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1954-03-16 第19回国会 参議院 地方行政委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十九年三月十六日(火曜日)    午前十時四十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     内村 清次君    理事            石村 幸作君            堀  末治君            館  哲二君    委員            伊能 芳雄君            伊能繁次郎君            小林 武治君            島村 軍次君            若木 勝藏君            加瀬  完君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部刑事部長   中川 董治君    自治政務次官  青木  正君    文部大臣官房会    計課長     内藤譽三郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       伊藤  清君   説明員    大蔵省主計官  鳩山威一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○質屋営業法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (昭和二十九年度地方財政計画に関  する件)   —————————————
  2. 内村清次

    委員長内村清次君) 地方行政委員会を開会いたします。  質屋営業法の一部を改正する法律案を議題に供します。犬養法務大臣神経痛のために御出席がありませんから、斎藤国警長官から提案理由を聞きます。
  3. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 今回提出いたしました、質屋営業法の一部を改正する法律案提出理由及びその内容について御説明いたします。  今回出資受入預り金及び金利等取締に関する法律案を別途提出したのでありますが、その第五条において、金銭貸付利息日歩三十銭を超えるものについて罰則を定めたのであります。併しながら、質屋利息は純利のほかに質物保管料質受手数料等を含んでおりまして、一般金利と異る性質を持つております上に、質屋は、法律によつて各種防犯上の義務その他特別の義務を課せられており、社会経済上の必要から古来の商慣習として月暦による利息計算方法を広く採用しておりまして、出資受入預り金及び金利等取締に関する法律案日歩計算方式を、刑罰法規適用において全面的に採用いたしますことは不適当であると考えられますので、ここに質屋営業実態に即するよう特別措置を講ずることといたしたのであります。  この法律案要点は、質屋利息計算方法につきましては、質屋の長年の商慣習でありますところの、暦による月の初めから末日までを一期とする月利計算方法、即ち入質から出資までの期間が同一暦内であるときは一期、二以上の暦月に亘るときはその亘る月の数を期の数として計算する方法高金利処罰規定適用の場合の最高限度計算方法として認めることといたしました。利率につきましては、一期について出資受入預り金及び金利等取締に関する法律案に定める日歩の三十日分を超えないこととしたのであります。  以上が、この法律案提出理由及びその内容の概要であります。何とぞ御審議のほどをお願いいたします。
  4. 内村清次

    委員長内村清次君) 補足説明がありますならば一つ……。
  5. 堀末治

    堀末治君 もう少し詳しく説明して頂けませんか。
  6. 中川董治

    政府委員中川董治君) 只今要点につきまして御説明がありました内容のうち、技術的な面を補足させて頂きたいと思います。  今般別途提出されておりますところの出資受入預り金及び金利等取締に関する法律案とは、各般の規定規定しているのでありますが、そのうちで高金利処罰規定をこの法律案中に規定されておるのであります。それはその第五条におきまして、日歩三十銭を超えるものにつきましては、罰則を定めまして、日歩三十銭を超える金銭貸付契約をするもの、又それによるところの利息を受領するものは、罰則規定いたしたのであります。ところが質屋実態についてこれを考えてみますると、質屋はこの利息という性質一般金利性質内容的にも異なつておりますので、その必要からいたしまして、従来からも久しきに亘り商慣習として日歩計算方式によらないで、暦によるところの月を基準として計算されておりますのが質屋金利実態でございます。質屋金利内容につきましては、そういう実態を持つておりまして、それが慣習において行われておるのでありますが、その慣習のよつて来たる理由の中に、質屋金利が他の一般金利と異なる内容を包蔵しておるということも、原因の重要な一部かとも考えられるのであります。つきましては、質屋利息というものを実際上の需要供給関係で、だんだん改善されて行くということは好ましいことでありますが、刑罰法令適用に当りまして、従来の商慣習刑罰法規適用においてまでもこの日歩計算方式を用いるということについては、事情にそぐわないものがあろうかと考えられますので、これにつきましては、月利計算方式、暦によるところの月を基準とする計算方式がこの質屋営業実態に即するという理由の下に、質屋営業法の一部を改正する法律案内閣提出した要点であろうと思います。それによりますと、月利計算方式で見るということが一つと、その結果現在質屋利息につきましては、法律上の制限はないわけでありますが、これによりまして制限される内容は、出資受入預り金及び金利等取締に関する法律案に定める利息日歩の即ち三十銭の三十日分、別言いたしますと、月九分を超えてはならないと、こういうことに相成るのでございます。換言いたしますと、今度のこの法案によりまして、出資受入預り金及び金利等取締に関する法律案と併せて読んで参りますと、質屋利息は月九分を超えて徴収いたしますと罰則適用を受けると、こういう内容に相成るのでございます。補足説明を終ります。
  7. 堀末治

    堀末治君 月九分にすると、二月に跨がると一割八分と、こういうことになるのですか。
  8. 中川董治

    政府委員中川董治君) その通りでございます。
  9. 堀末治

    堀末治君 今現在の実情はどんな工合になつているのですか。
  10. 中川董治

    政府委員中川董治君) 現在の実情を申上げます。現在質屋全国を通じまして一万八千店舗くらいございます。その一万八千店舖の月利計算方式は、現在は法律上の制限がございません。法律上の制限質屋営業法によりまして、利息店頭に掲示する義務を課しているだけでございます。店頭に掲示する義務を課しておりますだけで、内容につきましては法律上の統制はないのでありますが、現実に店頭に掲示されておりますところの利息実態は、およそ次のような状態であるのであります。先ずその大部分只今申しました月利計算方式、暦の月を基準にいたしまして、月に跨がると二期、三カ月に跨がると三期、こういう計算方式をとつておりますのが殆んど全部でございます。そうして、そういう計算方式の中で利息幾らになつているか、こういうことを調査いたしたのでありますが、その大部分が月一割でございまして、そのうちで比較的高いと思われるところにおきましては、月一割三分と店頭に掲示しておるものもございます。逆に月九分とか八分というのも若干見受けられるのでありますが、大部分が月一割、これが現在の実情でございます。それで現在の実情をそのままの状態におきますと、一割三分もございますし、一割もございますし、一割に満たないものもあるのでありますが、その一割が高い利息であるか低い利息であるかという点につきましては、いろいろ御意見もあろうと思いますし、検討の要もあるのでありますが、質屋原価計算と申しますか、そういつた点につきまして私どもも慎重に努力いたしたのでありますが、現在の営業実態という点について見ますと、現在の質屋営業につきましては、何と申しますか、入質者質置主保護に関する規定等が大分整備されて参つておりまして、殊に質蔵等につきましては、一定の基準公安委員会が定めておりまして、それによつて蔵を整備する。防失防火盗難防止措置を講じておりますので、こうした点にも相当の出費が必要だ。このほか質屋につきましては、犯罪、殊に盗難詐偽犯の臓物が質屋に流れる公算が多いのであります。質屋営業法におきまして、質屋に対しまして確認の義務を課しておる。その他防犯上の必要に基く法律上の義務を課しておる関係上、例えば台帳を作る。又それについて質置主が来た場合に置主を確認する方法、こういつた関係事務費も相当かかろうと思うのであります。而もその質を受けた場合におきましての金銭貸付契約の額はどの程度かということを調べて参りましたところ、一口千円未満契約がこれ又大部分でございます。おおむね八割が千円未満契約でございます。甚だしきに至りましては百円に満たない金銭貸付契約も相当部分あるのであります。そういう少額金銭貸付契約については、一般利息についての利率をそのまま適用いたしますと、手数料にも足りない、こういう結果に相成るのでございます。そういつた関係で、いろいろあれこれ考えて参りまして、そういう少額的な取引が多い。手数料その他防犯防失防火施設等を件わなければならないこと等を考えて参りまして、そういたしますと、手数料を別にとるということについては大変又計算が細かくなりまして、こうした庶民金融のときに、こうした細かい計算をすることは、質屋にも保護にならないというふうに考えられますので、たまたま二月に亘つてつておりますところの、暦によるところの計算方式は、刑罰法令適用の際においては認むべきではなかろうか、こういう結論にしたの達であります。そうしてその刑罰法令適用に対しましては、月計算方式を認めた上で、而も現行の一割乃至一割二分という率を認むべきかどうかについて、慎重検討を重ねたのでありますが、これもいろいろな角度から検討いたしまして、現在の一割とか、一割二分等もございますけれども、他の一般金利日歩三十銭と押えるという角度からいたしますと、日歩三十銭の三十日分ということは、他の一般金利との釣合いをとる上から一つ基準であろう、こう考えまして、他の一般金利日歩三十銭であるのに呼応いたしまして、これを九分に押える。こういうふうに考えまして、内閣からの提案なつたものと思うのであります。
  11. 石村幸作

    石村幸作君 そうすると、この目的は結局利息を上げようということになるのですね。
  12. 中川董治

    政府委員中川董治君) でないのでございます。現在の利息現状よりも、この法律ができることによつて押えられる結果に相成ります。
  13. 石村幸作

    石村幸作君 月にすると幾らになりますか。九分でしよう。
  14. 中川董治

    政府委員中川董治君) 計算方式がございますので、この計算方式を用いまして、月にすると九分以内でございます。
  15. 石村幸作

    石村幸作君 それはわかつておるが、これが二月に跨ると、例えば十五日から十五日で一カ月と仮定しますね。その場合に二、九一割八分取られるわけでしよう。こういう場合だと恐らく一日に持つて行つて三十一日に出せば必ず二月に跨がりますね。例えば二十日だろうが、十日だろうが、二、九一割八分というものを取られる。これは恐ろしい高金利ですよ。あなたのさつき説明だと、これは質物保管費用が非常にかかる、こうおつしやつた。これはちよつとおかしな話で、例えば三十銭というのは最高金利でしよう。こういうのは信用貸しとか何とかいう場合で、債権を確保できないというか、薄弱というか、手形のごとき信用程度が割合に低いものに対して今度最高の三十銭取るのですね。ところが今度は質物というのは一番いいんだ。一番債権を確保していられる。当然保管するのは自分の債権を擁護するために保管している。その保管料があるから高くしてもいいというのは解せない。又相手方というのは庶民階級なんですね。だから私はこの法律を概念的に承わつて、これは要するに質屋の擁護だ。こういうふうに見られるのですが、如何ですか。
  16. 中川董治

    政府委員中川董治君) 日歩計算方式をとりますと、極く短期の場合におきましては、御説の通り高い。それから一日に預けて三十一日に出す場合には御説の通りである。その点は確かにその通りでございますが、他の一般金利との差異の点については、いろいろ考え方があろうと思うのでありますが、現在質屋の実際徴収している額を中心に考えますと、この法律案が出ることによつて質屋收入が減ずる、こういう結果になることもこれ又事実でございます。
  17. 堀末治

    堀末治君 今の御説明によりますと、原価計算をして来た、こういうわけですか。実際に原価計算をしてみた資料がごございますか。
  18. 中川董治

    政府委員中川董治君) 原価計算につきましての努力をいたしたのでございますけれども、これにつきましては千変万様でございまして、正確な資料が出て来ない。従いまして只今説明いたしましたごとく、従来のこの契約実態を基礎にし、併せて今日の別の法律日歩三十銭という基準をかけて参つた、こういうことが真実でございます。
  19. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 今石村委員の御疑念の点も一応御尤もかと思うのでございますが、今日の実情は、質屋は殆んど全部と言つていいほど月計算でやつておるわけです。従つて二月に跨りますと、二月分の利子を取る。これがずつと長年の商慣習でやつておるわけです。そうして而もその利率は大部分が一割以上ということに今回なつているわけでございます。で一方で質屋以外の貸金、まあ一切の利率は今まで罰則処罰するような規定はなかつたのですが、今度これを日歩三十銭を超えるものは処罰をしようということになつたわけです。そこで質屋商慣習までも一高変えさすべきかどうかという議論が一つ出て来た。そこで質屋というものはこれは特殊の営業形態で、それで先ほど刑事部長から説明しましたように、百円とか二百円とかいうような少額のもので、而もその質物を預かるについては相当の蔵も造り、そうしてこれを保管をして行くという義務も負わされている。又他の金貸業のほうでは今度は届出制度がなくなつてしまうのでありますが。質屋は絶えず何と申しますか、監督の対象に置かれておつて店頭にその利子もなんぼということを書いて、絶えず帳面も検査をされるという立場に置かれているのでありますが、この際に今までの長年の商慣習を一体改めてしまうということは、これは質屋実体を非常に変える形になりますので、そこで政府といたしましては、質屋そういつた実体は変えさせないで、今まで通り認めて行く、ということは月利計算を認めて行くということなんですが、それじやその利息一般法律できめられている日歩三十銭ようももつと下げさすべきかどうかが問題になるわけでございます。ただ現状といたしましては、大体一割以上の利子を取つているものが大部分でありますから、そこは一般処罰対象になる限度九分で押えておくというのが丁度適当ではないかと、かように考えている。従いまして、この法律ができましても月九分まで必ず取るというわけじやございません。これは質屋の間のお互いの何と言いますか、競争によりまして、安い利率でやつて行けるという質屋があれば、そちらのほうが、繁昌して来る、そこで利率も自然下る、こういうことになろうかと思います。
  20. 石村幸作

    石村幸作君 もう一点お伺いしますが、公益質屋ですね、あれの利率はどんなふうになつておりますか。
  21. 中川董治

    政府委員中川董治君) お尋ねの公益質屋法は御案内の通り厚生省所管法律になつておりまして、この設置は御承知の通り市町村か、社会福祉法人に限られているわけでございます。この利息は相当古い法律関係等もありまして、「一月ニ付百分ノ一・二五ヲ超ユルコトヲ得ズ但シ特別ノ事情アル地方ニ於テ地方長官認可受ケタル場合ニ於テハ此限ニ在ラズ」と、法律の本文では月一分二厘五毛、但書地方長官認可をした場合にはこの限りでないという規定がございまして、厚生省調査いたしましたところ、但書の運用は殆んど全部やつておりまして、現在三分ぐらいの利息を取つている実情でございます。
  22. 堀末治

    堀末治君 私もう一つ伺いたいのですが、結局まあこの法律では、三月に跨がつたら、三十日にならなくてもとにかく二月分取るということは認める。同時に一割乃至一割三分の利子坂つてつたものを九分で押える。ここでバランスをとつたというふうに考えられるのでありますが、我々が小さいときから聞いているのでは、非常に質屋というものはうまいことをやつているもので、甚しいときには三日ぐらいに亘つてもとにかく二月分を取る、こういうようなことが一番質屋に対する大した儲けをやるものだなあというような考えを持つてつた点なのですが、その点を今回認められた、これは私は相当まあ問題のあるところだと思うのでありますけれども、その二月に跨がるというような場合には、特別にその利子を下げるとか何とかいうふうなことがあるのか、そういう実態はどういうふうになつておりますか、お伺いします。
  23. 中川董治

    政府委員中川董治君) その点の実態調べたのがございますが、二月に跨がる場合はいろいろなときがあるのでございますが、いろいろ地方実情によつて異るのでございますが、たとえ一日でも跨がつた場合には二月分を取る、こういう店舗もあるのでございますが、相当多数の店舗は一日に来た場合にはその月は負けてやる、二日に来た場合も負けてやる、どこまで負けてやるかということは店舗によつて違うのでございますが、一日乃至二日、三日ぐらいはその次の月に跨がつてもその月の分は取つていない、こういう実情も窺われるのであります。どの程度で負けるかという、言葉は悪いのでございますが、跨がつても取らないかというのは、二日間或いは三日間、こういうのが比較的多いように私どものほうでは聞いております。
  24. 若木勝藏

    若木勝藏君 その際にまあ二月分は取るけれども利率をぐつと下げるとか、そういうような実態はございませんか。
  25. 中川董治

    政府委員中川董治君) その実態は私ども調査に出ておりませんです。
  26. 若木勝藏

    若木勝藏君 わかりました。
  27. 堀末治

    堀末治君 今まで質屋は長年そういう習慣をして来ているからその習慣を認めようということですね。これは日歩計算にしたらどうしてもまずいのですか。
  28. 中川董治

    政府委員中川董治君) 日歩計算にしたらどうなるかしらという点も検討したのでございますが、私たちが特に感じました事柄は金銭貸付契約が千月未満のものが大部分であろうかと思うのでございます。少額金銭貸付契約でございますので、それに日歩をかけますと、非常に些少な金額が出て来る。そうすると今日の質屋のこの経理というものが著しく困難になるだろうということが推測できますので、刑罰法令適用としては只今月利計算方式を認め、利息のほうを下げて、あとはまあサービスのいい質屋に主に入るからだんだん下げて行くということを期待するのが至当であろうと考えたのでございます。
  29. 堀末治

    堀末治君 これは私は忘れましたが、この前公益質屋法をやつたときに、従来の質屋だけではどうしても庶民階級にとつてはまずいというので、こういう公益質屋法ができたのですね。実際の利用度はどんなものですか。利用程度というか。こういうのが多いのか、普通の質屋のほうが多いか、どつちですか。
  30. 中川董治

    政府委員中川董治君) 利用の点は公益質屋ならざる質屋店舘の数が相当多くて、公益質屋関係補助事業である関係がありますし、又市町村社会福祉法人に限られておりますので、予算その他の関係店舗が比較的少い、それらの関係質屋利用しようとする人は、比較的近くの質屋利用するという関係もありましようが、公益質屋店舗の数が少い関係上、利用関係一般公益質屋ならざる質屋のほうが数として多い。それで現在の利用者の階層及び一口当り貸付金額調べてみたのですが、これは正確にはお答えできないのですが、抜打的に調べたその結果によりますと、むしろ公益質屋のほうが一口当り貸付金額が多い。それで公益質屋ならざるほうが一口当り貸付金額の額が少い。こういうのが現状でございます。
  31. 堀末治

    堀末治君 その公益質屋一口当りの額の違うことはわかりますけれども、大抵どのくらいの標準になりますか、わかりませんか。例えば一方は千両未満が八〇%とか言いましたね。そうすると公益質屋のほうは大体何円が何パーセントという、それくらいの調べはつきませんか。
  32. 中川董治

    政府委員中川董治君) 只今調べは後ほど調べましてお答えいたしたいと思いますが、正確の数字はちよつと役所に置いて参りましたので、あとで又お答え申上げます。
  33. 堀末治

    堀末治君 それからさつきの御説明だというと、大部分は一割から一割三分くらいになつておる。稀には八分から九分くらいのもある。そうすると今度九分なら九分に押えたということになれば、八分のやつも九分に持つて行くという懸念はございませんか。
  34. 中川董治

    政府委員中川董治君) これはまあ刑罰法令適用マキシコムを押えると自然に天井まで上る傾向があるかどうかという御判断に帰着するかと思いますが、法律論からすればそういうことはないわけだけれども九分以上になると刑罰適用を受ける。現在は幾らつてもいいわけですが、暴利にならん以上は……。暴利になれば別ですが、物価統制令による暴利に該当すれば別ですけれども、何ぼとつてもいいわけなんだから、今度率を九分というところへ押えると五分でも三分でもいいわけだけれども九分になりはせんかどうかという御判断ですが、これはわからないので、これは需要供給関係質屋が仮に九分でも大変儲かるという事業になりますれば、これは自由企業でございますので、どしどし質屋が殖えて来れば自然競争によつて安くなる、こういう点が考えられますが、これはちよつと見当がつきかねるのでございますが、今の御質問の点は理窟から申しますと、自由企業でございますので、どしどし店舗が殖えて参ると競争の結果安くなるという理窟も立ちますし、今度は天井を押えると、どんどん天井まで上つて行くという傾向もあろうかと思いますが、ちよつとこれは見通しが困難でございます。
  35. 堀末治

    堀末治君 一万八千軒大体ある。それで大部分が一割三分だと言うけれども国警調べれば、大体一万八千軒のうち八分は何%、九分は何%、或いは一割、一割二分というふうにずつと統計は出ておりませんか。
  36. 中川董治

    政府委員中川董治君) ちよつと私聞き違えたかも知れませんが、大部分は一割でございまして、高いのは一割二分、三分、安いのは八分、九分もあるということでございます。
  37. 堀末治

    堀末治君 パーセンテージはわかりませんか。これはどうでもいいようなものですが………。得てして統制をするというと、天井のところへ行つてしまうことになり勝ちなものです、どうしても……。
  38. 中川董治

    政府委員中川董治君) その点の率は一万八千店舗を根こそぎ虱つぶし調べるのも一つ方法ですが、そうしないで、私のほうの調べでは全体を把握するために県庁所在地住宅地一つとり、それから県庁所市地繁華街一つとり、中小都市一つとり、それから農村質屋一つとる、こういう方式で大観がわかるという方式調査した結果の率を申上げますと、そういう調査の結果は、昨年一年間の二十八年という暦年の一年間の数字でございますが、八二%が一割でございます。それから一割二分の点はこれはのちほど、正確な数字がございませんが、全体の八二%が一割であることは間違いございませんが、その残りの一八%が上と下に分れるのでございますが、正確な数字は……一割一分以上が九%、それから一割のが八二%、それから一割に満たないのが九%こういうことでございます。
  39. 堀末治

    堀末治君 この数字は、今のは何軒ぐらいの対象になつておりますか。一万八千軒のうち何軒くらいが対象になつておりますか。
  40. 中川董治

    政府委員中川董治君) 只今申しましたように、県庁所化地農村、中都市ということを平均的にとつた店舗でございますが、全国を通じ百九十二店舗でございます。
  41. 堀末治

    堀末治君 そうすると、調査対象としては一万八千軒のうち百九十二軒だと少いですね。
  42. 中川董治

    政府委員中川董治君) そうです。
  43. 堀末治

    堀末治君 何じやありませんか。調べようと思つた実態はすぐわかる。昔と違つてこつそり隠してないで店舗を出しているのだから、何用何日を期して警察に指令したら、その管内のやつはすぐわかりそうなものたがな、全部に当つて見ると……。失礼だけれども、これを九分にやられたことで以て本当に下るかどうか。
  44. 中川董治

    政府委員中川董治君) 実は堀先生のおつしやる通り、全店舗を当ることは可能でございますが、全体の大勢を早く知つていろいろな御審議に間に合わそうと思つて、そういう方式で百九十二店舗を拾つたのでございますが、全店舖のやつは目下調べておりますから、その上で……。
  45. 堀末治

    堀末治君 これはとにかく安くすることだから、庶民金融のために大変結構だと思いますけれども、得てして統制すれば必ず八分のやつは九分に上りたがるものです。ですからでき得るならば、手があつて調べられることだから、一遍これを一つ調べて御覧になるほうが本当は親切だと思いますね。
  46. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと、この法案は予備審査の関係もありますし、何か委員の各位から資料の要求があればこの際資料の要求をして頂いて、あと地方財政計画が、今政府のほうも来ているようでございますから、それと代りたいと思いますが。
  47. 堀末治

    堀末治君 もう一つ実は公益質屋のほうは皆で何軒あるのだつたかな。
  48. 中川董治

    政府委員中川董治君) 公益質屋は昨年三月末現在で全国を通じまして五百二十五店舗、その中で大部分市町村経営でありますが、うち三店舗社会福祉法人の経営になつております。
  49. 堀末治

    堀末治君 公益質屋利子計算の仕方は同じですか。やはり普通の営業質屋と。
  50. 中川董治

    政府委員中川董治君) 今の公益質屋関係でありますが、その点は先ず半月計算でございます。半月計算が、実際の運用の点につきましてはそういう方式をとつている面もありますけれども法律上は、民法によるところでは半月計算、こういうふうに理解されると思います。
  51. 堀末治

    堀末治君 公益質屋のほうの計算がどうなつているかな。それでこういう安い金利で十分引合つてつているだろうか。
  52. 中川董治

    政府委員中川董治君) 公益質屋関係は御案内の通り市町村経営でございますが、資金の点、その他施設の点について補助金がありますので、これと一般質屋と同一に論ずることは困難かと思いますが、現在各市町村等がやつているのは月三分の利子を取つて、而も半月を基準にして利子を取つているのでありまして、こういう意味でそのために市町村経済に大影響を与えるというふうにも理解できませんので、そういう範囲でやつている、設備につきましては国から半額の補助等がございますので、そういう観点で経営可能であろう、こういうふうに聞いているのであります。
  53. 堀末治

    堀末治君 この公益質屋関係資料を一遍出して見るとね。本当言うと、本当にこれでどうにか国費を余り費さず、或いは地方公共団体で多分な費用が要らないでこういう庶民金融ができるというならば、まだまだ思い切つて奨励したほうがいい。たしかこの質屋法をやつたときに政府説明がそういうふうにあつたように私は思う。それで質屋の人が大分心配して、我々の所にいろいろと話を持ち込んで来たことを私今でも覚えているのですが、本当を言えば、折角そういうものをやつて、どうにかそういう多大な国費なり地方費を使わないで行けるということならば、もう少し本当を言うと奨励したほうがいい。或いは又こんな安い金利で実際において引合わないのなら、民間経営との間にもう少しさや寄せしてもいいから奨励したほうが、本当言うと庶民金融のためになると思いますが、その辺の資料を一遍よく調べて、あなたのほうでないかな、厚生省関係ですか委員長一遍厚生省を呼んで聞いてみたらどうですか。折角こういういい法律を骨折つてつても、自分らの商売が上るのじやないかと言つて質屋が大分心配したことがある。そんなことですから、一遍厚生省からこれは一つ詳しく説明を願うことにしたらどうでしようかね。
  54. 内村清次

    委員長内村清次君) この議案を取扱うときに厚生省からも呼ぶことにいたします。
  55. 堀末治

    堀末治君 どうぞ。
  56. 内村清次

    委員長内村清次君) それから只今の法案に対しましては、資料はまあ四日ばかりすると、七つばかり用意しておるというようなことでございました。委員会に提出すると言つております。併しまあ委員のかたがたにも適切な資料を要求されますならばこの際……。
  57. 堀末治

    堀末治君 成るべくなら厚生省に来てもらうといいのですね。できるだけ公益質屋がどういう計算になつておるかということがよく理解できるような資料を整えるように一つ厚生省に申込んでおいて、そしてその資料が整つたら成るべく早い機会にやつたらいいと思いますね。
  58. 内村清次

    委員長内村清次君) わかりました。  それでは次の議題に移つてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 内村清次

    委員長内村清次君) それではそのように取扱います。速記をとめて。    〔速記中止〕
  60. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。   —————————————
  61. 内村清次

    委員長内村清次君) 次の議題の地方財政計画に対する質疑を続行いたしますが、その前に教育予算関係について若木君から大蔵省に質疑の要求があつておりますから、これを済ませた上で……。
  62. 若木勝藏

    若木勝藏君 先に私は文部省側に伺いたいのでありますが、これは二十八年度のいわゆる義務教育費国庫負担金が非常に不足しておるので地方で困つておる。こういうふうな実情を私は把握しておるので、その点伺いたいと思うのです。  それでまあ御承知の通り義務教育費国庫負担金はですね。これは地方の支出の半額を国庫で受持つ。こういうところに出発しておるのでございますが、現在においては先ず全国的に私の聞いたところでは約十億ばかり不足しておる。そうして現在支払いがないために俸給の支払いにことを欠いておるとこういうことを聞いておるのですが、その実情はどういうふうであるか、文部省側に。
  63. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) この負担金につきましては、御承知の通り実績の半額を国が負担することになつておりまして、昨年の補正予算で一応府県の実績を締め直しまして要求いたしたわけでございます。その後一月のべースアツプによりまして多少の見込の変動があつたのではないかと思いますが、只今の仰せのように十億の不足額というものはまだ見積りであつて、確定したわけのものではございません。そこで一月からベースアツプした後における一応の府県の不足見込額をとりましたところ、さような数字が一応出ておりますが、この中にはまだ相当検討を要する支出もございますので、更に文部省といたしましては検討いたしたい。かように考えております。そこでこの三月の終りに第一回の交付をいたしまして、三月の初めにしましたが、なお本省としましても七億程度保留しておりますので、その七億でどのくらい不足額がカバーできるか、一応七億で不足額を処置をしたい、かように考えております。なおどうしても不足額ができた分につきましては、これは法律の建前で実支出額の二分の一を負担する、こうなつておりますので、二十九年度に決算を見た上で精算いたしたい、かように考えております。
  64. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のお話で、いわゆる七億程度は文部省で以て保有しておる、あといろいろ調査した結果、何とか決算の後にこれを処置したいというようなお話でありましたが、この決算のあとというところに私は問題があると思う。現在地方には三月分なら三月分の俸給を払わなければならない、決算のあとということになると四月を越えてしまう、そこを一体どういうふうにされるのか。
  65. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) この法律の建前が実支出額の二分の一となつておりますから、最終的には決算を見ないと不足額の正確な額というものは決定できない、かように法律の建前がなつておりますので、勿論非常に不足額がはつきりしておりまして、額が大きくなれば当然これは補正予算の提出になると思うのでございますが、今私どもの考えでは、一応この前の補正予算のときに不足額を締め直したわけであります。ですから一月以降の分はベースアツプ等によるものでございますので、それ以外にも多少問題のある経費も含まれておりますので、更に検討しないと補正予算を要求できない立場なんであります。殊にこの中には事務職員、委員会勤務の事務職員が入つておりますので、そこにも多少問題があるわけであります。文部省といたしましても、これは大蔵省も同様でございますが、委員会に務めておる事務員で教員の身分を持つておる人がございますので、これについてますます全部国の負担の対象にするということは現在の負担法の建前から言つても多少問題もありますので、そういう点の若干疑問もありますので、更に検討した上で最後の決算を見た上で処置したい、かように考えております。
  66. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の文部省の答弁私は非常に不満なんです。文部省というような立場から考えたら、もつと積極性がなければならんと私は考える。というのは、今現に歳入の欠陥を生じておるのです。三億にせよ或いは十億にせよ、そういうふうなときに決算ののちにおいてこれを処置するというようなことを考えますと、当然これは地方負担というような方面で地方の公共団体では困る事態が来る。いわゆるこの資金難のときに、どういうふうにこれを処置するかという問題が必ず生じて来る。そういうときに第三次補正予算が組まれ、富裕団体のほうでは歳入の欠陥を補うところの二十八億というものが現に組まれて提案されておる。ところがそれ以外の府県に当然歳入の欠陥があるということがわかつておるのにそういう補正予算が組まれておらない。そういうときに文部省側としては今のお答弁では甚だ私は不満です。もう少し積極的に大蔵省と折衝するなりして、なぜ一体補正予算に歳入の欠陥を補うようにしなかつたか、この点を伺いたい。
  67. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) その不足額それ自体にも相当問題がありますので、これが定員定額的な国庫負担ならお話のように政令府県のような場合ですと、これははつきり数字がございまして、打切り補助にもなりますから、組めますけれども、実績の二分の一となりますと、実支出額が如何ようになつておるかという点について明確に掴むことが、これは飽くまでも予測でございますので、正確な数字というものは期待できませんので、或る程度見積額でやるわけでございます。見積額につきましてはすでに昨年の補正予算で一応やつたわけなんです。なお且つ一月以降の分について不足が出ておる、こういうふうな府県の御報告に基くものですが、その額がどのくらいになりますか。又十億という数字が出ておりますけれども、これについてもう少し検討を要さなければならん要素が入つておりますので、検討を続けておるわけであります。ですから明確に不足額がはつきりいたしますれば、これはお話のように補正予算に組まなけれなばらんのですが、その点には多少問題がございますので、精算補助でございますから、決算を見た上で処置したい、かように考えております。
  68. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは現在において約十億の不足額が認められておるというようなことになりますが、これは一体何が原因になつてそういうふうになつているか、これは御調査はなされたと思う。だから大体十億の不足額が出て来る、こういうことになつたと思う。私は私として資料を持つているが、文部省ではどういうふうにお考えになるか。
  69. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 十億の不足額につきましては、給与のベース改訂に伴う分が一つと、それから旅費の分が一つと、それから退職金の分、それから委員会に勤めているところの事務職員、教員の身分を持つている者がこれが二千五百人ほど含まれている。私のほうといたしましては、学校に勤務して義務教育に従事している教員については、これは法律通り実績の二分の一を負担をする。併しながら学校の教育に従事していない委員会に勤務している職員がございますので、これについてはやはり多少問題もございますので、その点もございます。それから退職金の分については、退職の見込みでございますから、これも明確なる数字が把握できかねている。どうしてもこの実支出額の二分の一という負担制度をとる建前から申しますれば、過不足というものはどうしても或る程度のものは生ぜざるを得ないと思うのであります。ですからその見込みの問題なんで、額が非常に多いとか或いははつきりいたしますれば、これは当然補正予算で処置しなければならんと思うのでありますが、その点は私のほうでもまだ確信が持てませんので、差控えたのでございます。
  70. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁で再三繰返しておられるのですが、一点伺いたい点は、この教員の身分を持ちながら教育委員会の事務職員あたりになつている、これに対しては問題があるというふうに考えられているようであります。これは私ら考えてみますというと、身分が教員になつているのですから、それを主体にして当然これは半額を負担すべきものではないか、何らそこに問題がないように考えられる。あなたがたのほうでどうしてそれを問題にするのか、この点をお伺いいたします。
  71. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) これは義務教育国庫負担法によりますれば、義務教育に従事している小中学校の教員でありまして、身分があるからといつてこれに支出するということ、国が負担するということは私ども多少問題があるように考えております。と申しますのは、それならば教員が不足していると言いながら、どんどん委員会の事務職員にやるということは、私は法の建前から言つても、私どもとしては本来義務教育が大事なんで、小中学校の義務教育に従事している職員ならこそ国が半額の負担をするのだと、こういう考えをとつておりますので、たまたま身分を学校に置いて、実際の勤務をどこかにしている、こういう場合まで国が半分みるかどうかという点については、まだ私どもとしても疑問を持つているわけであります。
  72. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点は私は非常に重大な問題だと思うのです。なぜそれでは教員の身分があるのに、そういうところに使うかという問題に遡らなければならない、使つている以上は。使つている以上は私は教員と同じような取扱いにすべきではないか、まあこういうふうに考えておるのでございますが、その点は今ここで議論してもどうもなりませんから、ただ私としては、そういう点は教員と同様に取扱うべきではないか、文部省が若しそれを別途に考えるということになれば、これは私は問題だと考えるのであります。  それでは大体わかりましたので、大蔵省側に今の点をお伺いしたいと思うのであります。大蔵省としては、今の歳入の欠陥が約十億であるというようなことは、これは文部省のほうの御説明でもおわかりの通りであります。これをどういうふうに一体お取扱いになる考えであるか、この点をお伺いしたい。
  73. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 只今内藤会計課長からお話になりました同じ考え方を持つております。即ち実支出額主義をとりまして決算いたしますので、若干の過不足は当然出るということでありますが、これについては決算が確定いたしまして、判明次第支給措置をするという方針で考えております。
  74. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは大蔵省としては、いわゆる富裕団体の二十八年度に対して第三次の補正予算を組んだのに、これをどうして一体放置してあるか伺いたい。
  75. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 今回予算措置をとりました富裕団体の分の二十七億八千万円につきましては、これは現在の国庫負担法の趣旨によりまして、当然富裕県にも支給するという建前になりますと、法律並びに政令上金額がぴつたりと出るのであります。これも勿論予算の数字でありまして、決算をした結果は又違つた数字になるかも存じませんが、予算といたしましては二十七億八千万円という数字が政令上計算できるのであります。これを計上いたした次第であります。
  76. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますというと、決算ののちにおいてそこに変化が来た場合においては他の場合と同様に取扱うということになりますね。
  77. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 只今富裕団体分につきましては、政令の適用で打切り補助になる面がございまして、若し実支出額が更に低いというような場合には又変化が来るのでありますが、これより実支出額が上廻つておるというのがこれは現状でありまして、従いましてあとで改めて追給するという問題は絶対に起らないと考えます。
  78. 若木勝藏

    若木勝藏君 その次にそれでは伺いたいのは、先ほど文部省側からの答弁がありましたが、いわゆる教員の身分を持ちながら教育委員会の事務職員になつているという者については、大蔵省としてはどういうふうにお考えですか。
  79. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 大蔵省といたしましても、只今文部省から御答弁のありましたように、義務教育費国庫負担法の建前からいたしまして、これに国庫負担を行うかどうかということには疑問があると考えております。
  80. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点は非常に重大な問題になつて来ますので、自治庁側はどういうふうなお考えを持つているか、自治庁側から御答弁を願います。
  81. 青木正

    政府委員(青木正君) 詳細な点を私案は聞いておりませんが、大体の考え方といたしまして、文部省の方の御決定を願つて、それによりまして自治庁としては処分いたしたいと、かように考えております。
  82. 若木勝藏

    若木勝藏君 そうしますと、それらによつて不足を生じて来る部面は十分地方の財政で以つてそれを確保して行く、こういうことになりますか。
  83. 青木正

    政府委員(青木正君) 文部省のほうの方針がそうした職員につきましても半額負担するということになりますれば、その残りの半額は当然地方財政で見なければならんと思つておりますし、又そうでなしに全額地方負担ということになりますれば、これは地方財政で見て行かなければならん、かように考えております。
  84. 若木勝藏

    若木勝藏君 自治庁は極めて文部省の方針を守るような純情なところがあるようですが、これは今も文部省も大蔵省も疑問があるということを言われておるのでありますから、この点を早速受入れてその通りにするということは、私は自治庁としてとるべき態度でないと思う。これはあなたがたとしては今地方財政が非常に困つておるときであるからして、十分大蔵、文部三者でこの問題を検討して、そうしてどこから支出すべきであるかという結論に基いてやるべきで、一方的な文部省の要求なり方針に従うべきものでないと思う。この点十分御検討願いたいと思います。  それから最後にこの問題に関連しまして、それでは今暁実の問題として歳入の欠陥を生じて俸給の支払いにも事欠いておるという地方があるのであります。これらに対して決算を待つた後に処理するということになれば、その間のズレがある。これに対して大蔵省としてはどういうふうにお考えになつておりますか。
  85. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 地方財政上の二十八年度の欠損が全般的に見て非常に大きいのではないかということは私どもも考えております。ただ地方財政全般としてそういう傾向は確かにあると思いますが、義務教育費国庫負担の関係以外にもいろいろな要素がございまして、これら県の財政を全部見ました上で財政措置を行うという考え方をとるべきだと思います。毎年度末の決算におきまして、資金運用部のほうで相当年度末、年度初めの融資を行つております。これは個々の財政の実情を見まして、措置を行うべきであると、こう考えております。
  86. 若木勝藏

    若木勝藏君 その点を私はつきりさせてもらいたいと思います。そうしますと、金繰りといいますか、或いはそういうような資金の措置というようなことは資金運用部の資金を運用して大蔵省としては地方財政に非常に困つた事情が起らないように取計らうところの用意がある、今のお話でこういうふうに承つわつておるのですが、それで差支えありませんか。
  87. 鳩山威一郎

    説明員鳩山威一郎君) 私の申し上げましたのは短期融資でございまして、これは例年行つておるところでございまして、今年の特別の措置という意味に申上げたのではございません。各団体の実情に応じまして御相談申上げておるということを申上げたのでございます。
  88. 加瀬完

    ○加瀬完君 若木委員の質問に関連をして文部省、自治庁に伺います。  第一点は現在の地方財政のしわ寄せというものが教育予算の幅を狭めようという方向に来ておることは否めない。そうしておりますときに、教育行政の上で無給嘱託というものを、今内藤会計課長のおつしやるように、これを全部教員としての身分として取扱わないということになりますと、全部駄目になる。その職員は府県として見るということは不可能だ、こうなつて参りますと、教育行政というものが非常に完全性を欠いて来るのじやないかという点が一点。  それから第二点は、只今文部省の御見解の中には、積極的に義務教育に携わる者をも同じような措置をとるというお考えなのか。  第三点は、学校におる事務職員というものに対してはどういうお考えを持つておられるか。  第四点は、結局これは文部省自身が定員定額というような制度に移行しておるということになりはせんか。定員定額制というものが果して現在の義務教育というものの現状において進歩させるということになり得るか。この四点について自治庁側と両方からお答えを頂きたい。
  89. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 委員会に勤めておりますところの教育の身分を持つておる事務職員でございますが、これをどうするかというお尋ねのように伺いますが、先ず教育行政を十分に行うために必要な職責を確保しなければならない、これはお説の通りだと思います。ただこの場合に教員の身分を持たせながら而も半額国が持つてやるかどうか、ここに問題点があるように私は思うのであります。従来府県におきますところの教育関係の事務職員が少かつたこと、これはある程度認めなければならんと思うのでありますが、その穴埋めに身分を教員にしまして、それを府県の出張所、その他に配属しておるわけであります。そこでこれを一度に切つてしまいますと、なかなか府県財政から行つてもいろいろ問題があると思いますので、私どもも毎年そういう勧告をして参つたのであります。併しながら来年度それならすぐこの数を全部切つてしまうかどうかについては私も問題があると思います。殊にこれは地方財政という立場から考えまして、同町に教育行政の面からも考えて、全部落すということには私ども疑問を持つておるのであります。そこでこれは経過的に特に大蔵省には交渉したいと思うのでありますが、少くとも今二番目にお話になりました指導主事のようなものにつきましては、ある程度教育委員会法の中にも多少それに関連のある規定もございますので、指導主事の中に義務教育の教育内容関係しておるような職員についてはこれは当分認めて頂く、或いは事務職員についてはどうするか、こういうふうな措置は考えなければならんかと考えております。  それから最後にお話の事務職員のことでございますが、学校の事務職員につきましては、これは半額国庫負担の対象になつております。
  90. 青木正

    政府委員(青木正君) 事務職員又指導主事等の教育関係の職員の人件費等につきましては、財政の中に見込みまして、そして特定財源のあるものはそれだけ控除して、平衡交付金の交付基準にしたい、かような建前をとつておるわけであります。
  91. 加瀬完

    ○加瀬完君 最初の二つはよくわかりました。事務職員の場合でありますが、一応御説明通り見込まれておるわけでありますが、結局学級数なり、教員数なり、或いは学校なりに対しての一定の基準というものは甚だ不明確だと思う。そこで実際都道府県に参りますと、二分の一どうしてもこれはかけられない。学級とか、教科担任の教員というものを切るわけに参りませんから、他の都道府県と比べまして自分のほうは事務職員は非常に多いということを理由に事務職員を減らして行こうという傾向が顕著です。結局そうすると、教員で減らないのは事務職員で減つておるということになりますと、総体で事務を誰かが分析しなければならないということになりますから、実際の教科を担当すべき教員の数を減らされたと同じような結果が出るということが憂えられておるわけであります。この点で事務職員というものの地位を一応安定させるような、何か文部省としてのお考えはあるのか、その点……。
  92. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 多少先生のお話の中にも私は誤解があるのじやないかと思いますが、私どもは事務職員を云々しておるのじやないのでありまして、お話のように学校では非常に事務が煩雑でございまして、むしろこ  の事務を救つてあげない限りは教員の負担は軽減されないと思うのであります。そういう意味で従来は小、中、盲聾学校等の義務教育諸学校に勤務しておる事務職員は国庫負担の対象外であつたのであります。完全にこれは府県費支弁であつたのですが、この前の義務教育国庫負担法の制定に当りまして、学校に勤務しておるところの事務職員は、これは国庫負担の対象にして教員の負担の軽減を図ろう、こういう趣旨であつたのであります。そこで今問題になつておりますのは教育委員会におるところの事務職員なんです。ですから学校に勤務しておるのじやなくて教育委員会の事務に従事しておる。これは府県なり市町村で当然支弁すべき職員になるわけであります。その点がちよつと誤解があるのじやないかと思いますのですが、私どものほうは飽くまでも学校の事務職員については、これは半額国庫負担の建前にして、大いにこれは成るべく各学校に置くように奨励しおるのであります。
  93. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうじやないのです。それはよくわかるのですけれども、結局地方に参りますると、学校事務職員に対する整理の方向というものが非常に顕著に現われているのです。御存じのように確かに二分の一の補助対象にはなつておりますけれども、率直な言葉で言うならば、教員を切るよりは事務職員を切つたほうが切りいいというとろから縮減というか整理の鉾先が向いて参りまして、各府県におきまして事務職員というものを何とかして置かないような、或いは数を減らすような方向というものに向いておるというのは事実でありまして、この点に対して文部省はどういう対象お考えであるか、こういうことであります。
  94. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) これは只今申上げましたように、学校の事務が非常に重要なんで、教員と同じように学校管理の事務をする職員について、文部省はこのたびの国庫負担法の改正で半額国庫負担の対象にした。今後もこの制度を続けて行くわけですし、学校の事務職員を軽減しようという意図は毛頭持つておりません。
  95. 加瀬完

    ○加瀬完君 ただ設置の基準というものが教員のようには明確ではないと思うのです。こういう点について文部省のお考え……。
  96. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 事務職員については、これは学校教育法で事務職員は置かなければならないということになつておるはずであります。だから少くとも一名は置いて頂きたいと思つております。
  97. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは文部省の御意思としてはわかるのでありますが、置いて頂きたいというのであるならば、置かなければならない一つ基準というものを文部省でお出しになつておるのでまか。或いは整理されないという最低線を押えておるか。こういう点です。
  98. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 学校の事務職員については私どもは学校の職員並みに扱つておるつもりであります。
  99. 加瀬完

    ○加瀬完君 各府県におきまして、これが整理の対象になつておるという事実は文部省のほうではどうお考えになつているのでしよう。
  100. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 私はそのことが問題になつておるというよりは、むしろ先ほど申しました府県の委員会に勤めておる事務職員を国庫負担の対象から外すという点のほうがむしろ問題じやないかと思うのです。各学校の事務職員を削るというような、そういう国で予算を組んでおりませんし、多少問題が転嫁されているのじやないかというふうに考私感じがするのでありますが……。
  101. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の内藤さんとそれから加瀬君の質疑応答は、問題がこんがらがつているのだ。事務職員の、いわゆる教育委員会に使われておるところの事務職員の問題は加瀬君は済んでいるのだ。学校の事務職員の待遇とか或いは首切りとかいうのを別個に聞いているのです。そうでしよう。
  102. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうなんです。
  103. 若木勝藏

    若木勝藏君 だからその点をやつたらいいだろう。
  104. 内藤譽三郎

    政府委員内藤譽三郎君) 学校の事務職員については整理の対象にいたしておりませんし、待遇についても並通の公務員並みの待遇を保証しておりますので、そういう少くとも文部省においては意図がないことだけをはつきり申上げておきます。
  105. 加瀬完

    ○加瀬完君 私今若木委員のお言葉のごとく、この無給嘱託の問題だけにとどまらないで、学校事務職員にまで非常に整理の鉾先が地方団体においては向いて来ておる。この事実を、文部省は只今おつしやるように整理の対象とも考えておらなければ、これを特別に縮減をするというふうなことも考えておらないで、十分に保護するところの予算的措置を講じておると言まいすけれども、実際はそうでない。実際はそうでないということだけ申上げて、あとは御実情調査して頂きまして、学校教育全般が向上するために学校事務職員という問題も文部省のおつしやるような方向へはつきり地方団体に明確に処理し得るような方法を講じて頂きたいと希望を申上げまして、質問を終ります。
  106. 内村清次

    委員長内村清次君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  107. 内村清次

    委員長内村清次君) 速記を始めて。  それでは地方行政委員会はこれで閉じます。    午後零時十二分散会