタント的な準備行為をやる。従いまして単独で行く場合もあり得ると考えます。
  19. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 単独に行くが、それを以て最終の責任をとるようなことまでには至らせないというわけですか。
  20. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) その通りであります。
  21. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ありませんか。  ちよつと速記をとめて。    午前十時四十八分速記中止    ——————————    午前十時四十八分速記中止    午前十一時五分速記開始
  22. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。  それではまだ質疑が残つておりますので、質疑を続行いたします。
  23. 海野三朗

    海野三朗君 私がお伺いしたいのは、この前もちよつと述べたのでありますが、それに対してまだはつきりした考え方が私には浮んで参りませんので、もう一度ここを詳しく伺つて見たいのであります。この中小企業安定法の一部を改正する法律案、これはつまり特定の或る業者のみを擁護する方法になりはしませんか。例えばマツチにいたしましても、甲と乙の場合があつて、両方でマツチを造つているというような際に、甲のほうは甲のほうの製造及び方法においてだんだん劣つて来ている。そうすると、乙のほうが非常な発達をして、安くどんどん造り出すというようなことになつて来る。丁度そういう工合によりよき品物が多量に造り出される。そうして而も安く造るということが起つて来ました際に、これを成る不自然なる力で抑制して、在来企業者助けるということは、不自然なあり方であると私は考えるのでありますが、小笠議員はどういうふうにお考えになりますか。
  24. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) その点につきましては、この前も申上げましたように、良品、廉価という点から見ますると、公正な、自由競争が行われているそれぞれの努力創意の賜物として経済界に臨んで行くというふうな形がいいのであります。併しながら今日の日本中小企業の或る部分につきましては、公正な競争まで参りませずに、お互いにともかく事業永続性というようなことを考えずに、その日その日をつないで行けばいいというふうな気持で、不当な競争が行われているのであります。このことは日本の国の産業維持という立場から見ると適当でないというので、そういうふうな場合にのみこの中小企業安定法というものを活用して共倒れを避けて行きたいという考であります。平たく申しますと臨機応変の一時の措置として本法を運用して行きたい。こういうのであります。従いまして只今懇談会附帯決議の御相談がありました第一項の第一号のように技術向上合理化促進を阻害しないように持つて行かにやならんと私は考えるのであります。お説はよくわかるのでありまするが、全体の立場から見るとやむにやまれない事態になつておるので、そういうふうな事態がある業界に対して本法適用を図つて行くという考え方であります。
  25. 海野三朗

    海野三朗君 この技術向上合理化促進とを妨げないのであるならば、そこはやはり実際の競争でありますから在来のやり方の上にあぐらをかいて安閑としておる業者自然敗北の憂目を見るのは当然であると私は考える。それを抑制して中小企業お互いを救うのだと言われますけれども、そのこと自体が不自然なことであると私は考えるのでありますが、小笠議員如何ようにお考えでありますか。暫定的と申しましても、そのこと自体がすでに不自然なのである。例えばこれをやつて行つたときにはどうなるかというと、技術向上合理化促進ということには反対なんである。在来のものを救うというのが根本でありますから、在来のいわゆる旧慣に従つてつてつた者を、その仕事の上にあぐらをかいている人間を救うということになつて我が国進歩向上輸出の増進を図るということに対しては却つてマイナスの結果になるというふうに私は考えられるのでありますが、如何ようにお考えになりましようか。
  26. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 私はこの本法適用につきまして先ほども申上げましたように、二十九条の中で規定いたしておりまするように、ともかく権利の上に眠るというふうなことがあつてはならないので、半年と一定期間限つてこういう命令発動をして行こう、そして非常に困つたときだけを何か助けてやろうというふうな考え方でいるのであります。で海野先生お話輸出振興阻害に相成つてはならんのであります。その点は十分承知いたしておるのでありまするが、共倒れ、不当な競争をやることによつて、得べかりし利益がどんどん海外に流れて行くということは、量が出ても狙いとする外貨手取が非常に少くなるというふうな場合を考えますと、ここに不当競争というものがその事業自体損失の問題よりも国家の富を不当に海外に流してしまうという事例があることも御承知の通りであります。そういうような事情でありますので、個々企業立場も当然に考えなければなりませんが、この安定法ではその業界維持という広い立場から考えてやつているのであります。ただ維持できて不当競争というものがひどくなくなつて来れば、当然にお考えのように創意工夫を働かす者がうまく行く態勢に置くべきものであるというふうに実は考えているのであります。
  27. 海野三朗

    海野三朗君 只今お話不当競争と言われましたけれども、それは不当競争にはならないのでございましよう。よい品物はやはり売れて行くし、悪い品物は売れて行かないのでありますから、不当競争ということにはならないと思うのでありますが、どういう意味不当競争でありましようか。
  28. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 公正な競争というのは、自分の創意努力によりまして少くとも出血価格を出さないということでなければならんと思うのであります。不当競争とはいわゆるできるだけ何と申しまするか、合理的な採算を無視して競争をする、平たく申しますと事業経営としては値段を、原価切つて売つて、そうして問屋を食い、労務者の賃金も遅配するというふうな形で競争が行われる場合がなしとしないのであります。こういうふうな、原料屋問屋を食い、或いは又労務者を食い、税金を食つて行くというふうなことにして競争を続けて行くという場合は不当競争と言い得るのではないかと思うのであります。そこで少くとも通常の状態において、原価はとれるというふうな程度競争態勢にあることが実は望ましいのであります。今申上げましたような場合を不当競争と一応考えて然るべきかと考えております。
  29. 海野三朗

    海野三朗君 只今お話によりますと、出血輸出をした場合とおつしやいますが、出血輸出は再三できるものではなくて、或る会社で一回、二回出血をいたしましても、それを永久にやられるものではなくて、そういう会社はやはり競争に負けて行くのが自然の姿であります。そうして出血しないところの輸出をなし得る会社がずんずん発達をして行くわけでありまして、それは各中小企業者の熱心なる研究と努力ということに結局は帰するのである。それをこの法律を以てお前はこれをやつちやいかんとか、こうしてはいかんということを監督すること自体が、この法案自体が私は不自然な行き方でならないと考えられるのでありますが、こういうことは在来業者を庇護する、その庇護もいいのです、理由があればいいのでありますけれども、進歩、改良、努力ということの劣つておること、そういうことの上に、在来の株を以て、その株の上にあぐらをかいておるところの人を救う法案でありましよう、この法案というものは……。これは我が国産業の発展に貢献するものではないと思うのでありますが、こういう点については如何ようにお考えになつておりますか。これは単なるいわゆる斜陽会社と申しますか、斜陽族といいますか、そういうふうなものを庇護するところの方法以外何物でもないのであつて、本当に日進月歩の今日研究し、工夫し、努力して品物を造つておる、そういうふうなものを頭打ちするというところの法案であると考えられるのでありますが、小笠議員の御所見を承わりたい。
  30. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 私は毎度申上げている通りに、業者が既存の暖簾の上にあぐらをかくことを認めるものではありません。私は結局こういうことがないことを望むのであります。ないことを望むのでありますが、事態は放置しておきますと、その業界が潰れてしまうと申しまするか、そういうようなことになりますと、日本の国の現状から見て適当でないと考えておるのであります。例えば平たい例で申しますると、私ども消費者立場から見て、品物は安ければ安いほどいいんだということは言い得ると思うのであります。併しながら安ければ安いということによつて産業が成立して行くということになりますと、産業の成立と消費者の安ければ安いという欲望とは必ずしも一致しないと私は思うのであります。産業維持されて初めて一つ消費層維持されて来ると思うのであります。それと同じような工合個々企業を取つて見ると、こういう制度を布くと、或るものは創意努力の意欲が少くなるという傾向が起り得る、私はその通り思うのであります。併しながら全体として一定期間に何らかの助けをしなければ善良な、まじめに経営しておる人が、不当な行為に出る者の巻添食つて行つて、いいものも悪いものも企業が全体的に潰れて行くということに相成つて国家として困る、こう考えますので、こういうふうな事態に対処して或る程度助けが要るのではないかと私は考えておるのであります。特に私は最近の金融引締等から来まする中小企業実態を見ますると、多くの企業が、倒れて行く企業はバランス面では黒字が多いのであります。バランス面は黒字でありながら倒れて行く中小企業が多いということは、ここに私ども考えなければならん点がある、それは金融の引締の影響のみでは勿論ないと思いまするが、そういうような事態に対処して業界の中に共同的にそういう不況の前に一時凌んで行く、こういうよすがとして中小企業安定法というものが必要なんではないかと実は考えておるのであります。
  31. 海野三朗

    海野三朗君 これはつまり一種の統制のようなものになるのでございましよう。この業者の、つまりそういうふうに乱脈的にどんどん要るものをたくさん造られても困るから、幾ら要るものであつても首を出されちやいけないのだ、在来の古いもののほうが大事なんだというところの御趣意であると思うのです。で、そういうふうなあり方自体が本当のあり方じやないんじやないか、こういうことを出すということ自体が、その業者業者がもつと研究、もつと進歩、もつと努力しなければならないということを見逃しておるのであつて、古い業者の人たちが在来のやり方の上にあぐらをかいておる、そういう者を助けるところの方法としか考えられないのであります。そうすると進歩向上に反しないようにということはどこでできますか。こういうことがあつたならばほかに研究していい品物を造ることができるのだというても、それが先ずストツプしなければならない、そういうふうになつて来る。時代に逆行する法案であると考えられるのですが、そこは如何ようにお考えになりますか。私は時代に逆行するものである、こういうことは出されないほうがいいのだと思うのですが。
  32. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) 今まで申述べましたことで御理解願えると思うのでありますが、私もこういうものはないほうがいいのだと考えておるのであります。ないほうがいいと思いながらなお且つこういう手だての必要に迫られておる。いわゆるネセツサリー・イーヴルと私は言つておるのでありますが、そういう事態から来ておると実は思うのであります。若しも海野先生お話のように極端な自由競争に任して潰れて行つてもいいのだということになりますと、やつぱり現在の日本の人口問題その他から考えましても、中小企業維持するということがどうしても国全体の立場から見て必要なんだと私は思うのであります。そこに必要な中小企業維持一つの手だてとしてこういうものを考えて行く、いわゆる欲しくはないんだが止むを得んという考え方で、実はおるので、原則論につきましては前々申上げている通り私も賛成なんであります。いわゆる公正な自由競争が行われておる間におきましては、そのままのほうがずつといいのであります。私はそういうふうな点から見てこれが時代逆行だというお考え方も一応わかるのでありますが、併し現実の事態がここまで来ておるということも又否定できないと私は思う。この現実の事態に対処する一つ方法として止むを得ずこういうことを考えたらどうかというのが私の考え方であります。
  33. 海野三朗

    海野三朗君 それでは私極く卑近の例を以てお伺いいたしますが、昔ランプを使つておつた時代にランプの生産というものがちやんときまつていた、それでその量も大体きまつていた。ところが電気が起つて来て今度は電燈になつてしまつた。ランプ業者が困つて来た。ところが今日では螢光燈が出て来た。そうすると今までの電球業者はこれは電気の球だけじややつて行けない。で、中小企業を救わなければならんという御趣意はよく私にはわかります。併しながら時代がそういうふうに変つて行くのでありますから、昔のランプ屋はランプをやつていてはいけないのであつて、もう電気にしなければいけない。もう一歩進めて螢光燈の商売にならなければいけないのである。そこを私は申上げるのであります。で、その時代々々に順応して中小企業が如何に生きるかということを考えて行かなければならないのに、在来のランプ屋がランプ屋で以て立つて行かれることを考えて行こう、そうしてランプ屋以外の競争者を止めさせよう、或いは材料を制限しようというような法案に類似した法案であると私は思うので、そういうふうに中小企業の安定を考えることはその手段において誤まつておるのではないか。私は中小企業の安定を誰よりも私は熱心に思つておるものであると自分で考えておるのであります。でそのあり方がこういうふうなことにおいてこの法案をお考えになること自体が私はどうも了解が行かないのであります。昔ランプの盛んだつた時代は、電気が出て来た、ところが電気を売られちや困るからランプで以てやらなければいけないんだというようなことです、まあ極端に申しますれば。で、そこを私は申上げるので、何としてでもこの中小企業の滅びて行くのは手を変え品を変えてこれを育成し、新らしい道へと進めて行つて、そうしてともどもに生活の安定を得て行くようにしなければならないことは勿論でありまするが、そのあり方に対してこういうふうな法案で以て縛るということは、その間に進歩発達というようなことの芽を摘んでしまう虞れがあるように思われるのです。それで私はその点をお伺いしたいと思うのです。
  34. 小笠公韶

    衆議院議員小笠公韶君) お説の点はよくわかるのでありまして、従いましてお説のような点も頭に置きながら本法を運用すれば、差当りの必要性に私は応じ得るのではないか。ランプが電気になるといいますか、そういう時代のなにを故意に延ばして行こう、抑えて行こう、ランプ業者維持して行こうという考え方に徹しておるわけではありません。いわゆる原子力の発電ができるときに水力発電を今更やるのはおかしいじやないか、ゲルマニウム、ストロンチウムがあれば原子電気が発電できることはアメリカでもはつきりしておる。ここに多大の資金をなお投じて水力電気の開発をやらなければならん。これと同じようにいわゆる電気が出て来たと、いやランプの需要もまだあるんだというときに、そのランプ業者が不当な競争ですつかり急に潰れるのは困ると、こういうような意味でこの考え方が実はあるのであります。で御趣旨の点は冒頭申上げましたように、運用上私も進歩向上を抑えちやいかんという点は全く同感でありますので、運用上十分注意して参るようにいたしたいと考えております。
  35. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか……。  ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  36. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。  ほかに御質疑はございませんか。他に御質疑もございませんようでありますので、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを頂きます。なお附帯決議案は討論中に御提出を願うことになつておりまするので、附帯決議案のおありのかたは討論中に御提出をお願い申上げます。
  38. 高橋衛

    ○高橋衛君 この昭和二十九年度の予算が御承知のように一兆円以内の均衡予算でありますということと、並びにそれと相符合して金融引締政策が相当強化されて参りましたことは、これは日本の国際収支の改善その他我が国経済の再建のために止むを得ない措置であると私どもは考えておるのでありますが、併しながらその結果としてそのしわ寄せがややもすれば中小企業に行われるという事態が漸次現われて参つておるのであります。私どもはこの今回の新らしい経済政策を何とかして中小企業に悪い影響を及ぼすということを緩和して行く、何とかして調整して行くということが最大の急務であり、又非常に重要なポイントであると考えておるのであります。こういうふうな事態に対処する一つ方法といたしまして、この中小企業安定法改正案が提案されて参つたのでありますが、日本経済の再建のためには日本経済の中核をなすところの中小企業においてやはり絶えざる技術向上と又合理化の促進が行われることによりまして、初めて日本経済の再建も可能なのであります。併しながら同時に程度を越えた競争によりまして、中小企業自体が倒れるというような事態が漸次出て参りましては、この技術向上なり合理化の促進自体も又行えないという結果になることは明らかでございますので、今回のこの改正に対しては私は賛成をいたす次第であります。ただこの法律の運用につきましてはいろいろと問題がございますので、この際私はこの法律の運用につきまして政府に対して附帯決議案を提案いたしたいと考えます。附帯決議案を読み上げます。    附帯決議案   政府本法に基く命令を発する場  合は、左記事項に関し特に慎重を期  すべきである。   (一) 当該業種に属する事業者の技術向上合理化促進とを積極的に指導すると共に、企業努力への意慾を失墜せしめざること   (二) 輸出の振興を阻害せざる場合に限定すること   (三) 第二十九条第二項による命令については、命令の公平なる執行を重視し、同項第一号の調整組合又は連合会の資格要件につき厳正を期すること  以上であります。
  39. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 私は希望条件を附して本案に賛成いたします。  今回改正案によりまして団体統制が行われることに初めて相成つたのでありますが、かような制度ができました以上は、中小企業の困難なる情勢に即応いたしまして、事態によつては迅速にこれが発動をするというのでなければ、その時期を逸しましてその効果を十分に挙げ得ないと考えるのであります。然るに指定業種制が残されておりまする場合におきましては、業種の指定をすることについて相当論議が行われ、漸く業種の指定が行われたと思つて当該業界がほつといたしますると、それから更に具体的な命令発動について又根本的な調査が行われるという二重の手間がかかつて来るわけであります。そこで私はむしろこの際指定業種制は廃止いたしまして、当該業種について調整命令発動の必要ある場合においては当初から徹底的に調査を行い、その必要ありとするならば迅速に調整命令発動、或いは調整規程の適用命令すべきものだと考えるのであります。併しながら今回私は修正事項の意見を持つておりましたけれども、これが修正をいたしておりますと会期も終りになつておりまするので、時間的な関係から今回はこれに賛成をいたすのでありますが、速かに適当な機会において業種指定制を撤廃いたしまして今回の団体統制を認めた本来の趣旨を十分に生かし得るような姿にせられたいということを希望条件といたしまして、本案に賛成いたします。
  40. 海野三朗

    海野三朗君 私はこの法案は自然の法則に違反するものであると考えるのであります。それは何故であるかと申しますと、日進月歩の今日、競争ということ、これをこの法案によつて或る程度抑制せんとするものであります。このことにつきましては発議者小笠議員に再三質問をいたしました通り、その根本において私は間違つておると思うのでありますけれども、小笠議員の綿密なる御答弁、それによりましてこれが弊害に流れないよう、そうして又発明と研究、努力とそういう方面を阻害しない程度において現在の中小企業を救わんとするものであるという御説明を信頼いたしまして、元来はこの法案は私はいけないと思うのでありますけれども、小笠議員のその御説明、御丁重な御説明を私は信頼いたしまして、この法案に賛意を表するものであります。そのことにつきましては只今豊田委員から申されましたように、速かに近い将来において業種別の枠を撤回せられるよう、そうしてこの中小企業者の本当の研究、向上努力というところの芽生えを傷つけないように気を付けて頂く、そういうことを私は要求いたしまして、小笠議員の良識ある御説明を信頼いたしまして、私はこれに賛意を表するものであります。
  41. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は中小企業安定法の一部を改正する法律案の採決に当りまして、いろいろ意見を持つておりまするが、それはまあ先輩諸氏の質問された中にも含んでおりまするし、それを又敷衍しての御説明の中にも誠意ある御答弁であつたことも了承いたしまして、この際附帯決議案を期待いたしまして、特に厳守されて、運用をよろしくされんことを強く要望いたしまして賛成をするものであります。
  42. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御意見もないようでございますので討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないもものと認めます。  それではこれより採決をいたします。  中小企業安定法の一部を改正する法律案を採決いたします。本案を衆議院送付案通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  44. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致であります。よつて本案は全会一致を以て衆議院送付案通り可決することに決定をいたしました。  次に只今討論中にございました高橋委員の提案の附帯決議案を採決をいたします。高橋君提出の附帯決議案に賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  45. 中川以良

    委員長中川以良君) 全会一致でございます。よつて高橋君提出の附帯決議を附することに決定をいたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容、事後の手続等につきましては、前例によつて委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないと認めます。  それでは報告書には多数意見者の署名を附することになつておりますので、本案を可とされたかたの御署名を順次お願いいたします。   多数意見者署名     松平 勇雄  海野 三朗     小松 正雄  井上 知治     黒川 武雄  小林 英三     西川平治  高橋  衞     豊田 雅孝  西田 隆男     三輪 貞治  武藤 常介     白川 一雄  酒井 利雄
  47. 中川以良

    委員長中川以良君) この際政府側より発言を求められました。これを許します。古池政務次官。
  48. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今この委員会において御決定になりました附帯決議につきましては政府といたしましても十分にその御趣旨を体しまして今後の行政面にこれを反映して行くように努めたいと存じます。  以上この際申上げます。
  49. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  50. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。  それでは只今より肥料関係の二法案を議題といたします。
  51. 海野三朗

    海野三朗君 この硫安の値段の問題でありますが、上のほうは制限をしておる、下のほうは、安くする方面には制限が設けてないというこの前の御答弁でありましたけれども、多量生産で以て外国にも余り売行きが予定した通りに売れない。そうすると国内の保有量が増加したそういう際には、自然の勢いといたしまして硫安の値段が下つて来るわけであります。そういう場合に、一定の価格を保持して農民に押しつけるということが考えられるのでありますが、そういう際にはやはり国内にたくさん持つているというような場合には、自然に安くなるというのが原則であるのだけれども、それを安くしないで一定の価格を保持して農民に押しつけるということが考えられるのでありますが、その点についてはどうでありますか。
  52. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の御質問でございますが、臨時硫安需給安定法の第十一条にございますが、農林大臣及び通商産業大臣は価格を公定いたすのでありますが、その価格の公定の仕方は十一条に明記してございますように、最高額を定めるということにいたしておるのでございます。国内の内需が不足いたします場合に、価格が暴騰いたしますことを先ず抑制することが一つの大きな狙いでございまして、その最高額を定めるのでございます。御指摘のように内需が輸出不振のために国内の硫安の供給が過多になつたという状態の場合には、勿論普通の経済取引と同様に、生産業者と、これを買います商業者、或いは全購連との間に個々に取引価格をきめるのでございまして、この価格は当然需給の関係よりこの最高額を下廻る価格で取引されるという結果になりまするので、それに対しては、この最高額を調整する措置は、法律上全然規定してございませんが、我々政府側といたしましても、需給の実態によりまして取引をすることを干渉いたす意思は毛頭ございませんので、御指摘のような事態には、これはならんと思うのでございます。
  53. 海野三朗

    海野三朗君 その値段が下る。値段が自然に下るのでありますけれども、そういう際にも、或る一定の価格を保持して行くということになるだろうと思うのですが、そういう場合に値段の下つて行くことに対しては、何らその抑制と申しますか、政府側が干渉しないで、国内の需要供給の関係で値が安くなつてもかまわないというふうになるのでありますか、その辺私がお伺いしたいのは……。
  54. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 現在この法律が施行いたすまでの過渡的段階として、政府は安定帯価格と申しますものを、一つの、まあ指導目標にいたしておりますが、これは最高価格と最低限との価格の幅というものを認めておりますが、これは本法のような法律制度でございませんので、便宜そういう方法をとつているのでございまして、この法案の最高額に対して、最低額をきめるということをいたしません。勿論需給関係よりいたす値下りに対してはこれを抑制する措置をとりません。従いまして、実際の取引価格は、御指摘のように相当下廻わる価格になることが考えられるのでございます。そのようにいたしたいと考えるのでございます。
  55. 海野三朗

    海野三朗君 それはやはり国内の需給関係が満たされたときに、国内に余つて、たくさん硫安が残つたというような場合には、やはり値段を下げても農民に使わせようというお考えがあるのでございますか。
  56. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) その通りであります。
  57. 海野三朗

    海野三朗君 そういう際に、その価格のことについては、通商産業大臣はどういう措置をおとりになるのでありますか。
  58. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 値段が、この最高額を下廻わつた価格で実際取引されるというような実態に対しては、政府としては、何ら価格の指示とか、そういうことをいたしませんので、率直に申しますれば、自由放任と、こういうような態度で臨みますので、別に措置ということを考えておりません。
  59. 海野三朗

    海野三朗君 それからこの硫安の各会社の生産費でありますが、この生産費は、実際細目に入つて見ますと、個々別々で以て、能率のいいところ、悪いところ、いろいろなでこぼこがあり、そういうことに対してはこの硫安の多量生産をどういうふうにお考えになつておりますか。その間に政府の油のさし加減とか、そういうことはどういうふうなことになつているのでありますか。
  60. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 私のほうの建前としましては、合理化の促進ということを一面考えて見まして、これにつきましては、勿論立地条件その他から見て優秀な資金効率のあるものというものを、これを進んでまあ優先的に考えるという原則を考えていることが一つ、それから今申しましたような価格のでこぼこというものがございますが、勿論これは今後の方向としてはできるだけこの幅を狭ばめて参るということが対外的に見ましても、対内的に見ましても、供給価格をできるだけ低位に持つて参るということからふさわしいのでございまして、そういう方向をとりたいと、こういう工合考えているのでございます。生産費上のでこぼこと申しますものが例えば常磐炭を利用しております日本水素の例をとつて見ますると、成るほど日本水素が従来の製法で参りますと非常に割高であるという工合考えられますが、幸い先般西欧で発明になりましたコツパース法をやりますと常磐炭に対する立地条件というものを生かし得るものになる、詳しく申しますと常磐炭の低カロリー炭の完全ガス化をして、水素の供給コストを非常に引下げ得るという新らしい技術ができましたので、従来のコークスによります製法の場合には非常に割高でありましたが、こういつた新らしい技術を取入れることによりまして非常に有利なコストの引下げができるということになりまするので、現に考えられておりますコストというものがそういつたことによつて非常に改善されて参る面がございまするので今日のでこぼこというものを以て直ちにこの工場が悪いという工合に判定できませんので、これは飽くまでも技術的な改善或いはその他の立地条件等を勘案しましてその工場にふさわしい合理化の計画を実施して参る、こういう気持で進めておるわけでございます。
  61. 海野三朗

    海野三朗君 ABCDと工場がずつとありまして、その工場の生産費が皆別々である、そういう際に政府が金を融資して合理化させるといいますか、それはどこを基準にしてお考えになつていらつしやるのか。そうすると能率のいいところをやつて行くと言われるというと、在来つておるところが能率が悪いから自然に潰れて行くよりほかに方法がないし、又悪い方面をよくして行くということにやられると、国家経済の上から見てそれは非常に当を得たものではないと、こう考えられますが、そういう点の勘案は如何ような対策でおやりになるか。
  62. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の御指摘は率直に申しますと、非常に条件のいいものに、現在のコスト形成から言いまして一番有利なものに集中的に順次やつて行くことが一番引下げ得る見通しのように一応考えられるのでありまするが、私のほうの言つた一つの前提は硫安、特にアンモニアの生産能力というものを前提としまして硫安の輸出という限度をどの程度までできるかという幅を一つ考えておるのであります。勿論内需の今後の食糧増産等から見て硫安需要増加ということも考えられますから主たる大きな期待は海外の需要でございます。先般も本委員会で申上げましたように中共を除きます東南アの需要は百六十二万トン程度でございまして、これは年々数%ずつの需要の上昇を見つつある状況でございます。これに中共方面の新らしい需要を入れますると、中共の需要は五万と言い、十万と言い、非常に大きな数字で殖える傾向を持つておりまするので、これらの需要を目安に生産の増強、それの合理化ということを考えますると、今日ございます十四社十七工場というものを十分生かして参るということが考え得るのであります。その線から只今私が申し上げましたように、できるだけどの工場にもその工場の特性に応じた合理化計画を進めて、全体として行き得るような方向に進めたい、こういう考えを持つて進んでおるわけでございます。
  63. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、その一つ一つの工場について仔細にその工程を検討し、生産費を検討して見る、それから政府がそれに融資をなさる、こういうわけでございますか。
  64. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 勿論国際上におきます西欧の硫安の製造コストと申しますものは、具体的に分析したものを手に入れておりませんけれども、その国の国内の販売価格から想定いたしますと、五十ドル前後、或いはそれ以下という程度が、一つの勘ではございますが、客観的なコストだと、こう考えます。この方向に国内の硫安工場のコストを持つて参るという御指導をとるというのが、コスト上におきます我々の目標でございます。従いましてこの目標に近付けるためのそれぞれの工場の合理化計画というものを立てさせて、これを具体的に検討した上で先ほど秘密会で御説明いたしましたような二十八年度においては六工場取上げまして、これに開銀融資を斡旋いたしたというような次第でございます。
  65. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、今の六工場以外のものは、つまり生産費が高くつくことになるわけですか。
  66. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 勿論硫安合理化の計画は二十八年度を含みます五カ年計画というものを持つておりまして、その他の工場につきましての二十九年度についてはどの工場にどの程度にするかという具体的申請を待ちまして、先ほど秘密会で説明いたしましたような我々としての検討を加えまして、開銀に御推薦いたすという順にいたしております。なお、念のために申加えますが、ここに御審議を煩わしております需給安定法案並びに硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨時措置法案が幸いにして成立いたしまするならば、需給安定法の規定に基きまして公権的にコストの調査をいたしまして、その調査の結果、更に今日考えておりまする以上に、正確な合理化の根拠を確定し得るのではないかというふうに考えております。二十九年度以降はこの法律の運用を通じまして合理化計画を的確なものにして参りたい、こういう工合考えておるわけでございます。
  67. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、その他の工場には、又次の年度においてというふうに全般にこれに融資をして、増産をやつて行こうというお考えでありますか。
  68. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 硫安工業合理化の主たる狙いは現在ございますアンモニアの生産能力を中心にいたしまして、合理化を進めておりまして、いわゆる硫安そのものの生産を量的に殖やすということは原則的に考えておりません。合理化をする結果、極めて微量ではありまするが、数量的に硫安を造り得る設備能力というものが増すことは考えられまするが、飽くまでも、硫安五カ年計画と申しまするのは、製造方式或いは副産物を非常に非効率的に処理しておりまするのを、改善する、或いは捨てておつたものを尿素の生産に活用する、そういつた総合的な合理化をいたしまして、硫安コストの引下げをいたすというのが狙いでございまして、量的増加というものは副産物的に極めて少量であるという場合があり得るという程度でございます。
  69. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと、只今お話の六工場に先ず融資をする、そうすると六工場は相当値が安くできるようになる。すると、その他の工場は、つまりそれによつて影響を受けるわけであります。その影響に対してはどういうふうにお考えになつておりますか。又その五十ドルなら五十ドルではできない、こういうほかの工場が出て来るわけであります。そういうところは如何ようにお考えになつておりますか。
  70. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 五カ年計画の全体を通じまして勿論二十八年度の対象工場以外の工場も順次対象工場として合理化の対象に入れて来るわけでありまして、その過渡的な段階においては或いはコスト上のちぐはぐというものが交互に起り得るわけであります。勿論硫安の製造方式におきましても或いは電解方式或いはガス方式或いは最近新らしくやります石炭の直接ガス化という方法による製法が出ますので、その製法間の違いというものは勿論起り得ますし、それから総合的にやつておる化学工場と比較的硫安を中心としておる工場との違い等がございます。そういつたことから起りますコスト上の差異というものはやはり五カ年間を通じても計画において残るのでありまするが、大局的に見て国際価格、即ち五十ドル前後の生産コストというものを目標にして進めるということにいたすことが一番適当だと、こういう工合考えておるのでございます。
  71. 海野三朗

    海野三朗君 私がお伺いいたしたいのは、その六つの工場に融資しますが、そうするとその影響によつてその他の工場で潰れるような工場が出て来ませんか、値段が高いから……。
  72. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今申しましたように、硫安の内需は百七十万、最近はこれを上廻るのではないかというような状況でございます。輸出につきましては、先ほども申しましたように、今日引合を断わつておる状況でございます。従いまして数量的にはこれは勿論売れないものはあり得ない。ただ価格形成をいたす場合に或る期間非常に不利になる。例えば本法を実施しますと、国内のマル公をきめますので、このマル公によつては赤字が出る工場があり得ると思います。そのために工場が直ちに潰れるということは実は考えないのであります。勿論そのような不利な工場は更に合理化をして、できるだけ供給し得るコストというものを目標に合理化して参るという含みを持つて進むということに相成ると思います。
  73. 海野三朗

    海野三朗君 そういたしますと、その赤字が出たという場合には、それは直ちに政府が赤字が出ないようにこれに又融資の方法もお考えになつておるわけですか。
  74. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 勿論本法を実施いたしましても、別に個々の工場で公をきめたために赤字が出るというものに対して国家は何ら補償するというようなことを考えておりませんし、又補償するということは却つて合理化の促進を害する、これは過去の歴史においても明らかな点でございまするので、これに対して特別の措置をいたそうとは思いません。先生の御指摘の点を理論的に最終的につき進めまするならば、恐らく硫安工場としてはコスト上非常に困難な条件下にある工場等があり得ると、そういう工場ができるということを私は考え得るのであります。併しこれは化学工場といたしまして、合理化の幅というものがどの程度にあるかということと、国際的な需要の推移がどうなるかというような見地で、硫安工業の或るものが脱落する憂いがあるかどうかという問題になりますと、あり得るということは言い得るのであります。実際問題としてこのような事態になるかどうかということは、今日の内需並びに輸出の状況等からいたしまして、これを即断することはむしろ困難であるという工合考えております。
  75. 海野三朗

    海野三朗君 それではその点はそれだけにいたしまして、私はもう一つお伺いしたいのは、元に戻りまして出血輸出をしたその損害というものは、国内でカバーされたのでありませんか、今日まで……。
  76. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) これは非常に私としましても、個々会社の分析をして一銭一厘内需のほうに転嫁したかどうかということは、これはなかなか理論的に、或いは現実に分析いたしまして、一厘一毛といえども転嫁してないと、こういうようなことが言えるかどうかということは非常に疑問でございまするが、私のほうの行政指導の面から申しますと、勿論輸出することが、操短をするよりも国内の農民に安い肥料を供給し得るのである、こういう大きな原則点に立ちまして、操業度を維持し、或いはむしろこれを高めて全体のコストを引下げる、こういう方向指導をとつて参つたのであります。この方向と裏表てをいたします安定帯価格という制度を実は行政措置でとつたのであります。この安定帯価格の措置というものは勿論不徹底なものであることは申すまでもございません。従いまして私たちが安定帯価格を作りました趣意は、輸出から生じました赤字を国内に転嫁させないという建前で、安定帯価格ということも積極的に指導して参つたのであります。で、肥料の価格の、これは市場に売られておる価格をお考えになつて結構なんでありますが、今日デフレ政策下に相当多くの物資が価格低落の方向をとつておりまするが、肥料につきましてはすでにこのデフレ政策以前、一昨、もう二年前からすでに下向の傾向をとつてつておるのであります。これは勿論原料等におきます価格低下も影響いたしておりますが、政府が安定帯価格等の措置を実施いたしまして、硫安価格のできるだけ国際価格への鞘寄せということを一面とりますと同時に、輸出による赤字を国内に転嫁させないような努力をいたして参つた結果と、こういう工合に私は考えるのであります。なお細かい問題になりまするが、硫安会社個々会社が非常に赤字輸出をしたということが一昨年あたりありまするが、この赤字につきましては経理上の措置としてその年度に処理せしめないで、その後の年度に跨がつて処理せしめた事例もあるのであります。  それからもう一つここに申添えておきたいことは、この輸出会社が仮にできました際には、御承知のように自主的にメーカーが、長期に亙つて赤字を処理するという建前にいたしておりますが、本法成立の過渡期においては、著しい赤字を生ずる虞れありと考えた場合につきましては、バーター制度で一部損失の補填措置をとらしめたことがあるのであります。そういうような諸施策を通じまして、私の立場としまして輸出による赤字を国内に転嫁せしめる、この誤つた政策是正のために相当努力して参つたということをお答え申上げたいのであります。
  77. 海野三朗

    海野三朗君 その赤字をバーターなり何なりで極力補われたということは、非常に私は結構なことだと思うのでありますが、その補い得ざるところの赤字はやはり国内に転嫁されたという結果になつておるのではありませんか。それでこれから先の輸出が赤字になる、ところがそれを棚上げして、国内には転嫁しないようにというふうにお考えになつておるけれども、これを造る会社がどうしたつてその赤字をかぶらなければいけないので、そうすると、結局農民にしわ寄せということが当然やつて来るので、これに対するしわ寄せは決して来ないという保証はどこでつけられますか。
  78. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 輸出会社を作りまして、長期に亙つて赤字を解消せしむるという基本原則をまあ貫くわけでありますが、その最終的に赤字が出た場合に、個々会社が処理し得ないという結果、国内の価格に影響を与えるのじやないか、こういうことでございますが、例えば先般石炭価格の非常な値下りのために赤字をどう処理するかというような問題の場合にも、例えば再評価で社内留保しております損失をその会社がこの留保財産で処理したという例もあります。で、肥料会社におきましても勿論そういつた社内留保或いは他の化学工業をしております会社が、他の利益によつてこれを処理するということはでき得ますことでありまして、そういうことをなすことが本法の狙いであります。勿論輸出会社でございますので、資本金を、これを組成するメーカーより醵出せしめるのでありますが、輸出会社の赤字というものは先ずこの資本金を食うということによつて第一段に処理する。第二段以後につきましてはこれを株主でありますメーカーが、その社内の今申したような財源によりまして処理して参るのであります。御指摘のような結果にならんよう私たちとしては十全の措置をとる方向で、本法を提出しておるわけでございます。
  79. 海野三朗

    海野三朗君 今の、その後に向つて御注意なさるのは誠に結構でありますが、その農民にしわ寄せをさせないということの保証はどこでつきましようか。
  80. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 安定法の実施に伴う国内のマル公をきめるということは先ほど来説明しておりますが、このマル公価格をきめるという場合には、勿論輸出によります赤字転嫁を防ぐ大事な手段でございます。同時に長期に亙つて考えますならば、五カ年間に亙る硫安工業の合理化によつて、国内価格に対しても、輸出価格に対しても二重価格制の起る余地のないように合理化して参るという目標を持つておりますので、本法施行後五年後におきましては、御心配の点がないよう、国内に対しても安い硫安価格の供給をいたし、又国際需要に対しても国際競争と太刀打ちのできるような五十ドル前後のところに持つて参るという工合考えておりますので、御指摘のような点はないよう計画いたしておるわけであります。
  81. 海野三朗

    海野三朗君 私がお伺いしているのは、輸出の赤字になつた際に、それを絶対農民のほうにはそのしわ寄せをしないというその保証がどこでついておりますかということをお伺いしているのであります。ただその方面で努力をするということだけではわからないと私は思うのですが、何か保証がございますか。私はそれを伺つているのです。
  82. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 国内に対する販売価格はマル公で最高価格をきめます。この最高価格は詳しく申上げますと、安いコストの物から積上げまして内需を満たす。限界数量と申しますか、これに相当する限界生産コストの工場までのところで打切りまして、その生産費の加重平均でコストをきめますから、これには輸出による赤字を含んでいない、こういう工合考えておるのであります。と同時に輸出会社はこの国内できめますマル公を基準としてメーカーから買取りまして、法律的に輸出会社に所有権を移転させまして、その結果生ずる赤字は輸出会社に棚上げしておくのでありまして、その間輸出価格よりの損失輸出会社の勘定に計上されておるのでありまして、輸出による赤字は内需の価格をきめる際に織込みませんので、経理的に遮断して保証し得ると、こういう工合に私は考えます。
  83. 海野三朗

    海野三朗君 これはもう何度お伺いしてもしようがありませんが、もう一つ最後に私は、この前も豊田委員からも質問が出たのでありますが、輸出組合で以て十分やり得るのじやないか、特に輸出会社を創立しなければならないという必然的な理由をお伺いいたしたい。輸出組合で十分やつて行けるのじやないか。
  84. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 輸出会社は形式的に申しますと、法律的の要件として三十名を最低限といたします。輸出による赤字処理につきましては、肥料対策委員会或いは政府の根本方針としてメーカーをして自主的に処理せしむるという原則、基本方針を貫いておりますもので、メーカーの自主的な機構を通じていたすということが本問題解決の重要点でございます。従いまして輸出業者を入れることは不適当であります。輸出業者をして赤字負担の処理に当らしめる責任者といたすことはできませんので、以上法的な理由と実質的な理由のために輸出会社制度を設けることに結論いたしましたもので、輸出組合により得ないのでございます。
  85. 海野三朗

    海野三朗君 そうしますと全く別個になるわけでありますか。  今までの輸出組合のあり方とは別個に今度輸出会社というものができて完全に独立したようなものになるのですか。
  86. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 輸出組合のやり得る限度というものを越えておる問題と考えまするので、輸出組合とは別個の輸出機構とこう考え得られると思います。勿論この輸出会社輸出組合で一応やれるがごとく考えられます海外に対する価格調整と申しますか、これに対する機能はむしろ輸出会社の一本化したほうが硫安の輸出実態から申して適当だと考えます。と申しますのは、硫安輸出取引の相手方は国家独占、或いは準国家独占の組織を持つておりまして、輸出業者個々を組合化した団体調整では不十分である、こう考えたのでございます。
  87. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほど出血受注と、それを国内消費者に転嫁するのじやないかという質問がありましたですね。これに対してどういう保証があるのか、それをしないというどういう保証があるのか、それに対する局長の御答弁は、輸出会社輸出会社損失として棚上げをしておくのだ、国内消費者には転嫁することはないのだ、こう言われたけれども、これは少しおかしいのですね。幾ら輸出会社損失としてのみ棚上げをされておりましても、硫安メーカーというものはやつぱり造つたものを売ることによつてしか生産費をカバーできないのですね。そうすれば一方では五十ドル前後の国際価格で、結局十貫一儀に直すというと七百円足らずですね。現在八百四十円で国内で売られて、これは六十三ドルちよつと以上になる。これだけの差のあるものを、幾ら損失を棚上げされておるか知りませんけれども、これは国際価格というものが日本の生産価格よりも、非常に差ができて、日本のほうが安くなつた場合には少しずつそれが取戻せましようけれども、そうでない限りはやつぱりこの損失はこつちで補わなければならん。その保証は全然ないのであります。現在においても七百円程度で売られていると思うんですが、これは一袋どれくらいで輸出価格というものは取引されておりますか。
  88. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今、現在の日本の硫安の輸出価格は勿論五十ドル程度ではございません。私の申上げましたのは両欧等で、今日国内で販売されておる価格から想定いたしますと五十ドル前後が恐らく適当であろう、こういう想定でございます。それから我が国の現在の輸出価格は勿論西欧、東南アに対する輸出価格を申しておりますが、これも大体五十ドル前後でございませんで、これを相当上廻つた価格であります。輸出赤字問題が相当やかましかつた当時に比べますと、確かに日本の硫安の輸出価格も上廻つておる、過去よりも好転いたしております。海外との競争はその意味におきましてはやや緩和したと、こういう工合考えるのであります。ただ只今申しましたように、西欧等の国内価格等から推定いたしました生産コスト上の競争力としては、我が国の硫安工業もここ数年努力して、これらのコストに近付かしめる、必要に応じてこれを更に下廻るような価格を目標にして合理化して参るということを考えておるわけであります。五十ドル前後というものは勿論一つの目標であります。勿論我が国の硫安工業におきましても、この五十ドルを下廻り得るような合理化の目標の立ち得る工場もございます。
  89. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この輸出の実際の価格というものは、ここで質問しなくても衆議院でちやんと質問されて答弁されておる。五十六ドルというふうに言われるので、そうすると日本の売つている五十六ドルと、それから国内価格はドルに換算して六十三ドル五十セント、この間の差は一体どうしてこれを吸収されておりますか。
  90. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 現在におきましては、只今申しましたように、不徹底ではあるかも知れませんが、国内の価格に対しては安定帯価格の行政措置をやつておる。併しこれにおいては勿論只今御指摘のように、輸出に対する赤字を農民側に負担せしめないという保証としては勿論不徹底であります。従いまして安定法と、この輸出会社に関する法案を提案いたしまして、その問の経理的遮断についての法律制度化をいたすという狙いで進んでおるのであります。今日のこの赤字が一銭一厘といえども内需に転嫁していないということが言えるかどうかについては疑問はあると先ほど申しましたのであります。安定帯価格によつてこの問題を解決し得ない。むしろ根本的な法律制度を更に厳重にいたしまして、この問題を処理することが適当だ、こういう工合考えましたので、この法案が国会に出るようになつた、これが一つの原因と考えるのであります。
  91. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 だからこれは一銭一厘の問題なら別に我々言わないんですが、結局百円ぐらいの差になると思うんですよ、五十六ドルを十貫一叺に直すと幾らになりますか、七百三、四十円ですかで、現在国内では八百四十円、これは結局百円ばかり損して売つているんです。その百円の損は国内で売るものでカバ一するほか今のところないんです。現在ではやつぱり国内消費の価格に織込まれて、それで硫安工場というものは何とか辻褄を合わせておつたんではないか、こういうことがはつきりすればいいんです。それを今の法律によつて是正しようというふうな狙いを持つておるわけですから……、その点を海野さんも聞いておる。こういうふうに考える。
  92. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 私はこれは秘密会等においても御説明したかと思いますが、現状の硫安コストがどの程度であるかということについては、自信のある計数的結論というものを申上げにくいということは縷々申上げておきましたが、ただ我々の仕事をいたします方向、資料と申しますか、そういう意味におきましては秘密会で説明した程度の資料を持合わせておると、こういうのでございます。その数字からいたしまして現実の価格、或いは輸出価格とを比較して、それならば内需にどの程度の転嫁をしておつたかどうかということは、これはなかなか断定しにくい問題を含んでいるので、私のほうとしましては、飽くまでもそういつた問題の本質をつかむ意味合いで、こういう公権的な調査、検査というものをいたすことが第一の条件でありまして、それをいたした上で、これらの内需に赤字転嫁ということのない保証を、制度として作り上げる必要があるということにつきましては、只今まで申上げた通りであります。現状においてそれだけの差額が内需に転嫁しておつたのじやないかと、こういう御指摘でありまするが、これにつきましては、今以て公権的な調査ということをいたさない今日におきましては、私として責任ある答弁はいたしかねると、こういう工合考えるのであります。
  93. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それはまあこの法律ができてあとで、肥料審議会ができたりして、定められるわけですけれども、大体のこの販売価格の最高は一体どのくらいになる見通しですか。
  94. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) これは私どもの合理化の進捗ということに伴う、或いは石炭その他の価格の低下ということと相待ちまする問題で、勿論賃金の幾らか上昇しているという事実もございますから、これらの総合勘案した結論でなければ、幾ら現在の安定帯価格から、或いは肥料の市場の取引しております価格から下るかということを断定して申上げることはできないのでありますが、私のほうの考え方としましては、それは政府として飽くまでもこの両法案を実施いたします根本の心がまえとしましては、現在の安定帯価格より更に引下げるということが、我々の狙いでありまして、その線に沿つて原価コストを洗うというのが私たちの強い、本法成立後におきます態度であります。その点から私は現在の安定帯価格を下廻る価格でマル公がきまり得るのではなかろうかという工合考えております。
  95. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 その場合に、この衆議院の修正の案を見ますと、その最高額を定める場合の参酌事項に、肥料の国際価格を加えるということがありますね。これはどういう意味ですか。
  96. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) これは衆議院農林委員会の御修正の点でありまして、政府は、これはこういう趣旨で、こういうことになるということを、責任を以て答弁いたすことは不適当かと思いまするが、私の考え方としまして、硫安の国内価格を引下げる、国際価格にふさわしい生産原価というものを、ここ数年にして作り上げることが、やはり両法案を設定いたします根拠でありますので、そのために我々が現在の硫安業者をして、この価格低下の方向に指導する一要因として、国際価格への鞘寄せということを一つの大きな狙いにいたしているのでございまして、生産原価を基準にきめるものではありまするけれども、国際価格との関連を考えましてできるだけ生産費を基準としてこの価格を低くいたすという考慮の一要素にいたすと、こういう趣旨と解しておりまして、私たちも硫安工業の再生産を可能ならしむる範囲におきましてできるだけ国際価格を参酌した実際の具体的な価格をきめて参る、こういう抽象的ではございますが、そういう考えで進みたいと考えます。
  97. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これは普通のこのものの値段を生産費主義で考える場合にもそういうあらゆるほかの条件は幾ら考えてみたつて余地がないわけです。幾らかかつているから幾らで売らなきやならんという、この根本的な考え方で行けば、その値段をきめる場合に国際価格を加えるということは、そういうコストよりも政治的な一つ考え方によつて下げた値段に定められる場合もあり得ると、こういうふうに考える以外にこんな国際価格を加えてみたつて考えても意味のないことだと考えるのですが。
  98. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 私はそういう工合解釈するのも一つ考え方かと思いますが、生産費を基準としてということは生産原価の、適正な利潤を加えた再生産を可能ならしむるような生産費という意味でありますので、適正利潤というような観念も勿論挙げておりまするので、適正利潤というようなことについて国際価格というようなものを参酌することがいいかという問題になると思います。同時にもう一つは、例えばこれば過去の例をとつて論議することは非常に不適当でございますが、例えば物価庁というものが終戦後ございまして、ここでマル公をきめておりましたが、これは勿論現実の生産原価というものを主として価格形成をいたしております。併しここに考えておりますものは今後五カ年計画等で合理化ということを頭の中に置いた政策を織込んでおるので、従いまして例えば秋肥に対し、或いは春肥に対し将来の価格を規制するというところにこの問題、科学性の問題がありますが、そういつた将来の合理化というようなことの進捗をもあらかじめ含めて生産原価というものをきめるというようなことが正しいと思います。そういうような意味合いから行きまして、国際価格を考慮するということは御指摘のような理論的に申しますと、そういうようなことになり得るのかも知れませんが、私どもの気持としてはそういう工合結論いたしておりませんで、私が只今申しましたような意味での考慮をなし得る一つの要素だとこういうふうに私は考えておるのであります。
  99. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 価格の問題を論議しますと、どうしても一体本当の生産費は幾らかということが実はもう根本的な問題になるわけなんですね。先ほどから生産費に対する資料を頂いておりますけれども、これも推算であつて確たるものじやありません。こういう法律案審議する場合に本当の生産費というものが出ていないというのは非常に遺憾でありまして、我々はいま少しくこの問題については掘り下げて研究もして見たいと思いまするし、質問は保留しておきます。
  100. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは午前中はこの程度にいたしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 中川以良

    委員長中川以良君) 午後一時四十分からいたします。  暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩    ——————————    午後二時十二分開会
  102. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは休憩前に引続きこれより再開いたします。  航空機製造法案を議題といたします。前回に引続き御質疑をお願いいたします。
  103. 高橋衛

    ○高橋衛君 航空機製造法におきましては、現行法によりましても航空機の検査並びに各種の確認の仕事をやる建前に相成つておるのであります。従つてその検査をするに必要なる航空工場検査官の制度並びに検査員制度を第十五条、第十六条において規定しておられるのでありますが、この検査官の数、又どの程度の資格の人を検査官にしておられるのか、その点について先ずお伺いしておきたいと思います。
  104. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 政府側検査官の人員につきましては現在のところ七名でございます。いずれも大学程度のそれぞれの技術専門の課程を経ましたものを担当官としているわけでございます。
  105. 高橋衛

    ○高橋衛君 七人の大学出の人を航空工場検査官にしておられるようでありますが、その年輩なり技術上の権威の程度はどの程度の人でございますか。具体的に申しますと俸給の給与の額はどの程度の人がなつておりますか。
  106. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 現在おりまする者につきましては十級が二名、それから九級が四名、八級が一名でございます。それから経験につきましては戦時中の航空機工場の監督官等をしましたもの、或いは会社側の専門の技術者であつたもの等でございまして、それぞれこの種の仕事に相当の業界におきましても信頼を得る程度の経験を持つた者を挙げておるわけでございます。
  107. 高橋衛

    ○高橋衛君 第十六条の場合において製造工場又は修理工場の従業者であつて、政令で定める者をこの事務に従事させることができるということになつておりますが、この人数は現在どの程度、これは個々におきめになるのでございますか、或いはそれとも大体予定して任命しておられるのであるか、その点も大体の人数なりなんなりをお聞きしておきたいと思います。それからいま一つは、検査員として従事せしめている人の技術上の格式が官庁の検査官に比較してどの程度の人であるか、それよりも高い技術的な水準を持つている人であるか、それとも低い技術的な水準を持つている人であるか、その点も併せてお開きしておきたいと思います。
  108. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) これはこの法律施行後におきまして二回の国家試験をいたしておりますが、その国家試験によりまする合格者はそれぞれ専門が分れておりまして、光学関係、原動機関係、プロペラ関係、回転翼関係、無線機関係と分れておりますが、それにつきまして百七十九名の国家試験の合格者があるわけでございます。主としてそのうちお尋ねございました検査員としての資格を得ました者の数は二十九名でございます。百七十九名の中から全部動員する段階、今の生産の規模の状況から全部動員するに及ばない程度の段階でございますので、これまで選びました二十九名というものは、百七十九名の国家試験の合格者の中でも優れた人を以てするということになつているわけでございまして、学歴といたしましてはいずれも大学及び少くとも専門学校程度の卒業でございまして、最後のお尋ねでございましたこれらの検査員のかたがたが政府検査官とどの程度関係にあるかというお尋ねでございますが、これは一概に比較もいたしがたい点もありますが、大体通産省の検査官と同等或いはやや低いレベルの人というふうに御承知頂けば結構だと思います。
  109. 高橋衛

    ○高橋衛君 この検査官によるところの検査を合格した航空機を保安庁が購入する場合においては、保安庁は検査をもう一度いたしますか、検査を省略いたしますか、その点を一つ
  110. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 保安庁は発注をいたしましてこれを買受けることに相成るわけでありますが、その際に領収検査というものは当然にいたすというふうに考えます。ただ御承知のごとくまた現在の段階におきましては大したあれもないわけでございますが、今後保安庁の発注機が殖え、生産されるものが殖えて参りますと、その関係がだんだん殖えて来るというふうに思つているわけであります。この法におきまする検査といいますか、確認の仕事、これは生産過程の製造検査というふうに観念したらいいのではないかと思いますが、それにつきましては本法によりましてやるということに相成ると思います。
  111. 高橋衛

    ○高橋衛君 今後の日本におけるところの航空機の需要がどういうふうになるかということについては、予想は困難であると存じますけれども、私どもの想像するところではやはり保安庁用等の航空機が一番大きな需要先になるのじやないかと推定されるのでありますが、そういう場合に同じ国家検査を二重に行われるということは如何にも不経済なように思われるのでございますが、その点の調整を何か政府としてやられるお考えはございませんか。
  112. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 今のお尋ねの点は御尤もでございまして、検査を受ける事業家の立場といたしまして、あちらからもこちらからも検査されるというようなことで、必要な仕事、それぞれ省くことのできない必要な仕事にしろ、その煩わしさというものを極力簡素に統一してやつてもらいたいという希望が出ることは当然予測できることでございます。私ども、目下保安庁とその事業者側の受けまする立場を顧慮いたしまして、二重検査にならないような方法について、どう調整すべきかということを相談しつつあるわけでありますが、まだ最終的に話合いを正式に取り交わすというところまで至つておりませんが、大体あらすじを申上げますると、この保安庁の領収検査、それから通産省の生産過程の製造検査といいますか、というものを同一人で同時にやるといいますか、というようなことを考えようじやないか、それぞれまあ資格なり要件というものもございますが、相兼務するといいますか、というような形で、場合により一貫して同じ目的を達し得るように、昨日は通産省の検査があり、今日は保安庁の検査があるというようなことにならないようにしようじやないかというような線につきまして、今話合いを進めておる段階であります。
  113. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はこういうふうな航空機等の製品の検査については、やはり自分で使うところのものがその検査をするときに初めて身が入つてしつかりして来るのじやないか、そして又例えば戦前におきましても、どこかの省がこれを適格性ありとして採用した場合には、それが一般的な社会の中の商品としての価値を格付けし、自然それによつて十分目的が達せられるというのが実情であり、又産業の能率化を図るという面から申しましてもそれが正しいあり方だと私は考えるのでありますが、殊に今回航空機製造法の一部を改正する法律案において、今までの届出を許可制度にせられるというような段階になれば、又そういうふうなことを当然に考えていいのじやないかと私は考えるのであります。又先ほどの御答弁では、官庁の検査官、七人の検査官と民間で指名をしておりますところの二十七名の検査員とを比較する場合においては、同等又はそれよりもやや低い程度の技能を持つておる者であるというふうな御説明でありましたけれども、いやしくもみずから相当大きな資本を投入し、そうしてそのでき上つたものが一定の成果を以て売れるか売れんかというふうなことについて責任を持つておるところの技術者というものは相当高い給与を十分に出し得るのであります。従つてそこにはより優秀な技術者を擁し得るということは、これは当然であろうと思うのであります。現在の状態において、或いは七人の検査官のほうが水準が高いかも知れませんが、今後暫らくの経過を見れば、恐らくはそういうふうな事態になることは火を見るよりも明らかであるというふうに私は考えておりますが、従つてそういう場合においては、こういうふうな検査制度、確認制度ということは、製造法の改正をなす際においてはもうすでに廃止をしていいんじやないか、勿論通産省としてはこういうふうな航空機製造費を主管する立場において、この技術について十分な知識を持つということは必要でありましよう。私はこの七人の検査官ぐらいの程度のものは、そういうふうな意味において必要であるというふうに考えておりますが、併し検査をするために民間の人まで使つて形式的な検査をして行こう、その他はすべて手数料を取るという制度は如何にも、何と申しましようか、官庁依存の度が甚だしいと申しますか、私は逆に言えば官庁が余計に仕事をし過ぎるというふうな感じがするのでありますが、その点に対する御意見を伺いたいと思います。
  114. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) この検査というのは航空機の製造ばかりにあるわけではございません。例えば輸出検査とかいろいろございますが、お言葉を返すようでございますけれども、検査の本質的なものとしては買手が検査するのが正しいあり方だというふうには私ども必ずしも考えないわけでありまして、検査制度というものの一つの理想的のあり方といいますか、というものは製造業者がみずから検査を行う、その検査の基準といいますか、方法なり設備的な要件なりというものを国が定めて行きます。そうして、そういうものに従つて製造業者のやつておる検査というものがうまくやられておるかどうかというようなことを国が監督して行くという仕方のほうが、まあすらつとした検査というものの一般的なあり方ではないだろうかというような工合に私どもは考えるわけです。この本法によりますると、この検査の仕組につきましてもこの構成を御覧頂きますと、政府検査いたしておりまするけれども、同時に実質的には会社側の適格性を持つた、政府の認定しました検査員検査をやらせながら、それをもう一歩高い目で監督といいますか、そういうような構成をとつておるわけであります。殊に航空機のような、一面におきましては生命の安全にかかわるような検査は厳重にしなければならない要因ということもありますが、又半面におきましてそれだけに製造技術そのものが厳格にきめられておりまして、製造工程の過程におきましても、過程ごとに材料の選択及び材料の加工方法、それからその過程ごとに又その仕上りの機械的な検査、機械を用いた検査ということが技術的にも可能でありまするし、従いましてそうい人間の目とか腕とかを信頼するというよりも、むしろ近代の検査設備等を使つた、まあ一口に言いますと、技術そのものを信頼するというような、信頼し得るというような要素もございまするし、さような意味で現在の要点々々といいますか、材料はどういう材料を選ばなければならない。その加工にはどういう加工を、切削加工その他の仕方をしなければならない。又それにはその途中においてその仕上り状況を特定の検定機械で以て検査させなければならないとかいうような工合に、技術的に要点々々を締めて行くという仕組を作つています。その過程に即したごとき生産と、生産の検査、テストというようなものを見ながら最終の仕上りのところまで持つて行かせるという、そこに手抜かりがないようにさえしておけば、できるものはおのずから優れたるものができるという、そういうまあ性格を持つた高度の技術的な品物であろうと思うのであります。それだけにまあ今高橋先生がおつしやいましたように、或る意味におきましては政府が何もかも検査するのでなくたつていいじやないかということも御尤もであります。私ども何もかも検査するのでなしに、検査の仕方そのものを規制しておきまして、その通りに励行されておるかどうかについて眼を光らすといいますか、そういうところに主眼を置きつつ、会社側の検査員の、まあ俗に言いますれば、いわゆる自己検査を主としつつ、それが所定通りの月を届かせておるかどうかということを政府の監督官が見張つておくということで目的を達するだろう、そんなつもりで実はやつておるわけでありまして、従いまして政府検査官をやたらに多く配置しなければ目的を達しないということもございませんし、まあ法律による検査の仕組とその通りの運び工合会社側にさせることを法律に基く省令、政令等によつて義務付けておいて、その通りつておるかどうかを監督する。そんな形で目的を達するというふうに考えておるわけであります。
  115. 高橋衛

    ○高橋衛君 只今の御説明によりますと、大体検査員に材料からその加工の過程、一々の部品の検査等の過程を追つて検査をさして行くと、その検査の過程その他において手抜かりがないか、又検査の際も機械等が適正であるかどうかという程度検査するにとどめたと、国の検査官は……大体そういうふうに了解していいのでございますか。
  116. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 実質的な検査のし振りの主体としましては、今お話ございました通りに御了解頂いて結構でございます。形式的にはこれが国家の、国家といいますか、人命を預かるわけでありますので、政府検査官が全責任を負つたというような恰好になつておりますけれども、実質的には近代技術の、まあ性格といいますか、ということから今のような取運びにいたしておるわけであります。
  117. 中川以良

    委員長中川以良君) なお念のために申上げておきますが、保安庁からは久保装備局長が出席をしておられます。
  118. 高橋衛

    ○高橋衛君 通産省においてこの検査のために計上している予算の金額は幾らになつておりますか。又この検査のために検査用の機械設備その他を相当装置しておられますかどうか、尋ねるのですが、その点も併せて御説明願います。
  119. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 政府側検査のために予算を幾ら計上しておるかということでございますが、これは実はそう詳細にできておりませんが、検査のための特別旅費といいますか、検査員に関する特別旅費、それが人件費は別計算というふうになつておりませんのであれですが、特別の旅費といたしましてこれが多少の記憶違いがあるかとも思いますが、大体五、六十万円の見当のものが本年度、二十九年度として計上されておるわけでございます。  それからもう一つお尋ねがございました検査の設備について何か政府側で用意しておるかということでございまするが、これは実は政府は直接持つておるわけでございませんので、工程の過程ごとにそれぞれの検査機械によるテストというものを必要とする段階のところには法に基きましてこういうところにこういう検査機械を置かなきやならんということを規定いたしておりまして、従いましてメーカー側において所要の検査設備を持たなければならんということに義務付けてあるわけでございます。
  120. 高橋衛

    ○高橋衛君 御説明によりますとだんだん実体が明らかになつて参つたのでありますが、国の検査官はただ法律上の責任を負うために検査をした形をとつておるというだけであつて、実体は製造工場並びに修理工場の検査員が自分の製造自体として各段階において検査をして行く、その検査の過程を追つて国の検査官は監視をしているというだけにとどまるように私には解釈されるのであります。そういうふうな簡単なことで、要するに、言い換えれば、そのために検査員という制度を設けて、民間の人ではあるが検査員に対してそういうふうな一方義務を持たせるという制度ができておるのじやないかと思うのでありますが、然らばこの検査員法律検査をした、又は確認をしたということになつた場合に、その検査確認が誤つておつたというような場合に検査員自体には責任がありますか、どうですか。
  121. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 今高橋先生の御質問にございました会社側の検査員にやらしておいて、役所はただ形式だけ見ておるという話でございますが、これは少し言い過ぎといいますか、と私は多少思うわけでございますが、先ほど申しましたように、検査のこういう技術的な検査のいろいろな、これは先ほど申したことになるわけでございますけれども、これは政府側検査、これは強制してあるわけでございまして、強制した仕組の下でやらないという建前の下にメーカーが普通の品物をただよそに売る場合に自分の信用にかかわるから自分としてできるだけの自己検査をしておくのだという程度で以て満足し得るものとは考えられないわけであります。それは満足し得ないというので、その程度でありますると、とかく自己検査というものがそれぞれ自分の信用を重んずるから或る程度厳重にやるであろうという議論もできましようけれども、併し何様造り上げまするものそのものが人命にも影響し、又性能も非常に高いもの、厳密なもの、精密な性能を要求するようなことでありまするので、その会社側の検査員がそれだけの腕を持つていないという意味ではございませんけれども、その気持と言うと差障りがあるかも知れませんが、十分の緊張感を持つて検査し得るように至るだけの建前をとらなければ国としてもそれだけの、ものの性質から考えてそれだけの責任があるであろうということからこの本法に定めるような検査制度をとつておるわけであります。又それをとつておりますことによりまして政府検査官も場合により随時この会社側の検査員と一緒に検査することもございまするし、又勿論主力は先ほど御説明いたしましたけれども、検査のつぼつぼといいますか、のところに目を光らせるというようなことにいたしているわけでございます。それによりまして初めて製品の性質にふさわしいだけの検査が行われた品物ができ上るというようなことになるものと私ども考えておるわけであります。従いましてこの検査なり確認の仕事というものは、これは通産大徳の責任になつておるわけでありまして、ただ政府側検査官というのは、その通産大臣の責任になつておりまする仕事の、大ざつぱに申しますれば、専門的な補助者としての仕事をいたしておるわけでございます。
  122. 高橋衛

    ○高橋衛君 勿論法律的には通産大臣の責任でありますが、事は技術に関する問題でありますから、その検査をした検査官又は検査員が誤つた場合に、その誤りの責任検査員といえども負うかどうかという点を先ほど御質問したのであります。
  123. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 若し検査員がそれぞれの検査を手ぬかりをして間違いが起つたというようなこと、まあこれまで幸いにございませんけれども、ありました場合におきましては、公務員一般の例に準じまして、その者の職務懈怠と申しまするか、そういう責任を追及されるということになるにとどまりまして、法によりましてその者が特別の責任を持つという建前、構成にはなつておりません。
  124. 高橋衛

    ○高橋衛君 ちよつと今のはつきりしなかつたのですが、責任があるのですか、ないのですか。
  125. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 職務の責任者として上司からの懲戒その他の責任を追及されるだけでありまして、外部に対しまして直接法による責任を負うということはございません。
  126. 高橋衛

    ○高橋衛君 この第十六条の検査員というのは国家公務員法の建前から言うと如何なる地位にある職員になるわけですか。
  127. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 航空工場の検査員国家公務員という立場にはございませんで、ただ法によりまして国のやりまする検査の事務に従事させることができるということになつておりまして、そのためにただその仕事が或る程度技術的、専門的でもあり、又国の仕事、検査の仕事をお願いするというような立場もございまする関係上、その資格につきまして国家試験を行いまして、その試験の合格者でなければそういうものにさせ得ないというような規制の仕方をいたしておるわけであります。
  128. 高橋衛

    ○高橋衛君 この検査員国家から何らかの給与又は実費弁償を受けることができますか。
  129. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 特別の報酬は受けません。
  130. 高橋衛

    ○高橋衛君 実費弁償は如何です、旅費等の。
  131. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 実費弁償等のことを国から出すという建前には現在いたしておりません。
  132. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はこういうふうな航空機工業のように、非常に高度な精密さを要求するところの工業、而も非常に日進月歩、どんどん向上して行くところの技術を必要とする工業におきまして、僅か七人の人員を以て、今後国家として人命を預かるからという意味において、責任の持てる検査をして行くということは、恐らく不可能であろう、従つてこの法律案におきましても、国家の負担でなしに工場の負担において検査員にやつてもらつて、そして形だけを整えるという恰好になつているのじやないかと思うのであります。従つて形式をよくするためだけに、こういうふうな検査制度を置くということが如何にも実際にそぐわない、今後はますますそういう傾向が大きくなるのじやないかと、私は考えるのであります。今後航空機工業は漸次発達するが、従つて検査等もぐんぐんまして行くということはなかなかできにくい。而も国家公務員におきましては高給を出すということは到底困難でございますので、いい技術者を保持して行くということも非常に困難であろうかと存ずるのであります。そうすれば勢い国家検査制度というものは形だけで、人命を預かるのだから政府検査をしたのだ、というだけにとどまるのじやないかという感じがするのであります。それならばむしろ利用者側の保安庁等において受取る際に十分検査する、自分で使う航空機でありますから……、従つてその検査に全部依存して検査制度というものはなくする。少くともかような名目だけの検査について検査料を取るということは如何にもおこがましく、経費としても人件費の外に五十万円程度しか計上されていないということであれば、これについて相当高額な手数料を取るということは、如何にもふさわしくない感じがするのであります。くどいようでありますけれども、その点もう一応御意見を伺いたいと思います。
  133. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 現在七名の人員程度を用意し、五、六十万円程度のもので済ませておるということでございますが、現状はその通りでございますけれども、これは現状が航空機の実際の生産部品を含めてその程度で間に合うからということで、買手の保安庁にやつてもらえばいいのじやないかという御意見でございますが、併し保安庁といえども国費でやるわけでございます。通産省でやると予算がつかない、保安庁でやるとつくということも如何かと思うわけであります。ただ現在の検査制度方式というものが最善のものであるかどうかということにつきましては、私どもも今後の航空機生産の発展、検査技術進歩というような点も考え併せまして、いま少しく研究をいたして見たいと思いますけれども、差当りの問題といたしましてすぐにこれをどうこうするというところまでは、今すぐ対案なり改善策というものを持合しておるわけではございませんが、ただ現状といたしまして、この人命を預かるような製品でございますので、一層国家検査の仕組を通じてメーカーだけの検査に任せないという建前が、国家的にも必要ではないかというかうに考えて、現在折角その制度を励行し、又現状におきましては格別の遺漏の点も生ぜずに、十分法の趣旨に副うただけの検査が行われている次第であります。
  134. 高橋衛

    ○高橋衛君 法律をよく読んでないのですが、外国から航空機を輸入した場合に、通産大臣は人命を預かるからというのでこの検査をするのでありますか。
  135. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 輸入機には検査をいたさないことになつております。併しこれは実はわけがあるのでございまして、国際的に航空機につきましては国際条約で以ちまして、輸出されるものについてもそれぞれの国が、輸出される航空機関係のものであるけれども、これはそれだけの安全なり、その他のものが心配要らないのだというだけの別個の条約上、相互の国とそれだけの検査が行われて保証されておるといいますか、そういうことになつております。従いましてそれを輸入しました国で又重ねて検査するということは必要ないということになろうかと思います。
  136. 高橋衛

    ○高橋衛君 もう一点だけ……。先ほど質問を申上げました中に、まだ御答弁のなかつた点があるのですが、検査をやるとしてもそれは名目的な検査にとどめるのだから手数料の徴収ということに改正したらどうかということの御説明を求めたのですが、その点は如何ですか。
  137. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 現在の検査手数料、お配り申上げておりまする資料にあります検査手数料が、やや高いということについては、実は異議ないのでありますが、実はそのためにその後の実績に徴しまして、実はこれは最初に作りました検査の手数料というものはほかのいろんな特許の場合の出願手数料とか、その他のいろんな検査の例に準じまして、おおむね実費主義と申しますか、勿論俸給費等は国が持つておりますけれども、実費だけはそれによりまして、そういうことを政府検査するとは言え、それに受益者といいますか、国に迷惑をかけるといいますか、という人に負担してもらうというような趣旨で実はそろばんがはじいてあつたわけであります。その実績に徴しまして、高くなつておりますのでそれを大幅に値下げいたしましておおむね五、六割程度のものに引下げをいたしたのであります。只今お尋ねございました、手数料を全部只にしたらどうか、という御意見でございますが、私どもは現在の航空機工業は戦後の再建の時代でありまするので、航空機工業の保護助成というような意味からは、そうありたいとも私ども原局の立場としては考えないでもございませんが、国家財政上そう大きなことではないのでございますけれども、他の一般の例に準じ多少のことは取つてもらわなければ困るという一般の建前から大蔵省の主張もあるわけであります。それも或る程度の道理もあることでございまするので、過重な負担にならないように実費負担の限度にとどまるごとく値下げをして存続しておくというのが実情でございます。
  138. 西川彌平治

    西川平治君 私は少し実際問題に入るかも知れませんが、二、三伺つて見たいと思いますのは、私が申上げるまでもなく航空機工業は特殊の目的を以ておりますることと、最高度の技術を要すること、又これをやりますには莫大な資金を必要とする、又需要者が今の状態でありますならば殆んど限定をされておる、こういうような観点からいたしまして、今まで航空機製造或いは修理の工場が相当多数あるやに私は開いておるのでありますが、まあ第一にこの既往の事業体をむしろ整理しなければならないのではないかという、私は考えを今まで持つておつたのでありますが、この点につきまして、通産省ではどういうふうなお考えでありますか。これを第一に伺つておきたいと思います。
  139. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 現在の生産、修理の関係者につきましては、先般お配り申上げました参考資料の中に、現行法によりましては、届出になつておりますが、届出の事業会社の一覧表をお配り申上げておりますけれども、今回の改正案によりました場合に、機体なり、エンジンなり、或いはその他の特定機器の製造、修理のメーカーといたしましては、既存のものから相当整理されなければならないのではないだろうかという御意見でございますが、私どもも主体という表現は適当でないかも知れませんが、機体なりエンジンなり、その他の特定機器のメーカーにつにきましては、既存のメーカーが、現在届出をされておる事業者が、みんな何らかの仕事を担当されるようになるというふうにはならないであろうという工合考えておるわけであります。と申しますのは、今お尋ねがございましたように、技術も高度でございますし、資本も非常に莫大なものを要しますし、又将来の需要が量的に考えましても、そう大きなものになりそうにも思えませんし、そこらのことを考えますと、おのずから集約されて許可されて行く、極端な表現を用いますれば、特定の機種については、差当りのところ、一機種一企業というような、同じ機種について二つも三つもの事業会社が許されるというふうにはならない場合のほうがむしろ多いのじやなかろうかというぐらいに考えておるわけでございます。
  140. 西川彌平治

    西川平治君 私は、それでは一つ端的に申しますと、既往の事業体を整理する必要はないというふうに解釈してよろしいのでございますか。如何ですか。
  141. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) ちつと私の説明振りがあいまいであつたと思いますが、整理という意味でございませんが、今までの仕事は、いわばJ・P・Aその他のオーバーホール、或いは部品製作というものが主でございますが、今後保安庁の需要等が出て参ります、或いはその米軍からの域外発注という形によりまして、注文があるということになると予想されますが、今後が初めて、いわば航空機生産らしいものが開始されるというような段階に入ると思いますが、そうなりました場合におきましては、その生産を担当しまする企業は、ずつと集約されまして、一機種一企業というような工合に集約された事業者が担当して行くというふうになるのではないかというふうに考えておるわけであります。
  142. 西川彌平治

    西川平治君 この法律によりますると、この法律施行の日より起算いたしまして、六十日を限つて許可事業者とみなすことになつておるというような文句があるのでありますが、この六十日間というような目を限りまして、今までこの航空機の修理なり試作なりをやつておる会社が、私は前段に御質問を申上げましたように、整理をされるというようなことが仮にあるといたしますと、なかなか一つの機種を試作をするにしましても、御承知の通り半年も一年も、或いは二年もかかるというような状態になつておるのであります。そういうものに対して施行の日から六十日を起算をして、全部これは認可になるのであるならば、問題ではございませんが、私が御質問いたしておりまする認可にならんようなことになりますと、折角今まで厖大なる金をかけ、或いは試作の費用を機械を入れましてやつたものが全くふいになつてしまうというような事態が私は実際においてできるのではないかという心配があるので、前段の質問をいたしておるのでありまするが、一体この点に対してはどういうふうにお考えになつておりましようか。
  143. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 私どもの事前の説明が少し不十分であつたかと思いますが、今の御質問にお答えいたします前に、二点を前提としてお含み願いたいのでありますが、参考資料にお配りしてございますが、その第一点は現在の航空機の関係事業である生産事業実態と申しますか、それを御了解頂きたいのでございますが、それは現状におきましては参考資料の(1)及び(2)で出しておりまするように、(1)では特需関係、(2)では保安庁関係の注文を出しておりますが、これを御覧頂きますと、現状の航空機製造或いは修理事業の主体と申しまするのは、現状におきましては殆んど全部特需関係、それも修理関係か或いは極めて単純な部品の製造関係かというのが現状でございます。従いまして本格的ないわゆる航空機或いはその航空機の重要機器の生産事業に相応するだけの未だ設備的な投資も何ら行われておりません、いわば航空機工業は今からの問題であつて、これまでは極めて初歩的な、修理を主とした段階にとどまつておつたということでございます。それが御了解頂きたい第一点でございますが、それから第二の点といたしまして、本法によりまして試作研究の仕事につきましては許可の対象外に除いておりまして、これはむしろ研究の自由、技術進歩という意味から試作研究は許可にかかわらず自由にできるということにいたしてあるわけでございます。さようなことをお含みおきをお願いいたしておきまして、只今の御質問にお答えしたいのでございますが、経過規定で成るほど六十日だけの経過期間の余裕しかおいておりませんが、六十日後におきましては新たにこの許可を受けなければいかんということに相成るわけでございますけれども、私どもはこの本法改正におきまして、許可制におきまして絞ろうと考えておりまする主眼のものは、今後の保安庁の発注等に基きまして、本格的な航空機生産の設備に相当の金を投じてやらなければならんという仕事は今後始まるわけでありまして、今後始まりますものは過剰投資にならないように厳選主義で行きますよといつた意味を許可制によつてつて行きたいということを考えておるわけでありまして、そういうことでございまするので、既往のものは極端に申しますれば取るに足るほどの設備投下も行われてない、従つて仮に今後の航空機生産の主体になりますものにつきまして、許可を受けられない企業者が出て参るにいたしましても、その企業が実害をこうむるということは出て参らないものと考えるわけでありまして、現状でやつております程度の米軍の注文にかかわります或る種の修理事業というようなものにつきましても、若し、その修理事業本法において許可制に引つかけておりますような特定機器ということになりますれば、先方からの注文のある限度においては、修理事業として許可いたしますけれども、いわゆる本格的な生産のものについては許可制で絞つて行く。併し、それは今後の投資を絞つて行くという意味でございまして、それだからこそ、今、お尋ねにございましたように、こういう許可制は現状のごとく、まだ本格的な投資の行われていない白紙に近い段階において許可制をすることが最も実害も少く、又、効果も大きいというふうに考えて御提案申上げておる次第であります。
  144. 西川彌平治

    西川平治君 只今、重工業局長さんが今までのやつは修理なり、練習機なりというようなものであつて、これから本格的な政策をやるのだという前提の下に、いろいろお話がございましたが、頂戴いたした資料を見ますると、ジエツト・エンジンの試作等をやつておる工場が数社ございます。こういうものは本格的なものに入つておると私は考えておるのでございますが、こういうものも全然白紙に返しておやりになるおつもりでありますか。又、これから本格的にやるのだという本格的という意味からいたしますると、今までのものは実際において本法律によるところの規格に当てはまつておらない工業だということに局長さんの御発言からいつて了承してよろしうございましようか、如何でございましようか。
  145. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 私、概括輪でいたしましたので、多少の誤解を招いたかと思いますが、参考資料の中で御疑問の出たところについて申上げますと、この参考資料の2に、航空機等の試作状況というところがございますが、その中に今、御指摘ございましたジエツトの発動機をやつておるところがあるではないかというお尋ねでございますが、左の欄の会社名を御覧になりますと、日本ジエツト・エンジン会社のことでございまして、これはほんとにまだ小型の、実用型にならない程度のものについての試作をいたしておるという段階でございまして、本格的な生産の段取をつけておるという段階には全然至つていないというのが現状でございます。勿論、この中の資料を御覧頂きますれば、例えば東洋航空におきまして、練習機がすでに完成しておるということもございますが、御案内のごとく組立を主にやつておる会社でございますが、ここにずつといろいろございますけれども、試作は自由でございまして、抑えておりませんが、いわゆる企業的な意味における生産系列を整備いたしておるというところまで来たものは、この表を御覧願いましても、ほんとの一、二社でございまして、殆んどないと概括的に言えば言い切れるぐらいの段階でございます。
  146. 西川彌平治

    西川平治君 どうも私はこの資料並びに先日来いろいろ質問に対してお答えになつておりますことを総合いたして見ますると、航空機に対する指導行政の、いわゆる計画性が徹底を欠いておるのではないかということを私は大きく指摘をして見たいと思います。乏しい知識でありますし、乏しい見学をいたしております私でありますけれども、今試作なり修理なりをやつております工場においても、失礼でありますが、どうかと思われる工場もなきにしもあらずであります。又これから航空機をやろうとする熱意に燃えておる工場も相当にあると思うのでありまするが、どうも許可制にいたしますること自体に対しまして、私は相当疑問を持たざるを得なくなつて来ておるのであります。限られたるものに指定をいたしまして、優秀なる製品を作り、又限られたる需要に対しまして応じて行くということに対して勿論私は諒とするものでありますけれども、私は許可制という問題に対しまして私の解釈が余りに極端でございますが、私の見解からいたしますと、何だか旧来の業者だけに限らるるような気持がいたしまして困るのでありますが、そういうことの意味におきまして、私は既往の業者を整理する意思はないかということを私は第一段に聞いたのでありまするが、どうも何となく私は通産省に行政指導に当つて確固たる計画的な信念がどうもないのではないかというような感じでございますが、如何でございましようか。
  147. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 現在の通産省の航空機工業に対しまする態度が、不徹底ではないかというお叱り、これは実は私ども或る程度お叱りに値するような、何といいますか、総合的な見通しというようなもの、業界にまだ十分示し得ないというような点におきましても我々も大いに反省もいたしておる次第でございますが、併しその点につきましては御承知のごとく、国自身の今後の防衛計画といいますか、あり方或いは成行きというものが目下研究の過程でございまして、まだ固まつていないというようなことからも、止むを得ない事情からも来ておる点があるのでございまして、私どもできるだけそういうものが一日も早く固まり、生産の一つの目標点というものが具体的になることを期待もいたしておるというようなわけでございますが、それからただこの許可制によつて新らしいものの芽を摘むじやないかというような意味の御意見がございましたわけでありますが、これは私どももこの許可制にします際に相当慎重に研究もいたしたわけでございますが、ただ御了解頂きたいと思いますのは、航空機の部品とは別といたしまして、機体なりエンジンなりというものが或る意味の試作なら別でございますけれども、或る程度の量産といいますか、企業的に成立つ程度のものの仕事を考えるということになります場合に、相当大きな資本を要するということ、それから並びに相当高度の技術を要するということ、その二つの要素というものが、どうしても不可欠な要素になるわけでございまして、そのことから結果論といたしまして、戦前におきましても航空機生産に全然経験のない新規業者が現われまして、航空機生産をやりたい、というふうに仮に出て参りました場合に、それに非常に慎重な態度をとらざるを得ないことになるかと思うのでありますが、そうなりますゆえんのものは、それらのかたがたが、信頼し得るだけの専門の高度の技術者というものをお揃えになることが、非常に困難であろうということと、資金的にも自己調達が十分できるかどうかという、さようなことから、私どもそういう新規のものを抑えるつもりではない、又既存のメーカーの保護ということに何も試案があるわけではございませんが、ただ戦後白紙から再び立上ろうという今の段階におきましては、自由放任の形で企業が濫立いたしますれば、どの企業も皆成立たなくなる、そのために日本の航空機工業そのものが全然育たない、という危険のほうが大きいわけでありまして、而も設備資金等につきましても或る程度国家が、例えば今度のMSAの小麦の対日援助資金といいますか、そういうものから援助しなければならない実態にあると思うわけであります。そういう場合にいろんな人から希望が出ておるからといつて、満遍なく資金を与えるわけにも参りませんし、その辺からおのずから信頼できる技術を持ち、又それだけの国家資金の援助をしても事業的にうまくやりこなせるという信頼のある企業者でなければ、それだけの責任も持てないということになるわけでありまして、戦後の航空機工業を再建する揺籃期でありますから、或る意味におきましては過当競争を抑制して、安心して仕事をしてもらうといいますか、或い見方によればいろいろな人の希望の交通整理をさして頂くといいますか、そういう立場に私ども立たされるかと思いますが、それが取りも直さず航空機工業が初めて育ち得るゆえんになり、そうしなければ国民経済的にも非常にロスの大きいことになるというのが、こういう許可制、或る意味におきましては前例の乏しいわけでありまして、部品生産許可制にさして頂いておりますが、そういう公共事業以外には例の乏しい事業でございますが、こういう制度をとらして頂こうというのが、今の国家的にも必要だと考えたゆえんでございます。
  148. 西川彌平治

    西川平治君 私はいろいろ細かいことはまだ聞きたいのでございますが、いずれの機会に譲りまして、今局長さんからいろいろ御説明ございましたが、要するに私は勇敢に、通産省はこの際思い切つてつて頂かなければならないと思う。高度の技術を要するもの、莫大な資金を要するもの、それから需要の向きがきまつておるものでありますから、本当に思い切つて一つこの際多少の障害を排除しても一つの方針を立ててやつてもらいたいということを強く要望する意味においても、御質問を申上げたのであります。この程度で私の一応の質問を終りますが、折角保安庁の方がお見えになつておるようでありますから、保安庁に対して一言だけ質問して見たいと思いますが、保安庁では航空機の必要なる御計画がそれぞれおありのことと思います。又内地生産をどれだけ計画されておるか、外国機をどれだけ計画されておるかというような、本年、来年、再来年というような相当の計画をお持ちになつておると思いますが、そういう計画をできるならば一つお知らせを頂きたいと思うのであります。
  149. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) お答えいたします。只今の御質問の年度計画といいますか、長期の計画ということになりますと私どもは勿論防衛計画全体といたしましてはいろいろ研究いたしております。財政の枠とか、或いは米軍の援助計画とか、そういつたいろいろのものを睨み合せてあらゆる角度から早く申上げると勉強しておるわけであります。ただ勿論そういう意味で差当り今年度どういうふうにするかという計画を持つておりまするが、長期計画と申しまするのはきまつたものとしてははつきり申上げるプランを持つておらないと申上げざるを得ないのですが、勿論数字の詳細は別といたしましても、例えばどういつたような系列の航空機を使つて行くかといつたことについては五カ年計画とも関連いたしまして或る程度今日までコンクリートな結論に至つております。例えばプロペラ練習機につきましてはT三四を中心として行く、又ジエツト練習機はT三三、或いはこれに代るものを中心として行く、実用機といたしましてはF八六の系統が主力になる、こういつた大きな線は出ておりますが、具体的に五年後の計画はどうかということになりますと今年の初めでしたか新聞に出ました千三百といつたような数字もあつたようですが、いろいろそれは研究中の数字の一つであります。はつきりとこれが三年計画、或いは五年計画という決定的なものを申上げることができないことは非常に残念に思います。ただこれと、生産に関連しましては只今申上げましたように主要機種については一応明瞭な結論に到達しておりますし、又MSAの協定が確定いたしまして、これでいよいよ具体的な援助計画が進んで参りますといよいよその面も或る程度最終的に確定いたします。その場合にこういつた機種につきましてはいわば経済単位とでも申しますか、最少限度の主要機種につきましては最少限度の需要数量というものを想定いたしまして曲産計画を考えて行く。そして将来数量が増加して行けば勿論その計画に応じて生産計画を伸ばして行くといつたような考え方を私どもいたしておりまするし、又通産省のほうにも私どものそういつた考え方なり数字をお示ししまして通産省としての計画も検討して頂いておると、かような段階であります。
  150. 西川彌平治

    西川平治君 只今保安庁のほうからまあ具体的な数字は、というようなことは申上げられないということにつきましては一応私も了承いたします。了承いたしますが、どうも、然らば一体通産省当局はじや何を基準として今までこの航空機の製造法であるとか、或いはこの許可制にするとかしないとかいうことを何の基準によつて許可をするのであるか、そういう点についてどうも私はいささか疑問にならざるを得ないのでありますが、その点について通産省はどう考えておりますか。
  151. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今保安庁からお話がございましたように、保安庁の将来の需要というものは研究の段階でございまして、まだ固まつてないということも確かでございます。又、ただ同時に別途極東空軍からの域外調達ということもあり得るのじやないだろうか、併しこれも又保安庁全体の計画もきまらない等の関連から、数字等につきましてまだ固まらないというのが現状であるんであります。併しまだコンクリートに固まつておりませんが、固まりまして国内の生産の準備を要請される時期というのは、そう遠くない時期にあるのではなかろうかということが考えられるわけでありまして、その際に先ほど御質問を受けましたように生産が幸いにしましてまだ白紙の段階に近いところでございますので、最初のスタートの妙な混乱が起らないように適当に健全な、それぞれの生産を分担いたしまして、航空機工業が伸びて行くということのために、今からこの法律を用意いたしておくことが時期として最も適当ではないかと考えておるのであります。
  152. 西川彌平治

    西川平治君 それではこの許可申請をいたしましてですね、この本法が施行されまして許可申請をいたしました際ですね、まあ一番のこの航空機のまあ需要者が保安庁でありまするような関係から、保安庁の計画がいわゆるコンクリートにならないうちはですね、仮に一年たつても或いは半年間でもその間だけはまあ許可、認可というようなことはしないというようなお気持でいられるのですか、如何ですか。
  153. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 保安庁の御計画のうちでも、例えば先ほど当局者からお話ございましたように、初等練習機につきましてはすでに発注も行われておるわけでありますが、これを国内生産に切替えて行くということは具体的に考えてもいいのじやなかろうかというふうに思つておるわけであります。  それから先ほど保安庁からもお話ございましたように、全体の規模等についてまだ固まらない点もあるが、すでに機種については或る程度もうコンクリートな段階にも来ておるという、まあその程度のテンポで保安庁の御計画も固まりつつあるわけでありますから、この、而うして保安庁におきましても機種が固まればそれの最低規模の事業的なスケールといいますか、ということも或る程度頭に置かれまして、いろいろなことを御計算になるということもお話あつたわけでありますが、さようなことならそれから生産にとつかかりますまでの間に相当な準備も要るというようなこともありまして、保安庁の全体的な計画が最終的に固まるまで一切許可できないというふうなまでには間延びがあるというふうには考えてないわけでありまして、一部は先にスタートすることもございますし、又一部は中間的な形ででもスタートするということもあり得るのではないかと考えておるのでございます。
  154. 西川彌平治

    西川平治君 それでは私ほかのかたのまだ御質問があるようでありますから、これで私質問を打切りまして、いずれの機会に又伺います。
  155. 小松正雄

    ○小松正雄君 私はさつき高橋委員より直間されましたことに関連いたしましてでありますが、航空機を製造するにつれて、これらの検査官というものを七名置くというのでありますが、七名の検査官の任免権は通産大臣がやるのですか、どうですか。
  156. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) お話通り通産省の職員でございまして、通産大臣がいたすわけであります。
  157. 小松正雄

    ○小松正雄君 なお任期はないのですか。
  158. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 格別の任期は設けておりません。
  159. 小松正雄

    ○小松正雄君 それから航空機の製造発達するにつれて、検査官の増員をしなければならないという時期が来ると思いますが、そのときは増員するというお考えがありますか、どうですか。
  160. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) さよう考えております。
  161. 小松正雄

    ○小松正雄君 この法案に基いて許可制になされるということでありますが、許可制になさるという目的は航空機会社の充実と、又責任ある航空機会社に保安庁の飛行機の発注をするという目的の下に許可制になさるということでありますか。
  162. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 保安庁の御注文ばかりではございませんが、保安庁なり、或いは極東空軍なり、或いは輸出なり、或いは国内の新聞社等、その他の需要を見まして、必要、適当と思う機種につきまして適当と思われる業者にそれを担当して頂くというふうな工合に思つております。
  163. 小松正雄

    ○小松正雄君 許可制によつて、そうなりますと、責任ある航空機会社に特定して保安庁が発注するというようなことに相成るように考えますが、どうですか。
  164. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 保安庁の発注採用されますような機種につきましては、保安庁とも相談いたしまして、この機種はメーカーから申請が出ておりますが、保安庁では御採用なさる機種ですかと確めてから許可いたします。従いまして結果といたしまして、その許可いたしました企業が保安庁の御注文を受けるというようなことに相成る場合が通常であろうかと考えております。
  165. 小松正雄

    ○小松正雄君 特定な航空機会社に発注するということに相成るということになりますると、只今まで修理を目的としてやつて来たそういつた航空機会社というものは、当然修理というものも重点的に堅実な大きな特定会社に依存されるということに相成ると思いますが、そうなりますと、今日までやつて来た修理会社というものは一応オミツトされるような形にもなる。現実に遅れて行くということになると思いますが、それらに対する施策というか、それに対しての部分的な修理等の発注をするとかいうような考え方があるのかどうか。
  166. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 修理につきましては現在は保安庁関係の修理も一部ございますが、現在の修理の、航空機関係の修理の大半はむしろこの参考資料でお出しいたしておりますように、実質的には特需と申しましようか、むしろ極東空軍の関係の修理のほうが大部分でございまして、今お尋ねのございましたように生産担当会社が新規に許可を受けてできるようになつた場合、修理までそこにくつついてしまうということになりはしないかということでございますが、その点は私ども必ずしもそうはならないのではないだろうかという工合考えるわけです。
  167. 小松正雄

    ○小松正雄君 保安庁のかたにお尋ねいたしますが、本年度保安庁の発注は大体航空機の数、それから航空機の名、それから発注しようとする製作会社の名義、これらをお聞きしたい。
  168. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) 本年度の発注の中に二十八年からかなり予算を繰越しておりますので、それも含めまして本年度現実に契約しようとしているものについて申上げたいと思いますが、一番数量の多いのはT三四メンター初等練習機でありまして、これは昨年度からの予算の繰越に属するものが現在五十六機、今契約手続を進めております。そのうち十機は現在の計画によりますと完成機を輸入する。併せて相手方を申上げますと、これは昨年十機完成機を購入しておりますが、これと同様伊藤忠を通じまして米メーカーでありますビーチクラフト社から購入する。それからあとの四十六機はノツク・ダウンということで、分解しまして輸入いたしまして、これを国内で組立てるということで、これにつきましては昨年の秋に富士重工でライセンスを取得しておられる。当然それに従つて契約するということで、目下手続を進めております。それから二十九年度の予算といたしましては同じくT三四のメンター機を三十機、これは少し時期が工程その他の関係上、或いは契約は少し遅れますが三十機、これが本年度予算として契約することになつております。それからその他軽連絡機といたしまして三機、今のところこれも目下契約の手続中でありまして、これは一応の相手方は川崎航空機の国産機を購入するということで、これも現在手続中であります。そのほかは本年度の契約としてはありませんが、昨年度契約いたしましたヘリコプター数機が本年度入る予定になつております。発注の本年度の計画を申上げますと、大体さようになつております。
  169. 小松正雄

    ○小松正雄君 それらに支払をしようとする総金額は幾らですか。
  170. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) 大体昨年度の予算の繰越の残額が概数で申上げますが、約十一億、それから本年度の分が約八億、これは概数でございます。
  171. 小松正雄

    ○小松正雄君 保安庁は今後毎年航空機の発注をするという考えでありますか、どうですか。
  172. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) その点は将来の問題でありますから、明確なお答えをすることはむずかしいと思いますが、私どもの考え方といたしましては、できるだけあれもこれもということでなく、財政上の枠ということもそう楽には考えられませんので、確定した機種を、できるだけ当初は一機種、或いは予算の枠に応じて二機というふうな、機種を限つて予算を重点的に配分して行く、こういう考え方で参りたいと思つておりますが、どの程度の額なりますかは、ちよつと来年度以降にについては今申上げかねる事情でございます。
  173. 小松正雄

    ○小松正雄君 成るほど来年度においては、予算の編成等もあつたわけではありませんし、金額等においてはわからないといたしましても、保安庁自体の計画といたしまして次々と毎年この航空機の発注をなさるという計画があるかどうか。
  174. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) それは勿論予算の枠ということになりまするが、少くとも来年度におきましては、国内で生産計画を立てましたものにつきましては相当数、勿論この数量は目下米軍ともいろいろ相談しております。訓練計画にもよりますので、数最についてははつきり申上げられませんが、相当数予算に計上したい、かように考えております。
  175. 小松正雄

    ○小松正雄君 そのことですが、発注をするという目的の下に大量発注するということに相成るのか、或いは本年度のこの予算で発注したものだけで当分の間いいという考え方を持つておられるのか。どちらのほうに考えておられるかをお聞きしたい。
  176. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) この点につきましては繰返し申すようでありまするが、できるだけ訓練計画等につきましても具体的に申上げますと、T三四メンターということになりますが、例えばT三四の練習期間を三カ月、T二八の練習期間を六カ月、そういつたような計画も当初ございましたが、できるだけ生産体系に合わすということも含めまして、T三四の練習期間を例えば一例でございますが、六カ月にするといつたようなできるだけ生産計画と合わすような訓練計画、勿論訓練自体に差障りのない範囲で計画を変えるといつたようなことも考えまして、この点の数量については今訓練計画と睨み合せて検計中であります。
  177. 小松正雄

    ○小松正雄君 私のお尋ねする骨子といたしましては、この航空機製造法が一部改正せられまして、届出制度が許可制になるという基本的な立場に立つて考えまするときに、少くともこの航空機製造というものについて相当重点を置いて、こういつた許可制になさるということと私はまあ解しておるわけでありますが、そういたしますと航空機を製造しようとする諸般の会社というものは、やはりこれはもう競争的な立場に立つて、できるだけの資金を投入して国家の要請に副うように漸次この航空機製造業者というもののあり方を発達すると私は考えるわけです。併しながらそれは何を目的とするかと言えば、やはり少くともこの保安庁の発注そのものを中心として、そういつた機械設備の増大をやろうということに相成るのじやないか、こう考えまするときに、今のお説のことで考えますれば、ただ訓練等のみのように考えられる。むしろそうであるかも知れませんが、それにいたしましてもたまたまそういうことにして航空機を国内で生産するようなことまでさせて、そうして僅かな数量を以て終るというようなことになりますようなことであれば、何も許可制になさらんでも届出制にして置いてもあえて無理が増さずにいいのじやないかという考え方がいたしますが、どうでしようか。
  178. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) その点は私の申上げたことが或いは焦点を少し外れたかも知れませんが、勿論ここ数年間の発注といたしましては、重要な問題は保安庁が直接発注いたしますのと、他の一部機種につきましては、殊に相当数予想される機種につきましては、域外調達ということと併せ考えなければ全体としての生産計画ということは話が立たないと思いますが、この問題の進行と合せて、且つ保安庁の発注計画とこの二つを合せて考えられるのが現在の事情に合うのではないかと思います。この点はむしろ通産省のほうの見解のほうがこの場合適当じやないかと考えております。
  179. 小松正雄

    ○小松正雄君 通産省のかたにお尋ねしますが、民間の営業といいますか、旅客機等その他にまあ営業的に使おうとする場合に発注をする、発注というとおかしいが注文をするということになつた場合、やはりその発注をして行くほうの業者から通産省に対して注文書とか、いろいろな手続をとらなくちやならんようなことになるのかどうか。
  180. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 民間の業者、例えば日本航空とか、或いは新聞社とかいう方面が仮に飛行機を買いたいという場合に何も通産省の許可は必要じやないのでございまして、この法律ではメーカーを許可制にして或る程度濫立を防止して行こうというだけのことでございます。
  181. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 今の小松委員質問に関連して。結局小松委員質問は去年の予算では幾らかかつた、今年はこうだというような御趣旨のように聞きますが、併しもつと大きな日本の保安隊の航空兵力といいますか、これの漸増計画というものがあるはずじやないか、こういうことを聞いておられると思うのです。例えば今年は三十機とか一億とか言われますけれども、それはやつぱり大きな航空兵力漸増計画の中でやつぱり考えられておるのであつて、少くとも三年なり五カ年計画というものがあつて、これを明示されるべきである、こういう御質問のように思うのです。ところが一向あれではそういうことが明らかにされないので、幾らお聞きになつても御満足の得られるような答弁が与えられていない、こういうふうに私傍で聞いていて感ずるのですが、これは計画ができていないのですか、保安隊として。
  182. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) その点は先ほどもちよつと申上げたことでありますが、私どもとしてはいろいろ五ヵ年計画、或いはその一部としての航空機の漸増計画というものは勿論研究もし、いろいろな議案を持つていることは事実であります。併しこれは日本の財政の将来から見て、これを保安庁の正式なあれとして政府の検討に供せられるのか、或いは又米国側の援助計画といつたようなものをどの程度睨み合してやるか、こういつたいろいろな要素があるわけでありまして、それで例えば航空機についても、暫らく前に新聞に千数百というような案も出ておりましたが、そういう試案も必ずしもないではないのでありまして、或いは八百という案もありますれば千五百という案もございますし、その辺で、これが現在保安庁の結論に到達した案だと申上げることはできかねるということでありまして、勉強はいたしておるつもりであります。
  183. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それでは最終的な結論においても、現在において考えられておるそういう航空兵力の漸増計画について一つ資料をお出し願いたいと思うのです。  それから先ほどの答弁の中で非常に重大な問題があつたのですが、これは保安隊の予算だけでは考えられない。域外調達のものとも睨み合して考えなければならんというお話でございましたね。そうしますとこれは保安庁の予算で作るだけでなしに、アメリカの援助によつて今まで貸与されているものを、今度はアメリカが日本の航空機製造会社に注文して、日本で調達したもので、今まで借りていたものをばそれで置替える、こういう御計画もあるわけですね。今の域外調達と併せて考えなければ航空兵力の一つの規模というものを想定することはできないという御答弁の中に……。
  184. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) 只今の初めのほうの御要請につきましては、私ども現在結論に到達しておるものというものは実はないわけで、いろいろ研究したもの、あれもある、これもあるといういろいろな前提条件を設けて、小さいのもあれば大きいのもあるという意味でありまして、現在結論に到達しておる案だと言うことはちよつと困難ではないかと思います。  それから第二の点の保安庁の予算だけではという問題ですが、勿論遠い将来のことはわかりませんが、ここ一両年、恐らく漸増します航空機の全部或いは大部分は国の予算で調製するということは非常に困難ではないか。現に二十九年度に出ております予算でも大部分はMSAに仰ぐというような計画になつておるということは御承知かと思いますが、それで併しながら日本の航空機工業を育成するというためには、どうしてもMSA援助の、これはまあ航空機の場合ですが、向うから完成品を供与されるのでなくて、できるだけ日本の国内工業を利用してもらいたいというのが、これは私どもだけではなくて、非常に政府としての要望であります。これをあらゆる機会に現在の要望を先方側でも検討しておるわけでありまして、いずれにしても事実問題といたしましては、ここ当分はその問題と併せて考えないと全体の構想は立たないのではないかということを申上げる次第であります。
  185. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 私は最終結論に到達している資料ということは言つていない。今それが出ていないということでありますから、幾らか案があるわけですね。その案はいろいろな基礎に立つてできている案だと思うのです。それで一つ現在の段階で御発表のできる範囲のものを出して頂きたい、こういうことなのですから、それを一つ後日出して頂きたい。  それから少しくこの法案そのものについて御質問いたしますが、今日幸い通産省も保安庁も両方お見えになつておるから御質問申上げるのですが、結局この法律案をずつと見ますと、これは通産省と保安庁との調整の問題が非常に重要な問題になろうかと思うのであります。若しこの両省の間の調整を欠くというようなことになりますというと、民間の困難も大きいし、又大変な苦労があるということが懸念されるわけでありますから、次の点についてお尋ねいたします。  先ずこの第二条の五、第二項によりますと、航空機の製造又は修理事業の許可は防衛庁長官の意見をきく、こういうふうになつておりますね。若し、防衛庁長官のほうで同意をしないという場合もあり得ると思うのです。その場合には一体どういうふうになるのですか。
  186. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) この条文が設けられておりまする趣旨は、通産省はメーカーにつきまして許可制をとるわけでありますから、業者のほうから保安庁の注文のあることを予想して、こういう機種のものの生産をこの程度の規模でやりたいんですが、という申請が出て参りました場合に、これは私どもといたしまして実際の使用者でありまする保安庁の意向を無視して許可いたしますこともナンセンスでございますから、保安庁としましてこの機種は御採用になる予定なんですか、どうですか、或いはその機数はこの程度の生産規模として考えていいのでしようか、どうでしようかということを連絡をとりました上で許可しませんと、或いはその機種が違つておつたり、或いはその規模が大き過ぎたり小さ過ぎたりしてもナンセンスでございますので、そこらの点の手違いの起らないようにということを、これはこういう条文がなくても当然役所同士の関係としてしなければならないことかと思うのでありまして、そういう手続をちやんと踏んで、そういう相互に手違いが起らんようにいたしましようという意味がこの条文に表現いたしてあるわけでございます。
  187. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうしますと、これは結局実需者の意見が優先するのだというふうに了解してよろしいでしようか。
  188. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) ただこの何と申しますか、業者の選択と申しますか、機種及びその規模と申しますか、という点につきましては、保安庁の意見を十分尊重しなければ無意味になりますので、企業の選択と申しますか、それを担当する企業者としてはどの企業者が適当であるかどうかという点につきましては、生産についての責任を持つております通産省が判断しなければならないということになるわけであります。保安庁としましてその機種、その数量というものを発注なさるとしてもメーカーまでは、どのメーカーでなければというところまでは或る程度のことは考えられるとしても重点としてお考えになるということにはならないという工合考えておるわけであります。
  189. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 次に第六条、第九条による製造方法及び修理方法については、通産大臣の認可を受けた方法によるというふうに規定してあります。そういたしますると、保安庁が若し注文をするという場合に保安庁の需要機に対しては、保安庁が認可した製造方法、修理方法というものがあると思うのです。これが若し食い違いを生ずるというような虞れはありませんか。又その場合にどういうふうにされますか。
  190. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) この点は実は保安庁と目下相談中でございまするが、この製造方法の中に、これは機種によりましてそれぞれの製造法というのがおのずからきめられるわけでありますので、保安庁の御注文になるようなものにつきましては、保安庁の御注文の通り製造方法を内容的に規定することといたすのであります。
  191. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それからこの十五条によつて、保安庁発注の航空機については、改正案は通産省の検査一本になつております。このことはさつき小松さんからの御質問の御答弁でもはつきりいたしましたが、保安庁が若し注文をする場合、保安庁でも又検査官を置いて、二本建となるような虞れはありませんか。
  192. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) それは先ほどどなたかの御質問にお答え申上げましたのですが、私どもの生産工程につきましての製造の確認という仕事を本法によつてつておるわけでありますが、保安庁で御注文しました場合に、それの領収検査は当然なさるわけであります。ただそれが御質問といたしまして、二重の検査になり、片方は済んで片方は済まない、又日が違つて迷惑だとか、そういうことのないように、その製造業者の御迷惑を極力少くし両方の目的を達すること、そのために同時に検査をいたしますとか、或いは人を兼務でやりますとかというようなことで、実際これにつきまして目下この法律通りましたらこういう申合せをしようじやありませんかという相談をいたしておるわけであります。
  193. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 この点は保安庁側の御意見は如何です、通産省のかたの御意見を御信用になつて、それで別に御意見ございませんか。
  194. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) 意見はないということになりますが、先ほどもお話しましたように、私どもといたしまして殊に特殊の性能を持つておる航空機を使うものとしまして、私どもの側としてのその点の検査、領収検査、これはやはりやらなければならないと思います。併し只今徳永局長のお話もありますように、会社側の迷惑ということも考えまして、又勿論無駄のないということも考えまして、今お話のような趣旨で、私ども相当技術者を抱いておりますが、ですからこれは具体的に何人、どういう程度になりますか、今後の問題ですが、できるだけ兼務という方法をとつてもらつてその検査が同時に通産省と関連的に需要者としての検査をやるというような方法をとり、できるだけ無駄をなくすることと、会社に迷惑をかけないということについては十分に協調して行くということで、現にこの法律が若しできますれば、そういつた申合せもしまして、そういう御心配のないようにやつて行きたいと、かように考えております。
  195. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それは製造を担当しておられる通産省の検査と、実際に使われるほうの、皆さんのほうの検査が必ずしも一致しないという場合もあり得るわけであります。その場合に迷惑をこうむるのは恐らくメーカーでありますから、又御答弁のようにそういうことのないように、二重検査で御迷惑をかけるというようなことがないように、同時検査なり兼任なり、いろいろな方法一つそういうふうにして頂きたい。  それから保安庁がみずからこれを修理するにも通産大臣の認可を要するようになつておりますね。果して保安庁が現実の問題として承知できますか。あなたのほうでみずからこれを修理するにも通産大臣の認可を受けてやる、こういうことですね。
  196. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) この点につきまして、法律の読み方にはいろいろありましようが、私どもとしては比較的軽微な修理の場合に、この修理の設備等につきましては、従来も事実問題として私どものほうの限りでやつておりまするが、これが大きなものになつて、将来仮に工廠を設けて航空機を製造するという、これは近い将来あるかどうか知りませんが、一応考え方としてはそういう問題につきましては、これは法律の読み方如何にかかわらず、政府部内としては、或いは民営事業との関係、或いは予算の関係等、当然通産省とは、許可というか、承認になりますか、言葉は別といたしまして、十分な連絡の下でなければできないというふうに了解いたしております。
  197. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 一体その限界は、認可を受けないで修理のできるものと、皆さんがたのほうで勝手にやるものとの限界は一体どの点にお引きになるのですか。通産省のほうにも一つ……。
  198. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 第二条の二に、括弧書きで軽微な修理、それから航空機使用事業者の自家修理及びこれに準ずるものを除くといたしておりますが、保安庁のような場合に考えて見ますと、部隊直属の修理班といいますか、修理隊といいますか、というもののやれます程度のもの、そういうものは二条の二の括弧書きに該当する事例かと思います。今装備局長からお話がございましたように、いわゆる軍工廠といいますか、というような形のもので生産とか修理とかをやるという場合には別途の問題になりまするが、その段階の程度、部品のどの程度のものをどの程度いじくるかということになりますと、客観的に一概に線が引きにくい点がございますが、おのずから常識的にその点は程度問題を判断せざるを得ないかと思います。
  199. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 実にあいまいで、保安庁のほうでは成るべくそういう範囲は拡大することが望ましいし、通産省のほうでは逆で、そうでない場合もあり得る、非常にデリケートの問題になると思うのですが、こういう点は一つはつきり、法文じやあなかなかできませんが、一つ両省で御検討願いたいと思います。  それから次に、国が航空機を製造するような場合、やはりこの法律適用を受けるのですか。
  200. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 過去におきまして、国がいわゆる工業的な意味の生産をやつたということはないわけでございますが、そういう場合も、法体系の観念といたしまして、予想されないわけでもありませんので、その場合にはそういうことが仮にありました場合には、民間の航空機事業との調整の問題も起るわけでありますので、その辺が自由にできるということでは差障りも出て来るわけでございますので、法といたしましてはこの場合に承認を必要とするという仕組に組んであるわけであります。
  201. 白川一雄

    ○白川一雄君 前回の委員会で、政府当局のほうでは、プロペラの飛行機はもう世界の水準に余り劣つておらないで、ジエツト・エンジンのほうもやつと背伸びをすればとどく現状であるというお話でございましたが、航空機工業というのはアツセンブルのみが航空機工業じやないと思いますので、これの材料の点もありますれば、電装関係もあり、いろいろの多種多様のアクセサリイというものがついた総合的なものが航空機となつて生れるものだということを考えますと、この間加藤委員がお尋ねになりましたような点は、頂門の一針とでもいいますか、航空機のそうなることを希望いたしますけれども、現在の段階でそうたやすい考えを持つて指導されると非常な過ちを迎えるのじやないかという心配をいたしますので、国産を今後やつて行くという上においては、今日の貧弱な財政からいささかも無駄があつてはならないというようなことを考えますと、もう少し科学というものに謙虚な気持で計画を立てなければいけないのじやないか。特にこの委員会というのは、私自身として考えておりますのは、政府当局の任務遂行に対してできるだけいろいろの点から一緒になつて検討して御協力申上げるのが我々の使命のように考ておりますので、こういう点は駈引のない、現実に立脚した指導方針を御説明願うし、又将来もそういう指導を業界にやつて頂けませんと、ただでさえ迷いがちの業界が非常に右往左往する結果になるのじやないかと、こういう心配をいたすのであります。  これに関連いたしまして一つお尋ねいたしたいのは、ジエツト・エンジン会社というものが政府の肝煎りで創立されまして、我々はこのジエツト・エンジン会社というものが、日本のジエツト・エンジンというものを集約してここで実行されるものという希望と期待を持つて今日まで来たのでございます。と申しますのは、一会社、一個人は勿論ですが、この厖大なる資金の要する、而も非常な科学の進歩の水準を行つておるジエツト・エンジンというものを、ちよちよこいじりで各方面にやつても保安庁の希望するところのものを作るというようなことは容易でないので、やはり国の力というものが加わつて初めてジエツト・エンジンというものが遅れを取返す線に行くのじやないかと、こういうふうに考えておつたのでございますが、最近ジエツト・エンジン会社を、政府当局といたしましては、先般もできれば特殊会社の性格にでもしろというお話がございましたが、これは当然そうなるべきではないかと考える一面、今日ジエツト・エンジン会社現状というものを見ておりますと、政府御当局のお考えとは離れておることが甚だしいのではないであろうか、これの当局の育成方針というものをお聞きしますが、最近又アメリカがジエツト・エンジンの修理を日本の民間の各社に見積りをさして、新聞の伝うるところによりますと、その中にジエツト・エンジン会社が外れているというようなことを聞きますと、日本政府当局の面目丸潰れになるのではないか。アメリカの上層部と日本の政治当局の上層部との相互援助の話はいろいろありましようけれども、現実の問題というのは私、決してアメリカが日本産業助けてやるとか、日本を育成してやるとかいうような行動を見ることはできないので、日本の特需の状態を御覧になつてもわかるように、如何にして日本を食いものにして、自分に利用しようかということが何としても第一義的であるということは言えると思うのでございまして、各社に見積りをさせまして、叩いて叩いて、叩いたあげく出血受注でもさそうというような過去の現状から見まして、日本の航空機工業を成立たす責任者は通産省でありますれば、ジエツト・エンジンに対しまして、アメリカが当局の意向と反したそういう線を行くとすれば、厳然として峻拒して、そういうような注文はジエツト・エンジン会社を通すものでなければ引受けないというだけの見識を持つて臨まなければ、いつまでたつてもアメリカに馬鹿にされて、その結果は日本業者も因り、日本政府の、日本の航空機工業を育成しようとする大きな根本方針というものがいつも成立たんのではないか、こういうように考えますので、このジエツト・エンジン会社が修理でさえオミツトされる。ここが一本で行く窓口であるべきものがそれさえオミツトされるという状況ならば、むしろあつてなきがごときものなので、私は日本のジエツト・エンジンをやる限りにおいては、政府の力はジエツト・エンジン会社に集中して、そこから盛り上げて来るという行き方でなければ、そう簡単にジエツト・エンジンというものができるものじやない。こういうように考えておるのでございますが、政府御当局の育成方針と、現在のジエツト・エンジン会社の実情というものに対しての御感想を承わりたいと思うのであります。
  202. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) ジエツト・エンジン会社の強化の問題としましては、お話のごとくあの会社に目下日本のジエツト・エンジンに対しまする各社の最高技術者が集約して集まつておるわけでございます。又将来の生産のことを考えて見ますときに、非常に厖大な資本を要することでもありまするし、その割に需要がどの程度の大きさになりまするかということにつきましては、まだ十分見通しはつきませんが、併し二社も三社もジエツト・エンジンの生産会社ができてよろしいというほどの注文ではなさそうだというような状況にあるというようなことでもありますので、私どもといたしましては差当りの段階におきましてはジエツト・エンジンのような高度の、又巨大な資本の要る事業、又而うして航空機関係のみならず、その技術の一日も早く成長することが日本の機械工業全般に非常に意味の高いものにつきましては、成るべく急速に健全に育つという意味から申しまして、現在のジエツト・エンジン試作会社がそういう方向に進むことが正しい方向じやないか。又同時にあの会社資本を構成しておられまするそれぞれの会社全体が同じような気持を持つておられるように承知いたしておりますので、その方向で考えたいと思つておりますが、ただ本件につきましてはさような方向に取運ぶということにつきまして、目下政府関係部内におきましてのいろんな下相談を進めておる段階でございます。まだ政府全体としましてこうなりましたというところまでは至つていないのでございます。私ども通産省としましては、今白川先生のおつしやつたような方向が正しいのではなかろうかということで関係省と相談いたしておるという段階でございます。それからその前提としてのジエツト・エンジンの修理事業につきまして今白川先生から試作会社が生産の一つのはしりといいますか、とつかかりの意味においての大事な修理事業についても、ジエツト・エンジン試作会会社がとつかかることがいいのじやないか。それがオミツトされるのは好ましくないのじやないかというお話でございますが、私どもまさしく同様に考えるわけでございます。これは今後又事態の成行きに応じまして、必要に応じまして極東空軍とも十分の連絡をいたしまして是非さような方向になるように、若し御懸念のようなことがございますれば、我々としてもできるだけの努力をいたす考えでございます。
  203. 白川一雄

    ○白川一雄君 今のジエツト・エンジンの修理の問題でございますが、成るほど今ジエツト・エンジン会社は実働部隊を持つておらないので、そういうことが理由になるかも知れませんが、日本が育成されるとすると、何としてもジエツト・エンジン会社を中心に行くという線でなければいけませんので、若し一番現在設備が整つておるのが三菱なら、三菱の工場をジエツト・エンジン会社に使わしてでも一応日本政府が立てておる方針には、アメリカとして一歩も譲らすことができないというだけの見識を持つて行かれないと、今後ことごとにアメリカにこれをやられますと、日本の当局はあつてなきがごとく、民間はただアメリカに撹乱されてしまうという現状になるのではないかということが非常に心配されるのでございまして、まあ今三菱と申上げましたが、この飛行機工業の性格といたしまして、一般の兵器産業その他のように平等に、民主的に、大衆的に行くという性格を持つておらないので、そういう恰好では飛行機工業というものは日本では私は成立たんのではないかという考えから、私は航空機に関しては、一番力が三菱にあれば、三菱に重点を置くというような式になつて行かないと、今日の段階では、この間の御説明では世界の水準に近いようなお話でございますけれども、私はその距離は甚だ遠いもので、なかなか背伸びぐらいのことでは到達できる状態でない、国産という線から考えて見ますれば。向うもどんどん進歩しておるのでございますので、そういう点を考えると、特殊な性格を持つた産業ではないか、それから又ジエツトに対する需要がまだはつきりしておらんと申されましたが、これは恐らく保安庁におきましても将来の練習機その他もピストン・エンジンからジエツト・エンジンに変りつつある、又変らなければならんということはもうはつきりしておる事柄でないか、この次の段階の需要に副うためのジエツト・エンジンというものには現在遅疑逡巡しておるべきでなくして、無駄のない計画を進めなければならないのじやないか、こういうように私どもは考えておるのであります。ジエツト・エンジンというのは、私も現地に行つてつておるところ等を見てなかなか容易なものではない、別して原資材というようなことは、今日の日本関連産業では非常に困難なものであるというような点を考えると、なかなか一会社等で今日の経済界においてはやれる産業でない、こういうように私どもは見ておるのでございますが、或いは私が悲観的に見ておるかも知れませんけれども、間違いは私はないと、こう確信しておるので、こういうことから関連いたしまして、今日日本で飛行機工業をやる設備はどこが一番たくさん持つておるかと言えば政府がたくさん持つておるのじやないかと私は考えておるのです。戦争中の飛行機工場を、あちらこちらでいわゆる税金の物納という恰好で、政府の所有になつております土地建物機械等を一番持つておるのは日本政府であろうと、こう考えまして外国等の飛行機工業の現状というものを見てみますれば最も資本力のあるアメリカでは民間企業にはなつておりますけれども、それでも軍需のものは政府が特別のローンを出し、又機械を貸し、建物を建てて貸すというところまでの助成方法をやつております。それがなければアメリカでさえ特殊な防衛関係の航空機工業というものはなかなかやれない恰好になつておりますし、ヨーロツパ各地ではフランスのごときは国営でやつておるという実情から見まして、今日日本の御当局としては将来航空機工業は特殊会社、又は国営でやられる御意思があるものだろうかどうだろうか、若しそれをやりますれば、例えば外国のライセンスを一つ買うのにいたしましても、外国と交渉するのにいたしましても日本の各会社個々に相争うてライセンスを獲得しようとするよりは、国のために遙かに有利に権威のある交渉ができるのでないかということ等を考え、飛行機工業の性格というものを考えて見れば、特殊会社、又は国営で現在日本政府が持つておる施設で以てやつて行けばできるのじやないか、そうして今日あるいわゆる飛行機事業者というものをその下請工場として使い、その下請工場の下に又下請工場として行くとなれば一つ産業としての形態が立ち、又過般問題になりました日平産業のような不幸を招かなくて私どもは済むのじやないか、現状のまま半自由競争、半許可制度のような恰好で進んでおりますと、事計画と変りましてああいう憂目を見なければいかん実情が相当起る可能性があるのじやないかということを考えますと、どうしてもここには、国営に持つて行くべき性格でないか、こういうようにかねがね考えておるものでございますが、御当局のそれに対する御意見を参考のために承わつておきたいと思うのであります。
  204. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今白川さんから極めて御懇切なる御意見を伺つたのでありまするが、特に航空機製造事業について非常に深い御造詣を持つていらつしやる白川委員のお説は十分に我々耳を傾けて拝聴いたした次第であります。併し事が極めて重大でありまして、或いは全般的な航空機製造事業というものの我が国におけるあり方、機構の問題に関する根本的な課題を御提供になつたわけであります。又国営問題に限らず、或いは特殊会社というような考え方についても非常に現在の段階として重大なる問題であろうと思います。従つてここに簡単に政府として如何に思うかという考え方を申上げるということは到底困難な事情にあると存じます。併し縷々伺いました御経験に基くお説につきましては、我々も十分今後のさような問題を処理し、考えて行く上において重大なる参考として承わつて参りたいと存じます。甚だかような御答弁を申上げることは礼を失するかとも思いますけれども、正直のところ只今これに対して明確なる是非の御答弁を申上げるということは実際できないということを、これ又御了承を願いたいと考えるのであります。
  205. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) ちよつと一言だけ細かい問題につきましてお答え申上げたいのでございますが、先ほど、ジエツト・エンジンの試作会社についてオーバーホールが試作会社に頼るごとく、政府がしつかりせよという御激励を頂いたわけでございますが、私どもがこの法律を許可制でお出ししました趣旨の中にいろいろな理由がありますが、その中の一つといたしまして、航空機関係の生産、或いは修理のメーカーの選択につきまして、日本の生産の実情に必ずしも詳しい知識を持たない極東空軍がメーカーの選択をするという形にすることが日本立場全体として好ましくない事情もございますので、それが許可制にされてありますれば、我々が極東空軍等と接触いたします際にも立場が相当はつきりして、終局におきましては発注者であります極東空軍も利益を受ける、又、国内の生産系列も不当に撹乱されないということになる。さようなことを実は期待も一つはいたしまして、許可制ということをお願い申上げておる次第であります。この点は武器の場合におきましても、それ以前におけるT・P・Aその他から発注の際、メーカーの選択の際に、事実上の連絡は法律でできるようにいたしておりますが、許可制になりまして以後におとりになる連絡が非常にスムースに行つておるという事例から鑑みまして、航空機もこういうふうなほうがスムースに行くということも期待もいたしておるわけでございますので、できるだけ御期待に副いたいと思います。
  206. 白川一雄

    ○白川一雄君 最後に今次官からお答え頂きましたので、御了解を得る意味で申上げておきたいのですが、三年前に私が国営になさつたら如何かといつたことは思いつきではないのでありまして、三年前にアメリカから飛行機を日本でやれということを奨められたことがあつたときに、日本経済事情、戦争に負けてから後の日本の防衛ということを考えましても、昔のような感覚、昔のようなイマジネーシヨンでは航空機工業は成立たない。だから、公社的性格を持つた航空機工業を考えなければならん。日本の航空機工業は恐らく産業の中の一つのピラミツド型になつたものが建設されなければ成立たないだろう。日本の一会社が、アメリカのいわばおちよつかいに対して一々返事すべきことではないというようなことで返事したことがあります。そのときから今日まで、私は終始一貫、飛行機というものは日本現状としては、戦争中の飛行機工業を目の前に浮かべて考えておると大失敗するという懸念がありますので、特に国営というお考えで御研究願つたらいいのじやないかという点を申上げましたのと、私、飛行機事業の末席におりますけれども、航空機工業が一会社のことなんかを考えて成立つ性質のものじやないので、日本の国全体の総合的力からどこに進まなければいかんかということを考えなければいけない産業だろうという点でございまして、我が田に水を引くような感覚はいささかもないということを御了解願つて、御判断願いたいと思います。
  207. 海野三朗

    海野三朗君 私がお伺いいたしたいのは航空機製造法の一部を改正する法律案要綱として、通商産業省から出されましたこのほうから先ず伺いたいと思います。三行目のこの言葉、「自衛力の漸増、特にMSA協定の締結に伴い云々」とありますが、自衛力の漸増であるならばむしろ飛行機を買つたほうがいい、私は今、日本の飛行機は戦争によつて十数年の空白時代がありまするので、今練習機云々を言われますけれどもアメリカの航空機工業から見ましたら日本のはまるで寄木細工のようなものである、まあ言つて見れば泥船のようなものである。そういうものに力を注ぐということは、若し自衛力の漸増を主とするのであるならば、今直ちにアメリカから買つたほうがいい、私はそう思うのですが如何でしようか、これをお伺いいたしたい。そのほうが却つて早道である。何も日本の航空機工業起さんでも、でき上つたいいものを買つたほうがいいだろうと思うのですが、如何でしようか。    〔委員長退席、理事松平勇雄君着席〕
  208. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今海野委員の御意見も一応御尤もな点も私はあると存じます。と申しますのは、自衛力のために急速に立派な飛行機を整備しようと思えば、アメリカから買うことが一番早道ではないかという御意見は、一応筋の立つた御意見であると思うのであります。併し又他方面から考えますと、航空機というものは、今や防衛上の必要なる機関であるのみならず、一般平和用にも非常によく使用されておるのでありまして、今後日本が防衛力を漸増することも、勿論独立国として必要でありますけれども、又一面において、平和的な用途に使われる機関の産業発達させるということも、同様に大切なことではなかろうかと思うのであります。従つてそれらを兼合せて考えまするときに、やはり今後航空機製造事業というものを、最も堅実に発展させ、又我が国現状に即しまして、例えばそこに無統制な競争の起らないように、或いは資本なり設備の二重投資ということにならないように、合理的にこれを調整して行こうということは、やはり現段階としては必要なことではあるまいかと存じております。
  209. 海野三朗

    海野三朗君 自衛力の漸増を主とするならば、アメリカから買つたほうがいいのである、これはもう論を待たないことであると思うのでありますが、私はこの航空機工業というものは産業一つとしてやつて行かなければならない。それを眼目に置くべきものであつて、ここに自衛力の漸増を主眼としたことは、少しポイントがずれているように私は思うのでありますが、如何にお考えになりますか。航空機工業というものはもうどうしても発展せしめて行かなければならないのだ、今自衛力漸増のために作るというならば、アメリカから買つたほうが早いと思うのであります。
  210. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今私が申上げました通り我が国現状としてやはり航空機工業の濫立を防止して、航空機工業の安定した堅実なる発展を図り、而もこれを我が国の国民経済との間に合理的な調整を行なつて行く。そしてそのためにはこの事実を適正規模のおのおの分野を定めて行くということが主たる目的でありまして、只今御覧願つておりまする法律案要綱におきましても、最初にそのことを謳つておるわけであります。なおこれに更に加うるに、自衛力の漸増ということもありますから一段と必要であると、こう申したので、主たる目的は、事業の濫立防止、或いは合理的調整というところに主眼があるのでございまするから、どうぞその点は誤解のないように御了解を願いたいと存じます。
  211. 海野三朗

    海野三朗君 それではやはりこの表現の仕方がまずいのであると私は考えたいのでありますが、そういうふうに考えてよろしうございますか。
  212. 古池信三

    政府委員(古池信三君) この表現が、文章の書き方が悪ければ、それは直すことにやぶさかではございませんけれども、我々の考えの、真意のあるところはどうぞ御了承願いたいと存じます。
  213. 海野三朗

    海野三朗君 私がお伺いいたしたいのは、例えばコンテイネンタル・エンジン、このアメリカの特許、これの富士重工と富士自動車との争いがありまして、結局元中島の富士重工の方が負けて富士自動車が取つたのですが、こういうようなときに、どうして通産省がこういう方向へ力を入れられたのでありますか。
  214. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 具体的な問題でございますので、経過の概要を申上げたいと思いますが、外資委員会で出て参ります場合には、この法律によりまする許可のような形を必ずしもとらないわけでありまして、外資委員会に出て参りました場合には、或る社と或る社との連絡、話合いの、その案件をどう考えるかというような形で出て参るわけでありまして、どの社とどの社が一番結付きがいいだろうかというような形を必ずしもとらない。そこが問題の紛れの因であつたのであります。率直に申しまして、御質問になりました具体的なケースにつきまして、若し選択を許されますならば、或る社と或る社との結付きが別社との結付きの場合に比べて、より適当というふうには必ずしも言えないのじやないかとも思うのでありますが、その現実に現われました結付きについての、政府側意見をまとめなければならないということになりますると、これは保安庁とも十分の御相談を申上げたのでありますが、或る社におきまして絶対に生産ができないというふうにも考え得ませんし、併し国産化いたしました場合に、でき上つた品物が、保安庁におきまして無条件に合格するであろうということが前以て予測できないような要素がある、併し不可能とも言えないというような事情がございましたので、許可の条件には、そういう気分を反映いたしまして、申請通りの原案の条件で許可いたしたわけではございません。さような意味から、条件に或る種の注文をつけまして、申請に対する政府側の回答といたしたのであります。その後まだ話が最終的に結論まで到達いたしているわけではございませんので政府側の出しました条件に即して、申請しました業者が、先方の業者と話合いを固めつつある、併しまだ終点まで来ていないというのが現状でございます。
  215. 海野三朗

    海野三朗君 この富士重工と富士自動車との争奪戦について、いろいろ風評があるので、私は今ちよつと伺つたのでありますが、この航空機工業を許可するということ、これはこの前の武器等製造法案のときにも私が強く申したのでありますが、この暗に政治力が働くということ、例えば東洋航空であります。横尾君が社長であつた。それを通産省が後押しをしたところが果せるかな資金的に倒れてしまつた、こういう現実な姿があるのである。こういうふうな工業方面に政治的な力が働くということは甚だよろしくないのだと私は思う。故に、この許可制ということは、つまり独裁的な権力がそこに入つて来る危険があるのであります。でありますから、許可制にするということ自体が私は根本的に間違つているのじやないかと思いますが、通産省当局としてはどういうお考えになつておりますか、お伺いいたしたい。
  216. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今例にお挙げになりました東洋航空の場合でございますが、事情は少しお話のことと違つておるように思います。と申しますのは、従来は……、仮にこの法律通りますれば許可制が行われますが、従前は単純なる届出制でございますし、又問題になりました会社の場合には、国内需要を当てにしたわけではございませんで、輸出の注文を当てにしての目論見として出て参りましたわけで、仮に今申請が行われたといたしました場合に、需要の大きさ等から見まして、その規模等につきましては多少の注文をつけたかも知れませんが、何もあの会社の重役が大臣であるとか何とかいうことにかかわらず、実体的には許可されることになつたであろうと推測されるわけでありますので、格別政治的な関係から認めたとか認めないというようなことは、全然なかつたことを御了解頂きたいと思うわけでございます。  それから許可制にすることが、そこに権力が働いて面白くないじやないかという点でございますが、これは確かに許可制は政府一つの非常に大きな責任を持たされるわけでありまして、その点、民間から見れば権力という形になると思うのでありますが、併しそれは同時に法律によりまして、許可すべき基準というものも限定的に書かれておりますし、若しその法律において定められております基準を越えて変な形に運用されますれば、社会全般、或いは国会から厳正な批判を受ける、ということになるわけでございまして、私どもむしろ許可制になるほうが、政府責任も明確になり、態度もきめて、法の許す範囲内で運用しなければならない立場に立たされるわけでありまして、その面から却つて御懸念のようなことはなくなるのじやなかろうか、と私どもは考えておるわけであります。
  217. 海野三朗

    海野三朗君 どうも許可制には政治的圧力が働くのです。従つていろいろな忌わしい風聞が生じて来やすいのでありますし、許可した以上は政府のほうは責任があるから、従つて損失を生じたというときには政府責任を持たなければならないのではないか、こういうふうに思います。ただ許可しただけで、政府責任を持ちませんか、経済的に……、それはどういうものでしようか。
  218. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 許可制によりまして、政府の持ちます責任と申しまするか、その事業を遂行するに足る技術的基礎なり、或いは信用力を持つておる会社、而うして、全体的に見て過剰投資にならない範囲で認めるということでございまして、今お尋ねのように、会社が仮にしくじつたというような場合につきまして、その経済的な責任の問題になりますると、それが需要の見方、規模の定め方につきまして、その程度の需要はあるはずだ、従つて、その程度生産設備もしていいはずだというような点につきましては、政府も全然のかかり合いがないということは言い得ないかとも思いますが、併しその会社のマネージの仕方、管理運営の仕方がまずくて起つた損失という問題には政府として関与することは適当でありませんし、又、法によりましてもする建前にもなつておりませんし、仮定でお答えするのも変でございますが、その原因等によりまして、おのずから政府のかかり合うべきものの限界があろうかと思うわけでございます。
  219. 海野三朗

    海野三朗君 先ほど政務次官から濫立を防ぐ云々ということを言われましたが、競争でありますから濫立しても立ち行かん会社は亡んで行く、生存競争に負ける会社は亡んで行くのであつて、そこに許可制という独裁的な権力を振うということが非常に危険であると思うのです。それで、この法案というものは時期早尚であると結論において考えられる。今、日本の航空機工業なんていつたつて、逆立ちしたつてとてもアメリカに及ばない。それを向うの特許を大急ぎで買つて来る。泥棒を押えて繩ないのようなことをやつておる。そういうようなことでは航空機工業というものの本当の発達を希うことはできないのである。先に白川委員も縷々申されました通り、航空機の、例えば、材料の点についても、或いはエンジンのことについても本当に政府の力を以て土台から築いて行かなければならない。今、泥棒が入つたから繩ないをやるというようなのがこの法案であつて、私は時期尚早であると、こう考えまするが、如何なものでございましようか。
  220. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 私どもは他の委員の御質問にもお答え申上げましたのですが、航空機工業の本格的な生産態勢は、むしろ今から始まるので、今までは白紙に近い状況だと思うわけでありますが、併し、同時に、今後始まりますものはやたらな自由競争を許すほど大きな需要にはなりそうもない。従つて、そこを自由競争にしますことは、むしろどの企業も成立たなくなる、それによつてつて過剰投資国家的に資本のロスが行われ、或いは航空機工業がそのために育とうにも育たないという危険が大きいのだ。従いまして、差当りの段階では、むしろ適者適業と申しまするか、それぞれの企業の過去の経験、技術等を生かしながら、得手々々に応じまして、今後の新らしい仕事を分担して頂くということのほうが、むしろ健全に育つゆえんだと考えまして、許可制を考えておるわけでありまして、これが既成事実ができて、みんなが潰れたあとでの許可制では国全体に迷惑がかかるわけであります。何もない今日こそ却つて許可制にして、健全に育てて行く、間違いの起らないようにする必要があるというふうに私ども考えておるわけであります。
  221. 海野三朗

    海野三朗君 最後にもう一つ、その許可制になさるという、通産省がそれだけの技術的方面について堪能でいらつしやいますか、私はそれをお伺いします。そこが私はおかしいと思う。それを許可する、餅屋は餅屋であつて、それを、お前のところはこの機械をやつて行け、お前のところはこの機械でやつていいという、失礼ながらそういうことに対して十分堪能でいらつしやるかどうか。
  222. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) お尋ねのように政府、通産省の、私ども事務屋で何もわかりませんが、技術者が大勢おると言いましても、民間の技術者の場合よりも飛行機を作るに優れた技術者を持つておるということは毛頭我々考えておるわけではありません。併しながらこの法律でやりますことは、餅は餅屋とおつしやつたのですが、民間の企業で、今度なさろうとする仕事は、それぞれ向き向きがあるわけでございますが、どなたがどの仕事にお向きになつておるかということの判断に必要な程度技術というものは、口はばつたいようでございますが、通産省の全力を尽せば十分にできるというふうに思つておるわけでございます。
  223. 海野三朗

    海野三朗君 これは、私まだございますが、今日は大分時間がたつてしまいましたから、保留いたしまして、逐条審議はあとにしたいと思います。
  224. 松平勇雄

    ○理事(松平勇雄君) それではお諮りいたします。  本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  225. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほど私は資料の御提出を求めたのですが、確認をしておきたい。
  226. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) 先ほどの航空機の年度計画といいますか、漸増計画、これにつきましては、私どもいろいろな試案を持つて、研究しておるという段階でありまして、こういう案が、保安庁の現在の案であるということは申上げられないということを先ほど申上げました。そういう意味合いで、プライベートに属する案を提出することを差控えさして頂きたいと思います。
  227. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 ところが、この法律改正をする理由として、勿論航空機工業の濫立を防止する云々とありますが、併しそれは自衛力の漸増、特にMSA協定の締結に伴い、航空機工業が防衛産業の性格を持つに至つた今日において、一段とその緊要度を増しておる、これがこの法律改正される理由なんです。その場合に、自衛力のうちの航空自衛力の漸増計画を、勿論コンクリートされたものはなくても、今検討されておる段階において、こういう案、これはこういう基礎に立つてできておる、これはこういうことが理想であるけれども、現在の経済力では、これくらいに抑えなければならんのだとか、いろんな案があるのです。これをお示しにならないことには、結論が出ていないから示されないということでは、我々審議できない。これは一つ是非提出をして頂きたいと思います。  それから通産省の側においても、我々のもらつておる資料においても、昨年の六月八日に、時の通産大臣岡野清豪さんが会長をされていた航空機生産審議会からもその答申をされておる中に、長期計画の策定ということが書かれております。そして航空機工業を新らしい最重点産業として振興するためには秩序ある再建を図らなければならない。殊に近代的航空機工業の再建には、巨額な資金と長年月とを要するので、政府は長期計画を樹立し、企業をして経営の方途を立たしめることが必要である。こういうふうに答申されておるわけです。而も、その答申しておられる航空機生産審議会会長の岡野清豪さんが時の通産大臣でありますから、この答申は勿論通産省としては御採択になつておると思うのです。だから通産省のほうの長期計画の概貌、特に先ほど申しました保安庁のほうには自衛力の中の航空自衛力の漸増計画の、今日検討されておる段階のもの、これを一つお示し願いたいと思います。
  228. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今お読みを頂きました民間の審議会としての答申でございまして、政府側に航空機工業を健全に発達さすために、それだけの長期計画を示せという御要望を頂いておるわけでございます。実は政府側におきましては、先ほど来保安庁からもお話がございますように、まだ研究の段階でございまして、それが固まりませんので、その答申の御趣旨には、十分に立案者として副い得ない段階にあるわけでございまして、その後に通産省が何か用意しておるであろうと言われましても、実はまだその段階に至つておりませんので、御了承を得たいと思います。    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕
  229. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 そうするとこれは全然ないのですか。結論として固まつたものでなくとも、今日検討の段階のものもないのですか。そうなると皆さんが言われたように時期尚早であるということが考えられて来るわけですね。そういつたような自衛力の漸増とか、民間の航空機工業の発達とか、或いはMSA協定の締結に伴つて航空機工業が防衛産業の性格を持つて来る、こういうことによつて改正しなきやならんと言われておる、ところが実際には抽象的に言われているだけであつて計画も何もない、こういうのではそのまま受取れなくなつて来ますね。
  230. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 先ほど保安庁からもお答えがございましたように、確かに全体の三年とか五年とかいう計画は全然研究の段階であつて、まだそれを政府側で仮に試案の程度にしろ発表する段階に至つていないということでございますが、併し同時に半面におきまして現に発注されておるものもありまするし、而して発注されておるものにつきましては次の時期におきまして、それが今年発注したから来年はなくなるというようなことにならんという要素も加味しながら、民間に対する発注を御考慮願つておるということなり、或いは今の段階は全貌はきまらんが、次々に練習機だつたらこういうタイプ、或いは第一線機であればこういうタイプと、その辺はほぼ最終段階に近付きつつあるということも言つておられるわけでありまして、それらと平仄を合わせながらの本法の運用ということは私ども十分できると考えておるわけであります。但し理想的に言えばもつと長期の見通しがもう少し固まるということが望ましいと思うわけでありますが、それもできますのもそう長いことではないのではなかろうかという工合に私ども、多少心待ちにいたしておるというのが現状でございます。
  231. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほど保安庁のほうの漸増計画の資料の中に、先ほどの御答弁で域外調達の点についてもお触れになつたのですから、特に要綱の中にもMSA協定の締結に伴い、というのがありますから域外調達をどの程度の構想の下にお考えになつているか、これも併せて資料を提出して頂きたい。私が言いつ放しで出ないのでは困るから、これは確認して頂きたい。
  232. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) これは域外調達のお話がございましたが、これも先ほど保安庁からもお答えございましたように、保安庁の全体の或る計画ができるといたしまして、その計画の実際上の供給が、一部は日本政府の財政から金が出されて調弁され、一部がMSA協定等によりまする米軍からの供与ということになるわけでありますが、その米軍からの供与の分が完成品の形で供与されるか、或いは国内の生産力を使つて国内に発注して、そしてそれを保安庁へ供与されるという形に初めはなるわけでございまして、従いまして、その根本をなしまするものは保安庁の航空勢力と申しますか、それの全体を今後どう考えて行くかということが大体でございますし、それがきまつて、而うしてそのうちの或る種の機種について国産可能なものが域外調達とかそういう段階となるわけでございまして、その大体のほうが、まだ研究段階でございますので、従つてその各論といいますか、一部になりますそれと域外調達の分の資料というのはまだ到底そこの折衝段階にも全然入つていないということでございます。併しそういうことが抽象的には予想されておるというのが現状でございます。
  233. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今の資料は若しもそういうような事情で出せなければ、当委員会で、或いは速記をつけるのはいろいろな関係があると存じまするから、懇談会ででも一つ関係当局の期待する数字等を述べて、それでまあ一つ御了解を願うことといたしたいと思います。
  234. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 委員長只今の御発言で確認しておかないと……。
  235. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) 私ども漸増計画につきましては、繰返して申上げますように、いろいろな方策を試案として研究しておるという段階でございまして、どれが結論というわけでもありませんし、現在の段階でどれをどういうふうにする、というわけにも参らないと思いますが、この点はそういう御要望のありましたことを長官とも御相談いたしますけれども、研究段階の試案について、どれをどうといつてお示しすることはむずかしいのではないか、と私はこう考えております。
  236. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 それは場合によつては、保安庁長官の御出席を求めて決するということもあります。私は極力資料の提出を求めておきます。
  237. 中川以良

    委員長中川以良君) それではできる限り誠意を以て、ということでお願いしておきます。
  238. 小松正雄

    ○小松正雄君 私の質問にも明確なる御答弁もなかつたのに対しまして、関連質問として三輪委員より質問されたのでありますが、この法案の許可制に対する問題につきまして、是非とも資料が必要であるということは私の申上げた通りでありまして、何故にそういうことを申上げるかと言いますと、今日の国内の航空機を製造させるということがこの法案の目的であり、政府もこれをして将来日本の航空機生産の発展を期させようというのが狙いであると思うのでありますし、そのために許可制にしたのだと私は了承しておるわけであります。そういたしますと、航空会社が、率直に申しまして、先ほど白川委員よりも指摘されておりましたが、実際に資金等におきましても貧弱でありながらも、この航空機の製造に専念しようという立場からどうしても重点的にあらゆる資金繰りをいたしましてでも、政府のこの要請に副わんとすることに相成ると私は思うのであります。そういたしますとその間の狙いはどこにあるかと申しますと、やはり少くとも保安庁の発注されるその飛行機を中心として機械工業の漸増をやろうと、かように業者考えておると私は思うのであります。そういたしますと、それが明確にどの程度ぐらいは発注されるであろうとか、或いは将来続いてこれが発注されるであろうとかいうことぐらいは、数においても明確でなく、又何年ということも言えないかも知れませんが、この法案審議する過程におきましては、そういつたぐらいのことは局長としてこの委員会で発言されることは当然だと思います。なお又委員会の御注意のように速記に載せるということについては、将来のいろいろな問題も起るという懸念があるとするならば、それをやめて座談的にでも答弁ができないか、こう融和的な話をされるにもかかわらず、そういうことができないというならば、少くともその責任を問うというためにも、この法案審議する上におきましても、保安庁長官又は通産大臣を明日でも明後日でも引続いてやられる航空機製造法案の一部を改正する法律案について審議されるということでありますならば、委員長一つそういつたことに努力願いたいということをお願いします。
  239. 小林英三

    ○小林英三君 今三輪君なんかの御質問はこの法案審議の上においては一応私ども納得できる御質問だろうと思います。そこで先ほど保安庁の装備局長なんかの御答弁なんか、この法案が成立した暁においてはどういう機種をどのくらい作るのか、ああいう機種もきまつて作るのだというふうな御答弁があつたように思うのですが、ああいうことがもう漸増計画じやないのですか。
  240. 久保亀夫

    政府委員(久保亀夫君) ただ主要な機種についてはもうMSAの相互協定に関連して大体まとまりつつあるということでありまして、ただ併しながら三年、或いは四年の目標計画というものについてはいろいろな試案を検討しておるということでございます。その機種をだんだんときめて行くということの計画の一部というふうにお考えになれば、或いはそういうことになるかも知れないと思いますが、ただ年度計画としての数字は固まつていない、こういうふうに申上げたのであります。
  241. 小林英三

    ○小林英三君 私は質問を横取りしたような恰好で申訳ないのですけれども、先ほども西川委員からこの法案審議について、許可制であり、どういう機種をどういう工場に許可するというような法案であるからして、それははつきりしてもらいたいのであります。三輪君その他の質問もそういうような趣旨だと思つておるのでありますが、保安庁のほうで先ほどからおつしやつていることは、これはいわゆる漸増計画の一つであると言つているが、はつきりとおつしやつたほうがいい。この機会でなければこの次でもいいから。そうすれば我々も納得できるのじやないかと思いますが。何だかあいまいなようだから……。
  242. 中川以良

    委員長中川以良君) それじや一つできるだけ資料を出して頂きまして、資料の出せない分、又速記等をつけ得ない部面に対しましては、一つ委員会懇談会において或る程度皆さんに得心の行くように御説明願うように委員長から特に要望いたします。  本日はこの程度にしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  243. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは明日は自転車競技法等の臨時特例に関する法律案を議題といたしますから、さよう御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会