運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-08 第19回国会 参議院 通商産業・水産連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月八日(土曜日)    午前十一時二十二分開会   —————————————  委員氏名   通商産業委員    委員長     中川 以良君    理事      松平 勇雄君    理事      加藤 正人君    理事      海野 三朗君    理事      小松 正雄君            石原幹市郎君            大谷 贇雄君            黒川 武雄君            小林 英三君            酒井 利雄君            西川平治君            山縣 勝見君            岸  良一君            豊田 雅孝君            西田 隆男君            藤田  進君            三輪 貞治君            天田 勝正君            武藤 常介君            白川 一雄君   水産委員    委員長     森崎  隆君    理事      秋山俊一郎君    理事      千田  正君            青山 正一君            平井 太郎君            野田 俊作君            森 八三一君            木下 源吾君            片岡 文重君            菊田 七平君   —————————————  出席者は左の通り。   通商産業委員    委員長     中川 以良君    理事            海野 三朗君            小松 正雄君    委員            石原幹市郎君            大谷 贇雄君            酒井 利雄君            西川平治君            豊田 雅孝君            三輪 貞治君            藤田  進君   水産委員    委員長     森崎  隆君    理事            秋山俊一郎君            千田  正君    委員            青山 正一君            野田 俊作君            森 八三一君            木下 源吾君   政府委員    外務政務次官  小滝  彬君    外務省参事官  寺岡 洪平君    農林政務次官  平野 三郎君    林野庁長官   柴田  栄君    水産庁長官   清井  正君    通商産業政務    次官      古池 信三君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君    常任委員会専門    員       岡  尊信君    常任委員会専門    員       林  達磨君   説明員    外務省欧米局第    五課長     新聞 欽哉君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○通商及び産業一般に関する調査の件  (日ソ貿易促進に関する件)   —————————————    〔通商産業委員長中川以良君委 員長席に着く〕
  2. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今より通商産業水産連合委員会を開きます貿易の振興の我が国にとりまして極めて今日重安なることは当委員会におきましても常に増えておりまして、これに対します調査を鋭意いたして参つておる次第でございます。戦後世界経済回復が困難を極めておりますることは種々の原因があることと存じますが、その原因一つとしまして而も重要なる問題といたしましてはソ連及び中共世界経済の舞台におきまして殆んど別個の世界を作つておるという状態にあることが大きな原因であるかと存じます。殊に日本にとりましても中共の地域並びに極東、ソ連は戦前におき」ましては東舞な市場でもございまして、又原材料の供給源でもあつたのであります。それが私ども貿易相手国から除かれておりますることは我が国経済復興に大きなる支障となつておりますることは申すまでもないことでございます。こういうような意味で先年当院におきましては日中貿易に関しての促進決議がなされたような次第でございますが、ソ連に関しては事情も異なるため未だ何らの措置が見られておらない状態でございます。当院の水産委員会におかれましては水産関係からいたしましてソ連との貿易の問題につきまして極めて御熱心に詳しく御調査になつておられますることは私どもの敬意を表しまする次第でございます日ソ貿易促進の問題に関しましてもすでに一応の御結論に到達されているように承わつておるのでございます。従いまして本日はこの問題に関しのかたから御意見の御開陳を願いましてその上に基きまして調査を進めて参りたいと存じます
  3. 森崎隆

    森崎隆君 それでは私から委員会を代表しまして極く簡単に趣旨を申上げたいと思います。  先ず水産中心といたします日ソ貿易促進に関する件につきまして本日連合委員会を持つて頂きましたことにつきまして通産委員会委員各位に厚く御礼申上げます。この問題は水産委員会におきましてもいろいろ漁業問題とからみ合わせまして切実な問題という大体意見が強くなりまして特に今通産委員長の御発言のように現在日本ソ連邦との国交はまだ回復しておりません。併しながら国境と言いますか、特に漁場中心に非常に近接した利害関係の深い状態にありまするし、従来から、戦争以前の貿易状態交通状態から考えましても現在このままでは捨ておけない漁民その他の立場もあるわけでございまして、終戦以来も随分日本漁船がいろいろな原因がありましようが、ソ連邦に相当拿捕されました点もございまするし、我々としましては日本漁民漁業操業安全性を確保いたしたいという気持は常々持つておりましてこういう観点からソ連邦に対しまして何とか日本漁船操業に友好的な態度を持つて頂きまして十二分に操業ができるような措置をとりたいという気持はもう常々持つているわけでございます。実はこれと併行いたしまして今日までにやや明らかになつておりますることはソ連邦としても日本に対しまして日本の非常に欲しておる木材パルプ等輸出ということは非常に熱心なようでもございますることも承わつておりまするし、又日本海、特にウラジオストック中心にいたしましてソ連艦船等修理建造等につきましても相当ソ連邦としましては外国に依存する希望もあるように実は承わつておるわけでございます。  一方日本現状を見ますると、日本造船界も現在新聞の報ずる通り非常に船架が空いているような状況でございまして、できますならはこういう方面関係を緊密にいたしまして、それと同時に漁業問題を有利といえばわがままのようでございますが、両国間の友好的な気持の上に立つて日本漁民にもう少し有利な立場操業ができるような基本的な条件を何とか得たいというのが本委員会の実は熱望でございました。そういう観点に立ちまして実は日ソ貿易促進を何とか決議して頂きまして、でき得るならば国会或いは業界、民間側等から若干名のかたがたで使節団でも作つて頂きまして、強くソ連政府に要望し、折衝いたしまして、こういう問題を一つからでも解決いたしまして、以て最終的な国交調整基礎条件とでもいたしたいという熱意が我々盛り上りまして、水産委員会としましては非常に各委員の同意を得た次第でございます。何かしらこの問題につきましては通産委員会には深い関係がありますので、通産委員会の十分なる御理解御協力を得ました上で本会議の議決に、至りますならば非常に仕合せじやないかと思いまして無理をお願いしたわけでございます。なおこの問題につきましては特に研究調査を熱心にやられております水産委員会木下委員も今日出席されておりますので、なお詳しいことは木下源吾委員から御発言もあろうかと思いますが、一応私のほうからこれまでの趣旨を簡単に御説明申上げまして御協力を頂きたいかように存ずる次第でございます
  4. 中川以良

    委員長中川以良君) 木下君、御発言を願います
  5. 木下源吾

    木下源吾君 只今水産委員長からの発言がありましたが、これに若干補足をしまして最近の日ソ貿易状況一つ申上げまして御参考に供したいと思いますが、その前に先ほど中川委員長が言われたように、本院が先に日中貿易に対する促進決議をいたしました結果として中国に議員を中心とする通商使節団が昨年参りました。そうして貿易の仮協定をやつて参りました。爾来禁止品目政府によつて順次解除になつて、つい三、四日前に発表せられた御承知のような品目解除でほぼ西ヨーロツパ並みに近くなつたということが正式に言われております。先般などは起重機などを中心といたしまして、又最近の取引では差当り大豆五千トンの契約が成立しました。こちらからは硫安等をそのバーターの対象として契約が成立しました。こういうように本院の決議の結果といたしまして日中貿易実績が着々と進んで参つております。こういうことが当時の非常に杞憂せられておつた中国との貿易実情でございます。  そこで日ソ関係でありますが、日ソ関係は昨年度において輸出入の約束が成立したのが約六百万米ドル、これは前年一九五二年度の約九倍強に当つております、昨年の場合は。そして実績といたしましては輸出が百六億九千万円、輸入が百八億円で、その品目輸出船舶修理であり、輸入は強粘結炭、それから書籍類、染料、映画等であつたわけであります。で取引商社輸出に当つたのが、日立造船大倉商事がこれを組みました。大倉商事石炭を入れる、で笠戸ドックの修繕と進展実業会社がこれが組んでバ—タ—をやりました。で本年も米炭の割当を減らして千五百トン、はかり、樺太炭契約が最近成立した。又船舶修理におきましては今仮契約が成立しておるものはまぐろ船三百三十トン級が五隻、それから曳船百九十トン級が四隻、約八億ドルの契約ができております。これは日立造船であります。更に今交渉が進んでおりまするのほかに漁船、それから曳船などで、会社日立造船函館ドック浦賀ドック等が今交渉を盛んに進めておる状態でございます。でこれが見返りについて、今見返りのほうがきまらないので、実は交渉が行き悩んでおります。先にも七千トン級の船が申入がありましたけれども、今の見返りについての何がはつきりしないので、これはよその国に取られてしまいました。でこういうような実情で、今国内では見返り北洋材を入れるということを、従来北洋材を入れた各港湾を中心として、組合、そういうものが結成されていろいろ運動されております。これはパルプの用材、石炭坑木等であります。従来の北洋材の用途がそのまま今日も要求されておるわけでありますが、更に昨年は主として先ほど申上げたような品川でありますが、日本側輸出を今希望しておるものは北洋材、それから石油、クロ—ム、マンガン、綿花、米その他の穀物、こういうようなもの、それからソヴイエト側では船舶修理鉄船木造船、クレイン、今の起重機織機機械紡織機械、人絹、こういうのが見合いで今有望視されておる品目であります。そこで対ソ貿易に対する各国の状態でありますが、御承知通り今春英国はチャ—チル首相対ソ貿易に対する強い意思表示がなされて、本年春早々外務省、商務省の承認の下に通商使節団四十名がソヴイエトを訪問し、英ソ貿易協定が締結されました。これは勿論我が国とは状態は違つておりますが、貿易の成立したということについては実質的にはです、我が国にも至大な影響があると考えられるのでありまして、又フランスは通商協定は昨年七月に効力を発生いたしまして、着々実現され、現に輸出の品物は貨物船発電用ボイラーなど、ココムの線が実質的に非常に拡大されております。そうして外務省経済局にを中心とする、首班とする通商使節団を送りましてソヴィエトとの間に経済交流が盛んに行われております実情でありまするし、昨年イタリ—その他十三ヵ国、いわゆる西欧側の十三ヵ国がソヴィエト長期通商協定を結んで着々とその成果を挙げておるような実情でございます。そこで我が国においては、昨年の七月の国会予算委員会におきまして岡崎外務大臣日ソ間の問題については個々の問題を個々に解決するためには努力するということを明らかにされまして、爾来衆議院外務委員会で、只今見えらておる小瀧次官経済自酌を持つて来日するソヴイェト貿易関係者入国を許可するということ等の態度を明らかにされ、それが今実行されておる、こういう実情にございます。越えて本年二月二十日、衆議院農林委員会においては、林野庁長官北洋材輸入に関しては農林省外材輸入の一環に、政策として取入れているということを公式に表明されました。越えて三月三十四日衆議院水産常任委員会においては北洋漁業の問題、燃油等輸入について漁業界代表訪ソ実現決議いたしたのは御承知通りでございます。このような状態で今日進んで参つておりまするが、中日貿易の面と日ソ貿易の面とを比較いたしますると、日ソのほうがよほどやりやすくなつておる実情にあるのであります。それはソヴィエトの元通商代表部が六本木の先のほうにございまして、ここで今の日立造船とか或いは函館というようなものとあらかじめの契約、仮契約を結び、それが本国との何によつて契約を締結するという実情になつております。で、そういう関係にありまするのと、御承知通り我が国においては今日外貨の窮屈なことはもう皆さん御承知のように、そうしてソヴィエトとの貿易は、或いは中国との貿易は何ら外貨は要らないというころに特色がありますし、更に漁業等の面においては、北海道のほうでは極めて手近なところに国境がございます。そうして殊に千島と境しておる根室の国、或いは樺太と境にしておる稚内、北見地方、これらの方面には従来千島におつて引揚げた者樺太から引揚げた者が対岸を、眺めて一日も早く従来の自分たちの分業のできるように、戻るようにということを一日千秋の思いで切望しております。而も我が国沿岸漁業は非常に資源が枯渇し、そうして業者がたくさんであります国境線といいますか、従来のマ・ライン、これは撤廃されましたけれども、やはり国境線になつておるところが、ございまして、ここから一歩向うへ入りますと、昨年あたりは「ほたて」などはこちらの領分では一日かかつて七、八十貫も取れない。船一艘でそれだけしか取れないが、向う領分へ行きますと千貫目、又それ以上も取る、こういうような実情にあります。本年又かに漁船かに漁向うへ出て新春から行つております。これは一艘で二千貫も、それ以上も一日に漁をする。こちらでは僅かに五十貫か百貫というような実情であります。でありますからどうしても向うのほうに足が向いて行き勝ちであります。でありますから当初四艘ですか、向うに拿捕されましたが、このうち半分は帰されて、でも更に又出掛けて行つてます。八艘の拿捕船があるようなわけであります。でもこれは掠奪するとか、そういう考えで行くのではなく、こちらではどうしても業として成立たない。苦しまぎれに元の自分たち漁場方向に足が向いて行くような実情になつております。こういう点やら、又北洋さけますの問題も、日米加漁業協定によりまして先年来試験漁獲をやつておりますが、一昨年は距岸、つまり陸から、カムチャツカから七十カイリを日本政府は許可しておつた。昨年はこれを四十カイリに狭め、本年は三十カイリまで政府はこれを許可しております。従いまして又四十七度線以南さけます流し網漁の許可にいたしましても、これは約二千艘近くがあそこで今から漁をするのであります北洋のほうは四十八度から、以北、これは新聞で御覧の通り四、五日前に、函館から母船で独航船を連れて向うへどんどん乗込みました。それからはやはり魚をたくさん取りたい、こういうのでだんだんカカムチヤツカの沿岸近く近付いて行つておる。こういうようになりますと、故意でなくても潮流の関係、或いは風向の関係ソヴイエト領海十二カイリに、或いは近付かない限りではありません。恐らく今年あたりは私ども考えでは、或いはトラブルが起きるのではないか。若しそういうようなことになりまして、我が国漁業者意図が誤解されて、何か魚族の保護に障害があるなんとかいうようなことで、李承晩ラインのように全面的な禁止をされるようなことになつても、これは非常な国の経済打撃だと我々は考えるのであります。御承知通り李承晩ラインによりましての損害は七十億と言われて、新聞に報道されている。実情はそれ以上でありましよう。又北洋漁場における日米加漁業の問題でも往年の漁獲高と今日の漁獲高との差は百億以上で、ございましよう。ビキニの問題においても、これも百億の以上であろうと私ども考えておるのでありまして、いずれにいたしましても、我が国水産業が非常な危機にございます。而も漁業者漁業の意欲を旺盛に持つておりまして、その活動の結果図らずも領海侵犯というようなことで、大陸棚のように、公海の広い部分に出漁できないというようなことになつておる非常な我が国経済に及ぼす影響業者の苦痛を我々は想像することができます。こういう時期でございまするので、何とかして日ソ間の国交調整或いは東支那海における日中間国交調整、よしそれは正式な国交回復をいたさないでも、経済的交流の面から国交調整方向へだんだん進んで行くことを私どもは念願しておるわけであります。私がこのような御説明を申上げるのも北海道出身であり、そうして北海道が本当にソヴイエトの手近の所にあり、これらの事情を生きたままで私どもは目撃し、みずから摂取しておりますために誠心誠意を以て皆様にお話するのであります。でありますから、政府は何らかの都合によつて今そういう方向に進んで出られないといたしましても、国交回復がなくても経済交流は可能でございまするし、只今までの御説明を申上げるように、ソヴイエトとの貿易は、昨年よりも昨年が、又昨年よりも本年というように実情が進んでおるのでありますから、ここに国会といたしましてはでき得る限り速かに、もつともつと隣接区域との経済交流を容易ならしめるために、それを又裏付ける親善的な意図をも現わすために国会において先の中日貿易促進に対する決議のようなものをお互いに本院において成立させることが刻下の緊懸要務でないかと、かよに考えておるわけでありまして、本日水産委員会の決定から進んで通産委員会にお願いいたしまして、相共に日本経済の発展、そうして緊急であるところの漁業問題の安全操業が可能なるような方向に御協力を賜われは幸いだと、かように考える次第でありホいす。
  6. 中川以良

    委員長中川以良君) 只今森崎水産委員長並び木下水産委員より水産委員会における御熱心なる御調査に基きました結果につきまして、縷々極めて貴重なる御意見を御開陳賜わりまして、私ども誠に教えられるところが多いのであります。  只今お話にございましたごとく、この日ソ貿易の問題は、漁業中心にした貿易伸展のみならず、今後全般的に日ソ間の貿易ますます伸展ををいたして参りますることを私どもは念願しております次第でございます。併しながら今のお話中に、ございましたごとく、未だソ連日本国交回復もいたしておりません。又国際的にも始終いろいろな問題が山積をいたしておりますることを私ども承知をいたしております。こういうような際におきまして政府側といたしまして如何なる今後の方途を持つておられるか。而して現在の対ソ貿易現状はどうなつておるか、又対ソ外交問題等につきまして現段階はどうなつておるか、又今後どういうふうにこれが進められて参るかというような点に関しまして先ず政府側より一つこの問題につきまして意見を述べて頂きたいと存じます外務省農林省並びに通産省よりそれぞれ御開陳を願いたいと存じます。本日は大臣出席をそれぞれお願いしておきましたが、大臣が御出席になりませんことは誠に残念でございまするが、政務次官が御出席でございまするので、先ず外務政務次官よりお願いをいたします
  7. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 御指名がございましたので、外務省に関する二、三の点について現在の状態お話申上げます。  もうすでに木下さんからもお話が、ございましたように、外務省といたしましては、日ソ間の貿易促進するということには勿論異議があるはずではなく、殊に両国国交が再開せられるということも我々の念願してやまないところであります。不幸にして平和会議においてもソ連日本との平和条約に参加いたさなかつたのでありまするし、その後におきましても、最近ではいわゆる平和攻勢と申しまするか、よほど態度が緩和せられておりまするけれども、その真意もはつきりしない。とにかく相当これまでは反目的な態度もあつたということは、これは率直に認めなければならないと存じます。が併し、その全般的な国交回復の問題から離れて、貿易関係はでき得る限り促進して行こうというので最善を尽す、この建前からいたしまして、御指摘のようにソ連の人が日本へ入つて来る問題につきましても、それが日ソ間の貿易促進するのに非常に貢献するということがはつきりして、関係省の間でそれをお認めになる場合には、これでよりももつとソ連人入国について緩和した態度をとるということを決いたしたのでありまするし、又、ソ連への入国につきましてもこれまでのいきさつからいたしまして、これを原則として差とめておつたのでありまするけれども水産関係につきましては是非日本側からの代表者を派遣するということが必要であつて、それが効果的であるという関係省の御意見であれば、それに即応するような旅券の取扱もしようというように外務省としての態度も決定いたしておるのであります。でありますから、今いろいろ困難はありますけれども只今指摘のような点につきしましては、外務省としても十分協力いたすと申しまするか、最善を尽しまして貿易促進、又日本の現在おいてもいろいろ困難な事態が発生しております関係上、非常に重要である北洋漁業についても若し可能な点があるならば、これをよりよく保護して行くという方向に私ども措置をいたしたいと考えておるわけであります。  なお先ほど委員長から対ソ外交の今後の見通し如何というふうなこともおつしやつたかと思いますけれども、今後の問題につきましては勿論我々が直ちに即断することはできないのであります。現にジユネーヴでも東洋に関する重要問題について平和回復の問題につきまして、特に朝鮮の問題及びインドシナの後始末の問題について重要な会議が行われておりますから、この会議結論如何によりましては或いは相者の展、開があるかも知れない。こうした国際情勢の推移につきましては十二分に注意をいたしまして、その情勢に即応した適切なる外交施策を用いまして先ほどから縷々お話のありましたような諸点についてもできるだけのことをいたしたいというふうに考えておる次第でございます
  8. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは次に平野農林政務次官にお願いします
  9. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) 只今外務政務次官から申上げましたように、政府といたしましては日ソ間の国交が正式に回復しないことを誠に不幸と考えておるわけでありまして、できるだけ速かにこの回復を図り、更に通商貿易締職実現したい、こういうことで進んでおるわけであります。一部に政治的な理由でこれを敬遠するという誤解もあるやに聞いておりまするが、毛頭政府にはそういう考えはないわけでございます従つて現在まあ種々政治的制約のになかなか困難ではありまするが、併しそうした制約の中において、できる限り最善方途を講じて経済交流実現を期したいということで努力いたしておるわけであります。特に農林省といたしまして、現実にそういう方策を進めておるわけでございまするが、特に木材の点などにつきましても、北洋材輸入ということは、日本の森林資源の係から申しましても、外材の輸入が今日喫緊事でございますので、極力、その点を進めておるわけでございます。これは外務省の許可を得まして、可能性が極めて濃厚なところまで今船の建造をバーター等の関係から進めておるようなわけでございます。  又漁業につきましては水産委員長並びに木下委員の御指摘通りでございまして、特にソ連との漁業関係というものは重大なるものがある。北洋さけます等につきましても昨年四船団でありましたのが、本年は七船団に殖えておるわけでありまして、或いはソ連との関係においてすでに若干のトラブルもあつたわけでありますが、本年はこのトラブルが一層危険になるという虞れもあるわけであります。こういう点を是非排除をして円滑にしなければならんということをまあ痛切に考えておるわけでございます。最近漁業界の代表のかたがこれらの折衝のために入ソをいたしたいというような希望もございましたが、これは農林省としては積極的に推薦をいたしまして、外務省協力を得て旅券を出して行くというふうなことにいたしております。更に又そのほか水産委員会におきまするいろいろ御要望のある点につきましてもしても、こうした、又他に訪ソをいたしたいというような希望もあるわけでございます、これらも積極的に支持をしておる。こういうようなわけで、可能な限りにおきまして最大限の努力を傾注するという政府考えの下に諸般の施策を進めておる次第でございます
  10. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは最後に古池通産政務次官に……。
  11. 古池信三

    政府委員(古池信三君) 只今外務省並びに農林省政務次官からお話がありました通り通商産業省といたしましても、日ソ貿易促進ということは誠に望ましいことであり、今後でき得る限り努力をいたさねばならんと存じております。特に先ほど木下委員の御発言の中にも御引例になりましたように、昨年度におきましては遊船修理を見合いに、樺太炭を相当輸入いたした実績もあるのでありまして、すでにかような途が開かれておるのでございますから、今後その途を伸ばして行くということを考えて当然行くべきであると存じます。勿論正常なる国交回復しておらんということに伴う或る程度の制約はあるだろうと存じますけれども、実質的に、経済的にお互いに利益を分ち合うということは当然可能なことであろう、かように存じております
  12. 中川以良

    委員長中川以良君) それでは各委員より御質疑をこれからお願いをいたします。念のために申上げておきまするが、本日政府側から出席をいたしておりますのは、只今の三政務次官のほかに、外務省よりは寺岡参事官、新聞欧米局第五課長、針谷渡航課長、農林省側より清井水産庁長官、柴田林野庁長官、通産省よりは森通商局農水産課長が出席をしておられます
  13. 海野三朗

    海野三朗君 今日本中共方面貿易につきましてはいろいろ制約が置かれてあるようでありますが、ソヴイエトに対しましてはどんなふうになつておりましようか、お伺いいたしたいと思います
  14. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) それでは私からお答えいたします。詳細の個々の問題については通産省から一話があるかと思いますが、原則的に申しまするというと、日本は国連協力の建前からいたしまして、中共に対する貿易制限というものは相当積極的にこれまで行なつて来たのでありますが、併しながら日本は何といたしましても中共に最も近い国であつて、そうして而も朝鮮の事件も一応戦闘も停止の状態にありまするので、日本としてはこうした特殊の立場からいたしましてこの制限を緩和するという措置をとつて参りました。順次中共との貿易品目が拡大されて来ておることは新聞などでも御承知通りでございます。極めて最近においても十九品目禁止解除するように漸次この制限を緩和いたしまして、殆んど欧米の諸国と同じ程度のところへ参つております。但しもう私から申上げるまでもなく、アメリカとか、カナダとかいうような国は依然として相当強い制限をいたしておりますが、日本は西欧諸国並みのほうと同じような歩調で中共貿易の制限を緩和して来たというのが現状であります。他方ソ連との関係におきましては、従来から日本のみならず西欧の諸国においても中共に対するほど窮屈な制限はいたしておらなかつたのであります。いわゆる自由国家郡の間において随時話合いをいたしまして、特に戦略物資と認められるようなものについてソ連への輸出をお互いに差控えるという措置をとつて来たのでありますが、最近に至りまして先ほども木下さんから御指摘のように、もう少しこれを緩和したほうがよろしいという意見が特にイギリスその他ヨーロッパ諸国に抬頭いたして参りましたため、米国のほうも原則としてこれに賛意を表しまして、現在だんだん東西貿易を緩和しようという機運に向いておるのであります。従いまして日本のほうとソ連との貿易品目についても、それに従つてだんだん緩和せらるる傾向が見えるということを言つて差支えないと考えます。ただこれにつきましては、同じ品物でも大きさであるとか、或いはその量であるとか、又その反対にソ連側から如何なるものを提供してくれるかというようなことによりまして、個々のケースについて話合つて制限しておるというような点もございますが、概略的に申しますれば、その点も緩和されるということになつております。又ただソ連との貿易が緩和せられて、中共との貿易だけが非常にそれとかけ離れて窮屈でありますると、ソ連との貿易はこれまでの歴史的な関係もありまして、西ヨーロッパ側が重要な部分を占めておる、そうしてその西ヨーロツパからソ連に向つた品物が廻つて来て中共へ来るというようになれば、結局日本のほうが比較的により多く損な立場に置かれるというような関係もございますので、且つ又これは現在のジュネーヴにおける会議の結果にもよりますけれども、少くとも朝鮮における戦闘行為は停止せられておりますから、この東西貿易の緩和、ソ連と自由諸国家との貿易の緩和が行われますならば、それに応じて漸次中共との貿易も緩和せられなかつたならば、結局日本は比較的損な立場になるという地理的関係もありまするから、そうした面についても政府といたしましては十分留意いたしまして、この友好国家群の話合いも遂げまして、そうした努力をいたして中共貿易につきましても、できるだけこれを拡大して行くという方向に持つて行きたいというように考えておる次第でございます
  15. 海野三朗

    海野三朗君 経済代表がソ連に行くというような場合につきましては、外務当局はどういうお考えを持つていらつしやるのでありますか。
  16. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 御承知のようにこれまではソ連に対する渡航ということにつきましては特に必要止むを得ざる場合のほか、これを認めていないのであります。この引揚問題などに関連いたしまして渡航を認めた例もありまするが、これは非常に限られたる場合においてこれを認めるという措置をとつて来たのであつて、その原則を今直ちに変えるということは考えておりません。併しながら議会の一致した意向であり、又それぞれの問題について所管せられております関係各省のほうで是非こうした措置が必要であつて、それが例えば日本貿易なり水産業に非常な有利な結果をもたらすと信ずるのに十分なる理由があるというような見地から正式に外務省のほうに申入がありましたならば、できるだけ関係省の御意向に副うような措置をとりたいというように考えまして、そうした趣旨はすでに関係省のほうには申伝えておるような次第でございます
  17. 小松正雄

    小松正雄君 私は本日水産委員会より日ソ貿易促進決議に関して通産委員会に合同委員会を申込まれた、その申込れましたことについて水産委員長或いは木下委員よりこれらのことについて内容的に御説明を拝聴いたしますときに、私どもも少くともこの日ソ貿易促進につきましては常に今国会におきましても論議をされて来ております関係からいたしましても、一口も早く速かにそういつたことのできるようになることを心からお願いをするのでありまして、そういう観点から考えまして今日のこの合同委員会の意義を達成あらしめるためにおきましても、当然この促進決議案には賛成ずべきだ、かように考えますると共にこのことについて水産委員長或いは木下委員の御説明に対しまして委員長から関係各三省の次官にその意見をお聞きになられたところが、三省の次官の御説明でもいろいろな難関はあるといたしましても、趣旨においては賛成の煮を表明されたように私は考えるのでありまするが、こういうことに相成りますと、たまたまこの決議案が両委員会通り、又我が参議院で認められたにいたしましても、これがため代表的にどなたか水産或いは貿易に関して行くということになりますれば、その場合に一言お尋ねいたしたいことは、そう相成りました場合に外務省といたしまして渡航証明等或いは向うに行つてのそういつた関係について努力される代表に対し援助方法等をなすということができるかどうか、外務次官にお尋ねいたします
  18. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 御発言趣旨を誤解しておりましたから御訂正を願いたいと思います。このような経済代表を派遣するというような申入がありました際、外務省が果してそれに即応してそれらの人が安全に渡航して帰られる、目的を達成せられる上に十分なる保護なり或いは必要の措置をとり得るかということが御質問の趣旨つたと私は了解いたします。若し私の了解が正しいとすれば、日本は現在ソ連国交関係がございませんので、旅券を皆様の御熱望の趣旨によつて発給いたしましても、あの旅券の第一頁に書いてあるように、相手国に対してビザを与えてくれる国に対して、渡航者に対し便宜を供与してもらい、又十分の保護を与えてくれということを書いておきましても、それが果してソ連側に徹底するかどうかということは実は保証し得ないわけであります。人体、生命の保障というものは、これは期待し得ない。友好国であり、又仮に国交は正式に回復していなくても、代表部を交換しているような国、例えばフイリピンであるとか、インドネシアというような国でありますれば、何か向うによろしくないようなことがあれば、直ちに代表部を通じて厳重なる申入をすることもできまするけれどもソ連に関しまする限りは、又その他の国交もないし、直接交渉するところの手段をも持つていない、俗に言えば共産系の諸国との間においてはそのような保穫的措置をとり得ない。これが私どもの当面しなければならないところのジレンマであります。でありまするから、これまでも非常に渡航というものに対して制限的な措置をとつて来たのでありますが、併しその点の兼合いと申しまするか、そういう危険を冒しても是非渡航を認めたほうがより日本のために、国益のために有利であるというような関係各省の御判定であれば、又それに応じた措置もとらなければならないであろうと私ども考えておるのであります
  19. 小松正雄

    小松正雄君 そういたしますと、一応次官お話によつて了承するところもあります。というのは、まだ日ソ間に国交回復しておりませんために、当然これは外務省として正式にそういつた渡航証明ということについてはどうかと考えられることもわかるわけでありますが、併しながらこの趣旨に基いて例えば水産関係の代表がいずれにいたしましても渡航しなくては、これは問題にならないと思いますし、渡航する上におきまして、自主的に考えられて行くことであり、たまたま又これを達成するために、外務省からそういつた渡航証明をもらつて渡航する場合、或いは向うへ行きまして、向うの方で間違いがあるといたしましても、これは覚悟の前で行くということに考えられるので、そういつたことにこだわりなく、自主的に行つて、どんなことになろうとも、国に対して迷惑をかけないというような考え方から、例えば申入でもしますならば、外務省としてはその手続方法はとつて頂かれるということに相成りまするかどうか、お尋ねいたします
  20. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 旅券を出すことですか。出すようにするかということですか。  (木下源吾君「自分の責任で行くからということであればいいのかと、こういう意味ですよ。」と述ぶ)先ほどから申上げておりまするように、外務省だけの判断でなくして、例えば貿易問題については通産省、或いは船舶の問題であれば運輸省の関係、がありましようし、又水産関係等の問題であれば農林省というような方面において、是非これが必要であるという御判断であつて、旅券を是非発給ずるほうが、政府として必要であり、適切な措置であるという申入が正式にありますれば、外務省としてはそれに応じた措置をとらなければならないと考えております。ただ自分が危険負担の上に行くのだからというので、一体政府は如何なる危険なことを国民がしようとするのも、それは放任しておいていいかどうかということにつきましては、私は根本的に一つの問題があろうかと考えます。併しこの今審議せられておりまする特定の問題につきましては、先ほどから再三申上げておりまするように、関係各省の御意向を十分に尊重いたしまして措置いたしたいと考えるのであります
  21. 小松正雄

    小松正雄君 そういたしますと、甚だ水産委員のかたに対しては多言のことを申上げたようなことになつて、恐縮でありまするが、二言お尋ねいたしますが、水産委員長にお尋ねいたしますが、今私が外務省にお尋ねしておりますことについては、お聞きの通りであつて、若しそういうことに対して発給されないということになつた場合には、どういうふうなことによつて渡航しようということをお考えになつておられるのか、その辺のことについて、委員長にお尋ねしたいと思います
  22. 森崎隆

    森崎隆君 只今小松委員の御質問でございまするが、さつきから農林、通産並びに外務政務次官の三かたからの御説明や、御答弁があつたわけでありまして、私たちとしましては、やはりこの問題の重要性は十分政府におかれましても、各省とも御認識頂いておるものと確信いたしております。従いまして、これが本院の決議ということになりました場合に、その結果、例えば本院の議運において何者が出る、又民間代表を推偏するといつたようなことで派遣する使節団というものを決定いたした場合には、当然これはやはり旅券は出るものと確信いたしております。それができないという前提に全然立つていないわけであります。そのように一つ御了承頂きたいと思います
  23. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 先ず最初に外務政務次官に若干聞いておきたいと思うのですが、ソ連代表部というのは、前にあつてその後自然消滅したような恰好になつておりますが、今日それがどういうふうになつておるか、若干、事実上は人がおるのかどうかということ。  それから第二は、ソ連人ソ連から日本に入りたい、ソ連から入国ということがあつたかなかつたかわかりませんが、ある場合にはどういう措置日本がとるかということ。  それから第三は、ソ連の例の引揚問題でありますが、これは簡単なお答えでいいと思うのですが、大体日赤その他が間に入つていろいろやつたあれで、一応軌道に乗つたというか、或る程度満足すべき状態であるか、そういうようなことについて、引揚問題について、日本政府としてソ連に対しどういう今日考え方を持つておるか。  それからその次は、これは先ほどからいろいろ議論がありましたが、先年モスクワで経済会議があつたときに、この代表団の旅券を出さなかつたわけであります。あのときと、今日とで相当何か実情が違つておるか、あのとき旅券を出さなかつた事情と、今日別な見地から検討するということにいたしましても、事情が何かあのときと違うだろうかどうかということと。それからその次は、日赤代表が向うに行きましたとき、これは日本政府としても、あの問題について幾らか仲介というか間にに立つたのか、全然赤十字系統だけの動きでやつたものであるかどうか、これらの点について一応先ず外務政務次官に聞いておきたいと思います
  24. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) ソ連の、いわゆる代表部は、日本平和条約の効力を発生いたしました直後において、代表部の地位というものは喪失したものであるということを、もう極東委員会もなくなりましたので、そのことを申入れたのであります。即ち代表部の資格を失つた以上当然帰国すべきものであるという趣旨の申入をいたしたのでありますが、ソ連のほうは別個の見解を持ちまして、事実上現在まで、独立前の代表部員で、日本に滞在しておる者があるわけであります。それの法律的な地位につきましては、非常にあいまいな点もございますけれども、或る程度の儀礼的な便宜というものは与えておると考えます。併し法律的に言えば、普通の外国人と見るべきものだろうと思いますが、その詳細については、若し必要があれは新聞課長が来ておりますから説明いたすことにいたします。代表部は当然退去すべき時期においては、約八十名ばかりおつたのでありますけれども、その後だんだん帰国する者が出て参りまして極めて最近も修理せられました船で帰つた者も相当ございます。現在の員数は、いわゆる代表部員が十二名と、家族が四角、合計十六名でございます。  次にソ連人入国については、如何なる措置をこれまでとつて来たかという点でありますが、日本ではソ連人入国を認めないという方針でこれまで参つたのでありまするけれども、先刻木下さんが御指摘になりました笠戸等における船の修理の際につきましては、上陸許可を与えまして、これは行動に制限はございますけれども、上陸許可を与えまして、船に関する技師が日本に滞在することを認めて来ております。その後まだ貿易関係いたしましての入国については、契約関係が成立しないためか、新らしくは申入を受けておりません。併し今後こうした申入があれば、個々のケースに応じまして、ケース・バイ・ケースで審査いたしまして、この点は通産省あたりからも申入があるはずでありますので、そのケースに応じて入国を許可するという方針で進みたいと考えておるのであります。  それから引揚問題につきましては、御承知のように当院の大山さんが向うに行かれました際に、ソ連側でH赤の代表者が来ればこの問題について検討して、引揚問題を具体化する用意があるという意思表示がありましたために、日赤のほうは直接電報でソ連の赤十字とこの問題について通信して、そうして代表者ソ連へ入つて行くというようになつたのでありまして、特別の仲介者があつたわけではございません。勿論それまで国際赤十字であるとか、或いは国連の浮虜特別委員会等からいろいろ呼びかけましたけれども、それに対しては直接返事がなくして、大山さんが向うに行かれたときしに向うが意思示、心したということからこの引揚が具体化して来たのでありまして、他に仲介者というものがなかつたのであります
  25. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 政府はノー・タッチですか。
  26. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 従いましてこの問題については、政府は日赤がこの問題を取扱うのについていろいろ、援助し、蔭にいていろいろの便宜を共与して来ておりますが、直接そうした交渉には関係していないのであります。  それでは一体今後は如何なる措置をとろうとしておるかというのも御質問の一つの点であつたと思いますが、これにつきましては最後の船が日本へ帰ります際にも、ナホトカに参りました日赤の代表者が、後の引揚問題についてもいろいろ申入をいたしております。又安否調査などの点につきましても、申入をいたしておりまするし、又国連の俘虜特別委員会というものは共産国側からは反対がありまして、これは解消すべきであるという意見もございましたけれども、多数国がこれは依然として存続して俘虜の引揚問題の解決に努力すべきであるという決定に至りましたため、現在も存細しておりまして極あて最近にもジエネバのほうで、これは関係国の代表者を呼んだわけではありませんが、この俘虜特別委員会のほうの委員ががいろいろこの問題を審議いたしたのであります。その際には日本側からもいろいろ新らしい資料もこの俘虜特別委員会のほうヘ送付いたしまして、そうしてソ連からの引揚問題が促進せられるように協力してもらう申入をいたしております。この国連の委員会のほうは随時引揚の促進について措置をとつておるようでありまするが、これまでのところソ連側のほうはこれをイグノアするというような態度で来ておりますので、現在残つておる人たちの帰つて来られるのがいつになるかということははつきりいたしませんけれども、併し戦犯者などについてはそれが釈放されたらあとで帰すというような言明もいたしておりますので、政府としては直接交渉はでまませんけれども、いろいろチヤンネルを通じてこの問題が一日も早く全部解決いたすように努力いたしたい所在でございます。  次にモスクワ経済会議以来事情に変化はないかということでありまするが、原則的には変化はないと申上げざるを得ないのであります。いろいろ学術会議であるとか、ソ連側から招請が参つておりますけれども、これまではそれらの人の渡航というものを認めておらないのであります。が先ほどから申しますように、今御審議になつておるような特別のケースについては、別個の取扱、即ち原則に対する例外としての取扱をしなければならないであろうというのが私ども考えでございます
  27. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 答弁は簡単で結構なんですが、今の引揚問題については日本政府としてはソ連は相当誠意を示して来ておる、或いは誠意を示しておると認めておられるのかどうか、どういう認識に立つておられるのかということについて。  それから先ほどソ連人が船の修繕や何かで上つたことがあるというお話でありましたが、その際に日本政府としてはそれらのソ連人に対して如何なる措置をとつているか、つまり十分の保護を与えておるかどうか、この二点について、簡単で純情です。
  28. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 引揚問題について誠意があるかどうか、これは政治的な考慮もあるのでありましようから、一概に何とも申上げかねますが、その誠意のあるなしにかかわらず政府としては今後も努力いたしたいと考えております。   なお入国者に対するどういう措置をとつたかという点でありまするが、実は東京のほうへ旅行したいというような申出もございましたけれども入国をいたしました際にすでにそういう約束ではなくして寄港地上陸というので、それに応じた便宜を与えるという約束にもなつておりましたので、その後の通産省あたりからの申出によつて正式に入国許可を与える場合は別として先ほど参つておりましたこの二人の技師については、ただ寄港地上陸に関する措置をとつたというだけであります
  29. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから、新聞その他で聞いておつた例の平塚さんと福永一臣氏に渡航許可を出すとかどうとかというようなことが出ておりましたが、その後この問題はどうなつておりますか。先ほど質問があつたのなら結構です。あつたのですか。
  30. 中川以良

    委員長中川以良君) ございません。
  31. 平野三郎

    政府委員平野三郎君) そのお話はよく承知いたしておるのでございますが、只今外務省と協議いたしまして検討いたしておるわけであります
  32. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 それから、これはちよつと速記なしに承わりたいのですか……。
  33. 中川以良

    委員長中川以良君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  34. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  35. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 先ほどお話のありましたのは、狸穴にあるいわゆる在日代表部の過去の問題だつたのですが、そのほかに先ほど木下さんからお話のありました麻布の元三連隊の横にある在日代表部とは別個に貿易在日代表部というのがあるのは御存じだろうと思いますが、如何ですか。それは一体どういう関係にありますか。国内を自由に旅行し、通商貿易関係の折衝も行なつておる、こういうように私は承知しておりますが、これはパスポートとかいろいろな関係日本における地位はどういうことになつておりますか、政府はこれを認めておるのですか。
  36. 新関欽哉

    説明員新聞欽哉君) お答え申上げます只今指摘のように狸穴にございますソ連元代表部のほかに通商代表部と称するものが存在しておることは事実でございます。ただこの通商代表部なるものが如何なるステータスを持つておるものであるかということになりますと、占領下におきまして、講和条約の発効前におきまして、対日理事会のソ連代表部といたしましてあそこの旧大使館の中に大きなスタッフを持つた代表部があつたのであります。これが小瀧政務次官が先ほど御答弁なさいましたように、講和発効後、その資格を失いまして消滅したわけであります通商代表部というのはその当時の対日理事会のソ連代表部の経済顧問、そのかたがドムニツキーというかたでございます。そのかたが現任では別のところに通商代表部という看板を掲げて実際日本の各界の業界のかたがたとそこで連絡折衝しておる。こういうような状態でございますから、厳密に解しますならば通商代表部というものは、現在のソ連の官制におきましてはつきりした任務が与えられてございまして、そうして、官制によつて大体の戦後の例によりますと各国との間には合意によりまして、そのステータスにつきまして、厳密な規定を置くことになつております。ところが、我が国との関係におきまして、ソ連とは現在何らの直接の接触はいたしておりません。又そういう形の合意は一切行われたことはないのであります通商代表部につきましても、その法的なステータスにつきまして一切合意が行われたことはない、ただ事実上一種のバイヤー的な存在としてあそこに存在しておる。御承知のようにソ連の中には外国貿易商のほかに一種の何と申しますか、いろいろなトラスト形態をとつた企業体がございまして、輸出入の機関があるわけでございます。例えば木材輸出に関しましてはエクスポルト・レスというものがございますし、そういう工業製品の輸入につきましてはプロム・イン・ボルトといういろいろな組織がございす、そういつた機関の出先の代表である。大体この程度に解しておりますから、厳密な意味における通商代表部と称することはできないものと考えております
  37. 三輪貞治

    ○三輪貞治君 これは国内における旅行その他公然と自由にできるわけですね。
  38. 新関欽哉

    説明員新聞欽哉君) 公然と自由にできるわけでございます。制限はございません。
  39. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 先ほど政府側のほうからは、こぞつて経済交流については勿論であるが、国交回復については趣旨は賛成だ、できるだけのことはするという御説明なり御答弁があつたわけなのですが、これを裏から考えると、非常に表面的な一応のお座なりのように聞えるわけなのですが、むしろそういうできるだけのことをするというのじやなく、この際最大限度までということになると、この限度までは行けるのだという、その点を伺いたいと思うのです。殊にヨーロッパ諸国とソ連との間においては、いろいろとやつ薫るので、一つの実例のようなものができて来ておるのでしようから、そういう点を考え合せて、その限度というものは外交的にどの程度か、又通商的にはどの程度か。要するにこれは禁止品目の問題でありますが、諸外国の実例を基調にせられて、一体限度というものはどこまで行くのかということを率直に一つ外務、通産両当局から伺いたいと思います。殊に先般日英通商協定の際行かれた人もあるようでありまして、相当その際に裏面のことも恐らくわかつておるのでありましようが、そういう諸点を考え合わされて、この際日ソ経済関係についての最大限度のところはどの程度まで行き得るかという点を伺いたいと思います
  40. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 今豊田さんの御質問は二つの問題を含んでおるのじやないかと思うのです。一つは、只今審議せられております経済使節を派遣する問題、それについて一体どういう具体的措置をとるかという点と、もう一つは、貿易は事実上制限されているが、その制限の範囲は如何というこの一つじやなかろうかと私は想像いたします。  第一の点につきましては、結局どういう形式において代表を出そうとせられるか、これを非常に大袈裟にいろいろな方面に利用せられるというようなことになれば、友好国とのいろいろな関係というような点も考えなければなりませんからして、そうすれば却つて友好国との貿易が非常に縮小するというような結果になれば、日本経済のためによくないのでありまするから、この取計らいについて如何なる措置を要求せられるかどうかによつてきまるたろうと存じます。石原委員にもお答えいたしましたように、世界の輿論に非常に悪い影響を与える、日本も非常に誤解せられるというような虞れがあるとすれば、それに対しては相当慎重な態度をとらなければならないのでありまするから、結局その最大限度の限度如何ということは、その取扱振りなり、規模いろいろな点から解しなければなりませんので、今抽象的に経済代表派遣という、こういう言葉を使われましても、それに対して最大限度の限度はこの辺であるということはお答えしにくいのであります。  次に貿易制限につきましては、残念ながらこれについては詳細は友好国で発表せられないということになつておりますので、この限度をここで言明するというわけには行かないのでありますが、併し随時この制限の限度については話合いが行われておるのでありまするし、且つ又先ほども指摘いたしましたように、方向としてはこれを相当緩和しようということになつておりまするから、日ソ間の貿易の限度というものは、西欧諸国とソ連との貿易の限度を拡大せられると共に、だんだん拡大せられて行くということを概括的には申上げることができるのであります。又先ほどの答弁でもすでに指摘いたしました通り、船と申しましてもタイプとか、いろいろその構造とか用途とかいうようなものによりまして違いまするので、一概に船と申しましても非常に詳細なる点を申さなければその限度は判明いたさないのでありまして、この席における私の答弁としてはこのくらいで御勘弁を願いたいと存じます
  41. 豊田雅孝

    豊田雅孝君 そうすると、具体的な問題としてこの決議案が成立した際においてこの決議案の内容に対してどの程度までは外務当局としてやり得るというふうに考えられるでしようか。
  42. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) 決議案は「経済代表の渡航を認めるなど」、「など」、と書いてありますのでどういうことを実際的な具体的な問題として提案せらるるかによるわけでありましてその内容を知らないで今どの限度ということは申上げかねる次第でございます
  43. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記をとめて。    〔速記中正〕
  44. 中川以良

    委員長中川以良君) 速記を始めて。
  45. 海野三朗

    海野三朗君 過日ソヴイエトに学術会議がありました際に日本の学界に案内状が来ました。その際に渡航旅券を交付されましたか、如何でしたか。
  46. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) あの学術会議に対しましては旅券を下付いたしておりません。
  47. 海野三朗

    海野三朗君 交付して旅券を出さなかつたのですか。
  48. 小滝彬

    政府委員小滝彬君) その通りであります
  49. 中川以良

    委員長中川以良君) お諮りいたしますが、本日は一応質疑はこの程度にいたしておきまして、次回は火曜日の午前十時より開会をいたしたいと存じますが、御異議ございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 中川以良

    委員長中川以良君) それではさように決定をいたします。  本日はこれにて散会をいたします。    午後零時五十六分散会