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1954-11-11 第19回国会 参議院 通商産業委員会 閉会後第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年十一月十一日(木曜日)    午前十時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     石原幹市郎君    理事            松平 勇雄君            海野 三朗君    委員            加藤 武徳君            西川平治君            酒井 利雄君            高橋  衛君            中川 以良君            河野 謙三君            森田 義衞君            藤田  進君            三輪 貞治君            天田 勝正君            武藤 常介君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    大蔵政務次官  山本 米治君    大蔵省銀行局特    殊金融課長   加治木俊道君    通商産業省企業    局長      徳永 久次君    中小企業庁長官 記内 角一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (中小企業年末金融に関する件)   —————————————
  2. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それでは只今より通産委員会を開会いたします。  本日は中小企業年末金融に関する件について調査を進めたいと思います。政府におかれましてもこの中小企業対策についてはいろいろやつておられるようでありますが、我々といたしましてはデフレ政策中小企業へのしわ寄せということを極力警戒、防止に努めて行かなきやならんと思うのでありますが、年末も近付きまして、殊に金融問題等から更にそういう傾向が強く現われやしないかと思いまするので、先ず中小企業庁長官のほうから中小企業の年末金融見通しとしてこれが対策について一応御説明を願いたいと思います。
  3. 記内角一

    説明員記内角一君) お手許に「年末金融対策について」という資料をお配りしてございますが、それを読みながら御説明を申上げたいと思います。「年末における中小企業金融難を緩和守るため、下記の諸施策の推進方につき所要処置を講ずることとする。1、政府指定預金引揚延期、九月末現在における政府指定預金残高は、別表1の通り総額六十六億六千三百万円で、当初十月以降一月までに均等引揚予定であつたが、年末金融の緩和、災害融資円滑化を図るため、差当り十月引揚予定十六億六千六百万円のうち十二億一千五百万円を明年二月末まで延期することとした。併しながら十一月、十二月においては一層の資金需要が見込まれるので、同月引揚分についても四カ月程度引揚延期につき、努力することとする。」その資料の三枚目のところに指定預金引揚計画がずつと出ておりまして、これをここにありますように、十月、十一月、十二月、一月ということで逐次引揚げて参る計画なつておつたのでございますが、十月分につきましては商工中金につきましては全額据置き、それから十億円以上の災害のありました二十道府県につきましては引揚を延期する。結局それ以外の府県につきましては引揚行なつたものでございます。これが大略四億、下の欄の一番端のほうにありますように、十月中において四億五千万円ということになつた次第でございます。今後ここにありますように十一月、十二月と引揚げ予定なつておりますが、今までのところは供米代金撒布状況或いはその引揚回収等状況等を睨み合せてやつて参るというふうに予定しているわけであります。我々といたしましては撒布を受ける方面と一般金融引締めに応じて受ける中小企業のものとの食い違いというものが相当ございますが、特に十一月、十二月につきましては全額これを据置いて来年年を明けてから回収する、引揚げるという方向に進んでもらいたいということで大蔵省と折衝いたしております。或る程度まで了解はできているというふうに信じている次第でございます。  第二は、政府金融機関による年末融資の問題でございまして、「中小企業金融公庫別表2及び3)、中小企業金融公庫の本年度貸出資金源は、別表の3の通り二億百円であり、第三四半期貸出予定は当初六十億であるが、災害関係三億を含み、七十五億円乃至八十億円の貸出を行うこととし、これがため第四四半期枠の繰上げを行うこととする。なお、この結果第四四半期枠不足を生じたときは、別途の方途を考慮することとする。なお第三四半期以降特に長期運転資金積極的貸出を図り、中小企業者資金繰りの安定に資せしめることとする。」御承知通り中小公庫資金は百長期、一年以上の長期貸出ということになつているわけであります。従つて季節的な動きというものは本来ならばそんなにあるものでもないわけであります。併しながら殊に運転資金等中心としますというと、やはり年末を境にいたしましていろいろの再建方策その他が行われる面も多いと考えられますから、従来は一四半期五十億円、当初の計画では第一、第二が五十億円、第三が六十億、第四が四十億ということで計画を立てておつたのでございますが、年末でもございますので、その資金増ということを考えまして七十五億乃至八十億くらいまでこれをやろうということで、それぞれ各金融機関に対する融資予定額は八十億を割当をいたしております。若しこれが全額貸付ができるようになりますと八十億でもできるということになるわけであります。併しながら、併し今までの例を見ますというと、必ずしも全額融資できない金融機関などもありますので、その辺の歩留りなどを考えて行きますと、大体七十五億見当ということに相成ろうかと思うわけであります。これによりまして年末の一助にも資したいというように考えている次第でございます。  国民金融公庫につきましては、「昨年度第三四半期貸出実績総額百十九億円に対し、本年度資金需要増勢を考慮し、百二十九億円の貸出を行う予定であるが、なお資金不足を生ずるときは、特別小口貸付の伸び悩みに伴う余裕資金及び回収努力による余裕資金普通貸付資金に充当することをも考慮することとする。」実はこの百二十九億の中には特別小口貸付が、御承知通り、五万円までは非常に簡易に貸付けることになつておりますが、これが実際問題といたしましては余り需要がございません。従いましてこの分の当初予定しておつたものを含めまして百二十九億ということに相成るわけでございます。むしろこれは消しておいたほうがよいかと思います。なお今後の回収努力したものを加えまして百二十九億以上にもいたしたいというふうに公庫のほうと連絡をいたしている次第でございます。  商工組合中央金庫、「商工組合中央金庫の本年四月以降十月までの貸出純増額は九億五千万円でやや伸び悩みを示しているが、昨年度第三四半期における貸出純増が九十億円に達したことに鑑み、本年度においても災害関係七億を含み八十二億の貸出純増を見込み、所要資金手当を行わしめることとする。なおこの際生ずる資金不足分については、日銀の第二次高率借入をも行わしめるほか、前記1の指定預金引揚延期方を強力に推進することとする。」中小企業金融公庫並びに国民金融公庫回収金政府の出資及び貸付金で以てやることになつております。大体予定通り行い得ることと思つております。従いまして例えば中小公庫が七十五億乃至八十億出しましても第四四半期の分を減らせるという建前をとりますれば、そう資金繰りに苦労することもないわけであります。国民金融公庫につきましても当初の予定通り預金部資金から貸付ができるということになれば或る程度のものは当然貸付がなし得るわけでございます。ただ商工組合中央金庫につきましては、一番最後のところの別表5を御覧頂きますとわかりますように、資金貸出予定は、右の欄に八十二億と相成るわけでございますけれども、左のほうの収入のほうを見ますというと、債券関係で十八億七千万円、一般預金がこの貸出の八十二億について一五%ということで十二億三千万円、それから現在余裕金といたしまして十五億五千万円のコールを出しておりますので、これを回収して使うということにいたしまして、又日銀からここにありますように中小企業別枠融資十六億九千六百万円、ちよつと十七億が残つておりますし、又最低金利で以て借入れられるものが一億一千万円、第一次高率で以て借入れられるものが六億三千万円というふうな余裕金がございますので、これを使いますというと、二十二億はいわば当然日銀から借入れられるという状況に相成ります。この資金面に対しまして右のほうにあります貸出は八十二億出している。それから指定預金を若し万一返すといたしまして、十三億七千万円、それから有価証券を、これは債券、左にあります金融債を発行いたしますにつきましては、地方銀行等が持つております事業債等を一種の見返りと申しますか、若干買入れなければならない。又これを買入れておきますと、左の日銀借入れの際の担保にも充当されるという面もございますので、毎月五千万円ずつ買入れております。この買入れを一応五千万円といたしますと、これが九十七億円となるわけであります。この九十七億円の支払をいたしますためには、収入もこれだけ以上の線では約二十八億五千万円の資金不足が生ずるということに相成るわけでございます。併しながらこの備考にありますようにそういう意味合いで二十八億五千万円の資金不足が生じますが、若しこの右の欄にあります政府に返す予定指定預金の十三億七千万円を返さないで済めば、これが残りは十五億に相成るということに相成るわけであります。従いまして先ず第一のお願いとしては、この指定預金の返済の引揚を延期するということが第一点でございます。、更に残りは、そういたしますというと、十五億円くらいの資金不足になるわけでございます。その分につきましては今御説明しましたように、まだ第二次高率借入れは全然受けておりませんので、この分を含みまして、日銀から第二次高率による借入れをいたしたいというふうに考えております。そういたしますれば結局結論といたしまして、商工中金といたしまして指定預金十三億七千万円の引揚を延期してもらう。日銀から十五億程度二次高率借入れをするということにいたしますれば、八十二億の貸出増が行い得るということに相成るわけであります。なおこれは貸出増でございますが、回収、或いは貸出という両方の面を見て参りますというと、商工中金は毎月大体百億乃至百十億の貸出回収して、同じくらい貸出をいたしております。併しながら今度の計画におきましては、この別表第二表初めから四枚目の一番上にございますが、この一番下のところの商工組合中央金庫のところにありますように、十月分としては十億、十一月分としては十七億、十二月分、五十五億ということになるわけであります。従いまして毎月平均百億ずつ回収貸出をいたしておりますので、この間におきましてはおおむね四百五十億くらいは貸出ができるというふうな実勢に相成るわけであります。従いましてまあこれだけの表で参りますというと、それからその商工中金貸出につきましては、別表第五表の一番終りのところ、貸出のところに八十二億とございますがそのうちその現実貸出といたしましては、回収が四百十二億、貸出が四百九十四億、約五百億近い貸出をいたしまして、年末貸出残といたしましては五百四十九億、おおむね五百五十億の貸出残予定されるという結果に相成るわけでございます。これだけの需要資金予定いたしておりますので、先ず先ず一応年は越せるのではないかというふうに期待をいたしておる次第であります。  なお二枚目のところに、本文に入りまして、下請代金支払促進につきましては、ここにありますように、去年もすでにこれに関する次官会議決定、これは政府支払決定促進の問題でございますが、去年の十一月半ばに、政府関係支払を促進するようにということを決定いたしております。今年におきましても、近く関係官庁の参集を求めまして、年末に備えての支払促進をお願いしたいというふうに考えている次第であります。更に一般的な下請代金の不当な支払遅延に関する認定基準発表等処置を講じて来たが、更に年末に際し、日本銀行及び市中金融機関協力を求めて、下請支払に対する早急融資をお願いしたいというふうに考えておる次第でございまして、こういうことによりまして、デフレ金融引締の最中ではございますけれども、できるだけ安全に年を送りたいというふうに考えておる次第でございます。
  4. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) じや、次に山本大蔵政務次官より、大蔵当局よりの年末金融に対する見通し対策を御説明願いたいと思います。
  5. 山本米治

    説明員山本米治君) 第三四半期は御承知通りに、まあ政府供米代金支払中心として財政支払が非常に多い時期でございますが、そうかと言つて、この支払いました金が中小企業等へも全部浸潤するとは限らないのでございまして、この大きな財政支払に対しましては、これを吸収して、何とか従来のやつて参りましたデフレ基本線は崩さないようにして行くということは勿論考えておりますが、一面このデフレ政策しわ寄せを受けるところの中小商工業者等に対する金融に対しては、何とか円滑にこの時期を乗り切れるようにということを考えなくちやなりませんので、この主に問題になるのが、中小金融の問題でございますが、これにつきまして第一番に指定預金という問題があります。これは御承知のごとく、政府がここ二、三年の間やつて参りましたが、この政府余裕金金融機関に預けるということは、金融政策一元性を崩すというような意味から、かねがね余り好ましくないことだというふうに考えておるのでございますが、すでに市中銀行等に対しまする指定預金は全部引揚げまして、今残つておるのは、御承知のごとく相互銀行信用金庫等だけでございまして、これが中小企業金融難建前から、しばしばこれを延期してもらいたい……、政府はまあこの九月一ぱいで全部これらの相互銀行信用金庫等に対する分も全部引揚げ予定でありましたが、只今のようないろいろな情勢で、だんだんだんこれを引延ばして参りました。一応年末までには全部回収する方針なつておりましたが、これも今や困難になりまして、十月には災害等関係もございまして、予定引揚をかなり少くいたしまして、十一月、十二月、今月、来月の分が問題でございますが、これも一つこの年末金融を円滑にするという建前から延期したい、こういうふうに考えておるわけでございます。これは積極的に金を注ぎ込むことにはなりませんが、返すべきものを返さないということにおいて、やはりこれらの金融機関手許が緩むわけでありまして、そういう方針でこの延期については十分考慮したいと考えておりますが、それだけではとても足りない、もつと新規に追加したらどうかという御要望がかねがねありますし、又この年末金融対策としても御要望のあるところかと思いますが、先ほど一言申しましたように、この政府余裕金預託指定預金というものは根本の方針として余り好ましくないというふうに考えておりますので、新規追加ということはどうも面白くない、いたしたくない、こういうふうに考えております。  これが指定預金の問題でございまして、第二に政府関係中小企業金融機関でございますが、これには勿論国民金融公庫中小企業金融公庫という二つの機関がございまして、これらにつきましては過般の災害によりましてすでにそれぞれ三億ずつの別枠を設けております関係上、すでにこれらの資金繰りというものが窮屈がちになつておるわけでございますが、併しこの年末金融を円滑にするために、これらに対しましても一つ第四四半期融資分も一部繰上げて、この年末に金が出るようにしたらどうか、こういうことを考えておる次第でございます。  それから次には商工中金の問題でございますが、商工中金はやはり従来指定預金が相当いつておるわけでありますが、これも過般すでに災害関係引揚を十月にも延期しておるのでございますが、これにつきまして引揚を十一月、十二月について延期することを考えるほかに、御承知のごとく日銀中小企業向け別枠融資というものがございまして四十三億でございます、その四十三億のうち商工中金は十七億あるわけでございます。今日十月末では貸出残高ゼロでございまして、枠が全部空いておるわけでございますが、この枠を一つ使つてもらうということのほかに、更にこの別枠融資の対象は御承知のごとく興銀勧銀北拓、商中と、この四行でございますが、興銀につきましては、興銀はこの日銀中小企業向け別枠融資を全部は使つておりませず、又年末でも必ずしも使わない見込でございますので、この興銀向け別枠融資のうちから一部商中のほうへ廻したらどうか、こういうことも考えておる次第でございます。  それから只今ちよつとお話がございましたが、これ又かねがね問題の大企業下請に対する支払が非常に遅れているという問題、これが中小企業者手許を圧迫しておることは申すまでもないことでございますが、これにつきましては昨年も同様な措置を講じましたが、銀行に対しまして大企業融資する場合に、これが下請に廻るように、いわば紐付的な方法で金を出すようにということを各銀行に通牒を発しておりますが、今年末についても同様の処置構じたいと思つております。御承知のごとくこの大企業下請に対する支払分が悪いということはかねがね公正取引委員会が問題にしておりまして、公取が今日三つの事項を不公正取引と認めて注意を払つておるようなわけでございまして、即ち銀行の両建、歩積というような問題、或いはデパートの不当キャンセルというような問題と並び、この大企業下請に対する支払が悪いということは、場合によつては不公正取引という処置になるべきものだという見解を持つているわけでございますが、なかなかこれは実際問題といたしましては力の問題でございまして、どうしても中小企業のほうの力が弱い、そうしますと、この支払分の悪いことに対しましても、無下に文句も言えない、対抗できないということでございますが、何とかしてこれを只今のように、金融機関協力も十分得まして大企業から金が円滑に支払われるようにという処置を講じたいと思つております。  最後市中銀行の問題でございますが、何と申しましても、市中金融の大部分は結局大銀行から出ておるわけでございますが、併し大銀行融資全体から見ますと、なお且つ中小企業者に対する金融が十分にいつているとは見えないのでございますが、これにつきましては、かねがね中小企業専門店というようなものも大銀行等は設けたりしてやつてはおりますが、なお必ずしも十分にいつているとは限られませず、そこでまあこれも或いは徳義上程度の問題に終るかも知れませんが、大銀行に対しまして、もつと中小企業に対する金融を面倒見るようにということを十分にお願いし、協力を願うつもりでおります。  まあ、大体年末対策といたしまして今まで申上げた程度のことを考えておるのでございますが、一向に新味がないじやないかとおつしやるだろうと存じますが、なかなかこの数の多い中小企業のかたがたの金融を満遍なく円滑にやるということは、実に特に今日デフレ政策を遂行しております折柄非常に困難でございまして、目の醒めるようなことのできないのを遺憾に思つておりますが、それでもこのデフレ政策基本線を崩さない範囲内において、できる限りのことをしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  6. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それじや、これから質疑に入りたいと思います。
  7. 西川彌平治

    西川平治君 政務次官ちよつとお伺いいたしたいと思いますが、今日の金融難地方自治体、特に府県でございますが、府県の非常に財政の赤字が、仕事をいたしましたものに対して金を払つておらないという点が非常に大きい額に上つておると私は聞いておるのであります。この際でありまするので、私はでき得るならば平衡交付金等府県に何らかの措置で早く流して頂きたいと思うのでありますし、又この際でありますから、より以上多く流して頂きたいと考えておりますが、そういう点に対する措置はどういうふうになつておりましようか。
  8. 山本米治

    説明員山本米治君) 地方財政の困窮は非常に大きな問題として我々も非常に心配して、対策も考えておるのでございますが、その結果といたしまして、只今のごとく地方自治団体業者等に対する支払が悪い、これは土建業者等に対する問題も一つの大きな問題かと思いますが、そういう事実は確かに数多くあるだろうと思います。この地方財政の問題は実に大きな問題でして、来年度は何か相当根本的な手を打たなくちやいけないのじやないかと考えておるのでございますが、只今の目先の問題といたしまして、支払が悪い、これに対して、地方への交付税交付金とかいろいろなものを早く出したらどうかというお話でございますが、これはできるだけそういう措置とつておりまして、第三四半期へ入るときもたしかそういう措置とつたと思いますが、できる限りそういう方法とつて行きたいと思つております。併しながら一方御承知のごとく今年の政府資金の対民間収支を従来の経過を見ますと、非常に当初の予定狂つたのでございます。これほど大きく狂つたことは曾つてございません。これは二十九年度は一兆の均衡予算でありまして、支払政府受取額も同じなのでありますが、二十八年度から二十九年度へかぶつて来ておるものが非常に多い。予算繰越が多い、或いは現実支払が、四月、五月等に二十八年度支払が行われたというような分が非常に多い。要するに二十八年度影響が二十九年度にかぶつて来ておる。こういうことが政府資金の対民間収支の大きく狂つた一つの原因なのでありますが、そういうことがございますので、今年は政府支払は成るべく一つ延ばして頂くようにという方針一つあるわけでございます。今年は財政繰越は千二百億でありますが、来年へできるだけ多く延ばしたい。そうすれば結局繰越繰越を帳消しすればインフレ問題に対しては悪影響がないわけでございますが、なかなかこれができかねる。もう来年度へは決して繰越をしないという予算項目もございますし、我々は千二百億繰越のうちどの程度を更に三十年度繰越させるかということについてまだはつきりした数字を持つておりませんが、少くとも相当繰越の分が減るのじやないか。二十九年度繰越したよりも三十年度への繰越が相当減るのじやないか。ということは、今年度にインフレ的な影響を及ぼす要素になるわけでございます。そういう意味から予算支払を一方は成るべく、できる限り延ばしたいという方針もまあ一つつておるわけでございますが、只今のように地方財政が困窮して非常に支払が遅れておる、延いては業者がお困りなつておるというような面も考えまして、どうせ払うものは時期を繰上げて払うというようなこともしておる次第でございます。
  9. 西川彌平治

    西川平治君 この問題は非常に重要な問題でありまして、今政務次官からお話のあつた点は私もよくわかるのでありますが、よくわかりまするが、実際問題として府県が第一に土建業者に払わない、その土建業者が今度は次の下請或いは商品を買入れたところに払わない、更にその下へ払わないというようなわけで、実は府県におきましてはそれこそ一つのものがだんだん転がつて行つてもう極く末端まで参つておるのでありまするから、どうか一つ何らかのできるだけの処置とつて頂きたいということを申しあげます。  それからもう一つつておきたいのは、最近の大企業から極端に長期手形が出ておるのであります。これはもう例として珍らしくないのでありますが、先付け先付け、もう一カ年というような期日の手形が出ておるのは珍らしくないのであります。而もこの大企業中小企業に対して殆んどその中小企業の死命を制するほどの大きな注文を出しておつて、それがそういうふうな手形を出しておるのではもう全くにつちもさつちも行かないような状態が各所に見られております。私は最近の涙ぐましいような事例としてこれを申上げたいと思うのでありますが、一カ年の期日の手形を数百万円持つておりまして、もう路頭に迷つて、そうして毎日商工中金に日参をしておる。もう商工中金でも見るに見かねて、一体これは手形というものであるかどうか、手形は一カ年なんという期日があるものであるかどうかというようなことからいたしまして、いろいろと日銀さんあたりにもこういうふうなことについて問合せをして見ておる。併し実態は、その金をもらわないというと、その工場は全くの破産をするというようなことで、最後に親心を以て信用保険の制度がございますから、信用保険制度を二つこれに当てはめまして金融をいたしまして、その業者に操業を続けさしておるというような事例がございますのでありますが、一体その商取引に一カ年の手形なんということは、取るものも勿論悪いのでありますが、大企業がそういうものを出すということも、これは私どうかと思いますが、手形というものの性格から言つてそれはどういうものでありますか、それを一つつて見たいと思います。
  10. 山本米治

    説明員山本米治君) 手形法の詳しいことを私は忘れてしまつたのでありますが、そういう手形も無効ではない。私は台風手形、即ち二百十日手形ということは聞いておりますが、一カ年というのを聞いて驚いているわけであります。そのほかに手形の期日よりも第一に手形をもらうまでに相当期間がかかる、なかなか手形を発行してくれないということも聞いておるわけでありますから、手形の期日が長い、殊にもらうまでの期間に……。支払が遅れるということで困つたことでございますが、一体手形というものは信用取引ということでございまして、それ自体結構なことでございます。大いに信用取引制度が発達したことに一応見えるわけでございますが、今の実態はなかなかそうではない。金が窮屈なのでそのためにそういう手形を渡す、代金は遅れて渡す、こういうことになつておると思うのでありますが、これは法律上有効な手形ならば、これをいけないとか何とか言つても徳義上の問題だけでありまして、あとはやはり私は大企業中小企業との力の関係じやないか。こういう金詰りの折にもかかわらず特殊な、或るその下請業者だけしかできないというような製品、部分品なり何なりを作つているところに対しては手形どころか現金或いは前金で行くということすら聞いておるのです。中小企業者が非常に特色を持つた製品を作つている場合には、大企業もどうしてもそれを入れなければ都合が悪い、従つて長い手形どころかできれば進んで現金で払う、若しくは前金さえつける。こういうことになるわけで、中小企業者の心がまえとしては、やはりそういう特色あるいい製品を作るということが非常に重要な問題なのでありますが、そこでどこの会社でも、どこの下請業者でもできるというようなものしか作つていないところでは、どうしても長い手形を押付けられてそれをいやだということができない。いやならほかの業者に幾らでも頼むと言われると、力がないのでいやいや長い手形を押付けられるということになつておると思うのでありますが、これは今のようないろいろな条件が重なつてそういう現状になつていると思うのでございますが、さてこれをどうするといつて、先ほどちよつと申しましたように、まあ銀行融資等に際しまして紐付的にこれだけの融資をするならば、是非下請業者へ払いなさいというようなふうにして大企業に対する貸出をするときにそういうような方法を講ずるとか、それ以外には今のところ直接強制の方法はないんじやないか、こういうふうに考えております。
  11. 西川彌平治

    西川平治君 この問題は事実あつた問題でございますから……、新潟県でありまして、新潟県の商工中金の支所がこれを扱つている事実でございますが、この年末に際しまして私は想像をいたしますと、恐らく一ヵ年手形というようなものが相当出ると私は思つておりますが、こういうものを出さないように、先ほどお話にありましたような融資のときに紐付きにするということについて一つ強くお願いをすると同時に、一般の大企業に対して、そういうものを出さないような何か注意をするような方法はございませんでしようか。
  12. 山本米治

    説明員山本米治君) 何か法律か何か作るよりほかなかなか困難じやないでしようか。大企業ももとよりそういう長い手形で自分の下請業者をいじめたくてやつているのじやない、自分が金が苦しいのでやはり止むなくやつておるのだろうと思いますけれども、殊に今のところでは特別に立法でもすれば格別、それでなければ行えんのじやないかと思つております。
  13. 天田勝正

    ○天田勝正君 先ほど政務次官お話の中に、大企業から小企業中小企業に対する支払円滑化を図るために銀行等へ十分注意をしておくというお話があつたのですが、そこで私お聞きしたいのは、さてその実効は如何かということが問題であろうと思います。今年はこれからですが、昨年そうした通達なり注意なりを喚起した結果の実効は如何なことになつておりましようか。
  14. 山本米治

    説明員山本米治君) これはどうもはつきり数字等に出て参りませんので、徳義上の問題じやないかと思います。通牒を出したりいろいろそういうことをした結果、どれだけ支払が促進されたということは、ちよつとわかりかねますですが。
  15. 天田勝正

    ○天田勝正君 実はその問題で本委員会におきましても、日平産業の件がありましたときに、次の国会等でやはり立法措置を必要としはせんかという話も出ておるくらいでありまして、今たまたま西川委員から実例を挙げて指摘がございましたけれども、実にこれは重要な問題で、仮に手形にいたしましても、まあ台風手形、一年手形とかこういうことが出て参つておる、併し法律的にはこれは確かに私は現行法である限り、有効であるけれども、手形というものの信用性、融通の価値というものはそれが必要であれば割引けるという私は限界があろうと思います。それが要するに公衆の利益を守るか守らないかのけじめであろうと思う。ところが現在の商習慣におきましても、二百十日だの、一年だのという手形は到底それはどこへ持つて行つても割引かん。一面政府の認可を受けているところの市中銀行にせよ、そうした金融機関で割引く可能性のある限度ならば確かにこれは信用がますます殖えた、こういうことが言えると思う。ところが今申上げたように、これはその限界を越えておる。ここには私は立法措置も必要でございましようけれども、更にそうした金融機関等を通じて、或いはそれらの金融機関はそれぞれ日銀とつながつてつてこのオーバー・ローン等の援助も受けておるという実態から、政府の私は規制が可能だと思いますけれども、そういうことは御研究になりませんか。
  16. 山本米治

    説明員山本米治君) 政府の規制が可能だとおつしやるのは政府が何か行政措置でそういうことをやめさせることができる、こういうふうな意味ですか。
  17. 天田勝正

    ○天田勝正君 例えば具体的に申上げれば、それぞれの金融機関日銀を通じてオーバー・ローンによつて貸出資金源を多く持つておる、こういうようなことがあるのでそれからおせおせ式でありますが、それならオーバー・ローンを許さんとか何とかいうことで、これは悪い言葉で言えば脅迫がましくなりますけれども、そういうことにしてそうした二百十日手形を出すようなところには資金を供給しない何かの道がありそうな気がするのですが、如何でしようか。ということです、くどいようですが。
  18. 山本米治

    説明員山本米治君) オーバー・ローン、銀行から言えばオーバー・ボローイングをやつていて、なお且つ金が足りないので融資し切れない、それで大会社がついそういう長い手形を出すということになるわけであります。すでに過去において長い手形を出している会社に対しては今後融資しないとかいうようなことがやり得るかどうか、これはなかなか実際問題としては困難じやないでしようか。場合によればその企業を潰さなければならんというようなこともできて来るかも知れませんね。  それから私はこれは法律を作つてさえも可能であるかどうかということは疑問じやないかと思うのです。なぜならば法律で以て、例えば大企業下請業者に対する手形は三カ月以上の手形罷りならんといつたことといたしましても、そうすると大企業は結局手形を発行するまでの期間を長くするだろうと思うのです。その品物を供給さしてからなかなか手形を発行しない。発行するときに三カ月という枠を入れるだろうと、こういうようなことを思うので、これは経済の力の問題といいますか、何といいますかね、そういうことで法律を作つてさえもなかなかこの事実関係を変えるということは困難じやないかと思うのでございますが……。
  19. 天田勝正

    ○天田勝正君 私も力関係を考えているから今申上げたような質問をするわけなんですが、そういうことになると力関係でどうも止むを得ず法律を作つてもこれでも防ぎ切れないということになれば、やはり小さいところは今見られるごとく野放しに倒れて行くよりほか仕方がないので、だからあらゆる限りの智慧を絞つて立法なり或いはそれ以前の措置なり何かしてやらなければ、私は今後もこういう趨勢が進んで行くという状態の下においてはこれは余りどうも野放し過ぎはしないか、こういう気がするわけなんです。そこで今おつしやる大企業も困難であるからというお話もございましたけれども、私のほうの調べでは必ずしもそうでないので、これはどうも大企業が戦時中の前渡金の夢をまだ追つておりまして、例えば政府のほうの支払関係でも、これは二十二、三年当時から調べたのでありますけれども、政府支払が遅れるから勢い遅れるのだということが随分その当時も言われました。さてそれを促進して見ても依然としてその支払は遅延したままだ。これは丁度変つた前渡金のような考えを大企業は持ちまして、これを四カ月なり何なり合法的に延ばして金利収入によつてもう配当ぐらいは出るというようなずるい考えを持つている。そういうことは言葉では言いませんけれども実態はさようなんです。恐らく政務次官も多少経験をされていると思いますが、政府資金を流しても大企業は決して下請へやりません。そういうように、事実お示しのように大企業でも経営が困難なケースもあろうけれども、そういう困難なケースでないのにもかかわらず世間がそうだからこつちもやるというので金利収入を求めるということが現実でありますから、このところを私は政府側でも不断に研究して頂いて何か措置とつて頂きたい、こういう要望をしたいと思います。
  20. 山本米治

    説明員山本米治君) 只今お話通りのことは確かにあると思うのでございます。大企業が払えるにもかかわらず払わんというようなこともあるだろうと思うのであります。従つて企業のほうへ相当金が行つてもそれが必ずしも下請業者に払われないという事実はあり得る。これはまあ会社は営利事業でありますから、相当そこはこすいこともするわけで、そういう事実も無論あるかと思うのであります。併し一面これはどうしても先ほど申しましたように力関係だとか、下請業者から見ればそんなに払いの悪い、五カ月も、十カ月も、一年も払つてくれないようなところにはもう取引を停止してしまつて、ほかのものの下請事業をやると言い切れればいいのでありますが、それを言い切れないところに小企業の弱みがあるのであります。まあ全体として見てとにかく中小企業者が非常に金に詰つているということは、大企業から金を払つてくれないのだ、若し大企業が金を払つてくれればそうすれば自分らは金融機関からあえて借りなくても済むのだという人たちが大企業の払いが悪いために金融機関から借りなければならない。中小企業が大企業金融を肩替りしてやつているのだという見方さえできると思うのであります。併しこれを果してどうして打開するかという問題は非常に困難でありまして我々も今後十分研究いたします。必要とあれば立法措置も講じなければならんかと思つておりますが、只今のところまだ名案がなくて非常に困つておる、こういう状況でございます。
  21. 天田勝正

    ○天田勝正君 もう一点、今度中小企業庁長官にお伺いしますが、まあ今の問答をお聞きの通りなんで、私結局考えるには、これは立法措置なり、又行政規制なり、そういう面もやると同時に、今度は指導の面でも考えなければいけないのじやないか。で中小企業庁長官にお伺いするのは、それは今言つたように払える力が大企業にあるにかかわらず、中小企業へ払わない。ここを指導的にどうするかと言えば、先般私どもこの地区を視察して廻つた途次、例えば北陸の不二越鋼材の工場を見たのでありますが、そのときの下請関係を聞けば、これは積極的に下請にも組合を結成せしめ、その組合自体も商工中金等を通じて資金の融通が得られるように、親会社も努力する、こういうようなことによつて、非常に円滑に行つていることをば私どもは承知して帰つたわけであります。そういう面をこの中小企業庁等で大いに推進して、一方に強力な組合がありますれば、親会社もそうしたいわゆる我がままといいますか、いうことが防げるのではないか、こういう面で積極的に指導をしてもらいたいと思うわけですが、それに対するお考え方、それから日本の中小企業の、一体これはまあ生産の問題ですが、生産工場においての形態というものが、私はどうもアメリカ型のほうであつて、つまり部品産業、こういうことになつておる。で、ドイツ型であれば、小さいのは小さいなりに小さい完成品を作つている。だから今政務次官のおつしやつた、どうも力関係でお前のほうでやらなければ他へというようなことで、その面からの攻勢に堪え切れなくなる。こういうふうなことが要するに日本の中小企業の形態というものが小さいといえども完成品を出して、他のものにまねることのできないこういうものを作る限りにおいては、一つの解決の道だと私はそう思つてこの前もこの問題をここで議論いたしたわけなんですが、私は結局日本の中小企業の指導というものは、そういう面に向つて行かなければならない、こう考えておるわけです。そこで中小企業庁長官は、この点についてどうお考えでございますか、承わつておきたいと思います。
  22. 記内角一

    説明員記内角一君) 先ず第一点でございますが、私ども同様な考えでできる限り下請の連中には組合なども結成され、親企業がこれに協力するという態勢に持つて参りたいと思つていろいろ努力いたしておるわけであります。ただその際におきまして、是非必要なことは、今申したように、親企業自身が何と申しますか、一年もたつ、或いは台風手形というような手形を発行しておつたのでは、幾ら金融機関がこれをバツク・アツプしようとしても駄目だ、結局二カ月なり、三カ月なりという正当なる手形を発行する、それが二カ月なり三カ月たてば払つてもらえるという態勢において、組合が、下請業者がこれを受取る、これを商工中金その他の金融機関が割引くということによつて初めて円滑になつて参ると思うのです。従いまして、これを金が詰つておるにかかわらず、その資金を……、仕事は依然として去年の繁栄のあとを追いかけて仕事を延ばして行く、賃金は払うが下請のほうには払わない、或いは材料代を払わないということを、依然として継続しておるようなところになつて参つて、その結果一カ年、或いは台風手形というようなものを発行して恥じないというふうなことになつて参りますと、如何に下請を作りましても、この辺が円滑に参らないわけでございまして、従いまして私どもできるだけそういう場合におきましては、そういうことのないように、大企業の方面自身に自粛してもらうということによつて、そのほうの円滑化を図つて参りたいというふうに考えておる次第であります。  それから第二の点につきましては、お説御尤もでございますが、ただそういうことになりますというと、ともいたしますと、非常に量産ができない。で御承知通り、最近のいろいろな機械、特に機械でございますが、いろいろな部品を組合せてやつて参るわけでございます。そういう場合に、中小企業では完成品を作るということはできないことはございませんが、完成品を作ろうといたしますと量ができない。従つて部品自体も極めて少くなる。そうなりますと、一つの機械、あれこれの機械をたくさん備えなければそういうものをすべてやるわけには参らない。結局部品を安く仕上げるためには外注と申しますか、下請と申しますか、これを外に発注しなければならん。そうして又そういう発注を受ける連中はそういう部品だけを作るような恰好になつて来る。従いましてこの辺はコストを下げるという事情と、売行き如何というものと睨み合せて行かなければ、完成品だけを作ることがすべていいかどうかということについては、いろいろ事情もございまして、すべてがそれに行き得るというふうにも考えられないかと思います。この辺睨み合せまして妥当な線で持つて行きたいというふうに考えておる次第でございます。
  23. 中川以良

    ○中川以良君 只今企業下請企業に対する支払の問題が、いろいろ各委員から出たのでありますが、これは私どもが前からやかましく言つておりまして、例の支払基準の準則も作りまして、公正取引委員会ではこれははつきりしておるのであります。実際この実施はなかなかできない。そこで一つ各行政官庁においても、一つ行政的にこの線に沿うて、十分なる御指導をして頂きたいと思います。この面はそれで行きましても、実際問題として大企業金融がつかないという点もございまするし、それから政府の発注に対して、大企業がこれを或る程度金融に使つているような不当なる競争をしておる事例がたくさんあるのであります。これは政府の調弁だけでなく、例えば輸出産業につきましても、求めて安い値段で海外に輸出しておる。従つてこの無理というか、しわ寄せは、全部中小企業下請業者に寄せられておるという点がたくさん指摘されるのでありまして、貿易の関係は、これは輸出取引法の改正、或いは独禁法の改正等によつて是正をしなければならんということは、最近強く言われておりますので、これは是非やつてもらわなければなりませんが、政府の調弁の方式でありますが、これは会計法規上やはりいろいろ疑問の点があるのであります。政府が安いものを調弁すればいいということでやつてつてはいけないのでありまして、殊に防衛庁その他現業官庁の厖大なる発注に対しまして、非常な不当な競争をしておる。もう到底原価計算、採算を割つたひどい値段で以て入札をして受注をしておるという例があるのでありまして、これは是非一つ会計法規を改めて、いわゆる予定価格というものを厳密にきめてその線に近いものをとるとか何とかいうようなことをしませんと、この線から私は紊れて来る。殊に金融の受けられない今日は、その注文をとることを一つ金融に利用するのではないか、従つてその部分品等に対する下請、上場に対する発注は非常に安くなつて而も支払は延びるということになる。これは是非大蔵省として調弁方式の公正なる改訂ということを是非御検討願いたいと思う。この点は非常に私は今の金融の問題と下請工場をいじめる問題とにからんで来る原因があると思いますので、これは一つ御検討を願いたい上存じまするが、政務次官の御所見は如何でございますか。
  24. 山本米治

    説明員山本米治君) 政府財政困難の折調達するものはできるだけ安い価格でしたいということは当然の要求でございますが、さりとてこういう時期に入札しても値段の、もうめちやくちやな値段でも、とにかく安いものを落すという方式で行きますと中小企業者のかたは非常に困られますので、只今お話の点尤もだと思います。十分研究いたします。
  25. 中川以良

    ○中川以良君 それから先ほど指定預金の延期の問題が出ましたのでありますが、商工中金の問題、商工中金貸出が殖えまして特に中小企業協同組合等に対する金融機関としては政府の意図に従つて非常に活溌に動いているのでありますが、一つここに問題がございまするのが先般開銀から中小企業金融公庫に引継がれました二十億円が、これは商工中金は明年は返さなければならん問題でございます。この二十億円を、先般当委員会においての中小企業庁長官お話でございますか、十億は一つ政府出資に、商工中金の出資に振替をしたいという御希望があつたようでありますが、私はこれは十億でなく二十億そつくりそのまま政府出資に振替えることによつて商工中金の今度は債券発行の限度も殖えて参りますので、従つて中小企業に対する金融資金源というものができて参るように思うのでありますが、この点は通産省と大蔵省とどういうようなお話合いにあるか。先ず中小企業庁長官からその経緯を承わつて大蔵省のお立場を後に政務次官から伺いたいと思います。
  26. 記内角一

    説明員記内角一君) 商工中金に対する政府出資の問題でございます。それに対して財源として現在中小企業金融公庫から商工中金に二十億の貸付金が残つてつて、明年八月に返済になる、これを引当にして出資に振替えるということを我々としては期待しておるわけでございます。目下大蔵省と折衝いたしておるわけでございますが、大蔵省もいろいろな問題がございまして、まだ最終的と申しますか中間的な来年度予算見通しがつきかねておるというところで、まだ意見は確としたところはきまつておらないようでございます。ただ我々といたしましては、この問題について大蔵省内部にも二つの考え方があるように承知いたしております。一つは今申上げたように政府の負担が増加するわけではないから振替えてもいいじやないかという考え方と、一つ商工中金自身が金融機関の再建整備の際以来、或いは何と申しますか進駐軍に管理されておつたとき以来政府機関というふうな、或いは半官半民というふうな中途半端な機関を脱しまして純然たる民間の金融機関という形に返した、従つてこれに対する政府の出資は感心しないという考え方もあるやに承わつておるところであります。ただ併しながら必ずしもそういうふうに割切つてしまう必要もないのじやないか、又従来の歴史、沿革又現実政府の出資も残つておる、又法律関係、いろいろな監督関係等も考慮いたしますれば必ずしもそういうふうに割切つてしまう必要もないじやないかという点も考えまして目下折衝されておるという実情にあります。
  27. 山本米治

    説明員山本米治君) 只今中小企業庁のほうからお話がございました通りでございまして、目下十分に愼重に考慮いたしております。  来年度予算等の見通しも今のところまだはつきりしておりません。今後十分研究させて頂きたいと思います。
  28. 中川以良

    ○中川以良君 只今のは一つ中小企業金融の円滑を図りまするためには大きな私は一つの進歩と思いますので是非実行できますように願いたいと思います。  それから信用保険の問題についてちよつと私伺いたいのでありますが、市中銀行等の中小企業に対する金融円滑化、迅速化を図ります意味において信用保険制度が制定をされて参つたのでありますが、これが年々年末金融等に際しまして改訂を加えられて参りまして、保険金額の引上げとか、或いは保険の限度の引上げとか、保険料率の引下げというようなことがやられて参つたのでありますが、これは一つ本年の年末金融等に際しましてもこういうような点をお考えになつておられるかどうか。この中小企業に対する信用保険制度の改正案というようなものを来たるべき臨時国会なり、或いは通常国会に対する御提出の御用意があるのかどうか。この辺の経緯を一つ承わりたいと思います。
  29. 記内角一

    説明員記内角一君) 信用保険制度の改正、特に保険料率の引下げ、或いは保険によつて損失を補填いたします補填率を引上げるというふうな問題につきまして、私どもとしましては、従来の収支の実績、或いは現在の金利負担の過重等を考え併せましてできるだけこれの実現を図りたいと考えておりますが、何分立法事項に属する問題も相当ございますので、今度の年末金融という面には従来の線で進んで参りまして、来たるべき通常国会には是非これを提案するようにいたしたいと考えます。目下各方面と折衝いたしている次第でございます。
  30. 中川以良

    ○中川以良君 どうぞ速かに一つ成案を得られて御提案を頂くように特にお願い申上げます。  それから山本政務次官にお伺いをいたしたいのでありまするが、市中銀行中小企業専門店の設置ということが先年来できまして、これが中小企業専門に金融をいたしておりますが、これらの専門店は預金を集めますのは大銀行のバツクにおいて相当の預金が集まつております。その預金が殆んど全部中小企業貸付けられているかというと、必ずしもそうではないということ、三分の一ぐらいしかどうも私らの調査では貸付けられておらないようであります。あとの三分の二は、つまり本店のほうにとられて大企業のほうにこれが向けられているというようなことが考えられるのでありまして、これらは中小企業専門店で集めたいわゆる預金というものは殆んど中小企業の預金であると存じますので、貸付に対しましてなかなか選別等において全部を中小企業貸付けることがむずかしければ、その残り商工中金債券を引受けせしめるというようなことに指導をされるか、そういうような制度をおきめになるか。こういうことにされますならば、中小企業専門店の設置の効果というものは一層挙つてつて、それを設けたところの趣旨に合致すると思うのでありますが、こういう点についてどういうふうにお考えでございましようか。
  31. 山本米治

    説明員山本米治君) その中小企業専門店に集まつた預金のうち三分の一程度しか貸出しておらんということは私初めて伺いますが、それでは非常に中小企業専門店の名前に値いしないので、若しそうであるとすれば甚だけしからんと思いますが、少くとも中小企業専門店に集まつた預金等はこれは大部分中小企業の預金でございますから全部使うべきものと考えております。それにつきまして、今のようなお話、これを商工中金債券等に振当てて更にこれを中小企業に向うように努めるということは当然でございます。甚だ結構な御提案であると思います。なお数字等調べて見ます。
  32. 中川以良

    ○中川以良君 是非数字等を調べてそういうふうに実行して頂きますようにお願いいたします。  それからこれは山本政務次官には私初めて御質問申上げるのでございますが、中小企業金融公庫貸付というものは活発に先ほど来の御報告にございますごとく動いております。まあ貸付に対してなかなか時間的に早く行かないという点はまだ十分に改正をされていないように思うのでありますが、そこで中小企業金融公庫が貸しまする際に、貸付金に対する当然今の信用保険をつけております。信用保険をつける上にいわゆる担保を必ず要求をいたします。つまり借りるほうから見ますると二重担保を提供するような恰好になつておる、この点は私はもう大分前からこれを御指摘申上げているので、当時愛知大蔵政務次官のときも、又愛知君が大臣になられてからのときも、これは何とか改正すべきだということを言明しておられるわけです。いろいろ調査をして見ますと、これは中小企業金融公庫の業務規程を変えないとこれができないそうです。そういうような問題は私はもう簡単にできると思うのでありますが、そうすれば少くともその担保は他に利用できて、金融の利便を受けるということが中小企業はできると思うのでありますが、それが今以て一年になんなんとするのに、まだ改訂ができていない。中小企業金融公庫の総裁も、これは何とかしましようと言つておるのでありますが、この点に対して山本次官は御承知かどうか、御承知であれば、一体どういうふうな御意見をお持ちであるかどうか、お伺いいたしたい。
  33. 山本米治

    説明員山本米治君) 中小企業金融公庫政府銀行でございますが、勿論コマーシヤル・ベースでやつておりますので、無論貸付に対する十分な手を打つことは当然でございますが、今のように余りにもその強欲的な信用保険の上に、更に担保をたつぷり取るというようなことがあれば、これは行過ぎじやないかと思うのであります。これは立法事項じや無論ないと思いますので、一つ成るべく早い機会にそういうことを改めさせる、まあ程度の問題かと思いますが、努力いたします。
  34. 中川以良

    ○中川以良君 記内長官の一つ御意見を伺いたい。
  35. 記内角一

    説明員記内角一君) 今のお話御尤もでございまして、この中には信用保険制度自身におきましては、担保若しくは保証人ということになつておりまして、担保を強制するということは、たしかいたしておらないはずでございます。それからただ中小企業金融公庫貸付につきましては、長期資金貸付ということに相成つておりますので、原則として担保を出して頂くというふうに相成つております。勿論中小企業金融公庫融資に際して、担保は取るべきではないのじやないか、保証人いずれかでよろしいのじやないかというような考え方もあるわけでございます。金融機関自身も、公庫方式によれば八割まで保証しなければならんという問題がございまして、その保証責任上、金融機関自身が又更に担保を取るというようなことにも相成りまして、却つて混乱するというようなところから、原則として公庫自身が担保を頂戴するというふうな建前なつておるようであります。目下のところ、長期資金貸付ということに相成つておりますので、この辺は原則論としては止むを得ないかというふうに考えておりますが、ただ個々のケースにつきましては、例えば融資によつてでき上つたものをあとで担保に入れるということは勿論現在でもいたしておりまするし、又担保の評価、或いは十分余力のあるものに対しまして、一番程度でなくても、二番、三番というふうな問題等につきましては、十分考える余地があろうと思います。そういう面でできるだけの努力を払わせるというふうにいたしております。なお、金融機関自身が十分償還能力があるから、担保を供給しなくてもよろしいという特別な申出でもあれば、これに対してこちらとしては必ず担保がなければならんという原則を墨守するということは成るべくいたさないようにという指示もいたしておりまして、大体そういうラインで運用しておるはずでございます。
  36. 中川以良

    ○中川以良君 今の信用保険の填補率外の部分に対する担保の提供ならわかるのでありますが、まさに二重担保でありまして、これは一つ至急に御検討願いたい。大分長い間私はお願いを申上げておりましてもうかれこれ一年になるのじやないかと思います。それからこれは税制の問題を政務次官にお伺いいたしたいのでありますが、中小企業が折角今日手形をもらつても、それが不渡になつて、自分のほうはペイしているにもかかわらず、先方の不渡のために、自分の企業が潰れてしまうということは各地に起つております。これに対しまして、又債権が実際回収できないものがたくさんできておる、こういうものに対する帳面上の、いわゆる債権に対しては、回収不能のものは課税の対象から除かれるということが先般きめられまして、これはまあ一つの大きな私は進歩であり、又当然かくあらねばならんと考えておりますが、これに関連いたしまして物品税の問題がある、つまり中小企業は物を作りまして納めた際に、物品税も含めたものを代金として向うから取つておるわけです、或いは手形を取る請求をしておる、ところが手形は不渡になる、或いは向うが支払不能になつたものは、これは回収不能のものである。ところが品物の代金の中に物品税が含まれておるのでありまして、物品税は税務署からは、回収不能であろうが何であろうが、これは請求して参つております。これは今日物によつて物品税は非常に大きなことになりますので、そのために中小企業は泥棒に追い銭みたいな恰好になつて潰れて行くというものが今日あるのでありまして、折角今の回収不能のものを取得の対象から除いたのでありますから、物品税に対するそういう回収不能のものについても何かお考えを頂かなければならん。これは私も一応回収のできないものは免除というようなふうにしなければならんと思いますが、ところが今日は物品税の納期を幾らか待つてやるというしか恩典がない、而も待つのに、これに対する延滞日歩を非常に取られる。非常に迷惑しておるのでありまして、先般もこれは個人的に平田長官にもお願いしたのでありますが、何とか考えなければならんということは長官も言つておるのでありますが、これは私は大臣に、中小企業のために政府としては真剣にこの点をお考え頂きたい。片つ方は直税だからいいけれども、片つ方は間税だから、当然これは取るんだというような説があるのでありますが、この点を一つ御検討願いたいと思うのでありまするが、かような実情に対して政務次官も御承知だとは存じまするが、一つ如何ようにお考えか、御所見を承わりたい。
  37. 山本米治

    説明員山本米治君) 只今建前は一応止むを得ないんじやないか。貸倒れの中に税金の分も入つているとしましても、貸倒れは貸倒れ、税金は税金、別個の事柄でありますが、実情は確かにお気の毒だと思いますので、まあ一つ検討さして頂きたいと思います。
  38. 中川以良

    ○中川以良君 税金は税金でありますが、所得税に対する直税に関する分は猶予をして課税の対象から除いております。そういう処置が講ぜられたにかかわらず、物品税はその取扱を受けていない。ここに私は実に矛盾があるんじやないか、片手落じやないかということを申上げるのであります。一つ考究を願います。
  39. 山本米治

    説明員山本米治君) 承知いたしました。
  40. 中川以良

    ○中川以良君 もう一つ不渡手形の問題なんでございますが、まあ今もお話したように、中小企業が一生懸命で企業の合理化をやつて努力し、而も事業というものはペイをしておるにもかかわらず、先方からもらつた手形が不渡のためにこれがもう倒産をしてしまう、全く自分の責任ではないのであります。これはまあ先ほどお話のあつた最近の日平産業の例等にもあつたのでありますが、この不渡手形によつてこうむる損害について、何かの形で以て信用保険制度みたいにこれを保険制度で保証するか、或いは新たに融資の途を開くような制度を作るとかいうようなことをこの際検討すべきじやないかと思います。まあ私どもは寄り寄りこういうものを今研究はしておるのでございますが、そういう点について大蔵当局としてお考えを頂いておるかどうか、将来そういうことは考えるべきであるというふうにお考えかどうか、一つ御意見を伺いたいのであります。
  41. 山本米治

    説明員山本米治君) その問題も大変むずかしい問題でございまして我我も身辺知り合いの中にそういう事例で非常に困窮している者があることを承知しておるのでありますが、何とかしなくちやならんということはお話通りに思つておるのでありますが、今のところ、どうもすぐどうという名案もないのでありますが、今後更に研究さして頂きます。
  42. 中川以良

    ○中川以良君 長官から、一つその点長官としての御所見を伺いたい。
  43. 記内角一

    説明員記内角一君) 不渡手形を一種の信用保険にかけまして若し万一受取つた手形が不渡になつた場合には、二重の支払を免がれるというふうな制度にしたらどうかという考え方もあるわけでございまして、我々も検討いたしておる次第でございます。その手形の性格をはつきり限定いたしませんければ、何と申しますか、やみくもに発行された手形を全部持込まれるということで、いわゆる逆選択を行われまして、保険制度として成立たないという問題もございます。併しこれは又余り厳密に絞つて参りますというと、相当安全な手形ばかりになつて参りまして、果して手形保険にかける人があるかどうかという問題もございます。従いまして先ず第一に手形の範囲をどこに置くか、又置くとした場合に、どの程度の保険が成立つかというふうな点が、非常にデリケートなむずかしい問題がございますので、いろいろ検討いたしておる次第でございます。又そういう際に、保険とは別個に、新規融資という問題について、制度化したらどうかという御意見でございましたが、現実の問題といたしましては、例えば岩田商事の倒産というものに際しまして、ケース・バイ・ケースとは言つておりますけれども、事実上の問題といたしまして相当手形債権を長期の債権に切替えておるという、或いは手形の書換えをやつておるというふうなことによつて、事実上の便益は図つておる次第でございます。これを制度化するということにまでなつて参りますというと、又いろいろ派生的な問題もございますので、目下検討いたしておる次第であります。
  44. 海野三朗

    ○海野三朗君 大蔵当局にお伺いしたいのでありますが、この中小企業金融ということも、結局はこの中小企業が困るから問題になるのであつて、この中小企業が困るというのは、国の政策が間違つておることが非常に多いからだとは私は思う。で、もつとその中小企業に仕事を与えたらいいのじやないかと私は思うのでありますが、曾つて日銀の一万田総裁が、庶民住宅を建てて、中小企業の製品に対する需要が殖えるような途を講ずべきだと、こういうふうに十月二十八日附の朝日新聞に書いておるのでありますが、これは御覧になつたことだろうと思いますが、大蔵大臣は又一万田総裁を嫌つて、何かやめさせるようなことになつておるのですが、こういうことを言われて、総裁の発言されたことは、やつぱり大蔵当局はお嫌いになつておるように思うのでありますが、この際、曾つて木村長官がこの間或る所に行つてお話に、戦闘機を七十五機も殖やすんだというお話、一台が四億円もするやつ、それを七十五機というと、それは三百億です。で、私は何もその戦闘機を殖やすのに反対するわけじやありません。それもいいでしよう。いいでしようが、この際この中小企業が皆ぶつ倒れておつて、失業者が続出して仕事がなくて困つておる際に、そういう方面のお金をもう少しこの方面に向けたらどうだろうか、この中小企業の育成に力をもう少し注いだらどうだろう、飯が食えなくてそういうふうな飛行機なんぞばかり用意したつてしようがないんじやないかと私は思う。もう少しその辺を縮めてでも中小企業のほうを生かして行くべきものじやないかと私は思うのでありますが、大蔵当局としてはどういうふうにお考えになつておりますか。この点をお伺いいたしたい。これが一点と、それからもう一つは、山形県の神町に軍事基地がございます。そこで農民の土地を、つまり借用ですね、借用して皆使つているわけです。ところが二年たつても、三年たつてもその借用賃を払わない。そこでこの間農民が皆座り込みをやりまして新聞で御承知のことであると思いまするが、まさに血の雨を降らすような騒ぎをやつておるのであります。それは何故に政府がその住民から耕地を借りた代金を払われないのであるか。幾らお金に困つてつても、二年越し、三年越し金を払わないでおくというのは、どうも私はその間の事務の怠慢と申しましようか、大蔵当局はどんなふうにお考えになつておるのでありますか。それをお伺いしたいのであります。
  45. 山本米治

    説明員山本米治君) 戦闘機を作る計画をしておるが、こんなようなものはやめてもつと中小企業の発注を多くしたらどうか、仕事を多くしたらどうかというお話でございますが、この防衛力を持つか持たないか、その問題はかなり、まあ各党の基本政策に関連する問題でございまして目下の政府としては、御承知通りに、まあ防衛力漸増という政策でやつておるわけでございますから、その戦闘機をやめるやめないという問題は一応別個の問題といたしまして、中小企業が仕事が少い、これは不景気で仕事の量が減つていることは確かでございますが、中小企業の問題として、もう一つは仕事の多い少いということと共に、コストの問題だと私は思うのでありまして、いい品物が安くできるようになれば、もつと日本の輸出が振いますし、輸出が増加すれば仕事は多くなるわけでございまして目下そのデフレ政策というのは価格、コストを下げる、いいものを安く作るようにと、止むを得ずこういう人に嫌われるところのいやな政策をやつておるわけでございまして、その中間の悩みが現状であろうと思うのであります。  第二の基地の借用賃を払つていないということは、私は実は新聞を見ませんで知りませんでしたが、これがそんな二年にも三年にも亙つて借賃を払つていないということは、通常ならば考えられないのでございます。何か問題のある所じやないかと想像するわけでございます。これらは払う資金は十分予算に盛られておるわけでございまして、払うべき契約になつておるものを借賃を払わないというようなことは、私には考えられないのでございますが、もつと詳しい事情をあとで研究して見たいと思います。
  46. 海野三朗

    ○海野三朗君 只今物価も高いからとあなたはおつしやるけれども、現在の段階におきましては、相当物価が下つております。下つておりますけれども買手がないんです。そういう点については、いま少しこの現実を私は直視して頂きたいと思います。庶民住宅を建てるとか、つまり中小企業の製品が安くても売れないのです。購買力がなくなつているんです。私はそれをやるために、何とかやはり一万田君の言つておられる庶民住宅を建てる、そうすればいろいろ品物が要りまするから、それによつて大分中小企業も救われるのじやないか、こういうふうに思うんですが、品物は相当下つております。下つておりますけれども買えないんですわ。ですからその点はもう少し私は現実を直視して頂かなければならんのじやないか。  それから防衛力、それは差支えありません。それはそれぞれの信念によつて政治をやつて行くのでありまするから……。併しながら、もう少し世界の現状を見て頂かないと、防衛力漸増もそれはいいんですけれども、それは私は要らないと言うんじやない。要るんだけれども、少し加減をするとその金を中小企業に廻せる、すばらしく生きられるんです、みんな。私は防衛力漸増も結構です。結構ですが、ただ程度の問題でありまして、もう少しこの辺をお考え頂かんと、国民のうちに首を縊つて死んでしまう者ができるんじやないか、こういうふうに私は思います。  それから只今の軍事基地の問題につきましては、予算に盛つてあるだろうと私は思いますから、もう少し現実をはつきり調べまして、そうしてお手許に申上げることにいたしますが、中小企業のことについてのもう一度御答弁をお願いいたします。
  47. 山本米治

    説明員山本米治君) 住宅をもつとたくさん作る、住宅政策を充実するということは私も全く個人として同感でございます。住宅を作るということはかなり広い範囲の業者にまあ注文が行くことでありまして、私はもう、今日世界のどこの国を見ましても住宅政策というものは相当に力を入れておるのでありまして、日本も去る戦争で住宅は特にひどくやられておりますから、住宅をもつと作るということに賛成でございます。ただ今日個人が住宅を作つてそうして貸家にすると、自分の所有の家以外に貸家をやるということは、なかなか御承知通り成立たないことになつております。これは借地借家法等の法律の問題もございます。その他いろいろで貸家事業というものはなかなか今成立たない。こういうことで貸家を作る人がなくなつておる。この点はまあ非常に遺憾な点でございますが、それで住宅政策をやるとすれば、どうしても政府或いは公共団体等でやらなくちやならない。政府でやるといたしますと、ここにどうしても予算のまあ制約というものが出て参りまして今でも相当にはやつております、御承知通り相当に住宅資金につきましては住宅金融公庫等も設けてやつておりますが、まだこれが十分でないというまあ御意見も十分あり得ると思うのでございますが、そこでまあ住宅を作る政策は私全く個人的に賛成なんでありますが、先ほどの中小企業の仕事を殖やすということに関連して、もう十分コストは下つておるのだと、物価は安くなつたのだとおつしやいますが、この点は私はまだそういうふうには考えないのでありまして、十分に下つておるならば、デフレなんていやな政策は一日も早くやめたい。もう一つ価格の面が、他の面もありますが、価格の面から十分にどんどん出て行くという状態になつていない。もう少し、もう一年くらいは我慢してデフレ政策もやり、又価格方面に緊縮の政策をやつて、もう一つ本当に落ちついた低い価格にするようにやつて行かなくちやならんと、こういうふうに考えております。
  48. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つこの住宅のことについてでありますが、東京で大工を頼んで家を設計させることよりも、原木の産地である秋田県で家を設計して、そうして東京に運んで来て建てれば大分安く建つのです、家が……。ところがそれを、前に二、三やつたものがあるのです。そういたしますと途中において重要なる材木をひつこ抜くのです。そうして東京に到着して見ると、今度は大事な柱がなかつたりして建てられない。(笑声)いや、そうなんですよ。これは実際そうなんですよ。それで私は原木の産地である秋田とか、この地方では安くできるのです、家が……。そうして運賃も安くなるのです。それをわざわざ原木のままこつちへ運んで来てこの土地でやりますから家が高くつくわけなんです。で、この途中においてそういうようなことがもう必ずあるのですよ。それでちよつと悩んでおりますが、そういうことに対して何か大蔵省としてお考えありますか。(笑声)安く建つのですよ。東京で家を建てようとすれば秋田県で設計させまして、そこで組み合わすばかりにして運んで来ると運賃も安いのです。
  49. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) よくわかりました。
  50. 山本米治

    説明員山本米治君) 鉄道輸送の途中において材木が盗まれるというようなことは鉄道公安の問題でございまして、ちよつと所管外でございまして……、まあそういうこともあるかとは思いますが、更に連絡をいたしましてそういうことのないように注意いたすことを申上げます。
  51. 高橋衛

    ○高橋衛君 山本政務次官並びに企業庁長官に一点だけお伺いしておきたいのですが、山本次官は金融の権威であられるので、私としては最近のこの金融関係について非常な心配を持つておりますので、この点についてまあ専門的と申しますか、もう少し我々が安心ができる意味においての御説明をお願いしたいと思うのであります。と申しますのは、最初に記内長官から最近全般的に政府資金の撒超の結果金融は緩んで来ておる。併しながらその面が中小企業のなにと必ずしも一致しないというところから、中小企業についてはこういうふうな別途の相当思い切つた措置をしなければいけないのだという御説明があつたのであります。ところが、例えば農協に集まるところの供出米穀の代金というものが、農協から農林中金のほうに、つまり系統的にずつと吸収されるかと言いますと、これは必ずしもそうじやないということは、私自身個々の細かいものについて調査したことがあるのでありますが、大体四割乃至五割程度が農林中金に集まるのでありますが、あとは地方銀行とか信用金庫、相互銀行、それらが吸収しておると言うことができます。これは全国的な規模におけるところの私は調査を持合せておりませんので、そういう点を承知しないために結論を出しかねておりますが、それらの点においては少くとも大蔵省においては相当の検討をして調査をしておられると思うのでありますが、それらの点から考えますると、地方銀行なり相互銀行なり又は信用金庫というものが、これが供出の非常に円滑なる進行と、従つてそれに基くところの代金の支払に伴つて相当増資しておるという事実は十分にあり得ると思うのであります。他面全般的に見ますると、相当この政府資金の撒超によつて先ほど来山本次官はデフレの基礎は絶対にこれで崩れんのだと言わんばかりの御説明がありましたが、それらの面から考えて、必ずしも私はその点について安心をすることはできないというふうな心境にあるのでありますが、その点をもう少し詳しく、何故にそれが中小企業に流れてないか、又それらの、面を如何にして吸収する方策を持つておられるか。もう一つ申上げますれば、例えば商工中金債券というものの吸収というものを他の方面に売るよりも、そういうふうなつまり引き緩んだ方面に向けるという方策がないかどうか、その点を先ず第一にお伺いしたいと思うのであります。  それから第二の点は、これは記内長官にお聞きしたいと思うのでありますが、この商工中金別表の5によると、大体この数字に書いてあることでありますが、大体貸出を八十二億円純増に持つて行きたいというお考えのようであります。ところがそれに対応して、一般預金として貸出純増の一五%増というものを十二億三千万円計上しておられるのであります。この意味がこれはよくわからんから、これを一つお聞きしたいのであります。或いは一般金融機関によるところの歩積とか両建という性格のものであるかどうか、貸出純増に対してこういうふうな事前に増加するということがあるということが如何にも我々には、私自身には不審に感ずるのでありますが、その二点だけお伺いしたいと思います。
  52. 山本米治

    説明員山本米治君) 第一点の私に向けられた問題の意味がはつきりつかみかねたのでありますが、第三四半期のこの非常な大きな政府資金撒超があるので金融は緩み、今までのデフレ政策の基調が崩れるのじやないかという懸念を持つておられるという意味であるのかどうか。私が先ほど申しましたのは、まあ財政もそうでありますが、金融も基本的には従来の方針を変えるものではない、変えたくない、こういうことでありまして、それは希望でございますが、第三四半期というのは当初二千百億の支払超過と言われたが、最近では二千四百億と言われておる。これは米の代金のほかに貿易の関係がありまして、輸出が出ておる、それは結構でありますが、こういうことがありまして、なかなかデフレの基調を崩したくないと言つても或いは少し崩れる懸念なきにあらずで我々はその点で何とかしてこの資金を吸収するように非常に努力したのであつて、崩さない方針であることを申したわけであります。やり方がまずければ、この撒超期を機会として少し崩れるかも知れない。崩したくないというのが方針でございます。そこで先ほどの供米代金中心とする農中の系統金融のことのお話がございまして、供米代金が全部ずつと系統を通じて農中に集中していると我々も考えておりません。これは金融が苦しい折柄、各金融機関は預金の吸収ということにそれこそ血まなこになつておるわけでありまして、それがために御承知の特利というものが発生して、まあ今年初め以来というか、もつと前から問題になつておるわけであります。そこで特に供米代金などが政府から支払われるような場合には、従来とも各金融機関、大銀行にいたしましても、或いは地方銀行にいたしましても、相互銀行、或いは信用金庫というようなものが、皆何とかして特利の餌を以て集める傾向が相当あつたのであります。でありますから、信連の金が必ずしもずつと中央に集まらない、その割合、数字はよく知りませんが、私はこの供米の支払資金が全部中央に集まるとは思つておりません。これはもう少し農中系統の靱帯をしつかりしなければならんということは、かねがね問題になつておることであります。これは一つの問題かと思いまして、今後も更にそういう横へ流れないように、而も特利というような、いわば今日好ましくない形で横へ資金が引張つて行かれないようにということは十分やらなければならないことかと考えております。ちよつと質問がよくわかりませんでしたので、答えも或いはピントが外れているかも知れませんが、予想外の撒超でありますので、まあこれは供米代金中心で、ありますが、その吸収方策、そうして農中資金を更に日銀のいわゆる売オペレーシヨン等によつて吸収し、この政府資金撒超期に、従来の線を崩したくない。いわんやインフレに転化させたくないという方針で、一生懸命やつておる次第であります。
  53. 記内角一

    説明員記内角一君) 貸出純増による一般預金の増という、これは一種の歩積じやないかというふうな御意見のようでありますが、若干歩積の点もあろうかと思いますが、例えば歩積ということになりますと、貸出純増は八十二億でございますが、三カ月間の貸出増は約五百億であります。それに対する十二億ということになりますと二%強というふうになつて参りますので、普通に言われておる歩積五%とか、一割とかいう面から見ますと、非常に少い額になつて来るわけであります。従つて必ずしも歩積とも申上げられませんが、今までの情勢から見まして、この程度貸出純増がありますと、一般預金は自然に増加して来るという面がありますので、それを考慮に入れまして出して来た数字と承知しておる次第であります。
  54. 高橋衛

    ○高橋衛君 私の山木次官に質問申上げた趣旨がどうもよくおわかり願えないような感じがするのでありますが、私はつまり供米代金が農協から信連に、農中へとその集まるところの割合がどの程度であるかという、先ず基本の数字を知りたいのが第一の点であります。  その次に只今の次官の御説明によりますと、もう少しその問の靱帯を強固にしたいというお話でありますが、その点の是非は別問題といたしまして、私自身の考えとしては、事実を事実のまま存在するものとして、そうしてそれを政策によつてどう変えるかということも、これはなかなか困難な問題でありますから、事実がそういうふうに流れるという前提の下において、それに対して如何なる対処方策をとつておられるかという点が詳しく言えば第二点。私自身としてはその全般的に金融機関の金利を相当大幅に引下げらるべきであるという主張を持つておりますけれども、これは一律になすべきものではない。例えば商工金利は三銭四厘の金利を取つておる。これはそれぞれのコストに応じて、又それぞれの必要に応じてまあ中小企業の或る面において、金利よりも金融がより重点的に考えられるという面があるのでありまして、金利全般としては絶対に急速に、大幅に引下ぐべきであると考えますけれども、必ずしも或る種の特利とか何とかいう問題をそう……、何と申しますか、むやみに厳格に、又は目の敵にするという考え方には行かんでもいいのじやないかというふうにむしろ考えておるのであります。ただ問題は、現実の流れとして、如何なる傾向にあるか。その現実の流れに対して、政府は如何なる対処方策をとつておるか。私はそれをなぜお聞きするかと申しますと、いわゆるこの指定預金引揚の問題があるからであります。指定預金引揚というものは、これは商工中金に、或いは相互銀行に、又信用金庫にそれぞれ存在しておるのであります。それで商工中金についてはおのずから別途の又観点があるかと思いますけれども、信用金庫なり、相互銀行については、どの程度それが流れているという現実の姿があるとすれば、供米代金支払がこの程度伸びた、その限りにおいて、指定預金以上にそれらの金融は相当余裕ができて来ているという判断ができなければならない。もう一つ根本を申しますと、先ほど山本次官の御説明にあつた通り、第三四半期は非常な撒超でありますので、その撒超を何とかして是正して、そして日本の経済基調が非常な混乱をしないように、破綻しないように持つて行くことが、これは我々の責務であると考えるのでありますが、その点に我々が非常な危惧の念を持つておりますが、その点についてのつまり財政金融を通ずる一つの信念のほどを、対処方策のほどをお聞きしたいというのが僕の狙いであつたのであります。
  55. 山本米治

    説明員山本米治君) 供米代金の農協への集まる割合は六割、それから更に信金へ六割、農中へ六割と、六・六・六で来るようでありまして、従つて中央へ集まる金はかなり少いということになるわけであります。これは従来は、先ほども申しましたように、特利関係がありまして、特利という餌でほかへ引張つて行かれたということが相当あるのじやないかと思いますが、特利につきましては、近来特にやかましく問題にしておりまして、自粛を要望しておるわけでございますが、併しその今法律上、例えば農協が必ず中央へ持つて行かなくちやいかんということにもなつていないのでございまして、もうこれは自粛して、成るべく供米代金等は中央へ集めて、そうして農業団体のためにこれを有効に使うというように持つて行きたいと思つておるわけでございます。でこういうように農中系統の金融機関へ必ずしも全部集まつていないということは、その集まらない分だけが他へ行つているということを示しておるわけでありまして、それが一部大銀行でありましようし、一部地方銀行でありましようし、又相互銀行信用金庫等であるわけでございます。としますと、これらの銀行に預金ができる、手許のゆとりができるということになるわけで、これはやはり先ほど申しましたように、まあ相互銀行信用金庫等に集まる分については、やはり中小企業へ向けられる資金源になるわけでありまして、それは必ずしも悪いことじやないと思つておるわけであります。ただ全体として、政府支払超過が非常に多い。これを機会に、従来の線が崩れんようにというお話は、只今高橋委員お話通りに、我々も本当にそういうふうに希望して政策を実行しておるわけでございまして、まあ第三四半期支払超過は年中行事でございますので、すでに大蔵省日銀当局とも十分打合せまして、この対処策を考えております。即ち金融機関へ集まれば、従来の各銀行からの日銀借入というのをできるだけ返済に充てさせる。当初の計画ではたしか千億くらい、日銀貸出を減らすという方針でありましたが、最近では或いは支払超過が多いのに応じて更に日銀貸出回収しなければならんのじやないか、こういうふうに思つておるわけでございますが、こういう方策を講じまして、この第三四半期支払超過期を従来の線を崩すことのないように一生懸命やつているところでございます。
  56. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) 関連して私もちよつと一言伺つておきたいと思いますが、いろいろ金融界の情勢を聞いて見まするというと、大体年内といいますか、年末まではやや小康を得ているのじやないかというような話を聞いておるのであります。殊に先ほど政務次官も、十一月、十二月の指定預金引揚げも延期するというようなお話もしておるのでありますが、問題はむしろ年が明けて一月或いは二、三月頃に非常な問題があるのじやないかというように言われている面もあります。先ほど政務次官は、指定預金についての引揚げについては極めて消極的な明年のことはまだ考えていない、或いは控えるかも知れないというようにも見える御意見があつたのでありますが、私はこの点はよほど真剣に考えてもらわなければならん。先ほど高橋委員お話のように、資金の流れによつていろいろ変つた動きが現われるかも知れませんが、これはむしろ来年の一、二、三月頃の指定預金引揚というようなことについても十分関心を払つてもらつて延期の態勢を作つて行つてもらわねばならんのじやないかと思うのですが、この点について政務次官、それか中小企業庁ではどういうことを考えておるということをお答え願いたいと思います。
  57. 山本米治

    説明員山本米治君) 第三四半期につきましては、先ほど申上げました通り指定預金引揚延期は止むを得ないか、こう思つておりますが、第四四半期、来年の一月から三月までをどうするかというお話でございましたが、我々は現在の立場としては、第三四半期は延ばすが、それ以後は予定通り引揚げると申上げるよりほかないのでございますが、更にそのときの情勢に応じましては引揚再延期ということも考えようと思つております。
  58. 記内角一

    説明員記内角一君) 結局指定預金をどう見て行くかという問題でございまして、当初考えられておりましたように、非常に短期の金を一時資金繰り関係上使つて参るというふうに考えて参りますれば、第四四半期なつ引揚げるということも或いは止むを得ないのじやないかというふうにも思われるわけでございます。併しながら、同時に、これは財政資金という面から見たわけでございますが、一般金融情勢という面から見て参りますというと、とにもかくにも指定預金という問題が長く存在しておりまして第三四半期ほどではございませんでしようが、金融も相当納税時期帯とからみ合つて来るにかかわらず、第三四半期に出た金を全部引揚げて来るのだというふな考え方の下に、ただ資金引揚げるという考え方の上から金融一般を引締めて参るということになつて参りますと、金融引締と更に指定預金引揚という問題がダブつて来ると思うのであります。その与える影響も相当深刻になつて来るのではないかと思うのであります。従つてこの点につきましては、金融の引締の度合、勿論第三四半期におきます撒超の分と、これが市中に出廻つて参る一般資金量、これを引揚げて参る、第四四半期金融態勢とからみ合せまして指定預金の問題を考えたい。そういう際におきましていろいろ大きな影響を及ぼすような事態になりますが、併しなお指定預金財政資金関係引揚げなければならんというふうな事態にございますれば、金融の面でそれだけ何らかの措置を講じてもらうというふうなことで、両方まぜ合せまして第四四半期にも大きな無理のないように、いわば経済界の上に金融的な波乱を来たさないような措置を講じてもらいたい、こういうふうに私は考えている次第でございます。
  59. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) これは政府のやつておられる中小企業対策の、失礼な言い分かも知れませんが、指定預金引揚延期ということはこれは相当恰好のついた政策の大きな部分を占めているように我々は考えるのでありまして、この点はこれは大蔵当局におかれても真剣に考えて頂いて、今の金融界の情勢から来年の二、三月頃には引揚げるのだというような考え方の下にいろいろ手を打たれるということになると、非常な事態に至らんとも限らんのでありまして、その点は御如才はないと思いまするが、十分気を付けて、むしろ今の中小企業界の要望はそういうところに強くあるようでありまするから十分御検討をお願いしたいと思います。
  60. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどの山本次官の御説明必ずしも満足できないのでございますが、なお一つ例えば先ほどの御説明によりますと、供米代金のうち農協に集まるものが六〇%というので、だんだんそれぞれ六割、六割というので割合に小さな部分しか農中に集まらない。而もその供米代金の吸収方策と申しますか、これに対する対処方策は殆んど農中に対してのみ行われているという実情でありますが、従つてそれらの途中の段階において、どこにそれが流れて行つているかという事実を成る程度推定的でも結構なんでありますが、そういうふうな見当をつけておられやしないか、その見当をつけられた場合に、それが例えば信用金庫には、どの程度、或いは相互銀行にはどの程度というふうな見当をつけておられるかどうか、若しもつけておられるとすれば、それらの観点からそれと合せて指定預金の問題も考えるのが当然であります。指定預金指定預金と別途に、これは政治的なものだから全然別に考えるんだというのでは金融政策というものはありようもないと思うんですが、その辺の見当をもう少し数学的にお伺いしたい。
  61. 山本米治

    説明員山本米治君) ちよつと特殊金融課長に代つて答えて頂きます。
  62. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) それでは今の大体どういうふうに金が流れているかという御説明だけを申上げます。先ほど政務次官から申上げましたように、大体六割、六割、六割というのがほぼ今までの実績に近い……これも大よその見当ですからはつきりしたことはそのときの情勢によつて或る程度つておりますけれども、大体この程度なんですが、これは勿論一〇〇%がすべて金融機関の預金になるということは到底考えられないのでございます。払われた資金の一部は農民自身が使いますし、又いろいろな方面に使われることもございまして、借金の支払に使われる……ちよつと今数字を持合せておりませんが、約三百億近い農手がある、これは口銭に入つておる、これを返さなくちやならない、これは信連、商中の段階でもやはりずつと系統的に上へせり上つて日銀に入つて来ます。その途中でやはり大きく消えて参るもんですから、この中途のやつは全部そういつた農民の過去の借金なら、信連なり農協自身の借金も勿論ございます、農民及び系統機関の借金の返済といつた自分自身の資金だけに使われるとは勿論限りませんけれども、大部分は、六割、六割、六割で、そういう形で消えるものが多いと見ていいかと思います。例えば最初の段階に六割について残つた四割は一体何割程度ほかの金融機関に行くかということになると、恐らく大部分が農民自身の借金の返済なり生活費に使われて、極く一部が金融機関へ行く、こういう形ではないかと考えるのであります。それから信連段階に集まつたものが、又大体四割は、農協に対する貸付金或いは農中に対する借金の返済という形で消えるものが相当部分はあります。それから専らほかの金融機関に横流れするということは、これは厳粛に日本銀行にも出先の機関を使つて頂いて指導いたしております。これは勿論強制はできないのでありますけれども、少くとも特殊預金のような形で以て下部へ流れるというようなことのないように、これははつきり農民のふところを監督するのではなくて、はつきりした金融機関の監督でありますので、割とよく監督は行つておると思うのであります。まあ一部にはそういつた形でほかの金融機関へ横流れするものも皆無ではないかと思いますけれども、非常に少いのではないかと思います。
  63. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はこれは二、三の地方事務所について農協の預金がどういうふうに利用されているかということを調べて見た結果から申上げるのでありますが、その場合におきましては、福井県の三つばかりの郡でありますけれども、その結果では一つ地方事務所の管内の集計においては、大体五割五分程度が信連以外に行つている。それからもう一つは五割ちよつと足らず、もう一つは四割五分というふうな数字を得たのであります。従つて只今の特殊金融課長の数字が正しいとは思いますけれども、私はそういう例があるという点から、而もそれがより有利である、而もそれが特利にしても大したことじやない、又非常にサービスがいいというような面から、自然一般金融機関に流れがちであるという傾向を持つこともこれ又自然であるというように私は観察をいたしておりますので、そんな感触から只今質問をいたしておるのであります。
  64. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) 福井県の問題ですか。
  65. 高橋衛

    ○高橋衛君 ええ。
  66. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) これは或いは今年の……。
  67. 高橋衛

    ○高橋衛君 今年の春です。
  68. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) 若干そういつたことを私も聞いております。インターバンクの特利預金の一般的な取締のときに、新らしくそういつた金融機関相互の預金の横流れについて特殊な規定をいたしたのでありますが、その場合にも特に農協系統のものについて、は、更に農中自身にも、それから農林省からも指導をして頂き、厳重に取締はいたしておりますので、現在では今年の暮は再びこういつたことは同じ福井県におきましてもないことを期待いたしております。或いは十分指導も徹底してなくて、そういつたことも全然ないということは私ども保証はできないのでありますけれども、ちよつと今の数字は大き過ぎますので、又我々のほうとしましても或る程度調査して、若し何かの手を打たなくてはならんことがありますれば、できるだけのことをいたして見たい、かように考えております。
  69. 高橋衛

    ○高橋衛君 それから先ほど私がお聞きいたしました点に対して、大体特殊金融課長の御観察によりますと、先ず大体途中で漏れるものも、借金の返済であるとか、或いはまあそれ自体の必要に使つたのであつて、且つ農中、信連の段階において政府が何とかこれが吸収策を講ずれば供米代金の一時的なものに対しては十分に対処できるのだというお考えのようでありますが、従つて相互銀行なり又は信用金庫に対してそれが幾らかでも流れて、そのために指定預金関係においてそれとの関係を考える必要はないというふうにお考えのように伺つたのでありますが、そういうふうに考えてよろしうございましようか。  それからもう一点、これは記内さんに、これが最後でありますから一言伺つておきたいのでありますが、先ほどお聞きしました商工中金というものは、御承知通り三分四厘という非常に高いところの金利を取つておられる。政府機関としては一般金融機関よりもより高い。勿論コストが高いからでありましようが、そういうふうな金融機関においてもなお歩積とか両建というのがあるかないか存じませんけれども、歩積というような事柄を認めて行くことが妥当であるとお考えになつているかどうか。又政府がそういうふうな歩積の制度を絶対に必要なのだというふうにお考えになつているかどうか、その点だけ伺いたいのであります。
  70. 加治木俊道

    説明員加治木俊道君) 私今申上げましたのは、農協なり信連なりに、まあ農協も一応金融機関でございますが、そういう農村金融機関に集まりました金がほかの金融機関から金融機関へと横流れするのはかなり改善されておるのじやないかということを申上げたのであります。勿論その中でも一部は或いはその他の銀行なり相互銀行なり或いは信用金庫なりに流れるものが皆無ではないのであります。又そういうことを全然抑えてもおりません。何といいますか、手持の一時の支払準備のためには系統金融機関に預けた場合には位置が遠いので急に間に合わないので、当座の支払のために他の金融機関に預けておるということもあつたのであります。そういう形で預けられていることもあると思います。ただ併し、そのほかに農民自身が使う金が仮に農協に預けた六割を除いた四割あるとしますと、このうちの一部をほかの金融機関へ預金されるものがありますね。又、仮に農民がそういう信用金庫、相互銀行等への預金の形でなく、実際に消費された金が市街地へ流れて来ますと、それが信用金庫なり相互銀行の預金なり、或いは相互掛金なりの形で歩留まるものがあるという形で、廻り廻つて農村へ潤つたものが、相互銀行なり信用金庫に集まつて来るものがかなりあると思います。指定預金の問題は、ちよつと私から申上げるのはどうかと思うのでありますが、この問題は金融機関自身の預金増を以てしても、なお且つ中小企業者の年末越年資金不足だということを前提にしまして指定預金の問題は考えなくちやならん。例えば今仮に六十億ばかり指定預金がございますが、その指定預金関係金融機関で増加した六十億円の預金で代えさしてもいいかどうかということになるのでありますが、それとこれとは別個に考えなくちやならん問題だということかと思います。
  71. 記内角一

    説明員記内角一君) 歩積がいいかどうか、特に商工中金において歩積がいいかどうかというお話でございます。先ほど申上げましたように、それぞれ全体として見ると、全体の貸出から見ると、二%強ということであつて一般歩積の観念では律し切れない、いわゆゆる自然増と考えていい分があるのじやないかというふうに考えておりました。なお歩積の問題につきましては業界自身についてもいろいろ議論がございます。例えば商売をいたしまして割引手形を受取つた、その受取手形を割引いてもらつた場合におきまして、五%ぐらいずつを自己資金として積立てる意味において、これを商工中金に残しておく、そうして或る程度溜まつたところで全部借金を切替えて行くというふうなことになりますれば、自然に無理のない程度で自己資本の蓄積ということにもなつて参ります。そういう意味で、必ずしも歩積がいけないというふうには考えられない面もあるのじやないかと思つております。又現にそういう意味で相当資本を蓄積しており、又それを見返りにしまして更に金融機関から金を引張り出しておるというふうな面もございますので、必ずしもこれを抑えるべきでもないというふうに考えております。勿論手形貸付等の長期のもので金利の高いものにつきまして、こういう方法で両建式な考え方になることは厳に注意しなければならんと思つておりますが、比較的金利の安い短期の手形割引等について、今言つたような考え方について行くことは或る程度差支えないのじやないかというふうに考えております。又業者自身もそれを望んでいる面もあるわけであります。それから組合の役員等におきましては、組合員に転貸する場合の保証金のような意味歩積をやつて欲しいというふうな希望を持つておる向きもあるやに承知いたしております。この考え方がいいかどうか、又別に問題もございましようが、いずれにいたしましても比較的低利の資金で割引いております割引手形についての極く基礎的な歩積ということになつて参りますれば、預金の獲得という、面よりも自己資本の蓄績という意味において或る程度は是認できるのじやないかというふうに考えておる次第であります。
  72. 西川彌平治

    西川平治君 百貨店の問題について伺つて見たいと思いますが、前の岡田中小企業庁長官は、この前に百貨店法は考えていない言つておられまするが、秋山振興部長は九日の東京商工会議所におけるところの公取委員会の公聴会の席上、百貨店法を取上げることも考慮しておるように述べたことが新聞に出ておつたようでありまするが、中小企業庁の方針はどうであるかということが一つ。それからその公聴会で述べたことと思いますが、公取で百貨店の不公正取引についての特殊指定を行うことについて如何なる態度をとるか、多分全面的に賛成であると思うが、この特殊指定ということだけで果して百貨店の不公正取引が根絶できると思うかどうかということが一つ。次に企業局は、大丸の夜間営業に関しこれを停止するようにデパートメントストアの協会に対して申入れたが、大丸ではこれを断わつたという話があるが、このいきさつについて説明をお願いいたしたいと思います。その次には、企業局はこの大丸の夜間常業問題について如何に対処する考えであるか、この四点を先ず伺つて見たいと思います。
  73. 記内角一

    説明員記内角一君) 第一点の、秋山振興部長が商工会議所における公聴会において百貨店法を制定するということも考えなければならんというような発言があつたが、企業庁としてはどうかというお尋ねでございますが、当日は指導部長が出たはずでありましてその点までは触れなかつたことと私自身は承知いたしているわけであります。併しいずれにいたしましても、この点をどうするかという問題でございますが、私どもといたしまして、まあ百貨店が進出して参つた現在において百貨店法というようなものによつてこれを抑えて悪いという面は、或いは一般消費者に対して非常に大きな影響を与えるというふうな面は余り考えなくてもいいのではないかということは考えられます。ただ憲法にも営業自由の根本原理に基きます大原則がございまして、これとの関連を考えてなお百貨店法を制定しなければならんかというふうな点になつて参りますと相当問題もございますので、この辺は慎重に考えなければならんじやないかというふうに思つておりますが、なお百貨店法ということになりますと、中小企業庁でやると申しますか、或いは通産省のほうで考えると申しますか、所管の問題等もございますので、これらとよく緊密な連絡をとつて善処して参りたいというふうに考えている次第でございます。  それから第二点の、公取の特殊指定の問題で、いいのか、悪いのか、又これで十分かという御意見でございますが、我々としましては、やり方自身にはいろいろ文句もございますが、基本的な考え方といたしましては、特殊指定は我々も望むところでございまして指定はいたしてもらいたい。ただあの程度でいいかという問題になりますと、今度の特殊指定は、どちらかと申しますと、百貨店と問屋、物品納入者との関係中心なつているようでありまして、例えば百貨店自身の常業方法、それに関連いたしまして中小企業との、小売業との競争関係、そこから派生いたしますいろいろな不公正な方法並びに取引等についてはなお若干足りない而もあるのではないか、こういう点については、更に引続いてできるだけ特殊指定によつて防止するようにしてもらいたいということを公聴会においても発言したような次第でございましてそういう考え方の下に今後とも公取委員会と折衝して参りたいというふうに考えていも次第でございます。
  74. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 大丸の夜間営業についてやめるように百貨店協会に相談があつたということでございますが、これは私正確な日にちは忘れましたけれども、大丸の開店直後であつたと記憶をいたしますが、さようなことを協会に申入れしたわけであります。その申入れいたしました趣旨は、百貨店の営業というものが消費者の利益に相当サービスしておることも認めないわけではございませんけれども、デフレの線ともからみ合いまして百貨店の営業の活動ぶりというものが非常に多く中小の小売店との摩擦の問題として浮び上つて来つつあるわけであります。一方百貨店の営業というものはおのずから大きいところは大きいところといたしまして或る限界を守つてといいますか、夜間営業なんかは遠慮して中小の小売店の分野というふうに見るのが妥当であろうということで従来主要百貨店というものは夜間営業をやつていなかつたのであります。ここに大丸が夜間常業を始めることになりますと、勢い競争上夜間営業を始めたいという、百貨店が続出して参るということが懸念せられるわけです。又その動きは現に相当あつたようであります。私ども今の諸般の社会情勢或いは経済情勢のさなかにおきまして、百貨店側の活動ぶりが、今までありました中小の小売店との関係において、小売店側から見まして百貨店側がいわば攻勢に出たといいますか、というような印象を与えるようなあり方というのは好ましくないのではないかという意味におきまして、今までの常業時間というものも、これは何もきちんとしたものではございませんが、おのずから夜間営業をやらんで、時間は多少まちまちではございましようが、或る限度にとめることが望ましいということを協会側に言いまして、協会としてこれは協会自身の問題、みずからの問題ということとして解決することを期待し、又そういう解決の仕方のほうが実情に即した細かいニユアンスをつけながらほどほどの解決ができるであろうということを期待いたしまして、そういうことを百貨店協会に言つた。その後百貨店側の報告によりますると、大丸側は百貨店協会から申入れいたしましたところ、夜間営業をやめる点については再考慮の用意あり、但し大家さんである鉄道会館といいますか、とも相談して返事いたしましようというような中間的な返事を二週間くらいになりますか、前にもらつてつたのでありますが、その後昨日の夕方になりまして口頭で百貨店協会のほうから大丸から、鉄道会館のほうで言うことを聞いてくれないでの最初から鉄道会館との約束であすこに入り込んでおつたような経緯もあるので遺憾ながらお断わりせざるを得ませんというような返事が来たのだという取りあえず報告を受けたのです。百貨店協会としてはこれは口頭で聞いて又聞違いが起つてもいかんから趣旨をはつきり文書で大丸から協会によこして下さい、その文書をもらつたことを役所に報告し、今までのいきさつを報告しなければなりませんからということを向うに伝えたというのが、昨日夕方のことであります、うちの課長が出先のところから来ましたので、私今朝聞いたのですが、今後どういたしますか知れませんが、私ども先ほど申上げましたような趣旨に鑑みいろいろ批評もあろうと思いますけれども、私どもの考え方というものは今の環境から見まして私ども常識的な線ではないかというふうに考えておりますが、それの実現の方向につきまして、今後正式な文書を見ました上で然るべき措置をとりたいというふうに考えております。
  75. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) いずれこの問題は次の機会に又お聞きしたいと思います。  最後に私、企業局長に伺いたいのですが、最近新らしい市もたくさんできまして、新らしい意欲に燃えて商工会議所なんかも分離して行きたいという気持に燃えているところがあります。これは古い市のほうから分離するとかいろいろ手続上の問題がありまするが、そういう場合に一定の基準に合うような場合にはどんどん商工会議所として新らしく設置を許されるような方法とつてもらいたいと思うのですが、何か事務が非常に溜まつているようで地方もやきもきしているようなところがあるようでありますが、この点について一つ企業局長の意見を伺いたい。簡単で結構です。
  76. 徳永久次

    説明員(徳永久次君) 新らしく市制になりまして市がだんだんたくさんできつつありますが、実は今委員長からお話のありました市ができたから新らしく商工会議所を認めてもらいたいという申請はまだ二件しか来ていないそうであります。と申しますのは、二件のうち、一件は七月頃来まして、若干問題がありまして変更方を当事者のほうに返しておる、一件は十月末に来ましたばかりで、内容をよく見ていないという状況でございます。概括的に申上げますと、商工会議所は御承知のごとく戦前は百四十そこそこであつたわけでありますが、戦後たくさんできまして、四百十一ほどできておりまして、それが先般の国会で変りまして、商工会議所法の新法によりまして組織変更の手続をいたしております。組織変更の手続で現在出ております。二百四十六件というものが出ておりまして、これはもう全部認可済みになつておると思います。あと四百十一から二百四十六引きますと約百五十ほど残つておりますが、これは現地側においていろいろと事情があるのかと思いますが、申請が来ていないというような状況でございます。  それから市ができたからどうかという問題でございますが、これは実は少し事情が違うと思うのでございますが、私ども市ができたからすぐ商工会議所を認めて行くというふうになるのじやなくて、と申しますのは、従来の商工会議所というのは必ずしも市に拘泥しないでできておりまして、商工業としての町の実態を備えておりますれば市でなくても町でもよろしいということでそれぞれの地域の商工業の模様ぶりに応じまして実はできておりますような状況でございますので、今度の市制というのがいわば行政簡素化の趣旨で合併というような形でできましたので、村がたくさん集まつて市になつたものもございますし、商工都市ならば従来のままで大体もうできておる。だから今委員長ちよつとお触れになりましたような、昔あつた商工会議所が市が分離した関係上二つに分れるというようなこと、これはいずれもすでにありましたものは商工業都市としての実態を備えておつたからあつたということでございましよう。それを市が変つたから一つを二つに分けるということにもなると思いますが、その際に二つに分けてそれぞれの場所につきましていずれも商工会議所を作つて商工業都市としての実態を備えたものになりますかどうか、そういう問題はわからんわけであります。大きいところが二つに分れることは我々は妨げる意思は持つていないわけであります。そういう事情であります。
  77. 石原幹市郎

    委員長石原幹市郎君) それではこれで散会いたします。    午後一時十六分散会