○
説明員(兼子秀夫君) それでは
地方財政の状況報告の御
説明と、資料の御要求がありまして、前回にお配りいたしたと思
つておりますが、「二十七
年度決算から見た
地方団体の赤字の原因」という三枚はかりの印刷物、この二つを御
説明申上げます。
状況報告につきましては、一頁から三頁まで序のところで二十七
年度の
地方財政の状況につきでまして、大体特徴を挙げて御
説明をいたしてございます。それは先ず第一に国の決算と
地方財政の決算とを比較して見ますると、国の財政のほうにおきましては
歳入総額が一兆七百八十八億円、歳出
総額が八千七百三十九億円で、歳計剰余金が二千四十九億円、翌
年度繰越歳出の
財源充当額を差引きますと、実質上の決算は八百五十九億円の残ということに相成
つております。これに対しまして
地方財政の決算状況は、
歳入総額が八千五百三十億円、歳出
総額が八千四百二十億円で、歳計剰余金は百十億円でございますが、同様に翌
年度の繰越歳出の
財源を二百九十六億円必要でありますので、それを差引きいたしました実質上の決算は百八十五億円の
財源不足ということに相成
つております。又これを赤字
団体なり赤字額の
増加の傾向から見てみますと、赤字
団体は千六十九と書いてございますが、これは千四十九の誤りでございます。一千四十九
団体で前
年度の約一・五倍となり、又その歳計
不足額は百五十四億円の多額に上
つておりまして、前
年度の二・四倍に達しております。これを先ほど申上げましたような事業繰越や支払繰延等翌
年度繰越歳出の充当
財源を控除いたしました実質上の決算について見ますと、
財源不足とな
つております
団体が二千六百三十一
団体に及び、その
財源不足額は約三百億円に達する
見込でございます。
又、かくのごとく
地方財政が窮乏化した姿は
地方財政における
一般財源の形において見ますと、国庫財政における
租税収入の
歳入総額に対する
割合が七八%を占めておるのに対しまして、
地方財政におきましては、
歳入総額中の
租税収入の占める地位は三六%を占めておるのに過ぎないのでありまして、
地方財政平衡交付金を加えましても、
一般財源は
歳入総額の五二%を占めるに過ぎないのでありまして、この
割合が前
年度から見て減
つておるのでございます。
又いま一つの見方から以下第一から第五まで決算状況について特色々挙げてございますが、第一の特色は、前
年度は
地方財政計画と実際上の税収との比較、即ちその
超過額は二百十二億円あ
つたのでございますが、二十七
年度におきましては、その超過いたしました金額が百四十三億円となりまして、差額が約六十九億円減
つておるのでございます。財政
計画から見ますと、百四十三億円もオーバーしておるではないかということになるのでございますが、
団体のほうから見ますと、前年のほうがそれだけ楽であつた、かような見方もできるわけであります。これが
地方財政の窮乏化の直接の原因と見られると思うわけです。
第二の特色は
都道府県の
地方税収入が、徴収率が上昇しているにもかかわらず、財政
計画の
見込額を下廻りまして、
増加率は殆んど僅少であ
つて、
都道府県は二十六
年度におきましては朝鮮ブームの景気によりまして、
法人事業税等の増収等がありまして、非常に税が伸びたのでありますが、二十七
年度以後におきましては税
収入が伸びず、逆に大阪府等二十二府県におきましては、前年より税が減
つておる。これが大きな赤字の原因にな
つておると思われるのでございます。
第三の特色は、
地方税収入の増収、
地方財政平衡交付金の
増加にもかかわらず、これら
一般財源が
歳入総額中に占める
割合が前
年度よりも低下した。
都道府県におきましては前
年度より四・九%、
市町村におきましては一・八%低下しなのでございます。
第四の特色は、人件費の
増加が著しいこと、即ち
給与改訂、諸手当の
改訂等のための人件費の
増加額が七百十九億円でありまして、一方それに対応する税なり、平衡
交付金なりの
増加、即ち
一般財源の
増加があるわけでございますが、これが先ほど申上げましたように税等が減りました
関係もありまして、この
増加額が六百五億円にしか達しません
関係で、その面から見ますと、人件費と
一般財源の
増加との差額が百十四億円
不足をする、このような姿に相成
つておるのでございます。
第五の特色は、同様な
地方財政の窮乏の姿が投資的
経費、即ち仕事のほうにも現われておるわけでございまして、投資的
経費総額におきまして、前
年度より四百十七億円
増加しておるのでございますが、
一般財源、即ち税と
補助金や起債等がありますので、さような特定
財源を引きまして、
一般財源の充当額だけを見ますと、六十九億円減
つている。更にこれは単独事業費において顕著に見られるところでありまして、単独事業費の
増加は前
年度が著しく伸びた
関係もありますが、前
年度に対しまして二十四億円、即ち四%の伸びにとどまり、
一般財源の充当額が逆に八十四億円前
年度より減
つておる。かような五つの特色が考えられると思うのでございます。
次に四頁から二十三頁までが二十七
年度の決算を分析いたしておるのでございます。第五頁の表、即ち第一表が
昭和二十七
年度の決算の概況でございます。縦に見て頂きますと、
歳入、歳出、歳計剰余金、これが
只今申上げました決算、形式上の決算と申しますか、決算の
決算額でございます。その次に事業繰越と支払繰延等がございますので、その充当
財源を引きました一番下の欄が純剰余(
財源不足)額と、こう書いてございます。三角にな
つておりますのが赤字でございますが、これが実質上の決算と我々がい
つている問題でございます。同様に一番おしまいに各
団体別の決算を七十四頁以下に挙げてございますが、欄の見方は同様でございまして下から三段目の再差引純剰余金(A)マイナス(B)と書いてありますのはここでいう実質上の決算であります。それを下の二段、即ちこれは下の欄は形式上の決算として比較をしておるのでございます。
それから元に戻りまして、第五頁で
都道府県における決算状況を見てみますと、
只今申上げました七十四頁の附表の第一に各県別に書いてございますが、そこに上から三番目のところに三角のついておるのが赤字
団体でございます。一番大きなのが兵庫県で十一億六千九百万円の赤字、それから京都府が十億、新潟県が四億、長野県が四億、石川県が三億、このようにこれらの府県の赤字額が四十五億円に達しております。支払繰延等を入れますと三十五
団体に達しまして、
不足額が百三十八億円に達する状況でございます。
次に
五大市を見てみますと、附表第二、即ち七十六頁に個別的に書いてございますが、赤字の
団体が三
団体で、横浜、京都、大阪が赤字にな
つております。その下の欄を順序よく見て頂きますと、黒字の
団体は名古屋だけで、あとは皆赤字にな
つております。
それから市につきましては、附表第三、七十六頁から七十七頁以下、ずつと個別的に挙げてございますが、これは百三十二市が歳計剰余金、即ち黒字でございまして、百四十六市が赤字にな
つております。更に事業繰越や支払繰延の
財源等を考慮いたしまして、実質上の決算を見てみますと、赤字となるものが二百一市に達します。其の際に実質上黒字であるのは僅かに七十七市、市の赤字の状況がひどくな
つておるのでございます。赤字の著しい市を見てみますと、尼崎市が六億三千五百万円、これが筆頭でございます。松山市が三億一百万円、堺市が二億、一億を超えるものは広島、下関、明石、豊中、松本、防府、吹田、山口、鳥取、岩国、小松島等でございます。そのうち原因が何であるかということが御要求の資料にあるのでございますが、尼崎等は地盤沈下等がありまして、後
年度に属する工事の繰上施行をいたしております。そのようなのが赤字の原因であります。中には、それ以外は税が減
つておるとか、戦災がひどいとか、或いは鳥取のごとき火災災害がひどいというような原因が挙げられておるのでございます。
町村につきましては、附表第四の
通りでございまして、これは府県別にくく
つてございます。八十八頁以下に書いてございますが、これは
歳入、歳出、歳計剰余金、これは府県別に組みまして、特に下の欄には赤字
団体だけの
歳入、歳出、歳計
不足額というものを出してございます。歳計
不足、赤字とな
つておる町村が八百八十九町村ありまして、その歳計
不足額が二十二億円でございます。歳計剰余金を出しておる町村は八千八百五町村で、その歳計剰余金は六十六億円でございます。
特別区は附表第五の
通りで、これはどこも黒字にな
つておりますが、実質上の決算においては、二区だけが
財源不足とな
つております。
それから前
年度決算状況との比較をしてみますと、七頁の第二表に書いてございまするように、歳計剰余金は百三十九億円減
つておる。前
年度の半額以下、四四%に歳計剰余金が落ちておるのでございます。
以下省略をいたしまして、八頁の終から三行目に赤字
団体と赤字額、これが先ほど序のほうで御
説明いたしました赤字
団体数と赤字額の問題でございます。二十七
年度におきましては、赤字
団体数が千四十九
団体で、金額が百五十四億五千九百万円、前
年度より九十一億六千百万円増ということにな
つております。
それから九頁の第四表は、実質的赤字
団体数と実質赤字額という角度から見ております。これによりますと二十七
年度は二千六百三十一
団体で三百億六千五百万円ということに相成
つております。
次は十頁以下でございますが、二十七
年度の決算の分析と挙げておりますのは、十頁、十一頁に挙げておりますのは、
歳入歳出の款別で二十六
年度、二十七
年度を対比してございます。
歳入におきましては千五百九十四億円の増にな
つております。二三%増でございます。
それから十一頁から十二頁にかけての表は歳出を款別でなく、性質別に消費的
経費と投資的
経費、かようなカテゴリーで分析をいたしてございます。十二頁の半ば頃からそれについて御
説明をいたしてございますが、税
収入が三千七十七億円になりまして、
歳入総額中に三六%を占めておりますが、平衡
交付金が千四百五十億円で一七%、国庫支出金が千六百十八億円で一九%、
地方債が七百七億円で八%、前年に比しまして
増加額は千五百九十四億円で、
地方税収入の
増加が三百五十五億円、平衡
交付金の
増加が二百五十億円、国庫支出金の
増加が三百五十六億円、
地方債の
増加が百七十四億円でございます。
それから十三頁の四行目くらい、括弧の(3)というところがございますが、歳出
増加額を
経費別に見ますと、消費的
経費の
増加、人件費等でございますが、さようなものが千二百四十四億円、投資的
経費、仕事のほうの
増加が四百十七億円でございます。消費的
経費は歳出
総額の六五・五%を占める。前
年度に比較してその構成率も一・六%高くな
つておる。仕事の
割合がそれだけ減
つておるというわけであります。又人件費の
増加が七百十九億円で、物件費の
増加が二百三十六億円、その他の
増加が二百八十九億円で、人件費の
増加額のみで
一般財源の
増加額の六百五億円を呑んでしまうという形にな
つております。
それから終りから五行目くらいにございますのは、
都道府県別に歳出の
経費別内訳の状況を見ると、附表第七でございますが、附表第七は九十四頁に書いてございます。
団体別に消費的
経費と投資的
経費、補助事業と単独事業というふうに分けておりますが、消費的
経費が歳出
総額の七〇%を超えるという
団体が宮城、千葉、東京、長野、京都、福岡、長崎、熊本の八府県に対して、投資的
経費、逆の仕事をや
つておる
割合が高いものを拾
つてみますと、単独事業費が歳出
総額の一〇%以上にな
つておりますのは神奈川と岐阜、静岡の三県だけでございます。
次は
地方税収入の状況を御
説明申上げますと、財政
計画二千九百三十四億円と比較すると、百四十三億円の増収でございますが、十四頁の終りから三行目に書いてございますように、府県におきましては十億七千六百万円財政
計画に足らず、十五頁の終りから三行目にありますように、
市町村におきましては百五十三億八千二百万円
計画額をオーバーする、合計で百四十三億六百万円のオーバーにな
つております。府県税で財政
計画に取り足りませんのは、主として
遊興飲食税が四十五億、
入場税が十八億、それから
市町村税で
計画をオーバーしておりますのは
市町村民税の
所得割が五十六億、
固定資産税の
家屋が三十八億、
償却資産が三十一億、
土地が十一億、さようなものが主なものでございます。次に、十六頁から十七頁にかけましては、府県と
市町村の税に分けまして、それぞれのグループにおきます
一般財源中に占める
地方税収入の
割合等を比較してございます。十九頁の第八表は
一般財源について載せてございますが、府県
市町村のグループに分けまして
増加額と
増加割合を見てみますと、
増加率は市が一番高くて二〇・三%、次は
五大市一五・一%、
市町村の平均で一九%、府県は一二・五%にな
つております。
歳入総額中に占める
一般財源の
割合から見てみますと、府県の減り方が高く、
市町村は極く僅かである。次に二十頁は人件費の問題でございますが、人件費は二十六年十月に
給与改訂があり、更に二十七年十一月に再び
給与改訂が行われまして、或いは勤務地手当の支給地域の
改訂、石炭手当、寒冷地手当の
改正等があり、年末手当、勤勉手当の支給卒が給与月額の一・五ヵ月とされたこと等によりまして、人件費の
増加が著しく、前
年度二千二百六十九億円から七百十九億円の
増加となり、
総額二千九百八十八億円とな
つております。財政
計画と比較いたしますと、四百二十七億円上廻
つております。それから二十一頁の第九表は人件費の
増加状況と
一般財源の
増加額との比較をいたしております。府県、
市町村のグループに分けまして、人件費の
増加が府県におきましては四百八十四億、府県財政というものは人件費のウエイトが非常に高いのでございます。これは教育費等の
関係があるからでございますが、四百八十四億。
市町村は二百三十四億円の
増加とな
つております。又
一般財源の
増加額を見て見ますと、府県は二百六十七億円、
市町村は三百三十七億円の増とな
つてしま
つておりまして、前
年度非常に府県は伸びた
関係で二十七
年度は
一般財源の
増加が少い、このような数字にな
つております。二十一頁のおしまいかつら四行目ぐらいに投資的
経費の状況を御
説明してございますが、投資的
経費の
総額は二千六百六十二億円で、
地方歳出
総額の三一・六%を占めておりまして、前
年度と比較すると、四百十七億の
増加とな
つておりますが、消費的
経費の
増加額が千二百四十四億円に比較して仕事のほうは伸びが非常に少いということにな
つております。補助事業におきまして三百九十三億円、単独事業において僅かに二十四億円の
増加とな
つております。補助事業、単独事業に分けまして、又更に内訳を府県分と
市町村分、それから補助事業を普通と災害復旧に分けまして、それぞれ
一般財源の充当額を二十六
年度と二十七
年度と比較してございます。
次に、二十四頁以下の二十八
年度の
地方財政計画を御
説明いたしてございますが、二十四頁の十一表は
昭和二十八
年度の
地方財政計画で、これは当初予算に伴う
地方財政計画でありまして、八千五百八十億円の
財政規模とな
つております。それからその内訳の
説明をずつといたしておりまして、税のほうで言いますと、二十九頁に
地方歳入の前
年度計画と比較、税で行きますと百十二億八千七百万の増、合計で千百七十七億の増ということにな
つております。又税の府県別と
市町村別の内訳は三十頁に書いてございますが、府県税分におきましては二十七億の減、
市町村におきましては百四十億の増、差引き百十二億の増にな
つております。それから御
承知のごとく、災害が本
年度にございましたので、災害に伴う財政
計画等の
説明が要るのでございますから、三十三頁に入れまして、それが災害
関係の
地方財政計画でございます。三十四頁以下には第二次補正予算
給与改訂がございましたので、その
関係の
地方財政計画を入れてございます。第十八表は修正
地方財政計画、
給与改訂の分でございます。三十五頁の真中辺でございますが、従
つて二十八
年度修正
地方財政計画は当初
財政規模八千五百八十億円に第一次補正予算に伴う新規財政需要額三百二十九億と、第二次補正予算に伴う新規財政需要額二百四十億円とで、合計九千百四十九億円とな
つております。前
年度から千七百四十六億円の
規模の
増加とな
つております。第十九表でございます。次は二十八
年度における
地方税財政制度の
改正と
運営の現状、並びに平衡
交付金の配分であるとか、税法の
改正或いは起債の配分
関係等をそこに記してございます。更に義務教育費国庫
負担法の
実施がございましたので、その間の消息を記録的に四十二頁以下に記載してございます。大体財政はさようなことでまとめてございます。あと二十九
年度以降の問題が、二十九
年度の財政
計画につきましては五十六頁以下に書いてございます。最後に七十二頁に二十九
年度の
地方財政の問題点と考えられるものを三つばかり挙げてございますが、第一は最近の
地方財政の赤字は著るしく、二十七
年度決算で繰上充用額が百五十七億円、実質上の
財源不足額三百億円で二十八
年度の実質
財源不足額は現在三百六十億円に達するものと推定される。この赤字
団体の再建整備について、
地方制度調査会は、財政資金の貸付を行い、財政再建整備を行わせるように
答申されているにもかかわらず、
措置されていない。第二は
地方公募債は
一般会計分で百三十五億円、公営企業会計分六十五億円の
計画とな
つておりますが、これ又
地方制度調査会の
答申の
地方公募債消化促進策としての
地方団体中央金庫の
創設がなされていないということでございます。第三は、二十九
年度の財政
計画は
相当に厳しい。即ち既定
財政規模を是正されているにもかかわらず、
地方制度調査会の
答申におきましては、三百億円の是正を必要という議論でありましたのに、半分
程度の百四十九億円しか是正されていない。而も国と同様に
財政規模の縮減を図るということからいたしまして百二十億円、これは国のほうも落ちておるのでありますから当然とは思いますが、百二十億円節約を期待しておるということでございます。以上で
地方財政の状況報告の御
説明を終つたことにいたします。この前お手許にお配りしておると思いますが、赤字原因につきまして考えられるものを拾
つたのでございますが、少し読む物を持
つて参りましたから……。それで一頁、二頁には府県の赤字原因のものにつきまして拾いました。第三頁は市の赤字の原因を拾
つてございます。状況報告のほうで御
説明いたしましたように、府県は
団体別の決算が七十四頁以下に附表で出ておりますので、そこを御覧頂きますとわかるわけでございますが、赤字原因がありましても、すぐにそのまま赤字に出るわけではございませんので、我々といたしましては、赤字原因という角度から考えてみたのでございます。第一に考えられますことは、府県におきましては、税
収入が前
年度から減少したもの、これはやはり赤字原因ではないか、前年如何に税が伸びましても、翌年税が減りますと、その
団体は非常にきつくなるのであります。その意味で税が落ましたものを括弧で金額百万円単位でございますが、例へば最初の大阪は十四億九千六百万円税が減
つておる。次はずつと落ちまして、滋賀が四億五千二百万、富山が三億八千三百万、以下括弧の中の数だけ税が減
つておるのでございます。実際の二十七
年度の決算の結果は、大阪はかくのごとく税が減りましても決算上は赤字にな
つておりません。でありますので決算上赤字にな
つておりませんものをこのうちから拾いますと、大阪と、一番上の欄の左の岐阜、二段目の欄の宮崎、これは事実上も形式上も黒字でございます。税が減りましても、それだけ自己の
財政運営でけりをつけておるのでございます。それから形式、実質共に赤字とな
つておりますのは兵庫と富山でございます。これは実質、形式共に赤字にな
つております。この
内容につきましては、この附表に形式も実質の金額も挙げてございます。それでその他の、今の欄の以外の滋賀とか愛媛、三重、徳島、山口、福井、山形は形式上は黒字でございまして、実質上は赤字ということにな
つております。形式上は黒字で、正式の決算では黒字でございますが、支払分の上では事業繰越等を考慮すると赤字になるというものでございます。以上が一億円以上のもので、次は一億円以下でございますが、前
年度から税が減りましたのが十県ございますので、二十二県前
年度から税が減
つておる。この
団体におきましては、
財政運営が非常にきつくな
つておるのでございます。
次は二番目に書いてございますが、税
収入額が
基準財政収入額の七分の十
相当額に及ばないもの、平衡
交付金のほうで配
つておりますのは、取れるであろうと思われる税の額の七割を
基準財政収入額として
基礎にと
つておりますので、逆に我々の見方といたしましては、税はこれだけ取れるのではないかという額は、その七分の十の
相当額でございます。その額に比較しまして実際の税
収入が入
つてないと思われます県を拾
つてみますと、第一が大阪で三十四億、東京が二十四億、それから京都が五億八千五百万、兵庫が五億六千五百万、以下同様に次の愛知が四億七千三百万、これまでが大きいのでありますが、あとは一億七千万以下に相成
つております。この税が取れないという、取り足らない府県が合計で十九府県ございます。大阪から愛知までは大府県でございますので、
事業税の原因もございます。それから
遊興飲食税、
入場税等の問題もあります。山口におきましては
入場税、それから
遊興飲食税でございます。富山も同様でございます。香川県はそのほかに
事業税がちよつと
個人分が取り足らない、こういう原因にな
つております。
次の第三の原因として考えられますのは、これは仮定でございまして、かような考に方も成り立ち得るという角度で拾いました原因でありますので、さよう御了承願いたいと思うのでありますが、平衡
交付金
制度がとられました二十五
年度を
基準にして、と申しますのは二十六
年度は府県によりましては
法人事業税等が著るしく伸びている
関係がありますので、二十五
年度を
基準にして、全国平均の伸びで伸して来た場合に、
一般財源、
交付金がどういう形になるかという角度から比較をいたしまして、その
一般財源の伸張が財政
計画の伸張の
割合に及ばなかつた、さような府県をと
つてみますと、兵庫県が九億七千五百万、石川五億七千五百万、山口が四億二千三百万、以下同様でございますが、かくのごとき所は府県としてその
団体といたしましては財政が非常に辛くな
つているというふうに見られるのでございます。
次の四は状況報告の中にも触れてございますが、二十六
年度は税が
基準収入から二百十二億円オーバーしたのに、その伸びが小さくな
つて来た、百四十九億円に落ちてしまつた。結局
超過額が六十九億円減少した、それだけ
地方財政が苦しくなるという見方をいたしておるのであります。
次の頁の歳出のほうを見ますると、歳出決算の膨脹が著しいこともと書いてございますが、歳出のほうの原因から見まするということでございます。字句が少しく適当でないかと思いますが、(1)人件費の
増加が著しく、その
増加額がこれを賄うべき
一般財源増加額を超過しているもの、状況報告の中でも触れたのでございますが、人件費の
増加以上に
一般財源の
増加がありませんと、その
団体は財政が苦しくなるのでございます。その面から見てみますると、大阪は四十二億、厖大な金額が足りなくな
つておる。東京が十七億四千六百万円、兵庫が十四億九千五百万円、京都が十億三千七百万円、北海道が九億五千万円、愛知が九億二千万円、山口が八億八千万円、かように人件費のほうが伸びがきついところのものが全部でそれだけ、前
年度より税が伸びたというところもあるわけでございますが、かような姿を示しております。
それから二番目の直轄事業分担金の支払繰延べがあること。形式上の決算面では黒字にな
つておりましても、国の工事に対する
負担金の支払を延ばしておるというような
関係もありまして、支払繰延べがあるということが赤字の大きな原因であり又結果にな
つておるわけでございます。その金額は茨城が一番多くて七億四千七百万円、千葉が六億九千八百万円、これは利根川の工事というものは沿岸の府県にかぶされておりますが、我々から見ますると、
負担制度そのものが無理じやないか。むしろ利根川の決壊によ
つては東京が不利益を受けるのであ
つて、沿岸府県が果して知事が
負担するからと言
つて負担することがどうか。府県のほうは工事をしてもらいたいのでありますから、分担の承諾をいたしましても実際払えないものは払わない、このような姿で現在まで立至
つております。但し二十八
年度から
交付公債ができますから、この赤字額は二十七
年度までの赤字の累積分であります。その他特殊事情を強いて拾
つてみますると、平衡
交付金では
一般交付金で見られない財政需要につきましては、特別
交付金で見ておるのでございます。例えば大学の設置には非常に金がかかるのでございます。府県で大学を持
つておるか或いは市で大学を持
つておるかによ
つて違うわけでございますが、兵庫県は大学をたくさん持
つております。神戸商科大学は国立でございますが、県立で商業専門学校を作つたそのようなものが戦後大学にな
つております。商科大学以外に農業大学も二つあるというような
関係で非常に金がかかるというようなわけでございます。その他災害の
経費が多いというようなことなどが府県では赤字の原因と見られます。
次に市のほうも同様な見方で拾
つて見ますと、税収が前
年度より減収と
なつた大きなものを拾いますと、先ほど申上げましたような拾い方をによりますと、久留米、その下の延岡、これは共に黒字でございます。税は減りましたが、前
年度の税を貯めておつたということで
財政運営をいたして、おります。これは
人口区分別で
団体を並べておりますが、その中で特に税額が前
年度より最も大きく減りましたのは岩国が五千四百万円、三原五千百万円、西条が三千八百万円、新居浜が三千四百万円、これはそれぞれ御
承知のごとく繊維
関係の工場の景気によ
つてその年の財政の運命が左右されるということを示しておるのでございます。
次は
一般財源額が前
年度より減少したものは、同一様でございまして、今まで非常に巨大な税が入
つておつたという
関係で減
つているのでございます。
一般財源が前
年度から減つた大きなものは今度は釜石、日鉄のある釜石であります。その前に岩国がありますが、岩岡がやはり大きく五千五百万、その次が釜石が五千三百万でありまして、三原が四千七百万、それから西条が三千七百万、製鉄と繊維でございます。
三番目に人件費の
増加額が
一般財源増加額を超過しておるものという角度で拾
つてみますと、一番大きいのは、
五大市を入れますと、横浜、神戸、神戸が四億三千百万でございます。岩国九千三百万、それから釜石が七千二百万、三原、延岡、金沢、このような
団体が
一般財源が前
年度より税が減つたたという
関係で、人件費の圧力がかか
つているというわけでございます。
次は角度を少し変えまして、実際上の赤字の原因と申しますか、そのような面から考えてみますと、御
承知のごとく教育施設、小中学校の設備の
関係で〇・七坪、或いは単価の問題で、やはり
団体としては必要な仕事をしなければならんというような
関係で赤字にな
つております。それから
住宅等におきまして、学校でもそうでありますが、学校では大都市の
土地代が非常に高くな
つておりますが、
住宅におきましては、これは全部でございます。一戸当りの
土地代が、用地費が非常に安く見積られております。又補助対象から外れる、補助対象と補助額この二つが過少であるということが原因でございます。
五番目が、
財政規模膨脹が財政力に即応して収縮を図ることが容易でない、これは原因でもあり結果でもある問題でございますが、一度税等で
歳入が膨脹いたしますと、それに連れて歳出のほうも膨脹いたしますので、すぐには歳出のほうが小さくならないのでございます。
その他特殊原因として挙げておりますのは、大都市周辺の都市でその影響を受け、消費的
経費殊に人件費の
割合の高いものがある、これは東京の附近、それから京阪神地区、北九州地区等がその影響を受けるわけでございますが、その都市の産業状態が、税の入る工場等がありますれば差支えないのでございますが、税収の弱い工場地域でありますと、例えば大阪府の堺のごときは、工場があるにはあるのでございますが、税収が比較的伸びないというような
関係で、而も歳出のほうは大都市なみにや
つて行かなければならん、而も
人口は非常に
増加をすると、そういうようなところでは赤字原因にな
つております。つまり大都市周辺の都市におけるところの赤字の原因にな
つております。
次は、これは非常に少い例でございますが、国民健康保険の財政が、保険経済のほうが、保険料が低くて保険給付のほうが上
つてバランスが失われた場合に赤字になりまして、これは厚生省のほうでも再建整備をや
つておられますが、その過去の赤字を
一般会計のほうで
負担しておつたというようなところがあるのでございます。それが一部の原因にな
つております。その次が、しばしば言われておるところでありますが、国民体育大会は現在全国を廻り持ちでや
つております。これをやりますと、大体その
地方で、県なり市で三億から五億
程度の施設を作らなければなりません
関係上、これがその
団体にとりましては赤字の原因にな
つております。
次は、特殊の赤字原因を拾
つたのでございますが、(4)の赤字原因から見ますと不適当でありますので、一番初めの国警という字句は削除して頂きたいと思います。町村におきましては国警の
負担が非常に大きいのでございます。府県によりましては一町村当り五万円とか十万円とかいうものを
負担しておる。そのほかに駐在所等は歴史的に
負担しておるわけでございますが、これは市よりも町村の
理由でございますので、国警の点は削除して頂きたいと思います。それから検察庁の建築、或いは裁判所の建築等もございますが、それから最近は国鉄の駅等が各都市で立派に
改築をされておりますが、国鉄の駅を作ります場合には、国鉄当局のほうでは予算がそれほどない、而も市民は立派なものを建ててもらいたい、お前のほうで少し金を持つかという相談になりまして、実際上は
相当団体で駅を大くし、或いは立派にするために
負担をいたしておるようでございます。そのようなものが赤字
団体の中に若干ございます。
以上でございます。