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1954-02-12 第19回国会 参議院 通商産業委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年二月十二日(金曜日)    午後一時三十六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     中川 以良君    理事            加藤 正人君            藤田  進君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            大谷 贇雄君            高橋  衛君            西川彌平治君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            海野 三朗君            白川 一雄君   国務大臣    通商産業大臣  愛知 揆一君   政府委員    通商産業大臣官    房長      岩武 照彦君    通商産業省通商    局次長     松尾泰一郎君    通商産業省重工    業局長     徳永 久次君    通商産業省鉱山    局長      川上 為治君    通商産業省石炭    局長      佐久  洋君    通商産業省公益    事業局長    中島 征帆君    中小企業庁長官 岡田 秀男君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する一般調査  の件  (通商産業政策基本方針に関する  件)  (電気料金に関する件)   —————————————
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは只今より通商産業委員会を開会いたします。  本日は通商産業大臣に対しまする質疑を行います。質疑につきましては通告を受けておりますので御通告の順に従つて発言をお願いすることにいたします。西田君。
  3. 西田隆男

    西田隆男君 通産大臣にお尋ねしますが、この前政務次官がお見えになつたときにお尋ねして誠に要領を得ない答弁があつた問題から入りたいと思います。その問題は今電力料金値上げが申請されております。電力料金値上げというものがあなたのお考えになつておる物価指数の中に織込まれて出してあるのか、或いはそうでないのか。これを先ず第一にお伺いしたい。
  4. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私どもの従来御説明申上げておりまする点及び物価について差出しております資料には現在の条件の下においての想定でございますから値上げは織込んでございません。
  5. 西田隆男

    西田隆男君 それでは電気料金値上げされた場合今想定されておる、あなたの言つておられる数字がどんなふうに変るものと見込んでおられますか。
  6. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 各物資別につきまして全部の見通しを実は作つておりませんのでありますが、大体生産財等につきまして大きく分けて電解電炉というようなものを中心にいたしておりますものの大体のコストは三割前後、それに対しまして、その三割のコストに対して平均値上げ一割四分四厘の値上げということが一つと、それからその他の産業について、これはまあ産業別に非常に違いがございますが、それ以外のものにつきましては大体三%乃至四%のコストであつて、それに対する一・四四の値上げと、こういうふうに考えております。  それから消費生活の面におきましては、大体生計水準の中で、生計費中の電気料金は大体平均いたしまして一・四七%を占める、電気料金が……。それに対してやはり一・四四の値上げというふうに考えました場合に、全体として前回に御説明し、或いは提出いたしましておりまする推計は、ものによりましてはかなり大ざつぱなものもございますが、それに対する比重が電解電炉工業を除きますれば非常に大きく狂いがあるようにも思われないのでありますが、併しこれは先ほどお答えいたしましたように各製品に分けてその原価計算についての勘定まではまだいたしておりません。
  7. 西田隆男

    西田隆男君 まあ抽象的な一、二の例を引かれての問題はわかりましたが、私はあなたが通産行政の大綱を、基本方針説明された文章の中に輸出第一主義と、そうすると少くとも通産省のほうで輸出品電力値上げがどういう影響を及ぼすかということくらいは御検討が進んでおると思うのですが、主要な輸出品生産原価にどういう影響が及ぶのか、それをわかつてつたら御説明願いたい。
  8. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 私今ここに手許に持つておりませんものでございますので、只今取寄せますから後刻御説明申上げます。
  9. 藤田進

    藤田進君 大臣誤謬を犯しているとは思わないのですが、御発言では非常にシンプルに考えられているので、一点御指摘して御見解を求めたいのですが、電気料金値上りによる物価への影響について西田委員の質問に対して、それぞれの産業なり生活について電力の占める割合一・何%或いは三割と、それに対して一・四四上ると、これも一・四四は上ると言うが、これは間違つてつて、それプラスの他物価が上つて来ますから、そういう複数の形で影響というものはあるのであつて、今の答弁のようにそう単純なものではないと思うのですね。
  10. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) それは御指摘通りでございます。例えば先ほど申しましたのでも、生計費に対して一・四七と申上げましたのは単純な電気料金に限るものであつて、ほかのところから総合して来て、その生計費の中でどのくらいになるかということは又別だと思います。
  11. 西田隆男

    西田隆男君 次にお尋ねしたいことは、貿易第一主義をとつている建前上、必然的に貿易する品物生産原価引下げられない限り、あなたはこれに予見されておるように輸出十三億数千万ドルという輸出は望みがたいと思うのです。それにまあ今の電気料金値上げがどう影響するかという問題は、後日資料が来てから質問したいと思うのですが、今度の政府予算を見てみましても、政府事業若しくはそれに類似されるようなものの料金は個別的に大体引上げられておる。そういう状態の下において輸出する品物生産原価を下げろとか、或いは消費物価を五、六%くらいは引下げなければならんというようなお考え方のように受取れる。これはただ数字的に辻褄を合せただけではなかなかその目的達成は困難だと思うのです。従つて最も重要な問題は、国民全体がこれをどう受入れるかという心がまえの問題であると思う。新聞雑誌その他の論調を見てみましてもデフレになるであろうという議論が半分、いや大したことはないという議論が半分、こういうふうに議論が分れておる点から考えましても、あなたが想定されておるような輸出増進国内消費物価値下りということは非常に困難ではないか。というのはあなたの考えでは今年度の通産行政を実施して行く上において統制はできるだけしたくないという基本的な観念の下に組立をしておられるように受取れる。それはなぜかと言えば、この説明書の中で最も強く予見されておるところでも、行政指導という言葉使つている。果していわゆる行政指導程度であなたの考えられているような輸出物生産原価引下げ、或いは国内消費抑制ができて、国内消費物資値下りが見込まれるかどうかということに対しては、私は非常な懸念を持つているわけです。通産大臣は自分の考えておる通り間違いなく実行できるのだという確信をお持ちになつておるかどうか、その点を一つ答弁願いたい。
  12. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは因となり果となることだと思うのでありますが、全体の考え方が前に御説明いたしましたようなふうに動いて参りまして、且つ例えば前提としての世界情勢に変化のないことであるとか、或いは補正予算は絶対に組まないとかいうような前提の下において、こういう考え方国民協力を得て円滑に行きまする場合に、こういうような物価見通しになる、又逆にこういうふうな物価見通しになるようにするためにはこういうふうな政策で行かなければならない。これは相関関係にあるものと考えておるのでございます。
  13. 西田隆男

    西田隆男君 今私がお尋ねしましたのは主としてこれは国内的な要素だけを申上げた。ところが貿易なんてものは相対的なものであつて日本国内経済の運営だけの面から考えてはならん問題だと思う。大臣もいろいろなお話の中に、国際競争は激甚を極めるであろうというようなお話もあつておる点等から考えまして、仮に日本国内物資があなたのお考えになつている通りにできたとしても、世界各国物資がそれより以上の値下りをした場合においては、あなたの考え方は根底から覆えされてしまう。こう私は考えるのですが、そこで通産大臣にお聞きしたいのは、世界経済情勢が二十九年度においてどういうふうになるというお見通しの下にこの考え方をまとめておられるか。これを一つお伺いしたい。
  14. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 世界経済の見方につきましては、特にアメリカ情勢一つ大きな要素だろうと思います。これにつきましては詳しく申上げることは差控えますが、新年早々の大統領教書、或いは予算案というようなものから見ましても、一部に例えばコーリン・クラーク教授のごときが非常な強硬説を唱えておりますが、政府側としてはそこまで深刻に動くものとは考えていない。又いわゆるアジヤストメントという程度政策をやれば消費減退等もそう起きない。又そういうようにしたいというようなアイゼンハワーの政府考え方であり、政策なのでございますから、非常に大きくアメリカ経済が変革するものとは考えておりません。併しながら例えば輸出計画にいたしましても、或いは特需見通しにいたしましても、消極的な要因を多少その中に織込み、ドル向輸出のごときも、僅かの程度これを三十八年度実績よりは下廻つて見ておる。それから特需につきましても総体から言えば実績が大体八億一千万ドルぐらいと思われますが、五千万ドルはそれより下廻るであろうというような見通しをつけておるわけでございます。それからイギリスの関係につきましては、これもいろいろ御意見のあるところと思いますが、今回の日英会談の成果によりまして、とにかく向う日本輸出品輸入してくれる努力を改めてやつてくれることになつたわけでございますので、その点は従来輸出を阻害しておりました外的原因相当部分が除去されるという点において非常に意味があると思いますので、この外的原因阻害原因を除去できたこの基礎というものが、現実輸出が伸びるという実績によつて現わすように、改めて努力をしなければならない。大体こういうふうに考えております。
  15. 西田隆男

    西田隆男君 今のお話の中で日英貿易協定の話が出たようですが、あれは一応今までと比較して非常に大幅な増額が決定されておる。併しそれは必ずしも日本からそれだけのものを買うという約束ではない。輸入する場合はあの額だけ或いは輸入することがあるにしても、輸出は必ずしもあれだけの金額をするということではない。輸出ができました場合は生産原価が下つた、安い、良質なものを向うに持つて行けば向うは買うかも知れないが、これも国内通産行政の如何にかかつておると思う。一応の御説明としてはそういうふうに承わつておきますが、対外貿易の問題も輸出第一主義達成して、十三億数千万ドルの輸出を行うということは生やさしいことではない。それを個々具体的な問題について通産大臣がどういうふうにお考えになつておるか知りませんけれども輸出される主要物資生産原価引下げるということが第一の問題と思うのです。そこで通産大臣に聞きたいのは、あなたの説明書によつたり、経審長官の演説の中には生産財その他は一〇%、消費財四%と、こう書いてあつたようですが、一〇%の生産コストを、コスト引下げるということによつて、果して二十八年度に行なつて来たような考え方の下における貿易が十三億数千万ドルもされるかどうか、私は非常に心配するのですが、わかればポンド地域個々輸出物資品目別にこれは大体どのくらい生産原価を下げる予定で、こういう状態だから達成可能だ、こういう具体的な御説明ができますならば伺いたい。
  16. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 各物資別の私ども見通しも実は作つているのでありますが、これは一つできるだけ最近の機会におきまして詳細に亙つて説明することにいたしたいと思います。と申しますのは例えば今御指摘もございました日英会談のごときも、やはりこちらから現実に交渉に当つた人たちも近日帰つて参りますので、それらの報告をも合せ、そして我々の計画の具体的な実現性ということと照応して、その上で申上げたほうが適当ではなかろうかと思います。
  17. 西田隆男

    西田隆男君 只今通産大臣お話、早く聞きたいのですが、そういうことであれば止むを得んと思いますが、その際は一つ資料として具体的に数字を出して預いて、その上で一つ説明を願うように委員長にお願いしておきます。
  18. 中川以良

    委員長中川以良君) 畏りました。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 その次にお聞きしたいのは、この中で燃料資源対策について通産大臣は非常に強く表現をされているように私には受取れるのですが、そこで総合燃料資源対策についてお伺いしたいのですが、その中で特にお伺いいたしたいのは、石炭重油との調整をどう図られるお考えであるか。この問題についても鉱山局長にこの前質問しましたけれども通産省省議ができてないというので答弁を得られませんでした。若し通産省で未だに省議が決定していないならば通産省の決定の問題をお聞きしなくてもよろしいから、通産大臣個人としての御意見があればそれを伺いたい。
  20. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほどお尋ね生産原価中の電力料金の占める割合でございますが、これはこれで御満足頂けるかどうかわかりませんがございますからこれはプリントいたしまして取りあえずお配りすることにいたしたいと思います。  それから燃料対策の問題でございますが、これはもうよく御承知のような事情でございますので、大体鉱山局長からもお答えしたかと思いますが、重復するかも知れませんが、私の考え方の概略を御説明いたしたいと存じます。それは私は先ず第一に日本の現在の石炭鉱業界の現状、それからその日本経済内に占める地位の重大性ということをはつきり改めてこれは認識し、且つ取上げて行かなければならないと考えます。それには石炭需給度を測定して、需給の安定ということを考えて参りたいと思つております。これを具体的に申しますと、これは私見でもいいというお話でございましたから、私の私見ということでお聞きとり願いたいと思いますが、数量的には私は四千八百万トンからでき得れば五千万トンというところで需給度を安定したい。それでそのことは燃料需要者の側におきましても、それだけのものを買つて頂けるという協力態勢がなければいけないし、これが前提になることは勿論のことであります。それから石炭業界のほうとしては労使に亙る問題がいろいろございますが、需要者側協力を得るについてはやはり引続き生産コスト低下ということについての御努力をお願いいたしたいという考え方でございます。それから他方におきまして重油の問題については御承知のように二十七年度、八年度と異常な原油輸入が殖えておりまして、この傾向がずつと将来にまで延びますると原油のために非常な外貨を使うことになります。勿論生産原価のほうから見れば、その点だけから見れば重油を使つたほうが物価引下げにも役立ちましようし、合理化もできましようけれども、これは国内資源の誠に乏しいものでもありますし、石炭のほうの引続きコスト低下の御努力を願うと同時に、石炭使つてもやつて行けるという面につきましてはできるだけ石炭一つ使つて頂いて、でき得れば年間五千万トンの消費をやつて頂きたい、一方重油それ自体といたしましては重油でなければ動かないものが一つあります。これは申上げるまでもございません。それからその次に最近の過去の傾向から申しまして、合理化その他の点から重油に転換して、そのためには非常な犠牲を払わされるというか、相当の資金なり或いは設備なりの投入が行われておるというようなもの等につきましては、これは所要の原油を確保して輸入をしなければならないと思いまするが、その他の面につきましては先ほど申しましたようにできるだけ原価が下るであろう石炭消費ということに需要者側協力を求めたい。それで要するに石炭と油の輸入とそれから燃料需要者とこの三者のそれぞれの立場においてできる限りの御協力といいますか、或る場合においては或る程度犠牲であると思いますが、それぞれにおいて協力態勢を作つて頂くと同時に、政府側としてもその間においてできるだけの斡旋をいたしたいということを基本的な考え方にいたしております。併しこれには具体的な数字の問題もありまして、それから具体的な外貨予算の編成の問題もございまして、それから一方石油問題等についてはイランの石油というようなその他に考えなければならない要素もございます。これらにつきましてそれぞれ数字をもとにして或いはそれぞれ各業界に訴え、或いは懇談をし、協議を遂げるというようなことで、ここできるだけ早く、できるならば一週間か十日のうちにそういつたような具体策を打出して参りたい。通産省の省内としての思想統一はでき上つたのでありますが、問題は数字方法論になつて来るということで、その方法論等につきまして今鋭意研究を進めておるわけでございます。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 抽象的なあなたの考え方は今の御説明で大体わかつたのですが、要は具体的な方法をできるだけ早く決定せねばならんという、まあ十日か一週間はかかるというお話ですから具体的な問題についてはそう追及はしたくないと思うのですが、基本的な考え方としてあなたの御説明のあつた中で私が非常に力弱く感ずる点があるのです。その点はあなたは言葉表現の上においては総花的な言葉使つておられたようですけれども、昔からうちにあるものは買いなさんなという言葉があります。日本石炭が使う以上に出ておる、石炭値段が高いからほかのものを使うのだという、これは一応経済的な立場から考えれば、これは受取れます。受取れますが、それは企業個々立場だけを考え考え方であつて国全体を考え考え方にしては少しそれは粗雑過ぎると私は思うのですね。昨日も電力企業者重油をなぜ使うかということを私聞いて見た。ところが答弁をとつて見ますというと、便利だから使うのだというのが大部分考え方のようでございます。便利だから使うというような極めて簡単な考え方重油をどんどんどんどん輸入をする。そうしてその重油輸入のために日本石炭が圧迫を受けるということでは、通産行政を担当する者としてはまずい方法じやないか。どうでもあなたが言うように、デイーゼル・エンジンを動かしておる、或いはどうしても重油でなければ物ができないんだというようなものは、これは幾ら外貨が要つてもどしどし輸入して行かなければならん。併しながら日本生産されて余つておる石炭で間に合う産業企業が、便利だからということで外貨使つて重油輸入するというようなことを通産行政の面で認めるというか、悪い言葉で言つたら放任する、そういう立場をおとりになると、なかなかあなたの基本方針の御説明でおつしやつておるようなことは実行が不可能になる。これも鉱山局長に聞くと、行政指導で何とかやりたいと言う。行政指導でも強力にやれば統制と殆んど変りないような効力を発生するだろうと期待しておる。期待しておりますが、これはあなただけの責任じやないと思うのです。自由党吉田内閣考え方は、自由経済というものは統制的なことは一切やつちやいかんというふうにお考えになつているように私には受取れるのですね。自由経済というものはそういういわゆる手放しの経済じやないはずです。経済を運行して行く上において、どうしてもやらねばならんことがあれば、そのうちの一つ二つ統制をやるということは、これは決して自由経済の破壊でもない。自由経済でないという理由にはならない。だから今までのインフレ予算と言つたら悪いかも知れんが、そういう予算からデフレ予算移つた緊縮予算移つたというこの段階において、統制しなければ効果が挙らないと思われるようなものがあつた場合には、勇敢に、早急に私は統制すべきじやないか、こういう考え方を大体基本的に持つておるのです。そこで重油石炭の問題でも、一週間か十日うちに具体的な方法を決定されるというお話なんですが、私はこれは希望として申上げておきますが、必ずしも今重油使つておる企業電力会社と同じだとは申しません。併し電力会社考えておる考え方と近い考え方において重油使つておる企業相当にあるだろうと私は思うのです。そういうものに対しては石炭に転換することを要請されて、企業自体が多少は困るかも知れないが、日本経済全体から見れば企業自体が多少不便を感ずるというよりももつと大きい効果が挙ると思う。従つて石炭重油との調整考えられる場合においてそういう方法を勇敢にとつて頂きたい。それが若し通産省で言われておる行政指導の面だけではどうも目的達成が困難だという場合には、当然重油配給統制を私はやるべきだと思う。通産省行政指導をやつて勧告をして見ても、なお通産省意見通りにやらなかつた場合においては、いわゆる重油を買うことを、輸入することを制限するというような緩慢な方法では、これはとてもこの目標の達成はできない。従つて重ねて申上げますが、通産省方針を決定される場合は、個々業界に多少の迷惑をかけても、国自体のために利益になるという方法であれば、強力な手を是非打つて頂きたい。これを通産大臣一つ希望いたしておきます。  次にお伺いいたしたいことは、今日本では……今ではありませんが、前々からのことですが、石炭が非常に高いという非難を受けております。我々も石炭が安いとは決して考えておりません。が併し日本石炭生産原価というものは、外国の石炭生産原価とはどうしても同一には考えられない。劣悪な条件が重なつておる。これは大臣も御承知だろうと思います。それで通産省から出されたいろいろな資料を見ましても約一割かたは下つておる。この説明書によつても一部分石炭は一割がた下つておる、三割がた三十年度には下げる計画を持つておる。こう説明がしてあります。三割下げられることになれば、下げることは結構だと思う。併し現在の日本全体の石炭単価はこれも昨日電力会社との間に問答をいたしましたが、私自身石炭を掘つてつておる。だから石炭カロリー当りの価格はよく知つております。で電力会社から出ておつた資料……通産省から出ておるようですが……資料を見ますと、どうしても五百円から七百円の差がある。というのは、高く皆見られておる。現実石炭というものはもう二割以上下つておる。だからこれから先石炭単価を下げようというのにはよほどしつかりした方針が確立されない限り石炭値段は下らない。なぜか。通産大臣も言われたように労銀は二十九年度においては三%上ることを予定しております。従つて石炭鉱業労銀も、これは上らなくても下らないことは間違いない。そうすると生産原価の中のコストから言うと、今の労銀は五〇%から五四—五五%を占めておる。そういう状態にある。そうするとこれは通産大臣も言われましたが、昨年度、二十八年度の物価の上昇したうちには、木材の値上りが非常なウエイトを占めておるということを言つておられる。その通り。炭鉱で使います坑木は二十七年度に比べますと二十八年度は約九割の暴騰です。これも上つておる。二十八年度においては鉄道運賃も上つておる。電力料金上つた。又電力料金が上ろうとしておる。製鉄、鉄材の資材も決して値下りはしていない。公課、いわゆる保険料、その他も又上ろうとしておるというふうに、石炭生産の四五%程度しか占めていない他の経費の中で値上りするものだけを拾つてつたら、石炭生産原価を下げるという方法はたつた一つしかない。その一つ方法は、生産を増強して、そうして出炭を殖やすことによつてコストを低減するという方法がたつた一つ残されておる方法である。ところがその方法を実行しようとすれば貯炭が殖えるばかりで、市場に石炭が売れないという現象にぶつかる。その有力な理由は、いわゆる重油輸入されておる、石炭重油にどんどん転換されておるという現象が一番大きな理由です。こういうふうな実情を考えて見ますと、通産大臣が言われるように、これ以上一割、二割の炭価の引下げは、事業者はできるだけ努力はいたしましようが、何らか国家的に行政措置で生産原価が下げられるようなことでも考えてもらわないと、あなたの期待されておるような生産原価低下は到底不可能である。私は実際自分で企業をやつておる立場からそれを強く感じておる。  そこで通産大臣に伺いたいのは、この中には主要坑道の損金算入という一項目が作つてあるようです。これは是非そうして頂きたいと思いますが、それ以外に行政的に何らかの措置をとろうとする考え方があるのか。あればその具体的な内容を一つ説明願いたいことと、今私が御説明申上げましたようなことは通産省としては石炭生産原価調で始終資料として十分おとりになつておると思いますが、そこで厳密に数字的に弾き出して、そうしてそのほかの方法で、どのくらい石炭生産原価が下げ得るという考えを持つておられるのか。又今石炭は先ほど四千八百万トンから五千万トンは是非使うようにしたい、それが日本石炭生産のマキシマムであると一応お話になりました。それで二十九年度で四千八百万トンの実際のいわゆる出炭を考えられておるか、或いは現在の貯炭と出炭の状況から考えて、国内消費が……四千八百万トンを出した場合は貯炭がどうなるというお考えを持つておられるか。そういう三種の点について一応御説明願いたい。
  22. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 石炭の問題については先ほども冒頭にお答え申上げたときに、燃料対策の根本は石炭である、殊にその需給度をむしろ安定することのほうが先決問題だと思うということを申上げましたところで私の気持も御了承願えると思うのでありますが、只今いろいろと御指摘がありました点については、石炭については私も同感でございます。それから四千八百万トンと申しますのは、大体私は需要のほうからいつてこれで安定をしたい。併しこれは先ほどもお断りいたしましたように、これは大体五千万トン程度のところへ持つて行きたいということで、何とか一つ原価値下りということを、その線でできるだけの智慧を出して見たい、御協力も願いたいと考えておるのであります。  それから政府としての行政的に何かやつてもらわなければならんというお話、これも私は御尤もだと思うのでありまして、例えば税制の上におきましてもなかなか租税の体系を一つの業種のためにだけ改変するということは、そのほうからいつてもなかなか議論が多いのでありまして、只今実は租税特別措置法の改正案に関連いたしまして、せめて徴税上の手心と申しますか、手心と言えば或いは言い過ぎかも知れませんが、いわゆる石炭についての追加投資というようなものを、本来ならば私は個人の意見としては税法上にはつきりこれを規定したいのでありますが、一挙にそこまで行かない場合におきましても、それに対して行政上でき得る限りのことは少くともさせて頂きたいということも実は考えておるような次第でございます。  それから先ほど答えはお求めにならなかつたと思うのでありますが、いわゆる経済運行の原則として統制的措置のことにお触れになりましたが、私も吉田総理が言われておることは、統制経済という言葉のまあ解釈といいますか、その用い方如何にもよると思うのでありますが、ソ連流のノルマを設定するというようないわゆる計画経済ということを否定しておるのでありまして、生きものである経済をうまくやつて参ります場合には、いろいろの手を用いなければならない。現に外貨の問題にしてもいわゆる統制という言葉が悪いかも知れませんが、一種の割当コントロールをやつておるわけであります。それから金融上の政策についても或る種のコントロールの措置というものは当然予想されることだと考えておるわけでございまして、それらと睨み合せて私の現在の考え方は、もう直接の国内における供給の規制というような、切符制というようなことはできるだけこれは避けたい。如何にいろいろの案を考えて見ましてもお互い戦時中、或いはそれ以前の日本におけるそうした制度というものは、もう国民の経験からいつても実ににがい経験だつたと思うのでありまして、この点についてはできるだけそういう措置を考えたい。併しながらとにかくそれに代るうまい方法がないものかと思いまして、現在それらの具体的な方法について一生懸命研究をしておるような次第でございます。
  23. 西田隆男

    西田隆男君 統制経済計画経済統制とは、これはまあ似たようなもので、似てないものである。計画経済がいやだから、だから統制一つもやらないんだということは言訳にも弁解にもならんと思います。もう一つ、戦時中に統制経済にはこりごりしていると言われますが、成るほど悪い面は我々もたくさん知つております。併しそれを生産から配給まで全部の部門に持つてつて統制を行おうとしたところに弊害があつた。私の申上げている統制をしても仕方ないのじやないかという問題、これは例を引けば重油の問題、これは外国から輸入して来て配給を統制する、これは何にもネツクになる問題やらあろうはずはないのです。必要なものだけに十分に渡すという行き方、必要でないものには渡さないというのですから、これはもうあなたがお考えになつているようなむずかしい問題は私は起きて来ないと思う。ただあなたがたのお考えの中に、一つ企業が非常な迷惑をこうむるであろうということが心配されている一つの有力な理由だと思うのです。それは私の申上げたように、その企業に或る程度の迷惑はかかるかも知れませんけれども、国家経済全体を考えた場合にはそうしなければならないのだという場合だけを私は取上げているのですから、その問題はそういうふうに一つ御解釈を願いたいと思います。  それからこの通産省予算の中にも明記してあるのですが、石油の五カ年計画、これは私現在の帝国石油日本でのただ一つ石油掘採の会社である。それから配当を、昨年度ですか、今年度ですか、二割の配当をした。それから助成金が三千五百万円から一億三千万円に殖えた点を川上鉱山局長に質問した際に、実は五カ年計画というものを政府考えて、その初年度分としてこういうことになつたという御説明があつたし、通産大臣はこれを読んで見ても非常に強く外貨の節約という問題にからんで、国内の採油を百万キロリツターまでに五カ年間に持つて行く、こういうように答弁されているのですが、通産大臣は果して五カ年計画というものを、私は資料をもらつて読んで見たが非常に結構だと思うのですが、一億三千万円程度の助成金しか本年度は計上されておらんけれども、次からこの五カ年計画に基いて十億、或いはそれ以上の助成金を出して、強力にこの五カ年計画の実施をしなくちやならないという固い決意があるかどうか、この点を一つお伺いしたい。
  24. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 石油国内開発の問題については只今指摘通りでございまして、我々としては非常にこれに重点を置いているつもりでございます。併しそれと同時に一億三千万円というものは通産省の当初考えました原案から見れば非常に微々たるものでありますが、併しそれにしても当初大蔵省が査定したものから見ればよほど復活しているのでありますが、ともかくこれではなかなか十分でないどころか、非常に足りないのでありますが、併し何といつてもこれは大事な仕事でありますから、機会あるごとに政府からの助成措置ということについては、輿論の応援も求めて、これは是非何とか遂行して参りたいと考えております。で一億三千万円は僅かではあるが、これはとにかく国内資源の開発ということの芽がここに出たということで、私どもとしてはその芽を早い機会に大きな木にしたいという決意を持つているわけでございます。
  25. 西田隆男

    西田隆男君 大分通産大臣は固い決意をされているようですから、石油の助成金の問題についていろいろありますから、少しお尋ねしたいと思います。  言うまでもなく最近の新聞を御覧のかたはわかつていると思うのですが、いろいろこの政府から出す助成金とか、或いは補助金という問題をめぐつてスキヤンダルが非常に多く起つている。これはまあ愛知さんも御存じだろうと思います。それはなぜか。それはいろいろな面から検討をして行くことがいいと思うのですが、私が国会議員として最も痛切に感じますることは、補助金とか、助成金というようなものを審議する過程に当つて、我々が国会議員として十分相手方の内情を知らないでそれを議決してしまつたということに原因をしている、私はこう考えている。従つて金額の多寡如何にかかわらず、補助、助成を国民の税金から行わんとする場合においては、その対象になるものに対して十分の認識を国会議員として持たなければならん。それを痛切に私最近感じております。ここで通産大臣が非常な熱意を持つて日本でただ一つの帝国石油株式会社に対して、五カ年計画書によれば六十億になんなんとする助成金を五カ年間続けようと、こう言われるのですから、私たちは当委員会において通産大臣を通じて一つ相手方の、助成をする帝国石油株式会社というものの本質と実態と現在の企業運営の状況をよく知る必要がある。そうして我々はこれを批判しなければならない。こう考えますので、これから一、二の問題について一つ答弁を願いたいと思います。  あなたはお変りになつたばかりで詳しいことは御存じないかも知れませんけれども、これは前通産大臣の岡野さんから引継ぎを受けておられるだろうと思うのです。先ず第一にお聞きしたいことは、その帝国石油というものは今の経営陣ができます前の経営者、酒井喜四君が社長をしておりましたあの時分は、四割の配当をしたことがありますが、それがどういう問題で総退陣をしたかわかりません。酒井喜四君以下が総退陣をして現在の経営陣に代りましたいきさつについて、一つこの委員会で明らかにして頂きたい。
  26. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 前回の経営陣が代りましたその経緯につきましては、私として実は的確に御説明するだけの用意がございません。併しながら現在の陣容になりましてから、又更に御承知のようにいろいろの問題もありますことは、私の責任上も十分事情を掌握して対策を考えているわけでございます。
  27. 西田隆男

    西田隆男君 川上鉱山局長は御承知と思いますが、一つ説明して下さい。
  28. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 前の経営者陣が代りましたことは、一昨年からいろいろ問題が起りまして、たしか一昨年の十一月頃と思いますが、その時分に代つたのであります。これにつきましては、組合との関係とかいろいろな問題につきまして、経営者のほうと組合との間にいろいろな問題があつたということが一つ。それから前経営者の内部に何かスキヤンダルがあつたのじやないかというような問題があつたというようなことで、その際前経営者の全部が責任を負つてやめたわけであります。なお詳細につきましては私のほうでもなかなかわからない点もありますが、大体今申しましたように、大ざつぱに申上げますと、そういうようなことで全部が退陣したということになります。
  29. 西田隆男

    西田隆男君 なかなか詳細な御説明がしにくいと見えて、ちよつとしか御説明にならんようでありますが、そんな簡単なことじやないと思うのですがね。政府が四百六十万株を持つているというので、これは勿論大蔵大臣の名前において持つている。併し株主権は政府が持つている以上、株主権の行使は当然政府の代表か、或いは通産省を通じて株主権の行使があつていなければならん、株主権の行使があつていれば、その間の事情というものは、当然普通の株主であつても株主にはわからなければならん。而もその上通産省は、この帝国石油に対して、法律上監督権を持つている。監督権も持つているし、株主でもあるというような立場におられるのに、わからないということはないわけです。詳細に御報告して頂きたい。
  30. 川上為治

    政府委員(川上為治君) その当時のいろいろな経緯につきましては、今申上げましたように、いろいろと個人的な問題につきまして問題があるように我々も聞いておりますし、又検察関係の問題にも一時なりましたことも聞いているわけでありますが、そういうような問題を生じましたので、当時としましては全経営陣が責任をとりましてやめた、こういうことに相成つております。
  31. 西田隆男

    西田隆男君 私は結果を聞いているのではなくて、経過を承わりたい。結果はそうなつていることはもう事実なんだから、それはもう承わらんでもわかる。その経過においてどういうことがあつたのか。
  32. 川上為治

    政府委員(川上為治君) 経過につきまして、私、ここで極めて詳細なことを説明する資料も持つておりませんが、当時としましては、先ほども申上げましたように、例えばこれは私のほうとしましても、本当にあつたのかどうか、その点につきましてはよくわからない点もありますけれども、例えば或る一部の重役のかたに資材の横流しがあつたというような問題が論議されましたり、或いは又組合との関係におきまして、こういう問題を問題としていろいろ紛争が起きたというような問題がありまして、そういう問題から前経営者の全部が一応責任をとりまして辞任をしたということに相成つております。
  33. 西田隆男

    西田隆男君 まあそれ以上のことは追求はいたしますまい。が、併しこれは通産大臣も川上局長も聞いておいて頂きたい。当時の帝石の紛争を解決するためには、政務次官であつた本間俊一君が介在をして、そうして念書をとつてこの問題の解決をしたというふうに私は聞いている。いやしくも通産省の政務次官が仲介斡旋をし、念書をまでとつているという事実がある以上、通産省の中では詳細にわかつていなければならんはずだと思うのです。が併し非常に言いにくそうですから、その問題について私はこれ以上言いません。
  34. 海野三朗

    ○海野三朗君 今の帝石の問題に関連して……帝石はその代つた以後はどういう人が代つているかといいますと、いわゆる聞くところによれば株屋が入つているのである。そうしてあの仕事をまさに壟断せんとしておる。この資本株の買収によつて、そうして国策に副うたこの帝石をば、どうも甚だ好ましからざる方向に持つて行きつつあるやに聞いておるのでありますが、その点について私は政府の責任非常に重大であると考えるのです。その点についての御所信を私通産大臣から直接承わりたい。
  35. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これからの問題並びにその基礎になります現状の問題について、只今海野さんから御指摘のありました通り、私といたしましても非常な責任を感じております。誠に重大な問題であると思つております。これは恐らくあとで西田さんからも御質問が出る点かとも思いますので、先走るようで恐縮でございますが、ちよつと私の見解を申上げてよろしうございますか。
  36. 西田隆男

    西田隆男君 どうぞ。
  37. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) それではお許しを頂きまして、これからの対策について申上げたいと思います。  只今お話もございましたように、前回の事件があつてその後現経営者陣ができたわけでございますが、その後現在の経営者間におきましても、昨年の秋頃から紛争が起つておりますことは事実でございます。この点は、現在帝国石油会社はいわゆる特殊会社ではございませんし、又あとから申したいと思いますが、現在政府は法律的な監督権限は持つていないのであります。併しながら只今指摘もございましたように、政府がいろいろの過去の経緯の結果ではございますが、現在四百六十万株を政府が持つております。それからやつております事業が非常に重大な責任のある仕事でございます。従つて政府といたしましては、特に私も就任以来何とかしてこの内紛を早く片付けて行かなければならない、現状のような状態では甚だ遺憾であると思いまして、権限上の措置ではございませんが、至急円満に話合いがつくように双方に、紛争の当事者に対しましても善処方を要望して参つております。私の見ておりまするところでは、大体私どもが妥当かと思うような両者間の話合いというものが、早急に一つの結果を生むのではなかろうかと期待いたしております。更に先ほどもお話がございましたが、今後二十九年度のみならずその後におきましても、相当多額の補助金を出したいと考えておりますので、こういう状態では甚だいかんと思いまするので、石油、天然ガス等についての開発法が現在ございますが、その法律に対する改正案を近々に御提案申上げたいと思いますが、それによりまして政府から補助金の対象になる帝石につきまして、或いはその他の会社につきましても事業上その他に厳重な監督規定を置きまして、政府の責任をはつきりいたしたいと考えております。で、私はその際におきましても、人事というようなものについては私の考えといたしましては、いわゆる政府から天降りであるとか、或いは政府からこの人を社長にしろとか重役にしろとかいうことは、私は避けるべきだと思いますが、できるだけ現在の会社の内部におきまして、輿論に対しても恥かしくないような陣容で事業をやつてもらいたいというふうな態度で今後も臨みたいと思いますが、併し同時に会社の性格から申しましても特殊なものでありますから、自主的に会社内部の統制がとれないというような場合におきましては、政府としては当然積極的な措置なり斡旋なりをいたすべきものと考えております。
  38. 西田隆男

    西田隆男君 私がお尋ねせんとするところは大体答えられたようですが、私は又別な角度からもう少し具体的にこの問題を検討して行きたいと思います。酒井喜四君たちが経営陣を退きますときに、本間君の手許に誓約書が入つております。その仲介をした者が菊池寛実氏と南某氏であります。でこの二人は私は株屋さんとは思つておりません。株の売買に非常な興味を持つておられる、これは事実のようであります。この御両氏が中に入られたようですが、これに対して当時の帝国石油の労働組合、これがまあ非常な反対をしたようでした。そこでさつき川上さんが言いにくいように言われなかつたいろいろなスキヤンダルの問題も関連しておつたために、帝石の経営に一切参画しようとは考えていないという意味の念書が本間政務次官の下に入れられておる。そういういわゆる非常に大きな条件を付けて、新らしい今の経営陣ができた。私はかように承知しております。ところがその中に菊池寛実君と南君が現在では一人が取締、一人が監査役の形で入つておる。成るほど通産大臣が言われるように私企業の会社の人事に関してまで通産省があれこれ指図すべきものではないと私も考えております。併しながら、国民の税金から数十億に亙るような助成金を出そうと決意されている以上、万一の場合においては当然国民的見地に立つて、特にこういう特殊会社である以上、干渉される場合が絶対にないとは私は言えない。これはあつても然るべき時期があると思います。で、現在の帝石の内紛がどういうことに原因しておるかということはくどくどしく申述べません。が、併し先ず第一内紛の原因を蒔いたのは改組の場合に入らないという条約を本間通産政務次官にしておられた両氏が経営陣に入られたということが一つ大きな要因をなしている。これは間違いないと思います。而も現在の帝石の重役陣を見てみますというと、いわゆる社長派と言われるものといわゆる菊池、南派と言われるもの、二派にはつきり分れてしまつておる。そうして要は主導権の争いである。帝石そのものを今後如何ように持つて行くかという理想の争いではなくて、ただ単なる主導権の争いであるというところに、私は通産省が監督官庁として、又四百六十万株の大株主の意見を代表するものとして厳然たる態度をとられなければならんと思うのです。で、本日の東京日日新聞を私持つて来ておりますが、これを読んで見ましよう。これはもう詳細に書いてある。「通産省乗り出すか」「帝石人事の収拾」等、この問題が大きく載つている。これは今初めてじやありません。もう帝石の内紛の問題は新聞雑誌を賑わすこともう久しい。余りに長くなるにかかわらず、またまたこういう新聞が出されておるということは、石油増産のための助成金の支出には賛成をしても、帝国石油に対して、こういう状態のままで、通産大臣が、この状態を早急に改善するということでなくては、こういう問題には賛成をいたしかねる。本年度の、今提出されておる一億三千万円の助成金を出すことにすら私は賛成をいたしかねる。要は帝国石油が国家の最も有力な、而も必要な産業としての独占会社として、政府考えておるような五カ年計画を実施するにふさわしき内容を持つに至るかどうかという問題が、当然我々国会議員の間では問題にされなくちやならんと思うのです。通産大臣は非常に表面上はおやさしいようなかたのようですが、蕊は強いということを私は聞いておる。表現する場合には如何にやわらかでも結構です、実行する場合は一つ勇猛果断にやつてもらわないといかん。終戦後の通産行政というものは、通産省に確固たる方針と信念に基いて行動することが余りにも少かつた。そのためにいろいろな問題を生じておる。こういう事態では、如何に通産大臣が高遠な理想を持つて、一兆円内の緊縮予算を実施して、通産行政を軌道に乗せ、日本経済のために貢献せんとしても、それはいすかの嘴の食い違いで、到底それを達成するのは困難であると思います。これは川上さんなんか、通産大臣にこの際実情をよく話してもらいたいと思いますが、通産省考え方というものが、帝国石油の人事、或いは企業方針というものに相当強く影響を及ぼすことは、これは否めない。事実そういう力を持つている、通産省は。それにもかかわらず、危いものは避けて通れ、どうにかなるだろうというような考え方は、私はこの際許されんと思うのです。個人々々の重役の問題に私は触れたくありません。そうすると、この次の帝石の人事というものは、どういうふうにされるかというような問題が、実は私は通産大臣に聞きたい。聞きたいのだが、それは将来に関する問題だから私は聞きません。従つて現在生じておるこの事態を、万人の納得の行く姿において早急にこの紛争の解決をしてもらいたい。この場合は、さつきも申しましたように、通産大臣が人事問題に関連してはいけないというような弱い考え方を捨てて、通産大臣は、構わないから通産行政の面からこれはいかん、だからこうこうこういうふうにしろ、そうまでは言えなくても、そのくらいの決心を固めて、帝石の人事問題は片を付けてもらいたい。  私はもう一つ他の面から申上げたいと思うことがある。それは帝石の株が昨日八円上つた。現在百十七、八円している。非常に公共性の強い独占企業というものの株というものは、払込を上廻つてはならん。株屋の株の操作によつて、公共性の強い事業の株式が上つたり下つたりするというようなことは、最も日本にとつては好ましくない状態です。特に緊縮財政を実行して、日本の国の経済を対外的にしわ寄せしようとしている現段階においてなお更である。ところが帝石の株は百八十円してみたり、急に百円に下つてみたり、又百三十円に戻つてみたり、種々様々に変る。私はその理由がわからない。これは結局帝石の経営陣の内紛がこういう姿で現われている、或いは帝石に思惑を持つている株の売買によつて、帝石を高くしようというような動きのために株式が上下しておる。まあ、恐らくこんな事情以外には帝石の株がこんなに移動するということは考えられん。若しそういう実態であつた場合には、補助金、助成金の段ではない。別に会社を作つてでも日本石油を採掘するために通産省は当然乗出すべきである。若しこれをこのまま委員会で問題にせず看過して、補助金、助成金が出ることは、再びスキヤンダルとして又新聞が取上げて、国会の信用を失墜することがないとは言えない。これは非常に重要な問題で、今後衆議院、参議院を通じて国会で法律案或いは助成金その他のものの審議に当つては十分に政府としては、政府予算に計上した以上は、相手方に納得させて、そして補助金、助成金を使う方向に行かなければ、ますます日本の政党政治は国民の信頼を失なつてしまうであろう。私はそれが非常に恐ろしい。そういう意味合いから今日は帝石の問題をちよつと爼上に上して見たのです。通産大臣新任早々でお苦しかつたろうと思いますけれども、これは是非積極的に公明正大に公正にこの問題の解決に一つ乗出して頂きたい。ほかに大臣に聞くことはたくさんあるのですが、今日の国会の模様、世相を見ておりますと、こういう問題を参議院の委員会で取上げて、そして公正な、みんなが妥当だと思う面に持つて行くことも、これは他の問題を収入れることよりも、もつと必要な問題ではなかろうかと考えるから、あえてこの問題を取上げた次第です。どうか一つ通産大臣の良識の下に、我々が納得のできるように、国民にいろんな疑惑を持たさないで、自分たちの税金を喜んで出すように賛成するように、一つ厳然たる態度を以てこの問題の解決をして頂きたい。これで私は時間が超過しましたから一応やめておきます。
  39. 白川一雄

    ○白川一雄君 通産大臣に航空機工業に対する基本方針について承わりたいと思います。大体四点ほど承わりたいと思いますが、航空機生産工業と再軍備という線につきまして、御当局はどういうようにお考えになつておられるか。結論としましてはやはり保安庁の需要を満たすという、再軍備的な線に行くとは思いますけれども、その間の関係をどういうふうにお考えになつておるのでありますか。それから、今後航空機生産工業を自由競争の形で持つて行くのか、政府一つ方針に基いて、それで指導してやつて行かれるのか、いわば統制でやつて行かれる御方針なのか。  第三点はジエツト・エンジン会社というものができましたが、ジエツト・エンジンというものは軽々に考えるようなものではない。相当莫大な資本もいることですし、ジエツト・エンジン会社というものができて、そこで統制をして一本化して行くということは当然であろうと思いますが、それの今後進まれるステツプ、どういうコースで以て進まれるのか。  最後の一点は航空機工業の基本方針をお立てになるのは、御当局のどこが中心になつて進められるのか、どういうものが参加してこれはきめられるのか、この四点について御意見を承わりたいと考える。
  40. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ず第一点の問題でございますが、これはひとり航空機に限りませず、いわゆる防衛生産の全体の問題だと思うのであります。私の考えを申上げますならば、先ず第一に私はいわゆる防衛計画、自衛力漸増計画というものが、国民経済の充実なり発展なり向上なりを阻むようなものであつてはならない。従つていわゆる自衛力漸増計画におきまして、陸上兵力の増員にしても、航空機の充実にいたしましても、これは着実にといいますか、国民経済の他の民需を圧迫しないどころではなく、現在のところまだ向上しなければならん段階においては、これに対して大きな計画を持つべきではないと考えておるわけであります。これと同様の考え方におきまして、防衛生産というものが一部には非常に誇大に、例えば俗な言葉で言えば、日本経済は今後相当不景気になるであろう、併しながらこれは防衛生産をうんと拡充することによつて、その方面で積極的なカバーができるんだという考えがないでもないように見受けるのでありますが、私はこれに対して反対の態度をとつております。全体の日本国内生産活動の動かしから言えばこれは丁度あたかも自衛力漸増計画が漸増であつて欲しいと願つておりますと同様の程度にとどめるべきであると考えております。同時に御承知のように昭和二十九年度の保安庁の拡充というものは、具体的の内容が予算案の提出と共にはつきりいたしました。又三十年度の大体の見通しについても、保安庁長官から他の委員会等において大体の規模をお話申上げている次第でありますが、これが一つきまつた。それからMSAの協定も近く調印ができると思いまするし、その場合において、いわゆる完成兵器の援助がどのくらいのものであるか、或いは域外調達がどのくらいになるのかということの大綱につきましても、その際その前後にははつきりして来ると思いますが、その規模等の中で、具体的に航空機の計画というものも考えるべきだと考えております。  それから第二点の航空機の製造については自由生産にするか、統制にするのかというお話でございますが、私はこういうものは、今申しましたような基本的な考え方から申しましても、自由野放しにすべきではないと考えます。  それから第三のジエツト・エンジン会社の問題は実を申しますと、二十九年度の予算編成の際にも、現在できておりますジエツト・エンジン会社に相当政府出資ということを考えてはどうかという案を私も前任者から引継ぎを受けましたが、結果においてはそこまで至りませんでした。なぜかと申しますと、実は話題が少し脇にそれるかも知れませんが、MSAの条約の調印に伴いまして、例えば小麦の買入代金のうちの一千万ドル相当部分については、いわゆる防御支持援助というものに向けられるということに恐らく協定ができると思うのでありますが、その金の使い途等との関連において、これらの問題も併せて処理できるのではなかろうかという考え方も多少織込みまして、一応二十九年度の予算案からはこの問題は外したような次第でございます。申すまでもなく、私も航空機については全く素人でございましてわかりませんが、今後の防衛問題だけでなく、航空機の前途というものは、恐らくプロペラの時代は過去のものであつて、ジエツト・エンジンを中心に発展すべきものと考えますので、この面におきまして、先ほど申しましたような範囲内、或いは又民間の関係もございましようが、これについてはできるだけ伸ばして行くような考え方をとつたほうがいいのではなかろうかと思つて、現在いろいろと研究もし、各方面の御意見も伺つておるような次第でございます。  第四の航空機の生産等についての根本方針と、どこが中心で扱うのかというお尋ねでございますが、これは差当り自衛力漸増の計画もございます、又従来の例から言えば、各国の例から申しましても、いろいろ軍備ということと関連して、行政機構の問題は大変複雑でございますが、私の意見としては、先ほどの基本的な考え方から申しまして、これは通産省が全面的に責任を負い、全面的にお手伝いをすべきものである。関係の事項については保安庁なり或いは運輸省なりその他の面と連絡を十分とつて行きたい。航空機の製造、生産、組立というようなことについては私は通産省が当るべきものだと考えております。
  41. 白川一雄

    ○白川一雄君 第一の点をお尋ねいたしましたのは、如何にも通産省の航空機工業の指導につきましては、一方では再軍備ということによつての非難を恐れるかのごとく、一方ではそれを無視したかのごとく言つておる観がありますので、そうしますと、民間業者というものは与えられた目標というものがないために左顧右眄して非常に困難を来たすというのが現状ではないか。成るほど航空機というものは大部分各国の例を見ましても軍用に使われておりますので、再軍備とは結果的には非常に関係あろうと思いますけれども世界各国の文明が航空機を各国とも入れる時代になつておりますし、日本の精密工業の程度を高める原動力としましても航空機技術というものが早く温存しなければならんという点は、これは議論ないのではないか。そういう意味におきまして、再軍備の線は再軍備の線としてはつきり線を引かれるのは結構ですが、これを指導する線におきましては、それに捉われない技術の温存という点にもう少し勇敢な指導が欲しい、こういうように考えましたのでお尋ね申上げたわけでございます。  第二点の自由競争に任すかどうかということは、現在は自由競争に任されているような恰好に動いているように見受けるのでございますが、アメリカ大臣も御承知通り、あれだけ民間航空が盛んでも、全体の生産の一〇%に達していない。九〇%以上が軍用であるという事実から見まして、遺憾ながら日本の現在の技術その他から、アメリカの民間輸送機を作るということは、インポシブルでもあり、又必要のないことではないが、産業として成立たんではないか。そうしますと、どうしても需要の途は保安庁一つということになつて来るのに対しまして、自由競争ならば或る程度工業力が育成された後ならば自由競争ということは成立ちますけれども、まだこれから作つて行く、建設して行くというときに、自由競争が成立たんではないか。例えばニユーヨーク等には日本の商社が八十からありまして、別に深い関係もないのに関係あるかのごとく日本に持つて来て、日本のメーカーにちよつかいをかけまして、そのちよつかいをかけたものを又アメリカに持つてつてアメリカの会社にちよつかいをかけるのですから、種々雑多のものが非常に渾然として日本産業界を混乱に陥れている点が多々あると思うのです。これは一に通産省のほうが確固たる御方針を立てて指導して頂かなければ、或いは一社の単なる利害得失のみからアプローチしたものに多く引きつられて、その方向が変るというのでは百年河清を待つような結果になるのではないかと思いますので、指導されるならば指導される根本の肚ぎめというものを十分持つて頂かなければならないのではないか。こういうように考えたのでお尋ね申上げたのでございます。  第三点のジエツト・エンジンの問題でございますが、日本の技術者は技術を非常にたやすく見過ぎる点があるのではないか、御参考までに申上げますれば、今回、私、アメリカのカーチス・ライトという会社を訪ねて見ましたのですが、そこは戦争中にピストン・エンジンばかり製造を命ぜられて、ジエツトを製造しなかつた。終戦後、ジエツトを作らなければならないというのに五年間の遅れをとつたので、フランス、イギリスのライセンスを買いまして、今日まで一生懸命研究して漸く三年の遅れを取返して、あとの二年を如何にして取返すかに一生懸命であるというのです。ジエツトというものがたやすいものではないということがわかりまするし、この会社の人が我々日本に忠告をしたい、ジエツトというものは、アメリカでも新らしく計画すれば一千万ドル、二千万ドルの金がかかつて政府が採用しないということになれば会社が全部破産しているのが実情である。日本はジエツトをたやすく手をつけたらいかん。ジエツトの修理というものからだんだん入つて行くという線を辿つて、年数をかけてジエツト製造に持つて来なければいけないというような忠告を受けまして非常に頭の下る思いをいたしましたのでございます。ところがあちらのほうに行つて見ますと、各社が、ジエツトのエンジンのことについて、アメリカの会社に各社が個々に、ジエツト・エンジン会社というものがあるにかかわらず接近して、やはり我が田に水を引いて、或る既成事実を作つて来て、又日本でもいろいろな応援も頼んで押しまくろうというような線が見える。こういうことではなかなか崇高な技術のジエツト・エンジンというものは軽々にできるものではないのではないか。非常に大きな資金が要ります関係上、個々の我が田に水を引くようなことにしても、小さな資本で細かいものをたくさん作りましても資本の重複になるだけで、役に立つものは何もできんという結果を招くのではないかということが、貧弱な日本の財政から考えまして、これは当然我々熟考しなければならないのではないか。又日本では、飛行機を作るといえば、何もかも自分のところでやらなかつたら飛行機会社でないような感じを持つておりますが、アメリカのあの金の豊富なところでも、特殊なものは特殊な技術を持つた会社をその中に入れ込んで、例えばレントゲンで品質を検査するという設備は、工場にスペースを与えて、それ専門の工場が一つの技術を持つてそこに入つてピース・ワークでそこの仕事をしてやるというようなことになつておりますので、優秀な技術が非常に低廉にメーカーの手に入り、而も国として考えれば資金の重複投資がないというような面は、日本の航行機工業の戦争中の軍の金を無駄使いして作つた航空機工業のイマジネーシヨンでは、私は日本の航空機工業は今後は成立たんのではないかというように考えますので、この点は、ジエツト・エンジンに関する限りは特に強い御指導とジエツト・エンジン会社の育成ということにつきましては、権威ある進み方をして頂きたいと思うのでございます。  第四点の、大臣のお答えによりますと、通産省がおやりになるということ、誠に生産に関しては御尤ものことだと思いますが、如何なる飛行機を日本で作るべきであるか、又日本の航空機工業をどういうように建設するのであるかということは、単に通産省の担当官のみにおいてはなかなかそこまで私視野広く行くことはできないのではないか。もう少しいろいろな角度から、又日本の国産品が徒らにいいんだといううぬぼれ等も去つて、飽くまで技術というものに謙虚な気持でものを見る面のわかつたものでないと、通産省だけにおいて、航空機生産基本方針を企画するという点においてももう少しフアクターを殖やさないと、通産省だけではなかなか私は困難ではないかということを感じますので、以上四点をお尋ねしたわけなんで、特にその中でも日本の各業界が苦しいからでもありましようけれども、いろいろなつてを求めてただ横押しに押しまくつて、既成事実を作つて自由競争の恰好に物事を持つて行こうとする趨勢は、早く通産省のほうにおいて指導方針というものをおきめになつてやらなければ収拾するのに困難なことになりはしないかということを懸念いたしますので、只今御質問申上げたような次第でございます。
  42. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 一々御尤もでございまして、大体のお考え方は私も全く同意見でございます。これは非常にざつくばらんに申上げるのでありますが、航空機の問題につまきしてもそのほかの問題にしてもそうなのでありますが、それぞれの会社なり、個人のかたなりで先ほども指摘がありましたようにいろいろのお考えや、いろいろの筋をお持ちになつているかたがいらつしやる。実は私も就任以来特にこの航空機や防衛生産の問題については政府としてのがつちりした態度を作ることが先であつて、それから一つどこにどういうふうにしたらいいかということに入るべきだと、今以て私はそう思つておりますが、就任以来日が浅く、そのいろいろの方面からおれのところのこういう計画を是非というようなお話をたくさん私は持込まれまして、実はこちらのほうが、むしろ何といいますか、受太刀になつておりますのですが、只今指摘のような考えを私は持つておりますからそのいずれについても何ら私としてはコミツトしているものはございません。要は私も遅れ遅れになつて非常に遺憾でございますが、一日も早く基本的な態度というものをがつちり打ち立てる、これを取急ぎたいと思います。それがきまりますまでは一社一業についての御意見だけを取上げるということは絶対にしないつもりでございますので御了承願いたいと思います。
  43. 高橋衛

    ○高橋衛君 私は国際収支の改善という面から二、三の点を御質問申上げておきます。御承知通り二十八年度は上半期においては貿易は大体収支とんとんであつたのでありますが、又下半期におきましても初めにおいては大体とんとんに行けるという予想の下に外貨予算が作られたのでありますが、極めて短期間にこれが一億九千万ドルという赤字を出す予想に変つてつたのであります。而もそのほかに例えばIMFの五千万ドルとか、線花借款の差引き三千万ドルというようなものを加えますと、約二億七千万ドル以上に上るところの赤字が短期間に生じたということに相成つたのであります。政府は二十九年度予算をこれらの見地から何とかして物価引下げをやり、輸出の増進を図つて、国際収支の改善をしなければならんという観点から一兆円以内の予算を作られたのであります。又そういうふうな観点から二十九年度の経済見通しにつきましても年度間を通じて九千万ドルの赤字にとめるというような見通しを立てておられたのであります。併しながら自然外貨の手持が減りますと国民はどうしても輸入の制限をされるであろう、外貨の制限をされるであろうというふうな考えから、或る種の物品につきましては物価が不当に上るというような結果を、例えば砂糖のごときものにおいて顕著に現われて参つておるのであります。従つてこの二十九年度の赤字九千万ドルという数字が本当に的確なものであり、又これが確実に見通せるということになれば国民相当安心して、そういうふうな思惑によると申しますか、そういうふうな思惑的な原因によるところの物価の却つて騰貴するという事情はなくなつて来はしないかというふうに感ぜられますので、この二十九年度の九千万ドルの赤字がどのように根拠があり、どのように信ずべきところの数字であるかという点について御説明を願いたいと思います。
  44. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ほど西田さんからもお話があつたのでありますが、これも私どもの気持を申上げますと、只今指摘のように十三億ドル以上の輸出を確保するということはこれは全く並大抵の努力ではないと考えております。特に先ほども申しましたように対ドル地域については或る程度の減少も見込んでおりますけれども、同時にスターリング地域に対しましては前年に比べまして六割増の輸出を期待しておるわけでありまして、こういう点において成るほど御懸念の点がある点は私も御尤もだと思うのであります。併し詳しいことは省略いたしますが、私どもとしてはまあ歯を食いしばつてもこの輸出実績達成いたしたいと考えているわけでありますが、一方この輸入関係につきましてはいろいろ只今も御指摘のように経済界のみならず一般大衆も相当懸念している、その結果御指摘のように物価が或る種のものについては相当値上りをしている、これも事実その通りでございます。そこでこの際輸入についての大体の考え方を申上げたいと思うのであります。で、これは御承知のことのみと思いまするが、大体問題を四つほどに分けまして、御説明いたしたいと思います。  第一は食糧の問題でございますが、これは二十九年度が平年作であるということで予想を立てますと、昨年度は緊急輸入関係があり、又勢い二十九年度の下半期にもその尻が或る程度例えば七千万ドルぐらいは残つて来るわけでございますが、ともかくも二十八年度に比べて換算としては八千八百万ドルは食糧輸入関係外貨は節約できる、二十八年度に比べましてというような見通しを一応持つております。  それから第二は綿花その他の原材料、殊に輸出を促進するために必要な原材料については二十八年度と二十九年は生産活動を同規模というふうに見ております関係上、二十八年度よりも輸入割当を少くするということは私はできないと思いますし、又少くすることは不適当であると思います。でこの第一の申しました食糧は完全にと申しますか、需給関係から言つて今申しました程度のものが当然削減されるということになります。第二の必要な原材料については二十八年度の規模を維持するということにおいてこれは御理解が願えると思います。  それから第三に挙げたいのは、いわゆる奢侈品等でございまして、これについてはひとり外国から外貨を割当て高級自動車を輸入するというようなことはこれは絶対にしないつもりであるのみならず、現在東京都内あたりでも顕著に見受けます米国の高級自動車はそのうちの相当部分はいわゆる無為替輸入、外国人が乗用車を持つて来て、これを日本人に売払うというものが多いのでありますが、これは外国側の協力も求めまして、その取引を制限し、或いは抑制するということを最近始めておりますが、なお徹底して参りたいと思つております。従つてこの奢侈品の関係につきましては、その他香水もございましよう、いろいろのものがございましようが、これは仮にこれを抑えることによつて国内のそうした物価が値が上つてもこれはもう国民的な立場で御理解が願えると思います。そういうものは或る程度価格が上りましてもこれは止むを得ないと思います。  それから第四に申上げたいと思いますのは極めて最近の一月以来の特異な現象でございます。これは御承知のように自動承認制というものの関係から申しまして、先ず第一に輸入が非常に制限されるであろうというような思惑から第一にドルの自動承認制に対しまして輸入の希望がもうものすごい勢いで殺到して参りましたから、一月十一日が最初でございましたか、事実上これの受入れをとめることにいたしました。それからその次にドルのほうを抑えると今度はポンドのほうの自動承認制について輸入の希望が殺到いたしましたので、次いでこれをも大部分の品目について適用を除外することに告示を出したわけでございます。なおオープン・アカウント等についても同様の事情にあるわけでございます。その結果砂糖を初めとして相当の価格の高騰が起りましたが、私の見ておりますところではこの自動承認制は御承知のように全体の外貨割当のうちの或る部分、一部と申すことができるわけでありますが、その一部のものでありましても、自動承認制をとめた対象になつておりまする物資日本の需要供給の関係から見ればバランスがとれておるのであります。これ以上自動承認制で入れることをとめたところで正常なそれら物資需給影響することはないと私は見ておるのであります。従つてその関係で一時思惑の関係値上りが起つておりますけれども、全体の需給状態がバランスがとれておるということは、自然にこれは国民生活の上にもはつきり現われて来る問題でありますから、これは一時的の現象として私は沈静するものと信じております。同時に最後に申上げておきたいと思いますが、二十九年度の外貨の編成方針でございますが、これは先ほど申しましたような基本的考え方でできるだけ早く考え方を先ず第一に整理をする。これも大きな私は重大な問題だと思いますから、ひとり通産省だけとか、或いは大蔵省だけとかいう立場でなく、政府全体の最高の方針として考え方を統一したいと思つております。それを先ずきめて、それから各物資別にどういう措置をとつたらいいかということを事務のほうで具体的な計画を立て実施に移すということをやりたいと考えております。そうしてこの外貨予算の編成の方針なり、或いはこれのパブリツク・リレイシヨンなり、これには十分に国の内外の情勢に応じた、相当の配意が加えられなければなるまいと思うのでありまして、余談になりますけれども、先般参議院の本会議で苫米地義三議員から外貨予算の問題については武士の商法である、従来のやり方が……。この点に非常にまずい点があるということを指摘されておりましたが、これは私どもとしては大いに掬すべき御意見だと思いまして、こういうふうな御意見も十分尊重いたしまして、二十九年度においては先ほど申しましたような基本的の方針と、具体的なこれの実施によつて必ず国民的に御理解を願えるような、御納得願えるような線を打出して参りたいと存じております。
  45. 高橋衛

    ○高橋衛君 私はよく承知いたしておらないのでありまするが、例えば英国におきまして外貨予算等の取扱については極めて秘密が厳守され、従つてそれによつて商機を逸するようなことがないように配慮が行われておるということを聞いておるのでありますが、日本外貨予算を編成する場合におきましても基本的なものの考え方として政府としてはつきり御方針を定められ、又これを国民一般に示唆することが必要であろうと思いますが、実際の運営に当つてはもつと思い切つて秘密主義をとつて、その秘密が漏れないような方針の下に行われることが妥当ではないかと思いますが、その点についての御見解を承わりたいと思います。
  46. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今申上げた通りでございまして、特に御指摘のような事情でございまするので、これはまだ単に私の私見でございますが、政府一つ全責任を負わして頂く。それで例えば一四半期なり、半期なりをやらして見て頂いて、そうしてそれに対しての御批判を仰いで、又次の段階に入るというようなことが確かに私は一つの行き方だと思うのであります。元来が外国相手の、相手のある仕事に対してこちらが全部手の内をさらけ出すことがいいのか、これは見方によつてはそんな秘密経済をやつたらけしからんという御意見はありましようけれども、大局的に見て商機をとらえ、或いは国際情勢の変転に応じて基本の線を踏外さないようにやれるということであれば、大局的に私は却つて御支持を得るやり方ではないかと思いますが、それらの点について関係各省とも十分連繋をとりまして、政府としても十分今研究をいたしておるというような次第でございます。
  47. 高橋衛

    ○高橋衛君 先ほどもちよつと出たのでありますが、例えば砂糖において、砂糖の恐らく適正な価格は六十円じやないかと思いますが、今日相場を見ておりますと八十円を超えているというような状況になつております。それで例えば砂糖とかバナナというようなものを二重価格に類するところの低い価格で以て、輸出しなければならんものとリンク的に扱わせるということをお考えになつておられるように思いますが、そういうふうなやり方が必ずしも適正に行かないというふうな面もありますので、何かこういうふうなものについて、これは国内的に物価は上らざるを得ない、而もその差益というものを一部の人にしわ寄せするということは如何にも納得しがたいというふうに考えられますが、それに対して何か政府として措置を考えておられますかどうか。
  48. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これはいわゆるリンク貿易の問題でございますが、リンク貿易と一口に言われましても、三つも四つも方式があるわけでございまして、例えばバーターのごとく東西貿易の推進というような場合に使われるようなものはこれは私はいいのではないかと思うのでありますが、只今指摘のような、輸出が非常に困難である、一方、輸入だけをやつている人が利益を一人占めにしているのはけしからんというような意見もあつて輸出努力に対して適正なものを輸入でリンクさせてこれで国内で挙げられる利潤で以て、何と申しますか、補つて、そうして輸出を促進しようという趣旨から、一部に狭義のリンク貿易が行われましたことは事実でございますが、これは私は正常な輸出努力を阻害するということも考えられますし、又一種のプレミアムがそういうものでつくということで正常な経済の運行として面白くないという面もあろうかと思うのであります。更に対外的に考えました場合には、これは一種の複数為替レートではないかというようなことで或いは外国等におきましても相当の関心を呼ぶ問題であるかも知れないと思いますので、私は原則的にはリンク貿易ということについては今後消極的な態度で参りたいと思います。ただ併しながら例えば生糸のごとく昨年度の非常な不況で価格が非常に暴騰した、而も輸出を大いにしなければならないというような場合に、例えば時期を限り規模を限つて、臨時的な措置として或る程度のリンク制度をやるということは、これは国の内外を通じて御納得が行けるのではなかろうか。又その程度にとどめて臨時的な措置として行う場合に限りまして意義のあることではないだろうか、こういうふうな考え方を持つております。
  49. 高橋衛

    ○高橋衛君 通産大臣経審長官としての施政方針演説におかれまして、年度末においては生産財については一割程度消費財については四%程度物価引下げを予定しておられるということであつたのでありまするが、そうしてそういうふうなことを行うためにこの一兆円以内の予算を作り、又同時に金融政策をその裏付としてやつて行くという御趣旨であつたのであります。私どもはこの方針については全面的に賛成であり、又それを推進して行かなければならんと考えているのでありまするが、併しなかなか財政金融施策のみを以てこれを達成するということは困難じやないかと思います。やはり国民一人々々が自分の具体的な生活においてその心がまえにならなければいかん、これが裏付になつて初めてこのことが実行できるのじやないかというふうに私は考えるのでありますが、そういうような精神的な裏付としては如何なることを考えておられますが、この点について御意見を伺いたいと思います。
  50. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 物価の問題は直接国民の最後の一人にまで至大の関心がある問題でございますから、私は政府としても、特に経済審議庁といたしましては、私どもが一兆円予算というものをなぜ作つたのか、又それは国民経済の成行きがどうなるということがよろしいということで、こういう新らしい政策を打出したのかということを、できるだけ噛み砕いたパブリツク・リレイシヨンを私としては是非やりたいと思うのであります。これは決して昔やりましたような政府側としての宣伝戦といいますか、啓蒙と申しますか、そういうようなおこがましい独善的なものじやなくつて、我々としてはこう考えておるのだということが的確におわかり願つた上でこれに対して批判を仰ぎ、或いは望むらくはそれに対する御協力が願いたいということで、私としてはこれから大いにやりたいと思つておるのでありまして、そういう際に国民的な何か盛り上る運動というようなものと、こういう政府としての希望というものが自然にこう結び付いて行くようなことができますならば非常に仕合せなことではないかと、こういうふうに考えております。
  51. 高橋衛

    ○高橋衛君 いま一点、これは国際収支の改善に関する問題じやないのでありますが、電源開発に関連する問題について一点御質問申上げたいと思います。  政府は二十九年度の予想といたしましては、例えば鉱工業生産については二十八年度の水準であるところの一五二というものが動かないものとして予定されておるのであります。一方二十八年の、殊に十一月等におきましては国民生産活動は一五七という数字を示しております。電源の五カ年計画において予定されたところの国内生産数字を三、四年確かに先廻つておると考えておるのでありまするが、そんな観点から、特に又生産活動を今年並み、今年の横這いというふうにまで抑えて経済計画をお考えになつている観点から申しますれば、二十九年度におけるところの電源開発計画というものは或る程度スロー・ダウンをしていいんじやないかというふうに私は考えるのでありますが、その点について通産大臣はどういうふうにお考えか。ただなぜこういうことを御質問申上げるかと申しますると、電力料金の引上げの問題につきまして、二十九年度中において電力会社は約二百四十数億の増資を予定いたしておるのであります。而もその配当率は一割二分ということになつております。一割二分の配当率を維持するためには税金又は積立金その他の関係からいたしまして、どうしても三割程度の利益率を必要とすると思うのであります。これは半面から申しますると、三割のコストのかかつた金を使うということであつて、こういうふうに非常に資本費の嵩まることが原因となつて電力料金の引上げに反映しなければならんというふうな状態の下におきましては、この増資による資金調達ということは相当検討を要するものではないかと思うのであります。たまたまそういうふうに国内生産活動を今年並みに抑えて行つていいという政府のお考えであるならば、ものは要するにバランスの問題でございますから、ただ電力のみが先走るということが必要ではないのであります。その他とバランスを合せて行く。そうすれば資金計画上もそういうふうな増資は必要としないじやないか。そうすれば増資に対応するところの税なり配当なりその他の資本費の増加というものは抑制できるのじやないかという観点から御質問いたします。
  52. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 御指摘の点は御尤もとも思いますけれども、私はやつぱり電力の開発計画については、基本的な五カ年計画というものは何とかして引続きやつて参りたいと考えておるわけであります。勿論この電力の五百十万キロワツトの開発計画については、それの進行と共に並行して各年度の生産活動の上昇というようなことも、御指摘通り並行的に予想しておつたのでありますけれども、併し一度その計画に対する熱意といいますか或いは関心が薄れますと、時期的なズレも生じて参りましようしいたしますから、基本的には二十九年度におきましても五カ年計画の改訂ということは私は考えたくないというふうに考えております。ただそう申しましても、二十九年度の予算、或いは財政投融資の計画、或いは社債、借入というような点につきましては、これは御承知のように限度がありますので、そういうことをお前が言うておつたつて実際にどうなるのかと言われる点が多いかと思いますが、この点については或る程度調整は必要かとも思いますけれども、いろいろの智慧を搾りまして、とにかく基本線は貫徹したい。多少の工事のズレでありますとか、或いは順位というような点については多少の調整は加えなければなるまいと思つているのですが、この点については只今関係各省との間におきましても活溌に研究を進めておりますので、大体そういう基本線になろうかと思うのであります。
  53. 高橋衛

    ○高橋衛君 もう一点だけ、この二十八年度におきましては電源開発計画としては第一年であつたにもかかわらず、生産活動がずつと伸びたにもかかわらず、電力の不足ということはそう痛感されずに来たのであります。その説明としては、二十八年度におけるところの異常な豊水ということが理由として挙げられておるのでありますが、これが平年に対してどの程度の豊水であつたかということを、これは局長で結構でございます、御説明願いたいと思います。
  54. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 下期はまだはつきりわからないわけでありますが、上期が約一五%の豊水であります。それから下期に入りまして第三四半期が十一月が大体渇水でありまして、ならしまして二、三%の豊水ではないか。それから第四四半期に入りまして一月が全部ならしまして平水とんとんぐらいではないか。二月に入りましてから一割余りの渇水を続けております。
  55. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 私も国際収支の問題につきましてお尋ねいたしたいと思つておりましたが、只今高橋委員に対しましての大臣からの御答弁で了承をいたしたのでありますが、先ほど御説明になりましたこの四つの点をお挙げになりまして、今年度は奢侈品等については絶対に外貨を削減をするというお話でありまして、これは極めて同感であるのであります。二、三日前の新聞によりますると、昨年そうした奢侈的な輸入品が相当割当があつて、例えば化粧品のごとき七百二十一万ドル、貴金属に二百二十七万ドル、時計が三百二十万ドル、先ほどお話がありました乗用車に至つては三千五百四十万ドルというような状態であると聞いておりますが、先ほどの御説明で了承いたしましたが、今年度はそういうような奢侈品であるとか、化粧品、装飾品、嗜好品等につきましては厳格な態度を以てお臨みになるということで、これは併し政府全体がそういう考え方の上に立つて頂かなければ、なかなか実現が困難だと思いますが、その点につきましてもう一度御答弁を願いたいと存じます。  更に今お話のありました高級自動車はこれは輸入をしないということでありまするならば、どうしても国産自動車の助成とか振興とかいうような点につきまして十分政府が施策をお考えにならなければならんと思うのでありますが、そういう国産品を愛用するという精神的な奨励、並びに実質的に国産品を優秀ならしめるような措置を無論政府はお考えになつておられると思いますが、そういう点につきましてお尋ねを申上げます。
  56. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ず第一点の国際収支の関係でございますが、昨年中の輸入について、只今お挙げになりました数字につきましては通産省として持つております数字と多少違う点もあるようでございますが、場合によれば政府委員から御説明申上げたいと思います。それからなお贅沢品というわけではないのでありますが、昨年中特に目立つて輸入金額が増加いたしましたものを、大きな違いのありましたものをちよつと申上げて見ますると、原毛は三割四分増加でございます。それから機械が五割三分の増加、屑鉄が六割三分の増加、それから先ほど問題になりました原油の増加、油の増加が四八%、大豆が五三%、それからウール・ノイル、これも九五%の増加、それから米が一二%の増加、木材が六八%の増加、砂糖が一三%の増加、大体こういうふうになつておるのでありまして、これらにつきましては、先ほど高橋委員のお尋ねに対してお答えいたしましたような原則でこれに対する二十九年度の割当をいたして参りたいと考えております。  それから第二段の国内資源、技術というような点を大いに力を入れて国産愛用をするという御趣旨はもう誠に我々としても御尤もでございまして、ひとり輸出努力をするだけでなく、国内でいいものを作るということが又必要であり、それに対して国産愛用の運動というものが盛り上つて出て参りますれば非常にこれは有難いことだと思うのでありますが、通産省として一、二の例を挙げますると、例えばこれには工業技術の振興の対策という面が相当関係が深いと考えております。それらの点につきまして只今工業技術院を中心といたしまして、例えば民間の研究振興のために発明実施化試験費補助或いは貸付金或いは応用研究の補助金或いは工業化試験の補助金というようなものにつきまして、総額にいたしますと六億円以上の今回の予算におきましても資金を出しておるような次第でございます。なお又新規技術の工業化、新資源の開発というような点を基本的な考え方としてやつておりますのでありまして、これらの点につきましては、前回の当委員会におきましても御説明し、又お答えしたような次第でございます。
  57. 大谷贇雄

    ○大谷贇雄君 只今の御説明で了承いたしましたが、例えば国産自動車工業の問題でありますが、先ほどどなたかお話がありましたように、まあ使いいいから重油を使うというようなことになるように、やはり外車が性能から申しましても、耐久力の点はどうか存じませんが、とにかく非常に乗心地がいいというようなことで、外車が氾濫をして参つたと思うのでありますが、    〔委員長退席、理事加藤正人君着席〕 併しイギリスの例を見ましても、又フランスの話を聞きましても、殊にドイツの話を聞きましても、自動車のごときは今日は足でありますし、又国内産業としては非常に重要な地位を占めておるのでありまして、従つて政府といたしましても、これが技術の向上改善というようなことに関しまして一つ積極的な御指導とお力を頂くようにお願いを申上げたいと思います。
  58. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 只今外車及び国産車の問題をお尋ねになりましたが、現在御承知通りでございまして、外国と提携して組立てておりますものは、英国の関係でオースチンとヒルマン、オースチンは日産自動車が提携しております。それからヒルマンはいすず自動車が提携いたしております。それからフランスの関係で、日野デイーゼルがルノーと提携をいたしております。併しこれは私も細かいことは承知しないのでありますが、大体の現状は、相当がんばつてもこの提携した場合にこちら側でやれるものというのは三割ぐらいの程度であつて、何とかしてこれをもう少しプロポーシヨンを、日本産のものを多くして参りたい、この点については引続き努力を続けたいと思つております。それから組立車が二十八年度の例えば上期で申上げますと、組立車としてこちらで提携して組立てておるものは二千二百五十台外貨を割当てております。それから下期におきましては千八百二十台。で、この程度なんでありますが、昨年度は完成車がやつぱり相当つておるのであります。完成車が上期では二千三百四十五台、それから下期の予算で二千台ということになつております。私どものほうとしてはこの完成車のほうはできるだけ切つてそうして組立車のほうを多くする一方トヨペツト等の純粋のといいますか、国産度の高いものについては引続き補助、助成をして行く。将来の姿としては適正な需要量に対して組立車と国産車で以て需要に応ずるようにしてもらう、こういうふうに考えております。
  59. 海野三朗

    ○海野三朗君 先ず通産大臣にお伺いいたしたいのでありますが、この前の国会で中小企業金融公庫法案が通過いたしました。そうして相当この民間の事業に貢献しておられるのでありまするが、何分にも非常に申込の量と、それからその貸付の金が非常に少い。もう少し政府はこういう方面に、生産の方面に力を注がれるべきものではないかということ。それから小さい方面です、例えば五万円とか十万円、それを差迫つて要求をしておる非常に小さい工業の部門、そういう方面を救うことには役立つていないのであります。最近或る種のごときは三万円から五万、十万という零細なる金の要求に対しては市が裏書をしてやつておるという現象を見るのでありまするが、この方面に対する政府のお考えはどうか、もう少しこの零細なるものを救うてやることが大切ではないかということ、第二点であります。  それからもう一つ第三点は、この前通産大臣にお伺いいたしましたときに、今年の三月までは石油の関税はかけないことにこの前の国会できまつたんだというお話でありましたが、大蔵委員会でそういうことは可決したのか。どうも私はつい頭が悪いので覚えていないのでありますが、この関税を免除するというようなことは甚だ私ども解せないことでありまして、どれだけの関税になるかと申しますと、大体が三十八億ほどの税金であります。そういうものを石油業者にかけないで、そうしてやつたというようなことはどうも納得できないのでありまするが、それは通産大臣としては正しいあり方であつたとお考えになつておるかどうか、それを端的にお伺いしたいのであります。先ず三点を先にお伺いいたします。
  60. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 第一点のこの中小金融につきまして希望額に対して融資をし得る限度というものが非常に少いというお話でございますが、これは御尤もでございます。ただ大体達観的に申しますと、国民金融公庫あたりが現実に申請を受理しておりますうちの三割以内ぐらいが現実の貸出になつておる状況かと思います。それから中小企業公庫のほうの比率はもう少し下廻つているかと思いますが、ただこれは申請を受理しただけでありますると……、実際これは貸付けるほうから申上げましても、御承知のように国民金融公庫にしても、中小企業公庫にしてもその資金の大部分が直接間接税金からできているものである、これは社会保護費というふうなものと違いましてくれてやる金ではないものでありますから、どうしても誠実にこれを審査いたしますると、或る程度のものをふるいにかけなければならないということは、これは同時に当然のことでございますが、併しそれにしても如何にもその差が大きいということは御指摘通りで、これらについては実はもう私どもも財政資金の余裕がないものでありますから、どういうふうにしてやつて参ろうかということは頭痛の種なんであります。この前も申上げたかと思いますが、中小企業公庫のほうは年間百七十億円の計画であり、それから国民金融公庫のほうは三百十九億円の貸出計画を二十九年度では作つております。それから商工組合中央金庫のほうは、未だ資金運用部でどれだけの商工債券を引受けてもらえるかきまりませんために、どれだけの貸出計画になるか、最終の数字がまだできておりませんが、大体達観的に申しますと、二十九年度におきましては、二十八年度に比べて五十億以上は少くとも貸出の増加ができるようになる、これが只今の現状でございます。  それからその次に市などが保証するということはどうかというお話がございましたが、これは或る意味では現に行われておるとも言えるのでありまして、例えば信用保証協会というものは、従来は国の出資というよりはむしろ地方公共団体がこれに対しまして非常な応援をしてもらつてつたわけであります。現在の制度は民法に基く公益法人の組織であつて、その公益法人に対して地方公共団体が応分の出資その他の応援をしておるのでありますが、今度それを信用保証協会法というものを作つて、法人に組織を変更する手続をしておりますが、こうなりますれば市町村等において応援することがもつとしやすくなるというふうになると思います。  それからいま一つは、小口の保証保険というような制度を新設したいと思いまして、今日の閣議で法案の要綱を閣議決定をしてもらつたわけでございまして、この制度がうまく参りますると、ひとり国民金融公庫とか、中小企業公庫に頼るだけではなくて、信用金庫とか、或いは相互銀行とか、更に進んで地方銀行に対しまして従来は相手にされなかつたような小企業者がこの制度を援用することによりまして通常の金融機関からも金が借りやすくなるというような効果が期待されておるわけでございます。  なおこれもついでに申上げますが、国民金融公庫は従来大蔵省の専管といいますか、大蔵省だけでやつてつたのでありますが、最近のこの政策の転換の余波というものが国民金融公庫のようなものの対象に非常に深い関係を持ちまするので、これも法律を改正してもらいまして国民金融公庫の審議会の中に、中小企業庁長官は当然その中に入るというような組織替をいたしまして通産省としても発言権を強くすることにいたしておるのでございます。  それから最後の石油の関税につきましては先般も申上げましたが、第十幾国会であつたか、その国会の回数はちよつと記憶いたしておりませんが、昨年の三月末に至らざる先においてこれは衆参両院の議決を経て石油に対する関税の免除期限が昨年の三月三十一日まででありましたのを更に今年の三月三十一日まで延長されることになつております。これは関税定率法中改正法律でございまして、衆参両院とも大蔵委員会の議決を経ておるわけでございます。  それからそれに対してのお前の意見はどうかということでございますが、先般申上げました通り、これにはいろいろの賛否両論があるのであります。例えば農村、それから水産業、漁業という関係ではどうしても石油を使わなければならない関係上、特に零細農漁業の保護という点からいつて石油関税はかけるべきでないという御意見相当に強かつたように記憶するのでございますが、これにつきましては先般も申上げましたように御意見は、海野さんの御意見は私もよくわかりましたのでこれを貴重なる資料にいたしまして今後の研究の参考にさせて頂きたいと考えております。
  61. 海野三朗

    ○海野三朗君 その石油でありますが、関税をかけないから従つて安い、安い物ですからして、御承知のように今日石油コンロが非常に氾濫して来た、ところが今度は石油がなかなか入りがたいというようなことになつて皆、石油コンロの持腐れが全部できておる。そういうふうな現象を生んでおるのでありまして、私は今後ともこの関税を免除するというようなことは事非常に重大でありまするから、とくとこれは慎重なる態度でやつて頂かなければならないと思うのであります。  次にお伺いいたしたいことは、この電気料金の値上問題でありまするが、昨日まで各会社の重役の人たちが来て縷々説明をしておりましたが、通産当局においては如何なるお考えを持つておるのでありますか。昨日までの説明を聞き、又前々通産委員会におきましては公益事業局長の縷々御説明がありましたけれども、あれは業者から出した資料についての説明のみにとどまつておる、何らの御信念なきもののごとくに私ども考えられますので、それではいけないのである。電気料金値上げが出て来たならばかくかくの理由でかくかくである、こうなんであるというところの経験をお持ちにならなければならないのでないか。それでこの料金のあり方について如何ようにお考えになつておるのであるか。その確たる御信念のほどを承わりたい。これが一つ。  先ほど西田委員お話、帝国石油お話がありましたからもう少し足らざるところを私がお伺いいたしたい。それはあの帝国石油はつまり独占事業の会社なんである。ところがそれに入つておる。経営の任に当つておるものが株屋が入つておるのである。そうして昨今の石油が秋田に出たというようなときにはあの新聞で以て大鼓を叩き、そうして株がぐんと上つた、そうして又株が下つた。どうもそういうふうなあり方は甚だよろしくない。つまり、要するに好ましからざる人物がその経営に当つておると考えられるのであります。で、それについては通産当局としては如何なる具体的な案をお持ちになつておるか。ただ気を付けるだけでは私たちが納得ができない。でこれをどうして行こうという今のところで御腹案がありまするか、それをお伺いいたしたいと思うのであります。  もう一つ、それから御承知のように東北地方において常に天然ガスが噴出しておるところもある。そういうふうな場合にこの天然ガスの噴出、そういうことについては政府当局はどういうふうにお考えになつておるか、それをお伺いいたしたいと思います。
  62. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 先ず第一の電気料金の問題につきましては、これは前回、或いは前々回にも私としての立場を申上げたわけでございますが、実は私も私なりの考え方は持つておりますけれどもまだこれは打出すべき時期ではないと考えます。なぜかと申しますると、感じだけでこれは処理すべき問題ではないと思うのでありまして、私はものはできるだけ合理的に処理したいと、皆様がたに御納得頂くことについてはこういうふうな要素をかく考えた上でこういうふうな処理をしたのだということの十分な私は根拠を持ちたいと思うのであります。幸いこの問題の処理につきましては会社側から申請がありました場合には法律によりまして公聴会も開かなければならないのであります。で公聴会も近く開くことに予定いたしておりますが、その間私は当通産委員会におかれましても各電力会社の責任者を一々お呼びになりまして十分御検討頂きましたことは私としても非常に有難いことと思つておるのであります。一日を争つて私はきめなくてもいい問題である。十分これはあらゆる手を尽しまして、相反する意見がございますことは御承知通りでございますから十分それらの相反する意見の根拠を質しました上で政府としても又これに対する協力もしなければならん問題もございますのでこれを総合的に進めて結論を得たいと考えております。  それから第二に帝石の問題につきまして具体的の態度はどうかという話でございますが、大体先ほど私の気持は申上げた通りでございまして、本来私といたしましては私企業の人事について政府が干渉するというようなことは、これは私企業としても誠に私は如何かと思うのでありますが、それこそ一部においては官僚独善がいかんというようなことを言われながら問題が起ると結局いわゆるお上に頼つて人事をきめるというようなことは私は本質としてとるべきではないと考えておるのでさようなことを申したのでありますが、同時に先ほど申しましたように今度の場合は事柄が事柄でございますからその会社内部で処理ができない場合であれば当然政府として介入すべきものだと考えております。従つてその法規的な根拠も私としては是非国会において作つて頂きたいと思いますので、先ほど申しましたような法律案の改正をも不日提案することにいたしております。ただその具体的人事になりますと、あれは株屋だと、株屋はいかんと言われましても、実は個人の名前を挙げることは避けますけれども、例えばそういうかたがたにおきましても、一つ相当な会社の主宰者であつたり、或いは現にあつたりするような、一応実業家として立派に通るようなかたもあると思いまするし、なかなかこの人事の問題につきましては、あいつは好ましからざる人間だと言いましても、これはどういうところに客観的基準を求めるべきかについては、非常にむずかしい問題だと思う。併し御趣旨は私はとくとわかつておるつもりでありますし、この問題は私は就任以前から噂としてはよく聞いておる問題でありますから、就任後におきましてもできるだけ早く処理したいと思いまして、いろいろと現在手は打ちつつあるわけでありまして、大体において近く満足すべき状態になろうかと考えております。なおその上で今度は法律の根拠も作つて頂いた上で、御趣旨のような線を強く打出せることにいたしたいと考えております。  それから天然ガスの問題でございますが、これも私も承知いたしております。で先ほど来申しておりまするように、国内資源の開発ということは非常に大事なことでございますから、通産省といたしましても技術陣その他動員いたしまして、実情を早速調べて、これが企業化できるかどうかというような点につきましても突込んで一つ検討いたしたいと思います。
  63. 海野三朗

    ○海野三朗君 もう一つ最後にお伺いいたしたいんでありますが、このスクラツプの問題であります。スクラツプが今この国内ではすべて自由競争になつて乱調子でありますが、このままに放擲すれば小さいところの製鉄会社が困つて来る。で、そういうことに対しては道産当局はどういうふうにお考えになつていらつしやるか、これが一点。  それから自動車の輸入でございます。自動車の輸入相当な額になつておると思いますが、部分品につきましては内地においては研究が十分できない。それは金がないから研究ができないのだ。で、自動車の部分品と申しますると金属でも数百種から成つております。一つの自動車に対してもそれは部分々々についての研究が日本ではできていないんだと、従つてそれが商売にならないから内地品はアメリカ品に追付けないということになつておるので、    〔理事加藤正人君退席、委員長着席〕 もう少しこの科学技術の方面に力を注がれなければならないのではないか。そうしてこの外国品の輸入を何とかもう少し制限するお考えはないか。そういうことをお伺いいたしたいと思います。
  64. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) スクラツプの問題につきまして非常な乱調子の自由競争になつているというお話でございますが、これにつきましては場合によりましたらいわゆる合理化カルテルと申しますか、独禁法等におきましても許される範囲においての協定等によつて処理をいたしたらば如何かと考えております。  それから自動車の輸入の場合は、先ほど数字を挙げて申しましたように、大体半期に二千台くらいで入つてつた。これを完成車としては抑えて、そうして少くとも全部が国産で行かないのでありますから、できるだけ日本ではどうしてもできないものを輸入する、或いは技術を導入するというようなことには適正な外貨を割当てまして、全部が国産品でなくつても、国産品の使用度を高めて行くという意味合いにおきまして外国会社との提携を促進することにいたしたい。
  65. 海野三朗

    ○海野三朗君 自動車の部分品とか、そういうものの研究に対しての研究費というようなものは如何ようにお考えになつていらつしやるのでありましようか。
  66. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 自動車の部品につきましての特別な助成措置はとつておりませんが、ただその部品を作りまするいろいろな設備につきまして新規の工作機械がいいとかいうようなことにつきましては国産化の補助金等もございますので、そういうことでは如何かと思つております。なお明年度ございませんが、今年度までは例のオート・レースの関係等で若干の自動車関係の助成がありまして、そういうことで部品の合理化につきましては例の組立て輸入のものにつきましても、今後はできるだけ国産化するようにということで具体的な計画を出させまして、一番国産化のやさしいタイヤ、バツテリーの類からだんだん高めまして、バネその他のものまでも、最後の目標は全部国産品ではございましようが、それはできませんけれども、そういうふうに徐々に部品の国産化をするという方針で指導いたしております。
  67. 海野三朗

    ○海野三朗君 そのお金はどれほど見込んでいらつしやるのでありましようか。
  68. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 自動車の部品の国産化だけの補助金というものにつきましては、別段幾らというふうに予定いたしておりませんが、今申上げましたような範疇に当てはまります申請があります場合にはできるだけ考えて行きたいと思つております。
  69. 海野三朗

    ○海野三朗君 この科学技術の研究費についてはどれくらい通産省としてはお持ちになつておるのでありましようか。
  70. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 直営の試験研究所といたしましては、御承知のように機械試験所を持つておりまして、この関係の経費としましては明年度一億一千七百万円余りの経費を持つております。そのうち特にこの研究関係として見込めますものは庁費の系統でございます。なおそのほかにも民間の試験研究等に対しましていろいろな工業化或いは応用研究等の補助金を持つておりまして、これは先日の委員会で申上げましたように、六億円余になつております
  71. 海野三朗

    ○海野三朗君 只今のそのお金は多く人件費が入つてつて、研究費に余り向いておらないのじやありませんか。本当に研究費としてはどれくらい見ておりますか。
  72. 岩武照彦

    政府委員(岩武照彦君) 研究費という特別の項目は実はこの予算科目上持つておりませんけれども、事柄の性質上御案内のように研究の関係一つは人間関係の経費、もう一つは何と申しまするか、いろいろな燃料でありますとか、或いはいろいろな試験関係の消耗品費でありますとかいうようなものに使いまする消耗的な経費、もう一つは試験研究に要するいろいろな物的な施設費等があると思います。先ほど申上げました庁費と申しますのは、これはそういうふうな消耗品の関係を中心にした経費でございまして、これが大体研究費の一番の実体をなすものでございます。四千万円と申上げたその経費でございます。
  73. 小松正雄

    ○小松正雄君 私は簡単に二、三大臣にお伺いして見たいと思うのでありまするが、先般の大臣通産行政に関しての中の石炭の需要供給という問題に触れられてあります、そのことについてでありますが、本日も西田委員の質問の中に、四千八百万トンを五千万トンにしようとするのも、購入しようとするほうの了解さえつけば、使用するほうの関係も合せて融和すれば四千八百万トンが五千万トンになることも可能であろうというようなお話でありましたので、そこで私のお問い申上げたいことは、この五千万トンという石炭はただ燃料のみに考えられておるのか。なお先般の大臣の御説明の中にも二百五十万トンだけは朝鮮行きかどうか知りませんが、輸出するというお考えのようなことも聞いておりまするし、要するにその二百五十万トンを引いたあとだけは国内燃料としてのみお使いになるのであるか。
  74. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これはちよつと先ほどの私の説明が不十分であつたと思いますが、国内の需要だけではございませんで、いわゆる特需関係ども入れてできるだけ消費を多くしたいという考えでございます。従つて特需の中には米軍が買上げて朝鮮に送るものもございましようし、又UNKRA等の関係で買うものもあろうかと思います。それらを含めてのつもりでございます。
  75. 小松正雄

    ○小松正雄君 結論的に申しますれば、一応この数字に上るものは燃料考えてもいいわけですか。
  76. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) これは実はお尋ねの趣旨が、石炭をその他の工業の原料にするということを含むかということと思いますが、只今のところはこれは全部燃料として考えております。それだけに原油との関係が非常にむずかしい問題であります。
  77. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこで私はこの石炭の重要性から考えまして、今日の石炭に従事する人たちの将来のこと、又この石炭採掘に従事する不肖私ども考え方から勘案いたしまして、ただ単に燃料のみにお使いになるということでなくて、もう一歩進んで科学の応用等によつて、何かこの消費政策をおとりになるということがあるか、只今もそういうことに着手されつつあるか、将来のことについてお尋ねしたいと思います。
  78. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) それは誠に御尤もな点でございまして、それは是非その用途の拡大ということを考えたいと思つております。ただ現実に、これは本当にざつくばらんに申上げるのでありますが、当面のことに追われておりまして、そこまで積極的な構想をまだまとめるに至つておりません。
  79. 小松正雄

    ○小松正雄君 そこでこの段階でありますので、是非一つそういつたことに着手をなさるようにお願いを申上げておきまして次に移りたいと思います。  それは二十八年から向う五カ年計画で機械近代化による、或いは竪坑の掘鑿によることによつて石炭コストを下げる、石炭コストさえ下げれば諸般の国内生産費も安くなる、これによつて貿易目的も完遂できる、こういうお考えの下に政府はその施策をとられておるということを私は確信するものでありますが、それに対しまして私のこれは考え方が誤まりか、或いは又過言な言い方だとお考えになるかも知れませんが、将来を考えると今日の私どもの中小炭鉱の立場、これらについて考え併せたことについてお尋ねをしたいと思うのでありまするが、そういう値下げをするということの観点から、二十八年度は二百五、六十億の資本を投資され、これは大よそ大手の炭鉱にのみであろうと私は考えるのでありまするが、もともとそのときに、現大蔵大臣であります小笠原大臣通産大臣にちよつと出られたときに、私お伺い申上げたときに、二百十億は大手であるということでありましたから、それは余りにも一方的でないか、中小炭鉱でも、見込のない炭鉱ばかりではないじやないか、これに対する施策はないのか、こういうことを御質問申上げましたら、その次のときに、五十億だけ計上することになつたということを聞いたわけであります。併しながら中小炭鉱に対してただそういうふうに予算は書かれてもなかなか機械近代化のために、その使途として使おうとする金の借款方法はなかなかできない。大手は漸次それがために進捗しておる。而も五カ年計画ということになりますれば、二百億にいたしましても五カ年の間には一千億を大手には金を貸出して、そしてそれがために目的を達する。竪坑掘鑿もでき、諸般の機械も近代化されていよいよ石炭の採掘にも万全が期せられて、充実がされてどんどん石炭が出て来る。こういうことを五カ年後を考え併せたときに、そうなるとまあ仮定いたしますると、私どもはこの中小炭鉱として経営をして行く上において果してこの五カ年はついては行けない。こういう段階になつておることは石炭の過剰であり、中小炭鉱は御承知のように、大臣承知ないかも知れませんが、一例を挙げて申しますると、国内でも一応大量な石炭を焚いておるというのは鉄道であり、電力会社である。こういうところは金の取引も健全である。これには中小炭鉱の石炭というものは大よそとつてくれないのですね。それはどういうことかというと、まあ鉄道に関してはそういうことはないでしようが、電力会社等には紐が付いておる。御承知のように株主であり、社長であり、会長である。これは明確に大手五社といいますか、十八社といいますか、それらの炭鉱のかたがたのやはり紐が付いておる。網が引いて行かれる。それらの石炭のみを使用されて行くということから見ましても、我々中小炭鉱がついて行けない段階に今日追込まれて来てしまつておる。そこでいよいよ完成の暁にはこの炭価のコストを下げるためにやつたんであるけれども、果して下るかということも私は申上げたい。ここが過言かも知れんというわけです。いよいよ十八社によつて諸般の採掘が完全に準備せられた。そうして五千万トンでも六千万トンでも出る態勢になつた。そこで労力費或いはそれに関連した租税その他の間接費がなくなつてしまうということになりますると、現在五千円ならば三千五百円でいいわけでありますけれども、それらの人たちのみが話合われて、そういうことはないかも知れませんが話合われて、国が幾ら必要であると言われても、これだけかかるからこれだけ出してもらわなくてはいけないということに相成ろうかとも私は考えるわけであります。それに対して政府は一千億に対しては、五カ年後完成した場合には五百億というものは租税特別措置法によつてこれは融和されて免税になる、こういうふうなことに私は相成ると思いますが、どうでございましようか。
  80. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) ちよつと私にも理解ができなかつたところがあるのでありますが、最後の点は、例えば追加投資の関係を控除するとか、減税するとか、そういう点でございましようか。
  81. 小松正雄

    ○小松正雄君 竪坑掘鑿機械なんかによるものは、今申しまするように、租税特別法によつて完成の暁には、五〇%の償却を認めるということに相成つておりまするから、一応一千億かかつたというものが、五百億というものはそういう対象によつて免税をされるということは、国民の税をやはりそういうことにされるということに私は考えるが、そうであるかということと、それからもう一つは、そういうふうに完成した暁には、大手独占の事業になつてしまいますために、中小炭鉱は振り落されてしまうか、残つてもそういう競争の段階にはとてもついて行けない。一応中小炭鉱というものはなくなつてしまう。そういうことになりますると、独占的な石炭採掘業に相成つてしまう。そういう大手のみの石炭の業者になるならば、政府が幾ら炭価を下げなくてはいけないという目的を出されたものが果してその通りに行くというお考えにあるか。私はそういうことがないと言つておる、その場合について……。
  82. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) 今の御指摘の点は、実は現行法ではそういうふうになつていないと思うのでありまして、実は石炭の追加投資の問題について、税法上減免の措置をとることは実は我々は考えたのでありますが、今お話のような問題その他がございまして、今国会にはそういう法律案は提出することはないと思います。ただコスト引下げのために大手筋のみならず中小炭鉱につきましても何らか徴税上その他の工夫はないものであろうかと、主として徴税技術上の問題として今検討をいたしておりまして、大蔵省のほうとも打合せを今進行中でございますが、その程度のものであれば決して今御心配のような点は起るまいと思います。それから先ほどお尋ねがありました金融の問題につきましては、正確な数字を今ここに持つておらないのでありますが、例えば中小企業公庫その他の方面からの中小炭鉱向けの融資が最近の残高では恐らく三十億ぐらいにはなつておるかと思いますが、こういうものにつきましても、これはなかなかむずかしいことではありますが、できるだけ政府側においても何とか、斡旋とまで行きませんでも、金融機関との間の繋がりは、中小炭鉱におきまする場合においても、できるだけの配意をして参りたいと考えております。これは当然のことでございますが、それらを通じ大手だけに偏重したものの考え方は、今後におきましてもとつて参らないつもりでございます。
  83. 小松正雄

    ○小松正雄君 今申上げましたような観点から、ここ二、三年の間に中小炭鉱というものは一応淘汰されるということは火を見るよりも明らかである。私ども今現在指摘したように、鉄道だろうと、或いは電力会社であろうと、大手のみの石炭が少くとも七〇%ぐらい入つておるのではないか。それから中小炭鉱といつても大手に等しい炭鉱の石炭が入つているという以外には、実際に月産千五百トンか二千トンぐらいの細かい炭鉱の石炭は殆んど鉄道に入つていないと私は思うのです。それから電力会社にはそういう紐付のために中小炭鉱の石炭というものは本当に僅かしか入つていない。こういうことから考えて見ますと、金融の面等においても、何といつて大臣は簡単に何十億出た、何十億出しておる、何十億又それが中小炭鉱に流れるというようなことを言われますけれども、決してそうではなく、実際に入りましても、なかなか去年の六月の水害の当時から申請をしておきながらも今日まで金が得られないという対象はどこにあるかといつたら、やはりそれに匹敵する担保がないというようなことと、中小炭鉱はこういう段階にあるために、その責任ある者としては回収できるかということをやはり懸念するわけです。そういう意味から貸されないということはやはり無理もないわけです。そういう観点から中小炭鉱が当然ここ二、三年持たないうちに倒れてしまう。そうするとこれに従事している人だけでも十何万もある、或いは又設備の近代化によつて人員を整理されることは御承知通りであります。これから先もこれは労働問題にもなりまするし、国の大きな問題にもなりましよう。で、大臣は、労働大臣とおつしやるかも知れませんけれども、基本的な、根本的な、炭鉱という、鉱山という関係からいたしますと、大臣は何といいましても源である鉱山を預かる責任ある大臣でありますので、そういう問題を今からここにお考えを頂くということが必要であろう。こういうことから考えますと、一番、石炭の炭価を下げて国内消費の充実を完成させようという見通しということになりますると、この中小炭鉱をどうせなまはんかに置いておかずに整理資金というものを以て国が大整理を断行して、そうしてそれらによる従業員に対しての退職金等もやられるような措置をとつてもらうことが一番私どもは望ましい。それによつてこそ立派な大手筋のみといいますか、充実したそういう石炭の採掘方法等によつて出て来るということになれば、国内石炭がどれだけ要ると言えばどれだけ出るという見通しもつきましようし、そういうことにお考えがあるのかどうか、又進んで当然そうなるということを予測されるならば、この際大臣としては見通し的にそういう観点に立たれて、大整理をするという整理資金といいますか、これを一つ出すような新らしい法案でも提出されるようなことのお考えに願いたい。こういうことを思いますが、どうでありますか。
  84. 愛知揆一

    国務大臣愛知揆一君) いろいろの点から御意見承わりまして、その点は感謝に堪えないわけでございます。私も、就任の日も浅いので、先ほど申上げましたように当面のことに追われておりますが、積極的な、さような面につきましても誠意を持つて検討をいたしたいと思います。
  85. 中川以良

    委員長中川以良君) 本日は通産大臣に対する質疑はこの程度にしておきたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 中川以良

    委員長中川以良君) 次回は通産大臣は来週の金曜日、十九日の午後二時半に出席される予定でございます。  それからちよつと只今お手許にお配りいたしました資料でございまするが、先般藤田委員から御質疑がございまして、その結果要求された電力会社から出ておりまするところの報告書でございます。これにつきまして極めて簡単に一つ公益事業局長から御説明を願います。
  87. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 只今配付いたしました資料の内容を簡単に申上げます。  一番上の半分の紙は、これは毎月乃至は毎期当局でとつております電気事事業者からの報告書であります。それの名称と提出期限を書いてあります。  それからその次、二三枚が上期の業績を示したものでありまして、第一頁は九月末現在の貸借対照表、二頁までそうであります。一頁でちよつと注意する数字だけ申上げますが、一番右の合計の、下から三番目の二十五億六千五百万円幾らというのがございますが、これが上期の電気利益として上るわけでございます。それから十ばかり上りましたところに資本金二百七十七億というのがございます。これが上期末の資本金の現在高でございます。それから更に三つばかり上の渇水準備金八十六億四千四百万円、これが上期に積立てましたものを加えまして、要するに現在積立てられております渇水準備金の額でございます。  それから資産の部は省略いたしまして、三頁が上期の損益計算書であります。この一番下の二十五億六千五百万円というのが、前の当期純利益の数字と合致するわけであります。この中で一番右の上の電気事業収益九百十九億三千万円、これが電気料金収入として入つて来るものでございます。これは半年分でございますから年間ではこれの二倍になる、こういうわけでございます。下期は渇水期でございますので、この数字よりも当然下廻るわけでございます。  それから四頁がその二十五億を超えました当期利益金の処分でございまして、結局配当その他を差引きまして、後期に繰越されておりますのが全国で六億二千九百八十八万九千円という右の端の数字でございます。  それ以下は物価指数との関係を調べておりますが、表の一が電気料金と一般物価及び公共料金との値上り比較とありまして、この上から半分が電気料金のそれぞれの使用区分ごとの値上り倍率と、それからその下のほうに物価指数との比較がございます。例えば定額電燈で参りますと、昭和九年—十一年を基準にとりまして、二十ワツトの場合は一二八倍になり、四十ワツトの場合には一四二倍になつております。それから従量電燈の場合には十キロワツト・アワーについては一〇四倍になつておる。それが小口電力につきましては一〇四・九倍、大口電力が八八倍となりまして、卸売物価指数と比べますと三五九倍、小売物価指数と三一九倍という大きな数字になつておりまするが、この関係におきましては電気料金値上りは比較的少いということになるのでございます。  それから下の半分の日銀調料金指数でございまするが、これには電気は載つておりませんけれども、大体今の関係から考えまして、大体一二〇倍から一四、五〇倍ということになるわけでありますが、それに対しましてガス、水道というものを挙げますと、ガスは二四七倍、水道は九四倍で、その他鉄道旅客運賃は一三四倍、それから郵便が三三三倍となつております。  それからその次も大体今のような数字を暦年ごとに比較いたしました表でございまして、電気料金の指数、卸売物価指数、小売物価指数の比較でございます。二十八年度におきましては電気が一四三倍で、卸売物価指数が三五九倍、小売物価指数が三一九倍といつたような日銀の統計になつております。  それからその次から、これは電気料金がいろいろな経費の中でどの程度のパーセンテイージを占めるかということでありまして、表の三、第一番でありますが、これを東京と全都市の二つに分けまして、生計費の中で電気料金が何%を占めるかということを調べております。これには世帯人員その他の数字がございますが、総理府の調べによりますと、東京におきましては最近の二十八年の十月、中ほどの欄の下から二番目に一・〇七%とございますが、一・〇七%生計費の中で電気料金が占めておる割合でございます。過去一カ年間、十一から十となつておりますが、二十七年の十一月から二十八年の十月の一年平均をとりますと一・三三これを全都市平均でとりますというと一番右の欄にございます通りに、最近の期間におきましては生計費中に一・二七%を電気料金が占める。それから一年間をとると一・三六%、こういうわけでございます。  それからその次はこれは光熱費と電気料金との関係でございまして、これは東京都を標準としてとつております。例えば右から二番目の一番下、一・〇七%というのが東京の二十八年の十月の数字に合致しておるわけであります。  それからその次から日本と外国との電気料金の比較でございますが、これは各国のやつがまだ集まつておりませんで、アメリカ、イギリス、ギリシヤというのがちよつとわかつておりますが、この関係の比較をいたしております。これはいろいろ事業区分ごとに違いますので、電燈或いは電力というふうに分けまして、表が幾つか載つておりますが、一番初めの表だけについて例示的に説明しますと、従量電燈の二十キロワツト・アワーを使つた場合、四十キロワツト・アワー、或いは百キロワツト・アワーを使つた場合はどうか、こういうふうな比較をいたしまして、二十キロワツト・アワーの場合、東京電力の場合にはこれは一キロワツト・アワー当りの単価が九円八十五銭ということになつております。それが米国の一番上のコンモンウエルドエジソンという会社におきましては十八円、約東京の二倍になつております。こういうような比較をいたしますと、日本を一〇〇といたしました場合に、アメリカにおきましては米国の欄の下から二、三行目に最高、最低とありますが、最高はその二倍二分八厘、最低でも一倍三分七厘、一三七%程度アメリカのほうが高い。こういうことでございます。イギリス等におきましても七割或いは五割という程度日本よりか高い。こういうことになります。それがその表の一番右の百キロワツト・アワー、大量に使いますというと外国では比較的に割引をいたしますので、アメリカの場合におきましても二二八%にはなりませんで、最高でも一六九%であります。イギリス等におきましては日本よりか安くなる。こういうふうな恰好になつております。以下業務用或いは大口電力等においてもそういう趣旨で御覧頂きたいと思います。  それから最後に二枚ほど縦の表がございますが、これは先ほど御質問もあつたかと思いますが、この表は通産局で調べました一応の数字でございます。各地区別に産業別生産原価の中で電力費がどのくらいを占めるかというパーセンテージを出しております。これは地区によりまして、又工場によりまして非常に同じ業種でありましても違いますので平均を出しておりますが、その間には非常に開きがあるということはあらかじめ御了承願います。なおこの数字につきましてもいろいろ作り方にむずかしい点がございますので、実は一〇〇%自信があるわけではございませんが、一応の参考といたしまして出したわけでありまして、例えば国鉄におきましては、これは四半期ごとに区切つておりますが、安いときで四%、高いときは全国で七・九%程度原価の中において占める。私鉄におきましては大体八%、水道は二割から三割というような数字が全体の参考として出ているわけであります。
  88. 藤田進

    藤田進君 この最後の表ですね、これは現行料金ですね、二十七年度以降のものですから……。
  89. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) 現行料金であります。
  90. 藤田進

    藤田進君 これは通産省がピツク・アツプしてこういう計数を出したのですか、やはりどつか元があつたのですか。
  91. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) これは通産局の公益事業部でそれぞれ調査いたしました。
  92. 藤田進

    藤田進君 それから資料をお願いしたやつで出ていないのがありましたね、あれは何か理由がありましたか。
  93. 中島征帆

    政府委員(中島征帆君) いま一つ、この前に下期の収支の見通しについてというお話がございまして、これもやつたのでございますが、下期の分につきましては十二月までの、その計数報告書にもございますが、十二月までの月報を取りましてそれからあと一月以降を推定するということになるのでありますが、十二月の分の提出が遅れまして、まだ集計ができておりませんので、それを至急やりましてあと推定を加えまして一週間ぐらいの間に提出できるかと思つております。
  94. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  95. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十六分散会