○三輪貞治君 私は
日本社会党を代表いたしまして、以下述べます条件を附しまして二
法案に対して賛成をいたします。
その条件の要点を申上げますと、
一つ、将来
石油開発事業は国策会社法の制定を見るという
前提の下に本法の運用を厳重にすること。二、
帝石の経営並びに役員の構成は国策に副うものでなければならない。これに反する場合は、
政府は断固たる処置をとるべきである。三、国家助成を受ける
石油採取事業を主たる業とする企業の配当の標準は、公益事業並みにする。この三つの条件であります。
先ず順次簡単にその趣旨を申上げますと、一の、将来
石油開発事業は国策会社法の制定を見るという
前提の下に本法を運用されたいということでありまするが、この
石油開発事業というものは、これは各
委員御承知の
通りに、多額の資金と高度の開発技術を必要とするものでありまするから、国家の指導、援助なしではその成果が得られないところの実情であるわけであります。かような特殊事情からいたしまして、世界の各国におきましての
石油資源の開発事業は、経済的脆弱性、及び開発、技術の貧困である二、三の諸国は別といたしまして、今日まで二十数カ国がすでに国営或いは国有、国家管理等の政策を採用いたしまして、ブラジル、メキシコ等のような国でさえも国営を実施し、最近においてはビルマもその国有化への方向を出しておる
状態であります。そのことはその国の経済、
政府の立
つておりまする
基盤でありまするイデオロギーがどのようなものでありましようとも、前に述べましたような、
石油資源の開発が、国家みずからの手で行わなければならないという
石油鉱業の本質的な性格から来ておるものと
考えられるのでありまして、前に上げました二十数カ国の例等も必ずしも社会主義的な経済を万般に亘
つてや
つておるという国では必ずしもないのであります。我が国におきましても、昭和二年に
石油試掘奨励金交付規則を制定いたしまして以来、今日まで二十数カ年間、国家助成が続けられて来ました。最も多額の助成の行われました年は、現在の物価水準に換算いたしますると、三十四億円が助成されたときがあるのであります。殊に昭和十六年には帝国
石油株式会社法という特別法を制定いたしまして、独占企業を設立されておるのであります。勿論この場合におきましては、この目的が戦争という問題に結付いてお
つたことは否定できないのでありまするけれ
ども、戦後におきまして集中排除法の適用を受けた際におきましても、単に
試掘鉱区の一部を放棄することだけで、集中排除法の適用が終結いたしまして、その独占的企業形態において何らの変革も加えられなか
つたことは、極めて重要な問題を含んでおると
考えられるのであります。かような
意味におきまして、将来における
石油開発事業は、どうしてもその
政府を構成しておる政党の政策が如何なるイデオロギーに立つといたしましても、この問題については特に国策会社法、これは仮称でありますけれ
ども、の制定を見るというような
前提の下に本法の運用が公益性を主として厳重に運営をされて行く、こういうことをば我々は期待をしておるのであります
第二番目の
帝石の経営並びに役員の構成が国策に副うものでなければならない。これに反する場合は、
政府は断固たる
措置をとるべきである。これは前の
質疑でも
大臣から御意見を伺いまして、その決意のほどを知
つたのでありますが、先にも申しましたように、
帝石の過去の内紛の原因というものを
考えて見まするに、一方に公益性を主張する側と、一方に私企業的な経営を主張する側とが対立をいたしまして、これが内紛の長い歴史の原因を作
つていたように思うのでありまして、而もこれは今日その公益性が非常に大きく表に浮び出て、私企業的な経営の面が蔭にひそんだとは言いながら、その根本的な内因は、決してこれは払拭されておらないのであります。特に九月二十日において任期の満了いたしまする数名の重役が若し再選されないというような事態が起りまするならば、これはもう直ちに非常に好ましくない私企業的な経営を主張する側のウエイトが重役陣において非常に高くなるのでありまして、この際におきましては、そういうことが、再選されないというような事態が起らないことをば期待するという
大臣の御
答弁、更に私は、その言葉の裏から、国家は二十数%の株式権も持
つておるのでありまするから、
法律において人事権というものが認められておらないといたしましても、何らかの処置をいたしましてさような事態が起らないような処置をされるという
意味であると実は先ほどの御発言を解したのであります。さような
意味におきましてこの目的に反するような結果に、経営の
基本をなしまする重役陣の構成がなりませんように
一つ厳重に監督をされるように望む趣旨でございます。
第三番目の国家助成を受ける
石油採取事業についての配当の問題でありますが、これは過去におきまして
相当この事業の重要性に鑑みまして、法人税等においても優遇
措置がとられて参
つたのでありまして、その優遇
措置のとられたものが過去においては二割の高率配当をなす
一つの原因にもな
つていたかと思います。これは実に遺憾なことでありまして、私は将来におきましてはこの事業から挙
つて参ります
利益が増大いたしまするならば、それは更に次のもつと高度な五カ年
計画、
増産の
計画に対して投資をすべきである、こういうふうに
考えまする立場から、これは一般の電力事業、ガス事業等の公益事業並みというよりも、むしろその事業の重要性から
考え、又非常に多額の資本を投入して、飛躍的な
増産を図ろうとするこの
計画の性質から
考えまして、むしろ他の公益事業以下に抑えらるべきである、かように実は希望いたす次第であります。ほかに細かい点はいろいろと法文についてはございますが、大体右の三つの点を厳重に
一つ運営の面について取入れて頂きましてこの
法律を制定いたしまして、国が重要な
燃料の自給の度を高めて行くというこの遠大なる理想が、運用によ
つてますます発揮されまして所期の目的が達成されるように特に期待をいたしまして、この
法律案に賛成いたすものであります。