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説明員(
牛場信彦君)
外貨の事情は、先ほど
東条大蔵省為替局長のほうから御
説明があ
つたと思いますが、まあ大体におきましてこの三月末で終ります年度において二億ドル前後の
赤字が出るという
状況でありまして、更に食糧の
緊急輸入もまだ全部済んでおりませんから、来年度におきましても、それを含めて見ますと、
赤字の出る虞れが相当あるというような
状況であります。他方又
保有のドルも、大体今月末には相当低いところまで行くのではないか。勿論まだ最低
保有量からは余裕があるのでありますが、よほど注意をして行かないといけないという
状況に
なつておることは、御
承知の
通りであります。
そこで、
只今の
お話の割当
方法などについてどういうふうに
考えるかということでありますが、これは
現実に今度の四期の
外貨予算を編成するに当りまして、まだ私
ども検討しておるところであります。結論が出ておるわけではないのでありますが、まあ原則といたしまして、できるだけ必要な原材料の
輸入を確保すると、そうして実際にその原材料が必要な産業のほうに向いて行くようにしたいということ、これは申すまでもない第一の方針であります。
それからその次に割当の
外貨について基準が立てにくいものにつきましては依然として自動承認制を存続いたしたい。併しながらこれが相当
程度思惑の対象に
なつたというような懸念もありますので、自動承認制による
輸入については或る
程度輸入の
条件を厳重にいたしたいというふうに
考えております。更に贅沢品の
輸入を削れという声が非常に強いのでありまして、又事実若し贅沢品が入
つておるとすればこれは成るべく削りたいというふうに
考えておりますが、
通商協定などの
関係で買わなければならないものが若干ありまして、これは
只今の
日本からの
輸出が相当部分までいわゆる不要不急品と申しては
ちよつと言葉が過ぎますが、消費資材が多いという現状におきまして或る
程度日本品を買わせるためにはこちらでも
日本から見て不要不急に近いようなものを買わなければならない事情があることはこれは御了承願わなければならんと、こう思うのであります。
現在の
外貨予算の立て方は、これは申すまでもなく縦割といたしましてはドル、
ポンド、それから
オープン勘定、三つに分けまして、その
オープン勘定を更に勘定別に分けておるわけであります。この区別は依然として存続することになると思います。ただ近頃
ポンドが非常に少くなりまして、むしろドル
輸入よりも
ポンド輸入を抑えなければならんというような
状況が起る場合がしばしばあ
つたわけであります。それでは
外貨予算上このドルと
ポンドとの区別というものは余り意味がないので、これを撤廃して、或いは相当
程度まで撤廃してどちらからでも買えるようにしたらどうかというような議論もあるのでありますが、これはやはり現状におきましてはまだ行過ぎであろうと思います。
ポンドがコンバーテイブルに
なつておらないのでありますから、やはりこれは区別はして行かなければならないであろう。併し若干の品目につきましては或いはそういうようなこともやることも
考えてもいいのじやないか。これは非常に小さいものでありますが、いわゆる贅沢品に属するものでありますが、ウイスキーの
輸入などはこればドルと
ポンドと同枠でやるということに四—九の予算からそういうことにいたしたいと思
つております。
オープン勘定は従来の例によ
つて参ることになると思います。
それから横割のほうはこれは大体におきまして
外貨割当制によるものと、それから自動承認制によるもの、この二つが大きな区別であります。そのほかに更に雑
輸入でありますとか、それから仲介
貿易或いは求償物資というような区別があるわけであります。大部分のところ現在原材料の
輸入は割当制によ
つて行われているわけであります。そしてこの割当をどういう基準でどこに当てるかということにつきまして非常に最近各方面に
関心が持たれまして、私
どもも現在の
制度が決して一番いいものであるとは思
つておらないのでありますが、遺憾ながら
外貨の量も十分とは言いがたく、且つ業界の終戦後非常に細分化されたという
状況がまだ直
つておらない、殊にそれが
輸入業者の面において甚だしいという現状におきましては、これはやはり主要部分をメーカーに割当てる、直接その原料を使うメーカーに割当てるということがまあ止むを得ない措置ではないかと思
つて、現にそのように行われているわけであります。原綿にいたしましても原毛にいたしましても八割くらいはやはりメーカーへの直接割当ということに
なつております。その割当の際の基準は大体において生産設備を基礎にする
考え方で来たのでありますが、これが設備拡張を招くという非難がございまして、現在においては割当の面では綿花におきましても羊毛におきましても設備を新たに殖やしたものについては割当をしないということに
なつておるのであります。いつからそういうことになりましたか、私
ちよつとはつきり
只今いたしませんが、現在ではそういうことに
なつております。
それからもう
一つ、
輸出用の原材料につきまして特にこれを確保するという趣旨から
輸出したものについてはそれに必要な原材料はリンクした恰好において割当てるというやり方をや
つておりまして、これは一面におきまして二重
価格を生む原因とは
なつておりますが、併し国内の
只今の物価高の現状で
輸出を伸ばして行くためにはどうしてもこれは必要止むを得ない措置でありまして、今回の四—九予算におきましても国内の物価の騰勢がやみ、延いては物価が下るという
状況になりまして
輸出が楽になるまでの間はむしろこのリンク制というものは或る面においては拡大する必要があるのではないかというふうに
考えております。決していいとは思
つておりませんが、現状においては止むを得ないという
状況であります。現在リンク制をや
つておりますのは綿花と羊毛とそれからパルプであります。
それから次に自動承認制につきましては、これは主として割当するにも基準も立ちにくいような物資で、而も重要な原材料にというものを含んでおりまして、大きなものを申しますと、ゴムでありますとか、錫、
スクラツプなどであります。これは
外貨の
手持が潤沢である限りにおいては一番普通の
輸入方法でありまして、
政府としては何らの制肘を加えない、一定の限度までは業界のメーカーであろうと
輸入会社であろうと自由にその
銀行に行
つて円を払えば買えるということに
なつておりまして、一番ノルマルな
輸入方法でございまして、従いまして
外貨の
手持が十分である限り成るべくこれを育て上げて行くことが当然でありますが、現状は先ほ
どもちよつと申しましたように却
つてこれが思惑を誘発する、そのためにいわゆる我々の
考えております
外貨予算上の限度が早く来てしまいまして途中でストツプしなきやならなくなる、それを見越して更に思惑が殺到する、そうしてストツプされたために商売が一時中断してその後の買付けに不便を感ずるというような
状況も起
つて参りますので、四—九の予算におきましては勿論この
制度は存続いたします。殊に
ポンド地域からの
輸入につきましては一昨日も御
説明申上げました
通りこちらが約束しておる点もございますので、その
通りにいたすつもりでありますが、
輸入の
条件につきましては或る
程度の規制を加えまして、例えば
輸入する際にはこの
輸入を必ず実行するという
保証のために担保金を積ましておるのであります。この比率を二割
程度まで上げて而も
銀行の
保証状ではなくて現金で積ませるようにしよう。これは現に実行しておりますが、四—九におきましては少くともその
程度の
条件はつける必要があるのじやないかというふうに
考えております。
それから雑
輸入と申しますのは、これは自動承認制にも入らない、それから割当制にも入らないという、これは非常にまあ細かい物資が多いのでありますが、ものに対して一定の枠を与えておきまして、一々これは
通産省におきまして申請を審査して許可いたしておるのであります。このうちには昨年の上半期頃までは相当いわゆる贅沢品と目されるものもあ
つたのでありますが、昨年の十月から今年の三月に至ります予算におきましてこれらのものは全部排除いたしまして、現在では贅沢品と申すものは私
どもの感じから申しましても残
つておらないように見ております。
それからその雑
輸入と
ちよつと形を変えたものが例の特別
外貨割当
制度による
輸入でありまして、これは
輸出に対して
只今一〇%の特別
外貨割当をする権利を与えております。その権利によ
つてこれは特に許された品物を
輸入ができる。この品物につきましては品目表がございまして、その表以外は買えないことに
なつておりますが、その品目につきましては一々
通産省の許可は必要としますけれ
ども、この特別
外貨割当資金を持
つて買うことができるという
制度でございます。これはいわゆる優先
外貨と言われてお
つたものの名前を変えたものであります。これにつきましてはまあ国際通貨基金等におきまして相当非難がありまして、世界各国に対して大体においてこういう
制度は早くやめろということを勧告しておる
状況で、ヨーロツパの国におきましても
ドイツなどは昨年限りやめたという
状況でありますので、私
どもこれを拡大することは現在の
状況では甚だむずかしいのであります。併し
日本の
輸出の現状ではなお必要な
制度と思いますので、これは維持して行きたい。それから又その
輸入品は主として
輸出用の原材料に限る、そしてこの
制度の趣旨は飽くまで
外貨割当の
一つの
方法であ
つて、
外貨割当の簡便化を行うのであるという趣旨で行きたいというふうに
考えております。
それからそれ以外に予算の、予算と申しましてもこれは勿論国の予算と違いまして、非常に
制度その他はそのときどきの都合によ
つて或る
程度の変更はいたしておるわけでありますが、最近相当力を入れて行かなきやいけないんじやないかと思
つておりますのは加工
貿易用の原材料の
輸入であります。これは保税
制度を活用いたしまして保税地域において原料を確保して再
輸出する。例えば小麦を入れまして小麦粉にして朝鮮とか台湾とかへ
輸出するというような
貿易、これは現在
日本の物価がこういうふうに
なつております際には大いに活用して然るべき
制度であります。これによ
つて国内の物価を下げる
一つの誘因にもなるんじやないかというふうに
考えております。
それから更に仲介
貿易、つまりいわゆる第三国
貿易でありまして、
日本の港に
荷物が来ないで、併し
決済は
日本を通じて行われる、そうして
支払と受取とを比べて見れば受取のほうが多いという形の
貿易、これは戦前御
承知の
通り三井物産などは大いにや
つておりまして、むしろこの第三国
貿易によ
つていい利益を得ていたという
状況であります。現に
日本の
外貨が非常に窮屈に
なつて参りましたために思うように行かないのでありますが、これにつきましても十分
信用のある
銀行商社によ
つては或る
程度自由に働き得るように予算も計上して参りたいというふうに
考えております。
それからそのほかにバーターの予算な
ども、これは主として中近東、
只今しばしば問題に
なつているイランでありますとか、トルコというような国、これは
通商協定でもできればバーターをする必要もなくなると思いますが、現状ではバーターで行かないとお互いに
支払が困難であるということもありますし、そういうようなものも必要な
程度に認めて参りたいというふうに
考えております。
大体私
ちよつと割当
制度という
お話で頭に浮びましたのは以上のような点でございますが、なお御
質問に応じて答弁いたしたいと思います。