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1954-03-11 第19回国会 参議院 通商産業委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十一日(木曜日)    午前十時三十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            松平 勇雄君            加藤 正人君            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            黒川 武雄君            西川彌平治君            酒井 利雄君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            三輪 貞治君            武藤 常介君            白川 一雄君   事務局側    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君   参考人    日綿実業株式会    社企画部長  秀島司馬三郎君    不二商事株式会    社常務取締役  寺尾 一郎君    野崎産業株式会    社会長     野崎 一郎君    東京銀行審査部    次長      吉田雄二郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○輸出保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開きます。  最初にお諮りをいたしますが、本日参考人といたしまして、東京銀行神野審査部長お願いを申上げておきましたところ、御所用がございまして御出席できかねるとのことでございまして、代つて審査部吉田次長がお見えになりましたので、吉田次長参考人といたしますることに御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように決定をいたします。  本日の議題は、輸出保険法の一部を改正する法律案について、午前中におきまして貿易関係をされておりまする方々から同法案に対する御意見を伺うことに相成つております。参考人皆様方には、本日は御多用の中を特に当委員会のために御出席を賜わりまして、誠に有難う存じました。厚くお礼を申上げます。本日は何とぞ忌憚のない御意見を御開陳賜わりまして、本委員会が本法案審議の上に最もよき幾多の示唆をお与えを願いたいと存ずる次第でございます。当委員会では前回に本法案におきまして問題になりました点等につきまして、すでに専門委員室のほうから書面でお願いを申上げておりまする事項につきましていろいろと御意見を承わりたいと存じます。特に委託販売輸出があの法律で以て果して伸びるかどうか、それが正常輸出に妨害となるような危険はないかどうかという点、それから更に右に関連いたしまして、本制度の実施に当りまして注意を要すべき点、特に第十条の四にありまする通産大臣承認に関しましての注意すべき点等が多々あると存じますので、こういう点についても御意見を承わりたいと存じます。  それから、なお、委託販売輸出が資本の逃避となるようなことがないかという点が懸念をされておりますので、この点についてもお話を伺いたいのであります。特にこの点は東京銀行のお立場からの御意見もお述べを頂きたいと存じます。なお、その他お気付の点等は何なりとも一つ御遠慮なくお教えを頂きたいと存じます。議事の順序といたしましては、これらの問題を中心にいたしまして、最初参考人の方から御意見を御開陳を願い、後ほど委員から御質問を申上げると存じますので、これにお答えを願いたいと存じます。なお、御開陳を賜わる時間は、大体お一人十五分乃至二十分の範囲内においてお述べを頂きたいと存じます。  それでは最初日綿実業株式会社の秀島企画部長お願いいたします。
  4. 秀島司馬三郎

    参考人(秀島司馬三郎君) 私が日綿実業株式会社企画部長の秀島でございます。  委託販売現状につきましてはすでに通産省から御報告がございまして、御存じ通りと存じますが、二十八年の一月から十二月の一カ年間の委託販売輸出承認実績は五億八千四百万ドルでありまして、うち繊維品がその大部分を占めておりまして四億五千四百万ドルになつております。更にその品目を見ますと、生糸アメリカ向けが一億七千二百万ドル、綿布がアメリカ向け一億六百九十万ドル、綿のベルベツトと申しますか、ベルベツトが二千九百七十万ドル、カーペツトがこれもアメリカ向けで六千八百万ドル、それからレーヨンボイルが、これが行先がちよつと調べがつきませんでございましたが、多分アメリカと存じますが、一千二百九十万ドル、ラミーの麻のシヤツが、アメリカ向けが一千二百万ドルそれから米兵のユニフオームが、これは沖繩行でございまして、五千二百五十万ドルとなりまして、合計が四億五千四百万ドルに上つております。  現在海外におきましては戦前のごとき機能を持つた支店の設置ができておりませんので、輸出は非常に不利益立場に立つておるのでございます。それはどういうことかと申しますと、戦争が済みまして直後、それから貿易が再開いたしました当時におきましては、大体外商が全部日本商売をやつておりましたが、最近は漸く向うの岸まで日本商売が伸びたことになりまして、仕向国輸入業者向うの沖へ着いた、港に着きましたCFベーシスというので売つておりますが、戦前仕向国需要者又は問屋へ直接日本商社が売つたのでございます。それでございますから相当いい値で売れたんでございますが、今は非常に向う輸入業者に牛耳られているという状態でございます。それで戦前方法を申し上げますと、現物を大体常に支店に貯えておきまして、そして倉庫渡し現金引換又は非常にいい売先でございましたら延払の方式で売つておりました。この利点はどういうところにございますかと申しますと、同一商品販路維持と拡大ができることと、先ほど申上げましたように直接需要者に売りますから相当いい値で売れたことでございまして、即ち一つ商品銘柄市場で以て途切れますというと、すぐに外国品とか又は競争品にその販路がとられてしまいますから、その後にその同じ商品を持つて行つてもなかなか売込みがむずかしいことになりますが、現物需要地におきますとそういう虞れがなくつて漸次需要に応じて売ることができるし、且つ又新市場がそれで開拓できるというようなことになつております。それからいま一つは、需要地問屋に売る場合でも、先物契約となりますと、問屋先物の相場に対する変動の危険というものを非常に大きく見積りますから、どうしても安くしか買つてくれないということになつております。それでどうしても現物現地に持つておかないと売り方が非常に不利益であるということになるのでございます。それで戦前私のほうのニユーヨークの店の生糸の売込みについて申上げるとよくこの点がおわかりと存じますが、生糸日本から売りますに支店に売りますが、支店第三者に売つていないので支店手持をしている部分と、それから本店の勘定で委託した分との合計の金額が大体ニユーヨーク支店が左右で問屋先物で売つている数量とほぼ同量でありまして、これはニユーヨーク生糸ばかりでなく、各地とも繊維製品というものは同じようなことになつておつたのであります。即ち支店手持本店委託品も会社全体から見ましたら第三者に売つておりませんから海外への委託品であつたのであります。大体半分が直接売つている。半分は委託品の形式で以て、そのときの一番いい条件に合うように売つて行つたの日本の昔の戦前貿易の形であつたのであります。英国が今海外在庫に対して在庫維持補償法というものを作つておりますが、これも輸出を大いに伸ばすためにはどうしても海外に常に在庫を持つておる方法をとらなければならないというところから来ておるのであります。ところが現在各貿易商社海外支店が整備されておりませんので、勢い海外代理店又は現地法人をしてこれに当らしめなければなりませんが、各社の資力が少いので、万一損失が出たときにはどうすることもできないという状態でございますから、委託品、コンサイメントは送りたいことは送りたいけれども大きい数量は送れない。それで不利益を知りながらも仕向け地の輸入業者CIFベーシスで売つておるような状態でございます。そういうようなことでございますから、こういうような委託販売保険制度というようなもので以て損が出たときには見て下さるというような制度をして頂きましたら、よほど戦前状態に戻りまして、もつともつと輸出は伸びるであろうと、こう存ずる次第でございます。  その次に、この商品及び市場についてあらかじめ制限をつける可否はどうかというお問合せがございましたのでありますが、この商取引というものは、元来が流動性がなければ適時適応措置がとれないものであります。今度の委託販売保険制度につきます委託販売許可制度でありますし、且つ無為替輸出許可を要しますから、若しそれが工合が悪いというようなときにはすぐやめることもできるわけでございます。それでその上に現存におきましては繊維類につきましては特に輸出組合相当整備されておりますから、これらの意見も十分聞くこともできますので、あらかじめ市場なり商品なりについて法律上で制限をつけるということは、この制度を動かないものにしやしないかということを恐れるものでございます。  次にダンピング、投売りの問題でございますが、場合によつてはその心配はないこともないと思われるのでございます。併し若しそういうことをいたしますと、正常輸出業者に脅威を与えますので、その業者からすぐその実情日本に伝わつて来るわけでございます。それでそういうような場合の虞れのあるときには積戻しの原則なつておりますから、政府としては積戻しを強制いたしまして、積戻しをしなければ損失を填補しないというような方法もとれますし、又はブラツクリストを作りまして、そういうような不徳の商社が再び委託輸出をしようというところをとめることもできるではないか。それですから業者のほうも相当慎重にこれをやると思います。  次に通産大臣承認に或る程度の限定を附する必要はどうか。戦前におきましては業者が自己の危険で海外委託品を送る場合は、予定価格で売れぬようなときには箱戻しというようなことは殆んどありませんでした。その理由は、その積戻し費用が高くつくばかりでなく、繊維品等銘柄等その地方では売れるが、内地へ持つて来ましても、海外の他の地域へ持つて行つては売れぬものが多いものでございますから、場合によりますと、若し持つて来るようなことになりますと、全損の上に諸掛の送金を覚悟しなければならないというようなことがございました。そういうようなわけで、現地において最もいいという値段損見切りに処分するのが常道であつたのでありますが、今回の法案は投売りとか、ダンピングを非常に憂慮されて作られまして、積戻しを原則としておりますが、実際の問題に当つて見ますと、例外規定の「通産大臣承認」を用いて現地で処分することが多く起つて来るのではないかと思われます。その場合にこれに成る程度制限をつけますと、今から予想できないようなことも起りますので、法律としては限定せずに、通産省における許可基準とか内規等で処理することがよいかと思われます。  それでいろいろこの法案につきましては問題もまだ残つておると思いますが、どうしても今輸出を大いに盛んにしなければならないときでございまするから、私どもとしては、この法案を通して頂くようにお願いいたす次第でございます。
  5. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  それでは次に不二商事株式会社寺尾常務取締役お願いいたします。
  6. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) 寺尾でございます。只今秀参考人から非常に詳細にお話がございましたので、私は主としてこの保険制度は非常に必要と存じます、併しそれを効果あらしめるために必要であると考えられまする並行措置及び第二には一番御懸念なつておりまするダンピングの問題、或いは十条四項の通産大臣許可等に関連した点について所見を申述べたいと存じます。  最近におきまする我が国国際収支の推移に鑑みまして、輸出振興の一助として委託販売輸出を促進するためにこの新種保険が創設される運びに至りましたことは私ども貿易業者といたしまして非常に有難いと考えておるものでございます。従来輸出業者委託販売契約を結ぶ場合に、委託品現地で全部売れないときは海外受託者が残品を引取つてくれるという条件文は了解がある場合を除いては、輸出業者といたしましてはこの種の委託販売は余りにもコストが高い、一つの冒険であるとしか考えられなかつたのでございます。従いまして、よほど売行きの確実なものでないと委託販売に乗せられないこととなりまして、輸出業者といたしましては自然消極的になり、専らLCべーシスの取引を心がけるというのが実情でございました。今回のこの種保険ができ上りますと、たとえ売残りが出まして国内に積戻すことになりましても、損失のうち八〇%が補償されるということでございまするから、輸出業者といたしましては、その限度において、こうむるべき損失が軽減されるということになります。従いまして或る程度売行きの見通しの不確実な商品でも委託販売輸出をして新たなる市場、或いは販路を獲得しようという考えになりまして、この面から見まして、今後委託販売輸出伸長が見られると存じます。この点は只今秀参考人のおつしやつたことを全幅的に賛成する次第でございます。  併しながら商社といたしましては依然損失のうち二〇%は覚悟して行かなければならないのでございまして、委託販売に要しまする手間や気苦労などを考慮いたしますと、LCベーシスで注文をとる場合のほうがより安全なことは申すまでもございませんで、この点からいたしまして、この保険制度ができましても直ちに委託販売輸出が飛躍的に増大するということは考えられないのでございます。殊に従来委託販売輸出が振わなかつたのは主として金融面にネツクがあつたと思うのでございます。海外で……、勿論これは戦前を煮味いたしません、戦後のことでございます、海外商品が販売せられる間六カ月或いは九カ月商品供給者であるメーカーに対して代金支払を繰延べてもらうことは実際問題としましてできない相談でございます。従いまして委託販売が行われるのは、委託品代金の半分ぐらいLCの開設を求めまして、残余について委託積送をするというのが、例えば英国向けの紅茶の委託販売はこんなふうにやつております、こういう場合とか、又はもともとメーカー滞貨品を処分するためにメーカー金融委託販売に乗せる場合、こういう場合はいささか委託販売としては邪道ではございますが、こういう場合が多かつたのでございます。商社自身採算といたしましては、御承知通り商社金融力が非常に貧弱な今日におきまして、貴重な資金を使つてやるほど委託販売にうま味があるわけではないのでございます。このことは今回の委託販売輸出保険が設けられましても依然未解決の問題でございまして、関係当局において深甚の御考慮を煩わしたいと思う点でございます。即ち委託商品供給者たるメーカーに対しまして商社支払長期約束手形金融上の優遇措置を与えるとか、又は輸出入銀行融資対象に加えるとか、然るべき措置が必要ではないかと考えるものでございます。後者の場合におきましては輸出入銀行業務方法書を改正し、委託販売輸出保険を付けましたる委託販売輸出融資できるよう措置ができれば非常に仕合せじやないかと考えます。前者の場合におきましては手形長期手形である関係上、日銀融資対象には適当ではないかとされる虞れがあります。技術的に複雑な点が少くないと思いまするが、要は輸出振興の活路といたしまして、委託販売伸長を図るということであるならば、保険制度の創設だけでは現状ではとても期待されるほどの効果は少からず制約されるのではないかと心配いたします。  次にこの委託販売保険制度国内滞貨品海外で投売りする抜け道として利用され、海外市場が撹乱されることを心配される向きもございまするが、この法律案を拝見いたしましたところでは、委託品をあらかじめ当局審査を受けた予定販売価格以下で海外で処分する場合は通産大臣承認を要することとなつておりますし、この契約値段で売れないときは国内に積戻すこととなつておりますから、まあ懸念は起らないかと存じます。これは先ほど秀島参考人から言われた通りであると思います。むしろ海外市場予定販売価格を以て売れないで内地に積戻された場合に、その積戻された商品内地市場で投売りされる、こういつたようなことを或いはチエツクする必要があるのじやないかと思います。尤も先ほどお話があつたように仕向先のそれぞれの嗜好、価格等もございますので、内地に持つて参りましてこれをダンピングする、市場撹乱する虞れは余りないということも言われるかも知れませんですが、我々子供のときによく輸出ローズ物言つてペラペラのハンケチだとか、変な模様のついたきれなどがあちらこちらで安売りされておりましたが、それはそれなりに又正当な国内商品市場を撹乱する虞れがあるのじやないか。従いまして或いはこの保険付保しなければ避けることができないであろうと思われる損失の八〇%が、補償される。これをただ無制限に認める場合、国内産業を撹乱と言いますか、或いは救済ということにもなるかも知れません、半面におきまして……。輸出保険が悪用される懸念必ずしもなしとしないのであります。これはむしろ本保険制度の趣旨に反すると思われまするので、一案としては付保に当りまして積戻した場合、内地販売処分価格を申告させ、若しこれを超過と言いますか、避けると言いますか、売つた場合にはこの保険利益を享受できないといつたように或いはする必要があるのではないかと考えます。又海外市場におきまして不当な値段で処分することは通産大臣がこれを却下する権限を保留しておりますから業者採算で勝手に処分したときは保険利益を失う、或いは委託販売契約承認申請に当つて予定販売価格を申告することになつておりますし、この価格以下で許可なくして処分すれば相当の罰則が適用されるはずでございますので、まあ海外市場においての不当廉売というものは制限され得ると思います。  又只今申し上げたように委託販売輸出契約承認申請に際しまして予定販売価格が或る審査規準によつて審査されます。この審査基準について一言申述べますならば、同一市場においてLCベーシス、つまり通常取引、この輸出契約と競合するような場合には勿論委託販売価格相当程度LCベーシスの、通常貿易、この価格よりも上廻ることが必要であると思います。これは先ほども秀島参考人からお話がございましたように、現地在庫を持つておりまして販売する場合は、値段も高く、支払条件もCOD、或いは極めて短時日の在庫で売れることを考慮してございますが、競合関係の存しない場合におきましてはこの基準価格は投売りとならない程度におきまして成るべく低目に基準を置く必要があるのじやないかと考えられます。勿論商社といたしましてはできるだけ高く売ることに努力するはずでありますし、又この基準価格が余りにも高きに失することとなりますと委託販売は行われませんで、輸出保険のお世話になつて積戻すような場合が常に起るようなことが想定されます。従いまして契約価格はこれを最低限に認めて頂くことが前に申上げましたようにあとになつて現地処分申請を受付けない、或いは厳格にこれを処理するということが可能になるのではないかと心得るのでございます。以上を以て私の参考意見を終ります。
  7. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  それでは野崎産業株式会社野崎会長お願いいたします。
  8. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) お手許に自分意見の概要を書いたものをお配りしてありますから、それを御覧頂きます。なお本件には関係ございませんが、日本貿易会から外貨予算の割当に対する希望書が届けてございますので、一つお暇の折に御高覧置き願いたいと思います。  では御意見を申上げますが、その前に、現在の輸出保険の必要さということにつきまして、皆さん御存じでいらつしやいましようが、一言申上げさして頂きたいと存じます。  最近御承知通り世界各国は至るところ輸出振興その他におきまして、いろいろな手を打つておりますが、日本もこれに対する手を打ちましても、これがいつも二重為替制度、或いは何かといろいろな問題が起りますのですが、この輸出保険を以てしますれば、決して輸出振興に対して何らの外国から抗議を申込まれることがございませんので、是非一つ輸出保険は大いに振興して頂きたい。これが日本輸出振興に対する唯一の策じやないかと存じます。御承知通り英国におきましては、最もこれが完備いたしておりまして、これ一本で振興策をとつております次第で、これが完成いたしますことが我々の最も希望するところでございます。我が国におきましても幾多保険制度を設置いたしまして、徐々に完備して参りましておりますけれども、どうも今のところまだ利用されるかたが少い。それには率の高いとか、或いは保険の宣伝が足りないとか、或いは研究がまだ不足の点もございますし、殊に最近金融保険の、御存じでもございましようが、金融保険日銀優遇措置に入れまして、昇格問題を希望いたしておりますが、これもまだ未解決でございますし、銀行の連盟であります全銀連の協力も不足でございますし、又或いは最近まで地方庁追加保険が出揃つていないで、最近やつと出揃うようなことになりましたこと等、根本問題にいろいろ足りない点もございますが、大体申上げますと、保険の一番の欠陥は、今までこの保険法について強制法がなかつたという感じがいたすのであります。全部この法律は自由でありまして、地方庁の補助も何もかも全部自由でありまして、今までリンクされておらなかつたので、これが根本的な誤りであつたのじやないかと思うのです。最近に包括保険ができまして、これを非常にいわゆるオープン・ポリシーができまして、全部に組合関係するものは強制的に入るということになつておりまして、この点は普通保険が非常にうまく行つておりますけれども、これはこういたしますれば、組合に加入することによつて強制的に入るということになつておりますが、併しその他の保険については、普通保険以外のものについては、まだこの制度が全然ございません。悪いものに対して保険を付ける。或いは悪いときに保険を付けるというものですから、非常に危険率が多くて、それで保険加入におきましても常に心配される点でございますし、又同時にそれが事故の起りやすいという結果になりますものですから、利用されるかたは本当にいい率の保険側のかたがない。従つて保険料率が高くなりまして、それで利用されるかたが少いという欠陥があるのじやないかと思うのであります。最近の金融保険、或いは代金手形保険等の各保険についても、追加保険が付きまして、その率が大体全額に近い、九五%に近いものになつております。これを一つ改良されるにつきましては、例えば日銀優遇措置、いわゆる昇格問題等解決でき、又全銀連が、これが利用され、協力されるようなことになりますれば、非常に金融的にも都合よくなり、又輸出コストまでも安くなつて参ることになりますし、これは日銀が、幸いすることによつて、率が下りますから、金利が下りますから、非常に輸出コストに響いて参ります。非常に安くなるということで、輸出振興のためにも非常に大きい点があるのじやないかと思うのであります。こういう点について、我々業者も無論これに協力しなければなりませんし、大いに保険が利用されまして、全体の輸出振興になりますことを、自分といたしましては特に希望する次第であります。  それからいま一つこの法案に対しまして、拝見いたしますと、非常に難解なんでございます。もう少しこれをやさしくできるように一つ法案を作つて頂きたいと思うのです。貿易業者法律家じやないのでございますから、ですから誰が見てもわかるような法律にして頂きたいということを特にお願いいたしたいと思います。  この委託販売保険につきましては、非常に文章がむずかしくて、我々も非常に研究に骨が折れた次第なのであります。これなども、もう少し何とか直して頂きたい。  大体申上げますと、この今度の保険につきましては、御承知通り販売価格というものをきめまして、販売期間をきめられまして、それで出ましたものが向うで処分されれば、必ず販売価格で以てきめられてしまいまして、残り分についてはやはり同様にそれで計算される。それが若し残れば日本へ送返す、これが原則なんでございます。現地で以てこれを処分するほうがいいという場合においては、必ず通産大臣許可を要するのであります。その許可のときに条件がつけば、後ほど申上げますが、割合にその危険は防がれるのじやないかと思うのでございます。向うにおきまして許可なしに勝手に処分する場合には、それは予定販売価格を決定するのでございますから、ですから、御自分の御損でおやりになる限りは、この処分の方法はつかないということになりますから、御心配の点は防げるのじやないかと思います。  最後にこのお問合せに対する答申といたしまして、お手許に差上げております、自分の申上げます概要を記してお届けいたしましたのですが、大体この前に書いてある、私のほうの例を申上げましたのは、これは食料品が主であります。罐詰その他の食料品が主であります。殊にアメリカ市場がそうなんであります。戦前におきましては、各支店相当に豊富な外貨を持つておられます。ですから、その外貨、或いは力を持つておられましたから、ですから銀行も利用さして頂きましたでしようし、又同時に御自分の外貨を利用されまして、それで委託販売をされまして、その委託が普通の形になつておりまして、従つてそれに対する販売も、非常に販売の営業といたしましては伸長してできたことは事実であります。これを今の日本の現在に対して期待されるのは、その通りになるということは、非常に、先ほど寺尾参考人も言われました通り金融の問題がからんで参りますから、そう簡単には参らんと思うので、その期待をここでかけるのは少し無理じやないかと思います。併しこの保険によりまして新市場が開拓されて、或いは新商品が開拓できるというような点に対しましては、これは是非この保険は付けさして頂きたい。先ほど秀島さんの言われましたのも、これも支店におきまして、いわゆるホーム・ビル等ができまして利用される点において、この保険を付けられると非常に結構だと思うのです。これを戦前通りやるということはなかなかむずかしいと思いますが、新市場、新商品の開拓においては是非必要だと思いますので、是非本法案の御設定を希望する次第でございます。  なお次の二番、三番の点を申上げますれば、先ほど大体申上げました通り、販売価格が届出制となつておりまして、それですから、その届出の販売価格に対して現実に御検討頂きます。殊にその販売価格にはコミツシヨンが入つておりますから、一〇五%という率になつております。ですから、これに対する、その価格について十分御検討になつて頂いて、それで且つそれが現地において損が行く、損しても販売しなきやならんというようなときには必ず通産大臣許可が要りますから、その許可のときに輸出組合ですとか、或いは少くとも輸出審議会というのがございますので、その審議会にでもかけて頂きまして十分御検討頂きますれば、こういう弊害は先ず防げられるのじやないかと思うのであります。それから通産大臣許可も以上のようなダンピングだとか何とかいうような弊害がなくて、それで現地で以て処分をいたすほうが損失を少くするという方法もございますし、有利な場合もございますのですから、これに対しては先ほど申上げました手続を経まして許可を与えて頂きますれば、この弊害は防げられるのじやないかと思いますので、これに対する限定等については、その措置の点において十分御注意頂きますれば、あえて危険はなくて振興ができるのじやないかと存じますが、この点を一つ御考慮下さいまして、本法案の御承認を頂きますことを、自分としては衷心から希望する次第であります。
  9. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  それでは最後に東京銀行審査部の吉田次長お願いいたします。
  10. 吉田雄二郎

    参考人吉田雄二郎君) 吉田でございます。本日部長が止むを得ない用事でここへ参上できませんでございましたことを厚くお詫び申上げます。御下問の点につきまして、この委託販売輸出保険という性格上、輸出業者さんが先ず第一に直接の御関係がおありになつて、金融機関はその第二義的な関係がございます点、それから今まで秀島、寺尾野崎参考人が縷々御説明になりました点は、私といたしましても全く同感でございます。附加えることもないと思います。  ただ一言現在の貿易の状況について述べさせて頂きますならば、戦争が終りましてからすべて信用状基準という非常に我が国にとつて輸出をされるかたにとつても有利な条件が大体慣習のようになりましてよかつたのでございますが、やはり日本ひとりが輸出しておるわけじやございませんで、他国この競争上この信用状原則もこちらではできるだけ維持したいとは思つて去りますが破れつつございます。イギリスですとか、西独あたりの輸出条件は信用状をよこせなんて言わないでどんどん物を売つております。そうしなければ又競争に負けるような状態に立ち至りました。そのために我が国におきましても信用状なしのDP手形支払条件手形でございます、或いはDA手形、引受渡条件手形、信用状なしで売らざるを得なくなつて来ておるのが現状でございます。更にこの競争が激化いたしますと、委託販売で売るのも止むを得ないのじやないか、又結局のところ戦前の姿に帰つてしまうのではないかというふうな気がいたします。戦前では私が正金銀行におりました頃、信用状付きの手形というものは二割ぐらいございまして、あとはDA手形、DP手形、それからこれは金融関係ないのでございますが、委託販売手形は、こちらが、金融機関が代金取立て手形として出しておりました。これも非常な数に上つておりましたが、最も戦前において委託販売が非常に利用されておりましたことは、ここにおられる参考人のかたがたの会社にいたしましても、世界各地に支店をお持ちになつていらつしやいましたので、その支店に取りあえず物を送つておく、そうしてお客が好きなものを目の前で見て選択できる、お客に商品をなじませるということ、そうして支店がそれを管理しておりますから危険がなかつたということで盛んであつたのでございますが、秀島参考人も言われましたように、戦後はやつと向う外国の輸入商を使つて委託販売をするような段階になつてしまいました。このためには輸入商のよしあしによつて非常な危険というものが日本輸出商に生じると思います。それでこの危険を回避して頂くというのかこの法律案をお作り頂いた御趣旨だと思いまして、我々金融機関といたしましても、非常に結構な法律案だと思つております。  それから御質問の第四の十条の四にある通産大臣承認、これが例外規定というか、どんなときに与えられるか、或いはこの限定が必要とならないかということに関しまして、戦前の我々のやつておりましたことを申上げまして御参考に供したいと思つております。  この法律の趣旨から言つて日本に積戻すこと、向うで売れなかつた場合に貨物を日本へ積戻すことが原則なつております。この現下の情勢で、現在ではこれも又止むを得ないと思います。但し戦前におきましては日本へ積戻すということは、帰りの船賃、それから向うの船積費用、それから又積戻した商品が果して日本で売れるかどうかという三つほどの大きな疑問がございまして、横浜正金銀行時代には積戻しということは殆んど行われておりませんでした。必ず現地で値引をして処分するか、或いは又はかの地域へ転売するか、そのほうが国家的に見ると得なんでございます。積戻して来ると国内で売れない商品、而も日本船を使えば問題ございませんが、外国船を使つて積戻して来たなんというと、もう国家全体としては全然利益がなくて、海外にサービスの費用を全部払つてしまう、そういうことになるのでございます。先ほど申上げましたように、現状においては止むを得ない、又必要な例外規定であると思いますが、これに関しましては主管の通商産業省さん、或いは金融機関もそろそろ海外にも支店もできて参ります。自己の調査機関を全力を挙げて動員いたしまして、通商産業省に御協力申上げまして、できるだけ現地処分を認めて頂くのが私の希望でございます。  なお中川委員長から特に御下問ございました資本逃避の問題はどうかということについて一言述べさして頂きます。只今日本におきましては、資本逃避関係には外国為替管理法がございまして、いろいろの条件でできるだけ資本逃避のないように規定されておりますと同時に、本件の委託販売につきましては、通商産業省さんのほうで期限、値段等を御勘案の上で許可をされるようなことになつております。現状におきましてはこの二つが存する限り、特に本件を法律として御施行になりまして、資本逃避が起るということは考えられないのではない。又先ほど寺尾参考人が申されましたように本法律は非常に結構でございますが、これが施行になりまして立ちどころに委託販売の金額が殖えるということは私も疑問を持つております。相手方が信頼できないという場合に八〇%はこの保険で払つて頂きましても、輸出業者さんとしては二〇%は損を覚悟されなければいけないわけでございますから……。その他この法律によりまして積戻原則ということがございます。積戻原則である限り商品の処分は内地でされるわけでございますから資本逃避は起り得ない。先ほど私が申上げました積戻原則をできるだけ早くなくして頂きたいと申上げることと矛盾するのでございますが、この点は金融機関も、それから又政府の各官庁も一緒になりまして、政府の各官庁に御協力申上げまして、できるだけその土地のその商品の市況というものがわかれば外地で御処分を許して頂きたい。積戻原則を外して頂けるほうか有利だと申上げましたが、それで資本逃避の意味からは積戻原則は非常に結構だと思うのでありますか、外国為替管理法と、それからその他販売に関する通商産業省さんの許可制度、この二つが残る限り資本逃避のほうは余り金額的にも心配ないのではないかと思つております。
  11. 中川以良

    委員長中川以良君) 有難うございました。  それでは委員諸君の御質疑をお願いいたしますが、御質問をなさいまする相手方を先づはつきりして頂きまして、それから御質問をお願いいたしたいと思います。
  12. 白川一雄

    ○白川一雄君 皆さんに御質問いたしたいのですが、今日お見えになつておられる商社のかたがたは一流の商社のかたがたでございますから計画貿易もなさつておられましようし、又お店のデイグニテイということも非常に重んじてやつておられると思いますが、戦後できておる貿易というものは無数にできておりまして、その中には極端に申しますれば電話とタイプライターだけで以てやつておる商社もあるかのごとく聞いておるのでありますが、これと同じように外国におきましても戦後そういう貿易商社かたくさんできておると思います。特に私ども実際に見ましたところは、中国等におきましては戦争中或いは軍人であつたとか、或いは役人であつたとかいう人が日本との戦争中の知合いを辿つて貿易商に転換しておる人が無数にありまして、そういう人が日本に来て日本の経済界をかなり撹乱した事実も身を以て体験した点があるのであります。そういう意味におきましてこの法律案を施行されますと、戦後派の日本商社と戦後派の外国商社との間に起るいろいろな問題を捉えて見ますと、相当憂慮すべきものがあるのではないかという懸念があるのでございまして、戦前におきましてもインド等におきましてはDPの手形で物を送りますと悪性の貿易商はその荷物を引取らないで、荷物だけを手許へ引寄せて正金銀行の保管にしておきますと、倉敷料もかかる、経費もかかるので、銀行としてはこれをオプシヨンにかけて処分する、荷物を引寄せておいてそのオプシヨンのときを捉えてそういう貿易商が入札して自分の手許へ落すという事実があつたことは私も体験がございますが、皆さんもそういうことは御承知だと思うのでございますが、そういう外国商社もあるのだ、又日本も戦後派の商社があるのだという前提で考えて見ますと、この保険を濫用されるという面が多分にあるのじやないか。官庁のほうでは大臣の許可とか、或いは積戻してどうするとか、非常に観念的な面がありますけれども、実際問題としまして積戻しと申しましても恐らく委託輸出できるのは雑貨が多いと思いますが、雑貨というのは価額が量に比べて非常に低いもので、量が多いということは運賃が高いということになりまして、恐らく日本に取戻して処分すれば零になるか、場合によつたらマイナスになるようなことがあるのではないか。又外地において処分する申請をしたとしましても、実際問題として売れなければ、大臣が許可をしないというても限度をどこにおくかという具体的問題ではなかなか困難な線が出て来ると思うので、これは言うべくして現実の問題としてはなかなか詳細に調べて許可するしないをきめるということはできないのじやないか。長く置けばだんだん安くなつてしまつて、一層又売れにくい。そうなりますとそれを処分することによつて、僅かな商品のために正常な貿易が非常に妨げられて、だんだん値上りの傾向にある商品も、それがブレーキになつて値を上げることができないというような事柄が多分に起るのではないかというように感ずるのでございます。又悪く出ますと、外国商社日本商社が悪性の人が結託しますれば、商品を売つてしまつておりましても、売れないのだということで保険をとる方法がそこに介在するように思うのであります。その場合にはこの間政府のほうの御説明では、出先の領事とかその他によつて調べる方法もあると言いますが、たくさんの貿易の事実が起るのに、そういうことに海外派遣の人が走り廻つているわけには行かないようにも思われますし、なかなか悪いことをする人間は知恵のほうが勝つておりますので、倉庫に物を入れておりましても、藁屑を置いてあるかも知れませず、実際問題としては悪性にやれば幾らでもできる面があるのではないか。そういうようにして金を外地へ温存するという手も、この法律を悪く利用すれば生じて来るのではないか、かように考えられます。日本の今日の貿易を救うのに、こういう末節なことに重点を置くよりも、もう少し根本的なものが必要でないかというように考えられるのでございまして、例えば大商社のかたがたはできるだけ自己の責任において委託販売せられて、それに対する資金の融通を金融機関等に強く要望されるというようなことが根本的な大事な問題ではないか。又外国支店にいたしましても、有力な商社のかたがたが外国支店を置かれて、そうして大いに委託販売なりその他を自己の責任において伸長する発展的努力の面が今日の貿易に必要でないか。ニユーヨークの地に参りますと、八十からの日本商社がある。果してあそこの貿易程度が八十の日本商社が必要かどうかというようなことも考えさせられるので、今日においてさえいわゆる人多くして職少しという現状から、貿易社同士のお互いの競り合いから日本商品値段を必要以上に下げている面が多分あると思いますので、こういう点は貿易界の代表のかたがたで根本的に御研究になつてその線に進むべきで、僅かのこの輸出保険というようなものが日本の今日の貿易を伸展さすところの、私は、途じやむしろないので、今日はもう少し積極的な、抜本的な方法に御努力を願わなければならないのじやないか。こういうふうに考えて、この法案は、私ども言葉が過ぎるかも知れませんが、役人のかたがたの単なる遊戲のごとくさえ感ずる点がありますので、こういうふうに考えております点について、どなたからでもよろしうございますから、御意見を承わりたいと思うのでございます。
  13. 秀島司馬三郎

    参考人(秀島司馬三郎君) 私全部十分御納得行くように説明できるかどうかわかりませんが、この積極的、抜本的に一つ方法を立てて頂きたいということは、私どもも非常に要求している、又熱望しているところでございますが、要するに抜本的と申しましても、一つ一つ方策を考えて行くよりほかしようがないのじやないかというふうに考えられます。それでこの直接助成、補償策とか何とかいたしますと、どうしても二重価格だとか、又はガツトの問題なんかにもいろいろなりますので、各国とも今の行き方としては成るべく間接的助成策で行く、それで英国なんかではこの信用保険制度を非常に活用しておりますので、こういう点ではこういう保険を作つて頂くということが一つの積極策に間接的になるのじやないかと、こう思います。  それから悪用されるという点でございますが、それも確かにあるだろうと思います。それで併しながら全部を補償して頂けませんから、少くとも二〇%くらいは各商社は損を持たなきやなりませんから、そうすると荷物を送るという場合によほど先方を信用しなければ送ることができないのでございます。そういう点で代理店の選定というようなものは非常に慎重にやるんじやないか。それから又代理店をとつたほうから申しますと、それを途中で取消されるとか、何とかいうことになりますと、不名誉にもなりますので、そういう点は業界のほうでよほど注意するのじやないかと思いますが、先ほど申されましたように、新らしくできた貿易商社とか、今まで貿易関係しなかつたものがいろいろ貿易商社なつて来たというようなこともそれは実際にあるのでございます。併し若しそういうものと結託して悪いことをしたというときに、まあお役所のほうがどういう御答弁なさいましたか、私も伺いませんですが、これはその調査をするよりも前に、風説、競争者のほうのリポートが非常に早く来るわけです。そういう点で相当チエツクができるのじやないか。若しそういう虞れがあるならば、期間が過ぎたらすぐに積戻すということを命じて来なければ、それじや損失は補償しないというような方法がとれるのじやないか、こういうふうに考えます。それですから、要するに直接に調査しなくても、もう競争者のほうが相当皆がウオツチしていよるうな状態でございますから、それほどまでに心配はないのじやないか。それは多少どうしてもこういうことになりますというと、悪用するものはございまするが、小さいところは目を塞いで頂いて、大きいほうに伸ばして頂いて、それから一度したところはこれはブラツクリストしておいて、次は許可しないというふうな方法で、チエツクはできるのじやないかと、こういうふうに考えられますのでございますが、十分私が尽せておりませんでしたら、どなたか一つお願いしたいと思います。
  14. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) お答えいたします。先ほど白川委員から御質問のありました第一点。大体受託者は二種類に分かれるだろうと思います。一つ外国商社であまりす。もう一つは邦人の商社支店、こういうふうに分かれるだろう思います。もともと委託積送は、これは相手方にクレジツトを与えることになりますので、白川委員のおつしやつたことは誠に御尤もだと思います。殊に外国商社といえども先ほどお話がありましたように、信用度の低い、いかがわしいものがたまたまこの委託積送制度を利用いたしまして、巨額なクレジツトを与えるわけでございます。そうしてこれがお話通りのようなことをやる危険は必ずしもないと言えないと存じます。一面邦人商社、特に有力商社外国支店或いは外国法人になつておるかも知れませんが、これがいわゆる本支店関係を持つている場合にはこれはどこまでも監督ができるわけでございます。秀島参考人の言われたような措置もすぐ端的にとれると存じます。従いましてこの面においては懸念はないのじやないか、こういうふうに考えます。併しながらこの制度を運用いたしまする場合に、委託販売につきましては通産省において審査基準という基準書がございまして、これによりまして相手方の信用面を、これは商社即委託者の申告に基き、又在外公館の調査その他の方法によつて調べるので、不測の場合の起ることはこれは必ずしもあらかじめ防止できないかも知れませんが、その他の場合においては間々防止できるものと存じております。  第二点の悪用防止は、先ほど私申しげましたようなことはいささか形式張るようなことなんでございまするが、ああいうようなことによりまして政府の負担において商社利益を得る、団を売つて商社が儲けるというようなことを防止し得る一試案じやないかと考えたわけでございます。  それから第三点の商社間の不当競争、ああいつた、こんな小さな制度のごたごたを見て遊ぶよりももつと根本的な抜本的な方策を立つては如何、全然同感でございます。もうこれは今更申上げるまでもなく日本の置かれておりまする現状からいたしまして、大いに輸出振興し、そうして輸入を極力抑制し、商品は高くこれを売り、安く必需物資を買入れるというのがこれが至上命令であります。ところが現状は、これは日本の為替が管理下にありまする関係上からも輸入公表とか外貨予算の発表とか、こういつたことによりまして、必需物資の購入をするのにわざわざ値を高くさせてから質付けるといつたような現況にありまして、非常に遺憾に堪えない。又一方先ほども御指摘に相成りましたように、これは一たび国外においでになつたかたはよく御承知だと思いますが、日本商社の出先がもうたくさんおりまして、不当に競争し、そうしてそのために値を叩かれたり、あらゆる不利な条件を甘受して叩かれ叩かれ安く、如何にして安く、逆に申しますれば如何にして安く売らんかなの態勢をとつている現状は、これは何としても是正されなくちやならないのでございます。こういう立場から白川議員殿の御指摘になりましたような抜本方策を立てたいと、我々も常日頃話合つて、いろいろ各方面にもお願い申上げているのでありますが、又政府或いは政党各方面におかれましても掲げられる御方策の中には常に商社の強化、いろいろそういう面が必ず出ております。非常に有難いことなんですが、なかなかその実挙らざる現状でございます。我々も今の御発言もう全然賛成なので、又我々も及ばずながらやつております。むしろこの点におきましては通商委員会各位の一つ十分なる御支援を頂きまして、この念願を一つ達成できるように御配慮願いたいと思つております。特にこういつた小さな制度よりも、もつと金融措置を講じて、そうして抜本的に、こんなほそぼそしたことでない、戦前のそれのごとくやるようにやつては如何、もうこれももう全然同感でありまして、そういうほうに、必ずしもこの法案、これも一歩前進と思いますが、これ以上に一つ輸出金融につきまして目下いろいろ当局において御勘案のようでございますが、我々業者もいろいろそういう面につきましては、意見を、案を練つております。こういう面におきましても、大いに一つそういう施策がとれますように、御支援御協力願いたいと存じます。その上は必ず御期待に副うように、大いに今後は高売、安買をやるようにいたします。この点御協力をお願い申上げて私のお答えといたしたいと思います。
  15. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかにどなたか御発言を……。
  16. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) 只今秀島さんと、それから寺尾さんからお話がございましたから、補足いたす点はございませんけれども先ほど海外におきます競争というお話につきまして、一言申上げておきます。御承知通り日本はそのために輸出組合というものを作りまして、これでできるだけ一つ統一したる輸出方針に行きたいという希望を以て発足いたしているのでありますが、御承知通り輸出組合そのものもやはり独禁法のやはり範囲外と申しましても、やはり公取がございますものですから、ですからその範囲内におきまして、なかなか遠慮しなくちやならんような形になつておりますから、英国が現在やつておるような程度までも我々行きたいと思うのでございますけれども、それが進行できないというところに欠陥があるのじやないかと思います。殊に市場統制というものにつきまして、一番困難を感じますのは、アメリカなんであります。アメリカは御承知通り独禁法の一番の烈しい、きびしいところでありますから、どうしても市場統制ということができないのであります。ですから今アメリカの例をお話がございましたのですが、ほかのところでも随分競争がひどいのですが、殊にアメリカはどうにもならんというのが現状なんでございます。ですから海外におきます情勢と、日本のやはり戦争中のような統制のできないような状態にありますので、これなんかにつきましてはもう少し一番進んで改正のできますように我々は希望するのでありますが、それらにつきまして又今後におきましては御配慮頂きまして何とか我々の力で及ばない点を一つ御考慮頂きまして輸出振興のために御援助のほどをお願いいたしたいと思う次第でございます。
  17. 白川一雄

    ○白川一雄君 有難うございました。今後我々この法案を研究する上に参考とさして頂いたことは有難くお礼を申上げます。ただ今日現在におきましては先ほども御説明を頂きましたが、この法案が適切だという考えにはまだなり得ないということを附加えておきたいと思います。
  18. 西田隆男

    ○西田隆男君 秀島さんにお答え願いたいのですが、あなたのお話を聞いておりますとダンピングの虞れは全くないようなお話のようですが、併しそれは過去の、戦前委託販売日本の本社から支店を置いて、支店で卸しておつたというのと、今考えられておる委託販売とは大分違うように私は考えます。これも全く無意味でなくて、新らしい商品とか、新らしい市場を開拓するために委託販売保険制度というのは一応私は意味を持つておると思うのです。併しこの通常貿易のなされておる地区に同じ商品日本支店でなくて外国商社委託販売をさせるということは実際のこの事情から考えて貿易政策としては有効な方法じやないと、こう私は考えるのですが、現実の問題としてお答え願いたいことは、この委託輸出保険を付けておつて業者は二割の損失を覚悟しなくちやならんというような場合に、現地日本から委託をした輸出業者が同じ二割の損失で済むという場合、これは現実の問題として商品をその市場で売らないで、そうして日本に持つて帰る。日本に持つて帰つた場合は二割の負担でなくて、さつきも白川君が言つておりましたがゼロ若しくはマイナスになるということが非常に強いという場合、これを売らずに持つて帰るということが法律の規定にありましても実際にあなたがた行いますか。
  19. 秀島司馬三郎

    参考人(秀島司馬三郎君) これは先ほどから申上げましたように持つて帰るということは私どもから見ますというとそれが原則じやないと思うのでございます。ただダンピングを恐れます関係向う市場を混乱させたり何かしちやならんということで非常にこの案を作られるときにお考えになつたことだと存じます。それですから大体は向うで以て処分するようになるのじやないかと、こう考えておるのでございます。従つて通産大臣許可を頂くということが、これが相当の広い部門に行くのじやないか、こう考えます。  それからその次に初めに御質問ございました正常輸出を阻害しやしないか、そうしてほかのほうが順調に行つているときにそういうことをしては工合が悪いじやないか、従つて商品別、又は市場別に制限をつけたらどうかというようにとれますけれども、私のほうは特に繊維製品が主にやつております。これで先ほど私がここに例を引きましたが、生糸なんかが非常に今でも金額が多いというようなことを見ましても、この繊維類はどうしても現地に物を置いたほうがよく、割に交易条件よく売れるということから参りまして、そうして、それにいま一つ考えられますことは、日本は長らく国際貿易場裡から離れておりました。従つて今何もかも開拓時期になつておりますからそれを小さい見本だとか何だとかでやりますとなかなかできません。従つて繊維のほうから見ますというと、どうも地域別、商品別に制限を付けられると、十分な活躍ができないじやないか。それから今度の法案では六カ月間と思いますが、ぐらいの間は値を切つて売るということができないことになつております。そうすると委託者のほうも相当見込をつけないと出せないことになりますから、こんな御心配になるようなことは相当チエツクできるのじやないか、こう考えておるのでございますが……。
  20. 西田隆男

    ○西田隆男君 あなたのお話は一応わかるのですがね。わかるのですが、私の申上げておりますことは、通常貿易の行われている例をとりますと、生糸としますが、生糸アメリカ市場行つている。それが仮に総合的に百行つているのだ、通常貿易では。そのうちの極めて一部分委託販売の形をとつてアメリカに持つて行かれる。それがたまたま日本本店支店関係でない外国商社に、これは随分信用のある店ではありましようが、持つて行かれた。そうしてそれが一定の期間内に売れなかつた。こいつを日本に持つて帰るということよりも、或る程度のリスクは商社が背負つても、これはアメリカで売るということのほうが、まあ常識的に考えられますね。そうした或る一定の価格、これは一割といいますか、二割といいますか、これはまあわかりませんけれども通常貿易による生糸の販売価格より低い価格で、極めて一部分商品が同一市場で販売されたということは、日本通常貿易に影響しないで済むかどうかという問題を私は非常に懸念しておるわけです。これはまああなたも寺尾さんも自粛してやられるのだろうし、なお又そういこ貿易商社があつた場合には直ちにそれをオミツトされるということでしたけれども、それは併しAという商社が何回も繰返してやるのじやなくて、AありBありCあり、たくさんな業者が一回ずつそういう安い値段で売つたということが、日本生糸アメリカ市場の販売価格に影響せんということには考えられないのですが、その程度のことは大丈夫という御確信がありますか。
  21. 秀島司馬三郎

    参考人(秀島司馬三郎君) それは生糸市場というものは、向うでどのくらいの値段ができておるということがわかりますので、そうすると、その値段よりも非常に切つて売るというときには最後に損の計算をさせるときに、又は向うで処分してもいいという許可を与えるときに通産大臣許可しなければいいのであります。ただ毎回の……。
  22. 西田隆男

    ○西田隆男君 それは通産大臣許可ということに非常にあなたは重点を置いてあるようですが、どうせ業者がリスクを負担するのだという建前から考えたら、通産大臣許可、不許可ということは、これは問題にならんと私は思うのです。それは保険が常に正常な姿で、常識的に最も効率ある施行がされておる場合のみをあなたがたはお考えになつておる。そうでなくして、保険なんかどうでもよろしいのだという建前をとつて業者が安い値段で売つた場合は、これは通産大臣許可しないでも売れる。どうせリスクは自分で負担するということで、そういうことがA、B、Cといういろいろな商社を通じて行われた場合、極めて小部分商品を販売するとき、大部分貿易に悪影響を与えないか、こういう私のお尋ねなんです。
  23. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) 一応その懸念はあると思うのでございまするが、実際問題といたしますと、国外の、私の場合は先ほど申上げましたカテゴリーの外国商社でございます。外国商社が若しこれが資力がある有力なものでございましたらば、LCべーシスで、LCを組んで日本に直接買付けますと、これは安いのです。今度委託販売、つまりクレジツトをもらつて、少量入れるような場合は、これは小口で売るわけなんです。而も大抵スポツトでCODで現品を持つて行つて売るのでございます。これは向う現状から見まして、常にLCべーシスで売る値段よりも遥かに、御承知通りアメリカ等におきましては、相当輸入業者から卸にかかつて参りましても、小売に参りましても、日本のそれと違いまして非常な幅がございます。従つてそこに大量輸入したやつは安い。それから今の委託で少量ずつ小口で売る場合非常にこの帳は高く、先ほど私がこういうLCベーシスの正常貿易と関連ある地区に委託販売をする場合においては、届出を要する基準価格を高く設定しなければならないのであると申上げたのは、その点を顧慮してのことでございまして、少量の場合、まあこれは前提といたしまして、もう不埒なやつが初めから作為を以てやる場合、又それに乗かる阿呆の商社なり役所がある場合、これはもう別でございますが、そういうことのない限りにおきましては、恐らく御懸念の点は絶無とは申上げられませんが、極めて少いものであろうと考えられます。
  24. 西田隆男

    ○西田隆男君 あなたのお言葉を聞いておりますと、委託販売をする通常の貿易のできている場所にする場合においては、委託販売する商品は従来通常貿易商品よりも高く売らなくてはならない、こういう前提に立つておいでになるようですが、そうすると、そういう高く売るような品物、或いは数量等は、一般市場貿易のされているところに余計にあるようには思われませんですがね。
  25. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) 思われません。
  26. 西田隆男

    ○西田隆男君 そうすると、極めて僅かな輸出貿易をするために、特別な、こういう保険制度を設ける……。
  27. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) お答えいたします。  従いまして、こういう委託販売が行われます場所は、恐らくこういつた関連性の少いところが主になると思います。特に委託販売を要しまする、要しまするといいますか、行われまする物資は消費財でございます。決して生産財ではございません。罐詰だとか、繊維、それから紅茶とか、自転車とか、おもちやとか、まあそういつたようなものでございまして、生糸、繊維などがこの大宗になると思いますが、そういうもので通常貿易でどんどん出ている場合においては、こういつた外国商社にこれをやらせるということは恐らくレア・ケースになる。恐らく皆日本商社の出先、即ち支店なり、或いは関連性を持つ支店、自己の支店外国法人、こういうところに当てることになると思います。メリツトは新販路の開拓、或いは日本商品の紹介、こういつた点がメリツトでございまして、その場合においては、もう皆小口で、スポツトで、今申上げましたように、向うの口銭率が高うございますので、有利に売れるわけでございます。そういう意味合いに、このメリツトがあると思います。特にこれはもう御承知と思いますが、イギリスに海外在庫保持なんとかというのがありますね。これなどは非常に有効に動いております。まだそこまで出られないのは非常に残念ではございまするが、少くともかかる途を開くことによりまして、日本商品の紹介、これが行われますし、それからもう一つは、これが本当に行われまするならば、御承知通り日本の経済の底が浅うございまして、ちよつと品物が不足すればすぐ暴騰、それから又少し潤沢に出廻ればすぐ暴落、例えば最近の生糸のごとき、輸出品プライスが二十四万になつているのが国内においては二十七万円、そのためにはこの間の砂糖とのバーターみたいな措置をとらざるを得ないことになつておるのでありますが、まあ、ああいつたような関係でございますが、こういう関係海外に響きまして、海外においては、日本商品はよくて安いが、併しながら又すぐ暴騰、暴落があつて、欲しいときに入つて来ない。それから漸く販路を作ると、今度又その下をくぐる安いのが来る。そういうために、こんな不安定な商売はやれんというような危惧がございます。常時海外在庫を持つことになりますれば、或る程度までそういう面も緩和できるのじやないか、そういうような意味合いにおきまして、確かにこれは一歩の前進であると考えまするので、商社側として非常に賛意を表しておる次第であります。
  28. 吉田雄二郎

    参考人吉田雄二郎君) こういうふうに御説明するといいのじやないかと思うのでございますが、それは一応販売期間を切つてございますが、その販売期間内で安売りした場合は、全部商社保険の適用を受けないわけでございます。その場合はこの保険があつてもなくてもそういうふうな悪意は起り得ると思います。それから販売期間が過ぎて売れなかつたものについて、現地通産大臣承認を得ました場合は処分できるのでございますから、今西田委員の御質問のような同種の商品がその市場で競合する場合は、その商品の適正値段、或いはその土地における適正値段というものが日本側にはつきりわかつておると思います。その多量の、その同種の商品が信用状付き基準で出ておる。たまたま同種のものがこの委託販売で出て、それが不当に安く売られたということは、これは通産省でも或いはほかの商社にお聞き頂いても、まあ最後に銀行にお聞き頂いても、日本の主な商品の主な市場における現在の値段ぐらいのものはわかつておるはずだと思います。その点で日本の主要商品海外市場撹乱にはならないのじやないか。丁度寺尾委員の御答弁の反対側の言い方でございますが、同じような意味だと思います。
  29. 西田隆男

    ○西田隆男君 私が聞いておるのはその反対側のことなんで、商品市場における一般の価格はわかつておるのです。わかつておるでしようが、通産大臣許可を求めたつて許可してくれない。くれなくても売るのだと言つて売つた場合に影響しないのかと、こう聞いておるのです。
  30. 吉田雄二郎

    参考人吉田雄二郎君) その場合肝この保険法があるなしにかかわりませず、同じことでございます。同じことであると思います。
  31. 西田隆男

    ○西田隆男君 いや、それは最初から悪意で行つたものと善意で持つて行つたけれどもそういう結果になつたのと大変な違いがあるので、最初やはり保険の適用を受けようという意思で向う行つて、どうせ負担するリスクは同じでも売つて帰つたほうがいいだろうという考えをなされることがあり得るので、そういう場合一般の通常貿易商品に影響しないかということを聞いておるのです。
  32. 吉田雄二郎

    参考人吉田雄二郎君) それはこの保険があればよりそういう初めは善意で行つて途中で悪意になるという意味においては、この法律案が成文化されましたときは危険が多くなると思いますが、これがないときでもこの委託販売というものは行われておりましたわけでございますから、これがあつたために初め善意のかたがそれほど悪意になられるとは思われないのでございます。如何でございましようか。
  33. 西田隆男

    ○西田隆男君 それは理窟であつて、現実の問題としてはそういう理窟は適用されません。ノーマルな状態で運用されれば疑念はないのです。ノーマルの状態でない場合が考えられることが通常貿易に影響がありやしないかという私は懸念を持つておるわけです。それはそれでいいですが、委託販売輸出の金額は政府の答弁を聞いておりますと、極めて僅かなんです。日本輸出総額に比較して見ても、委託で将来急速に伸びるということもあなたがた考えられんとおつしやつておるし、二十八年度は五十九万ドルぐらい、二十九年度は、政府は二百万ドルぐらい予定しておる、この保険を作つたら。こう言つておりますから、余りにこの貿易商品が少な過ぎるのに弊害がうんと起きたらこれは大変じやないかという懸念を素人ながら持つておるのです。それでまあしつこく聞いたわけなんですが、大体いいです。
  34. 海野三朗

    ○海野三朗君 私がお伺いしたいのは、これはこの法案を出した政府当局のほうにかも知れませんが、参考人のかたに御所見を承わりたいのです、この投売りをやるという投売りの程度、判定点はどういうところに……、これ以下はやはり投売りだ、これ以上であれば投売りでないというその基準がはつきりしておりますかどうか。それから通産大臣許可云々のことは、ここに述べられておりますけれども、結局するところこの法案というものは、日本輸出産業を促進するということから立脚しているものでありますけれども、非常に穴が多い。従つてこれがその心配するところは今ほかの委員から言われましたように、このしわ寄せがどこに行くかということを考えると非常にこれは危険なものではないかというふうに考えられるのであります。この投売りの基準はどこに置いてあるのか、つまり向う行つてこれ以下は投売りだというところの基準点かあるのでございましようか。それをどなたからでも一つお伺いいたしたいと思います。値段の点から考えまして、これは投売りだとか、いや投売りでないというそういう基準がどこかにあるのでございましようか。
  35. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) それではちよつとお答え申上げます。先ほどの各参考人から縷々申上げました通り現地におきます価格というのは、大体市場価格というのはきまつておりますから、時々わかつておりますから、ですからそれ以下で申請をして許可をとる場合において、これではつきりおわかりになるのじやないかと思うのであります。ですから市場価格よりも下げて売るようなことが投売りじやないかと私は解釈するのですが、それはでき得ると思うのです。それで先ほど答申書の要綱のうちに書いてあります通り、それぞれの政府から疑問がございましたならば、当業者輸出組合というものがございますから、輸出組合或いは審議会等におかけ下さいましてお調べ頂きますれば、それでおわかりになるのじやないかと思います。これはなお補足して申上げますが、先ほどのその危険のために許可によつて抑える、それから新らしい商品、或いは新らしい例えば機械にしましても、新らしい機械ができますとやはり送つて運転して見なければおかりませんというようなことになりますと、やはり委託でやるよりしようがありません。そういう点におきまして委託保険の必要さがございますので、先ほどの危険の点は業者がみんな監視いたしておりますから、その点は防ぎ得るのじやないか、又先ほどお話通り、各個に商品が、AなりBなりCなりがみんなやつたらどうだろう、こういう御意見も、そういうものがございましたならばやはり許可のとき抑えられておりますから、その点の危険はないのではないか、こう思うのであります。ですからこれは実際問題として、その弊害は業者において監視しているという点を一つ御考慮下さいまして、本法案につきまして一つ御審議頂きたい、こう思うのであります。
  36. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つお伺いいたしたいのであります。先ほど吉田参考人からお話がありましたが、やはり向う行つて不調に終つて売れなかつたといたしました場合でも、その品物を送返すというようなことになりますというと、結局非常な損害になりますから、もう十中殆んど九分九厘までその土地で投売りせざるを得ないことになるのじやないか、こういうふうに思われるのであります。そうしますとその結果はどうなるかと言いますと、やつぱり輸出振興ということでできた法案でありますけれども海外市場に投売りをやるということになつて来るのではないかというふうに考えられますが、その点に対してのお考えは如何なものでございましようか。又通産大臣許可するか許可しないかという点も、その通産大臣が一体何を基準としてそういうことをやつているのか、つまり世間の評判を参考にして許可するか許可しないか、一体通産大臣は何を基準にして許可するとか許可しないとかということを言い得るのか、そういう点に対して非常な私どもは疑問を持つておるのでありますが、その点に対しては如何ようにお考えになつていらつしやいますか、御高見を承わりたいと思います。
  37. 吉田雄二郎

    参考人吉田雄二郎君) お答え申上げます。いささかこれは政府の、通商産業省さんのほうでお答えになる範囲でもあるかと考えられるのでありますが、金融機関の側としての見解を申上げますと、御質問誠に御尤もだと思いまして、そのために私が先ほど申述べさせて頂きましたときにも、差当り通商産業大臣の許可原則にして頂きたい、この原則も止むを得ないと申上げた点も今御質問の点を考慮いたしまして申上げたわけでございます。即ち盲貿易からやつと少しずつ相手の事情がわかり始めた現状でございまして、これが戦前でございますと殆んどもうこの商品でこういうものなら幾らじやなきや売れないだろうというのが各地でわかつておりましたのでございますが、戦後は残念ながらまだそれほどまでに行つておりません。私どもでもお恥かしいながら殆んど重要商品以外は殆んどわかつておらないというのが現状でございます。又金融機関、貿易のほうに主として目指しております金融機関としまして今一生懸命にそれを努力しております。それで先ほど申上げましたように、そういうことにつきまして極力通商産業省に御協力申上げまして、通商産業省でそのほかの情報もお集め頂く。大体各地の事情がかわるようになつたときには通産大臣承認という例外の、例外ではあるが原則なつておりますが、それを今度は本当の例外にして頂いて、殆んど全部を現地処分をお許し願いたい。現状においてはやはり積戻しが一番安全な策ではないかと、残念ながらそう思つております。
  38. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 販売価格が百、その貨物の費用の百分の百五を乗じて得た金額となつていますが、これに対してこの適否、それから下つてはならないわけでありますが、その上は一体実際の場合にはどれくらいまでが今までの実績から考えられますか。それと、先ほどちよつと寺尾さんの御発言の中にありましたが、この保険の率の問題ですね。これは通産省輸出保険の特別会計を見ますと歳入が四十三億ぐらいであるにかかわらず翌年への繰越が三十数億あるわけです。だから率が高過ぎるのではないかと、こうちよつと考えるわけですがね。その率についての御意見一つ……、その二つを……。
  39. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) 先ほどお話の第一問は私聞き落しましたが……。
  40. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 百分の百五について御意見かあれば……これは適切であるとお考えになりますか。
  41. 野崎一郎

    参考人野崎一郎君) つまりコミツシヨンとして五%ということでございますね。これを下つてはならんというのは僕は当然ではないかと思うのであります。それで委託販売というものはもともとそれの基準を置いて出しておりますから、それ以上高く売るということは国家のためいいわけでありますから、ですから百円といたしまして百五円を下つてはならんということで抑えておいて頂けばそれでいいではないかと思います。  それからなお保険の率の問題は、これは先ほどちよつと申上げたのでございますが、現在のところは輸出振興方法というものが何も殆んどないのでございますから、一つこれにつきましては、国家においていわゆる損失のない独立勘定になつております。これはGHQの当時からの命令でなつたように承わつております。これを一つもう少し振興方法として率を下げても、或いは赤字になりましても、もう少し振興方法に御利用頂きたい、これを自分としては希望するのであります。これは業者一般の希望でございます。ですからほかに振興方法としてない、而もこれは相当よその国でもこれに対してはほかに振興方法をとつておりますのですから、せめても輸出保険におきまする振興方法によりまして、一つ率を下げまして業者のために大いに活用して頂く方法お願いいたしたい。こういう自分の希望であります。これは業者一般の希望であります。その点敷衍いたしまして、できるだけ安くして、皆に喜んで活用して頂くということをお願いいたしたいと思うのであります。
  42. 寺尾一郎

    参考人寺尾一郎君) 第一点のほうにお答え申上げますが、アメリカやその他の国内におきます卸売業者の口銭率及び小売業者の口銭率は、日本業者のそれと遙かに格段の相違がございまして、内地におきましては三%、五%というのがあればもう御の字でございます。アメリカ業者は三%や五%では承知しません。必ず一割、私ども在勤しておりましたときには、卸売で一割乃至二割、小売は二割乃至三割、そのくらいの利潤を挙げております。従いましてこの五%の利潤、これを役所できめることは、これはもうミニマムに規定しているのでありまして、必ずこれ以上商社としてはやらなければ、儲けなければ恐らく仕事はできない、こちらが最低としてはまだ低いくらいのものじやないか、但し補償の際におきましては百五は基準になりません。百を基準にしまして補償するようになつているように心得ております。
  43. 中川以良

    委員長中川以良君) ほかに御質疑ございませんか。それでは本日はこの程度にいたしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 中川以良

    委員長中川以良君) 御異議ないものと認めます。  参考人の方に一言御挨拶申上げます。本日は長時間に亙りまして誠に尊い御意見を御開陳賜わりまして、本法案審議上当委員会としましても誠にいろいろ得がたいお話を承わつたことと存じます。私ども今日のお話を十分参考にいたしまして、本法律が悪い半面だけが出ないように十分に活用されるという見地の下に今後とも審議をいたしたいと存じます。なお今後お気付きがございましたら、一つ私の手許まで申入れ頂きたいと思います。誠に有難うございました。  それでは本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十九分散会