○
政府委員(
奧野誠亮君) 事業税に附加価値税を取りやめまして、従来の事業税を存続するという形をと
つておりますので、特に従来の事業税に
改正を加えました点を中心に御
説明をいたしたいと思います。
第七十七条に事業税の
納税義務者等の
関係規定がございます。「事業税は、
法人の行う事業費並びに
個人の行う第一種事業、第二種事業および第三種事業に対し、
法人にあ
つては
所得及び清算
所得又は収入
金額、
個人にあ
つては
所得々
課税標準として
事務所又は
事業所所在の
道府県において、その
法人及び
個人に課する、」で、事業税は
所得を
課税標準にするのが原則だとか、収入
金額を
課税標準にするのか原則だとかいうふうにきめてしまいませんで、それぞれの実態において
所得を
課税標準に用いるものもあれば、収入
金額を
課税標準に用いるものもあるという
趣旨を現わしているつもりでございます。四項のほうで新らしく加えましたものは、五号に書いてあります「競技場、遊戯場、集会所等付業」でございます。これも従来は
政令で以てしておつたのでございますが、今回
法律の上に挙げることにしたわけであります。
ずつと進みまして七十六頁の五項のところに「第一項の「第二種事業」とは、左の各号に掲げるもので
政令で定める主として自家労力を用いて行うもの以外のものをいうといたしております。要するに原始産業で
課税されるものでございますが、そのうちで、一の「畜産業(農業に附随して行うものを除く。と書いてあります。従来はこのほかに主として土地を利用して行うものも除くと書いておつたのでありますが、これは当時固定資産税がかなり重いものになりましたので、その
関係で除外しておつたわけでありますが、非
課税規定の整備に関連をいたしましてその字句を外したわけでございます。それから六項の五号でありますがが、「あん摩、はり、きゆう、柔道整復その他医業に類する事業、このうちから括弧に書いてありまする「(両眼の視力を喪失した者その他これに類する
政令で定める視力障害のある者が行うものを除く。)」とこれを新らしく挿入したわけでありまして、おめくらさんのあん摩には
課税をしない。こうい
考え方を
とつたわけであります。
それからずつと飛ばしまして第八十条、八十頁でありますが、ここに事業税の非
課税の
範囲の
規定を入れております。その二項におきまして
衆議院で
修正が行われております。二号の「学術研究、学校教育、社会教育等に関する出版物を発行する出版業で
政令で定めるもの」、これに追加されまして、「及びもつぱら教育の用に供する映画を製作する事業で
政令で定めるもの」、それからその次に「新聞に広告を掲載することを取り扱う事業で
政令で定めるもの」、更に「教科書の供給を行う事業で
政令で定めるもの」、これだけが追加されております。映画製作する事業は従来になかつた非
課税事業でおりますが、広告取扱いと教科書の供給は従来あつたものが復活して参つたわけであります。ただそのまま復活したのではないのであ
つて、政府のほうで
範囲は十分絞
つてもらうという意味で
政令で定めるものというふうに
規定されたわけであります。
それから八十一条の一条のほうで
法人の事業局の非
課税所得の
範囲を書いてありますが、その中で四号に
衆議院の
修正で
水産業協同組合共済会が加わ
つております。
それから八十一条は公益
法人等の清算
所得の非
課税、八十三条事業税に係る
徴税吏員の
質問検査権、この辺はずつと従来からある
規定でございますの、省略さして頂きます。
それから八十八頁の第八十八条でございます。
法人の事業税の
課税標準の
規定を置いでおります。第八十八条は、「
法人の行う事業に対する事業税の
課税標準は、電気供給業、ガス供給業、地方鉄道事業、軌道事業、一般乗合旅客自動車運送事業、一般貸切旅客自動車運送事業及び生命保険業にあ
つては各事業
年度の収入
金額、その他の事業にあ
つては各事業
年度の
所得及び清算
所得による。」、これがが外形
課税の存廃をめぐ
つて非常にやかましく論議されている問題でございます。従来ありました外形
課税からはずしましたのは、ここに書いてあります一般乗合旅客自動車運送事業一般貸切旅客自動車運送事業以外の運送事業をはずしました半面に、生命保険業を新たに加えたわけあります。それらの事由につきましては、たびたび御
説明をいたしておりまするので省略さして頂きます。
それから第九十条でありますが、
法人の事業税の
課税標準の
算定の
方法、「第八十八条の各事業
年度の
所得は、各事業
年度の総益金から総損金を控除し
金額によるものとし、この
法律文は
政令で特別の定をする場合を除く外、当該各事業
年度の
法人税の
課税標準である
所得の
計算の例によ
つて算定する。」要するに二重の調査はいたさない。
国税の
決定にそのまま乗つか
つて行くという
趣旨を出しておるわけであります。
法人税の
課税標準である
所得の
計算の例によ
つて算定をいたしますが、但書きに書いてありますものは、
法人税とは違つた
計算をする種類であります。その
最初に
衆議院の
修正が加わ
つております。即ち「
法人税法」第二十五条第一項の
規定による青色
申告書を提出する
法人の
所得の
算定については租税特別
措置法第七条の七の
規定の例によらないものとし、」とな
つております。これはいわゆる輸出
所得の免税を
法人税の場合には行うわけでありますけれども、事業税の場合においては行わない。そういう
趣旨で入
つておる
規定でございます。輸出
所得、輸出業者につきましては、輸出
金額の
一定割合を損金に算入する等の
規定が行われておるわけでありますが、国の政策によ
つてそういうことが行われるというのはそれでいいけれども、それを個々の
府県の負担において行うことは穏当ではない。たから
府県の税である事業税については、やはり一般の
所得の
計算の例によるのだ、こういう
考え方でございます、更に医療
法人が健康保除法等の社会保険診療を行います場合には、これらの
所得は算入をしない。
法人税の場合には社会保険診療でありましても、
所得があります場合にはそれは
課税されるのでありますか、事業税につきましては、国会
修正で課さないということに先年されましたので、それをそのまま踏襲いたしておるわけであります。ごたごた書いてございますが、社会保険診療の種類をずつと列挙しておるわけであります。そういうものは経費は損金に見ないで、又支払いを受けた
金額は利益金にも見ない、こういう
趣旨で書いておるわけでございます。
次に二項の場合は、清算
所得の場合でございまして、これも
国税に乗つか
つておるという
趣旨を明らかにいたしております。
それから九十三頁の三項のほうには、外形
課税の場合の収入
金額の
規定を置いております、即ち「第八十八条の各事業
年度の収入
金額は、電気供給業、ガス供給業、地方鉄道事業、軌道事業、一般乗合旅客自動車運送事業及び一般貸切旅客自動車運送事業にあ
つては、当該各事業
年度においてその事業について収入すべき
金額の
総額から当該各事業
年度において国又は
地方団体から受けるべき補助金、固定資産の売却に因る収入
金額その他
政令で定める収入
金額を控除した
金額による。」といたしております。
その次に四項の
規定、これは新らしく生命保険業に対しまして外形
課税方式を採用することになりましたので、その
計算方式を書いておるわけであります。「第八十八条の各事業
年度の収入
金額は、生命保険業にあ
つては生命保険業を行う
法人が契約した左の各号に掲ける生命保険の区分応じ、それぞれ当該各号に掲げる
金額による。」、一、「保険
期間が五年をこえる生命保険(普通保障約款において、
団体を保附契約者とし、その従業員を被保険者とすることとな
つている生命保険を除く。)にあ
つては、各事業
年度の初
年度収入保険料(保険契約により
最初の一年間の保険料に充当されるべき収入保険料をいう。以下第三号において同じ。)に百分の四十二を乗じて得た
金額」、乗じて得た
金額に、これは二つ問題がございます。
一つは初
年度収入保険料を
課税標準にと
つて行くということでございます。五年の生命保険でありますと、
最初の一年の収入保険料だけを
課税標準にするわけで、次
年度以降の収入保険料は
課税標準にはいたさないわけでございます。
最初保険の契約を得ますことが、保険事業を行な
つております者としては努力を要する問題でございまして、又保険業が発展しているかどうかということは、この初
年度収入保険料の増減にな
つて判別することができるわけでありまして、公益的な面を考えますると、この初
年度収入保険料を
課税標準とするのが、穏当であろうというふうに考えられるわけであります。これに百分の四十二といたしておりますのは、附加保険料に相当するものがこの程度だというふうにいたしているわけであります。要するに積立金に相当するものにまで
課税をすることは穏当ではない、銀行の預金には
課税をいたしません。それと同じように保険料の中に積立金に相当するものがありますので、その部分には
課税しない。要するに附加保険料に相当するものだけ
課税する、こういう
考え方から、附加保険料に相当するものを百分の四十二と
算定しているわけであります、
二号は「保険
期間が一年である生命保険にあ
つては、各事業
年度の収入保険料(再保険料として収入する保険料を除き、
団体を保険契約者とし、その従業員を被保険者とする生命保険で、被保険者が
団体から脱退した場合に保険金以外の給付金を支払う定のあるものにつき収入した保険料のうち、当該給付金に対応する部分の
金額を控除した
金額)に百分の八を乗じて得た
金額」、保険
期間が短かくな
つて参りますと、附加保険料の分量というものがそれだけ少くなるわけであります。保険
期間が五年のものでありますと、最切の分についてだけ四十二でございますから、これを全収入保険料についてみました場合には、これの五分の一だというふうに考えて頂いても大差ないと思うのであります。その結果このような四十二と八の開きが出て来るわけであります。
三号は「前二号以外の生命保険にあ
つては、各事業
年度の初
年度収入保険料に百分の五を乗じて得た
金額」ということにいたしております。附加保険料がこういうものについては少くな
つて参るわけであります。
第九十一条は内国
法人でこの
法律の施行地以外に
事務所又は
事業所を有するもの
課税標準の
算定、それから第九十二条は
個人の事業税の
課税標準、第九十三条は
個人の事業税の
課税標準の
算定の
方法、即ち「前第一項の
当該年度の初日の属する年の前年中における
個人の事業の
所得又は同条第二項の当該年の一月一日から事業の廃止の日までの
個人の事業の
所得は、要するに前年
所得を取
つているのでありまして、これは「それぞれ当該
個人の
当該年度の初日の属する年の前年中における事業又は当該年の一月一日一から事業の廃止の月までの事業に係る総収入
金額から必要な経費を控除した全額によるものとし、この
法律又は
政令で特別の定をする場合を除く外、
当該年度の初日の属する年の前年中又は当該年の一月一日から事業の廃止の日までの
所得税の
課税標準である
所得につき適用される所御税法第九条第三号及び第四号に
規定する不動産
所得及び
事業所得の
計算の例によ
つて算定する。」ここで
所得税に乗つかるんだという
趣旨を現わしているわけであります。
事業所得と不動産
所得、この二つに該当いたしまするものが事業の対象になる
所得ということにな
つて参るわけでございます。但書でやはり
衆議院修正で「
所得税法第二十六条の三の
規定による青色
申告書を提出する
個人の
所得の
算定については租税特別
措置法第七条の六の
規定によらないものとし、」とな
つております。これはやはり輸出
所得の免税
規定は事業税には適用しないのだという
趣旨でございます。あとここに書いてありまする問題は、やはり社会保険診療に関しまする
所得は事業税の対象にいたさないという
趣旨の
規定でございます。
それからずつと飛びまして、九十八頁の第三項へ、第一項の
規定によ
つて所得税法第二十六条の三の
規定による青色
申告書を提出する
個人の
所得を
計算する場合において、当該
個人の前年以前三年間における
所得の
計算上生じた損失で前年以前に控除されなかつた部分の
金額は、当該損失の生じた年に当該青色
申告書を提出し、且つ、その後の年分の
申告につき連続して当該青色
申告書を提出している場合に限り、当該
個人の
所得から控除するものとする。」要するに損金は三年間繰越しを認めて行く、こういう
規定でございます。
所得税の場合には
所得税額の繰戻しが認められるのでありますけれども、
地方税の場合には税額の繰戻しはいたしませんで、その代り損金の繰越しをして行く、こういう建前をとろうとしておるわけであります。第九十四条は事業税の
課税標準の特例、これは一般の外形
課税標準以外に特別の外形
課税標準を用いることができる
趣旨の
規定でありまして、従来あつた
規定と同じであります。
二項は「地方鉄道軌道整備法第三条第一項第三号に該当するものとして運輸大臣の認定を受けたものの当該認定を受けた日の属する事業
年度から当該認定を受けた日後三年を経過した日の属する事業
年度の直前の事業
年度までの各事業
年度の事業税の
課税標準は、第八十八条の
規定にかかわらず、当該各事業
年度の
所得による。」これはこのような放
つておいたのでは、その田舎の鉄軌道の事業が成立たない、そこで国が補助金を交付してその事業を継続しなければならないようた鉄軌道につきましては、きめられた料金によ
つて転嫁を期待して行くということを主張いたしましても無理でございますので、そういう国が特別に認定をいたしまして、そうして解散しなければならないような
法人であるが、国の必要上補助金を交付する、こういう場合には
所得によるのだ、こういうことを書いてあるわけであります。
次に百頁三項であります。出資組合である農業協同組合等でありまして、五行目のところに「各事業
年度の初日において当該事業
年度の面前の事業
年度の末日までに積み立てた
法律の
規定による準備金の額が出資
総額の四分の一の額に達しないものの事業税の
課税標準である
所得は、第九十条第一項の
規定にかかわらず、その者の各事業
年度の
法人税の
課税標準である
所得の
計算の例によ
つて算定した
金額から当該
金額のうち当該各事業
年度分の出資者に対する剰余金の配当として配当する
金額以外の部分に相当する
金額を控除して
算定する。」、要するに農業協同組合等でありまして、積立金がまだ出資
総額の四分の一に達しておりません場合には、従来は事業税を課さないとしておつたのでありますが、この
改正によりまして、配当に充てた以外のものはみんな損金に見る。言い換えれは、配当すれば配当部分だけは
課税標準にと
つて行く、こういう
趣旨の
規定でございます。
第九十五条は二種以上の事業をあわせて行う
個人の
課税標準等の
算定、それから第九十六条は鉱物の掘採事業と鉱物の精錬事業とを一貫して行う者の
所得の
算定、これは新しく入れた
規定でございますが、「鉱物の掘採事業と精錬事業とを一貫して行う者が
納付すべき事業税の
課税標準とすべき
所得は、これらの事業を通じて
算定した
所得を
課税標準の
算定期間中におけるこれらの事業の総益金又は総収入
金額で除して得た数値に当該総益金又は総収入
金額から
課税標準の
算定期間中において掘採した鉱物について
法人又は
個人が
納付すべき鉱産税の
課税標準である鉱物の価格を控除した
金額を乗じて得た額とする」、要するに鉱物の掘採の部分につきましては、鉱産税との
関係から事業税を課さないことにしております。一貫して行な
つております場合には鉱産税の対象になりまする部分については課さないという
趣旨から、売上
金額のうち鉱産税の対象に
なつた
金額とそれ以外の金頭とを振り分けるわけでもりまして、それに按分して事業税を課する部分々きめよう、こういう
考え方であります。
第九十七条は基礎控除の
規定でありまして、「事業を行う
個人については、その
課税標準である
所得から年七万円を控除する。」これが
衆議院の
修正で十一万円にな
つております。附則のほうで実施の時期は
政令できめることにな
つておるわけであります。
それから第九十八条は事業税の
標準税率等の
規定であります。一
法人の行う事業に対する事業税の
標準税率は、左の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定めるものとする。」そうして第一号では、電気供給業等の外形
課税をとる部分につきましては収入
金額の百分の一・五、従来はこれが百分の一・六であつたのであります。二号はその他の事業を行う
法人でありまして、特別
法人は
所得及び清算
所得の百分の八、これは据置いております。その他の
法人は
所得のうち年九十万円以下の
金額の百分の十、これが従来は十二であつたわけであります。それから
所得のうち年五十万円をこえる
金額及び清算
所得の百分の十二とな
つております。それから第2項で、「二以上の
道府県において
事務所又は
事業所を設けて事業を行う
法人に対する
前項第二号の
規定の適用については、当該
法人の
所得は、第四百十条の十五の
規定により
関係道府県に分割される前の
所得によるものとする。」、だから二以上の
府県で事業を行な
つている場合には、百分の十の軽減
税率々適用しますのは、やはりその五十万円を両者に分けた部分について適用するわけであります。
府県ごとに五十万円ではなくて、事業を
一つにしてみて五十万円分だけであります。
それから百五頁の終りから二行目の第5項は、
個人の行う事業に対する事業税の
標準税率を書いてあります。百六頁に参りまして、第一種事業を行う
個人については百分の八、第二種事業又は第一種事業を行う
個人については百分の六、第三種事業については百分の四、この第三号の中で「第七十七条第六項第四号、第五号、及び第七号に掲げる事業を行う
個人」とあるのは、あん摩、はり、きゆう等の事業であります。従来も百分の四に引下げておりますので、これをそのまま踏襲して参るわけであります。一号の百分の八は従来は百分の十二であつたわけであります。二号の百分の六は従来は百分の六・四乃至百分の八であつたわけであります。
それからずつと飛ばしまして、第九十九条
法人の事業税の
税率の適用区分、第百条が事業税の
徴収の
方法、第百一条が中間
申告を要しない
法人の事業税の
申告納付、いずれも従来からの
規定でございます。
第百二条は事業
年度の
期間が六月をこえる
法人の中間
申告納付、それから百十四頁に第百三条の
規定がございます。新たに設立した内国
法人等で事業
年度の
期間が六月をこえるものの中間
申告納付、従来と
考え方が変
つておりませんで、技術的な
規定でございますので、
説明は遠慮いたします。
第百四条は、中間
申告を要する
法人の確定
申告納付、それからずつと行きまして第百五条、百十八頁でございます。清算中の
法人の各事業
年度の
申告納付、いずれも
申告納付の仕方を書いた
規定でございます。
それから百二十頁へ行きまして、第百六条は残余財産の一部を分配する場合おける清算
所得に対する事業税の
申告納付、第百七条は解散
法人の清算
所得に対する事業税の確定
申告納付、それから第百八条は合併
法人の清算
所得に対する事業税の
申告納付、第百九条は
法人の事業税の
期限後
申告及び
修正申告納付、特に申上げることはありません。
それから百二十五頁へ行きまして、第百十条、財産目録等の提出、これは「
事務所又は
事業所所在地の
道府県知事は、
所得又は清算
所得に対する事業税を
申告納付すべき
法人が第百一条第三項の
規定若しくは第百二条第三項の
規定による
申告書若しくは
前条第二項若しくは第三項の
規定による
修正申告書を提出する場合又は当該
申告書若しくは
修正申告書を提出した後において、事業税の
賦課徴収について必要があると認めるときは、当該
法人に対し、財産目録、貸借対照表、損益
計算書その他の事業税の
賦課徴収について必要な書類の提出を求めることができる。」、従来でありますと、
申告納付いたします場合に、必ず財産目録や貸借対照表や損益
計算書を付けろと、一々こういうふうに義務付けておつたわけであります。今回は
法人税の、或いは又
所得税の
計算の基礎をそのまま使
つて行くことにいたしましたので、
申告の
事務をうんと簡素にしたい、こういう
考え方から
府県の自主
決定をする必要のありまするものは別でありますけれども、それ以外は財産目録も要らない、貸借対照表も要らない、こういうふうにいたしておいたのであります。併しながら場合によ
つては必要なこともございますので、そういう場合には
府県のほうから特別の
法人に対しましてだけ、財産目録や貸借対照表を出して下さい、こういう提出を求める
権限だけを規正しておいた、こういうふにいたしたわけであります。
申告手続というものをずつと従来よりは簡素にいたしております。第百十条の二は、
法人の代表者等の自署及び押印の義務、これは従来からある
規定でございます。
第百十条の三は、
法人の代表者等の自署及び押印の義務違反に関する罪、第百十条の四は、事業税に係る故意不
申告の罪、それから第百十条の五は事業税に係る虚偽の中間
申告納付等に関する罪、いずれも従来からある
規定でございます。第百十条の六の税務官署の
決定、更正等に係る
課税標準を基準とする
法人の事業税の更正及び
決定、これに事業税は
法人税の基礎に乗つか
つて行くことにいたしておりまするので、従いまして
法人税の
課税標準につきまして税務官署が更正をいたしました場合には、それに基いて
府県知事が更正をして行くのだ、更正
決定が国の税務機関において行われないのに
府県が勝手に更正
決定して行くことはないという
趣旨の
規定をここに置いておるわけであります。国が更正又は
決定した場合にはそれに乗つか
つて府県が更正、
決定をして行くということを書いてあるわけであります。大変技術的な
規定でありますので、遠慮いたしておきます。
第百三十二頁の百十条の七の
規定、これは「
道府県知事は、左の各号に掲げる場合においては、税務官署に対し、
法人税法第二十九条から第三千一条までの
規定による更正又は
決定をすべき事由を記載した書類を添えて、その更正又は
決定をすべき旨を請求することができる。この場合において、正当な事由がなくて当該税務官署が当該更正又は
決定の請求を受けた日から三月以内に更正又は
決定をしないときは、
道府県知事は、当該税務官署を監督する税務官署に更正又は
決定をすべき旨を請求することができる。」、税務官署の更正、
決定いたしましたもの、或いは
法人が
申告納付いたしましたものが
府県から見ましてどうも少な過ぎる、こういうふうに認められます場合には
申告期限から一年を経過した日後におきまして、国の税務機関に更正を求めるわけであります。而も三月以内に正当な事由がなくて更正、
決定をしない場合には更に上級の国の税務機関にその請求をする、税務署のや
つておりまする場合には
国税局に申出をしますし、
国税局のや
つておりまする場合には
国税庁の長官に申入れをして参るわけであります。その場合に同町に、百三十四頁の三項に書いてあるわけでありますが、百三十四頁の三項に「第一項後段の
規定によ
つて道府県知事が税務官署に更正又は
決定の請求をした場合においては、遅滞なく、その旨を
自治庁長官に
報告するものとする。」、国の税務機関の
決定にそのまま
府県が乗つか
つて行く、そのまま乗つか
つて行くが、併し国の税務機関のや
つていることが当を失していると思われます場合には、国の税務機関自身において直しなさいという請求を
府県側からするわけであります。しない場合には更に上級の税務機関に言うと同時に
自治庁長官にそのことを
報告して来るということによ
つて、制度的に国の税務機関が公正な
決定手続を行うように持
つて行きたいという配慮がそこになされているわけであります。
第百十条の八は国の
決定にそのまま乗
つて行かないで、
府県が自主
決定しなければならないような種類のものについて
規定を設けているわけであります。即ち「
道府県知事は、電気供給業、ガス供給業、地方鉄業事業、軌道事業、一般乗合旅客自動車運送業、一般貸切旅客自動車運送事業若しくは生命保険業を行う
法人、
法人税法第六条第一項に
規定する
法人で事業税の
納税義務があるもの」、これにいわゆる重要物産の生産業でありまして、三年間は
法人税を課さないとされている種類のものであります。事業税に課さないわけではございませんで
課税にいたしますので、自主
決定をするという部類に入るわけであります。この次に
衆議院の
修正で「第九十条第一項但書の
規定の適用を受ける
法人又は第八十条第二項各号に掲げる事業とその他の事業とをあわせて行う
法人」が加
つております。輸出
所得の免税を受けておりますような場合には事業税は課されますので、自主
決定をするというふうにな
つているわけであります。
それから百三十六頁へ参りまして、第百十条の九の
規定は、更正又は
決定の通知義務を
府県に課しております。第百十条の十は、同族会社の行為又は
計算の否認の
規定であります。これも従来と同じであります。
その次に百三十十八頁に参りまして、百十条の十一の
法人の事業税の
不足税額及びその
延滞金の
徴収、これも従来からの
規定でございます。ただ三項のところに
府県民税について申上げましたことと同じように、更正
決定が一年以上た
つてから行われました場合には、
延滞金の
計算に当りましては、年を超えた
期間、これは税務機関が責を負うべき部分とも考えられますので、
延滞金の
期間の
計算に入れないわけであります。
第百十条の十二は
納期限後に
納付する
法人の事業税の
延滞金の
計算を書いてあります。これも従来と同じ
規定であります、
第百十条の十三は
法人の事業税の過少
申告加算金及び不
申告加算金、これも別に変
つておりません。
ずつと行きまして、百四十六頁、百十条の十四に
法人の事業税の重加算金の
規定がございます。これも従来と同じでございます。
それか百四十九頁に百十条の十五、二以上の
道府県において
事務所又は
事業所を設けて事業を行う
法人の
申告納付等、先ほど申しましたように五十万円を超える
所得がありまする場合には、先ず五十万円の部分を
関係府県に分割いたしまして、それぞれに軽減
税率を適用して税額を
算定した
計算の仕方をするという
趣旨の
規定を置いているわけであります。
それから百五十頁の三項でありますが、事業税の分割
方法を若干
改正しておるわけでありまして、「第一項の
規定による
関係道府県ごとの分割は、
申告書又は
修正申告書に記載された
関係道府県に所在する
事務所又は
事業所について、
課税標準額の
総額を電気供給業、ガス供給業及び倉庫業にあ
つては当該
事務所又は
事業所の固定資産の価額に、」、従来は半分は従業員数に按分しておつたのでありますが、全額固定資産の価額に按分するわけであります。
地方鉄道事業及び軌道事業にあ
つては当該
事務所又は
事業所の所在する
道府県における地方鉄道及び軌道の延長キロメートル数に」、これも半分は固定資産の価額に、半分は従業員数でおりましたのを、地方鉄道、軌道の延長に按分するわけであります。「銀行業及び保険業にあ
つてはその二分の一を当該
事務所又は
事業所の数に、他の二分の一を当該
事務所又は
事業所の従業者の数に、」按分いたします。従来は従業員数だけであつたわけでありまして、こうして事業税の分割を合理化するように考えているわけであります。
それから百十条の十六で、二以上の
道府県において
事務所又は
事業所を設けて事業を行う
法人の
課税標準額の
総額の更正、
決定等、これは主たる
事務所又は
事業所所在地の
道府県知事が行うことにいたしております。これらを更正いたします場合には従来の
規定は
自治庁長官に指示を求めるということにしておつたのでありますが、今回
改正をいたしまして、三項のところに上
つておりますように、先ず
関係府県知事が相互に協議してやりなさい。今までは一々
自治庁の長官の指示を求めさしたのでありますが、それはやめてしまいまして、お互い
府県同士相談し合
つてやりなさいというふうにいたしたわけでございます。
それから百五十七頁、第百十条の十七、
個人の事業税の賦課の
方法、それから百六十頁で[百十条の十八、
個人の事業税の納期、百十条の十九、
個人の事業税の
徴収の
手続、百十条の二十、
納期限後に
納付する
個人の事業税の
延滞金、百十条の二十一、二以上の
道府県において
個人の行います場合の問題、いずれも従来と同じでありまして、指示を求める問題がお互いが相談し合うようにいたしておるだけのことでございます。
百六十三頁の百十条の二十二、
個人事業税の
賦課徴収に関する
申告又は
報告の義務、これも同じであります。
百十条の二十三は
個人の事業税に係る虚偽の
申告等に関する罪、百十条の二十四は、
個人の事業税に係る不
申告等に関する過料、それから百十条の二十五、
道府県知事の通知義務、これは新らしく入れた
規定でありまして、「
道府県知事が第百十条の十七第一項但書又は第四項の
規定によ
つて個人の
所得を
決定した場合においては、当該
府県知事は、遅滞なく、
当該決定に係る
個人の
所得を税務官署に通知するものとする。」国のほうから通知を受けます半面、
府県が自主
決定を行います部分で国に参考になり得ますような部分は、
府県のほうから逆に税務官署に通知するということで協力
関係を出しておるわけであります。
百十条の二十六は
法人税又は
所得税に関する書類の供覧、適
府県知事が国の
事務機関について書類を見ることができるという
権限を書いておるわけであります。
百十条の二十七は、事業税の脱税に関する罪、それから百六十九頁、百十条の二十八は、事業税の
納期限の延長、百十条の二十九は事業税の
減免、第百十条の三十は事業税に係る
自治庁の職員の
質問検査権、いずれも従来からの
規定でございます、百十条の三十一は
自治庁の職員の行う検査拒否等に関する罪であります。
第四款は更正、
決定等に関する救済、これも従来の
規定と同じでございます。
それから百七十御頁の第五款、
督促及び
滞納処分、これも従来からの
規定と全く同じでございます。ずつと同じでございます。
百八十二頁の第六款の犯則取締も従来の
規定と全く同じでございます。事業税の
関係はそこまででございます。