○三輪貞治君 これは
工業技術院の全部の機構といつた
ようなわけの問題ではないんですが、今の小林さんの御質問とも
関連しますが、
先ほどの御
説明の
ように
産業工芸試験所で
インダストリアル・デザインの
研究をや
つておるという
お話がございました。非常に大切な問題であるということをつねづね感じておつた。併し
政府がそういう機関で
研究せられておるということを寡聞にして知らなかつたのでありまして、今日その話を伺
つて非常に心強く思つたのであります。今小林さんから万年筆の
一つの例がございましたが、これは万年筆の質そのものというよりもデザインというものが非常に何か立遅れておる。これは簡単に舶来偏重という
ように片付けられない非常に大きな問題があると思うのであります。その他プラント物の大きな
機械のデザインにいたしましても、或いは機関車その他船、こういつたものにいたしましても、何かそこに外国のものと比べて見劣りがするということを感ずるのは私一人ではないと思いまするし、これが又
貿易上の非常に不利を招いておるのではないか。これは実は私は誠に遺憾に思
つておつたのであります。先進諸外国におきましては全くデザインの
研究というものが非常に進歩しておる
ように思います。これは
インダストリアル・デザインと多少
関係が異なりまするが、或る国では或る喫茶店にデザインの技師を置いておる。色彩の技師を置いておる。どうも近頃お客が安い金を払
つてコーヒーを飲んで長い時間をねばる。少しデザインを、色彩を変えて見ると、だんだんお客が金を払
つて出て行く
ようになる。一人くらいの技師を置いたその金よりもその収穫が多い。或る工場ではそういう
機械のデザインを変えその配置を変えることによ
つて夏は涼しく、冬は暖かく労働者が働いて非常に能率が上る、こういつたことまで進歩をしておるのであります。ところが遺憾ながら
日本ではそういつた
ような
研究が実際私は欠けておつたのじやないかと思います。最近商業デザイン等については私はスイスから発行されておる世界のデザインを集めた雑誌をと
つて見ましたが、これには最近は
日本のものもぼつぼつ顔を出す
ようになりましたが、以前は全く
日本のものはそれに載
つておらない。又そういつた
ような
研究というものも割に閑却されておつたのではないか。ところが去年の夏でありましたが藤山さんが書かれた「口紅から機関車まで」という本でありましたが、レイモンド・ローウイーの
インダストリアル・デザイン
研究の本が出て、あれ以来大分そういつたものに対する関心が高まつた。我々は
日本の
貿易というものを考える場合に、その原料である鋼材の質を
改善するとか、いろいろな
技術的な問題も誠に大切でありますが、併し問題は買う人の見た目によく映ずるということが商業の非常に大きなフアクターになるのでありますから、デザインの問題は将来の
日本経済が
貿易に依存するというものが多いことを考えると、最もこれは重点的に考えるべき問題ではないか。併し恐らく
先ほど小林さんによ
つていろいろと質問をされて、十一の
研究所で約七億くらいの
試験研究しかなさらないのでありますから、その中の
一つの、そういつた
研究の一部門である商業デザインの
研究がどのくらいまでされておるかということはおよそこれは想像に難くないのであります。私はこの際最も
貿易振興を重点に考えられておる
愛知通産大臣においては、将来こういつた
ような面について、忘れられておるこの重要な面に
一つ十分に御留意頂きまして、
予算面においても大いに
一つ奮発してもらわなければならん。こういうふうに考えるのでありますが、その点についての御所見を
一つお伺いしたいと思います。なお院長からは具体的に一体どのくらいの人間がどのくらいの経費でこれを
研究されて、それがどういうふうてに実用化されており、なお
民間にはそういつた
ような
研究がされておるかについてあとでお願いを申上げます。