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1954-05-04 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年五月四日(火曜日)    午前十一時八分開会   ————————————— 出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            高橋進太郎君            小林 武治君            秋山 長造君            若木 勝藏君            笹森 順造君            加瀬  完君   国務大臣   大 蔵 大 臣 小笠原三九郎君    国 務 大 臣 塚田十一郎君   政府委員    自治政務次官  青木  正君    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁財政部長 後藤  博君    大蔵省主計局長 森永貞一郎君    大蔵省主計局次    長       正示啓次郎君    大蔵省主税局長 渡邊喜久造君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    自治庁財政部財    政課長     柴田  護君    大蔵省主税局税    制第二課長   塩崎  潤君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) では只今から地方行政委員会を開会いたします。  ちよつと速記とめて下さい。    〔速記中止
  3. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記始めて。  地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案を議題に供します。先ず法案逐条審議をいたしたいと存じますが、政府のほうから逐条別説明をお願いして、質疑に入りたいと思います。
  4. 柴田護

    説明員柴田護君) 地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案につきまして、逐条で御説明申上げます。便宜お配りいたしております参考資料のうちの新旧対照表を御覧になりながらお聞き願いたいと思います。  一番最初の題名が、地方財政平衡交付金法地方交付税法と掲げてございますが、今般地方団体調整財源を今までのような国の一般財源から年々歳出に計上いたします制度を改めまして、国税の一定割合を以て当然に地方団体調整財源とするという方式に改めることによりまして、名称も従来の地方村政平衡交付金という名前を改めまして、地方交付税という名前にいたしました。それに伴いまして法律の題名も地方交付税法に改めることにしたのであります。  本則中「交付金」を「交付税」に、「普遍交付金」を「普通交付税」に、「特別交付金」を「特別交付税」に改める規定を置いておりますが、これは地方交付税法の法案の実体は、地方財政平衡交付金の場合と殆んど同じ規定を存置しておりますので、地方交付税地方財政平衡交付金を変更いたしますに伴います字句の読替規定であります。  第一条の改正規定は、地方交付税法の目的に関する規定改正でありますが地方交付税が従来の算定方式と異なりまして、国税の一定割合になります結果、その地方団体独立財源としての色彩が明瞭になつております。それでこの法律の目的の条項のうちで、従来は「地方自治の本旨の実現に資するために、地方団体に対し適当な財源を供与し、もつてその独立性を強化することを目的とする。」という規定がありましたけれども、この規定の中で「地方団体に対し適当な財源を供与し」という、国から地方団体に対して財源を与える、言わば国が地方団体に恩恵的にやるんだといつたような臭いがしております条文を落しまして、地方団体独立性を強化するということに改めたのであります。従いまして地方財政平衡交付金地方交付税に変更いたしますに伴いまする字句の修正であります。  第二条の改正規定は用語の意義に関する規定改正でありますが、その第一号の地方交付税の部分は地方交付税の定義を明記したのであります。「第六条の規定により算定した所得税法人税及び油税のそれぞれの一定割合の額で地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税をいう。」第六条の規定と申しますのは、あとで御説明申上げますが、交付税というのは国の税金の所得税法人税及び酒税の一定の割合の額だということが明記してあるわけでありますが、そこでその規定による一定割合の願で地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税、これは地方交付税もやはり地方団体に対しまして、地方団体が必要な事務を行うに要しまする財源を保障しようという思想に基くものでありますので、「ひとしくその行うべき事務を遂行することができるように」という規定はそのまま存置したのであります。  それから第六号の改正規定は「普通交付金総額算定し、及び配分する」を「普通交付税を交付する」とした。普遍交付税総額算定いたします場合には、地方財政平衡交付金の場合と異なつて、その総額は当然に国税の一定割合として算出されるわけでありますから、総額算定して行くという規定は要らないわけであります。又「配分する」というのも如何にも国が地方団体に財源をやるんだという考え方の嗅いの強い言葉でありますので、これを改めまして、「普遍交付税を交付する」と改めることとなつたのであります。  第三条の改正規定は、運営の基本に関する条項でありまするが、この第一項、第三項は地方財政平衡交付金算定に関するものでありまして、要するに積上げ方式の規定であります。地方交付税の建前になりますと、積上げて参るのでなくて、当然に国税の一定制そのもの地方交付税総額になつて参るわけでありますから、この算定に関する積上げ方式の規定であります第一項、第二項の規定は削除いたすことになるわけであります。従いまして従来の第三項が第三条の第一項になつて参ります。従来の第三項の中で「国の予算に計上された交付金総額」云々という条項がありますが、これは自治庁長官地方財政平衡出交付金の運営に関する規定でありますが、これも地方交付税総額決定方式が変更して参りますことに伴つて「国の予算に計上された交付金総額」という言葉は穏当でありませんので、「第六条の規定による地方交付税総額」と読替えまして、又「衡平にその超過額を補てんすることができるように配分しなければならない」という配分の原則については、地方交付税総額が自働的にきまつて来る結果、その総額というものは、ぴしやりと各地方団体基準財政需要額基準村政収入額を超過する額に見合うか見合わないかということは、むしろ見合わないのが本則になつて参るのであります。その結果「超過額を補てんすることができるように」ということは事実問題として不可能であります。究極におきましては超過額を補填することを目途といたしておるわけでありますが、毎年々々の配分に当りましては、超過額そのものを補填するということは不可能な場合もあるのでありまして、従いましてこの言葉を「補てんすることを目途として」というふうに実態に合うように直したのであります。  それから三条の四項、五項、それから四条の規定はそれぞれ交付金交付税に変りますための字句の読替規定であります。  第五条の改正点は、第一項及び第二項の改正規定同様字句読替規定であります。  それから第六条は、従来の交付金の種類及び総額の決定に関する規定でありますが、これを交付税総額に関します規定に改めまして、「所得税法人税及び酒税の収入額のそれぞれ百分の二十をもつて交付税とする。」これは交付税総額はこれは所得税法人税及び酒祝の収入額の百分の二十そのものが当然に交付税になるというところの規定であります。  一項は、「毎年度分として交付すべき交付税総額は、当該年度における所得税法人税及び酒税の収入見込額のそれぞれ百分の二十に相当する額の合管額当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額を加算し又は当該前年度以前の年度において交付すべきであつた額をこえて交付した額を当該合算額から減額した額とする。」これは毎年度分として交付すべき交付税総額、つまり予算に計上されるべき交付税の額であります。これは所得税法人税及び酒税の収入額そのものの二〇%がそれぞれ交付税でありますのでございますが、予算に計上をいたしました場合においては、収入見込額で以て計上するわけであります。そこで後年度決算が出て参りました場合におきましては、その予算額を超過し、或いは全額に満たないという場合は、当然に交付税といたしましては交付未済分、或いは交付超過分になるわけであります。そこでそのあとの「当該年度の前年度以前の年度における交付税で、まだ交付していない額を加算し」と申しますのは、前年度以前におきまして当然交付すべきであつた願でありながら、予算に計上せられていなかつた額、つまり交付未済額であります、これを加える。「又は当該前年度以前の年度において交付すべきであつた額をこえて交付した額を」、この所得税法人税及び酒税の収入額が経済の変動その他によりまして予算額に達しなかつた場合におきましては、予算額の二〇%が地方交付税の額として予算に計上されているわけでありますので、そこには交付超過分が出て参るわけであります。その額は決算終了後におきまして控除するのであります。従いまして、第一項は交付税総額につきまする本質規定でありまするが、第二項は毎年度分として予算に計上すべき額に関します技術的な規定であります。  第六条の二は交付税の種類でありまして、交付税の種類は、地方財政平衡交付金の場合と同じように、普通交付税特別交付税にやはり分けることにいたしたのでありますが、その総額地方財政平衡交付金法の場合におきましては、先ず普通交付金総額が、各地方団体につきまして算定いたしました基準財政需要額基準財政収入額を超える額の合算額であつたのであります。従いましてそれを基礎といたしまして、それの百分の八が特別交付金であつたのでありますが、それは地方村政平衡交付金総額が飽くまで積上げ方式に立つておりましたので、さようなことができたのでありますが、今度の地方交付税で参りますと、総額が当然きまつて来るわけであります。そこでその総額のうちで百分の九十二に相当する額を普通交付税といたしまして、百分の八に相当する額を特別交付税といたしたのであります。この百分の九十二と百分の八の割合をとりましたのは、一応現在運用上習熟いたしておりまする地方財政平衡交付金の場合の割合を参酌いたしまして、採用することといたしております。  第六条の三は、特別交付税の額の変更に関する規定であります。「毎年度分として交付すべき普通交付税総額が第十条第二項本文の規定によつて各地方団体について算定した額の合算額と異なる場合において、当該合算額普通交付税総額に満たないときは、当該満たない額は、特別交付税総額に加算するものとし、当該合算額普通交付税総額をこえるときは、当該こえる額は特別交付税総額から減額するものとする。但し、当該減額すべき額は、交付税総額の百分の二に相当する額をこえてはならないものとする」、これは普通交付税を各地方団体に対しまして交付いたしまする場合の算定は、現在の地方財政平衡交付金においてとつておりますように、基準財政需要額基準財政収入額を超える額につきまして交付するわけでありますが、その総額が来年度分として交付すべき普通交付税の額、つまり交付税総額の百分の九十二の額と合わない場合、これはむしろ合わないのが原則であろうと思われるのでありますが、その場合において、その合算額が若し百分の九十二の暫通交付税の額、つまり交付税総額の百分の九十二に満たない場合においては、その満たない額は特別交付税総額に加算する。苦し各地方団体について算定いたしました基準財政需要額基準財政収入額との差額の合計額普通交付税総額よりか少かつた場合におきましては、普通交付税総額が余つて来るわけであります。余つて参ります額は、それは特別交付税に加算するのだ。又その合算額が、今度は普通交付税総額を超えるとき、つまり普通交付税総額が、各地方団体について算定いたします交付基準額に対しまして不足する場合、その場合は特別交付税の一部を普通交付税に廻す、特別交付税を持つて行くということにいたすことにしておるのであります。併しその特別交付税普通交付税に廻しまする限度は、交付税総額の百分の二にする。特別交付税の額は交付税総額の百分の八でありますので、その百分の二と申しますと、特別交付税の四分の一の額でありますが、四分の一までは普通交付税に廻し得るものとする。つまりここに挙げております思想は、成るべく交付税総額のうちで賄うようにする。併しどうしても賄えない場合においては調整率を乗じまして、基準財政需要額を調整するというところの、現在の普遍の地方財政平衡交付金算定にとつておりまするところの方式を踏襲する、こういうことにしておるのであります。ここに百分の二といたしましたのは大体特別交付税の額は百億程度と推定されますが、そのうちで四分の一と申しますと二十五億、大体七、八十億のものはまあ残る。七、八十億のものは、やはり全国一万近い地方団体の特別の財政状況を見まして勘案いたしまして調節いたしますと、どうしても特別交付税といたしましてその程度の税はとつておく必要があるのじやないか。そこで百分の二を以て限度とすることといたしたのであります。  それから第二項は、「毎年度分として交付すべき普通交付税総額が引き続き第十条第二項本文の規定によつて各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなつた場合においては、地方財政若しくは地方行政に係る制度の改正又は第六条第一項に定める率の変更を行うものとする。」これは交付税は要するに所得税法人税及び酒税の百分の二十の額、その額が地方交付税でありますけれども、都市によつて、実際に配分いたしましたところの各地方団体について算定した交付金額総額というものが、普通交付税の額と非常に違つて参りました場合、この場合にはやはり地方団体財政需要額算定に誤りがあるか、或いは交付税総額について不足があるのかというところの、いずれかの場合になつて参るわけであります。この場合におきましては、やはり地方財政又は地方行政制度全般につきまして再検討すべきときなのでありまして、交付税制度を設けました趣旨は、年々歳々その総額についていろいろ細かい問題は論じない、少々のでこぼこは勘定に入れないというのが、地方財政平衡交付金地方交付税にいたしました趣旨でありますけれども、その差が余り大きくなつて参りますと、やはり制度的にそれは考えなければならん。その差が大きくなります場合は、引続いて非常に差が苦しく出て参つた場合ということに限定することにいたしまして、地方交付税の割合というのは原則としてはいじらないのだというところの建前をはつきりいたしております。又いじる場合におきましても、先ず地方財政制度自体改正について考慮する、或いは繰入れ割合、今の交付税の二〇%というものの割合の変更を考慮するということにいたしたのであります。  第七条は、歳入歳出総額見込額の提出に関しまする、特に地方財政平衡交付金なり地方交付税に関しまするところの算定の内容に関する公表の義務に関する規定でありますが、これは地方財政平衡交付金地方交付税に変りましたのに伴いまして必要な字句の訂正をいたしたのであります。  第八条、第九条も共に字句の読替えに関しまする改正であります。  第十条は普通交付税算定に関しまする規定でありますが、これも本質的には現行法地方財政平衡交付金普通交付金算定方法規定をそのまま踏襲いたしておりますが、ただ地方交付税の場合におきましては、総額の百分の九十二が普通交付税でありますが、場合によつては特別交付税の額を交付税総額の百分の二までは普通交付税に廻す場合があるわけでありますので、それに伴いまして改正をいたしたのであります。つまり交付税総額の百分の二を普通交付税に廻しまして、その上でなお交付税総額とそれから各地方団体につきまして算定いたしました交付金額とが相異いたします場合につきましては、現行法と同じように基準財政需要額につきまして調整率を乗じまして調整をいたしておるのであります。その方式をそのまま採用するのでありますが、その百分の二を廻すというところにつまして字句の訂正が必要なのであります。その十条の二項の改正規定の但書のところで「但し、各地方団体について算定した財源不足額合算額普通交付税総額をこえるため、当該こえる額を特別交付税総額から減額すべき場合において、その減額すべき額が交付税総額の百分の二に相当する額をこえるときは、左の式により算定した額とする。」という規定がその趣旨を表わしているのであります。  それから三項、四項、五項共に右に伴いますところの規定の整備であります。  第十二条は測定単位及び単位費用に関する規定でございますが、単位費用につきましては、今般給与費……本年四月一日から実施されました職員の給与改訂の平年度化に伴いまして所要の改訂をいたす必要があります。又賃金、運賃等につきまして従来の算定方式につきまして改善を加えました。旅費等につきましては、上京旅費県内旅費等にきまして鉄道運賃の改訂に伴う増額を見込んでおります。普通旅費の改訂はいたしておりませんけれども、上京旅費県内旅費につきましては、運賃の改定に伴うところの所要の増額をいたしております。文物件費算定につきまして、普通庁費算定は国の附属官庁の単価によつて算定するものとし、建築単価自動車維持費等国の予算の単価の変更に伴います所要の改訂を加えております。それから補助負担金につきまして単位費用算定いたします場合に、特定財源として補助負担金を落すわけでありますが、その補助負担金算定につきまして、今回補助負担率相当変更になることになつているので、その変更に応じまして所要の改訂を加えております。又町村合併促進法或いは労働金庫法、或いは公明選挙に関する規定等、国の行政施策に伴いまして新たに地方の負担となつて参りましたものにつきまして所要の改訂を加えております。  それから警察制度改正に伴いまして、府県の経費の種類に警察費を設けますと共に、市町村につきましては警察費を削除いたすことにいたしたのであります。但し附則におきまして二十九年度分につきましては、市町村につきまして三カ月分の警察費を見込むこととし、府県につきましては七月以降九カ月分の警察費につきまして単位費用算定をいたしております。  それから揮発油譲与税改正に伴いまして、府県の土木費道路費につきまして総額におきまして三十一億円程度を特定財源として控除することといたしております。その結果新旧対照表に現われておりますように、単位費用につき、ましてそれぞれ所要の改訂を加えたのであります。  その他測定単位につきましては、現在は市町村警察費につきましては人口をとつておりますけれども、新警察法案によりまするなら、警察職員定員数等につきましては政令等で以て基準をきめることにいたしております。基準をきめられるものならばむしろ警察吏員職員数をとつたほうが警察費算定といたしましては実態に副うものでございます。府県の警察費につきましては最初とつておりましたように警察職員数をとることにいたしたのであります。  それから第二項の改正規定でございますが、測定単位の数値の算定につきましてそれぞれ基準を明記することにいたしたのであります。現行法におきまして二十九年度からは法定することになつておりますので、その趣旨にも副いまして、数値の算定の基礎につきまして所要の規定を法定いたしたのであります。この内容は大体現在総理府令できめております測定単位の数個の算定方法をばそのまま挙げております。ただ警察職員数につきましては、数値の算定の基礎につきまして、警察法第五十六条に規定する政令で定める基準で算定した警察職員数をとることにいたしたのであります。  小学校児童数小学校学級数等につきまして、従来は小学校児童数学級数、それから学校数、中学校の生徒数学級数学校数、それから高等学校生徒数、これだけのものにつきましては、従来は学校関係統計の系数をそのまま使つてつたのでありますけれども、今回は指定統計の系数を使うことに改めました。これは指定統計の系数を使つたほうがより算定につきまして恣意の介入を排することができるという趣旨に基いたものであります。  それから第十三条測定単位の数位の補正の方法であります。補正の方法につきまして、第十三条第一項、第二項の改正規定は従来は法律で定める方法によつてとありまして、昭和二十九年度からは法律で定めるが、それを二十八年度までは総理府令で定めていいのだということが附則にあつたのでありますが、それを今回法律できめますために所要の改正をいたしました。四項五項、六項、七項、八項、これだけが新らしい規定であります。この規定の趣旨は大体段階補正密度補正態容補正寒冷補正、四つの補正をいたすのでありますが、その補正方法は現在今まで総理府令で定めて参りました方法をほぼ採用いたしまして、大体それによつて総理府令を法律に掲げたというような恰好によつて規定いたしております。   ただ第四項の但書で「但し、前項第一号から第四号までの補正の二以上をあわせ行う場合においては、二以上の事由を通じて一の率を定め、又は各事由ごと算定した率を連乗して得た率によるものとする。」、これは大体補正係数はこの四つの補正順位につきまして、それぞれ連乗して出すのでございますが、この連乗いたします場合、補正係数を組みます場合、それぞれの補正事由につきまして補正方法をきめず、むしろ二つを噛み合して補正する方法をとるほうがより実体に副つて補正をすることができるのじやないかという趣旨がございますので、「二以上の事由を通じて一の率を定め、又は各事由ごと算定した率を連乗して得た率によるものとする。」という規定を置くことにいたしたのであります。第三に密度補正段階補正との関連におきまして、段階補正で係数がマイナスの補正が行われ、密度補正におきましてプラスの補正が行われるということが小規模団体においては多いのでありますが、二つを噛み合せますならば、必要以上に率が落ちるといつたようなことが防げるのじやないか。地方公共団体につきましては、むしろそういう方法をとることが必要じやないかというようなことが考えられますので、そういうことがなし得るということの規定を置いたのであります。第一号、第二号、第三号、第四号とありまして、第一号はこれは段階補正に関しまする補正方法、つまり測定単位の数値の多少による段階につきまして行いまする補正であります。第二号は密度補正と言われるものでありまして、人口密度等の多少によりまして補正をいたしております。第三号は市町村の行いまする行政の量と質的相違によりますところの、いわば市町村の態客によりまする行政区分補正であります。これも従来の方式を採用いたしておるものであります。第四号はこれはいわゆる寒冷補正であります。これも従来の方式をそのまま採用いたしております。  それから第七項の規定、これは人口が急増した地方団体及び組合を組織している地方団体にかかる補正係数の数値並びに測定単位の数値の補正後の数値の算定方法に関します規定であります。現在も地方の人口は国勢調査の人口をとつております結果、係数がやや古いのであります。昭和三十五年をとりまして、人口が急増して参つたたうな団体におきましては新しい係数を使わなければならないのでありますが、昭和二十五年以降におきまして人口等に関しまする統計がないのであります。そこで人口急増団体等につきましては補正で以てその難点を補うことにいたしたのであります。従いまして、ここにその根拠規定を赴くことといたしたのであります。  第十四条は基準財政収入額算定方法に関しまする規定であります。第一項は従来の規定を、新たに入場譲与税が設けられますことと、道府県民税が設けられますことに伴います是正であります。第一項は基準財政収入額につきまして、「道府県にあつては基準税率をもつて算定した当該道府県の普通税の収入見込額及び当該道府県の入場譲与税の収入見込額合算額」とする。これは入場譲与税は昭和二十九年度から設けられるのでありますが、これは今度国税になります入場税の九割の額をば人口によりまして府県に按分還付するわけであります。按分交付するわけでありますが、その実体は地方交付税と変化がないのでありまして、基準財政収入の算定といたしましては、これは地方交付税と同じ扱いをする。そこで普通税につきましては、十分の八、つまり標準税率の八割を以て基準税率とするのでありますが、入場譲与税につきましてはかような扱いをいたしませんで、一〇〇%基準材政収入額から控除するというところの算定方法をとることといたしたのであります。  第二項は府県民税の創設に伴いますところの訂正であります。中項に、「個人に対する道府県民税の所得割については、所得割の課税総額算定に用いる標準率」とする、百分の五でありますが、個人に対する道府県民税の所得割の算定標準率そのものを以て標準税率とする。市町村民税についての所得割につきましては、道府県民税の創設に伴いまして、いわゆる第一方式によります場合の標準税率が百分の十三になつて参りましたので、百分の十八を百分の十三に改めたのであります。  第三項は基準財政収入額算定の基礎であります。これも昭和二十九年度からは現行法におきましても法定することになつておりますので、その規定の趣旨に副い地方交付税になりましても今回法定をすることといたしたのであります。法定の基準財政収入額算定の基礎は大体現在とつておりますところの基準財政収入額の基礎、いわゆる現在総理府令で以てきめておりまするその方法を大体そのまま採用いたしておりますが、若干変つておりますところがございますので御説明申上げます。道府県民税はこれは新らしく設けたのであります。併し均等制、所得割につきましては、大体現在市町村民税についてとつておりますところの方法はそのまま踏襲いたしております。法人税制につきましては、従来は従業者一人当りの所得というものを捉えまして、これによりまして補正係数を算出いたしておつたのでありますが、その方法が実態に副わないということになりますので、今回からは、大体法人事業税も同じでありますが、分割法人につきましては、それぞれ過去の実績を使う、そうして分割法人以外のものにつきましては国税の所得額というものを基礎として使う、そういう方法によつたのであります。従いまして、法人税制につきましても、「二以上の道府県において事務所又は事業所を有する法人」、つまり分割法人につきましては、「当該法人に係る最近の事業年度に係る法人税制の裸視標準、その他の法人に係るものにあつては、当該道府県の区域間における前年度分の、法人税額から道府県分割法人に係る法人税額を控除した額」、これによりまして、ほぼ各通府県につきまして現実と相違のない税額というものが算出されるの、ではないかというふうに考えるのであります。事業税につきましても、個人の行いまする事業に対する事業税につきましては、大体現在の算定方法をそのまま採用しております。法人の行いまする事業に対する事業税につきましては、只今法人税割について御説明申上げましたと同じように、分割法人につきましては、大体過去の実績その他のものにつきまして、その法人税額を基礎といたしまし、その法人税額から分割法人に係るものを控除した額を以て算定する、こういう方法をとることといたしております。不動産取得税につきましては、算定方法がむつかしいのでございますが、一応土地及び家屋に係るものにつきまして、前年度中における登録税額、それから前年度中における家屋の建築坪数とを以ちまして、両建てを以て税額を算定するということにいたしております。道府県たばこ消費税は、前年度のたばこの売上高をとつて算定することにいたしております。遊興飲養税、自動車税、鉱区税、狩猟者税、固定資産税はそれぞれ現在の算定方法をそのまま踏襲いたします。入場譲与税でありますが、これは官報で公示された最近の国勢調査又はこれに準ずる全国的な人口調査の結果による当該道府県の人口をとり、単位税額を弾き出しまして、その人口をとることによりまして算定することにいたします。市町村民税でありますが、市町村民税の均等割、所得割、これは現行の算定方法をそのまま踏襲いたしております。法人税割につきましては、先ほど道府県民税の法人税割につきまして御説明申上げました通りであります。固定資産税でありますが、固定資産税は土地、家屋につきましては、現行と同じように平均価格を基礎として算定する。償却資産につきましては、自治庁長官が配分するものにつきましては配分価格をとる。その他の償却資産につきましては、事業所統計調査の結果による従業者数を使う現在の方式をそのまま踏襲いたしております。自転車荷車も同じであります。たばこ消費税におきましても、道府県のたばこ消費税と同一の算定方法であります。電気ガス税、鉱産税、木材引取税、入湯税も現行法算定方法をそのまま踏襲いたしております。  第十五条、六条、十七条からずつと本則のあとの二十条の三まで、すべて交付金交付税に読替えるものでありまして、字句の訂正であります。  附則でありますが、附則の第三項は繰入率の特例であります。地方交付税総額所得税法人税、酒税の収入額のそれぞれ百分の二十でありますが、昭和二十九年度は所得税法人税につきましては百分の一九・六六、酒税につきましては百分の二十と読替えております。酒税につきましてのみ百分の二十といたしましたのは、所得税法人税と酒税が一は直接税であり一は間接税である、税の性格も違いますし又かたがた酒消費税等との関連等もございまして、酒消費税に関しまする地方団体の要望を酒税を地方交付税にすることによりまして一応充たすといつた意味合いからでありまして、算定基礎は従来の地方財政平衡交付金の場合と同じように一応地方財政計画を策定いたしまして、その不足分を地方交付税に求めるという計算で以て千二百十六億を出しておりますが、それを本年度の所得税法人税総額に乗じまして逆算いたしまして、一九・六六という率を出したのであります。  第四項は昭和二十九年度に限りまする警察費に係る単位費用の特例でありまして、昭和二十九年度につきましては府県の警察費は九カ月分でございますので、年間三十万円の単位費用を二十二万円に読替えております。同時に又市町村につきましては、警察費が三月分あるわけでございますので、昭和二十九年度は人口を測定単位といたしまして、人口当り九十円の単位費用を見ております。  第五項は法人税割及び償却資産に係りますところの基準村政収入の算定に関する読替規定でございます。これは分割法人につきまして、本来当該法人に係る最近の事業年度に係る市町村民税のうち法人税割の課税標準、法人税割の課税標準をとつておりますのが本則でありますが、今年は道府県民税の法人税割がございませんので、本年は一応市町村民税の法人税割の課税標準額をとることにいたしております。それから市町村の償却資産の算定につきまして、本則は三百八十九条の規定により自治庁長官又は都道府県知事が決定した価格を配分するものだということを設けておりますが、これが昭和二十九年度におきましては、まだ三百九十一条の規定によるいわゆる大規模償却資産の価格の配分があるわけでございますので、その規定を設けまして、暫定的に補正しておるわけであります。  それから第六項は概算交付に関しまする規定でございます。地方交付税が今年はございませんので、今年の地方交付税の概算交付に当りましては、便宜昭和二十八年度の地方財政平衡交付金の額を基準といたしまして配分することにいたしたわけでございます。  第七項は地方交付税に関しまする錯誤に係りまするものの是正に関する規定でありますが、これを昭和二十八年度と二十九年度の間の繋がりにいたしまして、二十八年度の地方財政平衡交付金の錯誤に係りますものを昭和二十九年度の地方交付税の交付に代えて所要の是正を行うことができる、つまり地方交付税の一部として錯誤に係りますものにつきましては同種的に取扱うというところの措置を規定したのであります。  第八項は奄美群島に係ります地方交付税の適用に関します特例の規定であります。奄美群島に係ります地方交付税につきましては国の予算におきましては、奄美群島善後処理費といたしまして地方交付税千二百十六億の別に予算に提出されておるものであります。これは特別会計をくぐらずに直接一般会計から自治庁長官に移し替えまして、直接奄美群島に係る市町村に交付されるものでございます。これにつきましては、交付税法をそのまま適用いたしましたのでは、測定単位の数値等につきまして、まだ殖える部分がたくさんあるわけでありまして、正確なる算定ができませんので、別途の算定方法を用いまして、地方交付税の本旨に副う範囲におきまして、便宜的な算定方法といたしまして、善後処理費から自治庁長官に移し替える、こういう方式をとることにいたしたものでございますが、これに伴いまして政令を以て特例を設ける必要がありますので、特例を設けます根拠規定を設けたのであります。  第九項以下十三項まではそれぞれ関係法令の地方財政平衡交付金法地方交付税法に変りますことに伴います字句の規定であります。  以上で逐条説明を終ります。
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) 修正案のほう、ちよつと……。
  6. 柴田護

    説明員柴田護君) 便宜私から衆議院で修正されました部分につきまして御説明申上げます。  衆議院におきましては、地方財政平衡交付金法の一部改正法案の第六条の規定の中の百分の二十が百分の二十五、第二項におきましても同じように百分の二十は二十五に修正されました。又附則第三項の読替え規定につきましても、百分の二十を百の二十五に修正されております。衆議院で修正なさいました算定の根拠といたしまして掲げられておりますのは、既定財政規模の是正といたしまして、政府が取上げませんでした部分のものにつきまして二百九十四億円、その内訳は経常物件費の増といたしまして五十三億円、それから市町村民税の第二方式を適用いたしますことによる増加額を引当てとするもの百三十七億円、国庫補助職員給与費の増加額といたしまして五十二億四十万円、それから百分の二十の率の算定に入つていないものとして交付公債の利子分、これは二十八年度から国の直轄工事の分担金を交付公債で以て納付することができる法律ができておりますが、この交付公債の利子の支払条件が本地方財政計画策定の当時におきましてはまだ決定いたしておりません。従いまして、その利子に関します部分は地方財政計画の中には算入されていないのであります。それが最近決定されるようになつてつたのでございます。それの所要額が大体二十八年度分と二十九年度分で十三億円ばかりあります。この十三億円ばかりをこれに加えます。それから揮発油譲与税に振替えられます道路費の増として三十八億円、政府の策定いたしました地方財政計画では十億円をこの分として計上しておりますが、揮発油譲与税の中で七十九億円のうち四十八億円ばかりをこの揮発油譲与税で以て道路の整備強化を行うということになつておりますので、それに伴いまして三十八億円ばかり地方財政計画上不足するわけであります。その額がここに挙げられまして、歳出関係で二百九十四億円、それから歳入に関しますものとして、地方税の衆議院修正によりまして九十二億四十七百万円、それから入場税の税率の修正によりまして率が軽減されましたので、それに伴いまして平年度におきまして六十二億円ばかり税収の減があるわけであります。そこで歳入におきまして百五十四億九千百万円を補填する必要がある、かような判断の下に算定されておるのでありますが、この歳出が殖え歳入が減つて参りますと、いわゆる超過財源に増減を生じて参りますので、歳出に二百九十四億円、歳入百五十四億円を補填することといたしまして、超過財源が九十八億ばかり減つて参るわけであります。従いまして合計三百五十億円ばかり平年度財政計画に百正をするという前提の下に、行政整理終了後におきまする地方財政規模を想定し、歳入につきましては今回の税制改正の平年度化に伴いまする税収入の増減を算定いたしまして、歳出につきましては只今の歳出の是正をする二百九十四億円を加え、歳入につきましては地方税減税並びに入場税引下げに件うところの譲与税の減税を加えまして、歳出歳入規模を算定いたされております。それによりますると、歳出規模は平年度九十七百九十五億九千四百万円、歳入につきましては、その他収入におきまして、警察国庫補助金が平年度化いたしましたために約六億円増加いたして参ります。そこでその結果歳入規模は八十二百五十七億二十六百万円になります。こういう計算が出て参ります。地方交付税見込額として十五百三十八億六千八百万円という計数が出て参るわけであります。今年度所得税法人税酒税収入見込額六十百六十億二千六百万円で以て除しますると、二四・九八%という計数が出て参ります。これを大体二五%に繰上げようということで以て、端数を整理いたしまして二五%とされたのであります。
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは暫時休憩をいたします。    午後零時六分休憩    —————・—————    午後二時十一分開会
  8. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは休憩前に引続事、地方行政委員会を開会いたします。  議題は地方財政平衡交付金法の一部を改正する法律案でございます。午前中は自治庁柴田政課長逐条説明を以て終りました。これから大蔵大臣も見えておりますので、一般的な問題について質疑をお願いいたします。
  9. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵大臣にお伺いをいたしたいのでありますが、この地方交付金法は調整財源という或る一つの使命を持つておるように承わつておるわけでありますが、調整財源という点から考えますと、一つの地方財政の規模と申しますか、或る一つの標準というものが予想されましてそれに対して調整するというふうな、平衡交付金制度と同じような性格が考えられなければならないと思うわけであります。そこで大臣に伺いたいと思いますのは、この交付金制度を活用するに際しまして、一体地方財政の規模というものを大臣はどんなように標準と申しましようか、お考えになつておられますか。この点について第一にお伺いいたしたいと思います。
  10. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 地方財政の規模は実は年々増加しておりまして、国の財政規模から見て、できれば圧縮して頂ければと希つておるわけでありますが、併し現在の地方財政の状況から見まして、この程度の規模なら実情止むを得んものと実は考えておる次第でございます。
  11. 加瀬完

    ○加瀬完君 この前に、大臣の御説明によりますと、地方財政というものは相当まだ圧縮するところの余地がある。例えば議会費なんかはどうもその使用というものがどうも埒を超えておるのではないかというお言葉もあつたわけであります。併しながら又見方を変えてみますると、そんなに一体地方財政は放漫かということになりますと、投資経費というものを見ますと、逐年減つてつております。そうすると自治庁関係とも何度もこの問題は論議が繰返えされたわけでありますが、地方自治の一番の使命であるところの仕事をしようと思うのに、投資経費が減つて消費経費が増大することになると、本来の自治行政ができないという欠陥、地方自治の担当者としては一番この欠陥の是正と言いますか、欠陥の抜本的な対策というものがなくて困つておるというのが現状であります。又政府のお出し下さいました資料によつて検討をいたしますと、昭和九年及び二十九年を押えますと、国と地方の仕事の比率が、国が四百三十二倍になつておりますのに対しまして、地方費は三百三十六倍という数字が出るのでございます。こういう点を見て参りますと、今の程度で適当ではなかろうかという大臣のお言葉も、国の膨脹に対しまして地方の仕事が殖えているにもかかわらず、膨脹率が遥かに下廻つておるということは、まだ地方そのものにやる仕事をやれないという相当の無理があるのではないかというふうにも考えられるのでありますが、この点大臣は如何にお考えでございましようか。
  12. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 当時の事情とは少し違うと思います。当時はいろいろ交際費というようなものがたくさんありましたし、又社会保障関係というものが御承知のごとく当時は全然見なかつたことも、全然というと語弊がありますが、非常に金額の差があつたということもありまして、若干と言いますか、或いはもう少し詳しく……誰か詳しく調べておるかたがありますれば、そのほうから……。私はそういうふうに考えております。
  13. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 単純な計数で比較いたしますと、国のほうの膨脹率が多い結果も出て来るわけでありますが、当時の地方財政と国の財政の構成と今日の地方と国の財政の構成は、これは非常に変つて来ておるわけであります。例えば地方財政について考えますと、当時交際費が非常に多かつた、全体の予算の中で占める割合が相当多かつたわけでありますが、半分近い……、数年ははつきり記憶しておりませんが、そういうようなことも言えるほど多かつたのでありますが、今日におきましては交際費のウエイトはそんなにないはずであります。その交際費を除いて考えますると倍率が非常に殖える。国のほうについて考えましても、社会保障的な経費が非常に殖えておるわけでございまして、そういう予算の構成そのものも考慮に入れて考えますと、必ずしもこの出た数字だけで膨脹率が多い少ないということを議論するわけには行かないのではないかと考えるのであります。
  14. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは社会保障費なんか殖えましたが、軍事費なんかというのはいろいろ問題がありますが、当時の軍事費というものと現今のそれに見合うものと比べましても、非常に殖えているということは考えられないわけであります。併し府県なり、市町村なりというものの事務というものを考えますと、当時から比べて自治体の独立的な性格というものが重加された関係で、非常に仕事が殖えていると思う。いずれにいたしましても、この比率の差というものは、こんなに比率の差があるはずはない。もう少し自治体というものの歳出というものは膨脹してもいいのではないか。国と比較してもう少し膨脹しなければ本当の意味の仕事ができないじやないか。逆に言うならば、圧縮しすぎているのではないか。こういうふうな見方を私どもは持つているのでありますが、数字的に見て、そうでないという何かもつとはつきりした御説明が預けませんか。
  15. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは、先ほど来大臣、主計局長も申上げた通り、大蔵省としましては、地方の自治の尊重ということはかねがね非常に重要視いたしておりまして、特に自治の活動をこういう財政規模を圧縮することによつて何して行くということはやらないつもりであります。併し今お話の倍率だけを見ますと、或いはそういうこともありましようが、二十九年度の一兆予算という場合におきまして、国のほうは相当前年度に対しましても圧縮になりておることは御承知の通りでありますが、地方財政は逆に数百億の増加になつております。国民所得に対する比例等を見ましても、国のほうは去年よりも若干減つておることは御承知の通りでありますが、これに対しまして地方のほうは膨脹いたしておるのであります。私どもの考えとしまして、無論国がいろいろ法律を作りまして、地方団体に義務ずけている仕事が相当殖えていることは御承知の通りでありますが、これらの点につきましても、もつとより地方財政を健全にするためには、不当に余計な仕事をしているということがあつてはならないという心構えを持つております。併し同時に地方側におかれましても、財政的にいわゆる冗費の節約というふうなことは、これは余地が全然ないということはなかろうというふうな考えを以ちまして二十九年度地方財政計画の策定に当りましては、節減を図つておる次第でございます。併しこれは国のほうでは更に御承知のように圧縮を図つておりますと共に、今後予等執行上におきましても、それらの点については一層の節約を図つて行きたい、こういう考え方を持つているのでありまして、決して国が地方の財政規模を圧縮いたしましたり、無理な節約を強いているということはないと考えておるのであります。
  16. 加瀬完

    ○加瀬完君 こういうお伺いをいたしておりますのは、大蔵省の態度が地方行政地方財政に対して非常に冷酷であるとか、或いは国が極端なる地方いじめの政策をとつている、こういうふうな意味を以て申上げているのではないのであります。ただ御面倒を見ていることもわかるのでありますけれども、現在の地方財政の計画というものには相当無理があるというふうに私どもには考えられる。ですから一層この中をゆるめるという考慮というものを払われるのが当然ではないか。そういう立場でありまして、一つの例を申上げますならば、例えばこの前も大分問題になつておるのでありますが、地方財政白書によりますと、地方財政の窮迫という項目、給与関係経費の増加、政府施策による地方負担の増加物価高による行政諸費の増加という問題を掲げておるのであります。物価高による行政諸費の増加というのは、これは単に地方の政策の如何というものによつて生じたものではないわけであります。或いは又政府施策による地方負担の増加というのは、むしろこれは責任という言葉を使えば、みんな責任はむしろ中央にあつて地方自治体が解決のできる問題ではないのであります。又給与関係費の増加というのも地方だけで招いた結果ではないわけであります。こういうふうな形になつて参りますると、もう政府の方針といいますか、経済界の傾向といいますか、そういうものによりまして地方財政が膨張を余儀なくされている面も非常に多いわけであります。それが先ほど申しましたように、投資的経費には段々巾を狭める、虐待をして来るということになつて参るわけでありますのでこれだけの地方財政の問題というものをただ冗費の節約だとか、或いは単独事業を抑えるということだけでは解決のできない問題があるのではないか。例えば只今いろいろ御説明を頂いたのでありますが、四三二対三六六というものだけで推論をすることは非常に危険だというお話でありますが、これは自治庁のほうにも伺つたことで、重ねて大蔵省に伺うことも恐縮な話でありますが、国民所得に対する国税及び地方負担率を比較いたしますと、昭和九年から十一年の平均を押えますと、国税に対する地方税は大体五〇%、国税に対して地方税が占めている。ところが、これは昭和二十九年の新しい税制の改正を見込みましたものとして比率をはじき出しましても、三八%にしか過ぎないのであります。すると昭和九年から十一年という戦前の平年度と申しましようか、そういう平均を取りますと、それが五〇%地方税が国税に対して占めている。ところが今度は非常にこの前も大臣がおつしやいましたように、地方財政の強化の方針で協力をしたのだとおつしやられましても、それは三八%にしか過ぎない。三八%というのは昭和二十何年ですか、三八%の数字が出ておりますし、あと三五、三六というように、大体そんなに変更がないのであります。これだけでは地方財源の強化ということにはならないのじやないか、そういう点考えますと、まあこの点について国税に対する比率というものを一つこれだけで見て推論することは危険でありましようけれども、まだまだもう少し国税地方税とを比べても、地方財源というものに対して大蔵省が考えて順かなければならない面があるのじやないかというふうに思われるのでありますが、この点、大臣如何でございますか。
  17. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 只今国税に対する地方税の割合から比べましても、非常に前よりは低くなつているのじやないか、即ち地方の固有の財源が非常に弱くなつているというふうな御趣旨の御質問でございますが、これはやはり税の構成が非常に変つているという点から御説明を申上げなければならんと思うのでございます。昭和十一年頃のこれは、お示しの通り今の交付税制度というふうなものがなかつたのであります。そういうものを入れて考えますと、今年から、昭和二十九年度に新しく設けました交付税を入れて考えますと、大体六五%くらいになるわけでありまして、そういうふうな新しい制度をやはり入れまして考えなければならんかと思つております。
  18. 加瀬完

    ○加瀬完君 六五%というのはこれは何と何で六五%となるのですか。
  19. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 国税収入見込額に対しまして地方収入見込額交付税収入見込額と合せたものの割合でございます。
  20. 加瀬完

    ○加瀬完君 ですから地方税と交付税それからそのほか何を合せますと六五%に相当する内容になるのですか。
  21. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 二十九年度国税収入見込額が九千二十二億余りになつておりますが、このうちから先ず交付税及び譲与税に参ります千二百九十五億円、これを引きまして七千七百二十七億円ぐらいに先ずこれを縮小いたしまして、逆に地方税の収入額交付税及び譲与税の収入を足しますと、これが五千二十一億円になるわけでございます。その割合が六五%、こういうことになるわけであります。
  22. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういうと、昭和九年から十一年の国税地方税に対する五〇%というもののほかに、国が補助金も何も一切支出しておらなかつたということになるのですか。
  23. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) 主税局から説明いたします。
  24. 加瀬完

    ○加瀬完君 念のために主税局のかたにこういう点をお答え頂きたいのです。それは地方税というものを考えて、昭和九年—十一年頃と現在と比べまして、一体地方財源というものが強化されたのかされておらないのか。こういうものを数字の上ではつきりとお答えを頂ければよろしいのです。
  25. 塩崎潤

    説明員(塩崎潤君) お答え申上げます。昭和二十九年度国税収入見込額は九千二十二億円でありまして、只今正示次長の申されましたように、地方交付税及び譲与税といたしまして千二百九十五億円が地方に参りますので国税収入額は七千七百二十七億円になると思います。地方税のほうは、独立税の収入見込額が三千七百二十六億円、それに地方交付税揮発油譲与税を入れますると五千二十一億円となりまして、国税収入見込額七千六百八十二億五千九百万円に対しましては六五%、今昭和九年をとつてみますと、そのときの国税収入額は十一億一千四百万円、地方収入額は五億九千四百万円でありまして、地方税の国税に対する割合は五〇%程度になつております。従いまして交付税及び譲与税を入れて考えますれば、現在のほうが地方財源の強化になつているのではなかろうかと考えるわけであります。
  26. 加瀬完

    ○加瀬完君 大蔵大臣に伺いますが、交付税や譲与税を入れましての比較が、これが国税地方税の正しい比較ということになりましようか。
  27. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは、税収入についての見方とすればいろいろな見方があるかも知れませんが、地方財源として見るときにはこれは正しいのだと私は存じます。
  28. 加瀬完

    ○加瀬完君 交付税に見合うべきようなものが、そうすると昭和九年—十一年頃には全然なかつたということであればそういうことになりますが、事実はそうじやないでございましよう。昭和九年から十一年だけそういうものを一切外してしまいまして、現在だけそれを入れますと、それは比較にはならないように思われるのですけれども……。
  29. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 昭和九年頃には交付税みたいな制度はございません。配付税制度ができましたのは昭和十五年頃でありまして、その以後を比較する場合には今日においては交付税、当時においては配付税を入れなくちやならないと思うのですが、昭和九年当時はそういう財政調整的な制度はございませんでしたから、只今の比較でよろしいと存じます。なお交付税の代りに附加税をとつておつたわけです。これは税収入の中に入れて只今の数字を申上げておるわけであります。
  30. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大蔵大臣に一つ伺いたいと思いますが、先ほども加瀬委員からの質問にもあつたのでありますが、結局まあ地方財政の計画から見て規模が非常に圧縮されておるのではないか、今の地方団体運営の上から見て我々地方行政委員会としても非常にその点が心配されるのでありますが、それらの問題は結局のところ地方自治というふうなものに対して国家予算をあずかつておるところの大蔵大臣はどういうところの見解を持つておられるか、この点が私は非常に重要なものではないかと思うのです。  そこでまあ日本の一つの地方の財政計画というふうなものの事情を飜つて考えてみるというと、結局明治の頃においては御承知の通り未だ地方自治は完全に育つておらない、極めて不完全な形になつておるために、いわゆる官治行政というような形をとつておつた。その頃においては地方財政の規模というものは極めて小さなものです。そうして国の財政規模は非常に大きくなつておる。それがだんだん地方自治が発達して来た場合において、今度は逆に地方財政のあれが非常に大きくなつておる。先ず昭和の初め頃から中頃に来ましては国の財政規模を一〇〇とするというと、私しつかりした数字は今はつきりしておりませんけれども、地方の財政の規模のほうは一三〇ぐらいになつておつたと思う。それが更に今度は戦時に入つた。そういうふうな場合において逆に国の財政規模が膨脹して、そうして地方の財政規模が圧縮された。昭和十九年のごときは最も甚だしいものであつて地方の財政規模は国の一〇〇に対して二一、こういうふうな段階まで落ちて来た。そういうことから考えてみますと、結局国の方面に重点を置いて地方自治というふうな方面が割合に閑却されて来た場合においては、これは明らかに地方財政が圧縮されて来るということの事実を示しているであろう、こう考えられる。そういうことから考えまして、これからの地方自治を育成して行くという立場から考えてみましたならば、先ず大蔵大臣の考え方としては地方自治をどう見るか、ここに私は非常に大きな問題があるだろうと思う。で、まあ地方自治法の改正案がまだ出ておりませんけれども、或いは吉田首相にせよ、塚田自治庁長官にせよ、地方自治というふうなものに対する考え方がおよそ我々と隔たりのある方向に進んでおるようにも見える。どつちかというと、結局は国家に主体を置いて、そうして地方自治制度というふうなものを圧縮して行くような形が見える。昔の日本の地方自治の幼稚な時代のような官治行政にだんだん帰つて行くのじやないか、こういうふうに私は考えられるのでありますが、この考え方によつて地方財政の見方というものが非常に変つて来ると思う。そこで先ず私の伺いたいのは、大蔵大臣はそれらに対して基本的にどういうふうなお考えを持つておられるのであるか、こういう点をお聞きしたい。
  31. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 私はその国の自治の極めて大切であるということはこれは全く御同感でありますが、但し国と地方との財政規模をどうするかという問題になりますと、そのときの国の置かれておる状況によほどよるのではないか、今お話が出ましたような例えば昭和十九年は非常に極端だと仰せになつたああいう時分というものは、日本の国がどういうところに置かれておるかということを考えますると、これはどうも当時としては、これはあとから考えてみるとそれは止むを得なかつたように私は感ずるほかないのでありまして、従つて国が本当にどうも滅亡か、その手前一歩に来ているようなときには、すべての力が国に集中されておるのは止むを得なかつたのじやないかと思うのでありまして、これは単純に自治を圧縮したというごとく見るべきものではないのじやなかろうか。又その人も決して自治を圧迫するという考え方でやつたのではなかろう。その当時としては国の存亡の岐るるところであろうから、中央のほうに力を尽したということであろうと思うのであります。この自治全体についての考え方として私は申すならば、国と地方とはそのときの状況で、やはり一定の国が要請されておる立場から、国のほうはこう、地方はこうということをよく相談し合つてこれはまとめて行くべきものじやあるまいか。言い換えますると、国家的要請が非常に強いときにはどうしても国に若干重きが置かれ、地方的の要請が非常に強いときには地方的な立場に重きを置かれるということが私は当然なんじやないか。然らば今日のような日本はどうかと言いますると、これは平和憲法の下に我我がおりまするけれども、やはり何と言つても国が相当敗戦後の各種の施設をやらなければならんので、従つてどうしても国のほうの施設が先ず最初に上つて来る。先ほども丁度加瀬さんからお話があつて、どうも一向国のほうは、昔は投資的な経費が多かつたが、この頃は消費経費ばかりが何している、投資的にはやらないというお話があつたが、自然投資的にと言いましても、やはり国のほうが投資する例えば電力とか造船とか、そういう部分が相当に出て来るので、従つて止むを得なかつたのである。これは私が実地に携つているものとしまして、自治を軽んずる気持は持つておりません。これは尊重することは申すまでもありませんけれども、但し財政の配分方については、そのときどきの事情でこれは御相談申上げる、こういうことになる以外にはないのじやないかと、かように私は考えております。
  32. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 いや、大臣のお話はよくわかるのでございますが、結局昭和十九年のような情勢の場合には国の存亡の時であるから、これは国で戦争に持つて行かなければならない。併し現在においてはもはや新憲法ができ、或いは終戦後十年もたつておる時であります。今もお話ありました通り、国の施設のほうを先にしなければならんという部面もあるかも知れないけれども、やはり国の繁栄を考えて行つた場合には私は何と言つたつて地方団体地方の育成が出て来なければならん。ここに重点を置かなければならんという点から考えまして、電源開発でありますとか、国の施設を先にしなければならんということは一応事由があるように思いますけれども、併しそれらの実際面から考えまして、それにしてももう少し私は地方団体の方面に金をかけるところの必要があるのじやないが、こう考えると同時に、今の政府のいわゆる大臣のほうの考え方はどうしてもそれだけではなしに、やはり地方自治ということよりも国を先にする、いわゆる国家統制と言えば又非常に強くなるかも知れないけれども、そういうふうな形に私は進んで行くところの一つの基本的な考え方があるために地方財政が豊かになつて来ないのではないか。こう考えるのでありまして、現在もう終戦後十年もたつている時においては、少くともその地方自治を育てて行く方向に誰が考えても踏み出した、こういうふうな感じを与えるような一つの財政の組み方で行かなければならんのじやないかと思うのでありますが、我々にはどうもそう思われないのでありますが、重ねてこの点大臣の御見解を伺いたいと思います。
  33. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) それは私は先ほども申しましたごとく、成るほど終戦後十年にもなんなんとしておりまするけれども、併しその間あれだけの大きな破壊が行われたあとで、又実は国内では、これは御承知のようにやらなければならんことが実際山ほど国としてもあることは御承知の通りなんであります。そこでまあ地方も、これはどうしてもやらなければならんことがたくさんあることは仰せの通りでありますけれども、そこの配分をどうするかという問題にかかつて来て、幾らかその点についてもつと地方に重きを置くべきであつたという考えと、或いはもう少し地方のほうで節約をしてもらつて、もう少し国のやるべきことをやるべきじやないかという考え方とがあろうかと存じます。まあ私どもは本年のところはこの程度でやつて頂くのが一番穏当だというので決定をいたしたような次第でございまするが、    〔委員長退席、理事堀末治君着席〕  まあ国が今のような非常に困難な事情の下に置かれまして、これは私はここで繰返し申すまでもなく、どうも日本が昭和二十五年、二十六年、二十七年とがそれぞれ三億ドル以上づつの黒字であつた国際収支が、三億一千四百万ドルも二十八年度は赤字になつて来たというようなときには、どうしてもこれに対する基本的な施策が先に来ないと、国のそういう本が立たないうちにやりましても、これは先のものは皆死んでしまうのでありまして、こういう点からどうも施策が少し御不満な点もあろうかと思いますが、全体として御覧下さつたときには、これは今のところは止むを得ん、こういうふうにお考えを願えるだろうと私は実は思つておるのであります。
  34. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そこで今非常に大臣はいろいろ地方自治を育てるというようなことにおいてはもう考えは同じだ、併し財源の国と地方に対するところの配分の上ではこれは相当考えなければならん、こういうふうなお話であるのでありまするが、そこで今までの地方団体の赤字というようなことを考えて見ると、その国と地方との財源調整というものはかかつてこれは地方交付金にある、こういうふうに考えて見ますときに、この赤字の生じて来たところの原因を考えて見ると、必ずしもこれは地方が冗漫なるところの政策をとつておつたとも言えない。そこで今大臣のおつしやるところの配分の上において私は欠陥があるんじやないか、こういうふうに考えられるのであります。いわゆる別な言い力で言いますというと、平衡交付金のいわゆる交付金が非常に地方の実情に比べて見て不足であつたんじやないか。特に国が敗戦に対するところの財源上必要であればあるほど、私は実際に災害を受けているところのものは地方自体にあるのでありますから、その方面の財源ということも非常に重要なものじやないか。又六・三制一つをとつて見ましても、学校施設をとつて見ましてもそう考えられるのでありますが、そういうときに配分が国のほうに偏して、地方のほうには割合にそれ相当のものが行かなかつたと、そこに私は大きな原因があるんじやないかと思うのでありますが、この平衡交付金の交付の実態について、地方団体の実情から大臣は今日どのように考えておられるか、この点を伺いたい。
  35. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) まあ平交衝付金については、これも御承知のようにときどきその交付の仕方についてのいろいろのお話も出、又運動によつて余計もらえるとかもらえんとか言われるようなこともあり、それが東京に事務所ができたことの大きな原因であるというようにも言われたり、それが少くとも弊害がないようにということが交付税に改めた一つの狙いにもなつておるというようなことでございまして、この点についてはまあよかつたところもありましようが、御非難を受けるような点もなかつたとは、言えないと存じております。ただ今度は交付税にしまして、きちんと率が一定して、而もこれが日本の税の主なものである法人税所得税酒税というものか本になりますとはつきりいたしますので、まあ今度の制度は私ども地方財源の面から見ても一歩を進めたものであると、実はかように考えておる次第でございます。
  36. 加瀬完

    ○加瀬完君 先ほどの質問に関連しての問題でありますが、御説明によると、大蔵大臣の考える地方独立財源を与えて地方財政を強化するということは、例えば昭和九—十一年を押えれば、国税地方税の比率は五〇%ぐらいであつたものが、いろいろ国から与えるものを総計すると、それは六五%にも引上つているんだ、こういうふうな御説明であつたわけであります。併しここで考えなければならない問題が二つ私にはどうしてもあると思うんです。一つは、昭和九—十一年というのは、仮にそれが五〇%であつても、それが歳入なり歳出なりの歳出入のバランスというものは一応合つておつたんじやないかということなんです。併しながら仮に六五%というあなたがたの数字をそのまま鵜呑みにしたところで、六五%で一体現在の地方歳出入のバランスは合つているかどうか、こういう問題なんです。合つていないとすれば、仮に六五%に上つたから殖やしたんだということであつても、それは殖やしたということは地方財政強化の方向にお力添えを頂いたことはわかりますが、そのお力添えの頂き方がもう少し一層の御努力を願わなければならないという我々の要望したい点がまだ多分に残つておるというふうなことも考えられるわけであります。で、そういう二つの点を考えまして、どうも私は大蔵省にも、岡のやり方、政府のやり方というものは国庫の歳出入というものは余り大きな変化というものを与えたくない、併しながら地方財政もまあよくないことも事実だ、そこで地方団体間の貧富差というものを何とか相互の間に調整するというような方法をとつて行こうじやないか、併しそれは結論においては国のほうに余り影響力のないようにという、こういう基本線が強力に動いて今度の地方税に対する改正の結論なり、或いは交付税制度というものに対する結果なりというものが生じて来ておるようにどうも窺われるのであります。併しながら独立財源の与え方というものもそれで一体いいかということになりますと、数字ばかり並べまして恐縮でありますが、昭和九—十一年の平均は、国税は国民所得の八・五%に対しまして地方税は四・三%であります。それを二十九年にいたしますと、二十九年が国税が一五・四%、地方税が五・八、国税の殖え方は一八一%でありますのに、地方税は一三五%しか殖えておらない、こうなつて参りますと、地方財政の問題に苦労しておる側といたしましても、もう少し国税側の財源というものを地方に廻してもらつて頂きたいと、こういう希望というものをどうしても持たざるを得ないのであります。で、大蔵省の御意見として私ども承わつておるところによりますると、例えば交付税というものを非常に殖やすということにすれば、それが国家財政の立場を考慮することないやり方で、地方財政だけの立場からこういうような決定をするということは、非常に財政政策の上に将来禍根を残す、我々財政当局としてはこういう無謀なことには責任を持てない、こういうふうな何か大蔵省の御意見もあるように承わつておるわけでありますが、併しながらこの税の配分の関係から見ましても、独立財源の与え方が地方にまだ薄いんじやないかというふうに私ども思われるのでありますが、一体独立財源をもつと与えなければならないというふうに思われないか、いや、そういうことは調整財源として交付税なり、又譲与税なりというものを考えたんだから、それで十分じやないかということであるならば、その調整財源というものはどうしても今までの平衡交付金というものよりも或る程度上廻つた線で調整財源というものが保たれて行かなければ、調整の能力というものは非常に稀薄になる。そうなつて参りますと、今私が大蔵省に、これは政府の見解なのかどうか存じませんが、交付税の税率というものを或る程度上げるということに対して非常に危惧をしているということは、論理的にもつと妥協のできる問題じやないかというふうにも考えられるのでありますが、この点如何ですか。
  37. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 加瀬さんのその点もよくわかるのでありますが、併しまあ私のほうとしますと、これも率直にものを申上げますと、実は今の交付税がここに一挙に五%も上るということになりまして、三百億以上の予算増加を来す。併し日本の国で今三百億というのは非常に大きな問題でありまして、御承知のごとくにこの間も申上げたように、今度一年間の臨時立法でお願いしている補助金等の問題でも僅かに三十数億、又本年の国防予算だ国防予算だと言われている予算でも百七十億しか殖えていない。そこに一挙に三百億増加するということは、これは財政当局としては実は中央地方を通じて、又国の財政計画全般が立たんことには、到底これはやり得る自分の力の範囲を実は超えた金額なのであります。従いまして私どもとしては率直にその旨を申上げておるのでありますが、然らば加瀬さんのおつしやる地方は見殺しにするのかという意味でのお話でありますれば、毛頭そういうことは考えておりません。これははつきり申上げますが、さようなことは私ども考えておらないのでありまして、ただ本年の模様を見まして、それで例えば入場税、事業税、そういういろいろなもので税収関係が出て来たならばそれに基いて、これは尤も三十年度の問題で言われているのですから、三十年度のと言いろいろ考えよう、こういうふうに私ども思つておるのでありまして、例えばその不足額が幾ら出ますかわかりませんが、一応私ども推計しますと八十何億か出るのじやないかと思われます。これはいろいろの推計があるのでありますが、大蔵省の推計ではさように思われます。こういう点については十分私のほうでも考えましよう、このことは考えますという言葉では足りないかも知れません。それに対する措置は講ずる、こういう考え方はいたしておるのであります。併しながら三百億と言われると、これは率直に申上げまして何ともいたし方ない。これは私どもの今の財政計画としては力の及ばざるところであります。それでございますので、地方財源措置についてこれは能う限りのことをいたしますることは、これは国としても当然のことであり、いたさなければなりませんが、大体から申しますれば、二十九年度こういうふうに交付税なり或いは譲与税なりのことをやつておるのでありますから、少しその模様を見て頂いて、その実績に裁いて御相談を三十年度で受けたい、実はかように考えておる次第であります。
  38. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 補足いたしますが、只今国と地方との税収入の伸びの比較の数字をお挙げになりましたですが、これは二十九年度につきまして、交付税を恐らくは国のほうの国税のほうにお入れになつていると思いますが、これは国がとりますけれども地方に分けるわけでありまして、従いまして昭和九、十、十一年と比較いたします場合には、交付税を国のほうから除けまして地方のほうに入れて計算しなければならないかと思うのであります。そういたしますと、国税昭和九年は十一億、十年は十二億、十一年は十三億に対しまして、二十九年は七十六百億でございますから、約六百倍になつております。それから地方のほうは九年が五億九千、十年が六億三千、十一年が六億七十二百、それが五十億になるわけでございますから、約八百億くらいになるわけでございますから、財源の意味ではむしろ地方税のほうが強化されておるということが言えるのではないかと考えるのでございます。但し将来の問題として地方財政の問題を考えます場合に、例えば公共事業その他の補助金、繋ぎ、紐付で出ているわけですが、これを紙付の補助金か或いは自主財源か、そういつたような問題があるわけでありまして、私どももできるだけ自主的な財源にしたほうがいいのじやないかという考え方に立つて仕事をして参つておるわけでありますが、これも一遍には参りません。又いろいろな程度の問題がございまして、結局本年度中といたしましては国と地方財源を総合的に検討、勘案いたしました結果、この程度の姿が現状に一番適しているという見解に達しまして、政府の原案を提出いたしましたような次第なのでございます。
  39. 加瀬完

    ○加瀬完君 今の大蔵当局の御説明は、その御趣旨は私は間違つているとは思わないのであります。併し財源を受ける地方の側から見て、交付税制度というものは新らしくできたものでありますけれども、これは今まで平衡交付金交付金制度というものがあつたわけでございます。交付税がありませんでも、交付税の代りに交付金制度というものによつて十分に調整財源としての働きを我々はもらつてつたのであります。だから交付税というもののほかに又交付金というのがあるなら別ですけれども、これはもう相殺して考えていいのじやないかという私は結論に立つたのであります。  で、大臣のお話について又重ねて伺いたいのでありますが、我々が地方におきまして財政計画を立てる本年度の背景というものを考えるならば、中央では補助金政策というものを大幅に整理して来ておりまして、今のように補助金というものに頼るということができなくなつて来ているのであります。それから地方財政が非常に放漫だ放漫だと政府から言われておりますのですが、何とかここらで建て直しをしなければならない、今若干政府に考慮してもらえれば健全さを取戻すことができるのじやないかという、そういう立場に置かれていると思うのであります。で、こういうふうな立場に置かれている地方財政というものを考えるときに、十二分に一体この立ち直れるだけの或いは補助金政策を切つて政府は一応そこで、地方的支出というものを実質的に収めているんですから、その増加分を何んらかの面で刑しても結局の総計においてはそう過剰支出ということにならないのじやないかというふうな考え方もいたしているのであります。三百億々々々というお話が出るのでありますけれども、私の伺いたいと思いますのは、三百億々々々とおつしやられるのでありますが、これは交付税というものを作つたために、この税率を替えられて三百億というものが出るような御説明に窺われるのでありますが、一体旧法のごとくにいたしまして、平衡交付金の自然増分を見込んで一体出す分というものと、交付税だけで出す分というものを比べましたときに、総計におきまして持出し超過分というのは交付税のほうがどれだけ殖えるのでございますか。
  40. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 御質問の趣旨がよくつかめていないかと存ずるのでございますが、本年度交付税制度に切替えましたのは、これは幾らかでも地方財源の安定を図るという趣旨でございまして、その意味で地方財政の強化に資していると思うのでございますが、初めてこの制度を導入するに際しましては、従来の平衡交付金制度で行つた場合はどのくらいの経費が要るかという計算を無論いたしております。その計算は二十九年度だけではなくて、三十年度以降につきましても一応五カ年間ぐらいの間につきましては、あらゆる財源の要素を能う限り考慮に入れまして、どのくらい調整財源が必要であるかということを計算いたしまして、二割の率をきめているわけでございます。それ以上ちよつとお答えいたしますのには、御質問の趣旨がよくつかめなかつたのでございますが……。
  41. 加瀬完

    ○加瀬完君 私の申上げていることは、三百億ここで余計取られるのは国の財政上破綻を来すとおつしやられるのでありますが、若しこれが交付税制度というものでなくて、今までのように平衡交付金制度というものであつて、二十九年なり或いは三十年度以降の平年度というものを見込まれて、その自然増加分というものを、平衡交付金として殖えて来る自然増加分というものを見込まれ、その両方を比べ合わせますときに、一体幾ら交付税のほうが余計出すということになるのでございましようか。
  42. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 交付税制度の一つの長所は、租税収入の自然の伸びが自動的に反映されるということでございまして、恐らくまあ来年どうなりますか、これは今後の一年有余に亘る経済界の動向をどう考えるかという問題でございますから、なかなか的確には判断がつかないのでございますが、併しまあ生産が殖えて人口も増加して行くということでございますれば、これはまあ或る程度の自然増収も期待されるわけでございます。そうしますと、交付税制度それ自身の中に幾らかの伸びがあるわけでございますが、その伸びに加うるに五%の率の増加による伸びということになるわけでございまして、これは非常に大きな金額になるわけでございまして、これを平衡交付金で考えました場合には、租税収入の自然の伸びというものはこれはもう全然ないわけでございます。白紙で地方財政需要と地方の収入とを比較いたしまして、幾ら調整財源が要るかということを計算するわけでございますから、来年交付税について期待される自然増収もその差額の調整に充当できるということになるわけでございまして、只今の意味から申しますと、交付税制度で且つ五%率を上げたほうが遥かに大きな国庫負担に、負担というのは語弊があるのでございますが、なるのじやないか。
  43. 加瀬完

    ○加瀬完君 平衡交付金制度から言えば、基準財政需要額というものを一応押えられるわけでございますから、需要額が自然増せばこれは平衡交付金も当然自然増を或る程度しなければならないことになると思う。本年度と二十八年度を比べますと、平衡交付金制度であつたとしてもやはりこれは相当自然増の分というものは持越さなければならないと思う。二十九年度だけを仮に押えたとしても、去年の平衡交付金と今年若し平衡交付金になるとして計算した場合には、今年の平衡交付金のほうが去年の平衡交付金よりも遥かに上廻らざるを得ないことになると思う。そういうふうにして支出される忍定額と交付税で出す額とを比べましたときに、交付税のほうが遥かに多い、国の純持分というものが非常に多い、交付金のほうよりもそれだけ地方に余計国が金をやるというのが幾らだというのです。
  44. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 厳密に見て参りますと、地方財政需要そのもの交付税であつても平衡交付金であつてもこれは変らんわけでございます、他の要素によつてきまつて来るわけでございます。で交付税制度の場合には毎年々々新たに地方財政需要を計算しないので、自然の伸びがあればその伸びの範囲内で、又減があればそれだけ圧縮するということで、いわば言葉は悪いのでございますが、固定財源の中で地方財政をやりくつてもらう、そういう考え方になるわけなんでございます。その場合に来年度どうなりますか、需要が殖えるという要素もありましよう。放つておけば交付税の自然増収の中でそれを賄つて頂くということになるわけでございますが、それに今から五%の伸びをみますと、地方財政需要の検討を待たないで三百億余計金が要るということになるわけでございます。これが若し地方財政平衡交付制度でございますれば、これはその年々地方財政需要と地方収入というものを国家財政の需要と勘案いたしまして、その年々きめて行くわけでございますが、そうしますと、その交付税についての自然増収も根つこから白紙の状態でスタートするわけでございますから、当然その自然増収が地方財源に与えられて、交付税の場合に比べますれば、平衡交付金のほうが国庫だけの立場から考えますれば、より負担の軽くなる場合が少くないと存じます。そういう意味で申上げたわけでございます。
  45. 加瀬完

    ○加瀬完君 交付税の二〇%というのが二五%にはね上つた場合には三百億国が余計持ち出しをしなければならない、その点はわかるのです。併しこれが交付金制度がある場合は、必ずしも交付金の場合は二〇%とイコールということにならないと思う。二〇%を遥かにはねるかも知れない。そうすると三百億という金は平衡交付金である場合には実際にはそのうちの平衡交付金との差は二百億になるか、百億になるか或いは平衡交付金で三百億出さなければならないことになるかもわからないと思うのです。そういうふうな立場から考えるならば、受けるほうの地方のほうから考えるならば、三百億三百億と言うけれども、その前に二〇%で果して十分なのか十二分でないのかという検討を先にしてもらわなければ、はね上りの三百億だけを問題にしてもらつて地方財政調整財源としての効用を百パーセントにも発揮してくれるものが交付税であるということにはなりかねる。そこが私は心配だということが一つ。それから今御説明のように固定財源の中でやりくりをしなければならないわけでありますから、どうしても今後の地方財政の計画というものは交付税を含めての枠の中で考えて行かなければならない。従いまして地方財政計画というものは今までの交付金をあてこんだような楽な気持の、フリーな気持の地方独自の立場の考え方というものができなくなつて来るわけです。そういう無理がある。無理があるということは或る程度仕方がないとしても、およそ地方行政が円滑に行けるという幅だけは持つた無理でなければならんわけですが、一体二〇%というもので可能なのか、二五%にはね上げなければ不可能なのかというところに問題がある。なぜ我々が二〇%じや駄目じやないかという含みをもつてこういう質問をするかと言いますと、入場譲与税なんかを考えましても、これは大蔵大臣が甚だ御不満を現わしましたように、政府の初め考えた税率やその他の条件が変つて来ている。或いは先般参議院におきましても地方税の修正があつたのでありますが、平年度になりますと七十七億の減収という計算が出るわけです、こうなつて参りますと、収支というものが初め大蔵省が、或いは政府が考えていたものと甚だ食い違つて来る。そのとき二〇%だけ押えておいて、ほかの地方税の総収入が減つて来ているのに、一体交付税のパーセントを初めの原案通りに押して行つたときに、地方財政の計画のバランスがとれるか、この点政府はどうお考えですか。
  46. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 問題になりますのは、入場税とそれから事業税の関係だと思います。入場税につきましては、衆議院で税率の引下げが行われました結果、或いは当初の予定収入を上げることは困難であると私どもも考えております。果してどのくらいの収入になるか、これは今日的確につかめないわけでございます。そこで安全弁と申しますか、保障的な規定として今年度の入場譲与税の予定額、これは百七十二億八千万円でございましたか、十一カ月分として、四月から施行されるとして百七十二億八千万円でございましたかその額は本年度二十九年度は保障するというような修正も加えられているわけでございます。これが来年度どの程度の収入不足になるか、平年度が百八十何億、三十年度は百七十二億だつたと思いますが、これがどの程度収入が確保できるか、これは将来の予想でございまして、今日的確に想像がつかないのでございますが、これは本年度の実績乃至は施行後の状況を見極めました上で、それによる穴埋めは二十九年度のみでなく三十年以降についても勿論考えなければならん要素であると思います。ただそれが今日からその要素を的確に想定するわけに参りませんので、今後の問題、来年度予算編成までにはあらゆるデータがはつきりいたしますので、その際に考慮いたしたいと考えている所存でございます。    〔理事堀末治君退席、委員長吉席〕  そのほかに事業税の問題、これは政令の定める年度から施行するということになつておりまして、当委員会では三十年度から施行すべしという御決議も相成つたように伺つているのでございますが、これが若し三十年度から実行されました場合に、どの程度に減収になりますか、いろいろな計算ができると思いますが、三、四十億はやはり減収になるのではないだろうか、この入場聴と事業税のこの二つの要素は、来年度予算編成前に何とか手立てをいたしまして、地方財源を補填する措置を講じる必要があることは私どももそのつもりでおるのでございますが、もう少し入場税の税収入の推移を見極めてからにいたしたい、さような考え方をいたしておる次第でございます。
  47. 加瀬完

    ○加瀬完君 仰せの意のあるところはよくわかるのでありますが、何も私は修正に反対をするという意味じやないのでありますが、修正者のお立場もよくわかるのであります。例えば税負担が非常に重いので、或いは税の均衡というものが非常に不均衡になつておる、こういうものの是正軽減というものを考えなければならんという立場で修正をされることは、これは当然なことなのです。併しながらもう一つ大きな今度の地方税或いは地方財源に関係するいろいろの問題についての目的は、地方財源を強化するという大きな線が一つあると思います。いろいろな修正が地方財源の強化というものにプラスしておるかということになりますと、必ずしもプラスしておらない。そうなつて参りますと、地方自治庁の長官なり大蔵大臣なりがたびたび地方財源の補充でありますとか、或いは地方財政の強化でありますとか、こういう言葉で述べられておることは、実質的には政府の施策としては実効を現わして来ないということになる。で、そうなつて参りますると、結局それらの修正にも応じ、而も地方財源も強化するということになりますと、政府が国のほうから出しますところの交付税なり何なりでこれはその均衡を、バランスをとつて行かなければならないということに私はなると思うのであります。そういうふうな大修正というものを政府は応じてしまつておるような形になつてつて、而も交付税の税率というものは少しも変えないということでは、これは地方財源の強化というものには政府は手を何ら打つておらないということにならないか、こういうことを一つ疑問とするのです。で、具体的な例として申上げるならば、例えばたばこ消費税というものを地方団体は頂いたた、併しながら弱小町村で住民税のうち府県民税に移された分と、この頂いたたばこ消費税のプラス・マイナスを計算いたしますというと、相当弱小町村は損をしている。損というのはおかしな言葉でありますけれども、損をしておるという町村は三割ぐらい出ておるというようなことも、町村長会あたりの調査では言われておるのであります。そうなつて参りますと、これに見合うようなものとしては交付税以外にない。交付税の税率を下げてもそういつた結果の出た弱小町村をも十二分に救うというお立場で大蔵省はこれをお考えになつていられるか、こういう点もありますので、くどいようでありますが、お伺いいたします。
  48. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) これは過日も申しましたごとく、私ども財源の強化という点で考えていろいろ御提案を申上げたのですけれども、その後いろいろな修正を得まして、それがたまたまこういう結果を来たしておるので、従つて私どもとしては事業税なり入場税なりの減少額に対しては、これは補填する考え方は持つておるのです。このことは私も最初から申上げておるわけで、然らばそれをどうして補填するかというと、私はこの間たばこ消費税なども考えておりますということを申したのでありますが、これは実はたばこ消費税についても今考えておるのですが、どういうふうになるか、もう少し見極めた上でこの問題を具体的に申上げたい、こう実は思つておる次第です。決して補填をせずに放つておくという考え方は毛頭持つておりません。
  49. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 関連質問……。今の加瀬君の質問に関連して質問したいと思いますが、いわゆる交付税で以て財源調整を、国と地方との場合を調整するというふうな率の問題ですな、これは過般来衆議院で以て五%上げるという修正が出て、大蔵大臣はこれに対して非常に不満だと、そこで果して二〇%で地方財源が在来の交付金のように確保できるかどうか、この問題で私一つ疑問があるのでありますが、大体交付税を二〇%にするというふうなところの根拠は、この地方財政計画から見るというと、地方税の自然増で四百十一億見ておる。それからその他の収入の増を百八十二億見ておる。そういうふうなところから在来の平衡交付金に比べて二十九年度においては交付税交付金は百六十億減らしておる。そこに私は、果してこのように行くか、いわゆる平衡交付金というようなもので財源を確保させるという立場を捨て、この地方税その他の自然増。以てこれをカバーしよう、こういうところに私は非常に危険性があるんじやないか。不安定な部面があるのではないか。こう考えられるので、そういう点から見ましても、これは衆議院で以て二〇%から二五%に上げたというところに十分の私は理由があると思う。一体かくのごとき考え方によつて果して一体地方のこの財源は確保されるものであるか、この点についてお伺いしたい。
  50. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今のお話は、今年度地方財政計画について平衡交付金が前年に比して百六十億円減つておる、それでその代りに地方税の自然増が四百十一億、その他の収入を百八十億も見ておるのはおかしいではないかという意味のお話のようでございましたが、この四百十一億の自然増収というのは、例えば固定資産税につきましては家屋の新築でございますとか、或いは宅地の値上りでございますとかというような当然に殖えて参りますものがございまするし、或いは電気ガス税等につきましても消費増というものも見込まれまするし、又法人税の課税の基礎になつておりますものを基礎にして算定をいたします府県の事業税、そのうちの法人税割、或いは市町村民税の中の法人税割、道府県民税の法人税割というものは、いずれも国の法人税の見込の基礎をそのままとつて来て算定をいたしておるわけであります。又個人の事業税の分、或いは市町村民税の所得割は御承知のごとくこれはいずれも前年所得でございますから、いずれも算定基礎はすでに明確になつておるのであります。そういうようなものを大体仔細に検討いたしまして四百十一億という計算の想定が出ておりますので、この点につきましてはすでに地方税の審議の際に申上げました通りでございます。
  51. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 自治庁が非常にその点は確実性があると言うなら何をか言わんやでありますが、そういうところに私は不安定なところがあると思う。そういうところを固めるためにはこの交付税の率などを上げて、はつきりしたものを盛つておくのが、これが一体地方自治庁として考えて行く立場でないかと思うのでありまするけれども、自治庁としていやその点は自然増収間違いなしというふうな考えを持つことは、私はどうもおかしいと思う。そこで先ほど大蔵大臣からもお話がありましたが、若し不足した場合には補填しないということはないと、それでたばこ税なども考えるというふうなことを言われて、腹の奥にはですね、やはり私はこれでは不足ではないかという不安な気持があるんじやないか、こういうふうに思うんです。確実にそんなことはあり得ないと、これで十分だというところの御答弁がない、この点をお伺いしたい。
  52. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) この点については、私の申上げておるのは、事業税を御修正になつて七万円が十万円に控除のところをお上げになつておる。或いは入場税を御修正になつておる。こうなつておりますので、この不足が大体一応の私どもの見込みとしては両方で七十数億円出て来ます。それと交付公債等の関係も織込みまして、これは最初からこういうふうなことを予想してやつているのですから、これは減じたものだけについて補填の方法をとるというのでありまして、ほかのほうにつきましてはすべて自治庁とお打合せした通りにその税収の確実なことを見ておるわけです。この二つが御承知のように修正になつたものですから、それでそう申上げておるわけであります。
  53. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 丁度よく自治庁長官と大蔵大臣がおいでになるから、この点ははつきりさしておきたいと思うのでありまするが、先般来のいろいろな交付税についての説明を聞いておりますというと、財政収入よりも交付税交付金が多い場合には、当該地方団体で以てこれは何か貯蓄して積立てておくようなお話でありましたが、ところが国の税収とか何とかということに関係しますと、減額された場合に、不足を生じた場合にこれを如何ようにするか。在来の平衡交付金でありましたならば、補正予算で以て平衡交付金を増してこれを処費しておる。今度の場合においては初めから交付税によるものでありますからして、そういう場合にどう一体補填されるのか、その点をはつきりさしておきたいと思います。
  54. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは在来でも足りない場合というのは現実にあつて、いろいろな形で或るものは繰上充用する、或るものは仕事を繰延べるという形で賄つて来ておるから、現実にはそういうことになると思うわけであります。併し私の立場といたしましては、そういうことになるというのは非常に望ましくないことでありまして、とにかく足るようにしたい。それからして多少足りない場合には、その足りない数字というものが、今度の場合には初めから幾ら来るということがわかつておるのだから、それに合せて地方財政計画、予算計画を立てて赤字というものが出ないように処置をしてもらいたいということを希望するわけでありますが、どうしてもいかんときにはそういうことになると思う。そういう工合になつた場合に、御指摘のように成る年によつては余計あるということもあり得ると思いますので、そういう場合には積立をしておくなり、若しくは過去の旧債の返済にして財政力そのものとしてゆとりをつけておくという方法を講じるようになつておりますから、そういうふうにゆとりをつけた部分で以てその足りない部分を補つて行くと、こういう考え方になつておりますし、更にそういう足りない状態が長く続くということになれば、この交付税法にありますように、財政制度地方制度自体若しくは交付税の率、そういう点をどちらかを直してそれに合せて行くと、こういう構想であるわけであります。
  55. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私聞き落したのかも知れませんけれども、将来の場合には率を変更するということは、二十九年度なら九年度という年度内において非常に不足を生じたという場合にはどういう措置をとられるか。
  56. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 九年度内ということは、例えば必ずしも九年度にかかわらず、或る計画を立てておつたが、その年度に突発的な需要が生じて不足を生じたというような場合を御想定になつておるのかどうか……。
  57. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうです。
  58. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) そういう場合には、今度の方法では措置は一応ないと、こういうことになつておるわけであります。
  59. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうすると、措置がないということになれば、これは大問題でないかと思うんだが、地方財政に大きな穴があく。何らかこの場合において丁度両大臣がおいでになるんであるからして、こういう措置があるということをはつきりして頂きたい。これは私は地方団体にとつては重大な問題だと思う。
  60. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 大蔵省の立場から申しますると、これは予算でございますから、その予算が実行できんときはどうするかということを、これをちよつとそれまで考えていろいろやるということは、翌年度予算で又考えることはでき得ますけれども、二十九年度予算を編成するときにはこれで実行ができるということを期してやつておる次第でございますから、それを足らなかつた場合はどうするかとおつしやつては、これは三十年度予算で考えるとしか申されません。
  61. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 三十年度予算で以て考えられるというのは、三十年度の分はそうい点がないように考慮しているというこになりますか。二十九年度予算を三十年度予算において補填するということになりますか。
  62. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 何によつて不足が起るかという問題もからんで来るわけでございまするが、経常的な財政収支の関係では、これは今までお話がございました通り、一応地方財政計画を策定しているわけでございまして、極力その範囲内で納まるように各地方団体でも御努力を願いたいと思うのでございます。但しこれは国、地方、いずれにもあることですが、例えば異常なる災害があつたとか何とかいうような場合、これは又そのときの事情にもよるわけでございまして、今からその措置を予定してかかるわけには参らないわけでございます。経常的な収支、地方財政計画に見られる限り見ております事業なり収支なりつきましては、極力その財政計画のラインで地方財政が実行されることを期待しておる、さような意味でございます。
  63. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、私は平衡交付金制度に対して、あなたがたは非常に交付税制度というものは非常によくできているものだと、この間も自画自讃をやつておるようでありますけれども、これは非常に融通のきかない欠陥を持つているものだというふうに考えられる。その点如何ですか。
  64. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これはまさに御指摘の点においては欠陥があるわけでありますが、併し一方に欠陥があると同時に一方には長所があるので、長短相殺してこのほうが遙かにいいだろうという考え方が今度の修正案なんであります。御意見のような非常に大きな突発的な災害というものが起つた場合は、地方ばかりでなしに国でもやはり同じことでありまして、補正予算を組むなり何なりしなければならんのでありますから、これは又そのときに考えるという構想で行かなければとても財政計画というものは考えられないのでありまして、ただ普通の程度の災害というような場合は、やはりそういうものを頭に置いて大体交付税、そういうものを考えてあるわけ、ありますから、当座の予算は起債か何かで以て一時賄つて行くなりして、そうして長い間にそれを元利返済して行くという考え方で爾後の恒常の財政計画の上に乗せて行くという考え方になると思います。
  65. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 長短相補う点については、私は短のほうが非常に大きいと思うのです、実際問題としては。机の上での構想では長短相補うごとく考えられるが、実際問題としては、これは金がないという場合に大きな問題になつて来るだろうと思う。  それからもう一つついでに伺つておきたいのは、これは一体今度は平衡交付金制度をやめて交付税にするというと独立財源を与えることになるのでございます、こういうことを非常に言われるのですけれども、どうも私はその点が納得行かない。交付税にするというとなぜ独立財源を与えることになるか。平衡交付金制度にしたところでやはり酒税の一部とか、或いは所得税の一部とか、法人税の一部が平衡交付金千何百億として渡つて行くのではないか。これが一体どうして独立財源になるのか、これは長所だというふうに言われておるのでありますが、私にはどうも納得行かない。納得の行くように説明してもらいたいと思います。
  66. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) 理論的な仕組といたしましては、私がいつも申上げますように、平衡交付金制度は、これは確かに、長所だと思うのであります。ただ現実にこれを運用してみて、なかなかそううまく行つておらない。平衡交付金で行きます場合には、基準財政需要額基準財政収入額との差額をいつも計算して、その差額をここで以て補つて行くという仕組になつておつたにかかわらず、なかなかそういううまい線が出て来ないで、いつでも中央がこれでいいだろうという線が自治体側では不足だということで合致しない。絶えず争いが起きて、その結果が地方財政、殊に地方財政を担当される者の考え方が、いつでも原因は地方財政の赤字というものが財政平衡交付金不足にあるというふうに尻を中央に持つて来る。勿論中央に原因があつた部分もあるのであります。それと同町に当然自治団体において考えて頂かなければならん点もある。責任をいつも尻を持つて来るという形において理想通りにこの平衡交付金制度というものが運営が過去数年間の実績に徴してうまく行かなかつた。そこでやはりこれはきめてしまう。成るほど平衡交付金にいたしましても、交付税にいたしましても、出て来る元は国税として取上げられた法人税であり、所得税である。その一部分であることは間違いありません。交付税の場合はそのうちのきまつた率というものは当然来るということであります。平衡交付金の場合は財政計画を策定して、その差額をやる、こういうことになつておりますから、きまつておらないわけであります。交付税の場合は一応その年の財政計画はどうであろうとも、とにかく国税一定の部分というものは来るということになるのでありますから、ここのところにもう交付金制度とは遙かに違つた独立税、地方の立場から言えばもう自分のもらう部分というものはさまつておるという、やはり独立性が相当強くなつておるという考え方であります。
  67. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 同町にそれが又当てがい扶持ということになるわけですね。
  68. 加瀬完

    ○加瀬完君 補填しておるということはもう少くともこの三条にありますように今回の改正で「補てんすることができるように配分しなけれならない。」これを補てんすることを目途として交付しなければならない。」と改めてあるところからして、この補填されない場合ということも当然補填ということには考えられるわけでありますからして、補填されない場合のないような考慮というものが前提として働いて参らなければこの交付税というものは交付金よりも遥かに劣つた制度ということに、その欠陥を露呈するということになると思うのです。そうするとどうしても補填されないような場合のないように一応或る程度地方財政のやりくりがこれでつくようにという前提に立つておるかないかということが、この二〇%か二五%かという結論を出す一つのまあ尺度になると思うのです。それで大蔵大臣にその点で先ほどからも伺つておるのでありますが、結局初めの計画というものは非常に幅広く変更されてしまつて、原案からすれば遥かに歳入欠陥を生じて来ておると、それもたばこ消費税で何んとかこの補填も考えて行くんだとおつしやられますけれども、たばこ消費税についての修正意見というものはまだ政府のほうからは正式には打ち出されておらない。そうすると二十九年度というものを押えたときに、二十九年度では一体補填することを目途として交付しなければならない。この補填することを目途とされておるかされておらないかということになりますと、大蔵省の初めの考えからすれば、この目途とは甚だ外れているということにならないか。それでも一体二〇%というものを二十九年度だけ押えて見ても、どうしても押して行つて初めの計画通りに行くということになるか。それから先ほど申しましたように、中央から支出されますこの補助金というものをこういうふうに大幅に減らしているのです。或いは地方財政というものの建直しを政府がして行こうと若しするとすれば、この二〇%というものにはいずれにしても相当の無理というものがあるのじやないかというように私ども考えられるのでありますが、初めの財政計画、特に収入計画が変更になつておりますのに、二〇%を押えて行つて補填をすると言つても、現実に補填されるところの地方そのものの修正は何ら行われていないということになるが、一体この交付税の性格というものは甚だ当てがい扶持な性格になるのじやないかと思いますけれども、その心配に対しまして大臣お話して頂きたいと思います。
  69. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) その二十九年度の分につきましては、御承知の通り入湯税だけの分でございます。その入場税だけについてはああいうふうに幾ら幾らに何をするということを保障いたしておりますからこれは問題ないと思います。それからあと事業税等が三十年度になると、さつきおつしやつたように控除金額が変つて参りますのと、又入場税についても率の関係上これが減収になりますのとで、これは一応七十数億と考えられておる。そういうものについては三十年度では勿論補填をすると、こういう考え方なんです。
  70. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) その補填いたします場合に交付税の率を憂えるのか、或いは他の税源を強化するような措置で行うのかという問題が別にあるわけでございます。私どもは事業税なり入場税なりが減つた補いは、交付税は勿論これは独立税でございますが、或いはもう少し自主性の強いものを充てたほうがいいのじやないかというような考慮もあるわけでございまして、必ず交付税を上げるということにもならんのではないかと考える次第でございます。  なお、この機会に先ほど税収入の関係で一応お答え申上げたのでありますが、もう一言補足的に申上げますことをお許し願いたいと思いますが、本年度の国家財政は九千九百九十五億でございまするが、その中には交付税、譲与税等の地方財源を国から支出いたしておりますものが千二百九十億余りございまして、結局国プロパーの財政規模として八千七百億になるわけでございます。それで昭和九、十年の財政規模と比較いたしますと、国が地方のために支出いたしますものを除いた財政規模で比較するのが正しいかと存じますので、そういたしますと、八千七百億に対して地方の財政規模が九千六再五十三億、約一二%になる。昭和八、九、十、十一年をとつてみますと、昭和八年が一一五%、九年が一〇二%、十年が九八%、十一年が一二〇%というようなことでございまして、そう地方財政の規模が不当に圧縮されておるというふうにも考えないのでございます。その点をちよつと補足的に申上げておきます。
  71. 加瀬完

    ○加瀬完君 そのあとの御説明に対して私は異論がありまして、その当時の地方行政のこの行政範囲というものと、今国の大巾の委任事務を背負わされた地方財政の中とは丸つきり違つておりまして、それだけで検討をして行くのは、私はやつぱり一つの見方ではありますが、総括的な立場の見方ということにはならないと思うのです。それで私の先ほどから伺つておりますのは、結局一つの固定した形で独立的な目的を与えてはおりますが、その固定された中だけしか今度は地方財政のやりくりがつかないということになりますけれども、今まで割合に独自に計画された交付金の場合とは窮屈さを増して来る。で仮に非常に歳入欠陥というものを生じた場合にも今のようなあとでの御心配というものは平衡交付金よりもして頂けないということになると思うのです。従いまして、初めから或る程度平衡交付金のようなわけには行かないならば、平衡交付金調整制度というものを活かしたような率で交付税というものは編まれておらなければ、交付税のよい働きの場面というものは生じて来ないのじやないか。それが二〇%で果していいかという問題を大蔵省として考えて頂きたいと思うのであります。それはさつきも一つの例に申上げましたが、たばこ消費税を、頂きましても、弱小町村におきましては結局取られて行く分のほうが非常に多いというようなことで、交付税に頼つておるものが多い。交付税そのものも二〇%ということでは、弱小町村のカバーができないという心配がある。こういう点の心配がないまで一体二〇%というものはこの点働き得るだろうか。交付税調整機能というものを発掘することができるであろうか、そういう心配があるのです。この点は如何ですか。
  72. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 交付税の二割の税率をきめるに当りましては、これは自治庁とも慎重に相談いたしまして、意見の一致を見たところできめたわけでございますが、その際実はいろいろな点を考えに入れております。例えば既定財政規模の問題でございますが、地方財政制度調査会等でも既定財政規模をもう少し殖やすべしという御意見もございましたので、今回の地方財政計画に際しましては百五十億ぐらいその規模を殖やすことに努力をいたしております。更に又多少のゆとりを以てきめるべきじやないかという御意見のように拝聴いたしましたのでございますが、これは国と地方の両方の財政を国民負担の現状から併せ考えて処理しなければならん問題でございますが、私ども目下の財政事情から考えますれば、国民負担がもう限度に達しておるのではないかと考えるのでありまして、遺憾ながら計画的にそういうゆとりを持たせることはできなかつたわけでございます。国も勿論でございますが、地方も決して楽な経理をしていらつしやるとは私ども考えません。財源さえ許せばというような面もあるかと存ずるのでありますが、今日の国民負担の現状から考えますれば、遺憾ながらそれができなかつたわけでございまして、まあいわばきちきちにやるわけであります。但し私は実行上におきましては、本年度所得税法人税酒税等の収入に若干の増収が、場合によつては期待ができるかとも存ずる次第でございまして、そういう事実上のゆとりは皆無ではございません。只今おつしやいましたような点も考えました末、計画的にゆとりを持たせるというほどの余裕のある国民負担の現状でなかつたことを繰返し申上げまして、お答えに代えたいと存ずる次第でございます。
  73. 加瀬完

    ○加瀬完君 今地方交付税、第二条の地方交付税というところに地方団体がひとしくその行うべき事務を遂行することができるように国が交付する税を交付税と言うのだという規定があるんでありますが、先ほど申しましたたばこ消費税をもらいましても、府県税に肩替りをされて参ります住民税の減少のために、弱小町村は税収入が非常に減つて来るということが言われておるのでありますが、こういう場合の弱小町村の税収入というものを十二分に交付税というものはカバーし得るかと一昔いますならば、補填することを目途として交付するということでありますからこれだけだと、お前らはこれだけでやれということになつて参りますると、結局今度の税制の改正で弱小町村は取られた分だけで与えられたものは何にもないということになれば、弱小町村にとりましては一つも財政の強化にも税源の補充にもならないという逆効果が出ると、こういうふうな問題に対して十二分にそうじやないのだと、補充をしているのだと、財源の拡充をしているのだという交付税は性能を発揮するようになつておるか、具体的に弱小町村のそういう場合に対してどうだ、平衡交付金ならこれはできた、交付税ではどうだ、その問題についてお答え頂きたいと思います。
  74. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今の問題は交付税配分の問題でございますが、御指摘のようにたばこ消費税とそれのまあ見返りと言いますか、それが行つたために府県のほうに調整の意味で府県民税を持つて来た、そのために減つて来たその市町村民税との差額が結局マイナスになるというような市町村、これはこの前地方税法のときいろいろ御説明申上げましたように、私どもはそう多くの町村にはないと思いますが、先ほど三割ぐらいそういうものがあるという数字も別にあるというお話でありましたが、そういうものに対しては交付税は必ず行くことになるわけでございますが、先ほどいろいろその点につきましてはお話もございましたように大災害とか、よほど突発の異変事があつて地方に非常に大きな財政需要がかぶつて来たというような場合は別でありますけれども、今予想されておりますような状態で推移して参りましたならば、本年度におきましても私は地方交付税を以て足らない部分はカバーできると考えておるのであります。これは勿論政府の当初の財政計画の状態において各種の制度を立案をしたのでございますから、政府の財政計画としてはそういうバランスはすべてとれておつたわけでございます。
  75. 加瀬完

    ○加瀬完君 私の聞きたいのは、初めの政府の財政計画の通りに行くならば、二〇%というのもあなたがたが計算したのでありましようからそれは可能でありましよう。当初の財政計画というのが或る程度修正変更されてしまつた現在において、結局そのしわが弱小町村というものに行くようになつては困ると思いますので、現状において二〇%という率の交付税によりましても可能かと、自治庁の長官でも結構であります。
  76. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは二十九年度の部分は、当初の計画では只今鈴木次長からも申上げましたように、一応そういう心配はないという線でもつて大蔵省との間の最終決定ができておつたわけであります。その後国会側におきまして御修正になつた部分で二十九年度から影響が出て来る部分は、これは調整をいたしませんと恐らく欠陥が生じて来ると思うのでありますが、只今加瀬委員の御指摘になつているような市町村、殊に貧弱な町村というものを頭に置いて考えますと、貧弱町村が今度国会での修正におきまして余計に減収になるという部分は恐らくないように思います。従つて当初の財政計画、つまり当初政府の考えました税法の改正その他で以て考えますと、この際、先般税務部長がお答えいたしましたように、町村民税を取られた部分よりもたばこで還つて来る部分のほうがむしろ貧弱町村に対してはプラスになる。そういうまあ一応の計算になつておりますので、御指摘のような心配はないのではないか、こういうふうに考えます。
  77. 加瀬完

    ○加瀬完君 くどいようでありますが、トータルとしてはそうなりますけれども、個々を見るときには、三割くらいはどうしてもへこみが出るというような別の統計もあるのであります。そういう点でありますので、これはお答え頂かなくてもいいですが、絶対にそういうことのないように責任を持つて頂ければよろしい……。
  78. 小林武治

    ○小林武治君 関連して……。ちよつと念のために伺つておきたいが、交付税の率が百分の二十から二十五になつた、あの際に恐らく地方の今年の税の減収による財政計画というものが出されたに違いないと思うが、その村政計画は大蔵省と自治庁でお話合いの上で出たものかどうか、それを伺つておきたいといます。
  79. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) その特別に財政計画を出してはおりません。
  80. 小林武治

    ○小林武治君 そうすると、それは衆議院が一定の財政計画の基礎に従つて直したと、こういうふうには政府では見ておらないのですか、というふうにとつてよろしいのでございますか。
  81. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 衆議院のほうではあのような地方税法の改正或いは入場税法の改正の結果、どれだけ減収になるかということを政府が提案をいたしました地方財政計画に対して睨み合せまして、そしてあのような数字を出したというふうに聞いております。
  82. 小林武治

    ○小林武治君 そうすると、その数字には自治庁は関与しなかつた、こういうことになりますか。
  83. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これはいろいろな算定基礎につきましては、恐らく地方制度調査会の答申の基礎がございましたので、地方制度調査会の答申に入つております部分は、そういうようなものを基礎にして算定をせられたのであろうと思います。その他の例えば揮発油の関係とか、そういうようなものは委員会における委員との質疑の際におきまして、それぞれ事態が明らかになつておりますので、そういうようなものを承認されたものと思います。
  84. 小林武治

    ○小林武治君 そうすると、その後地方自治庁におきましては財政計画を見直すと申しますか、作り直して、果してあの数字が妥当なものであるかどうかというようなことを検討されたことがあるかどうか。
  85. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 自治庁といたしましては、やはりあのような修正が行われますれば、当然にこれは歳入に財政計画の上でいわゆる穴があきますので、そういうような穴につきましては何らかの方法でこれを調整をするほかはないということを考えているのであります。
  86. 小林武治

    ○小林武治君 そうすると、その数字はまだ我々が拝見することができないそういうまだ状態でございますか。
  87. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) この点は自治庁自体の一応の数字は用意いたしております。なお併し大蔵省との間に若干調整を要するものがあろうかと考えておりますが、自治庁としては一応の数字を持つております。
  88. 小林武治

    ○小林武治君 大蔵省は今の点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  89. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 大蔵省といたしましては、政府原案に対しまして加えられました修正のうち入場税、これは二十九年度は措置済みでございますが、恐らく三十年度にも若干の減収が起ると存じます。それが何ほどに達するか、なかなか的確に積算ができないのでございますが、この分は何らかの形で来年補填をする必要がある。  それから事業税でございますが、政令の定める年度から免税点を十万円にするということでございまして、当委員会では三十年度からというふうに議決に相成りましたのでございますが、仮にこれを三十年度から実行いたしますといたしますと、その関係の減収は三、四十億であつたかと存ずるのでございまするが、これはやはり補填する必要があると存ずるのであります。  そのほかに遊興飲食税等の問題もございましたが、遊興飲食税につきましては、徴収の現状等から考えまして、これは地方税自体の中で何とかカバーして頂けるのではあるまいかと考えます。  なお先ほど大臣からもお話がございましたが、公共事業の地方負担分についてのいわゆる交付公債の元利償還金、これは今まで地方財政計画の中に見ておりませんでしたので、この分は十三億ぐらいと思いますが、やはり何らかの補填措置を講ずる必要があるのではないかと、それらの点につきましては、入場税の実施状況等の推移を見極めまして、できるだけ早い機会にたばこ消費税等の形で地方財源の補填措置を講ずる必要があると、かように存じておる次第でございます。
  90. 小林武治

    ○小林武治君 もう交付税法の始末も迫つておるのでありまするが、我々がこの衆議院の修正案等を検討するにあたつて、資料として自治庁と大蔵省で以て何かの財政計画の見当がつけられれば非常に参考になるのでありまするが、それはできませんでしようか。
  91. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) これはいつでも私どものほうとしては提出いたしたいと思います。
  92. 小林武治

    ○小林武治君 今のは成るべくなら大蔵省との或る程度の話合いのついたものでなければそう権威のあるものとも思えない。こういうふうに思いますが。
  93. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 大蔵省といたしましても、先ほどのような意見を持つておりますが自治庁当局と十分御相談をいたしたいと思つております。
  94. 小林武治

    ○小林武治君 なおその点についても私どもは、私は予算委員会でも申上げたのでありますが、とにかく大蔵省の評判が悪いということを又改めて申上げますが、とにかく或る程度自治庁と一つ話合いの行く上で双方そう頑張ることのないようにして、一つ話合いがつけば又我々としても仕合せだと思いますが、その点よろしく願つておきます。  なお入場譲与税の問題は今日は問題になつておりませんが、大蔵大臣が又明後日おいでになるかどうかわからないので、折解の機会だから伺つておきたいのでございますが、よろしゆうございますか。明後日おいでになりますか。
  95. 内村清次

    委員長内村清次君) 明後日大臣いらつしやいますね……。来てもらいますよ。
  96. 小林武治

    ○小林武治君 じや結構でございます。
  97. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はただ一言お聞きいたしたいのですが、まあ今回の平衡交付金交付税に改めたということについては、非常に地方の財政について一つの自主性と言いますか、或いは目安というものを与えたという大きな意味を持つと思うのであります。且つ従来これと同じ性質の地方配付税の場合に一しばしばどちらかというならば地方の実情というよりも中央の財政事情で年々変えて来た。最初多分あれは三三%であつたと思いますが、ひどいときには一六%ぐらいに減ぜられたとこういうので、非常に何と申しますか、折角目安を与えていながらそのときの中央の財政事情でしよつちゆう変えられるということでは意味がないと思うのですがね。そういう意味合いで一体今度の交付税の二〇%なり、或いは修正では二五ということになつておりますがこの率というものは相当地方財政のめどと申しますか、或いは地方財政の一種のまあ均衡的な措置としてその率を考えられたのでしようか、或いは従来のようにそのときその場によつて一体均衡を得られる性質のものかどうか。それらについて一つ大蔵大臣に伺いたいと思います。
  98. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) この交付税の問題は、私どもといたしましてはこれを定めるときに得来濫りに変えべきでない、かように強い信念を持つてこれはやつておるのでございます。お話のごとく非常に長所のある、短所もあることは御指摘もありましたが、長所もあることでございますので、これは濫りに変うべきではない、少くとも非常などなたがお考えになつても変えなければならんという事情が発生せざる限り、断じて変えないということを申上げておきます。
  99. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) ちよつと補足さして頂きたいと思いますが、今高橋委員の御質問になりました曾つてありました配付税の率がしばしば変えられた、多少私その間の事情を知つておりますので御説明申上げたほうがいいと思いますが、当時十五年の税制改正のときに配付税の率を一遍きめたのであります。その後太平洋戦争に入りまして、戦争軍事費の財源調達のために、何回か実は所得税とか法人税とか、そういうものの増税が行われたのであります。その場合の増税の目的は専ら軍事費調達にあつたわけであります。その場合に若し率をそのままにしておきますと、当初のきめられました一割でしたか、二割でしたか、その率がそのまま地方のほうに行くこういうことは増税の本来の目的とちよつと違うのではないか、実はそういうような考え方がございましたものでございますので、増税前の場合に比べまして、率を変えた場合に大体幾らくらい地方に行くか、これを出しまして、それを増税後の収入に当てまして率を変えて来た、考え方がそういうところにあるわけでありまして、実は専らそうした軍事費の調達のための増税といつた特殊の事態の場合に行われたのでございまして、今後におきましてはそういうことはちよつと考えられませんものでございますから、只今大臣もおつしやつておりますような、この率を濫りに変えるということは必要もありませんでしようし、又変うべきものでないと考えております。
  100. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 実は大蔵大臣の御言明で我々納得したのですが、主税局長からどうも税を変えたのは戦時中だけだというお話を承わると、どうも黙つておられないのでこれは終戦後も中央の実情で、これは大臣が池田蔵相であつたのですが、あのときに実に地方財政としては苦杯を嘗めさせられたので、どうも上げるときには渋るけれども、下げるときには切捨御免で下げられるということでは、折角この制度を作られても、そのめやすというものについてぐらぐらする。又折角の自主性ということに欠くるところがあると思いますから、この点は十分一つ今大蔵大臣の言明のようにお守りを頂きたいと思います。  それから第二の点は、とかくこの中央の財政を編成する場合において、例えば今年度の一兆円の予算編成についてこれは予算委員会でも大蔵大臣に申上げたのでありますが、どうもしわ寄せが地方財政にかかつて来る。例えば補助金の整理にいたしましても、或いは又補助率の引下げにいたしましても、それは下げるほうは一応の形としてはいいのでありますが、それなら実際の地方財政では引下げられた、或いは又補助金が切捨てられた形において、そのまま地方財政において、地方政策において、それが実施できるかというと、そうじやないので、やはり同じように現在の物価なり或いはベース・アツプなりを基準として現実に金を出さなければならんという形になつて参るのでありますが、そういうようなこと、しわ寄せと申しますか、地方財政に対するしわ寄せ、そういう意味からいうと、今回の補助金の整理についても非常に徹底を欠くような気がするのですが、その辺の事情を大蔵大臣からお伺いいたしたい。
  101. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) 実は補助金の問題は非常に各方面より、又衆参両院のかたがたより補助金を整理すべしという強い要望を実は受けたのであります。それで法案等を変えまするものは二十三件かございましたが、そのほかにも約三十価ばかりの補助金の整理をいたしましたが、これは皆様の強い御要望において実はやつた次第でございます。併し今高橋委員が仰せになつたようないろいろな中央のしわを地方に寄せるという考えを持つてつておると、全然そういう考え方はいたしておりません。ただこの補助金のうち如何にも先に行くと零細なもので、こんな補助金はもらわんほうがいいということをたびたび仰せになりましたし、又その補助金があるために地方が非常に費用が殖えて困ると、こういうようなことを、これは私は税制調査会でも或る地方長官をされておつたかたが、自分の実感として幾つかのこういう補助金は切つてくれということを私どもに書いて出されたものがあるのです。そういつたこと等からいろいろ御相談申上げましてああいうふうなことをしておるのでございまするが、併し濫りにこれも決して補助金を切ると、こういう考え方でおる次第ではありません。いわんやしわ寄せをする考えは持つておりませんから、この点は一つ御了承願いたいと存じます。
  102. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はもう一点今度の交付税に関連してお聞きしておきたいと思うのですが、今までの平衡交付金ならば、或る意味から言えば、地方では足りないだけ或る意味において付けを地方で持つて来るといいというような形になつておりましたが、今度はここういうような率できめられて、自主財源ということになりますが、実情を見ますと、最近のように行政費がどんどん削られて行きまして、非常に各官庁の寄付金が多い。私は先年山形県の或る町村で調べたのでありますが、特に多いのは検察庁であるとか或いは裁判所であるとか、或いはその他の官署でどうも建築費なりその他の庁費が削られた、それが町村負担のような形に行きまして、山形県のその当時のあれで一町村当り大体五十万円か百万円くらいの寄付金をされておる。こういうような実情であります。これは結局中央のしわが地方財政に来ておる一つの例でありますが、同時にその町村が苦しければ町村民のほうに又その負担がかかつて行くと、こういうようになつておるのですが、これらの問題について、むしろこれは自治庁長官なり或いは行政管理庁長官としてのこれらの問題に関する御措置をお伺いいたしたいと思います。
  103. 鈴木俊一

    政府委員(鈴木俊一君) 只今高橋委員のお話は、地方の例えば裁判所或いは検察庁等の国費を以て負担すべき建築理事について町村に負担をかける、まあ一つの寄付金を求めるというような例があるというお話でございますが、これは遺憾ながら私どももそういうような事実を耳にしておるのであります。そういうことで先年、先年と申しますか、この前のたしか国会でありましたか、地方財政法を改正して頂きまして、さような強制的な割当寄付というものは一切いかん、直接剛接地方団体に対してさような寄付を求めることはいかんという趣旨の精神的な一つの訓示的な規定は入つたのでありますが、併しこれはやはり従来から慣例として或る程度そういうようなことが米だに行われている所がありはしないかと私ども非常に遺憾に思つておるのでありますけれども、併しこのようなことは、只今申しました地方財政法の各種の規定から考えましても、当然あるべからざるところでありますので、地方団体に対しては、私どもはそういうようなおよそ国が負担をいたすべき経費を地方負担をするということはよろしくないから、又法律趣旨にも違うから負担すべきでないということを申しておるのでありますけれども、半面併し又自分の所に検察庁の庁舎でも作つてもらいたいとか、或いは国の出先機関を作つてもらいたいというようなところから、若干そういうような呼び水みたいな気持でそういうようなことをやるという所も全くないというわけに行かんのであります。そういうことは甚だ好ましくないので、私どもと託しては努めてそういうことのないように指導いたしておるわけでおります。
  104. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私最後に一点大蔵大臣に、これは質問というより御要望を申上げたいと思うのですが、只今申上げた通り地方財政というものは、中央のそういうような補助金の整理、或いは行政整理、或いは寄付金の問題というようなことに一例がございますが、要するに地方財政というものは非常に或る意味から言えば見通しがきかない。それだけに、地方財政というものは現実に住民に接しておるために、そう理論通りに行かんという点が非常に多いのであります。ところが従来の平衡交付金の折衝につきましても、どうも先ほど小林委員が行われた通り、大蔵省のやり方はどうも或る意味から言えばバナナの叩き売りで、搾れるだけ搾つて、叩くだけ叩けばこのままでいいというような、どうもべース・アツプのときの問題についても、平衡交付金の折衝のときにもそういう点があるのでありまして、どうぞそれは今の地方財政の持つ現実の実態ということを十分御認識下さいまして、地方財政に対する財政措置というものに遺憾の片ないように願いたい、こういう点を附加えまして私の質問を終ります。
  105. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) よく承わつておきます。
  106. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 高橋委員から御質問のありましたことに多少関係があるのですが、本年度の百分の一九・六六に所得税法人税をしたその理由はどういうわけですか。この半端を作つたのは……。
  107. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 本年度の数字に半端をつけたという理由の御指摘でございますが、本年度交付税の率をきめますに当り、予算の上で以て従来のようなやり方で平衡交付金制度をそのまま実施するとしたら、千何百億ぐらい地方のほうへやらなければならない。この額を先ず出しまして、これを紐をつける税としまして所得税法人税酒税委というものを選んだわけでございますが、その場合におきましてこれのほうのその三税の収入の見積りがあるわけでございます。それで、どういうふうにこれをきめるか、いろいろ相談して見たのでございますが、自治庁のほうの希望としまして、酒の税金はとにかく一応二〇%この機会に紐をつけて欲しい、こういう曲御希望でございました。全体としてはその三税をそのままアヴエレツジするのも一つの考え方だつたと思うのですが、そういうことの御希望がありましたし、全体としましてもそれほど欠きな開きでもございませんので、それでは酒税については二割、そうすると酒税を二割先ず差引きますと、残つた金額が幾ら、こういう金額が出まして、それを所得税法人税の見積りで以て割つて参りますと、一九・六六という数字が出まして、本年度の割算におきましては、どちらかと言いますと、先ず以て予算的に見まして幾らぐらい地方に行くべきかという分と、それから国の税収として幾らぐらいこの三税が収入になるか、この数字を出した割算の結論としまして出たのが今の一九・六六、かように御了承願いたいと思います。
  108. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この一九・六六にしたために、本来の二〇%の場合とどのぐらい差ができたのですか。
  109. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) その差額は十六億でございます。
  110. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この考え方というのは、今の平衡交付金の出し方と同じような算定をして出した、こういうことですね。
  111. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 最初率をきめます場合におきましては、平衡交付金と同じような考え方で出した、ただ一応その率がきまりますと、平衡交付金の場合でございますれば、本年度において収入の増がどのぐらいあるか、或いは歳出の増加分がどれくらいあるか、これでその額が或いは殖える、或いは殖えないと、こういうことがきまるわけでございますが、交付税制度になります場合におきましては、今後における財政需要の増減とか、或いは自然増収が幾らくらい伸びるとか、そういうことは頭に置かないで、きめた率でそのまま計算し、その結果増加する額があれば、その殖えた額がそのまま地方に行くという、こういうような点で率をきめた後の、以下の過程には交付税で参あるか交付金でああかによつて大きな違いいは出ますが、その率をきめます当初においては、やり方は平衡交付金の場合と同じようなやり方でやるのでございます。
  112. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 この十六億ぐらいの金を余り組かくやるために一九・六六というような数字を出すことは、今後やつぱり平衡交付金のような考え方で算出して来たら、又半端を、来年すぐこの税制を変えやしないかという非常な疑念を持たされる。それでさつき高橋委員が言つたように、そういう悪く言えば前科がある。だものだから我々としては一九・六六に頼ると、来年はこの数字をすぐ動かすから一八ぐらいにされるのじやないか、こういうような感じを非常に持つのです。十六億ばかりならば、どこかへ隠してでも置いてもらえば、こんな変な半端を出さなかつただろう。そういう疑いは受けなかつたと思うのです。非常にこの点はまずかつたと思うのです。
  113. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) 只今の端数は、実は私どものほうには実は責任があるわけでして、予算のほうは先に率がきまつておつたわけでございます。交付税提出が遅れましたために、初年度は一九・六六という変な端数がつきましたですが、次年度以降のことはつきましては先ほど来申上げましたように、これは濫りに変えるべきものではないと存じておる次第でありまして、又そうであるだけに、まあ将来二割か二割五分かという問題が非常にシリアスな問題として考えられるわけで、私どもの一遍きめました率につきましては、只今お話がございましたように、徒らに端数をつけたり何かするようなことは毛頭考えておりませんので、仰了承を頂きたいと思います。
  114. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そこで、交付税の額を変更する場合に、先ほど塚田長官から若木委員お答えがありましたが、この途中はうまく行きませんが、あとではうまく行くようにできておるようです。それが、この条文で言うと、第六条の三ノ二項に、「引き続き」云々という言葉がある。「引き続き」という言葉使つておるのと、「著しく異なること」という言葉があるのですが、「引き続き」というのは何年くらい続いたらこの措置をやるのか。又「著しく異なる」というのは、どれくらいこういう問題があつたら、超過したり、足らなかつたりしたら考えるのか、大体の考え方は固まつておりませんか。
  115. 塚田十一郎

    ○国務大臣(塚田十一郎君) これは「引き続き」というのは二年以上ずつとやはり赤字だと、それから又見通される三正以降も赤字だというときに大体「引き続き」「著しく」というのは、一割くらいのまあ大体財政計画に対して不足するという状態をまあ考えているわけであります。
  116. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 そうすると、大体少なくとも二年ぐらいは動かさんと、原則的に動かさんという大蔵省の先ほどお考えを述べられましたが、少しぐらい税の伸びがあつても少なくしないというふうな、はつきりしたお答え頂けますか、大蔵省のほうで。
  117. 小笠原三九郎

    ○国務大臣(小笠原三九郎君) よろしゆうございます。その通りでございます。
  118. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 「著しく」というのはそうしますと、今千二百十六億ですから、まあ百億ぐらいまでは伸びがあつても大目に見ておく、こういうふうに考えてよろしゆうございますか、この点も一つ。
  119. 森永貞一郎

    政府委員森永貞一郎君) その点はまだ自治庁と相談いたしておりませんが、精神の上では只今おつしやいましたように、多少のゆとりが出て参りましても、減らすという気持は毛頭ございません。又その半面多少足りなくても率を上げるということはない、さような考え方でございます。気持の上では全然おつしやいました通りのものでやつて行きたいと思います。
  120. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 これは私、最後に数字の問題ですから、あとで誰かとお打合せしてみたいと思いますが、この三税の二〇%とつたものは、私の試算によると、一千二百八十三億になるように思うので。千二百十六億だと、六十七億減つてるように思うのです。どこかで私は違いがあるのじやないか。六十七億円減つているのです。さつき十七億と言われたから、そこで私は十七億というのを暗算でやるとそうなるのです。併し実際は六十七億減らしている五十億どうも隠しているように思うのですが……。
  121. 渡邊喜久造

    政府委員渡邊喜久造君) 或いはあとで数字をお打合せして、はつきりさしたいと思いますが、私のほうの計算でございますと、主税の合計が六千百六十億、それの二割ということになりますと千二百三十二億、それから計上されてあります交付税の分が千二百十六億、従いまして千二百三十二億と千二百十六億との差額が十六億と、これが先ほど申しました十六億でございます。
  122. 伊能芳雄

    伊能芳雄君 私の基礎使つている数字は、この二十九年度説明、これの法人税が千八百九十五億、所得税が三十百五十一、酒税が千三百七十億、これを基礎にしているものです。そうしますと十二百八十三億になります。これはまあここで時間をとつてやらんでもいいでしよう……。わかりました。
  123. 内村清次

    委員長内村清次君) それではどうでしようか。逐条にまあ入つたような委員の質疑もあつたのですが、一般質問はこれで終りまして、逐条に……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  124. 内村清次

    委員長内村清次君) よろしうございますか。それじや逐条質疑に入ります。
  125. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 この法案の四頁ですね。四頁の第六条の三の第一項の但し書ですね、「当該減額すべき額は、交付税総額の百分の二に相当する額をこえてはならない」、結局ここで以て不足した場合は特別交付税から二%だけ食うということになりますな。これは、平衡交付金制度になかつたことだと思うのです。特別交付金から二%食つたなんてことは私は聞いたことがないが、さように心得て差支えありませんか。
  126. 後藤博

    政府委員(後藤博君) お答えいたします。平衡交付金制度にはございませんですが、例えば按分して百パーセントその財源不足額を出せなかつた場合には、調整率というものを用いまして、財政需要額を、圧縮をいたしまして、そうしてその差額を出すという恰好にしておりまするので、やはり実際問題といたしましては特別交付税のほうにやはり食い込んで行くというふうな実際問題としてはそういうふうになるのでありますが、そういうことをまあやつてつたのであります。
  127. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 その程度はやはり二%の程度まで行つておりましたか。
  128. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 実際問題としては三%でなくて、財政需要額を圧縮いたしまして、財源不足額を従つてまあ圧縮するわけであります。その百パーセントを出す、こういう恰好にしておつたのであります。そういう方法もやはり新らしい交付程でもとるのでありますが、そのとる前に二%だけ食い込むという制度を一つ作つたわけであります。
  129. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 まああなたがたの資料のほうに基いても、この表解で以て見るというと、片つ方は全然食い込みはない、片つ方は明らかにこれ二%食い込むというようなことになつているのでありますが、こういう点から見まして、これはこの交付税にしたということについては、今までの平衡交付金制度と同じにやはり財政を圧縮するところの一つの方同が見えるんじやないかと、こういうふうに思うのであります。そういう点を一つ……。  それから次にもう一点伺いたいのは、やはりこの資料ですね。地方交付税関係参考資料のところで算定単位費用をきめる場合のなんですが、範囲になるこれは何の種類が……今度の交付税制度とそれから従来の平衡交付金制度との間に、この経費の種類の上について変化があつたかどうか、その点を願います。
  130. 後藤博

    ○一政府委員(後藤博君) 経費の種類については変化をいたしておりません。
  131. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 変わりはない。
  132. 後藤博

    政府委員(後藤博君) はい。
  133. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 それでは次に一つ伺いたいのでありますが、この資料に基いてこれはまあ在来もそうであつたかも知れませんけれども、期末手当及び勤務地手当ですね、これの場合においてまあ勤務地手当は明らかに市町村職員は零になつている。それから期末手当及び勤勉手当の場合においてもやはり市町村を抜いてある。これはどうして抜けているのですか。市町村職員は……。
  134. 柴田護

    説明員柴田護君) 市につきまして勤務地手当受けておりますものは、標準団体といたしましては人口十万の都市を大体基準に置いておりますが、その場合に従来からその場合の標準団体としては一級地の市を想定いたしております。大体四種地で、熊容補正に使いまする種地別で四種地を使つておりますが、四種地で市も一級地ということになつておりますが、先般給与改訂の際に勤務地手当の支給地区が一級地ずつ下つて参りましたその関係で一級地になるわけであります。それから勤務地手当並びに勤勉手当は算入いたしております。
  135. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 算入している。
  136. 柴田護

    説明員柴田護君) しています。
  137. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますとですね。市町村吏員で以て省かれているのは何々になりますか。この特別待遇を受けているのは、差別待遇を受けているのは市町村吏員としてありませんか。
  138. 柴田護

    説明員柴田護君) 御質問の趣旨がちよつと呑み込みかねますけれども、特別待遇、特別に府県と比べて落ちているというのはございません。
  139. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、私らは地方を歩いたとき期末手当とか、そういうふうなものは市町村吏員には渡らないということをほうぼうで聞く、これはどういう理由でそういうふうな場合があり得るのですか。
  140. 柴田護

    説明員柴田護君) 少くとも従来の制度で申上げますと、平衡交付金算定上はさようなものも標準団体算定基礎に入れまして、そうしてそれぞれの団体の規模なり団体の状況に応じそれぞれ補正して参るわけでございますが、具体的に期末手当が渡らない、或いは勤勉手当が渡らないというようなことが仮にあるといたしますとすれば、それはその市町村財政状況から判断して、その市町村独自の判断でそういうものを支出しないというだけの話でありまして、地方財政平衡交付金算定いたします際にさようなものも全部交付すべきものとして経費の中に算定いたしておるわけであります。
  141. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そうしますと、市町村のいわゆる独自の立場で以てそれを支給しないというようなことはこれは私はおかしいと思うのだが、何かしなくてもいい一つの根拠があるのですか。
  142. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 御承知の通り平衡交付金一般財源として支給するのであります。従つて使途を別に特定するわけではないのであります。又この一般財源はどういうように使うかということは市町村財政全体を考えて使うという建前になつておりますので、我々は平衝交付金算定には入れておりますけれども、ただ使うこと期待するという建前になつておるのであります。どうしても使わなきやならないとこういう紐付の考え方にはなつていないのであります。
  143. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 そういたしますと、私は俸給などもやはり同じだろうと思います。そういう意味でそうでありませんか。或いは教育費とかそういうようなもの、それも地方で勝手にやれということになりますか。
  144. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 給与につきましてもまあ原則的にはさような考え方をしております。併し条例によつてそれぞれの給与額をきめておりますので、その条例にも大体まあ国家公務員の給与の基準使つておりまするから、大体給与についてはさようなことになつていない。ただ小さい市町村のうちで町村におきましては、必ずしも国の標準によらないで、それよりも低い額が従来出されておるように存じております。
  145. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今度は交付金制度ではなく交付税制度になつたのですが、交付税制度なつたらば、その点はやはり従来と同様になるか、その点を伺いたいと思います。
  146. 後藤博

    政府委員(後藤博君) やはり従来と同じ考え方で参ります。
  147. 小林武治

    ○小林武治君 これは順にやつているのですか。
  148. 内村清次

    委員長内村清次君) いいえ、どこでも……。
  149. 小林武治

    ○小林武治君 それじや一つ伺つておきますが、今度は御承知のように地方税法で、これでは施設利用税が創設された、同町に入場税が税法の成立が遅れれために五月半ばまで入湯税が現行通りで来た、従つてこれら二つの税についてこの、平衡交付法の改正の中に何らかの、規定を挿入する必要がある、こういうふうに思いますが、その点は。
  150. 後藤博

    政府委員(後藤博君) 御説の通りに考えております。でき得れば今申されました点についての御修正を願いたいと思います。
  151. 内村清次

    委員長内村清次君) ほかにございませんか……それではほかに御質問がないようでしたらならば、質問を打切つてよろしゆうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  152. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのように取扱います。ちよつと速記とめて。    〔速記中止
  153. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記始めて。  それでは地方行政委員会はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会