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西田隆男君 私がお尋ねせんとするところは大体答えられたようですが、私は又別な角度からもう少し具体的にこの問題を検討して行きたいと思います。酒井喜四君たちが経営陣を退きますときに、本間君の手許に誓約書が入
つております。その仲介をした者が菊池寛実氏と南某氏であります。でこの二人は私は株屋さんとは思
つておりません。株の売買に非常な興味を持
つておられる、これは事実のようであります。この御両氏が中に入られたようですが、これに対して当時の帝国
石油の労働組合、これがまあ非常な反対をしたようでした。そこでさつき川上さんが言いにくいように言われなか
つたいろいろなスキヤンダルの問題も関連してお
つたために、帝石の経営に一切参画しようとは
考えていないという意味の念書が本間政務次官の下に入れられておる。そういういわゆる非常に大きな
条件を付けて、新らしい今の経営陣ができた。私はかように
承知しております。ところがその中に菊池寛実君と南君が現在では一人が取締、一人が監査役の形で入
つておる。成るほど
通産大臣が言われるように私
企業の会社の人事に関してまで
通産省があれこれ指図すべきものではないと私も
考えております。併しながら、
国民の税金から数十億に亙るような助成金を出そうと決意されている以上、万一の場合においては当然
国民的見地に立
つて、特にこういう特殊会社である以上、干渉される場合が絶対にないとは私は言えない。これはあ
つても然るべき時期があると思います。で、現在の帝石の内紛がどういうことに原因しておるかということはくどくどしく申述べません。が、併し先ず第一内紛の原因を蒔いたのは改組の場合に入らないという条約を本間通産政務次官にしておられた両氏が経営陣に入られたということが
一つ大きな要因をなしている。これは間違いないと思います。而も現在の帝石の重役陣を見てみますというと、いわゆる社長派と言われるものといわゆる菊池、南派と言われるもの、二派にはつきり分れてしま
つておる。そうして要は主導権の争いである。帝石そのものを今後如何ように持
つて行くかという理想の争いではなくて、ただ単なる主導権の争いであるというところに、私は
通産省が監督官庁として、又四百六十万株の大株主の
意見を代表するものとして厳然たる態度をとられなければならんと思うのです。で、本日の東京日日新聞を私持
つて来ておりますが、これを読んで見ましよう。これはもう詳細に書いてある。「
通産省乗り出すか」「帝石人事の収拾」等、この問題が大きく載
つている。これは今初めてじやありません。もう帝石の内紛の問題は
新聞雑誌を賑わすこともう久しい。余りに長くなるにかかわらず、またまたこういう新聞が出されておるということは、
石油増産のための助成金の支出には賛成をしても、帝国
石油に対して、こういう
状態のままで、
通産大臣が、この
状態を早急に改善するということでなくては、こういう問題には賛成をいたしかねる。本年度の、今提出されておる一億三千万円の助成金を出すことにすら私は賛成をいたしかねる。要は帝国
石油が国家の最も有力な、而も必要な
産業としての独占会社として、
政府の
考えておるような五カ年
計画を実施するにふさわしき内容を持つに至るかどうかという問題が、当然我々国会議員の間では問題にされなくちやならんと思うのです。
通産大臣は非常に表面上はおやさしいようなかたのようですが、蕊は強いということを私は聞いておる。
表現する場合には如何にやわらかでも結構です、実行する場合は
一つ勇猛果断にや
つてもらわないといかん。終戦後の
通産行政というものは、
通産省に確固たる
方針と信念に基いて行動することが余りにも少か
つた。そのためにいろいろな問題を生じておる。こういう事態では、如何に
通産大臣が高遠な理想を持
つて、一兆円内の
緊縮予算を実施して、
通産行政を軌道に乗せ、
日本経済のために貢献せんとしても、それはいすかの嘴の食い違いで、到底それを
達成するのは困難であると思います。これは川上さんなんか、
通産大臣にこの際実情をよく話してもらいたいと思いますが、
通産省の
考え方というものが、帝国
石油の人事、或いは
企業方針というものに
相当強く
影響を及ぼすことは、これは否めない。事実そういう力を持
つている、
通産省は。それにもかかわらず、危いものは避けて通れ、どうにかなるだろうというような
考え方は、私はこの際許されんと思うのです。個人々々の重役の問題に私は触れたくありません。そうすると、この次の帝石の人事というものは、どういうふうにされるかというような問題が、実は私は
通産大臣に聞きたい。聞きたいのだが、それは将来に関する問題だから私は聞きません。
従つて現在生じておるこの事態を、万人の納得の行く姿において早急にこの紛争の解決をしてもらいたい。この場合は、さつきも申しましたように、
通産大臣が人事問題に関連してはいけないというような弱い
考え方を捨てて、
通産大臣は、構わないから
通産行政の面からこれはいかん、だからこうこうこういうふうにしろ、そうまでは言えなくても、そのくらいの決心を固めて、帝石の人事問題は片を付けてもらいたい。
私はもう
一つ他の面から申上げたいと思うことがある。それは帝石の株が昨日八円
上つた。現在百十七、八円している。非常に公共性の強い独占
企業というものの株というものは、払込を上廻
つてはならん。株屋の株の操作によ
つて、公共性の強い事業の株式が
上つたり下
つたりするというようなことは、最も
日本にと
つては好ましくない
状態です。特に緊縮財政を実行して、
日本の国の
経済を対外的にしわ寄せしようとしている現段階においてなお更である。ところが帝石の株は百八十円してみたり、急に百円に下
つてみたり、又百三十円に戻
つてみたり、種々様々に変る。私はその理由がわからない。これは結局帝石の経営陣の内紛がこういう姿で現われている、或いは帝石に思惑を持
つている株の売買によ
つて、帝石を高くしようというような動きのために株式が上下しておる。まあ、恐らくこんな事情以外には帝石の株がこんなに移動するということは
考えられん。若しそういう実態であ
つた場合には、補助金、助成金の段ではない。別に会社を作
つてでも
日本の
石油を採掘するために
通産省は当然乗出すべきである。若しこれをこのまま
委員会で問題にせず看過して、補助金、助成金が出ることは、再びスキヤンダルとして又新聞が取上げて、国会の信用を失墜することがないとは言えない。これは非常に重要な問題で、今後衆議院、参議院を通じて国会で法律案或いは助成金その他のものの審議に当
つては十分に
政府としては、
政府の
予算に計上した以上は、相手方に納得させて、そして補助金、助成金を使う方向に行かなければ、ますます
日本の政党政治は
国民の信頼を失な
つてしまうであろう。私はそれが非常に恐ろしい。そういう意味合いから今日は帝石の問題をちよつと爼上に上して見たのです。
通産大臣新任早々でお苦しか
つたろうと思いますけれ
ども、これは是非積極的に公明正大に公正にこの問題の解決に
一つ乗出して頂きたい。ほかに
大臣に聞くことはたくさんあるのですが、今日の国会の模様、世相を見ておりますと、こういう問題を参議院の
委員会で取上げて、そして公正な、みんなが妥当だと思う面に持
つて行くことも、これは他の問題を収入れることよりも、もつと必要な問題ではなかろうかと
考えるから、あえてこの問題を取上げた次第です。どうか
一つ通産大臣の良識の下に、我々が納得のできるように、
国民にいろんな疑惑を持たさないで、自分たちの税金を喜んで出すように賛成するように、
一つ厳然たる態度を以てこの問題の解決をして頂きたい。これで私は時間が超過しましたから一応やめておきます。