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1954-06-03 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年六月三日(木曜日)    午前十一時三十八分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            小林 武治君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            木村 守江君            長谷山行毅君            館  哲二君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            松澤 兼人君            笹森 順造君            加瀬  完君   国務大臣    国 務 大 臣 小坂善太郎君   政府委員    国家公安委員長 青木 均一君    国会地方警察本    部長官     斎藤  昇君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○警察法案内閣提出衆議院送付) ○警察法施行に伴う関係法令整理  に関する法律案内閣提出衆議院  送付)   ―――――――――――――
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。  警察法案警察法施行に伴う関係法令整理に関する法律案を議題に供します。逐条審議の第二章の質疑の続行をいたします。
  3. 若木勝藏

    若木勝藏君 昨日は質問しかけているうちに休憩に入つたので、続いて私質問したいと思います。  国務大臣国家公安委員会委員長にするという問題は、これは昨日もお話した通り重要な問題でありまするので、いろいろそれについて質問したいと思います。それでこの問題は第十条の第三項にも関係がありますので、その方面からいろいろ又伺いたいと思います。昨日の私の質問に対しまして国警長官の御答弁があつたわけでありますが、途中であつたのはつきりしておらない。私の聞いたのは「政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。」この「積極的に政治運動をしてはならない」ということは具体的にどういうふうなことを言つておるのか、これを伺つたのでありますが、それに対する御答弁はまだなかつたように思う。これを具体的に説明して下さい。
  4. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 積極的に政治運動と申しまするのは、ただ普通の何と申しますか、国民として政治的意見を発表するとか、或いは政治的なことに触れて講演をするとかということではなくて、特別の政治目的を以て、その目的を推進するために行う政治活動のことを積極的な政治運動、かように解しております。
  5. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういたしますと、委員はそういうことはできないのであるが、委員長については何もここに出ておらない。委員長が現在のように政党内閣である以上は、或る政党に所属しておるものである。それでは委員長はどうなるのか、こういう運動ができるのかできないのか、この点をお伺いしたい。
  6. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 委員長国務大臣でございますから、無論制限はございません。ただ職務的に公安委員長となられた場合は、他の国務大臣よりもそういつた方面におきましては自制をされるということが当然であると存じます。法律によつてこれを制限するということは考えていないのであります。
  7. 若木勝藏

    若木勝藏君 私はそこに問題があると思うのであります。委員長委員でないという立場から、而も国務大臣であつて政党に属している。これはもう法律的にはそれでは何らの拘束がない。こういうことになりますれば、法律にきめられておつてもその限界を超えてやる人さえあるのであります。いわんや法律の束縛も何もないということであれば、これは自粛してもらいたいとしても医界が明らかでない。そこで勢いこれは国務大臣であるところの委員長は積極的な政治運動というものはできる。そうなつて参りますと、この国家公安委員会というものは非常にこれは警察政治的中立を超えてしまう。この虞れは多分にあるということは考えられるのであります。この点一つ長官の御見解を伺いたい。
  8. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは閣僚が委員長になることによつて政治的中立性が侵されるかどうか、政府といたしましてはさような心配は毛頭ございませんということをたびたび大臣からも繰返しておつしやつておられますが、それと同一の問題でありまして、五人の公安委員中立性を保つ公安委員会であるということによりまして、さような心配はないと考えております。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 あなたはこの警察法の立案に参画されたと思うのでありますが、今のようなお考えの下に、一体国務大臣であるところの委員長がこういう積極的に政治運動をしてはならないという規定をなぜ入れなかつたか、今のような考えから入れなかつたのであるか。私は他の委員よりも国務大臣であるところの委員長の場合を規定するのが本当ではないか。本当にこの公安委員会というものは政治的な立場から中立するということになれば、私はそう行かなければならない、これについてどうお考えですか。
  10. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 御意見は御意見として承わりまするが、私はさようなことはないと思つております。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 御意見は御意見として承わつておく、併し私はさようなことはないという答弁は、私は非常に不満だと思う。それではさようなことがないという一つの理論をお話してもらいたい。
  12. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この点については、従来総括質疑の際にしばしば問題として取上げられ、しばしばお答えをしております。
  13. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は休んでおる。
  14. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そういう際の答弁におきましても申上げたのでございますが、国務大臣委員長でありましても、国務大臣意思というものを委員会表決の際に表示することはできない、これは規定上から明瞭でございます。そこで国務大臣という地位に鑑みまして、国務大臣が如何なる良識を以て行動するべきかということは、この地位上から来る当然の制約があるのでありまして、そういう問題については、特に法文を以て謳わなくても、今言うような実際の心組みとしての規制もございまするし、又制度上からするところのそうした意思が特に公安委員に反映しないという点から見ましても、必要はないというのであります。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは具体的に伺いますが、委員長であるところの国務大臣は、今のような自粛の立場から申しますると、例えば政党のいわゆる政治討論会であるとか、或いは意見発表会であるとか、そういうことには一切出られないことになるのであるか、或いはこうこういうことについては全部いわゆる自粛的には制限を受ける、こういう具体的な事項について伺いたい。
  16. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私はそういう問題についてはおのずから世間並み常識範囲というものがあると思うのであります。私ども常識を以ていたしますれば、いわゆる啓蒙的な一般を訓育するという趣旨のものは政治運動とは解されないのでございまして、そういうものの範囲に限られる、かように思う次第でございます。
  17. 若木勝藏

    若木勝藏君 若し委員長であるところの国務大臣が、今私の申上げたようなこの政党大会であるとか、いわゆる積極的な政治運動に亘るような個所に出て、そうして政見を発表したりしたとしたならば、これはまあ別にここに法律規定がないのでありますから、何か別な方面の制裁とか何とかいうものはあるのですか、この点を伺いたい。
  18. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 例えば法務大臣が或る政党に属しておる、自由党なら自由党に属しておる、自由党大会に出る、こういうことは従来行われておることであります。そうしたことは政党員である以上は当然であると思います。ただここに積極的にその地位を利用しての政治活動ということが良識によつて規制せられるのであるということを申しておるのであります。
  19. 若木勝藏

    若木勝藏君 その常識から考えまして、いわゆる選挙運動とか選挙の場合の応援とかいうような場合におけるところの運動はどういうふうに考えておりますか。
  20. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは只今大臣からおつしやいましたように、例えば法務大臣が他の大臣と全く同じような政治活動をされるかされないか、これはおのずから一般的の常識というものがあると存じます。その限度でありまして、これは常識問題でございまするから、場合によれば常識よりもはずれたという行動をとる場合もあるかも知れません。それは又一般の世論によつて批判をされるという程度でよろしいのでありまして、公安委員長国務大臣が入られましても、五人の公安委員がおられるということによつて警察中立性は十分保たれる、このことをたびたび申上げておるのでございます。
  21. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、まあそれは他の批判を受けるからそれでいいということになりますと、だんだんそういうことから推して行きますれば、結局国務大臣は積極的な政治運動をしてはならないという委員の場合と私は同じになつて来ると思います。それならば明らかにこの中に委員長というものを入れてもいいと思う。良識として考えて行くのでは、この法文として、委員と一致して来るのであれば、法文に明らかにすればいい。これはこの警察中立というものを守る上に非常に私は重要なものだと思う。この点を伺いたい。
  22. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 公安委員会委員は、公安委員会意思を直接表決によつて決するのでありますから、その際は極めて厳格であると思います。委員長国務大臣としての地位から鑑みまして、おのずから或る規制があるのでありますから、これにつきましては政党員であれば、その政党員としての当然の職務をやつていいと思います。なお委員の場合は五年間というものは保障されております。然るが故にこれについては特に保障されているという半面において、この辺の規制は必要である。国務大臣の場合はそうした身分保障されておりません。一般良識によつて良識にはずれたことをすればその地位を失うということは当然予想されますから、そこにおのずからなる規制というものは行動の上にも現われて来ざるを得ない、こういうことであると思います。
  23. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは他の場合に一つ問題を移して考えたいと思うのであります。これは公安委員長おいでになつているかも知れませんが、おいでになつていますか。
  24. 内村清次

    委員長内村清次君) 見えております。
  25. 若木勝藏

    若木勝藏君 国家公安委員会が昨年の、昨年ということになると二十八年でありますが、その四月から二十九年の三月まで一ヵ年の間、これは何回開かれて、出席の人員はどういうふうになつているか、これを伺いたい。
  26. 青木均一

    政府委員青木均一君) 詳しいことは只今私の手許にありませんから、事務局をして御報告いたさせたいと思います。
  27. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 公安委員会は毎週一回例会として集まるということを原則にいたしております。そのほかに緊急の要のある際には参集を頂くのでありますが、昨年一ヵ年間におきまして、緊急の要があるとしてお集り頂いたのは二、三回ぐらいであつたかと考えております。それ以外には毎週一回ということでございます。
  28. 若木勝藏

    若木勝藏君 毎週定例に間違いなく開かれておつたのですか。
  29. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) さようでございます。
  30. 若木勝藏

    若木勝藏君 出席状況はどういうふうになつておりましたか。
  31. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 出席状税全員の場合、四人の場合が大体半々ぐらい、ときによると三人の場合もございます。重要なときには全員御参集して頂くということが励行されております。
  32. 若木勝藏

    若木勝藏君 私はこの問題で非常にその点重要だと思うのです。資料はありませんか。出席状況を現わしたところの資料はないか……。
  33. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 資料はございまするから、御必要であればお手許に差出しをいたします。
  34. 若木勝藏

    若木勝藏君 私はそれが必要なんです。
  35. 加瀬完

    加瀬完君 今の若木委員質問に関連しての問題でありますが、現行法によると、公安委員長委員互選任期は一年となつておるわけであります。この任期が一年というものは、同一人が長く委員長の職にあることは若干弊害が起るのじやないかということを防いでの制定というふうにも考えられるが、今度は国家公安委員長国務大臣でありまして、任期がないわけであります。そうするとそういう弊害が当然起つて来るというように思われるのでありますが、現行法と今度は任期のないところの無制限国務大臣公安委員長の職と、この点について現行法との関係でどんなふうにお考えになつているのですか。
  36. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 委員長任期が一年になつておりまするのは、御承知のように五人の公安委員のおかたは毎年一人ずつ更新をするという建前になつておりまするから、その更新のたびに互選によつて委員長を選ぶ、さようなわけで一年ということに相成つておるのでございます。現実におきましては、過去六年の間で委員長は二人、お代りになつたのは二人だけでございます。
  37. 加瀬完

    加瀬完君 又現行法の十条によりますと、委員長会務を総理するとありますが、改正法によりますると、会務を総理し委員会代表するとあります。今まで担当大臣、或いは国警長官の御説明による国家公安委員長というのは、委員会をそういうふうに主宰するような強い立場ではなくて、いわば連絡係のようなものだという御説明があつたわけでありますが、会務を総理するというほかに、更に委員会代表するというふうなはつきりした文言が謳われておりまして、今までの御説明とこれはちよつと合わないと思いますが、その点どうですか。
  38. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは現在におきましては、委員長委員会代表するということが書いてありませんので、従つて委員会として行動いたしまする場合に、すべて委員会という名前でする以外に手はなかつたのであります。これは非常に不便でありまして、実際問題といたしましては、公安委員会委員長何の何がしということですべて処理をいたされておるのであります。それでこれを法律はつきりやれば、正式の場合においても代表をするということを認めておくほうが事実に合うし、便利であるという見地からかようにいたしたのであります。
  39. 加瀬完

    加瀬完君 非常に今度の改正法は全体を通じて便宜主義が根柢になつておるのでありますが、何回も繰返されますけれども、その点は重要でありますから、もう一度繰返したいのでありますが、行政委員会というものの性格は、個人行政委員会代表するということでなく会議制で、数人によります会議制のその委員会そのものでなければ委員会代表とはなれないという立場をとつておるわけであります。今度こういうふうに国務大臣である委員長が、委員会代表するということになりますと、行政委員会の今までの性格というものは薄められて来ておる。それは結局行政委員会のいい意味会議制制格というものが払拭されまして、ただ公安委員長という名前だけを借りた国務大臣公安関係事務全部に対して総理をし、或いは管轄をするという形をとつて来ておることになるわけであります。この点どうですか。
  40. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 行政委員会通例はその委員会委員長代表するということを法律に書いておるのが通例であります。現在の公安委員会のように代表することを書いてないのがむしろ異例でございます。別段公安委員会代表するからといつて公安委員会決議に基かないで、意思決定にあらざるものを公安委員会意思なりとして表明するわけには参らないことは申すまでもございません。
  41. 加瀬完

    加瀬完君 国家公安委員長只今までの御説明によれば、国家公安委員長性格というものは、これは普通の行政委員会委員長のごとく、委員から互選されたものでもなければ委員でもない、こういう立場委員長性格というものが説明されておる。委員でもなければ委員から互選された委員長でもない、委員とは別個の立場のものだという、そういう委員長というものに委員会代表させましたり、或いは行政委員会性格をこの委員長によりまして曲げられるのじやないかという心配のあるような権能を持たせるということも私どもには腑に落ちない。この点の説明を求めているのです。
  42. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) この代表するという権能につきましては、委員性格を曲げる、或いは委員長専横を許すというような内容は全然含まれていないと解釈をいたしております。
  43. 加瀬完

    加瀬完君 それは勿論ですよ。法規の中に委員長専横を認めるという法規があり得るはずのものじやない。併し委員会委員長が招集する、委員長出席がなければ開会できない。可否同数の場合には委員長が決すると、こういう幾つかの新らしい条項というものが盛込まれておる。そうするとそれは委員長権限というものが現行法委員長よりは遙かに違う意味において強化されておるのです。そうなつて参りますと、これは国家公安委員長というものに公安委員会の或る程度権能というものを現行法よりも強く認めたということに当然解釈できると思います。そうじやないですか。
  44. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 現在の委員会の運営は、委員会規定によつて設けることに相成つておりますが、この会議を招集したり可否同数のときには採決をしたり、こういう点は現状と何ら異つておりません。ただ法律委員長委員会代表するということがなかつたのを今度そのことを入れたのでありますが、これは実際の便宜従つたに過ぎないのでございます。
  45. 加瀬完

    加瀬完君 委員会現行法のように委員意見によつて委員会決定されるならば何ら問題がない。委員でない委員長というものが現在の委員である委員長権限より拡大されているというところに問題があるのです。その点お伺いしたい。
  46. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) ちよつと御質問趣旨が汲み取りかねますが、それは委員でない者を委員長にするのは適当じやないじやないかということに帰するのじやないかと存じます。
  47. 加瀬完

    加瀬完君 もう一度質問します。現行法公安委員である者によつて公安委員会が構成されており、その中から委員長互選されておる。ですからその公安委員会意見というものは、委員以外の意見というものは差しはさむ余地がない。これは行政委員会として完全な性格を持つておる。ところが今度は公安委員でもない委員長公安委員会そのもの意思決定というものに大きな幅を差しはさんで来ることになるので問題があるのだ。そういう点今の現行法委員長と、今度の委員長というものの性格が違つておるのだから、今の委員長はこうだから今度の委員長もこうだということにはならないじやないか。現行法ならば委員以外の者が委員会で発言ができないのだ、今度委員以外の委員長に大きな権限を持したということに非常に会い違いがあるのだけれども、その点をもつと説明して頂きたい、こういうわけです。
  48. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 公安委員会国務大臣を入れる、この場合に委員として入れるか、或いは委員にあらざる委員長だけとして入れるか、この立法論でございますが、国務大臣委員として入れるよりも委員にあらざるただ委員長として入れるというほうが、この公安委員会中立性を保つのにふさわしい、かように考えてその構成をいたしたのであります。
  49. 加瀬完

    加瀬完君 それは委員としては国務大臣を入れることができないからこんな変てこな形を作つて国家公安委員長というものに国務大臣をした、こういうふうに解釈するのが当然です。それであなたがたはこれを中立性を阻むものでないと言うけれどもさつき長官法務大臣の例をとりましたが、法務大臣は、くどいようでありますが、今度の汚職問題で十四条を発動してどうなりましたか、やめているじやありませんか。法務大臣身分保障も何もない、従つてああいう問題のときに政治責任をとつてやめざるを得ない。今度の公安委員長もこれは今までのような委員長と違いまして、身分保障というものがはつきり謳われておらない、そうすればはつきりああいう政治責任をとつてやめざるを得ない、やめざるを得ないということは、逆に政治責任をとつて行動せざるを得ないということを裏書きしておる。これで政治的中立であるということがこの法文の上で明らかになつていると言えますか。
  50. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 公安委員会意思公安委員会決議によらなければ決定ができません。委員長独断警察庁長官指揮したり監督したりすることはできないのでございますから、只今御設例になりましたような場合は生じないと考えております。
  51. 加瀬完

    加瀬完君 公安委員会意思公安委員長だけではなくして、公安委員会意思決定によらなければならない、それは当然であります。ところが公安委員会を招集するものは誰ですか。公安委員長が招集しなければ公安委員会の各人がそれぞれどんな意思を持つていようとも会議機関にかけて会議決定するということはつまびらかにされないじやないですか。而も可否同数なつた場合には委員長がきめるということになると、どうしてもこれは公安委員長権限というものが現行法公安委員長とは満かに違つた強いものになるということで、公安委員意思決定に及んで来るということは当然です。そういう形にならないとおつしやるのですか。
  52. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) この点はしばしば前にも申上げましたのでありますが、公安委員長招集権があるから指揮権があるのだということは、これは独断だろうと思います。法務大臣の検察庁に対する指揮権の場合を引用して、国務大臣である公安委員長公安委員指揮するがごとき見解を以ての御質問でございますが、そうではないのでございます。委員長及び委員というものを似て委員会を構成する例は例えば公正取引委員会においてそうであります。併し公正取引委員会のほうは委員長表決権を持つておる。国家公安委員会の場合は表決権委員長は持たない。なぜ持つていないかというと、そうした独断的の指揮自分意思をそのまま委員会に反映することができない、こういう中立性を維持するという建前からかような規定を作つておるのでありまして、御質問趣旨は私ども説明を以て御了解願いたいと思います。それは誤解でございます。
  53. 松澤兼人

    松澤兼人君 今の問題で二、三質問申上げますけれども小坂国務大臣斎藤国警長官お話を聞いておりますと、これは政府側考え方でありますけれども、最後の採決権というものは持つておる。併し一々は投票しないのだ。従つて委員長意思委員会を拘束することはない。こういう点で委員長国務大臣になつて公安委員会というものは政治的に中立であり、或いは厳正公正であるということになるのだというお話でありますところが委員でない委員長国家公安委員会代表するということは、これはどんなに説明されても納得行かない。と申しますことは、委員長意思というものは委員会影響がない、影響がないからこの委員会において決定されたことに対して委員長外部に対してその委員会代表して行動するなり、或いは言論をお吐きになるということは委員会意思でない、国務大臣であるその委員長個人意思というふうに了解せられると思うのでありますが、そうではないのですか。
  54. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 委員長個人意思委員会代表することはできません。委員会代表して行動いたします際には、必ず委員会意思として代表しなければなりません。その前に委員会決議というものがなければならないのでございます。
  55. 松澤兼人

    松澤兼人君 その委員長がその委員会出席することがあつても、自分意思をその委員会決定に加えられないということが政府建前で、自分がその決定に加わらないその委員会決定したことを外部に向つて代表するということはあり得ますか。
  56. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 決議をしたものを誰が代表するかということでありますから、これは法理上何ら差支えないのであります。
  57. 松澤兼人

    松澤兼人君 この点は加瀬君が言いましたように、普通の委員会であれば委員長もその会議に加わり、場合によつて意思を働かせることができる、そうしてこそ委員会意向というものがまとまり、決定されたものを外部に発表し、その決定従つて行動するということは、その委員会代表する委員長ということになるわけです。ところが御説明によればそういう強い意思表示の機能もないということであつて委員長とは関係なく委員会の運営というものがなされるところに政府の狙いがある。その委員会決定委員長外部に対して代表するということは、今のような説明ではどうしても納得が行かない。
  58. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 委員長表決権を持つ場合と持たない場合がありまして、この委員会表決権を持たない場合の委員会であります。他の委員会におきましても表決権を持たない、採決権だけしか持たないという委員会におきましても、委員長はその委員会代表するという例は他にもあるのであります。又御承知のように以前の例えば町村会は、これは議長が村長でありました。そしてその町村長がやはり町村会を代表しておつたのでありまして、法理上不都合であるということはないのであります。
  59. 松澤兼人

    松澤兼人君 先般これと似たような委員会に首都建設委員会というものがあるというふうにお話になりましたが、これは明らかに建設大臣委員になつている。ですから明らかに国家公安委員長国家公安委員会関係、或いは建設大臣委員とした首都建設委員会というものとは違つたものではございませんか。この点如何ですか。
  60. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) その点は先般も申上げましたように、首都建設委員会委員長の例は国務大臣として委員会に入つておる例を申上げたのであります。お説のように首都建設委員会委員長委員として入つておられます。従つて表決権採決権も持つておられます。この公安委員会は事柄の性質上表決権を持つたほうがよろしいか、持たないほうがよろしいか、持つたほうが政府の意図というものが余計委員会に反映をされると思います。即ち政府政治責任委員会にもつと強く反映ができると思いまするが、強過ぎてはいけない、かように考えまして表決権は持たない、かようにいたしたのであります。
  61. 松澤兼人

    松澤兼人君 同じ政府委員会でありましても、明らかに首都建設委員会におきましては、総理大臣が任命する九人の委員を以て組織すると、こう書いてあります。その中に建設大臣が入つておる、そうして委員会には委員長を置いて、その人は建設大臣である、こういうふうになつており、明らかにこの建設大臣委員長というものは委員であつて、そうして委員長である。ですから会議にも加わるし、表決もするし、そういう人こそ会を代表することはできるわけであります。ところが国家公安委員会の場合はそうではない。それでそういう性格国家公安委員長国家公安委員会代表することができるかどうか、この問題について更に……。
  62. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) たびたび申しておりまするように、委員会の法理論的な構成といたしましてはいろいろございまして、委員長国務大臣にする場合におきましても、これを委員として表決権採決権も持たせるという場合もありまするし、又そうでない場合もあります。表決権を持つていないからといつて代表をさせないということが法理ではないので、表決権がなくても代表をさせることができるというのが法理であります。そこでこの公安委員会におきまして、例えば御指摘のように五人の公安委員を以て充てる、そうして委員長国務大臣にする、国務大臣表決権採決権も持つ、そうすると一般委員は四人ということに相成ります。さような場合における政治的な中立性の守られ方がどちらがよろしいかと考えますると、この政府案が適当である。これは国家公安委員会政治的中立性というものを強く求めておりまする関係上かような規定にいたしたのであります。もつと政府政治責任を持たせ得るようにしたほうがいいということであれば、公安委員を五人にしまして、普通の公安委員が四人、委員長表決権採決権も持つというふうにしたほうが政府政治責任はもつと明確になると思いますが、これは適当でない、かように判断をいたしたのであります。
  63. 松澤兼人

    松澤兼人君 極くありふれた問題で一つお聞きいたします。例えば国家公安委員長である国務大臣がたまたま大阪なら大阪へ行きまして、その人が将来は現在のような、改正法のような府県警察というものをやめて、戦前のような国家警察にしたほうがいいという発言をした場合に、その委員長の発言は委員会代表するものでありますか、或いは個人の発言でありますか。
  64. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 委員会においてさような意思決定をしておりません以上は、これは個人の発言でございます。他の委員のかたがたにおいてもそういう場合があり得ると思います。それと同様でございます。
  65. 松澤兼人

    松澤兼人君 それでは委員長の発言なり行動なりというものは、委員会決定以外のことはすべて委員長個人の発言であり行動である、こう了解してよろしゆうございますか。
  66. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) さようでございます。
  67. 松澤兼人

    松澤兼人君 それは理窟から言えばそうであります。併し若し委員会決定に逸脱したような言論なり行動なりとつた場合に、これに対して委員会はどういう措置がとれますか。
  68. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 事実問題として委員長の不信任という問題に相成ると存じます。これは現在の委員会におきましても同様でございます。
  69. 松澤兼人

    松澤兼人君 改正法の中におきまして、委員会委員長を不信任するという意思決定をするということはできますが。
  70. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは法律上は何らさような規定はございません。事実上意思が相反してこの間は何といいますか、思わしくない空気がみなぎるという場合は委員長として職務の執行がしにくい、或いは委員とされて非常に困るという、そういつた事実問題によつて解決さるべきものだと思います。
  71. 松澤兼人

    松澤兼人君 その場合四人の委員はただ困つた委員長だと蔭でつぶやくだけであります。何らの意思表示をすることはできない。こういう困つた委員長は総理大臣国務大臣をやめさすという以外に手がない。ところが政府の方針としては将来は戦前のような国家警察にしたいという考えがあれば、委員会にとつては困つた委員長であつて政府にとつてはそれは非常に有能な公安委員長であるかも知れない、これを罷免することはできない。結局委員会の不信任的な空気というものは公に、法律的に、或いは制度的に何らの意思を表示することはできない、こういうふうに了解してよろしゆうございますか。
  72. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 法律的には御所見の通りでございます。併し私ども見解といたしましては、こういつた五人の公安委員と一人の公安委員長、結局六人で構成される公安委員会で、而も国会の同意を得られた公安委員のかたがたと委員長との間がうまく行くか行かないか、これを法律問題によつて解決をしなければならない問題であるかどうかと考えますると、さようには考えておりません。恐らく政治問題、事実問題としこ適切な処理を行われるものとかように考えております。
  73. 松澤兼人

    松澤兼人君 政治問題として適切な方法がとられるということは、或いは国会におけるその大臣の不信任ということになる。併し与党がたくさんであれば、その行動というものは信任されるわけだ。何かこれをチエツクするような方法がなくて、改正法のようなこういう制度を置くということは危険極まることじやございませんか。
  74. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) さような運営にはなるまいと政府としては考えているのであります。若しどうしてもやはり法律にそういう規定が必要だというような事態が起るというようなことは、誠に残念な事柄でありますが、若し万一さような事態が起れば或いはそういう規定を必要とするかも知れません。政府考えといたしましては、さような事柄は法律にそういう規定を置くということによつて解決をするような事態が起らないよう、政治的に適切に処理されるべき問題で、又処理されるものである、かように考えております。
  75. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと懇談にしたいと思いますから、速記をやめて。    〔速記中止〕
  76. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは暫時休憩をいたします。    午後零時二十四分休憩    ―――――・―――――    午後六時八分開会
  77. 内村清次

    委員長内村清次君) 休憩前に引続いて地方行政委員会を開会いたします。質疑を……。
  78. 加瀬完

    加瀬完君 先ほど長官は、公安委員長国務大臣であるために、事実上公安委員会との意思の疏通を欠き、或いは公安委員長自身が非難さるべき問題が生じた場合は、政府はこれは政治問題、事実問題として論議さるべきものである、こういうお話があつた。併しながら当然政治問題として論議されるような要素、或いは事実問題として処理しなければならないような要素、こういう要素を含むところの国務大臣公安委員長というものは、そういう危険性を侵してまで法定しなければならないという理由はどこにありますか。
  79. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私はこの制度に当然その要素は含んでいると申上げたのではございません。たびたび大臣説明しておられまするように、国務大臣政府の正しい治安に対する見解というものを反映をせられるということでありまして、当然にここで意見の対立を来たすということを前提とはいたしておらないのであります。公安委員相互の間にも意見の違うことは、これはあり得ることでございまするから、従つて先ほどのお尋ねはそういつたような場合があつたらどうするかというお尋ねでございましたから、さような場合がありましても、これは政治的に良識的に然るべく解決をみるものだ、かように申上げたのでございます。
  80. 加瀬完

    加瀬完君 ほかの方面からその点を伺います。たびたび政府当局は国家公安委員長性格というものを公正取引委員会、或いは又首都建設委員会、こういうものと同じように考えておりまするが、これらの委員会も勿論大切なものではありまするが、国民の側に対しまして政府の介入、或いは政治的中立性というものは、公安委員会とこれらのものが同位で考えられるとお考えになりますか。
  81. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これも御答弁申上げましたように、私は公正取引委員会とか他の行政委員会よりも、この国家公安委員会のほうが政治的中立性を確保される要素が必要である、かように考えると申上げたのであります。さようでありますからこそ、他の委員会では国務大臣表決権を持つておりますけれども、この委員会では表決権を持たないようにしたほうがよろしかろうと、かような見地から立案をいたしたのであると、かように申上げたのであります。
  82. 加瀬完

    加瀬完君 あなたの今までのお答えは、例えば旧来の町村議会においては、町村長が議長を務めておつた、こういうふうな形もあり得るのだというので、形式的に国務大臣公安委員長を兼任することは当然であるという御説明に、公正取引委員会或いは首都建設委員会というものが持ち出され、使われておつた。今の問題の町村長が町村議会の開催のときに議長を兼ねたということをあなたはこれは正しい方法だと、形式だとお考えにになりますか。
  83. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私はこの公安委員長国務大臣を当てる妥当性を立証するために、その例を引いたのではございません。御質問はさような一体法理論があり得るかという、法理論的のお尋ねでございましたから、法理論としてはこういう例がございますというのでその例を挙げたのでございます。勿論委員会の性質というものは、町村議会だとか他の委員会と全く違うわけでありますから、そういつた妥当性を立証するために申上げたのではないのでございます。
  84. 加瀬完

    加瀬完君 それにしても、町村長が議長を兼ねるというふうな方法は、民主主義の原則にはずれるものだというので現行のような制度が考えられ、これが進歩した法則として誰からも認められておる。又それとは立場を変えますが、行政委員会というものも、各委員によりまして、会議制によつて行政が運営されるということを建前にしておる行政委員会性格というものからしても、国家公安委員長というもののこの立場というものは、甚だおかしな存在だということから何回も質問が繰返された。そうすると町村長だつて議長を今までやつてつたじやないか、こういう御答弁、これではあなたは、今から見れば甚だ不完全な一つ建前というものを是認してかかるというふうに聞える。ここでもう一回質問を改めますが、そういう方法、町村長が議長を兼ねるというふうな方法よりは、行政委員会のほうが優れた組織であると、こういうふうにはお考えになつておられないのですか。お認めになるのですか。
  85. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 町村における町村議会の例でございまするが、これは執行機関と議決機関というものを截然と区別したほうがよろしいか、或いは議決機関の中に執行の責任者が議長として人づているほうがよろしいか。これは御議論のあるところだと思う。これはまあ最近の行き方は、執行機関と議決機関というものは截然と分けたほうがよろしい、かように考えられておるのであります。私もさようだと存じます。私は先ほども申しましたように、法理論として委員にあらざる委員長、その委員長委員で構成する委員会、そういつた事柄は法理論的にあり得ないのではないかというお尋ねでございましたから、法理論的にはかようにございますと申上げたのでございます。そこで妥当性でございまするが、これはたびたび申上げておりまするように、公平中止ということを専ら念頭といたしまするならば、委員長国務大臣を充てないほうがよろしいわけであります。併しながら一方警察事務は、政府政治責任ということも考えなければなりませんので、さような見地から、普通の委員会としては例外ではございましようが、政府政治責任、そうして事柄の政治的中立性というものを両々満足させるための組織といたしまして、この制度を提案をいたしたのであります。これが最も適当な両方の条件を満足せしめ得るものだと、かように政府考えているのでございます。
  86. 加瀬完

    加瀬完君 適当な、両方の条件を満足するというのは、それは政府がたびたび繰返される説明でありますが、我我はその両方の立場とか、或いは適当な方法であるということに満足しかねる。そこで改めて伺いますが、公安委員会決定に対して大臣は責任を持つというお話でありますが、そう了解してよろしいですか。
  87. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 大臣委員長として代表するわけでありますから、その決定いたしました事柄を通達をするとか、或いはそれを執行するとかという意味においては、責任を負わなければならないと思います。
  88. 加瀬完

    加瀬完君 公安委員長である大臣は、委員会意思決定には参加されないという、こういう御説明がありましたが、それをその通りに了解してよろしいのですか。
  89. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 採決権を除きましては表決権はございません。
  90. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、国家公安委員長は他人の、公安委員会意思に対して責任を持つことになるが、自分意思でもないものに対して、自分決定でもないものに対して、委員長委員会に責任を持つということは一体どういうことになるのですか。
  91. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは会議機関のまあ民主的な原理でありまして、自分としてはむしろ反対投票をしても、他のほうの意見が過半数であるならばそれに従うわけであります。従いまして、投票はいたしませんでも、委員会の構成メンバーでありまする以上は、委員会決定せられたことに従うというのは当然だと思います。
  92. 加瀬完

    加瀬完君 そうすると、大臣国家公安委員長として治安責任を持のだということであるが、委員会意思決定は必ずしも大臣の、或いは政府意思と同じようには作用しないわけであるから、治安責任という面からいうならば、実際は何ら関係が住まれて来ない、関連性が非常に薄いということになるけれども、この点はどうですか。
  93. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) お説の通りさようでありますから、治安責任というものを本当に明確にしようというならば、独立の機関といたしまして、例えば警察庁長官国務大臣にするということが最も徹底するわけでありますが、これを徹底いたしますると、政治的中立性が失われまするから、さような意味合いで、政府考え方というものが十分反映ができなくてもこれは止むを得ないとせざるを得ないのでございます。
  94. 加瀬完

    加瀬完君 公安委員長にお尋ねをいたします。只今までの国家公安委員会の運営で、現状の委員会の制度では政府との意思の疎通は図れない。どうしても公安委員会というものは改造改革をしなければならない。こういうふうにお考えでございますか。もつと率直に言うならば、どうしても国務大臣公安委員会の中に入つて来なければ公安委員会の運営はできがたいものだと、こういうふうにお考えでございますか。
  95. 青木均一

    政府委員青木均一君) 現行法におきましては、御存じの通り行政管理のみを原則としてやつておりまして、公安委員会が扱つております仕事の範囲というものは、今度改正をもくろみようとされております改正案に比べますと、非常に狭いのであります。それで政府との関係におきましては、さほど密接な連絡といいますと語弊がありますが、内部に、構成委員の一人として政府の人間が入らなくても、何ら差支えないように私ども考えております。ただ改正法になりますと、運営管理まで及びまして、そうして運営管理になりますと、政府の政策というものと相当治安というものが密接な関係を生じて来て、爾後に一切のものがわかつて、それで何ら差支えなく進行すれば結構と思いますが、若し事前に政府の施策等において我々が了承することができれば或いは更にいいんじやないか。又政府としても委員会に事前においていろいろの政策の内容等についてこれは説明する機会を持つことがあればなお更いいのではないかということも考えられます。かたがた只今まで強いて言えば一つの欠陥としては、内閣と予算の関係で誠にどうしても外部の機関のような感じで、粗略というほどではなのですが、何か予算関係においてはしつかりした連絡が幾分つきがたい点もないことはない。さような点も幾らかよくなるのではないか、かように考えております。
  96. 加瀬完

    加瀬完君 よくわかりました。そうすると現行法において国家公安委員会国務大臣、或いは文政府側公安委員長というものを据えようとする要素は何もない。併し改正法になると、政策と治安というものを結び付ける関係から、それから予算を応分に獲得する目的から、やはり国家公安委員長大臣なつたほうがいいであろう、こういう御見解のようでありますが、そうすると一体政策と治安というものと密接に結び付けばこそ、国家公安委員長大臣を必要とする、こういうことになる。ところが政策と治安というものが密接に結び付き過ぎたことになると、それは国民の利益ということと、政策と治安というものを結び付けた警察行政というものが、政策というものと強力に結び付いたときは、国民の利益と必ずしも一致するということにならない虞れがあると思うのですけれども、その点如何ですか。
  97. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私からお答えいたします。政府の政策が国民のためにならないという前提でございますと、或いは御所見のようになると思いますが、政府というものは民意を代表し、選挙によつて選ばれた国会議員の中から総理大臣が選はれ、又大多数の閣僚がその中から選ばれるのであります。その意味において民意を代表しておるものである、こう考えております。
  98. 加瀬完

    加瀬完君 政策というものには政治偏向というものが当然ある。自由党の政策であれば自由党の偏向というものが当然あるからこそ白田党の政策になる。社会党の政策ならば社会党の政治偏向というものは当然出て来る。併し治安というものや警察行政というものは、そういう政治偏向には侵されてはならん場面というものが当然ある。そういう問題が政策と治安というものを結び付けるという関係から申しましても、余りにも強化されるときは犠牲になつて来ることがあり得ないか。公安委員長にお答えを頂きます。
  99. 青木均一

    政府委員青木均一君) 私の言いましたことは、真意が誤り解釈されていまして、甚だだ残念でございますが、政府の政策を知つて、それを委員会が得て実行する。政府の政策に協力するとか、そういう意味ではなくて、何も知らないでおるよりは知つたほうがよいではないかという、事前にできるだけ知つたほうがいいではないか。公安委員会としましては、閣僚が委員長になろうがなるまいが、恐らく現行法においても改正法においてもそうでありましようが、独自の見解政府の政策に左右されずに勿論やると思います。我々今やつておりますが、併し知らないより知つているほうが万事やりいいのではないか、唐突にいろいろな問題が出る。或いは事前にこれを阻止することができるかも知れない。さような考えで私ども考えております。甚だ余分なことになりますが、実は私ども、今考えておる政府委員会に行政責任を持つということにつきましても、政府が積極的に委員会に対して働きかけて政策を行わせるというようなことは毛頭我々この法律の中にもないのではないかと実は解釈しておりまして、政府もやはり何も知らずこの委員会決定する。それを国民に対して責任のとれないという形では困るから、消極的にやはり委員会に顔を出して、よくその模様、実情を知りたいというのが一番大きな今度の改正の観点ではないかと解釈しております。さような意味合いにおいて、私ども政府によつて、閣僚が委員長になることによつて、その政策をどうするこうするということはちつとも考えておらない。事前にできるだけ重要なことが知れれば我々が判断する上に非常に都合がいいのではないかと考えております。
  100. 加瀬完

    加瀬完君 行政委員会というものは、当然国民にとつて政府と何様な立場で、責任あるわけでありますから、公安委員会であるならば、政府の政策がどちらの方向を向いているだろうか、或いは国民の動向がどちらの方向を希望しているであろうかということは、当然に公安委員良識によつて判断がなされておるはずのものだと思う。それ以上結局良識ある全国から選ばれた公安委員のかたがたに、閣僚が公安委員長として公安委員会の中に顔を出さなければ政策がわからなかつたり、政府との連絡がとれなかつたりすることは、常識考えてあり得ないと思う。ということは現状において今公安委員長さんがおつしやつたように、現状においても連絡がとれている。併しもつと密接に連絡をとりたい。逆に言うならばもつと密接に連絡をとりたいということは、もつと政府政治的な傾向というものを公安委員会の中に持込みたいというふうに解釈できる。現状においてやつて行けるのに、予算をとる方法とか、或いは更た密接に連絡する方法というものは、公安委員会というものを現状のままにしておいて結び付けるのと、もう公安委員長国務大臣という形にして改正法のように結び付けるのと、どつちが公安委員会の健全な発達というためにとられるほうがよい道ということになりましようか。
  101. 青木均一

    政府委員青木均一君) いろいろ御解釈もあると思いますが、私ども公安委員会は公平中正な不偏不党な行政委員会と存じて、又委員もそのつもりで行動しております。将来においても恐らく変りないと思つております。従いまして、仮に委員長国務大臣になろうと、その方面弊害ということは私ども余り頭に実は入れてはおらないので、むしろ連絡の特徴、その他の問題これだけを頭に入れて、余り御指摘の点を心配しておりませんです。実際の現状においてはさような御心配の点は余りないので……。
  102. 秋山長造

    ○秋山長造君 そうおつしやると、私もちよつと公安委員長にお尋ねしなければならないのですが、この国務大臣国家公安委員長に据える理由は、別に他意はなくて、ただ政府と無関係公安委員会が運営されていて、そうして政府が何を考えておるかわからんよりはわかつたほうがいい、又政府自身としても公安委員会が何を考え、何をやつているかということを知らずにいるよりは知つたほうがいいという程度の極めて消極的な、お言葉のような理由にとどまるものならば、何もこの法案に書いてあるように、わざわざ民主的行政委員会の原則を崩してまで国務大臣を、委員ならさる国務大臣公安委員長に据える、そうしてその人が表決権こそ打たないけれども採決権は持つ、そして又国家公安委員長を総理し更にこれを代表するというような強い権限と発言権とを新しく認めるというようなことでなくても、おつしやる程度のただ知らんよりは知るほうがいいという程度意味しかないならば、特にそのために民主的な運営、政治的な中立というものを保障さるべき国家公安委員会委員長に、わざわざ事新らしく国務大臣を据えなくても、再々長官にもお尋ねしたのですが、警察担当の国務大臣が必要であれば国家公安委員会出席をして、会議出席をして発言をすることができるという程度の途を開くことで十分ではないか。それ以上になぜその程度の理由のためにわざわざこういう新しいやり方をするのであるか。その点が今の公安委員長の御説明では納得いかないのであります。やはり今おつしやるようなことは、ただうわべの飾りであつて、実際はこの公安委員長国務大臣を据えるということの狙いは裏に隠されておる、他にあるのだということを思わざるを得ないのであります。その点について公安委員長の所見を重ねてお伺いしたいと思います。
  103. 青木均一

    政府委員青木均一君) 知らないより知つたがいいというような意味ではなくて……。
  104. 秋山長造

    ○秋山長造君 いやそうおつしやつた。あなたの言葉通りのことを……。
  105. 青木均一

    政府委員青木均一君) 言葉のあやですが、事柄というものはいきなり無条件に何も知らないというところに出されるよりは、前後の事情その他について一応知つておいたほうが判断がしいいというのが一応頭にあるものですからそう申上げたのでありますが、公委委員会に内閣の大臣が傍聴者としておればいいじやないか、これも我々も考えてお勧めして実際には実行しておるのです。ちよちよいそういう機会を持つております。併し私が考えるのに、どうもこれは内閣の組織と言いますか、或いは日本の政府一つの慣習と言いますか、ともかく外部でそういう形をするよりも、内部に入つてつたほうが万非常に緊密に、非常に身内の指揮一切のことを運ぶ傾向があるものですから、そういう意味において今の大臣委員長にもなることは、そのいい意味の緊密化ということはできるのじやないか。先ほどちよつと御指摘になりましたそのために内閣の政策に左右されるということは全然私ども考えておらないので、今申しましたいい意味の連絡がつくのじやないか、かように考えておる次第でございます。
  106. 加瀬完

    加瀬完君 長官でも大臣でも……。第六条の二項に「委員長は、会務を総理し、国家公安委員代表する。」ということが書いてありますが、代表するという代表権は、決議執行の裁量権まで含んでおるのかどうか。
  107. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 決議執行の裁量権とおつしやいますると、例えば或る事柄を決議をした、そしてこれを成る機関に伝達をする、その伝達の方法は委員長にお任せをいたしますということになれば、執行の裁量権は渡されたことに相成ります。併しその執行の仕方はこうこうこういう方法で執行してもらいたいという委員会決議になれば、その方法によつて執行しなければならない。かように考えております。
  108. 加瀬完

    加瀬完君 これは大事なことでありますから重ねて伺いますが、結局委員会決定されるということは、そういう細かいところまで決定されるということはなくて、或る繊度の一つの枠がきまると思います。少くも裁量権というものが相当残されるのじやないかと思います。委員会決定した決定前の枠内における裁量権というものは委員長にあるのか、ないのか。
  109. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) さような権限はございません。大綱をきめますその大綱に従つてこれを執行すべしということが警察庁長官に明示せられるわけであります。その範囲内で細目を執行いたして行くのが警察庁長官であります。
  110. 若木勝藏

    若木勝藏君 先ほど公安委員長のおつしやつたことは、私極めて重大なことだと思う。というのは委員長国務大臣を入れるということは、いわゆる治安の維持と政府の政策を直結させることだ、これは極めて私重大なことだと思うのです。小坂労働大臣はそのように考えているか。
  111. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) その点はしはしば申上げているんでありまするが、決してそうしたものではないのでありまして、公安委員会良識というものが警察庁長官を管理するのでありまして、国家の治安に関する意思を直結するわけではございません。
  112. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは公安委員長見解と違うが、この点はどういうことになりますか。
  113. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そういう見解をされると甚だ困るのでありますが、これは決して公安委員長意思、即ち国務大臣意思公安委員会に介入するのではなくて、よい意味で反映するのである、こう申したのであります、この点については具体的に公安委員長からもお示しがありましたように、公安委員会良識というものがあつて、これが判断を下して行く、併しその場合に唐突にいろいろなことの判断をされるよりも、その事柄の次第によつて政府意思というものを、政府がどういう意図を以てこの事柄を行いつつあるか、一般の政策等についての意見を聞いておくということが、物事の別断により一層正しい正確なものをなし得る参考になるであろう、こういう意味であります。そういう意味で、よい意味政府意思が反映する、こう申しているのであります。
  114. 若木勝藏

    若木勝藏君 公安委員長見解を伺いたい。
  115. 青木均一

    政府委員青木均一君) 只今小坂担当大臣から御答弁のあつた通りでございます。同じでございます。
  116. 若木勝藏

    若木勝藏君 私はそのように聞きとれない。あなたの先ほどの御答弁から言つたら、これは明瞭に公安委員会の独立というものを認めておらない。結局治安の維持というふうなものは、これは政府の政策と直結して、政府の政策によつて治安対策というものはいろいろ治安維持の方法が出て来る。こういうふうになつたら、これは全く警察というふうなものの政治的中立性というものはなくなつちやう。あなたの見解をもう一遍聞きたい。はつきりその点を御答弁して下さい。
  117. 青木均一

    政府委員青木均一君) 只今政府の政策とは決して関係なく、我々は公正中正に警察中立性を維持すべく現在も努力しておりますし、恐らくこの改正法においても、公安委員会というものはそういう役目であろうと思います。私は、政府の政策については勿論常に公安委員会委員は大体においては知つておりますけれども、その進行の過程においていろいろ詳しい連絡のあるほうがいいんじやないかというような意味合のことを申上げたと思うのであります。政策と決して直結しているということはございません。
  118. 加瀬完

    加瀬完君 併しながらですね。現状の公安委員会というものよりは遙かに政府と密着するという意味で、公安委員長の言葉を借りるならば、政府の政策を一層理解するという意味で密接な関係公安委員長国務大臣によつてとろうとする方向ということは、そう了解してよろしゆうございましようね。
  119. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 政府は国会に対して連帯して行政上の責任を持つており、治安に対する考え方についても政府は責任を持つのでありまするけれども、その責任の明確化をそのままに強く押して参りますれば、政府の担当者が警察権を行うということになりまするので、それでは警察の持つ中立性というものが侵犯される。そこで公安委員という国会によつて承認された良識あるかたがたに五年間の任期保障して、思う存分その思うところに従つて警察を管理して頂く、こういうことになつておるのであります。併しそれが全然無関係であつてはならないので、政府国務大臣委員長となつてこの場合表決権を持つておりませんので、直接そうした意思に介入することなく、その政策を判断し、常時御判断を願う。又政府においても公安委員会の御考えを伺つて、そしてそれを閣議等に反映せしめるということで緊密なる連絡を保つ、こういうことを申しておるのであります。
  120. 加瀬完

    加瀬完君 その御説明はたびたび承わつておりますからよくわかるのでありますが、問題は総体的な問題なんです。現行の公安委員会性格からは改正法公安委員会のほうが政府の政策を理解するという意味合において政府と一層の密着性を持とうと努めていると思う。それは中立性の侵犯とか何とかいう下心で聞いているのではない、そのままで受取つてお答え頂きたい。
  121. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そういう方向であるのであります。ただ密着性と申しますと、密着性はぴつたりくつつくということでありまして、ぴつたりくつつくというのじやない、さように御了解願います。
  122. 加瀬完

    加瀬完君 それで、これは公安委員長大臣とお二人に伺いたいのでありますが、新らしい刑事訴訟法によりますると、この訴追権と捜査権というものを同じような同位置において考えている、そして捜査権について警察行政というものを高く評価しておる。今までのように検事に隷属したところの警察ということではないわけです。今度のように……、こう申しましようか、その捜査権というものを本件とする警察行政において、それは検察庁のごとくやはり政府から完全に中立を維持して行かなければこの捜査権の完全なる執行ということはできないわけです。今度の場合こういうふうな関係になりますと、捜査権の完全なる執行というものに、現状よりも若干政府影響というものが強くなつて来るという御心配公安委員長並びに大臣一つもお考えになつておらなかつたのか。
  123. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 個々の捜査につきましては、これは国家公安委員会には権限はないのでありまして、検察庁の場合はこれは政府の機関でありまするが、政府の直接の機関でありまして法務大臣指揮下にあるわけであります。この場合は府県の公安委員会がその独自の判断において府県の本部長を管理して行く、こういうことなんであります。
  124. 加瀬完

  125. 青木均一

    政府委員青木均一君) 政府が捜査権について介入するということは考えられませんです。
  126. 加瀬完

    加瀬完君 考えられるとか、られないとかいうことをお聞きしているのじやないのです。都道府県の公安委員会が都道府県の警察官を管理する、都道府県の公安委員会に対しては中央が指揮監督することができるということになりますと、これは国会公安委員会或いは国会公安委員長意思というものは、今まで現行法よりも遥かに下のほうに繋りを強く持つて来ているわけで、そして国家公安委員会改正法による性格は、政府と或る密着とは申しません、或る程度関係を強めるということであれば、それが完全なる今度は捜査権の執行の、警察官にとりまして何ら支障がないということになり得るか。理論的じやない、現行法と比べて捜査権の執行というものがどつちが身分が完全に保障されて、思う存分に捜査権を執行できるか、現在の警察官とこういうふうに成る程度政策なり、政府なりという繁りを持たせられた公安委員会というものによつてその下部に置かれている警察官と、こういう点で全然公安委員長としては捜査権の執行という警察官の立場においてこれは遙かに捜査権の施行上いい方法だ、こういうふうに中立を維持すべきじやなくて、政府と密着すべきだ、こういう御見解に立たれるか。立たれるというお言葉であるので私は腑に落ちないので、又念を押して伺います。
  127. 青木均一

    政府委員青木均一君) 現在と何ら変りないと考えておりますが、この点詳しいことは長官のほうから御説明させます。
  128. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 国家公安委員会の管理下にある警察庁長官が都道府県警察指揮監督いたしまする内容には、個々の事件の個々の捜査の指揮は入つておりませんから、そういうような影響が及ぶことのないことは当然でございます。ただお尋ねの点は恐らく気分的に何か公安委員長国務大臣が入つて来られたということで、気分的に何か政府のほうにひいきをするような捜査をやる虞れはないか、かようなお話ではなかろうかと存じますが、これは第一線の警察官を指揮監督し管理をしておりますのが都道府県の公委員会でございますから、さような私は虞れはないと考えております。
  129. 加瀬完

    加瀬完君 それは現状においてはないということだろうと思います。又あつてはならないのであるということが前提になければこういう法案は作れない。併しこの法文をそのまま解釈して、捜査権に対して政府が介入をしようと思つたときにできないか、自由党の内閣とは言わない、何らかの内閣ができて、強引にこういう法文を楯に取つて捜査権の介入をしようと思つたときにこの法文上納対にできないという裏書がどこかにあるのですか。
  130. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) できません。十六条に「警察庁の所掌事務について、都道府県警察指揮監督する。」ということがございますが、この所掌事務範囲は五条二項に書いてございます。その範囲内でございますからそういう御心配は要りません。
  131. 笹森順造

    ○笹森順造君 関連質問。今のところですね、私もこの前ちよつと気になつてお伺いしたのですが、五条の二項のところにある十二号でございますね、「前号に掲げるものの外、警察行政に関する調整に関すること。」これを私は実は気にして、丁度今加瀬さんのお尋ねになつたことを実は聞いているんです。で、この五条はここに掲げておりますように、これは警察庁の庁内の警察行政の調整のみでありますかということをもう一度お聞きしたいのです。
  132. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは警察庁の中の仕事の調整ではありませんので、意図しておりまするのは、都道府県の警察相互間における調整、都道府県の警察運営についての調整というのが主でございます。さように御承知願いたいと思います。
  133. 笹森順造

    ○笹森順造君 そこがつまり私どもが問題にしているのでありまして、この五条の二項は「警察庁を管理する。」こう書いておつて、一、二、三、四と書いておつて、今の十二が出て来るわけで、それでは今お話の通りに警察行政に関することは、あなたの今の長官のお話では、都道府県公安委員会の下にある警察の行政をも調整することの適用になるのか、こういうことです。
  134. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) さようでございます。それは都道府県の公安委員会が郷道府県の警察を管理しておりますから、従つてこの調整と申しますのは、都道府県の公安委員会のまあ権能と言いますか、行いまする事柄を調整するわけでございます。
  135. 笹森順造

    ○笹森順造君 そこで今のこの十二号にあります「警察行政に」ということは、それでは今お話の通り都道府県公安委員会の下にあるその警察行政ということも今のあなたのお話では調整ということの中に入つて来るのじやないか、そうすると先ほど来加齢さんのお尋ねになつているように、この前に掲げておりまする、この国家の行うべき、国が行うということを言つておりながらも、そこにほかの調整という名の下にここに介入して来る、そういう危険がある。こういうことを実は私ども心配しているので、その次の三項の中には「緊密な連絡を保たなければならない。」これだけで十分ではないか、わざわざ調整という言葉を使われたために、この警察行政に対して介入する憂いがここから起つて来る心配をしておりますので、その辺が明確にならなければ、今の御答弁だけでは私はどうも懸念が残るのでそれをお尋ねするのです。それじやその警察行政に関する調整というものの内等をもう一遍お話を願いたいのです。
  136. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 例えば警察関係のある法令の統一的な解釈でありますとか、或いは或る条約が結ばれた、その条約について各都道府県の警察はどういうように措置をしなければならないかというようなことについての措置の統一的な事柄を連絡をするというようなことでありますとか、或いは例えば捜査の面につきましては、こういう場合が起り得ると思うのであります。紙幣の偽造事件が全国的にある。その何一と思える系統の事件をAの県でもやつている、Bの県でもやつている、Cの県でもやつている、併しこれはどうもBの県がこの犯罪については中心地であるというような場合に、お互いに譲り合つてBの県を中心にしてやればよろしいわけでありますが、お互いに権限を主張し合つてなかなか譲り合わない。捜査がうまく行かないという場合の、Bの県を中心にしてやつたらどうだという調整をするというような事柄が行われるのでございます。従いまして個々の犯罪事件について、こういうようなものの捜査に着手するのにはこちらの指示をしなければならないというような、こういつた指揮権はこの中には当然含まれませんし、この法案の中にはさようなものはないわけでありまして、従つてなお十一、十二は事柄の性質上指揮監督というものも入らないのでありまして、まあ注意を喚起をするという程度であります。都道府県の公安委員会の自主性を損わずに中央から連絡をするというのが十一、十二の規定でございます。
  137. 笹森順造

    ○笹森順造君 いよいよお話でわからなくなつたのですが、十二の次に三の項がございますですね、そこには緊密な連絡をとる、今のお話では連絡をとるのだ、そうすれば十二の調整はなくても連絡はとれるじやないかということをお尋ねしている。今の長官のお話ではやはり連絡をとるということです。もう少しお尋ねの内容を申しますから……。
  138. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) この第一項だけでもよろしいのかも存じませんけれども、第三項の趣旨はむしろ都道府県の公安委員会とそれから国家公安委員会は絶えず何と言いますか、精神的な繁りを持つように常時親善の関係にあると申しますか、というようにしておるほうがよろしいという、これはまあ道徳的な規定でありまして、でこれを特に考えましたのは都道府県公安委員会指揮監督したり、或いは調整をしたりしますのは警察庁長官でありまして、その長官を監督しているのが国家公安委員会であります。そこで国家公安委員会のまあ意図というものを長官が果してそのままに都道府県の公安委員会に移しているかどうか、国家公安委員会の意図に反したような事柄をやつていはしないかというような事柄について中央、地方の公安委員会同士がお互いに緊密な精神的連絡がとれておりますと、監督上非常によろしい、いわゆる警察の行政が警察庁長官、都道府県本部長というこの管理の組織を通つてその間に中央地方の公安委員会の意図でないような事柄を若し行なつて行くとすれば、これはこの警察法の根幹を揺がすものでございますから、特にその点を強調いたしまして、公安委員会同士は中央地方常に緊密に連絡をしておるように、こういう趣旨でありまして、個々の事務的な事柄を規程したものでは筋三項はないのでございます。
  139. 笹森順造

    ○笹森順造君 それはあとの三項の御説明なんです。私のお聞きしておりますのは、十二のところにあります「調整に関すること」とある。これをお尋ねしているのです。そこでその調整ということには、つまり先ほどのお話でこれは都道府県の公安委員会の下にある警察の行政をも調整するのだというお話ですから、そうすると、その調整という言葉が、一つの調整権というものでもあるのでございますか。例えば先ほどお話のありました犯罪の捜査なり或るは又実際の取扱いについて、都道府県の警察においてお互いに譲り合うとか話し合うとかいうことをするのだが、ここで第五条の二項による警察庁のする仕事を管理するものの中にありますその調整ということは、何か調整権というようなものがあつてどうしても従わなければならないように、その下に都道府県の警察行政というものは左右せられるのか、そういう調整権というものは、絶対に従うべきものであるのかないのか、若しあるとするならば、介入するというような憂いがあるからその点をお尋ねしているのです。その答えは今までない。
  140. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは先ほど申しましたように、調整には指揮監督は含まない、かように解釈をいたしております。調整権というような権限的なものではないと御了承願いたいと思います。
  141. 秋山長造

    ○秋山長造君 関連して、その十二号の「調整に関すること」については指揮監督はしないのですか。
  142. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) さようでございます。
  143. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、十六条の二項に「警察庁の所掌事務について、都道府県警察指揮監督する。」こう書いてある。その所掌事務とは何ぞやということになると、それが五条の二項の一号から十二号まで全部を含んでいる。従いまして、警察庁の所管事務であるところの調整ということについても都道府県警察指揮監督するという結論になるのですが、如何ですか。
  144. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは項目の性質上指揮監督の伴うものと伴わないものがあるのでございまして、例えば第一号の警察に関する諸制度の企画及び調査に関する件、これにつきましては指揮監督は伴わないことは当然だと思います。又十一のごとく任用、勤務及び活動の基準、これは基準でございまして、大体その基準に従つて都道府県は実行をいたすというわけでありまして、これは基準でありますから、それよりも若干上廻つたり下廻つたりすることがあるのであります。第十二号の調整は、これは結局事務対な連絡というような意味合でありまして、この調整に従わないといつてこれは法律違反をやつている、法令違反をやつている、従うべき義務に従つていない、かような解釈にはならないのでございます。
  145. 秋山長造

    ○秋山長造君 そういたしますと、第一号だとか、十一号だとかいうのは、ただ基準を示すだけであるから、それについて地方が従わないからといつてこれを強制する術はないから指揮監督権はないのだ、こういうことですか。
  146. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 事柄の性質上基準とか或いは調整に関することというものの中には指揮監督権は含んでいない、こう申しているのでございます。公安委員会に対して指揮監督権のあるものにつきましても、これに服従しなかつた場合に強制する措置はございませんが、法律上当然に服従すべき法律的な拘束は受ける、その拘束を受けるにもかかわらず、これに反した場合に制裁をする規定がない、かように申上げておるのでありますが、十一号十二号は法律的に規制をされるという内容は持つていない、こういうことであります。
  147. 秋山長造

    ○秋山長造君 若しそうでありますならば、なぜ指揮監督をし得る項目と指揮監督の範囲外の事務とを截然と法文の上でお分けにならないのですか。
  148. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これは国家公安委員会及び警察庁の権限のありまする事柄につきまして、事柄の性質上当然指揮監督の伴うものもあるし、伴わないものもあるというわけでありまして、これについて指揮監督する、これこれについては指揮監督を含まない、かように書いてもいいわけでありますけれども、併し事柄の性質上指揮監督の伴わないものについてこれは伴わないと書く必要はなかろうと、これで法文上明瞭であると、かように考えたからでございます。
  149. 秋山長造

    ○秋山長造君 事柄の性質上とおつしやいますけれども、併しこれは事柄の性質上当然そうたるかどうかはわからないのです。特にこの調査というような事柄は、あなたは事柄の性質上指揮監督などということはあり得ないとおつしやるけれども、併し「警察行政に関する調整に関すること。」というんですから、それについて当然指揮監督をしようと思つてできないことはないと思う。しようと思つたらできるんです。だからしようと思つてもできないように初めからはつきり条文の上で区別をして列挙しておいて頂かなければ、やはり我々の今お尋ねしているような疑問は誰しも持たざるを得ないと思う。如何ですか。
  150. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 法制的に読みまして、これには誤解を生ずる虞れがないと、かように考えております。
  151. 笹森順造

    ○笹森順造君 それはちよつと……お答えは大変矛盾しているんじやないかと思いますが、「警察庁長官は……都道府県警察指揮監督する。」という項目があることはさつき秋山委員の言われた通りありますわけですね。そうして警察庁のやる仕事が今の節五条にずつと羅列されておる。その中に一から十二まである。そうすれば当然そのものがその中に入るんじやないかという疑いで、而もその中に調整という言葉は、それは指揮権の中に入るんじやないのだと言い出すけれども、そこでその次にありまする三のところの連絡ということならば、私どもはよくわかる。ところがそこに調整ということは、介入するのでなければ指揮はないんだということをその前の指揮監督するものと並べて置くから、而も調整という言葉が非常に私ども内客がいろいろ解釈せられるので、単なる連絡でない、調整というと、こうせいああせいという一つのことを示すのであつて、そこの点について我々は或る疑念を持つ。介入の虞れありと私どもは先ほどから申しておるわけです。ですからそれに対しては都道府県警察は自主権を持つて従わなくてもいいんだというようなことを明確に、先ほどのお話であるならば、なぜこうした十一、十二というものをこの第五条の第二項の中にほかのものと並べたか、非常にこの法律の作り方が粗漏ではないかというようなことで私どもは疑問を持つ。そこが将来警察法の根本に触れることですから、くどいようですけれどもお尋ねしておるわけでありますが、明確なるお答えを願います。
  152. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) その調整という言葉の意味は、その調整を受けるという立場にある者の自主性を失わしめないという趣旨で用いたのでありまして、従いまして、これにつきましては指揮監督は伴わない、かように法制局におきましても、法律上の用語として間違いがないというので、かように使用いたしたのでございます。
  153. 笹森順造

    ○笹森順造君 それではその点を明確にしておきたいと思うのですが、これは自主性な持たせるんだということがどこでそのことがはつきり書いたものでこの法の中で私ども印象し得ますか、それをお答えを願います。
  154. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 法律用語としてさような場合に使う言葉であると、かようにお答えをいたしておるのでございます。
  155. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止〕
  156. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をつけて。  それでは暫時休憩をいたします。    午後七時六分休憩    〔休憩後開会に至らなかつた。〕