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1954-05-17 第19回国会 参議院 通商産業委員会 第40号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十七日(月曜日)    午後一時二十四分開会   —————————————   委員の異動 五月十四日委員大谷贇雄君辞任につ き、その補欠として山縣勝見君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            加藤 正人君    委員            黒川 武雄君            西川彌平治君            酒井 利雄君            高橋  衛君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            藤田  進君            天田 勝正君            武藤 常介君   国務大臣    通商産業大臣  愛知 揆一君   政府委員    法制局第三部長 西村健次郎君    農林省農林経済    局長      小倉 武一君    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省重工    業局長     徳永 久次君    通商産業省軽工    業局長     中村辰五郎君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    通商産業省石炭    局長      佐久  洋君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    公正取引委員会    経済部長    坂根 哲夫君    公正取引委員会    調整課長    丸山 泰男君    農林省農林経済    局肥料課長   林田悠紀夫君    中小企業庁振興    部長      石井由太郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (総合燃料対策に関する件)  (下請代金支払遅延に関する件) ○石炭鉱業対策に関する陳情(第七六  号) ○石炭産業危機突破に関する陳情  (第二四三号)(第三一九号) ○石炭産業危機打開に関する陳情  (第三三六号) ○石炭鉱業危機打開に関する陳情(第  六三八号) ○硫安工業合理化及び硫安輸出調整臨  時措置法案内閣提出衆議院送  付)  (第十八回国会継続)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より通商産業委員会を開きます。  最初にお諮りいたしまするが、これからの日程をお手許に差上げておりまするようにプリントをいたしました。実は委員長理事打合会をいたしまする時間がございませんでしたので、この委員会でお諮りをいたしまして御決定を願いたいと存じます。二十二日までが会期でございますので、一応会期一ぱいに上げまするためにはここにございまするような詰まつ日程になるのでございまするが、会期末でございますので、一つ御精勤を頂きまして、こういうようなことで御審議を願いたいと思いまするが、如何でございましよう。
  3. 天田勝正

    天田勝正君 この五月の十八日の日程にありまする中小企業安定法というのはこれは出ないでしよう。
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) 衆議院のほうには提出なつたそうでございます。こちらにまだ付託になつておりませんが、一応衆議院提出になりましたので、出るものと予想しましてここに書きましたのであります。来なければそれだけであります。
  5. 天田勝正

    天田勝正君 私がこう申上げるのは、過日の議運におきまして会期延長が問題になりましたときに、官房長官は出さない、こういうことをまあ申されているのであります。というのは、これを指して言つたのではありませんけれども、その他の法案は出さないというのは、御案内の通りども会期延長に反対した立場でありますけれども、併し反対すると否とにかかわらず、延長になれば反対したものも同じく拘束するのでありまして、そういうことから賛成する人はやはり何かのめどがなければならない。ところが御承知通り当時百二十一件のものが審議されている、こういう状況からしまして、二週間の延長とは、即ち実質的には十二日しかないのでありますから、その一日置きに本会議を開くといたしますと、六日しか本会議が開かれない、こうなる。実際はそれよりもまあ開けなかつたわけなんですね。そうすると六日で百二十一件を上げるということは、これは過去の実績上ないんですよ。平均して、而も重要法案がすつかりここへ持込まれて来ておりますから、まあ議運の計算では平均して一日に二つずつの討論はどうしても必要になつて来る。請願、陳情のような、同じような案件がずらつと並ぶなら別ですけれども、そうでないのに法律案だけが二十件ずつ、而も重要法案を含みつつ二十件ずつ上げて行くというようなことは、まあ過去の経験にないので困難である。そういうことからこれを延長を主張されるかたについてはむしろ十分の時間をとるというのならば話がわかる、十四日で上げてしまうのでは、それは辻棲が合いませんよ、というような質疑がございまして、それでそんなものは出さない、こういうことでありまして、それで特に御承知水道法案が出て参つたについては、官房長官もどうも僕から説明がしにくいというようなことがございまして、それで厚生大臣理事会に来られまして、仮にこの会期中に上げられないでも継続審査として頂きたい。こういうようなお話で以て、これは各派多分了承に立至るだろうと私は思つております。余計なこれは説明ですけれども、そういうような事情がありましたので、私はこれは実際問題としては上げられないのじやないか、こういうふうに想像するわけです。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) 今の中小企業安定法の一部を改正する法律案は実は議員提出法案で十四日に衆議院提出されておるのであります。
  7. 天田勝正

    天田勝正君 そうですが。議員提出ですか。
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) だからどうも政府のほうで出していないわけです。御了承頂きます。或いはこちらのほうへ持込んでやるかどうか疑問でございますけれども一応日程に上げておきます。  それではかようなことで御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 中川以良

    委員長中川以良君) それではお手許に差上げている日程によりまして今後の審議をいたすことに決定いたします。
  10. 中川以良

    委員長中川以良君) この前アメリカ可燃性織物に関しまして大使館に陳情に参りましたところ先般も御報告申しました通り大使からも丁重なる書簡が寄せられておりまして、なおハラルドソン一等書記官からも同様の趣旨を丁寧に申して参つております。その中に資料といたしまして「綿の可燃性について」というアメリカでの研究資料を送つて参りましたので御参考にまでこれを翻訳させましてお手許に差上げておりますので御覧を頂きたいと存じます。なおこれは委員長からも試験所に送りまするつもりでございますが、各位におかれましてもどうぞ各方面におきまして研究をしておりまするところに参考としてお示しを頂きますれば大変結構ではないかと存じます。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  11. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて下さい。  それでは本日は先ず最初総合燃料対策に関しまする件を議題といたします。  本件に関しましては、本年度初頭以来のこれは案件でございまして、当委員会といたしましてもしばしば議題といたしましてこれを取上げまして、政府当局善処方を要請して参つたものでございます。ところが未だに具体策決定を見ないのは誠に遺憾であります。す総合燃料対策につきましては、これと密接な利害関係を持つ石炭業界石油業界需要者層が三者三様の立場において動向を注視しており、政府当局といたしましても慎重を期さざるを得ないことは十分了解されるところでございますが、業界の実態は日々窮迫化いたしておりまして慎重審議に名を貸りてこの問題の解決を徒らに遷延いたしますることは、今日では絶対に許すことができない問題でございます。かような段階に到達しておりまするので、本日は先ず政府当局より本件に関する具体方策説明を願いまして、これに対する質疑を進めて参りたいと思います。
  12. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 石炭対策について今日までいろいろ疑問についての御質疑もございましたし、その都度その時期までにお話を申上げられる問題についてはお話を申上げたのでありますが、問題はやはり重油石炭との調整方法をどうするかということが中心課題でございます。重ねて申上げるまでもないのでございますが、結局石炭の底なしの値下り、濫売競争というような非常に不況の状況に入りました原因は、昨年の秋頃からの需給バランスの崩れたことが原因で、それに金融引締というようなことが行われましたので、一番先に急激に石炭業界に影響が来ておる。そこで需給バランスを回復するということがやはり根本であろうということで、石炭との競合関係にあります重油外国炭、これをどういうふうに扱うかということが当面の施策として出るわけでございます。外国炭につきましては、二十九年度外貨予算を組むに当りまして従来の、殊に鉄関係でありますが、外国炭国内炭との混合配給というものを若干変えまして、総量といたしましては、二十九年度におきましては、二十八年度よりも六十万トン、五十数万トンでありますか程度輸入削減という結果になるわけであります。重油につきましては、私から重油対策の御説明を申上げるよりも、鉱山局長から後ほど詳細御説明があろうと思いますが、当面重油規制ということを法的に行うということはできませんので、専ら行政的な措置によつて相当規制を行なつて行こう、こういう考え方であります。  石炭生産目標と申しますか、本年度生産見通しは大体従来の需要その他から推して四千四百万トン乃至四千五百万トン程度というふうに考えておりますが、この炭況の将来の見通しが明るくなれば、現在需要者のほうの買控えのために売行きが非常に不振だという現象もありますので、又現実に大口工場その他の工場手持貯炭も通常適正と思われる数量から見ると百万トンくらい減つております、そういう問題が将来の炭況の好転という状況と睨み合せますと、買控えということも少くなつて来るだろうと思いますので、四千六百万トンくらいの生産見通しというものを持つていいんじやないか、こういうふうに考えておるわけでございます。なお重油については鉱山局長から御説明があると思います。
  13. 川上為治

    政府委員川上為治君) 石炭との関係におきまして重油規制をすべきであるという点につきましては、この三月の終りにおきましてその方針につきましては閣議におきまして決定をされておるわけでございます。私どものほうとしましては、その後農水関係につきましては確保措置とつたわけなんですが、その他の問題につきましては、例えば大口工場の問題とか、或いはその媛厨房用の問題でありますとか、そういうものにつきましては数字見通しとかいろいろな問題がありまして実は遅れていたわけでございますけれども、大体月間これくらい使えとか、或いは又四半期に大体これくらいになるから、このつもりで一つ配給をやつてもらいたいというようなことにつきましては、従来におきましても石油元売業者、或いはその精製業者に対しましてはそういう指導をやつて参つたのですが、ところがその後におきまして、なかなかその通り実施されていないというような状況にありましたので、特に最近の石炭需要から考えまして、早急にこの際重油規制をしなければならないというようなふうに考えまして、実はこの前からいろいろと数字的な検討もしますし、又やり方につきましても検討をいたしていたのですが、漸く決定をされまして今日通産省におきましては最後的な仕上げ、即ち省議決定をいたしておるわけでございます。  先ず最初に一応最近の石油状況お話申上げておきたいと思うのですが、私どものほうとしましては、二十八年度におきまして大体重油につきましては五百三十七万キロリッターくらい使つたものと、そういうふうに予想としましては大体それくらい見ていたわけであります。これは当時二十九年度外貨を作る資料としてそのくらいに考えていたのであります。一月の実績或いは二月の売行き状況等考えましてそういう数字作つていたのでありますが、それに基きまして二十九年度におきましてもこの五百三十七万キロリッターというのを一応重油につきましては消費ベースにしたわけでありまして、それ以上は外貨を今後におきましては、たといどういうことがありましても、外貨を殖やさないというような考えの下に行政指導をすることを考えていたわけであります。ところがこの五百三十七万という昨年度実績につきましては、これは実際の数字は実は、それよりも相当上廻つたような実績が最近漸くとれております。大体その販売実績というのは一月以上遅れまして、漸くその数字がわかるのでありますが、私ども最初外貨を作る時分に考えておりましたような数字よりも最近三月、二月頃の実績を見ますというと、相当これは二十九年度の分もこれを使い込んでおるというような状況なつております。この数字につきましては私のほうと、或いは私のほうの内部のほかの周の数字とが若干違う点がありますので、更に今調整をいろいろやつておりますが、いずれにしましても、これはそう大きな狂いじやありませんけれども、少くとも三十万から四十万の間くらい、三十万以上のものを使い込んでおるというような状況なつておりまして、二十八年度の実際の実績というものは五百三十七万キロリッターというのが、もつと殖えて使つておるというような状況なつております。で、私のほうとしましては、こういうような状況で、而も四月の大体実績、これがもう正確な最後のところの数字ではありませんけれども、一応実績、速報といいますか、そういう数字をとりますというと、これ又四十万をオーバーしておるような数字なつておりますので、こういうような数字になりますというと、どうしても二十九年度におきまして五百三十七万キロリッターというものを非常にオーバーして来るというような状況になる虞れがありますし、従いましてとてもこれは相当きつい行政指導をしなければ石炭との関係におきましてもうまく行かないし、且つ又外貨方面から言いましても、よくないというふうに考えますので、従いまして先ほども申上げますようなこの際早急に重油規制を全面的にやることにいたしたわけでございます。規制方法としまして、第一は大体重油消費について業種別、それから月別の数量をきめる、そしてそのきめた数字につきましては石油元売業者及び精製業者、それから需要者方面に対しまして、これは特に大口方面需要者に対しましてそれを通知いたしまして、そして石油元売業者なり精製業者のほうではそれ以上のものを出さないようにしてもらう、それから需要者のほうでもそれ以上のものを買わないように一つやつてもらうということが第一点でございます。例えば火力発電でありますとか、或いはセメントでありますとか、或いはその他の大口工場につきましては、特に工場別の節減の目標数字を明示いたしまして、そしてその数字に対しましては同様に石油元売業者なり、或いは精製業者に対しましてもそういう数字を出しまして、そしてそれを守つてもらうようにする。それは勿論私どものほうは精製業者元売業者を通しましてそれを行政指導によりましてやるわけでございますが、各原局におきましてはその数字以上に買わないように原局のほうからそれぞれ指導をするというわけでございます。それが第一点でございます。  それから第二点につきましては、少くとも特別なものにつきましては、どうしても輸出関係とか、或いは又石油でなければどうしてもいけないというような面におきましては、これは確保するような措置を講じて行きたい。これはいろいろあると思うんですが、船舶用内燃機関、そうしたものに対する用途については確保措置をやりますとか、或いは原料として使いますような硫安重油ガス化というような、そういう燃料として使いますようなものとか、或いは熔鉱炉で平炉とか、ガラスの熔融炉とか、そういう特別な装置に対しましては、これは成るべく確保するようにして行くとか、或いは輸出製品品質保持のためにもう少し輸出製品品質そのものを向上させるというような意味から特に必要なものにつきましては確保して行く。そういうような一面におきましては重油使用規制する方面と、一面におきましてはそのためにしわが寄るかも知れません、そういう重油でなければどうしても困るというような特別なものにつきましては、これは確保措置を、そういう行政指導をやるという点が第二点であります。  それから第三点といたしましては、先ほどもちよつと申上げましたが、やはり第二と同じようなもので、農水関係、そういうようなものにつきましては、その数量は実は急激に殖えるようなことはそうありませんので、こういうようなものは先ほど申上げましたように、もうすでにこれは確保実施をやらしておりますが、そういう措置をとる。  それから第四点につきましては、一両において使用禁止する、例えば媛厨房用、こういうものにつきましては法律に基きまして十月の一日からこれを禁止するというような考えでおりますが、併しその間におきましてもやはり厨房用とか、或いは媛房用とかというものにつきましては売らないように行政指導をする。こういうようなわけで使用禁止につきましては今日からやるわけではありませんけれども、十月一日から法律を以てやるということでいろいろな法律的な準備をそれまでの間に進めてやりたいと考えておりますが、併し実際の禁止はもうこれから行政指導において私のほうとしましてはどんどんやつて行くというような考え方でございます。今までのことを簡単に申上げますというと、結局毎月出す重油の量をきめる、それから九月末におきましてその関係から在庫を幾ら持てということをきめまして、その在庫をそれだけ持たないで余計に売りましたものに対しましては、これはその次の外貨割当等によつて調整をする。結局この方法に対して協力しないようなものに対しましては、これは精製業者元売業者、そういうものがこれに対して協力しない場合におきましては、私のほうとしましては外貨割当をしない、或いは削減するというような措置でやりたいと考えておりまして、そういう元売業者なり、精製業者に対しまして罰則的な措置をとるわけでございますが、併し一面におきましては先ほど申上げました通り、一定の数量を附けて配給するように、今申上げたようにセメント用に対しましてはどの工場にはどれくらい配給しろ、それから製鉄関係に対しましてもどれくらい配給しろということを指示するわけでありましてそれから元売業者なり、精製業者が月にどれくらい配給しろということも言つてやるわけであります。これは切符制をとらないで行政指導をやるというふうに考えておるわけであります。そういう措置をとりましてこの九月末、九月以降におきましても勿論その情勢を見て、或いはもつと締めて行くことになりますか、或いは法律的措置を直ちにとるということになりますか、いずれにしましても、この九月までにはそういうふうな措置とつて行きたいというように考えております。数学的に申上げますというと、先ほども申上げましたように、もうすでに本年度の分は相当量を前年度に食われておりますので、而も四月におきましては四十万以上のものを配給されておりますので、六月から九月になりますというと、月に三十万か三十数万くらいしか配給できないというようなことになつて来るかと思うのであります。まあ三十数万ということになりますと、これは最近の配給実績は、四十七、八万から五十四、五万というような情勢なつておりますので、相当削減になるかと思うのであります。私どものほうとしましてはそういう措置を、もうすでに本日の省議においても決定されましたので、すぐこれを実施に移したいというふうに考えております。  それからなおこの問題につきましては、いろいろなこれは需要者との関係におきましても問題がありますので、通産大臣諮問機関としてこの重油需給調整協議会というのを作つて、ここでいろいろな調整を今後やつて行きたいというふうに考えております。  それからこういたしますというと、自然価格が私は上つて来ると思いますので、この価格につきまして異常にこれが上らないような措置もやはり一面においてはとらなくちやならんというふうに考えますので、これは建値制によりまして或る程度価格を私どものほうでは指示をいたしまして、それで販売するようにこれはやる考えでございます。  要するにこの五百三十七万キロリッターというものがすでに相当食込まれているというような状況なつておりまして、而も今後非常に強力な行政指導なり或いは行政措置をとるという考えでおりますので、恐らく先ほど申しげましたように、六月以降におきましては相当販売量も窮屈に、非常に削減されて来るということが予想されるわけでございますけれども、現在の石炭との関係、或いは外資の使用状況へら言いまして、私のほうとしましてはやはりこの際そういう措置を早急にとらなければならんというふうに考えておるわけでございます。  なおこれは私どものほうとしましては行政指導によつてやるわけでございますが、やはり一番痛いところは、結局九月末の在庫というものを幾ら持てということを各社別にこれは指示をいたしますので、それを見合つて配給をして行くということになりますので、結局それを守らんものに対しましてはその次の期の外貨削減で非常な打撃を与えられるということになりますので、元売業者なり、或いはその精製業者のほうではやはり外貨削減というのは非常に問題でありますから、私どものほうとしましては、十分これにつきまして協力して来るのじやないかというふうに一考えております。
  14. 中川以良

    委員長中川以良君) 御典疑を願います。
  15. 西田隆男

    西田隆男君 私佐久さんの御説明を聞いて余りあつさりし過ぎているので、実は唖然としたのですがね。見方としてそう見るよりほかないのですか。
  16. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) あつさりしておるというのはどういう意味か私もよくわかりませんが、今までに大分問題になつている点はお話申上げましたし、それから省内で相当長い期間検討いたしまして、勿論これで十分というわけには参らんと思いますが、結論として出された以上は、まあそれに従わざるを得ない、こういうふうに考えております。
  17. 西田隆男

    西田隆男君 私がこれはもう何カ月か前に要求した資料もあなたまだお出しにならないし、甚だ抽象的に総括的に二言か三言か言つてそれで済むものじやないと思うのですがね。個々に尋ねますから答えて下さい。そんなに熱意のないことじや委員会幾ら質疑応答をやつて見たつて何にもなりはせん。この前も通産大臣が見えたときに、日本動力源の問題、燃料対策の問題を考える場合に、日本生産をされ、而も日本熱源として半数以上使われている石炭問題の通産行政基本方針がきまらない、そうして日本熱源の問題を考えるということは大体むちやじやないかという私の質問に対して、通産大臣は全く同感だ、こう言つておられた。従つて通産省における通産行政総合燃料対策の面においては先ず石炭対策というものが確立されなければならない。確立された石炭対策の上に立つて重油の問題が考えられ、電力の問題が考えられ、ガスの問題が考えられる、こういうことにしなければいかんと思うのですがね。その基本になる、基盤になる石炭対策に対して、石炭局長として今の説明というものは全く余りにあつけなさ過ぎる。あなた今度九州にも六日か七日においでになつたそうですが、九州の実際の状況を調べて来られて、新らしい観点に立つての通産行政の面における石炭対策というものが立てられて行かなければならんと私は思うのですが、それがただ消費が四千五百万トンだとか、何とかいうようなことだけ言つて、それで石炭対策を突つばねたのではどうにもならんと思う。あなたは九州に行かれて現地を見られて、日本石炭対策というものはこういうふうに立て直さなければならんということを考えられて、省議にも諮られてきまつたということであれば、それを詳細に説明して下さい。
  18. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) この間六日の日に私参りまして六日の午後と七日に関係業者のできるだけ広く意見を聞きたいということで多数の人に会つたのでありますが、一番問題になりました点は、やはり需給バランスが将来一体どうなるのか、今のような値崩れ状況を続けるのでは、例えば銀行筋の意見としては、銀行自体が勿論根本の筋としては金融の引締をやらざるを得ない。併し個々の企業についてただがむしやらに金融を締めるという行き方は適当でないので、将来の炭況が明るいという希望が持てるならば、個々の企業については金融というものを見て行く用意はある。こういう見解は各銀行の支店長は皆持つておりまして、特に福岡銀行は九州の炭鉱については相当の融資をやつております関係もありますので、何とか手を打ちたいと考えておるが、資金上の問題で相当苦しんでおる。そういう点についての考慮を払つてくれ、こういう意向でありました。それからあと中央官庁の出先官庁である国税局、或いは労働基準局というような方面にかなり納めるべき税なり、或いは保険料の滞納があります。そういう方面の意見としましても法に基いてとらざるを得ない立場にはありますけれども、将来の炭況が好転するということであれば、行政的にこれを分割するとかというような方法は十分考えたいというような意向を持つておりました。なお電力会社なんかもやはり同じような考えを持つております。九州電力だけで私行きましたときに二億円ほどの電力料の滞納があるわけでありますが、それも個々の企業について出先の通産局と相談して、どうしても先の見通しが立たないというような企業については、一時保安電力というようなものだけを供給するということにしましたが、今のところは通常通りの電力を供給しておる。併しながらこれが将来もずつと今の不況が続くということであれば、電力会社としてもそう大きな未払を抱えておるわけには参らないというような意見でありました。なお私が参りますに当りまして県知事会議が急遽招集されまして、石炭についてのいろいろの意見の交換があつたわけであります。その際に一番今問題が起きておりますのは、数の上におきましては福岡県でありますが、規模と申しますか、炭鉱の形態の上から言つて相当大きな問題の出ているのは佐賀県であります。佐賀の知事さんあたりも非常に強い要望として石炭炭況を明るくして頂きたい。その炭況を明るくするにもいろいろ方法があるであろうけれども、去年のような大きな人員整理のようなことをされると、自分のほうとしては失業対策その他の予算から言つて非常に少いので、そういう方法はできるだけ控えて欲しいというような強い要望があつたわけであります。こういう問題を私東京へ帰りまして、東京の各関係官庁に毎日出向いて現在の石炭状況をよく説明し、なおそれに対する現地の出先官庁はこういう意向を持つているからそれに副うように善処して欲しいということを一々依頼をして廻つているのであります。石炭について極めて冷淡であるというお叱りはそれは私自身が力が足りない点で止むを得ないと思いますが、私としてはできるだけ石炭炭況を明るくしたい、それの一助にと思つて、国鉄のほうにも再三足を運びまして、今の石炭炭況を話し、国鉄が提示しているような相当大幅な値引きということでなしに、金額が幾らということを申すべき筋合ではございませんが、炭況の、今後の炭価交渉の基礎にもなることでありますから、早く合理的な線で価格協定をやつて欲しいというようなことを話しているわけであります。来年度生産見通しにつきましては、これは勿論重油をどの程度削減し得るかという問題にかかつているのでありまして、本日やつとそれに対する通産省の最後決定も行われましたので、それに基いて、大体私の勘で来年度生産見通しとしてはこの程度ではないかという意味先ほど数字を申上げたわけであります。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 言訳ばかりせんで、政府は積極的な将来に対する対策を御説明にならなければ何にもならない。そこで第一に聞きますが、それでは昭和二十九年の出炭ベースは幾らにしたらいいとお考えなつていますか。
  20. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 二十九年度生産目標としては一応四千六百万トンぐらいにしたいと考えております。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 それはあなただけの考えですか、通産省全体の考えで外部に発表される数字ですか。
  22. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 重油数字その他が今朝漸くきまりましたので、まだ通産省内部としてはつきりきめたわけではございません。
  23. 西田隆男

    西田隆男君 これは通産大臣もお見えになつているのだが、この間も私一問一答を交わしたわけですが、今も佐久さんは重油数量がきまつてから石炭数量をきめるというが、そんなものじやないと思う。石炭の根本対策がきまつてから重油の問題を考えなければならない。私はこう思うのですけれども、依然として重油がきまつたら石炭考えるというのは、それはあとさきです。逆だと思う。それくらいに今の日本の国内の石炭というものは大きく取上げて考えなければならない問題です。日本に余つているのは石炭と人間だけです。ほかに余つているものは何にもない。その余つているそれも、むちやくちやに出して余つているのではない。一応あなたがたが出炭ベースを考えられて、そうしてそのベースで出炭をしたやつが余つている。だからこの石炭の問題については一番先に石炭考えたその基盤の上に立つて、重油とかその他の問題を考えなければいけない。これは根本的に考え方が違う。これは責めても仕方がないから……重油がきまつてからきめるというのですから、きまつたらきまるでしよう。四千六百万トンの二十九年度の出炭ベースとして現在の炭鉱の生産原価がどのくらいかかる計算ですか。どのくらいかかるかお見込ですか。
  24. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 二十八年度の平均原価が全部で、カロリーで六千カロリーにおきまして四千五百円であります。四千六百万トンとした場合には、勿論数量的な関係だけでなしに原単位その他の修正をいたしまして、私どもの計算として大体二百五十円乃至三百円ぐらいの原価引下げは可能じやないか、こういうふうに見ているわけであります。
  25. 西田隆男

    西田隆男君 現在の石炭の販売価格をあなた方九州に行かれて見て来られたのですが、これはどれくらいですか。
  26. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 全体平均した数字は私わかりませんが、極端な例としては佐賀県の或る炭鉱のごときは、カロリー三十銭ぐらいで売つている、若松の販売価格を聞いて見ますと平均して五十銭前後の投売が多いようである、こういうふうに聞いております。
  27. 西田隆男

    西田隆男君 今の一事をとつて見ても生産原価は四千六百万トンに対して、四千五百円乃至四千六百円、二百五十円下つて四千二百五十円、カロリー七十銭、あなたが言うような三十銭というのはべらぼうな値段ですが、我々が知つているところでは普通一般市場で五十銭程度で取引されている。そうすると販売価格生産原価との間に二十銭の開きがある、六千カロリーで千二百円の損をして石炭が売られている。こういう状態で重油の問題で見ますと、重油だけが石炭を助けるわけじやないが、十月までどうとかこうとかという話ですが、こういう重い負担を石炭鉱業にかげながら、三十年度石炭生産が見込が立つて、日本で必要とするところの石炭が出炭できるという想定の下にうつちやられておられるのですか、こういう値差に対して何か特別な方法でも講ずるという対策をお考えなつておられるのですか。    〔委員長退席、理事松平勇雄君着席]
  28. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 現在の値下りは勿論合理性というか、原価から見た計算から言えば非常にむちやな値段でありますが、要するに石炭需給見通しというものは今までは全然崩れている。その結果、もう一つは、先ほど申しましたように金融引締というようなことで資金繰りが非常に苦しくなつて投売的な形になつて、そういうことが炭価に現われているのだろうと思いますが、石炭見通しについての通産省の態度も漸くきまりましたし、今まで買控えをしておつた方面からの需要というものも出て来ると思われますので、急激に合理的な炭価に帰るということはむずかしいかも知れませんが、だんだんとその線に帰つて行くのじやないか、こういうふうに思われます。
  29. 西田隆男

    西田隆男君 だんだん回復するといつたつて、いつ頃から始めていつ頃に回復する見通しをつけておられるのですか。
  30. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) これから不需要期に入りますから、今月の末とか或いは来月の初めとかというところで帰るということはちよつと見込めないと思います。併し一般工場の手持の数量から見て、相当に通常の適正と思われる数量から見ればそれを割つておりますので、まあこの不需要期、八月頃までですが、それを越せば相当の買人気は出るのじやないか。
  31. 西田隆男

    西田隆男君 各炭鉱では不需要期八月過ぎまで、今の状態で経営がやつて行けるというお見通しを、九州を視察されてつけてお帰りになつたのですか。
  32. 佐久洋

    政府委員佐久洋君) 問題は勿論金融の問題に帰るのでありますが、先ほど申しましたように、石炭の今後の需給というものの一応の見通しというものが持たれれば各銀行におきましても全然炭鉱を潰すというような考え方は持たない、こう申しておりますので、そういう方面からの金融もつきましようし、勿論非常に楽な状態を期待することはできませんが、どうにか苦しい状態でありながら、企業は続け得るのじやないか、こう思います。
  33. 西田隆男

    西田隆男君 まあ大変楽なような見通しをしておられるようですが、トンに千円以上の欠損をするということは、これはまあ今の毎月の出炭率から見ても、相当な金額になる。この負担に堪え得るのは、銀行がバツクしてくれている大企業は、或いはこの負担に堪えられるだろう。併し中小炭鉱、その中のすべての弱小企業までも助けなければならんとは私は考えておりませんが、現在の状況を見てみますと、潰してはならないような中小炭鉱まで皆参つておる。こういう実態から見て見通しがついたからよくなるだろうというようなことでなくて、積極的に通産省としては将来潰してはならないという炭鉱だけに対しては、何らかあなたの見通しのような、九月から先になると何とかなるだろうというぐらいまで、せめて炭鉱の石炭の採掘がやつて行かれるような手を打つてもらわなければいかんと思う。今のあなたの考え方は余り甘過ぎると思う。そんなに幾ら自由経済自由経済と言つてもこれを放擲しておることは自由経済の範疇を越えておりますよ。もう少し石炭鉱業というものに対して親切味がなければいかんと思う。これは単に炭鉱の労務者に失業者が出るだけではなくて、炭鉱が潰れれば関連産業にも失業者が出て来ます。殊に炭鉱では思想問題、社会問題も起きて来る。ここ三、四年、この炭鉱の従業員の消費生活によつて生きている市町村にとつては、これは非常に重要な問題だと思う。これは決して炭鉱だけの問題ではないと思うのですよ。何か金融方面に積極的に通産省としても世話をしてやる必要があるのではないか、或いはさつきから言うように、工場の貯炭が常備貯炭よりも百万トンも少い。従つて炭鉱は貯炭で困り抜いているのであるから、通産省としては、消費者に対していま少し買入れ方を斡旋するとか、もう少し親切な行政指導をやつてもらいたい。又は炭鉱の金融方面のことを賄つてやれるような手を打つとかしないと、昨日の西日本新聞を見ますと、日満鉱業の新目尾炭坑のごときはもう保安電力も切つてしまつている。炭鉱の坑夫は山の中で真暗です。電燈もつかないという状態です。これは稼働数は僅かに五、六百だが、家族も入れると相当な人数です。そういう連中はどこに行こうにもバス代もないという、非常に悲惨な状態になつているのです。これはあながち日満鉱業だけではありません。ほかの中小炭鉱も同じような形になつている。これは電力会社は営利事業である限り、金を払わん以上は電力を供給せん。これは日銀とかに聞き合せてもお金を出せない。損をする炭鉱には金は出せない。電力を送つたつて金を払つてもらえない炭鉱には電力会社は電力を切るより方法がない。そういう点に対して通産省として、石炭局として現地の通産局としても、このまま見過すのでは冷淡過ぎる。もう少し真剣に熱意を持つて、現在の苦境に喘いでいる石炭鉱業というものを、国の経済ベースに合うような姿で生かしてやるということに全力を注がなければいかんと私は思う。今日の局長の答弁では、私が力が足りないからだと言うが、これは石炭局長だけの責任じやないですよ。抽象的な話でなくて、具体的に実のある一つ答弁をして下さい。通産大臣どうなんです。石炭局長はもつと強い発言があるべきなのに、意外に全く気の弱い答弁をして、委員会で……。
  34. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) これはもう前回、前々回からしばしば西田さんの御指摘になつておる通り、私ども決して小さな問題とも思つておりませんし、それから不誠意にやつておるわけでもございません。全くお怒りになるのも、私はその気持はよくわかると思いますが、政府側の立場におきましても、いろいろの観点か手を打ちつつある、それについては打開しなければならないいろいろ難点もあるのでありますから、お怒りになるのも当然ではございましようが、私ども説明なり、或いは問題としておりまするところについての御理解をこの上とも頂きたいと考えます。細かい数字的な点はすでに御説明申上げたことと思いますが、これは只今お話通り石炭局だけで幾ら佐久君が熱を上げて演説をぶつたところで、それで解決できる問題じやありません。又通産省だけでも解決できない部分もたくさんありますから、それで政府全体を挙げて、或いは政府以外の機関に対してもいろいろの問題を取上げて要請するし、協力もお願いしておるわけであります。  具体的に申上げたいと思いますが、恐らくそんなことは具体的じやないとおつしやるかも知れませんが、問題の項目だけを挙げて見ましても、先ず金融関係に対し、或いは金融当局に対して、特に今通産省としても協力を願つておりますところは、只今の御指摘の通り、味噌も糞も一結に潰れるという、その全体をどうにかしてくれというようなことはなかなか言えないと思いますが、少くとも中堅であり、且つ有望な企業に対しましては、できるだけ融資の斡旋をしてもらいたいということ、それから整理資金の融資というこうについても同様でありますが、それから細かいといつてお叱りを受けるかも知れませんが、すでに滞納が相当な額に溜まつて、金額も御説明したと思いますが、国の国税庁に対しましては、制度的にも税の分割払又は延納を認めてもらいたいということも現在要請し、協議をいたしております。それから同じく溜まつておりまする問題についても、例えば労働基準局の関係や職業安定局の関係もあります。労災保険料初め失業保険等については税と同じような分割払、或いは延納ということを制度的に認めてもらいたい、失業対策費については優先配付をしてもらいたい、それから食糧庁に対しまして、米その他の主食の販売についても特別の考慮を計つてもらいたい。それから金操りのほうでありますが、特に各金融機関に対する日銀の引締方策についての問題でありますが、石炭に関連する部門についての資金引揚の緩和ということも、消極的な対策ではありまするが、相当の効果が期待できるのではないかと思います。建設省については特に河川局、道路局の関係において特に公共土木費についての優先配付を頼んでおるわけであります。それから、これはもうすべて御説明申上げたと思いますが、国鉄について、特に資材局に対しまして買取単価を早期決定してもらいたい。それから電力会社につきましても同様の問題があるわけでございます。そうしてこれらの問題につきましてはすでに大分前の時期から、一々日付までは申上げませんが、閣議におきましても、所管のそれぞれの閣僚に対しまして実情を詳しく説明をいたしますと共に、各省それぞれの立場においての具体的な協力を一日も速かに実が挙つて来るようにということを要請しておるようなわけでございます。これらは併し、いずれも当面のむしろ尻拭いの措置とでもいうべきことでございましようが、積極的な面としては前々から、私も石炭については素人でございますが、私の感じとしては、何としても適正出炭量というものの規模をきめることが結局根本ではないかと考えておりましたが、ますますこの時期に至りましてもさような感じがいたします。これについては当初の希望として、我々の計画は御承知のように四千八百万トンという適正規模が、これが確保できるということであれば、非常に解決が明るくなつて来る、こういうふうに考えておりましたが、遺憾ながら今日において、これを特に二十九年度目標として申上げることはできなくなりました点は見込違いでもあり、或いは又情勢の変化に起因するものと思いますが、併し私は政策の基本として、二十九年度目標としては、これを調整しなければなりませんが、経済自立政策の基幹としての数量としては、そういう程度のものがどうしても必要であろう。そこで以て申しまするように、例えば石油の問題等にいたしましても、そういうところから割出して参るようにいたしたいと思います。先ほど局長が御説明申上げました中でお叱りを受けましたが、重油が先で石炭はどうとか、石炭が先で重油がどうとかいうことは私は言葉の上のこれは単なる問題であるかと思うのでありまして、基本的な考え方としては私は石炭が、先ほども御指摘の通り人間の数と同様に国内で十分あるのでありますから、これを主体に考えるということは当然であると思います。併しこれも国政全般、経済政策全般の問題であります。それから俗な言葉で申上げますれば、従来重油を使つておりました需要者には、これは罪のないことであるとも言えるのでありまして、その方面に対しまして十分な協力を求めますためには、なかなか手がこむわけでございまして、それらの点からこれも弁解だと言つて叱りとばされればそれまででございますが、私どもとしてはいろいろと手を打つて参らなければならない。そのために或る程度の時間のかかりますことは御容赦願いたいと思います。
  35. 西田隆男

    西田隆男君 通産大臣、私が怒る怒るとしよつちゆう言われるけれども、私は別に怒つておるわけじやないので、一応の日本の経済ベースとして四千八百万が無理だとも考えていない。が併しそれが事情の変化によつて四千八百万ベースが維持できないという事態が生じたら、これは正直に早く実情に即するように通産行政方針決定しなければいかんと、こう言つておるだけで、何も日本石炭を四千八百万トンから四千五百万トンに減らしてしまえ、それが日本経済の自立のためにいいのだということを決して私は申上げたことは一遍もない。怒つている怒つていないと言えば、これは言葉の表現の問題かも知れないけれども、いやに無理を言つているように聞えるので、その言葉だけは訂正してもらいたい。決して怒つておるのでない。はつきりせんからはつきりしてくれということを言うと……私のほうで陳情申上げておるというのが本心なんです。それを考え間違いせんようにしてもらいたい。通産大臣、今おとなしい言葉で言われたから黙つて我慢しますが……。  川上さんに聞きますが、いろいろ石炭石油、特に重油の場合についてお話になりましたが、私の聞きたいのは重油数量をどうするとか、幾ら減つてどうなるとかいうことでなくして、あなたのほうでおきめになつておる重油対策石炭の今言う四千八百万トン・ベースというものの生産目標をきめられて、実際はまあ四千六百万トンぐらいしか出してはいかんという方針と、これとの関連を、どの程度重油対策が緩和することになるのか。言い換えれば五百三十七万キロリッターというものが二十八年度については実際は三十万、四十万余計使われておつた、それを五百三十七万キロリッターに一応きめたのであります。従つて重油が非常に不自由をするだろう、行政指導でこれもこうする、あれもこうするのだとおつしやつたのでありますが、その行政指導であれもやられる、重油の抑制といいますか、それが燃料としての石炭のほうにどの程度影響を持つようにお考えなつておるか、それを一つお話願いたい。
  36. 川上為治

    政府委員川上為治君) 石炭のベースが大体四千六百万トンということになりますというと、従来の状況から言いますというと、大体重油につきましては五百万足らずということになつて来るのじやないかというふうに考えられます。で、本年度につきましては一応五百三十七万という数字にいたしたわけですが、先ほども申上げましたように、昨年の食い込みが今年に対しまして相当入つておる。それから四月におきまして四十八万ぐらい出ておる。それから五月におきましてはまだはつきりした数字をつかめません。これも四十万を越しておりますので、私のほうとしましては九月末におきましてはやはり最初外貨予算を組みました数字考えまして、そうしてその中で少くとも在庫につきましては正常在庫を持てというようなことにいたしますというと、先ほどもいろいろお話申上げましたように、六月以降におきましては月に三十万乃至三十三万、三十数万以下ということに相成ると思うのであります。そういたしますというと、これは重油需要のほうから言いますと、非常なこれは窮屈に、非常な削減を受けるということに相成るわけでございまして、その様相を、それを実行いたしまして、その様相を私どものほうとしましては見まして、一方石炭需要がそれに対しましてどういうふうに回復して来るかという点を考えまして下期におきます外貨の正式な割当をいたしたいと考えておるのでありまして、私のほうとしましては、石炭ベースが四千六百万程度ということになりますというと、これはストックの問題とかいろいろな問題を考えなければなりませんが、少くとも重油につきましては三百万や二百五十万というようなことにはこれはならないと思いますけれども、大体五百万、五百万以下ということになつて来るのじやないだろうかというふうに考えておりますが、これは今も申上げましたように、非常にきついものを、この六月から九月までの間に、石油に対しましてはロードをかけますので、その需給関係を見まして下期における外貨割当重油に対する外貨割当をきめて行きたいというふうに考えております。
  37. 西田隆男

    西田隆男君 総括的な説明はそれでわからんことはないのですけれども、六月以降重油消費量が三十六万キロリッター程度になるというお話、そうしますと三十六万キロリッターなつたうちに農業、水産、或いはディーゼル・エンジンを使つているというふうに重油でなければどうしてもいけないという産業の使う量はどれぐらいこれに予定しているか、それからそのほかに石炭を使つて重油と代えてもよろしい産業、或いは電力、セメント、鉄鋼等々、こういうやつの消費数量は六月以降三十六万キロリッターの中にどれくらい見込まれているか。三十六万キロリッターしか総括的に使えなくなると言われても、どうしても重油を使わなければならんのは重油を使わなければならない。その他のものでも設備が重油しか使えないようになつているボイラーもあるだろうし、燃料用としてどうしても使わなければならん数量もあるだろうし、これは総数だけ言われてもわからん。石炭にどれだけ影響するか、それを数字を分けて御説明下さらないと、六月以降石炭にどの程度重油を使つておつたものが転換して行けるかというおよその目安がつく、その御説明一つ願いたい。
  38. 川上為治

    政府委員川上為治君) 大体六月以降の月に三十六万という数字はありませんが、今総数につきましては先ほども申上げましたように三十万から三十数万のところだと、これは少し数字の、我々のとつたのと、又はかの局でとつたのと少し違つている点がありますので、そう大きな開きがありませんが、少し変りますが、少くとも今の、先ほど申上げましたような考え方でこれは実行いたしますというと、月に、六月は三十数万、その程度になるということを申上げましたが、大体農林漁業用、それから船舶用というものが五百三十七万キロリッターのベースで見ますというと、百八十万ぐらい使うというようになつておりますので、そつちのほう百八十万というのは、私のほうとしましては殆んどこれは動かしてはいかんというような考えを持つておりますので、この百八十万、百八十万と申しますと少くとも月に十六万程度でありますが、この五百三十七万に対しまして百八十万程度考えておるのでありますからして、月に三十数万のうち半分程度はこつちのほうに確保しなければならんということになつております。    〔理事松平勇雄君退席、委員長着席〕 そうしますというと、それ以外にどうしても使わなければならんというのは、これは先ほども例をちよつと申上げましたが、例えば硫安の、重油ガス、これは原料として使う場合、或いは銀鉱炉の例えば平炉とか、ガラスの熔融炉とかそういうものに使いますもの。それから輸出製品品質保持又は向上のために、どうしても要るというようなそういうような場合、これは量的には実は今日、まだ検討いたしておりまして、持つて参つておりませんが、そういうものを除きますというと、ほかのほうは非常なこれは削減になるというふうに考えてもいいのじやないかというふうに考えております。大体一応私のほうでは電力会社或いは鉄鋼或いはその他のもの、こういうものが一応の上期のすつぽかしておきました場合にどれくらい需要があるかということに対しまして、それに対しまして今回の措置をとるというと、少くとも電力については四〇%くらいの削減なつて来るのじやないか、或いは又窯業、セメント関係につきましても、少くとも二〇%以上の削減なつて来る、それから繊維関係につきましても四五%くらいの削減、それから紙とか、或いはパルプとか、そういうようなものにつきましても四五%くらい、それからゴム関係につきましても四五%くらい、そういうようなふうに非常に削減するというふうに考えております。なおその今お話がありました、じやその硫安重油ガス化のためにどれくらい出すのか、或いは鉄鋼関係に幾ら出すのかという点につきましては、細かく今いろいろ弾いておりますので、今日あたりからそれを更に弾いております。ただ一応我々のほうの作つておる原案というのは、今申上げましたようなことで、各原局にこれをお話しまして、この削減をどの業種につきましてはどの程度にするか、どの業種についてはどの程度にするかという点につきましては現在当つておるわけでありますが、少くとも農水産、船舶関係というものが相当やはり使つておりますので、三十数万ということになりますというと、月に半分程度はこつちのほうに取られてしまつて、一般の鉱工業とか、そうした方面に対するものは約半分ということになりますというと、従来よりも非常な削減になるというふうに考えております。
  39. 西田隆男

    西田隆男君 今あなたが説明された六月以降のもの、使用減のパーセンテージで説明されたようですが、これは全部石炭を使つている産業ですが、これは全部若し石炭数量に換算したらどのくらいの数字になりますか。
  40. 川上為治

    政府委員川上為治君) 大体六月、七月、八月の頃、これを三十数万ということにしますというと、現在月に四十八万乃至五十四万くらい出ておりますからして約二十万近く違うわけですが、それを仮に年間に直しますというと二百万トン以上になります。二百万キロリッター以上になりますので、石炭に換算いたしますと非常に大きくなる、大体石炭は倍くらいになりますので、そういう一応の計算になりますが、ただその下期におきましては三十数万では果して月々はこれはとてもうまく行かないというように考えておりますので、下期は相当需要が殖えて参りますので、又下期における我々のほうとしましても重油割当の量も一応これは月三十数万ということではいけないというふうにも考えますので、この点も考慮しますというと、今申上げましたようにまあ四百万程度ということにはならないと思うのであります。
  41. 西田隆男

    西田隆男君 そういう御説明じやいかんのですよ。現在使つているのが五十数万キロリッター使つておつても、三十数万キロリッターとの差の二十万キロリッターが全部石炭に代つて使われるというわけじやない、二十万キロリッターが全部石炭を使うということにはならないと思います。石炭を使つている産業が二十万キロリッターの中に入つているわけなんですね。だから下期のものもこれじや足らんからということで石炭を使つているほうの産業に廻してもらう、石炭を使わない産業のほうを減らしたのじや、結局石炭を使う産業が増加することにはならない。今あなたが言われた電力四〇%、セメント二〇%、この割で大体どのくらいの石炭消費量が殖えるかということを私は聞いている。大体の見通しはついておりませんか。
  42. 川上為治

    政府委員川上為治君) 非常に細かい数字は、今弾いておりますので、なかなか数字の計算というのはむずかしい点がありますので、まあじやどのくらい石炭のほうに重油のほうが削減なつてそつちのほうに廻せるのだ、石炭のほうを使うようになるかというような数字につきましては、はつきりしたことは言えませんが、少くとも上期におきましては二十八年度の食込みとか、或いは四月、五月の使い過ぎとか、そういうことを考えて、そして上期において予定の通り使えるということになりますというと、六月以降の上期の分だけでも少くとも五十万近く足りないということになりますので、そうしますというと、百万ぐらい石炭のほうへ上期におきましては廻つて行くということになつて来るのじやないかというふうに考えます。
  43. 西田隆男

    西田隆男君 今その説明ができないそうですから、各産業別に一つ委員長から資料を要求して重油使用量と同時に、石炭を使つている産業がどの程度の、石炭を使うとすればどの程度石炭を必要とするかを資料として当委員会に出させて下さい。早急に出してもらうように委員長から計らつてもらいたいと思います。
  44. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは政府側から只今の西田君の御質疑に基いた資料を至急に御提出を願います。
  45. 西田隆男

    西田隆男君 今の資料は別に通産省の秘密をあばくということでもなんでもないので、こういう段階になればまあ石炭重油というものの関連は非常に不可分の関係にあるのですから、消費者にも、各業界の人々にも、やはり通産省としてよく理解を得てもらつて、石炭業界は勿論のこと、石油ども日本総合燃料対策の見地から通産行政の面には是非協力してもらうように通産大臣になお一層のお骨折をお願いしておいて、私の質問は一応これでやめておきます。
  46. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私ちよつと機会がなくてお答えいたしませんでしたが、先ほど失礼なことを申上げたとすれば御容赦願いたいと思います。  それから只今御要求の資料でありますが、これは何遍も局長からも申上げておりますように、一つ私のほうのお立場もお考え頂きたいのでありますが、こういうものが出た、そうすると、これは一生懸命作つて出しますけれども、一遍出ますと、従来の例のように、これはお前のほうで何月何日にこう作つたが、これはこういうふうに違うじやないかということが必ず出て来ると思うのでありますが、一つ我々のほうといたしましても、仮定をこういうふうにおいたならばこういうことになる、こういうことで取りあえずのところは出させて頂きたいと思いますから、その点御了承願いたいと思います。
  47. 西田隆男

    西田隆男君 これは別にさつき言つたように、通産省の秘密を一般に知らせるとか、資料が出たから、お前こんな資料を出してと言つて責めるという意味じやない。我々もいろいろこういう問題を論議した以上は、何か自分としてもやはり拠るところがなければならない。こういうことを委員会質疑応答したけれども、結果として何も現われて来ないということでは誠に頼りないのですから、やはり資料として出されればこうなるという見込でも結構なんですから、見込が間違いはないような結果が生れるようにやつてもらわなければならない、その熱意だけでも持つて頂かないと、委員会質疑応答で数字だけ説明しても意味はないと思います。資料をもらえんなら、パーセントが間違いがないのなら、我々のほうで、電力、セメント、繊維、パルプというようなものは調べさえすればこれはわかるのですから何でもないのですが、我々の調べた資料よりも、やはり官庁としてこういうことが予見しているならば予見されたことが結果として現われるように努力してもらわなければならないという二つの意味合いを兼ねて申上げている。何も窮屈にお考えになるものが私はないと思います。実行に対して一応こういう結論をもたらすようには是非一応努力してもらいたいと思います。
  48. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 私の申上げたのはまさにその意味でありまして、先ほどお話があつたように、各界の協力を求めてこの大事な石炭対策を考慮されるわけでございますから、そのときどきに考え得る一つの仮定の下において、こうなればこうなるはずでありますという資料を、これはできるだけ智慧をしぼつて差出します。勿論出しますからには誠実なるものを出したいと思いますが、同時に時間的に急いだほうがよろしいと思う点がございますから、ものによりましては非公式に将来それによつて責任を追及されることはちよつと困るというものがあれば、その点を明示いたしまして出すというように配慮させて頂きたいと思います。それから申上げるまでもないのでありますが、そのことがいいか悪いかは別問題として、例えば重油消費の節減をいたします場合に、現在は法規とか罰則とかを楯にしてやるわけではないのであつて、どうしても大口需要者そのほかの協力を求めなければなりませんから、各業界に対して当局の斡旋の下にネゴシエートして行かなければならんものでありますから、その話合いの進み工合によつては見込の数字などが当然変つて来ることがある、この点だけを一つ御了承願いたいと思つたわけであります。
  49. 西田隆男

    西田隆男君 今通産大臣が言われたこと、大体私にわかりますけれども、あなたのほうで計画されて努力目標をきめられたけれども、それと余り違わないように努力してもらわんと、それがまるきり裏腹になつたような結果が現われたのでは、努力したつて努力したことにはならないのですから、その点はぬかりはないと思うのですが、一つ急速に何とか石炭危機打開のためにお骨折りを願います。
  50. 加藤正人

    ○加藤正人君 鉱山局長に伺いたいのですが、五百三十七万キロリッター実績を標準として規制するのでありますが、規制方法は九月末の在庫量を指示する、それであとは業種別、月別に数量規制しそれ以上は売らせないようにし、又買わせないようにするというのですが、実際それを実行する方法はどうされるのですか、売らせない、買わせないというのは……。
  51. 川上為治

    政府委員川上為治君) 売るほうに対しましては、石油元売業者の団体であります石油元売懇話会というのがありますし、又それが元であります。作るほう、精製関係は精製懇話会というのがございますが、この精製懇話会なり或いはその元売業者のメンバーというものは比較的少いのでありまして、大体二十軒程度のものであります。精製業者はいわゆる精製九社といいますか、九社でございますので、これは比較的少いし、私のほうとしましては、こういう業者は相当強く把握いたしております。而もその毎月の生産量なり或いはその販売量というものははつきりつかんでおるつもりでございます。従いましてこういう業者は一番元の、出すところの一番元でありますから、出し品でありますので、ここの製罐をきちつと抑えまして、そして月に大体全体で三十何万なら三十何万ということで販売しなさい、それからその業者別の割当につきましては、従来もうすでに外貨割当でちやんときまつておるのですから、従つてそういう比率で分け合うということになりますので、元売業者なり、或いは精製業者の販売数量というものは月々これは抑えて行くことができると考えております。それから結局それは別に法的に縛るものではなくて、行政指導によるのでありますので、その行政指導に従わなくて余計に販売するというものが私はないでもないと考えられますので、これは在庫のところで、いわゆる九月末の在庫で幾ら各社は持てということを指示いたします。それでこれは勿論毎月の在庫とつておりますが、その毎月の在庫も十分監視して参りたいと思いますが、九月末の在庫を幾ら持てということにおきましてその在庫を抑えまして、若しそれ以上、我々がその社に対しまして要求しておりました数量以上に在庫を非常に減らしていたというような場合におきましては、その次の期におきます外貨割当削減して行く、或いは九月までの間に相当その月々の在庫状況を見まして、その社のものが減つておるということは、言い換えれば与えられた以上に販売しておるということになりますので、それは結局その状況を見ましてその次の期の外貨割当を抑えて行く、そうしまして協力したものに対しましてその分はそつちのほうへ与えて、協力しないものからその分だけ差引いてしまうというようなことで行きたいと考えております。そうしますと、少くとも在庫の問題とか、そうした方面から抑えて、外貨削減いたしますと、これはその業者にとりましては最も痛いことでありますので、この問題に対しましては元売業者なり精製業者というものは、これは協力してくれるというふうに私は考えておるわけでございます。それから途中の特約店を通して、これは特約店というのは全国に数千軒以上あるのでありますが、これは私のほうとしましては一々これを行政指導によつて抑えるということはとてもできません。これははつきり申上げておきたいと思うのですが、特約店の全国の団体がありますけれども、これから非常にやかましく言いましても私は非常にこれは無理ではないかというふうに考えております。結局出すところの一番根元を締めるということと、もう一つは少くとも大口の需要者につきましては、需要原局指導その他によりまして、その需要者の購入数量を、先ほど申上げましたように、例えばセメントでありますとか、或いは鉄鋼でありますとか、或いはその他の電力とかガスとか、そういうものにつきましては大体大口の工場の使う数量というのはわかつておりますので、それに対しまして削減しました数量指示いたしまして、この程度買いなさいということを強力にその監視をし、それから若しそれに対しまして従わない場合におきましては、今後そういうものに対する配給をやめろというようなことでもいたしますと、これは勿論元売業者に対しましてでありますが、そういうことになりますと、これは需要者のほうも守つてくれるということで、私はそういう行政指導によつて何とかしてこの問題を切抜けて行けるんじやないかというふうに考えております。ただこれは切符制ではありませんのでなかなか完璧を来たすということはできないと思うのですが、一番その根元のところをぐつと抑えて行くことになりますので、或いはほかのいろんな品物よりもまあその点だけはやりやすいんじやないかというふうに考えております。
  52. 加藤正人

    ○加藤正人君 これはまあ今西田委員の言われるように、石炭業の危機を救うという、これは国家の経済の上から考慮しなければならんのであります。その規制方法も大元を締める、ガスの元を締めるようにとめるわけでありますから或る目的は達すると思いますが、この大工場などは協力が成るべくせられるようにして実行して行く、これは今も大臣が言われたように、この重油を使つていた人たちも決して悪いことをしていたわけではない、従つて輸出産業などはコストの上から必要上やつたことで、又これを使うために相当な装置、設備をしたもの、こういうものに対する規制ですが、例えばここに電力が四〇とか、セメントは四五とか、繊維が四五%でありますが、これを使うために設備したその設備に対する需要量というものは考慮に入れないで、減らすためにこれを削減したということになるんでしようか、多少設備はしたのであるからその設備に対する必要量というものは考えてやつて、この程度なら差支えないだろうという考慮を払われた結果でありましようか。
  53. 川上為治

    政府委員川上為治君) この数につきましては、これはまだ先ほども申しましたように最後的に固まつた数字じやありませんので、繊維が果して政府の従来の需要見通しからいつて四五%になりますか、或いは四二%になりますか、これは今日もやつておりますのでわかりませんけれども、少くともこの数につきましてはただ一律に何でもかんでも四五%にしたというのじやありませんので、これは各産業別にそれらの施設を一応調べまして、即ちその施設について混焼設備或いはその専焼設備、或いは併用設備というようなものを調べました上で、そしてその産業がどうしても重油でなければ困る点がどういう点であるかというような点なんかも考えまして一応当つた数字でございまして、勿論業界のほうからはこれだけ切れたら大変だとおつしやるかも知れませんけれども、私どもの一応数字としましてはそういう点を考えてのパーセンテージに考えております。
  54. 加藤正人

    ○加藤正人君 まあ一応そういう程度でしたら随分業種によつては、農業であるとか漁業であるとかいうはつきりその必要性が認識され、一般になくともその業種としては相当困難を感ずる業種ができるわけですが、それを空気をとめるように大元でスイッチをひねるようなことをするのですからこれはどうもそれがコストに関係して来、その業態の成績にも非常に関係するようなこの措置の結果影響があるとすると、政府は将来燃料費に対する一応の責任を負うことになると私は思うが、石炭に切替えたらだんだん今度は石炭の値が上つて来るというようなことになると、業種によつては採算がとれなくなるということが自然起つて来るかと思う。これはまあ石炭業の危機に対する国民的協力といつて或る程度は止むを得んとしても将来に対する政府燃料の施政上の一つの責任を負われるようなことになるのでありますからその点について十分御考慮を願いたい。こう思うのですが、そのくらいな覚悟でやつてもらえるかどうか承わりたい。
  55. 川上為治

    政府委員川上為治君) 先ほどのそのパーセンテージにつきましては、これは私のほうとしましてはやはりその事業において燃料費が大体どれくらい占めておるものと、その燃料費でその全体のコストから見まして少し重油のほうじやなくして石炭を使つてもそれほどそう燃料費が必要であるかというような点も考えなくつちやならんと思つておりますので、勿論このパーセンテージにつきましてはそういう点も考えますと、或る程度変つて来ると思うのですが、そういうことも十分考えて一応のパーセンテージというのは弾いておるわけでございますけれども、まあ石炭に切替えても燃料費に対しまして非常に大きな影響がないようにという点については十分考えて行きたいと思つております。
  56. 加藤正人

    ○加藤正人君 この重油燃料にするための装置をするための、当時などは石炭は割合に高い、重油を成るべく使うようにというので重油を使つた。今度は石炭のほうが困つて来たから重油はやめろ、こういうふうにだんだん燃料に関する政府の何というか、これはまあ止むを得ざる、今度のときは止むを得んかも知れんが、施政の変動の結果業者は右往左往しておるような様子であります。これはもう将来の燃料対策の根本的の政策を確立する時期が来なくつちやいかんと思うのです。始終業種によつてはこういうことのために国策であるといつて折角した装置も使わないという不経済な存在になるというようなことをやつておつては業者としてはこれはたまらんと思う。将来はどうぞ十分、ときどき動揺のない、恒久的な国家としての政策を確立されるように私は希望しておきます。
  57. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほど鉱山局長の御説明によりますると、大体五百三十七万キロベースで、農漁村用と申しますかね、使うのが百八十万キロくらいであつたという御説明でありますが、又同時に先ほどの御説明によりますというと、小売特約店の段階においてはコントロールが非常に困難であるというお話でございます。私は実は恐れますのはこういうふうな行政措置による抑制というものが結局は大産業においてはそれほど困らないで、実際に必要な農漁村用のものが非常な困難を感ずるという結果になりはしないかということを非常に恐れておるわけでございますが、その辺については何か十分に安心のできる方法が講じられておるのでありますか。その点一つお伺いいたしたいと思います。
  58. 川上為治

    政府委員川上為治君) 五百三十七万のうち百八十万くらいが農漁村と、それからもう一つ船舶用、この両方合せまして百八十万くらい今年はあるのじやないかということを申上げましたが、昨年の実績は五百三十七万に対しまして約百六十万くらいでございます、両方合せまして、これは最近の傾向を見まするというと、ほかの鉱工業関係は年に二百万キロリッターも殖えて参つておりますけれども、農漁業関係、それから船舶関係は大体年に十万くらい殖えておりますので、先ほど申上げましたように両方合せまして二十万くらいでございますが、大体両方合せて百八十万くらいになるのではないかと先ほど申上げたわけでございます。これは農村用、漁村用、それから船舶関係を合せております。そこで、こういうものに対しましては、この五百三十七万よりも本当の重油需要としましては六百八十万も要るだろうということを言われておるのでありますから、これを非常に厳格に抑えて行くということになりまするというと、結局大口のほうはこれはまあうまく行くかも知れないが、その代りこういうものに影響しないかという、まあ問題がありますので、従いまして私のほうとしましてはこれは四月の初めでございましたが、農村、漁村関係、それから船舶関係につきましては、これは船舶関係はこれに準じてというような扱いをすることにいたしましたが、農村、漁村関係につきましては確保措置要領というものを作つて、もうすでにこれを実施さしておるわけでございます。少くとも農村用とか漁村用の重油に対しましては配給が十分に行くようにしろということで措置とつております。その措置要領のことは、これは今別に申上げませんが、要するにその漁村関係というのはその大部分ですけれども、まあ船舶と漁船なんですが、これは大体特約店、全国に数千軒ありましても、そのうちで漁村関係、漁村用というのは、船舶用というのは、大体殆んど大きな特約店でありまして、而もその殆んどきまつております。それから元売業者から販売する場合におきましても、これも相当販売しておりますが、これも大体個所もどこどこの店がどこで販売しておるということも殆んどこれもわかつておりますので、そういう店を通してこれは主として専門業者でありますが、そうした方面に対してそうした方面から配給させることになつておりまして、そうして苦情処理機関というのをそういうようなものに作らせまして、県別に、その苦情処理機関に値段の問題でありますとか、或いはその配給数量の問題でありますとか、そういう問題で問題が起きましたときは苦情処理機関に訴えさせる。その苦情処理機関におきましてどこどこの店から配給が行つてないという場合におきましては、これは苦情処理機関において、或いはほかの店からすぐ手当をしてやるというような措置を講じさせておりますし、又若しそれでも間に合わんというような場合におきましては元売業者のタンクにはどうせ或る程度のものは保有されておるのですから、そつちのほうから配給させるというような措置を講じて、もう四月からこれに実行されております。そういう点を一面におきましてはこれも行政指導でやつておるのですが、若しそういうことに対しましてなかなかうまく行かんというような場合におきましては、その特約店の系統を辿りまして、これはわかつておりますので、元売業者にやはり責任を持たせる、で元売業者が結局そのうまく配給しなかつたというようなことで、外貨割当等において措置をとるということにしてありますので、確保措置についてはそういう手を一面においてはすでに打つているわけであります。今回のこの大口工場に対する陸揚用の油につきまして、これは元売のほうとそれから需要工場のほうと両方から一つ抑えて配給をさせるということになりますが、その数量以上に売つてはいけないということになりますが、これは勿論非常にむずかしい点は私はあると思いますけれども、最後のストックの問題でこれを抑えて行きますれば何とか切抜けて行けるのじやないだろうかというふうに考えておるわけでございます。
  59. 中川以良

    委員長中川以良君) 私からちよつとお伺いしたいのでありますが、石炭はこれは日本といたしましてはもう最も大きな原料資源であるので、有効に使わなけりやならんことは西田委員の御指摘の通りだと思うのですが、そこで石炭をただ単にそのまま燃料に使うということに対してのみの政府側の御発言でございまするが、私はまあ燃料に使うためには石炭ガス化したほうがいい。ところがガス会社ではこれは不幸にして日本には原料炭が少くて、ガス会社で焚く炭も輸入炭を使つておるというような甚だ矛盾した状態が出ております。そこで日本石炭を将来これをうんと利用するということになりますると、どうしても石炭化学工業というようなものを石油化学工業と相対立して私は研究をして行かなきやならん、そういうような点についてはやはり画期的の計画をお立てになつ政府はやはりそういうものに御研究を進めて行かれるということは、私今日は必要じやないかと思うのですが、そういう点は一体どういうふうに通産大臣考えておられますか。
  60. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 只今委員長の御指摘の点は私どもも誠に御尤もだと考えておるのであります。先ほど加藤委員も御指摘になりましたように、私はまあ率直に申すのでございますが、いろいろの事情がありまして当時として止むを得なかつた、又当時としては輿論の支持も仰ぎ得たと思うのでありますが、総合燃料対策において、重油使用について今日から見れば少し度が過ぎたのではなかろうかという点も私は率直に認めざるを得ないと思うのでありますが、只今のところは総合燃料対策ということで、いわゆる再転換を急速にやる、そのために需要者方面の協力を願い、併せて石炭業界のやはり非常な自力更生についての協力を求めなければならない。こう考えておりますが、そのほうに非常に当面の行政措置や、或いは政策の考え方に只今のところ多くの時間と努力が費されておりますために、将来の積極的な面に対する対策がこれ又多少遅れておると思いますが、私どもとしては、直ちにこの状況に鑑みまして、石炭資源の積極的な利用並びに直接燃料というだけでなく、将来のいろいろの用途について積極的に考究をし、又これを具体化して参るべきであると考えます。そういう面におきまして、工業技術院等におきましても、従来からの研究もございますが、更にこの段階の下において、実際応用面における技術調査研究を早急に進めて参りたいと考えております。
  61. 中川以良

    委員長中川以良君) どうも今までの燃料対策というものは極めて近視眼的な、場当り的な朝令暮改式であつたので、この機会に十分一つ従来の弊害を改めて頂きたいと存じます。私ども一つ心配をいたしておりますのは、先ほど加藤委員もお触れになつたのですが、重油規制をして参ることは、私どもこれは当然この際やらなければならんことでありますが、ただ一律に先ほどお話のあつたような数字だけお出しになつてその線で抑えて行かれるということは、ややともすれば角を矯めて牛を殺すことになるものがあると思います。殊に高橋通産大臣のときに重油を奨励していろいろ設備もしておるというのがたくさんございます。なかんずく一つの例でございますが、火力発電の面におきましても、最近いわゆる非常に高圧のボイラー等で重油を混焼をしているために、悪いいわゆる低品位炭も十分に活用ができる、而もそれによつて完全燃焼ができるという設備が新らしいのが皆ついております。中には重油専用の設備を持つたものがある。これは、若しも今言つたような比率で削つた場合には、これが却つて使われる。低品位炭が使われないで、今困つている中小炭鉱に一層不測の禍いを招くことになるのではないかということを我々恐れるのでありまして、伺うところによると専用だけ、いわゆる重油専焼のものに対しては油をつけるが、混用の、いわゆる混焼のものにはつけないというような御方針のようでありますが、そうすれば私は非常に間違いが起きて来るのではないか。こういう点も技術的に御検討にならないと折角の節約が節約にならん、それが電力料金等の値上げの因をなすというようなことになりますと、日本の産業界にも大きな悪影響を及ぼすのでございますから、その点は十分一つ慎重に技術的にも御検討の上、一つ本当に実情に副う規制方法をおとりになることが今日極めて必要であると思います。  それでこれは一つの例でありますが、公益事業局長おいでですが、公益事業局長から今の問題を、電力行政の面から一体どういうふうにお考えか、ちよつとお伺いしたいのですが……。
  62. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 只今委員長お話通りに、火力発電におきましては専焼のもの、或いは混焼のものの設備がございます。そのほかに起動用として使つておる重油もございます。又事故等の場合におきまして圧力を落せないために一時的に重油を使うというような、いろいろの用途があるわけでございますが、この石炭に転換いたしますために、できるだけ重油需要を節約するという方針には当然に協力すべきであると思いますが、それには限度があるのであります。従つて今のような各それぞれの用途につきまして、無理なく切れるものは当然に切りまして、それ以上切る場合には、例えばピークの場合におきます発電力に関係いたしますとか、全体の供給量そのものが問題になるとか、或いは非常にそれに対処し得ないというようなことが起ることをできるだけ避けるような方法規制することが望ましいのではないか、併しこれは発電の面から考えます要請でございますが、全体の重油の供給、或いは石炭バランス等から考えまして、或いは外貨等の点から考えまして、或る程度発電面の犠牲を強いても大いに節減すべきだということになれば、無論そういうことも犠牲にしてやることも止むを得ない。併し一応私どものほうでは無理のない線で規制考えて参りたいというふうに考えております。
  63. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今のようなやはり御答弁でございますが、こういう点、ほかの産業にもあると存じますので、一つ慎重な御対処を特に通産大臣に御要望申上げておきます。
  64. 愛知揆一

    ○国務大臣(愛知揆一君) 承知いたしました。
  65. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。  それでは燃料問題は一応本日の御質疑は済んだようでありますが、丁度今日は燃料関係の担当局長が見えておりますので、実は請願、陳情につきましては先ほどお諮りして、水曜日に取上げることにいたしておりまするが、この石炭鉱業に関しまする陳情が五件出ておりまするので、この機会に一つこの分だけ御審議をして頂きたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは先ず陳情の趣旨を専門員より御報告いたさせます。
  67. 山本友太郎

    ○専門員(山本友太郎君) 本日御審査を願います石炭関係陳情は文書表にあります陳情第七十六号、同じく第三百十九号、同じく第二百四十三号、同じく第三百三十六号、同じく第六百三十八号、以上五件でありますが、内容は大体において大同小異でありますので、代表的な陳情第七十六号を御紹介申上げますと、本件は福岡県知事杉本勝次君の提出されたものでありまして、内容は、石炭鉱業は近時不況の一途を辿り前途は誠に憂慮に堪えないものがあり、社会問題としても重大なる影響をもたらしているところであるから、速かに強力なる石炭鉱業対策を樹立すべきである。特に対策といたしましては三点掲げられておりますが、その一点は石炭行政に対しては長期計画を立てること、第二点といたしまして重油への転換及び外炭の輸入は、国内の石炭産業に経済的打撃とこれに伴うもろもろの社会問題を惹起するので、慎重に再検討の上必要止むを得ないものにとどめること、第三点といたしましては、中小石炭鉱業の企業合理化対策、なかんずく設備の近代化対策についての国の施策が等閑視されている現状につき強力な中小炭鉱の振興対策を確立すること、以上に対する一連の対策について可及的速かに善処されんことを要望するという趣旨のものでございます。以下先ほど申上げましたようにほかの陳情も大体においてこういつた点を中心とする陳情でございます。
  68. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今の陳情の趣旨に対しましては特に石炭局から今御答弁を求めるようなこともないと思いますので、すでに御審議を尽されておりまするので、当然本陳情は取上げるべきものと存じますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは陳情第七十六号、第三百十九号、第二百四十三号、第三百三十六号、第六百三十八号、以上五件の陳情は採択をいたすことに決定をいたしました。
  70. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは次に肥料関係の二法案議題といたします。本日は通産省側より中村軽工業局長、石井振興部長公正取引委員会より坂根経済部長、丸山調整課長、それから内閣法制局より西村第三部長、農林省より小倉農林経済局長、林田肥料課長、以上が政府側より出席をいたしております。それでは前回に引続き御質疑を願います。
  71. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ず中小企業庁に質問をいたしたいと思います。問題点はすでに御承知かと思いますが、肥料の配給状況を見ますと、商人側と農業団体側とは大体その肥料配給に関与している数量的なパーセンテージはほぼ相半ばしておるのでございます。具体的に言うと商人系が四八・五%、農協系が五一・五%であります。併しながら六、七〇%も商人系のほうが配給いたしておる県も少くないのでありまして、例えば埼玉県においては七〇%が商人系が配給しておる、山梨県においては六八%商人系が配給しておる、和歌山県においては六四%、徳島県においては七三%、香川県においては六五%、高知県においては七〇%を商人側が配給しておるというような実情であります。今回硫安需給安定法案が去る国会に提案せられました際には、買上げをする、又保管をする団体というものを農林大臣が指定することになつておるのでありますが、その買上保管団体というものは農業団体であろうと商業団体であろうと、申出をしたならばこれが指定の対象になるという、要するにこの複数制をとり得るような法案なつておつたのであります。ところが本国会において衆議院でこの臨時硫安需給安定法案が修正せられまして、臨時肥料需給安定法となり、内容についても相当の修正が行われたのでありますが、その修正によりますると、買上保管団体の指定は、「農業者を直接又は間接に構成員とする団体」に限るという文句を挿入せられて、要するに買上保管団体としての指定申請ができるものは農業団体だけに限定する、先ほどお話するように、肥料の実際の配給状況を見るというと、商業者側も約半分の配給をしておるにもかかわらず、その商業者団体というものは保管団体たるの指定申請ができないというふうに法律を修正せられたのであります。ところがこの買上保管団体というものに対しては、今度のやはり修正案において、政府が資金の斡旋もする、更に損失を生じた場合にはこれを損失補填をする、要するに金利、倉敷料等の損失は見よう、又買上保管することによつて将来これを販売して、そこに差損を生じたらその差損も政府から補填されるということになつておるのでありまして、要するにこの買上保管数量約十七万トンでありますが、金額にして三十四億円、この三十四億円の支出というものについては、危険負担は政府において安定した商売がその分だけについてはできる、それだけ買上保管団体に指定せられたものはプラス・アルファの安定した商売ができるという大きなまあ特典を得るわけなんでありまして、これが今後商売の上において、又その他資金操作の上において非常に大きなアンバランスが商業者とそれから買上保管団体になり得ると限定せられたこの農業団体側との間においては出て来るのでありまして、これは商業者全体として非常に大きな問題であり、まさに死活の問題になつて来ておるのであります。で商業者の数は約一万六千有余でありまして、その従業員は三万八千百三十四人、その家族まで入れるというと十一万四千人にもなるのでありまして、商人自体の一万六千も加えることになりますというと十数万の者の死活に関係する。かような立場に置かれておる商業者が納めておる税金というものは十億を越えておるというような状況なんであります。その商業者がまさに死活に瀕するような修正が今回衆議院で行われた。なおその修正案によりますというと、肥料審議会の委員が従来は九人であつたのでありますが、十五人にこれが殖やされておるのであります。ところが肥料の販売業者を代表するものから出る委員の数は原案においてすら三人であつたのが、今回は二人に減らされておる。全体の数が九人から十五人に殖えたにかかわらず、肥料商代表の数は原案のときより却つて減つておる。要するに肥料販売商に対して徹底的なる打撃を与えるような恰好になつて来ておる。その意図は那辺にあるかは別といたしまして、結果的に見れば、まさに只今申すようなふうに実質的において、形式的において普通法律案として我々が考え得られんような結果がここに出ておるのであります。肥料商の所管は現在通産省ではなくて農林省であるのでありまして、これを農林省として如何に見られるかということは、先般すでに農林当局に質問をいたしました。農林当局としても答えずらいようであつたのであります。ここでその詳細については申しませんけれども、農林当局自体も苦境に立つておられるというような状態なのでありますが、本日は中小企業庁というものは中小企業全般の総合的な所管官庁であるのでありまして、その点においては農林省の所管関係につきましても総合的な立場からは中小企業庁においては責任を持たれるべきものだろうと思うのであります。かくのごとく商業者が農業者と同じくこの肥料配給立場に実質的にも数量的にも同じ立場に立ちつつかような差別待遇を法律の上にするということについて如何なる見解を持つておられるか。かような行き方は事肥料商の問題でありますが、考えようによつては、今後農林省所管、商業全体に現われて来るかも知れない。これはやがて曾つて農林省へ当時の商工省から移管せられた商業者の運命に関するものでありまして、さなきだに前々から農林省へ移管せられた商業者というものは、かような状態では再び商工省へ戻らなければもう立ち行く瀬がないというような悲鳴を漏らしておつたのでありますが、もう現実、只今そういうことが現われ、而もそれが法律制度の上にはつきり出て来るということは黙視し得ない問題だと思うのであります。その点において中小企業全体の立場にありまする中小企業庁に対して、この際如何なる見解をとられ、又措置をとられるか。これを私は放任しておきますとやがて曾つて起つた反産運動に再び大きく火を点ずることになると思います。さような面からも中小企業庁はこの際真剣なる認識、更にこれに対しての対策を講ぜられなければならん、その点についての意見を伺いたいのであります。
  72. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 只今肥料の保管を義務付けられる団体につきましては、豊田さんから御質問があつたのでありますが、政府考え方といたしましては、この保管団体が生産者の立場に立つものでもなく、又消費者の立場に立つものでもなく、唯一の中間団体における保管業務を公正に執行するという機関として適当なものであればこれを無差別にし得るという原案を決定して、国会の御審議を仰いだわけでございまして、政府原案が、各種の角度から検討を重ねました結論として最適であるという確信に立つて提案をいたしておるものと信じておる次第でございます。ただこの法案それ自身が、この保管業務というのは、いわば業者が国家の要請に応えて、国家的目的のために保管する一つの義務でございまして、彼らのみずからする営業というような書き方はしてないわけでございます。若しこれが肥料販売業者の営業権を制限するというような文章の書き方でございますならば、これは明かに憲法の予定しておりまする常業自由の原則その他に対する背反と相成つて参るわけでございますが、むしろ国家的義務を、成る特定の資格を備えたものだけができ得るということにいたしてありまするために、直ちにこれが憲法上の問題として考え得るかどうかという点に、まあ立法技術上と申しますか、法律上の問題があると存ずるのであります。併しながら何にいたしましても肥料の配給業務に当つておりますものの大部分は、中小企業者でございます。その或るものは協同組合等の組織を作りまして、それぞれ相互の連絡、みずからの社会的立場の自覚によつて肥料の配給業務が、農林団体或いは農業者団体と決して負けないように、農業者のサービスに努めておるわけでございます。若しも彼らのやつておりまする業務にして非常に農業団体の行いまする業務と内容において差異があるということでございますれば、御指摘のように四八%、五〇%近い数量を扱い得ることはできないわけでございます。サービスの内容そのものにおきましては、農業団体の扱つておりますものと甲乙逕庭がないが故に、今日の実勢を示しておるものと考えておるのでございまして、これを法制的に或いは法律上から活動を制限するというような措置がとられますことは、中小企業者の立場を擁護する意味から考えまして、これは望ましいことではなかろう、かように考えております。審議会の問題につきましては、これは直接にこのことによつてどうなるかという問題ではないと思いますが、少くとも第六条の改正につきましては主として中小企業者を以て構成されておりまする肥料の配給商人に対しましても、彼らが国家的要請に応えた配給業務を行い得るものであるならば、その地位に応じて保管団体たる資格を与えてやつて頂ける建前を少くとも維持して頂くことが望ましいものと思います。
  73. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 実質的には少くともかようなアンバランスな行き方をすることは望ましくないという御答弁でありますから、その点については私も了承すると同時に、今後望ましくないということについては如何なる対策を講ぜられるか、その点は今ここですぐというわけにも行かんかも知れませんが、この点については真剣な御検討を願いたいと思うのであります。というのは、先ほども申す通り曾つては商権擁護運動というのが起つて、産業組合との間に非常な深刻な様相を呈したことは御承知通りでありまして、かような問題に誘致して行くということは私は最も望ましくない、それだけに国会としても関係省としてもさようなことを誘発させんようにあらゆる措置とつて行かなければならん。ただそれが望ましくないというようなことだけでは事は収まらんのでありますから、望ましくないことについては如何なる措置とつて行くかということについて、至急に通産省としても上司と御研究を願い、事が重大でありますから、今直ちに御答弁を求めるのでなくて、次の適当なる機会に御答弁を願いたいと思います。  次に伺いたいのでありますが、法制局に伺いますが、只今お聞きとりのような実情でありまして、要するに商業者も協同組合を作つて、又その連合会をすでに作つております。一方農業者の団体もある。その農業者の団体と商業者の団体が共に肥料の配給業務に従事しておる。そうして買上保管団体の指定の申出をし得る建前に原案においてはなつておつたのでありますが、今度の修正案においては「農業者を直接又は間接に構成員とする団体につき、」とうふうに限定をせられておるのであります。これは先ほど中小企業庁振興部長から言及せられたるがごとく、考えようによつては保管業務という特殊の業務についてのことだということでありますが、実質的に見ますと三十四億円に上る買上保管業務を政府の資金斡旋、更に損失があつた場合にはこれを政府が損失補填をして行くという建前の下において行われ、それが同じ立場にあるものの一方の団体のみに限定せられるということは、法の下に平等であるという憲法十四条の趣旨から見まして、この立法の行き方というものはそこに相当問題を含んでおるというふうに考えるのでありますが、この点について法制局は如何にお考えになるか、その点を伺いたいと思います。
  74. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 只今お尋ねがございましたが、実は問題となつております修正後の第六条の二項の規定、殊に「農業者を直接又は間接に構成員とする団体につき、」という字句は、これは御承知のように政府の原案にはございません。衆議院の修正にかかるものであります。従いましてこれにつきましては、或いは国会、参議院の法制局の御意見なり、或いはより適切には衆議院の修正案の発案者の御意見を、まあ我々として形式的に申せばそういうことになるわけでございますが、只今折角のお尋ねでございますので、まあいわばおこがましいかも知れませんが、仮に政府原案としてこういうものが入つた場合にどう考えるかというような仮定を前提として一つ申上げるという程度にしかならないと思います。この点御了承願いたいと思います。今いろいろと豊田委員からお話がございましたけれども、大体この保管団体の指定、或いはこれによつて行う保管というものは、肥料の需給調整のための特殊な一つのことに調整保有数量というものを持たせることをきめるものでございまして、全体として肥料の販売業者がそういう事態において買取販売をする、或いはその保管をするということは何らこの法律によつて禁止されたものではありませんので、この規定自体が肥料の販売業者の経済活動を拘束するという性質のものじやありませんので、これがすぐ憲法の規定に触れるとか、或いは少くもそれに好ましくないことにはならないのじやないか。尤も立法政策としてこういうものが妥当かどうか、これは全然別の問題だと思います。私の今申上げたように考えられるのじやないかと、こう思います。
  75. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 私が伺いたいと思いますのは、立法政策論として、法制局が若しもかような立案にタッチせられるときには、如何なる見解をとられでるあろうかということを参考までに伺つておきたいと思うのであります。殊に憲法十四条から見るというと、まあ直接には触れないというお話でありまするけれども、何人も法の下に平等で、社会的地位によつて、或いは経済的なり政治的なりの関係によつて差別待遇をしてはいかんという、法文をまともに読んで行きますと全く同じ立場に置かれているんだが、一方は農業者であり、一方は商業者であるが故に、その社会的関係から経済的な待遇を異にしておるということにこれはなつて来ておるのでありまして、私は憲法十四条の、少くとも立法趣旨からいつて、かような立法をするということは甚だ穏当でないというふうに考えるのであります。と同時に解釈論は別といたしまして、立法政策論として如何に法制局はお考えになるか、御迷惑でしようけれども参考までに率直に御意見を伺つておきたいと思います。
  76. 西村健次郎

    政府委員西村健次郎君) 御承知のようにこの原案それ自体は政府提案でございまして、これをまあ政府部内におきまして審議する際におきましては、いろいろな面が、これの法律の前提となる点につきましても議論いたしましてこういう法案なつたと記憶しております。従つて政府考えて原案として出したものは、その修正案の点を除いたものが政府の原案として出ているのでございますのでそういうふうに出したであろう、その後その情勢が変れば、これは別でございまするけれども、これは去年の十六国会にたしか提案になつております。或いは大分一年くらいたつておりますので、客観情勢も大分変つたかも知れません。私どもそういう点の事情は明るくないのでございますが。
  77. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと申上げますが、本日の本会議は総理が出席しないために、外務委員長からの報告の緊急上程の二件だけをいたすことになりました。従つて本委員会の報告その他は全部とりやめになりましたので、外務委員長の報告だけでありますから、休憩をしないでこのまま続行さして頂きます。
  78. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 只今の御答弁によりますと、事情が変つておれば別だが、そうでなければ少くとも原案のほうがよかつたというふうに考えるという御答弁であります。幸か不幸か、事情はその後ちよつとも変つておらんのでありますから、原案がよろしいというふうに私自身は了承するよりほかないと思つております。  次には公正取引委員会の意見を伺いたいと思います。実態は先ほど来いろいろ申す通りでありますので、重ねて態実は申しませんが、要するに同じ立場にある商業者団体と農業団体のうち、農業団体だけを保管団体たる申請の資格にしようということでありまして、これは憲法論は別といたしまして、実質的には非常に大きな開きがいろいろ関係業者間に出て来るのであります。具体的に一例を申しますと、買上げて保管中の肥料でありますが、若しも国内市場において肥料が相当過剰である、従つてこれをどうするとか、或いは足らないからそれを売払うとかいうような場合におきまして、その買上保管団体に持つておられるものというものは、或いは叺が古いとか、或いは内容も古くなつておるとかいうようなことから、これから先ず売ろうと、そういうときには値も安くなる、そういうものが先行することになるのでありまして、それが同じく肥料業者の立場は非常に商売上不利を受ける。更に又買上げ自体について考えますると、それの資金の斡旋をやつてくれる、或いは損失があればこれの損失補填も政府からやつてもらえるという非常な特典がこれにつきまとうわけでありまして、さような、要するにこのうま味のある特典の仕事、これは政府がやるべきものだとか何だとかいろいろ議論はあると思いますが、とにかく実質的に見ればこれはプライヴエイトな仕事になるわけでありまして、而もそのプライヴエイトな仕事について同じ立場にあるものについて差別待遇をする、これはまあ憲法違反の疑いも十分あると思いますが、又同時に私的独占の禁止の趣旨から言いまして問題になつて来るんじやないか、こういう点に多大な疑問を持つておるのでありますが、少くともかようなことが行われるということは、公正取引委員会にすでに相談のあつたことなのかどうか、又公正取引委員会が相談を受けられたときに、形式的な議論は別といたしまして、実質的にかような行き方に応せられるものかどうか。こういう点について御意見を伺いたいと思います。
  79. 坂根哲夫

    説明員(坂根哲夫君) 只今豊田先生から我々のほうとの関連において問題を提起されたのでございますが、先刻から石井振興部長、法制岡の西村部長が言われましたように、一年前にこの法案が出ますときに、この法案につきましては十分我々も参画いたしまして相談をいたしました。そうして本日今御指摘の農業団体云々という条項は、一昨日でございましたか、電話で連絡を受けましてこれについての見解を述べろということでございまして、実は我々のほかの用務が忙しいので、委員会等で十分審議するいとまもなく、二、三のかたとちよつと出かける前に御相談をして参りまして、答弁自体甚だ心許ないのでございますが、その点は一応御了承願つておきます。  豊田先生のおつしやいましたように、肥料の販売ルートが商社系と全購連系と大体半分々々であつた、そしてこれが平等の立場に置かれておつたという事実は我々もよく承知しておるのでありまして、併しこの法律硫安と申しますか、肥料の需給の安定をするということに目的がありまして、その需給の安定の操作のために一割以内の一定の量を保管するということは、法律から直ちにその保管するということは、これは実体的には恐らく政府が保管すべきものをこの団体に保管さすんではないかと我々は了承しておりますが、そういう点からいたしますと、保管の事態からは、直ちに我々が憂慮しております営業上の問題は出て来ないのではないか、こう了承しております。而もこの肥料法案全体が一応農民の利益に繋がつて出されており、そして農民のために肥料を確保するという建前の法律の目的から見ますと、こういう何と申しますか、指定された条項が入りましても、直ちに法律に、独禁法違反ということには繋がらない、こう私はこの法文を見て了解しております。但し豊田先生のおつしやいましたように、精神的に見ますと、こういう工合にはつきり明文化していることにつきまして、私自身はどうかと考えております。
  80. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 先ほども申しましたように、これは肥料商の問題で起つておるんでありますが、今後の見通し等を考えると、輸出の振興を図らなければならない、そういうためには輸出統制会社を作らなければならん、輸出統制会社を作ると国内市場に対する影響があるから、国内市場に対して統制が行われる、そういう場合に、農業関係についてこういう行き方を法律上差支えないということでやることになると、ひとり肥料商のみならず他の商業全体の死活の問題になつて来る。これは大きく経済問題として見た場合に、非常に問題があるのみならず、或いは人口問題の処理の上から言つて、或いはこういう商業者が全体死活問題になるということは、一体農村の次三男対策のはけ口を一体どこに求めるかというような問題にも関係のあることであるし、こういう問題については非常に真剣なる考え方なり態度を、農林省は勿論ですけれども関係官庁みんなとられる必要があると思うのですね。単なる形式論で言つとつたりしたらとんでもない方向へ向いて行く虞れがあると思う。そういう点について少くとも実際論的な精神論から言うと、公正取引委員会のほうでも賛成しないというお話でありますから、これ以上ここで論議することは差控えますが、事は非常に重要なる問題でありますので、公正なる取引、これも実質的にはまさに一種の取引なんですから、実質的に見て公正なる取引のあり方ということを常に念願しておられる公正取引委員会としては、これも先ほど中小企業庁に要望しましたる通り、最高首脳部ととくと御研究を願つて、次の機会に実際問題として国の国策のあり方として如何に行くべきものかという点についての見解を表明してもらいたいと思うのです。
  81. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質問ございませんか。今日は農林省からも経済局長が見えております。
  82. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 農林省はこの前に質問をいたしましたから、又重複をいたしますから、今回はよろしうございます。又別の機会に併せて申上げたいと思います
  83. 中川以良

    委員長中川以良君) 他に御質問のある方はございませんか。……。農林省側にお尋ねしますが、この前請求いたしました政令の案等の資料は如何でございますか。
  84. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 現在作成中でございまして、でき次第提出する予定でございます。
  85. 中川以良

    委員長中川以良君) いつ御提出になりますか、審議の時日もございませんのですが。
  86. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) できるだけ早く……。
  87. 中川以良

    委員長中川以良君) 折角小倉経済局長が見えておられますので、今豊田委員の御質疑になりました点等に関しまして、この修正に対しまして農林省としてはどういうお考えか、この前大体林田課長から承わつたのでありますが、局長としての御意見を一つ御開陳を願いたいと思います。
  88. 小倉武一

    政府委員(小倉武一君) 修正案につきましての私どもといたしましての考えはどうかというお尋ねでございますが、ここに先ほどから問題になつておりまする保管団体につきましては、率直に申上げまして政府原案がよかろうと只今でも思つております。農業共済組合と肥料商関係の共済組合、この関係がお互いに公正な基盤の上で公正な競争を通じて肥料配給のサービスをして行くということが望ましいのでございますので、法律の制度としては、飽くまで公正な基盤の上に立つということが最もよかろうと思います。どちらかと申しますれば、政府原案が望ましいというふうに考えているのであります。その他の点につきましても若干修正がございますが、先ほどから御議論を聞いておりますが、その点だけを申上げておきます。
  89. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑はございませんか。
  90. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 他面の問題ですが、公正取引委員会が見えておるのでありますから、支払遅延問題について、その後の経過、又今後の問題について……。
  91. 中川以良

    委員長中川以良君) それではちよつとお諮りいたしますが、肥料関係の二法案に対する本日の審議はこの程度にしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは豊田君。
  93. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 支払遅延関係につきましては、先般公正取引委員会で非常に御研究になり、支払基準を設定せられたのでありますが、当時その支払基準を他の業種、即ち機械、器具、兵器の製造修理関係以外の業種業態についても研究せられ、やがて発表するというようなお話があつたのでありますが、その後どういうことになつておりますか。
  94. 丸山泰男

    説明員(丸山泰男君) 先般の委員会で当面の調査目標以外の業種についても逐次研究を進めて参りたいというふうに私どものほうの委員長からお答え申上げたのであります。この業種を拡げるという点につきましては、いろいろと意見もあり、勿論その後も検討はいたしておるのでありますけれども、一方におきましては御承知のように当面の調査目標である機械工業、造船その他におきましてかなりデフレのしわ寄せが及んでおる情勢でありまして、これらの業種の、この前中小企業庁と共同でやりました調査を補充して、更にこれを拡げた調査を至急に実施しなければならんということで先般も中小企業庁と十分に相談をいたしまして親企業八十社ばかりにつきまして全部下請企業の工場名のリストを提出させまして、これも殆んど全部提出が済みまして、只今これらの提出されたリストに基いてそのうちから一親企業について十五乃至二十程度のサンプル的な下請企業を選んで、これらに調査票を配付し、できるだけ早くこの調査をやりたい。親企業のほうにつきましても、いろいろ調査票を現在検討中でございまして、これを今月末を一応の調査票を集める目標といたしまして、現在鋭意実施中でございます。従いましてそのほうにかなり精力をとられておりまするので、先般認定基準として申上げた業種以外の繊維とか、或いは土建、こういう点につきましては実はまだ余りそこまで手が及びかねるという情勢でございます。
  95. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 それでは至急に今後御研究を願つて、曾つてお約束のありましたように、機械、器具、兵器の製造修理業のみならず、可能なる範囲において業種を拡充せられるように、その又基準を発表せられるように一つの作業をお急ぎ願いたいと思うのであります。それと同時に、もう一つ伺いたいのは、あの基準の設定があつたためにどういう効果があつたか、その点伺いたいと思います。
  96. 丸山泰男

    説明員(丸山泰男君) あの認定基準を豊田委員からの特に御指摘もございまして新聞発表等をいたしましてこの周知徹底にはいろいろと努力を払つたのでございます。この反響につきましては親企業の方面からもよくその新聞等の記事では要領を得ないので、内容を聞かしてもらいたいということで私がいろいろ説明に参るというようなこともございまして、又一方下請企業方面からも電話或いは本人自身が出て参りまして、こういう実情がある、こういうのは認定基準に照して自分らは不当だと思うがどうかというような話もちよいちよい最近はございまして、これらにつきましては、一方私どもが今検討しております、調査をやつております中にそういう親企業の名前があります。そういう会社のことでありますれば、勿論その調査を待つてやることになりまするが、それ以外のものにつきましても、できる限りいろいろ親企業側に照会をするとか、そういつた方法で問題を検討いたしております。ただ最近では中小企業、大きな有名な親企業ではなくて小さい、中程度の企業の下請に、かなりまあ親企業自身が非常にもう苦しくなつてどうにも出せないというような問題もありますために、これらについてはなかなかその辺が一概にただ払え払えというふうには言えない点もございまして、できるだけ努力してくれるようにという程度指導しかできないというような実情の面も最近ございます。
  97. 豊田雅孝

    ○豊田雅孝君 あの基準の発表があつた際の新聞記事等の取扱が、支払基準の設定とかいうむずかしい見出し等で出たせいかと思うのですが、一般にああいうものができた、それからその実行が如何にあるべきかというような点までわかつておらんようなんですね。それで適当なる機会にもう少しああいうものの制定せられたるゆえん、それから又実態はどういうものかという点についてもう一度わかりいいような発表のせられ方、それからそれに伴う普及方法を是非おとりを願いたい。それが非常に実質的にはこの支払遅延の問題を解決へ推進して行くと思うのでありまして、その点をお願いいたしておきます。
  98. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは本日はこの程度にいたしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  99. 中川以良

    委員長中川以良君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会