○
政府委員(
中島征帆君) 去る一月二十日に提出されました
電気料金改訂の
申請につきまして簡単に御
説明申上げます。
電気業界におきましては二十六年以来
電源開発に努めておりましたが、二十七年の五月に現在の
料金が定りまして、その後二十七年、二十八年、更に来年度まで考えますと九年、この間におきまして
開発が進行いたしました結果、新らしい
発電所が続々と稼働いたしまして、
新規の
供給力として入
つて来ておるわけであります。ところが特に戦前までに建設されました
発電所の
原価とその後建設されました
新規発電所の
原価というものを比べるというと、そこに非常な
開きがございまして、大ざつぱに言いまして約三倍近くでありますが、それだけの高い
発電所が稼働いたしました結果、新旧
平均いたしましてもかなり
原価の
高騰を来たす、こういうことのために、どうしても
料金改訂は近い将来においては免かれがたいということで、昨年の秋以来
業界におきましても、この点を
検討してお
つたわけであります。それが今年の一月に一応
申請書として提出されたわけであります。当局といたしましても、この問題につきましては当初から相当
研究もいたしておりましたが、特に今度の
改訂に関しまして一番問題を投げましたのは、
原価高騰による
料金の引上げということのほかに、
只今委員長の申されました
通り、
制度を
改訂いたしまして、従来の
料金制度、いわゆる
大口に対しまする
割当制度を廃止するという
意味におきまして全面的に
改訂しておる、この点が併せて
申請の
内容とな
つております結果、
料金改訂の結果、或いはその
影響等につきましての観測が非常に面倒にな
つて来ておる、この点が
一つの大きな特徴であります。私のほうでは昨年の秋以来、特に現在まで
検討いたしておりますのは、
現実に
原価がどうなるかということもありますけれども、それより前に、先ず来年度の
需給計画がどうなるか、それからこの
制度を
改訂いたす場合にはどういうふうになるか、
制度の
改訂によ
つて新らしい
料金制度というものが極めて公正であり、妥当であるという場合は結構でありますけれども、それがそういう結果にならない場合、或いはむしろ
制度の
改訂は不適当だという
結論の出ることもありますので、その点につきましてどういうふうに考えるべきかということを十分
検討いたして来たわけであります。一応これにつきましての
結論は今後の問題でありますけれども、我々の基本的な
考え方といたしまして、現在極めて
大口の
需用に対しまして実施いたしております
割当制度というものは、今日までの実施の結果から見ましても、いろいろな弊害もありますので、又
供給力がかなり
増加いたしました今日におきましては、いわゆる
使用制限という
意味も兼ねたこの
割当制度というものは廃止すべきである、むしろ
電力の
料金制度を最も明瞭にするためには、過去におきまするように、
料金を一本化いたしまして、
一段の
料金で以て如何なる
需用に対してもこれで支払うということにするのが最も適当である。かように考えておるわけでありますが、そこまで現在の
段階として行き得るかどうか、又若し行くとすれば、どういうふうな形で行くべきかという問題につきまして、特に
公益事業局として
研究をしてお
つたのであります。大体の
見通しといたしまして、現在のこの
割当制度は、来年度におきましては廃止しても差支えないだろう、むしろ廃止すべきであろう、但し今日行われております二段
料金制というものは、現在のところ二十九年度の
見通しを立てましても、大
部分の
地区においてはまだ廃止することは困難である、一、二の場所におきましては、これは完全に一本化もできますが、大
部分の所においては二段
料金制をとらざるを得ない、そうしますと、二段
料金制をと
つたときに、初めの
一段、つまり安い
電力料金をかけられるところの
数量をどういうふうにきめるか、従来はこれを
割当で以てきめてお
つたのでありますが、それを如何なる
方式で以てきめるかということにつきましていろいろ
検討を加えてお
つたのでありますが、結局におきましては
一定期間の実績をもとにしまして、これにいろいろな係数を掛けまして、それで自働的にその
需用家の
一段料金を以て使用できる
数量を算出する、こういうふうな
方式を作
つたらよかろうということにな
つております。そこでそのいろいろな
算式でありますけれども、これにつきましてその
やり方如何によ
つては非常な不均衡も出ますので、結果においてそういう
算式が極めて公正な形になるようにということで、或る
程度個別にも
検討いたしておりまして、一応
電力事業者としては、それに対しましての
業界としての
結論を得まして、今度の
申請にな
つておりますが、その
上り方が果して最終的にうまく行くかどうかという点につきまして特にまだ
制度上の問題として
検討を加えつつあります。それから勿論それと併せて今度は
原価の
高騰による
値上げというものにつきまして更にどう考えるかということになるのでありますが、これにつきましては一応基本的には
新規発電力の
増加のため
原価が
高騰するというこの事実だけは我々は認めざるを得ないのでありますけれども、それをどういうふうに見るか、又或る
程度上るといたしましても、それを何か他の面で吸収できるか、こういう点に対しまして我々としては大いに努力しなければならぬわけです。で現在まで私どもといたしましては、できるだけ
原価の面で
高騰が抑制されるような方法をとる必要がある、こう考えまして、特に
税金或いは
金利というものの
引下げを今日まで
関係方面と交渉いたしております。これによ
つてできるだけのものを吸収して、更に
原価の
見方につきましてもできるだけ公正に
検討を加えて
値上げを抑制する、或いは
値上げの幅をできるだけ少くしたい、こういう
考え方で以て現在なお
検討を続けておるわけであります。これを手続的に申しますと、二十日に
申請書は受理いたしておりますが、目下そういうふうな点で
制度並びに
原価につきまして
検討を加えまして、これに併せまして各
方面の
意見も十分拝聴しているわけでありますが、特に
公共事業令の規定によりまして
料金の
改訂を許可する場合には、
聴聞会を開く、こういうことにな
つております。
聴聞会には相当の
予告期間も要りますので、或る時期になりましたら各
地区で
聴聞会を
開きまして、
一般の
意見も聞いて最後に
最終結論を出す、こういうふうな意図を持
つて今進んでおるわけであります。
そこで今度の
値上げの具体的の
内容でありますが、
原因につきましては、これはいろいろございますけれども、大
部分の
原因は先ほど申しましたように
新規発電力の
追加による
原価の
高騰ということが一番大きな
原因にな
つております。ここに配付されております
資料の中で薄いほうの上に
図面のついた表があると思いますが、この一番上の表が
新規発電力の増強の図であります。つまり現在の
料金ベースにな
つております二十七年度以降二十八年度、二十九年どれだけ
追加されたかというのがこの
図面の斜線によ
つて示めされておりまして、広い
部分がそれ以前のものであります。大体こういうふうな
割合によ
つて新規発電所が
現実に動き出しておる、こういうようなことであります。それから二枚めくりまして、
新旧原価比較表という表がございますが、これが今度の
申請の
内容とな
つております
原価の概略の
数字でございますが、これを二十七年度にきめられた現在の
料金に織込んでいる
原価と比較いたしましたのが、この表でございます。これで
御覧にな
つて頂きますと、第一に一番下の欄に純
総括原価とございますが、これが
現行料金織込みでは一千四百四十七億という
数字にな
つておりまして、これが
申請原価では二千百億ということになるわけであります。結局、その差が六百五十四億が
原価的に殖えるということになるわけでありますが、その内訳を見ますというと、一番上の
資本費の面におきまして、
資本費全体といたしまして四百六億殖える。
従つて六百五十億のうちの七割ぐらいの
程度のものが
資本費で殖える、こういうことにな
つております。
資本費の
内容といたしましてはここにあります
通り減価償却、利息、こういうところが非常に大幅に殖えるのでございまして、その他租税、
配当、
準備金という、そういうものが上
つております。それから
一般経費のほうは百七十九億の増でありますが、これは
内容といたしまして
燃料費、
維持費、
人件費とな
つております。
燃料費は御
承知の
通り石炭費でありますが、
石炭は無論炭価の
関係は考えなければなりませんが、
火力発電量というものが非常に殖えますので、その結果絶対額が殖えると、こういうことにな
つております。それから
維持費はこれは
修繕費等でありまして、これも全体の
設備が殖えればそれだけ殖える。
人件費は一昨年の暮でありますか、
賃金ベースの
改訂によりましてその当時の織
込原価よりかその分だけ殖える、こういうふうな
計算で総額百七十九億という
一般経費の
増加を見ております。その他
用水費その他の
増加を加えまして結局においてトータル六百五十四億が
原価的に殖える、こういうことであります。これは無論
原価の面だけからでありまして、これに対しましては当然
新規の
発電により
ます分が
収入として殖えて参りますから、この
総括原価と、それから現在の
料金によります
予定収入額というものを比較いたしましてその
差額がどうなるかという、それが結局それだけの分を
料金にかけて上げなければならん、こういうふうな行き方にな
つております。こういうふうな
内容の
申請を各社総合的にいたしておるわけであります。
それからその次の色の
変つた表がございますが、これは
通産省のほうで作りました表でございますが、
税金或いは
金利の面においてどの
程度のものが
軽減できるか。これにつきましては昨年の夏以来、特に税につきましてそこに上
つておりますような費目その他によ
つて相当な
軽減をしてもらう、更に
金利につきましても
開銀の
金利を五分にしてもらう、そういうふうな
要望をいたしたのでありますが、それがだんだん交渉の結果比較的
実現性に富んだところまで、その
程度まで行けるだろうというふうに落しましたのがここにあります
軽減額という
数字であります。一番左の
現行というのが現在の税制によりますそれぞれの税或いは
金利の
負担額でありますが、それに対しまして
要望案の右のほうにありまする例えば
事業税につきましては
外形標準の〇・八%ということにな
つておりますが、そういう
要望をいたしております。仮にこれが通れば
事業税といたしましては現在
収入の一・六%を〇・八%にすることによ
つて十七億三千三百万円だけの減税になる、こういうふうなことであります。
固定資産税、
法人税等につきましてそれぞれ右の欄にあるように
要望いたしたわけであります。これがその
通り通りますというと、
合計欄の七十四億五千百万円ということでございますが、七十四億
程度のものが
税金及び
金利の面で
軽減される。そういたしますと仮に
原価が二千百億円ということになりますと、それに対しまして七十四億だけは
軽減されますので、三・五五%だけが安くなる。
従つて現在
電気業者が持
つております一割四分四厘という
平均の
数字、それから三分五厘五毛だけは引かれてよろしいということになるわけであります。これに対しまして
地方税、国税とも大体目下固まりつつありますが、現在までのところ
開銀の
金利の六分五厘というのは確定いたしておりますが、
あとの税につきましてはこちらの希望のところまでは行かない。例えば
事業税につきましては
事務的折衝の
段階におきましては一・六を一・五にする、それから
固定資産税につきましては
要望の中の
既設分一・五%というのはこれは認められておりますが、
耐用年数二十五年以上一%というものはこれは容れられませんで、ただ特に
新設部分に対しまして一・五%を六分の一
程度にするというふうな案が出ております。それから
法人税につきましてもこれは所得の四二%という税率は変えませんで、
新規の
増資分に対します
配当金の或る
程度までの
損金算入という原則が立てられておりまして、ただいつからの
増資にするかということについてはまだ確定いたしておりませんが、そういう点で問題はまだ一、二残
つておりますが、おおむね現在までのところでは三・五%にはなりませんで二%余りの
程度までしか行
つておりません。その他この一番下にあります
電気ガス税でありますが、これは
発電の
原価には直接入
つておりません。入
つておりませんけれども、
需用家の
負担としてはこれだけ加算されますので、特に
影響の大きい
需用家に対しましては
電気ガス税を
軽減する。無論我々の
立場から言わせれば
電気ガス税というようなものはその
性質は極めて適当でないので、むしろ全廃してもらいたいという
要望も一時はしておりましたけれども、
地方の
財政事情等の
関係から全廃ということはやはり不可能であるということでありますので、できるだけ免税の範囲を拡げてもらうように折衝いたしておるわけであります。
それからその次の表が
合理化の
経費という表題を打
つておりますが、これはほんの
部分的な
資料でございますけれども、現在いわゆる
合理化と称せられておりますのが
従業員数の
軽減でありますとか、
石炭消費率の低下、
利用率の向上というふうなことが一応
合理化の
一つの目安にな
つておりますが、それが戦後どのような状態にな
つておるかということであります。一番上の欄が
発電量であります。その次が
販売量、この
差額が結局
ロスで消えてなくなるというようなものでありますが、
従つてその次の
ロス率というのが途中でなくなる
電気であります。これは結局におきましては
操作の問題もございますけれども、
送電施設等を改善することによ
つてこの
ロスをできるだけ改善する。そうするとそれだけは
原価が低下いたしますので、
ロスの
軽減につきましては特に戦後力を入れております。この表で
御覧になります
通りに、例えば
昭和二十三年、二十四年におきましては三一・七%というふうな、約三分の一に近い
電力が
送電途上におきまして損失されておるという
状況でありましたが、その後だんだん改善されまして、現在では二四%台に来ておるというふうな
状況であります。これは
各国の実例を見ますというともつと低くて、二割以下でありますけれども、
日本の場合におきましては
水力発電が
電力の大
部分であり、而もそれはおおむね山奥から送電されるというふうな
関係から
ロス率が
各国並みに行かないということは、これは
日本の
電力の
性質上止むを得ないことでありますけれども、これを更に二割
程度まで近付けるような努力は今後もやるべきであろうと思います。二割以下に下げるということは技術的に不可能ではないけれども、それには非常に多額な資金を要して、却
つて原価的にはマイナスになるだろうというのが技術的な
見方であります。
それから
従業員数におきましても、二十三年におきましては十四万五千人おりましたのが逐次減少いたしまして、十三万三千までにな
つております。二十七年から八年、九年とこうかけまして
火力にいたしましても
水力にいたしましても相当大幅に
発電所が殖えますので、その結果二十八年度以降は若干の
増加は止むを得ないかと思われますが、大体こういうふうな経緯を辿
つておるということがこれでわかるわけであります。従いまして
従業員一人
当りの
販売電力量を見ますというと、十五万三千
キロワツト・アワーから逐次増大いたしまして、現在では二十五万というふうなところまで来ております。
従つてそれだけ
能率増進ということが言えるのじやないかと思うのであります。
石炭消費率もこれは
設備の
補修改善、或いは新らしい高能事の機械の
据付等によりまして逐次向上いたしまして、一
キロワツト・アワー当りに使います
石炭の量が初めは一・〇六でありましたが、現在では〇・八一、一
キロワツト・アワー当りの
石炭量が〇・八一キログラムということにな
つております。
それから
利用率でありますが、これは
設備がどの
程度利用されるか、つまり或る
一定の出力を持
つておりましても、それが
操作その他がまずいために十分に利用されない場合には、残りの
部分は能力的には
ロスになるわけでありますが、それが漸次向上いたしまして、殆んど現在では
最高限に近い九三%まで来ておる、こういう
数字であります。これにつきましては又御批判もあろうかと思いますが、一応こういうふうな
合理化の
あとを辿
つておることはおわかりだと思います。
これは
通産省のほうで作りました
資料でありますが、いま
一つの
電気料金改訂理由という
資料であります。このほうは
連合会のほうから今度の
申請に関連いたしまして提出されております
資料でありまして、
改訂の
申請書のいわばサム・アツプしたものであります。前のほうにはいろいろ
説明がありますが、広い表の一番初めに
新旧料金収入比較表というのがあります。これが一番簡単な全貌でございますが、これで
御覧にな
つて頂きますと、これは
地区別にな
つておりまして、その一番下の欄の右のほうに一一四・四、これが
全国平均の
値上率でありまして、それを
電燈、
電力というように分け、
現行と新
制度というふうに比較いたしますのがこの趣旨でありまして、例えば三行目の
東京、
電燈につきましては一割五分、それから
電力につきましては一割四分というのと、一割六分五厘の
二つ数字があります。下のほうの
括弧のついておるのは各
地区ともそうでありますが、
北陸、
東北等は別でありますけれども、
火力発電の非常に多いところでは
電力の
発電原価というものが
石炭の価格に相当左右されますので、一応
原価によりました単価というものがそれより以上に大幅に
上つた場合、或いは下
つた場合にはそれだけのものが
電気事業者にと
つては利益或いは損失となるわけであります。いわゆる
石炭条項というものも
料金改訂の中に入れまして、
石炭が下
つた場合にはそれに相当するものを
電気需用家に還元するという
制度があります。これは
電力に対しましてだけありまして、
電燈にはその
計算が非常に細かくなりますのでその
制度をと
つておりませんが、
電力についてはそういう
制度をと
つております。
従つて本年度は御
承知のように
石炭がかなり下
つております結果、
料金制度面から想定されます
電力料金よりも、実際に入
つておりますものはそれよりは比較的安い
値段であります。その割引かれた
値段と
料金と今度の
新規制度による
料金というものを比較いたしますと、この
括弧の中にありますように、例えば
東京の場合は一割六分五厘になる、こういうふうにな
つております。
従つて制度上の
電力料金と比べると一四%でありますけれども、実際に払
つておる
電力料と比べるというと一割五分になるというふうに御理解にな
つて頂きたいと思います。
一番下の欄が
電燈と
電力の計であります。これは各
地区それぞれに
値上率が違
つております。これは
原価高騰の一番大きな
理由が
資本費の
増嵩、
従つて開発の結果に基く
資本費の
増嵩でありますが、特に
開発が急に大幅に拡が
つております
地区におきましては、それだけ
値上率も大きくなる、この辺が
一般になかなか御理解願えない点でありますけれども、要するに現在の
既設の
発電に比べまして
新規の
発電原価というものは非常に上
つておるということが認められるならば、
新規の
発電の
割合が大きく
追加される
地区におきましては、それ以上
値上率が大きくなるということになる、
従つて例えば
東北或いは
北陸というふうに最近の年度におきまして
電源開発の特に進捗いたしました
地区におきましては、ほかの
地区に比べて
値上率が大きく二割四分或いは二割二分、こういうふうにな
つております。それから
東京は一割四分という
数字でありますが、関西はこれは
開発の
関係もありますが、その他の
関係から見て比較的
値上率が低くて済んでおりますが、
中部はこれは特に殆んど一番高いくらいの
値上率にな
つております。これは現在の
中部の
料金ベースがどちらかというと比較的に低いというふうな
関係からそうな
つております。
従つて今度の場合は総括的に申しますというと、いわゆる
水力地区におきましての
値上率が高くて、西のほう、つまり
火力を主とする
地区におきましては比較的低い、
従つて裸の
原価と比べますといわゆる
地域差というものがこの面では若干でありますが、狭ま
つておる、こういうわけであります。
それからその次にはいろいろ細かい表がありますが、これは一々御
説明するのも大変であります。又私にもよくわからん点もございますが、要するに今度の
料金制度を
改訂いたしました結果、できるだけ一本化に近付けるという
意味におきまして、
東北電力とそれから
北陸電力、この
二つは一本
料金でやる。その他の
地区はいわゆる二段
料金制をとりますが、二段
料金制をとる
地区におきましても五百
キロワツト以下の、
電力その他の
電燈を含めまして五百
キロワツト以下のものにつきましてはこれは一本化する。
従つて五百を超える
部分の
大口料金について二段
料金制をとるという
意味で全部が整理されております。そういうふうな
制度をやりますために、例えば
電燈につきましては現在では
標準料金と
追加料金と非常に
開きがありますが、これを一本化しますためにその中間できまるわけでありますから、それできまりますというとそこに従来の
電気の
使い方如何によ
つて非常に
負担の殖えるところと、それから楽になるところと両方出て来るわけでありますが、それができるだけ公正に出るように、例えばそれを調整するために
アンペア制でありますとかいろいろな工夫をこらしておるわけであります。そういうふうな配慮がこういう細かい表によ
つて出て来るわけであります。同じ
電力につきましても
需用電力料金というものは固定した基本
料金というものをと
つておりますが、これも現在では契約
電力に対しましてと
つておりますけれども、実際に使う最大
電力に対してかけるということによ
つて負担の
軽減を図るというふうなことも考えられておりまして、そういうことが非常に複雑な形でここに出て来ておるわけであります。個々のものにつきましてはそれぞれの表によ
つて御了解願いたいと思うのでありますが、それぞれの
需用区分につきまして
現行のものと改正と比べた場合にはどうなるかということで出ております。
真中辺に折込んだ表がございますが、これが全体のものを一覧表にしたわけであります。非常にこれは細かいわけでありますが、その次の表は
大口電力新旧
料金率表ということで、これは
大口だけ取上げて見たわけでありますが、これによ
つて見ますというと、例えば
大口のこれは電圧別に
料金がきま
つておりますけれども、普通高圧と第一次高圧、第二次高圧、一番初めの北海道を見ますというと、現在では
需用料金といたしまして三百六十円乃至三百三十円、これが先ほど申上げました基本
料金的なものであります。それから
電力最
料金といたしましてはその下に二円七十銭、二円五十銭、二円三十五銭といろいろございますが、こういうものがあります。更に
一定の枠以上のものにつきましては
追加料金としてこれの三倍ほどになります八円というものをと
つております。これが
現行の姿であります。それを今度改正いたしまして、
需用料金のほうは四百三十円、これはノミナルは上りますが、
需用電力のとり方によ
つて必ずしもその
通りこの比率は上らないわけでありますが、四百三十円という
需用料金をとります。それから
電力料金といたしましては、
標準料金、これは
大口でありますから
標準料金、
追加料金、一応二段の区別がやはりつくわけでありますが、できるだけ一本化の方向に進むという趣旨におきまして
標準料金のほうを少し上げ、
追加料金のほうを少し下げる、その結果が
標準料金は三円六十銭、
追加料金は六円五十銭、一応こうなるわけでありますが、これは上期と下期、豊水期と渇水期のものでありまして、渇水期のほうは少し高くなる。それでその
影響がどう出るかということでありますが、ただこの右左の比率だけがそれぞれの
需用家にかぶ
つて来るということではなくして、
平均的にはそうなりますが、従来の、
現行の場合には
標準料金でどのくらい使い、
追加をどのくらい使
つてお
つたか、この更正比率によりまして今度は改正されました結果がどう響いて来るかということが非常に違
つて来るわけであります。全体の
平均では例えば北海道が一割二分であれば他もそれに
従つて上るということになります。個々の
需用家をとりますと、従来標準の
電力ばかりで済み、
追加は殆んど使
つておらないという
需用家は、今後は少くとも二円五十銭が三円六十銭になるというように相当大幅に上るわけでありまして、標準を八割使い、
追加を二割使
つてお
つたというような
需用家に対しましては、
追加の
料金の額が少い結果、それほど大きな
値上げにはならない、個々の
需用家によ
つて常非に
影響が違
つて来るわけであります。それが殊に産業別の個個の
需用家によ
つて違うということは、
制度を改正します場合には、つまり同じ業種であ
つても、例えば実績或いは
割当等の
関係からいたしまして、従来極めて比較的他の業者に比べて安い
料金を使
つておるというものが今度の改正によ
つて高くなるということは、或る
程度止むを得ないと思いますが、ところがグループごとにこれが非常にアンバランスになるということでは適当ではありませんので、そういう点がないというようなことでできるだけそこを調節するような方法を現在考えて、この
制度の
内容を
検討いたしておるのであります。まだこの点につきましても、我々の
結論ははつきり出ておりません、個別的にこれを調べておるわけであります。現在の
申請されました
電力料金の
値上率各社別の姿、その
内容というものが大綱はそういう
程度でありまして、今いろいろこの
申請されました案につきまして各
方面からの批判があるわけでありますが、こういうふうに非常に
料金の
値上げと
制度の改正と重な
つております。而もその
影響が個別非常に違
つて参りますが、これに対する批判というものが非常にむずかしいのであります。的確に新らしい
料金制度というものを理解して
計算するというと、もつと違
つた数字も出て来る、こういう場合もあります。又現在提起されております
料金制度のやり方が殆んど適当でないために更に今後これは変えなければならないという部面も出て来ましようから、今後これをどういうふうに当てはめて行くか、又こちらとして考えるかということも、だんだんこれは時のたつに
従つて各社、
需用家の
考え方も我々の
考え方もそれぞれ違
つて来ると思うのであります。現在ではそういう複雑な姿に対する
影響等考えまして、必ずしもこれに対してその
通りのものがそのまま出るというふうにはならないと思います。そういう点もできるだけこちらとしても
説明をし、又考えながらこの
料金制度乃至は
値上げというものにつきましては、
最終結論を出したい。こういうふうに考えておる次第であります。