○小松正雄君 そこで今の
大臣のお
言葉に対しましては、最後に私の
意見を申上げて見たいと思
つておりまするが、税にいたしましてもそれであり、それから又今日のこの中小炭鉱がこのようにな
つて来たという一番大きな
原因は何かと申しますると、私
どももその小さな炭鉱を経営しておる一人であ
つて、実際に経験をして参
つたものでありまするが、御
承知のように、大手の納炭先というのは、鉄道、電気、製鉄等大品需要のほうにはつきり契約ができておることでありまして、中小炭鉱というものは或る商社を通じて
石炭の納入をや
つてお
つた。ところが、昨年からあの炭界の
不況になり、例えば
一つの例として、降雨のために電力のほうでは
石炭を焚かない、こういうことからいたしまして、商社が商社に転売してお
つた等の
関係から
不渡手形が出た、そこで以て
一つの商社が倒れたために、商社から受取
つた手形を地方
銀行に中小炭鉱は割
つてもら
つてお
つた、ところがそれがそういうことで以て余波を受けて中小炭鉱の裏付の
手形が
不渡に
なつた、こういうことが
原因して一応今日の苦しい段階にな
つて来ておると思いまするが、それがために中小炭鉱に対してはそういう
一つの大きな打撃を受けたために、地方
銀行ではもう中小炭鉱に対する
金融というものは全然今頃ではしてないわけです。これはもう御
承知の
通りであります。そこで又大手におきましては、
大臣御
承知の
通りであ
つて、鉄道にしろ、電気にしろ、製鉄にいたしましても、契約炭の六割、七制、八割は、これは三カ月間を合せた契約に対しては融資、要するに前貸もされることであ
つて、それでこの段階にあると言いながらも、中小と違
つて金融の面も非常に楽なことがあると私は思うのであります。それでそういう余波を受けて今日の
金融面に押詰められて、僅かな
石炭を濫売せざるを得ない。それを濫売するために、収支計算というものは考えないでずつと続けてここ五、六カ月や
つたためになお一層ひどくな
つて、それがために
倒産、破産、廃坑或いは中止というようなことにな
つて来ておる現状は、もう報告の中でおわかりのことと思いますけれ
ども、これに対して特に又
大臣にお願いをしたいと思いますることは、すでに御
承知のように、もう
資金の問題で大手は或る
程度きめて行きおる。中小に賞与どころか労銀が払えない。福岡でも報告の中にあるからして、
大臣おわかりと思いまするが、労銀だけでも四十七億というものが中小炭鉱では払えてない。それから又それがために、この盆を迎えてどうするかという問題で非常に悪化をしつつあるのでありまして、これに対して、同じ働く者であるからして、中小の炭鉱の労務者も大手の労務者も何ら変りのないという親心のある
通産大臣といたしまして、ここでどうお考えになるか。片一方は給料ももらい、或いは労銀ももらいながら、特に又盆であるからということでそういう特別な賞与を受けるという労務者であり、片一方の中小炭鉱の労務者は賞与ももらえず、労銀さえももらえない。これが
一つと、それからもう
一つ申上げることは、中小炭鉱はこういうふうな
金融面に追込まれましたために労災等の納入金がしてないわけです。そこで炭鉱を廃止し、中止をして、失業保険をもらおうとしても、これをもらえない。こういう大きな又社会の問題に触れることに相成
つておるわけであります。併せて盆も来ておることでありまするから、率直に申上げますると、少くとも特定な行政
措置と申しまするか、この運用
資金その他の
大臣の力によ
つて出される金を以て、地方の炭鉱の
情勢によく慣れておる今日まで相共にや
つて来た特定的な福岡
銀行であるとか、或いは協和
銀行であるとかいうものにこの盆前に少くとも五億くらいの金を出して頂いて、そうしてこの急場を乗越えさせてもらうということにいたしてもらいたいと思う。それでないと、どうしてもこれは盆を期して治安上の問題が必ず起るということだけ私は断言しておきます。必ずあると思います。それはもうあなたのほうの管轄内の福岡通産局から
相当そういう問題については報告がせられておると思います。一例としても、先般の懇談会にも、列席者ではないが、傍聴者的に来てお
つた者の訴えで、田川郡の……、あなたのところに、すでにもうここらの警備隊を越して駐留軍まで出して、こういう問題が起るという線に触れて
通告までしたことがあるわけです。本当にもう今日の段階ではそういうことに追詰められて来ておることでありますからして、同じ働く者が、中小であろうと大手であろうと同じものだというお考えであるならば、是非この盆前にその結論を出して、
金融は炭鉱の
情勢をよく知
つておる協和
銀行、福岡
銀行を特定として、或いはあなたがたの
関係である通産局から出て行かれて、労銀その他の支払い、要するに電気代とか何とか、そんなものはあとにして、労銀だけの払い、紐付でもよいことでありまするからして、是非そういうような施策をと
つて頂きたいということをお願いしたいと思うのであります。
それからなおもう
一つ進んで、総合
対策的な問題について
大臣は非常に苦慮されておることでありまするが、この総合
対策ということにつきまして、私が申上げるまでもありませんが、先ず大手に対しましては、五ケ年
計画として、竪坑の掘鑿というようなことで以て、国の金を二百十億ですか年間に出して、そうしてこれらの近代化を図
つて行き、五カ年後には
相当な量も簡単に出るようになり、
価格も三割引下るというこれは
状況になりましよう。これらから出て来る
石炭は、鉄道、電気、製鉄というようなものに大品に納まるのでありますが、先ず総合
対策の一環として、お調べにな
つておると思いまするけれ
ども、鉄道がどれだけ年間に焚く、電気がどれだけ年間に焚く、製鉄がどれだけ年間に禁くとか、その他小口、大品合せて、
一般炭だとか、こういうものを具体的に割
つて、そうしてお調べになり、又私たちに知らしてもらえば、一年間の総合的
石炭の量というものがどれだけということがはつきりするということになりまするし、それに伴
つて大手の
石炭が近代化によ
つて五カ年後には楽になるという
考え方を
一つ持つといたしまするならば、先にも
大臣の御
答弁にありましたように、その炭鉱の人たちも考え合せて、別な角度から別な仕事に移るという
考え方も
一つあるのではないかというお話もありましたことについて、この中小炭鉱というものの中にも統合いたしますれば非常に合理的なよい面があるという一例を挙げますると、例えば
一つの層が、五尺層なら五尺層がありまして、これが例えば幅三百間としますか、そうすると百間ずつ持
つた三つの炭鉱が同じ層の中にあるわけです。同じ層を掘
つておる。そうすると、この三つの炭鉱を総合すれば、
一つの炭鉱で両方の炭鉱の
石炭が立派に掘れてしまう。これが三つあるために、真中の大切な地下資源を永久に改めて取ることのできない炭壁を残さなければならないと、こういう不合理なこともあるわけでありまして、一応統合の整備という点も大きく考えられて、この際
大臣としての大きな決意を私はお開きいたしたいと思います。