運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1954-05-10 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月十日(月曜日)    午後三時二十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            長谷山行毅君            小林 武治君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            笹森 順造君            加瀬  完君   衆議院議員            森 三樹二君   国務大臣    国 務 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    自治庁選挙部長 金丸 三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   —————————————  本日の会議に付した事件 ○公聴会開会に関する件 ○日本国における国際連合軍隊の地  位に関する協定実施に伴う地方税  法の臨時特例に関する法律案内閣  送付) ○地方公務員法の一部を改正する法律  案(内閣送付) ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会開会いたします。  先ず公聴会についてお諮りいたします。警察法案警察法の施行に伴う関係法令整理に関する法律案、両法律案について公聴会を開きたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) ではさよう決定いたします。  なお開会の日にちは五月一十日並びに二十一日の両日にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) それではさよう決定いたします。  なお、公聴会の開催の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) ではさよう決定いたします。   —————————————
  6. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に、日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う地方税法臨時特例に関する法律案議題に供します。  先ず政府から提案理由を御説明願います。
  7. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 只今上程されました日本国における国際連合軍隊地位に関する協定実施に伴う地方税法臨時特例に関する法律案につきまして、その提案理由及び内容概略を御説明いたします。  すでに御承知のごとく、日本国における国際連合軍隊地位に関する協定が締結せられましたのに伴い、その実施の円滑を確保いたしますため、国際連合軍隊等に対する地方税法の適期につきまして、特例を設ける必要がありますので、ここに本法律案を提出し、御審議をお願いすることといたしたのであります。  以下、法律案内容につきまして簡単に御説明申上げます。先ず概括的に申上げまして、国際連合軍隊等に対する地方税法の適用につきましては、日米行政協定実施に伴う地方税法臨時特例法における合衆国軍隊等に対する地方税法特例の例によることにいたしたのであります。その一は、国際連合軍隊日本国においてする不動産取得に対しては、不動産取得税を、国際連合軍隊所有ずる自動車自転車荷車及び固定資産に対しては、自動車税自転車荷車税及び固定資産税を、その使用する電気及びガスに対しては、電気ガス税をそれぞれ課さないことといたしております。  その二は、国際連合軍隊軍人軍属及びこれらの家族国際連合軍隊の公認し、且つ、規制する軍人用販売機関等施設において、遊興飲食する場合においては、その飲食の行為に対しては、遊興飲食税を、これらの人々が使用する電気及びガスのうち派遣国がその料金を支払うべきものに対しては、電気ガス税を、又、これらの人々国際連合軍隊に勤務することによつて得る所得のみを有する場合においては、道府県民税及び市町村民税を、それぞれ課さないこととしております。  その三は、軍人用販売機関等国際連合軍隊軍人軍属及びこれらの家族の利用に供するためのみに行う事業に対しては、事業税を、国際連合軍隊の使用する施設内においてする不動産収得に対しては、不動産収得税を、それぞれ課さないことといたしております。  最後に国際連合軍隊軍人軍属等が個人として所有する自動車又は自転車に対する自動車税及び自転車荷車税は、証紙によつて徴収することとし、納税の便宜を図ると共に、併せて徴税の確保を期することといたしたのであります。  以上が本法律案提案理由及び内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上、速かに可決せられることを希望する次第であります。   —————————————
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) 次に、地方公務員法の一部を改正する法律案について政府から提案理由を伺います。
  9. 塚田十一郎

    国務大臣塚田十一郎君) 只今本委員会に付託されました地方公務員法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申上げます。   このたびの改正は、目下当所で御審議中の国家公務員法及び行政機関職員定員法改正に照応して、二、三の点について、いわば技術的な改正を加えようとするものであります。  第一には、国家公務員法改正に照応するものでありまして、その一は、現在、職員採用又は昇任はすべて条件附とされているのでありますが、昇任について条件附とすることは実情に副わたいものがありますので、採用の場合のみ条件附とすることに改めたいと存じます。その二は、職員が、その意に反して不利益な処分を受けたと思つたときは、任命権者に対し処分の事由を記載した説明書交付を請求することができるのでありますが、説明書交付を請求することができる期間については別段の制限がありませんので、これを改め、処分を受けた日から十五日以内に請求することができるものといたしたいのであります。  第二は、行政機関職員定員法改正に伴うものでありまして、国家公務員につきましては、今回の人員整理に際して、臨時待命制度採用することを予定しておりますので、地方公務員につきしましても、地方公共団体において人員整理を行おうとする場合においては、同様の方法により得る途を開くことが適当と考えられ、条例で定めるところにより、国家公務員の例に準じて臨時待命制度実施することができることといたしたいのであります。  何とぞよろしく御審議のほどをお願いいたします。
  10. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  11. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。公職選挙法の一部を改正する法律案議題に供します。先ず発議者森三樹二君から提案理由を聞きます。
  12. 森三樹二

    衆議院議員森三樹二君) 只今上程されました公職選挙法の一部を改正する法律案提案理由を申上げます。  民主政治確立は、国民政治意識の高揚と選挙公明化がその大前提となるものであります。然るに我が国の選挙界の現状は、選挙に巨額の金を必要とし、違反は跡を絶たないのは誠に憂慮に堪えないところであります。昭和二十六年四月執行地方公共団体選挙を契機として、選挙に関する国民の関心を高めて選挙違反を防止し、以て民主政治確立を期することを目的として、いわゆる公明選挙運動全国的に展開されるに至つたのでありますが、この運動が全国民に浸透し、十分にその目的を達成するのには、常時且つ組織的にこれを行うことが絶対に必要であります。  改正の主要点を申上げますと、現行の公職選挙法の第六条には、選挙管理委員公の使命を規定しているのでありますが、選挙は、国民政治教育上絶好の機会でありますので、選挙管理執行の任に当る選挙管理委員会をして選挙重要性を解明し、国民民主政治の真義を知らしめるため常時国民啓発に当らしめることは最も適当且つ必要と信ずるのであります。よつて公職選挙法第六条の規定改正して、この旨を明らかにすると共に、この重大な任務の遂行に必要な経費については、当然に国において財政上必要な措置を講ずる必要がありますので、そのよう趣旨規定を設けた次第であります。これがこの法律案提案する理由であります。  何とぞ御賛成あらんことを希望いたしまして、本法案説明を終ります。
  13. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは今提案者から提案理由説明がございましたが、補足説明があるそうでございますから……。
  14. 森三樹二

    衆議院議員森三樹二君) ちよつと補足的に申上げますが、これは皆さんも御存じのことと思いますが、私ども選挙法改正委員といたしまして、昨年も各都道府県選挙管理委員会を視察をして参りましたときに、道都府県選挙管理委員会といたしましては非常に事務上の経費が足らない、これではとてもやつて行けないということをどこの府県に参りましても聞かされておるのであります。そこで皆さんがたの御協力を頂きまして昭和二十九年度予算のうちから一億円をこの選挙啓蒙費用として予算付けがされたのでございますが、今後もやはりこの法律によつて明確に国がその啓蒙費用を支出するということの裏付けをしてもらいたいとい、ことは、これは都道府県選挙管理委員会或いは全国選挙管理委員会の強い要望等がございまして、是非ともこれに対して裏付けをして上げなければならないという私ども考えを持つておつたわけでありまして、これが今回第六条の改正なつたわけでございます。今後もやはり私はこの六条の改正によりまして、国が選挙啓蒙に関しまする講演の費用であるとか、或いは宣伝映画とか、新聞雑誌等そうしたような発刊が是非必要でございますと共に、選挙公明を期する上においてはやはり相当額費用を国が負担してやるということは、民主政治確立上必要なことであると考える次第でございます。何とぞ皆さん一つ賛成をお願いいたしまして、私の補足説明にさして頂きます。
  15. 内村清次

    委員長内村清次君) この法案につきまして、政府側から一つ何か説明がありますか。
  16. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 先ほど来、森委員長から提案理由の御説明がございましたり、補充的に又御説明を頂きましたように、府県市町村選挙管理委員会がこの運動を推進して参りますにつきましては、この提案よう立法的措置が講ぜられることを非常に熱望いたしております。どうぞ速かに御可決下さいますようにお願いを申上げる次第でございます。
  17. 内村清次

    委員長内村清次君) 御質疑ございませんか。
  18. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、今度今のお話では一億円というわけですが、総予算でどのくらいになりますか。一億だけですか。予算関係をお尋ねしたい。
  19. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 府県市町村の分が一億でございまして、自治庁自体の分が別に七百万円ございます。
  20. 若木勝藏

    若木勝藏君 政府のほうにお伺いしたいんですが、今までの非常に、今の森さんのお話にもありましたが、財政的に恵まれていないために常時啓発がなかなかできないところが、実際一億程度予算で以て十分それができるようになるのですか、その点如何ですか。
  21. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 私どもも決して十分とは考えておりませんけれども、昨年も一千万円程度でございました。従いましてできるだけ予算を効率的に使いまして公明選挙連盟のほうでも民間団体から寄付を募集してこの運動を展開しております。又府県選挙管理委員会連合会自体といたしましても、この運動を展開する計画を持つております。自治庁としてもまあ極めて少額ながら七百万円の予算でやろうといたしております。このようないろいろな計画もばらばらでなく、お互いに計画を十分に事前に相談をいたしまして、新聞社或いは放送関係方面協力を得まして、できるだけ効率的にこの運動を展開して、予算の額に比べますというと、できるだけ十分に意義多くの効果が挙がるよう折角努力をいたしておる次第でございます。
  22. 若木勝藏

    若木勝藏君 自治庁考えとしては、十分まあ理想的というふうな面まで行かなくとも、この程度あればこの啓蒙のためにいいのだというよう予算の大体の予想はありませんか。
  23. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 慾を言えばきりがございませんですが、先ず明年度といたしましては、約要求の倍くらいでもあればと考えておりましたけれども、本年度は一兆円にとどめるというよう政府財政の緊縮の方針でもございましたし、昨年度に比べますというと、額としては相当多額に措置されておりますので、我々といたしましては、できるだけこの額を以て十分に効果が挙がるよう努力をいたさなければならないと考えておる次第でございます。
  24. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は全国都道府県並びに市町村に割つて見たら、その額が極めて少いと思います。それでそういう点を考えて、結局こういうふうな法律というようなものも議員提出考えられておられるのでありますから、今後の予算の折衝において十分一つ啓蒙のできるような範囲に自治庁としても努力してもらいたいということを望みます。
  25. 堀末治

    堀末治君 今私ちよつと調べておらんから、これは若木さんの質問と重復するのかも知れませんが、今あなたのおつしやつた七百万円とか一億というのは、それはいつのこと言うておるのですか。
  26. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) この四月から明年の三月まででございます。
  27. 堀末治

    堀末治君 一億は都道府県に分れるのですか。
  28. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) はい。
  29. 堀末治

    堀末治君 そうすると、それは平衡交付金の中へでも行くことになつておりますか。
  30. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 都道府県市町村の分は平衡交付金でございます。
  31. 堀末治

    堀末治君 一億が……。
  32. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) はい。
  33. 森三樹二

    衆議院議員森三樹二君) 今若木さん、堀さんからも御質問があつたのですが、成るほど表面上の額は一億円というものは平衡交付金で行くことになつておるのですけれども、併し他の平衡交付金と一緒になつて行くので、この分がこれが一億円の枠の平衡交付金だといつて区別されて行くわけではないのだそうです。他の平衡交付金とごつちやになつてつてしまうものですから、それを都道府県市町村で分けられるものですから、実際の使用の場合には、この一億円の金で以て例えばその町村の道路や橋梁、学校の修繕なんかに使われる場合があるという話を聞いておるのですが、こういうことは私は非常に、折角この法律に基いて予算裏付けをいたしましても、その地方公共団体のためになることは事実でありますが、この目的としては選挙啓蒙に使用されると一言つておるのですが、これは非常にデリケートな問題があるわけです。それはやはり選挙啓蒙運動費用として予算化したものは、その費用に使うというようにして頂きたいと思つております。
  34. 堀末治

    堀末治君 森委員長にお尋ねしますが、折角こういう法律の修正を出したことは大変結構で、御趣旨はよくわかりますが、大体言うと、政府は今年は一億だけ見ておる。あなたは今お聞きするというと、ずつと各地のいろいろの意見を聞いて御覧になりましたが、あなただけの勘ですね、勘で大体どのくらい一体必要だと思いますかね。
  35. 森三樹二

    衆議院議員森三樹二君) それはまあ私の勘では一億というのは皆さん要求されておるもののやはり三分の一程度じやないかと思いますね。これはずつと私は北は北海道から九州方面皆さんのかたがたが年に二、三度東京に集まつて来るのです。そうしてその人がた要求を聞いて見ますと、三億程度予算がやはり要するのじやないかと思う。それはいろいろ集計しましてずつと計算したものがございます。その資料を見ますと、そのようになると思つております。
  36. 堀末治

    堀末治君 金丸君。あなたのほうではどうですか。今年一億はわかつておりますがね。大体初めは何ぼぐらい政府要求したのですか。
  37. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 府県分といたしまして、私どものほうから大蔵省要求いたしましたのは約一億五千万でございます。それから自治庁自体の分として要求いたしましたものが約五千万程度でございます。
  38. 堀末治

    堀末治君 そうすると、府県分は一億五千万円の要求に対して一億は大蔵省は認めた、それから五千万円に対して僅かに七百万円しか認めないのですか。
  39. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) そうです。
  40. 堀末治

    堀末治君 これはこれだけの法律政府は本当に責任を感ずるだろうかね。妙なことを尋ねるようだけれども、どうだね。金丸君、あなたは担当者として折角森さんあたりが各県調べて、こういう法律をやつて、慾を言うわけじやないけれども、大体三億ほど必要だろうと言うているのに、あなたはこれは担当者としてどうだ、これだけの法律大蔵省はうんと言つて来年は増してくれそうな情勢かね。
  41. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 私どもやはりこのような立法的な措置が講ぜられますれば、予算審議の際には相当に考慮することと考えます。
  42. 堀末治

    堀末治君 それから森委員長からのお話通り平衡交付金の中に十把一からげに行つてしまう。そうすると実際において使うか使わないかわからないのだ、平衡交付金基準財政のフアクターでばさつと行くものだから、向うで使つているか使つていないか実際はわからないのだね。そのへんどうです。
  43. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 私は今年は全体の予算の編成が緊縮せられましたことと、又私から申上げるまでもなくよく御承知よう委託費とか補助金とか交付金という類のものはできるだけ整理するというよう方針でございましたので、平衡交付金として今年は予算措置が講ぜられたわけでございます。そういたしますというと、やはり各府県、各市町村選挙管理委員会が自分の府県市町村内における選挙の実態を考えまして、本当に必要だと思うならば、その誠意なり努力を以て予算化努力をすべきだろうと思います。又市町村まで全体の報告はとつておりませんですが、府県のほうは相当一生懸命な努力をして予算化しつつございます。
  44. 若木勝藏

    若木勝藏君 私はこの一億というふうなものは平衡交付金だと思つていなかつたのです。ところが平衡交付金ということになれば、これは紐がつかないことは明らかなんた。そうなつて参りますと、森委員長がさつき言われたようにそういう他のものに持つて行かれる心配がある。そこで他のものとしても教育でも土木でもこれは単位費用とか算定の基礎というものがある。そうするというと、この場合においてもこれは当然なければならん。それががつちりしておれば、他のほうへ動かされるというような場つ合がなくなる。そればどういうふうになつておるのでしようか。
  45. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 府県よう人合一名当り八十八銭、市町村のほうは一円二十銭という基準でございます。それで全体として一億ということになつておるわけでございます。
  46. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういう算定基準ができておれば、むやみやたらに動かされるということはないと思う。ただそ、れが適当かどうかという問題があるが……。
  47. 秋山長造

    秋山長造君 この改正案議員立法ですけれども只今お話自治庁のほうもこれは全面的に御賛成ようですから、金丸選挙部長にお尋ねするのですが、勿論公明選挙運動選挙管理委員会が常時選挙民啓発に当るということは、これは非常に重要なんですけれども、併しそれの前提として更に選挙管理委員会としては棄権を防止する意思味からも、その管轄内に住んでおる有権者に対してできるだけ投票をやるよう便宜を図るということも先ず必要だと思う。その点についてあなたが昨年の六月に出された通牒ですね、学生選挙権についてのあの通牒は非常に全国学生に大きな衝撃を与えると同時に、全国選挙管理委員会にも又非常な混乱を起させておる。これはお認めになると思う。そういう実状に鑑みて今度の国会にこの点についての改正案提案されて、そうして学生選挙権は原則としてやはり居住地で行使するという便宜を図つておられるわけなんです。だからこの法律案通りさえすれば、これは一応この問題は解決すると思う。併しながら現在この問題も参議院では予備審査で、大体満場一致という大勢にありますけれども衆議院のほうでなかなかこれが捗つておらない。これは悪くすると、この国会でも結局お流れになてしまわないとも限らない。そうなりますと、すでに水戸裁判所だとか宇都宮の裁判所あたりでは今度自治庁で出された、提案されたあの改正案趣旨と同じよう判決を下しております。従いましてこの法律が通ればいいけれども、通らない場合はいよいよ以て各地方選挙管理委員会というものは学生選挙権についてどういう判定をしたらいいかというふうに迷うと思う。これは最近盛んに町村合併なんかでどんどん新らしい市町村ができて、そうして首長の選挙、或いは議員選挙、或いは教育委員会選挙その他が頻繁に行われておる。又近い将来には衆議院の解散ということも予想をされておるのです。こういう事態を前にするときに、この問題はやはり今提案されておるこの公明選挙運動の推准という立場からも、何らか各選挙管理委員会に対してはつきりした目標を与えてやらないと、こんなことで少々金をかけても、肝腎かなめ選挙権の行使の場所をどうするのかというような根本的な問題で依然として混乱が続くと思う。その点をどういうようにお考えになつておりますか。
  48. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 私どもといたしましては、衆議院選挙法特別委員会提案いたしております法律案が一日も早く衆議院の御意思がきまりまして、参議院のほうの御審議を願いまして、今国会会期中に決定をすることを熱望いたしておる次第でございます。やはり立法的に解決をいたしましたほうが学生諸君も納得が行くと思いますし、裁判所或いは選挙管理委員会処置が二途に出ることを防ぐことになりますので、立法的な措置の一日も早く行われますことを希つておる次第でございます。
  49. 秋山長造

    秋山長造君 勿論それはその通りなんですけれども、私の心配するのは、不幸にしてこれが国会お流れなつた場合に、或いは継続審査というようなことになつて、ともかく自治庁の御意向通りこれが成立しないという場合に、実際に現地において起る混乱に対してあなたのほうとしてどういう処置をおとりになるおつもりであるかということをお伺いします。
  50. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 実はだんだんとそういうことも考えてもおりますけれども、先ず差当りはできますだけ立法的な措置によつてはつきりいたすことに努力をいたしたいと思つておるのでございます。万一会期中に法案が成立しないようなことがございました場合には、混乱が起らないよう措置を講じたいというふうに考えておりますが、どういうふうにするかは只今まだ申上げる段階に参つておりません。或いは一つ方法といたしましては水戸関係最高裁判所に上告をいたしております。この判決がございますれば、はつきりした処置もとり得ることになるのではないかというふうに考えております。まだそちらのほうもきまつておりませんしいたしますから、成るべく私どもといたしましてもいろいろな情勢考えこまして、混乱が起ることは未然に防ぐようにいたさねばならないということはよく考えておるつもりでございます。
  51. 秋山長造

    秋山長造君 その点の対策考えられておるということは結構ですが、その考えられておる対策というのは、飽くまで自治庁が今度の国会提案されたあの法案趣旨に副うごとき対策考えられておるものと解釈してよろしゆうございますか。
  52. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) やはり訴訟として最高裁判所のほうに係属をしておりますので、その判決も見て決定をいたさなければならないというふうに考えております。
  53. 秋山長造

    秋山長造君 その訴訟ですが、最高裁判所決定が早く出れば、これで一応例ができるかも知れませんけれども国会でも会期中に仮に万一不成立になり、而も最高裁判所のつ決定も非常に長引くというようなつた最悪の場合に、どういう措置をとられるおつもりであるか。
  54. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 大変失礼なお答えでございますけれども、そう判決が長引くこともないのじやないかというような気もいたしております。又事実私どもはあのような原案で提出をいたしましたが、御承知通り一部にはやはり前の通達のよう考え方のほうが正当ではないかという強い御意見もあるわけでございます。すると成立に至りませんと、国会の御意思決定をいたさないということになつてしまうわけでございます。そうすると一応形式的には通達の線に戻つて参らざるを得ないのでございますが、政府としてその際にどういうよう措置をとるかということはまだ実は庁内でも相談もいたしませんので、先ほど来申上げますように、現在の段階ではできるだけ立法的な措置によつてはつきりとして争いのないようにいたしたいということで進んでおる次第でございます。
  55. 秋山長造

    秋山長造君 この点は非常に重要な点だと思いますので、丁度森委員長が見えておりますから、森委員長にお尋ねいたします。この学生選挙権の問題については、衆議院のほうの特別委員会の今の情勢はどういうことになつているのですか。
  56. 森三樹二

    衆議院議員森三樹二君) ちよつと速記をとめて頂きたいのですが……。
  57. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記をとめて。    〔速記中止
  58. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。
  59. 秋山長造

    秋山長造君 では、金丸さんにもう一度重ねてお尋ねしますが、これが不幸にして不成立になるというような場合には又自治庁通達の線に返るということになると、これは公明選挙運動だとか、棄権防止だとか、大いに国費をかけてまで推進しようという運動趣旨から言うと、必ずしもそれに副うやり方でないというふうに私は思うのです。あの自治庁通達の投げた波紋は非常に大きい。未だに尾を引いて混乱しておるということは御承知通りで、そういう事情に鑑みてか、自治庁のほうとしてもいきなりそれを取消すということは面子の問題もあつたし、いろいろ理由があつてできなかつた点も了承しますけれども、併しそれにしてもその後漸次あの通達の趣旨からは多少切換えて来ておられるように私は受取つておるのです。それで二の結論として今後のああいう改正案国会提案されたものだろうと思うのです。そこで仮にあの法案国会で通らない場合に、直ちにあの通達の線にどうでもこうでも返らなければならないという私は理由は立たないのじやないか。あの通達にしてからが、あの通達が出るまではやはり現行法でも今度出しておられる改正案よう趣旨の扱いになつておつたのですから、実際それを特にあなたの通達によつてああいうように、いわばこれは言葉は悪いかも知れないけれども、平地に波瀾を起したというような印象を与えておるようなやり方でこういうことになつたのですから、だから仮に法案が不成立になつたとしても、あの法案提案したあなたのお気持なり、ものの考え方というのは依然として変りないとすれば、やはり通達の線はきれいさつぱりと清算されて、そうしてこの公明選挙運動なり棄権防止なり何なりという、とにかく有権者の便宜をできるだけ図るという方向において何らかの自治庁としての行政措置をおとりになるのが私は当然ではないかというふうに考えるのです。まあ仮定の問題を余りしつこく申上げて恐縮ですけれども、併しこれはもう全く見通しなんですから、そういう場合の対策として、自治庁として世論の支持から言つても、又有権者である学生の期待にも副うような方向で問題を解決してもらいたいことを強く私は要望したいと思います。その点について選挙部長の御見解をもう一度お伺いしたい。
  60. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 繰返し申上げますけれども、第一としては、私どもはやはり立法的に措置しますことがこの問題の解決の姿として一番適当であると信じておりますので、そのよう努力いたしたいと考えておる次第でございます。  第二に、若し立法措置が本国会中にできなかつた場合にどうするかということでございます。これは現に訴訟が起きておりますので、政府として直ちに何らかの措置をとつたほうがいいか、判決があつたあとでそれによつて措置考えたほうがいいかということを実は私内々考えておるのでございますが、やはり政府としてとりました措置によつて訴訟が提起せられ、最高裁判所に係属中であります以上は、やはり判決を待つて行政措置をどうするかを考えるほうが、私はいろいろな実情を考えまして適当ではないかと思うのでございます。ただ御心配のように長引いた場合どうするかという問題はございます。その場合にどういたしますかは、なお、とくと考えました上で、事態を混乱させないように持つて行かなければならないというふうに考えておるのでございます。又万一通りませんでした場合に、もう一遍立法的な解決を講ずるように再度国会のほうに政府として法律案提案することになるかどうかということも一つの大きな問題でございます。こういう点もございますので、国会が終りましたならば、今度はとくと庁内でも相談をいたしまして、万全の措置を講ずるようにいたしたいと思う次第でございます。
  61. 秋山長造

    秋山長造君 とにかく政府が最善なりと信じてああいう改正案国会提案しておられるわけですから、自治庁としても、又金丸選挙部長としても、あの案が一日も早く速かに衆議院を通過するように最善の努力をして頂きたいと同時に、御出席になつておる森委員長にもその点とくとお願いをしておきたいと思うのです。さつき言いましたように、参議院のほうでは非常に事前審査ではあるけれども、とつくの昔に結論が出ているのですから、だから国会意思といつても、半分はいわば非公式にきまつたような形ですから、一つその点十分御努力をして頂きたいと思います。又不幸にして不成立に終るというような場合の対策としても、今部長がおつしやつたように、無用の混乱を起さないという線において万全の措置をおとりになるように強く希望をして、質問を終ります。
  62. 堀末治

    堀末治君 私今の費用のほうの問題をもう少しお尋ねしますが、今聞いてみると、平衡交付金の配分の中で、府県のほうはその他の行政費というのは百七十八円の中に八十八銭入つている。それから市町村のほうは、その他の行政費として四日十円の中に一円二十銭入つている、こういうことです。そうすると平衡交付金で行くと、平衡交付金の行かない団体もある。私調べたのを見ると、県は三つあるし、市では五十一、町村では四百四十六ある。これは平衡交付金が行かないから、ともかくこのつ金が行つていない。こんなものにあなたのほうでそういうことについて議論か何かございませんでしたか。
  63. 森三樹二

    衆議院議員森三樹二君) そこまでは究明はいたしませんでしたが、併しできるだけこれを、配分するのは私らではないのですから、自治庁当局にも配分に対しては十分一つ瀞意をして頂いて、この金が行渡るよう一つ配慮してもらいたいという、ことはお願いしておるのですが、私ども自体がこの金の配分の衝に当るわけではありませんので、一応裏付するようなはつきりしたことはできなかつたのです。
  64. 堀末治

    堀末治君 金丸君にお伺いしますが、今言う通り、その他行政費で行くと、行かない所があるのだね、実際……。そういう所は何にももらわないから、どつちかというと露骨に言えば、おれの所は銭をもらわないから何にも責任はないというような形になつてしまう。それでは折角こういう法律を作つても、僅かな金額かも知れないけれども、併し、人口割りにして行くというと、人口の多い所はなかなか多い金額になる。八十八銭、一円二十銭でも。これは平衡交付金か、何か適当なもの設けて、必ずこれだけのものは行くということにしないと、向うは何にも責任はないから、一文も金をもらわないと、おれの所にばかりやれと言つたつて、それは恐らく熱がない。今もう一つここに資料を頂いたのを拝見しますと、要するに平衡交付金のそんなものを予算化されている所は実際やはり県では五〇%、市町村では三〇%以下だと思う。もらつた金はよそに使うこともあるかも知れない、我々としては使うことは或る程度構わないけれども、併し、折角こういうことでまあやつても、その金はもらわない所は使いようがないし、もらつても今言つた通り他のほうにやつて行くということになると、折角衆議院の諸君が骨を折つてこういう法律を作つてくれたけれども、まだどこか骨が入らないような感じがしますがね。
  65. 金丸三郎

    政府委員金丸三郎君) 平衡交付金に入れますと、まあ形の上ではどうしてもそういうようなことでいわゆる不交付団体には参り幸せんが、個々の団体といたしましては、地方税法その他の収入によりまして、基準財政需要だけの収入額があるというので平衡交付金が参らないわけでございます。従いまして、現実には不交付団体でも一円二十銭とか八十八銭という基準財政需要が出ておるものでございますから、予算化はしつつあるのでございます。まあほかに比べましてそういう不交付団体の選挙管理委員会の当局は、やはり財政支出を求めます上に若干気持の上で言い辛い面はあろうかと思いますけれども、不交付団体はどちらかと申しますれば、財政が豊かと申しましようか、そういうような所でございますから、予算化は十分に可能たと思つております。  それから県が五〇%、市町村が三十数パーセントというような実情でございますが、これは三月の予算議会で予算化しましたものがその統計の基礎になつていると思います。大きな府県におきましても一遍に使うのじやないのだから、一年かかつて使うものだから議決しないで、まあ最初は少額にとどめて、あと追加予算で行つてもいいのじやないかというよう方針の所もございますし、今年は御承知ように緊縮でございましたので、当初は載せておかないで、事業をやるような際には追加予算で計上して行こうという所もございますので、年間を通じますれば、私は十分に可能になつて参るのじやないかというふうに考えている次第でございます。
  66. 堀末治

    堀末治君 それじやもうこれで大体質問は打切りますが、特に折角衆議院選挙改正の特別委員区長もいらつしやいましたのでお願いいたしますが、これは今のよう説明ですから、そんなことで了承いたしておきますが、成るべくならば実績を見て、もう一遍これを一つあなたのほうでこの点の御検討を願うことを切にお願いいたしまして、質疑を打切ります。
  67. 森三樹二

    衆議院議員森三樹二君) それじや皆さんどうも……。
  68. 内村清次

    委員長内村清次君) 本法案につきましては、これはもう地方行政委員会でも、公職選挙法法律中にこの予算の裏付の条項がないという点で、その法律改正をいつの機会にかしなくちやならんという機運があつておつたのですが、たまたま予算獲得に対しましては、本年度あたりも特に自治庁要求予算が二十九年度の一兆予算の緊縮のために非常に通過しがたいという事情もありました際に、委員長、これは衆議院委員長もそうでございますが、両委員長共に大蔵大臣に面会いたしまして、予算獲得には努力いたしたようなこともあつたわけですが、問題は法律改正でございまするからして、やはりこれは先ほど堀委員からもお話がありましたように、折角議員立法でこうやつて作りましても、大蔵省のほうで立法の裏付であるところの予算を計上しないならば何にもならない問題でありますからして、実は委員長としては理事会のお話もありまして、今日この法案をまあ委員のかたがたの同意を得て終局にしたいと思つておりましたが、緑風会のほうが実は議員総会をやつておりますし、それと大蔵省関係の責任者にも一遍来てもらいたいし、或いは又今後予算獲得の点もありますから、自治庁長官にも来て頂きまして、そこのほうで確かめて直ちに終局にするという取扱をしたいと思いますが、よろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 内村清次

    委員長内村清次君) そういうことにいたします。  それでは本日はこれにて散会をいたします。    午後四時二十七分散会