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参考人(
野崎一郎君) お手許に
自分の
意見の概要を書いたものをお配りしてありますから、それを御覧頂きます。なお本件には
関係ございませんが、
日本貿易会から
外貨予算の割当に対する
希望書が届けてございますので、
一つお暇の折に御高覧置き願いたいと思います。
では御
意見を申上げますが、その前に、現在の
輸出保険の必要さということにつきまして、
皆さん御存じでいらつしやいましようが、一言申上げさして頂きたいと存じます。
最近御
承知の
通り、
世界各国は至るところ
輸出振興その他におきまして、いろいろな手を打
つておりますが、
日本もこれに対する手を打ちましても、これがいつも二重
為替制度、或いは何かといろいろな問題が起りますのですが、この
輸出保険を以てしますれば、決して
輸出振興に対して何らの
外国から抗議を申込まれることがございませんので、
是非一つ輸出保険は大いに
振興して頂きたい。これが
日本の
輸出振興に対する唯一の策じやないかと存じます。御
承知の
通り英国におきましては、最もこれが完備いたしておりまして、これ一本で
振興策をと
つております次第で、これが完成いたしますことが我々の最も希望するところでございます。
我が国におきましても
幾多の
保険制度を設置いたしまして、徐々に完備して参りましておりますけれ
ども、どうも今のところまだ利用されるかたが少い。それには率の高いとか、或いは
保険の宣伝が足りないとか、或いは研究がまだ
不足の点もございますし、殊に最近
金融保険の、
御存じでもございましようが、
金融保険を
日銀の
優遇措置に入れまして、昇格問題を希望いたしておりますが、これもまだ未
解決でございますし、
銀行の連盟であります全
銀連の協力も
不足でございますし、又或いは最近まで
地方庁の
追加保険が出揃
つていないで、最近やつと出揃うようなことになりましたこと等、根本問題にいろいろ足りない点もございますが、大体申上げますと、
保険の一番の
欠陥は、今までこの
保険法について
強制法がなかつたという感じがいたすのであります。全部この
法律は自由でありまして、
地方庁の補助も何もかも全部自由でありまして、今までリンクされておらなか
つたので、これが根本的な誤りであ
つたのじやないかと思うのです。最近に
包括保険ができまして、これを非常にいわゆるオープン・ポリシーができまして、全部に
組合に
関係するものは強制的に入るということに
なつておりまして、この点は
普通保険が非常にうまく
行つておりますけれ
ども、これはこういたしますれば、
組合に加入することによ
つて強制的に入るということに
なつておりますが、併しその他の
保険については、
普通保険以外のものについては、まだこの
制度が全然ございません。悪いものに対して
保険を付ける。或いは悪いときに
保険を付けるというものですから、非常に
危険率が多くて、それで
保険加入におきましても常に心配される点でございますし、又同時にそれが事故の起りやすいという結果になりますものですから、利用されるかたは本当にいい率の
保険側のかたがない。
従つて保険料率が高くなりまして、それで利用されるかたが少いという
欠陥があるのじやないかと思うのであります。最近の
金融保険、或いは
代金手形保険等の各
保険についても、
追加保険が付きまして、その率が大体全額に近い、九五%に近いものに
なつております。これを
一つ改良されるにつきましては、例えば
日銀の
優遇措置、いわゆる
昇格問題等が
解決でき、又全
銀連が、これが利用され、協力されるようなことになりますれば、非常に
金融的にも都合よくなり、又
輸出の
コストまでも安く
なつて参ることになりますし、これは
日銀が、幸いすることによ
つて、率が下りますから、金利が下りますから、非常に
輸出の
コストに響いて参ります。非常に安くなるということで、
輸出振興のためにも非常に大きい点があるのじやないかと思うのであります。こういう点について、我々
業者も無論これに協力しなければなりませんし、大いに
保険が利用されまして、全体の
輸出の
振興になりますことを、
自分といたしましては特に希望する次第であります。
それからいま
一つこの
法案に対しまして、拝見いたしますと、非常に難解なんでございます。もう少しこれをやさしくできるように
一つ法案を作
つて頂きたいと思うのです。
貿易業者は
法律家じやないのでございますから、ですから誰が見てもわかるような
法律にして頂きたいということを特に
お願いいたしたいと思います。
この
委託販売保険につきましては、非常に文章がむずかしくて、我々も非常に研究に骨が折れた次第なのであります。これな
ども、もう少し何とか直して頂きたい。
大体申上げますと、この今度の
保険につきましては、御
承知の
通り販売
価格というものをきめまして、販売期間をきめられまして、それで出ましたものが
向うで処分されれば、必ず販売
価格で以てきめられてしまいまして、残り分についてはやはり同様にそれで計算される。それが若し残れば
日本へ送返す、これが
原則なんでございます。
現地で以てこれを処分するほうがいいという場合においては、必ず
通産大臣の
許可を要するのであります。その
許可のときに
条件がつけば、後ほど申上げますが、割合にその危険は防がれるのじやないかと思うのでございます。
向うにおきまして
許可なしに勝手に処分する場合には、それは
予定販売価格を決定するのでございますから、ですから、御
自分の御損でおやりになる限りは、この処分の
方法はつかないということになりますから、御心配の点は防げるのじやないかと思います。
最後にこのお問合せに対する答申といたしまして、お手許に差上げております、
自分の申上げます概要を記してお届けいたしましたのですが、大体この前に書いてある、私のほうの例を申上げましたのは、これは食料品が主であります。罐詰その他の食料品が主であります。殊に
アメリカ市場がそうなんであります。
戦前におきましては、各
支店に
相当に豊富な外貨を持
つておられます。ですから、その外貨、或いは力を持
つておられましたから、ですから
銀行も利用さして頂きましたでしようし、又同時に御
自分の外貨を利用されまして、それで
委託販売をされまして、その委託が普通の形に
なつておりまして、従
つてそれに対する販売も、非常に販売の営業といたしましては
伸長してできたことは事実であります。これを今の
日本の現在に対して期待されるのは、その
通りになるということは、非常に、
先ほど寺尾参考人も言われました
通り、
金融の問題がからんで参りますから、そう簡単には参らんと思うので、その期待をここでかけるのは少し無理じやないかと思います。併しこの
保険によりまして新
市場が開拓されて、或いは新
商品が開拓できるというような点に対しましては、これは是非この
保険は付けさして頂きたい。
先ほど秀島さんの言われましたのも、これも
支店におきまして、いわゆるホーム・ビル等ができまして利用される点において、この
保険を付けられると非常に結構だと思うのです。これを
戦前の
通りやるということはなかなかむずかしいと思いますが、新
市場、新
商品の開拓においては是非必要だと思いますので、是非本
法案の御設定を希望する次第でございます。
なお次の二番、三番の点を申上げますれば、
先ほど大体申上げました
通り、販売
価格が届出制と
なつておりまして、それですから、その届出の販売
価格に対して現実に御検討頂きます。殊にその販売
価格にはコミツシヨンが入
つておりますから、一〇五%という率に
なつております。ですから、これに対する、その
価格について十分御検討に
なつて頂いて、それで且つそれが
現地において損が行く、損しても販売しなきやならんというようなときには必ず
通産大臣の
許可が要りますから、その
許可のときに
輸出組合ですとか、或いは少くとも
輸出審議会というのがございますので、その審議会にでもかけて頂きまして十分御検討頂きますれば、こういう弊害は先ず防げられるのじやないかと思うのであります。それから
通産大臣の
許可も以上のような
ダンピングだとか何とかいうような弊害がなくて、それで
現地で以て処分をいたすほうが
損失を少くするという
方法もございますし、有利な場合もございますのですから、これに対しては
先ほど申上げました手続を経まして
許可を与えて頂きますれば、この弊害は防げられるのじやないかと思いますので、これに対する限定等については、その
措置の点において十分御注意頂きますれば、あえて危険はなくて
振興ができるのじやないかと存じますが、この点を
一つ御考慮下さいまして、本
法案の御
承認を頂きますことを、
自分としては衷心から希望する次第であります。