○国務大臣(愛知揆一君) 第一点は中小金融の問題で、特にその資金源のお話でございましたが、これはよく御承知の
通りの現状或いは二十九
年度の
計画でございますから、詳細に数字を挙げて申上げることは省略いたします。特にあとの第二、第三、第四の
関係がございまするので、それを合せてお答えいたしたいと思います。ただ中小企業金融公庫におきましては、二十九
年度の資金源は百七十億円ということに相成つております。それから国民金融公庫におきましては
昭和二十九
年度の貸出の資金量は約三百十九億円に相成つております。それから商工中金につきましては御承知のように金融債の引受額がまだ未定でありますことと、指定預金の引揚げの
関係がございますので、まだ二十九
年度の資金繰りを確定的に
幾らと申上げることはできませんが、大体明
年度において現在
見通しておりまするところでも、年間を通じて五十億円の増加を来たすことはあるまいというふうに見ております。
それから第二のオーバー・ローンの解消策の問題でございますが、いわゆる池田構想と言われておりましたものについては随分まだ
検討の余地がございまするので、現在大蔵省が中心になりましてできるだけ早くこの成案を得たいという努力をいたしておるわけでございます。併しながら大体の考え方は池田構想のときに考えられたのと大筋は同じでございますが、御指摘のように中小金融に対する配意があの構想では十分でなかつたというよりはむしろ表面に出ておりませんので、この点は
通産省としては特に重視しておる点でございまして、池田構想の改案といいまするか、この成案に至りまするまでにおきまして、私といたしましては中小金融のほうに是非これは一口といいまするか、二口と申しますか、この中の
相当の割前を是非確保したいと考えておるわけでございます。その際におきまして私は商工中金の
関係が特に重点的に考えられるのじやないかと思つております。
それから第三の指定預金の問題でございますが、これは先般も申上げたと思いますが、少くとも当面のところ
相当これから三月までの間には国庫の対民間収支が揚超に
相当なるだろうと思うのでありますが、それらとの
関係を見まして、できるだけ引揚げを円滑にするというよりはむしろ調整を積極的に加えたいというふうに考えております。それから廃止の案というお託がございましたが、これはそもそも大蔵省的な考え方になるかも知れませんが、国庫金が実際政府の必要であるべき以上に多額に入つて来るというそのこと自体がおかしいのであつて、若しそういう事態であればこれはいわゆる本当の意味の収支均衡
予算とは言えないのじやなかろうか、二十九
年度の
予算案においては自然増収はできない、従つて国庫と民間の収支の
関係はとんとんであるということで、この二十九
年度予算案が編成されておりますから、建前或いは理論的に言えば多くを指定預金制度に期待することができないということが言えるかと思いますが、併し実際はこれは生物でございますし、或る時期を見れば
相当私は余裕のある時期もあるのではないか、その場合におきましては、当然金融の緩和という点から言うて二十九
年度において特にこれが中小金融について考慮すべきものと考えます。それから若し制度としてこれは面白くない制度であるということで廃止ということに仮に
なつたといたしますれば、当然只今御指摘のように国庫金に一時余裕のありましたような場合にはこれを資金運用部を通ずるなり或いはほかの恒久的な機構を通じて運用ができるようにすべきものであつて、廃止のしつ放しで結果において引揚げつ放しであるというようなことになることは、私
ども前から申しておりますように角を矯めて牛を殺す結果になると思いますから、この点は十二分に一つ考えて参りたいと思います。
それから第四の金融債の引受は、現実の今日の問題としては三百億円が二百億円に削られておりまするので、その中で勢い商工中金の利附債券の引受も狭くならざるを得ないと思いますが、これは現在のところとしては私は或る
程度止むを得ないことだと思うのでありますが、オーバー・ローンの解消
措置がその間成案を得る運びになりますればそのほうと合せ、且つ指定預金の
影響は商工中金に最も顕著でありますので、それと総合して、商工中金の資金源を何とか一つ確保するように努めて参りたいと思つております。
それから第五の税制の問題でございますが、先ず税率の
関係で申しますと、個人の場合におきましては、基礎控除が七万円に引上げられたということが一つでございます。それから事業税におきましては、法人について所得が五十万円に満たない場合におきましては、税率を従来の一二%から一〇%に引下げるという案を作つたわけでございます。個人の場合で申し落しましたが、妻を専従者としてこれを控除するということにも国税のほうは直るはずでございます。それからいま一つ、この中小企業に対する課税方法を簡素化するということから、従来の所得税の予定申告制度を予定納税制度に改めることにいたしました。それからいま一つ、事業税の
関係では課税標準を原則として法人税或いは所得税のそれと一致させるということにいたしましたから、今後におきましては、例えば税務署が課税標準として決定した五十万円というものは、地方税である事業税の場合でも、その課税標準は五十万円ということに機械的にするようにいたしまして、課税標準がきまつて、納税者に二重の手続をかけるということ、或いは無用な紛争を起すことを避けるようにいたしたわけでございます。
それから物品税等につきましては、実はこの点は或いは御趣旨と反対のようなことが若干あるかと思うのでありますが、例えばテレビジヨンでありますとか、そのほかの常識的にいわゆる高級奢侈品と思われるものは物品税が増徴されることに税法が改正になるわけでございますが、併しこれは
先ほどお話がございましたように、小
売業者をいじめるということを趣旨にするものでは当然ございませんので、高級奢侈品を買うところの
消費者にその税額が完全に転嫁されるというような徴税方法でなければならないのでありまして、この課税の方法等につきましては高級織物の
消費税等と併せまして、その徴税方法については、現在まだ政府部内におきましても
最後の成案を得るまでに至りませんが、
最後の成案を得るまでに日を要しておりますのは、ひとえに小
売業者にその税が転嫁されることがないように、どうやつたらいいかという方法論につきまして、
通産省としての意見とそれから他の大蔵省その他との間の話合いがまだまとまつていないからでありまして、この点は
最後まで努力をするつもりにいたしております。