○国務大臣(
愛知揆一君) 先ず第一の御趣意のありました点につきましてはこの上とも、従来も随分気を付けておるつもりでございますが、折角の補助金、
助成金が本当に欲するところに流れるように、なお実地の
調査その他を進めることにいたしたいと存じます。
それから石油資源
開発五カ年
計画につきましては、
昭和二十九
年度においても一億三千万円という僅かな金ではございましたが、財政窮乏の折にもかかわらずこの補助金を計上いたしましたことは、石油問題に対する当局の意図の現われであるとも
考えておるような次第でありますから、三十
年度におきましてはできる限り本格的な
国内石油増産に着手できるようにいたしたいと思いまして十億以上の
予算を
要求しておるわけでございます。
それに関連して第三のお尋ねは、鮎川義介氏の問題でございますが、鮎川氏の人となりにつきましては、これは私の意見は差控えさして頂きたいと存じます。ただこれは申すまでもございませんが、この経過をこの際これも率直に御
参考までに申上げたいと存じますが、先ず第一は
只今帝国石油という会社を国策会社、特殊会社にしたらどうかという御意見でございますが、これについても私は謙虚に、やはりそういう意見が
政府としても考究に値すると思
つておりますが、直ちに私は通常国会に帝国石油会社特別会社法を出すというまでのことの
研究は私どもとしてまだ進んでおりませんが、十九国会のときに本件に関する
一つの一般的な
法律案を出しまして成立さして頂きましたことは御記憶に新たな
通りでございます。この種の事業に従事する会社に対しましては、例えば経理その他について厳重な監督規定を置いたわけでございます。それまでは
政府としても割切つたのであります。併しそれはともかくとして現在の帝石は特殊会社でございませんから人事権は
政府にございません。株のほうにおきましては大体十億円の資本金のうちの二割
程度が財閥解体、特殊会社解体の当時の指令によりまして
政府の持株を解放したいわば売れ残りが二割
程度現在残
つておる、こういう状態なんでありまして、私の
考えとしては、少くともこの株だけは持ち続けなければならんと思
つておりますが、現状におきましては、併しともかくも人事権はないのであります。そうして
政府よりも持株の多い人もおりますし、そのほか大株主は
相当おります。この
人たちの間で現在の社長が内紛を取り静め、且つ
政府の石油国策に対して協力ができるような体制にするためにいろいろ
考えたが、この人が適当であるということで株主としての推薦があつたわけでございます。
政府といたしましては、その当時話を受けた鮎川氏からの求めによりまして、私も会見いたしましたが、私は就任を勧めるというよりも、むしろ帝石に対して、
政府が石油資源
開発五ケ年
計画をどういうことを
考えておるか、どういう観点から帝国石油なるものに対して期待を持
つておるかということについての
政府の
方針を詳細に私としては
説明をいたしました。それで、あなたがやられるならばおやり下さい、又そういう意見と違うならばこれは
考え直して頂かなければならない。私の態度としてはさような態度でございます。で、その後
政府の見解は私のみならず大蔵大臣も求められたようでありますが、そういう
政府の
方針、
考え方は自分としては全く適当と
考えるので、自分は株主総会で選任せられた場合にはこれを引受けて、
政府の国策の線に沿うで御協力を申上げたい、こういう申出がございました。その後正式手続をとられて就任せられたことは、現状の
通りでございます。
従つて私は第四のお尋ねでございますが、帝石の内紛が解決したかというお尋ねに対しましては、私は解決したと申上げることができると思います。で、更に詳細は省きますが、この人事に関連いたしまして、従来の重役陣は殆んど全部一掃せられまして新らしい陣容が確立いたしました。この点を内紛が解決したと思いまするので、私といたしましては補助金を交付し、且つ所定の線に沿
つて大いにこの会社が発展してくれることを期待いたしておるわけでございます。