○白川一雄君 前回の
委員会で、
政府当局のほうでは、プロペラの飛行機はもう世界の水準に余り劣
つておらないで、ジエツト・エンジンのほうもやつと背伸びをすればとどく
現状であるという
お話でございましたが、航空機工業というのはアツセンブルのみが航空機工業じやないと思いますので、これの材料の点もありますれば、電装
関係もあり、いろいろの多種多様のアクセサリイというものがついた総合的なものが航空機とな
つて生れるものだということを
考えますと、この間加藤
委員がお尋ねになりましたような点は、頂門の一針とでもいいますか、航空機のそうなることを希望いたしますけれども、現在の段階でそうたやすい
考えを持
つて指導されると非常な過ちを迎えるのじやないかという心配をいたしますので、国産を今後や
つて行くという上においては、今日の貧弱な財政からいささかも無駄があ
つてはならないというようなことを
考えますと、もう少し科学というものに謙虚な
気持で計画を立てなければいけないのじやないか。特にこの
委員会というのは、私自身として
考えておりますのは、
政府当局の任務遂行に対してできるだけいろいろの点から一緒にな
つて検討して御協力申上げるのが我々の使命のように考ておりますので、こういう点は駈引のない、現実に立脚した指導方針を御説明願うし、又将来もそういう指導を
業界にや
つて頂けませんと、ただでさえ迷いがちの
業界が非常に右往左往する結果になるのじやないかと、こういう心配をいたすのであります。
これに関連いたしまして
一つお尋ねいたしたいのは、ジエツト・エンジン
会社というものが
政府の肝煎りで創立されまして、我々はこのジエツト・エンジン
会社というものが、
日本のジエツト・エンジンというものを集約してここで実行されるものという希望と期待を持
つて今日まで来たのでございます。と申しますのは、一
会社、一個人は勿論ですが、この厖大なる資金の要する、而も非常な科学の
進歩の水準を行
つておるジエツト・エンジンというものを、
ちよこ
ちよこいじりで各方面にや
つても保安庁の希望するところのものを作るというようなことは容易でないので、やはり国の力というものが加わ
つて初めてジエツト・エンジンというものが遅れを取返す線に行くのじやないかと、こういうふうに
考えておつたのでございますが、最近ジエツト・エンジン
会社を、
政府当局といたしましては、先般もできれば特殊
会社の性格にでもしろという
お話がございましたが、これは当然そうなるべきではないかと
考える一面、今日ジエツト・エンジン
会社の
現状というものを見ておりますと、
政府御当局のお
考えとは離れておることが甚だしいのではないであろうか、これの当局の育成方針というものをお聞きしますが、最近又アメリカがジエツト・エンジンの修理を
日本の民間の各社に見積りをさして、新聞の伝うるところによりますと、その中にジエツト・エンジン
会社が外れているというようなことを聞きますと、
日本政府当局の面目丸潰れになるのではないか。アメリカの上層部と
日本の政治当局の上層部との相互援助の話はいろいろありましようけれども、現実の問題というのは私、決してアメリカが
日本の
産業を
助けてやるとか、
日本を育成してやるとかいうような行動を見ることはできないので、
日本の特需の状態を御覧にな
つてもわかるように、如何にして
日本を食いものにして、自分に利用しようかということが何としても第一義的であるということは言えると思うのでございまして、各社に見積りをさせまして、叩いて叩いて、叩いたあげく
出血受注でもさそうというような過去の
現状から見まして、
日本の航空機工業を成立たす
責任者は通産省でありますれば、ジエツト・エンジンに対しまして、アメリカが当局の意向と反したそういう線を行くとすれば、厳然として峻拒して、そういうような注文はジエツト・エンジン
会社を通すものでなければ引受けないというだけの見識を持
つて臨まなければ、いつまでた
つてもアメリカに馬鹿にされて、その結果は
日本の
業者も因り、
日本政府の、
日本の航空機工業を育成しようとする大きな根本方針というものがいつも成立たんのではないか、こういうように
考えますので、このジエツト・エンジン
会社が修理でさえオミツトされる。ここが一本で行く窓口であるべきものがそれさえオミツトされるという状況ならば、むしろあ
つてなきがごときものなので、私は
日本のジエツト・エンジンをやる限りにおいては、
政府の力はジエツト・エンジン
会社に集中して、そこから盛り上げて来るという行き方でなければ、そう簡単にジエツト・エンジンというものができるものじやない。こういうように
考えておるのでございますが、
政府御当局の育成方針と、現在のジエツト・エンジン
会社の実情というものに対しての御感想を承わりたいと思うのであります。