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1954-03-26 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月二十六日(金曜日)    午後三時二十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能繁次郎君            長谷山行毅君            小林 武治君            島村 軍次君            秋山 長造君            若木 勝藏君            加瀬  完君   政府委員    自治庁次長   鈴木 俊一君    自治庁税務部長 奧野 誠亮君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○入場譲与税法案内閣送付) ○昭和二十九年度の揮発油譲与税に関  する法律案内閣送付) ○地方財政平衡交付金法の一部を改正  する法律案内閣送付)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 只今から地方行政委員会を開会いたします。  公職選挙法改正小委員会審議状況について、堀小委員長から発言を求められておりますから、これを許します。
  3. 堀末治

    堀末治君 この委員会の中に設けられました公職選挙法の小委員でございますが、その後の状況を御報告申上げます。  実は数回開いたのでありましたが、いろいろ小委員性格その他について各位の間に論議がございましたが、先ず第一に取りきめましたことは、今この委員会の付託になつている選挙法改正の諸法案中小委員で調べて意見の一致したものは、成るべく早く本委員会に移すことにしよう、その外、面倒なのはいろいろ又論議を交しまして、結論を得次第本委員会に移そう、こういうことに第一に取りきめました。  続いて選挙法根本にかかわる問題です。衆議院では御承知通り特別委員会が置かれていろいろと細かいことを研究されておりまするし、なお又十五国会でもいろいろ研究されて、その要綱等も廻つておることでございますから、これらは成るべく衆議院研究に或る程度お任せをして、私どもといたしましては、できるだけ選挙根本に触れるような大きい問題をできるだけ取上げて、ここで論議し、意見がまとまつたら、それを衆議院のほうとも相談をすることにいたしております。こういうことで実は相談をいたしたのであります。その結果皆様方にお手許に差上げました通り公職選挙法改正問題点ということで、一から十項目まで取上げた次第であります。そのうちすでに連座制の問題では市川先生から議員提出になつて出ていることがございますから、これはこれで又小委員取扱います。それから五の高級公務員の退職直後の立候補を制限することの可否の問題も、すでにここにいらつしやる小林先生から一通りお話を承わつておるわけでございます。それを要約しまして、こういうような、高級公務員立候補制限に関する公職選挙法改正要綱案、こういうことで皆様方のお手許に差上げることにいたしました。さようなことで、今月は差迫つています重要法案もたくさんあることで、各委員ともなかなかそれに忙殺されて忙がしいことでございましようから、三十一日の理事会あと日程相談することにいたしておりますから、このとき又小委員日程等相談いたしまして、折角御提案になつた問題でもありますから、これを取上げて御相談する、相談の結果は本委員会にできるだけ早く移すことにいたしたい。こういうような経過であります。これを御了承お願いいたします。
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) これに質疑はございませんですか。
  5. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは次の議題に入りまして、地方税法の一部を改正する法律案入場譲与税法案昭和二十九年度の揮発油譲与税に関する法律案、以上の補足説明を聞くことにいたします。
  6. 奧野誠亮

    ○政府委員(奧野誠亮君) 地方税法改正要り綱の税目別の資料がございますが、これで御説明さして頂きましようか。第一の総則から申上げて行きます。  一、地方団体間において課税権の帰属その他地方税法の規定の適用について意見を異にし、その協議がととのわない場合においては、自治庁長官関係地方団体が同一府県内の市町村であるとき、道府県知事)に対し、決定を求める旨を申出なければならないものとすること。  この種の規定は現行法においても入つているのであります。入つておりまして、市町村税については府県知事に申出で、府県税については自治庁長官に申出ることになつているのでありますけれども、同じ市町村税でありましても或いは府県税でありましても、府県民税の創設等の関係から府県税であつても、府県と市町村との間で争いが起きるという場合もございますので、関係地方団体が市町村だけであるか、或いは府県も加わるかということで意見の決定の申出団体を道府県知事或いは自治庁長官に変えただけの改正であります。  二、適法に納付した地方団体の徴収金が、法律又は条例の規定による変更又は消滅により過納となつた場合には、その過納額に相当する地方団体の徴収金は、その過納となつた日に納付があつたものとみなして、それ以後の期間について還付加算金をつけるものとすること。  御承知のように納め過ぎました場合には、返す場合に還付加算金をつけるのであります。併しながら納めたときには適法であつた、その後に法律や条例が改正になつたから納め過ぎになつた。そういうような場合には還付加算金の期間の計算をいつからするかという規定を欠いておりましたので、それは条例又は法律の規定によつて納め過ぎになつたときから計算することになつたということを入れたいのであります。  第二の道府県民税  二、納税務義者は次の通りとすること。   1 個人については市町村民税の納税義務を有する者を道府県民税納税義務者とし均等割及び所得割を、法人(法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定のあるものを含む。以下道府県民税について同じ。)については事務所又は事業所を有する道府県ごと道府県民税の納税義務を有するものとし均等割及び法人税割を、それぞれ課するものとすること。  先ず市町村民税納税義務者がそのまま道府県民税納税義務者になるのだと考えて頂けばよろしいわけです。市町村民税の納税義務がないのに、道府県民税の納税義務だけがあるというものでございませんで、全く同じになるわけであります。ただ法人の場合には市町村ごとに法人は納税義務を負うわけであります。府県民税の場合には府県ごとに納税義務を負う。従つて一府県内に幾つもの事務所、事業所を持つておりましても、府県民税としては一つの税金しか納めない。市町村民税の場合には事務所、事業所の所在の市町村ごとに税金を納めることになります。その違いがあるだけでございます。   2 市町村民税を課さない法人には道府県民税も課さないものとすること。  三、道府県は次の方法により道府県民税の所得割の課税総額を決定し、これを各市町村に配賦するものとすること。   1 道府県は前年の所得税額の合計額として条例で定める方法により算定した額に条例で定める率(標準は百分の五とし、百分の五をこえて課する場合においては、あらかじめ自治庁長官に届け出るものとする。)を乗じて当該道府県における所得割の課税総額を定め、それを各市町村ごと市町村民税の所得割額の課税標準とすることができる所得税額の合計額として条例で定める方法によつて算定した額に按分して毎年四月三十日までに各市町村に配賦するものとする。この場合において、所得税を課税標準として市町村民税の所得割を課する市町村に対しては、道府県の条例で定める率を示すことによつて課税総額の配賦に代えることができるものとすること。  神奈川県に例をとつて申上げます。神奈川県の所得税額の総額が十億円だといたします。そうしますと、神奈川県民税の所得割の総額はこの十億円の五%を標準として条例できめるわけであります。従いまして五千万円が神奈川県民税の所得割の総額だということになります。この五%にするかどうかということは条例できめるわけであります。ただ神奈川県民の所得税額が十億円であるかどうかということの算定が、神奈川県から東京へ出かけて来ている人の所得税額は給料生活者であります限りは東京都で徴収しているわけであります。従いまして神奈川県内の税務署の所得税額の徴収額だけでは、神奈川県の住民の所得税額であるかどうかわからないわけでありまして、大体においてそれでは過少かも知れません。そうでない府県もあるわけでございます。幸いにして地方財政平衡交付金の算定に当りまして、住所地別に所得税額を算定するように努力いたして参つて来ておりまして、大体成功して来ているのではないかと思います。従いまして、市町村民税基準財政収入額、この基礎になつた所得税額との割合でその県内の住民にかかる所得税額が幾らであるかということを推定することができると思います。その推定の方法は条例で書きなさいということをここに謳つているわけであります。そういう意味で殊更に所得税額の総額を幾らと見るかということは条例で書くのだということを謳つたわけであります。この神奈川県の所得割の総額の五千万円を神奈川県内市町村ごとの所得税の総額に按分して市町村に配賦するわけであります。配賦を受けました場合には、例えば鎌倉市に配分された額が千万円あつたといたします。千万円あつたとしまして、鎌倉市の市民税の所得割の額が仮に三千万といたします。そうすると一千万円を三千万円で割りました三三%というものが県民税の所得割の税率になるわけであります。要するに鎌倉市民税の附加税に県民税がなつて行くわけであります。併し鎌倉市におきまして所得税額を課税標準にして所得割を課しています場合には所得税額の五%で課して行けばよろしいのだということもできるようにいたしております。ただ所得割の課税標準が所得税額でありましたり、或いは課税総所得金額でありましたりいたしますので、各市町村に配賦をする、配賦された額を所得割の額で割ることによつて税率を市町村ごとに求めて行く、こういうまあやり方をいたしたいのであります。そういたしますと、県から市町村に配賦いたしまする場合には所得税額に比例しておりまするので、市町村間の均衡は完全に保たれていると思います。今度は市町村では市町村民税に比例して課するわけでありまするから、市町村内の住民相互間における負担の均衡も保たれていると思います。ただ欠陥はその市町村の課税方式が違うわけでありますので、個々の納税義務者を市町村間に抜き出して比較しまする場合には若干の食違いは生ずるだろうと思います。同じ県民税でありながら市町村相互間において若干の食違いがあるのが面白くないのじやないか、これが一つの欠陥ではないかと思つております。併しそれも一応所得税額に按分して市町村に配賦されているわけでありますので、負担額を見ますと、市町村間においても余り差はないのじやないかというふうに思つております。ただ市町村民税の所得割の額が非常に重い場合には府県民税の附加税の税率は低くなります。市町村民税が非常に軽い場合には県民税が重くなります。又そうなることによつて住民相互間の負担の均衡が保たれているということになると思うのであります。併し市町村が徴収いたしましたものはあとで書いてあるのでありますけれども、一本の徴税令書で県民税が幾らであり、市町村民税が幾らであるという内訳は書いておいてもらうけれども、あとは今までと同じような扱いをして行けばよろしい、従来の市町村民税だけのときと同じように台帳も一つでいいじやないか、集められた額を課税額に按分して府県に払込んで行けばよろしいじやないか、こういう考え方をとつているわけであります。もう少し読んでから申上げたいと思いますが、   2 所得割の課税総額の配賦について違法又は錯誤があると認める市町村に対しては、異議の申立、訴願の提起及び出訴を認めるものとすること。  要するに鎌倉市に一千万円配賦を受けた、一千万円が違法である、或いは錯誤がある、こういう場合には鎌倉市のほうから異議の申立の途を認めているわけであります。  四、課税標準及び税率は次の通りとすること。   1 均等割の標準税率は、個人については百円、法人については十二月分として六百円とすること。   2 所得割の課税標準は、市町村民税個人所得割の額とし、その税率は、道府県から配賦された所得割の課税総額を各市町村における市町村民税個人所得割額の総額で除して(課税総額の配賦に代えて道府県の条例で定める率により配賦を受けた市町村にあつては、その率をその市町村の市町村民税個人所得税割の税率で除して)定めるものとすること。但し、課税総所得金額の百分の二・五(課税総所得金額から所得税額を控除した金額を課税標準として課された市町村民税の所得割を課税標準とする市町村にあつては、課税総所得金額から所得税額を控除した額の百分の五)の額を以て賦課制限額とすること。   3 法人税割の課税標準は、法人税額とし、その標準税準は、百分の六とすること。  五、個人の道府県民税の賦課徴収は、次の通りとすること。   1 個人の道府県民税の賦課徴収は、市町村がその市町村の個人の市町村民税の賦課徴収の例により、その市町村の個人の市町村民税の賦課徴収と併せて行うものとし、道府県は、市町村の賦課徴収専務の執行について必要な援助をするものとすること。  全面的に市町村に任せてしまうというのであります。   2 個人の道府県民税の賦課徴収に対する異議の申立は市町村長に行うものとすること。  府県民税でありましても、賦課徴収は市町村に委ねるわけでありますから、異議の申立も市町村長にやつてもらうわけであります。市町村民税について異議の申立がなされますならば、おのずからその効果というものは道府県民税にも結果的に及んで来るようにいたしております。   3 個人の道府県民税の徴税令書、納期限変更告知書特別徴収義務者に交付する通知書、督促状その他賦課徴収に関する文書は、市町村民税のそれらの文書と同一の用紙によるものとすること。  一つの徴税令書で両方の税金の用を済ませようとしているわけであります。   4 納税者又は特別徴収義務者は、(イ)個人の道府県民税市町村民税とは同時に納付し、又は納入しなければならないものとし、(ロ)納税義務者又は特別徴収義務者が納付し、又は納入した額がその納付し、又は納入すべき額に充たないときは、その納付額又は納入額は当該納税者又は特別徴収義務者の納付し、又は納入すべき両税の税額に按分した額でそれぞれ納付し、又は納入されたものとし、(ハ)納付又は納入を受けた市町村は道府県民税の額に相当する部分を翌月十日までに道府県に払い込むものとすること。  手続上全く一つの税金として扱つて行きたいと考えておりまするので、納税者にこれは道府県民税だ、これは市町村民税だという選択を認めないのであります。従いまして一千円の税金のうちで八百円しか収めない場合には府県民税、市町村民税それぞれに八割ずつ収めた、こういうふうにみなしてしまうというふうに考えているわけであります。言い換えれば市町村が整理いたします場合に、道府県民税の分が幾らであり、市町村民税の分が幾らであるというような、別個の整理の仕方をする必要はないというふうにしたいのであります。全く一つの税金として整理するようにいたしましたほうが、事務がずつと簡単になりますので、それを狙いまして、このような規定を置いたわけであります。   5 個人の道府県民税に係る滞納処分は、(イ)原則として、市町村の徴税吏員がその個人の市町村民税に係る滞納処分と併せて行うものとし、(ロ)迫府県の徴税吏員は、必要があるときは毎年五月三十一日現在において市町村から道府県民税に関する滞納報告を受けた後においてあらかじめ市町村長の同意を得た上、三月をこえない範囲内において一定の期間を定め、自ら滞納処分を行うことができるものとすること。この場合には、当該納税義務者に係る個人の市町村民税についても滞納処分をしなければならないものとし、市町村は道府県が行う滞納処分に協力するものとすること。  滞納処分も含めまして、賦課徴収の事務は全面的に市町村に委ねるわけであります。例えば、二十九年度分の府県民税につきまして、三十年の五月三十一日、要するに出納閉鎖期限であります。この五月三十一日までにまだ納められていなかつた、こういう滞納者については、市町村から府県に報告の義務を課しております。で、報告がありますると、府県が市町村長の同意と三月という期間を限りまして、その市町村内の滞納者に対しまして滞納処分を行うことができるのであります。この場合には市町村は滞納処分はできません。その代り府県は府県民税だけじやなしに、市町村民税も一緒に滞納処分をするわけであります。要するに一つの府県民税と市町村民税とを全く同じに扱つて行くのでありますから、府県民税だけの滞納処分というものはあり得ないのであります。両方必ず一緒に扱つて行く、その代り滞納処分で得られた金額は、課税額に按分して府県から市町村に払込むということになつて参るわけであります。   6 滞納処分に対する異議の申立は、処分を行つた地方団体の長に行うものとすること。   7 賦課及び徴収の状況について市町村は道府県に対し報告しなければならないものとし、道府県は必要がある場合には、市町付文は政府に対し道府県民税の賦課徴収に関する書類等の閲覧を求めることができるものとすること。   8 個人の道府県民税及び市町村民税に対する延滞金又は延滞加算金の計算については、両税の合計額について行うものとすること。  延滞金の計算も別々じやなしに、両者の金額を合せたもので行うわけであります。ここにも全く一本の税金として取扱うという趣旨でこの規定を置いているわけであります。   9 道府県は市町村に対し、道府県民税の賦課徴収に要する費用を補償するため、道府県に払込まれた金額又は徴税令書件数に応じ、政令で定める基準によつて徴収取扱費を交付するものとすること。  例えば払込まれた金額の二〇%と徴税令書一通について二十円を乗じた額との合算額というようなことを政令できめたいと思つております。ただこの程度では割合が低過ぎるという議論がございますので、もう少し高いところできめたいという考え方で、なお、検討いたしているわけであります。  六、法人の道府県民税は直接道府県に申告納付するものとし、その滞納処分は、道府県の徴収吏員が行うものとすること。  七、政府は法人税の上更正又は決定に係る法人税額を道府県知事に通知するものとし、道府県知事は法人税に関する書類を閲覧又は記録できるものとすること。  道府県民税につきまして、法人分と個人分とは趣きを変えているわけでありまして、法人分は全面的に法人から均等割も法人税割も申告納付して貰うということになつております。法人分の均等割の六百円だけは法人にとつてはプラスになるわけなのであります。これは現在の市町村民税の均等割は、事務所所在の市町村ごとに均等割を納めておりますので、減額のしようがないわけでありまして、そのために府県全体で六百円だけ法人の均等割の負担が殖えることになります。それ以外は府県民税におきましては、個人、市町村を通じて別に負担が殖えないように市町村民税をそれだけ減額しているわけでございます。法人の場合には全面的に申告納付でありますから、全く完全な独立税だと言うことができると思います。個人の場合には、今申上げましたように、府県から市町村に額を配賦しまして、市町村は市町村民税の賦課徴収の手続きに全く乗つかつて府県民税を徴収して、そうして得られた額を府県に払込むわけであります。条文を読んで行きますと、大変面倒くさい感じが持たれるのでありますが、市町村の事務として新たに加わりますのは、府県民税を市町村民税の附加税として徴税令書に府県民税が幾らであると金額を書かなければならない事務、これが一つ加わつて参ります。それとあとは今までと全く同じにやつてもらつて、最後の段階で例えば鎌倉市民税のうちで、一千万円が県民税であり、三千万円が市民税として賦課したといたしますと、得られた額の四分の一は県に払込む、四分の三は市の歳入に入れる、こういうやり方で行きたいのであります。更に言い方を換えて申上げますと、府県から市町村へは所得税額を基礎として分賦金を課するようなものであります。併しながら市町村から個々の納税義務者に対しましては、如何にも独立した県民税を納めているのだという形をとりたいのであります。そうすることによつて、納税者に対しては県民税を負担しているのだという意識を持つてもらいたいということを狙つているわけであります。併しながら市町村への分賦金みたいなものでありますから、個々の人間の納めました税金は課税総額に按分できない、言換えれば、簡単な手続で府県に払込む、こういうふうにいたして行きたいのであります。従いまして、とかく市町村側から非常に事務が煩瑣になるように誤解を受けておるのでありますけれども、事務としては大した事務が加わることはないのじやないかというふうに思つております。むしろ例えば非常に市町村として困つております場合には、市町村が滞納処分に協力をし得るような場合も出て参りまして、市町村としては好都合な面も若干あるんじやないかというふうに思つております。  第三が、事業税でありまして、  一、附加価値税は廃止し、現行の事業税及び特別所得税はこれを統合してその名称を事業税として存置すること。  二、個人事業税の課税客体を次の通りとすること。    第一種事業、現行事業税の第一種事業(物品販売業等)として揚げられているものに湯屋業、クリーニング業及びもつぱらめん類を提供する業(いづれも現行特別所得税の第二種業務)を加えたもの  今申上げましたようなものがいずれも現行特別所得税の第二種業務として軽い税率の適用を受けているわけであります。八%の税率の適用を受けているわけであります。先に下つているものですから、これは現在の税率のそのまま据置くのである、こういう考え方であります。据置くことによつて、税率区分の合理化を図りたい、こういうふうに考えております。引下げるわけじやございませんで、ただ現状に留めるというわけであります    第二種事業、現行事業税の第二種事業(原始産業)として掲げられているもの、第三種事業、現行特別所得税の第一種業務(医業等)及び第二種業務(法務自由業等)のうち湯屋業、クリーニング業及びもらぱらめん類食を提供する業を除いたもの  こういうふうに税目を一つにし、又税率区分を合理化することによりまして、徴税事務の上ではかなり簡素化になつて参るだろうと思つております。  三、非課税の範囲は、新聞業、新聞送達業学術研究等に関する出版業、一般放送事業、鉱物の掘採事業、個人の行う農業、林業その他の主として自家労力を用いて行う原始産業等とすること。  現在は非課税規定がかなり多いものでありまするので、業界の勢力の弱いところが重い負担を負つているんだというような非難がございました。特別な取扱を受けていない業界におきましては、幹部不信任的な態度から幹部でも困り出しまして、事業税撤廃運動にまで向つて来ているような傾向が多分にありますので、地方制度調査会等の答申の線に従い、思い切つて非課税を整理したいと考えたわけであります。ただそこにあります新聞業、新聞送達業から一般放送事業までの問題につきましては、明治以来ずつと課税されて来なかつたというふうな特殊な性格を持つておりまするので、今回におきましても、やはり課税しないという方針をとつたわけであります。一般放送事業は昔はなかつたわけでありますが、新聞業と同じような扱いをすべきじやないか、こういうふうに考えたわけであります。鉱物の掘採事業は別途鉱産税が課されておりますので、事業税は課されないわけであります。個人の行う農業や林業にも課税すべきだという議論があるわけでありますけれども、負担分任の精神から行けば県民税を起しておりますし、又農業、林業は別途固定資産税をかなり負担しておる関係もございますし、又自家労力を用いて行う原始産業には課税の除外の途を開いておりますし、大体同じような性格のものだ、全体についてそういうことが言えますので、個人の行うものは外したわけであります。その結果課税されることになりますものは法人の行う農業や林業が一つでございます。  それから新聞に広告の取扱をする事業、それから教科書の供給を行う事業、こういうものも課税されるようになつて参ります。教科書の出版はやはり非課税にしておくわけでありますが、教科書の販売のほうはこれは課税をするようにしたいというふうに考えているわけでございます。  四、公益法人及び特別法人の範囲はおおむね法人税と同一とすること。  五、現行の収入金額を課税標準とする法人事業のうち、海運、航空、小運送、運送取扱等の事業を除き、新たに生命保険業を加えること。但し地方鉄軌道事業のうち、地方鉄道軌道整備法の規定による補助金を受けるものについては所得を課税標準とすること。  収入金額を課税標準とするということにつきましては、相当異論もあるわけでございます。併し事業税の課税標準が所得を取ることがいいのか悪いのか、御承知のように現在は付加価値額であります。併しながらこれをやめまして、やはり従前通り事業税を踏襲したい。従つて又収入金額課税を行なつているものもそのまま踏襲したいと考えているわけであります。若しこれを所得課税に変えました場合には二十四五億でありましたでしようか、減収を来たしました。そのことは地方財政の現状から申しまして堪えがたいということがございます。それからもう一つは、根本的には事業に対する課税につきまして、儲かつていれば税金を納めるが、損をしていれば税金を納めなくていいのだというようなことは、府県のような小さい規模の団体になつて参りますと穏当でないのではないかという考え方を持つております。儲かつていようが損をしていようがともかく事業に対して寄与をしている従業員が労力を提供してやつていれば給料は払う。資金をよそから借りていれば、それに対して利子を払う。府県が保健施設を設けたり、学校を設けたり、道路を設けたりして事業に寄与していれば、これに対して相当の経費の分担をする、こういうようなものに事業税というものをかけているわけであります。併しながらこの課税標準を今変更いたしますということは、個々の事業相互間に負担の激変を来たすことになりますので、まだ産業の基礎が浅い今日におきましては、それは避けたほうがよいのじやないかというようなことから止むを得ず従来の事業税を踏襲することになつたわけであります。殊に残しております事業はいずれも料金統制の行われている事業でありますから、料金をきめます場合に幾らぐらい経費を分担してもらつたらよろしいかということを考えて、料金がきめられるべきである。又料金がきめられた場合には、いずれも巨大な独占企業であるから、それだけの料金は維持できるじやないか、維持できるのだから料金に織込まれただけのものは、税金として府県に払つてもらいたい。こういう考え方を持つているわけであります。併しながら今回除外しようといたしますようなものは、料金統制が必ずしも厳格に行われていないものでございまするので、それらの情勢の変化に応じまして外形課税から外して行きたい。ただ生命保険業にありましては、相互保険の形態をとつておりまする関係上、利益が上つて参りますると、保険契約者に対しまして、利益の払い戻しをしてしまうわけであります。従いましてこれは損金と認めて行きます。自然、課税上の利益が上つて来ないのであります。相当な規模で事業をしておりますにかかわらず、事業税を負担しないということは面白くございませんので、そこで生命保険業に対しましては保険料収入金額を課税標準として事業税を課するようにいたしたいというふうに考えたわけでございます。今は殆んど負担しておりませんが、改正案によりまして、年間で一億八千万円ぐらい負担することになるわけであります。本年度に年度中途でありますからその半分程度になります。ただ地方鉄軌道事業のうちで不採算線である企業に委しておけば地方鉄軌道の仕事をやめてしまう。併し国全体からやらせなければならないのであえて補助金まで出そうとしている、そういうものにつきましては料金が定められておりましても、府県経費の分担分を転嫁して行くということは不可能に近いわけでありまするので、そういうものにつきましては所得税で行きたいというふうに考えているわけであります。  六、課税標準たる所得、清算所得及び収入金額の算定は、左によるものとすること。   1 法人の各事業年度の所得の金額又は清算所得の金額は、原則として当該事業年度の法人税の課税標準である所得又は清算所得の計算の例によつて算定するものとすること。   2 各事業年度の収入金額は、その事業について収入すべき金額の合計金額から特別の収入金額を控除した金額によつて算定するものとすること。但し、生命保険業にあつては、各事業年度の新規契約にかかる初年度保険料収入の一定割合とすること。   3 農業協同組合法、消費生活協同組合法、水産業協同組合法、中小企業等協同組合法等による組合でその積立金額が出資額の四分の一に達しないものについては、所得から「株主又は出資者に配当した金額以外のもの」を除いた金額を課税標準とすること。  これらの組合につきましては、現行法では積立金額が出資額の四分の一に達するまでは事業税を課さないということになつております。そうしますと、積立金が四分の一に達するようになれば、どんどんそれを配当してしまう。そうするといつまで経つても事業税が課されないのみならず、折角の事業の基礎が確立して来ないという憂いがございますので、配当金に充てたもの以外のものはこれはみんな協同組合の基礎の確立に使われたものだというふうに考えて行きたい。みんな損金に見て行きたい。併し配当金だけはこれは事業の基礎の確立のために使われたものと見るわけには行かないんじやないだろうか、だからこれは損金に見ない。従つてこれを課税標準として税金を持つて貰おうというような考え方をとろうとしているわけであります。法人税の場合には積立金額が出資額の四分の一に達するまでは積立金に繰入れた金額を損金と見て行くということになつております。積立金に繰入れなくてもどう使われようとも事業税の場合は損金と見て行く、ただ配当金として支出された場合だけは損金として見るわけには参らない、こういうふうなやり方をしたいわけであります。法人税よりは遙かに寛大な扱いになるわけでありますが、現行よりは若干きつくなる。併しながら事業の育成のためにはむしろそのほうが望ましいんじやないだろうかという考え方を持つているわけなんであります。   4 個人の所得税は原則として、所得税の課税標準である所得のうち所得税法第九条第一項第三号及び第四号に規定する不動産所得及び事業所得の計算の例によつて算定するものとすること。この場合において、青色申告書の提出を認められた個人の前年以前三年間に生じた損失については、国税に準じてその繰越控除を認めるものとすること。  国税の場合には損失が生じますと、先に納めた税金の繰戻しを受ける制度があるわけであります。事業税の場合には先に納めた税金の繰戻しじやなしに、その損金を翌年度以降に繰越して行つて、翌年度以降に納めるべき税金の負担を軽くするというふうなやり方をいたしたいと考えるわけであります。   5 個人事業税の基礎控除を七万円(昭和二十九年度は六万円)、(現行五万円)に引上げること。おおむね所得税の基礎控除額に合わせようとしているわけであります。   6 医療法人及び医業を行う者の所得の算定について、健康保険法、生活保護法、結核予防法等の規定に基く療養の給付又は医療にかかわるものを除外する現行規定を存置すること。   7 鉱物の掘採事業と精煉事業とを一貫して行う法人又は個人の事業税の課税標準とすべき所得金額は、これらの事業を通じて算定した所得金額の総額をこれらの事業の総益金又は総収入金で除して得た数値に当該総益金又は総収入金額から当該課税標準の算定期間中において掘採した鉱物の価額を控除した金額を乗じて得た額とすること。  大変わかりにくい規定でありますが、仮に売上金額が一億円ありまして、利益が一千万円といたします。鉱物の掘採もやつておる、精煉もやつておる、掘採をやつておりますと鉱産税を別に払つているわけであります。一億円の売上金額のうち仮に二千万円が鉱物の価格であり、八千万円がその他のものであるといたしますと、一千万円の利益に十分の八をかける。これが鉱産税の対象になつている以外のものの利益だと考えまして、これを事業税の課税標準にして行こうという趣旨の規定であります。  七、標準税率は次の通りとすること。   1 普通法人は所得金額のうち年五十万円以下の金額は一〇%、所得金額のうち年五十万円をこえる部分及び清算所得については一二%、(現行は一律に一二%)  個人の税率を思い切つて軽減したんでありますが、これとの均衡を、と言いますと少し言い過ぎかも知れませんが、そういう問題をも考えまして、五十万円以下のものについてだけ若干軽減しようとしているわけであります。  特別法人の税率は現行通り八%を据置きます。収入金額を課税標準とする事業を行う法人につきましては現行は一・六%でありますが、所得課税の部分との均衡をとりますと、一・五%に引下げます。個人第一種事業が一二%、八%。個人第二種事業及び第三種事業は百分の八、乃至百分の六・四でありますのを六%にします。但し第三種事業のうち助産婦については現行通り四%を据置きます。  八、課税方法については左によるものとすること。   1 法人税にあつては申告納付の方法により、個人事業税にあつては普通徴収の方法によるものとすること。この場合において事業年度の期間が六月をこえるものについては法人税に準じて中間申告納付の制度を採用するものとすること。   2 法人事業税の課税標準である所得又は清算所得を更正し、又は決定する場合においては、原則として、当該法人の法人税の課税標準である所得又は清算所得について政府が更正し若しくは決定した課税標準額又は当該法人が政府に対して申告し若しくは修正申告した課税標準額を基準として行うものとすること。この場合において、申告がないものについて一年を経るも政府が決定をしないとき、又は法人税の課税標準額が過少と認められるものについて一年を経るも政府が更正若しくは決定をしないときは、道府県知事は税務官署に対し更正又は決定をすることを請求するものとし、当該請求を受けた税務官署が三月以内に正当な事由がなくて更正又は決定をしないときは、その上級の税務官署に更正又は決定をすることを請求するとともにその旨を自治庁長官に報告するものとすること。  法人事業税につきましても、全く法人税に乗つかつて行きたいと考えているわけであります。併し納付期限が過ぎましてから一年経つても政府の更正いたしまする額が十分でない、或いは決定をしない、そういう場合には税務官署に対しまして、府県側から更正の請求をするわけであります。それでも三ヵ月間正当な処置をいたしません場合には、上級の税務官署に申出ますと共に、自治庁長官に報告する。こうすることによつて、納税者に対しましては、国の側からも府県の側からも二重に帳簿をひつくり返すということを避けたいのであります。併しながら、同時に国の税務機関でやつておりますことにつきましては、府県側に監視させると言いましようか、制度的に穏当でない措置をとつていた場合には、いろんな注意を受けるということによつて刺激を与えて行きたい。そして適正な運営が保たれるようにして行きたいという制度を設けようとしているわけであります。   3 収入金額を課税標準とする事業を行う法人、法人税法第六条第一項に規定する法人及び医療法人にあつては、その課税標準について道府県知事が自らその調査によつて更正又は決定することができるものとすること。  自主決定をいたしまする部分であります。   4 個人事業税を課する場合においては、原則として、当該個人の所得税の課税標準である所得のうち所得税法第九条第一項第三号及び第四号に規定する不動産所得及び事業所得について当該個人が政府に対し申告し若しくは修正申告し、又は政府が更正し若しくは決定した課税標準額を基準として事業税を課するものとすること。この場合において、    (イ)所得税を納付する義務のないもの、医業等を行うもので所得の算定につき特例を認められているもの等については、道府県知事は自らその調査によつて個人の事業税の課税標準を決定し、    (ロ)所得税を納付する義務のあるものについては、申告がないものについて政府が決定しないとき、又は所得税の課税標準額が過少であると認められるものについて政府が更正若しくは決定しないときは、道府県知事は、十月一日から三十一日までの間において、税務官署に対し更正又は決定することを請求するものとし、当該請求を受けた税務官署が三日以内に正当な事由がなくて更正又は決定をしないときは、その上級の税務官署に更正又は決定をすることを請求するとともにその旨を自治庁長官に報告するものとすること。  所得税にそのまま乗つかつて参りませんものにつきましては、自主決定をするわけでありますが、それ以外のものにつきましては、個人分にあつて五月三十一日までに本人が申告もしない、国の税務機関が決定もしない、そういう部分につきましては府県知事が自主決定をしています。自分で決定をして行きます。五月三十一日までに申告もない。国の税務機関の決定もない。こういうものについては、府県知事が自主決定をして行きます。併し申告があるか、或いは国が更正をするか、決定をするかしたものにつきましては、国に乗つかつて行くわけであります。国の措置に乗つかつて行くわけでありまして、ただその金額が少な過ぎると認められまする場合には十月一日から三十一日までの一月間にまとめまして、過少だから国のほうで更正すべきであるという申出をするわけであります。それにもかかわらず、三月以内に正当な事由がなくて更正をいたしません場合には、上級の税務機関に申出ると共に、自治庁長官にもそのことを報告して来る。そうして制度的に国の税務機関のやつておりますことにつきましても、正当な運営ができるように刺激を与えて行きたい。監視をするような制度にして行きたい。かような考え方をとつておるわけであります。従いまして、やはり二重調査ということもこの面におきましてもなくなるわけであります。  九、二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人の課税標準額の総額の分割は左によつて行うものとすること。  電気供給業、ガス供給業及び倉庫業にありましては固定資産税の価額。地方鉄道事業及び軌道事業は軌道の延長キロ数。銀行業及び保険業にあつては半分は事業所又は事務所数で、あとの半分は従業員者数でありまして、これだけの分だけを改正しようとしております。こういうふうに改正いたしましたほうが事業の活動の実態に応じて収入が関係府県に与えられることになるのじやないかというふうに思うのであります。銀行業までになつて参りますと、預金を集めてこれを投資して行くというようなことを考えて参りますると、従業者数だけでは割切れないのじやないかというふうに思うのであります。こういう措置をとりますることによつて、東京と大阪からは十億円余りの金が減りまして、他の府県にそれだけ増額されて行くというふうになるわけであります。  十、二以上の道府県において事務所又は事業所を設けて事業を行う法人の課税標準額の更正若しくは決定又は関係道府県ごとの分割額の変更については、主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事が自ら又は関係道府県知事の請求に基いて行うものとすること。この場合において主たる事務所又は事業所所在地の道府県知事と関係道府県知事との意見が異なるときは自治庁長官が決定するものとすること。  現行法では二以上の道府県間に争いがありまする場合、常に自治庁長官の指示に基いて改めることにしているのでありますが今回の改正では先ずお互いに協議をさせて、協議の整わないものだけ自治庁長官が指図をしようというように改めたいのであります。  十一、政府は法人税の更正又は決定に係る課税標準額その他事業税の賦課徴収に関し、必要な事項を関係道府県知事に通知するものとし、道府県知事はその更生又は決定に係る法人又は個人の課税標準額その他法人税又は所得税の賦課徴収に関し必要な事項を政府に通知する外、法人税又は所得税に関する関係書類を閲覧又は語録できるものとすること。  十二、申告書の様式を簡素化するとともに申告書の添附書類は必要最少限のものにとどめるものとすること。  申告書で、例えて申上げますと、従来なら財産目録とか貸借対照表なんかをみんなくつつけて出すわけであります。今回の改正法では原則としてそんなものは要らないということにしております。ただ必要があつた場合には府県知事は提出を求めることができるという規定だけを入れております。徹底的に申告書の様式なども簡素化したいと考えております。  第四が不動産取得税。  一、道府県税として不動産取得税を創設すること。  二、土地及び家屋(以下「不動産」という。)の取得(新築家屋については、最初に使用若しくは譲渡が行われた時又は新築後六月を経過しても使用若しくは譲渡が行われない場合においてはその時に所有者又は譲受人が取得したものとみなし、家屋の改築については改築に上り価格が増加したときに限り取得があつたものとみなす。)に対し、不動産所在地の道府県において、取得者に課するものとすること。  例えば請負主が家屋を建てました場合に不動産取得税を誰に課するのか明確でない場合があろうかと思うのであります。誰が家屋を取得したか、明確でない場合があるわけであります。そこで今回の立案に当りましては、最初に誰かが使用したときに不動産取得税が課せられるようになるのだ。併し使用しない、或いは譲り受けが行われたときにはそのときに不動産取得税が課せられることになるわけだ。併し六ヵ月間譲り受けもないという場合には六ヵ月を経過したときの所有者が取得したのだとして不動産取得税を課することができるようにいたしたいと考えておるわけであります。こういうふうにして誰が不動産取得税を納めなければならないのであるか、ということを法律上明確にしておきたいというふうに考えたわけであります。  三、国及び地方公共団体に対しては課税できないものとするほか、非課税の範囲を次の通りとすること。   1 日本専売公社その他特定の団体がその事業の用に供する不動産の取得。   2 公共の用に供する用悪水路等に使用する不動産の取得。   3 農地法によつて土地を国から売り渡され又は売払われた場合の不動産の取得。   4 土地区画整理若しくは土地改良事業に伴う換地の取得、農地の交換分合による土地の取得又は土地収用に伴い替地をもつて損失を補償された場合における土地の取得等。   5 相続、法人の合併及び信託等により所有権の移転が行われる場合、日本電信電話公社が政府と財産を交換する場合、国有林野整備臨時措置法により民有林野を国有林野と交換する場合及び森林法による生産組合が現物出資を受ける場合における不動産の収得。  四、課税標準は次の通りとすること。   1 課税標準は、不動産の価格(適正なる時価)とすること。但し、家屋の改築が取得とみなされる場合にあつては、当該改築により増加した価格とすること。   2 道府県知事は、固定資産課税台帳に価格が登録されている不動産については増築、改築その他特別の事情がない限りその価格によつて、固定資産課税台帳に登録されていないものについては固定資産税について示される固定資産評価の基準に準じて、価格を決定するものとすること。  要するにすでに市町村長が価格を決定しております場合には、府県知事はこれをそのまま採用するわけであります。新築家屋のように決定した価格のありませんものは、これは府県知事が決定をいたしまして、これを市町村長に通知する。将来この通知された額が固定資産の課税標準になつて行くわけであります。こうすることによつて市町村間の評価の均衡が保たれて行くようになるのじやないだろうかと考えております。二重の手続を府県と市町村間において行わない、どちらか一つやれば他方はそれを使つてやつて行くのだというふうに割切つた形にいたしたいと存ずるのであります。   3 道府県知事は、不動産の価格を決定した結果市町村の固定資産課税台帳に登録された価格について、市町村間に不均衡を認めたときは、関係市町村の長に対し固定資産税の課税標準となるべき価格の決定について助言をするものとすること。  五、標準税率を百分の三とし、標準税率をこえて課する場合にあつては、あらかじめ自治庁長官に届け出るものとすること。  六、納期は道府県の条例の定めるところによるものとすること。  七、徴収は普通徴収の方法によるものとし、納税義務者は市町村長を経由して必要な事項を申告しなければならないものとし、市町村長はその申告の経由に当る際、不動産の価格の決定について参考となるべき事項を道府県知事に通知するものとすること。  八、住宅の建築を阻害しないため次の措置をとること。   1 住宅の建築(増築、改築及び所謂立売住宅の購入を含む。)に対しては、一戸につき百万円の基礎控除を行うものとすること。  アパート等でありまする場合は、一世帯ごとに百万円を控除したいと考えておりますので、先ずそういうアパートや寮などについて不動産取得税の課せられることはないのじやないだろうかというふうに思つております。   2 土地を取得した者が一年以内にその土地の上に住宅を新築したときは、その土地に係る不動産取得税の税額から六十万円(共同住宅及び所謂立売住宅等でその床面積の二倍の坪数に相当する土地の価格が六十万円をこえるものにあつてはその価格に相当する金額)に税率を乗じて得た額を減額するものとし、既に税金を徴収しているときは、減額すべき額を還付するものとすること。  土地の取得につきましては、その土地の上に建物を建てたときだけは六十万円までは課さないのであります。併しアパートなどを建てますときにはかなり広い土地を必要とするわけでありますので、床面積の二倍に当る土地が六十万円以上いたします場合には、その分まで不動産取得税を課さないようにいたしたいのであります。   3 土地を取得した者が、前号により税額の減額をされることが明かであるときは、その申告により、税額のうち減額すべき額を限度として、一年以内の期間を限つて徴収猶予をするものとすること。  九、耐火建築促進法による補助金の交付を受けて家屋を新築し若しくは増築した場合、農林漁業金融公庫から資金の貸付を受けて農林漁業者の共同利用に供する施設を取得した場合又は土地若しくは家屋を収用することができる事業に不動産を収用され補償金を受けた者若しくは譲渡した者が一年以内にこれに代るものと道府県知事が認める不動産を取得した場合においては、課税標準の特例として、それぞれ、補助金、貸付を受けた資金又は収用され若しくは譲渡した不動産の固定資産課税台帳に登録された価格に相当する金額を控除するものとすること。  十、施行期日は昭和二十九年四月一日とし、家屋の建築による収得に対しては昭和二十九年七月一日から適用するものとすること。なお、連合国軍により接収されていた地域で政令で指定する地域内における家屋の建築については、接収解除後三年間は課税しないものとすること。  すでに建築の進行している家屋に対しまして、今直ちに不動産取得税を課税して参りますことは多少酷でありまするので、三ヵ月間の余裕期間を置くという意味で家屋の建築にかかりますものについてだけは適用時期を遅らせたわけであります。同時に横浜などのように今まで接収されておつたために復興ができていない、接収が解除されて復興しなければならないときに不動産取得税のために家屋が建たない、その結果復興が遅れるというようなのでは非常に気の毒でありますので、これらの地域は政令で指定いたしまして、三年間不動産取得税の家屋の建築に対する適用を遅らせようとしているわけであります。  第五が、市町村民税でありまして、  一、道府県民税の創設に伴い、次の改正を加えるものとすること。   1 税率を次のように改めるものとすること。  いずれも府県民税を設けた額だけ個人均頭割から落しているわけであります。  二番目の所得割につきましても、制限税準をその割合で落しているわけであります。  二番目の所得割のイが所得税額を課税標準とする場合は制限税率が現行では百分の十でありますが、これを七・五に引下げます。その代り府県民税の所得割の制限税率が百分の二・五として設けられることになつております。それぞれ二つに割つているわけであります。  3の法人税割につきましても全く同じことが言えるのであります。   2 個人に対して課する市町村民税は、個人に対して課する道府県民税と合せて賦課徴収しなければならないものとすること。  名前は府県民税、市町村民税でありますが、実質的な運営は住民税という一本の税金だという形にしております。   3 給与所得にかかる市町村民税の特別徴収について、特別徴収税額の通知期限を五月三十一日まで(現行四月三十日まで)に、月割額の徴収を六月から翌年三月まで(現行五月から翌年二月まで)の十ヵ月に改めるものとすること。  府県民税を設けました関係もございまして、多少市町村の調査に時間を要するというような関係もございまして、給与所得者について会社などの給与支払者に特別徴収を認めます場合には四月三十日までに通知しなければならないのを一ヵ月ずらそうとしているわけであります。  二、扶養親族の範囲と一致させるものとすること。  三、市町村民税を非課税とされる寡婦の範囲を所得税法における寡婦の範囲と同一とするものとすること。  従つて現在はすべて扶養親族を有するものでなければならないのでありますが、遺族年金受給者であります場合には扶養親族がなくても寡婦としての軽減措置を受けさせるというようなことに改めるわけであります。  四、個人以外の者の市町村民税の非課税の範囲に、港湾法の規定による港湾局、国家公務員共済組合及び国家公務員共済組合連合会、私立学校教職員共済組合並びに社会福祉法人を加えるものとすること。  五、給与支払報告書(一月一日現在で作成)を提出する義務がある者に対して、給与支払報告書に記載された給与の支払を受ける者が四月一日現在において給与の支払を受けなくなつた場合においてはその旨を届け出るよう新たに義務を課するものとすること。  会社などでは一月一日現在で源泉徴収表を税務署へ提出しますと同時に、給与支払報告書を市町村長に提出して来るわけであります。これらのものにつきまして、市町村から当該会社に対して市町村民税を源泉で徴収して貰いたいということを要求するわけであります。ところが四月一日現在では、もはやその会社を去つているという人もその中には含まれているわけであります。そういたしますと、会社へ徴収を頼んだけれども、会社にはいないから徴収はできない、改めて課税をし直さなければならないことになつて参りますので、四月一日、要するに新らしい年度の初めになつていなくなりました場合には、会社からそのことを市町村長のほうに届出てもらいまして、そうして無用の手数を、市町村から会社へ又往復しなければならないようなことを避けたいと考えているわけであります。  六、所得税又は法人税において欠損金の繰戻控除を受けた場合においては、市町村民税においては欠損金の繰越をしたものとしてその税額を算定するものとすること。  七、法人税の更正に係る修正申告又は更正若しくは決定に因り法人税割額を納付ずることとなつた場合において当該法人税割に係る延滞金の計算の基礎となる期間は、当該法人税に係る利子税額の計算の基礎となる期間と同一とするものとすること。  これは法人税法の今回の改正によりまして更正決定が非常に遅れました場合には、納期限を一年を超えて更正決定をいたしました場合には、一年を超えた期間は切捨てて延滞金の計算をするのであります。言い換えれば一年分しか延滞金は取らないのであります。それと法人税制の場合も歩調を合せようとしているわけであります。なお申し落しましたが、国と府県と市町村との協力関係をこれらの所得決定において強く打ち立てたいために、法人税を国が更正決定をした場合には、国の税務機関から主たる事務所、事業所所在の府県知事に対して更正決定をしたのだという通知をすることになつております。そうすると本店所在地の府県知事は関係府県知事に対しまして、こういう連絡を受けたということを吏に連絡をするわけであります。府県知事は更にその府県内の事務所所在地の市町村長に対しまして、法人税額が更正決定になつたのだということを通知するわけであります。こうすることによつて国の更正決定した法人税額が基になつて事業税が更正される、市町村民税の法人税割が更正されるというふうな連絡の強化を図つておるわけであります。半面又国の決定が過少でありまする場合には、先ほど申上げたように府県側から更正を請求することによつて、その間にも又連絡を緊密にしようというふうにいたしておるわけであります。  第六は固定資産税であります。  一、納税義務者について次の改正を加えるものとすること。   1 固定資産課税台帳に土地又は家屋の所有者として登録されている者が地方公共団体等固定資産税を課することができないものであつて、当該台帳上の所有者が賦課期日前に現に所有者でなくなつている場合においては、同日において現に当該土地又は家屋を所有している者に固定資産税を課するものとすること。  土地台帳や家屋台帳に登録されているものを所有者として固定資産税を課して行くわけでありますが、国などについては土地台帳や家庭台帳の規定が適用されない等の関係もありましたりしまして、所有権が自治体から移りましても、台帳上の整備がかなり遅れて行くのが普通でございます。従いまして、そこでそういう場合には現実の所有者に固定資産税を課することができるのだというふうな規定を入れたいのであります。二番目は   2 農地法、旧相続税法、相続税法、所得税法の一部を改正する法律(昭和二十七年法律第六十三号)による改正前の所得税法、戦時補償特別措置法文は財産税法の規定(現行自作農創設特別措置法、旧相続税法、財産税法の規定)によつて国が収納した農地についてはその所有権が売渡の相手方に移転(現行自作農創設特別措置法の規定によつて移転)する日までの間はその使用者に、その日後売渡の相手方が土地台帳に所有者として登録される日までの間はその売渡の相手方に固定資産税を課するものとすること。  これも実は現行法にすでに規定があるのでありますが、法律の改正等によりまして、若干整理をしたいと考えたわけであります。要するに農地法等の規定で土地の所有権が国に移ります。更に国はこれを適当に耕作者に売渡すわけであります。ところが土地台帳上の名前は旧所有者から国に移りましても改まらないわけであります。従いまして、旧所有者に課税して行くことは穏当ではございません。そこでその場合には使用者に固定資産税を課して行く。そして売渡の事務が済んだ場合には売渡を受けた所有者に課税をして行くというような規定を設けることによつて、実態に応じた負担者に負担をしてもらおうというようにいたしたいわけであります。  二、非課税の範囲に次のものを加えるものとすること。   1 帝都高速度交通営団が直接地下高速度交通事業の用に供するトンネル。  帝都高速度交通営団の性格から考えて課税するが、特に地下鉄であるために経費が莫大になつて来るというような部分についてだけ、課税除外の制度を入れようとしているわけであります。   2 もつぱら公共の危害防止のためにする鉱さい捨場及び鉱水処理に係る施設。   3 健康保険組合、健康保険組合連合会、国民健康保険組合、国民健康保険の事業を行う法人、国民健康保険団体連合会、私立学校教職員共済組合、並びに国家公務員共済組合法、農業協同組合法、及び消費生活協同組合法による組合及び連合会が所有し、且つ、経常する病院及び診療所並びに農業共済組合及び農業共済組合連合会が所有し、且つ、経営する家畜診療所の用に供する固定資産。  これは農業協同組合等の持つております病院や診療所については、現在も固定資産税が課せられないのでありますが、土地については固定資産税が課されておるのであります。今回の措置によつて土地も課税しないようにいたしております。それともう一つは最後に書いてありまする家畜診療所についても課税しないようにいたしたい、と言いますのは、共済組合の所有しておる家畜診療所であります。共済組合がやはり診療所を持たなければそれらの防災事業と言いましようか、そういうものの徹底を期することが困難でありますので、そういう団体の性格にも鑑みまして、非課税の範囲に加えようとしているわけであります。  三、左の固定資産に対して課する固定資産税については、その課税標準について、それぞれ特例を設け、負担の軽減を図るものとすること。   1 発電所、変電所又は送電施設の用に供する家屋及び償却資産で電気の供給、物品の製造、旅客若しくは貨物の輸送又は鉱物の掘採を業とする者、並びに農山漁村電気導入促進法による農林漁業団体がそれぞれその用に供するもの。  発送、変電施設につきまして、いろいろ細かいことを書いておりますのは、映画館でありますとか、百貨店でありますとかいうような所で自家発電の設備を持つております。そういう所にはこの特例は設けないのだという趣旨でこまごまと書いてあるわけです。括弧の中で「但し、昭和二十九年度分に限り、電気の供給を業とする者及び農林漁業団体の所有する本文に掲げる固定資産で昭和二十四年一月二日以降の建設に係るものについては、価格の六分の一の額とすること。」物価引下げの大方針をとろうとしているときでございますし、又電気の料金の引上げをしたいという要請に対しまして、できる限りこれを押えて行きたいという政策がとられようとしております際でありますので、二十九年度だけの特例としてこのような措置を設けたいと考えたわけであります。   2 地方鉄道又は軌道の昭和二十八年一月二日以後の新設営業路線(地方鉄道軌道整備法の規定により新線とみなされるものを含む。)に係る線路設備、電路設備その他の政令で定める構築物。  建設的設備、構築物につきましても、発電施設と同じような扱いをしようとしております。   3 企業合理化促進法第四条第二項若しくは第三項又は第六条の規定の適用を受ける機械設備等。  につきましては、三年間は価格の二分の一にいたします。  4はこの企業合理化資産と同じような性格の資産でありますところの、   4 所得税又は法人税を免除される重要物産の製造、掘採又は採取の事業を行う者が、その事業の用に供するため、新たに取得した機械設備等。  についても同じような軽減措置を講じようといたしております。   5 外航船舶又は国際路線に就航する航空機。  につきましては、価格の三分の一の額といたします。こうする結果、現行法におきましては、利子補給を受けている外航船舶だけであつて、利子補給を受けている期間だけは〇・四%の税率で課して行くという規定を削除したいと思つております。昨年できた制度でありますが、利子補給を受けているか受けていないかということを問わないで、あらゆる外航船についてこういう軽減の措置を拡げたい。同時に又利子補給を受けている期間であるとかいうようなことに限らないで、こういう軽減措置をしたい。又外航船舶との関係においては航空機も同じように扱つて行きたい、こうすることによつて、国際競争に出るものの負担をできる限り軽くして行きたいという考え方を持つておるわけであります。   6 航空運送事業を行う者が所有し、且つ運行する航空機につきましては、最初の三年は三分の一、あとの三年は三分の二の額にしたいと考えるわけであります。  四、税率について次の改正を加える   ものとすること。   1 標準税率を百分の一・四(昭和二十九年度は百分の一・五)(現行は百分の一・六)とすること。   2 制限税率を百分の三とすること。なお、市町村は一の納税義務者の所有に係る償却資産に対する固定資産税の課税標準の額が当該市町村の固定資産税の課税標準の総額の二分の一をこえる場合において百分の二をこえて税率を定めようとするときは、その旨を自治庁長官に届け出ることとし、自治庁長官は当該市町村が届出に係る税率による税収入を災害その他止むを得ない事由による特別の財政需要に充てる必要があると認められる場合を除くほか、地方財政審議会の議を経て、当該市町村において適用すべき固定資産税の税率を固定資産の全部、又は一部について当該届出に係る税率と百分の二までの間において制限することを指示することができるものとすること。  たつた一つの大きな資産があるために、これに重い税を課しまして、そして不要不急の仕事をするという場合があつてはなりませんので、そういう場合だけ百分の二をこえて課税する場合に届出金を課そうとしているわけであります。  五、償却資産に対して課する固定資産税の免税点を五万円に引上げるものとすること。  六、固定資産課税台帳の縦覧後に、価格の登録洩を発見した場合、又は登録された価格に重大な錯誤を発見した場合には、その価格を決定し、又はその価格を修正することができるものとすること。  七、大規模の償却資産について市町村の課税権を制限し、その部分について例外的に当該市町村の区域を包括する道府県に課税権を与えるものとすること。この措置は昭和三十年度から実施するものとする。  従つて二十九年度は現行通りになるわけであります。   1 市町村が課することができる大規模の償却資産の課税標準となる金額は、次の表により当該市町村の人口に応じて算定した金額とするものとすること。  激変を緩和したいという趣旨で昭和三十年度は若干金額を重くしております。昭和三十一年度から平年度化するという姿にいたしております。    この場合において、前年度の地方財政平衡交付金の算定の基礎となつた基準財政収入額からこれに算入された大規模の償却資産にかかる固定資産税の税収入見込額を控除した額に当該大規模の償却資産について当該年度分として課することができる固定資産税の税収入見込額を加算した額(基準財政見込額)が前年度の地方財政平衡交付金の算定の基礎となつた基準財政需要額の百分の百二十にみたないこととなる市町村については、右の表中に掲げる金額を基準財政収入見込額が前年度の基準財政需要額の百分の百二十に達するまでに引上げて適用するものとすること。この場において、当該市町村に大規模の償却資産が二以上あるときは、当該大規模の償却資産のうち価額の低いものから当該価額を限度として順次当該市町村の基準財政収入見込額が前年度の基準財政需要額の百分の百二十に達するまで右の表に掲げる金額を引上げるものとすること。     なお、右の基準財政収入額又は基準財政需要額は、市町村の合併が行われた場合、行財政制度の改正が行われた場合等においては、別な計算をし、又は必要な補正をしたものとすることができるものとすること。  要するに大規模の償却資産がありまして、一部の税金が府県に移る場合に対しましても、基準財政収入の額で基準財政需用額の一・二倍までは財源を補償して行こうという考え方であります。殆んど税収のない団体の財源を基礎に考えて参りますると、この一・二倍が一・七倍余りに当るわけであります。   2 道府県は、前号により市町村ごとに定められた金額を越える部分の金額を課税標準として固定資産税を課するものとすること。   3 道府県知事は、大規模の償却資産と認められる償却資産については、自治庁、長官が指定するものを除くほか、これを指定し、その指定した日の属する翌年以降、毎年一月一日現在における時価によつて評価を行い、その価格を毎年二月末日までに納税義務者及び当該償却資産の所在地の市町村長に通知するものとすること。     この場合において通知を受けた者は、その価格の決定について異議の申立及び出訴をすることができるものとすること。  大規模の償却資産につきましては、府県知事のほうで先ず以て指定するわけであります。指定したほうは知事が評価をいたします。知事が評価をいたしますが、その評価額が限度額以下でありました場合は、その額まで市町村が課税するのであつて市町村長は改めて評価するということはございません。半面に知事が指定をしたかつた、そこで市町村長は評価をしたが、自分の所の課税限度額を超えた額になつた、その場合には越えている額を基礎にして府県が課税をいたします。併し府県は改めて評価をするようなことはいたしません。府県か市町村かどつちかが評価をする。どちらかが評価をしたら、それをそのまま両方とも使つて行くということにしようといたしております。   4 大規模の償却資産について道府県が課する固定資産税の賦課徴収等に関しては、特別の定があるものを除く外、市町村が課する固定資産税の賦課徴収等に関する規定を準用するものとすること。   5 道府県が課する固定資産税の標準税率は、百分の一・四とし、これをこえて税率を定めようとする場合には、あらかじめ、その旨を自治庁長官に届け出なければならないものとすること。  七、前項の措置に伴い、現行の大規模の償却資産の価格の市町村間における配分措置の制度はこれを廃止すること。   第七たばこ消費税  一、道府県に道府県たばこ消費税、市町村に市町村たばこ消費税を創設すること。  二、日本専売公社が小売人又は国内消費用として直接消費者に売り渡した製造たばこに対し、たばこ専売法第三十四条第一項の小売定価を課税標準として、小売人の営業所又は国内消費用として直接消費者に売り渡す公社の事務所在の道府県及び市町村がそれぞれ公社に課するものとすること。  三、税率は、道府県たばこ消費税にあつては百十五分の五、市町村たばこ消費税にあつては百十五分の十とすること。  四、徴収については公社をして各月ごとに翌月二十五日までに申告納付せしめるものとすること。  五、道府県知事又は市町村長は、賦課徴収に関する調査のため必要がある場合においては、公社等に質問することができる外、公社に対し、たばこの売渡しに関する帳簿書類を閲覧し又は記録することを請求したときは、公社はこれに応ずるものとすること。  六、道府県知事又は市町村長は、公社が納期限までに申告しなかつたとき、又は公社に質問し若しくは関係書類を閲覧し若しくは記録する際において申告若しくは修正申告した課税標準額若しくは税額の算定について違法若しくは錯誤があることを発見したときは、公社に対し申告書又は修正申告書の提出を求めるものとし、公社は求められた日から二十日以内に申告書又は修正申告書を提出するとともに不足税額を納付しなければならないものとすること。  七、公社は納期限後にその税金を納付する場合においては延帯金額を加算して納付するものとすること。  自動車税の標準税率につきましては、次のように改めております。普通自動車につきましては、常業用にあつては軸距百二十インチ以下のものであるか以上のものであるかというふうなところで、高級な乗用車であるかそうでないかという区分をいたしておるわけであります。自動車税の税率全体につきまして約五割程度の収入を上げたい、その際には只今申上げましたような高級乗用車については比較的重い負担を持つてもらう、同時に又揮発油を使つている自動車については揮発油税の負担いたしておりまするので、それ以外の自動車の負担を若干重くしたいというふうな考え方で税率区分をいたしわけであります。自家用につきましても、同じように高級乗用車との区分をいたしております。  それからトラツクとバスにつきまして、揮発油を燃料といたしまするものは税率を据置いております。税率を据置いておりまするが、大多数の府県が現在の標準税率を適用しておりまする車体は、今回標準的な車体を規定しようとしているものよりも若干小さいものでありまするので、税率を据置いたということは、現在の税率を八三%くらいでありましようか、くらいに引下げたという結果になつております。半面揮発油以外の燃料を使つている車につきましては、揮発油を燃料とする車の七割程度の負担を余計持つてもらうというふうに税率をきめております。七割程度余計持つてもらうわけでありますが、基礎になつておりまする税率が若干引下げられておりまするから、結果的には三割余りの負担の増加にとどまるんじやないだろうかというふうに思つております。  それから税率の次の2に「道路運送車両法の一部を改正して、自動車税の完納証明書を呈示しないときは陸運局長は車体検査をしない、」というふうに直したいと考えております。勿論災害その他特別の事情があります場合には、自動車税の完納証明書がなくても車体検査をすることにはなつております。  狩猟者税は、税率は税率を現存の二段階制から一本に改めたい。免許税の性質から言えば税率が一本であるべきだという議論も立ちましようし、二本建になつておりますために税務行政上相当混乱も生ずる原因になつておりますので、このように大体改めたのであります。  自転車荷車税につきましては、現在の自転車税及び荷車税を併せて一本の税金といたします。  原動機附自転車の標準税率を五百円と法定をする。現在もこの程度で課税しておるのでありますが、軽自動車の税率を引上げたので、自転車と軽自動車との間の税率を法定したほうがよいと考えたわけであります。    月割課税の方途を講ずるものとすること。  電気ガス税につきましては、   1 主として電気を動力として運輸事業を営む地方鉄軌道業者が直接一般交通のための旅客若しくは貨物の運送の用に供する電気並びに銅鉱、鉛鉱、亜鉛鉱及び硫化鉱並びにチタン地金(スポンヂチタンを含む。)黒鉛含有特殊粉末合金、アンモニア、シクロヘキサノン及びアルコール(ヤシ油を原料として製造するものに限る)の掘採又は製造に使用する電気に対しては、次に電気料金が改訂されるときから電気ガス税を課さないものとすること。  このようなものを拾い上げましたのは、主として現在すでに非課税として法定されておるものと非常に似寄つたりするもの、そういうものだけを拾い上げたわけであります。それに鉄軌道の使つております電気を加えたわけであります。こうすることによつて漸次電気ガス税を消費税的なものに純化して行きたいという考え方を持つておるわけであります。  電気事業者及びガス事業者の意義を明らかにするような規定を置いております。  揮発油譲与税或いは入場譲与税のほうは、簡単でありまするので、特に御説明を遠慮したほうがいいのじやないかと思います。  それからお手許の資料の三十ページの二行目、税率が一万三千円と書いてあるそうでして、それは二万三千円のミスプリントであります。
  7. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは補足説明はこれで終りましたから、質疑はこの次に廻しまして、何か資料の要求がございましたら。
  8. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 恐れ入りますが、今度の改正案でバス事業だけが外形標準課税が所得課税にならなかつたという基準について、ほかのトラツク、タクシー、ハイヤー、通運事業等と運賃基準については私は同じだと思うのですが、これについても同じであるかないかは数字で明らかにして頂かなきやいけないので、各事業の運賃算定基準がどういうように見込まれておるかということを明らかにして頂きたい。その資料を各業種別に一応お出しを頂ければ大変有難い。  それから各地方別に外形標準課税をトラツクその他について取つて、バスについて取らなかつた事情が、バスについて収益が他の事業より余計あるやにお考えになつておられるのじやないかと思いますので、各府県別にそれらのタクシー、ハイヤー事業、通運事業、トラツク事業、バス事業事業の収益率というものが一体どうなつておるかという点も恐らく御調査になつた上でああいう特別な措置をバスだけにとられたと思うので、その点を明らかにして頂きたいということと、更に標準税率という点について私わからないのですが、昨年自治庁から出されておる何といいますか、自動車に関する各地方府県への通達がございますね、自動車に関する準則とかいうあの準則について各府県取扱が必ずしも同一でないわけです。ということは標準税率というものを車のどこへとるかということについて同一でないわけですね。従つて府県別に標準税率というものをどこへ置かれたか、その置かれた基礎は一体どこか、例えば或る府県では四十一両から五十両にとつた府県もあり、或る府県では二十一両から三十両にとつた所もあり、或る県では三十一両から四十両にとつた府県もありということで、自治庁の御通達は二十一両から三十両ということが標準税率の車に対する基準であるやに私は御通達を拝見して伺つておるのですが、併しそれはどういう基準でとられたかということ、御質問は後ほど申上げることとして、各府県取扱が必ずしも同一でなかつたということに問題がある。従つて府県別の標準税率に対する車両の基準をどこにとつたかという点について、各府県別にその内容を是非お出しを頂きたい。かように思うのでありますがね。
  9. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 伊能さんからお話になりました……
  10. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 今の両と言つたのは人の間違いです。
  11. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) 最初の料金算定基礎の問題は、料金統制の仕事で扱つている官庁のほうへ御要求頂ければいいんじやないかと思いますが、若し委員部のほうからでも連絡して頂けば仕合せだと思います。
  12. 内村清次

    委員長内村清次君) その点は又委員部その他と連絡をとりますから……今のは御納得が行きましたね。
  13. 奧野誠亮

    政府委員奧野誠亮君) わかりました。
  14. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは一つ資料を出して頂きたい。
  15. 伊能繁次郎

    伊能繁次郎君 自治庁からもこの点お話を頂きたいと思います。
  16. 内村清次

    委員長内村清次君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時一分散会