○
委員外議員(
小林政夫君) 前
国会の末期最終日頃に
提案を申上げたのでありますが、その際にも
提案の
理由並びに
本案を提出するに至つた経緯等について申述べさして頂いたのでありますが、その後
委員長或いは
委員各位も御交替にな
つておる
向きもございますので、
委員長の御要望の
通り先ず
本案を
提案するに至つた
理由から申述べさして頂きますと、最近保険類似行為がいろんな団体において行われておるようであります。中にはここに
提案いたしております
中小企業等協同組合法に基く
事業協同組合の共済施設
関係のものとしてや
つておられるのもあるし、又消費協同組合の
関係でや
つておるのもあるし、又農業協同組合等においてや
つておるのもある、或いはその他そういうような特別の法規に基かない任意の団体で以てや
つておるのもあるようであります。私前に大蔵
委員会に席をおきまして保全経済会の問題等についてかなり
関係当局に事前に危いぞということを注意してお
つたのでありますが、御承知のような事態に立至
つてその後においてああいう取締法規を完備したということにな
つております。十九
国会においては保全経済会問題等とも関連をいたしまして今にして類似保険についての監督法規を整備するなり、或いは全然もぐりであつたならばこれについて徹底的な取締をやらないと不特定多数の大衆が迷惑をするであろう、こういうことで政府を督励したのでありますが、遂に政府のほうからは案が出ませんでした。ところが農業団体再編成
関係の
法案の一環として農協
関係の行う共済
事業の
一つとして保険
事業をやり、火災保険をやる、この場合における
規定を整備するという意味において十九
国会の末にその一部
修正案が出たのであります。ところがそのことも我々の見るところでは完全に法規上完備した体制にはまだ少し足りない点があるのではないか。若しやるならばここに
提案しているような程度の監督法規は整備すべきである。そこで併しその本来の農業
関係の法規を
修正するということについても時間的に間に合わない点もございますし、まあ、やられるならばこういうふうにおやりになるのが適当じやないかというモデルをお示しする、甚だ僣越な言い方ですが、モデルをお示しするというような気持で急遽こういう案を出したのであります。行く行くは
提案者の気持としては今あるところの消費協同組合、或いは農業協同組合等による共済
事業として行われている火災保険
事業はこういうような形において
関係法規が整備されることを望むわけであり、願わくば協同組合による火災保険
事業というのは一本の法規で、このような体制で進められたならば望ましいというふうに考えているのでありますが、そこまで行くについては
関係方面のいろいろな事前の
了解等も必要であり、相当時間のかかる問題でもございますので、取りあえずこの
中小企業等協同組合法による協同組合の行う火災保険
事業について所要の
法案の整備をしようとするものであります。
で、まあ現在どういうふうな実情において共済
事業としての火災保険
事業が行われているかというようなことについては政府
当局において資料もお持合せでありましようから、そのほうからお聞きとり願いたいと思うのですが、相当中には割合堅実に行な
つているのもあるように思いますが、どうも今のうちに相当のしつかりした
基礎を与えておかないと迷惑をこうむる
向きが出て来るのじやないか、こういう憂えられる情勢もなきにしもあらずと私は考えているのであります。
そこで当
委員会に付託されておりますところの
中小企業等協同組合法の一部を
改正する
法律案及び
中小企業等協同組合法の一部を
改正する
法律の
施行に関する
法律案、これは組織法でありまして、別途大蔵
委員会にかか
つておりますところの協同組合による保険
事業に関する
法律案、これが監督法規といいますか、そういう建前にな
つております。この組織法と監督法規と二本建にいたしましたことにつきましては例もあるわけでありまして、例えば信用協同組合についてはこの組織法は
中小企業等協同組合法によ
つてやられており、一方監督法規は協同組合による金融
事業に関する
法律、こういうことでや
つておられます。又保険業というものも、まあ例えば銀行等は株式
会社、銀行自体は株式
会社による銀行であ
つてもその銀行業というものは銀行業法によ
つて監督法規を整備している。こういうふうに組織法と監督法規とは二本建にな
つているわけでありまして、そういうような例に則りましてこの火災保険
事業についても火災保険
事業を営む協同組合の組織をどうするかという問題、その組織に則
つて作られた火災保険を行う協同組合の
事業を監督する法規、こういうまあ大きく言えば二本建にしたわけであります。その組織法に相当するのが
中小企業等協同組合法の一部を
改正する
法律案でありまして、その一部を
改正する
法律の
施行に関する
法律案というのは、まあ今まで行われている既存の共済
事業、協同組合の共済
事業として行な
つているその協同組合がこの
法律ができることによ
つて火災保険協同組合に移行する組織替をする、その場合の移行の
経過規定というような、その移り変りを円滑に移り変らせる、こういう意味の
経過的な措置を
規定したことが主たる内容とな
つているのであります。まあ全体を御
了解願う上においては監督法規のほうであるところの協同組合による保険
事業に関する
法律案、大蔵
委員会にかか
つておりますところのその
法律案の内容も合せて御
説明をしなければ十分御納得できないと思いますが、一応本
委員会にかか
つておる
法案のほうから先に内容の
説明をさして頂きますと、まあ大体の要点は
提案理由の
説明において尽されておるわけでありまして、細かい点に少しなりますけれども、先ず組織法でありますが、今までの協同組合の種類のほかに
一つ火災保険協同組合というものを作り別建にする、火災保険をこの協同組合というものは別個に火災保険協同組合として
一つの別種類の組合とする、これが
一つであります。それから大体の火災保険協同組合というものの組織、内容というようなものについてはおおむねその信用協同組合の例に則
つております。組織のやり方については大体信用協同組合と同じような状態にな
つております。三百人以上の組合員がなければ設立することができない。それから出資は全額の払込でなくちやならん。それから
事業の全部を譲渡した場合には公告をしなければならん、これは信用協同組合と同じやり方であります。それから新らしく第七十条の中に四項を加えることにな
つておりますが、この
規定が一番問題な
規定であろうと思われます。今までのような共済に関する契約で共済金を出すというような場合には一件十万円を超えてはならない、こういうことにいたしたいと思うのであります。この金額の十万円が少な過ぎるのではないか、こういう御
意見もあろうと思いますが、大体別途火災保険
事業を営む協同組合というものもあり、
事業協同組合の共済
事業としてやる場合においては、まあ一人に支払うべき共済金の金額は十万円程度でいいのじやないか、こういうふうに私は考えておるのであります。その括弧書の中で(一定の金額又は一定の
基準により算出することができる金額を徴収しないもの及び政令で定めるものを除く。)、こうありますが、この前段のほうは普通の共済、今までの意味におけるこの
事業協同組合で予定されておる共済というようなものであり、まあそれは十万円を超えてはならないということですが、この「政令で定めるものを除く。」、これが問題で参ありまして、今
提案者として予想しておりますのは、全糧連があの全国的な規模においてや
つておるところの火災保険
事業、或いは全麦連というようなものがや
つておる、或いはしかと具体的にはそのや
つておる当事者側からは承わ
つておりませんけれども、染色加工
業界において輸出損害補償或いはその保険等の対象にならないもので、染色の不出来等によ
つて輸出クレームがついた、こういうような場合の損害を補償する、まあ共済的にや
つておるのがあるようであります。そういうようなものもこの実際の運営面から考えて必要なようにも思うし、又そうすることによ
つてその組合自体の
基礎を危くするというようなことでもないところで行けるということであれは、そういうことをやるものも指定してもいいんじやないか、これは相当幅広く、一方に枠をはめてがつちりや
つて行く半面に多少この枠にはみ出て来るものができて来るのではないか、而もそれは国民経済的に考えてやらしてもいい、又十分やり得るというようなものもあろうと思うのであります。今差当
つて具体的に予定されておる、私の頭にあるものは全糧連、全麦連
関係のものでありますけれども、追い追い
関係官庁等の目で見てこれは差支えない、これは例外的な措置をと
つてもいい、こういうようなものも出て来ようと思いますが、それは政令で定めることによ
つてこの枠から別扱いにする、こういうことをや
つて行く
余地を残そうというわけであります。
次は第二章の二というのを設けて火災保険協同組合というものがどういうことをやるのかということを書いたわけであります。この中で問題になることは、第二項の「火災に因り、組合員と生計を一にする親族、組合員たる
事業協同組合若しくは協同組合連合会を直接若しくは間接に構成する者又は組合員たる法人の役員の財産に生じた損害をてん補する
事業」、この組合員たる法人の役員の財産に生じた損害、この法人役員、組合員たる法人の役員の財産まで保険の対象にするということはどうか、こういう御疑問も出て来るんじやないかと思いますが、これは
中小企業者
関係においては法人であ
つてもやはりその役員の個人財産を金融機関等に担保に提供する、こういうような事例もありますので、先ずこの役員の財産は協同組合の組合員の財産と同じウエイトを以て取扱
つていい、まあ同じように扱うというのが実情に即するんじやないか。必ずしもそうでないものもありますけれども、そういう事例が多いので、それを入れることにしたのであります。それから火災保険協同組合の払込済み出資総額は三百万円以上でなくちやならん。これも信用協同組合と同じでありますが、これには別途
施行法のほうで
経過的な措置をと
つておりますが、一応原則として三百万円以上、まあこれだけの信用行為をやるわけでありまして、授信行為をやるわけでありますから、少くとも三百万円ぐらいの手金を持
つておる必要があるのではないか。まあ組合の
基礎を強固にする、こういう意味で三百万円ということを打出しておるのであります。この点は現在火災保険
事業をや
つている協同組合の出資金の実情等から考えると少し高いようでありますが、併し被保険者の安全というような意味から言
つて、又その保険
事業自体を安全に経営するという意味から言
つて三百万円くらいの出資金は最低必要であろう。まあ一方に保険金の額についてかなりの、まあ一件一人に対して払う保険金の最高限度、或いは最低限度というようなものとも睨み合せまして、この協同組合でや
つておる今までの
事業においては出資金は少いが、一人に払う共済金額というものは成るべく多くしようというようなことから、非常に不健全に陥
つていると思われるものもあるわけでありまして、この点が、出資金は成るべく低目にしたいが、保険金は多くもらえるようにという少し辻褄の合わない欲求が当事者からは出て来るわけでありますが、この辺が我々の線の引きどころというか、調整しなきやならん点であろうと考えておるのであります。それから監督官庁でありますが、大体火災保険というものは大蔵大臣、保険業というものは大蔵大臣が監督をしておるのでもありますし、まあ銀行等と同じように、一応大蔵大臣と、それから組合員の資格として定款に定められておる
事業の所管大臣、大蔵大臣とその所管大臣との共管と、こういうことにしたいと思うのであります。
それから次の
施行に関する
法律案のほうでありますが、今までや
つておる共済に関する契約を締結しておるものは、この
法律の
施行の日から六月以内に総会、総代会を設けておるものにあ
つては、総代会の議決を経て、火災保険協同組合となることができると、こういうことにしようと、こういうわけであります。登記
関係等についても
経過的な
規定を設けておるのであります。それから共済金の一人当りの支払最高限を十万円と、こう抑えた
関係から行きまして、まあこの
法律施行後六カ月以内に組合が締結する共済契約による掛金についてはその
規定を適用しない、こういうことにしたのであります。それから出資金の三百万円以上でなくてはならんと、こういうのも今直ちに三百万円という出資は集まりにくい
向きもあろうから、一年六カ月までは、一年半の間は百五十万円でよろしい。逆に言えば、火災保険協同組合に移り変るときには百五十万円の出資金はなくてはならんが、それから一年半の間に三百万円に増資をしてもらえばよろしい、こういうことになるのであります。
あとは所要の罰則とか、印紙税
関係の免税措置、それからまあ罰則等も信用協同組合
関係と、罰の量といいますか、重さ等も揃えて均衡のとれるように考えておるのであります。それからこの火災保険協同組合に勤める役職員というものがやはり信用協同組合等の役職員と同じように、簡単に言えば公務員並みに、その
仕事をやることによ
つて不正を起したりしてはならないと、こういうのが第十条の経済
関係罰則の整備に関する
法律の適用をしようとするわけであります。それから特に御注意を願いたいのが十二条でありまして、「損害保険料率算出団体に関する
法律の
改正」と見出しがありますが、この損害保険料率算出団体に関する
法律をこの火災保険協同組合にも適用をする、これを一部には誤解をされて、今までの火災保険
会社と同じように火災保険協同組合及びその団体に加入せしめることによ
つて保険料率その他の枠をはめるんではないかと、こういう邪推が一部にあるようでありますが、これは損害保険料率算出団体に関する
法律をお読み下されば、これは必ずしも団体は全国
一つということではない、複数が認められておるわけでありまして、
提案者の予期しておりますところは火災保険協同組合同士で団体を作
つて料率その他についての話合をする、こういうのが我々の予定しておりますことでありまして、決して一般の火災保険並みに火災保険協同組合を右へならえでさせよう、こういう意図は毫もないのであります。
あとの
関係はいろいろな
法律、火災保険協同組合を設けるについての条文整理のようなものでありまして、
中小企業安定法、或いは輸出入取引法等は現在と変らないということであります。以上雑駁な
説明でありますが、組織
関係についての
説明を一応終らして頂きまして、それでは一体どういう監督をするのか、こういうことでありますが、別途協同組合による保険
事業に関する
法律案で考えております。監督というのは先ず火災保険協同組合が
事業を行う場合には主務大臣の認可を必要とする、認可申請書には定款、
事業方法書、普通保険約款、責任準備金算出方法書等の書類を添付することを要するようにする、そのような
関係の書類は大体保険
会社の
事業認可申請の場合とおおむね同じでありまして、ただ保険料算出方法書だけは省略をさして、一般の保険
会社には保険料算出方法書なるものが要るのでありますけれども、保険料率だけを掲げる、こういうふうにしたいと思います。それから
事業認可の申請があつた場合に、主務大臣は提出書類の内容に法令違背や虚偽の記載がある場合、或いは
理事が不適格者である場合、組合が都道府県以上の区域を地域としておらない場合……、即ち都道府県全体を区域とする以上の地区を持つたものでないと危険分散が十分でない、こういう意味から少くとも都道府県全県全地区がその火災保険組合の地区になる、こういうことであ
つて欲しい、その組合の地区がそれ以下の地区である場合でない限りは、又危険の分散が十分でないと見込まれる、或いは契約締結の見込が少い、その他組合の
事業内容が健全な運営を確保することに不適当と認められる場合のほかは原則として
許可をしなければならんと、こういうのでありますが、裏を返せば、今のようなことでなければ
許可できない、認可できない、こういうことになります。それから保険金額の制限でありますが、保険金額の制限は、大体組合のネツトサー
プラスといいますか、出資金と、それから損失金、繰越損失等があればそれを引いたもの、これの十分の二に相当する金額が、十分の二、即ち五分の一でありますが、これが万一六十万円に達しない、こういう場合には六十万円まではよろしい、それが更に百五十万円を超えるという場合は百五十万円で抑える、最高が百五十万円、最低六十万円、こういうことにしたいと思うのであります。この点がかなり議論のあるところでありまして、保険
会社方面から言えば、百五十万円でも多過ぎる、せいぜい百万円ぐらいにしか認められないと、こういう、又組合のうんと保険
事業を活溌にやろうという側から言えば、百五十万円でも少いのだ、或いは三百万円にしてもらいたいというような意向もあるようでありますが、これは大体諸般の情勢を考えて、別に理論があるわけじやございませんが、大体百五十万円ぐらいのところが妥当ではないかと思うのであります。最低の六十万円ということについても、政府部内においても必ずしもこの点は
意見が一致しておらんように思います。そこでまあ三十万円と……、十分の一、三十万円というような有力な説があるようでありますが、これも別に特別な、理論的な根拠というものはないのでありますが、まあ大体六十万円くらいが妥当ではないか。五十万円という説もありますし、六十万円でも少な過ぎるというのもありますけれども、まあ組合の健実な運営という意味において、まあ私自身の率直な気持から言えば少し多い目ではないかと思うけれども、六十万円ということにいたしたのであります。
それから責任準備金の積立及び資金運用の制限でありますが、責任準備金の積立については、大体保険
会社と同じ計算によ
つて積立てさせる、積立をさせようと、こういうことであります。
それから資金運用については、この
法案にありますように、「国債、
地方債又は政令で定める有価証券の取得」とありますが、この「政令で定める有価証券」というのは、商工中金債等は適格な債券であろうと私自身は思
つております。こういうわけで、国債、
地方債及び確実な有価証券、まあ特に
中小企業等協同組合法による火災保険協同組合でありますから、商工中金債等は、若しそういう余裕金があれば積極的に持たしたらいいのではないかと、こう考えております。
それから組合の監督でありますが、組合に対する報告徴収、或いは検査の権限を主務大臣に与える。必要があるならば、組合に対して、定款或いは
事業方法書その他の
基礎書類に定めた事項の変更、或いは業務執行方法の変更等を命ずることができ、更に必要があると認めるときは、
理事若しくは監事の解任及び
事業の停止を命ずることもあり、或いは更に
事業の認可を取消すということもできるように組合の監督について、そこまで……、最後には伝家の宝刀が抜けるというようなところまで考える。この点は保険
会社等と同じでありまして
提案理由の
説明の中にかなり尽くされております。特に本日御
説明申上げたい点はそういうことでありますが、もう
一つ問題になるのは、再保険
関係をどうするか、又火災保険協同組合についての連合会等を設けさせないのはどういうわけかというような御議論もあろうかと思いますが、私といたしましては、今まで殆んど手放しに放任されておつた火災保険を行な
つておるこの協同組合、実質的に火災保険
事業をや
つておる協同組合というものを一度現状を正確に把握する、而もそれが第一歩だ。これでできた網にかけて見て、はつきりどういう答えが出るか、それによ
つてどういう火災保険協同組合が生れるかということをつかみまして、更に必要であればその連合会等も考えて、或いは進んでは今三、四の府県で行われておるような保険金支払の保証契約等についても又別途国との間の調整等を考えてもいいのではないか。併し何しろ現状がやはり正確には把握できないので、一応はつきりつかめる状態にして、それから施策を
推進さすべきものならば進める、こういう建前でおるのであります。
以上甚だ簡単でございますが、
提案理由の
説明に附加いたしまして内容の
説明をさせて頂きました。