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説明員(
柴田護君)
地方財政、
平衡交付金法の一部を
改正する
法律案につきまして、逐条で御説明申上げます。便宜お配りいたしております
参考資料のうちの
新旧対照表を御覧になりながらお聞き願いたいと思います。
一番最初の題名が、
地方財政、
平衡交付金法を
地方交付税法と掲げてございますが、今般
地方団体の
調整財源を今までのような国の
一般財源から年々歳出に計上いたします制度を改めまして、国税の
一定割合を以て当然に
地方団体の
調整財源とするという方式に改めることによりまして、名称も従来の
地方村政平衡交付金という名前を改めまして、
地方交付税という名前にいたしました。それに伴いまして法律の題名も
地方交付税法に改めることにしたのであります。
本則中「
交付金」を「
交付税」に、「
普遍交付金」を「
普通交付税」に、「
特別交付金」を「
特別交付税」に改める
規定を置いておりますが、これは
地方交付税法の法案の実体は、
地方財政平衡交付金の場合と殆んど同じ
規定を存置しておりますので、
地方交付税に
地方財政平衡交付金を変更いたしますに伴います字句の
読替規定であります。
第一条の
改正規定は、
地方交付税法の目的に関する
規定の
改正でありますが
地方交付税が従来の
算定方式と異なりまして、国税の
一定割合になります結果、その
地方団体の
独立財源としての色彩が明瞭になつております。それでこの法律の目的の条項のうちで、従来は「
地方自治の本旨の実現に資するために、
地方団体に対し適当な財源を供与し、もつてその
独立性を強化することを目的とする。」という
規定がありましたけれども、この
規定の中で「
地方団体に対し適当な財源を供与し」という、国から
地方団体に対して財源を与える、言わば国が
地方団体に恩恵的にやるんだといつたような臭いがしております条文を落しまして、
地方団体の
独立性を強化するということに改めたのであります。従いまして
地方財政平衡交付金が
地方交付税に変更いたしますに伴いまする字句の修正であります。
第二条の
改正規定は用語の意義に関する
規定の
改正でありますが、その第一号の
地方交付税の部分は
地方交付税の定義を明記したのであります。「第六条の
規定により
算定した
所得税、
法人税及び油税のそれぞれの
一定割合の額で
地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税をいう。」第六条の
規定と申しますのは、あとで御説明申上げますが、
交付税というのは国の税金の
所得税、
法人税及び酒税の一定の割合の額だということが明記してあるわけでありますが、そこでその
規定による
一定割合の願で
地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税、これは
地方交付税もやはり
地方団体に対しまして、
地方団体が必要な事務を行うに要しまする財源を保障しようという思想に基くものでありますので、「ひとしくその行うべき事務を遂行することができるように」という
規定はそのまま存置したのであります。
それから第六号の
改正規定は「
普通交付金の
総額を
算定し、及び配分する」を「
普通交付税を交付する」とした。
普遍交付税の
総額を
算定いたします場合には、
地方財政平衡交付金の場合と異なつて、その
総額は当然に国税の
一定割合として算出されるわけでありますから、
総額を
算定して行くという
規定は要らないわけであります。又「配分する」というのも如何にも国が
地方団体に財源をやるんだという考え方の嗅いの強い言葉でありますので、これを改めまして、「
普遍交付税を交付する」と改めることとな
つたのであります。
第三条の
改正規定は、運営の基本に関する条項でありまするが、この第一項、第三項は
地方財政平衡交付金の
算定に関するものでありまして、要するに積上げ方式の
規定であります。
地方交付税の建前になりますと、積上げて参るのでなくて、当然に国税の
一定制合
そのものが
地方交付税の
総額になつて参るわけでありますから、この
算定に関する積上げ方式の
規定であります第一項、第二項の
規定は削除いたすことになるわけであります。従いまして従来の第三項が第三条の第一項になつて参ります。従来の第三項の中で「国の予算に計上された
交付金の
総額」云々という条項がありますが、これは
自治庁長官の
地方財政平衡出交付金の運営に関する
規定でありますが、これも
地方交付税の
総額の
決定方式が変更して参りますことに
伴つて「国の予算に計上された
交付金の
総額」という言葉は穏当でありませんので、「第六条の
規定による
地方交付税の
総額」と読替えまして、又「衡平にその
超過額を補てんすることができるように配分しなければならない」という配分の原則については、
地方交付税の
総額が自働的にきまつて来る結果、その
総額というものは、ぴしやりと各
地方団体の
基準財政需要額が
基準村政収入額を超過する額に見合うか見合わないかということは、むしろ見合わないのが本則になつて参るのであります。その結果「
超過額を補てんすることができるように」ということは事実問題として不可能であります。究極におきましては
超過額を補填することを目途といたしておるわけでありますが、毎年々々の配分に当りましては、
超過額そのものを補填するということは不可能な場合もあるのでありまして、従いましてこの言葉を「補てんすることを目途として」というふうに実態に合うように直したのであります。
それから三条の四項、五項、それから四条の
規定はそれぞれ
交付金が
交付税に変りますための字句の
読替規定であります。
第五条の
改正点は、第一項及び第二項の
改正規定も
同様字句の
読替規定であります。
それから第六条は、従来の
交付金の種類及び
総額の決定に関する
規定でありますが、これを
交付税の
総額に関します
規定に改めまして、「
所得税、
法人税及び酒税の
収入額のそれぞれ百分の二十をもつて
交付税とする。」これは
交付税の
総額はこれは
所得税、
法人税及び酒祝の
収入額の百分の二十
そのものが当然に
交付税になるというところの
規定であります。
一項は、「毎
年度分として交付すべき
交付税の
総額は、
当該年度における
所得税、
法人税及び酒税の
収入見込額のそれぞれ百分の二十に相当する額の
合管額に
当該年度の前年度以前の年度における
交付税で、まだ交付していない額を加算し又は当該前年度以前の年度において交付すべきであ
つた額をこえて交付した額を
当該合算額から減額した額とする。」これは毎
年度分として交付すべき
交付税の
総額、つまり予算に計上されるべき
交付税の額であります。これは
所得税、
法人税及び酒税の
収入額そのものの二〇%がそれぞれ
交付税でありますのでございますが、予算に計上をいたしました場合においては、
収入見込額で以て計上するわけであります。そこで後
年度決算が出て参りました場合におきましては、その
予算額を超過し、或いは全額に満たないという場合は、当然に
交付税といたしましては
交付未済分、或いは
交付超過分になるわけであります。そこでそのあとの「
当該年度の前年度以前の年度における
交付税で、まだ交付していない額を加算し」と申しますのは、前年度以前におきまして当然交付すべきであ
つた願でありながら、予算に計上せられていなか
つた額、つまり
交付未済額であります、これを加える。「又は当該前年度以前の年度において交付すべきであ
つた額をこえて交付した額を」、この
所得税、
法人税及び酒税の
収入額が経済の変動その他によりまして
予算額に達しなかつた場合におきましては、
予算額の二〇%が
地方交付税の額として予算に計上されているわけでありますので、そこには
交付超過分が出て参るわけであります。その額は
決算終了後におきまして控除するのであります。従いまして、第一項は
交付税の
総額につきまする
本質規定でありまするが、第二項は毎
年度分として予算に計上すべき額に関します技術的な
規定であります。
第六条の二は
交付税の種類でありまして、
交付税の種類は、
地方財政平衡交付金の場合と同じように、
普通交付税と
特別交付税にやはり分けることにいたしたのでありますが、その
総額は
地方財政上
平衡交付金法の場合におきましては、先ず
普通交付金の
総額が、各
地方団体につきまして
算定いたしました
基準財政需要額が
基準財政収入額を超える額の
合算額であ
つたのであります。従いましてそれを基礎といたしまして、それの百分の八が
特別交付金であ
つたのでありますが、それは
地方村政平衡交付金の
総額が飽くまで積上げ方式に立つておりましたので、さようなことができたのでありますが、今度の
地方交付税で参りますと、
総額が当然きまつて来るわけであります。そこでその
総額のうちで百分の九十二に相当する額を
普通交付税といたしまして、百分の八に相当する額を
特別交付税といたしたのであります。この百分の九十二と百分の八の割合をとりましたのは、一応現在運用上習熟いたしておりまする
地方財政平衡交付金の場合の割合を参酌いたしまして、採用することといたしております。
第六条の三は、
特別交付税の額の変更に関する
規定であります。「毎
年度分として交付すべき
普通交付税の
総額が第十条第二項本文の
規定によつて各
地方団体について
算定した額の
合算額と異なる場合において、
当該合算額が
普通交付税の
総額に満たないときは、当該満たない額は、
特別交付税の
総額に加算するものとし、
当該合算額が
普通交付税の
総額をこえるときは、当該こえる額は
特別交付税の
総額から減額するものとする。但し、当該減額すべき額は、
交付税の
総額の百分の二に相当する額をこえてはならないものとする」、これは
普通交付税を各
地方団体に対しまして交付いたしまする場合の
算定は、現在の
地方財政平衡交付金においてとつておりますように、
基準財政需要額が
基準財政収入額を超える額につきまして交付するわけでありますが、その
総額が来
年度分として交付すべき
普通交付税の額、つまり
交付税の
総額の百分の九十二の額と合わない場合、これはむしろ合わないのが原則であろうと思われるのでありますが、その場合において、その
合算額が若し百分の九十二の
暫通交付税の額、
つまり交付税総額の百分の九十二に満たない場合においては、その満たない額は
特別交付税の
総額に加算する。苦し各
地方団体について
算定いたしました
基準財政需要額と
基準財政収入額との差額の
合計額が
普通交付税の
総額よりか少かつた場合におきましては、
普通交付税の
総額が余つて来るわけであります。余つて参ります額は、それは
特別交付税に加算するのだ。又その
合算額が、今度は
普通交付税の
総額を超えるとき、つまり
普通交付税の
総額が、各
地方団体について
算定いたします
交付基準額に対しまして不足する場合、その場合は
特別交付税の一部を
普通交付税に廻す、
特別交付税を持つて行くということにいたすことにしておるのであります。併しその
特別交付税を
普通交付税に廻しまする限度は、
交付税の
総額の百分の二にする。
特別交付税の額は
交付税総額の百分の八でありますので、その百分の二と申しますと、
特別交付税の四分の一の額でありますが、四分の一までは
普通交付税に廻し得るものとする。つまりここに挙げております思想は、成るべく
交付税総額のうちで賄うようにする。併しどうしても賄えない場合においては
調整率を乗じまして、
基準財政需要額を調整するというところの、現在の普遍の
地方財政平衡交付金の
算定にとつておりまするところの方式を踏襲する、こういうことにしておるのであります。ここに百分の二といたしましたのは大体
特別交付税の額は百億程度と推定されますが、そのうちで四分の一と申しますと二十五億、大体七、八十億のものはまあ残る。七、八十億のものは、やはり全国一万近い
地方団体の特別の
財政状況を見まして勘案いたしまして調節いたしますと、どうしても
特別交付税といたしましてその程度の税はとつておく必要があるのじやないか。そこで百分の二を以て限度とすることといたしたのであります。
それから第二項は、「毎
年度分として交付すべき
普通交付税の
総額が引き続き第十条第二項本文の
規定によつて各
地方団体について
算定した額の
合算額と著しく異なることとなつた場合においては、
地方財政若しくは
地方行政に係る制度の
改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」これは
交付税は要するに
所得税、
法人税及び酒税の百分の二十の額、その額が
地方交付税でありますけれども、都市によつて、実際に配分いたしましたところの各
地方団体について
算定した
交付金額の
総額というものが、
普通交付税の額と非常に違つて参りました場合、この場合にはやはり
地方団体の
財政需要額の
算定に誤りがあるか、或いは
交付税の
総額について不足があるのかというところの、いずれかの場合になつて参るわけであります。この場合におきましては、やはり
地方財政又は
地方行政制度全般につきまして再検討すべきときなのでありまして、
交付税制度を設けました趣旨は、年々歳々その
総額についていろいろ細かい問題は論じない、少々のでこぼこは勘定に入れないというのが、
地方財政平衡交付金を
地方交付税にいたしました趣旨でありますけれども、その差が余り大きくなつて参りますと、やはり制度的にそれは考えなければならん。その差が大きくなります場合は、引続いて非常に差が苦しく出て参つた場合ということに限定することにいたしまして、
地方交付税の割合というのは原則としてはいじらないのだというところの建前をはつきりいたしております。又いじる場合におきましても、先ず
地方財政制度自体の
改正について考慮する、或いは繰入れ割合、今の
交付税の二〇%というものの割合の変更を考慮するということにいたしたのであります。
第七条は、
歳入歳出総額の
見込額の提出に関しまする、特に
地方財政平衡交付金なり
地方交付税に関しまするところの
算定の内容に関する公表の義務に関する
規定でありますが、これは
地方財政平衡交付金が
地方交付税に変りましたのに伴いまして必要な字句の訂正をいたしたのであります。
第八条、第九条も共に字句の読替えに関しまする
改正であります。
第十条は
普通交付税の
算定に関しまする
規定でありますが、これも本質的には
現行法の
地方財政平衡交付金の
普通交付金の
算定方法の
規定をそのまま踏襲いたしておりますが、ただ
地方交付税の場合におきましては、
総額の百分の九十二が
普通交付税でありますが、場合によつては
特別交付税の額を
交付税総額の百分の二までは
普通交付税に廻す場合があるわけでありますので、それに伴いまして
改正をいたしたのであります。
つまり交付税総額の百分の二を
普通交付税に廻しまして、その上でなお
交付税総額とそれから各
地方団体につきまして
算定いたしました
交付金額とが相異いたします場合につきましては、
現行法と同じように
基準財政需要額につきまして
調整率を乗じまして調整をいたしておるのであります。その方式をそのまま採用するのでありますが、その百分の二を廻すというところにつまして字句の訂正が必要なのであります。その十条の二項の
改正規定の但書のところで「但し、各
地方団体について
算定した
財源不足額の
合算額が
普通交付税の
総額をこえるため、当該こえる額を
特別交付税の
総額から減額すべき場合において、その減額すべき額が
交付税の
総額の百分の二に相当する額をこえるときは、左の式により
算定した額とする。」という
規定がその趣旨を表わしているのであります。
それから三項、四項、五項共に右に伴いますところの
規定の整備であります。
第十二条は
測定単位及び
単位費用に関する
規定でございますが、
単位費用につきましては、今般
給与費……本年四月一日から実施されました職員の
給与改訂の平
年度化に伴いまして所要の改訂をいたす必要があります。又賃金、
運賃等につきまして従来の
算定方式につきまして改善を加えました。
旅費等につきましては、
上京旅費、
県内旅費等にきまして
鉄道運賃の改訂に伴う増額を見込んでおります。
普通旅費の改訂はいたしておりませんけれども、
上京旅費と
県内旅費につきましては、運賃の改定に伴うところの所要の増額をいたしております。
文物件費の
算定につきまして、
普通庁費の
算定は国の
附属官庁の単価によつて
算定するものとし、
建築単価、
自動車維持費等国の予算の単価の変更に伴います所要の改訂を加えております。それから
補助負担金につきまして
単位費用を
算定いたします場合に、
特定財源として
補助負担金を落すわけでありますが、その
補助負担金の
算定につきまして、今回
補助負担率が
相当変更になることになつているので、その変更に応じまして所要の改訂を加えております。又
町村合併促進法或いは
労働金庫法、或いは
公明選挙に関する
規定等、国の
行政施策に伴いまして新たに地方の負担となつて参りましたものにつきまして所要の改訂を加えております。
それから
警察制度の
改正に伴いまして、府県の経費の種類に
警察費を設けますと共に、
市町村につきましては
警察費を削除いたすことにいたしたのであります。但し附則におきまして二十九
年度分につきましては、
市町村につきまして三カ月分の
警察費を見込むこととし、府県につきましては七月以降九カ月分の
警察費につきまして
単位費用の
算定をいたしております。
それから
揮発油譲与税の
改正に伴いまして、府県の
土木費中
道路費につきまして
総額におきまして三十一億円程度を
特定財源として控除することといたしております。その結果
新旧対照表に現われておりますように、
単位費用につき、ましてそれぞれ所要の改訂を加えたのであります。
その他
測定単位につきましては、現在は
市町村の
警察費につきましては人口をとつておりますけれども、新
警察法案によりまするなら、
警察職員定員数等につきましては
政令等で以て基準をきめることにいたしております。基準をきめられるものならばむしろ
警察吏員、
職員数をとつたほうが
警察費の
算定といたしましては実態に副うものでございます。府県の
警察費につきましては
最初とつておりましたように
警察職員数をとることにいたしたのであります。
それから第二項の
改正規定でございますが、
測定単位の数値の
算定につきましてそれぞれ基準を明記することにいたしたのであります。
現行法におきまして二十九年度からは法定することになつておりますので、その趣旨にも副いまして、数値の
算定の基礎につきまして所要の
規定を法定いたしたのであります。この内容は大体現在
総理府令できめております
測定単位の数個の
算定方法をばそのまま挙げております。ただ
警察職員数につきましては、数値の
算定の基礎につきまして、
警察法第五十六条に
規定する政令で定める基準で
算定した
警察職員数をとることにいたしたのであります。
小学校の
児童数、
小学校の
学級数等につきまして、従来は
小学校の
児童数学級数、それから
学校数、中学校の
生徒数、
学級数、
学校数、それから
高等学校の
生徒数、これだけのものにつきましては、従来は
学校関係統計の系数をそのまま
使つてお
つたのでありますけれども、今回は
指定統計の系数を使うことに改めました。これは
指定統計の系数を使つたほうがより
算定につきまして恣意の介入を排することができるという趣旨に基いたものであります。
それから第十三条
測定単位の数位の
補正の方法であります。
補正の方法につきまして、第十三条第一項、第二項の
改正規定は従来は法律で定める方法によつてとありまして、昭和二十九年度からは法律で定めるが、それを二十八年度までは
総理府令で定めていいのだということが附則にあ
つたのでありますが、それを今回法律できめますために所要の
改正をいたしました。四項五項、六項、七項、八項、これだけが新らしい
規定であります。この
規定の趣旨は大体
段階補正、
密度補正、
態容補正、
寒冷補正、四つの
補正をいたすのでありますが、その
補正方法は現在今まで
総理府令で定めて参りました方法をほぼ採用いたしまして、大体それによ
つて総理府令を法律に掲げたというような恰好によつて
規定いたしております。
ただ第四項の但書で「但し、前項第一号から第四号までの
補正の二以上をあわせ行う場合においては、二以上の事由を通じて一の率を定め、又は各
事由ごとに
算定した率を連乗して得た率によるものとする。」、これは大体
補正係数はこの四つの
補正順位につきまして、それぞれ連乗して出すのでございますが、この連乗いたします場合、
補正係数を組みます場合、それぞれの
補正事由につきまして
補正方法をきめず、むしろ二つを噛み合して
補正する方法をとるほうがより実体に副
つて補正をすることができるのじやないかという趣旨がございますので、「二以上の事由を通じて一の率を定め、又は各
事由ごとに
算定した率を連乗して得た率によるものとする。」という
規定を置くことにいたしたのであります。第三に
密度補正と
段階補正との関連におきまして、
段階補正で係数がマイナスの
補正が行われ、
密度補正におきましてプラスの
補正が行われるということが
小規模団体においては多いのでありますが、二つを噛み合せますならば、必要以上に率が落ちるといつたようなことが防げるのじやないか。
地方公共団体につきましては、むしろそういう方法をとることが必要じやないかというようなことが考えられますので、そういうことがなし得るということの
規定を置いたのであります。第一号、第二号、第三号、第四号とありまして、第一号はこれは
段階補正に関しまする
補正方法、つまり
測定単位の数値の多少による段階につきまして行いまする
補正であります。第二号は
密度補正と言われるものでありまして、
人口密度等の多少によりまして
補正をいたしております。第三号は
市町村の行いまする行政の量と
質的相違によりますところの、いわば
市町村の態客によりまする
行政区分の
補正であります。これも従来の方式を採用いたしておるものであります。第四号はこれはいわゆる
寒冷補正であります。これも従来の方式をそのまま採用いたしております。
それから第七項の
規定、これは人口が急増した
地方団体及び組合を組織している
地方団体にかかる
補正係数の数値並びに
測定単位の数値の
補正後の数値の
算定方法に関します
規定であります。現在も地方の人口は国勢調査の人口をとつております結果、係数がやや古いのであります。昭和三十五年をとりまして、人口が急増して参つたたうな団体におきましては新しい係数を使わなければならないのでありますが、昭和二十五年以降におきまして人口等に関しまする統計がないのであります。そこで人口急増団体等につきましては
補正で以てその難点を補うことにいたしたのであります。従いまして、ここにその根拠
規定を赴くことといたしたのであります。
第十四条は
基準財政収入額の
算定方法に関しまする
規定であります。第一項は従来の
規定を、新たに入場譲与税が設けられますことと、道府県民税が設けられますことに伴います是正であります。第一項は
基準財政収入額につきまして、「道府県にあつては基準税率をもつて
算定した当該道府県の普通税の
収入見込額及び当該道府県の入場譲与税の
収入見込額の
合算額」とする。これは入場譲与税は昭和二十九年度から設けられるのでありますが、これは今度国税になります入場税の九割の額をば人口によりまして府県に按分還付するわけであります。按分交付するわけでありますが、その実体は
地方交付税と変化がないのでありまして、基準財政収入の
算定といたしましては、これは
地方交付税と同じ扱いをする。そこで普通税につきましては、十分の八、つまり標準税率の八割を以て基準税率とするのでありますが、入場譲与税につきましてはかような扱いをいたしませんで、一〇〇%基準材政
収入額から控除するというところの
算定方法をとることといたしたのであります。
第二項は府県民税の創設に伴いますところの訂正であります。中項に、「個人に対する道府県民税の所得割については、所得割の課税
総額の
算定に用いる標準率」とする、百分の五でありますが、個人に対する道府県民税の所得割の
算定標準率
そのものを以て標準税率とする。
市町村民税についての所得割につきましては、道府県民税の創設に伴いまして、いわゆる第一方式によります場合の標準税率が百分の十三になつて参りましたので、百分の十八を百分の十三に改めたのであります。
第三項は
基準財政収入額の
算定の基礎であります。これも昭和二十九年度からは
現行法におきましても法定することになつておりますので、その
規定の趣旨に副い
地方交付税になりましても今回法定をすることといたしたのであります。法定の
基準財政収入額の
算定の基礎は大体現在とつておりますところの
基準財政収入額の基礎、いわゆる現在
総理府令で以てきめておりまするその方法を大体そのまま採用いたしておりますが、若干変つておりますところがございますので御説明申上げます。道府県民税はこれは新らしく設けたのであります。併し均等制、所得割につきましては、大体現在
市町村民税についてとつておりますところの方法はそのまま踏襲いたしております。
法人税制につきましては、従来は従業者一人当りの所得というものを捉えまして、これによりまして
補正係数を算出いたしてお
つたのでありますが、その方法が実態に副わないということになりますので、今回からは、大体法人事業税も同じでありますが、分割法人につきましては、それぞれ過去の実績を使う、そうして分割法人以外のものにつきましては国税の所得額というものを基礎として使う、そういう方法によ
つたのであります。従いまして、
法人税制につきましても、「二以上の道府県において事務所又は事業所を有する法人」、つまり分割法人につきましては、「当該法人に係る最近の事業年度に係る
法人税制の裸視標準、その他の法人に係るものにあつては、当該道府県の区域間における前
年度分の、
法人税額から道府県分割法人に係る
法人税額を控除した額」、これによりまして、ほぼ各通府県につきまして現実と相違のない税額というものが算出されるの、ではないかというふうに考えるのであります。事業税につきましても、個人の行いまする事業に対する事業税につきましては、大体現在の
算定方法をそのまま採用しております。法人の行いまする事業に対する事業税につきましては、只今
法人税割について御説明申上げましたと同じように、分割法人につきましては、大体過去の実績その他のものにつきまして、その
法人税額を基礎といたしまし、その
法人税額から分割法人に係るものを控除した額を以て
算定する、こういう方法をとることといたしております。不動産取得税につきましては、
算定方法がむつかしいのでございますが、一応土地及び家屋に係るものにつきまして、前年度中における登録税額、それから前年度中における家屋の建築坪数とを以ちまして、両建てを以て税額を
算定するということにいたしております。道府県たばこ消費税は、前年度のたばこの売上高をとつて
算定することにいたしております。遊興飲養税、自動車税、鉱区税、狩猟者税、固定資産税はそれぞれ現在の
算定方法をそのまま踏襲いたします。入場譲与税でありますが、これは官報で公示された最近の国勢調査又はこれに準ずる全国的な人口調査の結果による当該道府県の人口をとり、単位税額を弾き出しまして、その人口をとることによりまして
算定することにいたします。
市町村民税でありますが、
市町村民税の均等割、所得割、これは現行の
算定方法をそのまま踏襲いたしております。
法人税割につきましては、先ほど道府県民税の
法人税割につきまして御説明申上げました通りであります。固定資産税でありますが、固定資産税は土地、家屋につきましては、現行と同じように平均価格を基礎として
算定する。償却資産につきましては、
自治庁長官が配分するものにつきましては配分価格をとる。その他の償却資産につきましては、事業所統計調査の結果による従業者数を使う現在の方式をそのまま踏襲いたしております。自転車荷車も同じであります。たばこ消費税におきましても、道府県のたばこ消費税と同一の
算定方法であります。電気ガス税、鉱産税、木材引取税、入湯税も
現行法の
算定方法をそのまま踏襲いたしております。
第十五条、六条、十七条からずつと本則のあとの二十条の三まで、すべて
交付金を
交付税に読替えるものでありまして、字句の訂正であります。
附則でありますが、附則の第三項は繰入率の特例であります。
地方交付税の
総額は
所得税、
法人税、酒税の
収入額のそれぞれ百分の二十でありますが、昭和二十九年度は
所得税法人税につきましては百分の一九・六六、酒税につきましては百分の二十と読替えております。酒税につきましてのみ百分の二十といたしましたのは、
所得税、
法人税と酒税が一は直接税であり一は間接税である、税の性格も違いますし又かたがた酒消費税等との関連等もございまして、酒消費税に関しまする
地方団体の要望を酒税を
地方交付税にすることによりまして一応充たすといつた意味合いからでありまして、
算定基礎は従来の
地方財政平衡交付金の場合と同じように一応
地方財政計画を策定いたしまして、その不足分を
地方交付税に求めるという計算で以て千二百十六億を出しておりますが、それを本年度の
所得税、
法人税の
総額に乗じまして逆算いたしまして、一九・六六という率を出したのであります。
第四項は昭和二十九年度に限りまする
警察費に係る
単位費用の特例でありまして、昭和二十九年度につきましては府県の
警察費は九カ月分でございますので、年間三十万円の
単位費用を二十二万円に読替えております。同時に又
市町村につきましては、
警察費が三月分あるわけでございますので、昭和二十九年度は人口を
測定単位といたしまして、人口当り九十円の
単位費用を見ております。
第五項は
法人税割及び償却資産に係りますところの基準村政収入の
算定に関する
読替規定でございます。これは分割法人につきまして、本来当該法人に係る最近の事業年度に係る
市町村民税のうち
法人税割の課税標準、
法人税割の課税標準をとつておりますのが本則でありますが、今年は道府県民税の
法人税割がございませんので、本年は一応
市町村民税の
法人税割の課税標準額をとることにいたしております。それから
市町村の償却資産の
算定につきまして、本則は三百八十九条の
規定により
自治庁長官又は都道府県知事が決定した価格を配分するものだということを設けておりますが、これが昭和二十九年度におきましては、まだ三百九十一条の
規定によるいわゆる大規模償却資産の価格の配分があるわけでございますので、その
規定を設けまして、暫定的に
補正しておるわけであります。
それから第六項は概算交付に関しまする
規定でございます。
地方交付税が今年はございませんので、今年の
地方交付税の概算交付に当りましては、便宜昭和二十八年度の
地方財政平衡交付金の額を基準といたしまして配分することにいたしたわけでございます。
第七項は
地方交付税に関しまする錯誤に係りまするものの是正に関する
規定でありますが、これを昭和二十八年度と二十九年度の間の繋がりにいたしまして、二十八年度の
地方財政平衡交付金の錯誤に係りますものを昭和二十九年度の
地方交付税の交付に代えて所要の是正を行うことができる、つまり
地方交付税の一部として錯誤に係りますものにつきましては同種的に取扱うというところの措置を
規定したのであります。
第八項は奄美群島に係ります
地方交付税の適用に関します特例の
規定であります。奄美群島に係ります
地方交付税につきましては国の予算におきましては、奄美群島善後処理費といたしまして
地方交付税千二百十六億の別に予算に提出されておるものであります。これは特別会計をくぐらずに直接一般会計から
自治庁長官に移し替えまして、直接奄美群島に係る
市町村に交付されるものでございます。これにつきましては、
交付税法をそのまま適用いたしましたのでは、
測定単位の数値等につきまして、まだ殖える部分がたくさんあるわけでありまして、正確なる
算定ができませんので、別途の
算定方法を用いまして、
地方交付税の本旨に副う範囲におきまして、便宜的な
算定方法といたしまして、善後処理費から
自治庁長官に移し替える、こういう方式をとることにいたしたものでございますが、これに伴いまして政令を以て特例を設ける必要がありますので、特例を設けます根拠
規定を設けたのであります。
第九項以下十三項まではそれぞれ関係法令の
地方財政平衡交付金法が
地方交付税法に変りますことに伴います字句の
規定であります。
以上で逐条説明を終ります。